JP4140884B2 - 炭酸ストロンチウムの製造方法、非複屈折性光学樹脂材料並びに光学素子 - Google Patents
炭酸ストロンチウムの製造方法、非複屈折性光学樹脂材料並びに光学素子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、配向複屈折性を有する微粒子状の炭酸ストロンチウムを製造する方法、並びに、同方法によって製造された微粒子状炭酸ストロンチウムを含有した非複屈折性光学材料及び同材料を用いた光学素子に関し、更に詳しく言えば、平均500nm以下のサイズ(長さ)の長軸を有する微粒子状の炭酸ストロンチウムの製造方法、並びに、同方法によって製造された微粒子状炭酸ストロンチウムを含有した非複屈折性光学材料及び同材料を用いた光学素子に関する。
【0002】
なお、本明細書において、「非複屈折性光学樹脂材料」とは、「外部からの作用(例えば、射出成形時、押し出し成形時等に作用する応力)の履歴によって高分子結合鎖に配向が生じているにも拘らず、複屈折性の発現が全体として非常に小さく抑えられた光学樹脂材料」を意味するものとする。また、微粒子のサイズは、その形状の幾何学的な長軸方向に沿って測ったものを指すものとする。
【0003】
【従来の技術】
近年、眼鏡レンズ、透明板などの一般光学部品やオプトエレクトロニクス用の光学部品、特に音響、映像、文字情報等を記録する光ディスク装置のようなレーザ関連機器に用いる光学部品の材料として、高分子樹脂が用いられる傾向が強まっている。これは、高分子樹脂からなる光学材料(以下、「高分子光学材料」とも言う。)が、一般に他の光学材料(光学ガラス等)に比べて、軽量、安価で加工性、量産性に優れているからである。特に、高分子樹脂材料には、射出成形や押し出し成形のような成形技術が容易に適用出来るという大きな利点がある。
【0004】
しかし、これまで使用されてきた通常の高分子光学材料には、これら成形技術を適用して得られた製品が少なからず複屈折性を示すという性質があった。この事実自体は、その原因を含めて広く知られているところである。
【0005】
図1はこれを簡単に説明する為の図である。同図に示したように、成形工程を経た高分子光学材料は、一般に、ポリマーの結合鎖を形成する多数の単位(モノマー)1が体積的に配向方向をもって結合した状態にある。そして、通常光学材料として使用される高分子材料の殆どすべてについて、各単位(符号1で示した)は、屈折率に関して光学的異方性を有している。即ち、配向方向に平行な方向の偏波成分に関する屈折率nprと配向方向に垂直な方向の偏波成分に関する屈折率nvtが異なっている。
【0006】
このような光学的異方性は、良く知られているように、屈折率楕円体で表現することが出来る。図1において、各結合単位1に付記されている楕円マークJP12はその表式に従ったものである。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合、各単位1(メチルメタクリレート)の屈折率は、配向方向について相対的に小さく、配向方向と垂直な方向について相対的に大きい。従って、マクロスケールでみた時の屈折率楕円体3は、図示されているように縦長となる。
【0007】
即ち、ポリメチルメタクリレートの場合、npr<nvtである。両者の差Δn=npr−nvtは、「配向複屈折値」と呼ばれる。実際のポリマー材料における配向複屈折値Δnは、そのポリマー材料の結合鎖(主鎖)の配向の度合に応じて変化する。結合鎖(主鎖)が延びきって理想状態まで配向した時のΔnの値は、「固有複屈折値」と呼ばれる。代表的な光学樹脂の固有複屈折値を表1に示した。
【0008】
このように、固有複屈折率値はあくまで理想配向条件下でのΔnの値なので、実際のポリマー材料のΔnの値をΔn(real)で表わせば、0<|Δn(real)|<固有複屈折値の関係が成立する。
【0009】
例えば、図1に示したポリメチルメタクリレートでは固有複屈折率値=−0.0043なので、実際のポリマーにおける配向複屈折率値Δn(real)は、−0.0043<Δn(real)<0となる。ここで、Δn(real)=−0.0043(理想的な配向状態での値)も、Δn(real)=0(完全な無配向状態での値)も実現は困難である。同様に、ポリスチレンでは、−0.100<Δn(real)<0である。また、ポリエチレンではΔnが正の値を示し、0<Δn(real)<+0.044である。
【0010】
このように、配向に依存した複屈折を配向複屈折と言い、屈折率楕円体の長軸方向を配向複屈折方向と呼ぶこことする。また、「配向複屈折率値Δn(real)の符号」あるいはそれと同じ「固有配向複屈折率値の符号」が正(Δn>0)であることを「複屈折性の符号が正」、同様に負(Δn<0)であることを「複屈折性の符号が負」などと表現することとする。
【0011】
【表1】
【0012】
