JP3632087B2 - 低温型燃料電池の燃料極用電極触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質ガスを用いる高分子型燃料電池、およびメタノールを燃料とする直接型メタノール燃料電池、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池のような動作温度が約300度以下の低温型燃料電池の燃料極用電極触媒として有効な金属・有機金属錯体混合触媒及びこの触媒を用いた低温型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
改質ガスを用いる高分子型燃料電池、およびメタノールを燃料とする直接型メタノール燃料電池、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池のような動作温度が約300度以下の低温型燃料電池において、燃料ガスと電解質との間で電子授受を行う電極触媒の性能が電池性能に大きな影響を及ぼす。特にCOなどの触媒被毒物質によって電極が反応妨害を受ける場合は耐被毒物質性を有する触媒の開発が重要な研究課題となっている。
【0003】
従来、このような低温型燃料電池の耐CO被毒性を有する燃料極用触媒として白金・ルテニウム、白金・錫系のような2元合金、あるいはそれらをベースとした3元系以上の合金触媒や、白金・チタン酸化物、白金タングステン酸のような金属と酸化物をベースにした触媒が開発されている。
しかしながら、従来公知のこれらの触媒は以下のような問題点があった。
a.CO濃度の高い系での耐CO被毒性に劣る。
b.耐CO被毒性を発揮する反応メカニズムとして、2元機能メカニズム、多価原子価メカニズム、表面電子密度修飾メカニズムなど提案されているが、それらはすべて構成成分の原子間相互作用を念頭に置いてのもので、新しい機能に基づいた新触媒の開発という点ではもはや限界にきている。
c.経験上第2成分、第3成分として選択できる金属や酸化物の種類が限られており、触媒能の向上を期待することはできない。
d.白金以外に高価な第2成分を使用したり製造工程が複雑であったりして、触媒の価格を引き下げることが非常に難しくなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の技術の実状に鑑みなされたものであって、COガスなどによる触媒被毒を受けやすい低温型燃料電池の燃料極において、耐CO被毒性に優れると共に第2成分の選択自由度が高く、価格的にも製造面でも有利な低温型燃料電池の燃料極用電極触媒およびこのものを用いた低温型燃料電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、遷移金属又はその合金と、モノキノリルフェニレンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン及び 1,4,8,11-テトラアザシクロペンタデカンから選ばれた少なくとも一種を配位子とする有機金属錯体を含有することを特徴とする低温型燃料電池の燃料極用電極触媒が提供される。
第二に、遷移金属又はその合金が、周期律表第VIII族金属の1種または2種以上から選ばれる金属原子であり、平面状立体配位構造を有する有機金属錯体が、周期律表第V族、VI族、VII族及びVIII族の遷移金属原子の一種又は2種以上から選ばれる有機金属錯体であることを特徴とする上記(1)に記載の低温型燃 が提供される。
第三に、第一又は第二の発明において、担体表面に微粒子状に担持されていることを特徴とする燃料極用電極触媒が提供される。
第四に、第一乃至第三何れか記載の発明において、担体が炭素質材料であることを特徴とする燃料極用電極触媒が提供される。
第五に、第四の発明において、炭素質材料が、グラファイト、活性炭及びグラシーカーボンから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする燃料極用電極触媒が提供される。
第六に、第一乃至第五何れかに記載の触媒を用いてなる低温型燃料電池の燃料極が提供される。
第七に、第六の発明の燃料極を備えた低温型燃料電池が提供される。
第八に、第七の発明の低温型燃料電池が、固体高分子型電池又は直接型メタノール燃料電池であることを特徴とする低温型燃料電池が提供される。
【0006】
本発明者らは、燃料極用電極触媒として、白金を代表とする金属成分と共に第2成分として特定な有機金属錯体を混在させることにより、従来の概念とは全く異なる作用メカニズムを有する新規触媒群が得られることを知見した。
