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JP5677434B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電気的発光素子である有機電界発光素子(以下「有機EL素子」と称する)に関し、特に、低輝度から光源用途等の高輝度まで幅広い輝度範囲を低電力で駆動するための技術に関する。
近年、有機半導体を用いた各種機能素子の研究開発が進められている。
代表的な機能素子として、有機EL素子がある。有機EL素子は電流駆動型の発光素子であり、陽極および陰極とからなる一対の電極対の間に、有機材料を含んでなる機能層を設けた構成を有する。機能層には、発光層、バッファ層等が含まれる。機能層と陽極との間には、ホールを注入するためのホール注入層が配設されることがある。駆動には電極対間に電圧を印加し、陽極から機能層に注入されるホールと、陰極から機能層に注入される電子との再結合によって発生する、電界発光現象を利用する。自己発光を行うため視認性が高く、かつ、完全固体素子であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子や光源としての利用が注目されている。
有機EL素子は、使用する機能層材料の種類によって大きく2つの型に分類される。第一に、主として低分子材料を機能層材料とし、これを蒸着法などの真空プロセスで成膜してなる蒸着型有機EL素子である。第二に、高分子材料や薄膜形成性の良い低分子材料を機能層材料とし、これをインクジェット法やグラビア印刷法等のウェットプロセスで成膜してなる塗布型有機EL素子である。
これまでは、発光材料の発光効率が高いことや駆動寿命が長い等の理由により、蒸着型有機EL素子の開発が先行しており(例えば、特許文献1、2参照)、すでに携帯電話用ディスプレイや小型テレビなどで実用化が始まっている。
蒸着型有機EL素子は、小型の有機ELパネル用途には好適であるが、例えば100インチ級のフルカラー大型有機ELパネルに適用することは非常に困難である。その要因は製造技術にある。蒸着型有機EL素子を用いて有機ELパネルを製造する場合、一般に発光層を色ごと(例えばR、G、B)に分けて成膜する際にはマスク蒸着法が用いられる。しかし、パネルが大面積になると、マスクとガラス基板の熱膨張係数の違い等により、マスクの位置合わせ精度を保つことが困難になるため、正常なディスプレイを作製することができない。これらを克服するために、白色の発光層材料を全面に使用し、RGBのカラーフィルタを設けて塗り分けを回避する方法があるが、この場合は取り出せる光が発光量の1/3になるため、原理的に消費電力が増大するという欠点がある。
そこで、この有機ELパネルの大型化については、塗布型有機EL素子を用いて実現しようという試みが始まっている。前述したように、塗布型有機EL素子では、機能層材料をウェットプロセスによって作製する。このプロセスでは機能層を所定位置に塗り分ける際の位置精度が基本的に基板サイズに依存しないため、大型化に対する技術的障壁が低いというメリットがある。
一方、有機EL素子の発光効率を向上させる研究開発も盛んに行われている。有機EL素子を効率よく、低消費電力かつ高輝度で発光させるためには、電極から機能層へキャリア(ホールおよび電子)を効率よく注入することが重要である。一般にキャリアを効率よく注入するためには、それぞれの電極と機能層との間に、注入の際のエネルギー障壁を低くするための注入層を設けるのが有効である。このうちホール注入層としては、銅フタロシアニンや酸化モリブデンをはじめとする蒸着膜や、PEDOTなどの塗布膜が用いられている。中でも酸化モリブデンを用いた有機EL素子においては、ホール注入効率の改善や寿命の改善が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
特許3369615号公報 特許3789991号公報 特開2005−203339公報
Jingze Li et al.、 Synthetic Metals 151、 141 (2005) 渡邊寛己 他、有機EL討論会第7回例会予稿集、17 (2008) Hyunbok Lee et al.、 Applied Physics Letters 93、 043308 (2008) 小泉健二 他、第56回応用物理学関係連合講演会予稿集、30p−ZA−11(2009) 中山泰生 他、有機EL討論会第7回例会予稿集、5 (2008)
しかしながら、上記した利点を有する塗布型有機EL素子においては、現状よりも一層良好な低電圧駆動性や発光効率の向上が求められている。特に、塗布型有機EL素子を製造する場合において、ホール注入効率の更なる改善や寿命のより一層の改善が求められている。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであって、ホール注入層と機能層との間のホール注入障壁が低く、優れたホール注入効率を発揮し、これにより良好な低電圧駆動が期待できる有機EL素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置され、有機材料を用いてなる発光層を含む、1または複数の層からなる機能層と、前記陽極と前記機能層との間に配置されたホール注入層と、前記発光層を規定するバンクと、を備え、前記ホール注入層は、酸化タングステンを含み、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有し、前記バンクに規定された領域においては前記機能層側の表面の一部が他の部分よりも前記陽極側に位置する凹入構造に形成され、前記凹入構造における凹部の縁が前記バンクの一部で被覆されている構成とした。
本発明の一態様の有機EL素子では、ホール注入層が酸化タングステンを含んで構成されている。さらに、このホール注入層は、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有するように構成されている。この占有準位が存在することで、ホール注入層と機能層との間のホール注入障壁を小さく抑えることができる。その結果、本発明の一態様の有機EL素子は、ホール注入効率が高く、低電圧で駆動できるとともに、優れた発光効率の発揮を期待することができる。
ところで、ホール注入層が上記した所定の占有準位を有する酸化タングステンで構成されている場合、製造工程においてホール注入層の膜厚が減少する(以下、膜減りとも記載する)という特有かつ新たな問題を生じ、バンクで規定された領域の発光部面内における輝度ばらつきや素子寿命の低下等、発光特性に影響を及ぼすおそれがある。
これに対し、上記した本発明の一態様の有機EL素子では、ホール注入層が機能層側の表面の一部が他の表面部分よりも陽極側に位置する凹入構造に形成され、さらに、ホール注入層の凹入構造の縁がバンクの一部で被覆されているため、この縁部における電界集中を緩和できる。これにより、輝度ばらつきや素子寿命の低下等の問題の発生が防止され、発光特性に対する影響の発生を未然に防止できるものである。
実施の形態1に係る有機EL素子の構成を示す模式的な断面図である。 ホールオンリー素子の構成を示す模式的な断面図である。 ホール注入層の成膜条件に対するホールオンリー素子の駆動電圧の依存性を示すグラフである。 ホールオンリー素子の印加電圧と電流密度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 作製した有機EL素子の印加電圧と電流密度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 作製した有機EL素子の電流密度と発光強度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 光電子分光測定用のサンプルの構成を示す模式的な断面図である。 酸化タングステンのUPSスペクトルを示す図である。 酸化タングステンのUPSスペクトルを示す図である。 図9のUPSスペクトルの微分曲線を示す図である。 大気曝露した酸化タングステンのUPSスペクトルを示す図である。 本発明の酸化タングステンのUPSスペクトルおよびXPSスペクトルを併せて示す図である。 酸化タングステンとα−NPDの界面エネルギーダイアグラムである。 ホール注入層と機能層の注入サイトの効果を説明するための図である。 ホール注入層の膜減り量と膜密度の関係を示すグラフである。 本発明の一態様を得るに至った経緯を説明するための端面図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELディスプレイの一部を示す平面図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELディスプレイの一部断面を模式的に示す端面図である。 図18における一点鎖線で囲まれたB部の拡大端面図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明する工程図である。 本発明の変形例に係る有機ELディスプレイの一部断面を模式的に示す端面図である。 本発明の変形例に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明する工程図である。 本発明の変形例に係る有機ELディスプレイの一部断面を模式的に示す端面図である。 本発明の変形例に係る有機ELディスプレイの一部を示す平面図である。 本発明の変形例に係る有機ELディスプレイの一部を示す端面図である。
本発明の一態様である有機EL素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置され、有機材料を用いてなる発光層を含む、1または複数の層からなる機能層と、前記陽極と前記機能層との間に配置されたホール注入層と、前記発光層を規定するバンクと、を備え、前記ホール注入層は、酸化タングステンを含み、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有し、前記バンクに規定された領域においては前記機能層側の表面の一部が他の部分よりも前記陽極側に位置する凹入構造に形成され、前記凹入構造における凹部の縁が前記バンクの一部で被覆されている。
また本発明の別の態様として、前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーが前記占有準位の結合エネルギーの近傍に位置づけられていてもよい。
また本発明の別の態様として、前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーの差が±0.3eV以内でもよい。
また本発明の別の態様として、前記ホール注入層は、UPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有していてもよい。
また、前記ホール注入層は、XPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有していてもよい。
