JP4888462B2 - 電子部品の実装構造 - Google Patents

Description

本発明は、電気光学装置、電子部品、電子部品の実装構造に関する。

従来、各種の電子機器に搭載される回路基板や液晶表示装置などにおいては、半導体ＩＣなどの電子部品を基板上に実装する技術が用いられている。例えば液晶表示装置には、液晶パネルを駆動するための液晶駆動用ＩＣチップが実装される。この液晶駆動用ＩＣチップは、液晶パネルを構成するガラス基板に直接実装される場合もあり、また、液晶パネルに実装されるフレキシブル基板（ＦＰＣ）上に実装される場合もある。前者による実装構造はＣＯＧ（Chip On Glass）構造と呼ばれ、後者はＣＯＦ(Chip On FPC)構造と呼ばれている。なお、これら実装構造以外にも、例えばガラエポ基板などにＩＣチップを実装するＣＯＢ（Chip On board）構造も知られている。

このような実装構造に用いられる基板には、配線パターンに接続するランド（端子）が形成されており、一方、電子部品には、電気的接続を得るためのバンプ電極が形成されている。そして、ランドにバンプ電極を接続させた状態で、基板上に電子部品を実装することにより、電子部品の実装構造が形成されている。

ところで、上記の実装構造においては、基板上に電子部品がより強固にかつ確実に接続していることが望まれている。特に、ランドやバンプ電極がそれぞれ複数ずつあり、複数のランド−バンプ電極間をそれぞれ接続させる場合には、全てのランド−バンプ電極間が良好に接続していることが、信頼性を確保するうえで重要となっている。
ところが、一般にランドやバンプ電極は金属によって形成されており、したがって接合時に合わせずれが生じたり、あるいはランドやバンプ電極の位置精度が悪いことによってこれらの間で位置ずれが生じた場合に、これらランドとバンプ電極との間で十分な接合強度が得られず、接触不良（導電不良）を起こしてしまうおそれがあった。
また、基板やＩＣなどの電子部品の反りや、ランドとバンプ電極などの形成高さのばらつきによって、ランドとバンプ電極間の距離が一定でなくなり、これらランドとバンプ電極との間で十分な接合強度が得られず、接触不良（導電不良）を起こしてしまうおそれがあった。

このような不都合を防止するため、従来、台形状断面を有する導体パターンを有し、この導体パターン上に金属導電層を形成するとともに、この金属導電層の表面に多数の凹凸を付与したプリント配線板が提供されている（例えば、特許文献１参照）。
このプリント配線板によれば、金属導電層表面の凹凸によるアンカー効果により、部品実装時に圧力がかかっても、部品（電子部品）の接続電極が基板の電極上を滑ったり、ずれ落ちて傾いたりしないため、実装歩留まりが向上するとされている。
特開２００２−２６１４０７号公報

しかしながら、上記したプリント配線板にあっては、金属導電層表面の凹凸によるアンカー効果により、この金属導電層上に配置される接続電極（バンプ電極）が滑り落ちたりずれ落ちて傾いたりしないようになっているものの、これらの間の接合強度を高め、さらには複数の電極間での接合強度をも高める構造とはなっていない。したがって、接合時に合わせずれが生じたり、電極間（ランドとバンプ電極との間）の位置精度が悪いことに起因してこれらの間で位置ずれが生じた場合には、これら電極間で十分な接合強度が得られず、依然として接触不良（導電不良）を起こしてしまうおそれがある。また、接続電極（バンプ電極）が金属でできていたため、接続電極は接続時に塑性変形を起こし、前記のようにランドとバンプ電極間の距離が一定でなくなった場合に弾性変形による距離変化の吸収能力が低いため、これら電極間で十分な接合強度が得られず、依然として接触不良（導電不良）を起こしてしまうおそれもある。
さらに、このような金属導電層を有するプリント配線板と接続電極を有する部品との接合構造（実装構造）においては、プリント配線板に部品を実装し固定するためにアンダーフィル材などの接着材が必要となっており、これが実装に要するコストの低減化を妨げる一因となっている。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バンプ電極と基板側端子との間の接合強度を高めて導電接続状態の信頼性を向上し、容易に製造することのできる電子部品の実装構造を提供することにある。

