以下、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対位置等は、本発明が適用される機構の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明の実施例に係る現像ユニット4、プロセスカートリッジ7及び画像形成装置100の構成を示す断面図である。この図1を参照し、以下に電子写真画像形成装置すなわち画像形成装置100の全体構成について説明する。図1に示される画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有する。画像情報は、装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは装置本体100Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、装置本体100Aの内部の図示しない『制御部』であるコントローラに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1画像形成部SY、第2画像形成部SM、第3画像形成部SC、第4画像形成部SKを有する。第1〜第4の画像形成部SY〜SKは、鉛直方向と交差する斜め方向に一列に配置されている。第1〜第4の画像形成部SY〜SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に画像形成部Sとして説明する。後述する感光体ドラム1Y〜1K、帯電ローラ2Y〜2K、現像ユニット4Y〜4K、クリーニング部材6Y〜6K、プロセスカートリッジ7Y〜7K、一次転写ローラ8Y〜8Kに関しても、以下で同様に、1、2、4、6、7、8と総称して説明する。
画像形成装置100は、『複数』すなわち4個の『像担持体』である『電子写真感光体』としての感光体ドラム1を備える。第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKが鉛直方向と交差する斜め方向に並んで配置されることから、感光体ドラム1が鉛直方向と交差する斜め方向に並んで配置されることになる。感光体ドラム1は、矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲には、静電像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。感光体ドラム1の回転方向において、帯電ローラ2による帯電位置、スキャナユニット3による露光位置、現像ユニット4による現像位置、中間転写ベルト5へのトナー像の転写位置、クリーニング部材6によるクリーニング位置は、この順番で設けられている。
現像ユニット4では、『現像剤』である『非磁性1成分現像剤』としての非磁性1成分トナー(以下、単に『トナー』という)が用いられる。現像ユニット4は、『現像剤担持体』としての現像ローラ(後述)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、装置本体100Aに着脱可能となっている。各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7の内部には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、 トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。一次転写ローラ8と二次転写ローラ9とは同様の構成を有する。
画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラーの画像形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY〜SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送され、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は、一括して記録材12上に二次転写される。トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力が加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。尚、画像形成装置100は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
図2は、感光体ドラム1の軸方向に見たプロセスカートリッジ7の断面図である。この図2に関する記載を含め、実施例における現像ユニット4及びプロセスカートリッジ7の構成及び動作の説明について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合は、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。つまり、現像ユニット4或いはプロセスカートリッジ7の通常の使用状態は、適正に配置された装置本体100Aに対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は、収容している現像剤の種類(色)を除いて、互いに実質的に同一である。プロセスカートリッジ7は、『像担持体』である感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、『現像剤担持体』である現像ローラ17等を備えた現像ユニット4と、を有する。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13の内部の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1とが図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。画像形成プロセスの中心となる感光体ドラム1には、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体ドラム1が用いられている。感光体ドラム1は200mm/secの回転速度で回転している。
