JP4771702B2 - 補強材を有する高分子固体電解質膜 - Google Patents
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Description
このような目的に用いられる高分子固体電解質膜材料には、優れたプロトン伝導度、適度な保水性、また水素ガス、酸素ガス等に対するガスバリア性などが要求される。このような要件を満たす材料として、スルホン酸基やホスホン酸基を主鎖、あるいは側鎖の末端に有する高分子が種々検討され、例えばスルホン化ポリスチレンなど多くの材料が提案されてきている。
現在、実用化に向けた検討では、下記一般式(1)で表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーが主に用いられている。
これらのパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜は、骨格が全フッ素化されているために化学的に極めて高い耐久性を示し、先述の炭化水素系膜に比べ、より過酷な運転条件でも使用することが可能である。しかし、これらのパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーは、ガラス転移点が約120℃で、実使用温度域に近いことが良く知られ、この結果、室温程度での運転では充分な物理強度をもつが、80℃以上の温度領域では物理強度が不十分である。
従って、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜として良く用いられるものに、Nafion(デュポン社製 登録商標)やFlemion(旭硝子社製 登録商標)などがあるが、これらの膜は例えばホットプレス法により電解質膜と電極を接合する際に膜が破損しガスのリークを生じたり、電極内の短絡が生じやすいという問題があった。また実際の運転時においても充分な加湿環境の下で長期における耐久性を発揮することができなかった。この耐久性については、高分子固体電解質膜の乾燥時に対する含水時の寸法の変化が大きく局所的な歪が高分子膜の劣化や破壊の基点となるからである。
一方、均質な多孔質膜ではなく各種の繊維からなる不織布、織布、または紙様のシートを補強材とする電解質膜も検討されている。
例えばアラミド繊維やポリフェニレンサルファイド繊維よりなる不織布が用いられているが、本発明と同様の複合高分子固体電解質膜とした場合には十分な耐久性が得られない(特許文献5,6,8,14)。これは恐らくアラミドやポリフェニレンスルフィドが耐加水分解性に劣り、吸水性が高いために、これを補強材として用いた場合には複合固体高分子電解質膜としての化学的な耐久性が劣るのではないかと推測される。そのためアラミド繊維の表面をフッ素コーティングする等の方法が検討されているが充分な耐久性を得るにはいたっていない。
このように特に90℃以上の温度での長時間運転を行ってもクロスリークが発生せず、なおかつ固体高分子型燃料電池の実用化の観点から機械特性が優れ、また乾燥時に対する含水時の寸法変化が少ないという耐久性を有するものはなかった。
すなわち本発明は
1、 芳香族液晶ポリエステルからなる不織布を有することを特徴とする高分子固体電解質膜。
2、 該不織布の空隙率が40〜95%であって、かつ、空隙が該高分子固体電解質で充填されていることを特徴とする1に記載の高分子固体電解質膜。
3、 該高分子固体電解質が下記式(1)で示されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるイオン交換樹脂であることを特徴とする1又は2に記載の高分子固体電解質膜。
[CF2CF2]a−[CF2−CF(−O−CF2−CF(CF3))b−O−(CF2)f−SO3H)]g(1)
(式中、0≦a<1、0<g≦1,a+g=1,0≦b≦3、1≦f≦8である。)
4、 該高分子固体電解質が下記式(2)で示されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるイオン交換樹脂であることを特徴とする1又は2に記載の高分子固体電解質膜。
[CF2CF2]a−[CF2−CF(−O−CF2−CF(CF3))b−O−(CF2)f−SO3H)]g(2)
(式中、0≦a<1、0<g≦1,a+g=1,0≦b<1、1≦f≦8である。)
5、 該高分子固体電解質膜が、少なくとも高分子固体電解質(a)と、塩基性重合体(b)とを含有し、該(a)と該(b)の間に、該(a)の含有率((a)/((a)+(b))×100)が50.00〜99.999質量%、該(b)の含有率((b)/((a)+(b))×100)が0.001〜50.00質量%なる関係を有することを特徴とする1〜4の何れかに記載の高分子固体電解質膜。
6、 1〜5のいずれかに記載の高分子固体電解質膜を介してアノードとカソードが対向してなる膜/電極接合体。