本発明の電子部品の実装構造は、上記課題を解決するために、複数のバンプ電極を有する電子部品を、複数の端子を有する基板上に実装してなる電子部品の実装構造であって、前記バンプ電極は、前記電子部品の能動面に設けられた下地樹脂と、該下地樹脂の表面の一部を覆い残部を露出させるとともに前記能動面に設けられた電極端子に導通する導電膜と、を有してなり、前記下地樹脂は、複数の前記電極端子を取り囲む第１の開口部と、前記電極端子に一端を接続されるとともに前記表面に引き出された前記導電膜の一部が配置された接続部と、前記第１の開口部および前記接続部以外の領域に形成され、前記基板と接着された接着部と、を有し、前記接続部において前記下地樹脂が弾性変形していることで前記接着部が前記基板に接着され、前記導電膜と前記基板上の前記端子とが接続状態に保持されていることを特徴とする。

本発明によれば、下地樹脂に、電子部品の能動面に設けられた複数の電極端子を取り囲む第１の開口部が設けられており、複数の電極端子の周囲に存在する下地樹脂によって各電極端子に水分が侵入するのを防ぐことができる。したがって、電極端子と導電膜との接続部分におけるマイグレーションの発生などを防止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
また、接続部において下地樹脂が弾性変形していることで接着部が基板に接着され、導電膜と基板上の端子とが接続状態に保持されているので、バンプ電極と基板側の端子との接続状態が確保され、これによっても導電接続の信頼性が向上する。

また、前記下地樹脂には、前記能動面を露出させる第２の開口部が形成されており、前記導電膜が前記第１の開口部から前記下地樹脂上を経由して前記第２の開口部内に延びていることが好ましい。
本発明によれば、導電膜が、下地樹脂の第１の開口部から第２の開口部内に延びていることにより、第１の開口部および第２の開口部間の下地樹脂とその上の導電膜とによってバンプ電極が形成される。このようなバンプ電極は、基板側の端子に対して実装開始時には点接触し、実装達成後には面接触することになる。これにより、安定した電気的な接続を達成することができる。

また、前記基板と前記電子部品とは、前記下地樹脂の前記接着部の前記基板に対する接着力により、前記バンプ電極が前記端子に導電接触している状態が保持されていることが好ましい。
本発明によれば、基板と電子部品との間にアンダーフィル材などの接着材を配する必要がなくなる。したがって、アンダーフィル材などの接着材に要する材料コストが低減され、また、このような接着材を配する工程も不要になって生産コストが低減されることにより、実装コストの低減化が図られる。

また、前記下地樹脂の少なくとも一部に、横断面を略半円形状、略半楕円形状、または略台形状とする凸条部が形成され、前記導電膜は、前記下地樹脂の前記横断面方向に沿って前記表面の一部に帯状に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、下地樹脂の表面に間隔をおいて導電膜を設けることにより、複数のバンプ電極を形成することができ、製造が容易である。また、下地樹脂の一部に凸条部を形成することで、安定した電気的な接続を達成できるバンプ電極とすることができる。

また、前記電子部品が、半導体素子であることが好ましい。
本発明によれば、電子部品として半導体素子を適用した場合、半導体素子をその下地樹脂を介して基板に接続することができるので、半導体素子への応力伝達を抑制することができる。

以下、本発明の電子部品の実装構造を詳しく説明する。
図１は本発明に係る電子部品の実装構造を適用した液晶表示装置を示す模式図である。まず、図１を用いて本発明に係る電子部品の実装構造の適用例を説明する。
図１において符号１００は液晶表示装置であり、この液晶表示装置１００は、液晶パネル１１０と、電子部品（液晶駆動用ＩＣチップ）１２１とを有して構成されている。なお、この液晶表示装置１００には、図示しないものの、偏光板、反射シート、バックライト等の付帯部材が、必要に応じて適宜設けられるものとする。

液晶パネル１１０は、ガラスや合成樹脂からなる基板１１１及び１１２を備えて構成されたものである。基板１１１と基板１１２とは、相互に対向配置され、図示しないシール材などによって相互に貼り合わされている。基板１１１と基板１１２の間には、電気光学物質である液晶（図示せず）が封入されている。基板１１１の表面１１１Ａ上には、ＩＴＯ（Indium Tin Oxide）などの透明導電材料からなる電極１１１ａが形成され、基板１１２の内面上には前記電極１１１ａに対向配置される電極１１２ａが形成されている。

電極１１１ａは、同じ材質で一体に形成された配線１１１ｂに接続されて、基板１１１に設けられた基板張出部１１１Ｔの内面上に引き出されている。基板張出部１１１Ｔは、基板１１１の端部において基板１１２の外形よりも外側に張り出された部分である。配線１１１ｂの一端側は、端子１１１ｂｘとなっている。電極１１２ａも、同じ材質で一体に形成された配線１１２ｂに接続されて、図示しない上下導通部を介して基板１１１上の配線１１１ｃに導電接続されている。この配線１１１ｃも、ＩＴＯで形成されている。配線１１１ｃは基板張出部１１１Ｔ上に引き出され、その一端側は端子１１１ｃｘとなっている。基板張出部１１１Ｔの端縁近傍には入力配線１１１ｄが形成されており、その一端側は端子１１１ｄｘとなっている。該端子１１１ｄｘは、前記端子１１１ｂｘ及び１１１ｃｘと対向配置されている。また、入力配線１１１ｄの他端側は、入力端子１１１ｄｙとなっている。