このような複屈折性の表現方式は、棒状、針状、楕円状等の形状を持つ無機微粒子(結晶粒)にも適用出来る。その場合、微粒子の幾何学的な意味での長軸方向に平行な方向の偏波成分に関する屈折率をnpr、同長軸方向に垂直な方向の偏波成分に関する屈折率をnvtとする。そして、Δn=npr−nvtの値が正であれば「複屈折性の符号が正」、負であれば「複屈折性の符号が負」などと表現する。
【0013】
但し、長軸方向に垂直な方向の偏波成分について、屈折率が均等で無いことが一般的なので、結晶構造に対応した3軸(a軸、b軸、c軸;長軸をc軸とする)をとり、a軸方向の偏波成分に関する屈折率をna,b軸方向の偏波成分に関する屈折率をnb,c軸方向の偏波成分に関する屈折率をncとする。そして、npr=nc、nvt=(na+nb)/2とする。
【0014】
上記説明したような配向複屈折は、偏光特性が重要でないようなアプリケーションに使用される光学デバイスにおいては特に問題とされない。しかし、例えば近年開発された書込/消去型の光磁気ディスクでは、読み取りビームあるいは書き込みビームに偏光ビームが用いられているので、光路中に複屈折性の光学要素(ディスク自体、レンズ等)が存在すると、読み取りあるいは書き込みの精度に悪影響を及ぼすことになる。また、そのような例に限らず一般的に言っても、意図せざる複屈折性が存在することは多くの光学要素にとって好ましいことではない。
【0015】
一般に、光学樹脂(透光性ポリマー)を光学デバイスに成形する諸過程には、延伸、押し出し、射出等の主鎖を配向させるような力が作用する過程が含まれており、従って、殆どすべてのケースにおいて、ポリマー固有の配向複屈折が生じます。従って、上述のような問題を回避する必要性が高まっている。
【0016】
このような状況を背景に、これまでにも高分子光学材料の持つ複屈折性を低減・除去する為のいくつかの技術が提案されている。その中に、本願の発明者(複数)の内の1人が提案したタイプの技術がある。同技術では、配向複屈折率性を示す多数の無機微粒子を統計的に配向した状態で高分子マトリックス中に含有させ、高分子マトリックスの複屈折性が低減・相殺する。低減・相殺の仕方には、高分子マトリックスの配向複屈折性と無機微粒子の配向複屈折性の符号の関係(同符号/異符号)、及び、高分子マトリックスの結合鎖の配向と無機微粒子の配向の関係(統計的に平行/統計的に直交)に応じて、2つのタイプがある。これを便宜上タイプ1、タイプ2と呼ぶことにする。
【0017】
タイプ1:国際特許公開公報WO01/25364号に開示されている。同公報に記載されているように、透明な高分子樹脂中に多数の無機微粒子を分散させ、延伸などによって成形力を外部から作用させ、高分子樹脂の結合鎖と多数の無機微粒子とを統計的に「ほぼ平行」に配向させる。
【0018】
ここで、高分子樹脂と無機微粒子の組合せは、高分子樹脂の結合鎖と無機微粒子(その長軸)が平行に配向した時、両者の持つ配向複屈折性が互いに打ち消し合う関係となるものを選択する。即ち、両者の配向複屈折性の符号は互いに異符号である。
【0019】
タイプ2:特願2002−67457号の明細書/図面に記載されている。同明細書/図面に記載されているように、透明な高分子樹脂中に多数の無機微粒子を分散させ、射出などによって成形力を外部から作用させ、高分子樹脂の結合鎖と多数の無機微粒子とを統計的に「ほぼ直角」に配向させる。
【0020】
ここで、高分子樹脂と無機微粒子の組合せは、高分子樹脂の結合鎖と無機微粒子(その長軸)が垂直に配向した時、両者の持つ配向複屈折性が互いに打ち消し合う関係となるものを選択する。即ち、両者の配向複屈折性の符号は互いに同符号である。
【0021】
これらの手法は結晶ドープ法と呼ばれており、高分子樹脂の結合鎖の配向によって生じる複屈折性を統計的に配向させた多数の無機微粒子の複屈折性で減殺して、非複屈折性の光学樹脂材料を得ることができる。また、同光学樹脂材料を光学素子の材料に採用すれば非複屈折性の光学素子を得ることができる。例えば、レンズ形状を持たせれば非複屈折性のレンズが得られ、シート形状を持たせれば非複屈折性の透光シートが得られる。
【0022】
ところで、上記結晶ドープ法を実際の適用するには、同技術に適した結晶微粒子を用意する必要がある。本発明者は、好適な結晶微粒子の候補となりえるものをリストアップし、入手可能なものを入手し、実験的に結晶ドープ法を適用してみた。その結果、ある一定の効果(複屈折性の低下)は確認されたが、得られる非複屈折性光学樹脂材料の透明性に問題が生じることが判った。これは、入手可能な結晶微粒子の粒子サイズが十分に小さくないためと推測された。
【0023】
具体的に言えば、結晶ドープ法に使用できる500nm以下の結晶微粒子の方が望まれると推測されましたが、そのような結晶微粒子は市販されておらず、入手困難であることが判った。
【0024】