また本発明の別の態様として、前記ホール注入層は、UPSスペクトルの微分スペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0〜3.2eV低い結合エネルギー領域に渡り、指数関数とは異なる関数として表される形状を有していてもよい。
また本発明の別の態様として、前記機能層は、アミン系材料を含んでいてもよい。
また本発明の別の態様として、前記機能層は、ホールを輸送するホール輸送層、光学特性の調整または電子ブロックの用途に用いられるバッファ層の少なくともいずれかであってもよい。
また本発明の別の態様として、前記ホール注入層における前記占有準位は、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0〜3.2eV低い結合エネルギー領域内に存在していてもよい。
また本発明の別の態様として、前記バンクの一部は、前記ホール注入層の凹入構造における凹部の底面まで達し、前記バンクの側面は、前記凹部底面への到達点から頂点にかけて上り斜面になっている構成としてもよい。
また本発明の別の態様として、前記バンクの一部は、前記ホール注入層の凹入構造における凹部の底面まで達していない構成とすることもできる。
また本発明の別の態様として、前記ホール注入層は、前記バンクの底面に沿って前記バンクの側方に延出している構成とすることもできる。
また本発明の別の態様として、前記ホール注入層の前記凹部の縁は、前記ホール注入層の上面において凹入されていない領域と前記凹部の側面とで形成された凸角部分である構成とすることもできる。
また本発明の別の態様として、前記バンクは撥液性であり、前記ホール注入層は親液性である構成とすることもできる。
また本発明の別の態様として、本発明の一態様である表示装置は、上記有機EL素子を備えていてもよい。
また本発明の別の態様として、本発明の一態様である有機EL素子の製造方法は、陽前記陽極に対して酸化タングステンを成膜する工程であって、アルゴンガスと酸素ガスにより構成されたガスをスパッタ装置のチャンバー内のガスとして用い、前記ガスの全圧が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ、酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらにターゲット単位面積当たりの投入電力密度が1W/cm2以上2.8W/cm2以下となる成膜条件下で前記酸化タングステン層を成膜する第2工程と、前記酸化タングステン層上に、バンクを構成する材料からなるバンク材料層を形成する第3工程と、前記バンク材料層の一部を除去して、前記酸化タングステン層の一部を露出させ、前記酸化タングステン層における上面の一部を上面の他の部分よりも前記陽極側に位置させ、内底面と前記内底面に連続する内側面とを備える凹入部を形成する第4工程と、前記酸化タングステン層上の前記バンク材料層の残留部に熱処理を施し、前記バンク材料層の残留部に流動性を与えることにより、前記残留部から前記バンクを構成する材料を前記凹入構造の凹部の縁まで延出させる第5工程と、前記熱処理工程後、前記露出した酸化タングステン層上に発光層を含む機能層を形成する第6工程と、前記機能層の上方に、陰極を形成する第7工程とを有するものとする。
また本発明の別の態様として、本発明の一態様である有機EL素子の製造方法では、前記酸化タングステン層を、前記第2工程により、UPSスペクトルが、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有するように成膜してもよい。
また本発明の別の態様として、本発明の一態様である有機EL素子の製造方法では、UPSスペクトルの微分スペクトルが、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0〜3.2eV低い結合エネルギー領域に渡り、指数関数とは異なる関数として表される形状を有するように前記酸化タングステン層を成膜してもよい。
以下、本発明の実施の形態の有機EL素子を説明し、続いて本発明の各性能確認実験の結果と考察を述べる。
なお、各図面における部材縮尺は、実際のものとは異なる。
<実施の形態1>
(有機EL素子の構成)
図1は、本実施の形態における有機EL素子1000の構成を示す模式的な断面図である。
有機EL素子1000は、機能層をウェットプロセスにより塗布して製造する塗布型であって、ホール注入層4と、所定の機能を有する有機材料を含んでなる各種機能層(ここではバッファ層6Aおよび発光層6B)が互いに積層された状態で、陽極2および陰極8からなる電極対の間に介設された構成を有する。
具体的には図1に示すように、有機EL素子1000は、基板1の片側主面に対し、陽極2、ホール注入層4、バッファ層6A、発光層6B、陰極8(バリウム層8Aおよびアルミニウム層8B)とを同順に積層して構成される。
基板1は、例えば、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、又はアルミナ等の絶縁性材料を用いて構成される。その一方の表面には所定のTFT配線が形成されている。
陽極2は、例えば、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等で形成することができる。トップエミッション型の発光素子の場合は、光反射性の材料で形成することが好ましい。
(ホール注入層)
ホール注入層4は、厚さ30nmの酸化タングステン薄膜(層)からなる。その組成式(WOx)において、xは概ね2<x<3の範囲における実数である。
ホール注入層4はできるだけ酸化タングステンのみで構成されることが望ましいが、通常レベルで混入し得る程度に、極微量の不純物が含まれていてもよい。
ここで、当該ホール注入層4は特定の成膜条件で成膜されている。これにより、その電子状態において、価電子帯の上端、すなわち価電子帯で最も低い結合エネルギーよりも、1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位が存在している。この占有準位がホール注入層4の最高占有準位に該当し、すなわち、その結合エネルギー範囲はホール注入層4のフェルミ面に最も近い。従って、以降では、この占有準位を「フェルミ面近傍の占有準位」と称する。
このフェルミ面近傍の占有準位が存在することで、ホール注入層4と機能層(ここではバッファ層6A)との積層界面では、いわゆる界面準位接続がなされ、バッファ層6Aの最高被占軌道の結合エネルギーが、ホール注入層4の前記フェルミ面近傍の占有準位の結合エネルギーと、ほぼ等しくなる。
なお、ここで言う「ほぼ等しくなる」および「界面準位接続がなされた」とは、ホール注入層4とバッファ層6Aとの界面において、前記フェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギーと、前記最高被占軌道で最も低い結合エネルギーとの差が、±0.3eV以内の範囲にあることを意味している。
さらに、ここで言う「界面」とは、ホール注入層4の表面と、当該表面から0.3nm以内の距離におけるバッファ層6Aとを含む領域を指す。
また、前記フェルミ面近傍の占有準位は、ホール注入層4の全体に存在することが望ましいが、少なくともバッファ層6Aとの界面に存在すればよい。
(バンク)
ホール注入層4の表面には、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなるバンク5が、一定の台形断面を持つストライプ構造または井桁構造をなすように形成される。各々のバンク5に区画されたホール注入層4の表面には、バッファ層6Aと、RGBのいずれかの色に対応する発光層6Bからなる機能層が形成されている。図1に示すように、有機EL素子1000を有機ELパネルに適用する場合には、基板1上にRGBの各色に対応する一連の3つの素子1000を1単位(画素、ピクセル)とし、これが複数単位にわたり並設される。
なお、バンク5は本発明に必須の構成ではなく、有機EL素子1000を単体で使用する場合等には不要である。
(バッファ層)
バッファ層6Aは、厚さ20nmのアミン系有機高分子であるTFB(poly(9、9−di−n−octylfluorene−alt−(1、4−phenylene−((4−sec−butylphenyl)imino)−1、4−phenylene))で構成される。
(発光層)
発光層6Bは、厚さ70nmの有機高分子であるF8BT(poly(9、9−di−n−octylfluorene−alt−benzothiadiazole))で構成される。しかしながら、発光層6Bはこの材料からなる構成に限定されず、公知の有機材料を含むように構成することが可能である。たとえば特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等を挙げることができる。
(機能層)
本発明における機能層は、ホールを輸送するホール輸送層、注入されたホールと電子とが再結合することで発光する発光層、光学特性の調整または電子ブロックの用途に用いられるバッファ層等のいずれか、もしくはそれら2層以上の組み合わせ、または全ての層を指す。本発明はホール注入層を対象としているが、有機EL素子はホール注入層以外に上記したホール輸送層、発光層等のそれぞれ所要機能を果たす層が存在する。機能層とは、本発明の対象とするホール注入層以外の、有機EL素子に必要な層を指している。
(その他電極、基板等)
陰極8は、厚さ5nmのバリウム層8Aと、厚さ100nmのアルミニウム層8Bを積層して構成される。
陽極2および陰極8には電源DCが接続され、外部より有機EL素子1000に給電されるようになっている。
基板1は、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、またはアルミナ等の絶縁性材料のいずれかで形成することができる。
(有機EL素子の作用および効果)
以上の構成を持つ有機EL素子1000では、ホール注入層4に前記フェルミ面近傍の占有準位が存在することにより、バッファ層6Aとの間のホール注入障壁が小さくなっている。このため、駆動時に有機EL素子1000に電圧を印加すると、ホール注入層4における前記フェルミ面近傍の占有準位から、バッファ層6Aの最高被占軌道に対して、低電圧で比較的スムーズにホールが注入され、高いホール注入効率が発揮される。
なお、酸化タングステンをホール注入層として用いる構成自体については、過去に報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、この報告で得られた最適なホール注入層の膜厚は0.5nm程度であり、電圧電流特性に及ぼす膜厚依存性も大きく、大型有機ELパネルを量産するだけの実用性は示されていない。さらに、ホール注入層に積極的にフェルミ面近傍の占有準位を形成することも示されていない。本発明は、化学的に比較的安定で、大型有機ELパネルの量産プロセスにも耐える酸化タングステンからなるホール注入層において、所定のフェルミ面近傍の占有準位を存在させ、これにより優れたホール注入効率を得、有機EL素子において低電圧駆動を実現した点で、従来技術と大きく異なるものである。
