JP4245692B2 - デュアルゲートcmos型半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )型半導体装置およびその製造方法に関し、特にPチャネルMOS(以下「PMOS」という。)型素子にはP型不純物(アクセプタ)を導入したポリシリコンゲート電極を備え、NチャネルMOS(以下「NMOS」という。)型素子にはN型不純物(ドナー)を導入したポリシリコンゲート電極を備えたデュアルゲートCMOS型半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路(LSI)には消費電力が小さいCMOS型半導体装置が使用されている。このCMOS型半導体装置はPMOS型素子とNMOS型素子とにより構成されている。また、PMOS型素子およびNMOS型素子のいずれのポリシリコンゲート電極にもN+ ポリシリコン膜が広く用いられている。このため、NMOS型素子は表面チャネル型構造になり、PMOS型素子は埋込チャネル型構造になる。
【0003】
しかし、CMOS型半導体装置の微細化が進むにつれ、短チャネル効果やホットキャリア効果などの問題が生じてきた。特に、PMOS型素子にはこのような問題がより切実に現われてくる。というのも、PMOS型素子は埋込チャネル型構造になっている。このため、表面チャネル型構造のNMOS型素子に比べて短チャネル効果を抑制することが困難になるからである。このような課題を解決するためにデュアルゲートCMOS型半導体装置が近年使われるようになってきた。この、デュアルゲートCOMS型半導体装置では、PMOS型素子を短チャネル効果の抑制が可能な表面チャネル型構造にするため、新たにP+ ポリシリコンゲート電極(アクセプタイオン注入により低抵抗化されたポリシリコンゲート電極)を用いている。
【0004】
一般的に、デュアルゲートCMOS型半導体装置においては、P+ ポリシリコンゲート電極の導入不純物としてボロンが用いられ、N+ ポリシリコンゲート電極の導入不純物として砒素またはリンが用いられている。P+ ポリシリコンゲート電極の採用にあたり、ゲート電極の低抵抗化を行なうためには不純物注入による手法を用いる必要がある。しかし、不純物注入による手法を用いたのでは、注入時またはその注入不純物の活性化時において、ゲート電極に注入された不純物がゲート酸化膜を突き抜けて基板チャネル部へ侵入して、しきい値電圧がシフトしたり、ゲート酸化膜の耐圧信頼性が劣化するなどの諸問題が生じる。このため、所望のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )特性が得られなくなる。この問題を解決するために、プロセス温度を下げてボロンの拡散を抑制すること、またはポリシリコン膜の膜厚を大きくすることが有効である。しかしながら、プロセス温度を下げるとN型ポリシリコンゲート電極に導入される砒素の拡散はボロン以上に抑えられ、N型ポリシリコンゲート電極を部分空乏化させたり、高抵抗化させるという問題が生じる。ゲート電極が部分空乏化すると、ゲート電圧がシリコン基板に十分印加されない。このため、所望の素子性能が得られなくなる。一方、部分空乏化や高抵抗化を防ぐために注入エネルギーを大きくすることが考えられる。しかし、ゲート電極への不純物注入は、一般的にソース・ドレイン領域への不純物注入と同時に行なわれる。このため、ソース・ドレイン領域の接合が深くなり、その結果、短チャネル効果が比較的長いゲート長の素子から出始め、微細なトランジスタが形成できくなる。
【0005】
本発明者らはデュアルゲートCMOS型半導体装置を試作した。そのときのNMOS型素子に対する実験結果を図8および図9に示す。図8はNMOS型素子のしきい値電圧とゲート長との関係を示す。図9はNMOS型素子のゲート電極のC−V特性を示す。砒素の注入エネルギーの他はすべて同じ条件で試作し、ポリシリコン膜の膜厚は150nmである。これらの図より、注入エネルギーを小さくすると短チャネル効果は抑制される(図8)が、ゲート電極は空乏化する(図9)ことがわかる。よって、短チャネル効果の抑制とゲート電極の空乏化とはトレードオフの関係にあることがわかる。このときのPMOS型素子では正常な特性が得られていた。そこで、NMOS型素子の空乏化を抑制するためにポリシリコン膜厚を小さくした。図10に示すように、ポリシリコン膜の膜厚が100nm以下のとき、NMOS型素子は短チャネル効果を抑制することができ、かつゲート電極も空乏化しなかった。しかしながら、このときPMOS型素子に特性不良が発生した。これはボロンがゲート電極からシリコン基板に突き抜けたためと思われる。このようにPMOS型素子のボロン突き抜けを抑えつつ、NMOS型素子の短チャネル効果を抑制することは難しい。また、仮にPMOS型素子におけるボロンの突き抜けとNMOS型素子におけるゲート電極空乏化とを同時に抑制できるゲート電極膜厚の条件が、100〜150nmに存在するとしても、プロセスマージンが非常に小さくなってしまう。
【0006】