これによって、新規触媒群の探索および構成法の最適化が有機金属錯体の分子設計という非常に選択の広い方法によりなされ得るため、新規触媒の開発費、触媒の最終コストの低減化が図れる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における電極触媒は、(1)遷移金属又はその合金と、(2)配位子としてモノキノリルフェニレンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン及び 1,4,8,11-テトラアザシクロペンタデカンから選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴としている。
【0008】
(1)の遷移金属又はその合金としては、従来から燃料電池の燃料極に使用されている周期律表第VIII属を中心とする遷移金属元素であることが望ましいが、後述するように有機金属錯体との協奏効果によって、混合触媒を構成した状態では金属触媒単独、あるいは有機金属錯体単独の触媒に比べ10倍以上優れた触媒作用を示すので、金属触媒自身で触媒作用が弱いものでも選択できる。
このような遷移金属元素としては、白金、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、等の周期律表第VIII属の金属元素の他、チタン、レニウム、錫、モリブデン、銀、金などが挙げられる。
【0009】
(2)の平面状立体配位構造を有する有機金属錯体としては、中心金属の周りに配位子が平面状に配位するものを用いるのが望ましい。
中心金属は、反応物質と相互作用して電子の授受を行う必要があるため、周期律表第V族、VI族、VII族、VIII族遷移金属のような2種類以上の原子価を有する金属元素が好ましく使用される。
このような金属元素としては、鉄、ニッケル、コバルト、バナジウム、モリブデンなどが挙げられる。この中、本発明において好ましく使用される金属元素は、鉄、ニッケル、コバルトである。
【0010】
また配位子としては、上記のような、中心金属に反応物質が相互作用する際に電子の移動を円滑に進めるため、開環状の窒素含有化合物であって、中心金属に対して平面状に配位するものを用いる必要がある。
これは、本発明の触媒の協奏効果を発揮するメカニズムは、メタノール酸化反応などの過程で(1)の金属触媒表面上に吸着蓄積する一酸化炭素のような被毒物質が(2)の有機金属錯体に取り込まれる、新たな錯体形成反応によるもの、あるいは(2)の有機金属錯体が一酸化炭素のような被毒物質を選択的に酸化除去することに帰因するものと推定されるので、そのような役割を果たすためには有機金属錯体を形成する中心金属原子が錯体表面に露出している必要があるからである。
因みに、同じ有機金属錯体であっても、後記する比較例にみられるように、中心金属がその内部に取り込まれ表面に露出していない錯体を用いても耐CO被毒性に顕著性はみられない。
【0011】
本発明において使用される配位子は、モノキノリルフェニレンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン及び 1,4,8,11-テトラアザシクロペンタデカンが挙げられる。
【0012】
前記の混合触媒において、(1)の遷移金属(合金)触媒と、(2)の有機金属錯体触媒の混合割合については、特に制限はなく、それぞれ選択された触媒原料において経験的に最適な割合を見出せばよく、必要に応じて適宜設定される。
通常、(1)の遷移金属(合金)触媒と、(2)の有機金属錯体触媒の混合割合は、10:90ないし90:10の範囲で選ばれ、協奏効果を最大限に発揮するためには40:60〜60:40の割合にすることが望ましい。
【0013】
触媒の調製法としては、従来公知の方法、例えば、物理的混合法、熱分解法、液相法、プラズマ同時蒸着法などの方法が何れも使用できる。
熱分解法による触媒の具体的な調製法としては、例えば、(1)の遷移金属触媒を同金属の錯化合物、例えばアンミン錯体やカルボン酸錯体のような熱分解しやすいものとしておき、これと(2)の有機金属錯体とを可溶性の有機溶媒に同時に溶解し、蒸発乾固する方法、あるいは(1)の遷移金属触媒の水溶性錯化合物、例えばアンミン錯体と(2)の有機金属錯体の水溶液を混合し、蒸発乾固する方法などを挙げることができる。
【0014】