通常の化学実験室で比較的簡単に合成可能と考えられる候補として、炭酸カルシウムを選び、均一沈殿法あるいは不均一沈殿法により、粒径を小さくすると同時に、目的とする針状の結晶のみを得ることを試みたが、良い結果が得られなかった。これは炭酸カルシウムの結晶系には、アラゴナイト、カルサイト、バテライトがあり、針状であるアラゴナイトの合成時に最も安定なカルサイトが混入しやすいからであると考えられます。結局、本発明者は、炭酸ストロンチウムに針状結晶(ストロンチアナイト)に的を絞った。その主な理由は次の通りである。
【0025】
(1)比較的、針状の結晶粒子形態をとり易い性質がある。
【0026】
(2)屈折率n(na,nb,nc)=(1.520,1.666,1.669)であり、多くのポリマーと比較的屈折率が近く、結晶そのものが有する複屈折も大きいので、結晶ドープ法に適している。
【0027】
(3)原料(詳細後述)を天然鉱石の形で自然界で簡単に入手できる。
【0028】
(4)人体、環境に無害である。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の1つの目的は、結晶ドープ法に使用できる十分小さな(平均長さ500nm以下)の炭酸ストロンチウムの結晶微粒子を製造する方法を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、そのような製造方法によって得られた小サイズの炭酸ストロンチウム結晶微粒子を結晶ドープ法に用いて非複屈折性光学樹脂材料を得ることにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、均一沈殿法あるいは炭酸ガス化合法(不均一法とも言う)によって、炭酸ストロンチウムの結晶微粒子を得るに際し、氷点下の温度環境下で炭酸ストロンチウムの結晶微粒子を生成させることにより、上記課題を解決したものである。
【0031】
先ず本発明に従えば、「ストロンチウム塩を水に溶解させるとともに、前記に水中で尿素を加水分解し、前記電離したSr2+イオンと前記加水分解時に発生する炭酸イオンとを反応させることにより、平均粒子サイズが500nm以下の炭酸ストロンチウムの微粒子を生成する炭酸ストロンチウムの製造方法において;前記水に水の凝固点を降下させる凝固点降下物質が添加され、前記炭酸ストロンチウムの結晶微粒子の生成が氷点下で行なわれることを特徴とする、前記製造方法」が提供される。
【0032】
ここで、前記尿素の加水分解が、尿素の加水分解酵素を共存させて促進されることが好ましい。
【0033】
本発明によれば、更に、「水に水酸化ストロンチウムを加えた懸濁液を調整し、前記懸濁液に炭酸ガスを吹き込み、Sr2+イオンと炭酸イオンとを反応させ、平均粒子サイズが500nm以下の炭酸ストロンチウムの微粒子を生成する炭酸ストロンチウムの製造方法において;前記懸濁液に水の凝固点を降下させる凝固点降下物質が添加され、前記炭酸ストロンチウムの結晶微粒子の生成が氷点下で行なわれることを特徴とする、前記製造方法」が提供される。
【0034】
なお、凝固点降下物質としては、例えばエチレングリコールを用いることが出来る。また、凝固点降下物質は、前記凝固点が氷点下5度を下回るように添加されることが好ましい。
【0035】
更に、本発明に従えば、「結合鎖の配向によって生じた配向複屈折性を有する透明な高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散した多数の無機微粒子とを含み、前記無機微粒子は、前記高分子樹脂内で前記高分子樹脂の配向複屈折性を減殺するように統計的に配向している、非複屈折性光学樹脂材料」について、多数の無機微粒子として、上記製造方法のいずれかによって製造された炭酸ストロンチウムの微粒子が採用される。
【0036】
このように、本発明の基本的な特徴は、炭酸ストロンチウムの微粒子をいわゆる均一沈殿法(請求項1〜3)または炭酸ガス化合法(不均一法とも言う)で合成する際に、水の凝固点を下げ、氷点下の液中で微粒子を合成・生成した点にあります。このように、氷点下の温度環境を採用したのは、次のような理由によるものである。
【0037】
本発明は上述のように、均一沈殿法または炭酸ガス化合法(不均一法)を利用するもので、いずれも、2つの方法に共通する傾向として「水温を下げる程、小さい粒径の炭酸ストロンチウム結晶微粒子が得られる」を確認した。しかし、両方法とも水中(液体の水の共存下)で行う方法である以上、氷点を越えて温度を下げると水が凍ってしまい、結局、水が凍らない範囲の低温では、1μm以下の微粒子を得ることは困難であった。
【0038】
本発明では、「合成反応を阻害せずに、水の凝固点を降下させることが可能な溶媒(凝固点降下物質)を加える」ことで、この問題をクリアした。実際に使用するに適した凝固点降下物質には、エチレングリコールがある。
【0039】
なお、ここで、本発明が利用している「均一沈殿法」及び「炭酸ガス化合法(不均一法)」について、炭酸ストロンチウム合成時に即して一般的な事項をまとめておく。
【0040】
