JP5885618B2 - ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
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Description
Cは、溶接継手の引張強さを向上させる効果がある。Cが0.03%未満の場合、Niが適量であっても溶接継手の引張強さが低くなる。一方、Cが0.15%を超えると、溶着金属の靭性が低下する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でCは0.03〜0.15%とする。なお、C源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから高炭Fe−Mn、高炭Fe−Cr等のC含有鉄合金粉末から添加できる。
Siは、脱酸剤として作用し、溶着金属の酸素量を低減して良好な延性が得られる。Siが0.15%未満であると、溶着金属の伸びが低くなる。一方、Siが0.7%を超えると、Si系酸化物が溶接金属内に介在物として分散析出し、溶接継手の曲げ延性が劣化する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でSiは0.15〜0.7%とする。なお、Si源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスからFe−Si、Fe−Si−Mn等の合金粉末から添加できる。
Mnは、Cの固溶度を高くする。Mnが2%未満では、Cの歩留りが低くなり溶接継手の引張強さが低くなる。一方、Mnが5%を超えると、MnSの過度の析出を促して靭性が低下する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でMnは2〜5%とする。なお、Mn源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Mn、Fe−Mn、高炭Fe−Mn等の金属粉末から添加できる。
Niは、オーステナイト相を安定化させ、延性が良好な溶着金属が得られる。Niが7%未満では、オーステナイト相の安定が不十分で、溶着金属の伸びが低くなる。一方、Niが9%を超えると、フェライト相の晶出を抑制して溶着金属のフェライト量が少なく、引張強さが低くなる。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNiは7〜9%とする。なお、Ni源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Ni等の金属粉末から添加できる。
Crは、安定したフェライト相を晶出し、PやS等の低融点化合物を析出させる元素を固溶させて高温割れを防止する。Crが20%未満では、フェライト相の晶出量が少なくなって割れが発生しやすい。一方、Crが25%を超えると、Cr炭化物をフェライト粒内及び粒界に析出させて曲げ延性が劣化する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でCrは20〜25%とする。なお、Cr源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Cr、Fe−Cr、高炭Fe−Cr、窒化Fe−Cr等の金属粉末から添加できる。
Nは、オーステナイト相の固溶強化を行い、安定した高い引張強さの溶着金属が得られる。Nが0.1%未満では、溶着金属の引張強さが低くなる。一方、Nが0.3%を超えると、固溶できないNが気泡となってブローホールが発生する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNは0.1〜0.3%とする。なお、N源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから窒化Mn、窒化Fe−Cr等の金属粉末から添加できる。
TiO2は、被包性が良好なスラグを形成してビード形状を良好にする。TiO2が3%未満では、その効果が十分に得られずビード形状が凸状となる。一方、TiO2が8%を超えると、アーク長が長くなり溶滴の離脱を阻害してスパッタが多発する。従って、フラックスに含有するTiO2は3〜8%とする。なお、TiO2源として、ルチール、イルミナイト、チタンスラグ、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム等を使用する。
SiO2は、スラグをガラス質として砕けやすくするのでスラグ剥離性を良好とする。SiO2が0.5%未満では、スラグのガラス化が不十分であるので除去しにくく剥離性が悪くなる。一方、SiO2が2%を超えると、アークの安定性が劣化して溶接作業が悪くなる。従って、フラックスに含有するSiO2は0.5〜2%とする。SiO2源として、珪砂、珪灰石、カリ長石、ソーダ長石、珪酸カリ、珪酸ソーダ等から添加できる。