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14の内部に落下、収容される。帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。ここで帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光体ドラム1に対して−1100Vの直流電圧が印加されており、これにより感光体ドラム1の表面電位は、約−550Vとなる一様な暗部電位(Vd)が形成される。前述のスキャナユニット3からのレーザー光によって画像データに対応して発光されるレーザ光のスポットパターンは、感光体ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位が明部電位Vl=−100V、未露光部位が暗部電位Vd=−550Vという静電潜像が、感光体ドラム1上に形成される。
一方、現像ユニット4は、現像ユニット4の内部の各種要素を支持する枠体としての現像枠体18を有する。現像枠体18の内部には、『現像剤搬送部材』であるトナー搬送部材22、『現像剤担持体』である現像ローラ17及び『現像剤供給体』である供給ローラ20が配置されている。
『現像剤担持体』としての現像ローラ17は、現像ユニット4の内部にて、感光体ドラム1と接触して矢印D方向(反時計方向)に回転し、感光体ドラム1の表面の静電像を現像可能なローラである。現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同方向(本実施例では下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。現像ローラ17は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像側板19(19R、19L)を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。ここで、現像側板19(19R、19L)は、現像枠体18の両側部にそれぞれ取り付けられている。現像ローラ17は感光体ドラム1に接触して配置されているが、現像ローラ17は、感光体ドラム1に対して所定間隔を開けて近接配置される構成であっても良い。なお、図2中には、実際には右側現像側板19Rのみが記載される。そして、現像ローラ17の長手方向で一端部側に右側現像側板19Rが配置され、現像ローラ17の長手方向で他端部側に左側現像側板19Lが配置されている。
現像ローラ17に印加されたDCバイアス=−350Vに対して、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光体ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ転移して静電潜像を顕像化する。用いられるトナーは非磁性1成分トナーであり、被露光部にトナーを転移させる所謂反転現像系である。現像ローラ17は、芯金上に弾性層を有する、所謂弾性現像ローラである。外径φ6mmのステンレス製の芯金上にシリコーンゴムにカーボンが分散されたソリッドゴムからなる第1層(基層)を約3mm形成する。更に、第2層(表層)として、導電剤により抵抗調整されたウレタン層を約10μm形成する。現像ローラ17の回転速度は感光体ドラム1の回転速度より約1.3倍早回しするよう設定されている。
『現像剤供給体』としての供給ローラ20は、現像ユニット4の内部にて、現像ローラ17の周面上に接触するように、矢印E方向(反時計方向)に回転する。即ち、供給ローラ20と現像ローラ17とは、対向部(接触部)において互いの表面が逆方向に移動するようにそれぞれ回転する。供給ローラ20は、現像ローラ17上にトナーを供給すると共に、現像に供されずに現像ローラ17上に残留したトナーを現像ローラ17上から剥ぎ取る作用をなす。
供給ローラ20は導電性芯金の外周に連泡性発泡体(以下、発泡層という)からなる。供給ローラ20の発泡層は現像ローラ17へのトナーの供給及び現像に寄与しなかったトナーを剥ぎ取る役目を担う。現像ローラ17上のトナーの剥取は発泡セルの縁の部分が摺擦することでメカニカルに剥ぎ取られる。
また、供給ローラ20は、外径φ5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm(セル径300乃至450μm)形成した外径φ16mmの弾性スポンジローラである。供給ローラ20は連泡性の発泡体で構成することにより、過大な圧を加えることなく現像ローラ17と当接し、発泡体表面の適度な凸凹で現像ローラ17上へのトナー供給および現像時に消費されずに残像したトナーの剥ぎ取りを行っている。このセル構造の掻き取り性はウレタンフォームに限定されるものでない。例えば、発泡層の材料としては、その他として、NBRゴム(NBR:ニトリルゴム)、シリコーンゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等、一般的に用いられるゴムが使用可能である。または、発泡層の材料としては、その他として、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及びこれらの複合混合物等、一般的に用いられるゴムが使用可能である。発泡層の抵抗調整として適宜、公知のイオン導電剤、無機微粒子若しくはカーボンブラック等を分散可能である。
また供給ローラ20には現像ローラ17へのトナーの供給を補助するために、供給ローラ20側から現像ローラ17側へトナーを付勢するバイアスを印加してもよい。現像ローラ17側に負帯電トナーを付勢するバイアスを印加することで、現像ブレード21前に現像ローラ17に担持されるトナー量を増加させることが可能となる。さらに、バイアスにより現像ローラ17上でのトナー密度が上がりやすく、現像ローラ17の表面粗さが低い場合においても均一なトナー濃度を得やすくなる。また、供給ローラ20は、現像ローラ17との接する部分において逆方向に回転する(所謂、カウンター回転)。表面回転速度は、現像ローラ17の表面回転速度の0.85倍とした。