基板張出部１１１Ｔ上には、ＮＣＰ（Non-Conductive Paste）やＮＣＦ（Non-Conductive Film）を介在させることなく、本発明に係る電子部品１２１が直接実装されている。
この電子部品１２１は、例えば液晶パネル１１０を駆動する液晶駆動用ＩＣチップである。電子部品１２１の下面には、本発明に係る多数のバンプ電極（図示せず）が形成されており、これらのバンプ電極は、基板張出部１１１Ｔ上の端子１１１ｂｘ，１１１ｃｘ，１１１ｄｘにそれぞれ導電接続されている。これにより、基板１１１上に電子部品１２１が実装されてなる、本発明の実装構造が形成されている。

また、基板張出部１１１Ｔ上の入力端子１１１ｄｙの配列領域には、異方性導電膜１２４を介してフレキシブル配線基板１２３が実装されている。入力端子１１１ｄｙは、フレキシブル配線基板１２３に設けられた、それぞれに対応する配線（図示せず）に導電接続されている。そして、このフレキシブル配線基板１２３を介して外部から制御信号、映像信号、電源電位などが、入力端子１１１ｄｙに供給されるようになっている。入力端子１１１ｄｙに供給された制御信号、映像信号、電源電位などは、電子部品１２１に入力され、ここで液晶駆動用の駆動信号が生成されて液晶パネル１１０に供給されるようになっている。フレキシブル基板は、ポリイミドや液晶ポリマー等可撓性を有する有機基板であり、その基板上に銅やアルミニウムで回路パターンおよび端子が形成されていることが多く好ましいが、必ずしもその限りではない。端子部には表面に金メッキが施されていると接続抵抗が安定するので、なお良い。

以上のように構成された液晶表示装置１００によれば、電子部品１２１を介して電極１１１ａと電極１１２ａとの間に適宜の電圧が印加されることにより、両電極１１１ａ，１１２ａが対向配置される部分に構成される各画素毎に独立して光を変調させることができ、これによって液晶パネル１１０の表示領域に所望の画像を形成することができる。

次に、前記液晶表示装置１００に適用された、本発明の電子部品の実装構造の実施形態について詳述する。
まず、本実施形態の電子部品の構造について述べる。図２（ａ）は電子部品１２１の能動面１２１ａ側の斜視図、図２（ｂ）は図２（ａ）におけるＡ−Ａ線矢視断面図である。図３（ａ）は実装構造の要部を拡大して示す斜視図、図３（ｂ）は（ａ）におけるＢ−Ｂ線矢視断面図であって、同図において、符号１１Ｐは基板１１１上に設けられた配線パターン、すなわち、配線１１１ｂ、１１１ｃ、１１１ｄのいずれかを表しており、符号１１はこれら配線に設けられた端子、すなわち、前記した端子１１１ｂｘ、１１１ｃｘ，１１１ｄｘのいずれかを表している。なお、本実施形態では、端子１１は比較的膜厚が厚く、したがって高く形成されており、また、その横断面が略台形状になっている。

図２（ａ），（ｂ）に示すように、電子部品１２１には、基板１１１の各端子１１（１１１ｂｘ，１１１ｃｘ，１１１ｄｘ）にそれぞれ導電接続される多数のバンプ電極１２が形成されている。バンプ電極１２は、電子部品１２１の能動面１２１ａに設けられた下地樹脂１３と、該下地樹脂１３の表面の一部を覆い残部を露出させた導電膜１４と、からなるものである。

下地樹脂１３は、電極端子１６に対応する箇所を除いて、能動面１２１ａ全体を略覆った状態で設けられている。すなわち、下地樹脂１３は、電子部品１２１の矩形の能動面１２１ａ上において四角錐台状または四角板状に形成されている。本実施形態の下地樹脂１３には、電子部品１２１の能動面１２１ａに設けられた複数の電極端子１６をそれぞれ取り囲むようして２つの開口部（第１の開口部）１３ｂ，１３ｂが形成されており、これら各開口部１３ｂ，１３ｂに沿って能動面１２１ａ上の全ての電極端子１６を露出させている。より具体的には、電子部品１２１の能動面１２１ａには、複数の電極端子１６からなる端子列１６Ａが、電子部品１２１の両側の長辺１２１ｂによってそれぞれ２列並列に配置されており、これら各端子列１６Ａ，１６Ａに対応すべく開口部１３ｂ、１３ｂがそれぞれ形成されている。