金属弗化物は、アークの安定性を良好にする。特にN含有ステンレス鋼の溶接では、溶着金属に固溶されないNがN2ガスとしてアーク雰囲気に放出されてアークを緊縮させてアーク安定性を阻害する。従って、アーク安定性を向上させる金属弗化物の添加は必須となる。金属弗化物の1種又は2種以上の合計が0.1%未満では、アーク状態が不安定となる。一方、金属弗化物の1種又は2種以上の合計が3.0%を超えると、溶滴が爆発移行となりやすくスパッタが多発する。従って、金属弗化物の1種又は2種以上の合計は、0.1〜3.0%とする。金属弗化物源として、AlF3、NaF、K2ZrF6、LiF等を使用する。
Al2O3及びZrO2は、Nと結合して、スラグ剥離性を劣化させる窒化物を生成するのでできる限り低い方が好ましい。従って、Al2O3及びZrO2の1種又は2種の合計は0.1以下とする。Al2O3源として、カリ長石、ソーダ長石、珪砂等に含まれる不純物があり、できる限りAl2O3含有量の低いフラックス原料を使用する。また、ZrO2源として、ルチール等に含まれる不純物があるが、できる限りZrO2含有量が低いフラックス原料を使用する。
酸化物及び金属弗化物からなるスラグ成分剤の合計は、被包性が良好なスラグを形成してビード形状を良好する。この効果は5%以上添加することによって得られる。一方、スラグ剤成分の合計が10%を超えると、溶滴にスラグ剤が絡み合って溶滴移行状態が不安定でスパッタの発生量が多くなる。従って、スラグ剤の合計は5〜10%とする。
ステンレス鋼外皮へのフラックス充填率が15%未満では、ステンレス鋼外皮の肉厚が厚くなり、溶滴の離脱がスムーズに行われずに溶滴が離脱する際に大きなスパッタが発生する。一方、フラックス充填率が27%を超えると、ワイヤ製造時に断線が生じやすく生産性が悪くなる。従って、フラックス充填率は15〜27%とする。充填率の増減は、鉄粉やSUS304Lステンレス粉末等を使用して調整することができる。
Nbは、微量の添加で引張強さを向上させる。Nbが0.01%未満であると、引張強さ向上の効果がない。一方、Nbが0.5%を超えると、高温割れが生じやすくなる。また、NbCが析出して靭性を劣化させる。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNbは0.01〜0.5%とする。なお、Nb源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Nb、Fe−Nb等の金属粉末から添加できる。
Biは、スラグ剥離性を向上させる。Bi換算値が0.01%未満であると、スラグ剥離性を向上させる効果は得られない。一方、Bi換算値が0.15%を超えると、高温割れが生じやすくなる。またBi換算値が0.15%を超えると、靭性を劣化させる。従って、フラックスに含有する金属Bi及び酸化BiのBi換算値の1種又は2種の合計は0.01〜0.15%とする。
Na2O及びK2Oは、アークを安定にしてスパッタの発生を抑制する。Na2O及びK2Oの1種又は2種の合計が0.02%未満であると、アークを安定にする効果が得られない。一方、Na2O及びK2Oの1種又は2種の合計が0.20%を超えると、スパッタの発生量が増加する。なお、Na2O及びK2O源は、珪酸ソーダ及び珪酸カリからなる水ガラスから添加できる。
Claims (3)
- ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなるステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、
C:0.03〜0.15%、
Si:0.15〜0.7%、
Mn:2〜5%、
Ni:7〜9%、
Cr:20〜25%、
N:0.1〜0.3%を含有し、
さらに、フラックスに、
TiO2:3〜8%、
SiO2:0.5〜2%、
金属弗化物の1種または2種以上の合計:0.1〜3.0%を含有し、
Al2O3及びZrO2の1種又は2種の合計:0.1%以下、かつスラグ剤成分の合計:5〜10%、
フラックス充填率:15〜27%で、残部はステンレス鋼外皮のFe分、フラックスの合金鉄中のFe分、鉄粉及び不可避不純物であることを特徴とするステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。 - ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、
Nb:0.01〜0.5%と、フラックスに金属Bi及び酸化BiのBi換算値の1種又は2種の合計:0.01〜0.15%との何れか一方または両方を更に含有することを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。 - ワイヤ全質量に対する質量%で、
フラックスにNa2O及びK2Oの1種又は2種の合計:0.02〜0.20%を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
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