そこで、特開平6−275788号公報に開示のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法では、N型ポリシリコンゲート電極が空乏化しないように、N型ポリシリコンゲート電極を形成するノンドープポリシリコン膜の代わりに、リンドープポリシリコン膜(リン濃度:5×1019/cm3 )を用いる方法が提案されている。このリンドープポリシリコン膜は、ジシランとホスフィンとを反応ガスとし、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)装置で成膜される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したリンドープポリシリコン膜は、通常のノンドープポリシリコン膜を成膜するLPCVD装置と同一の装置では成膜することができない。具体的には通常のLPCVD装置の石英ボートよりもウエハ間隔の大きい(通常2倍以上)、特殊な石英ボートを使用する必要がある。このため、8インチウエハの場合、1回の処理で50枚程度の処理能力しかない。また、リンドープポリシリコン膜の堆積速度は小さい。このため、通常の成膜に比べてスループットが大幅に減少する。さらに、ポリシリコン膜中のリン濃度を5×1019/cm3 に設定するためには、ガス導入用ノズルを特殊なものにするとともに、ボートを回転させるなど、通常の装置にはない機能を備える必要がある。このため、LPCVD装置が高価なものになり、製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、PMOS型素子のボロン突き抜けを抑えつつ、NMOS型素子の短チャネル効果を抑制することができる、デュアルゲートCMOS型半導体装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、通常のプロセスと同様のスループットを得ることができ、かつ製造コストが高くなることがない、PMOS型素子のボロン突き抜けを抑えつつ、NMOS型素子の短チャネル効果を抑制することができるデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置は、シリコン基板上にそれぞれ形成されたPチャネルMOS型素子と、NチャネルMOS型素子とを含み、PチャネルMOS型素子は、P型不純物を導入した第1の電極を含み、NチャネルMOS型素子は、N型不純物を導入した第2の電極を含み、第2の電極の膜厚は、第1の電極の膜厚よりも小さい。第1の電極は、第2の電極と同じ膜厚の第3の電極と、第3の電極の上に形成された絶縁膜と、絶縁膜の上に形成された第4の電極とを含む。
【0011】
請求項1に記載の発明に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置は、NMOS型素子のゲート電極の膜厚が十分に小さいため、NMOS型素子のゲート電極が空乏化することがない。それと同時に、注入エネルギーを低く設定できるため、短チャネル効果を抑制できる。また、PMOS型素子のゲート電極膜厚は十分に大きい。このため、ボロンがゲート酸化膜を突き抜けてトランジスタ特性が劣化することもない。
【0014】
PMOS型素子のゲート電極は、第3の電極、絶縁膜および第4の電極を備えた堆積構造であることを特徴とする。このため、NMOS型素子領域をエッチングする際に、絶縁膜上で制御よく蝕刻をとめることができる。これにより、NMOS型素子のゲート電極膜厚を均一性よく加工でき、特性ばらつきを抑えることができる。さらに、この堆積構造中に絶縁膜があることによって、NMOS型素子のゲート電極へ導入される不純物(砒素やリン)がPMOS型素子のゲート電極と絶縁膜の界面付近に拡散(相互拡散)して、PMOS型素子のしきい値電圧がシフトすることを抑制することができる。これは、砒素やリンの酸化膜中の拡散速度が非常に遅いためである。
【0015】
好ましくは、第2、第3および第4の電極は、ポリシリコンからなる。
【0016】
特に、絶縁膜は、シリコン酸化膜である。特に、シリコン酸化膜の膜厚は、0.5nm〜2nmである。
【0017】
シリコン酸化膜中のボロンの拡散速度は非常に大きいので、PMOS型素子は空乏化し難いという特徴がある。
【0018】
好ましくは、第1の電極の膜厚は、第2の電極の膜厚の1.5倍以上である。
【0019】
NMOS型素子のゲート電極の膜厚はPMOS型素子のゲート電極の膜厚に比べて十分小さい。このため、NMOS型素子におけるゲート電極の空乏化の防止および短チャネル効果の抑制と、PMOS型素子におけるボロンのゲート酸化膜突き抜け防止とを同時に満足できるプロセスマージンが大きくなる。我々の実験では、図4に示すように、PMOS型素子とNMOS型素子のゲート電極膜厚の比が1.5以上のとき、良好な結果が得られている。
【0020】
特に、第1の電極の膜厚は、50nm以上250nm以下であり、第2の電極の膜厚は、100nm以上350nm以下である。
【0021】
NMOS型素子のゲート電極の膜厚がPMOS型素子のそれに比べて十分小さい。このため、NMOS型素子におけるゲート電極の空乏化の防止および短チャネル効果の抑制と、PMOS型素子におけるボロンのゲート酸化膜突き抜け防止とを同時に満足できるプロセスマージンが大きくなる。NMOS型素子のゲート電極膜厚の下限値が50nmなのは、50nm以下では均一なポリシリコン膜を成長させることが困難だからである。ポリシリコン膜は一般的に化学気相成長法(LPCVD)により形成されるが、ポリシリコン膜の粒径は約50nmなので、この膜厚以下で均一な膜を形成することは困難である。また、ゲート電極膜厚が50nm以下になると、不純物として砒素を注入する際に砒素がシリコン基板まで突き抜けて特性劣化を起こしやすくなる。一方、NMOS型素子のゲート電極膜厚を250nmより大きくすると、ゲート電極の空乏化を防ぐために砒素の注入エネルギーを大きく設定する必要がある。このため、ソース・ドレインの接合が深くなって短チャネル効果が顕著になる。PMOS型素子においてゲート電極膜厚を100nmより小さくすると、ボロンがシリコン基板中に突き抜けて素子の特性劣化を起こしやすくなる。一方、PMOS型素子のゲート電極膜厚を350nmより大きくすると、NMOS型素子のときと同様に、ゲート電極の空乏化を防ぐためにボロンの注入エネルギーを大きく設定する必要がある。このため、ソース・ドレインの接合が深くなって短チャネル効果が顕著になる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、デュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法である。