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JP6230385B2 - 感光性樹脂組成物の製造方法及び感光性樹脂構成体の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物の製造方法及び感光性樹脂構成体の製造方法 Download PDF

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JP6230385B2
JP6230385B2 JP2013242281A JP2013242281A JP6230385B2 JP 6230385 B2 JP6230385 B2 JP 6230385B2 JP 2013242281 A JP2013242281 A JP 2013242281A JP 2013242281 A JP2013242281 A JP 2013242281A JP 6230385 B2 JP6230385 B2 JP 6230385B2
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Description

本発明は、感光性樹脂組成物及び感光性樹脂構成体に関する。
従来から、一般的な水系現像可能な感光性樹脂構成体は、寸法精度を維持するための所定の支持体層の上に、親水性共重合体、熱可塑性エラストマー等の疎水性樹脂、光重合性不飽和単量体、及び光重合開始剤等を混合した感光性樹脂組成物からなる層が積層されており、さらにその上に、スリップ層又は保護層と呼ばれる可撓性フィルム層や、赤外線レーザーでアブレージョン可能な薄層を設けられた構成を有している。
上記のような感光性樹脂構成体においては、製版品質の観点から、前記感光性樹脂組成物からなる層において、各成分の十分に高い相溶性が要求されている。
また、前記感光性樹脂構成体から印刷版を製造する方法としては、上述したように感光性樹脂組成物からなる層の上に可撓性フィルム層を設けた場合は、さらにその上に透明画像担体(ネガフィルム)を密着させ、当該ネガフィルムを通じて活性光線を照射し、前記感光性樹脂組成物層の特定部分を選択的に光硬化することで画像を形成させ、その後、当該感光性樹脂組成物層の未露光部分を、所定の水系の現像液を用いて除去(現像)することで印刷用レリーフを形成する方法が知られている。
特許文献1においては、リン酸エステル基を必須成分とする親水性共重合体を用いた感光性樹脂組成物が提案されている。
当該感光性樹脂組成物は、水系現像液で現像でき、透明性、加工性を有し、硬化時には透明性、低温弾力性に優れる硬化物が得られるという特徴を有している。
前記リン酸エステル基を必須成分とする親水性共重合体は、エマルジョン合成等で得られるが、エマルジョンを構成する分散溶媒の水から必要な固形分、すなわち親水性共重合体を取り出す工程が必要であり、具体的には、有機溶剤又は無機塩等による凝集処理や冷却による凍結凝集処理等を行うことが必要である。中でも前記無機塩を用いた凝集処理は、ラテックス固形成分を比較的硬質に凝集でき、表面の粘着性を低下させることができるため、多く用いられている。
しかしながら、上記のように親水性共重合体を凝集させると、水への分散性が低下するため、感光性樹脂組成物の未露光部分を水系現像剤で現像する工程において、洗浄性が低下するおそれがあるという問題を有している。
また、水現像性を保持しながら凸版印刷に耐え得る物性を維持するためには、従来から、水溶性ポリマー、または水膨潤ポリマー、または分子内に親水性官能基を有するポリマーなど水現像性を発現する機能を持つ親水性成分と、疎水性共重合体、特に熱可塑性エラストマーを併用して、感光性樹脂組成物の構成要素として含めることが有効であることが知られている。
例えば、特許文献2には、反応性乳化剤を用いて合成した親水性共重合体と疎水性共重合体、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーとを併用することによりフレキソ印刷版に適した物性を達成させている。
しかしながら、疎水性共重合体を感光性樹脂組成物の構成要素として含むと、感光性樹脂組成物の親水性が低下し、感光性樹脂構成体の水現像性が低下するため、製版における生産性の低下を招来するという問題を有している。
上述したような水現像性に関する問題に対し、水現像性を向上させるための方法として、親水性官能基を有するモノマー、界面活性官能基を有するモノマー、及び界面活性剤を、感光性樹脂組成物中へ添加する方法等、各種方法が提案されている。
例えば、特許文献3においては、水分散性ラテックスから得られる疎水性共重合体(1)と、ブタジエン骨格を有する親水性重合体(2)と、ジエン重合体(疎水成分)(3)とを含む組成物に、カルボン酸系共重合体(4)を添加し、前記ジエン重合体(疎水成分)(3)中に、疎水性共重合体(1)と親水性重合体(2)とが分散された樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、上記樹脂組成物においては、ジエン重合体(疎水成分)(3)中に、疎水性ラテックス成分(疎水性共重合体(1))と親水性成分(親水性重合体(2))とが分散しており、連続成分は前記ジエン重合体(疎水成分)(3)が、分子量10000以下の成分が主であるため、未硬化段階で樹脂組成物が塑性変形しやすく、長期保管に適していないという問題を有している。また、前記カルボン酸系共重合体(4)は吸水性が高いため、印刷版としても吸水性が高くなり、長期保管における版物性の保持に懸念があるという問題を有している。
また、特許文献4においては、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを用いて、親水性成分が疎水性成分を取り巻いた構成の、層分離構造を有する感光性樹脂組成物が提案されている。
当該感光性樹脂組成物を用いた場合、未露光部分を現像剤で現像する工程における洗浄速度は改善されているが、親水性成分が疎水性成分の外部に配置されているため、外部からの吸湿性が高くなるという問題を有している。
特開平7−114180号公報 特許第4627871号公報 特許第4415245号公報 特開2003−287887号公報
上述したように、従来提案されている疎水性共重合体を使用した水現像性の感光性樹脂組成物においては、その水系現像液による洗浄速度の維持、版物性の保持、特に保管時の吸水による物性低下の防止に大きな課題を有しており、洗浄速度と版物性との特性バランスが十分なものは未だ無く、今後の改善が望まれている。
そこで本発明においては、凸版印刷版製造用の感光性樹脂構成体として要求される実用上十分な特性を維持でき、水系現像液による未露光部分の洗浄性が良好で、かつ未露光の感光性樹脂組成物の経時形態安定性に優れた、特に塑性変形が効果的に抑制可能な感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決するため、感光性樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、所定の構成成分から成る疎水性成分中に、所定の構成成分から成る親水性成分が、粒子状に存在する感光性樹脂組成物が上述した課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
〔1〕
疎水性成分中に、親水性成分が、粒子状に存在し、
疎水性重合体:100質量部と、
親水性重合体:20質量部以上300質量部以下と、
エチレン性不飽和モノマー:10質量部以上80質量部以下と、
