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JP5885618B2 - ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ Download PDF

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Description

本発明は、高強度オーステナイト系ステンレス鋼のガスシールドアーク溶接に用いるフラックス入りワイヤに関し、特にNを多く含有する高強度オーステナイト系ステンレス鋼の溶接において、母材と同等の高い引張強さが得られ、スラグの剥離性等を向上させることで良好な溶接作業性を確保する上で好適なステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤに関するものである。
SUS304等に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼は、その優れた耐食性、引張強さ及び靭性から、化学プラントやケミカルタンカー、建築構造物等に適用されている。最近ではSUS304に、Nを添加して高強度化を図ったSUS304N2やSUS304N2A等の適用範囲が広まり、構造物の薄板化、軽量化が図られ、特に建築構造物への適用が進められている。
このようなNを含有させたステンレス鋼としてのSUS304N2及びSUS304N2A等に対する溶接材料として、例えば特許文献1、2に開示されているステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤが開発され実用化されている。
特に、この特許文献1では、オーステナイト系ステンレス鋼の溶接において母材と同等の優れた強度特性を発揮させるため、ワイヤ中のC、Mn、Cr、Niの合金成分及びNのガス成分量をそれぞれ適正範囲に制御し、かつ充填すべきフラックス中に主としてスラグ剤を含有させたフラックス入りワイヤが開示されている。
また特許文献2では、Niを始めとした金属成分の含有率やスラグ成分の含有率を限定することにより、スラグの被包性や剥離性を向上させたフラックス入りワイヤが開示されている。
しかし、特許文献1に開示されているフラックス入りワイヤは、Ni量がワイヤ全重量に対して9.5〜11.5%と多いため、溶着金属の引張強さが低いという問題点があった。また特許文献1の開示技術では、スラグ剤にZrO2を含有するため、スラグの良好な剥離性を確保することができず、溶接作業性の向上が図れないという問題点もあった。
特許文献2に開示されているフラックス入りワイヤは、ワイヤ全重量に対してNiが9.0〜14.0%もの多量に亘り含有するため、溶着金属の引張強さが低いという問題点もあった。また特許文献2の開示技術では、SiO2の含有量がワイヤ全重量に対して0.1〜0.5%と少ないため、スラグ剥離性が十分ではなく、溶接作業性の向上が図れないという問題点もあった。。
特開平3−294094号公報 特開平9−239586号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、高強度オーステナイト系ステンレス鋼のガスシールドアーク溶接に用いるフラックス入りワイヤに関し、特にNを多量に含有するオーステナイト系ステンレス鋼の溶接において、母材と同等の高い引張強さが得られ、スラグ剥離性等を向上させることで良好な溶接作業性を確保することが可能なステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するためにNを多量に含有するオーステナイト系ステンレス鋼SUS304N2及びSUS304N2A等を、フラックス入りワイヤを用いてガスシールドアーク溶接した場合に、スラグの剥離性が良好で、かつ得られる溶接金属が母材と同等の引張強さが得られるステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤについて種々検討を行った。
その結果、Ni量を低減して溶着金属及び継手溶接金属のフェライト量を多くすることによって、溶接金属の引張強さを高くできることを新たに見出した。しかし、Ni量を低減させただけでは安定した高い引張強さが得られず、母材の希釈を受けた溶接継手では、母材よりも低い引張強さになることが確認された。
このため、侵入型固溶強化元素であるCの適正添加を行い、引張強さの向上を図った。しかし、Cを単純に添加しただけでは炭化物を析出して靭性が劣化する。そこで、Cの固溶度を高めると共に、溶接作業性に悪影響を及ぼすことがないMnを適量添加して引張強さ、靭性及び溶接作業性のバランスを保ったワイヤ成分系を確立した。
さらに、Nを含有させたステンレス鋼の溶接で、スラグ剥離性等をより向上させるため、スラグ剤の成分系等を種々検討した結果、スラグ剥離性劣化の原因となるAl23及びZrO2をできる限り添加せず、ガラス質で滑らかなスラグを形成するSiO2を積極的に添加することによって良好なスラグ剥離性が得られることを検証した。
