ただし、この実施例に記載されている構成装置の仕様、部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がないかぎりは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。尚、以下の説明において、装置の各要素に関して上、下を示す用語は、装置が通常の使用状態に置かれた場合の鉛直方向を基準として表したものである。
本発明の第1の実施例について説明する。
(電子写真画像形成装置の全体構成)
先ず、第1の実施例に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という。)の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面を示す。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。
画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置の装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、装置本体100Aに通信可能に接続されたパーンナルコンピュータなどのホスト機器から、画像形成装置に入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と水平方向とに交差する方向に一列に配置されている。
なお、本実施例では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。ただし、これに限定されるものではない。例えば、ブラックの容量を大きくすることにより画像形成部を他の色よりも大きな形状の構成にしてもよい。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図1の矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光ドラム1上に静電潜像を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光ドラム1の周囲には、静電潜像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4が配置される。また、転写後の感光ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。さらに、4個の感光ドラム1に対向して、感光ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
感光ドラム1の回転方向において、帯電ローラ2による帯電位置、スキャナユニット3による露光位置、現像ユニット4による現像位置、中間転写ベルト5へのトナー像の転写位置、クリーニング部材6によるクリーニング位置は、この順番で設けられている。
なお、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤、即ち、トナーを用いる。ただし、これに限定されず、構成により2成分でも磁性現像剤でもよいし、帯電極性も正極性や負極性でもよい。また、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ17(図2)を感光ドラム1に対して接触させて現像を行う。本実施例では、現像ユニット4は、反転現像方式を採用している。即ち、本実施例では、現像ユニット4は、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に転移、付着させることで静電潜像を現像する。
本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリンジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置の装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段(図示せず)を介して、画像形成装置本体100Aに着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブランク(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光ドラム1に当接して、図1の矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)することができる。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光ドラム1に対向するように、一次転写手段としての一次転写部材である一次転写ローラ8が4個並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光ドラム1とが当接する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写部材である二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。一次転写ローラ8と二次転写ローラ9とは同様の構成を有する。また、本実施例の構成に限定されず、一次転写ローラがない構成でもよい。具体的には、二次転写ローラからの電流を中間転写体である中間転写ベルトの表面に流し、一次転写位置で、中間転写ベルトと感光ドラムとの間にトナーを転写する電位差を設けてもよい。