光重合開始剤:0.2質量部以上20質量部以下と、
界面活性剤:0.2質量部以上15質量部以下と、
を、含有し、
前記界面活性剤が、前記親水性重合体中に存在する、感光性樹脂組成物の製造方法であって、
前記親水性重合体が、乳化重合によって得られたラテックスであり、
前記親水性重合体を、乳化重合により合成後、エマルジョン状態の親水性重合体に前記界面活性剤を、前記疎水性重合体100質量部に対して0.2質量部以上15質量部以下添加し、その後、固液分離する、感光性樹脂組成物の製造方法
〔2〕
前記界面活性剤が、ポリアルキレングリコール基を有するノニオン系界面活性剤である
、前記〔1〕に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
〔3〕
前記界面活性剤が、前記親水性重合体の重合工程で使用した界面活性剤とは異なる界面活性剤である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
〔4〕
前記界面活性剤が、炭素数が6以上のアルキル基、アリル基、及びアリール基からなる
群より選ばれる少なくとも一の疎水基と、ポリアルキレングリコールからなる親水基と、
を有する、ノニオン系界面活性剤である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
〔5〕
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の感光性樹脂組成物の製造方法により、感光性樹脂組成物を得、
前記感光性樹脂組成物を、支持体上に積層し、
厚み0.6mm〜8mmの感光性樹脂構成体を得る、感光性樹脂構成体の製造方法
本発明によれば、水系現像液による未露光部分の洗浄性が良好で、未露光の感光性樹脂構成体の経時形態安定性に優れた、感光性樹脂組成物が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う)について、詳細に説明する。本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔感光性樹脂組成物〕
本実施形態の感光性樹脂組成物は、
疎水性成分中に、親水性成分が、粒子状に存在する感光性樹脂組成物であって、
疎水性重合体:100質量部と、
親水性重合体:20質量部以上300質量部以下と、
エチレン性不飽和モノマー:10質量部以上80質量部以下と、
光重合開始剤:0.2質量部以上20質量部以下と、
界面活性剤:0.2質量部以上15質量部以下と、
を、含有し、
前記界面活性剤が、前記親水性重合体中に存在する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、疎水性成分中に親水性成分が粒子状に存在する構成を有している。粒子状に存在する、とは、疎水性成分よりなる連続相中に親水性成分が島状に分離している、いわゆる海島構造を意味する。
以下、前記海島構造の前記親水性成分よりなる粒子以外の部分を、以下疎水層と記載する場合がある。
前記疎水性成分とは、非水溶性のポリマー、親水性官能基を1種類以上含有するジエン共重合体、オリゴマー、光重合性モノマー等の単独成分、またはこれらを混合均一化した成分である。ここで、前記親水性官能基を1種類以上含有するジエン共重合体は、その骨格がジエン共重合体であるため、疎水成分との相溶性が良く、疎水層の構成要素となる。
前記親水性成分とは、カルボン酸基、スルフォン酸基、リン酸基、それらの塩、又はポリエチレングリコール等のポリアルキレン鎖、水酸基等を有する重合体又はオリゴマー等である。
ここで、本実施形態の感光性樹脂組成物に含有されている前記疎水性重合体、エチレン性不飽和モノマー、及び光重合開始剤は、疎水性成分であり、加熱溶解、又は溶解混合により均一に混合された形態を持つ疎水層すなわち海部を形成する。
一方、親水性重合体は、親水性成分であり、極性が高いこと、及び加温による溶融性、有機溶剤に対する溶解性が低いことから、一般的に感光性樹脂組成物を溶融混練する温度条件や、溶剤への溶解混合では、前記疎水層と均一な組成を形成できず、前記疎水層中に粒子状に存在する形態、すなわち島部を形成する。
以下、本実施形態の感光性樹脂組成物の構成要素について詳細に説明する。
(疎水性重合体)
疎水性重合体とは、非水溶性の重合体、又はカルボン酸、スルフォン酸、リン酸、これらの塩、ポリアルキレングリコール鎖等の各種極性基又は親水性官能基を有さない重合体である。
疎水性重合体は、未硬化の感光性樹脂組成物の経時安定性、すなわち経時的な形態維持の観点から、分子量1万以上であることが好ましい。
疎水性重合体としては、熱可塑性エラストマーが挙げられ、以下に限定されるものではないが、例えば、共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、又は共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物とを共重合して得られる共重合体が挙げられる。
疎水性重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。
これらの中で、フレキソ印刷版としての特性、すなわち版面の反発弾性、強伸度物性、樹脂版硬度、及び未露光時の形態安定性や、入手性等の観点から、疎水性重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体等が好ましい。
これらの疎水性重合体は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物中の、前記疎水性重合体の含有量は、感光性樹脂組成物100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
感光性樹脂組成物100質量部に対し、前記疎水性共重合体の含有量が50質量部以下であると、感光性樹脂組成物における十分な親水性を確保でき、実用上良好な現像速度が得られる。
また、感光性樹脂組成物100質量部に対し、前記疎水性共重合体の含有量が10質量部以上であることにより、良好な樹脂物性、特に伸度が得られ、高い曲げ応力に対する耐性が得られ、クラックによる破断を効果的に防止できる。
(親水性重合体)
親水性重合体とは、水溶性又は水膨潤性のポリマーであり、分子内にカルボン酸、スルフォン酸、リン酸、又はこれらの塩、又はアミノ基、水酸基、又はポリアルキレン鎖、若しくはポリアルキレングリコールなどの親水性官能基を少なくとも1つ以上有する重合体、又は乳化重合により得られる親水性官能基を含有するラテックスである。
親水性重合体は、親水性を発現させるために、カルボン酸、スルフォン酸、リン酸、又はこれらの塩、又はアミノ基、水酸基、又はポリアルキレン鎖、又はポリアルキレングリコールなど、親水性官能基を分子内に有し、それ自体が水溶性であるか、水に分散する重合体を含んでいる。
前記水に分散する重合体としては、水分散性エマルジョンから得られる重合体が挙げられる。具体的には、特願昭63−131192号公報等に記載されているカルボキシル化スチレンブタジエンラテックス;特開昭61−128243号公報、特開平6−194837号公報、及び特開平7−134411等に記載されているカルボキシル基を含有する脂肪族共役ジエンの重合体;特開平9−15860号公報に記載されている燐酸基又はカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の乳化重合体;特開平3−206456に記載されているスルフォン酸基を含有するポリウレタン;特許第3836433号公報に記載されている反応性乳化剤を用いて合成されたたジエン系ラテックス等が挙げられる。
