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JP3904311B2 - エポキシ樹脂用硬化剤・硬化促進剤及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化剤・硬化促進剤及びエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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JP3904311B2 JP36685997A JP36685997A JP3904311B2 JP 3904311 B2 JP3904311 B2 JP 3904311B2 JP 36685997 A JP36685997 A JP 36685997A JP 36685997 A JP36685997 A JP 36685997A JP 3904311 B2 JP3904311 B2 JP 3904311B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関わり、テトラキスフェノール系化合物を用いた、エポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、優れた耐薬品性、耐腐食性、機械特性、熱特性、種々の基材に対する優れた接着性、電気特性、環境を選ばない作業性などを特徴としており、接着剤、塗料、電気金属材料、複合材料などに広く用いられている。エポキシ樹脂中のエポキシ基は、歪みの大きい反応性にとんだ官能基であり、酸、塩基のいずれとも反応し、この高い反応性を利用してエポキシ樹脂を硬化し、3次元化する。エポキシ樹脂組成物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシプレポリマーと硬化剤の組み合わせからなり、更に用途に応じて硬化促進剤、変成剤、充填剤などを添加することが多い。硬化した樹脂の性状は硬化剤によって大きく左右されることが知られており、これまで種々の硬化剤が工業用途に用いられている。エポキシ樹脂組成物は、その使用方法によって1液型と2液型とに大別することができ、前者の1液型は組成物そのものを加熱、加圧、放置するなどして硬化させることのできるものである。一方2液型は、主剤と硬化剤もしくは硬化促進剤とを使用時に混合した後、この混合物を加熱、加圧、放置するなどして硬化させることのできるものである。エポキシ樹脂組成物は通常2液型であり、この2液型は作業面から見ると手数がかかり非効率的であるものの、硬化物の強度、熱特性、電気特性等に於いて優れている面も多いため、電気部品や自動車、航空機分野において広く利用されている。しかしながら、前記2液型においては、(1)可使時間、即ち硬化させるために調製した組成物が使用できる状態を維持する時間が短く、調製により一部反応が始まり、系の粘度が上昇し、作業性が低下する、(2)配合ミスや調製の不完全さにより物性が低下するなどの問題があり、1液型の潜在性硬化剤及び硬化促進剤が望まれている。潜在性硬化剤及び硬化促進剤とは、樹脂に配合した硬化剤及び硬化促進剤が室温では安定であり、熱などの作用によって硬化反応を引き起こすものである。硬化反応の開始には、熱、光、圧力等の作用が考えられるが、熱が多く使われている。硬化剤及び硬化促進剤の安定化として、マイクロカプセルが使用されるが、機械強度が無く樹脂組成物を調整するためのブレンドに耐えられない等、安定性の点で問題があった。
【0003】
また、硬化剤には、(1)エポキシ基と反応する事によって、硬化した樹脂中に必ず硬化剤分子が組み込まれる付加型硬化剤、(2)硬化剤分子が樹脂中に組み込まれることのなく触媒的にエポキシ基の開環を誘発し、オリゴマー間の重合付加反応を起こす重合型硬化剤、その他、(3)紫外線照射によって硬化を起こす光開始型硬化剤等がある。何れの方式を用いるにしても、一定の条件下で、より均一に、速やかに重合付加反応を行わせることが安定した硬化物を得る上で最も重要である。しかしながら、これら既存の硬化剤のみでは(1)樹脂粘度の増加に伴い硬化反応が途中で止まってしまう、(2)硬化反応に対する阻害要因が多い(3)硬化反応を完結させるためには過酷な条件を必要とする、(4)硬化反応を均一に行わせるためには大量の硬化剤を必要とするなどの問題があり、穏和な条件下で均一に速やかに重合付加反応行わせることを可能ならしめる硬化促進剤が望まれている。硬化促進剤とは、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤の硬化速度を進め、硬化反応を速やかに円滑にするためのものである。一級及び二級アミンのような付加型の硬化剤には、重合付加反応を促進する硬化促進剤としてアルコール又はフェノールが使用されるが、イミダゾールのような重合型の硬化剤ではオリゴマー間で進行するアニオン重合が阻害されるなど、汎用性の点で問題があった。
【0004】
特開平5−194711号にはエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤を多分子系(フェノール系)ホスト化合物で包接したものをエポキシ樹脂に配合したものが記載されている。具体的には2−エチル−4−メチルイミダゾールと2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)を1:1で包接したものをエポキシ樹脂にイミダゾールとして数%添加することによるエポキシ樹脂の硬化が記載されている。
しかし、可使時間(一液安定性)が大幅に延長される旨の記載はあるが、同様な包接化合物であるシクロデキストリンとの比較であり、実用的には満足のいくものではない。また、熱安定性や低温での硬化特性についての記載も示唆もない。
【0005】
特開平5−201902号にはテトラキスフェノール類とイミダゾールとの包接化合物の記載があるが、具体的にエポキシ樹脂用の硬化剤、硬化促進剤として使用できる旨の記載はない。
【0006】
特開昭60−40125号、特開平8−151429号にはイミダゾリンと多価フェノール類の塩をエポキシ樹脂硬化剤として使用することが記載されているが結晶性の固体ではなく包接化合物ではなく、一液安定性などの効果においても実用的には満足のいくものではない。また、米国特許第3519576号には、アミン類と多価フェノール類との塩をエポキシ樹脂硬化剤として使用することが記載されているが、一液安定性などの効果においては実用的には満足のいくものではない。同4845234号には、イミダゾール類と多価フェノール類との塩をエポキシ樹脂硬化剤として使用することが記載されているが、高粘性の液体であり、包接化合物ではなく、一液安定性などの効果においても実用的には満足のいくものではない。
【0007】
特公平6−9868号にはテトラキスフェノール類とイミダゾールとの塩がエポキシ樹脂硬化剤として使用できる旨の例示はあるが具体的な記載はない。記載があるのは、イミダゾールと多価フェノール類との塩であり、生成する塩は高粘性の液体であり、包接化合物とはなっていない。効果としては一液安定性などの記載はあるが実用的には満足のいくものではない。また熱安定性、低温硬化特性の記載はない。
【0008】
特許公報第2501154号、特公平7−74260号にはテトラキスフェノール類を硬化剤とし、生成した樹脂中にテトラキスフェノール骨格が導入された樹脂の記載がある。この場合は生成したテトラキスフェノール骨格が導入された樹脂に特徴があり、硬化剤としてのテトラキスフェノール類はエポキシ基1モルに対して0.5〜2モルの大量を用いている。効果としても一液安定性の記載のみがあり、熱安定性、低温硬化特性の記載はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤の昇華性、分解性を改善し、エポキシ樹脂に混合した場合、硬化反応の制御において極めて重要な熱安定性が大幅に改善され、可使時間(エポキシ樹脂と硬化剤などを混合した時の一液安定性)が延長される、また低温での硬化特性を向上させることができるエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤を提供することを目的としてなされたものである。と同時に、硬化剤の硬化方式にとらわれることなく、エポキシ樹脂の硬化を速やかに円滑に進めるなど、穏和な条件下でも安定した硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決すべく鋭意研究をした結果、エポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ樹脂用硬化促進剤を特定のテトラキスフェノール系ホスト化合物で包接することにより、硬化剤またはエポキシ樹脂用硬化促進剤のエポキシ樹脂組成物中での熱安定性を向上させ、可使時間を大幅に延長できること、さらに低温での硬化特性が向上することを見出し、本発明を完成した。
また特定のテトラキスフェノール系化合物を、エポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物と併用することにより、エポキシ樹脂の硬化を速やかにそして円滑に行い、穏和な条件下でも安定した硬化物が得られることを見出した。
【0011】
即ち本発明は、
一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物との包接体からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤であり、一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物との包接体からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤である。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、Xは、(CH2 )nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R1 〜R8 は、それぞれ水素原子、 〜C 低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子または 〜C 低級アルコキシ基を示す。)