画像形成時には、先ず、感光ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光ドラム1の表面が走査露光され、感光ドラム1上に画像情報に従った静電潜像が形成される。次いで、感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。
中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送され、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
また、一次転写工程後に感光ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって感光ドラム1上から除去されて、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
また、画像形成装置100は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
(プロセスカートリッジの構成について)
次に、本実施例の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。図2は、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見たプロセスカートリッジ7の概略断面(主断面)を示す。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は、収容している現像剤の種類(色)を除いて、その構成及び動作は同一である。
プロセスカートリッジ7は、感光ドラム1などを備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17などを備えた現像ユニット4と、を有する。感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図2の矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。
画像形成プロセスの中心となる感光ドラム1としては、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光ドラム1が用いられる。本実施例では、一例として、感光ドラム1の回転速度(周速度、表面移動速度)は、200mm/secに設定されている。
また、感光体ユニット13には、感光ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14の内部に形成された回収トナー室14a内に落下して、収容される。
帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部が感光ドラム1に加圧接触して従動回転する。帯電ローラ2の芯金には、帯電工程時に、帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源から、感光ドラム1に対して所定の直流電圧、例えば、−1100Vの直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム1の表面電位は、一様な暗部電位(Vd)、例えば、約−550Vの一様な暗部電位(Vd)とされる。スキャナユニット3から画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、感光ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位Vl、未露光部位は暗部電位Vdの、例えば、明部電位Vl=−100V、暗部電位Vd=−550Vの静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。
一方、現像ユニット4は、感光ドラム1へトナーを供給して現像を行う目的で設けられた現像室15と、現像に寄与する現像剤を収容する収容室18と、を有する。本実施例では、現像室15を形成する現像枠体61と、収容室18を形成する現像剤枠体62と、が一体的に接合された現像ユニット枠体60である。ただし、これに限定されず、現像室15の一部と収容室18の一部を構成する第1枠体と、現像室15の他の部分と収容室18の他の部分を構成する第2枠体とから構成されていてもよい。現像ユニット枠体60には、現像工程に係る各種要素が設けられ、現像ユニット4が構成されている。現像枠体61と現像剤枠体62との間には、詳しくは後述する現像室15内の現像剤貯留部であるトナー貯留槽19を形成する隔壁23が形成されている。即ち、現像室15は、隔壁23によって収容室18と区画されている。本実施例では、隔壁23は、現像ユニット枠体60の一部である。本実施例では、現像剤収容室である収容室18はトナーを収容するので、トナー収容室ともいう。