これらの親水性重合体は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物中における親水性重合体の含有率は、上述した疎水性重合体100質量部に対し、20質量部以上300質量部以下であるものとし、30質量部以上250質量部以下が好ましく、40質量部以上250質量部以下がより好ましい。
疎水性重合体100質量部に対して親水性重合体が20質量部以上であると、感光性樹脂組成物中における親水性成分比率を十分に確保でき、良好な未露光部分の洗浄速度が得られる。また、300質量部以下とすることにより、感光性樹脂組成物中の島成分が過多になることを防止でき、感光性樹脂組成物の強伸度物性の低下を抑制でき、製版後の印刷版において実用上十分な強度が得られる。
本実施形態の感光性樹脂組成物の製造に用いる親水性重合体としては、前記水に分散する重合体が好ましく用いられ、水系溶媒中に重合体粒子が分散している状態、すなわちエマルジョン状態であることが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物の製造工程においては、前記エマルジョンから固液分離を行い、固形分である水分散性ラテックスを取り出し、これを親水性重合体として用いることが好ましい。一般的には、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム等の無機系凝集剤、又はアルコール等を添加して前記エマルジョンから水分散性ラテックスを凝集させ、その後、濾過等による分離を行う方法が知られている。
特に、親水性重合体は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びアルミニウムからなる群より選ばれる金属を含む無機金属塩の凝集剤を用いて水分散性ラテックスを凝集させた後、親水性重合体を分離する方法が、その後の感光性樹脂組成物を製造する観点から好ましい。無機金属塩の凝集剤を用いて凝集処理を行い分離させた親水性重合体は、アルコールなどで凝集・分離させた親水性重合体と比較して硬質な性状を持ち、水との分離が良好で単離収率が良いという特徴を有している。また後工程で、親水性重合体以外の感光性樹脂成分との混合工程において装置への付着が起きにくく、製造効率の良い加工プロセスが可能となる。
さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物は、後述する界面活性剤が親水性重合体中に存在していることに特徴を有しており、親水性重合体は、界面活性剤をエマルジョン状態の親水性重合体に添加し、固液分離されて得られたものであることが好ましい。
なお、親水性重合体としては、上述したように、水分散性エマルジョンから得られる重合体が適用でき、当該親水性重合体は、各種の界面活性剤を用いた乳化重合法により製造できる。
なお、親水性重合体の製造工程において用いる界面活性剤と、本実施形態の感光性樹脂組成物中に含有されている、後述する界面活性剤とは、前者が親水性重合体の重合工程で添加されるものであり、後者が重合により得られた親水性重合体にさらに添加されるものである点で明確に区別される。
親水性重合体の製造工程において用いる界面活性剤と、本実施形態の感光性樹脂組成物中に含有されている、後述する界面活性剤とは、親水性重合体の物性の観点から異なるものであることが好ましい。
本実施形態において使用される親水性重合体は、乳化重合によって得られ、合成に使用される乳化剤(界面活性剤)は、耐水性や耐刷性の点で、反応性乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤とは、分子構造中にラジカル重合性の二重結合、親水性官能基及び疎水性基をそれぞれ有し、かつ一般の乳化剤と同様に、乳化、分散、及び湿潤機能を持つもので、親水性共重合体を乳化重合するときに、反応性乳化剤を除いた不飽和単量体100質量部に対して、単独で0.1 質量部以上用いることで粒径が5 〜 500nmの重合物が合成できる乳化(界面活性)剤である。分子構造中のラジカル重合性の二重結合の構造例としてはビニル基、アクリロイル基、あるいはメタアクリロイル基等が挙げられる。分子構造中の親水性官能基としては、例えば、硫酸基、硝酸基、燐酸基、ホウ酸基、カルボキシル基等のアニオン性基、又はアミノ基等のカチオン性基、又はポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン鎖構造等や水酸基等が挙げられる。分子構造中の疎水性基としては、例えば、アルキル基、フェニル基等が挙げられる。
前記反応性乳化剤は、その構造に含まれる親水性官能基の構造の種類によりアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤等を含む。また、それらは分子構造中のラジカル重合性の二重結合、親水性官能基及び疎水性基は複数の種類の構造、官能基を有することも可能である。
このような反応性乳化剤(反応性界面活性剤)として使用できるもののうち、一般的に市販されているものを以下に示すと、アニオン界面活性剤としては、アデカリアソープSE(旭電化工業、商品名)、アクアロンHSやBCやKH(第一工業製薬、商品名)、ラテムルS(花王、商品名)、アントックスMS(日本乳化剤、商品名)、アデカリアソープSDX やPP(旭電化工業、商品名)、ハイテノールA(第一工業製薬、商品名)、エレミノールRS(三洋化成工業、商品名)、スピノマー(東洋曹達工業、商品名)など、非イオン界面活性剤としては、アクアロンRN やノイゲンN( 第一工業製薬、商品名)、アデカリアソープNE( 旭電化工業、商品名)などを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(エチレン性不飽和モノマー)
エチレン性不飽和モノマーとは、分子内に重合可能な不飽和結合、すなわち2重結合を有する化合物であり、例えば、紫外線照射で反応する光重合開始剤から発生するラジカルにより重合反応が可能で、その重合反応によって溶剤などに対する不溶化を起こすことができる化合物のことである。
エチレン性不飽和モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン性不飽和酸とアルコール類のエステル化合物等が挙げられ、例えば、文献「光硬化技術データブック(テクノネット社発行)」等に記載された化合物が利用できる。
具体的には、ヘキシル(メタ)アクリレート、ノナン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチル,2−ブチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ECH変性アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐、環状の単官能モノマーが挙げられる。
また、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、EO(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐、環状の多官能モノマー等も挙げられる。
さらに、ジオクチルフマレート等のアルコールとフマル酸とのエステル、又はラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミド誘導体、エチレン性不飽和基を含有するウレタンオリゴマー等も挙げられる。