また、現像ユニット4には、現像ローラ17の周面上に接触するように、供給ローラ20によって現像ローラ17上に供給されたトナーの層厚を規制する『現像剤量規制部材』としての現像ブレード21が配置されている。現像ブレード21は、現像ローラ17の回転方向に対して、供給ローラ20の下流側で現像ローラ17に当接し、現像に臨み、現像剤の量を規制及び電荷付与する。現像ブレード21は金属薄板からなり、薄板のバネ弾性を利用して当接圧力を形成し、金属薄板の表面がトナー及び現像ローラ17に接触当接される。金属薄板の材質は、ステンレス鋼、リン青銅等の薄板が使用可能であるが、厚さ0.1mmのリン青銅薄板を用いた。現像ブレード21、現像ローラ17との摺擦によりトナーは摩擦帯電されて電荷を付与されると同時に層厚規制される。現像ブレード21には、不図示のブレードバイアス電源から所定電圧(−550V)が供給される。
前述の現像ユニット4は、現像側板19すなわち右側現像側板19R及び左側現像側板19Lを、長手方向の両端部側に有する。右側現像側板19Rには穴部19Raが形成され、左側現像側板19Lには穴部19Laが形成されている。この一方で、感光体ユニット13には結合軸23すなわち右側結合軸23R及び左側結合軸23Lが取り付けられている。そして、右側結合軸23Rが穴部19Raに挿嵌され、左側結合軸23Lが穴部19Laに挿嵌され、現像ユニット4が感光体ユニット13に対して結合軸23を中心として揺動自在に結合されている。また、画像形成時には、現像ユニット4は、『付勢手段』としての現像ユニット加圧バネ24により付勢されて、結合軸23を中心に矢印F方向(時計方向)に回動する。これによって、現像ローラ17が感光体ドラム1に当接する。なお、図2中には、実際には右側現像側板19R、穴部19Ra、右側結合軸23Rのみが記載される。そして、現像ローラ17及び感光体ドラム1の長手方向の一端部側に、この右側現像側板19R、穴部19Ra、右側結合軸23Rが配置されている。また、現像ローラ17及び感光体ドラム1の長手方向の他端部側に、左側現像側板19L、穴部19La、左側結合軸23Lが配置されている。
現像枠体18の内部には、『現像剤収容室』であるトナー収容室18aが形成されている。トナー収容室18aの内部には、『現像剤』である『非磁性1成分現像剤』としての非磁性1成分トナーが収容されている。トナー収容室18aには、現像枠体18の長手方向(回転軸線方向)の両端部に回転自在に支持された『現像剤搬送部材』であるトナー搬送部材22が設けられている。このトナー搬送部材22は、図示しない駆動手段(駆動源)により矢印G方向(時計方向)に回転駆動される。トナー搬送部材22は、トナー収容室18aの内部に収容されたトナーを撹拌すると共に、現像ローラ17や供給ローラ20が設けられた現像室18bへとトナーを搬送する機能を有する。トナー収容室18a及びトナー搬送部材22だけを有し、装置本体100aに着脱可能な現像剤容器(トナーカートリッジ)として構成したものにも適用できる。
トナー搬送部材22は、『回転軸』である搬送支持軸22b及び『搬送部』であるシート部22aを有する。『回転軸』である搬送支持軸22bは、感光体ドラム1、現像ローラ17及び供給ローラ20の長手方向(回転軸線方向)と略平行に、トナー収容室18aの長手方向の全域に亘って配置され、駆動手段からの回転駆動力を受ける軸である。『搬送部』であるシート部22aは、搬送支持軸22bの長手方向(回転軸線方向)の略全域に亘って基端部が取り付けられ、長手方向に連続して広がり、トナーを搬送するシート(板状部材)である。また、シート部22aは、搬送支持軸22bの長手方向と略直交する方向(回転半径方向)に板面が沿うように基端部が搬送支持軸22bに取り付けられている。さらに、シート部22aは、例えば、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの可撓性の樹脂製シートを用いて好適に作製することができる。シート部22aの厚みは、50μm〜250μmが好適である。
現像枠体18は、前述した現像剤を収容する『現像剤収容室』であるトナー収容室18aと、トナー収容室18aに隣接する現像室18bと、を備える。これらのトナー収容室18a及び現像室18bは、現像ローラ17及び供給ローラ20の軸と平行な方向に延びる区画壁26によって区画される。この区画壁26には開口部27が形成される。
トナー収容室18aの内壁は、最下面側から順に、トナー寄せ部18a1、搬送部18a3、復元部18a4を有する。トナー寄せ部18a1及び搬送部18a3の境界点を境界部pとする。搬送部18a3及び復元部18a4の境界点を分岐部rとする。したがって、トナー収容室18aは、トナー搬送部材22の回転方向において上流側から順に、トナー寄せ部18a1、境界部p、搬送部18a3、分岐部r、復元部18a4を有している。トナー収容室18aの内壁面の境界部pは、高さが最も低い最下部qよりもトナー搬送部材22の回転方向の下流側で、水平面に対する角度が現像剤の安息角未満から安息角以上へと変化する点にも相当する。そして、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の下流側が、トナーの安息角以上の領域となる搬送部18a3に相当する。また、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の上流側が、トナーの安息角未満の領域となるトナー寄せ部18a1に相当する。なお、ここでは、トナー寄せ部18a1は、トナー搬送部材22の回転中心Kよりも下方の領域に配置されている。
こうした境界部pを基準として以下の設定をする。すなわち、トナー搬送部材22のシート部22aがトナー収容室18aの内壁面に当接しながら変形する変形量は、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の上流側では、長手方向で長手中央部22xよりも長手両端部22yの方が大きく設定される。これに関しては図3(b)を参照されたい。また、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の下流側では、長手方向で長手中央部22x及び長手両端部22yが略均一に設定される。
