JP6217797B1 - 共振抑制制御回路及びこれを用いた試験システム並びに共振抑制制御回路の設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】目的は、低次の振動モードの変動に対して安定した動作を与えつつ同時に高次の振動モードによるスピルオーバを抑制できる共振抑制制御回路を提供すること。【解決手段】共振抑制制御回路は、2以上の振動モードを有する物理系を制御対象とし、複数の振動モードのうち最も低次の低次振動モードにおける共振を抑制する。共振抑制制御回路は、ノミナルモデルN1を備える一般化プラントP1と、一般化プラントに対する構造化摂動と、を用いてμ設計法によって設計されたコントローラを備える。ノミナルモデルN1は、抑制対象である低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M1(s)と、高次振動モードを有する高次振動モード伝達関数Hx(s)と、の積によって表され、構造化摂動は、抑制対象振動モード伝達関数M1(s)に含まれるばね定数K1に対し乗法的誤差を与える第1パラメータ摂動項δ1を含む。【選択図】図5
Description
本発明は、複数の振動モードを有する物理系を制御対象とし、これら複数の振動モードのうち少なくとも1つの振動モードにおける共振を抑制する共振抑制制御回路と、この共振抑制制御回路を用いた試験システムと、この共振抑制制御回路の設計方法と、に関する。
ドライブトレインとは、エンジンで発生したエネルギーを駆動輪に伝達するための複数の装置の総称をいい、エンジン、クラッチ、トランスミッション、ドライブシャフト、プロペラシャフト、デファレンシャルギヤ、及び駆動輪などで構成される。ドライブトレインの性能評価試験では、実際にエンジンでトランスミッションを駆動し続けることにより、その耐久性能や品質などが評価される。近年では、このようなドライブトレインの試験を行うシステムとして、ワークに入力する駆動トルクを、実エンジンの代わりにモータで発生させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実エンジンでは各気筒における燃焼工程に起因して周期的なトルク変動が生じるところ、上記特許文献1に示されたシステムでは、一定の駆動トルクを発生させるための直流成分に正弦波による交流成分を合算することにより、モータで発生する駆動トルクを擬似的に変動させている。
しかしながら供試体とダイナモメータとを軸で結合して構成される上記のような試験システムには所定の共振周波数で特徴付けられる固有の振動モードが存在するため、モータへのトルク電流指令信号を周期的に変動させると、その周波数が試験システムに固有の共振周波数を通過するときに、共振振動を起こしてしまうおそれがある。そこで特許文献2の試験システムでは、H∞制御やμ設計などの制御系設計方法を用いて設計された共振抑制制御回路を利用してトルク電流指令信号を発生することによって、このような共振の発生を抑制している。
ここで特許文献2に示された共振抑制制御回路には、幾つかの課題がある。1つ目に、抑制対象とする振動モードの共振周波数は、様々な要因によって若干変動するが、特許文献2の共振抑制制御回路は、その設計段階において上記のような共振周波数の変動を考慮していない。ここで抑制対象とする共振周波数の変動を引き起こす要因としては、供試体が交換されることによってその機械特性が設計段階で想定していたものから変化する場合や、供試体の状態(例えば、トルクコンバータを備えるAT車のドライブトレインを供試体とした場合、そのロックアップ動作の有無)によってその慣性モーメントが変化する場合等が挙げられる。このため特許文献2の共振抑制制御回路では、上記のような共振周波数の変動に起因して制御が不安定になる場合がある。
2つ目に、特許文献2に示された共振抑制制御回路は、物理系を2つの剛体をばねで連結して構成される所謂2慣性系で近似したものをノミナルモデルとして設計されるが、この2慣性系は理論的には1つの振動モードしか有していない。しかしながら実際の物理系には複数の振動モードが存在しているため、このような2慣性系をノミナルモデルとして設計された共振抑制制御回路を実際の物理系に適用すると、設計時に無視された高次の複数の振動モードの影響によって制御が不安定になるスピルオーバが生じる場合がある。
もっとも第1の課題を解決するには、ノミナルモデルを構成する複数のパラメータのうち共振周波数の変動に影響を及ぼすものに対して摂動項を規定しておき、μ設計法によってこのような共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することが考えられる。また第2の課題を解決するには、ノミナルモデルを複数の振動モードを有する3以上の多慣性系に拡張することが考えられる。しかしながら、これら2つの課題を同時に解決することは困難であると考えられる。すなわち、特許文献2で規定されている2慣性系では、振動モードの共振周波数はばね剛性又は慣性モーメントによって変動するため、第1の課題を解決すべく共振周波数の変動を想定した摂動項を導入することは比較的容易である。しかしながら第2の課題を解決すべくノミナルモデルを3以上の多慣性系に拡張すると、各振動モードの共振周波数の変動は多慣性系を構成する多くのパラメータと相関があるため、共振周波数の変動を想定した摂動項の導入は容易でなくなり、第1の課題を解決することが困難になる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、低次の振動モードの変動に対して安定した動作を与えつつ同時に高次の振動モードによるスピルオーバを抑制できる共振抑制制御回路と、この共振抑制制御回路を備える試験システムと、この共振抑制制御回路の設計方法と、を提供することを目的とする。
(1)共振抑制制御回路(例えば、後述の共振抑制制御回路5)は、電動機(例えば、後述の駆動モータ2)と供試体(例えば、後述の供試体W)とを軸で結合して構成され2以上の複数の振動モードを有する物理系を制御対象とし、前記電動機への入力を与えることによって前記複数の振動モードのうち少なくとも1つの振動モードにおける共振を抑制するものであって、前記共振抑制制御回路は、前記電動機への入力から前記軸における軸トルクまでの前記制御対象の入出力特性を模したノミナルモデル(例えば、後述のノミナルモデルN1〜N12)を備える一般化プラント(例えば、後述の一般化プラントP1〜P12)と、当該一般化プラントに対する構造化摂動(例えば、後述の構造化摂動Δ)と、を用いてμ設計法と呼称される制御系設計方法によって設計されたコントローラ(例えば、後述のGc1(s),Gc2(s))を備え、前記ノミナルモデルは、前記複数の振動モードのうちの1つを抑制対象とし、当該抑制対象の振動モード(例えば、後述の低次振動モードR1)を有する抑制対象振動モード伝達関数(例えば、後述の低次振動モード伝達関数M1(s),M2(s))と、前記抑制対象の振動モードよりも高次の振動モード(例えば、後述の高次振動モードR2,R3)を有する高次振動モード伝達関数(例えば、後述の高次振動モード伝達関数Hx(s))と、の積によって表され、前記構造化摂動は、前記抑制対象振動モード伝達関数に含まれるパラメータ(例えば、後述のばね定数K1、K2、単位慣性モーメントJ、第1慣性モーメントJ1、及び第2慣性モーメントJ2)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1及び第2パラメータ摂動項δ2)を少なくとも1つ含む。
(2)この場合、前記抑制対象振動モード伝達関数には、所定の慣性モーメント(例えば、後述の単位慣性モーメントJ)を有する慣性体と固定壁とを所定のばね定数(例えば、後述のばね定数K1)及び減衰定数(例えば、後述の減衰定数C1)を有する軸要素で連結して構成される1自由度振動系における前記慣性体への入力から前記軸要素における出力までの伝達関数(例えば、後述の低次振動モード伝達関数M1(s))が用いられることが好ましい。
(3)この場合、前記構造化摂動は、前記ばね定数(例えば、後述のばね定数K1)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1)を含むことが好ましい。
(4)この場合、前記構造化摂動は、前記慣性モーメント(例えば、後述の単位慣性モーメントJ)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1)を含むことが好ましい。
(5)この場合、前記抑制対象振動モード伝達関数の極を“pR”とし、その複素共役を“pR *”とした場合、前記ばね定数K1、前記減衰定数C1、及び前記抑制対象振動モード伝達関数M1(s)は、下記式(1)によって表されることが好ましい。
(6)この場合、前記抑制対象振動モード伝達関数には、所定の第1慣性モーメント(例えば、後述の第1慣性モーメントJ1)を有する第1慣性体と所定の第2慣性モーメント(例えば、後述の第2慣性モーメントJ2)を有する第2慣性体とを所定のばね定数(例えば、後述のばね定数K2)及び減衰定数(例えば、後述の減衰定数C2)を有する軸要素で連結して構成される2慣性系において前記第1慣性体への入力から前記軸要素における出力までの伝達関数(例えば、後述の低次振動モード伝達関数M2(s))が用いられることが好ましい。
(7)この場合、前記構造化摂動は、前記ばね定数(例えば、後述のばね定数K2)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1)を含むことが好ましい。
(8)この場合、前記構造化摂動は、前記第2慣性モーメント(例えば、後述の第2慣性モーメントJ2)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1)を含むことが好ましい。