1.均一沈殿法:ストロンチウム塩を水に溶かし、電離したSr2+イオンと尿素の加水分解時に発生する炭酸イオンとを反応させることにより炭酸ストロンチウムを合成する方法である。反応式は下記のようになる。
【0041】
尿素の加水分解;
(NH2 )2CO+3H2 O→2NH4OH+CO2 ↑ (*)
(*)から水中で生じるCO3 2とSr2+との反応;
Sr2++CO3 2- →Sr↓
反応開始時は液相のみであり、反応生成物が沈殿することから、「均一沈殿法」と呼ばれる。室温以下では、反応速度が遅く、反応を促進するためには(即ち、数時間程度で反応を終了させるためには)約70℃以上に加温する必要があります。但し、通常は尿素の加水分解酵素(ウレアーゼ)を添加し、低温(20℃以下)でも反応を早く進めることができる。
【0042】
2.炭酸ガス化合法(不均一法)
水に水酸化ストロンチウムを加えた懸濁液を調整し、そこに炭酸ガスを吹き込んでいくことにより、Sr2+イオンと炭酸イオンとを反応させ、炭酸ストロンチウムを合成する方法である。反応開始時に液相と固相が反応系内に存在するため、不均一法とも呼ばれている。
【0043】
【実施例】
以下、均一沈殿法あるいは炭酸ガス化合法(不均一法)を適用した、本発明のいくつかの実施例について説明する。
【0044】
[実施例1(均一沈殿法を適用)]
水375gに対し、尿素81.75g(水に対し21.8wt%)、硝酸ストロンチウム30.75g(水に対し8.2wt%)を添加した。さらに反応を氷点下で行なうために反応液に有機溶媒としてエチレングリコールを75.00g(水に対し20wt%)添加した。この溶液を図2に示す実験系のビーカーへ入れ、超音波を照射しながら、攪拌し、冷却した。
【0045】
攪拌モーターとして新東科学株式会社製、スリーワンモーターBLh600を、超音波照射機能付ウォーターバスとして本多電子株式会社製、超音波洗浄器W−113MK−II、クーラーとしてトーマス科学機器株式会社製、密閉タンク型ハンディクーラーTRL−C13を用いた。
【0046】
クーラーにより、ウォーターバス中のエチレングリコール系不凍液(トーマス科学機器株式会社製、ナイブライン;登録商標)を循環させることにより、反応液の温度を−5℃まで下げ、−5℃に保った。続いて消化酵素Urease1.50gを反応液に添加した。消化酵素添加後、反応液中では結晶の析出が始まり、白濁した。反応液の温度を−5℃に保ちながら、12時間反応させた。
【0047】
その後、反応液の温度を20℃まで上げ、20℃に保ちながら12時間、結晶を熟成させた。得られた結晶をろ過により取り出し、乾燥させた。乾燥後の結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)観察写真を図3(a)〜(c)に示す。各写真における観察倍率は、図3(a)では3000倍、図3(b)では20000倍、図3(c)では100000倍である。各写真中のスケールとの比較から分かるように、長さが500nm以下(おおよそ平均400nm程度)の炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子が得られている。
【0048】
[実施例2(均一沈殿法を適用)]
水375gに対し、尿素81.75g(水に対し21.8wt%)、硝酸ストロンチウム30.75g(水に対し8.2wt%)を添加した。さらに反応を氷点下で行なうために反応液に有機溶媒としてエチレングリコールを75.00g(水に対し20wt%)添加した。この溶液を図2に示す実験系のビーカーへ入れ、超音波を照射しながら、攪拌し、冷却した。
【0049】
攪拌モーターとして新東科学株式会社製、スリーワンモーターBLh600を、超音波照射機能付ウォーターバスとして本多電子株式会社製、超音波洗浄器W−113MK−II、クーラーとしてトーマス科学機器株式会社製、密閉タンク型ハンディクーラー TRL−C13を用いた。クーラーにより、ウォーターバス中のエチレングリコール系不凍液(トーマス科学機器株式会社製、ナイブライン;登録商標)を循環させることにより、反応液の温度を−5℃まで下げ、−5℃に保った。
【0050】
続いて消化酵素Urease1.50gを反応液に添加した。消化酵素添加後、反応液中では結晶の析出が始まり、白濁した。反応液の温度を−5℃に保ちながら、12時間反応させた。その後、反応液の温度を0℃まで上げ、0℃に保ちながら24時間、結晶を熟成させた。得られた結晶をろ過により取り出し、乾燥させた。乾燥後の結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)観察写真を図4(a)〜(c)に示す。各写真における観察倍率は、図4(a)では3000倍、図4(b)では20000倍、図4(c)では100000倍である。各写真中のスケールとの比較から分かるように、平均の長さがおおよそ200nm程度の炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子が得られている。