これらのエチレン性不飽和モノマーは1種のみを単独で使用してもよく、目的とする樹脂物性を持たせるために2種以上併用してもよい。
エチレン性不飽和モノマーの含有量は、上述した疎水性重合体100質量部に対し、10質量部以上80質量部以下であるものとし、15質量部以上75質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。
疎水性重合体100質量部に対してエチレン性不飽和モノマーの含有量が80質量部以下であることにより、実用上良好な未露光状態での保管安定性が得られ、10質量部以上であることにより、実用上十分な硬度が得られ、印刷版としての物性が維持できる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤とは、紫外光によりラジカルを発生し、2重結合等を有する化合物にラジカル重合を開始させる化合物である。
光重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、文献「光硬化技術データブック(テクノネット社発行)」、「紫外線硬化システム(総合技術センター発行)」等に記載されたものが使用できる。
具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチロールベンゾイン、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン,o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビスアシルフォスフィンオキサイド、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル、2−モルフォリノプロパン−1−オン、チオキサントン、ベンジル、アンスラキノン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は1種のみを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、上述した疎水性重合体100質量部に対し、0.2質量部以上20質量部以下であり、0.5質量部以上15質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がより好ましい。
光重合開始剤の添加量が疎水性重合体100質量部に対して0.2質量部以上であると、重合により十分な不溶化効果が得られ、微細な画像を形成可能な感光性樹脂構成体及び印刷版が得られる。また、物性的に優れた印刷版が得られ、印刷における耐刷性も良好であり、細字、網点等の微細な画像の欠け等を効果的に防止できる。
光重合開始剤の添加量が疎水性共重合体100質量部に対して20質量部以下であることにより、光重合開始剤による活性光線の吸収を抑制でき、印刷版内部と印刷版表面の硬化度を均一化することができ、版表面の柔軟性を十分に確保でき、印刷機のシリンダーへの着脱を繰り返しても、ひび割れ(クラック)の発生を防止でき、高い印刷品質が得られる。
(界面活性剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、親水性重合体の重合工程で使用した界面活性剤以外の界面活性剤を含有しており、上述した親水性重合体中に界面活性剤が存在している。
このような界面活性剤としては、親水基としてポリアルキレングリコール基を有するノニオン系界面活性剤が好ましい。
前記ノニオン系界面活性剤を構成する疎水基としては、炭素数が6以上のアルキル基、アリール基、アリル基などが挙げられる。
界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルエーテル構造を有する「ニューコールシリーズ」、「ニューコールNTシリーズ」(日本乳化剤製)、ノイゲンTDS、XL、TDX、SD、DKS−NLシリーズ(第一工業製薬製)、エマルミンシリーズ、サンノニックシリーズ(三洋化成製)等が挙げられる。
またポリオキシエチレン多環フェニルエーテル構造を有する「ニューコール7XXシリーズ」(日本乳化剤製)、ノイゲンEA−7(第一工業製薬)なども挙げられる。
これらの界面活性剤の添加量は、上述した疎水性重合体100質量部に対して0.2質量部以上15質量部以下とし、0.2質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
界面活性剤の添加量が、疎水性重合体100質量部に対して0.2質量部以上であると水現像性付与の効果が得られ、15質量部以下であることにより経時保存安定性維持の効果が得られる。
詳細には、界面活性剤の添加量が上述した疎水性重合体100質量部に対して15質量部を超えると、樹脂版からの経時によるブリード(樹脂からの液状成分の滲み出し)の懸念がある。また活性剤種によっては樹脂のヘイズ(光散乱)が増加し、画像露光時の紫外光線を散乱させ、白抜き画像の深度を低下させるなどの画像再現品質を悪化させるため望ましくない。
また、界面活性剤の添加量が上述した疎水性重合体100質量部に対して0.2質量部未満であると、十分な洗浄速度が得られなくなり、目的とする洗浄性の改善効果が得られないおそれがある。
本実施形態の感光性樹脂組成物においては、界面活性剤が親水性重合体中に存在していること、すなわち親水性重合体中に局在化している点に特徴を有している。
界面活性剤が親水性重合体中に存在した状態とする方法としては、例えば、乳化重合で得られた親水性重合体を含むエマルジョンに、所定の界面活性剤を添加し、親水性重合体粒子に取り込ませた状態として、固液分離により親水性重合体を液中から取り出し、その後の加工プロセスへと進める方法が好ましい。この方法を適用することにより、親水性重合体の粒子内、すなわち海島構造の島部に効率よく界面活性剤を存在させることができ、かつ疎水層である海部への界面活性剤の存在を抑制することができる。
海部に界面活性剤が存在すると、経時での吸湿が版全体で生じるため物性低下を招来するおそれがあるが、親水性重合体中に存在させることにより、吸湿による物性低下を効果的に抑制することができる。
また、界面活性剤は極性基を有するため、疎水性成分の海部での相溶性が悪く、分離、又は樹脂中での散乱を高くしてしまい、感光性樹脂組成物のヘイズが上昇するおそれがある。従って、疎水性重合体及び親水性重合体以外の液状成分と、所定の低分子量成分等との混合物(ドープと呼称)を事前に作る方法を適用して当該ドープ成分に界面活性剤を添加し、事後的に前記疎水性重合体及び親水性重合体と混合する方法は、ドープの不均一化(経時による分離)、また感光性樹脂組成物中の界面活性剤の偏析を起こし、樹脂版のヘイズの上昇を招来するおそれがある。
(可塑剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、可塑剤として、上述した疎水性重合体と相溶性が良好な液状ポリマー又はオリゴマーを含有させてもよい。
可塑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、重量平均分子量500〜60000の、液状の1,2(又は1,4)−ポリブタジエン、1,2(又は1,4)−ポリイソプレン、さらにはこれらの末端変性品、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油等が挙げられる。
可塑剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
