JP3779756B2 - 金属管接続部の防食保護方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属管接続部の防食保護方法に関し、更に詳しくは、施工現場において、金属管を互いに溶接して形成した金属管接続部を、防食性能が優れ、しかも高硬度の防食保護層で短時間のうちに被覆することができる金属管接続部の防食保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼管やステンレス管などの金属管の外周面がポリエチレンやポリウレタンなどで被覆されている被覆金属管を施工現場で互いに接続する場合には、被覆が管端から所望の長さだけ剥離除去された各金属管の管端を突き合わせ、その突き合わせ個所を溶接する。
【0003】
したがって、溶接後にあっては、その接続部には、溶接部とその溶接部の両脇に所望の長さで裸出する金属管の表面部とが存在することになるので、この接続部に対して防食処理を施すことが必要になる。
従来上記防食処理としては、金属管相互の溶接に先立ち、いずれか一方の金属管に熱収縮チューブを配置しておき、溶接後は前記熱収縮チューブをその溶接部にまで移動して当該溶接部とその両脇の金属管の裸出表面部とを被包し、ついで、例えばプロパンガスバーナなどを用いて熱収縮チューブを加熱・収縮させることにより接続部の外周に熱収縮チューブを密着させ、接続部を被覆するという方法が広く採用されている。
【0004】
しかしながら、一般に使用されている熱収縮チューブは、その基材が架橋された中密度ポリエチレンで構成されているので、比較的軟質であり、その強度特性が優れているものとはいいがたく、そのため、金属管が地中に埋設される管である場合、埋設時に加わる土砂の衝撃などによって、防食施工後の熱収縮チューブが損傷することがあり、極端な場合には、当該熱収縮チューブが裂けてしまい、接続部に対する防食能を喪失することがある。
【0005】
また、金属管の接続部の外側を例えば2つ割り構造の金型で被包し、この金型と前記接続部との間に形成されている空隙部に液状の反応性樹脂を注入し、その反応性樹脂を熱硬化したのち金型を取り外して接続部を被覆する所望厚みの防食保護層を形成するという工法も採用されている。
例えば、0.5〜1時間程度の時間で硬化反応が終了する2液混合型のウレタン系樹脂を前記した金型の空隙部に圧入して硬化するという工法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
後者の金型を用いる工法では、反応性樹脂として、その硬化物が高硬度になるものを使用すれば、熱収縮チューブを用いた場合よりも防食保護層の強度を高め、しかも防食能を高めることができる。
しかしながら、この工法の場合、防食処理を施すべき接続部の外径に合わせて、口径が異なる多種類の金型を用意しておくことが必要になる。しかし、金型は高価なものであるため、それを用いた施工時のコスト上昇が引き起こされる。
【0007】
また、接続部の外径が大径化すると、それに応じて用いる金型の口径も大きくなるが、そのような大口径の金型はかなりの重量になるため、それを金属管の接続部に配置するための作業も例えばクレーンを使用するなどして大規模化し、実際の施工はかなり困難となる。
更に、注入する反応性樹脂の種類によっては、注入時の圧力が高くなる場合がある。そのため、金型を金属管の接続部に配置したときに、液漏れが起こらないように配置しなければならず、その作業はかなり煩雑となる。
【0008】
本発明は、金型を用いて防食保護層を形成する工法における上記した問題を解決し、しかも後述する反応液を用いることにより、金属管の接続部に、高硬度で防食能が優れている防食保護層を短時間、低コストで形成することができる金属管の接続部の防食保護方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、金属管の溶接部および前記溶接部の両脇に位置する金属管の裸出表面部を含む金属管の接続部を被包して熱収縮チューブを配置したのち、前記熱収縮チューブの両端部のみを選択的に加熱して熱収縮させることにより前記熱収縮チューブの両端部のみを前記接続部に密着させ、
ついで、前記接続部と前記熱収縮チューブが形成する空隙部に、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒、および活性剤を含む反応液を注入したのち前記反応液を硬化して前記接続部を被覆する防食保護層を形成することを特徴とする金属管接続部の防食保護方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、図1の部分断面図で示したように、金属管1の管端部の防食塗装(図示しない)を除去して金属管1の表面部1aを裸出し、また、溶接すべき金属管2の管端部の防食塗装(同じく図示しない)を除去して金属管の表面部2aを裸出し、各金属管の管端を互いに突き合わせてそこを溶接する。
【0011】
したがって、溶接終了後の金属管1,2の接続部Aには、溶接部3とその両脇に位置する裸出表面部1a,2aとが形成されている。
ついで、図2で示したように、この接続部Aの外側周面を被包して熱可塑性樹脂から成る熱収縮チューブ4が配置される。
この熱収縮チューブ4を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、セルロース・アセテート、ジアリルフタレート、ポリブタジエン、塩素化ポリオレフィン、塩化ポリビニリデン、ポリアセタール、ポリメチルペンテン、ブタジエン・スチレン樹脂、熱可塑ポリウレタン、ポリ四フッ化エチレンなどをあげることができる。