(9)この場合、前記構造化摂動は、前記第1慣性モーメント(例えば、後述の第1慣性モーメントJ1)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1)を含むことが好ましい。
(10)この場合、前記構造化摂動は、前記ばね定数(例えば、後述のばね定数K2)に対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1)と前記第2慣性モーメント(例えば、後述の第2慣性モーメントJ2)に対する摂動項(例えば、後述の第2パラメータ摂動項δ2)とを含むことが好ましい。
(11)この場合、前記抑制対象振動モード伝達関数の極を“pR”とし、その複素共役を“pR *”とし、前記第1慣性モーメントを“J1”とし、前記第2慣性モーメントを“J2”とした場合、前記ばね定数K2、前記減衰定数C2、及び前記抑制対象振動モード伝達関数M2(s)は、下記式(2)によって表されることが好ましい。
(12)この場合、前記高次振動モード伝達関数は、当該高次振動モード伝達関数及び前記抑制対象振動モード伝達関数を乗算して得られる伝達関数と前記制御対象における前記電動機への入力から前記軸における軸トルクまでの伝達関数とが一致するように同定されることが好ましい。
(13)試験システム(例えば、後述の試験システムS)は、供試体(例えば、後述の供試体W)と軸(例えば、後述の連結軸S1)を介して連結された電動機(例えば、後述の駆動モータ2)と、前記軸で発生する軸トルクを検出する軸トルクメータ(例えば、後述の軸トルクメータ6)と、前記電動機に電力を供給するインバータ(例えば、後述のインバータ3)と、前記電動機の発生トルクに対する指令信号及び前記軸トルクメータの検出信号を用いて、前記軸における共振が抑制されるように前記電動機に対するトルク電流指令信号を生成し、当該トルク電流指令信号を前記インバータに入力する共振抑制制御回路(例えば、後述の共振抑制制御回路5)と、を備えるものであって、前記共振抑制制御回路には、(1)から(12)の何れかに記載のものが用いられる。
(14)共振抑制制御回路(例えば、後述の共振抑制制御回路5)は、電動機(例えば、後述の駆動モータ2)と供試体(例えば、後述の供試体W)とを軸(例えば、後述の連結軸S1)で結合して構成され2以上の複数の振動モードを有する物理系を制御対象とし、前記電動機への入力を与えることによって前記複数の振動モードのうち少なくとも1つの振動モードにおける共振を抑制する機能を有する。このような機能を有する共振抑制制御回路の設計方法は、前記複数の振動モードのうちの1つを抑制対象とし、当該抑制対象の振動モードを有する抑制対象振動モード伝達関数(例えば、後述の低次振動モード伝達関数M1(s),M2(s))と、前記抑制対象の振動モードよりも高次の振動モードを有する高次振動モード伝達関数(例えば、後述の高次振動モード伝達関数Hx(s))との積によって、前記電動機への入力から前記軸における軸トルクまでの前記制御対象の入出力特性を模したノミナルモデル(例えば、後述のノミナルモデルN1〜N12)を備える一般化プラント(例えば、後述の一般化プラントP1〜P12)を規定し、前記一般化プラントのうち前記抑制対象振動モード伝達関数に含まれるパラメータに対する摂動項(例えば、後述の第1パラメータ摂動項δ1及び第2パラメータ摂動項δ2)を少なくとも1つ含む構造化摂動(例えば、後述の構造化摂動Δ)を規定し、前記規定された一般化プラント及び構造化摂動を用いてμ設計法と呼称される制御系設計方法によって前記共振抑制制御回路を設計する。
(1)本発明では、複数の振動モードを有する制御対象における電動機への入力から軸トルクにおける出力までの入出力特性を模したノミナルモデルを、抑制対象とする振動モードを有する抑制対象振動モード伝達関数と、この抑制対象振動モードより高次の振動モードを有する高次振動モード伝達関数と、の積によって表す。そしてこのように抑制対象振動モードと高次振動モードとの両方を包含したノミナルモデルを有する一般化プラントと、この一般化プラントに対する構造化摂動と、を用いてμ設計法によって共振抑制制御回路を設計する。これにより本発明の共振抑制制御回路によれば、高次振動モードによるスピルオーバを抑制できる。また本発明では、上述のようにノミナルモデルを抑制対象振動モード伝達関数と高次振動モード伝達関数とに分離した上で、構造化摂動には、これら2つの伝達関数のうち抑制対象振動モードを包含する抑制対象振動モード伝達関数に含まれるパラメータに対する摂動項を少なくとも1つ含める。このような摂動項を導入することにより、本発明によれば、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
ここでノミナルモデルを2つの伝達関数に分離することの意義について説明する。一般的には、制御対象とする物理系の入出力特性は、既知のシステム同定法を利用すれば単一の伝達関数で表現することができる。しかしながら制御対象が複数の振動モードを有する場合、このようにして同定された伝達関数の関数形は次数が高くなりまた伝達関数を構成する複数のパラメータと抑制対象振動モードの共振周波数との相関関係は複雑になる。このため、抑制対象振動モードの共振周波数の変動を考慮するために、この共振周波数と相関があるパラメータのみを抽出し当該パラメータに摂動項を設定することは困難である。これに対し本発明では、上記のようにノミナルモデルを抑制対象振動モード伝達関数と高次振動モード伝達関数との積で表現することにより、抑制対象振動モード伝達関数の関数形を次数の低い簡易なもので表現できるので、抑制対象振動モードの共振周波数と相関のあるパラメータを抽出しやすく、したがって摂動項の設定も容易になる。以上より本発明の共振抑制制御回路によれば、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対して安定した動作を与えつつ同時に高次振動モードによるスピルオーバを抑制することもできる。
(2)本発明では、抑制対象振動モード伝達関数には、慣性体と固定壁とを所定のばね定数及び減衰定数を有する軸要素で連結して構成される1自由度振動系における慣性体への入力から軸要素における出力までの伝達関数を用いる。これにより抑制対象振動モード伝達関数を次数の低い簡易な関数形で表現できるので、抑制対象とする抑制対象振動モードの共振周波数の変動を考慮するための摂動項の設定を容易にできる。
(3)上述の1自由度振動系における共振周波数の大きさは、ばね定数の大きさと相関があるところ、本発明では、このようなばね定数に対して摂動項を設定する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
(4)上述の1自由度振動系における共振周波数の大きさは、慣性モーメントの大きさと相関があるところ、本発明では、このような慣性モーメントに対して摂動項を設定する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
(5)本発明では、抑制対象振動モードの共振点に対応する抑制対象振動モード伝達関数の極を“pR”とし、その複素共役を“pR *”とし、これらを用いて抑制対象振動モード伝達関数M1(s)、ばね定数K1、及び減衰定数C1を上記式(1)のように構成する。本発明では、抑制対象振動モード伝達関数をこのような簡易な構成にすることにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動を考慮するための摂動項の設定を容易にできる。
(6)本発明では、抑制対象振動モード伝達関数には、第1慣性体と第2慣性体とを所定のばね定数及び減衰定数を有する軸要素で連結して構成される2慣性系における第1慣性体への入力から軸要素における出力までの伝達関数を用いる。これにより抑制対象振動モード伝達関数を次数の低い簡易な関数形で表現できるので、抑制対象とする抑制対象振動モードの共振周波数の変動を考慮するための摂動項の設定を容易にできる。
(7)上述の2慣性系における共振周波数の大きさは、ばね定数の大きさと相関があるところ、本発明では、このようなばね定数に対して摂動項を設定する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
(8)上述の2慣性系における共振周波数の大きさは、第2慣性モーメントの大きさと相関があるところ、本発明では、このような第2慣性モーメントに対して摂動項を設定する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
(9)上述の2慣性系における共振周波数の大きさは、第1慣性モーメントの大きさと相関があるところ、本発明では、このような第1慣性モーメントに対して摂動項を設定する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
(10)上述の2慣性系における共振周波数の大きさは、ばね定数と第2慣性モーメントとの両方と大きさと相関があるところ、本発明では、これらばね定数及び第2慣性モーメント各々に対して摂動項を設定する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築することができる。
(11)本発明では抑制対象振動モードの共振点に対応する抑制対象振動モード伝達関数の極を“pR”とし、その複素共役を“pR *”とし、第1慣性モーメントを“J1”とし、さらに第2慣性モーメントを“J2”とし、これらを用いて抑制対象振動モード伝達関数M2(s)、ばね定数K2、及び減衰定数C2を上記式(2)のように構成する。本発明では、抑制対象振動モード伝達関数をこのような簡易な構成にすることにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動を考慮するための摂動項の設定を容易にできる。