特に、上述した疎水性重合体としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を用いる場合、可塑剤としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体との混合性の観点から、液状1,2(又は1,4)−ポリブタジエン、1,2(又は1,4)−ポリイソプレンが好適である。
前記液状の1,2(又は1,4)−ポリブタジエンとしては、例えば、B-1000、B2000、B3000(日本曹達製)、B-700、B-2000、B3000(日本石油化学製)、LBR-352、LBR-305、LBR-300(クラレ製)、POYLVEST110、130(EVONIK製)、Ricon152、153(SARTOMER製)等が挙げられ、前記液状の1,2(又は1,4)−ポリイソプレンとしては、例えば、LIR-30、LIR-50(クラレ製)等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、未硬化の感光性樹脂組成物を具備する感光性樹脂構成体の貯蔵安定性の観点から、上述した疎水性重合体100質量部に対し、40質量部以上400質量部以下であることが好ましく、50質量部以上350質量部以下であることがより好ましく、70質量部以上300質量部以下であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述した各種構成材料の他、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、重合禁止剤、染料、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、耐オゾン剤等が挙げられる。
前記重合禁止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ハイドロキノン、P−メトキシフェノール、2,4−ジ−t−ブチルクレゾール、カテコール、t−ブチルカテコール等のフェノール類、又は分子内にチオエーテル基等を有する化合物が挙げられる。
前記重合禁止剤は、本実施形態の感光性樹脂組成物100質量部中に0.05質量部〜10質量部含有することが好ましく、0.1〜8質量部含有することがより好ましく、0.3〜5質量部含有することがさらに好ましい。
感光性樹脂組成物中において、重合禁止剤を0.05質量部以上含有することにより、樹脂混練時において、熱による予定していない重合反応による洗浄性の低下を防止することができる。また、10質量部以下であることにより、露光による硬化速度の低下を防止することができ、またはレリーフ形成時において微小なサイズの画像を形成することが可能となる。
前記染料、紫外線吸収剤は、樹脂の感度、つまり光重合反応による硬化反応速度を調整するために添加する。これらの添加量についてはその物質の特定波長に対する吸光度により添加量が異なるため、適正な添加量の数値範囲は使用する材料によって選択する。
前記耐オゾン剤は、製版工程における殺菌灯での露光時に発生するオゾン、又は印刷において原反フィルムをインラインでコロナ処理する際に発生するオゾンによる劣化を抑制するために添加することが好ましい。これらの薬剤は上記効果に加え、感光性樹脂の硬化感度を低下させる機能があるため、添加量は重合禁止剤の量と合わせて調整することが好ましい。
〔感光性樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の感光性樹脂組成物の製造方法については、特に限定されるものではないが、例えば、疎水性重合体、上述のようにして界面活性を含有させた親水性重合体、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤を、2軸押出機、ニーダーなどを用いて、加熱溶融、混合する方法が好ましい。
この場合、すべての材料を一度に投入して溶融混合してもよいし、またはポリマー類を先に溶融、又は混合しておき、その後にその他の液状成分、粉体成分を添加し、又はそれらの混合物を添加し、混合してもよい。
また各成分を溶剤などに溶解させ、キャスティングし、感光性樹脂成分を混合してもよい。
〔感光性樹脂構成体〕
本実施形態の感光性樹脂構成体は、所定の支持体上に、上述した感光性樹脂組成物が積層された構成を有する。
支持体としては寸法精度が優れたものが好ましく、75μm〜300μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。
また、支持体としては、感光性樹脂組成物との接着性を維持させるために接着剤層を設けた構成や、予め易接着層を積層させた構成のポリエチレンテレフタレートフィルムなどが好適に用いられる。
前記接着剤層や易接着層、又はポリエチレンテレフタレートフィルム自体に、紫外線吸収剤や染料を練り込み、支持体側から全面露光を行う際の透過率を調整してもよい。
本実施形態の感光性樹脂構成体の厚みは、目的とする印刷画像及び印刷機への適合性を考慮して決定され、当該感光製樹脂構成体の厚みは0.6mm以上8mm以下が一般的である。
微細な画像を印刷する印刷版に適用することを目的とする場合、印刷版の厚みは薄くなる傾向があるため、感光性樹脂構成体の厚みは、1mm以上3mm以下であることが好ましく、より細かい画像を印刷する印刷版に適用することを目的とするためには感光性樹脂構成体の厚みは1.14mm以上1.70mm以下であることがより好ましい。なお、印刷版の厚みは印刷機によって使用版厚範囲が決定されるため、上記範囲の限定されるものではない。
本実施形態の感光性樹脂構成体は、上述した感光性樹脂組成物の層と支持体とに加え、必要により、感光性樹脂組成物の層の表面に所定のスリップ層を有していてもよい。
当該スリップ層とは、感光性樹脂組成物の層にネガフィルムを介して画像露光をする際、感光性樹脂組成物の層とネガフィルムとを密着させる機能を有する層であり、スリップ層を設けることによりネガフィルムと感光性樹脂組成物の層との間に不均一な空気だまりが発生することを抑制でき、ネガフィルムに忠実な画像形成を行うことができる。
また、前記スリップ層は、ネガフィルムへの感光性樹脂組成物成分の転写を抑制し、さらには感光性樹脂組成物層の面からのネガフィルムの剥離を容易にし、ネガフィルムの繰り返し使用を容易にする機能も有している。
前記スリップ層としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが好ましい。
このような材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルム等が挙げられる。
これらのスリップ層を構成するフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。これらのスリップ層を構成するフィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、0.5〜30μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。
また、前記スリップ層を構成する材料としては、現像溶剤で直接除去できるものが製版工程の簡略化の観点から有利である。このような材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及びこれらの変性体、又はエステル変性セルロース誘導体などが挙げられる。これらはそれぞれ適した溶剤、すなわち水、アルコール、有機溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解した後、所定の基材へ塗工し、目的とする膜厚の層を形成させた後、感光性樹脂組成物層へ積層し、当該感光性樹脂組成物層の表面に転写させることで形成できる。
