JPH0452381B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、噴射バルブ付燃料噴射装置を有する
内燃エンジンを備えた自動車において、走行中に
おける車輪の滑りを除去するために、滑り度のレ
ベルに応じてエンジントルクを段階的に制御する
ようにした制御装置に関し、該制御装置は、自動
車駆動輪の速度を連続的に検知する第１の速度検
知器と、自動車被動輪の速度を連続的に検知する
第２の速度検知器と、第１および第２の速度検知
器からの速度に依存する二つの信号を受けて両信
号を比較し、その速度差を検出して、噴射バルブ
を通して噴射される燃料量を制限するため制御ユ
ニツトへ前記速度差の信号を送るように配設され
た処理ユニツトとからなるものである。

［従来の技術］ 自動車の走行中、あまりにも急速にアクセルを
踏み込むと、すなわちエンジントルクを急速に高
めると、駆動輪は滑りやすい路面の場合簡単にス
ピンすることが知られている。エンジントツクが
高ければ高いほど車輪がスピンを起こす危険性は
一層増大するものであり、それは強力で大抵は直
接燃料噴射のターボ過給型エンジンをもつ最近の
自動車においては特に、加速すると後輪駆動の場
合には尻振りを起こし勝ちとなり前輪駆動の場合
にはカーブでの曲がりに失敗し勝ちとなる。

運転者がどのようにアクセルを踏み込んでいて
もそれに拘わりなく、充分な牽引力および横方向
作用力吸収性能を発揮してスピンを起さないよう
に、車輪に滑りが生じている時、自動的にエンジ
ントルクを制限するようにした数多くのシステム
が提案されている。

［発明が解決しようとする課題］ 上記システムは、車輪の滑りに対する上限値に
おいて、エンジンの点火装置への電流を遮断する
か或はエンジンの複数シリンダーへの燃料供給を
断つかのいずれかの手段を含んでいる。これらの
システムに共通することは、計測が単一のレベル
で行なわれ、そして複数のエンジンシリンダーの
すべてがそれに影響されるようになつていること
である。車輪のスピンを制御するためのトルクの
制限がこのようにして行なわれる上述したタイプ
の一つのシステムは、例えば米国特許第3893535
号明細書に記載されている。該明細書に記載の一
実施例によると、複数シリンダーのすべてに対す
る燃料供給は、車輪の滑り度が15％を越える時に
電磁的に制御される噴射弁への電流を遮断するこ
とによつて完全に停止される。車輪の滑り度が上
記以下のレベルになる時、噴射バルブのすべてが
同時に開かれ、その結果加速器によつて決められ
た全燃料量が全シリンダーに対して即時に供給さ
れることになる。しかしながら、この方策を採用
すると、選定値の近傍で強度の振動が生じてがく
がく運転（ジヤーク）となる。道路面が滑りやす
い程上記振動は一層強いものとなり、また安定性
は一層悪くなる。このように或る段階中、横方向
作用力を吸収する能力は例えば後輪駆動車をカー
ブで運転する時尻振りを防止するのに不充分とな
るという危険を生ずる。

本発明の目的は、一層精密な制御を行ない、し
たがつてがくがく運転を起さないようにして上記
した欠点を排除するようにした自動車のスピン制
御装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段とその作用効果］ 上記目的を達成するため、本発明による自動車
のスピン制御装置は、予め定められた小さい速度
差の場合には一つだけの噴射バルブに対し、断続
的に燃料噴射を停止させ、また予め定められた大
きい速度差の場合には複数の噴射バルブに対し完
全に燃料噴射を停止させるといつたように、まず
或る速度差をもつ駆動輪と被動輪間の速度差のレ
ベルに応じて複数バルブの一つずつについて、は
じめは断続的に次いで完全に燃料噴射を停止する
ように制御ユニツトへ前記レベルの信号を送るこ
とにより、漸次的に噴射量を制限する処理ユニツ
トを配設したことを特徴としている。好適な実施
例として、上記処理ユニツトは、噴射バルブを通
る燃料噴射を制御する制御ユニツトへ信号を送る
ように配設した電子ユニツトである。

本発明は、車輪の上記速度差によつて定まる滑
り度によつて定まるレベルに応じて漸次的にエン
ジントルクを制限する制御システムを提供する。
例えば、８％の車輪の滑り度においては、最初の
段階として、一つのシリンダーへの噴射量を該シ
リンダーと組合わされた噴射バルブの断続的閉止
によつて1/2に減ずることができる。もし、これ
が不充分であり、例えば、車輪の滑り度が11％に
増大するならば、この噴射バルブは完全に閉止さ
れる。このようにして、車輪の滑り度が低下する
まで、複数シリンダーの部分毎の締切りが段階的
に実施される。かくして、振動はシリンダーの一
部を加えるかもしくは減ずるかによつて定まる所
定の狭い範囲内に維持され、その結果、只一つの
車輪滑り度レベルにおいてエンジンシリンダーの
全部に対する燃料供給を停止するようにしたシス
テムで従前可能とされていたより以上に極めて円
滑な運転およびよりよい安定性が得られることと
なつた。