また、一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物との包接体、及び/または、一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物との包接体、の少なくとも一種を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物であり、特に好ましくは、該包接体の含有量が、エポキシ基1モルに対して0.001〜0.1モルであるエポキシ樹脂組成物である。
【0014】
また、本発明は、エポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、エポキシ基1モルに対して0.001〜0.1モルの一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、Xは、(CH2 )nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R1 〜R8 は、それぞれ水素原子、 〜C 低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子または 〜C 低級アルコキシ基を示す。)
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物(硬化剤)、およびエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物(硬化促進剤)には、アミン系、イミダゾール系、アミド系、エステル系、アルコール系、チオール系、エーテル系、チオエーテル系、フェノール系、リン系、尿素系、チオ尿素系、酸無水物系、ルイス酸系、オニウム塩系、活性珪素化合物−アルミニウム錯体系等が上げられるが、特に制限はなく、従来のエポキシ樹脂の硬化剤、硬化促進剤として慣用とされているもの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0018】
アミン系の化合物としては、例えば脂肪族アミン系、脂環式や複素環式アミン系、芳香族アミン系、変性アミン系などが用いられる。例えば、
脂肪族アミン類:エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、アルキル−t−モノアミン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(トリエチレンジアミン)、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、ジメチルアミノヘキサノールなど
脂環式及び複素環式アミン類:ピペリジン、ピペラジン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,8−ジアザビシクロ(4,5,0)ウンデセン−7など
芳香族アミン類:o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、m−キシレンジアミン、ピリジン、ピコリンなど
変成ポリアミン類:エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミンなど
その他アミン系としてジシアンジアミド、グアニジン、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、アミンイミド、三フッ化ホウ素−ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素−モノエチルアミン錯体などが挙げられる。
【0019】
イミダゾール系化合物としては、
イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル−)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−イミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール塩酸塩、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイトなどを挙げることができる。
【0020】
イミダゾリン系化合物としては2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリンなどを挙げることができる。
【0021】
アミド系化合物としては、例えばダイマー酸とポリアミンとの縮合により得られるポリアミドなどが挙げられ、エステル系化合物としては、例えばカルボン酸のアリール及びチオアリールエステルのような活性カルボニル化合物が挙げられる。さらに、フェノール、アルコール系、チオール系、エーテル系、並びにチオエーテル系化合物としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ポリオール、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2−(ジメチルアミノメチルフェノール)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキシル塩酸塩などが挙げられる。
また、尿素系、チオ尿素系、並びにルイス酸系の硬化剤として、例えばブチル化尿素、ブチル化メラミン、ブチル化チオ尿素、三フッ化ホウ素などが挙げられる。
【0022】
リン系の硬化剤としては、有機ホスフィン化合物、例えば、エチルホスフィン、ブチルホスフィン等のアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジプロピルホスフィン等のジアルキルホスフィン、ジフェニルホスフィン、メチルエチルホスフィン等の第2ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン等の第3ホスフィン等が挙げられ、酸無水物系の硬化剤としては、例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラメチレン無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水クロレンド酸、無水ピロメリット酸、ドデセニル無水コハク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物などが挙げられる。
【0023】
オニウム塩系や活性珪素化合物−アルミニウム錯体系の硬化剤としては、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリフェニルシラノール−アルミニウム錯体、トリフェニルメトキシシラン−アルミニウム錯体、シリルペルオキシド−アルミニウム錯体、トリフェニルシラノール−トリス(サリシルアルデヒダート)アルミニウム錯体などが挙げられる。
【0024】
本発明において、これらの化合物(硬化剤または硬化促進剤)と包接化合物を形成するテトラキスフェノール化合物は一般式〔I〕で表される化合物である。
【0025】
【化6】
【0026】
式中、Xは、(CH2 )nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R1 〜R8 としては、互いに同一又は相異なっていてもよく、例えば、水酸基、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等のC1 〜C6 の低級アルキル基、ハロゲン原子や低級アルキル基等で置換されていてもよいフェニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等のC1 〜C6 の低級アルコキシ基等を挙げることができる。
【0027】
本発明で使用されるテトラキスフェノールは、一般式〔I〕で表される化合物であれば特に制限されないが、具体的な例として、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス[(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル]エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン等を例示することができる。これらのテトラキスフェノール化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
エポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物(硬化剤)、エポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物(硬化促進剤)とテトラキスフェノール系化合物との包接化合物の合成は、例えば、硬化剤、硬化促進剤であるアミン系、イミダゾール系などの化合物が、液体の場合には、テトラキスフェノール系化合物を、該液体に直接加えて反応させることにより、硬化剤、硬化促進剤の化合物が固体の場合にはそれら化合物の含有液中に入れて反応させることにより、若しくは固体である化合物と粉末のテトラキスフェノール系化合物とを直接に固相反応させることにより、包接化合物が高選択率及び高収率で生成される。本発明の包接化合物は、ホスト分子の作る結晶格子空孔内にゲスト分子が入り込むことにより生成する。従って、どの化合物がゲストとして取り込まれやすいか否かは、ゲスト分子の大きさ、立体、極性、溶解度などに支配される。生成した包接化合物は、結晶性の固体である。
【0029】