【0012】
熱収縮チューブ4は、上記熱可塑性樹脂のいずれかを用いて成形されるパイプやチューブなどであればどちらも使用することができるが、それらのうち、可撓性に富むチューブであることが好ましい。樹脂の種類によっては、延伸成形して熱収縮性を付与したチューブであることが更に好ましい。
この熱収縮チューブ4には、後述する反応液を注入するための注入口4a、空気抜きのための空気孔4dが取りつけられている。そして、熱収縮チューブ4の内径は接続部Aの外径よりも大径であり、また熱収縮チューブ4の全長は、接続部Aよりも長く、その両端部4b,4cは、それぞれ、金属管1の被覆層1b、金属管2の被覆層2bの一部と確実に重なり合うような長さになっている。なお、空気孔4dは、反応液を注入する際に空隙内の気体が抜けやすく、反応液が洩れにくくなるように、通常、上方に取付けられる。それに対し、注入口4aは、空隙内に気体が残存しにくくなるためには、下方に取付けることが好ましく、他方、現場での作業性の点では上方に取付けられることが好ましいので、実施の状況に合わせて注入口の取付け位置を決めればよい。
【0013】
そして、配置された熱収縮チューブ4の両端部4b,4cは金属管1,2のそれぞれの被覆層1b,2bと密着している。
なお、この熱収縮チューブ4は、前記した接続部Aの形成に先立って一方の金属管の方に当該熱収縮チューブ4を寄せておき、接続部Aの形成後に接続部Aを被包するように移動して配置すればよい。
【0014】
かくして、熱収縮チューブ4の長手方向には、その両端部4b,4cの間に、被覆層1b,2bと接続部Aを取り囲むようにして空隙部Bが形成される。
熱収縮チューブ4の両端部4b,4cと被覆層1b,2bを密着して気体および液体が洩れない構造にするためには、被覆層1b,2bの表面の所望個所に、例えばブチルゴム系のマスチックを巻回して粘着剤層5a,5bを形成し、この粘着剤層5a,5bと熱収縮チューブ4の両端部4b,4cを接着すればよい。
【0015】
その場合、熱収縮チューブの両端部を粘着剤層に接触させ、その接触個所を選択的に加熱すると、その加熱個所のみが熱収縮して粘着剤層と接着するのでより確実な液密構造を形成することができて好適である。
この状態で、熱収縮チューブ4の注入口4aから反応液を空隙部Bに注入する。
【0016】
本発明方法で用いる反応液とは、ノルボルネン系単量体とメタセシス触媒と活性剤と、更に必要に応じては後述する任意成分とを含むものであって、ノルボルネン系単量体が開環して塊状重合を起こすものである。すなわち、1液のみではノルボルネン系単量体の塊状重合が起こらないように、上記した各成分を2液以上に分割して反応原液を用意しておき、金型への注入作業の直前でこれら各反応原液が混合されたものである。
【0017】
この反応液は、反応原液を混合した直後の粘度が約300cpsと低く非常に流動性に富んでいる。したがって、反応液を熱収縮チューブ4の空隙部Bに注入するときには、反応液に大きな圧力を加えて注入することは不要であり、注入作業の開始とともに、反応液は迅速に空隙部Bの隅々にまで流れ込んでいき、しかも空気を巻き込むことなく均質な状態で注入される。
【0018】
そして、約60℃程度の温度に加熱されると、急速に、発熱硬化して5分以内の時間で固化する。この硬化反応の過程は開環重合であるため、分解ガスなどは発生せず、しかも、圧縮硬度、伸び、曲げ弾性率などの機械的な強度特性は硬化反応の初期段階から確実に発現しはじめ、硬化反応開始後、約10分以内で最終特性値の50%以上の値にまで到達する。
【0019】
ここで、ノルボルネン系単量体としては、ノルボルネン環を有すものであれば何であってもよいが、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンのような二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンのような三環体;テトラシクロドデセンのような四環体;トリシクロペンタジエンのような五環体;テトラシクロペンタジエンのような七環体;これらに対し、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル、ビニルなどのアルケニル、エチリデンなどのアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチルなどのアリールで置換して成る置換体;更には、エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子などの極性基を有する置換体;をあげることができる。
【0020】
これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を適宜に混合して用いてもよい。これらのうち、入手が容易であり、反応性が優れ、反応終了後の硬化物の耐熱性が優れているという点で、三環体、四環体または五環体を好適なものとしてあげることができる。
このノルボルネン系単量体は開環重合して樹脂化し、固化していくが、そのときに、生成させる開環重合体を熱硬化型にすることが好ましい。そのためには、用いるノルボルネン系単量体のうち、10重量%以上、好ましくは30重量%以上が架橋可能である単量体を使用すればよい。この架橋可能な単量体は、反応性2重結合を1分子内に2個以上有する多環ノルボルネン系単量体であって、具体的には、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエンなどをあげることができる。