次に、有機EL素子1000の全体的な製造方法を例示する。
(有機EL素子の製造方法)
まず、基板1をスパッタ成膜装置のチャンバー内に載置する。そしてチャンバー内に所定のスパッタガスを導入し、反応性スパッタ法に基づき、厚さ50nmのITOからなる陽極2を成膜する。
次に、ホール注入層4を成膜するが、反応性スパッタ法で成膜することが好適である。特に、大面積の成膜が必要な大型有機ELパネルに本発明を適用する場合には、蒸着法等で成膜すると、膜厚等にムラが生じるおそれがある。反応性スパッタ法で成膜すれば、このような成膜ムラの発生の回避は容易である。
具体的には、ターゲットを金属タングステンに交換し、反応性スパッタ法を実施する。スパッタガスとしてアルゴンガス、反応性ガスとして酸素ガスをチャンバー内に導入する。この状態で高電圧によりアルゴンをイオン化し、ターゲットに衝突させる。このとき、スパッタリング現象により放出された金属タングステンが酸素ガスと反応して酸化タングステンとなり、基板1の陽極2上に成膜される。
なお、この成膜条件は後述するように、ガス圧(全圧)が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらにターゲット単位面積当たりの投入電力(投入電力密度)が1W/cm2以上2.8W/cm2以下となるように設定することが好適である。この工程を経ることで、価電子帯で最も低い結合エネルギーから1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を持つホール注入層4が形成される。
次に、バンク材料として、例えば感光性のレジスト材料、好ましくはフッ素系材料を含有するフォトレジスト材料を用意する。このバンク材料をホール注入層4上に一様に塗布し、プリベークした後、所定形状の開口部(形成すべきバンクのパターン)を持つマスクを重ねる。そして、マスクの上から感光させた後、未硬化の余分なバンク材料を現像液で洗い出す。最後に純水で洗浄することでバンク5が完成する。
ここで、本実施の形態では、ホール注入層4がアルカリ溶液や水、有機溶媒等に対して耐性を持つ酸化タングステンで構成されている。したがって、バンク形成工程において、すでに形成されているホール注入層4が当該溶液や純水等に触れても、溶解、変質、分解等による損傷が抑制される。このようにホール注入層4の形態が維持されることによっても、有機EL素子1000が完成した後には、当該ホール注入層4を介し、バッファ層6Aに効率よくホール注入を行うことができ、低電圧駆動を良好に実現できることとなる。
続いて、隣接するバンク5の間に露出しているホール注入層4の表面に、例えばインクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスにより、アミン系有機分子材料を含む組成物インクを滴下し、溶媒を揮発除去させる。これによりバッファ層6Aが形成される。
次に、バッファ層6Aの表面に、同様の方法で、有機発光材料を含む組成物インクを滴下し、溶媒を揮発除去させる。これにより発光層6Bが形成される。
なお、バッファ層6A、発光層6Bの形成方法はこれに限定されず、インクジェット法やグラビア印刷法以外の方法、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布しても良い。
続いて、発光層6Bの表面に真空蒸着法でバリウム層8A、アルミニウム層8Bを成膜する。これにより陰極8が形成される。
なお、図1には図示しないが、有機EL素子1000が大気に曝されるのを抑制する目的で、陰極8の表面にさらに封止層を設けるか、あるいは素子1000全体を空間的に外部から隔離する封止缶を設けることができる。封止層は例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成でき、素子1000を内部封止するように設ける。封止缶を用いる場合は、封止缶は例えば基板1と同様の材料で形成でき、水分などを吸着するゲッターを密閉空間内に設ける。
以上の工程を経ることで、有機EL素子1000が完成する。
<各種実験と考察>
(酸化タングステンの成膜条件について)
本実施の形態では、ホール注入層4を構成する酸化タングステンを所定の成膜条件で成膜することで、ホール注入層4に前記したフェルミ面近傍の占有準位を存在させ、ホール注入層4とバッファ層6Aとの間のホール注入障壁を低減して、有機EL素子1000を低電圧駆動できるようにしている。
このような性能を得るための酸化タングステンの成膜方法としては、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、ターゲットは金属タングステンとし、基板温度は制御せず、チャンバー内ガスはアルゴンガスと酸素ガスで構成し、ガス圧(全圧)が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらにターゲット単位面積当たりの投入電力(投入電力密度)が1W/cm2以上2.8W/cm2以下となる成膜条件に設定して、反応性スパッタ法で成膜することが好適であると考えられる。
上記成膜条件の有効性は以下の諸実験で確認された。
まず、ホール注入層4からバッファ層6Aへのホール注入効率の、成膜条件依存性の評価を確実にするために、評価デバイスとしてホールオンリー素子を作製するものとした。
有機EL素子においては、電流を形成するキャリアはホールと電子の両方であり、したがって有機EL素子の電気特性には、ホール電流以外にも電子電流が反映されている。しかし、ホールオンリー素子では陰極からの電子の注入が阻害されるため、電子電流はほとんど流れず、全電流はほぼホール電流のみから構成され、すなわちキャリアはほぼホールのみと見なせるため、ホール注入効率の評価に好適である。
具体的に作製したホールオンリー素子は、図1の有機EL素子1000における陰極8を、図2に示す陰極9のように金に置き換えたものである。すなわち図2に示すように、基板1上に厚さ50nmのITO薄膜からなる陽極2を形成し、さらに陽極2上に厚さ30nmの酸化タングステンからなるホール注入層4、厚さ20nmのアミン系有機高分子であるTFBからなるバッファ層6A、厚さ70nmの有機高分子であるF8BTからなる発光層6B、厚さ100nmの金からなる陰極9を順次積層した構成とした。なお、評価デバイスのため、バンク5は省略した。
この作製工程において、ホール注入層4は、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、反応性スパッタ法で成膜した。チャンバー内ガスは、アルゴンガスおよび酸素ガスの少なくともいずれかから構成し、ターゲットは金属タングステンを用いた。基板温度は制御せず、アルゴンガス分圧、酸素ガス分圧、全圧は各ガスの流量で調節するものとした。成膜条件は以下の表1に示すように、全圧、酸素ガス分圧、および投入電力の各条件を変化させるものとし、これにより各成膜条件で成膜したホール注入層4を備えるホールオンリー素子1000B(素子No.1〜14)を得た。なおこれ以降、酸素ガス分圧は、全圧に対する比(%)として表す。
Figure 0005677434
上記DCマグネトロンスパッタ装置の、投入電力と投入電力密度の関係を表2に示す。
Figure 0005677434
作製した各ホールオンリー素子1000Bを直流電源DCに接続し、電圧を印加した。このときの印加電圧を変化させ、電圧値に応じて流れた電流値を素子の単位面積当たりの値(電流密度)に換算した。以降、「駆動電圧」とは、電流密度10mA/cm2のときの印加電圧とする。
この駆動電圧が小さいほど、ホール注入層4のホール注入効率は高いと言える。なぜなら、各ホールオンリー素子1000Bにおいて、ホール注入層4以外の各部位の作製方法は同一であるから、ホール注入層4を除く、隣接する2つの層の間のホール注入障壁は一定と考えられる。また、当該実験で用いた陰極2とホール注入層4は、オーミック接続をしていることが、別の実験により確認されている。したがって、ホール注入層4の成膜条件による駆動電圧の違いは、ホール注入層4からバッファ層6Aへのホール注入効率を強く反映したものになる。
表3は、当該実験によって得られた、各ホールオンリー素子1000Bの、全圧、酸素ガス分圧、投入電力の各成膜条件に対する、駆動電圧の値である。表3中、各ホールオンリー素子1000Bの素子No.は囲み数字で示している。
Figure 0005677434
また、図3の(a)〜(c)は、各ホールオンリー素子1000Bの駆動電圧の成膜条件依存性をまとめたグラフである。図3(a)中の各点は、左から右に向かって、素子No.4、10、2の駆動電圧を表す。図3(b)中の各点は、左から右に向かって、素子No.13、10、1の駆動電圧を表す。さらに図3(c)中の各点は、左から右に向かって、素子No.14、2、8の駆動電圧を表す。
なお当該実験では、全圧が2.7Paで酸素ガス分圧が100%の場合、全圧が4.8Paで酸素ガス分圧が30%の場合、全圧が4.8Paで酸素ガス分圧が70%の場合、全圧が4.8Paで酸素ガス分圧が100%の場合は、いずれもガス流量などのスパッタ装置の制約で成膜を行えなかった。
まず、駆動電圧の全圧依存性は、図3(a)からわかるように、酸素ガス分圧50%、投入電力500Wの条件下では、少なくとも全圧が2.7Pa超4.8Pa以下の範囲において、駆動電圧の明確な低減が確認できた。この傾向は、少なくとも全圧が7.0Pa以下の範囲まで続くことが別の実験により分かった。したがって、全圧は2.7Pa超7.0Pa以下の範囲に設定することが望ましいと言える。
次に、駆動電圧の酸素ガス分圧依存性は、図3(b)からわかるように、全圧2.7Pa、投入電力500Wの条件下では、少なくとも酸素ガス分圧が50%以上70%以下の範囲において、酸素ガス分圧の上昇とともに駆動電圧の低下が確認できた。ただし、これ以上に酸素ガス分圧が上昇すると、別の実験により逆に駆動電圧の上昇が確認された。したがって、酸素ガス分圧は50%以上で上限を70%程度に抑えることが望ましいと言える。
次に、駆動電圧の投入電力依存性は、図3(c)からわかるように、全圧4.8Pa、酸素ガス分圧50%の条件下では、投入電力が500W超で、急激に駆動電圧が上昇することが確認された。したがって、投入電力は500W以下に抑えるのが望ましいと考えられる。なお、表3の素子No.1、3を見ると、投入電力が500Wであっても、全圧が2.7Pa以下であれば、駆動電圧が上昇するという結果が確認できる。
次に、各ホールオンリー素子1000Bのうち、代表して素子No.14、1、7の電流密度―印加電圧曲線を図4に示した。図中縦軸は電流密度(mA/cm2)、横軸は印加電圧(V)である。素子No.14は、上記した全圧、酸素ガス分圧、投入電力の望ましい条件をすべて満たしている。一方、素子No.1、7は、上記望ましい条件を一部満たしていない。
ここで、以降の説明のために、ホール注入層4(および後述の酸化タングステン層80)の成膜条件に関しては、素子No.14の成膜条件を成膜条件A、素子No.1の成膜条件を成膜条件B、素子No.7の成膜条件を成膜条件Cと呼ぶことにする。また、それに倣い、図4および表3では、素子No.14をHOD−A、素子No.1をHOD−B、素子No.7をHOD−Cとも記述した。