本発明が適用できる未硬化エポキシ樹脂としては公知のもの、例えばビスフェノールA−エピクロルヒドリン樹脂、多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂など、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するものを挙げることができる。
【0030】
本発明は、前記したアミン系、イミダゾール系などのエポキシ樹脂硬化剤や硬化促進剤を一般式〔I〕で表されるテトラキスフェノール系化合物との包接化合物とし、該包接化合物をエポキシ樹脂用硬化剤や硬化促進剤として含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0031】
使用する包接化合物の量は、包接するアミン系,イミダゾール系などの通常の硬化剤、硬化促進剤と同様な使用量でよく、硬化方法による。エポキシ基と反応する事によって、硬化した樹脂中に必ず硬化剤分子が組み込まれる付加型硬化剤の場合には求められる樹脂の性質にもよるが通常エポキシ基1モルに対して包接している硬化剤が0.3〜1.0モル程度になるよう包接化合物を使用する。また、硬化剤分子が樹脂中に組み込まれることなく触媒的にエポキシ基の開環を誘発し、オリゴマー間の重合付加反応を起こす重合型硬化剤、や光開始型硬化剤の場合、また硬化促進剤として使用する場合などではエポキシ基1モルに対して包接化合物は0.2以下で十分である。特に本発明ではテトラキスフェノール系化合物を用いた包接化合物を用いることにより、微量でも充分であり、0.001〜0.1モル、さらには0.001〜0.05モルの使用量でよい。これらの包接化合物は1種または2種以上を混合して使用できる。
【0032】
本発明の包接化合物からなるエポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ樹脂用硬化促進剤を、前記の未硬化エポキシ樹脂に配合した場合、硬化反応の制御において極めて重要な熱安定性が、該硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤中のゲスト化合物(アミン系、イミダゾール系などの包接するまえの硬化剤、硬化促進剤)のみを配合した場合と比べて著しく改善される。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ樹脂用硬化促進剤は保存時の耐湿性がよく、分解や昇華が起こらない。
また、これら包接化合物を硬化剤または硬化促進剤として含有する樹脂組成物は熱特性に優れている。樹脂組成物の熱特性は、常温での安定性(一液安定性)、常温〜所望する硬化温度までの加熱時の熱安定性、硬化温度の3つの特性が要求される。本発明の硬化剤及び硬化促進剤を配合した未硬化エポキシ樹脂は、常温下では極めて安定(一液安定性が良好)であるが、ある温度以上の一定温度に加熱するのみで硬化し、迅速に所望の硬化物を与える。この場合も80℃程度までは硬化が始まらず熱安定性が優れている。しかし、一般的に所望される100〜130℃付近で一気に硬化がすすむ。公知の硬化剤・硬化促進剤を使用した場合は所望する硬化温度に達するまえに加熱により徐々に硬化が始まってしまい、硬化樹脂の特性に悪影響を及ぼす。また、比較的熱安定性に優れた公知の硬化剤を使用した場合は硬化開始温度が150〜180℃と高温であり、本発明の組成物はこれらに比べて低温での硬化が可能であるといえる。
【0033】
本発明は、テトラキスフェノール系化合物がエポキシ樹脂硬化剤、硬化促進剤と結晶性の保存性に優れた包接化合物を生成し、該包接化合物を使用したエポキシ樹脂組成物が極めて熱特性に優れることを見出したことは前述した。
また、該包接化合物を形成するテトラキスフェノール系化合物は、従前から付加型の硬化剤として知られていた化合物でもある。しかし、本発明者は、このテトラキスフェノール系化合物そのものに優れたエポキシ樹脂硬化の触媒作用があることを見出した。
【0034】
即ち、本発明は、エポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、エポキシ基1モルに対して0.001〜0.1モルの一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物でもある。
【0035】
【化7】
【0036】
(式中、Xは、(CH2 )nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R1 〜R8 は、それぞれ水素原子、 〜C 低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子または 〜C 低級アルコキシ基を示す。)
【0037】
本発明において使用される硬化剤、これらの硬化剤と共に使用されるテトラキスフェノール系化合物(一般式[I])は前記したものと同様である。
【0038】
このテトラキスフェノール系化合物そのものの優れたエポキシ樹脂硬化の触媒作用により、本発明のテトラキスフェノール系化合物を含有したエポキシ樹脂組成物では、穏和な条件下でも硬化反応が速やかにそして円滑に進行し安定した硬化物が得られるなど、硬化剤のみによる硬化と比べて樹脂組成物の硬化特性が著しく改善される。
【0039】
これらのことより、アミン系、イミダゾール系などのエポキシ樹脂硬化剤とテトラキスフェノール系化合物とによる包接化合物をエポキシ樹脂用硬化剤として使用した場合、加熱により包接されていた硬化剤が放出されると同時にテトラキスフェノール系化合物が触媒として作用するという二重の効果により、微量でかつ極めて熱特性(一液安定性、熱安定性、低温硬化)のよい樹脂組成物を得ることができるのである。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物には前述のものの外、必要に応じて可塑剤、有機溶剤、反応性希釈剤、増量剤、充填剤、補強剤、顔料、難燃化剤、増粘剤及び離型剤など種々の添加剤を配合することができる。
【0041】
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤は、エポキシ樹脂を硬化させる用途、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、半導体封止材、プリント配線板用積層板、ワニス、粉体塗料、注型材料、インク等の用途に好適に使用することができる。
【0042】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によりなんら限定されるものではない。
【0043】
実施例1 包接化合物の製造
各種の硬化剤及び硬化促進剤とテトラキスフェノール系ホスト化合物を用い、▲1▼または▲2▼の方法により包接化合物を製造した。▲1▼硬化剤または硬化促進剤が室温で液体の場合には、それら10重量部にホスト化合物1重量部を加えて、25℃〜100℃で1分〜120分間攪拌した後、1時間〜48時間放置して結晶を析出させた。結晶を濾取した後、室温〜80℃で減圧乾燥し、本発明の包接化合物を得た。また、硬化剤または硬化促進剤が固体の場合は、それらとホスト化合物とを特定のモル比で混合し、乳鉢で1時間混練りすることにより本発明の包接化合物を得た。このように、硬化剤または硬化促進剤とホスト化合物とを直接混合することにより包接化合物を製造する方法を以下“Neat”と略記する。▲2▼硬化剤または硬化促進剤をメタノール、酢酸エチル、ジクロロメタンのいずれかに溶解し、これにホスト化合物を該硬化剤または硬化促進剤に対して0.1モル〜等モルの割合で加え、室温〜溶媒の還流温度で加熱して溶解または懸濁させ、1分〜120分間攪拌混合した後、室温で1時間〜48時間放置して結晶を析出させた。結晶を濾取した後、室温〜120℃で減圧乾燥し、本発明の包接化合物を得た。包接化合物の製造結果を表1及び表2に示した。なお、実施例で得られた包接化合物の試料はすべてIRスペクトル、NMRスペクトル、熱分析(TG・DTA及び/またはDSC)、粉末X線回折パターンの測定により、目的とする包接化合物であることを確認した。また、表1及び表2における略号は、それぞれ次に示す硬化剤、硬化促進剤及びホスト化合物を意味するものである。
【0044】
硬化剤及び硬化促進剤
DEA:ジエチルアミン
TEA:トリエチルアミン
PRI:ピペリジン
PRA:ピペラジン
PY:ピリジン
EDA:エチレンジアミン
TMDA:トリメチレンジアミン
TEMDA:テトラメチレンジアミン
HMDA:ヘキサメチレンジアミン
DETA:ジエチレントリアミン
TEDA:トリエチレンジアミン
o−PDA:オルトフェニレンジアミン
m−PDA:メタフェニレンジアミン
p−PDA:パラフェニレンジアミン
BMAEE:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル
DMAH:N,N−ジメチルアミノヘキサノール
TMHM:N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール
1B2MZ:1−ベンジル−2−メチルイミダゾール
1I2MZ:1−イソプロピル−2−メチルイミダゾール
2MZ:2−メチルイミダゾール
2PZ:2−フェニルイミダゾール
2PZL:2−フェニルイミダゾリン
DBU:1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン
【0045】
ホスト化合物
TEP:1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
TEOC:1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
TDOC:1,1,2,2−テトラキス(3,5―ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