デュアルゲートCMOS型半導体装置は、シリコン基板上にそれぞれ形成されたPチャネルMOS型素子と、NチャネルMOS型素子とを含み、PチャネルMOS型素子は、P型不純物を導入した第1の電極を含み、NチャネルMOS型素子は、N型不純物を導入した第2の電極を含む。第2の電極の膜厚は、第1の電極の膜厚よりも小さい。その製造方法は、シリコン基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、形成されたゲート絶縁膜の上に第1のポリシリコン膜を形成する工程と、形成された第1のポリシリコン膜の上に絶縁膜を形成する工程と、形成された絶縁膜の上に第2のポリシリコン膜を形成する工程と、NチャネルMOS型素子領域に形成された第2のポリシリコン膜を絶縁膜の表面が露出するまでエッチングする工程と、PチャネルMOS型素子領域に形成された第1および第2のポリシリコン膜をパターニングして第1の電極を形成する工程と、NチャネルMOS型素子領域に形成された第1のポリシリコン膜をパターニングして第2の電極を形成する工程とを含む。
【0025】
第1のポリシリコン膜を形成し、その上に絶縁膜を形成し、さらに絶縁膜の上に第2のポリシリコン膜を形成する。このように、ポリシリコン膜の堆積構造を形成する。NMOS型素子領域では、第2のポリシリコン膜を絶縁膜の表面が露出するまでエッチングが施される。このため、NMOS型素子領域をエッチングする際に、絶縁膜上で制御よく蝕刻を止めることができる。これにより、NMOS型素子のゲート電極膜厚を均一性よく加工でき、特性ばらつきを抑えることができる。さらに、この堆積構造中に絶縁膜があることによって、NMOS型素子のゲート電極へ導入される不純物(砒素やリン)がPMOS型素子のゲート電極と絶縁膜の界面付近に拡散(相互拡散)して、PMOS型素子のしきい値電圧がシフトすることを抑制することができる。これは、砒素やリンの酸化膜中の拡散速度が非常に遅いためである。
【0026】
この製造方法では、特殊なプロセスを用いずに、通常使用されている一般的なプロセスを用いて簡単にデュアルゲートMOS型半導体装置を形成できる。このため、通常のプロセスと同様のスループットを得ることができる。また、特殊な装置を用いる必要がないため、製造コストが高くなることもない。
【0027】
このプロセスで形成されたデュアルゲートCMOS型半導体装置は、PMOS型素子のゲート電極の膜厚よりもNMOS型素子のゲート電極の膜厚が小さいことを特徴とする。NMOS型素子のゲート電極の膜厚が十分に小さいため、NMOS型素子のゲート電極が空乏化することがない。それと同時に、注入エネルギーを低く設定できるため、短チャネル効果を抑制できる。また、PMOS型素子のゲート電極膜厚は十分に大きい。このため、ボロンがゲート酸化膜を突き抜けてトランジスタ特性が劣化することもない。
【0028】
好ましくは、第1のポリシリコン膜を形成する工程と、絶縁膜を形成する工程と、第2のポリシリコン膜を形成する工程とは、同一装置にて連続的に行われる。
【0029】
堆積構造を形成する工程が、同一装置にて連続的に行われることを特徴とする。第1のポリシリコン膜を形成直後に第2のポリシリコン膜を形成することにより、第1のポリシリコン膜と第2のポリシリコン膜の界面に自然酸化膜やカーボンなどの不純物が混入するのを防止することができる。このため、良好な特性をもったPMOS型素子を得ることができるとともに、ゲート電極加工が単層のポリシリコン膜のときと同様にデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造を円滑に行なうことができる。
【0030】
好ましくは、絶縁膜は、シリコン酸化膜である。特に、シリコン酸化膜の膜厚は、0.5nm〜2nmである。
【0031】
シリコン酸化膜中のボロンの拡散速度は非常に大きい。このため、PMOS型素子は空乏化し難い。また、ポリシリコン膜のシリコン酸化膜に対する選択比は100〜200と非常に大きいので、NMOS型素子領域の第2のポリシリコン膜をエッチングする際、制御よく加工することができる。
【0043】
好ましくは、第1の電極の膜厚は、第2の電極の膜厚の1.5倍以上である。
【0044】
NMOS型素子のゲート電極の膜厚はPMOS型素子のゲート電極の膜厚に比べて十分小さい。このため、NMOS型素子におけるゲート電極の空乏化の防止および短チャネル効果の抑制と、PMOS型素子におけるボロンのゲート酸化膜突き抜け防止とを同時に満足できるプロセスマージンが大きくなる。我々の実験では、図4に示すように、PMOS型素子とNMOS型素子のゲート電極膜厚の比が1.5以上のとき、良好な結果が得られている。
【0045】
特に、第1の電極の膜厚は、50nm以上250nm以下であり、第2の電極の膜厚は、100nm以上350nm以下である。
【0046】
NMOS型素子のゲート電極の膜厚がPMOS型素子のそれに比べて十分小さい。このため、NMOS型素子におけるゲート電極の空乏化の防止および短チャネル効果の抑制と、PMOS型素子におけるボロンのゲート酸化膜突き抜け防止とを同時に満足できるプロセスマージンが大きくなる。NMOS型素子のゲート電極膜厚の下限値が50nmなのは、50nm以下では均一なポリシリコン膜を成長させることが困難だからである。ポリシリコン膜は一般的にLPCVD法により形成されるが、ポリシリコン膜の粒径は約50nmなので、この膜厚以下で均一な膜を形成することは困難である。また、ゲート電極膜厚が50nm以下になると、不純物として砒素を注入する際に砒素がシリコン基板まで突き抜けて特性劣化を起こしやすくなる。一方、NMOS型素子のゲート電極膜厚を250nmより大きくすると、ゲート電極の空乏化を防ぐために砒素の注入エネルギーを大きく設定する必要がある。このため、ソース・ドレインの接合が深くなって短チャネル効果が顕著になる。PMOS型素子においてゲート電極膜厚を100nmより小さくすると、ボロンがシリコン基板中に突き抜けて素子の特性劣化を起こしやすくなる。一方、PMOS型素子のゲート電極膜厚を350nmより大きくすると、NMOS型素子のときと同様に、ゲート電極の空乏化を防ぐためにボロンの注入エネルギーを大きく設定する必要がある。このため、ソース・ドレインの接合が深くなって短チャネル効果が顕著になる。
