JP6110800B2 - ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
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本発明の要旨は、次の通りである。
Si:0.1〜1.0%、
Mn:0.5〜4.5%、
Ni:7〜12%、
Cr:18〜25%、
Mo:0.01〜1.0%、
Ti:0.1〜0.5%、
N:0.1〜0.3%、
Nb:0.05%以下を含有し、フラックスに、
TiO2:4.5〜7.5%、
SiO2:0.2〜1.8%、
ZrO2:0.01〜0.10%、
Al2O3:0.01〜0.20%、
Naのアルカリ金属化合物のNa2O換算値およびKのアルカリ金属化合物のK2O換算値の1種または2種:0.01〜0.20%、
弗素化合物のF換算値:0.1〜1.0%
を含有し、残部は、Feおよび不可避不純物からなることを特徴とするステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
まず、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、以下の通りに限定する。
Cは、ステンレス鋼外皮、フェロマンガン、フェロシリコンマンガンおよびグラファイト等から添加され、CrおよびTi炭化物を生成して、溶着金属の高温引張強さを高める効果がある。Cが0.005%未満では、CrおよびTi炭化物の生成が不十分で、高温での引張強さが低くなる。一方、Cが0.10%を超えると、CrおよびTi炭化物が粗大化し、高温に保持した後の靭性が低くなる。従って、C量は0.005〜0.10%とする。
Siは、ステンレス鋼外皮、金属シリコン、フェロシリコンおよびフェロシリコンマンガン等から添加され、ビード形状やスラグ被包性を改善する効果を有する。Siが0.1%未満では、溶接時の脱酸反応によって形成されるスラグ量が少なく、ビード形状が悪くなる。一方、Siが1.0%を超えると、スラグ量が過多となり、スラグ被包性が悪くなる。従って、Siは0.1〜1.0%とする。
Mnは、ステンレス鋼外皮、金属マンガン、フェロマンガンおよびフェロシリコンマンガン、窒化Mn等から添加され、低融点化合物の偏析を低減して耐割れ性を改善する効果を有する。Mnが0.5%未満では、オーステナイト粒界に低融点化合物が偏析するため、耐割れ性が悪くなる。一方、Mnが4.5%を超えると、炭化物および窒化物を生成して常温での靭性が低下する。従って、Mnは0.5〜4.5%とする。
Niは、ステンレス鋼外皮、金属ニッケルおよびフェロニッケル等から添加され、オーステナイト相を安定化させる元素であり、フェライト量の調整および耐割れ性を改善する効果を有する。Niが7%未満では、オーステナイトの晶出量が減少してフェライト量が多くなり、常温での靭性が低下する。一方、Niが12%を超えると、フェライトの晶出量が少なくなり、低融点化合物の偏析が助長されて耐割れ性が悪くなる。従って、Niは7〜12%とする。
Crは、ステンレス鋼外皮、金属クロムおよびフェロクロム、窒化Cr等から添加され、フェライト相を安定化させる元素であり、溶着金属の引張強さを増加させる効果を有する。Crが18%未満では、フェライトの晶出量が減少してオーステナイト量が多くなり、常温での引張強さが低下する。一方、Crが25%を超えると、Cr炭化物の生成が多くなり、高温での引張強さが低下する。従って、Crは18〜25%とする。
Moは、ステンレス鋼外皮、金属モリブデンおよびフェロモリブデン等から添加され、オーステナイト相中に固溶され、引張強さを改善する効果を有する。Moが0.01%未満では、固溶強化の効果が得られず、常温での引張強さが低下する。一方、Moが1.0%を超えると、フェライト中より極めて硬く脆いσ相が析出され、高温に保持した後の靭性が低下する。従って、Moは0.01〜1.0%とする。
Tiは、ステンレス鋼製外皮、金属チタンおよびフェロチタン等から添加され、脱酸を促進させて溶接金属中の酸化物を低減し、靭性を改善する効果を有する。Tiが0.1%未満では、脱酸が不十分で、常温での靭性が低下する。一方、Tiが0.5%を超えると、溶接時に溶滴が粗大に成長し、大粒のスパッタが発生する。従って、Tiは0.1〜0.5%とする。
Nは、ステンレス鋼外皮、窒化クロムおよび窒化マンガン等から添加され、オーステナイト中に固溶され引張強さを向上する効果を有する。Nが0.1%未満では、オーステナイト相中に固溶されず、常温での引張強さが低下する。一方、Nが0.3%を超えると、溶接時に溶融池に固溶しきれないNが発生して溶滴移行が円滑に行われず、スパッタ発生量が増加する。従って、Nは、0.1〜0.3%とする。