TCOC:1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表1及び表2に記載した試料のうち、試料番号10、11、19、20、21、22、23、24、27、28、29、30、31、32、33、38、43、46及び47の熱分析(TG/DTA)チャートを図1〜図19に例示した。
試料番号10、21、24、27及び28の1HNMRスペクトル(重メタノール溶媒使用)を図20〜図24に例示した。試料番号24、27、39、42及び45のIRスペクトルを図25〜29に例示した。試料番号10、27及び31の粉末X線回折パターンを図30〜図32に例示した。また、試料番号24、27、28及び30の13C固体NMRスペクトルを図33〜図36に例示した。更に、試料番号10の単結晶X線構造解析結果を図37に例示した。なお、試料番号19、20、28及び31についても単結晶X線構造解析の結果を得ており、試料番号10と同様に分子レベルでホスト化合物とゲスト化合物とが3次元的に規則正しく配列した分子結晶であることを確認している。
【0049】
比較例1 従来技術による硬化剤及び硬化促進剤試料の製造
既に開示されている従来特許に記載されている方法に従い、硬化剤及び硬化促進剤試料の製造を行った。製造した試料を表3に示した。表3において硬化剤及び硬化促進剤の略号はそれぞれ実施例に記した化合物に対応するものである。フェノール化合物の略号は次に示す化合物を意味するものである。
【0050】
BHC:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
BPA:ビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]
BPS:ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)
【0051】
また、表3において、試料の作成方法を記載した文献▲1▼〜▲5▼はそれぞれ次に示す文献に対応するものである。
【0052】
▲1▼特開平5-194711
▲2▼米国特許3519576
▲3▼米国特許4845234及び特公平6-9868
▲4▼特公昭62-24006
▲5▼特開平8-15142
【0053】
【表3】
【0054】
表3に記載した試料のうち、試料番号48、49、51、52、53、54及び55の熱分析(TG/DTA)チャートを図38〜図44に例示した。また、試料番号49、53及び54の1HNMRスペクトル(重メタノール溶媒使用)を図45〜図47に例示した。
【0055】
実施例2 樹脂組成物の可使時間の測定(その1)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号32の硬化剤13.7重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を添加した。25℃で10分間混練し、更に25℃で20分間静置した後、該樹脂組成物の初期粘度を測定した。
その後、該樹脂組成物を25℃で静置し、時間の経過に伴う粘度の変化を測定した。粘度測定は、JIS K−6833−1994に準じ、B8R型回転粘度計(東京計器製)を用いた。測定結果を表4並びに図48に示した。該樹脂組成物の可使時間を樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間と定義した場合、本発明の試料番号32の硬化剤を使用した場合、可使時間は18時間であった。
【0056】
比較例2
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号53の硬化剤17.1重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の初期粘度並びに時間の経過に伴う粘度の変化を測定した。また、試料番号53の硬化剤の代わりに、表3記載の試料番号54の硬化剤15.1重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を添加し、同様にして粘度の測定を実施した。これらの結果を表4並びに図48に示した。試料番号53の硬化剤では該樹脂組成物の可使時間は9時間、また試料番号54の硬化剤では該樹脂組成物の可使時間は5時間であった。
実施例2と比較例2の結果を比較すると、本発明の硬化剤は従来技術による硬化剤よりも樹脂組成物の可使時間を大幅に延長できることが明らかである。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例3 樹脂組成物の可使時間の測定(その2)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号24の硬化剤11.2重量部(2E4MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表5並びに図49に示した。本発明の試料番号24の硬化剤を使用した場合、可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は180時間以上であった。
【0059】
比較例3
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号50の硬化剤13.7重量部(2E4MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表5並びに図49に示した。従来技術による試料番号50の硬化剤を使用した場合、可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は12時間であった。
実施例3と比較例3の結果を比較すると、本発明の硬化剤は従来技術による硬化剤よりも樹脂組成物の可使時間が大幅に延長できることが明らかである。
【0060】
【表5】
【0061】
実施例4 樹脂組成物の可使時間の測定(その3)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号10の硬化剤30.5重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。また、試料番号10の硬化剤の代わりに、表1記載の試料番号11の硬化剤34.2重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして粘度の測定を行った。結果を表6並びに図50に示した。本発明の試料番号10の硬化剤を使用した場合、該樹脂組成物の可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は180時間であった。また、試料番号11の硬化剤を使用した場合、可使時間は180時間以上であった。
【0062】
比較例4
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号48の硬化剤21.9重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。また、試料番号48の硬化剤の代わりに、表3記載の試料番号49の硬化剤19.2重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして粘度を測定した。結果を表6並びに図50に示した。試料番号48の硬化剤を使用した場合、該樹脂組成物の可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は6時間であった。また、試料番号49の硬化剤を使用した場合、可使時間は2時間であった。
実施例4と比較例4の結果を比較すると、本発明の硬化剤は従来技術による硬化剤よりも樹脂組成物の可使時間が大幅に延長できることが明らかである。
【0063】
【表6】
【0064】
実施例5 樹脂組成物の可使時間の測定(その4)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号36の硬化剤9.46重量部(2PZLとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。また、試料番号36の硬化剤の代わりに、表1記載の試料番号38の硬化剤10.2重量部(2PZLとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして粘度の測定を行った。結果を表7並びに図51に示した。本発明の試料番号36の硬化剤を使用した場合、該樹脂組成物の可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は180時間であった。また、試料番号38の硬化剤を使用した場合、可使時間は180時間以上であった。
【0065】
比較例5
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号55の硬化剤15.1重量部(2PZLとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表7並びに図51に示した。試料番号55の硬化剤を使用した場合、該樹脂組成物の可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は36時間であった。
実施例5と比較例5の結果を比較すると、本発明の硬化剤は従来技術による硬化剤よりも樹脂組成物の可使時間が大幅に延長できることが明らかである。
【0066】
【表7】
【0067】
実施例6 樹脂組成物の可使時間の測定(その5)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号27の硬化剤8.62重量部(1B2MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。また、試料番号27の硬化剤の代わりに、表1記載の試料番号28の硬化剤6.64重量部(1B2MZとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして粘度の測定を行った。結果を表8並びに図52に示した。本発明の試料番号27の硬化剤を使用した場合、該樹脂組成物の可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は60時間であった。また、試料番号28の硬化剤を使用した場合、可使時間は36時間であった。