現像ユニット4内に形成された現像剤収容室としてのトナー収容室18には、非磁性一成分現像剤であるトナーが収容されている。また、トナー収容室18内には、現像室15にトナーを搬送するための搬送部材22を有している。現像室15にも後述する搬送部材があるため、トナー収容室の搬送部材を第2搬送部材ともいう。搬送部材22は、撹拌の機能も有するため撹拌部材22としても機能している。第2搬送部材22は、トナー収容室18内に収納されたトナーを攪拌すると共に、現像室15へとトナーを搬送するためのものでもある。
現像室15は、現像剤担持体としての現像ローラ17、現像ローラ17にトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20を有する。また、現像室15には、トナー供給ローラ20にトナーを搬送する搬送部材が設けられている。搬送部材は、回転部材251と搬送板252を有する。そして搬送部材22、トナー供給ローラ20の下方に位置し、トナー供給ローラ20に搬送するトナーを貯めるトナー貯留槽19に設けられている。
本実施例では、トナー収容室にも搬送部材22があり第2搬送部材としているので、現像室にある搬送部材は、第1搬送部材25とする。
現像ローラ17は、図2の矢印D方向(反時計方向)に回転駆動される。即ち、本実施例では、現像ローラ17と感光ドラム1とは、対向部(接触部)C1において互いの表面が同方向(本実施例では下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。また、本実施例では、現像ローラ17は、感光ドラム1に接触して配置されている。しかし、現像ローラ17が感光ドラム1に対して所定間隔を開けて近接配置された構成でもよい。
現像ローラ17には、現像工程時に、図示しない現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源から、所定の直流バイアス、例えば、−350Vの直流バイアスが印加される。これにより、摩擦帯電により負極性に帯電したトナーは、現像ローラ17が感光ドラム1に接触する現像部(接触部と同じ位置)において、現像ローラ17に印加された直流バイアスとの間の電位差によって明部電位部にのみ転移して静電潜像を顕像化する。本実施例で用いているトナーは、非磁性一成分トナーであり、本実施例では、被露光部にトナーを転移させる、所謂、反転現像系である。
現像ローラ17は、芯金上に弾性層を有する、所謂、弾性ローラである。本実施例では、現像ローラ17は次のような構成を有するものとされた。即ち、外径6mmのステンレス鋼製の芯金上に、シリコーンゴムにカーボンが分散されたソリッドゴムからなる第1層(基層)を約3mm形成する。更に、第2層(表層)として、導電剤により抵抗調整されたウレタン層を約10μm形成する。また、本実施例では、現像ローラ17の回転速度は、感光ドラム1の回転速度より約1.3倍(表面の移動速度の違いが1.3倍)早くするように設定されている。また、本実施例の現像ユニット4においては、現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20は、現像ローラ17の周面上に接触(当接)するように配置されており、図2の矢印E方向(反時計方向)に回転する。即ち、本実施例では、トナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、対向部(当接位置)C2において互いの表面が逆方向に移動するようにそれぞれ回転する(カウンター回転)。トナー供給ローラ20は、本実施例では、当接位置において下方から上方へと回転する。トナー供給ローラ20は、現像ローラ17上にトナーを供給すると共に、現像に供されずに(即ち、現像工程時に消費されずに)現像ローラ17上に残留したトナーを現像ローラ17上から剥ぎ取る作用をなす。
トナー供給ローラ20は、導電性芯金の外周に発泡体、例えば、連泡性発泡体(以下「発泡層」という。)が形成されている。トナー供給ローラ20の発泡層は、現像ローラ17へトナーを供給可能とすると共に、現像に寄与しなかったトナーを現像ローラ17から剥ぎ取るという、2つの役目を担う。現像ローラ17上のトナーは、発泡セルの縁の部分が摺擦することで機械的に剥ぎ取られる。
更に説明すると、本実施例では、トナー供給ローラ20としては、外径5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm(セル径300μm〜450μm)形成した、外径16mmの弾性スポンジローラを用いた。トナー供給ローラ20は、連泡性の発泡体で構成することにより、過大な圧力を加えることなく現像ローラ17と当接し、発泡体の表面の適度な凸凹で現像ローラ17に対するトナー供給及びトナーの剥ぎ取りを行うことができる。発泡体のセル構造の掻き取り性は、ウレタンフォームに限らず得ることができる。発泡層の材料としては、例えば、ウレタンフォームの他、NBRゴム(NBR:ニトリルゴム)、シリコーンゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴムがある。さらに、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、これらの複合混合物など、一般的に用いられるゴムが使用可能である。発泡層の電気抵抗の調整のために、適宜、公知のイオン導電剤、無機微粒子又はカーボンブラックなどを分散することが可能である。