(12)本発明では、未知である高次振動モード伝達関数及び既知である抑制対象振動モード伝達関数を乗算して得られる伝達関数と、制御対象における電動機への入力から軸における軸トルクまでの伝達関数であって実測できるものとが一致するように、高次振動モード伝達関数を同定する。これにより、実際の制御対象の入出力特性を精度良く模したノミナルモデルを規定することができる。
(13)本発明では、上記(1)〜(12)の何れかの共振抑制制御回路を用いて電動機に対するトルク電流指令信号を生成し、これをインバータに入力する。これにより、供試体が交換されたり供試体の状態が変化したりすることによって試験システムの抑制対象振動モードの共振周波数に変動が生じた場合であっても、安定した制御を実現しつつ、同時に高次振動モードの影響によるスピルオーバも抑制できる。
(14)本発明では、複数の振動モードを有する制御対象における電動機への入力から軸トルクにおける出力までの入出力特性を模したノミナルモデルを、抑制対象とする振動モードを有する抑制対象振動モード伝達関数と、この抑制対象振動モードより高次の振動モードを有する高次振動モード伝達関数と、の積によって表す。また本発明では、上述のようにノミナルモデルを抑制対象振動モード伝達関数と高次振動モード伝達関数とに分離した上で、構造化摂動には、これら2つの伝達関数のうち抑制対象振動モードを包含する抑制対象振動モード伝達関数に含まれるパラメータに対する摂動項を少なくとも1つ含める。そしてこのようなノミナルモデルを有する一般化プラントと、上述のような摂動項を含んだ構造化摂動と、を用いてμ設計によって共振抑制制御回路を設計する。これにより、抑制対象振動モードの共振周波数の変動に対して安定した動作を与えつつ同時に高次振動モードによるスピルオーバを抑制できる共振抑制制御回路を設計できる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る共振抑制制御回路5及びこれを備える試験システムSの構成を示す図である。なお以下では、図1に示すように供試体WをFF駆動方式の車両に搭載される3軸タイプのドライブトレインとした、所謂ドライブトレインベンチシステムについて説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば図2に示すように、供試体W´は、FR駆動方式の車両に搭載される2軸タイプのドライブトレインとしてもよい。
図1は、本実施形態に係る共振抑制制御回路5及びこれを備える試験システムSの構成を示す図である。なお以下では、図1に示すように供試体WをFF駆動方式の車両に搭載される3軸タイプのドライブトレインとした、所謂ドライブトレインベンチシステムについて説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば図2に示すように、供試体W´は、FR駆動方式の車両に搭載される2軸タイプのドライブトレインとしてもよい。
試験システムSは、供試体Wと連結軸S1で連結された駆動モータ2と、この駆動モータ2に電力を供給するインバータ3と、連結軸S1で発生する軸トルクを検出する軸トルクメータ6と、駆動モータ2で発生させるトルクに対する指令に相当するトルク電流指令信号を生成する共振抑制制御回路5と、上記トルク電流指令信号のベースとなるベーストルク指令信号を生成するベーストルク指令生成回路7と、を備える。
駆動モータ2の出力軸は、供試体Wの入力軸と連結軸S1を介して連結されており、駆動モータ2から供試体Wへ動力を伝達することが可能となっている。また、供試体Wの出力軸に相当するドライブシャフトS2の両端には、供試体Wに対する負荷を発生する回生モータ8L,8Rが接続されている。なお図2の供試体W´では、その出力軸に相当するプロペラシャフトには、供試体W´に対する負荷を発生する回生モータ8が接続されている。軸トルクメータ6は、連結軸S1に発生する軸トルクを検出し、これに応じた軸トルク検出信号を共振抑制制御回路5に入力する。インバータ3は、共振抑制制御回路5から入力されるトルク電流指令信号に応じて駆動モータ2を駆動する。
ベーストルク指令生成回路7は、駆動モータ2を車両のドライブトレインである供試体Wに接続されるエンジンと見立てて、エンジントルクを模したベーストルク指令信号を生成する。ベーストルク指令生成回路7は、所定の大きさの直流信号に、エンジントルクに含まれるトルク脈動を模した所定の加振周波数の交流信号を重畳することによってベーストルク指令信号を生成する。
共振抑制制御回路5は、ベーストルク指令生成回路7によって生成されたベーストルク指令信号と、軸トルクメータ6から入力される軸トルク検出信号と、に基づいてトルク電流指令信号を生成し、これをインバータ3に入力する。
以上のような構成により、試験システムSでは、エンジンのトルク脈動を模した変動を含む擬似的なエンジントルクを駆動モータ2で発生させ、このトルクを供試体Wに入力することによって、この供試体Wの耐久性能や品質等が評価される。
ここで、共振抑制制御回路5の機能について説明する。試験システムSにおいてインバータ3、駆動モータ、供試体W、連結軸S1、及び軸トルクメータ6によって構成される物理系には、2以上の複数の振動モード(例えば、後述の図7における振動モードR1,R2,R3等を参照)が存在する。一方、上記のようにベーストルク指令信号はトルク脈動を模した加振周波数の交流信号を含んだものとなっている。このため、ベーストルク指令生成回路7で生成されたベーストルク指令信号を、共振抑制制御回路5を経ずにそのままインバータ3に入力すると、連結軸S1において共振が発生する場合がある。共振抑制制御回路5は、上記物理系において想定される複数の振動モードのうち少なくとも1つ、より具体的には最も低次の振動モード(例えば、後述の図7における低次振動モードR1)を抑制対象とし、この低次振動モードにおける共振が抑制されるようにベーストルク指令信号からトルク電流指令信号を生成する。換言すれば、共振抑制制御回路5は、図1に示すようにベーストルク指令生成回路7とインバータ3との間に組み込まれたときに、上記物理系への入力に相当するベーストルク指令信号から上記物理系の出力に相当する軸トルク検出信号までの入出力特性において、抑制対象とする低次振動モードにおけるゲインを下げるようにトルク電流指令信号を生成し、インバータ3へ入力する。以下では、このような共振抑制制御回路5の機能を共振抑制機能ともいう。
以上のような共振抑制機能を備えた共振抑制制御回路5は、図3に示すようなフィードバック制御系にμ設計法と呼称されるロバスト制御系設計方法によって設計されたコントローラを電子計算機に実装して構成されたものが用いられる。
図3のフィードバック制御系は、外部入力w1,…,wn(nは、2以上の整数)及び制御入力uで構成される複数の入力と制御出力z1,…,zn及び観測出力y1,y2で構成される複数の出力との間で所定の入出力特性を有する一般化プラントPと、一般化プラントPの観測出力y1,y2を用いて一般化プラントPに対し制御入力uを与えるコントローラKと、一般化プラントPの制御出力z1,…,znを用いて一般化プラントPに対し外部入力w1,…,wnを与える構造化摂動Δと、を組み合わせて構成される。
一般化プラントPは、後述の各実施例で説明するように、図1の試験システムSにおけるインバータ3、駆動モータ2、連結軸S1、供試体W、及び軸トルクメータ6によって構成される物理系を制御対象とし、この制御対象のインバータ3へのトルク電流指令信号から軸トルクメータ6における軸トルク検出信号までの入出力特性を模したノミナルモデルと、上述の共振抑制機能を制御性能として反映させるための複数の重み関数と、によって構成される。
図4は、図3のフィードバック制御系にμ設計法を適用して導出されるコントローラKの構成を示す図である。コントローラKは、ベーストルク指令信号に相当する観測出力y1及び軸トルク検出信号に相当する観測出力y2から成る2つの入力からトルク電流指令信号に相当する制御入力uを出力する2自由度制御系とし、具体的には図4に示すように2つの伝達関数Gc1(s)及びGc2(s)を組み合わせて構成する。
図3に戻り構造化摂動Δは、制御出力z1,…,znから外部入力w1,…,wnへの間で摂動を与える複素行列である。この構造化摂動Δは、その対角要素として、一般化プラントPに含まれる1以上のパラメータに対し変動を与える1以上のパラメータ摂動項δ1,δ2,…と、ロバスト制御性能の評価をμ設計の枠組みに組み込むために導入される仮想摂動項δFとを含み、その他の非対角要素は0である。
μ設計法では、図3に示すような一般化プラントPとコントローラKによって構成される閉ループ系に対して構造化摂動Δが設定されたフィードバック制御系を定義し、所望のロバスト安定性及びロバスト制御性能を達成するコントローラK(すなわち、伝達関数Gc1(s)及びGc2(s))を数値計算によって設計し、これを共振抑制制御回路5として用いる。より具体的には、μ設計法では、一般化プラントP、構造化摂動Δ、及びコントローラKを用いて定義される構造化特異値μの値が所定の条件を満たすようなコントローラKを、例えばD−Kイタレーションと呼称されるアルゴリズムを利用して求めることにより、ロバスト安定性及びロバスト制御性能を達成するコントローラKを導出する。なお、μ設計法によってコントローラKを数値的に導出するさらに具体的な手順については、例えば劉康志著、「線形ロバスト制御」、コロナ社、2002年や、野波健蔵編著、西村秀和、平田光男共著、「MATLABによる制御系設計」、東京電機大学出版局、1998年等に詳しく説明されているので、ここでは詳細な説明を省略する。以下、共振抑制制御回路と、これをμ設計法に基づいて導出する際に必要となる一般化プラントと、について実施例毎に説明する。
次に、実施例1の共振抑制制御回路とその設計方法について説明する。
図5は、実施例1の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP1の具体的な構成を示す図である。