【0068】
比較例6
UVR−6410100重量部に、1B2MZ4.0重量部を添加した。以下、実施例2と同様にして該樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表8並びに図52に示した。1B2MZを使用した場合、該樹脂組成物の可使時間(樹脂粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間)は10時間であった。
実施例6と比較例6の結果を比較すると、本発明の硬化剤の使用により、樹脂組成物の可使時間が大幅に延長できることが明らかである。
【0069】
【表8】
【0070】
実施例7 樹脂組成物の硬化温度の測定(その1)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号32の硬化剤13.7重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を添加した。25℃で10分間混練した後、その一部を採取し、30ミリリットル/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)を使用して該樹脂組成物の硬化反応に基づく発熱を観測することにより、該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は93℃であり、反応熱のピークは140℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図53に示した。また、試料番号32の硬化剤の代わりに試料番号33の硬化剤15.1重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にしてDSCの測定を行ったところ、該樹脂組成物の硬化開始温度は90℃であり、反応熱のピークは126℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図54に示した。
【0071】
比較例7
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号53の硬化剤17.1重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は79℃であり、反応熱のピークは126℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図55に示した。また、試料番号53の硬化剤の代わりに試料番号54の硬化剤15.1重量部(2MZとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にしてDSCの測定を行ったところ、該樹脂組成物の硬化開始温度は71℃であり、反応熱のピークは122℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図56に示した。
実施例7と比較例7の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料53、54では共に80℃以下の低温から硬化反応が始まっており、樹脂組成物の熱安定性が損なわれている。これに対して、本発明の硬化剤試料32及び33は共に硬化開始温度が90℃以上であり、樹脂組成物の熱安定性が確保されていると同時に、およそ125℃〜140℃という適切な温度で樹脂組成物を硬化させることができる優れた硬化剤であることが明らかである。
【0072】
実施例8 樹脂組成物の硬化温度の測定(その2)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号24の硬化剤11.2重量部(2E4MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は125℃であり、反応熱のピークは146℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図57に示した。
【0073】
比較例8
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号50の硬化剤13.7重量部(2E4MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は80℃であり、反応熱のピークは130℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図58に示した。
実施例8と比較例8の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料50では80℃の低温から硬化反応が始まっており、樹脂組成物の熱安定性が損なわれている。これに対して、本発明の硬化剤試料24は硬化開始温度が90℃以上であり、樹脂組成物の熱安定性が確保されていると同時に、およそ145℃という適切な温度で樹脂組成物を硬化させることができる優れた硬化剤であることが明らかである。
【0074】
実施例9 樹脂組成物の硬化温度の測定(その3)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号10の硬化剤30.5重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は117℃であり、反応熱のピークは165℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図59に示した。また、試料番号10の硬化剤の代わりに、表1記載の試料番号11の硬化剤34.2重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は104℃であり、反応熱のピークは150℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図60に示した。
【0075】
比較例9
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号48の硬化剤21.9重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は65℃であり、反応熱のピークは97℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図61に示した。また、試料番号48の硬化剤の代わりに、表3記載の試料番号49の硬化剤19.2重量部(EDAとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は51℃であり、反応熱のピークは81℃であった。該樹脂組成物の DSCチャートを図62に示した。
実施例9と比較例9の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料48及び49では共に65℃以下の低温から硬化反応が始まっており、樹脂組成物の熱安定性が著しく損なわれている。これに対して、本発明の硬化剤試料10及び11は硬化開始温度が90℃以上であり、樹脂組成物の熱安定性が確保されていると同時に、およそ150℃〜165℃という適切な温度で樹脂組成物を硬化させることができる優れた硬化剤であることが明らかである。
【0076】
実施例10 樹脂組成物の硬化温度の測定(その4)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号36の硬化剤9.46重量部(2PZLとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は100℃であり、反応熱のピークは136℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図63に示した。また、試料番号36の硬化剤の代わりに、表1記載の試料番号38の硬化剤10.2重量部(2PZLとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は93℃であり、反応熱のピークは129℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図64に示した。
【0077】
比較例10
UVR−6410100重量部に、表3記載の試料番号55の硬化剤15.1重量部(2PZLとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は79℃であり、反応熱のピークは114℃、160℃及び193℃の3箇所であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図65に示した。また、試料番号55の硬化剤の代わりに、試料番号56の硬化剤を使用し、同様にして硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は85℃であり、反応熱のピークは130℃及び202℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図66に示した。
実施例10と比較例10の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料55及び56では共に85℃以下の低温から硬化反応が始まっており、樹脂組成物の熱安定性が損なわれている。これに対して、本発明の硬化剤試料36及び38は硬化開始温度が90℃以上であり、樹脂組成物の熱安定性が確保されていると同時に、およそ130℃〜135℃という適切な温度で樹脂組成物を硬化させることができる優れた硬化剤であることが明らかである。