トナー供給ローラ20には、現像ローラ17へのトナー供給を補助するために、トナー供給ローラ20側から現像ローラ17側へトナーを付勢するバイアスを印加してもよい。現像ローラ17側に負極性に帯電したトナーを付勢するバイアスを印加することで、後述する現像ブレード21により層厚が規制される前に、現像ローラ17に担持されるトナーの量を増加させることが可能となる。また、このバイアスにより、現像ローラ17上でのトナー密度が上がり易く、現像ローラ17の表面粗さが低い場合においても、均一なトナー濃度を得やすくなる。
本実施例では、トナー供給ローラ20の回転速度は、現像ローラ17の回転速度の0.85倍とした。感光ドラム1、現像ローラ17及びトナー供給ローラ20は、それぞれの回転軸線方向が実質的に平行となるように配置されている。また、現像ユニット4には、現像ローラ17の周面上に接触するように、現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置されている。現像ブレード21は、トナー供給ローラ20によって現像ローラ17上に供給されたトナーの層厚を規制する。現像ブレード21は、現像ローラ17の回転方向においてトナー供給ローラ20と現像ローラ17との接触部よりも下流側で現像ローラ17に当接し、現像ローラ17によって現像部へと供給するトナーの量を規制すると共に、トナーに電荷付与する。
現像ブレード21は、金属薄板からなり、薄板のバネ弾性を利用して当接圧力を発生し、金属薄板の表面がトナー及び現像ローラ17に接触する。金属薄板の材料としては、ステンレス鋼、リン青銅などの薄板が使用可能である。本実施例では、現像ブレード21を構成する金属薄板としては、厚さ0.1mmのリン青銅薄板を用いた。現像ブレード21及び現像ローラ17との摺擦により、トナーは、摩擦帯電電荷を付与されると同時に、その層厚が規制される。現像ブレード21には、現像工程時に、図示しない規制バイアス印加手段としてのブレードバイアス電源から所定の電圧(本実施例では−550V)が供給される。
次に、図2を参照して、搬送部材である回転部材25及び搬送板252と、トナーを貯留するトナー貯留槽19について説明する。本実施例の現像ユニット4は、トナー貯留槽19を備えている。ただし、トナー貯留槽19があることに限定されず、トナーが留まることができる空間がある構成に応用可能である。トナー貯留槽19は、現像室15とトナー収容室18とを隔てる隔壁23によって形成されている。本実施例では、トナー貯留室19は、トナー供給ローラ20の下方においてトナー収容室18側に窪んでいる、感光ドラム1の長手方向に沿った空間である。異なる観点から見ると、現像室と収容室を繋ぐ開口の重力方向において下端の位置は、トナー貯留槽19の下端よりも上方に配置されている。また、回転部材の回転中心253は、開口の下端241より下方に位置し、トナー貯留室の下端(底部)よりも上方に位置する。図1や図2に記載した点線h1、h2、h3の関係になる。また、回転部材の回転中心253、開口の下端241、トナー貯留室の下端(底部)は、第2搬送部材22の軸中心223よりも上方に位置する。言い換えれば、図1や2に示すように第2搬送部材22の軸中心が点線h3より下方に位置している。隔壁23の一部には、トナー収容室18から現像室15へのトナーの通過を許す開口であるトナー通路24が設けられている。トナー通路24は、トナー供給ローラ20の回転中心253を通る鉛直線に対して現像ローラが配置される側と反対の反対側に配置されている。また、トナー供給ローラ20の鉛直方向最下点よりも上方に設けられている。
(第1搬送部材25の構成について)
以下で、第1搬送部材25である回転部材251と搬送板252とについて、図2を用いてより詳細に説明する。
図2は、プロセスカートリッジ7の概略断面図であり、現像室15にはトナー貯留槽19と第1搬送部材25である回転部材251と搬送板252とが配設されている。
図3及び図4は、現像室15におけるトナーの流れを説明するための図である。現像室15の長手中央の近傍部分の断面図である。現像ローラの軸線方向における現像ローラの中央での断面図と同等である。図5は、回転部材251と搬送板252の正面図を示す。図6は、搬送板252の板厚方向の搬送板押え30による押さえ方を示す図であり、図7は、回転部材251と回転部材251に設けたカムとの連結の状態を示す斜視図である。図8は、回転部材251を回転した時の回転部材251に形成したカムと搬送板26の位置関係を示す図である。