また、スリップ層には必要に応じて染料、紫外線吸収剤などスリップ層の紫外線透過率を調整する材料を添加してもよい。
また表面、すなわち支持体の反対側の面(印刷面になる側の面)の硬化特性を調整するために重合禁止剤などを添加してもよい。
スリップ層を塗工、又は転写させる基材は、スリップ層、及び感光性樹脂組成物の表面を保護する保護層として機能する。当該基材の材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルム等が挙げられる。また、例えば、特開昭59−202457号公報に示されている剥離性に優れたフィルムを用いることもできる。特にポリエチレンテレフタレートフィルムはその入手性から好適である。
前記基材の厚みは、本実施形態の感光性樹脂構成体としてのハンドリング性、また剥離性の観点から10〜150μmが好ましく、25〜125μmがより好ましく、75〜100μmがさらに好ましい。
本実施形態の感光性樹脂構成体に用いられる前記スリップ層の重要な特性は、感光性樹脂組成物層との密着力について、感光性樹脂組成物層とスリップ層との密着力が、支持体と感光性樹脂組成物層との接着よりも十分に小さく、容易にスリップ層が剥離できることである。また、現像液で除去できるスリップ層の場合、スリップ層と感光性樹脂組成物との密着力に比べ、スリップ層と保護層(基材)の密着力が十分に小さく、保護層(基材)が容易に剥離できることである。
本実施形態の感光性樹脂構成体は、上述したスリップ層に代えて、赤外線で描画可能な赤外線アブレージョン層を設けた構成とすることもできる。
前記赤外線アブレージョン層は、バインダーポリマーと赤外線吸収物質、及び非赤外線の遮蔽物質により構成される。
前記非赤外線とは、赤外線以外の光線、例えば紫外光線などを意味する。
また、前記赤外線吸収物質と、前記非赤外線遮蔽物質は同じでも異なっていてもよい。
前記バインダーポリマーは、現像溶液に溶解又は分散し、樹脂面から容易に脱離する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のモノビニル置換芳香族炭化水素とブタジエンやイソプレン等の共役ジエンからなる共重合体;、モノビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加処理をしたもの;ポリビニルアルコール、及びこれらの変性品、(メタ)アクリル酸重合体、又はこれらを含む共重合体、ポリアミド、及び変性ポリアミド、エステル変性したセルロース誘導体など、水溶性、非水溶性いずれの特性を持つポリマーが挙げられる。
前記赤外線吸収物質には、通常、750〜2000nmの範囲で強い吸収を持つ単体、あるいは化合物が使用される。このような赤外線吸収物質としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム等の無機顔料や、ポリフタロシアニン化合物、シアニン色素、金属チオレート色素等の色素類等が挙げられる。特に、カーボンブラックは粒径が13〜85nmの広い範囲で使用が可能であり、粒径が小さいほど赤外線に対する感度が高くなる。
これらの赤外線吸収物質は、使用するレーザー光線で除去可能な感度を有する範囲で添加することが好ましい。一般的には、感光性樹脂組成物の層の構成材料中、10〜80質量%の添加量が好ましい。
前記非赤外線の遮蔽物質としては、例えば、紫外光線を反射又は吸収する物質を使用できる。このような非赤外線の遮蔽物質としては、以下に限定されるものではないが、例えば、紫外線吸収剤やカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。非赤外線の遮蔽物質の一般的な添加量としては、光学濃度(OD値)が2以上、好ましくは3以上になるように調整することが好ましい。なお、カーボンブラックのように赤外線吸収と非赤外線遮蔽を兼ね備えたものはその材料として特に好ましい。
本実施形態の感光性樹脂構成体においては、上述した赤外線アブレーション層の上に、さらに、必要に応じてポリエチレンテレフタレートフィルム等のカバーフィルムを積層した構成としてもよい。
このとき赤外線アブレーション層とカバーフィルムとの剥離性を改良するために、シリコン化合物等の離型剤等の添加剤を併用してもよい。離型剤は赤外線アブレーション層に添加してもよく、また、シリコン処理を施したカバーフィルムを用いてもよい。
また、カバーフィルムの剥離時に発生する静電気を抑制するために、予め帯電処理を施したフィルムをカバーフィルムとして使用してもよい。この場合、前記帯電処理を施す面は、赤外線アブレージョンの塗工面側でもよいし、非塗工面側でもよい。
(感光性樹脂構成体の製造方法)
本実施形態の感光性樹脂構成体は、支持体、感光性樹脂組成物層、及び必要に応じて上述したスリップ層及び保護層、又はアブレーション層を積層することにより製造することができる。
例えば、感光性樹脂組成物層を形成するために用いる感光性樹脂組成物を、所定の感光性樹脂組成物調合液にしておき、まず支持体上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に感光性樹脂組成物からなる層を積層する。
次いで、必要に応じて、当該感光性樹脂組成物の層上にスリップ層及び保護層を積層したり、又はアブレーション層を積層したりすることにより感光性樹脂構成体を製造することができる。
また、2軸押出し混練機やニーダーなどで混練した感光性樹脂組成物を、支持体とスリップ層、又は赤外線アブレージョン層を塗工した保護層との間に挟み込む形で目的とする厚みの感光性樹脂組成物層を成形する方法等を適用してもよい。
〔印刷版〕
上述した当該感光性樹脂組成物層を所望の印刷パターンに応じて露光し、当該露光後の感光性樹脂組成物層における未露光部を現像剤で除去することによって所望の印刷パターンを有する印刷版が得られる。
現像剤としては、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記アニオン系界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、燐酸エステル塩、ジチオ燐酸エステル塩等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型界面活性剤や、グリセロール脂肪酸エステル,ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエステル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型界面活性剤等が挙げられる。
また、現像速度を向上させるために、前記現像剤には、浸透性成分として、アルキルグリコールエーテル等の浸透剤を含有させてもよい。
前記浸透剤は洗浄する感光性樹脂組成物の組成により選択することができる。
前記浸透剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジブチルジグリコールエーテル等のポリエチレングリコールエーテル型非イオン浸透剤等が挙げられる。
前記浸透剤の含有量は、前記現像剤100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上10質量部以下である。