また、トナー寄せ部18a1の内壁には凸部18a5が形成される。凸部18a5は、トナー搬送部材22の回転方向に進むに従って低い傾斜となるように形成されている。また、凸部18a5は、搬送支持軸22bの軸方向の両端にのみ形成されている(後述)。
前述したように、トナー収容室18aの内部には、トナー搬送部材22が配置される。トナー搬送部材22は、回転しながらトナー収容室18aから開口部27を経由して現像室18bへとトナーを搬送するようになっている。トナー収容室18aの内部でトナー搬送部材22が回転する場合に、シート部22aはトナー寄せ部18a1の凸部18a5に当接して長手方向で長手中央部22xよりも長手両端部22yの方が変形量が大きくなるように変形しながら移動する(図3(b)参照)。そして、シート部22aは境界部pを越えるとトナー寄せ部18a1での変形状態から解放され、シート部22aは搬送部18a3に当接して長手方向で長手中央部22x及び長手両端部22yが略均一に変形しながら移動する(図4(b)参照)。前述の境界部pの地点でトナー収容室18aの内壁の傾斜角がトナーの安息角の角度と略同じに設定される理由としては、以下のものがある。すなわち、シート部22aが境界部pを越えた時点以後で、トナーがシート部22aの上から落下しないようにするためである。こうしてトナーを漏れなく開口部27へと搬送するのである。
現像室18bの内部には現像ローラ17及び供給ローラ20が配置されている。開口部27を通過したトナーは、回転中の供給ローラ20に担持された後に、回転中の現像ローラ17に担持され、感光体ドラム1へと現像される。
図3(a)は、搬送支持軸22b及び凸部18a5の構成を示す図2のX−X線に沿う断面図である。図3(a)に示されるように、トナー寄せ部18a1には、搬送支持軸22bの軸方向の両端側に対応して凸部18a5が形成されている。このために、トナー収容室18aの内壁面における境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の上流側では、以下のように設定される。すなわち、トナー収容室18aの内壁面及びトナー搬送部材22の回転中心Kの間の距離は、トナー搬送部材22の長手方向で長手両端部Wよりも長手中央部Jの方が大きく設定されることとなる。つまり、図3(a)に示されるように、搬送支持軸22bから長手両端部Wまでの距離L2Rよりも、搬送支持軸22bから長手中央部Jまでの距離L2Tの方が大きく設定されるのである。
ここで、シート部22aが図3(a)の中で裏面側から表面側へと移動する場合を想定する。この場合に、トナー搬送部材22のシート部22aの長手中央部J及び長手両端部Wの移動速度を検討する。長手両端部Wは、一方の端部である第1端部W1及び他方の端部である第2端部W2とを有する。そうすると、長手両端部Wが凸部18a5に進行を阻害されて形状が変形すると共に搬送速度が遅くなる。なお、搬送支持軸22bの軸方向において、図3(a)に示される凸部18a5の長さとしての凸部幅mは30mm〜50mmに設定される。ただし、トナー寄せ部18a1の内壁面で搬送支持軸22bの長手方向に平行な長手両端部Wに凸部18a5が形成されるならば、凸部幅mは前述の30mm〜50mmの寸法に限定されず、これ以上の長さ、これ未満の長さであっても良い。また、凸部18a5の形状は、これ以外の形状であっても良い。
図3(b)は、トナー搬送部材22が回転するときのシート部22aの形状変化工程を示すトナー搬送部材22の斜視図である。図3(b)に示されるように、前述のシート部22aの長手両端部22yが凸部18a5に進行を阻害されて後方へ屈曲して変形することにより、シート部22aは、長手中央部22xの方が移動速度が速く、長手両端部22yの方が移動速度が遅くなる。これに伴って、シート部22aの長手中央部22xにあったトナーは、シート部22aの長手両端部22yへと寄せられる。
図4(a)は、右側開口部27R及び左側開口部27Lの構成を示す図2のαの方向から見た断面図である。図4(a)に示されるように、供給ローラ20の『軸』である回転軸、現像ローラ17の『軸』である回転軸と平行な方向に、『第1開口部』である右側開口部27R、及び、『第2開口部』である左側開口部27Lが所定の間隔で並べて配置されている。右側開口部27Rは、区画壁26(図2参照)が延びる長手方向の一端部側に貫通して形成され、左側開口部27Lは、区画壁26(図2参照)が延びる長手方向の他端部側に貫通して形成される。これらの右側開口部27R及び左側開口部27Lは、図2に示す区画壁26に形成され、トナー収容室18aの上方に形成される。開口部27におけるトナー収容室18aの長手方向の両端部に設けられる開口幅uはそれぞれ10mm以上に設定されることが望ましい。開口幅uが10mm未満に設定されると、所望のベタ濃度が得られなくなる場合がある。また、開口幅uは両端合わせて長手全域の長さの略60%以下に設定されることが望ましい。開口幅uが長手全域の長さの60%を超えると、現像室18bに搬送されたトナーがトナー収容室18aに再び落ちてしまい、トナーが現像室18bに保持され難くなる。その結果、画像追従不良が生じてしまう虞がある。さらに、開口高さtは4mm以上に設定されることが望ましい。開口高さtが4mm未満では所望の濃度が得られなくなる虞がある。実施例では開口幅uが25mm、開口高さtが8mmに設定された。
図2を参照して前述したように、現像枠体18の内壁面では、搬送部18a3よりもトナー搬送部材22の回転方向の下流側に復元部18a4が存在する。搬送部18a3及び復元部18a4の境界は分岐部rと呼ぶ。したがって、搬送部18a3は、トナー収容室18aの境界部pから分岐部rまでの領域を指す。分岐部rは、シート部22aの自由端側先端がトナー収容室18aの内壁に接触状態から非接触状態へと分岐する境界の点に相当する。搬送部18a3に接触するシート部22aの変形量は分岐部rを超えた後に復元部18a4に接触しながら復元していき、そのシート部22aの変形量は長手方向で略均一となる。従って、トナー寄せ部18a1でシート部22aの長手方向の長手両端部22yに寄せられたトナーは、復元部18a4でもトナー収容室18aの下端に落下することなく、重力に反してトナー収容室18aから現像室18bへと搬送される。