本実施例において、第1搬送部材25である回転部材251と搬送板252とは、現像室15内にあるトナー貯留槽19内に現像室の長手方向全域に渡って配置されている。また、第1搬送部材25は、現像ローラ17及びトナー供給ローラ20の長手方向と平行に配置されている。さらに、第1搬送部材25である回転部材251と搬送板252とは、搬送板252の短手方向の一端部に設けられた駆動伝達部であるカム駆動伝達腕26a〜cで、回転部材251のカムと連結結合された構成である。回転部材251は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像室15を形成する現像枠体61に回転可能に支持され、図示しない駆動手段(駆動源)によって回転駆動される。
以下に、第1搬送部材25である回転部材251及び搬送板252の部品詳細構成について説明し、続けて、第1搬送部材25である回転部材251及び搬送板252が連結して回転することで発生する、トナーの詳細な循環特性の順で説明する。
まず、回転部材251の部品構成について説明する。本実施例では、回転部材251は、厚さ(t)が1.5mm、外径φ9mmの樹脂材料にて作製された棒状の部材であるがこの限りでは無い。回転部材251には、図3(b)及び図5(a)に示す凹部254(本実施例は、底部25dと撹拌翼25eとで構成)があり、凹部の一部が撹拌翼25e(25e1〜6、25f1〜6)を形成している。撹拌翼25eは、φ9mmの丸軸の軸鉛直方向に基本肉厚1.5mmを残して□形に肉抜きして、撹拌翼を軸鉛直方向に上下に配置してできるH形の形状である。H形状は、回転軸線に直交する断面でみた場合の回転部材の形状である。本実施例の凹部の形状は、図3(b)に示すように、回転方向に対し上流側の撹拌翼25eaの角度は底部(水平面)に対して90°に設計しているのに対し、凹部の下流側の撹拌翼25ebの角度θは底部(水平面)に対して100〜120°に設定した。このため、凹部を2つ有するH形状の断面で見た場合に、回転対称形になる。また、本実施例では、図5(a)に示すように、カム25a(25a〜25c)を長手方向両端近傍に左右対称に設けている。カムは、第1、第2、第3カムの3種類のカムが設けられており、第1、第2、第3カムに対応する駆動が搬送板に伝達されることにより、回転部材の回転駆動が、搬送板の揺動駆動に変換される。揺動駆動では、搬送板が主に3つの方向に動くことによりトナーを搬送する。
本実施例の撹拌翼25eは、図5の回転部材251の両端近傍に配置された、カム25a〜25c間を繋ぐように配置し、撹拌翼25e(25e1〜25e6)は6箇所に分割して配置している。さらに、図3(b)の撹拌翼25eを有する凹部の回転部材の軸を通る鉛直下方(180°対向)に配置される凹部の一部である撹拌翼25f(25f1〜25f6)も同様に6箇所に分割して配置されている。
図5(b)は、回転部材のカムが設けられている位置にカムを挟み込むように側壁25g1〜25g4が設けられていることを示している。4つの側壁は、回転軸に垂直な面に対して角度α傾いている。つまり、側壁は、回転軸に交差する交差面を有することになる。本実施例では、側壁25g1、25g2の角度αを左右対称に11°に設定し、且つ、反対側の側壁25g3、25g4においても角度αが11°になるように配置している。図5(b)に示すように、側壁間の距離は、一端(上方)の方が他端(下方)よりも長く、一端から他端に向かうにつれて短くなっている。こうすることで、回転部材251を長時間耐久回転した時に発生するトナーの攪拌のムラによる画像濃度ムラ等を無くすことができる。つまり、撹拌性能を向上させることが可能になる。
次に、回転部材251からの駆動を搬送部に伝達するためのカム(25a〜25c)について説明する。図5(a)では、カム(25a〜25c)は、回転部材251の長手方向の両端近傍にそれぞれ、3つのカムを設けている。第1カムとして、搬送板を前進又は上流側に移動させるための前進カム25aがある。第2カムとしては、現像ローラ側の搬送板の一端を供給部材側に近づける(上昇させる)ための上昇カム25bがある。そして第3カムとして、搬送板を後進又は下流側に移動させるための後進カム25cの順で、左右対称に配置している。後述する図13に、第1カム(前進カム)、第2カム(上昇カム)、第3カム(後進カム)、第1腕(前進アーム)、第2腕(上昇アーム)、第3腕(後進アーム)の形状が分かる斜視図を示している。また、図14にカムと腕との動きを示している。
図8(a)は、前進カム25aを含む回転部材の部分断面図である。カムの外径はφ5.4mmで偏芯量は、回転部材251の外形φ9の中心253に対し1.8mmとしている。更に、後進カム25cに対する位相を回転方向に対し反時計回転方向に35°回転した位置にカムを配置している。位相をズラして配置することで、各カムに連結して駆動する、搬送板252に形成したカム駆動伝達腕26aに対し、互いに動作を阻害しない関係にしている。設計上の位相は、回転部材の回転中心を通る水平面に対して、前進カムの中心と回転部材の回転中心を通る面とを35°になるように設計している。言い換えれば、後進カム25cの中心と回転部材の回転中心を通る面は、回転部材の回転中心を通る水平面と同じになる設計になる。