図5は、実施例1の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP1の具体的な構成を示す図である。
実施例1の一般化プラントP1は、制御対象におけるトルク電流指令信号から軸トルクセンサの軸トルク検出信号までの入出力特性を模したノミナルモデルN1と、複数の重み関数Gw1(s),Gw2(s)と、を組み合わせて構成される。
ノミナルモデルN1の伝達関数G(s)は、上述のように制御対象が有する複数の振動モードのうち最も低次の振動モードを抑制対象とし、この低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M1(s)と、抑制対象の低次振動モードよりも高次の振動モードを有する高次振動モード伝達関数Hx(s)との積(G(s)=Hx(s)・M1(s))によって表現される。
低次振動モード伝達関数M1(s)には、単位慣性モーメントJ(以下では、J=1とし、その図示等を省略する)を有する慣性体と固定壁とを所定のばね定数K1及び減衰定数C1を有する軸要素で連結して構成される1自由度振動系における、慣性体に作用するトルクから軸要素で発生するトルクまでの伝達関数であって、抑制対象の振動モードに対応する極を有するものが用いられる。より具体的には、伝達関数M1(s)における極を“pR”とし、その複素共役を“pR *”とした場合、ばね定数K1、減衰定数C1、及び低次振動モード伝達関数M1(s)は、下記式(3)のように表される。またこの低次振動モード伝達関数M1(s)は、図5のブロック図では、ブロックB1によって表される。
高次振動モード伝達関数Hx(s)には、抑制対象の低次振動モードよりも高次の振動モードを複数有する伝達関数が用いられる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)は、実際の制御対象におけるトルク電流指令信号から軸トルク検出信号までの伝達関数を測定しておき、これと2つの伝達関数の積Hx(s)・M1(s)とが一致するように、既知のシステム同定法を利用することによって同定される。
なお、上記のようにして高次振動モード伝達関数Hx(s)を同定する際、その関数形は、例えば下記式(4)に示すH1(s)又はH2(s)で仮定する。ここで下記式(4)において“b(s)”及び“a(s)”は、それぞれ最高次数係数を1とした任意の次数の多項式である。また下記式(4)において“g”は、ノミナルモデルN1の伝達関数G(s)の分母多項式の最高次数係数を1とした場合の、分子多項式の最高次数係数である。下記式(4)における分母多項式a(s)及び分子多項式b(s)の各係数、及び最高次数係数gの値は、伝達関数M1(s)の極を表す複素数pRの値と併せて、上記のように既知のシステム同定法を利用して同定される。なお以下では、高次振動モード伝達関数Hx(s)の具体的な関数形はH1(s)とした場合について説明するが、これに限らずHx(s)の関数形はH2(s)としてもよい。なお、関数形をH1(s)とした場合、ノミナルモデルN1の再現性が向上するという利点があり、関数形をH2(s)とした場合、H1(s)と比べて次数が低い分だけ演算及び実装が容易になるという利点がある。
第1外部入力w1は、インバータのトルク制御誤差を評価するための入力信号であり、第1制御出力z1は、軸トルク検出信号を評価するための出力信号である。ノミナルモデルN1には、第1外部入力w1とコントローラKから出力される制御入力uとを合算したものが入力される。また第1制御出力z1には、ノミナルモデルN1の出力信号が用いられる。第1外部入力w1によってノミナルモデルN1に含まれる振動モードが励起される。また第1制御出力z1によって振動モードが評価されることで、ノミナルモデルN1に含まれる振動モードが低下するような共振抑制制御回路が得られる。
第2外部入力w2は、ベーストルク指令信号に相当する入力信号であり、第1観測出力y1としてコントローラKに入力される。第2制御出力z2は、コントローラKから出力される制御入力uに所定の第2重み関数Gw2(s)を乗じて得られる出力信号である。この第2重み関数Gw2(s)の具体的な関数形は、共振抑制制御回路の高域のゲインが低下するように設定される。
第3外部入力w3は、軸トルク検出信号に対するノイズに相当する入力信号である。第3外部入力w3とノミナルモデルN1の出力信号とを合算したものは、第2観測出力y2としてコントローラKに入力される。第3制御出力z3は、コントローラKから出力される制御入力と第2外部入力w2の偏差に所定の第1重み関数Gw1(s)を乗じて得られる出力信号である。この第1重み関数Gw1(s)の具体的な関数形は、抑制対象とする低次振動モードより低域では積分特性を持つように設定される。これにより、抑制対象の低次振動モードよりも低域の共振抑制制御回路のゲインを低下させることができる。
第4外部入力w4及び第4制御出力z4は、実際の制御対象とノミナルモデルN1との間の様々な誤差(以下、「モデル誤差」ともいう)のうち、抑制対象とする低次振動モードの共振周波数の変動による影響を評価するためにノミナルモデルN1に対して設定される入出力信号である。これら第4外部入力w4及び第4制御出力z4は、図5に示すように低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M1(s)に含まれる複数のパラメータのうち、低次振動モードの共振周波数の大きさと相関のあるばね定数K1の出力端において、このばね定数K1に対して乗法的誤差を与えるように設定される。
また低次振動モードの共振周波数に直接的に変動を及ぼすばね定数K1の乗法的誤差に対してロバスト安定な共振抑制制御回路が得られるようにするため、これら第4制御出力z4と第4外部入力w4との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する第1パラメータ摂動項δ1が設定される(図3参照)。またこのような変動プラントに対する制御性能を保証するため、第1〜第3制御出力z1〜z3と第1〜第3外部入力w1〜w3との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する仮想摂動項δFが設定される。実施例1の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP1を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図6は、実施例2の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP2の具体的な構成を示す図である。
実施例2に係る一般化プラントP2は、ノミナルモデルN2の構成が実施例1に係る一般化プラントP1と異なる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)と低次振動モード伝達関数M1(s)と乗算する順序が実施例1に係るノミナルモデルN1と逆である点で異なり、他の構成は同じである。実施例2の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP2を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図7は、実施例1,2に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までのボード線図である。なお図7には、図5及び図6に示すように第1パラメータ摂動項δ1が設定されたノミナルモデルにおいて、第1パラメータ摂動項δ1の値(以下、単に「摂動量」という)を0としたものを実線で示し、摂動量を+0.2とし、ばね定数K1を20%増加させたものを破線で示し、摂動量を−0.2とし、ばね定数K1を−20%減少させたものを一点鎖線で示す。なお図7では、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形は式(4)で定義されるH1(s)とした。
図7に示すように、実施例1,2に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までの特性には、低次側から順に振動モードR1,R2,R3が存在する。また図7に示すように摂動量を変化させると、これら3つの振動モードR1〜R3のうち最も低次の低次振動モードR1の共振周波数は変化するが、低次振動モードR1より高次の高次振動モードR2,R3の共振周波数は変化しない。より具体的には、摂動量を正側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は低周波数側へ変化し、摂動量を負側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は高周波数側へ変化する。したがって、実施例1,2の一般化プラントによれば、図5及び図6に示すように、低次振動モード伝達関数M1(s)に含まれるばね定数K1に対して乗法的誤差を与えるように第1パラメータ摂動項δ1を設定することにより、抑制対象とする低次振動モードR1の共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築できる。
図8は、実施例1,2の共振抑制制御回路の性能を比較した図である。図8には、標準偏差が1の正規分布ノイズをベーストルク指令信号として共振抑制制御回路に入力した場合の各種応答を示す。図8において左側の列は、図5のノミナルモデルN1において摂動量を0として得られるノミナルプラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。また図8において右側の列は、上述のノミナルプラントモデルから低次振動モードの共振周波数に変動が生じた場合を想定して得られるモデル、より具体的には図5のノミナルモデルN1において摂動量を+0.6として得られる変動プラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。