7、 6に記載の膜/電極接合体を包含してなることを特徴とする高分子固体電解質型燃料電池。
本発明の高分子固体電解質膜に芳香族液晶ポリエステルの不織布は補強材として作用する。具体的には下記一般式(3)に示す構造単位からなる重合体であり、サーモトロピック液晶ポリエステルに分類される。
一般式(3)に示す構造単位のみからなる重合体が最も好ましいが、本発明の趣旨に反さない範囲で(4)に例示されるような構造単位を含む形の共重合体としても何ら問題がない。
芳香族液晶ポリエステルは吸水率が特に少なく、かつ機械的強度並びに寸法精度が優れており、これを不織布にしたものを補強材として有する複合高分子固体電解質膜は固体高分子型燃料電池に用いた場合には極めて良好な耐久性および性能を有する。
芳香族液晶ポリエステルは当業者に知られている通常の方法により溶融紡糸することにより繊維が得られる。芳香族液晶ポリエステルより得られる繊維は高度に配向しているため、紡糸しただけで十分高い強度を有しているが、紡糸繊維を高温で一定時間熱処理を行うことにより更に強度が増大するので、熱処理したあとの繊維を用いることも好ましい。
得られた芳香族液晶ポリエステル繊維は常法により不織布にすることにより本発明の燃料電池用複合高分子固体電解質膜の補強材として用いることができる。
本発明の高分子固体電解質膜は補強材として上記の芳香族液晶ポリエステルの不織布を含有した複合体を形成しており、補強材が高分子固体電解質膜中に包埋されていることが好ましい。
また本発明で用いることができる補強材としての不織布の空孔率は40〜95%が好ましく、より好ましくは50〜90%である。40%よりも空孔率が低いと固体電解質膜としてのプロトン伝導性が低下し、一方で95%よりも空孔率が高くなると不織布の本来の強度が保てなくなるので好ましくない。
本発明の高分子固体電解質膜に補強材として用いられる芳香族液晶ポリエステル不織布は表面処理を行うこともできる。この処理を行うとその後の高分子固体電解質の含浸を好適に行うことができる。このような表面処理の一例としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理が挙げることができる。
本発明で用いられる高分子固体電解質は、イオン交換性を有する樹脂であれば構わないが、フッ素系イオン交換樹脂であることが好ましく、中でもパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーであることがより好ましい。
パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーは具体的には、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)中、bの範囲が代わると高分子固体電解質膜のガラス転移点が変わる。1≦b≦3の範囲でガラス転移点がおよそ120℃以下であるが、bが1以下、0に近づくにつれてガラス転移点がおよそ140℃を超える。従って、bはより好ましくは0≦b<1である。
このポリマーは、通常、パーフルオロビニルエーテルモノマーとテトラフルオロエチレン(TFE)を共重合して得られる熱可塑性の下記一般式(5)で表されるパーフルオロカーボンスルホニルフルオライドポリマーを加水分解反応を施すことによって得られる。
次に高分子固体電解質膜に含まれる添加剤としての塩基性重合体について説明する。
本発明の高分子固体電解質膜では、特に塩基性重合体を高分子固体電解質成分に添加剤として含有させることによって耐久性が飛躍的に向上する。塩基性重合体としては窒素含有脂肪族塩基性重合体や窒素含有芳香族塩基性重合体が挙げられる。
窒素含有脂肪族塩基性重合体の例としては、ポリエチレンイミンが挙げられる。窒素含有芳香族塩基性重合体の例としては、ポリアニリン、及び複素環式化合物であるポリベンズイミダゾール、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリビニルピリジン、ポリイミダゾール、ポリピロリジン、ポリビニルイミダゾール等が挙げられる。この中でもポリベンズイミダゾールは耐熱性が高いことから特に好ましい。
ポリベンズイミダゾールとしては、一般式(6)、一般式(7)に表される化合物、一般式(8)で表されるポリ2,5−ベンズイミダゾール等が挙げられる。
ある。Rは一般式(6)で定義したものと同じである。
以上のようなポリベンズイミダゾールの中でも、下記化学式(9)で表されるポリ[2、2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール]が特に好ましい。
塩基性重合体(b)の含有率は、上記のように成分(a)と成分(b)の合計質量に対して0.001〜50.000質量%であり、好ましくは0.005〜20.000質量%、より好ましくは0.010〜10.000質量%、さらに好ましくは0.100〜5.000質量%、最も好ましくは0.100〜2.000質量%である。塩基性重合体(b)の含有率を上記の範囲(0.001〜50.000質量%)に設定することにより、良好なプロトン伝導度を維持したまま、高耐久性を有する高分子固体電解質膜を得ることができる。