【0078】
実施例11 樹脂組成物の硬化温度の測定(その5)
基体樹脂(未硬化樹脂)UVR−6410(ユニオンカーバイド社製、商品名)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号27の硬化剤8.62重量部(1B2MZとして4.0重量部に相当)を添加した。以下、実施例7と同様にして該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は115℃であり、反応熱のピークは131℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図67に示した。また、試料番号27の硬化剤の代わりに、表1記載の試料番号28の硬化剤6.64重量部(1B2MZとして4.0重量部に相当)を使用し、同様にして硬化温度の測定を行った。その結果、該樹脂組成物の硬化開始温度は110℃であり、反応熱のピークは127℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図68に示した。
このように、本発明の硬化剤試料27及び28は硬化開始温度が110℃以上であり、樹脂組成物の熱安定性が確保されていると同時に、およそ130℃〜140℃という適切な温度で樹脂組成物を硬化させることができる優れた硬化剤であることが明らかである。
【0079】
実施例12 硬化剤の吸湿性の測定(その1)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号24の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、40℃、相対湿度90%の雰囲気下で3日間静置し、続いて50℃、相対湿度90%の雰囲気下で2日間静置した。この間、1日毎に重量を測定し、該硬化剤の吸湿性を調べた。その結果を表9に示した。該硬化剤は高湿度雰囲気下においてもまったく吸湿性が無かった。
【0080】
比較例11
表3記載の試料番号51の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べ、結果を表9に示した。該硬化剤は40℃、相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置することにより、約6重量%の吸湿を起こした。また、50℃、相対湿度90%の雰囲気下に2日間静置することにより、約10重量%の吸湿を示した。
実施例12と比較例11の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料51は高湿度雰囲気下に置くことにより著しい吸湿を示すのに対して、本発明の試料番号24の硬化剤は同条件下でまったく吸湿性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
【0081】
【表9】
【0082】
実施例13 硬化剤の吸湿性の測定(その2)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号10の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べた。また、同様にして試料番号11の硬化剤についても吸湿性を調べた。それらの結果を表10に示した。これらの硬化剤は共に高湿度雰囲気下においてもまったく吸湿性が無かった。
【0083】
比較例12
表3記載の試料番号48の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べた。また、試料番号49の硬化剤についても同様にして吸湿性を調べた。これらの結果を表10に示した。試料番号48の硬化剤は50℃、相対湿度90%の雰囲気下に2日間静置することにより約5重量%の吸湿を示し、試料番号49の硬化剤は40℃、相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置することにより約25重量%、また、50℃、相対湿度90%の雰囲気下に2日間静置することにより約60重量%の吸湿を示した。
実施例13と比較例12の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料48及び49は高湿度雰囲気下に置くことにより著しい吸湿を示すのに対して、本発明の試料番号10及び11の硬化剤は同条件下でまったく吸湿性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
【0084】
【表10】
【0085】
実施例14 硬化剤の吸湿性の測定(その3)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号36の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べた。また、同様にして試料番号38の硬化剤についても吸湿性を調べた。それらの結果を表11に示した。これらの硬化剤は共に高湿度雰囲気下においてもまったく吸湿性が無かった。
【0086】
比較例13
表3記載の試料番号56の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べ、その結果を表11に示した。該硬化剤は40℃、相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置することにより約5重量%、また、50℃、相対湿度90%の雰囲気下に2日間静置することにより約6重量%の吸湿を示した。
実施例14と比較例13の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料56は高湿度雰囲気下に置くことにより著しい吸湿を示すのに対して、本発明の試料番号36及び38の硬化剤は同条件下でまったく吸湿性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
更に、試験終了後の試料番号38の硬化剤と試料番号56の硬化剤の1HNMRスペクトルを測定した。試料番号38の硬化剤のスペクトルを図69に、試料番号56のスペクトルを図70に示した。試料番号56の硬化剤では含有する2PZLの加水分解物に起因すると考えられる不純物のシグナルが観測されたのに対して、試料番号38のスペクトルにおいては2PZLの分解はまったく観測されなかった。このことからも本発明の硬化剤が保存安定性に優れることが明らかである。
【0087】
【表11】
【0088】
実施例15 硬化剤の吸湿性の測定(その4)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号27の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べた。また、同様にして試料番号28の硬化剤についても吸湿性を調べた。それらの結果を表12に示した。これらの硬化剤は共に高湿度雰囲気下においてもまったく吸湿性が無かった。
【0089】
比較例14
表3記載の試料番号52の硬化剤粉末2グラムを直径3センチメーターのシャーレに入れ、以下、実施例12と同様にして該硬化剤の吸湿性を調べ、その結果を表12に示した。該硬化剤は40℃、相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置することにより約3重量%、また、50℃、相対湿度90%の雰囲気下に2日間静置することにより約4.5重量%の吸湿を示した。
実施例15と比較例14の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料52は高湿度雰囲気下に置くことにより著しい吸湿を示すのに対して、本発明の試料番号27及び28の硬化剤は同条件下でまったく吸湿性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
【0090】
【表12】
【0091】
実施例16 硬化剤の昇華性の測定(その1)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号10の硬化剤を、熱分析装置(TG)を使用して100℃で30分間ホールドし、該硬化剤の重量変化を調べた。また、試料番号11の硬化剤についても同様にして重量変化を調べた。この結果を表13に示した。更に、熱分析装置(TG)を使用してこれら硬化剤を150℃で30分間ホールドし、該硬化剤の重量変化を調べた。この結果を表14に示した。これら硬化剤は100℃、30分間のホールド及び150℃、30分間のホールドでほとんど重量変化が見られなかった。
【0092】
比較例15
表3記載の試料番号48及び49の硬化剤について、実施例16と同様にして100℃及び150℃ホールドにおける重量変化を測定した。100℃における結果を表13に、150℃における結果を表14に示した。試料番号48の硬化剤は100℃、30分のホールドで10%、150℃、30分間のホールドで約20%の重量減少が見られた。また、試料番号49の硬化剤は100℃、30分のホールドで約9%、150℃、30分間のホールドで約20%の重量減少が見られた。
実施例16と比較例15の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料48及び49は昇華性を示すのに対して、本発明の試料番号10及び11の硬化剤は高温条件下でも昇華性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
実施例17 硬化剤の昇華性の測定(その2)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号24の硬化剤を使用し、実施例16と同様にして100℃、30分間ホールド及び150℃、30分間ホールドした際の、該硬化剤の重量変化を調べた。100℃及び150℃における結果をそれぞれ表15及び表16に示した。該硬化剤は100℃、30分間のホールド及び150℃、30分間のホールドでほとんど重量変化が見られなかった。