本発明に係る触媒は、好ましくは、触媒担体の表面に担持させて用いることが好ましい。担体としては、従来公知のもの、例えばグラファイト、活性炭、グラシーカーボンのような炭素質材料、ラネーニッケル、ラネー銀のようなポーラス金属などが挙げられ、炭素質材料が好ましく使用される。炭素質材料であれば粒径0.1〜100μm、好ましくは1〜10μmのものを用いると担持が良好に行われる。
【0015】
触媒を担体に担持させる方法としては、溶解乾燥法、プラズマ蒸着法、加熱蒸着法、CVD法などの従来公知の方法が何れも使用できる。
溶解乾燥法による場合は、たとえば、(1)の遷移金属触媒を同金属の錯化合物、例えばアンミン錯体やカルボン酸錯体のような熱分解しやすいものとしておきこれと(2)の有機金属錯体との可溶性有機溶媒に担体、例えばカーボン粒子を混合し、ついで溶媒を乾燥させればよい。
【0016】
本発明においては、このようにして得られた混合触媒を直接電極担体(カーボン粒子など)に担持した形態で燃料極用の電極触媒として供することもできるが、有機金属錯体が電解質側などに溶出することを防止するために、混合触媒を担体に担持させた後、不活性ガスなどのガス中で熱処理しておくことが望ましい。
この熱処理温度は、(1)の金属触媒成分の粒径増大を防ぐ意味からは低い方が望ましいが、有機金属錯体を安定化させるには400℃程度以上の温度が必要なことが多いので、通常200〜1200℃、好ましくは400〜600℃としておくことが望ましい。熱処理時の雰囲気ガスとしては、アルゴン、窒素などの不活性ガスや水素などのガス、あるいはこれらの混合ガス等が例示される。
【0017】
本発明においては、このような電極触媒を、必要によりカーボン担持ペースト、テフロンエマルジョン、高分子電解質溶液及びバインダー等からなる混合物のような形態とし、燃料極或いは電解質側にそれ自体公知の方法例えばスプレー法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法などのような方法で設けることにより所望とする低温型燃料電池の燃料極を得ることができる。
【0018】
また、上記で得た燃料極は低温型燃料電池の耐CO被毒性電極として好適に使用される。
低温型燃料電池としては、改質ガスを用いる高分子型燃料電池、およびメタノールを燃料とする直接型メタノール燃料電池、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池のような動作温度が約300度以下の低温型燃料電池が挙げられるが、改質ガスを用いる高分子型燃料電池、およびメタノールを燃料とする直接型メタノール燃料電池のようなCO濃度の高い電池が好ましい。
【0019】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
【0020】
実施例1
原料として、白金テトラアンミン錯体、およびコバルトモノキノリルフェニレンジアミンを準備した。前者は市販の試薬[Pt(NH3)4]Cl2・nH2Oを、後者は以下の方法で合成した。
還流冷却器のついたフラスコ内で8-ヒドロキシキノリン2.9 g、o-フェニレンジアミン1.1 g、二亜硫酸ナトリウム3.8 g、純水20 mlを加え、約110℃において1週間還流加熱した。その後、反応溶液に50%水酸化ナトリウム溶液を加えアルカリ性とした。冷却後ベンゼンで抽出し、アルミナカラムクロマトグラフィーで分離精製し、ヘキサンで再結晶することでモノキノリルフェニレンジアミンの黄色結晶を得た(収率約14%)。室温において、窒素ガス脱気したアセトニトリル中で等モルのモノキノリルフェニレンジアミンと酢酸コバルト(II)四水和物を混合させることにより、コバルトモノキノリルフェニレンジアミンの赤紫色結晶を得た。
次に、白金テトラアンミン錯体、およびコバルトモノキノリルフェニレンジアミンの両者の錯体を重量比にして100:0、50:50、0:100の各割合で混合した。得られた混合触媒をグラファイト粒子(粒径1〜2μm、Aldrich Chemicals)と1:4の割合になるように秤量してこれをエタノール少量に溶かし、メノウ乳鉢を使って十分に混合した後、空気中80℃で乾燥させた。
このようにして準備された触媒担持グラファイト粒子を環状雰囲気炉に入れ、アルゴンガス雰囲気中において600℃で2時間熱処理することにより触媒担持グラファイト粒子を得た。