【0051】
[実施例3(炭酸ガス化合法(不均一法))]
水300gに対し、メタノール60g(水に対し20wt%)と、水酸化ストロンチウム八水和物80g(水に対し26.7wt%)とを加えた懸濁液を調整した。この懸濁液をビーカーに入れ、図5に示すような実験系を組んだ。生成した粒子の凝集をできる限り防ぎつつ、反応系にエネルギーを与えて結晶核の生成を促すために、攪拌モーター(新東科学株式会社製、スリーワンモーターBLh600)によって懸濁液を撹拌した。さらに、超音波照射機能付ウォーターバス(本多電子株式会社製、超音波洗浄器W−113MK−II)によって超音波を照射した。懸濁液の温度を−10℃に保つためにクーラー(トーマス科学機器株式会社製、密閉タンク型ハンディクーラーTRL−C13)を用いてウォーターバス中の市販のエチレングリコール系不凍液(トーマス科学機器株式会社製、ナイブライン;登録商標)を循環させた。
【0052】
CO2 ガスとN2 ガスをガス混合器(コフロック株式会社、MiNi−Gascom PMG−1)を用いて、体積比でCO2 :N2 =30:70の割合で混合し、懸濁液中に200ml/minの流量で導入した。pHが7付近で安定するまで、この懸濁液中にの混合ガスを導入した後、混合ガス導入を止めた。
この懸濁液とは別にシランカップリング溶液を調整した。水40gに対し、酢酸を加えpH5.3程度とし、さらにシランカップリング剤(3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン)を添加し、約3時間撹拌することにより調整した。
【0053】
シランカップリング剤の量は、炭酸ストロンチウムに対して30wt%とした。調整したシランカップリング溶液を懸濁液へ加え、24時間攪拌モーターによって攪拌しながら、表面処理を行った。未反応分を取り除くため、懸濁液を0.1μmポアサイズの濾紙で吸引濾過し、生成物を500mlのアセトン中に入れて24時間撹拌して洗浄し、もう一度濾過してできた生成物を真空乾燥機で乾燥させた。得られた結晶のSEM観察写真を図6に示す。観察倍率は100000倍である。同写真から、平均長さ200nm以下の炭酸ストロンチウム結晶が得られたことが確認できた。
【0054】
上述のような方法で合成した結晶微粒子は、混練やモノマーに添加して重合する方法、あるいは、ポリマー溶液に添加し、溶媒を除去後に溶融させる方法などにより、樹脂中へ分散させることができる。マトリックス樹脂の透明性を維持する上で、合成された結晶微粒子が500nm以下の平均長さを有することは極めて有利であり、微量(5wt%以下)の添加濃度であれば、高い透明性が維持される。特に200nm以下であればマトリックス樹脂の透明性が殆ど損なわれない。この炭酸ストロンチウム結晶微粒子を添加した樹脂は、多くのフィルム状、バルク状の光学素子に応用可能である。
【0055】
炭酸ストロンチウムは二軸性の複屈折結晶であり、前述したように、それぞれの光学軸方向の屈折率は、n(na,nb,nc)=(1.520,1.666,1.669)である。
【0056】
針状結晶の長軸方向は、屈折率1.520の光学軸方向とほぼ一致する。したがって、針状結晶の配向方向に対して負の複屈折効果を持つ。上述した本発明に従った製造方法により得られる炭酸ストロンチウム結晶微粒子は、針状(棒状)の形態であるため、粘性のある媒体内に分散させた状態で応力を作用させることにより、統計的に所定の方向に配向させることができる。
【0057】
例えば後述する実施例に示すように、ポリマーフィルム中に添加し、ポリマーフィルムを熱延伸することにより、針状結晶を熱延伸方向に沿って統計的に配向させることができる。この時、ポリマー主鎖も延伸方向に沿って統計的に配向するから、結局、針状結晶とポリマー主鎖は、統計的に平行な関係で配向する。
【0058】
また、ポリマーペレット中に炭酸ストロンチウムの棒状結晶微粒子を添加し、このポリマーペレットを射出成形法や押出成形法に使用し、ポリマー溶融時の流動によって配向させることができる。
【0059】
通常、棒状結晶微粒子の統計的な配向方向は、押出成形法では押出成形方向に沿った方向となる。この時、ポリマー主鎖も押出方向に沿って統計的に配向するから、結局、針状結晶とポリマー主鎖は、統計的に平行な関係で配向する。
【0060】
これに対して、狭いゲートから広い金型内への射出成形を行なえば、射出方向と直交する方向への統計的配向が可能になる。一方、ポリマー主鎖は射出方向に沿って統計的に配向するから、結局、針状結晶とポリマー主鎖は、直交する統計的配向関係を示す。
【0061】
但し、一般の射出成形では、溶融ポリマーの流動挙動が金型形状などに依存する3次元的なより複雑なものであるため、ポリマー主鎖と針状結晶の配向方向の関係はケースバイケースで異なってくる。とは言え、流動挙動と金型形状などとの関係を解析し、適切に成形条件を定めることにより、ポリマー主鎖と針状結晶の配向方向を、統計的にほぼ直交させることも、同一方向となるようにすることも可能である。