前記現像剤には、アルカリビルダーを含有させてもよい。アルカリビルダーとしては、有機材料、無機材料のいずれも用いることができるが、pH9以上に調整できるものが好ましい。
アルカリビルダーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂構成体から印刷版を製造する工程における現像方式には特に影響されないが、未硬化樹脂を効率よく除去するために、ブラシを併用することが好ましい。具体的には、現像後の感光性樹脂構成体を洗浄液に浸漬させた状態でブラシを用いて未露光部を溶解、又は掻き落とす現像方式、スプレー等で版面に洗浄液を振りかけながらブラシで未露光部を溶解又は掻き落とす現像方式等が挙げられる。
以下、本発明について、具体的な実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔特性の評価方法〕
(経時安定性:コールドフローの評価)
後述する実施例及び比較例により製造された感光性樹脂構成体(2.84mm、支持体及び保護膜を含む)を、5cm×5cmのサイズに切り、23℃で1日保管後、同一でない位置の厚み5点を測定した。5点の平均値を初期の版厚(A)とした。
その後、水平に配置した40℃の加温装置の中で、感光性樹脂構成体にかかる荷重が280kg/m2になるように加工した金属板(7cm×7cmの面積)を均等になるように、サンプルの感光性樹脂構成体の上部に置き、24時間保管した。
上述した条件で保管した後、さらに23℃で1日保管し、初期の版厚(A)を測定した位置と同じ位置の厚み5点を測定した。5点の平均値を、保管後の厚み(B)とした。
これら版厚(A)、(B)を用い、コールドフロー値(CFR)を以下の式により算出した。
CFR=(A−B)/A×100(%)
このコールドフロー値(CFR)の数値が大きいと、未硬化の感光性樹脂構成体に対する加重保管状態での塑性変形が発生しやすくなると判断できる。
CFRが2%を超えると、感光性樹脂構成体の端部から樹脂のはみ出しが発生する傾向があることが分かった。
さらにCFRが4%を超えると感光性樹脂構成体の厚みの顕著な変化、すなわち版厚低下が印刷における実害を起こす領域に達することが分かった。
なお、経時安定性は、下記により評価を行った。
評価基準:
経時安定性:コールドフロー評価
○:2%以下、△:2%超〜4%以下(実用下限)、×:4%超(実用困難)
(洗浄性)
後述する実施例及び比較例で製造した、厚み1.14mmの感光性樹脂構成体を、ノニオン系界面活性剤を主成分とする現像剤(旭化成イーマテリアルズ 製品名W300)4質量%、炭酸ナトリウムでpH=10に調整した現像液を用い、平型洗浄機(ロボ電子製)により未露光部の洗い出しを15分間行った。
その後、60℃で30分間乾燥し、ケミカルランプ及び殺菌灯を用いて、各々1000mJずつ後露光を行い、版厚を測定した。
初期の版厚(1.14mm)から洗浄後の版厚の差が15分間の洗浄量(C)とした。
この15分の洗浄による洗い出し量を元に、0.6mmを洗浄する時間(D)を換算し、当該感光性樹脂組成物の洗浄時間とした。
この洗浄時間が短いほど洗浄性は高く、版の特性としては望ましいと判断した。
D(分/mm)= (15(分)/C(mm))×0.6
洗浄速度は、0.6mmを洗浄するためにかかった時間を算出し、以下の基準により評価した。
○:20分以内、△:30分以下(実用下限)、×:30分超(実用困難)
(樹脂ヘイズ)
後述する実施例及び比較例により製造された感光性樹脂組成物を、片面側をシリコン離型処理した100μmの厚みのPETフィルムではさみ、2.84mmの厚みに熱プレス機を用いて成形し、感光性樹脂構成体を得た。
この感光性樹脂構成体の樹脂のヘイズを、濁度計NDH5000(日本電飾工業株式会社製)を用いて、JIS K 7150の規格に準じて測定をし、下記の基準により評価した。
〇:30%以下、△:50%以下、×:50%超
(液状成分安定性)
下記表1中、実施例1〜7、比較例1〜3において、疎水性重合体、及び親水性共重合体を除いた他の成分を混合し、60℃に加温し3時間撹拌を行い、その後、室温(20℃〜30℃)程度まで冷却を行い、混合液を得た。
前記混合液を50mLのコレクションバイアル管に移し、液の状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
〇:分離なし、×:分離する
〔製造例〕
(親水性重合体分散液(エマルジョン)の合成)
攪拌装置と温度調整用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水125質量部、及び乳化剤(α−スルフォ(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2プロペニルオキシ)エトキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩(商品名 アデカリアソープ 旭電化工業製)2質量部を初期仕込みとした。
前記耐圧反応容器の内温を、重合温度まで昇温した後、アクリル酸2質量部、メタクリル酸5質量部、ブタジエン80質量部、スチレン10質量部、ブチルアクリレート23質量部、t−ドデシルメルカプタンの油性混合液と、水28質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2質量部、乳化剤(商品名 アデカリアソープ 旭電化工業製)1質量部からなる水溶液とを、それぞれ一定流速で、前記油性混合液を5時間、前記水溶液を6時間かけて添加した。
その後、1時間保持して重合を完了した後、冷却し、ラテックスを得た。
生成したラテックスを水酸化ナトリウムでpH7に調整した後、スチームストリッピングで未反応物を除去し、最終的に固形分濃度40%の親水性重合体分散液(エマルジョン)を得た。
親水性重合体の数平均粒子径は、40nmであった。
親水性共重合体の数平均粒子粒子径は、日機装株式会社製、MICROTRAC粒度分析計(型式:9230UPA、商標)を用いて求めた。
(親水性重合体 固液分離例1)
前記親水性重合体エマルジョンに、後述する実施例及び比較例に記載の界面活性剤を添加し、均一に混合した後、エマルジョン中の親水性重合体の固形分量100質量部に対し2質量部に相当する量の硫酸マグネシウムを水溶液として添加し、親水性重合体を凝集させた。
これを200メッシュの濾布を用いて脱水処理を行い、60℃のパーフェクトオーブン内で3時間乾燥処理を施し、親水性重合体(乾燥物)を得た。
この親水性重合体(乾燥物)中の凝集剤量は、親水性重合体の固形分量100質量部に対して約1.2質量部であった。
(親水性重合体 固液分離例2)
前記親水性重合体エマルジョンに、エマルジョン中の親水性重合体の固形分量100質量部に対し2質量部に相当する量の硫酸マグネシウムを水溶液として添加し、親水性重合体を凝集させた。
これを200メッシュの濾布を用いて脱水処理を行い、60℃のパーフェクトオーブン内で3時間乾燥処理を施し、親水性重合体(乾燥物)を得た。
この親水性重合体(乾燥物)中の凝集剤量は、親水性重合体の固形分量100質量部に対して約1.2質量部であった。
〔実施例1〕
<親水性重合体>
上述した〔製造例〕の(固液分離例1)で得られた、界面活性剤を含有する、親水性重合体(乾燥物):25質量部
<使用した界面活性剤>
ニューコールNT12(日本乳化剤):0.1質量部
<疎水性重合体>
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(クレイトンKX405 シェル化学 商品名):20質量部