この触媒担持グラファイト粒子を20重量倍のナフィオン高分子5%溶液(Aldrich Chemicals)とともにディスク部が直径6 mmの高密度パイロリティックグラファイトでできた回転円盤電極に滴下乾燥し、乾燥することによって混合触媒修飾電極を作成した。
この電極におけるメタノール酸化触媒能を室温中で、窒素脱気した0.05 M 硫酸と1 M メタノール混合溶液中において評価した。測定にはポテンションスタットを用い、試験電極として混合触媒修飾電極を、参照電極として飽和カロメル電極を、対極として白金を用い、電流−電位曲線をX−Yレコーダーに記録した。
その結果を図1に触媒の混合割合をパラメーターとして示す。
図1から、白金単独触媒、あるいはコバルトモノキノリルフェニレンジアミン単独触媒では非常に低いメタノール酸化能しか示さなかったのに対し、混合割合50:50の混合触媒においては、白金よりも10倍以上優れたメタノール酸化能が実現でき、優れた協奏効果が発現していることが判る。
【0021】
比較例1
実施例1の混合触媒の代わりに、メタノール酸化触媒として優れた性能を示すことが多くの研究例で実証されている、白金・ルテニウム合金触媒10%カーボン粒子上に担持させたものを実施例1と同様に直径6 mmの高密度パイロリティックグラファイト上に修飾した電極に対して、電流−電位曲線を測定した。その結果を図2に示す。図2から、実施例1の混合触媒は、従来よりメタノール酸化触媒として極めて優れた性能を示すとされている白金・ルテニウム合金触媒と比較しても遜色のない耐CO被毒性性能を示すことが分かる。なお、比較例1の
【0022】
比較例2
実施例1において、コバルトモノキノリルフェニレンジアミンの代わりにコバルトヘキサアンミン錯体[Co(NH3)6]Cl6・H2Oを使用した以外は実施例1と同様にして白金・コバルト錯体混合触媒を作成した。この触媒を修飾した電極のメタノール酸化触媒能を調べた。その結果を図3に示す。図3から有機金属錯体であっても、中心金属がその内部に取り込まれ表面に露出していない錯体すなわち窒素配位子の配位構造が8面体構造をとり、コバルト中心金属が周囲から隔離されたような構造の場合は耐CO被毒協奏効果が発揮されにくいことが判る。
【0023】
実施例2
中心金属がバナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウム、銅である以外は実施例1におけると同様に作成された、(a)バナジウムモノキノリルフェニレンジアミン(略号V(mqph))、(b)マンガンモノキノリルフェニレンジアミン(略号Mn(mqph))、(c)鉄モノキノリルフェニレンジアミン(略号Fe(mqph))、(d)ニッケルモノキノリルフェニレンジアミン(略号Ni(mqph))、(e)パラジウムモノキノリルフェニレンジアミン(略号Pd(mqph))または(f)銅モノキノリルフェニレンジアミン(略号Cu(mqph))のおのおのの錯体を実施例と同様に白金テトラアンミン錯体とともに50:50の割合で混合、グラファイト粒子に担持アルゴン雰囲気中で600℃で2時間熱処理することにより触媒担持グラファイト粒子を得た。
これらの触媒担持グラファイト粒子から実施例1と同様に混合触媒修飾電極を作成し、室温中で窒素脱気した0.05 M 硫酸と1 M メタノール混合溶液中においてメタノール酸化触媒能を評価した。得られた電流−電位曲線をそれぞれの場合について図4〜図9に示す。各々中心金属の種類に応じたメタノール酸化特性が得られているが、特に、ニッケル、パラジウムを中心金属としたモノキノリルフェニレンジアミン錯体と白金テトラアンミン錯体を組み合わせた場合に優れたメタノール酸化特性が観察された。
【0024】
実施例3
有機金属錯体として3個の窒素配位子を平面上に持つ、(a) N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミンコバルト(略号Co(APPD))、及び4個の窒素配位子を平面上に持つ、(b) 1,4,8,11-テトラアザシクロペンタデカンニッケル(略号Ni(TACPD))の2種類のアザ錯体をコバルトモノキノリルフェニレンジアミンの代わりに用いた以外は実施例1と同様にして作成した、白金と有機金属錯体混合触媒の修飾電極において、室温中で窒素脱気した0.05 M 硫酸と1 M メタノール混合溶液中でのメタノール酸化触媒能を評価した。得られた電流−電位曲線をそれぞれの場合について図10及び図11に示す。アザ錯体単独ではメタノール酸化触媒能は発揮されなかったが、白金アンミン錯体と50:50の割合で混合後熱処理することによってメタノール酸化能が発現した。また、ここでも中心金属及び錯体の構造、窒素配位原子数の違いによってメタノール酸化能に違いが見られた。