本発明による制御装置の作用原理は、該装置を
ターボ過給型エンジン付の自動車に対して容易に
適用することができる。好適な一実施例において
は、電子的処理ユニツトは、予め定められた滑り
度の最低値、例えび５％において、最初のステツ
プとして、圧縮機ブースト圧力を制御する電子ユ
ニツトに対し過給を停止させる一つの信号を送る
ように配設されている。スウエーデン特許第
8101119−９号明細書に記載されたフイードバツ
ク・ノツク制御装置付のターボ過給型エンジンに
よれば、過度なブースト圧力を示す信号をブース
ト圧力制御用ユニツトに対して送る電子的処理ユ
ニツトを設けることによつて前記過給の停止を行
なつている。エンジンノツキングのシミユレート
を含む、このような解決策ならばターボ制御シス
テムに何ら修正を施こす必要がない。

このようにしてターボ過給の停止はノツキング
が生じても滑りが生じても作動する。一般にター
ボ過給が始まるとエンジントルクは極端に上昇す
るので滑りの生ずるおそれは甚大である。そこで
たとえ最低の滑りでも先づターボ過給を停止する
ことが、不可欠であり且つ効果的である。

［実施例］ 以下図面に示す例を参照して本発明を説明す
る。第１図は、本発明による車輪スピン制御シス
テムを備えた４シリンダー・ターボ過給型エンジ
ンを示し、また第２図はアナログ的な電子的処理
ユニツトのブロツク図を示している。

第１図に示すエンジン１にはスウエーデン特許
第8101119−９号明細書に開示された型式のター
ボ圧縮機装置２が備えられている。上記装置の詳
細については、上記特許明細書に詳しく記載され
ている。このエンジン１は、電子制御ユニツト３
によつて制御される噴射バルブ４，４…を備えて
いる。例えばボツシユＬ−Jetronicの電子的燃
料噴射装置をもつている。制御ユニツト３と同じ
く、例えばマイクロプロセツサーであるターボ圧
縮機用電子制御ユニツト５とは、車輪スピン制御
装置中の電子的ユニツト６に組合わされ、処理ユ
ニツト情報は、車輪の速度に関連して上記車輪ス
ピン制御装置へ送られる。この目的で、各車輪に
はスプロケツトホイール７が設けられ、該ホイー
ル７は感応センサ８と組合わされ、該感応センサ
８はスプロケツトホイール７の回転速度に比例す
る周波数の交番電流としての出力信号を発する。

第２図に示されるアナログ的説明図において、
処理ユニツト６は周波数−電圧変換器９を含み、
該変換器９はセンサー８からの信号を各車輪速度
に比例する直流信号に変換する。左後輪と左前輪
からの信号VBおよびVFはそれぞれに、また、
右後輪と右前輪からの信号HBおよびHFはそれ
ぞれに、個々の比較器１０に対をなして送り込ま
れ、一方、比較器１０は論理回路１１へ速度差に
依存する一つの信号を送り出す。図示実施例にお
ける比較器は、検出された速度差による７つの異
なるレベル或いは値として異なつた信号を送り出
し、これらの信号はターボ圧縮機および噴射装置
のそれぞれの制御ユニツト５および３への滑り度
（％）レベルの信号となつて、７つの異なるステ
ツプのうちの一つを実行する。まず、或る滑り度
（％）レベルを示す車輪があると、この滑り度
（％）レベルによつて定められているステツプを
開始する。これらの滑り度（％）レベルとステツ
プとの組合せを示せば下記のとおりである。

滑り度（％）レベル ステツプ ５％ ターボ過給の停止 ８％ シリンダー２への燃料供給の断続
的遮断 11％ シリンダー２への燃料供給の連続
的遮断 14％ シリンダー３への燃料供給の断続
的遮断 17％ シリンダー３への燃料供給の連続
的遮断 20％ シリンダー１への燃料供給の断続
的遮断 23％ シリンダー１への燃料供給の連続
的遮断 例えば滑り度レベル５％とはグリツプを失つた
駆動輪が、他の車輪（被動輪）よりも５％速く回
転している状態を意味し、この最初の場合はター
ボ過給の停止のみを行なう。

図示の例におけるターボ圧縮機装置には所謂フ
イードバツクノツク制御装置を有しているので、
プロセツサ−ユニツトにノツキングをシミユレー
トせしめ、ターボのソレノイド弁１２を作動して
“ウエストゲート”１３を開放する信号をターボ
圧縮機用電子性制御ユニツト５に送つてターボ過
給すなわち過大ブースト圧力を簡単に除去するこ
とができる。