次に、トナー収容室18a及びトナー搬送部材22の寸法関係を説明し、トナー搬送部材22の回転に伴ってトナーが搬送される過程について述べていく。ここで、トナー搬送部材22の回転中心Kから各部分までの距離を以下のように定義する(図2参照)。『L1』は、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aの自由端までの距離(L1は、シート部22aが変形されていない自然状態におけるトナー搬送部材22の回転半径が最大値となる距離に相当する。)である。『L2』は、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aと接触するトナー収容室18aの内壁のトナー寄せ部18a1までの直線距離が最大値となる距離である。『L2R』は、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aと接触するトナー収容室18aの内壁のトナー寄せ部18a1の長手両端部W(図3(a))までの距離である。『L2T』は、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aと接触するトナー収容室18aの内壁のトナー寄せ部18a1の長手中央部J(図3(a))までの距離である。『L3』は、トナー搬送部材22の回転中心Kから開口部27の最下点までの直線距離である。『L4』は、トナー搬送部材22の回転中心Kから搬送部18a3までの直線距離が最大値となる距離である。
このように定義された距離L1、L2、L2R、L2T、L3、L4は、L1>L2・・・(1)、L2T>L2R・・・(2)、L1>L4・・・(3)、L1>L3・・・(4)といった4つの式の関係を満たす。ここで、L1>L2・・・(1)であるため、シート部22aは、トナー収容室18aの内壁のトナー寄せ部18a1に当接して変形する。また、L2T>L2R・・・(2)であるため、シート部22aの長手両端部22yが、シート部22aの長手中央部22xよりもトナー収容室18aの内壁のトナー寄せ部18a1に大きく屈曲して当接する。そのために、トナー搬送部材22がシート部22aの有する弾性により変形した状態で回転を進めることによって、シート部22aの長手中央部22xのトナーを長手両端部22yに寄せることができる。また、搬送部18a3においても同様に、シート部22aはトナー収容室18aの内壁の搬送部18a3と当接し、シート部22aの有する弾性により変形した状態で回転を進める。
図4(b)は、搬送部18a3におけるシート部22aの形状変化を示すトナー搬送部材22の斜視図である。L1>L4・・・(4)であるため、シート部22aは、トナー収容室18aの内壁の搬送部18a3に当接して変形する。この場合には、図4(b)に示されるように、シート部22aの変形量は長手方向で略均一であるために、長手両端部22yに寄せられたシート部22aの表面の上にあるトナーを重力方向に反して搬送することが可能となる。
トナー搬送部材22が搬送部18a3から更に回転を進めると、シート部22aの自由端が分岐部rを通過して復元部18a4に到達する。復元部18a4では、シート部22aの自由端側の先端はトナー収容室18aの内壁に接触しないため、搬送部18a3によって変形していた状態から開放されて、それ自体の弾性復元力によって自然状態(元の形状)へと復元する。このように、シート部22aが復元することによって、トナー搬送部材22上に担持され搬送されていたトナーは、開口部27へ向けて飛翔することができる。ここで、開口部27は分岐部rより上方に設けられているため、トナーは重力方向に反して飛翔することになる。
[第1比較例]
図5(a)は、第1比較例に係るプロセスカートリッジ107の構成を示す断面図である。この図5(a)を参照した第1比較例のプロセスカートリッジ107の説明にあたっては、実施例のプロセスカートリッジ7と同一の構成及び効果の部材に関しては、同一の符号を付して説明を援用する。図5(a)に示されるように、第1比較例のプロセスカートリッジ107が実施例のプロセスカートリッジ7と異なる点は、以下の点である。第1比較例のプロセスカートリッジ107の方では、現像枠体118のトナー収容室118aの床面側内壁部18h1に、実施例で特徴とされた凸部18a5が形成されない点である。その他の構成に関しては、第1比較例のプロセスカートリッジ107の構成は実施例に記載のプロセスカートリッジ7の構成と同様である。こうした構成であるから、第1比較例のプロセスカートリッジ107では、トナー搬送部材22のシート部22aの長手両端部22yが長手中央部22xよりも床面側内壁部18h1に当接して大きく変形するといった現象は生じない。
トナー収容室18aの内部では、以下の寸法設定がなされている。トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aの自由端までの距離L1は、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aと接触するトナー収容室18aの床面側内壁部18h1までの直線距離L2が最大値となる距離よりも大きく設定されている。ここで、距離L1は、シート部22aが変形されていない自然状態におけるトナー搬送部材22の回転半径が最大値となる距離である。
距離L1は、実施例と同様にトナー搬送部材22の回転中心Kから開口部27の最下点までの直線距離L3よりも大きく設定されている。トナー搬送部材22の回転中心Kから搬送部18a3までの直線距離が最大値となる距離L4は、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aの自由端までの距離L1よりも小さく設定されている。搬送部18a3とは開口部27の下方でトナー搬送部材22と当接してシート部22aが長手方向に均一に変形する部分である。