図4に示されるように、HOD−AはHOD−B、HOD−Cと比較して、最も電流密度―印加電圧曲線の立ち上がりが早く、また最も低い印加電圧で高い電流密度が得られている。すなわち、HOD−AはHOD−B、HOD−Cと比較し、ホール注入効率が優れていることが明快である。なお、HOD−Aは、各ホールオンリー素子1000Bの中で最も駆動電圧が低い素子である。
以上は、ホールオンリー素子1000Bにおけるホール注入層4のホール注入効率に関する検証であったが、ホールオンリー素子1000Bは、陰極以外はまったく図1の有機EL素子1000と同一の構成である。したがって、有機EL素子1000においても、ホール注入層4からバッファ層6Aへのホール注入効率の成膜条件依存性は、本質的にホールオンリー素子1000Bと同じである。このことを確認するために、成膜条件A、B、Cのホール注入層4を用いた各有機EL素子1000を作製した。
具体的に作製した各有機EL素子1000は、図1に示すように、基板1上に厚さ50nmのITO薄膜からなる陽極2を形成し、さらに陽極2上に厚さ30nmの酸化タングステンからなるホール注入層4、厚さ20nmのアミン系有機高分子であるTFBからなるバッファ層6A、厚さ70nmの有機高分子であるF8BTからなる発光層6B、厚さ5nmのバリウムおよび厚さ100nmのアルミニウムからなる陰極8を順次積層した構成とした。なお、評価デバイスのため、バンク5は省略した。
作製した成膜条件A、B、Cの各有機EL素子1000を直流電源DCに接続し、電圧を印加した。このときの印加電圧と、各々の電圧値に応じて流れた電流値について、素子の単位面積当たりの値に換算したときの関係を表す、電流密度―印加電圧曲線を図5に示した。図中縦軸は電流密度(mA/cm2)、横軸は印加電圧(V)である。
なお、以降の説明のために、図5では、成膜条件Aの有機EL素子1000をBPD−A、成膜条件Bの有機EL素子1000をBPD−B、成膜条件Cの有機EL素子1000をBPD−Cと記述した。
図5に示されるように、BPD−AはBPD−B、BPD−Cと比較して、最も電流密度―印加電圧曲線の立ち上がりが早く、また最も低い印加電圧で高い電流密度が得られている。これは、それぞれ同じ成膜条件のホールオンリー素子であるHOD−A、HOD−B、HOD−Cと同様の傾向である。
さらに、上記作製した各有機EL素子1000について、電流密度の変化に応じた発光強度の関係を表す、発光強度―電流密度曲線を図6に示した。図中、縦軸は発光強度(cd/A)、横軸は電流密度(mA/cm2)である。この図6によれば、少なくとも測定した電流密度の範囲では、BPD−Aが最も発光強度が高いことが確認された。
以上の結果により、ホール注入層4のホール注入効率の成膜条件依存性が、有機EL素子1000においても、ホールオンリー素子1000Bの場合と同様に作用していることが確認された。すなわち、当該実験の有機EL素子1000において、ホール注入層4を構成する酸化タングステンを、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、ターゲットは金属タングステンとし、基板温度は制御せず、チャンバー内ガスはアルゴンガスと酸素ガスで構成し、全圧が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらに投入電力密度が1W/cm2以上2.8W/cm2以下となる成膜条件下で、反応性スパッタ法で成膜すると、ホール注入層4からバッファ層6Aへのホール注入効率が良く、それにより優れた低電圧駆動と高い発光効率が実現されることが確認された。
なお、上記においては、投入電力の条件は、表2をもとに改めて投入電力密度で表した。本実験で用いたDCマグネトロンスパッタ装置とは異なるDCマグネトロンスパッタ装置を用いる場合は、ターゲットのサイズに合わせて、投入電力密度が上記条件になるように投入電力を調節することにより、本実験と同様に、優れたホール注入効率の酸化タングステンからなるホール注入層4を得ることが出来る。なお、全圧、酸素分圧については、装置やターゲットのサイズに依存しない。
また、ホール注入層4の反応性スパッタ法による成膜時は、室温環境下に配置されるスパッタ装置において、基板温度を意図的には設定していない。したがって、少なくとも成膜前は基板温度は室温である。ただし、成膜中に基板温度は数10℃程度上昇する可能性がある。
なお、成膜条件Aでホール注入層4を作製した有機EL素子1000が、本実施の形態の有機EL素子1000であり、前記したフェルミ面近傍の占有準位を持つ。これについては、以降で考察する。
(ホール注入層の電子状態について)
本実施の形態の有機EL素子1000のホール注入層4を構成する酸化タングステンには、前記フェルミ面近傍の占有準位が存在している。このフェルミ面近傍の占有準位は、先の実験で示した成膜条件の調整により形成されるものである。詳細を以下に述べる。
前述の成膜条件A、B、Cで成膜した酸化タングステンにおける、前記フェルミ面近傍の占有準位の存在を確認する実験を行った。
各成膜条件で、光電子分光測定用のサンプルを作製した。当該サンプルの構成としては、図7に示す1Aのように、導電性シリコン基板70の上に、厚さ10nmの酸化タングステン層80(ホール注入層4に該当する)を、前記の反応性スパッタ法により成膜した。以降、成膜条件Aのサンプル1AをサンプルA、成膜条件Bのサンプル1AをサンプルB、成膜条件Cのサンプル1AをサンプルCと記述する。
サンプルA、B、Cは、いずれもスパッタ装置内において酸化タングステン層80を成膜した後、当該スパッタ装置に連結され窒素ガスが充填されたグローブボックス内に移送し、大気曝露しない状態を保った。そして、当該グローブボックス内でトランスファーベッセルに封入し、光電子分光装置に装着した。これにより、酸化タングステン層80を成膜後に大気曝露することなく、紫外光電子分光(UPS)測定を実施した。
ここで、一般にUPSスペクトルは、測定対象物の表面から深さ数nmまでにおける、価電子帯などの占有準位の状態を反映したものになる。そこで本実験では、UPSを用いて酸化タングステン層80の表層における占有準位の状態を観察するものとした。
UPS測定条件は以下の通りである。なお、サンプルA、B、Cでは導電性シリコン基板70を用いたため、測定中チャージアップは発生しなかった。測定点間隔は0.05eVとした。
光源 :He I線
バイアス:なし
出射角 :基板法線方向
図8に、サンプルAの酸化タングステン層80のUPSスペクトルを示す。横軸の結合エネルギーの原点は基板70のフェルミ面とし、左方向を正の向きとした。
以下、図8を用いて、酸化タングステン層80の各占有準位について説明する。
一般に酸化タングステンが示すUPSスペクトルにおいて、最も大きく急峻な立ち上がりは一意に定まる。この立ち上がりの変曲点を通る接線を線(i)、その横軸との交点を点(iii)とする。これにより、酸化タングステンのUPSスペクトルは、点(iii)から高結合エネルギー側に位置する領域(x)と、低結合エネルギー側(すなわちフェルミ面側)に位置する領域(y)に分けられる。
ここで、以下の表4に示した酸化タングステン層80の組成比によれば、サンプルA、B、Cとも、タングステン原子と酸素原子の数の比率がほぼ1:3である。なお、この組成比は、X線光電子分光(XPS)により求めた。具体的には、当該光電子分光装置を用い、前記UPS測定と同様に、酸化タングステン層80を大気曝露することなくXPS測定し、酸化タングステン層80の表面から深さ数nmまでにおけるタングステンと酸素の組成比を見積もった。なお、表4には、酸化タングステン層80の成膜条件も併記してある。
Figure 0005677434
この組成比から、サンプルA、B、Cのいずれにおいても、酸化タングステン層80は少なくとも表面から深さ数nm以内の範囲において、三酸化タングステンを基本とする原子配置、つまり酸素原子がタングステン原子に対し8面体配位で結合した、歪んだルチル構造(8面体が互いに頂点の酸素原子を共有する構造)を基本構造に持つと考えられる。したがって、図8における領域(x)は、三酸化タングステン結晶、あるいはその結晶の秩序が乱れた(ただし結合は切れておらず、上記基本構造が保たれている)非晶質が持つ、上記基本構造に由来する占有準位であり、いわゆる価電子帯に対応する領域である。なお、本願発明者は酸化タングステン層80のX線吸収微細構造(XAFS)測定を行い、サンプルA、B、Cのいずれにおいても、上記基本構造が形成されていることを確認した。
したがって、図8における領域(y)は、価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップに対応するが、本UPSスペクトルが示すように、酸化タングステンにはこの領域にも、価電子帯とは別の占有準位が存在することがあることが知られている。これは上記基本構造とは異なる別の構造に由来する準位であり、いわゆるバンドギャップ間準位(in−gap stateあるいはgap state)である。
続いて図9に、サンプルA、B、Cにおける各酸化タングステン層80の、領域(y)におけるUPSスペクトルを示す。図9に示すスペクトルの強度は、図8における点(iii)よりも3〜4eVほど高結合エネルギー側に位置するピーク(ii)のピークトップの値で規格化した。図9にも図8の点(iii)と同じ横軸位置に点(iii)を示している。横軸は点(iii)を基準とした相対値(相対結合エネルギー)として表し、左から右(フェルミ面側)に向かって結合エネルギーが低くなるように示している。
図9に示されるように、サンプルAの酸化タングステン層80では、点(iii)からおおよそ3.6eV低い結合エネルギーの位置から、点(iii)からおおよそ1.8eV低い結合エネルギーの位置までの領域に、ピークの存在が確認できる。このピークの明瞭な立ち上がり位置を図中に点(iv)で示した。このようなピークは、サンプルB、Cでは確認できない。
本発明はこのように、UPSスペクトルにおいて点(iii)から1.8〜3.6eV程度低い結合エネルギーの領域内に隆起(ピークとは限らない)した構造を持つ酸化タングステンを、ホール注入層として用いることにより、有機EL素子において優れたホール注入効率が発揮できるようになっている。
ここで、当該隆起の程度が急峻であるほど、ホール注入効率が高くなることが分かっている。したがって、図9に示すように、点(iii)から2.0〜3.2eV程度低い結合エネルギーの領域は、比較的当該隆起構造を確認しやすく、かつ、その隆起が比較的急峻である領域として、特に重要であると言える。
なお、以降、UPSスペクトルにおける当該隆起構造を、「フェルミ面近傍の隆起構造」と称する。このフェルミ面近傍の隆起構造に対応する占有準位が、前記した「フェルミ面近傍の占有準位」である。
次に、上記フェルミ面近傍の隆起構造をより明確にするために、図9に示したサンプルA、B、CのUPSスペクトルにおける規格化強度の微分を計算した。