【0047】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置は、シリコン半導体基板101と、シリコン半導体基板101上にそれぞれ形成されたPウェル102およびNウェル103と、Pウェル102およびNウェル103上に形成されたフィールド酸化膜(素子分離領域)104と、Pウェル102上に形成されたNMOSトランジスタと、Nウェル103上に形成されたPMOSトランジスタとを含む。
【0048】
NMOSトランジスタは、ゲート酸化膜105aと、N+ ポリシリコンゲート電極106aと、サイドウォールスペーサ110aと、ソース・ドレイン領域(深いN型拡散層)111と、LDD(Lightly Doped Drain )領域(浅いN型拡散層)108と、シリサイド膜113aと、層間絶縁膜114と、メタル配線115aおよび115bとを含む。
【0049】
PMOSトランジスタは、ゲート酸化膜105bと、P+ ポリシリコンゲート電極106bと、サイドウォールスペーサ110bと、ソース・ドレイン領域(深いP型拡散層)112と、LDD領域(浅いP型拡散層)109と、シリサイド膜113bと、層間絶縁膜114と、メタル配線115cおよび115dとを含む。
【0050】
上記デュアルゲートCMOS型半導体装置において、NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚はPMOS型素子のゲート電極106bの膜厚よりも小さい。ゲート電極106aの膜厚は50〜250nmであり、ゲート電極106bの膜厚は100〜350nmである。また、ゲート電極106bの膜厚は、ゲート電極106aの膜厚の1.5倍以上である。
【0051】
NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚は十分小さい。このため、ゲート電極106aが空乏化することがない。また、注入エネルギーを低く設定できるため、短チャネル効果を抑制できる。PMOS型素子のゲート電極106bの膜厚は十分大きい。このため、ボロンがゲート酸化膜105bを突き抜けて、トランジスタの特性を劣化させることもない。
【0052】
本実施の形態に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置では、ゲート電極106aおよび106bとして、ポリシリコン膜を用いたが、アモルファスシリコン膜を用いても同様の効果が得られる。ただし、アモルファスシリコン膜を用いる場合はアモルファスシリコン膜を堆積後、結晶化のためのアニールを800℃以下(好ましくは、650〜700℃)の温度で行なうことが望ましい。結晶化アニールを行なわずに850〜900℃の不純物の活性化アニールを行なうと、アモルファスシリコン膜の結晶化のときに発生する応力が大きくなる。このため、ゲート酸化膜105aおよび105bが特性劣化を起こす危険性がある。
【0053】
図2および図3を参照して、図1に示したデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造工程を説明する。
【0054】
図2(A)を参照して、シリコン半導体基板101上に、Pウェル102、Nウェル103、およびフィールド酸化膜(素子分離領域)104を形成する。次に、しきい値電圧制御および短チャネル効果防止のために、NMOS型素子(Pウェル102)にはボロンの、PMOS型素子(Nウェル103)にはリンの、不純物イオン注入をそれぞれ行なう。さらに、膜厚5nmのゲート酸化膜205を形成後、LPCVD法によりポリシリコン膜206を100〜200nm程度(好ましくは150nm)堆積する。
【0055】
図2(B)を参照して、フォトリソグラフィおよびエッチングを含む周知の工程を経て、NMOS型素子領域のポリシリコン膜206を所望の膜厚(50〜130nm、好ましくは100nm)までエッチングしてポリシリコン膜207を得る。PMOS型素子領域のポリシリコン膜208はエッチングされることなく、当初堆積したときの膜厚のままである。
図2(C)を参照して、フォトリソグラフィおよびエッチングを含む周知の工程を経て、ポリシリコン膜207および208を所望のパターンにパターニングする。その後、ポリシリコン膜(ゲート電極106aおよび106b)表面および活性化領域(ソース・ドレイン)(図示せず)上のシリコン酸化膜(図示せず)をフッ酸溶液などにより完全に除去する。さらに、不純物の注入保護膜としてシリコン窒化膜209を3〜30nm程度(好ましくは5nm)堆積する。次に、NMOS型素子領域のチャネル近傍に浅い接合を形成する。このため、フォトリソグラフィ工程によりPMOS型素子をフォトレジスト膜によって覆う。NMOS型素子には、砒素が2〜30keVのエネルギー、注入量0.5〜5×1014/cm2 程度でイオン注入される。砒素は、シリコン半導体中でドナーとして振る舞う。NMOS型素子の不純物としてアンチモンイオンを用いる場合は、3〜35keVのエネルギー、注入量0.5〜5×1014/cm2 程度で注入が行なわれる。
【0056】