本発明は以上の知見によりなされたもので、その要旨とするところは、ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなるステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、C:0.03〜0.15%、Si:0.15〜0.7%、Mn:2〜5%、Ni:7〜9%、Cr:20〜25%、N:0.1〜0.3%を含有し、フラックスに、TiO2:3〜8%、SiO2:0.5〜2%、金属弗化物の1種または2種以上の合計:0.1〜3.0%を含有し、Al23及びZrO2の1種又は2種の合計:0.1%以下、かつスラグ剤成分の合計:5〜10%、フラックス充填率:15〜27%で、残部はステンレス外皮のFe分、フラックスの合金鉄中のFe分、鉄粉及び不可避不純物であることを特徴とする。
また本発明は、上述した構成に加えて、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNb:0.01〜0.5%、フラックスに金属Bi及び酸化BiのBi換算値の1種又は2種の合計:0.01〜0.15%との何れか一方または両方を更に含有することを特徴とする。
さらに本発明は、上述した構成に加えて、フラックスにNa2O及びK2Oの1種又は2種の合計:0.02〜0.20%を含有することも特徴とする。
上述した構成からなる本発明に係るステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤによれば、Nを多量に含有するオーステナイト系ステンレス鋼のガスシールドアーク溶接に適用することにより、アークを安定させてスパッタ発生量を低減させ、スラグの剥離性を向上させるとともに良好なビード形状が得られ、溶接欠陥がなく母材と同等の高い引張強さが得られるとともに延性及び靭性の良好な溶接継手を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態としてのステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤについて詳細に説明する。
本発明を適用したステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼外皮および充填フラックスの各成分組成それぞれの共存による単独および相乗効果によりなし得たものであるが、以下にそれぞれの各成分組成の添加理由および限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、フラックス入りワイヤ全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときには単に%と記載して表すこととする。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でC:0.03〜0.15%
Cは、溶接継手の引張強さを向上させる効果がある。Cが0.03%未満の場合、Niが適量であっても溶接継手の引張強さが低くなる。一方、Cが0.15%を超えると、溶着金属の靭性が低下する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でCは0.03〜0.15%とする。なお、C源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから高炭Fe−Mn、高炭Fe−Cr等のC含有鉄合金粉末から添加できる。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でSi:0.15〜0.7%
Siは、脱酸剤として作用し、溶着金属の酸素量を低減して良好な延性が得られる。Siが0.15%未満であると、溶着金属の伸びが低くなる。一方、Siが0.7%を超えると、Si系酸化物が溶接金属内に介在物として分散析出し、溶接継手の曲げ延性が劣化する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でSiは0.15〜0.7%とする。なお、Si源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスからFe−Si、Fe−Si−Mn等の合金粉末から添加できる。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でMn:2〜5%
Mnは、Cの固溶度を高くする。Mnが2%未満では、Cの歩留りが低くなり溶接継手の引張強さが低くなる。一方、Mnが5%を超えると、MnSの過度の析出を促して靭性が低下する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でMnは2〜5%とする。なお、Mn源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Mn、Fe−Mn、高炭Fe−Mn等の金属粉末から添加できる。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNi:7〜9%
Niは、オーステナイト相を安定化させ、延性が良好な溶着金属が得られる。Niが7%未満では、オーステナイト相の安定が不十分で、溶着金属の伸びが低くなる。一方、Niが9%を超えると、フェライト相の晶出を抑制して溶着金属のフェライト量が少なく、引張強さが低くなる。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNiは7〜9%とする。なお、Ni源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Ni等の金属粉末から添加できる。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でCr:20〜25%