【0096】
比較例16
表3記載の試料番号50の硬化剤について、実施例16と同様にして100℃及び150℃ホールドにおける重量変化を測定した。100℃における結果を表15に、150℃における結果を表16に示した。該硬化剤は100℃、30分のホールドで約3%、150℃、30分間のホールドで約12%の重量減少が見られた。
実施例17と比較例16の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料50は昇華性を示すのに対して、本発明の試料番号24の硬化剤は高温条件下でも昇華性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
【0097】
【表15】
【0098】
【表16】
【0099】
実施例18 硬化剤の昇華性の測定(その3)
本発明の硬化剤である表1記載の試料番号36及び38の硬化剤を使用し、実施例16と同様にして100℃、30分間ホールド及び150℃、30分間ホールドした際の、これら硬化剤の重量変化を調べた。100℃及び150℃における結果をそれぞれ表17及び表18に示した。該硬化剤は100℃、30分間のホールド及び150℃、30分間のホールドでほとんど重量変化が見られなかった。
【0100】
比較例17
表3記載の試料番号56の硬化剤について、実施例16と同様にして100℃及び150℃ホールドにおける重量変化を測定した。100℃における結果を表17に、150℃における結果を表18に示した。該硬化剤は100℃、30分のホールドで約4%、150℃、30分間のホールドで約10%の重量減少が見られた。
実施例18と比較例17の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料56は昇華性を示すのに対して、本発明の試料番号36及び38の硬化剤は高温条件下でも昇華性が無く、保存安定性に優れることが明らかである。
【0101】
【表17】
【0102】
【表18】
【0103】
実施例19 硬化剤の低温硬化機能の実証(その1)
基体樹脂(未硬化樹脂)エピコート1004(油化シェル株式会社製)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号27の硬化剤0.95重量部(1B2MZとして0.44重量部に相当)を配合し、80℃で30分間混練り後、室温まで冷却し、樹脂組成物を作成した。その一部を採取し、熱分析装置(DSC)を使用して、硬化に伴う発熱ピークから、該樹脂組成物の硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の反応熱のピークは148℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図71に示した。
【0104】
比較例18
表3記載の試料番号52の硬化剤1.08重量部(1B2MZとして0.44重量部に相当)を使用し、実施例19と同様にして樹脂組成物を作成し、DSCを使用して該樹脂組成物の硬化温度を測定した。該樹脂組成物の反応熱のピークは168℃であった。また、硬化剤として1B2MZ0.44重量部を使用し、実施例19と同様にして樹脂組成物を作成し、同様に硬化温度を測定した。その結果、該樹脂組成物の反応熱のピークは170℃であった。該樹脂組成物のDSCチャートを図72に示した。
実施例19と比較例18の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料52及び1B2MZを使用して作成した樹脂組成物は共に反応熱のピークが170℃付近であり、これら樹脂組成物を十分硬化させるには170℃程度の高温を必要とする。これに対して、本発明の試料番号27の硬化剤を使用した樹脂組成物は反応熱のピークが148℃であり、比較例の場合よりも20℃も低温で樹脂組成物を十分硬化させることができ、本発明の硬化剤が低温硬化性に優れる硬化剤であることが明らかである。
【0105】
実施例20 硬化剤の低温硬化機能の実証(その2)
基体樹脂(未硬化樹脂)エピコート1004(油化シェル株式会社製)100重量部に、本発明の硬化剤である表1記載の試料番号27の硬化剤0.95重量部(1B2MZとして0.44重量部に相当)を配合し、室温で30分間混練し、樹脂組成物を作成した。その一部を採取し、熱分析装置(DSC)を使用して、120℃にホールドし、該樹脂組成物の硬化に伴う発熱ピークの面積を調べた。その結果、該樹脂組成物は120℃で硬化に伴い、150ジュール/グラムの発熱を示した。
【0106】
比較例19
表3記載の試料番号52の硬化剤1.08重量部(1B2MZとして0.44重量部に相当)を使用し、実施例20と同様にして樹脂組成物を作成し、その一部を採取し、熱分析装置(DSC)を使用して、120℃にホールドし、該樹脂組成物の硬化に伴う発熱ピークの面積を調べた。その結果、該樹脂組成物は120℃で硬化に伴い、27ジュール/グラムの発熱を示した。また、硬化剤として1B2MZ0.44重量部を使用し、実施例20と同様にして樹脂組成物を作成し、同様に硬化に伴う発熱ピークの面積を調べた。その結果、該樹脂組成物は120℃で硬化に伴い、30ジュール/グラムの発熱を示した。
実施例20と比較例19の結果を比較すると、従来技術による硬化剤試料52及び1B2MZを使用して作成した樹脂組成物は共に120℃では硬化に伴なう発熱量は非常に小さく、従って120℃ではほとんど硬化を起こさない。これに対して、本発明の試料番号27の硬化剤を使用した樹脂組成物は120℃の低温でも比較例に比べて5倍大きな発熱を示し、本発明の硬化剤が低温硬化性に優れることが明らかである。
【0110】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤は、通常エポキシ樹脂に用いられる硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤をテトラキスフェノール系ホスト化合物で包接したものであって、硬化剤及びエポキシ樹脂用硬化促進剤の昇華性、分解性を改善し、常温下で安定にエポキシ樹脂中に存在させることが可能であり、エポキシ樹脂に混合した場合、エポキシ樹脂組成物の可使時間を延長できる。特に硬化反応の制御において極めて重要な熱安定性が大幅に改善され、低温での硬化が可能となった。またそれによって作業効率を向上させることができ、しかもマイクロカプセル化したものに比べ機械強度及びゲスト放出性に優れている。また、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤の硬化速度を進め、エポキシ樹脂組成物の硬化完結時間を短縮できる利点及び従来の硬化剤の使用量を低減化できる特徴があり、エポキシ樹脂を硬化させる用途、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、半導体封止材、プリント配線板用積層板、ワニス、粉体塗料、注型材料、インク等の用途に好適に使用することができる。特にエポキシ系塗料などとして利用するのに極めて好適なエポキシ樹脂組成物を提供する。
本発明は、エポキシ樹脂に限らず主剤と副剤の混合により硬化を開始するような2液型熱硬化性樹脂組成物、例えばウレタン樹脂、シリコン樹脂等にも応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1記載の包接化合物(サンプルNo.10)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図2】表1記載の包接化合物(サンプルNo.11)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図3】表1記載の包接化合物(サンプルNo.19)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図4】表1記載の包接化合物(サンプルNo.20)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図5】表1記載の包接化合物(サンプルNo.21)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図6】表1記載の包接化合物(サンプルNo.22)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図7】表1記載の包接化合物(サンプルNo.23)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図8】表1記載の包接化合物(サンプルNo.24)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図9】表2記載の包接化合物(サンプルNo.27)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図10】表2記載の包接化合物(サンプルNo.28)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図11】表2記載の包接化合物(サンプルNo.29)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図12】表2記載の包接化合物(サンプルNo.30)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図13】表2記載の包接化合物(サンプルNo.31)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図14】表2記載の包接化合物(サンプルNo.32)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図15】表2記載の包接化合物(サンプルNo.33)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図16】表2記載の包接化合物(サンプルNo.38)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図17】表2記載の包接化合物(サンプルNo.43)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図18】表2記載の包接化合物(サンプルNo.46)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図19】表2記載の包接化合物(サンプルNo.47)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図20】表1記載の包接化合物(サンプルNo.10)の 1HNMRスペクトルチャート