図2(D)を参照して、フォトレジスト膜を除去した後、PMOS型素子領域のチャネル近傍に浅い接合を形成する。このため、フォトリソグラフィ工程によりNMOS型素子をフォトレジスト膜によって覆う。PMOS型素子にはシリコン半導体中でアクセプタとして振る舞う不純物イオンとしてBF2 イオンを5〜40keVのエネルギー、注入量0.5〜5×1014/cm2 程度で注入する。
【0057】
図3(A)を参照して、ゲート電極106aおよび106bのそれぞれの側壁にサイドウォールスペーサ110aおよび110bを形成する。具体的には、シリコン酸化膜を100〜200nm程度堆積する。その後、シリコン酸化膜のシリコン窒化膜に対する選択比が50〜100程度あるC4 F8 +COガス系反応性イオンエッチング(RIE)によりシリコン窒化膜の表面が露出するまでエッチバックを行なう。これにより、サイドウォールスペーサ110aおよび110bが形成される。深い接合であるソース・ドレイン拡散層(深いN型拡散層)111を形成する。フォトリソグラフィ工程により、PMOS型素子をフォトレジスト膜によって覆う。NMOS型素子にはシリコン半導体中でドナーとして振る舞う不純物イオンとして砒素を15〜50keVのエネルギー、注入量1〜5×1015/cm2 程度で注入する。
【0058】
図3(B)を参照して、フォトレジスト膜を除去した後、窒素雰囲気中で850〜900℃程度のアニールを施すことにより注入不純物を活性化させ、NMOS型素子に浅いN型拡散層108および深いN型拡散層111を形成する。このとき、PMOS型素子においては、ボロンが活性化され浅いP型拡散層216が形成される。次に、NMOS型素子をフォトレジスト膜によって覆う。PMOS型素子にはチャンネリング効果を防ぐために、注入エネルギー30keV、注入量1×1015/cm2 の条件でシリコンイオンを注入する。その後、シリコン半導体中でアクセプタとして振る舞う不純物イオンとしてボロンイオンを10〜30keVのエネルギー、注入量1〜5×1015/cm2 程度で注入する。
【0059】
図3(C)を参照して、フォトレジスト膜を除去した後、急速熱処理(RTA(Rapid Thermal Annealing )、1000℃、10秒)により注入不純物を活性化させ、PMOS型素子に深いP型拡散層(ソース・ドレイン拡散層)112を形成する。
【0060】
この後、サリサイド工程などの周知の工程を経て、図3(D)に示すような所望のデュアルゲートCMOS型半導体装置が形成される。
【0061】
本実施の形態で形成されたデュアルゲートCMOS型半導体装置は、NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚が十分小さい。そのためゲート電極106aが空乏化することがない。また、注入エネルギーを低く設定できるため短チャネル効果を抑制できる。さらに、PMOS型素子のゲート電極106bの膜厚は十分大きいので、ボロンがゲート酸化膜を突き抜けてトランジスタ特性を劣化させることもない。また、特開平6−275788号公報に開示のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法のようにリンドープポリシリコン膜を成膜させるような特別なプロセス装置を使用していない。このため、成膜のスループットが向上するとともに、製造コストも削減できる。また、図4に示すように、NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚に対するPMOS型素子のゲート電極106bの膜厚の比が1.5以上で良好なデバイス特性が得られている。このため、PMOS型素子およびNMOS型素子のゲート電極106bおよび106aのそれぞれの膜厚が同じものに比べてプロセスマージンが飛躍的に向上する。
【0062】
(実施の形態2)
図5を参照して、本実施の形態に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造工程を説明する。図5(C)を参照して、この製造工程により作成されるデュアルゲートCMOS型半導体装置は、図1を参照して説明した実施の形態1のデュアルゲートCMOS型半導体装置のゲート電極106bの代わりに、間にシリコン酸化膜407を挟んだ、2層のポリシリコン膜412よりなるゲート電極を用いたものである。両者のデュアルゲートCMOS型半導体装置の特性は、同等である。
【0063】
図5(A)を参照して、実施の形態1と同様に、シリコン半導体基板101上に、Pウェル102、Nウェル103、およびフィールド酸化膜(素子分離領域)104を形成する。
【0064】
次に、しきい値電圧制御および短チャネル効果防止のために、NMOS型素子(Pウェル102)にはボロンの、PMOS型素子(Nウェル103)にはリンの、不純物イオン注入をそれぞれ行なう。次に、膜厚5nmのゲート酸化膜205を形成後、第1のポリシリコン膜406を50〜130nm程度(好ましくは100nm)、シリコン酸化膜407を0.5〜2nm程度、第2のポリシリコン膜408を50〜100nm程度、それぞれLPCVD法により堆積する。
【0065】
図5(B)を参照して、フォトリソグラフィおよびエッチングを含む周知の工程を経て、シリコン酸化膜407に対する選択比が100〜200程度のCl2 /HBr/O2 ガス系反応性イオンエッチング(RIE)により、NMOS型素子領域の第2のポリシリコン膜408をシリコン酸化膜407の表面が露出するまでエッチングする。
【0066】
次に、実施の形態1の図2(C)以降で示したのと同様な工程を経て、図5(C)に示すような所望のデュアルゲートCMOS型半導体装置を形成する。
【0067】