Crは、安定したフェライト相を晶出し、PやS等の低融点化合物を析出させる元素を固溶させて高温割れを防止する。Crが20%未満では、フェライト相の晶出量が少なくなって割れが発生しやすい。一方、Crが25%を超えると、Cr炭化物をフェライト粒内及び粒界に析出させて曲げ延性が劣化する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でCrは20〜25%とする。なお、Cr源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Cr、Fe−Cr、高炭Fe−Cr、窒化Fe−Cr等の金属粉末から添加できる。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でN:0.1〜0.3%
Nは、オーステナイト相の固溶強化を行い、安定した高い引張強さの溶着金属が得られる。Nが0.1%未満では、溶着金属の引張強さが低くなる。一方、Nが0.3%を超えると、固溶できないNが気泡となってブローホールが発生する。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNは0.1〜0.3%とする。なお、N源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから窒化Mn、窒化Fe−Cr等の金属粉末から添加できる。
フラックスに含有するTiO 2 :3〜8%
TiO2は、被包性が良好なスラグを形成してビード形状を良好にする。TiO2が3%未満では、その効果が十分に得られずビード形状が凸状となる。一方、TiO2が8%を超えると、アーク長が長くなり溶滴の離脱を阻害してスパッタが多発する。従って、フラックスに含有するTiO2は3〜8%とする。なお、TiO2源として、ルチール、イルミナイト、チタンスラグ、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム等を使用する。
フラックスに含有するSiO 2 :0.5〜2%
SiO2は、スラグをガラス質として砕けやすくするのでスラグ剥離性を良好とする。SiO2が0.5%未満では、スラグのガラス化が不十分であるので除去しにくく剥離性が悪くなる。一方、SiO2が2%を超えると、アークの安定性が劣化して溶接作業が悪くなる。従って、フラックスに含有するSiO2は0.5〜2%とする。SiO2源として、珪砂、珪灰石、カリ長石、ソーダ長石、珪酸カリ、珪酸ソーダ等から添加できる。
フラックスに含有する金属弗化物の1種又は2種以上の合計:0.1〜3.0%
金属弗化物は、アークの安定性を良好にする。特にN含有ステンレス鋼の溶接では、溶着金属に固溶されないNがN2ガスとしてアーク雰囲気に放出されてアークを緊縮させてアーク安定性を阻害する。従って、アーク安定性を向上させる金属弗化物の添加は必須となる。金属弗化物の1種又は2種以上の合計が0.1%未満では、アーク状態が不安定となる。一方、金属弗化物の1種又は2種以上の合計が3.0%を超えると、溶滴が爆発移行となりやすくスパッタが多発する。従って、金属弗化物の1種又は2種以上の合計は、0.1〜3.0%とする。金属弗化物源として、AlF3、NaF、K2ZrF6、LiF等を使用する。
フラックスに含有するAl 2 3 及びZrO 2 の1種又は2種の合計:0.1%以下
Al23及びZrO2は、Nと結合して、スラグ剥離性を劣化させる窒化物を生成するのでできる限り低い方が好ましい。従って、Al23及びZrO2の1種又は2種の合計は0.1以下とする。Al23源として、カリ長石、ソーダ長石、珪砂等に含まれる不純物があり、できる限りAl23含有量の低いフラックス原料を使用する。また、ZrO2源として、ルチール等に含まれる不純物があるが、できる限りZrO2含有量が低いフラックス原料を使用する。
スラグ剤成分の合計:5〜10%
酸化物及び金属弗化物からなるスラグ成分剤の合計は、被包性が良好なスラグを形成してビード形状を良好する。この効果は5%以上添加することによって得られる。一方、スラグ剤成分の合計が10%を超えると、溶滴にスラグ剤が絡み合って溶滴移行状態が不安定でスパッタの発生量が多くなる。従って、スラグ剤の合計は5〜10%とする。
フラックス充填率:15〜27%
ステンレス鋼外皮へのフラックス充填率が15%未満では、ステンレス鋼外皮の肉厚が厚くなり、溶滴の離脱がスムーズに行われずに溶滴が離脱する際に大きなスパッタが発生する。一方、フラックス充填率が27%を超えると、ワイヤ製造時に断線が生じやすく生産性が悪くなる。従って、フラックス充填率は15〜27%とする。充填率の増減は、鉄粉やSUS304Lステンレス粉末等を使用して調整することができる。
以降の成分の限定については、本発明を適用したステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤにおいて必須にはならない。
ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNb:0.01〜0.5%