具体的には、グラフ解析ソフトウェアIGOR Pro 6.0を用い、図9に示すUPSスペクトルについて2項スムージング(スムージングファクターは1とした)を11回行い、その後に中心差分法による微分処理を行った。これはUPS測定時のバックグラウンドノイズなどのばらつき要因を平滑化し、微分曲線をスムーズにし、下記の議論を明快にするためである。
この処理により得られた微分曲線を図10に示した。図10中の点(iii)、(iv)は図9と同一の横軸位置である。
図10に示す微分曲線によれば、サンプルB、Cの酸化タングステン層80では、光電子分光装置で測定可能な結合エネルギーから点(iv)に至るまでの領域(v)においては、微分値は0付近をほぼ前後するのみであり、さらに点(iv)から高結合エネルギー側におおよそ1.2eVまでの領域(vi)では、微分値は高結合エネルギー側に向かって、ほぼその増加率を増しながら漸増していくのみである。そして、この領域(v)、(vi)におけるサンプルB、Cの各微分曲線の形状は、当該各微分曲線の元である図9に示したサンプルB、CのUPSスペクトルとほぼ相似である。したがって、サンプルB、Cの領域(v)、(vi)におけるUPSスペクトルとその微分曲線の形状は、指数関数的な形状であると言える。
一方、サンプルAの酸化タングステン層80では、点(iv)付近から点(iii)に向かって急な立ち上がりを見せており、領域(v)、(vi)における微分曲線の形状は指数関数的な曲線の形状とは明らかに異なっている。このようなサンプルAについては、図9の微分前のスペクトルにおいても、点(iv)付近から隆起し始め、また指数関数的なスペクトル形状とは異なる、フェルミ面近傍の隆起構造を持つことが確認できる。
このようなサンプルAの特性は、言い換えると、価電子帯で最も低い結合エネルギーよりおおよそ1.8〜3.6eV低い範囲内にフェルミ面近傍の占有準位が存在し、特に、価電子帯で最も低い結合エネルギーよりおおよそ2.0〜3.2eV低い範囲内にて、対応するフェルミ面近傍の隆起構造が、UPSスペクトルで明瞭に確認できるものである。
次に、成膜後大気曝露せずに図9のUPSスペクトルを測定したサンプルA、B、Cの酸化タングステン層80に対し、常温にて大気曝露を1時間行った。そして、再びUPS測定を行い、これによるスペクトルの変化を確認した。その前記領域(y)におけるUPSスペクトルを図11に示す。横軸の取り方は図9と同様であり、図中の点(iii)、(iv)は図9と同一の横軸位置である。
図11に示したUPSスペクトルによれば、サンプルB、Cの酸化タングステン層80では、大気曝露前と同様にフェルミ面近傍の隆起構造は存在しない。これに対し、サンプルAの酸化タングステン層80では、大気曝露後には強度やスペクトル形状に変化はみられるものの、依然としてフェルミ面近傍の隆起構造が存在することが確認できる。これにより、サンプルAについては、一定時間大気曝露を行っても、大気曝露前の特性が維持でき、周辺雰囲気に対して一定の安定性を有することがわかる。
以上では、サンプルA、B、Cについて測定したUPSスペクトルに対して議論を行ったが、上記フェルミ面近傍の隆起構造は、XPSや硬X線光電子分光測定でも同様に確認することができる。
図12は、サンプルAの酸化タングステン層80の、前記大気曝露後のXPSスペクトルである。なお、比較のため、サンプルAの酸化タングステン層80のUPSスペクトル(図8と同一のもの)を重ね書きした。
XPS測定条件は、光源がAl Kα線であること以外は、前述のUPS測定条件と同様である。図12において、図中の点(iii)は図8と同一の横軸位置であり、横軸は図9と同様に、点(iii)を基準とした相対結合エネルギーで示している。また、XPSスペクトルにおける図8の(i)に該当する線を、図12中で(i)’で示した。
図12に示すように、サンプルAの酸化タングステン層80におけるフェルミ面近傍の隆起構造は、XPSスペクトルにおいても、UPSスペクトルの場合と同様に、価電子帯で最も低い結合エネルギーよりもおおよそ1.8〜3.6eV低い範囲内にて、相当の大きさの隆起構造として、存在を明確に確認することができる。なお、別の実験により、硬X線光電子分光でも同様にフェルミ面近傍の隆起構造が確認できた。
なお、上記測定においては、光電子分光測定用のサンプルとして、図1に示す有機EL素子1000の構造とは別に、導電性シリコン基板70の上に酸化タングステン層80を形成してなるサンプル1A(図7)を用いた。これは単に、測定中のチャージアップを防ぐための措置であり、本発明の有機EL素子の構造を当該構成に限定するものではない。
本願発明者が行った別の実験によれば、図1に示す有機EL素子1000の構成(基板1の片面にITOからなる陽極2、および酸化タングステンからなるホール注入層4を、順次形成した構成)を有するサンプルを用い、UPS、XPS測定を行った場合は、測定中にチャージアップが発生した。
しかしながら、チャージアップをキャンセルする中和銃を併用すれば、ホール注入層4の各占有準位の示す結合エネルギーの絶対値(例えば、光電子分光装置自体のフェルミ面を原点とするときの結合エネルギーの値)は、サンプル1Aの酸化タングステン層80のものとは異なることがあるものの、少なくともバンドギャップから価電子帯で最も低い結合エネルギーに至る範囲においては、サンプル1Aと同様の形状のスペクトルが得られている。
(ホール注入効率に関する考察)
酸化タングステンからなるホール注入層において、UPSスペクトル等でフェルミ面近傍の隆起構造として確認できるフェルミ面近傍の占有準位が、ホール注入効率に作用する原理は、以下のように考えることができる。
酸化タングステンの薄膜や結晶に見られる、前記フェルミ面近傍の占有準位は、酸素欠陥やその類似の構造に由来することが、実験および第一原理計算の結果から多数報告されている。
具体的には、酸素原子の欠乏により形成される隣接したタングステン原子の5d軌道同士の結合軌道や、酸素原子に終端されることなく膜表面や膜内に存在するタングステン原子単体の5d軌道に由来するものと推測されている。これらの5d軌道は、半占あるいは非占状態であれば、有機分子と接触したとき、相互のエネルギー安定化のために、有機分子の最高被占軌道から電子を引き抜くことが可能であると推測される。
実際、酸化タングステンと、触媒作用やエレクトロクロミズム、フォトクロミズムなど、多くの共通した物性を持つ酸化モリブデンにおいては、その薄膜上に有機低分子のα−NPDからなる層を積層すると、α−NPD分子から酸化モリブデン薄膜に電子が移動するとの報告がある(非特許文献2参照)。
なお、本願発明者は、酸化タングステンにおいては、隣接したタングステン原子の5d軌道同士の結合軌道よりも結合エネルギーが低い、タングステン原子単体の半占5d軌道あるいはそれに類似した構造が、フェルミ面近傍の占有準位に該当するものと考える。
図13は、本発明のフェルミ面近傍の占有準位を持つ酸化タングステン層と、α−NPD層との界面における、エネルギーダイアグラムである。
図13中では、まず、当該酸化タングステン層(ホール注入層に該当する)における、価電子帯で最も低い結合エネルギー(図中「価電子帯上端」と表記した)と、フェルミ面近傍の占有準位の立ち上がり位置の結合エネルギー(図中「in−gap state上端」と表記した)を示している。UPSスペクトルにおいては、価電子帯上端は図8の点(iii)に該当し、in−gap state上端は図9の点(iv)に該当する。
そして、さらに当該酸化タングステン層の上に、α−NPD(機能層に該当する)を積層したときの、α−NPD層の厚さと、α−NPDの最高被占軌道の結合エネルギー、また真空準位との関係も示している。ここで、α−NPDの最高被占軌道の結合エネルギーとは、UPSスペクトルにおける、当該最高被占軌道によるピークの立ち上がり位置の結合エネルギーである。
具体的には、ITO基板上に成膜した当該酸化タングステン層を、光電子分光装置と当該装置に連結された超高真空蒸着装置との間で基板を往復させながら、UPS測定とα−NPDの超高真空蒸着とを繰り返すことで、図13のエネルギーダイアグラムを得た。UPS測定中にチャージアップは確認されなかったので、図13では、縦軸の結合エネルギーをITO基板のフェルミ面を原点とした絶対値表記にしている。
図13から、α−NPD層の厚さが少なくとも0〜0.3nmの範囲、つまり当該酸化タングステン層とα−NPD層との界面付近においては、当該酸化タングステン層のin−gap state上端と、α−NPDの最高被占軌道の結合エネルギーはほぼ等しく、言わば互いの準位が接続した状態になっていることがわかる(以降、これを「界面準位接続」と称す)。なお、ここで言う「等しい」とは、実際上多少の差を含んでおり、具体的には±0.3eV以内の範囲を指す。
さらに、図13は、前記界面準位接続が、偶然によるものではなく、酸化タングステンとα−NPDとの相互作用により実現しているものであることを示している。
例えば、界面における真空準位の変化(真空準位シフト)は、その変化の向きから、界面に電気二重層が、酸化タングステン層側を負、α−NPD層側を正として形成されていることを示す。また、その真空準位シフトの大きさが2eV近くと非常に大きいため、電気二重層は化学結合に類する作用により形成されたと考えるのが妥当である。すなわち、前記界面準位接続は、酸化タングステンとα−NPDとの相互作用により実現していると考えるべきである。
本願発明者は、具体的な相互作用として、以下のメカニズムを推察している。
まず、フェルミ面近傍の占有準位は、上述のとおり、タングステン原子の5d軌道に由来するものである。これを、以下「隆起構造のW5d軌道」と称する。
当該酸化タングステン層の表面において、隆起構造のW5d軌道に、α−NPD分子の最高被占軌道が近づくと、相互のエネルギー安定化のために、α−NPD分子の最高被占軌道から、隆起構造のW5d軌道に電子が移動する。これにより、界面に電気二重層が形成され、真空準位シフト、界面準位接続が起こる。
さらに具体的には、α−NPD分子の最高被占軌道は、その確率密度がアミン構造の窒素原子に偏って分布しており、当該窒素原子の非共有電子対を主成分として構成されていることが、第一原理計算による結果として多数報告されている。このことから、当該酸化タングステン層と、アミン系有機分子の層との界面においては、アミン構造の窒素原子の非共有電子対から、隆起構造のW5d軌道に電子が移動すると推察される。
上記の推察を支持するものとしては、前述のように酸化タングステンと共通の物性を持つ酸化モリブデンの蒸着膜と、アミン系有機分子であるNPB、α−NPD、F8BTとの各界面において、図13で示した酸化タングステン層とα−NPD層の界面準位接続と同様の界面準位接続の報告がある(非特許文献3、4、5参照)。
本発明の有機EL素子のホール注入層が持つ、優れたホール注入効率は、以上の界面準位接続により説明することができる。すなわち、フェルミ面近傍の占有準位を持つ酸化タングステンからなるホール注入層と、隣接した機能層との間で、界面準位接続が起こり、フェルミ面近傍の占有準位の立ち上がり位置の結合エネルギーと、機能層の最高被占軌道の結合エネルギーがほぼ等しくなる。ホール注入は、この接続された準位間で起こる。したがって、機能層の最高被占軌道にホール注入するときのホール注入障壁は、ほぼ無に等しい。