図２（ａ）に示すように、一つの開口部１３ｂ内には端子列１６Ａを構成する複数の電極端子１６が配置されている。これら複数の電極端子１６に共通する開口部１３ｂを形成すべく下地樹脂１３がパターニングされている。なお、端子列１６Ａを構成する電極端子１６の数については適宜設定し、図２（ａ）では数を省略しているが、実際には約２０００個の電極端子１６が配置されている。

これら各開口部１３ｂ内で露出する複数の電極端子１６には、それぞれ帯状の導電膜１４の端部１４ａが接合（導通）している。一方、導電膜１４の端部１４ａとは反対側の端部１４ｂは、下地樹脂１３上に引き出されて下地樹脂１３の表面の一部を覆った状態で設けられている。ここで、下地樹脂１３は、開口部１３ｂ，１３ｂ同士の間においてその横断面が略台形状の凸条部（面内の方向に長手の突起部）となるように形成されており、この横断面方向に沿って帯状に導電膜１４が設けられている。また、凸条部の長さ方向に導電膜１４が複数配列されている。

このような構成のバンプ電極１２にあっては、図２（ａ），（ｂ）において下地樹脂１３の導電膜１４によって覆われている部分が基板１１１側の各端子１１と接続する接続部１３Ａとなり、この接続部１３Ａ上の導電膜１４の一部が電極として実質的に機能する部分となっている。

導電膜１４は、図２（ｂ）に示すように、電子部品１２１の表面部において絶縁膜１５の開口部１５ａ内に露出した電極端子１６に接続・導通し、下地樹脂１３上に引き回されたものである。このような導電膜１４は、その内側に位置する下地樹脂１３とともに、それぞれが独立して、本発明におけるバンプ電極１２として機能するようになっている。

また、本実施形態では、さらに下地樹脂１３の導電膜１４に覆われることなく露出している部分の一部が基板１１１へと接着される接着部１３ａとなっている。具体的には、下地樹脂１３の開口部１３ｂ，１３ｂおよび接続部１３Ａ以外の領域が接着部１３ａとされている。

このような構成の電子部品１２１は、図３（ａ），（ｂ）に示すように、多数のバンプ電極１２が、基板１１１の各端子１１（１１１ｂｘ，１１１ｃｘ，１１１ｄｘ）にそれぞれ導電接続されるようにして、基板１１１へと実装されている。このとき、下地樹脂１３の接続部１３Ａにおいて弾性変形していることで接着部１３ａが基板１１１の表面１１１Ａに直接接着され、これによって電子部品１２１の基板１１１に対する実装状態が確保されている。

下地樹脂１３は、電子部品１２１を基板１１１に実装した際、この電子部品１２１が基板１１１に対して加圧され圧着されつつ、加熱されることにより、接着性を発揮する、熱接着性を有する絶縁性のものである。具体的には、ポリイミド樹脂やＢＣＢ（ベンゾシクロブテン）、液晶ポリマー、各種の熱可塑性樹脂等が用いられ、さらには、熱可塑性成分を有する感光性絶縁樹脂や熱硬化性絶縁樹脂も使用可能である。
また、下地樹脂１３は基板１１１に接着する機能を有する熱硬化性樹脂でも、光硬化性樹脂あるいはそれらを組み合わせた樹脂でも構わない。

すなわち、ポリイミド等の熱硬化性樹脂（熱可塑性成分を含有させておく）の場合、バンプ電極１２の形成時において下地樹脂１３を全硬化させることなく半硬化状態にとどめるように加熱処理し、その後、電子部品１２１を実装した際、その一部を基板１１１に当接させこれに圧着させた状態で加熱し、全硬化させる。すると、半硬化状態で接着性を有していた下地樹脂１３は、加圧加熱されて硬化する過程で基板１１１に接着し、そのまま硬化することでこの接着状態を保持するようになる。下地樹脂が光硬化性樹脂の場合は、光を照射するなど下地樹脂が基板に接着する機能を発現させるような工程とする。

また、熱可塑性樹脂（必要に応じて熱硬化成分を含有させておいてもよい）の場合、バンプ電極１２の形成時に下地樹脂１３を全硬化させておく。次に、電子部品１２１を実装した際、その一部を基板１１１に当接させこれに圧着させた状態で加熱する。すると、下地樹脂１３は一部溶融し軟化することで接着性を発揮するようになる。