本実施の形態で形成されたデュアルゲートCMOS型半導体装置は、実施の形態1のデュアルゲートCMOS型半導体装置と同様の効果が得られる。それに加えて、NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚の均一性を実施の形態1のそれよりも小さくすることができる。このため、NMOS型素子特性のばらつきを抑制することができる。実施の形態1のNMOS型素子のゲート電極106aの膜厚のばらつきは、ポリシリコン膜206の堆積時のばらつきとエッチング時のばらつきとの和になる。これに対して、本実施の形態のNMOS型素子のゲート電極106aの膜厚のばらつきは第1のポリシリコン膜406の堆積時のばらつきのみで決定される。したがって、実施の形態1のゲート電極106aの膜厚のばらつきが4〜5%(1σ)なのに対して、本実施の形態のゲート電極106aの膜厚のばらつきは1〜2%(1σ)に抑えることができる。これらのばらつきは第1のポリシリコン膜406の膜厚をテンコール社製の膜厚測定器で測定することにより評価した。
【0068】
また、本実施の形態では、第1および第2のポリシリコン膜406および408の間に形成される絶縁膜としてシリコン酸化膜407を用いたが、シリコン酸化膜407の代わりにシリコン窒化膜を用いてもNMOS型素子のゲート電極106aを所望の膜厚にすることが可能である。しかし、絶縁膜にシリコン窒化膜を用いた場合、シリコン窒化膜中のボロンの拡散速度は非常に小さい。このため、PMOS型素子のゲート電極412におけるボロンの拡散がシリコン窒化膜によりブロックされ、PMOS型素子が空乏化するといった問題が生じる。一方、絶縁膜にシリコン酸化膜407を用いた場合では、シリコン酸化膜407中のボロンの拡散速度は非常に大きいため、このような問題は発生しない。また、第2のポリシリコン膜408のエッチングの際、ポリシリコン膜408のシリコン酸化膜407に対する選択比は100〜200と非常に大きい。これに対して、ポリシリコン膜408のシリコン窒化膜に対する選択比は30〜50と小さい。このため、シリコン酸化膜407を用いる方が有効である。なお、シリコン酸化膜407の膜厚は加工に必要なエッチング選択性を満たしつつ、ボロンが十分拡散できる範囲に設定する。
【0069】
本実施の形態では、第2のポリシリコン膜408をエッチングするために反応性イオンエッチング技術を用いたが、ケミカルドライエッチング(CDE)やウエットエッチングを用いても同様の加工は可能である。
【0070】
また、第1のポリシリコン膜406、シリコン酸化膜407および第2のポリシリコン膜408は同一の装置で連続的に形成した。上記3層膜406、407および408を連続的に形成することにより、それぞれの界面にカーボンなどの不純物が混入しない。このため、特性ばらつきが少なく信頼性の高い素子を得ることができる。
【0071】
(実施の形態3)
図6を参照して、本実施の形態に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造工程を説明する。この製造工程を用いて形成されるデュアルゲートCMOS型半導体装置は、図1を参照して説明した実施の形態1のデュアルゲートCMOS型半導体装置と同様の構成をとる。このため、説明は繰返さない。
【0072】
図6(A)を参照して、実施の形態1と同様に、シリコン半導体基板101上に、Pウェル102、Nウェル103、およびフィールド酸化膜(素子分離領域)104を形成する。
【0073】
次に、図示はしていないが、しきい値電圧制御および短チャネル効果防止のために、NMOS型素子(Pウェル102)にはボロンの、PMOS型素子(Nウェル103)にはリンの、不純物イオン注入をそれぞれ行なう。次に、膜厚5nmのゲート酸化膜205を形成後、ポリシリコン膜506を50〜130nm程度(好ましくは100nm)、シリコン窒化膜507を5〜50nm程度、それぞれLPCVD法により堆積する。
【0074】
図6(B)を参照して、フォトリソグラフィおよびエッチングを含む周知の工程を経て、PMOS型素子領域のシリコン窒化膜507を除去した後、フォトレジスト膜(図示せず)を除去する。
【0075】
図6(C)を参照して、シリコン膜の選択堆積が可能なLPCVD装置にて、PMOS型素子領域のみにポリシリコン膜508を選択的に成長させる。具体的には、ポリシリコン膜506上の自然酸化膜を除去するため、水素による900℃、1分のベークを行なった後、SiH2 Cl2 /HCl系の混合ガスで、850℃で50〜130nm程度ポリシリコン膜508を成長させる。
【0076】
次に、シリコン窒化膜507を除去した後、実施の形態1の図2(C)以降で示したのと同様な工程を経て、図6(D)に示すような所望のデュアルゲートCMOS型半導体装置を形成する。
【0077】
本実施の形態で形成されたデュアルゲートCMOS型半導体装置は、実施の形態1のデュアルゲートCMOS型半導体装置と同様の効果が得られる。それに加えて、NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚の均一性を実施の形態1のそれよりも小さくすることができる。このため、NMOS型素子特性のばらつきを抑制することができる。実施の形態1のNMOS型素子のゲート電極106aの膜厚のばらつきは、ポリシリコン膜206の堆積時のばらつきとエッチング時のばらつきとの和になる。これに対して、本実施の形態のNMOS型素子のゲート電極106aの膜厚のばらつきはポリシリコン膜506の堆積のばらつきのみで決定される。したがって、実施の形態1のゲート電極106aの膜厚のばらつきが4〜5%(1σ)なのに対して、本実施の形態のゲート電極106aの膜厚のばらつきは1〜2%(1σ)に抑えることができる。これらのばらつきはポリシリコン膜506の膜厚をテンコール社製の膜厚測定器で測定することにより評価した。
【0078】