Nbは、微量の添加で引張強さを向上させる。Nbが0.01%未満であると、引張強さ向上の効果がない。一方、Nbが0.5%を超えると、高温割れが生じやすくなる。また、NbCが析出して靭性を劣化させる。従って、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計でNbは0.01〜0.5%とする。なお、Nb源として、ステンレス鋼外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Nb、Fe−Nb等の金属粉末から添加できる。
フラックスに含有する金属Bi及び酸化BiのBi換算値の1種又は2種の合計:0.01〜0.15%
Biは、スラグ剥離性を向上させる。Bi換算値が0.01%未満であると、スラグ剥離性を向上させる効果は得られない。一方、Bi換算値が0.15%を超えると、高温割れが生じやすくなる。またBi換算値が0.15%を超えると、靭性を劣化させる。従って、フラックスに含有する金属Bi及び酸化BiのBi換算値の1種又は2種の合計は0.01〜0.15%とする。
フラックスに含有するNa 2 O及びK 2 Oの1種又は2種の合計:0.02〜0.20%
Na2O及びK2Oは、アークを安定にしてスパッタの発生を抑制する。Na2O及びK2Oの1種又は2種の合計が0.02%未満であると、アークを安定にする効果が得られない。一方、Na2O及びK2Oの1種又は2種の合計が0.20%を超えると、スパッタの発生量が増加する。なお、Na2O及びK2O源は、珪酸ソーダ及び珪酸カリからなる水ガラスから添加できる。
以上、本発明のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤの成分組成の限定理由を述べたが、その他の成分として、Cu:0.5%以下、Mo:0.5%以下の範囲で機械性能の調整として添加することができる。また、耐割れ性確保の観点から、低融点介在物の析出を促進するP及びSは、P:0.040%以下、S:0.030%以下であることが好ましい。また、その他スラグ剤として、FeO、Fe23、CaO、MgO、MnO等をアーク安定性やスパッタの発生防止、スラグ剥離性向上を目的として合計で0.5%以下の範囲で適宜添加調整することができる。
本発明のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤの製造方法について言及する。例えばステンレス鋼外皮を帯鋼より管状に成形する場合には、配合、撹拌、乾燥した充填フラックスをU形に成形した溝に満たした後丸形に成形し、所定のワイヤ径まで伸線する。この際、整形した外皮シームを溶接することで、シームレスタイプのフラックス入りワイヤとすることもできる。またステンレス鋼外皮がパイプの場合には、パイプを振動させてフラックスを充填し、所定のワイヤ径まで伸線する。
充填フラックスは、供給、充填が円滑に行えるように、水ガラス(珪酸カリおよび珪酸ソーダの水溶液)を添加造粒して用いることもできる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
表1に示す化学成分のオーステナイト系ステンレス鋼外皮(W1、W2)を用いて表2に示す各種組成のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤを試作した。ちなみに、この表2における「ワイヤ全質量に対する質量%」は、表1に示すオーステナイト系ステンレス鋼外皮(W1、W2)にフラックスを充填したステンレス鋼外皮とフラックスの合計の量における、ワイヤ全質量に対する質量%を意味するものである。なお、試作したワイヤ径は、直径1.2mmとした。
Figure 0005885618
Figure 0005885618
溶着金属試験は、JIS Z 3323に従いSM490A鋼に2層バタリングを行った開先を用いて溶接を行い、引張試験及び衝撃試験を実施した。
溶接継手性能は、表3に示す板厚12mmのSUS304N2A鋼を用い、開先角度60°、ギャップ3mm、裏当て金ありの溶接継手を下向姿勢にて作製した。溶接継手は、JIS Z 3106に従ってX線透過試験を実施し、割れ及びブローホール発生状況の調査を行った。溶接継手の機械性能は、JIS Z 3121に従い1A号試験片にて継手引張試験を行った。また、JIS Z 3122に従い、溶接継手の表曲げ試験を行った。溶着金属性能は、引張強さ:690MPa以上、伸び:20%以上、衝撃試験−20℃における吸収エネルギー(vE−20℃):15J以上を良好とした。溶接継手のX線透過試験は、きずの像の分類をJIS Z 3104に基づいて行い、第1種1類を良好とした。溶接継手の機械性能は、継手の引張強さ:690MPa以上、表曲げ試験:無欠陥を良好とした。
溶接作業性は、表3に示すSUS304N2A鋼を用いて水平すみ肉溶接を行い、アーク安定性、スパッタの多少、スラグ剥離性及びビード形状を調べた。なお、溶着金属試験、溶接継手試験及び溶接作業性の調査の溶接電流は180〜250A、シールドガス:CO2で実施した。それらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 0005885618