その後、冷却することで下地樹脂１３を再度硬化させる。これによって下地樹脂１３は、溶融・軟化し、さらに冷却され硬化する過程で基板１１１に接着し、そのまま硬化することでこの接着状態を保持するようになる。

なお、このように熱可塑性樹脂によって下地樹脂１３を形成した場合、この下地樹脂１３の接着力を用いて電子部品１２１を基板１１１上に実装した後、例えば合わせずれ等の不具合があったとき、再度加熱し下地樹脂１３を軟化させることで、基板１１１から電子部品１２１を容易に取り外すことができる。

このような樹脂からなる下地樹脂１３は、公知のリソグラーフィー技術や印刷技術、ディスペンス技術、エッチング技術により、断面視略台形状とする凸条部に形成されている。なお、樹脂の材質（硬度）や凸条部についての細部における形状（高さや幅）等については、端子１１の形状や大きさ等によって適宜に選択・設計される。

導電膜１４は、Ａｕ、ＴｉＷ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｎｉ、Ｔｉ、Ｗ、ＮｉＶ、Ａｌ、Ｐｄ、鉛フリーハンダ等の金属や合金からなるもので、これら金属（合金）の単層であっても、複数種を積層したものであってもよい。また、このような導電膜１４は、スパッタ法等の公知の成膜法で成膜し、その後帯状にパターニングしたものであってもよく、無電解メッキによって選択的に形成したものであってもよい。または、スパッタ法や無電解メッキによって下地膜を形成し、その後電解メッキによって下地膜上に上層膜を形成し、これら下地膜と上層膜とからなる積層膜により、導電膜１４を形成してもよい。

なお、金属（合金）の種類や層構造、膜厚、幅等については、下地樹脂１３の場合と同様に、端子１１の形状や大きさ等によって適宜に選択・設計される。ただし、導電膜１４は、下地樹脂１３（接続部１３Ａ）の弾性変形に伴って導電膜１４自体も弾性変形することから、特に展延性に優れた金（Ａｕ）を用いるのが好ましい。

また、積層膜によって導電膜１４を形成する場合には、その最外層に金を用いるのが好ましい。さらに、導電膜１４の幅については、接合する端子１１の幅よりも十分に広く形成しておくのが好ましい。

図４（ａ）は電子部品１２１を基板１１１に実装する前の状態を示す図であり、図３（ｂ）の要部に対応する要部拡大断面図である。なお、下地樹脂１３については、前述したように熱硬化性樹脂の場合には半硬化状態とされ、熱可塑性樹脂の場合には全硬化状態とされ、これによって熱接着性を有する状態とされている。

基板１１１と電子部品１２１とは、互いの端子１１とバンプ電極１２とが対向するように位置決めされ、その状態で互いに接合する方向に加圧されることにより、図４（ｂ），（ｃ）に示したようにバンプ電極１２の導電膜１４が端子１１に接合され導電接触させられる。また、この加圧時には、加熱処理も同時に行われる。なお、加熱温度については、下地樹脂１３の種類等に応じて適宜に設定される。

そして、このように導電膜１４と端子１１とが導電接触した状態で、さらにこの加圧力が高められてバンプ電極１２が基板１１１に圧着されることにより、図４（ｄ）に示すように下地樹脂１３の接続部１３Ａがさらに圧縮変形する。すると、下地樹脂１３は、導電膜１４に覆われることなく露出している接着部１３ａの一部が、基板１１１に直接接合（接着）するようになる。

そして、さらにこの加圧力が高められると、図３（ｂ）に示したようにバンプ電極１２と下地樹脂１３の接着部１３ａとは、そのほぼ全面が基板１１１に直接接合（接着）するようになる。そして、この状態で前述したように下地樹脂１３が硬化（全硬化）させられることにより、この下地樹脂１３の接着部１３ａは基板１１１に対して良好に接着するようになる。

これにより、電子部品１２１は下地樹脂１３の接着部１３ａの基板１１１に対する接着によって基板１１１に実装され、また、バンプ電極１２の端子１１に対する導電接触状態も、接着部１３ａの接着力によって保持されるようになり、本発明の第１実施形態となる実装構造１０が得られる。