同様に、図8(b)は、図8(a)から120°回転した上昇カム25b(搬送板を隔壁23から上昇する方向に移動させるカム)を含む回転部材の部分断面図である。上昇カムの外径はφ4.2mmで偏芯量は、回転部材251の外形φ9の中心253に対し1.3mmとし、更に、後進カム25cに対する位相を反時計回転方向に8°ズラして配置している。図8(c)は、図8(a)から240°回転した後進カム25cを含む回転部材の部分断面図である。カムの外径はφ5.4mmで偏芯量は、回転部材251の外形φ9の中心253に対し1.6mmとして配置している。このように本実施例では、それぞれのカムで偏芯量を異ならせている。
図8(a)〜(c)に示すように、回転部材251に形成したカム(25a〜25c)が回転することで、各カムの外接円部と搬送板252の駆動伝達部(26a〜26c)が接触し、駆動を伝達する。それぞれのカムの駆動方向を阻害しない関係で回転部材251を回転させる。その結果、回転部材251の回転角度と搬送板252の移動量の関係がそれぞれサイン曲線を描きながら搬送板252を図8に示すように隔壁に添うように左右に移動し、その間に上昇の動きがオーバラップして加わり揺動駆動させている。つまり、回転部材の回転駆動が搬送板の揺動駆動に変換される。
次に、搬送板252について詳細を説明する。搬送板252は、厚さ(t)が1mm、短手方向の長さ(W)が14mmの樹脂材料にて作製された平板状部材である。
搬送板252のベースとなる形状に対し、短手方向の一端部には、回転部材251の長手軸上に配置されたカム(25a〜c)から、駆動力を受け取るための図7に示される駆動伝達部である腕26(26a、26b、26c)が設けられている。回転部材の軸線方向に駆動伝達部を重ねると、図7(b)のようになる回転部材の回転中心を囲むように、駆動伝達部である上昇アーム、前進アーム、後進アームが配置されている。3つでC形状になっている。
駆動伝達部26a〜cは、搬送板252が揺動駆動中に干渉することなく、前進(上流)〜上昇〜後進(下流)の滑らかな動きとなるように形状と配置を設計している。図7や図8に示すように、回転部材251が備える各カムと、搬送板252の各駆動伝達部26a〜cは、それぞれ、異なる形状で、サイン曲線を描きながら回転運動を揺動運動に変換している。
次に、回転部材251と搬送板252を連結させる方法について図8(b)と(c)を用いて説明する。連結させる方法は、搬送板252に設けられた駆動伝達部である第2腕26bと第3腕26cを用いて連結させている。第2と第3腕26bと26cの関係は、隣接したカム駆動伝達腕が互いに反対方向のC形の形状をしており、お互い円形のカムを挟み込む形状になっている。言い換えると、回転部材の回転中心を挟み込むような配置にもなっている。挟み込む量のオーバラップ寸法は2.4mmに設定し、樹脂材料のバネ弾性を利用して撓みながら連結結合させている。この結合は、図5の回転部材の長手方向に左右対称に位置するカム駆動伝達腕26bと26cの2箇所で行われる。回転部材251の回転動作中に、樹脂バネの弾性力が搬送板252の揺動駆動力を上回る関係とすることで駆動中に外れことを防止している。
次に、図5を参照し搬送板252に設けている複数の穴について説明する。本実施例では、多くの穴が設けられているため空孔群(26e、26f)として説明する。搬送板252は、トナー供給ローラ20の回転軸線方向、即ち、長手方向に沿って、複数の空孔群26e、fを有している。本実施例では、二群の空孔群、即ち、複数の第1穴が形成された第1空孔群26eと、複数の第2穴が形成された第2空孔群26fとを備えている。しかし、この構成に限定されるものではない。第1空孔群26e、第2空孔群26fの上流側端部は、トナーを押すトナー押し面(26g、26h)と、トナー押し面26iが設けられている。このトナー押し面により、トナー貯留槽19からトナー収容室へとトナーを循環させたり、供給部材にトナーを供給したりすることが容易な構成になっている。
穴26eの短手方向の幅(W1)及び穴26fの短手方向の幅(W2)は、それぞれ、W1=3.3mm、W2=2mmである。穴部26e及び26fの長手方向の幅は、15.7mmである。本実施例では、搬送板252を作製する平板は、上述のように、樹脂材料で形成されているが、樹脂材料にこだわる必要は無く、例えば金属材料で形成されていても良い。
次に、搬送板252に設けている図6は、搬送板押え面26jについて説明する。図6は、図5の図中下方向からの側面図である。搬送板押え面26jは、長手両端部に左右対称に設けていて、搬送板押え面26jを、搬送板押え部30で押える構成となっている。搬送板押え面26jの上端部と搬送板押え部30下端部から形成される隙間は、0.7mmに設定している。これは、搬送板252の揺動運動において、隔壁23から搬送板252から離れ過ぎるのを防止し、トナーのパッキングを防止すると同時にトナー貯蔵室19からトナー収容室18へトナーの循環を効率的に行っている。
なお、本実施例においては、第1搬送部材25である回転部材251及び搬送板252は、トナー供給ローラ20と直接接触していない。最も近接する回転部材251とトナー供給ローラ20の距離は、図8(c)に於いてL=2mmに設定している。