しかしながら、フェルミ面近傍の占有準位を形成する要因である酸素欠陥やその類似の構造がまったく無い酸化タングステンというものが、現実に存在するとは考えにくい。例えば、前述のサンプルB、C等、光電子分光スペクトルにおけるフェルミ面近傍の隆起構造がない酸化タングステンにおいても、酸素欠陥やその類似の構造が、極めてわずかにでも存在はしていると考えるのが妥当である。
これに対し、先の実験が示すように、サンプルAの酸化タングステン層80に該当するホール注入層4を持つホールオンリー素子HOD−Aおよび有機EL素子BPD−Aが優れたホール注入効率を示す理由を、図14を用いて説明する。
酸化タングステン層に機能層を積層するとき、機能層を構成する有機分子の最高被占軌道と、酸化タングステン層のフェルミ面近傍の占有準位とが相互作用するには、界面において、有機分子において最高被占軌道の確率密度が高い部位(例えば、アミン系有機分子におけるアミン構造の窒素原子。図中「注入サイト(y)」で示す)と、酸化タングステン層の酸素欠陥やその類似の構造(図中「注入サイト(x)」で示す)が、相互作用する距離まで接近(接触)する必要がある。
しかし、図14(b)に示すように、前述のサンプルB、C等、フェルミ面近傍の隆起構造が存在しない酸化タングステン層には、注入サイト(x)が存在するとしても、その数密度は、UPSスペクトルにおいてフェルミ面近傍の隆起構造を発現するまでに至らないほど小さい。したがって、注入サイト(y)が注入サイト(x)と接触する可能性が非常に低い。注入サイト(x)と注入サイト(y)が接触するところにおいてホールが注入されるのであるから、サンプルB、Cはその効率が極めて悪いことがわかる。
これに対し、図14(a)に示すように、前述のサンプルA等、フェルミ面近傍の隆起構造を持つ酸化タングステン層には、注入サイト(y)が豊富に存在する。したがって、注入サイト(y)が注入サイト(x)と接触する可能性が高く、ホール注入効率が高いことがわかる。
以上をまとめると、本発明の有機EL素子が優れたホール注入効率を持つことは、次のように説明できる。
まず、酸化タングステンからなるホール注入層が、その光電子分光スペクトルにおいてフェルミ面近傍の隆起構造を持つ。これは、酸素欠陥やその類似の構造が、その表面に少なからず存在することを意味する。
そして、フェルミ面近傍の占有準位自体は、隣接する機能層を構成する有機分子から電子を奪うことで、有機分子の最高被占軌道と界面準位接続する作用を持つ。
したがって、ホール注入層の表面に、少なからず酸素欠陥やその類似の構造がすれば、フェルミ面近傍の占有準位と、有機分子の最高被占軌道の確率密度が高い部位とが接触する確率が高く、界面準位接続作用が効率的に起こり、優れたホール注入効率が発現することになる。
(ホール注入層の膜減りについて)
本願発明者らは、バンク形成工程を経た有機EL素子の特性を確認するため、上記した評価デバイス(バンク5を省略した構造)とは別に,新たにバンク5を追加した有機EL素子1000(図1)を作製して実験を行った。その結果、上記評価デバイスのように低電圧駆動が可能であり、発光特性が良好に向上することを確認した。
ここで本願発明者らは、作製した有機EL素子を確認したところ、ホール注入層の厚みが当該層を形成した直後に比べて薄くなっている(以下、「膜減り」と記載する。)ことを見出した。ここで本願発明者らは、このホール注入層の膜減りがバンク形成工程にて発生しているものと推測した。そこでホール注入層の膜減り現象を究明するため、さらに以下の確認実験を行った。
具体的手法として、まずガラス基板上にホール注入層となる酸化タングステンからなる層を、スパッタリングにより成膜した(成膜条件はホールオンリー素子と同一条件とした)。そして、このホール注入層の上に、所定の樹脂材料(東京応化工業株式会社製「TFR」シリーズ)からなる樹脂材料層を、スピンコート法に基づき積層し(室温、2500rpm/25sec)、ベーク処理(100℃、90sec)を経て作製した。次に、現像処理(TMAH2.38%溶液使用、現像時間60sec)及び洗浄処理(純水使用、洗浄時間60sec)を行った。その後、樹脂材料層を剥離した。この樹脂材料層の配設と現像処理、洗浄処理は、実際のバンク形成工程を想定したものである。
この実験条件と結果を表5に示す。また、表5中の膜密度と膜減り量の関係を示すグラフを図15に示す。
Figure 0005677434
表5の実験結果に示すように、ホール注入層である酸化タングステン層は、成膜直後の膜厚(80nm)に対し、最終的に23nm程度の膜厚になった。これにより、実に約57nm程度の膜厚分に至る酸化タングステン層が膜減りにより消失したことが確認された(特性が最良であるサンプルAを参照)。
また図15に示すように、酸化タングステン層の膜減り量と膜密度の間には相当の因果関係が存在し、膜密度が低いほど膜減り量が大きいことが分かった。
この理由は、現時点において必ずしも明確ではないが、表4、5と図15のグラフより、酸化タングステン層は、発光特性等の膜特性が良好なほど膜密度が低いことが分かっている。なお本願発明者らが行った別の検討によって、酸化タングステン層は層中に酸素欠陥に由来する構造を有することにより膜密度が低下し、良好なホール注入性が得られるため、素子の低電圧駆動を実現できるものと推測することができる。
また、本願発明者らが酸化タングステン層の膜減り原因を調べたところ、現像処理または洗浄処理において使用する溶剤により、酸化タングステン層が溶解して発生することを突き止めた。上記のように酸化タングステン層が酸素欠陥に由来する構造を持つと膜密度が低下するが、これは層内に微小な結晶構造が多数形成されるためであると思われる。このように微小な結晶構造の多数形成により、バンクを形成する際の成膜プロセスにおいて用いられる溶剤(現像液、洗浄液等)が酸化タングステン層中に浸入しやすくなり、これに起因して膜減りを発生するものと考えられる。
ところで一般的には、上記のような膜減りを生じると酸化タングステン層の膜厚が管理しづらくなり、また、素子完成後のホール注入特性に何らかの影響があると懸念される。このため、仮にこのようなホール注入層の膜減りの発生を当業者が知得することとなった場合には、酸化タングステンを用いてホール注入層を構成することに躊躇すると想定される。
しかしながら本願発明者らは、あえてこの点を鋭意検討した末、例えば現像条件の変更(現像液濃度を2.38%から0.2%前後まで低下させる)、またはベーク条件の変更を適切に行うことで、酸化タングステン層の膜減り量を調節できることを見出した。これにより、膜減りを考慮した酸化タングステン層の膜厚制御が可能となる。そこで本願発明者らは、このホール注入層の膜減り量の調節に係る技術を拠り所とし、さらに現実的な発光素子の試作について検討を進め、以下の技術的事項を確認するに至った。
発光素子の試作の手順として、まず陽極上に酸化タングステンを含むホール注入層を成膜した。このホール注入層上にバンク材料層を積層し、その後、バンク材料層を、機能層を形成するための開口部を有する所定の形状にパターニングした(このとき露光、現像、洗浄の各処理を実施する)。その後、前記開口部に対応する位置に機能層を成膜する。機能層上に陰極を形成した。
この方法で得られた素子の構造を確認したところ、ホール注入層の前記開口部に対応する領域において、酸化タングステンが溶解してなる窪みが形成され、これによってホール注入層は全体として凹入構造を有するように構成されていることを確認した。
ここで、ホール注入層の凹部構造が形成されていると、発光素子を駆動させた場合、陽極及び陰極間に発生する電界が前記開口部の端部側に位置する凹入構造の縁部に集中し、発光部面内の輝度ばらつき、寿命低下等、発光特性を損なうおそれがあるとの知見を得た。
そこで本願発明者らは次の実施の形態に示すように、このような凹入構造の縁に電界集中を生じることによる不具合を、バンクの形状によって防止する構成に着想したものである。
次に、本発明の別の実施の形態について、実施の形態1との差異を中心に説明する。
<実施の形態2>
(有機ELディスプレイの全体構成)
図17は、本発明の実施の形態2に係る有機ELディスプレイの一部を示す平面図である。
有機ELディスプレイ100は、RGBの何れかの発光層を具備する有機EL素子10a、10b、10c(実施の形態1の有機EL素子1000に相当する。)をマトリックス状に配置してなるトップエミッション型の有機ELディスプレイである。各有機EL素子がサブピクセルとして機能し、RGBの3色の有機EL素子が一組でピクセルとして機能する。
図17の例では、井桁状のピクセルバンク55が採用されており、Y軸方向に延伸するバンク要素55aにより、X軸方向に隣接する発光層6B6a1、56b1、56c1が区分けされると共に、発光層6B6a2、56b2、56c2が区分けされる。
一方、X軸方向に延伸するバンク要素55bにより、Y軸方向に隣接する発光層6B6a1、56a2が区分けされ、発光層6B6b1、56b2が区分けされ、さらに、発光層6B6c1、56c2が区分けされる。
図18は、本発明の実施の形態に係る有機ELディスプレイの一部断面を模式的に示す端面図であり、図17のA−Aの断面を示している。図19は、図18における一点鎖線で囲まれたB部の拡大端面図である。
実施の形態1の素子1000との違いとして、陽極2の上面には、ITO層3を介してホール注入層4を配設している。またバッファー層6Aは省略し、発光層6Bの上に電子注入層7、陰極8の上に封止層9を配設している。
基板1上には、陽極2がマトリックス状に形成されており、陽極2上に、ITO(酸化インジウムスズ)層3及び、ホール注入層4がその順で積層されている。なお、ITO層3が陽極2上にのみ積層されているのに対し、ホール注入層4は陽極2上だけでなく基板1の上面全体に亘って形成されている。
ITO層3は、陽極2及びホール注入層4の間に介在し、各層間の接合性を良好にする機能を有する。
陽極2の周辺上部にはホール注入層4を介してバンク5が形成されており、バンク5で規定された領域内に発光層6Bが積層されている。さらに、発光層6Bの上には、電子注入層7、陰極8、及び封止層9が、それぞれバンク5で規定された領域を超えて隣接する有機EL素子10a、10b、10cのものと連続するように形成されている。
電子注入層7は、陰極8から注入された電子を発光層6Bへ輸送する機能を有し、例えば、バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、あるいはこれらの組み合わせで形成されることが好ましい。
陰極8は、ここでは単層構造としており、例えば、ITO、IZO(酸化インジウム亜鉛)等で形成される。トップエミッション型の発光素子の場合は、光透過性の材料で形成されることが好ましい。
封止層9は、発光層6B等が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成される。トップエミッション型の発光素子の場合は、光透過性の材料で形成されることが好ましい。
(ホール注入層について)