また図8における最上段は、無制御状態、すなわち上述のようなランダムなベーストルク指令信号をそのまま上記ノミナルプラントモデル又は変動プラントモデルに入力した場合の軸トルク検出信号の変化を示す。図8における上から2段目は、本願出願人による国際公開第2015/136626号公報に記載の共振抑制制御回路(以下、これを「先行技術の共振抑制制御回路」ともいう)を上記ノミナルプラントモデル又は変動プラントモデルに接続した場合の軸トルク検出信号の変化を示す。図8の上から3,4段目は、実施例1又は実施例2の一般化プラントを用いて導出される共振抑制制御回路を上記ノミナルプラントモデル又は変動プラントモデルに接続した場合の軸トルク検出信号の変化を示す。すなわち、実施例1又は実施例2の共振抑制制御回路の効果を示す図である。なお図8の上から3段目は、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形をH1(s)とした場合に得られる共振抑制制御回路の結果を示し、図8の上から4段目は、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形をH2(s)とした場合に得られる共振抑制制御回路の結果を示す。
図8の最上段に示すように、ランダムなベーストルク指令信号を、共振抑制制御回路を経ずにそのままモデルに入力すると、軸トルク検出信号も大きく変動する。これに対し、図8の上から2段目の左側に示すように、先行技術の共振抑制制御回路を用いると、摂動が無い(すなわち、低次振動モードの共振周波数に変動が無い)ノミナルプラントモデルに対しては十分な共振抑制機能が発揮され、軸トルク検出信号の振動が抑制される。しかしながら図8の上から2段目の右側に示すように、先行技術の共振抑制制御回路では、摂動が生じ、低次振動モードの共振周波数にノミナルプラントモデルから変動が生じた場合には、その共振抑制機能を発揮することなく、制御が不安定になってしまう。
これに対し、実施例1又は実施例2の共振抑制制御回路によれば、ノミナルプラントモデル(図8の左側)及び変動プラントモデル(図8の右側)の両方において、軸トルク検出信号の標準偏差量は無制御状態から減少しており、したがって十分な共振抑制機能を発揮する。なお、高次振動モード伝達関数の関数形としてH1(s)及びH2(s)の何れを選んでも軸トルク検出信号の標準偏差量はほぼ同等であり、したがってほぼ同等の共振抑制機能を発揮するといえる。
図9は、実施例3の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP3の具体的な構成を示す図である。
図9に示すように、実施例3に係る一般化プラントP3は、ノミナルモデルN3のうち低次振動モード伝達関数M1(s)を表したブロックB3の構成が実施例1に係る一般化プラントP1と異なる。より具体的には、ノミナルモデルN3は、低次振動モード伝達関数M1(s)に対し第4外部入力w4、第4制御出力z4、及び第1パラメータ摂動項δ1を設定する位置が実施例1に係るノミナルモデルN1と異なり、他の構成は同じである。
第4外部入力w4及び第4制御出力z4は、図9に示すように低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M1(s)に含まれる複数のパラメータのうち、低次振動モードの共振周波数の大きさと相関のある単位慣性モーメントJ(=1)に対して乗法的誤差を与えるように設定される。また低次振動モードの共振周波数に直接的に変動を及ぼす単位慣性モーメントJの乗法的誤差に対してロバスト安定な共振抑制制御回路が得られるようにするため、これら第4制御出力z4と第4外部入力w4との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する第1パラメータ摂動項δ1が設定される(図3参照)。実施例3の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP3を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図10は、実施例4の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP4の具体的な構成を示す図である。
実施例4に係る一般化プラントP4は、ノミナルモデルN4の構成が実施例3に係る一般化プラントP3と異なる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)と低次振動モード伝達関数M1(s)と乗算する順序が実施例3に係るノミナルモデルN3と逆である点で異なり、他の構成は同じである。実施例4の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP4を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図11は、実施例3,4に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までのボード線図である。なお図11には、図9及び図10に示すように第1パラメータ摂動項δ1が設定されたノミナルモデルにおいて、摂動量を0としたものを実線で示し、摂動量を+0.2とし、単位慣性モーメントJを20%増加させたものを破線で示し、摂動量を−0.2とし、単位慣性モーメントJを−20%減少させたものを一点鎖線で示す。なお図11では、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形は式(4)で定義されるH1(s)とした。
図11に示すように、摂動量を増減すると、3つの振動モードR1〜R3のうち最も低次の低次振動モードR1の共振周波数は変化するが、低次振動モードR1より高次の高次振動モードR2,R3の共振周波数は変化しない。より具体的には、摂動量を正側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は低周波数側へ変化し、摂動量を負側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は高周波数側へ変化する。したがって、実施例3,4の一般化プラントによれば、図9及び図10に示すように、低次振動モード伝達関数M1に含まれる単位慣性モーメントJに対して乗法的誤差を与えるように第1パラメータ摂動項δ1を設定することにより、抑制対象とする低次振動モードR1の共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築できる。
図12は、実施例3,4の共振抑制制御回路の性能を比較した図である。図12には、図8と同様のランダムなベーストルク指令信号を共振抑制制御回路に入力した場合の各種応答を示す。図12の左側の列は、図9のノミナルモデルN3において摂動量を0として得られるノミナルプラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示し、図12の右側の列は、図9のノミナルモデルN3において摂動量を−0.35として得られる変動プラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。なお、図12の最上段は、無制御状態の軸トルク検出信号の変化を示し、図12の上から2段目は先行技術の共振抑制制御回路の結果を示し、図12の上から3段目及び4段目はそれぞれHx(s)の関数形をH1(s)及びH2(s)とした場合の実施例3又は実施例4の共振抑制制御回路の効果を示す。
図12に示すように、先行技術の共振抑制制御回路は、摂動が無いノミナルプラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮するが、低次振動モードの共振周波数にノミナルプラントモデルから変動が生じた変動プラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮することなく、制御が不安定になる。これに対し実施例3又は実施例4の共振抑制制御回路によれば、ノミナルプラントモデル(図12の左側)及び変動プラントモデル(図12の右側)の両方において、軸トルク検出信号の標準偏差量は無制御状態から減少しており、したがって十分な共振抑制機能を発揮する。なお、高次振動モード伝達関数の関数形としてH1(s)及びH2(s)の何れを選んでも軸トルク検出信号の標準偏差量はほぼ同等であり、したがってほぼ同等の共振抑制機能を発揮するといえる。
図13は、実施例5の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP5の具体的な構成を示す図である。
実施例5に係る一般化プラントP5は、ノミナルモデルN5の構成が実施例1に係る一般化プラントP1と異なる。ノミナルモデルN5の伝達関数G(s)は、抑制対象とする低次振動モードR1を有する低次振動モード伝達関数M2(s)と、この低次振動モードR1よりも高次の振動モードR2,R3を有する高次振動モード伝達関数Hx(s)との積(G(s)=Hx(s)・M2(s))によって表現される。