次に、トナーの循環特性に関して、トナー供給ローラ20へのトナーの搬送からトナー収容室18へトナーを戻すまでのトナーの循環特性に対し、図3、図4を参照してトナーの流れ28a〜eの立体的な動きについて詳細を述べる。ここで、図3の矢印Dは現像ローラ17の回転方向、図3の矢印Eはトナー供給ローラ20の回転方向、図3の矢印Gは回転部材251の回転方向を示している。図3は搬送板252が上流(図3の矢印S1)方向に移動している状態における時の、トナーの流れを28a〜dで示した断面図である。
トナー収容室18から撹拌部材でもある搬送部材22により搬送されたトナーは、トナー供給ローラ20にトナーが供給される。トナー供給ローラ20から溢れたトナーは、トナーの流れ28aに沿ってトナー貯留槽19へと搬送される。一方、トナー供給ローラ20と現像ローラ17から形成されるニップ部において、現像ローラ17上に残留したトナーを現像ローラ17上から剥ぎ取られたトナーの流れを28bとする。この二つのトナーの流れ内の一つの第1トナー流れ28aは、フレッシュトナーであり、もう一方の第2トナー流れ28bは古いトナーとなる。この新旧トナーが滞留する下部に配置した、回転部材251を矢印G方向に回転駆動することで、回転部材251に働く回転遠心力と凹部の一部である撹拌翼25eにより、トナーを攪拌し再びトナー供給ローラ20へトナーを搬送することができる。
さらに詳細に説明すると、回転部材251が回転することで、図3(b)の回転部材251の凹部に介在するトナーは回転遠心力により浮上し、撹拌翼25e部の角度θに略直角方向に押し出され攪拌される。そして、回転部材251外径φ9mmより広がる方向にトナーが攪拌され、そこに介在したトナーは、より強い回転力でトナー供給ローラ20へトナーを搬送することができる。
つまり撹拌翼25eの角度θが変化すると、トナー供給ローラ20へのトナーの搬送量も変化する関係となる。その結果、規定された一定の時間に於いて、トナー供給ローラ20へのトナー搬送量が調整できる結果となる。本実施例では、トナーへの耐久によるダメージ等を想定し100〜120°を採用したがこの限りでは無い。実験結果の詳細は表1を参照し後述する。
次に、図4は回転部材251が図3に対し180°G方向に回転した位置においてのトナーの流れについて示した図である。図3との違いは、搬送板252の動きが上昇しながらS2方向下流端近傍に移動している違いのみで、それ以外は図3の説明に準ずる。この状態における搬送板252と隔壁23との隙間は、本実施例では最長で1.5mmに設定しているがこの限りでは無い。その結果新たなトナーの流れ28eが発生する。これは、搬送板252の空孔群26eを通ったトナーが湧き出しトナー供給ローラ20に搬送されていることを示している。
更に、図4は、図8(b)と同じ位置を示し、図8(c)まで回転される間に、回転部材251によるトナーの流れ28eに加えて、搬送板252が隔壁23との間にあるトナーを踏みつける。踏みつけられるトナーは、搬送板252の空孔群26eを通ってトナー供給ローラ20に搬送される複合的なトナーの流れが発生する。
次に、トナーの流れ28dが示すトナー収容室18へ戻すトナーの流れについて説明する。搬送板252の動きは、図8が示すように上昇しながら下流側に移動し、上流側に移動するときは、隔壁23と密着して移動している。上昇して下流側に移動する時に、空孔群26e、26fをトナーが通過する。この時の上昇量は、肉厚(t=1.0)<上昇量(1.0より大)の関係とすることで、空孔群26e間へのトナーの確保を確実にしている。更に、トナー押し面26iにおいては、上流側に移動する際は常に隔壁23に密着してトナーを搬送している。以上トナー押し面(26g、26h、26i)の動作により、トナーは徐々に上流方向へ押されることでトナーの流れ28dが発生し、トナー貯留槽19からトナー収容室18へとトナーが搬送される。その結果、トナー貯留槽19内のトナーが均一に攪拌され常に循環し続けることができる。
前述で撹拌翼25eの角度とトナー供給ローラ20へのトナー供給量に関する説明をしたが、図12を基に実験結果について説明する。図12の実験結果が示すように、撹拌翼25eのθ角度が大きくなるとトナー供給ローラ20内部へのトナー含有量が増え、特許文献2よりもトナー供給ローラへのトナー含有量が同等以上になる結果となった。
本実験に於けるトナー含有量とは、現像ユニットを規定の回転数で1分間回転した時の、トナー供給ローラ20の発砲層へ含有されるトナーの量を、回転前後で測定して求めた数値である。図12が示すように、トナー供給ローラ20への規定時間においてトナー含有量が多いと言うことは、トナーの流れ28cがトナー供給ローラ20及び現像ローラ17のニップ部へ供給する効果が大きくなり、トナーのベタ濃度低下に対し有利な結果となる。
以上の結果から、トナー供給ローラ20へトナーを供給する手段において、ベタ濃度を確保しつつ、トナーにダメージを与えにくい余裕を持った設計が可能となる。
次に、実施例2について、図9〜図11を用いて説明する。
図9は、現像室15におけるトナーの流れを説明するための、現像室15の長手中央近傍の部分断面図である。図10は、回転部材251と回転部材251に設けたカムの状態を示す斜視図である。図11は、回転部材251を回転した時の回転部材251に形成したカム25aと搬送板252の駆動伝達部26a〜cの位置関係を示す図である。