また、本実施の形態では、絶縁膜としてシリコン窒化膜507を用いたが、シリコン窒化膜507の代わりにシリコン酸化膜を用いてもポリシリコン膜508を選択的に成長させることは可能である。しかし、絶縁膜にシリコン酸化膜を用いた場合、選択的に堆積させたポリシリコン膜508と下地のポリシリコン膜506との界面に自然酸化膜が成長する。自然酸化膜は選択的に成長するシリコン膜の成長を抑制する。このため、膜厚のばらつきが大きくなるといった問題が発生する。また、シリコン酸化膜は一般的にCVD(Chemical Vapor Deposition )法により形成されるため、耐湿性がシリコン窒化膜507よりも著しく劣る。したがって、ポリシリコン膜508の選択成長時に耐湿性に優れているシリコン窒化膜を用いた方が、界面の自然酸化膜を抑制することができ、良好な特性のPMOS型素子を得ることができる。また、シリコン熱酸化膜をシリコン窒化膜507の代わりに使用しても同様のPMOS型素子を得ることができる。これは、シリコン熱酸化膜がシリコン窒化膜507と同様に耐湿性に優れていることに起因する。
【0079】
(実施の形態4)
図7を参照して、本実施の形態に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造工程を説明する。この製造工程を用いて形成されるデュアルゲートCMOS型半導体装置は、図1を参照して説明した実施の形態1のデュアルゲートCMOS型半導体装置と同様の構成をとる。このため、説明は繰返さない。
【0080】
図7(A)を参照して、実施の形態1と同様に、シリコン半導体基板101上に、Pウェル102、Nウェル103、およびフィールド酸化膜(素子分離領域)104を形成する。
【0081】
次に、しきい値電圧制御および短チャネル効果防止のために、NMOS型素子(Pウェル102)にはボロンの、PMOS型素子(Nウェル103)にはリンの、不純物イオン注入をそれぞれ行なう。次に、膜厚5nmのゲート酸化膜205を形成後、ポリシリコン膜606を100〜200nm程度、シリコン窒化膜607を10〜50nm程度、それぞれLPCVD法により堆積する。
【0082】
図7(B)を参照して、フォトリソグラフィおよびエッチングを含む周知の工程を経て、NMOS型素子領域のシリコン窒化膜607を除去した後、フォトレジスト膜(図示せず)を除去する。
【0083】
図7(C)を参照して、ポリシリコン膜606表面を熱酸化することによりNMOS型素子領域のみにシリコン酸化膜608を形成する。PMOS型素子領域は耐酸化性に優れたシリコン窒化膜607に覆われている。このため、ポリシリコン膜606表面は酸化しない。このときの酸化条件は、所望の膜厚(50〜100nm)のNMOS型素子のゲート電極が得られるように設定されている。
【0084】
次に、シリコン酸化膜608およびシリコン窒化膜607を除去した後、実施の形態1の図2(C)以降に示したのと同様な工程を経て、図7(D)に示すような所望のデュアルゲートCMOS型半導体装置を形成する。
【0085】
本実施の形態に係る製造方法で形成されたデュアルゲートCMOS型半導体装置は、実施の形態1のデュアルゲートCMOS型半導体装置と同様の効果が得られる。それに加えて、NMOS型素子のゲート電極106aの膜厚の均一性を実施の形態1のそれよりも小さくすることができる。このため、NMOS型素子特性のばらつきを抑制することができる。実施の形態1のNMOS型素子のゲート電極106aの膜厚のばらつきは、ポリシリコン膜206の堆積時のばらつきとエッチング時のばらつきとの和になる。これに対して、本実施の形態の製造方法におけるNMOS型素子のゲート電極106aの膜厚のばらつきはポリシリコン膜606の堆積時のばらつきおよび熱酸化時のばらつきで決定される。しかし、熱酸化時のばらつきは、エッチング時のばらつきに比べ0.5%(1σ)程度と非常に小さい。このため、実施の形態1のゲート電極106aの膜厚のばらつきが4〜5%(1σ)なのに対して、本実施の形態の製造方法を用いるとゲート電極106aの膜厚のばらつきは2%(1σ)程度に抑えることができる。これらのばらつきはポリシリコン膜606の膜厚をテンコール社製の膜厚測定器で測定することにより評価した。また、本実施の形態の製造方法を用いて製造した半導体装置では、実施の形態2の半導体装置のようにPMOS型素子のゲート電極106bに界面が存在しない。このため、良好な素子特性を得ることができる。
【0086】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
【発明の効果】
本発明のデュアルゲートCMOS型半導体装置によれば、NMOS型素子のゲート電極の膜厚が十分小さい。そのため、ゲート電極が空乏化することがないと同時に、注入エネルギーを低く設定できる。これにより短チャネル効果を抑制できる。また、PMOS型素子のゲート電極膜厚は十分大きいので、ボロンがゲート酸化膜を突き抜けてトランジスタ特性を劣化されることもない。また、特開平6−275788号公報に開示のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法のようにリンドープポリシリコン膜を成膜させるような特別なプロセス装置を使用していない。このため、成膜のスループットが向上するとともに、製造コストも削減できる。
【0088】
また、本発明のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法によれば、均一性が良いNMOS型素子のゲート電極を形成できる。このため、特性ばらつきの少ないNMOS型素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図3】実施の形態1に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図4】本発明に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の性能を評価する図である。