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(タフプレン315 旭化成ケミカルズ製 商品名):10質量部
<可塑剤>
液状ポリブタジエン(B3000 日本曹達 商品名):30質量部
<エチレン性不飽和モノマー>
ヘキサンジオールジメタクリレート(ライトエステル1,6HX(共栄社化学)):3質量部
2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート(ライトアクリレートBEPGA(共栄社化学)):5質量部
ジシクロペンタジエンジアクリレート(ライトアクリレートDCPA(共栄社化学)):5質量部
<光重合開始剤>
ベンジルメチルケタール(Irgacure651(BASF)):2.5質量部
<重合禁止剤>
2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(スミライザーGM(住友化学)):1質量部
上記構成材料を、130℃のニーダーを用いて均一に混練し、感光性樹脂組成物を得た。
この感光性樹脂組成物を、120℃の熱プレス機を使用し、光硬化接着剤層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(XBF-E28 旭化成イーマテリアルズ製)と、粘着防止層を有するフィルム保護膜(XCF-J10 旭化成イーマテリアルズ製)とを用いて、1.14mmの厚みに成形し、感光性樹脂構成体を得た。
〔実施例2〕
実施例2においては、以下の材料を使用した。その他の条件は、実施例1と同様とし、感光性樹脂組成物及び感光性樹脂構成体を製造した。
<親水性重合体>
上述した〔製造例〕の(固液分離例1)で得られた、界面活性剤を含有する、親水性重合体(乾燥物):25質量部
<使用した界面活性剤>
ニューコール1020(日本乳化剤 商品名):0.2質量部
<疎水性重合体>
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(クレイトンKX405 シェル化学 商品名):30質量部
<可塑剤>
液状ポリブタジエン(Ricon100 CRAY VALLEY 商品名):30質量部
<エチレン性不飽和モノマー>
ヘキサンジオールジメタクリレート(ライトエステル1,6HX(共栄社化学)):3質量部
ノナンジオールジアクリレート(ライトアクリレート1.9NDA 共栄社化学)):8質量部
ジシクロペンタジエンジアクリレート(ライトアクリレートDCPA(共栄社化学)):2質量部
<光重合開始剤>
ベンジルメチルケタール(Irgacure651(BASF)):2.5質量部
<重合禁止剤>
2,6−ジ-tert-ブチル―4-メチルフェノール(スミライザーBHT 住友化学 商品名) 1質量部
〔実施例3〜7〕
<界面活性剤>の種類、及び原料の添加量を、下記表1に示すように変更した。
その他の条件は、実施例1と同様の方法により感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂構成体を製造した。
〔比較例1〕
上述した〔製造例〕の(親水性重合体 固液分離例2)において親水性重合体をエマルジョンから単離する際に、界面活性剤を添加せず、親水性重合体(乾燥物)を得た。当該親水性重合体を用い、その他の条件は実施例1と同様とし、感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂構成体を製造した。
〔比較例2〕
界面活性剤としてNT−5(日本乳化剤 商品名)を使用し、これを疎水性重合体、親水性重合体以外の成分すなわち、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤、可塑剤、重合禁止剤を含む液状成分とあらかじめ混合し、液状成分混合物を調製した。
その後、前記液状成分混合物を、疎水性重合体、親水性重合体(比較例1と同様に、界面活性剤を添加せずに固液分離した親水性重合体固形分)と2軸混練機で混合し、感光性樹脂組成物を得た。
〔比較例3〕
界面活性剤としてNT−9(日本乳化剤 商品名)を用い、当該界面活性剤量を7.5質量部とした。
その他の条件は、実施例1と同様として感光性樹脂組成物を得た。
上記〔実施例1〜7〕及び〔比較例1〜3〕で製造した感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂構成体を用いて、上述した(経時安定性:コールドフローの評価)、(洗浄性)、(樹脂ヘイズ)の評価を行った。 また、前記(液状成分安定性)についても評価を行った。
下記表1に、これらの評価結果を示す。
Figure 0006230385
表1中、「SBL」、「プレ混合」とは、以下の意味である。
SBL=スチレンブタジエンラテックス=親水性重合体(固形分)
プレ混合:親水性重合体と界面活性剤の事前混合
表1に示すように、実施例1〜7においては、水系現像液による未露光部分の洗浄速度が高く、未露光の感光性樹脂構成体の経時安定性に優れた感光性樹脂組成物が得られたことが分かった。
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂印刷版形成用の材料として産業上の利用可能性を有している。

Claims (5)

  1. 疎水性成分中に、親水性成分が、粒子状に存在し、
    疎水性重合体:100質量部と、
    親水性重合体:20質量部以上300質量部以下と、
    エチレン性不飽和モノマー:10質量部以上80質量部以下と、
    光重合開始剤:0.2質量部以上20質量部以下と、
    界面活性剤:0.2質量部以上15質量部以下と、
    を、含有し、
    前記界面活性剤が、前記親水性重合体中に存在する、感光性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記親水性重合体が、乳化重合によって得られたラテックスであり、
    前記親水性重合体を、乳化重合により合成後、エマルジョン状態の親水性重合体に前記界面活性剤を、前記疎水性重合体100質量部に対して0.2質量部以上15質量部以下添加し、その後、固液分離する、感光性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記界面活性剤が、ポリアルキレングリコール基を有するノニオン系界面活性剤である
    、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  3. 前記界面活性剤が、前記親水性重合体の重合工程で使用した界面活性剤とは異なる界面活性剤である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  4. 前記界面活性剤が、炭素数が6以上のアルキル基、アリル基、及びアリール基からなる
    群より選ばれる少なくとも一の疎水基と、ポリアルキレングリコールからなる親水基と、
    を有する、ノニオン系界面活性剤である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
  5. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法により、感光性樹脂組成物を得、
    前記感光性樹脂組成物を、支持体上に積層し、
    厚み0.6mm〜8mmの感光性樹脂構成体を得る、感光性樹脂構成体の製造方法
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