本発明の高分子固体電解質膜の製造法は特に限定されないが、上記の高分子固体電解質が水、アルコール類等のプロトン溶媒や、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキサイド)、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等の極性非プロトン溶媒、或いは、その混合溶媒に溶解あるいは分散した混合液(含浸液と呼ぶ)に補強材を浸漬、含浸し次いで乾燥する方法が挙げられる。また、補強材の上に上記の高分子固体電解質が溶解あるいは分散した液を塗布して含浸、乾燥する方法も挙げられる。この方法以外にもスプレーや刷毛塗り等でも含浸できるがいずれの方法でも構わない。また含浸後に不織布の表面に付着した余分な高分子固体電解質はスクレーパ、ワイパー、エアナイフ、ローラ等で掻き落として付着量を限定することが好ましい。このような方法で作成した含浸後の高分子固体電解質膜に対して別途用意した高分子固体電解質膜を加熱下でプレスしてさらに複合することもできる。
補強材の内部に高分子固体電解質あるいは塩基性重合体を添加物として含む高分子固体電解質を充填する際の含浸液の固形分濃度は内部に十分に充填することを考えると5質量%以上であることが望ましく、10質量%以上であることがさらに望ましい。5質量%よりも濃度が小さい場合には空孔を完全に埋めることができない。含浸後になお空孔を有する場合には繰り返し含浸することもできる。その際には含浸後に風乾または熱風等を十分に当てて溶剤を乾燥、除去した後に再度含浸をする。また含浸においては雰囲気を減圧にすることや超音波を照射した場合に好適に空孔を残さずに含浸が達成されるが必ずしも減圧や超音波は必要ではない。
熱処理温度が低いと補強材と高分子固体電解質間の密着力が確保できず好ましくない。この場合80℃程度の水に浸漬すると含浸した高分子固体電解質が溶け出してくることがある。一方、熱処理温度が高いと高分子固体電解質、塩基性重合体等が変質する可能性があり好ましくない。熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが、好ましくは5分以上3時間以下、更に好ましくは10分以上2時間以下である。
含浸後に熱処理を施した高分子固体電解質膜は実質的に空気不透過である。空気の透過性の測定方法は後述する特性値の測定方法の欄に記載するが、この測定を行った際の透気度(ガーレー数)は5000秒以上であることが好ましく、10000秒以上であることがさらに好ましく、最も好ましくは20000秒以上である。5000秒未満の場合には全く実用に供さない。本発明の空気不透過とは5000秒以上のことをいう。
高分子固体電解質膜の乾燥時に対する含水時の寸法の変化は乾湿寸法変化の振幅の測定で評価される。測定方法は後述する特性値の測定方法の欄に記すが、乾湿寸法変化の振幅が10%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。10%以上の場合には生じる局所的なひずみが高分子固体電解質膜の劣化や破壊の基点となり長時間の連続運転には耐え得ない。
アノード触媒層は、燃料(例えば水素)を酸化して容易にプロトンを生ぜしめる触媒を包含し、カソード触媒層は、プロトン及び電子と酸化剤(例えば酸素や空気)を反応させて水を生成させる触媒を包含する。アノードとカソードのいずれについても、触媒としては白金もしくは白金とルテニウム等を合金化した触媒が好適に用いられ、10〜1000オングストローム以下の触媒粒子であることが好ましい。また、このような触媒粒子は、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、活性炭、黒鉛といった0.01〜10μm程度の大きさの導電性粒子に担持されていることが好ましい。触媒層投影面積に対する触媒粒子の担持量は、0.001mg/cm2〜10mg/cm2以下であることが好ましい。
さらにアノード触媒層とカソード触媒層は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含有することが好ましい。触媒層投影面積に対する担持量として、0.001mg/cm2〜10mg/cm2以下であることが好ましい。
当業者にはMEAの作製方法は周知である。MEAの作製方法は、例えば、JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY,22(1992)p.1−7に詳しく記載されている。