こうして、第1比較例では、L1、L2、L3、L4は、L1>L2・・・(1)、L1>L3・・・(3)、L1>L4・・・(4)といった3つの式の関係を満たす。ここで、L1>L2・・・(1)の関係を満たすことにより、実施例と同様に、シート部22aは、トナー収容室18aの床面側内壁部18h1に当接して、その回転に伴って大きく撓む。また、L1>L3・・・(3)の関係を満たすことにより、実施例と同様に、シート部22aの変形が開放されて自然状態になったシート部22aの自由端側の先端は、シート部22aが開口部27に達した時に、開口部27の下端よりも上方に位置する。そのために、現像室18bへトナーを搬送することができる。さらに、L1>L4・・・(4)の関係を満たすことにより、シート部22aは搬送部18a3に当接して撓み、シート部22a上に溜まったトナーが現像室18bへ搬送される。
図5(b)は、トナー搬送部材22がトナー収容室118aの内壁に接触するときの形状変化を示すトナー搬送部材22の斜視図である。第1比較例ではトナー収容室118aから現像室18bへ繋がる開口部27は実施例と同様に長手両端部側に形成される(図4(a)参照)。ただし、第1比較例では、トナー搬送部材22は凸部に接触して乗り上げて変形する工程を経由しないことから、トナー搬送部材22のシート部22a上のトナーを両端に寄せる機構を有さない。従って、トナー搬送部材22は、図5(b)に示すように、トナーは長手両端部22yに寄ることはない。また、開口部27が右側開口部27R及び左側開口部27Lに分かれることから、シート部22aの長手中央部22x上のトナーは開口部27を通過できないことにもなる。
[第2比較例]
図6(a)は、第2比較例に係るプロセスカートリッジ207の構成を示す断面図である。この図5(b)を参照した第2比較例のプロセスカートリッジ207の説明にあたっては、実施例のプロセスカートリッジ7と同一の構成及び効果の部材に関しては、同一の符号を付して説明を援用する。図6(a)に示されるように、第2比較例のプロセスカートリッジ207が実施例のプロセスカートリッジ7と異なる点は、以下の点である。第2比較例のプロセスカートリッジ207の方では、現像枠体218の境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の下流側の搬送部18a3まで、シート部22aがトナー収容室18aの内壁面に当接して変形する変形量は長手方向で不均一となる点である。すなわち、凸部18a5が分岐部rまで連続して形成されている点である。その他の構成に関しては、第2比較例のプロセスカートリッジ207の構成は実施例に記載のプロセスカートリッジ7の構成と同様である。こうした構成であるから、第2比較例のプロセスカートリッジ207では、トナー搬送部材22の長手両端部22yに寄せられたトナーが搬送部18a3を通過する際に大きく変形したまま落下し易い。
トナー収容室18aの内部では、トナー寄せ部18a1から搬送部18a3に亘る長手両端部Wに凸部18a5を設けられる。そして、トナー搬送部材22のシート部22aの長手中央部22xと長手両端部22yの関係において、搬送速度が長手両端部22yの方が遅くなるようにする。L1、L2R、L2T、L3、L4は、実施例で示した関係と同じになるが、ここでのL2R、L2Tとは以下のようになる。
L2Rは、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aと接触するトナー収容室18aの内壁(18a1かつ18a3)の長手両端部Wまでの直線距離が最小値となる距離である。L2Tは、トナー搬送部材22の回転中心Kからシート部22aと接触するトナー収容室18aの内壁(18a1かつ18a3)の長手中央部Jまでの直線距離が最大値となる距離である。これによりトナー寄せ部18a1及び搬送部18a3には、シート部22aの長手両端部22yが長手中央部22xよりも大きく屈曲して当接し、シート部22aはトナー収容室18aの長手中央部Jに凸状に膨らんだ状態で移動する。そのために、シート部22aの有する弾性により変形した状態で回転を進める。このことによって、シート部22aの長手中央部22xのトナーがシート部22aの長手両端部22yに寄せられる。つまり、シート部22aの長手両端部22yが長手中央部22xよりも変形量が多くなるように設定されているトナー寄せ部18a1が分岐部rまでの領域に設置されている。
図6(b)は、トナー搬送部材22がトナー収容室218aの内壁に接触するときの形状変化を示すトナー搬送部材22の斜視図である。第2比較例ではトナー収容室218aから現像室18bへ繋がる開口部27は実施例と同様に長手両端部側に形成され(図4(a)参照)、この2つの開口部27に対応して長手中央部22xのトナーを長手両端部22yに寄せる機構もある。ただし、トナー搬送部材22のシート部22aが解放されるときに、トナーをシート部22a上に保持できる機構となっていない。従って、トナー搬送部材22のシート部22aはトナー寄せ部18a1から分岐部rまで形成された凸部18a5によって変形させられ、シート部22a長手両端部22yは垂れる形状となる。これによって、分岐部r以後でトナー寄せ部18a1でシート部22aの長手両端部22yに寄ったトナーは搬送部18a3で両端からこぼれ落ちる。
次に、実施例並びに第1比較例及び第2比較例の評価方法に関して述べる。まず、(1)初期における濃度追従性評価を行う。濃度追従性評価は、画像形成装置を評価環境25.0℃、50%Rhにて1日放置して当該環境になじませる。その後に、ベタ黒画像を連続で3枚出力し、3枚目のベタ黒画像の出力先端と後端の濃度差から評価をX−Rite社製のspectordensitometer 500を用いて行った。印字テスト及び評価画像は単色で出力している。本評価では、ベタ黒画像を出力する前に、画像比率が5%の横線の記録画像を10枚印字後に比較している。また、トナー収容室18aに充填するトナー量は200gとしている。○は、ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.2未満、△は、ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.2〜0.4未満、×は、ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.4以上である。