このようにして形成された本発明の第１実施形態となる実装構造１０では、複数の電極端子１６からなる２つの端子列１６Ａに対応する箇所を除いて、電子部品１２１の能動面１２１ａの略全体を覆った状態で下地樹脂１３が形成されている。すなわち、端子列１６Ａを構成する複数の電極端子１６に共通する開口部１３ｂを設けることで、電極端子１６の設計が細密になっても、安定して下地樹脂１３に開口部１３ｂをパターン形成することが可能となる。各電極端子１６ごとに微細な開口部を複数形成する場合、隣り合う開口部同士が干渉しやすくなりパターニングが困難となる。しかしながら、本実施形態によれば、各電極端子１６ごとではなく、複数の電極端子１６ごとに開口部１３ｂを形成することとしたので、独立した開口の数が少なく開口部１３ｂの形成が容易になる。
また、複数の電極端子１６を囲むようにして下地樹脂１３が存在するために、電極端子１６に水分が浸入し難く、電流のリーク（マイグレーション）などに対する信頼性も非常に高いものとなる。
また、下地樹脂１３に各端子列１６Ａ，１６Ａに対応する開口部１３ｂ，１３ｂを設けることによって、導電膜１４によって覆われない部分も広く（大きく）なることから、基板１１１に直接接着する接着部１３ａの面積を増やすことができる。これによって、基板１１１への電子部品１２１の実装強度を高めることができる。

本実施形態の実装構造１０は、電子部品１２１が基板１１１側に相対的に加圧され、これによってバンプ電極１２が端子１１に当接させられ、さらにその状態で加圧されることにより、バンプ電極１２の下地樹脂１３（接続部１３Ａ）がさらに弾性変形（圧縮変形）し、その下地樹脂１３の接着部１３ａのほぼ全面が基板１１１に接着している。これにより、バンプ電極１２はその下地樹脂１３（接続部１３Ａ）の弾性変形によって基板１１１の端子１１に対し弾性復元力（反発力）を生じることから、バンプ電極１２と端子１１との間の接合強度がより高くなり、導電接続状態の信頼性が向上する。

また、上述したように、下地樹脂１３の接着部１３ａの基板１１１に対する接着力により、バンプ電極１２が端子１１に導電接触している状態が保持されているので、基板１１１と電子部品１２１との間に、ＮＣＰ等のアンダーフィル材（接着材）を充填する（配する）必要がなくなる。したがって、接着材に要する材料コストが低減され、また、このような接着材を配する工程も不要になって生産コストが低減されることにより、実装コストの低減化を図ることが可能になる。さらに、導電膜１４間に位置する下地樹脂１３の接着部１３ａが基板１１１の表面に直接当接しているので、この接着部１３ａを挟んで隣り合うバンプ電極１２，１２間においては、マイグレーションが絶縁性の下地樹脂１３によって抑制される。

なお、第１実施形態の実装構造１０では、図２（ｂ）に示したように下地樹脂１３の接着部１３ａのほぼ全面が基板１１１に直接接合（接着）するように、電子部品１２１を基板１１１に実装したが、下地樹脂１３の接着力が十分に大きい場合には、図４（ｄ）に示したように、接着部１３ａの一部のみが基板１１１に直接接合（接着）している状態で、下地樹脂１３を全硬化させるようにしてもよい。このようにしても、接着部１３ａの接着力によってバンプ電極１２と端子１１との導電接触状態が良好に保持されるので、基板１１１と電子部品１２１との間にアンダーフィル材（接着材）を充填する（配する）必要がなくなる。

次に、本発明の各実施形態について説明する。以下に示す各実施形態の電子部品の実装構造の基本構成は、先の実施形態と略同様であるが、電子部品の構造が一部異なっている。よって、以下の説明では、電子部品の構造について説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる図面において、図１〜図４と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。

（第２実施形態）
以下、本発明の第２実施形態について説明する。図５（ａ）は、第２実施形態における電子部品１３１の能動面１３１ａ側の平面図、図５（ｂ）は（ａ）におけるＤ−Ｄ線矢視断面図である。
本実施形態の電子部品１３１では、下地樹脂１３に開口部１３ｂと開口部（第２の開口部）１３ｃとがそれぞれ２つずつ、計４つの開口部１３ｂ，１３ｂ，１３ｃ，１３ｃが設けられている。つまり、各端子列１６Ａ，１６Ａに対して設けられた開口部１３ｂ，１３ｂの他に、これら各開口部１３ｂ，１３ｂよりも内側でこれらに並行して延びる開口部１３ｃ，１３ｃが設けられている。開口部１３ｃは、開口部１３ｂと略同様の大きさで平面視矩形状とされており、対応する開口部１３ｂの近傍であって、該開口部１３ｂとは所定間隔をおいて形成されている。