低次振動モード伝達関数M2(s)には、所定の第1慣性モーメントJ1を有する第1慣性体と所定の第2慣性モーメントJ2を有する第2慣性体とを所定のばね定数K2及び減衰定数C2を有する軸要素で連結して構成される2自由度振動系における、第1慣性体に作用するトルクから軸要素で発生するトルクまでの伝達関数であって、抑制対象の低次振動モードR1に対応する極を有するものが用いられる。より具体的には、伝達関数M2(s)における極を“pR”とし、その複素共役を“pR *”とした場合、ばね定数K2、減衰定数C2、及び低次振動モード伝達関数M2(s)は、下記式(5)のように表される。またこの低次振動モード伝達関数M2(s)は、図13のブロック図では、ブロックB5によって表される。なお、第1慣性モーメントJ1及び第2慣性モーメントJ2の具体的な値は、既知の同定方法、例えば本願出願人による特許第4788543号に記載された同定方法によって同定された駆動モータ及び供試体の慣性モーメントの値が用いられる。
高次振動モード伝達関数Hx(s)は、実施例1と同様に式(4)に示すH1(s)又はH2(s)によってその関数形を特定しておき、伝達関数M2(s)の極を表す複素数pRの値と併せて実施例1と同様に既知のシステム同定法を利用して同定される。
また第4外部入力w4及び第4制御出力z4は、図13に示すように低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M2(s)に含まれる複数のパラメータのうち、低次振動モードの共振周波数の大きさと相関のあるばね定数K2の出力端において、このばね定数K2に対して乗法的誤差を与えるように設定される。また低次振動モードの共振周波数に直接的に変動を及ぼすばね定数K2の乗法的誤差に対しロバスト安定な共振抑制制御回路が得られるようにするため、これら第4制御出力z4と第4外部入力w4との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する第1パラメータ摂動項δ1が設定される。実施例5の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP5を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図14は、実施例6の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP6の具体的な構成を示す図である。
実施例6に係る一般化プラントP6は、ノミナルモデルN6の構成が実施例5に係る一般化プラントP5と異なる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)と低次振動モード伝達関数M2(s)と乗算する順序が実施例5に係るノミナルモデルN5と逆である点で異なり、他の構成は同じである。実施例6の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP6を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図15は、実施例5,6に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までのボード線図である。なお図15には、図13及び図14に示すように第1パラメータ摂動項δ1が設定されたノミナルモデルにおいて、摂動量を0としたものを実線で示し、摂動量を+0.2とし、ばね定数K2を20%増加させたものを破線で示し、摂動量を−0.2とし、ばね定数K2を−20%減少させたものを一点鎖線で示す。なお図15では、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形は式(4)で定義されるH1(s)とした。
図15に示すように、摂動量を増減すると、3つの振動モードR1〜R3のうち最も低次の低次振動モードR1の共振周波数は変化するが、低次振動モードR1より高次の高次振動モードR2,R3の共振周波数は変化しない。より具体的には、摂動量を正側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は高周波数側へ変化し、摂動量を負側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は低周波数側へ変化する。したがって、実施例5,6の一般化プラントによれば、図13及び図14に示すように、低次振動モード伝達関数M2に含まれるばね定数K2に対して乗法的誤差を与えるように第1パラメータ摂動項δ1を設定することにより、抑制対象とする低次振動モードR1の共振周波数の変動に対するロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築できる。
図16は、実施例5,6の共振抑制制御回路の性能を比較した図である。図16には、図8と同様のランダムなベーストルク指令信号を共振抑制制御回路に入力した場合の各種応答を示す。図16の左側の列は、図13のノミナルモデルN5において摂動量を0として得られるノミナルプラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示し、図16の右側の列は、図13のノミナルモデルN5において摂動量を+0.6として得られる変動プラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。なお、図16の最上段は、無制御状態の軸トルク検出信号の変化を示し、図16の上から2段目は先行技術の共振抑制制御回路の結果を示し、図16の上から3段目及び4段目はそれぞれHx(s)の関数形をH1(s)及びH2(s)とした場合の実施例5又は実施例6の共振抑制制御回路の効果を示す。
図16に示すように、先行技術の共振抑制制御回路は、摂動が無いノミナルプラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮するが、低次振動モードの共振周波数にノミナルプラントモデルから変動が生じた変動プラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮することなく、制御が不安定になる。これに対し実施例5又は実施例6の共振抑制制御回路によれば、ノミナルプラントモデル(図16の左側)及び変動プラントモデル(図16の右側)の両方において、軸トルク検出信号の標準偏差量は無制御状態から減少しており、したがって十分な共振抑制機能を発揮する。なお、高次振動モード伝達関数の関数形としてH1(s)及びH2(s)の何れを選んでも軸トルク検出信号の標準偏差量はほぼ同等であり、したがってほぼ同等の共振抑制機能を発揮するといえる。
図17は、実施例7の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP7の具体的な構成を示す図である。
図17に示すように、実施例7に係る一般化プラントP7は、ノミナルモデルN7のうち低次振動モード伝達関数M2(s)を表したブロックB7の構成が実施例5に係る一般化プラントP5と異なる。より具体的には、ノミナルモデルN7は、低次振動モード伝達関数M2(s)に対し第4外部入力w4、第4制御出力z4、及び第1パラメータ摂動項δ1を設定する位置が実施例5に係るノミナルモデルN5と異なり、他の構成は同じである。
第4外部入力w4及び第4制御出力z4は、図17に示すように低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M2(s)に含まれる複数のパラメータのうち、低次振動モードの共振周波数の大きさと相関のある第2慣性モーメントJ2に対して乗法的誤差を与えるように設定される。またこのような第2慣性モーメントJ2の乗法的誤差に対してロバスト安定な共振抑制制御回路が得られるようにするため、これら第4制御出力z4と第4外部入力w4との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する第1パラメータ摂動項δ1が設定される。実施例7の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP7を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図18は、実施例8の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP8の具体的な構成を示す図である。
実施例8に係る一般化プラントP8は、ノミナルモデルN8の構成が実施例7に係る一般化プラントP7と異なる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)と低次振動モード伝達関数M2(s)と乗算する順序が実施例7に係るノミナルモデルN7と逆である点で異なり、他の構成は同じである。実施例8の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP8を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図19は、実施例7,8に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までのボード線図である。なお図19には、図17及び図18に示すように第1パラメータ摂動項δ1が設定されたノミナルモデルにおいて、摂動量を0としたものを実線で示し、摂動量を+0.2とし、第2慣性モーメントJ2を20%増加させたものを破線で示し、摂動量を−0.2とし、第2慣性モーメントJ2を−20%減少させたものを一点鎖線で示す。なお図19では、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形は式(4)で定義されるH1(s)とした。
図19に示すように、摂動量を正側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は低周波数側へ変化し、摂動量を負側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は高周波数側へ変化する。したがって、実施例7,8の一般化プラントによれば、図17及び図18に示すように、低次振動モード伝達関数M2に含まれる第2慣性モーメントJ2に対して乗法的誤差を与えるように第1パラメータ摂動項δ1を設定することにより、抑制対象とする低次振動モードR1の共振周波数の変動に対してロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築できる。