【0062】
さて、本発明で得られる炭酸ストロンチウム針状結晶を結晶ドープ法で使用して非複屈折性光学樹脂を得る場合、配向複屈折が正負いずれのポリマーとも組み合わせることが可能である。配向複屈折が正のポリマー中へ分散させる場合には、炭酸ストロンチウム針状結晶をポリマー主鎖と平行に統計的配向させて、配向複屈折性を減殺させ合えば良く、配向複屈折が負のポリマー中へ分散させる場合には、炭酸ストロンチウム針状結晶をポリマー主鎖と垂直に統計的配向させて、配向複屈折性を減殺させ合えば良い。
【0063】
このような特性を、例えば極力複屈折を小さくしたいピックアップレンズやエフシータレンズ(fθレンズ)などの種々のレンズ、CD基板、DVD基板、液晶ディスプレイなどの偏光を利用するデバイスに用いる種々のフィルムなど成形デバイスに生かすことも可能であり、また位相差板のように所定の複屈折を持たせた光学素子の成形にも利用可能である。
【0064】
なお、既述の通り、ポリマー主鎖と針状結晶を同一方向に配向させて、ポリマーの配向複屈折を低減する技術に関しては、国際特許公開公報WO01/25364号にその詳細が記載されている。また、ポリマー主鎖と針状結晶とほぼ直交させ、ポリマーの配向複屈折を低減する技術に関しては、特願2002−67457号にその詳細が記載されている。
【0065】
以下、上記説明した製造方法によって得られた炭酸ストロンチウム結晶微粒子を結晶ドープ法に使用した非複屈折性光学樹脂及び同材料からなる光学素子の例について説明する。
【0066】
[実施例4]
上述した均一沈殿法(実施例1または実施例2)により合成した炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子(平均粒径約400nm)を0.03g計り取り、サンプル管へ入れた。そこに純正化学株式会社製テトラヒドロフランを6.0g加えた。本多電子株式会社製超音波洗浄器W−113MK−IIを用いて、24kHz、5分間の超音波照射を行い、炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子をテトラヒドロフラン中に分散させた。
【0067】
さらにJSR株式会社製透明樹脂アートン(登録商標)を1.5g加え、東京理化器械株式会社製振盪機マルチシェーカーMMS−310型により、140rpm、12時間振とうした。得られたポリマー溶液を水平なガラス板上にナイフコーターを用いて展開し、室温で溶媒を蒸発させた。
【0068】
ガラス板より厚さ約50μmのポリマーフィルムを剥がし、東京理化器械株式会社製真空定温乾燥器VOS−301SDを用い、100Pa(パスカル)、70℃で24時間減圧乾燥した。
【0069】
上述のようにして得られたフィルムサンプルを、株式会社エー・アンド・デイ社製汎用試験機RTC−1210Aを用い、延伸温度230℃においてフィルムの一軸延伸を行った。延伸したフィルムの複屈折を有限会社ユニオプト製ABR−10Aを用いて測定した。その結果を図7のグラフに示した。
【0070】
図7において、横軸は延伸倍率、縦軸は複屈折の大きさを表わしている。複屈折の大きさは、(nmax −nmin)/2(nmax +nmin)で表わすことができる。ここで、nmax、nminはそれぞれ複屈折性によって生じる最大屈折率値及び最小屈折率値を表わす。▲印は炭酸ストロンチウムを分散していない透明樹脂アートン(登録商標)フィルムの結果を示し、■は炭酸ストロンチウムを2wt%添加・分散させたアートン(登録商標)フィルムの結果を示している。
【0071】
このグラフから、炭酸ストロンチウムを添加することにより、延伸によって顕在化するアートンの正の配向複屈折が低減され、比較的大きな延伸倍率においては、複屈折性の符号が負に転じていることがわかる。このことから、例えば延伸倍率に応じて添加量を適宜調節することで、配向複屈折を非常に小さなものにできることがわかる。
【0072】
[実施例5]
上述した均一沈殿法(実施例1または実施例2)により合成した炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子(平均粒径約400nm)を二軸エクストルーダーを用いて、透明樹脂ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、アクリペット;登録商標(VH)へ混練し、ペレットとした。この時の炭酸ストロンチウム針状結晶の添加濃度は、重量比でメタクリル酸メチル100に対し0.02の割合とした。
【0073】
このペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM−7型)を用いて、平板状(35mm×35mm×2mm)に射出成形した。このときの射出成形条件は、ノズル温度260℃、シリンダ温度260℃、金型温度70℃とした。得られた平板状試料のリタデーション(=[複屈折値Δn]×[光路長])の面内分布を、複屈折測定装置(有限会社ユニオプト社製、自動複屈折測定装置あBR−10A−EX)を用いて測定した。その結果を図8(a)、(b)に示す。図8(a)は比較試料(無添加のポリメタクリル酸メチルの同一条件射出成形で得られる板状体で非複屈折性樹脂板試料と同サイズ)のレターデーション測定結果を表わしたレターデーションマップ、図8(b)は、実施例5で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの測定結果を表わしたレターデーションマップである。
【0074】
測定は、平板状試料を厚み方向に透過するレーザー光を用いて行った。そして、図8(a)、(b)のリタデーションマップは、35mmの辺で囲まれる平面を、ほぼ垂直に透過する光が受けるリタデーションの値を、1mm角のセグメントで表わしたものである。測定範囲は、周辺部による光の屈折・回折等が及ぼす誤差を避けるために、図8(c)の網目模様で表わした、周辺から約5mm内側の領域とした。
【0075】
各セグメント内のリタデーションは、各セグメントに垂直に入射する偏光に対し最も屈折率が小さくなる方向を「進相軸」、それに直交する最も屈折率が大きくなる方向を「遅相軸」と定義し、それぞれの方向の偏光間の位相差によりリタデーションを求めた。各セグメント内の直線は、進相軸の方向を表わし、それに直交する方向が遅相軸となる。リタデーションの大きさは濃淡グレードで表わされている。
【0076】
金型の溶融したポリマーが流れ込む部位はゲートと呼ばれ、リタデーションマップの右端中央付近が平板試料のゲートに最も近い部分に相当する。したがって、リタデーションマップの右側から溶融したポリマーが金型へ流れ込み、左側へ進んで行ったわけである。
【0077】
図8(a)のゲート付近を見ると、ゲート位置に相当する部位から放射状に進相軸(屈折率が小さい方向)が分布している。遅相軸(屈折率が大きい方向)は進相軸と直交するので、ゲート位置を中心に同心円を考えた時、その円周に沿うような方向へ向いている。
【0078】
ポリメタクリル酸メチルの配向複屈折は負である(ポリマー主鎖の配向方向の屈折率がそれと直交する方向よりも小さい)ことから、ポリメタクリル酸メチルの主鎖はゲートから放射方向へ配向していることがわかる。同様にして、試料各部分でのポリメタクリル酸メチルの配向方向を知ることができる。ただし、これは各セグメントの厚さ方向全域での平均値であり、表面近傍の薄い層ではより内部とは配向方向が異なる部位もある。しかし、表面層以外のほとんどの部分では統計的にこの方向に配向していると考えてよい。
【0079】
次に、図8(a)と図8(b)を比較すると、炭酸ストロンチウムの針状結晶を添加したポリメタクリル酸メチルの方が試料全体のリタデーションが小さくなっていることがわかる。測定範囲内全域でのリタデーションの平均値は、ポリメタクリル酸メチル:6.5nm、炭酸ストロンチウム針状結晶添加ポリメタクリル酸メチル:3.9nmであった。
【0080】
また、走査型電子顕微鏡により、射出成形品内部の針状結晶の配向状況を観察したところ、ゲート付近では前述の同心円の円周方向に沿うように、ゲートから最も遠い位置では図8(b)中の進相軸に沿うような方向に、それぞれ配向していることが確認できた。このことは、ポリマー主鎖とほぼ直交する方向に、長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より小さい炭酸ストロンチウム針状結晶が配向することにより、ポリメタクリル酸メチルの負の配向複屈折を相殺できたことを意味している。
【0081】
このように相対的に小さな断面積を有する開口から相対的に大きな断面積を有する流動空間内へ送り込み、流動させた後に固化させることで、ポリマー主鎖と針状結晶がほぼ直交するような配向関係を形成することは可能である。このような例としては、センターゲートから溶融ポリマーを流し込み、円盤形状に成形する光ディスク基板の成形法などが挙げられる。本実施例のようにサイドゲートであっても、開口と流動空間内との関係が前述の通りであればもちろん可能である。
【0082】
なお、上記各実施例はあくまで例示であり、ポリマー主鎖と針状結晶を同じ方向に統計的に配向させる場合、ポリマー主鎖と針状結晶が直交するように統計的に配向する場合のいずれにおいても、配向複屈折の符号の関係を考慮して、様々な配向複屈折を有するポリマーをマトリックスとする非複屈折性光学材料あるいは同材料からなる光学素子を得ることができる。
【0083】
正、負の配向複屈折を有するポリマーの例は、前述の表1に示した。入手可能な商品では、正の配向複屈折を有するポリマーとして、例えばゼオノア(登録商標;日本ゼオン株式会社製)、ゼオネックス(登録商標;日本ゼオン株式会社製)、及び上記実施例で用いたアートン(登録商標;製)がある。