先の実施形態同様、各開口部１３ｂ内には複数の電極端子１６が配置されており、これら各電極端子１６にそれぞれ導電膜１４の端部１４ａが接続されている。導電膜１４は、開口部１３ｂから引き出されて下地樹脂１３の表面の一部を覆うとともに、端部１４ａとは反対側となる端部１４ｂが開口部１３ｃ内に挿入されている。そして、この端部１４ｂは、開口部１３ｃ内で露出する能動面１３１ａの一部に接着されている。導電膜１４は、開口部１３ｂから引き出されて下地樹脂１３の表面を経由して開口部１３ｃ内へと延びている。

本実施形態では、開口部１３ｂと開口部１３ｃとの間の下地樹脂１３における導電膜１４によって覆われている部分が基板１１１側の端子１１と接続する接続部１３Ａとなり、この接続部１３Ａ上の導電膜１４の一部が電極として実質的に機能する部分となっている。下地樹脂１３の接続部１３Ａはその横断面形状が略台形状となる凸条部とされ、このような下地樹脂１３の接続部１３Ａと、その上を覆っている導電膜１４の一部とによって本実施形態におけるバンプ電極２２が構成される。

このような構成の電子部品１３１は、バンプ電極２２を構成する下地樹脂１３の接続部１３Ａが弾性変形していることで接着部１３ａが基板１１１に接着され、導電膜１４の一部と基板１１１側の端子１１とが接続状態に保持された状態で基板１１１に実装されている。

このような第２実施形態では、複数の電極端子１６からなる各端子列１６Ａ，１６Ａにそれぞれ対応する箇所と、各端子列１６Ａ，１６Ａを構成する各々の電極端子１６に接続される複数の導電膜１４の端部１４ｂに対応する箇所を除いて、電子部品１３１の能動面１３１ａの略全体を覆った状態で下地樹脂１３が形成されている。このため、先の実施形態と同様の効果が得られるほか、樹脂コア本来の半球に近い凸断面形状の接点とすることができる。具体的には、本実施形態におけるバンプ電極２２によれば、基板１１１の端子１１に対して実装開始時では点接触とされ、実装達成時では面接触とされる。これによって、基板１１１側の端子１１に対して安定した電気的な接続を達成することが可能となる。

また、導電膜１４の両端部１４ａ，１４ｂが電子部品１３１の能動面１３１ａに固定された状態となっており、電極端子１６と接続された端部１４ａとは反対側の端部１４ｂが下地樹脂１３上に接着されていた先の実施形態よりも、導電膜１４の電子部品１３１に対する接続強度が高められた構造となっている。

（第３実施形態）
次に、本発明の第３実施形態について説明する。図６は、第３実施形態における電子部品１４１の能動面１４１ａ側の平面図である。
本実施形態の電子部品１４１では、下地樹脂１３に、電子部品１４１の四辺に沿うようにして枠状に形成された開口部１３ｄが一つ設けられている。この開口部１３ｄは、能動面１４１ａに設けられた全ての電極端子１６に共通する開口部であって、その内側に能動面１４１ａに設けられた全ての電極端子１６が配置されている。これら複数の電極端子１６は、電子部品１４１の各辺に沿ってそれぞれ複数個ずつ配置されており、開口部１３ｄの周方向に沿って一列に配置されている。ここで、下地樹脂１３における開口部１３ｄによって囲まれた部分は、その横断面形状が略台形状となる凸条部とされている。

導電膜１４は、端部１４ａが電極端子１６にそれぞれ接続されており、端部１４ａとは反対側の端部１４ｂが開口部１３ｄから引き出されて下地樹脂１３の、開口部１３ｄによって囲まれた領域（凸条部）の表面の一部を覆うようにして設けられている。電子部品１４１における全ての導電膜１４は、各々の端部１４ｂを電子部品１４１の中心に向けて設けられている。
そして、下地樹脂１３における導電膜１４によって覆われている部分が基板１１１の端子１１と接続する接続部１３Ａとなり、この接続部１３Ａ上の導電膜１４の一部が電極として実質的に機能する部分となっている。本実施形態におけるバンプ電極２３は、下地樹脂１３の一部である接続部１３Ａと、その上を覆っている導電膜１４の一部とによって構成されている。

電子部品１４１が基板１１１上に実装された状態においては、バンプ電極２３における下地樹脂１３の接続部１３Ａが弾性変形していることで、下地樹脂１３の接続部１３Ａ以外の接着部１３ａが基板１１１の表面１１１Ａに接着され、バンプ電極２３を構成する導電膜１４の一部と基板１１１の端子１１との接続状態が確保されている。

このような第３実施形態では、能動面１４１ａに設けられた全ての電極端子１６に共通する開口部１３ｄが下地樹脂１３にパターン形成されている。この構成によれば、電極端子１６の設計がより細密になったとしても一つの開口部１３ｄで対応することができるので、製造が容易である。つまり、独立した開口部の数が先の実施形態に比べて少なくその大きさが大きいので、下地樹脂１３に開口部１３ｄをパターン形成しやすいという利点がある。