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表2および表4中のワイヤNo.1〜13が本願発明例、ワイヤNo.14〜26は比較例である。本願発明例であるワイヤNo.1〜13は、C、Si、Mn、Ni、Cr、N、TiO2、SiO2、金属弗化物の合計、Al23とZrO2の合計、スラグ剤成分の合計及びフラックスの充填率が本発明において規定した範囲に含まれているため、溶着金属の引張強さ、伸び及び吸収エネルギーが高く、溶接継手のX線透過試験結果、引張強さ及び曲げ性能も良好で、アークが安定でスパッタの発生が少なく、スラグ剥離性及びビード形状も良好である等、極めて満足な結果であった。なお、Nbを適量含むワイヤNo.4、5、8及びワイヤNo.11は、溶着金属及び溶接継手の引張強さが高く、Biを適量含むワイヤNo.3、5、10及びワイヤNo.13は、スラグ剥離性が非常に良好であった。さらに、Na2O及びK2Oの1種又は2種を適量含むワイヤNo.1、4、6、7、9、10及びワイヤNo.11は、アークが非常に安定していた。
比較例中ワイヤNo.14は、Cが少ないので、溶接継手の引張強さが低かった。また、TiO2が多いので、スパッタの発生量が多かった。
ワイヤNo.15は、Cが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、TiO2が少ないので、スラグの被包性が悪くビード形状が不良であった。
ワイヤNo.16は、Siが少ないので、溶着金属の伸びが低かった。また、金属弗化物の合計が多いので、スパッタ発生量が多かった。
ワイヤNo.17は、Siが高いので、曲げ試験で割れが生じた。また、金属弗化物の合計が少ないので、アークが不安定であった。なお、Na2Oが少ないので、アークを安定にする効果は得られなかった。
ワイヤNo.18は、Mnが少ないので、溶接継手の引張強さが低かった。また、SiO2が多いので、アークが不安定であった。
ワイヤNo.19は、Mnが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、SiO2が少ないので、スラグ剥離性が悪かった。なお、Biが少ないので、スラグ剥離性を向上する効果は得られなかった。
ワイヤNo.20は、Niが少ないので、溶着金属の伸びが低かった。また、スラグ剤成分の合計が多いので、スパッタの発生量が多かった。
ワイヤNo.21は、Niが多いので、溶着金属及び溶接継手の引張強さが低かった。また、スラグ剤成分の合計が少ないので、スラグ被包性が悪くビード形状が不良であった。さらに、Biが多いので、割れが生じ、溶着金属の吸収エネルギーも低かった。
ワイヤNo.22は、Crが少ないので、割れが発生した。また、フラックス充填率が低いので、スパッタの発生量が多かった。
ワイヤNo.23は、Crが多いので、曲げ試験で割れが生じた。また、フラックス充填率が高いので、生産時に断線が生じて生産性が悪かった。
ワイヤNo.24は、Nbが多いので、割れが発生し、溶着金属の吸収エネルギーも低かった。また、Al23とZrO2の合計が多いので、スラグ剥離性が悪かった。
ワイヤNo.25は、Nが少ないので、溶着金属及び溶接継手の引張強さが低かった。また、Nbが少ないので、溶接金属の引張強さの向上効果は得られなかった。
ワイヤNo.26は、Nが多いので、ブローホールが発生した。また、Na2OとK2Oの合計が多いので、スパッタの発生量が多かった。

Claims (3)

  1. ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなるステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
    ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、
    C:0.03〜0.15%、
    Si:0.15〜0.7%、
    Mn:2〜5%、
    Ni:7〜9%、
    Cr:20〜25%、
    N:0.1〜0.3%を含有し、
    さらに、フラックスに、
    TiO2:3〜8%、
    SiO2:0.5〜2%、
    金属弗化物の1種または2種以上の合計:0.1〜3.0%を含有し、
    Al23及びZrO2の1種又は2種の合計:0.1%以下、かつスラグ剤成分の合計:5〜10%、
    フラックス充填率:15〜27%で、残部はステンレス鋼外皮のFe分、フラックスの合金鉄中のFe分、鉄粉及び不可避不純物であることを特徴とするステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、
    Nb:0.01〜0.5%と、フラックスに金属Bi及び酸化BiのBi換算値の1種又は2種の合計:0.01〜0.15%との何れか一方または両方を更に含有することを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. ワイヤ全質量に対する質量%で、
    フラックスにNa2O及びK2Oの1種又は2種の合計:0.02〜0.20%を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
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