図20は、実施例7,8の共振抑制制御回路の性能を比較した図である。図20には、図8と同様のランダムなベーストルク指令信号を共振抑制制御回路に入力した場合の各種応答を示す。図20の左側の列は、図17のノミナルモデルN7において摂動量を0として得られるノミナルプラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示し、図20の右側の列は、ノミナルモデルN7において摂動量を−0.5として得られる変動プラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。なお図20の最上段は、無制御状態の軸トルク検出信号の変化を示し、図20の上から2段目は先行技術の共振抑制制御回路の結果を示し、図20の上から3段目及び4段目はそれぞれHx(s)の関数形をH1(s)及びH2(s)とした場合の実施例7又は実施例8の共振抑制制御回路の効果を示す。
図20に示すように、先行技術の共振抑制制御回路は、摂動が無いノミナルプラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮するが、低次振動モードの共振周波数にノミナルプラントモデルから変動が生じた変動プラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮することなく、制御が不安定になる。これに対し実施例7又は実施例8の共振抑制制御回路によれば、ノミナルプラントモデル(図20の左側)及び変動プラントモデル(図20の右側)の両方において、軸トルク検出信号の標準偏差量は無制御状態から減少しており、したがって十分な共振抑制機能を発揮する。なお、高次振動モード伝達関数の関数形としてH1(s)及びH2(s)の何れを選んでも軸トルク検出信号の標準偏差量はほぼ同等であり、したがってほぼ同等の共振抑制機能を発揮するといえる。
図21は、実施例9の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP9の具体的な構成を示す図である。
図21に示すように、実施例9に係る一般化プラントP9は、ノミナルモデルN9のうち低次振動モード伝達関数M2(s)を表したブロックB9の構成が実施例7に係る一般化プラントP7と異なる。より具体的には、ノミナルモデルN9は、第4外部入力w4、第4制御出力z4、及び第1パラメータ摂動項δ1を設定する位置が実施例7に係るノミナルモデルN7と異なり、他の構成は同じである。
第4外部入力w4及び第4制御出力z4は、図21に示すように低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M2(s)に含まれる複数のパラメータのうち、低次振動モードの共振周波数の大きさと相関のある第1慣性モーメントJ1に対して乗法的誤差を与えるように設定される。またこのような第1慣性モーメントJ1の乗法的誤差に対してロバスト安定な共振抑制制御回路が得られるようにするため、これら第4制御出力z4と第4外部入力w4との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する第1パラメータ摂動項δ1が設定される。実施例9の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP9を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図22は、実施例10の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP10の具体的な構成を示す図である。
実施例10に係る一般化プラントP10は、ノミナルモデルN10の構成が実施例9に係る一般化プラントP9と異なる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)と低次振動モード伝達関数M2(s)と乗算する順序が実施例9に係るノミナルモデルN9と逆である点で異なり、他の構成は同じである。実施例10の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP10を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図23は、実施例9,10に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までのボード線図である。なお図23には、図21及び図22に示すように第1パラメータ摂動項δ1が設定されたノミナルモデルにおいて、摂動量を0としたものを実線で示し、摂動量を+0.2とし、第1慣性モーメントJ1を20%増加させたものを破線で示し、摂動量を−0.2とし、第1慣性モーメントJ1を−20%減少させたものを一点鎖線で示す。なお図23では、高次振動モード伝達関数Hx(s)の関数形は式(4)で定義されるH1(s)とした。
図23に示すように、摂動量を正側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は低周波数側へ変化し、摂動量を負側に変化させると、低次振動モードR1の共振周波数は高周波数側へ変化する。したがって、実施例9,10の一般化プラントによれば、図21及び図22に示すように、低次振動モード伝達関数M2に含まれる第1慣性モーメントJ1に対して乗法的誤差を与えるように第1パラメータ摂動項δ1を設定することにより、抑制対象とする低次振動モードR1の共振周波数の変動に対してロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築できる。
図24は、実施例9,10の共振抑制制御回路の性能を比較した図である。図24には、図8と同様のランダムなベーストルク指令信号を共振抑制制御回路に入力した場合の各種応答を示す。図24の左側の列は、図21のノミナルモデルN9において摂動量を0として得られるノミナルプラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示し、図21の右側の列は、ノミナルモデルN9において摂動量を−0.3として得られる変動プラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。なお、図21の最上段は、無制御状態の軸トルク検出信号の変化を示し、図21の上から2段目は先行技術の共振抑制制御回路の結果を示し、図21の上から3段目及び4段目はそれぞれHx(s)の関数形をH1(s)及びH2(s)とした場合の実施例9又は実施例10の共振抑制制御回路の効果を示す。
図24に示すように、先行技術の共振抑制制御回路は、摂動が無いノミナルプラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮するが、低次振動モードの共振周波数にノミナルプラントモデルから変動が生じた変動プラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮することなく、制御が不安定になる。これに対し実施例9又は実施例10の共振抑制制御回路によれば、ノミナルプラントモデル(図24の左側)及び変動プラントモデル(図24の右側)の両方において、軸トルク検出信号の標準偏差量は無制御状態から減少しており、したがって十分な共振抑制機能を発揮する。なお、高次振動モード伝達関数の関数形としてH1(s)及びH2(s)の何れを選んでも軸トルク検出信号の標準偏差量はほぼ同等であり、したがってほぼ同等の共振抑制機能を発揮するといえる。
図25は、実施例11の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP11の具体的な構成を示す図である。
図25に示すように、実施例11に係る一般化プラントP11は、ノミナルモデルN11のうち低次振動モード伝達関数M2(s)を表したブロックB11の構成が実施例5に係る一般化プラントP5と異なる。より具体的には、このノミナルモデルN11に対し、第5外部入力w5、第5制御出力z5、及び第2パラメータ摂動項δ2がさらに設定されている点において、実施例5のノミナルモデルN5と異なり、他の構成は同じである。
第5外部入力w5及び第5制御出力z5は、低次振動モードを有する低次振動モード伝達関数M2(s)に含まれる複数のパラメータのうち、低次振動モードの共振周波数の大きさと相関のある第2慣性モーメントJ2の出力端において、この第2慣性モーメントJ2に対して乗法的誤差を与えるように設定される。また低次振動モードの共振周波数に直接的に変動を及ぼす第2慣性モーメントJ2の乗法的誤差に対してロバスト安定な共振抑制制御回路が得られるようにするため、これら第5制御出力z5と第5外部入力w5との間には、構造化摂動Δの対角要素の1つを構成する第2パラメータ摂動項δ2が設定される。実施例11の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP11を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図26は、実施例12の共振抑制制御回路の設計に用いられる一般化プラントP12の具体的な構成を示す図である。
実施例12に係る一般化プラントP12は、ノミナルモデルN12の構成が実施例11に係る一般化プラントP11と異なる。より具体的には、高次振動モード伝達関数Hx(s)と低次振動モード伝達関数M2(s)と乗算する順序が実施例11に係るノミナルモデルN11と逆である点で異なり、他の構成は同じである。実施例12の共振抑制制御回路は、以上のように構造化摂動Δが規定された一般化プラントP12を用いてμ設計法に基づいて導出される。