次に、耐久後の濃度追従性評価を行う。濃度追従性評価は、画像形成装置を評価環境25.0℃、50%Rhにて1日放置して当該環境になじませる。その後に、ベタ黒画像を連続で3枚出力し、3枚目のベタ黒画像の出力先端と後端の濃度差から評価をX−Rite社製のspectordensitometer 500を用いて行った。印字テスト及び評価画像は単色で出力している。本評価では、ベタ黒画像を出力する前に、画像比率が5%の横線の記録画像を2万枚印字後に比較している。○は、ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.2未満、△は、ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.2〜0.4未満、×は、ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.4以上である。
この実施例並びに第1比較例及び第2比較例の評価結果に関して述べる。表1は、実施例並びに第1比較例及び第2比較例に適用した評価結果の比較表である。
こうした評価結果に基づいて、従来技術に対する実施例の優位性に関して述べる。すなわち、トナー搬送構成についての特許文献1に対する実施例の優位性に関して述べる。特許文献1の現像ユニット60では、図6(c)のように、現像剤を現像剤収容室61からその上方の現像室62へと搬送するために、現像剤収容室61の内部に現像剤を搬送するトナー搬送部材63が設けられる。そして、トナー搬送部材63は、現像剤を撹拌する撹拌部材63aの先端に、可撓性のシート部材63bが取り付けられて構成されている。また、特許文献1の現像ユニットでは、現像剤収容室61から現像室62へと現像剤を通過させる開口部64は、長手方向の全域に形成されている。さらに、現像ブレード65の下方にも、現像剤収容室61へと現像剤を通過させる開口部67が設けられ、現像室62では現像剤が保持され難い構成となっている。その結果、トナーが供給ローラ66に搬送されずに、べた画像が出力された場合には、画像の先端では所望の濃度が得られたとしても、画像の中央から後端に亘って濃度薄が発生してしまう(所謂、画像濃度追従不良)。また、前述したように、現像剤収容室61からその上方の現像室62へと現像剤を搬送する場合に、開口部64が長手方向の全域にある。こうした構成では、画像濃度の追従性が不良になり、所望の濃度を得ることは困難であった。また、現像剤収容室61からその上方の現像室62へと現像剤を搬送するために、現像剤収容室61の現像剤を撹拌する撹拌部材63aの先端に、可撓性のシート部材63bが取付けられる構成となっている。こうした構成では、撹拌部材63aの先端部にシート部材63bが取付けられるために、トナー搬送部材63の小型化が困難となる。
これに対して、実施例の現像ユニット4では、画像に影響を及ぼし難い区画壁26の長手方向の両端部の右側開口部27R及び左側開口部27Lからトナーがトナー収容室18aから現像室18bへと搬送される。そのために、トナーが現像室18bからトナー収容室18aへと戻り難く、経時的に画像濃度の変化が少ない高画質な画像形成を行うことができる。また、トナー収容室18aの内部のトナーをシート部22aにおける長手方向の長手中央部22xから長手両端部22yへと寄せて、トナーが重力方向に落下することを防止しながら開口部27へと効率良く搬送する。そのために、トナー収容室18aの長手中央部Jで汲み上げられずに残存する現像剤を利用することができる。そのために、耐久後半にトナーが少なくなった場合にも、画像中央から画像後端に亘って濃度薄となる画像追従不良が防止され、残トナー量は低減される。さらに、トナー搬送部材22は、搬送支持軸22bと、搬送支持軸22bに基端部を固定されるシート部22aと、を備える簡易な構成である。そのため、トナー搬送部材22の構成の簡易化及び小型化が実現される。加えて、シート部22aは弾性を有し、トナー収容室18aの内壁に対して変形した状態で回転を進めることができる。そのため、トナー収容室18aの小型化が実現される。
次に、前述の評価結果に基づいて、第1比較例及び第2比較例に対する実施例の優位性に関して述べる。実施例の現像ユニット4では、トナー収容室18aから現像室18bへトナーを供給するために通過させる開口部27が画像に影響を及ぼしにくい長手両端部側に形成されることで、画像濃度差の少ない良好な画像が安定して得られる。また、トナー収容室18aの最下部qよりトナー搬送部材22の回転方向の下流側の傾斜角度がトナーの安息角以上になる境界部pを想定する。そうすると、この境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の上流側、かつ、トナー搬送部材22の回転中心Kよりも下方の領域(トナー寄せ部18a1)では、以下のようになる。すなわち、トナー搬送部材22がトナー収容室18aの内壁面に当接して変形する変形量は、長手中央部22xより長手両端部22yの方が大きい。さらに、境界部pよりトナー搬送部材22の回転方向の下流側の領域(搬送部18a3)において、トナー搬送部材22がトナー収容室18aの内壁面に当接して変形する変形量は長手方向において略均一に設定される。これにより、トナー搬送部材22でトナー収容室18aの長手中央部Jのトナーが長手両端部Wに寄せられる。また、トナー搬送部材22のシート部22aが開放される前にシート部22aの曲げが均等化されることでトナーの重力方向へのこぼれが防止され、両端の開口部27から現像室18bへ効率的にトナーが供給される。その結果、実施例の現像ユニット4では、初期から耐久後半にトナー収容室18aの内部のトナーが少なくなった場合に、トナーを現像室18bへとトナーが効率的に搬送され、ベタ濃度追従性が確保される。