上記MEAのアノードとカソードを高分子固体電解質膜の外側に位置する電子伝導性材料を介して互いに結合させると、作動可能な固体高分子形燃料電池を得ることができる。当業者には固体高分子形燃料電池の作成方法は周知である。固体高分子形燃料電池の作成方法は、例えば、FUEL CELL HANDBOOK(VAN NOSTRAND REINHOLD、A.J.APPLEBY et.al、ISBN 0−442−31
926−6)、化学One Point,燃料電池(第二版),谷口雅夫,妹尾学編,共立出版(1992)等に詳しく記載されている。
高電圧を取り出すためには、上記のような単セルを複数積み重ねたスタックセルとして燃料電池を作動させる。このようなスタックセルとしての燃料電池を作成するためには、複数のMEAを作成してスタックセル用ケーシング(例えば、米国エレクトロケム社製 PEFCスタックセル)に組み込む。このようなスタックセルとしての燃料電池においては、隣り合うセルの燃料と酸化剤を分離する役割と隣り合うセル間の電気的コネクターの役割を果たすバイポーラプレートと呼ばれる集電体が用いられる。
燃料電池の運転は、一方の電極に水素を、他方の電極に酸素または空気を供給することによって行われる。燃料電池の作動温度は高温であるほど触媒活性が上がるために好ましい。通常は、水分管理が容易な50〜80℃で作動させることが多いが、80℃〜150℃で作動させることもできる。
(特性値の測定方法)
(1)イオン交換容量
まず、10cm2程度に切り出した(複合)高分子電解質膜を110℃にて真空乾燥して、乾燥重量W(g)を求める。この膜を50mlの25℃飽和NaCl水溶液に浸漬してH+を遊離させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定を行い、中和に要したNaOHの等量M(ミリ等量)を求める。このようにして求めたMをWで割って得られる値がイオン交換容量(ミリ等量/g)である。また、WをMで割って1000倍した値が当量質量EWであり、イオン交換基1当量当りの乾燥質量グラム数である。
(2)膜厚
高分子固体電解質膜を23℃、65%の恒温室で12時間以上放置した後に、東洋精機製作所製B−1型膜膜厚計を用いて測定した。
高分子固体電解質膜を23℃・50%の恒温室で1時間以上放置したあと、任意のサイズに切り出し、初期の寸法(縦方向の長さA(cm)、横方向の長さB(cm))を測定した。そのサンプルを80℃熱水に1時間浸漬させ、膨潤時の寸法(縦方向の長さC(cm)、横方向の長さD(cm))を測定し、下記式を用いて80℃での縦方向、横方向それぞれの膨潤寸法変化率を求め、その平均を膨潤寸法変化率△W(%)とした。
△W縦=((C−A)/A)×100
△W横=((D−B)/B)×100
△W=(△W縦+△W横)/2
引き続き、膨潤したサンプルを23℃・50%の恒温室で1時間以上放置、乾燥させ、乾燥時の寸法(縦方向の長さE(cm)、横方向の長さF(cm))を測定し、下記式を用いて乾燥時での縦方向、横方向それぞれの乾燥寸法変化率を求め、その平均を乾燥寸法変化率△K(%)とした。
△K縦=((E−A)/A)×100
△K横=((F−B)/B)×100
△K=(△K縦+△K横)/2
これらより、以下の式を用いて繰り返し乾湿寸法変化の振幅△H(%)を求めた。
△H=△W−△K
高分子固体電解質膜を80℃の湯中で処理した後に、膨潤状態のまま幅1cm、長さ7cmに切出し、厚みT を測定した。このサンプルを膨潤状態のまま伝導度を測定する2端子式の伝導度測定セルに装着した。このセルを80℃のイオン交換水中に浸漬し、交流インピーダンス法により周波数10kHzにおける抵抗値Rを測定し、以下の式からプロトン伝導度σを算出した。
σ=L /(R ×T ×W )
σ:プロトン伝導度(S/cm)
T :厚み(cm)
R :抵抗値(Ω)
L :2端子間距離(=5cm)
W :サンプル幅(=1cm)
Nafion溶液(アルドリッチ社製、Nafion固形分10%、溶媒 水/エタノール重量比=1/1に、触媒として市販の白金担持カーボン(田中貴金属(株)社製TEC10E40E)を分散させてペースト状にする。これを2枚のPTFEシートのそれぞれの片面に0.8mg/cm2して乾燥させて触媒層を形成した。次に、各PTFEシートの塗布面を向かい合わせにして、その間に本発明の高分子固体電解質膜を挟み込み、150℃、圧力5MPaで90秒間プレスしてMEAを作成した。
得られたMEAの両側にガス拡散層としてカーボンクロスをセットして燃料電池単セル評価装置に組み込み、水素ガスと空気を用いて0.15MPa加圧下95℃で燃料電池特性試験を行った。アノードとカソードのガスの加湿温度は60℃とし、電流密度0.3A/cm2で発電した。耐久性試験において、高分子電解質膜にピンホールが生じると、水素ガスがカソード側へ多量にリークする。このリーク量を調べ、測定値が著しく上昇した時点で試験終了とした。
JIS P8117に基づき、ガーレ式デンソメータ(島津社製)を用い、空気100ccが透過する時間(秒)を透気度(ガーレー値)として計測し、連続孔の有無を判断した。測定は5サンプルについて行い、その平均値を求めた。なお、連続孔が存在しない場合、透気度は無限大になる。