図27は、実施例11,12に係るノミナルモデルにおけるベーストルク指令信号から軸トルク検出信号までのボード線図である。なお図27には、第1パラメータ摂動項δ1の値(以下、「第1摂動量」という)及び第2パラメータ摂動項δ2の値(以下、「第2摂動量」という)をともに0としたものを太実線で示す。第1摂動量を+0.2とし、ばね定数K2を20%増加させ、かつ第2摂動量を+0.2とし、第2慣性モーメントJ2を20%増加させたものを破線で示す。第1摂動量を−0.2とし、ばね定数K2を−20%減少させ、かつ第2摂動量を+0.2とし、第2慣性モーメントJ2を20%増加させたものを一点鎖線で示す。第1摂動量を−0.2とし、ばね定数K2を−20%減少させ、かつ第2摂動量を−0.2とし、第2慣性モーメントJ2を−20%減少させたものを二点鎖線で示す。また第1摂動量を+0.2とし、ばね定数K2を20%増加させ、かつ第2摂動量を−0.2とし、第2慣性モーメントJ2を−20%減少させたものを細実線で示す。
図27に示すように、第1及び第2摂動量を増減すると、3つの振動モードR1〜R3のうち最も低次の低次振動モードR1の共振周波数は変化するが、高次振動モードR2,R3の共振周波数は変化しない。したがって実施例11,12の一般化プラントによれば、図25及び図26に示すように、低次振動モード伝達関数M1に含まれるばね定数K2及び第2慣性モーメントJ2に対して乗法的誤差を与えるように第1及び第2パラメータ摂動項δ1,δ2を設定することにより、抑制対象とする低次振動モードR1の共振周波数の変動に対してロバスト安定性が保証された共振抑制制御回路を構築できる。
図28は、実施例11,12の共振抑制制御回路の性能を比較した図である。図28には、図8と同様のランダムなベーストルク指令信号を共振抑制制御回路に入力した場合の各種応答を示す。図28の左側の列は、図25のノミナルモデルN11において第1及び第2摂動量をともに0として得られるノミナルプラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示し、図25の右側の列は、図25のノミナルモデルN11において第1摂動量を+0.2としかつ第2摂動量を−0.2として得られる変動プラントモデルを制御対象とした場合の各種応答を示す。なお、図28の最上段は、無制御状態の軸トルク検出信号の変化を示し、図28の上から2段目は先行技術の共振抑制制御回路の結果を示し、図28の上から3段目及び4段目はそれぞれHx(s)の関数形をH1(s)及びH2(s)とした場合の実施例11又は実施例12の共振抑制制御回路の効果を示す。
図28に示すように、先行技術の共振抑制制御回路は、摂動が無いノミナルプラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮するが、低次振動モードの共振周波数にノミナルプラントモデルから変動が生じた変動プラントモデルに対しては十分な共振抑制機能を発揮することなく、制御が不安定になる。これに対し実施例11又は実施例12の共振抑制制御回路によれば、ノミナルプラントモデル(図28の左側)及び変動プラントモデル(図28の右側)の両方において、軸トルク検出信号の標準偏差量は無制御状態から減少しており、したがって十分な共振抑制機能を発揮する。なお、高次振動モード伝達関数の関数形としてH1(s)及びH2(s)の何れを選んでも軸トルク検出信号の標準偏差量はほぼ同等であり、したがってほぼ同等の共振抑制機能を発揮するといえる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。例えば上記実施形態では、実施例1〜12の共振抑制制御回路を、車両のドライブトレインを供試体としたドライブトレインベンチシステムに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。すなわち、実施例1〜12の共振抑制制御回路は、車両のエンジンを供試体とした所謂エンジンベンチシステムに適用してもよい。
S…試験システム
S1…連結軸(軸)
W,W´…供試体
2…駆動モータ(電動機)
5…共振抑制制御回路
6…軸トルクメータ
R1…低次振動モード
R2,R3…高次振動モード
P1〜P12…一般化プラント
N1〜N12…ノミナルモデル
M1(s),M2(s)…低次振動モード伝達関数(抑制対象振動モード伝達関数)
Hx(s)…高次振動モード伝達関数
Gc1(s),Gc2(s)…コントローラ
Δ…構造化摂動
δ1…第1パラメータ摂動項(摂動項)
δ2…第2パラメータ摂動項(摂動項)
S1…連結軸(軸)
W,W´…供試体
2…駆動モータ(電動機)
5…共振抑制制御回路
6…軸トルクメータ
R1…低次振動モード
R2,R3…高次振動モード
P1〜P12…一般化プラント
N1〜N12…ノミナルモデル
M1(s),M2(s)…低次振動モード伝達関数(抑制対象振動モード伝達関数)
Hx(s)…高次振動モード伝達関数
Gc1(s),Gc2(s)…コントローラ
Δ…構造化摂動
δ1…第1パラメータ摂動項(摂動項)
δ2…第2パラメータ摂動項(摂動項)
Claims (14)
- 電動機と供試体とを軸で結合して構成され2以上の複数の振動モードを有する物理系を制御対象とし、前記電動機への入力を与えることによって前記複数の振動モードのうち少なくとも1つの振動モードにおける共振を抑制する共振抑制制御回路であって、
前記共振抑制制御回路は、前記電動機への入力から前記軸における軸トルクまでの前記制御対象の入出力特性を模したノミナルモデルを備える一般化プラントと、当該一般化プラントに対する構造化摂動と、を用いてμ設計法と呼称される制御系設計方法によって設計されたコントローラを備え、
前記ノミナルモデルは、前記複数の振動モードのうちの1つを抑制対象とし、当該抑制対象の振動モードを有する抑制対象振動モード伝達関数と、前記抑制対象の振動モードよりも高次の振動モードを有する高次振動モード伝達関数と、の積によって表され、
前記構造化摂動は、前記抑制対象振動モード伝達関数に含まれるパラメータに対する摂動項を少なくとも1つ含むことを特徴とする共振抑制制御回路。 - 前記抑制対象振動モード伝達関数には、所定の慣性モーメントを有する慣性体と固定壁とを所定のばね定数及び減衰定数を有する軸要素で連結して構成される1自由度振動系における前記慣性体への入力から前記軸要素における出力までの伝達関数が用いられることを特徴とする請求項1に記載の共振抑制制御回路。
- 前記構造化摂動は、前記ばね定数に対する摂動項を含むことを特徴とする請求項2に記載の共振抑制制御回路。
- 前記構造化摂動は、前記慣性モーメントに対する摂動項を含むことを特徴とする請求項2に記載の共振抑制制御回路。
- 前記抑制対象振動モード伝達関数には、所定の第1慣性モーメントを有する第1慣性体と所定の第2慣性モーメントを有する第2慣性体とを所定のばね定数及び減衰定数を有する軸要素で連結して構成される2慣性系において前記第1慣性体への入力から前記軸要素における出力までの伝達関数が用いられることを特徴とする請求項1に記載の共振抑制制御回路。
- 前記構造化摂動は、前記ばね定数に対する摂動項を含むことを特徴とする請求項6に記載の共振抑制制御回路。
- 前記構造化摂動は、前記第2慣性モーメントに対する摂動項を含むことを特徴とする請求項6に記載の共振抑制制御回路。
- 前記構造化摂動は、前記第1慣性モーメントに対する摂動項を含むことを特徴とする請求項6に記載の共振抑制制御回路。
- 前記構造化摂動は、前記ばね定数に対する摂動項と前記第2慣性モーメントに対する摂動項とを含むことを特徴とする請求項6に記載の共振抑制制御回路。
- 前記高次振動モード伝達関数は、当該高次振動モード伝達関数及び前記抑制対象振動モード伝達関数を乗算して得られる伝達関数と前記制御対象における前記電動機への入力から前記軸における軸トルクまでの伝達関数とが一致するように同定されることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載の共振抑制制御回路。
- 供試体と軸を介して連結された電動機と、
前記軸で発生する軸トルクを検出する軸トルクメータと、
前記電動機に電力を供給するインバータと、
前記電動機の発生トルクに対する指令信号及び前記軸トルクメータの検出信号を用いて、前記軸における共振が抑制されるように前記電動機に対するトルク電流指令信号を生成し、当該トルク電流指令信号を前記インバータに入力する共振抑制制御回路と、を備える試験システムであって、
前記共振抑制制御回路には、請求項1から12の何れかに記載のものが用いられることを特徴とする試験システム。 - 電動機と供試体とを軸で結合して構成され2以上の複数の振動モードを有する物理系を制御対象とし、前記電動機への入力を与えることによって前記複数の振動モードのうち少なくとも1つの振動モードにおける共振を抑制する共振抑制制御回路の設計方法であって、
前記複数の振動モードのうちの1つを抑制対象とし、当該抑制対象の振動モードを有する抑制対象振動モード伝達関数と、前記抑制対象の振動モードよりも高次の振動モードを有する高次振動モード伝達関数との積によって、前記電動機への入力から前記軸における軸トルクまでの前記制御対象の入出力特性を模したノミナルモデルを備える一般化プラントを規定し、
前記一般化プラントのうち前記抑制対象振動モード伝達関数に含まれるパラメータに対する摂動項を少なくとも1つ含む構造化摂動を規定し、
前記規定された一般化プラント及び構造化摂動を用いてμ設計法と呼称される制御系設計方法によって前記共振抑制制御回路を設計することを特徴とする共振抑制制御回路の設計方法。
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