【図5】実施の形態2に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図6】実施の形態3に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図7】実施の形態4に係るデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図8】NMOS型素子のしきい値電圧とゲート長の関係を示す図である。
【図9】NMOS型素子のゲート電極のC−V特性を示す図である。
【図10】従来のデュアルゲートCMOS型半導体装置の性能を評価する図である。
【符号の説明】
101 シリコン半導体基板
102 Pウェル
103 Nウェル
104 フィールド酸化膜
105a,105b ゲート酸化膜
106a,106b ゲートポリシリコン電極
108 浅いN型拡散層
109 浅いP型拡散層
110a,110b サイドウォールスペーサ
111 深いN型拡散層
112 深いP型拡散層
113a,113b シリサイド膜
114 層間絶縁膜
115a,115b,115c,115d メタル配線
Claims (12)
- シリコン基板上にそれぞれ形成されたPチャネルMOS型素子と、NチャネルMOS型素子とを含み、
前記PチャネルMOS型素子は、P型不純物を導入した第1の電極を含み、
前記NチャネルMOS型素子は、N型不純物を導入した第2の電極を含み、
前記第2の電極の膜厚は、前記第1の電極の膜厚よりも小さく、
前記第1の電極は、前記第2の電極と同じ膜厚の第3の電極と、前記第3の電極の上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に形成された第4の電極とを含む、デュアルゲートCMOS型半導体装置。 - 前記第2、第3および第4の電極は、ポリシリコンからなる、請求項1に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置。
- 前記絶縁膜は、シリコン酸化膜である、請求項1または2に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置。
- 前記シリコン酸化膜の膜厚は、0.5nm〜2nmである、請求項3に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置。
- 前記第1の電極の膜厚は、前記第2の電極の膜厚の1.5倍以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置。
- 前記第1の電極の膜厚は、50nm以上250nm以下であり、前記第2の電極の膜厚は、100nm以上350nm以下である、請求項5に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置。
- シリコン基板上にそれぞれ形成されたPチャネルMOS型素子と、NチャネルMOS型素子とを含み、
前記PチャネルMOS型素子は、P型不純物を導入した第1の電極を含み、
前記NチャネルMOS型素子は、N型不純物を導入した第2の電極を含み、
前記第2の電極の膜厚は、前記第1の電極の膜厚よりも小さい、デュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法であって、
前記シリコン基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記形成されたゲート絶縁膜の上に第1のポリシリコン膜を形成する工程と、
前記形成された第1のポリシリコン膜の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記形成された絶縁膜の上に第2のポリシリコン膜を形成する工程と、
NチャネルMOS型素子領域に形成された前記第2のポリシリコン膜を前記絶縁膜の表面が露出するまでエッチングする工程と、
前記PチャネルMOS型素子領域に形成された前記第1および第2のポリシリコン膜をパターニングして前記第1の電極を形成する工程と、
前記NチャネルMOS型素子領域に形成された前記第1のポリシリコン膜をパターニングして前記第2の電極を形成する工程とを含む、デュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法。 - 前記第1のポリシリコン膜を形成する前記工程と、前記絶縁膜を形成する前記工程と、前記第2のポリシリコン膜を形成する前記工程とは、同一装置にて連続的に行われる、請求項7に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法。
- 前記絶縁膜は、シリコン酸化膜である、請求項7または8に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法。
- 前記シリコン酸化膜の膜厚は、0.5nm〜2nmである、請求項9に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法。
- 前記第1の電極の膜厚は、前記第2の電極の膜厚の1.5倍以上である、請求項7〜10のいずれかに記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法。
- 前記第1の電極の膜厚は、50nm以上250nm以下であり、前記第2の電極の膜厚は、100nm以上350nm以下である、請求項10に記載のデュアルゲートCMOS型半導体装置の製造方法。
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