【0084】
【発明の効果】
本願発明によれば、反応液(水)の凝固点を降下させる簡単な手法を導入することで、結晶ドープ法に使用できる平均長さ500nm以下の炭酸ストロンチウムの結晶微粒子を製造することができる。また、そのような方法で得られた小サイズの炭酸ストロンチウム結晶微粒子を結晶ドープ法に用いて、樹脂マトリックスの透明性が保持された非複屈折性光学樹脂材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子樹脂材料が配向時に示す複屈折性について説明する図である。
【図2】実施例1及び実施例2で使用した実験系の概要を示した図である。
【図3】実施例1で得られた炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察写真で、観察倍率は、図3(a)では3000倍、図3(b)では20000倍、図3(c)では100000倍である。
【図4】実施例2で得られた炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察写真で、観察倍率は、図4(a)では3000倍、図4(b)では20000倍、図4(c)では100000倍である。
【図5】実施例3で使用した実験系の概要を示した図である。
【図6】実施例3で得られた炭酸ストロンチウム針状結晶微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察写真で、観察倍率は100000倍である。
【図7】実施例4における比較試料及び非複屈折性樹脂フィルムの複屈折測定結果を表わすグラフである。
【図8】(a)は、実施例5に関連して、比較試料のレターデーション測定結果を表わしたレターデーションマップ、(b)は実施例5で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの測定結果を表わしたレターデーションマップ、(c)は実施例5における比較試料及び非複屈折性樹脂板試料のレターデーション測定範囲について説明する図である。
【符号の説明】
1 モノマー(結合鎖構成単位)
2 屈折率楕円体(ミクロスケール)
3 屈折率楕円体(マクロスケール)
Claims (9)
- ストロンチウム塩を水に溶解させるとともに、前記に水中で尿素を加水分解し、前記電離したSr2+イオンと前記加水分解時に発生する炭酸イオンとを反応させることにより、長軸に沿った平均粒子サイズが500nm以下の炭酸ストロンチウムの微粒子を生成する炭酸ストロンチウムの製造方法において;
前記水に水の凝固点を降下させる凝固点降下物質が添加され、前記炭酸ストロンチウムの結晶微粒子の生成が氷点下で行なわれることを特徴とする、前記製造方法。 - 前記尿素の加水分解が、尿素の加水分解酵素を共存させて促進される、請求項1に記載された炭酸ストロンチウムの製造方法。
- 前記凝固点降下物質がエチレングリコールである、請求項1に記載された炭酸ストロンチウムの製造方法。
- 前記凝固点降下物質は、前記凝固点が氷点下5度を下回るように添加される、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された炭酸ストロンチウムの製造方法。
- 水に水酸化ストロンチウムを加えた懸濁液を調整し、前記懸濁液に炭酸ガスを吹き込み、Sr2+イオンと炭酸イオンとを反応させ、長軸に沿った平均粒子サイズが500nm以下の炭酸ストロンチウムの微粒子を生成する炭酸ストロンチウムの製造方法において;
前記懸濁液に水の凝固点を降下させる凝固点降下物質が添加され、前記炭酸ストロンチウムの結晶微粒子の生成が氷点下で行なわれることを特徴とする、前記製造方法。 - 前記凝固点降下物質がエチレングリコールである、請求項3に記載された炭酸ストロンチウムの製造方法。
- 前記凝固点降下物質は、前記凝固点が氷点下5度を下回るように添加される、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載された炭酸ストロンチウムの製造方法。
- 結合鎖の配向によって生じた配向複屈折性を有する透明な高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散した多数の無機微粒子とを含み、
前記無機微粒子は、前記高分子樹脂内で前記高分子樹脂の配向複屈折性を減殺するように統計的に配向している、非複屈折性光学樹脂材料であって;
前記多数の無機微粒子は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された製造方法のいずれかによって製造された炭酸ストロンチウムの微粒子であることを特徴とする、前記非複屈折性光学樹脂材料。 - 請求項8に記載された非複屈折性光学樹脂材料を用いた光学素子。
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