なお、実施例2における画像形成装置100は、実施例1にて説明したインライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。つまり、実施例2におけるプロセスカートリッジ7は、図1を参照して説明した実施例1のフルカラーレーザープリンタに同様に適用される。
前述した実施例1において、回転部材251が有する撹拌翼の形状は、軸鉛直方向に上下対称に配置してできるH形の形状に対し、実施例2では、φ9mmの丸軸の軸鉛直方向に基本肉厚1.5mmを残してU形に肉抜きして形成した形状である。それ以外の形状は、実施例1の回転部材251と同様に適用される。U形状が凹部に対応する。そのため、実施例1では凹部が2つで、実施例2では凹部が1つになる。
さらに詳細について説明する。図9(b)において、回転方向に対し上流側の撹拌翼27dの角度は、回転部材の回転中心を含む水平面に対して90°の角度に対し、下流側の撹拌翼27eの角度θは、水平面に対して100°〜110°に設定している。しかし、実施例1と同様にこの限りでは無い。
実施例1における回転部材251の断面形状がH形、つまり180°回転方向に対称な形状を有しているのに対し、図9(b)のU形は説明するまでもなく、開口側が一方向のみとなっている。
カムとアームの関係は、図13や図10に示すように、前進アームと前進カム、上昇アームと上昇カム、後進アームと後進カムとの対応関係になっている。また、回転部材の軸線方向にアームを重ねてみると、回転部材の回転中心を中心に囲むように配置され、重ねて見た場合の形状は、C形状になっている。
次に、図11(a)〜(c)に示すように、回転部材27に形成した第1、第2、第3カム25a〜25cが回転すること駆動伝達部を介して搬送板に駆動が伝達される。各カムの外接円部と搬送板252の駆動伝達部26a〜26cが接触し、それぞれ干渉しないタイミングに設けられている。その結果、回転部材251の回転角度と搬送板252の移動量の関係がそれぞれサイン曲線を描きながら搬送板252を上流、下流に移動させ、その間に上昇の動きがオーバラップして加わり揺動駆動させている。つまり、回転部材の回転駆動が搬送板の揺動駆動にカムと駆動伝達部である腕を介して駆動が変換されている。
図13は、第1カム(前進カム)、第2カム(上昇カム)、第3カム(後進カム)、第1腕(前進アーム)、第2腕(上昇アーム)、第3腕(後進アーム)の形状が分かる斜視図を示している。実施例1と2も図13に示すカムと腕の形状で同じである。
基本的な動作は、実施例1と同じであるが、トナーを攪拌するタイミングが、実施例1では、図3、図4が示すように1回転中に2回あるのに対し、実施例2では図9が示すように1回転中に1回のみとなる。さらにに、その開口側と回転部材27に設けているカムの位相との関係は、図9が示すように搬送板が上流側S1に移動しているタイミングに合せ、回転部材27の開口側も上流側を向く位相に設定している。
次に、トナー供給ローラ20へのトナー搬送方法及びトナー循環方法に対し、図9を参照してトナーの流れ28a〜eの立体的な動きについて詳細を述べる。
ここで、図9の矢印Dは現像ローラ17の回転方向、図9の矢印Eトナー供給ローラ20の回転方向、図9の矢印Gは回転部材27の回転方向を示している。図9は搬送板が上流(図中矢印S1)方向に移動している状態における時の、トナー流れを28a〜28dで示した断面図である。
実施例1との違いは、開口が一方向のみになったことで、それ以外は実施例1と同様に適用される。開口が一方向のみになったことで、トナーの流れ28cの動作が1回転中1回となり、トナー供給ローラ20への供給量は減少する。2つ目として、図4に示すトナーの流れ28eが実施例2では発生しなくなる。3つ目として、搬送板が上流S1方向に移動するタイミングで回転部材27の撹拌翼27eからトナーを実施例1の約1.5倍多くトナー供給ローラ側に搬送する。
上記の結果、トナーの攪拌が減少することでトナーへのダメージが減少し、且つ、トナーの流れ28dはトナー収容室18へ戻す量が増えトナーの循環効率が良くなる。また、ベタ濃度の低下に対しては、撹拌翼27e角度θを微調整することで、状況に応じた設定が可能となる。
また、回転部材27に図9トナー通過空孔27hを設けている。この空孔を有することで、回転部材27の回転駆動状態において発生する回転遠心力は、回転中心に対しU形開口側とトナー通過空孔27h側の二方向に発生する。その結果、U形状の開口にトナーが滞留することなく攪拌ムラが発生しないトナー循環を行うことができる。
図12を使って説明した、トナー供給ローラ20へのトナー含有量については、実施例1に記載された内容と同様な実験を行い実施例1と同様な結果が得られることを確認した。
以上述べたように、本実施例においては、凹部を有する回転部材を回転駆動させ、複数の穴を有する搬送板を揺動駆動させることにより、トナー循環を効率的に行うようにした。これにより、良好なトナー循環が行われプロセスカートリッジを提供することができる。