Nbは、ステンレス鋼外皮に含有されていて、不可避的にワイヤ中に含有される成分であって、含有量が多くなると溶接金属とスラグ間で化合物を生成してスラグ剥離性を悪くする作用があり、少ない方が望ましいく、0.05%以下(0%を含む)であれば許容できる。好ましくは0.02%以下である。
TiO2は、ルチール、酸化チタン、チタン酸ソーダ、チタンスラグ、イルミナイト等から添加される。これらは、溶接スラグの熱膨張率を調整し、溶接金属と溶接スラグの熱膨張差を増加させることによってスラグ剥離性を向上させる。TiO2が4.5%未満であると、溶接金属と溶接スラグの熱膨張差が少なくなり、スラグ剥離性が劣化する。一方、TiO2が7.5%を超えると、溶滴を被包するスラグ量が過多となり、溶滴の移行が阻害されるためアーク安定性が低下する。従って、TiO2は4.5〜7.5%とする。
SiO2は、珪砂、ジルコンサンド等より添加されスラグ形成剤として作用し、スラグの粘性を調整しスラグ被包性を良好にする効果がある。SiO2が0.2%未満であると、スラグの粘性が低くなり、スラグ被包性が悪くなる。一方、SiO2が1.8%を超えると、スラグ量が増加して溶接金属とスラグ量とのバランスが悪くなり、ビード形状が劣化する。従って、SiO2は0.2〜1.8%とする。
ZrO2は、ジルコンサンドおよび酸化ジルコニウム等から添加され、スラグの粘性を調整し、溶滴移行の際に発生するスパッタ発生量を低減する効果を有する。ZrO2が0.01%未満であると、スラグの粘性が低くなり、溶滴移行の際に小粒のスパッタが発生する。一方、ZrO2が0.10%を超えると、スラグの粘性が高くなり、溶滴が大きく成長し、溶滴移行が円滑に行われずアークが不安定になる。従って、ZrO2は0.01〜0.10%とする。
Al2O3はアルミナから添加され、スラグの融点を調整してビード形状を向上させる効果を有する。Al2O3が0.01%未満であると、スラグの融点が低くなるので、溶接金属とスラグの凝固が不均一となり、ビード形状が劣化する。一方、Al2O3が0.20%を超えると、スラグの融点が高くなり、冷却速度の速いビード部にスラグが残ってスラグ剥離性が悪くなる。従って、Al2O3は0.01〜0.20%とする。
NaおよびKのアルカリ金属化合物は、水ガラスのNaO2およびK2O等から添加され、アークを安定にし、スパッタ発生量を低減する効果を有する。Naのアルカリ金属化合物のNa2O換算値およびKのアルカリ金属化合物のK2O換算値の1種または2種が0.01%未満では、アークが不安定となり、溶滴移行が短絡移行となってスパッタ発生量が増加する。一方、Naのアルカリ金属化合物のNa2O換算値およびKのアルカリ金属化合物のK2O換算値の1種または2種が0.20%を超えると、スラグの凝固が早くなり、ビード形状が悪くなる。従って、Naのアルカリ金属化合物のNa2O換算値およびKのアルカリ金属化合物のK2O換算値の1種または2種は0.01〜0.20%とする。
弗素化合物のF換算値は、弗化ソーダ、珪弗化カリ、ジルコンフッ化カリ、氷晶石、弗化アルミ、弗化リチウムおよび蛍石等から添加され、アークの安定性を向上する効果を有する。弗素化合物のF換算値が0.1%未満では、上述の効果が不十分であり、アークが不安定になる。一方、弗素化合物のF換算値が1.0%を超えると、スラグの融点が低下して溶融金属よりスラグの凝固が早くなり、スラグ剥離性が悪くなる。従って、弗素化合物のF換算値は0.1〜1.0%とする。
なお、フラックス中に含有される金属酸化物は、金属単体成分の含有量としない。
Claims (1)
- ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなるステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、
C:0.005〜0.10%、
Si:0.1〜1.0%、
Mn:0.5〜4.5%、
Ni:7〜12%、
Cr:18〜25%、
Mo:0.01〜1.0%、
Ti:0.1〜0.5%、
N:0.1〜0.3%、
Nb:0.05%以下を含有し、
フラックスに、
TiO2:4.5〜7.5%、
SiO2:0.2〜1.8%、
ZrO2:0.01〜0.10%、
Al2O3:0.01〜0.20%、
Naのアルカリ金属化合物のNa2O換算値およびKのアルカリ金属化合物のK2O換算値の1種または2種:0.01〜0.20%、
弗素化合物のF換算値:0.1〜1.0%を含有し、残部は、Feおよび不可避不純物からなることを特徴とするステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
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