【0026】
【発明の効果】
本発明で得られる低温型燃料電池の燃料極用電極触媒の利点は次の通りである。
(1)従来の合金系触媒、酸化物系触媒と比べCO濃度が高い系においても優れた耐CO被毒性を示す。
(2)新規触媒群の探索及び構成法の最適化が、有機金属錯体の分子設計及び合成という非常に選択の広い方法によりなされ得るため、新規触媒の開発費及び必要性能達成の可能性という点でも大きなメリットがある。
(3)2種の異なる原料物質である触媒の混合あるいは熱処理という簡単なプロセスで済むため、触媒の製法が非常に簡単化され、コストも低く抑えられる。
(4)混合触媒はそもそも高価な金属触媒の使用量低減という意味で大きなメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のPt-Co(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図2】比較例1のPt-Ru合金触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図3】比較例2のコバルトヘキサアンミン錯体[Co(NH3)6]Cl6・H2O触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図4】実施例2の(a) Pt-V(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図5】実施例2の(b) Pt-Mn(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図6】実施例2の(c) Pt-Fe(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図7】実施例2の(d) Pt-Ni(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図8】実施例2の(e) Pt-Pd(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図9】実施例2の(f) Pt-Cu(mqph)混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図10】実施例3の(a) Pt-Co(APPD)の各々混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
【図11】実施例3の(b) Pt-Ni(TACPD)の各々混合触媒で得られる電流−電位特性のグラフである。
Claims (8)
- 遷移金属又はその合金と、モノキノリルフェニレンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン及び 1,4,8,11-テトラアザシクロペンタデカンから選ばれた少なくとも一種を配位子とする有機金属錯体を含有することを特徴とする低温型燃料電池の燃料極用電極触媒。
- 遷移金属又はその合金が、周期律表第VIII族金属の1種または2種以上から選ばれる金属原子であり、平面状立体配位構造を有する有機金属錯体が、周期律表第V族、VI族、VII族及びVIII族の遷移金属原子の一種又は2種以上から選ばれる有機金属錯体であることを特徴とする請求項1記載の低温型燃料電池の燃料極用電極触媒。
- 担体表面に微粒子状に担持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料極用電極触媒。
- 担体が、炭素質材料であることを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の燃料極用電極触媒。
- 炭素質材料が、グラファイト、活性炭及びグラシーカーボンから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載の燃料極用電極触媒。
- 請求項1乃至5何れか記載の燃料極用触媒を用いた低温型燃料電池の燃料極。
- 請求項6に記載の燃料極を備えた低温型燃料電池。
- 低温型燃料電池が、固体高分子型電池又は直接型メタノール燃料電池であることを特徴とする請求項7に記載の低温型燃料電池。
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