ホール注入層4は、実施の形態1のものと同様であり、良好なホール注入特性を得ることのできる成膜条件により成膜された、酸化タングステン(WOx)層で構成されている。ここで図19に示すように、ホール注入層4は、バンク5の底面5a、5bに沿って側方に延出していると共に、上面の一部が凹入して凹部4aが形成されている。凹部4aの内底面部としての底面4bは、バンク底面5aのレベル5cよりも沈下している。凹部4aは、底面4bと、これに連続する内側面部としての側面4dとで構成されており、凹部4aの深さは、概ね5nm〜30nm程度である。凹部の縁4cは、ホール注入層4の上面において凹入されていない領域4eと凹部の側面4dとで形成された凸角部分であり、バンク5の一部である被覆部5dにより被覆されている。
凹部の縁4cは、凹部の底面4bに対して突出しているので、仮に、凹部の縁4cが絶縁性の被覆部5dで覆われていなければ、ここに電界集中が生じて発光層6Bに局部的に電流が流れ、その結果、発光面内での輝度ムラや発光層6Bの局部的劣化による製品の短寿命化という問題が生じる。しかしながら、本実施の形態では、凹部の縁4cが絶縁性の被覆部5dにより被覆されているので、そのような問題が生じるのを抑制することができる。なお、電界集中を効果的に抑制するには、被覆部5dの厚み(凹部の縁4cから発光層6Bまでの最短距離)を2nm〜5nmとするのが望ましい。
また、凹部の縁4cの形状は、一例として示した図19のようなエッヂ形状よりも、多角形、あるいは丸みを帯びた形状とすることで、電界集中をより抑制できる。
また、本実施の形態では、被覆部5dは凹部4aの底面4bまで達し、バンク5の側面は、凹部底面4bへの到達点から頂点にかけて上り斜面になっている。これにより、発光層6Bをインクジェット法などの印刷技術で形成する場合に、バンクに規定される領域内の隅々にインクを入り込ませやすくでき、ボイド等の発生を抑えることができる。
<本発明に係る一形態を得るに至った経緯>
ここでは、上述した(ホール注入層の膜減り)欄に記載した内容を図面を用い、具体的に説明する。
図16は、有機ELディスプレイの製造工程を示す端面図である。図16(a)は、TFT基板1上に、陽極2、ITO層3、ホール注入層4およびバンク5が形成された状態を示している。また、図16(b)は、さらに、発光層6B、電子注入層7、陰極8および封止層9が形成された状態を示している。
電荷注入輸送層(この例ではホール注入層4)に酸化タングステンを適用した構成によれば、バンク5の形成過程においてホール注入層4の上面に凹部4aが形成される(図16(a)参照)。その状態で発光層6Bを形成した場合(図16(b)参照)、発光時に凹部の縁4c付近に電界が集中してしまう。この結果、発光層6Bに局部的に電流が流れてしまう場合があり、この局部的な電流の発生により、発光面内の輝度ムラや局部的な劣化による短寿命化という問題が発生するおそれがある。
上記の課題および知見は、酸化タングステンを適用した有機EL素子における特有であり、且つ、これまでは明らかにされていなかったと考えられる点で、技術的な意義を有するものである。
以上の通り、一連の研究および検討を通じ、本発明者は、酸化タングステンを含む電荷注入輸送層に形成された凹部の縁をバンクの一部によって被覆することにより、発光時における凹部の縁付近の電荷の集中を抑制し、その結果、発光層における局部的な電流の流れを抑制する、という技術的特徴に想到することができたものである。
<有機ELディスプレイの製造方法>
図20乃至図22は、本発明の実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造方法を説明する工程図である。
まず、図20(a)に示すように、基板1上に例えばスパッタリングによりAg薄膜を形成し、当該Ag薄膜を例えばフォトリソグラフィでパターニングすることによりマトリックス状に陽極2を形成する。なお、Ag薄膜は真空蒸着等で形成しても良い。
次に、図20(b)に示すように、例えばスパッタリングによりITO薄膜を形成し、当該ITO薄膜を例えばフォトリソグラフィによりパターニングすることによりITO層3を形成する。続いて、WOx又はMoxWyOzを含む組成物を用いて真空蒸着、スパッタリングなどの技術によりWOx又はMoxWyOzの薄膜11を形成する。
次に、図20(c)に示すように、薄膜11上にバンク材料層12を形成し、バンク材料層12の一部を除去して薄膜11の一部を露出させる。バンク材料層12の形成は、例えば塗布等により行うことができる。バンク材料層12の除去は、バンク材料層12上にレジストパターンを形成し、その後、エッチングをすることにより行うことができる。レジストパターンは、エッチング後に例えば水系もしくは非水系の剥離剤により除去される。
次に、エッチング残渣を純水で洗浄する。このとき、薄膜11を構成する材料であるWOx又はMoxWyOzは純水に溶けやすい性質をもつので、図21(a)に示すように、薄膜11の露出部分が浸食されて凹入構造に形成される。この結果、凹部4aを具備するホール注入層4が形成される。
次に、図21(b)に示すように、熱処理を施してバンク材料層12の残留部にある程度の流動性を与え、残留部からバンク材料を凹部の縁4cまで延出させる。これにより、凹部の縁4cは被覆部5dに覆われることになる。熱処理は、例えば、熱キュアを採用することができる。熱キュアの温度および時間は、バンク材料の種類や必要とする被覆部5dの厚み等を勘案して適宜決定すればよい。その後、必要に応じて、バンク材料層12の残留部表面に例えばフッ素プラズマ等による撥液処理を施して、バンク5を形成する。
次に、図21(c)に示すように、バンク5で規定された領域内に例えばインクジェット法により有機EL材料を含む組成物インク(以下、単に「インク」と称する)を滴下し、そのインクを乾燥させて発光層6Bを形成する。なお、ディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等によりインクを滴下しても良い。
次に、図22(a)に示すように、例えば真空蒸着により電子注入層7となるバリウム薄膜を形成し、図22(b)に示すように、例えばスパッタリングにより陰極8となるITO薄膜を形成し、図22(c)に示すように、さらに封止層9を形成する。
上記製造方法によれば、製造過程においてホール注入層4の露出部分に凹部4aが形成されたとしても、凹部の縁4cが被覆部5dで被覆され、その後、発光層6Bが形成されるため、凹部の縁4cに電界が集中するのを抑制することができる。
以上、実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、ホール注入層4を構成する材料としてWOx又はMoxWyOzを用いて説明しているが、一般に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物は純水に浸食されやすいので、Mo(モリブデン)、W(タングステン)以外の金属を用いた場合でも本実施の形態を適用することにより同様の効果を奏することができる。
(2)上記実施の形態では、ホール注入層は洗浄の際に純水に浸食されて凹部が形成されているが、本発明を採用すれば、それ以外の理由により凹部が形成されたとしても、凹部の縁に電界が集中するのを抑制するという効果を得ることができる。それ以外の理由とは、例えば、ホール注入層がエッチングの際にエッチング液に浸食される場合や、レジスト剥離の際に剥離剤に浸食される場合などが挙げられる。このように、ホール注入層がバンクを形成する際に用いられる液体に浸食される材料からなる場合、より詳細には、ホール注入層の一部が露出した状態で用いられる液体に浸食される材料からなる場合に、本発明は有効である。
(3)上記実施の形態では、バンクから延出した被覆部は凹部の縁4cを越えて凹部の底面4bまで到達しているが、本発明は、凹部の縁4cを被覆することさえできれば、これに限られない。例えば、図23に示すように、被覆部5dが凹部の底面4bまで到達しない場合でも構わない。図23の構成を採用した場合には、バンク材料を凹部底面まで流さなくてもよいので、熱処理の温度および時間を低温かつ短時間にすることができる。
上記実施の形態では、ホール注入層4の凹部4aを形成する方法の一例として、バンク形成工程での現像の洗浄によるものを示したが、本発明は、その他の形成方法としてマスクパターニングなどを用いることもできる。
(4)図21(a)では、バンク材料12の斜面の下端と凹部の縁4cとが一致しているが、必ずしもこのようになるとは限らない。バンク材料によっては、図24(a)に示すように、バンク材料12の斜面が後退することにより、凹入されていない領域4eの一部が露出する場合もある。この場合でも、バンク材料12に適切に熱処理を施すことにより、凹部の縁4cをバンク材料の一部で覆わせることとすればよい(図24(b)参照)。
(5)上記実施の形態では、電荷注入輸送層としてホール注入層4のみが陽極と発光層との間に介挿されているが、本発明は、これに限られない。例えば、図25に示すように、ホール注入層4上にホール輸送層13が形成され、これらが電荷注入輸送層として介挿されることとしてもよい。この場合、ホール輸送層13の上面に凹部が形成されることになり、ホール輸送層に形成された凹部の縁が被覆部で覆われることになる。
さらには、電荷注入輸送層がホール注入層のみから構成され、このホール注入層、および、機能層を構成するホール輸送層が、陽極と発光層との間に介挿されていてもよい。具体的には、図27の部分Bに示すように、ホール注入層4の凹部4aの縁4cがバンク5の被覆部5dにより被覆された状態で、ホール注入層4の凹部4a上に、ホール輸送材料を含むインクを塗布してホール輸送層13を形成し、このホール輸送層13上に発光材料を含むインクを塗布して発光層6を形成してもよい。
なお、ホール輸送層は、厚み10nm〜20nm程度の層であって、ホール注入層から注入された正孔(ホール)を有機発光層内へ輸送する機能を有する。ホール輸送層としては、ホール輸送性の有機材料を用いる。正孔輸送性の有機材料とは、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を有する有機物質である。これは、p−型の有機半導体と呼ばれることもある。
ホール輸送層は、高分子材料でも低分子材料であってもよいが、湿式印刷法で製膜される。上層である有機発光層を形成する際に、これに溶出しにくいよう、架橋剤を含むことが好ましい。正孔輸送性の材料の例としてはフルオレン部位とトリアリールアミン部位を含む共重合体や低分子量のトリアリールアミン誘導体を用いることが出来る。架橋剤の例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いることができる。この場合、ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)や、その誘導体(共重合体など)で形成されていることが好適である。
(6)上記実施の形態では、陽極2をAg薄膜で形成しているので、ITO層3をその上に形成することとしている。陽極2をAl系にしたときは、ITO層3を無くして陽極を単層構造にすることができる。