第1比較例の現像ユニット104では、トナー収容室118aから現像室18bへトナーを供給するために通過させる開口部27が画像に影響を及ぼしにくい長手両端部側に形成される点において実施例の現像ユニット4と同様の構成である。ここで、トナー収容室118aの最下部qよりトナー搬送部材22の回転方向の下流側の傾斜角度がトナーの安息角以上になる境界部pを想定する。そうすると、トナー搬送部材22の回転方向の上流側、かつ、トナー搬送部材22の回転中心Kよりも下方の領域(床面側内壁部18h1)では、実施例の場合と異なる。すなわち、トナー搬送部材22がトナー収容室118aの内壁面に当接して変形する変形量は、長手中央部Jより長手両端部Wの方が大きくなるといった構成ではない。そのために、開口部27が長手両端部側に形成されることで、現像室18bにトナーが保持され易い構成ではある。ところが、シート部22aの変形でトナー収容室118aのトナーを長手両端部22yに寄せて、トナーが重力方向に落ちることを防止しながら開口部27にトナーを搬送するといった構成ではない。そのため、トナー収容室118aから現像室18bへのトナー供給量が不十分となる。その結果、実施例と比較すると、耐久初期においてはトナー収容室18aに十分なトナーがあるため、実施例と同等に画像追従不良がない良好な画像を得ることができる。しかし、耐久後半でのトナー残量が少なくなった場合には、現像室18bへのトナーの供給量が不十分となり、画像中央から後端に亘って濃度薄となる画像追従不良が発生してしまう。
第2比較例の現像ユニット204では、実施例と同様に、トナー収容室218aから現像室18bへトナーを供給するために通過させる開口部27が画像に影響を及ぼしにくい長手両端部に形成される。ここで、トナー収容室218aの最下部qよりトナー搬送部材22の回転方向の下流側であるトナー収容室218aの内壁面の傾斜角度がトナーの安息角以上になる境界部pを想定する。そうすると、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の上流側、かつ、トナー搬送部材22の回転中心Kよりも下方の領域(トナー寄せ部18a1)では、以下のようになる。すなわち、シート部22aがトナー収容室218aの内壁面に当接して変形する変形量は、長手中央部Jより長手両端部Wの方が大きく設定される。ただし、境界部pよりトナー搬送部材22の回転方向の下流側の領域(搬送部18a3)では、トナー搬送部材22がトナー収容室18aの内壁面に当接して変形する変形量は長手方向で略均一になる構成ではない。そのために、長手両端部側の開口部27に合わせて、トナー搬送部材22がトナーを両端に寄せて境界部pまで持ち上げても、トナー搬送部材22のシート部22aが開放されるときにトナーが長手両端部22yに寄せられたまま状態となる。このために、シート部22aの長手両端部22yが重力方向に垂れた形となるため、長手両端部22yに寄せられたトナーがトナー収容室218aの底に落ちてしまう。その結果、実施例と比較すると、トナー収容室218aから現像室18bへのトナーの供給量が低下して、トナー搬送部材22のシート部22aが開放される時にシート部22aの長手両端部22yからトナーが重力方向へこぼれ落ちる。そのために、耐久初期に画像中央から後端に亘って濃度薄となる軽微の画像追従不良が発生してしまう。また、耐久後半でトナー残量が少なくなった場合に、現像室18bへのトナー搬送が極端に不十分となり、著しくトナーの供給低下が生じて画像中央から画像後端に亘って濃度薄となる著しい画像追従不良が発生してしまう。
以上のように、実施例の現像ユニット4によれば、トナー搬送部材22が内壁面に当接しながら変形する変形量は、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の上流側では、長手方向で長手中央部22xよりも長手両端部22yの方が大きく設定される。従って、トナー収容室18aの内部のトナーは、トナー搬送部材22の長手方向で長手中央部22x側から長手両端部22y側へと寄せられる。トナー搬送部材22が内壁面に当接しながら変形する変形量は、境界部pよりもトナー搬送部材22の回転方向の下流側では、長手方向で略均一に設定される。従って、トナーが重力方向に落下することが抑制されて、トナーは開口部27へと効率良く搬送される。その結果、トナー搬送部材22の長手方向の長手中央部22xに対応するトナー収容室18aの内壁面の位置では、汲み上げられずに残ってしまうトナーが低減される。また、そのために、トナー収容室18aの内部にトナーが少なくなった場合に、画像の中央から後端までで濃度薄となる画像追従不良が抑制されて高品質な画像形成が行われると共に、トナー収容室18aの内部の現像剤が無駄なく使用される。
なお、トナー搬送部材22は、搬送支持軸22bと、搬送支持軸22bに支持されて弾性を有するシート部22aと、を備える簡易な構成である。従来技術の搬送部材は、搬送支持軸と、搬送支持軸に支持される撹拌部材と、撹拌部材の先端に弾性を有するシート部と、を有する構成であったが、実施例の搬送部材は、搬送支持軸22bに直接に弾性を有するシート部22aが取付けられる。従って、実施例の現像ユニット4では、トナー搬送部材22の構成の簡略化及び小型化が実現される。また、トナー搬送部材22が弾性を有し、トナー収容室18aの内壁面に対して変形した状態で回転することができる。従って、トナー収容室18aの小型化も実現される。
実施例の現像ユニット4によれば、開口部27は区画壁26の長手方向の両端部側に形成される右側開口部27R及び左側開口部27Lである。従って、開口部27が区画壁26の長手方向の全域に形成される場合に比較して、開口部27が区画壁26の長手方向の両端部側に形成される場合の方が、現像剤が現像室18bからトナー収容室へと戻ることが抑制される。その結果、経時的に画像濃度の変化が少ない高品質な画像形成が行える。
実施例の現像ユニット4によれば、トナー収容室18aの内壁面及びトナー搬送部材22の回転中心Kの間の距離が、トナー搬送部材22のシート部22aの長手方向の長手両端部22yよりも長手中央部22xの方が大きく設定される。従って、トナー搬送部材22が回転する場合には、シート部22aの長手方向の長手両端部22yがトナー収容室18aの内壁面(長手両端部W)の拘束を受けながら回転する。これと同時に、シート部22aの長手方向の長手中央部22xがトナー収容室18aの内壁面(長手中央部J)の拘束を受けずに回転するといった現象が生じる。その結果、現像剤はトナー搬送部材22のシート部22aの長手方向の長手両端部22yに寄せられる。