各シリンダーへの燃料供給の間欠的遮断は、バ
ルブに脈動流の燃料供給をするように噴射バルブ
の制御ユニツト３へ信号を送ることを処理ユニツ
ト６に行なわせることで達成される。バルブの開
放期間と閉鎖期間とを等しくすることで、燃料供
給量を半分に減ずることができ、このことはター
ボ過給の停止後のエンジントルクが、一度に一つ
のシリンダーの半分の“半シリンダー”を遮断す
ることによるステツプで減ぜられる。一つのシリ
ンダーへの燃料供給の連続的遮断は、噴射バルブ
への流れを完全に遮断することによつて達成され
る。

不図示のもう一つの実施例では、処理ユニツト
に追加の比較回路を備えるようにし、該比較回路
は、左側へカーブしようとするのか右側へカーブ
しようとするのかを定めることになる自動車の両
前輪の二つの速度を比較し、自動車の外側車輪の
横方向作用力吸収能力が内側車輪の同じく横方向
作用力吸収能力を優先的に上まわるように前記の
比較に重みをつける。開放期間と閉鎖期間との間
に前記とは別の比率をとることも可能であり、か
くすることで“半”シリンダーの遮断に当り、よ
り微細な制御を実施できる。

ここでは、詳細に示されていないもう一つの実
施例においては、処理ユニツトとして、電子的マ
イクロプロセツサをあげることができる。

［発明の効果］ 本発明による自動車のスピン制御装置において
は、車輪の滑り度によつて定まるレベルに応じて
漸次的にエンジントルクが制限され、車輪の滑り
度が低下するまで、複数シリンダーの部分毎の締
切りが段階的に実施される。かくして、振動はシ
リンダーの一部を加えるかもしくは減ずるかによ
つて定まる所定の狭い範囲内に維持され、その結
果、只一つの車輪滑り度レベルにおいてエンジン
シリンダーの全部に対する燃料供給を停止するよ
うにしたシステムで従前可能とされていたより以
上に極めて円滑な運転およびよりよい安定性が得
られることとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による車輪のスピン制御装置を
備えた４シリンダーのターボ過給エンジンを示
す。第２図は類似の説明図における電子的処理ユ
ニツトのブロツク線図を示す。 １…エンジン、２…ターボ圧縮機装置、３…制
御ユニツト、４…噴射バルブ、５…電子的制御ユ
ニツト、６…処理ユニツト、７…スプロケツトホ
イール、８…誘導センサ、９…周波数−電圧変換
器、１０…比較器、１１…論理回路、１２…ソレ
ノイド弁、１３…排気ゲート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数のエンジンシリンダーの各々に噴射バル
   ブを備えた燃料噴射装置を有するターボ過給内燃
   エンジン付自動車において、走行中における車輪
   の滑りを除去するために、滑り度のレベルに応じ
   てエンジントルクを段階的に制限するようにした
   制御装置であつて、該制御装置は自動車の駆動輪
   の速度を連続的に検知する第１の速度センサー
   と、自動車の被動輪の速度を連続的に検知する第
   ２の速度センサーと、第１および第２の速度セン
   サーによる速度に依存する信号を受けて両信号を
   比較し、その速度差の検出に基づき上記過給を停
   止し、それから噴射バルブを通して噴射される燃
   料量を制限するように配設された電子的処理ユニ
   ツトとを備えてなり、該電子的処理ユニツト６
   は、速度差によつて定まる滑り度レベルが予め定
   められた最小値の場合は先づ、ターボ圧縮機のブ
   ースト圧力を制御する電子制御ユニツトへ過給停
   止信号を送り、その後は各バルブ４の一つずつに
   ついて燃料噴射を初めには断続的に次いで完全に
   遮断するよう、駆動輪と被動輪との間の速度差の
   大きさで定まる滑り度のレベルに応じて燃料噴射
   制限を漸次増大させるように、前記滑り度が予め
   定められた最小の滑り度レベルでは第１の噴射バ
   ルブの燃料噴射の断続的な停止を、次に高い滑り
   度レベルでは該第１の噴射バルブの燃料噴射の完
   全な停止を、さらに次に高い滑り度レベルでは該
   第１の噴射バルブの燃料噴射の完全な停止に加え
   て第２の噴射バルブの燃料噴射の断続的な停止を
   行なつて逐次燃料噴射制限を増大させてゆき、最
   終的に予め定められた最大の滑り度レベルでは全
   噴射バルブの燃料噴射の完全な停止を行なわせる
   ように配設されていることを特徴とする自動車の
   スピン制御装置。 ２ ４シリンダーエンジンにおいて、前記処理ユ
   ニツト６は、第１シリンダーに対する噴射バルブ
   ４の断続的閉鎖を行なう第１ステツプと、同噴射
   バルブ４の完全閉鎖を行なう第２ステツプと、こ
   れに続く二つの追加シリンダーの断続的或は完全
   閉鎖を行なう第３ないし第６ステツプとの合計６
   ステツプで噴射量を制限するように配設されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   の制御装置。 ３ 前記電子的処理ユニツト６はブースト圧力が
   過大であることを示す信号を送るように配設され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の制御装置。