(7)上記実施の形態では、発光素子を複数備えた発光装置として、有機ELディスプレイを例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限らず、照明装置等にも適用可能である。
(8)上記実施の形態では、所謂、ピクセルバンク(井桁状バンク)を採用しているが、本発明は、これに限らない。例えば、ラインバンク(ライン状のバンク)を採用することができる。図26の例では、ラインバンク65が採用されており、X軸方向に隣接する発光層6B6a、66b、66cが区分けされる。なお、図26に示すように、ラインバンク65を採用する場合には、Y軸方向に隣接する発光層同士はバンク要素により規定されていないが、駆動方法および陽極のサイズおよび間隔などを適宜設定することにより、互いに影響せず発光させることができる。
(9)上記実施の形態では、トップエミッション型で説明しているが、これに限定されず、ボトムエミッション型であっても良い。
(10)上記実施の形態では、発光層と陰極との間に電子注入層のみが介挿されているが、これに加えて電子輸送層を介挿してもよい。
(11)上記実施形態では、バンク材料として、有機材料が用いられていたが、無機材料も用いることができる。
この場合、バンク材料層の形成は、有機材料を用いる場合と同様、例えば塗布等により行うことができる。バンク材料層の除去は、バンク材料層上にレジストパターンを形成し、その後、所定のエッチング液(テトラメチルアンモニウムハイドロキシオキサイド(TMAH)溶液等)を用いてエッチングをすることにより行うことができる。レジストパターンは、エッチング後に例えば水系もしくは非水系の剥離剤により除去される。次に、エッチング残渣を純水で洗浄する。このとき、薄膜を構成する材料であるWOx又はMoxWyOzは純水やTMAH溶液に溶けやすい性質をもつので、図21(a)に示す場合と同様、薄膜の露出部分が浸食されて凹入構造に形成される。この結果、凹部を具備するホール注入層が形成される。このため、バンク材料として無機材料を用いる場合も、有機材料を用いる場合と同様、本発明が適用できる。
<その他の事項>
本明細書において言及する「占有準位」とは、少なくとも1つの電子によって占められた電子軌道による電子準位、いわゆる半占軌道の準位を内含するものとする。
本発明の有機EL素子は、素子単独で用いる構成に限定されない。複数の有機EL素子を画素として基板上に集積することにより有機ELパネルを構成することもできる。このような有機ELディスプレイは、各々の素子における各層の膜厚を適切に設定することにより実施可能である。
本発明の有機EL素子は、携帯電話用のディスプレイやテレビなどの表示素子、各種光源などに利用可能である。いずれの用途においても、低輝度から光源用途等の高輝度まで幅広い輝度範囲で低電圧駆動される有機EL素子として適用できる。このような高性能により、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種ディスプレイ装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ、照明光源等として、幅広い利用が可能である。
1 TFT基板
2 陽極
3 ITO(インジウム酸化スズ)層
4 ホール注入層(酸化タングステン層)
4a 凹部
4b 凹部の底面
4c 凹部の縁
4d 凹部の側面
4e ホール注入層の上面において凹入されていない領域
5 バンク
5a、5b バンクの底面
5c バンクの底面のレベル
5d 被覆部
6A バッファ層
6B 発光層
7 電子注入層
8 陰極
8A バリウム層
8B アルミニウム層
9 封止層
10 基板
10a、10b、10c 有機EL素子
11 薄膜
12 バンク材料層
13 ホール輸送層
55 ピクセルバンク
55a バンク要素
55b バンク要素
56a1、56a2、56b1、56b2、56c1、56c2 発光層
65 ラインバンク
66a、66b、66c 発光層
70 導電性シリコン基板
80 酸化タングステン層
100 有機ELディスプレイ
1000 有機EL素子
1000A 光電子分光測定用サンプル
1000B ホールオンリー素子

Claims (20)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に配置され、有機材料を用いてなる発光層を含む、1または複数の層からなる機能層と、
    前記陽極と前記機能層との間に配置されたホール注入層と、
    前記発光層を規定するバンクと、を備え、
    前記ホール注入層は、酸化タングステンを含み、
    価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有し、
    前記バンクに規定された領域においては前記機能層側の表面の一部が他の部分よりも前記陽極側に位置する凹入構造に形成され、
    前記凹入構造における凹部の縁が前記バンクの一部で被覆されている
    有機EL素子。
  2. 前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーが前記占有準位の結合エネルギーの近傍に位置づけられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーの差が±0.3eV以内である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 前記ホール注入層は、UPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記ホール注入層は、XPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 前記ホール注入層は、UPSスペクトルの微分スペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0〜3.2eV低い結合エネルギー領域に渡り、指数関数とは異なる関数として表される形状を有する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機EL素子。
  7. 前記機能層は、アミン系材料を含んでいる
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の有機EL素子。
  8. 前記機能層は、ホールを輸送するホール輸送層、光学特性の調整または電子ブロックの用途に用いられるバッファ層の少なくともいずれかである
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機EL素子。
  9. 前記ホール注入層における前記占有準位は、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0〜3.2eV低い結合エネルギー領域内に存在している
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機EL素子。
  10. 前記バンクの一部は、前記ホール注入層の凹入構造における凹部の底面まで達し、前記バンクの側面は、前記凹部底面への到達点から頂点にかけて上り斜面になっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  11. 前記バンクの一部は、前記ホール注入層の凹入構造における凹部の底面まで達していない
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  12. 前記ホール注入層は、前記バンクの底面に沿って前記バンクの側方に延出している
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  13. 前記ホール注入層の前記凹部の縁は、前記ホール注入層の上面において凹入されていない領域と前記凹部の側面とで形成された凸角部分である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の有機EL素子。
  14. 前記バンクは撥液性であり、前記ホール注入層は親液性である
    請求項1に記載の有機EL素子。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の有機EL素子を備える表示装置。
  16. 陽極を準備する第1工程と、
    前記陽極に対して酸化タングステン層を成膜する工程であって、アルゴンガスと酸素ガスにより構成されたガスをスパッタ装置のチャンバー内のガスとして用い、前記ガスの全圧が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ、酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらにターゲット単位面積当たりの投入電力密度が1W/cm2以上2.8W/cm2以下となる成膜条件下で前記酸化タングステン層を成膜する第2工程と、
    前記酸化タングステン層上に、バンクを構成する材料からなるバンク材料層を形成する第3工程と、
    前記バンク材料層の一部を除去して、前記酸化タングステン層の一部を露出させ、前記酸化タングステン層における上面の一部を上面の他の部分よりも前記陽極側に位置させ、内底面と前記内底面に連続する内側面とを備える凹入部を形成する第4工程と、
    前記酸化タングステン層上の前記バンク材料層の残留部に熱処理を施し、前記バンク材料層の残留部に流動性を与えることにより、前記残留部から前記バンクを構成する材料を前記凹入構造の凹部の縁まで延出させる第5工程と、
    前記熱処理工程後、前記露出した酸化タングステン層上に発光層を含む機能層を形成する第6工程と、
    前記機能層の上方に、陰極を形成する第7工程と、
    を有する有機EL素子の製造方法。
  17. 前記第2工程は、前記酸化タングステン層を、UPSスペクトルが、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8〜3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有するように成膜する
    ことを特徴とする請求項16記載の有機EL素子の製造方法。
  18. 前記第2工程は、UPSスペクトルの微分スペクトルが、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0〜3.2eV低い結合エネルギー領域に渡り、指数関数とは異なる関数として表される形状を有するように前記酸化タングステン層を成膜する、
    ことを特徴とする請求項16記載の有機EL素子の製造方法。
  19. 前記凹入構造は、前記ホール注入層における前記機能層側の表面の一部が溶解されて窪んでいる、請求項1記載の有機EL素子。
  20. 前記ホール注入層は、前記機能層側の表面の一部が窪んだ部分の厚みが、前記窪んだ部分と連続する窪んでいない部分の厚みよりも薄い、請求項1記載の有機EL素子。
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