【図21】表1記載の包接化合物(サンプルNo.21)の 1HNMRスペクトルチャート
【図22】表1記載の包接化合物(サンプルNo.24)の 1HNMRスペクトルチャート
【図23】表2記載の包接化合物(サンプルNo.27)の 1HNMRスペクトルチャート
【図24】表2記載の包接化合物(サンプルNo.28)の 1HNMRスペクトルチャート
【図25】表1記載の包接化合物(サンプルNo.24)のIRスペクトルチャート
【図26】表2記載の包接化合物(サンプルNo.27)のIRスペクトルチャート
【図27】表2記載の包接化合物(サンプルNo.39)のIRスペクトルチャート
【図28】表2記載の包接化合物(サンプルNo.42)のIRスペクトルチャート
【図29】表2記載の包接化合物(サンプルNo.45)のIRスペクトルチャート
【図30】表1記載の包接化合物(サンプルNo.10)のX線回折パターン
【図31】表2記載の包接化合物(サンプルNo.27)のX線回折パターン
【図32】表2記載の包接化合物(サンプルNo.31)のX線回折パターン
【図33】表1記載の包接化合物(サンプルNo.24)の13C固体NMRのスペクトルチャート
【図34】表2記載の包接化合物(サンプルNo.27)の13C固体NMRのスペクトルチャート
【図35】表2記載の包接化合物(サンプルNo.28)の13C固体NMRのスペクトルチャート
【図36】表2記載の包接化合物(サンプルNo.30)の13C固体NMRのスペクトルチャート
【図37】表1記載の包接化合物(サンプルNo.10)の単結晶X線構造解析結果
【図38】表3記載の化合物(サンプルNo.48)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図39】表3記載の化合物(サンプルNo.49)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図40】表3記載の化合物(サンプルNo.51)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図41】表3記載の化合物(サンプルNo.52)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図42】表3記載の化合物(サンプルNo.53)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図43】表3記載の化合物(サンプルNo.54)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図44】表3記載の化合物(サンプルNo.55)の熱分析(TG/DTA)チャート
【図45】表3記載の化合物(サンプルNo.49)の 1HNMRスペクトルチャート
【図46】表3記載の化合物(サンプルNo.53)の 1HNMRスペクトルチャート
【図47】表3記載の化合物(サンプルNo.54)の 1HNMRスペクトルチャート
【図48】実施例2、比較例2のサンプルNo.32、53、54を使用した樹脂組成物の可使時間(粘度)測定結果
【図49】実施例3、比較例3のサンプルNo.24、50を使用した樹脂組成物の可使時間(粘度)測定結果
【図50】実施例4、比較例4のサンプルNo.10、11、48、49を使用した樹脂組成物の可使時間(粘度)測定結果
【図51】実施例5、比較例5のサンプルNo.36、38、55を使用した樹脂組成物の可使時間(粘度)測定結果
【図52】実施例6、比較例6のサンプルNo.27、28、1B2MZを使用した樹脂組成物の可使時間(粘度)測定結果
【図53】実施例7のサンプルNo.32を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図54】実施例7のサンプルNo.33を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図55】比較例7のサンプルNo.53を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図56】比較例7のサンプルNo.54を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図57】実施例8のサンプルNo.24を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図58】比較例8のサンプルNo.50を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図59】実施例9のサンプルNo.10を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図60】実施例9のサンプルNo.11を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図61】比較例9のサンプルNo.48を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図62】比較例9のサンプルNo.49を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図63】実施例10のサンプルNo.36を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図64】実施例10のサンプルNo.38を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図65】比較例10のサンプルNo.55を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図66】比較例10のサンプルNo.56を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図67】実施例11のサンプルNo.27を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図68】実施例11のサンプルNo.28を使用した樹脂組成物のDSCチャート
【図69】実施例14のサンプルNo.38吸湿試験後の 1HNMRスペクトルチャート
【図70】比較例13のサンプルNo.56吸湿試験後の 1HNMRスペクトルチャート
【図71】実施例19のサンプルNo.27を使用した樹脂組成物の加熱試験後のDSCチャート
【図72】比較例18の1B2MZを使用した樹脂組成物の加熱試験後のDSCチャート

Claims (4)

  1. 一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物との包接体からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。
    (式中、Xは、(CH2 )nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R1 〜R8 は、それぞれ水素原子、 〜C 低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子または 〜C 低級アルコキシ基を示す。)
  2. 一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物との包接体からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤。
    (式中、Xは、(CH2 )nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R1 〜R8 は、それぞれ水素原子、 〜C 低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子または 〜C 低級アルコキシ基を示す。)
  3. 請求項1記載の一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物との包接体、及び/または、請求項2記載の一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物との包接体、の少なくとも一種を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1記載の一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物との包接体、及び/または、請求項2記載の一般式〔I〕で示されるテトラキスフェノール系化合物とエポキシ基と反応してエポキシ樹脂を硬化させる化合物の硬化速度を進める化合物との包接体、の少なくとも一種を含有することを特徴とし、該包接体の含有量が、エポキシ基1モルに対して0.001〜0.1モルであるエポキシ樹脂組成物。
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