（変形例）
また、上述した各実施形態における各開口部１３ｂ、１３ｃ、１３ｄ内に配置される複数の電極端子１６が一列に整列配置されていなくてもよく、例えば、図７に示すように、隣り合う電極端子１６同士が一列ではなく互い違い（ジグザグ）に配置されていてもよい。すなわち、各開口部１３ｂ、１３ｃ、１３ｄは、それぞれ複数の電極端子１６ごとに共通して形成されたものであることから、各電極端子１６毎に独立して開口部をパターン形成する場合に比べて電極端子１６の位置ずれにも対応することができるので、製造が容易である。
さらにまた、上述した各実施形態における各開口は、必要に応じ可変することができる。

以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

例えば、基板１１１については、上記したガラスや合成樹脂からなる基板以外に、リジット基板やシリコン基板、薄厚のセラミックス基板など種々のものが使用可能である。さらに、電子部品としては、液晶駆動用ＩＣチップ以外に各種のＩＣや、ダイオード、トランジスター、発光ダイオード、レーザーダイオード、発信子、コンデンサなどの受動部品など前述したような接続電極（バンプ電極）を有する電子部品であればなんでも構わない。

本発明の電子部品の実装構造が適用される装置としては、前記した液晶表示装置だけではなく、有機エレクトロルミネッセンス装置（有機ＥＬ装置）や、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出素子を用いた装置（Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等）など、各種の電気光学装置や各種の電子モジュールに適用可能である。

本発明が適用された液晶表示装置の構造を模式的に示す概略斜視図。 （ａ）電子部品の能動面側の斜視図、（ｂ）は（ａ）における部分断面図。 （ａ）実装構造の要部を拡大して示す斜視図、（ｂ）は（ａ）における部分断面図。 （ａ）〜（ｄ）は第１実施形態の実装構造を説明するための図。 （ａ）第２実施形態における電子部品の能動面側の平面図、（ｂ）は（ａ）における部分断面図。 第３実施形態における電子部品の能動面側の平面図。 端子の配置例を示す図。

符号の説明

１２…バンプ電極、１２１，１３１，１４１…電子部品、１１…端子、１１１…基板、１２１ａ、１３１ａ，１４１ａ…能動面、１３…下地樹脂、１６…電極端子、１４…導電膜、１４ａ…端部、１４ｂ…端部、１３Ａ…接続部、１３ａ…接着部、１３ｂ、１３ｄ…開口部（第１の開口部）、１３ｃ…開口部（第２の開口部）

Claims (5)

1. 複数のバンプ電極を有する電子部品を、複数の端子を有する基板上に実装してなる電子部品の実装構造であって、
   前記バンプ電極は、前記電子部品の能動面に設けられた下地樹脂と、該下地樹脂の表面の一部を覆い残部を露出させるとともに前記能動面に設けられた電極端子に導通する導電膜と、を有してなり、
   前記下地樹脂は、複数の前記電極端子を取り囲む第１の開口部と、前記電極端子に一端を接続されるとともに前記表面に引き出された前記導電膜の一部が配置された接続部と、前記第１の開口部および前記接続部以外の領域に形成され、前記基板と接着された接着部と、を有し、前記接続部において前記下地樹脂が弾性変形していることで前記接着部が前記基板に接着され、前記導電膜と前記基板上の前記端子とが接続状態に保持されていることを特徴とする電子部品の実装構造。
2. 前記下地樹脂には、前記能動面を露出させる第２の開口部が形成されており、
   前記導電膜が前記第１の開口部から前記下地樹脂上を経由して前記第２の開口部内に延びている
   ことを特徴とする請求項１記載の電子部品の実装構造。
3. 前記基板と前記電子部品とは、前記下地樹脂の前記接着部の前記基板に対する接着力により、前記バンプ電極が前記端子に導電接触している状態が保持されている
   ことを特徴とする請求項１または２記載の電子部品の実装構造。
4. 前記下地樹脂の少なくとも一部に、横断面を略半円形状、略半楕円形状、または略台形状とする凸条部が形成され、前記導電膜は、前記下地樹脂の前記横断面方向に沿って前記表面の一部に帯状に設けられている
   ことを特徴とする請求項１ないし３のいずれか一項に記載の電子部品の実装構造。
5. 前記電子部品が、半導体素子である
   ことを特徴とする請求項１ないし４のいずれか一項に記載の電子部品の実装構造。

Images