(7)破断強度
JIS K7113に基づき、島津製作所製精密万能試験機AGS−1KNGを用いて高分子固体電解質膜の破断強度を測定した。サンプルは23℃、65%の恒温室で12時間以上放置した後に幅5mm、長さ50mmに切出し測定に供した。測定は3サンプルについて行い、その平均値を求めた。
不織布を10cm×10cmの大きさに切断し23℃50%の恒温室で24時間以上放置した後に重量測定を行った。また特性値の測定方法(2)に示した方法で膜圧を測定した。重量W(g)、膜厚d(μm)、液晶ポリエステルの比重をx(g/cm3)として
空孔率(%)=100−[W/(10×10×d×10−4×x)]
として算出した。液晶ポリエステルの比重は1.40g/cm3として計算した。
フッ素系高分子固体電解質として、[CF2CF2]0.812−[CF2−CF(−O−(CF2)2−SO3H)]0.188で表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(以下、「PFS」と称する)を用いて、PFS/PBI=100/1(質量比)の塩基性重合体を含むフッ素系高分子固体電解質溶液(含浸液D)を以下のように製造した。
重量平均分子量が27000であるポリ[2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール](シグマアルドリッチジャパン(株)製、以下PBIと称する)をN,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAC」と称する)とともにオートクレーブ中に入れて密閉し、200℃まで昇温して5時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、PBI/DMAC=10/90(質量%)の組成のPBI溶液を得た。このPBI溶液の固有粘度は0.8(dl/g)であった。さらに、このPBI溶液をDMACで10倍に希釈して、PBI/DMAC=1/99(質量%)の組成の前段階溶液Aを作製した。
このPFSをエタノール水溶液(水:エタノール=50.0:50.0(質量比))とともにオートクレーブ中に入れて密閉し、180℃まで昇温して5時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、PFS:水:エタノール=5.0:47.5:47.5(質量%)の組成のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をエバポレータで減圧濃縮を行った後、水を添加してPFS/水=8.5/91.5(質量比)溶液を前段階溶液Bとして製造した。
次に40.0gの前段階溶液Cに6.5gの前段階溶液Aを添加し混合した後、68.9gの前段階溶液Bを加えて攪拌し、さらに80℃にて減圧濃縮して含浸液Dを得た。この含浸液中のPFSとPBIの濃度は、各々5.600質量%と0.056質量%であった。
[実施例1]
[実施例2]
[実施例3]
[実施例4]
この膜の評価結果を表1に示すが良好な乾湿寸法変化特性、機械特性を示し、また良好な燃料電池膜としての耐久性を示した。
[比較例1]
[比較例2]
である。
Claims (4)
- 補強材、高分子固体電解質(a)及び塩基性重合体(b)を有する燃料電池用高分子固体電解質膜であって、
補強材が芳香族液晶ポリエステルからなる不織布であり、
高分子固体電解質(a)が下記式(10)で示されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなるイオン交換樹脂であり、
塩基性重合体(b)が、下記化学式(9)で表されるポリベンズイミダゾールであり、
上記高分子固体電解質(a)と塩基性重合体(b)の間に、高分子固体電解質(a)の含有率((a)/((a)+(b))×100)が50.00〜99.999質量%、塩基性重合体(b)の含有率((b)/((a)+(b))×100)が0.001〜50.00質量%なる関係を有することを特徴とする燃料電池用高分子固体電解質膜。
[CF2CF2]a−[CF2−CF−O−(CF2)f−SO3H)]g (10)
(式中、0≦a<1、0<g≦1,a+g=1,1≦f≦8である。)
- 該不織布の空隙率が40〜95%であって、かつ、空隙が該高分子固体電解質で充填されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子固体電解質膜。
- 請求項1又は2に記載の燃料電池用高分子固体電解質膜を介してアノードとカソードが対向してなる膜/電極接合体。
- 請求項3に記載の膜/電極接合体を包含してなることを特徴とする高分子固体電解質型燃料電池。
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