【0021】
メタセシス触媒は、上記したノルボルネン系単量体の開環重合を進めるための触媒であって、その種類は格別限定されるものではなく複分解してノルボルネン系単量体を開環重合させるものであれば何であってもよく、例えば、タングステン、モリブデン、タンタルなどのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物またはアンモニウム塩などをあげることができる。
【0022】
このメタセシス触媒の使用量は、用いる反応液におけるノルボルネン系単量体1モルに対し、通常、0.01〜50ミリモル、好ましくは、0.1〜20ミリモルに設定される。
この使用量が少なすぎると、ノルボルネン系単量体を開環重合させるための活性が低すぎて開環重合に多大な時間がかかるため、熱収縮チューブ内での硬化が迅速に進行しなくなり、また、使用量が多すぎると開環重合が激しく進んでしまい、反応液が熱収縮チューブの空隙部に注入されている過程で硬化してしまったり、またメタセシス触媒が析出して反応液を均質な状態で保存することが困難になる。
【0023】
このような反応液には、更に、メタセシス触媒の触媒活性を高めることができる活性剤が配合されている。
活性剤としては、メタセシス触媒を活性化できるものであれば何であってもよく、例えば、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、有機すず化合物などをあげることができる。
【0024】
この活性剤の使用量は、格別限定されるものではないが、通常、反応液におけるメタセシス触媒1モルに対し、1〜10モルに設定される。この使用量が少なすぎたり、また多すぎたりすると、メタセシス触媒の場合と同じような不都合を生ずるからである。
更に、反応液には、公知の酸化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、発泡剤、難燃化剤、黒鉛のような固体潤滑剤など他の任意成分が配合されていてもよい。
【0025】
また、この反応液に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体のようなジエン系エラストマーや、天然ゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどを配合すると、得られた硬化物の耐衝撃性が向上するので好適である。上記ジエン系エラストマーを配合する場合、その配合量は、反応液におけるノルボルネン系単量体の重量に対し、15重量%以下、好ましくは10重量%以下に設定される。配合量が多くなりすぎると、反応液は高粘性になって熱収縮チューブ内への注入が困難になるとともに、硬化物の耐熱性や剛性の低下が起こりはじめるからである。
【0026】
上記したような成分から成る反応液は、前記したように、1液のみではノルボルネン系単量体の開環重合反応が起こらないように、2液以上に分割した状態で反応原液を調製しておき、筒状体への注入作業の直前で混合されるものであって、そのときはじめてノルボルネン系単量体の開環重合反応が起こって硬化反応が進行する。
【0027】
例えば、ノルボルネン系単量体とメタセシス触媒と他の任意成分とから成る反応原液A、またノルボルネン系単量体と活性剤と他の任意成分とから成る反応原液Bは、それぞれは単独で硬化反応を起こすことはない。しかし、反応原液Aと反応原液Bを混合すると、そのときには、開環重合反応に必要な成分、すなわち、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および活性剤の全てがそろっている反応液になり、ノルボルネン系単量体の開環重合反応が開始する。本発明においては、反応原液を混合して反応液とし、これを直ちに熱収縮チューブの空隙部に注入して硬化させる。
【0028】
通常、熱収縮チューブの注入口に反応射出成形機のミキシング・ヘッドを装着し、このミキシング・ヘッド内に前記した2種以上の反応原液を同時に射出することにより衝突混合させて反応液を調製し、そのまま熱収縮チューブの空隙部へと注入する。
本発明方法は、施工現場で適用されるので、その作業性のことを考えると、2種類の反応原液を用いて反応液を調製することが好ましいが、3種類以上の反応原液を用いて反応液を調製してもよい。
【0029】
なお、この場合、反応原液を混合したのちにノルボルネン系単量体と各成分が互いに充分混合して開環重合が進行するために、混合前の各反応原液には、いずれも、ノルボルネン系単量体を含有させておくことが好ましい。しかし、混合前の反応原液に、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および活性剤の3者を含有させておくと、混合前にノルボルネン系単量体の開環重合が開始するので、通常は、メタセシス触媒と活性剤を1つの反応原液に共存させることはしない。
【0030】
用いる反応原液の粘度は格別限定されるものではないが、粘度が高すぎても低すぎても、反応原液間の混合や熱収縮チューブ内への注入作業が困難になるので、その粘度は、通常50〜2000cps、好ましくは100〜1000cpsの範囲内に設定される。
図2で示した熱収縮チューブ4の空隙部Bに、上記した反応原液を混合して成る反応液を注入すると、空隙部Bで、ノルボルネン系単量体の開環重合反応が進行して発熱し、注入された反応液は硬化物になる。
【0031】
その結果、図3で示したように、接続部Aの外側周面には、接続部Aと被覆層1b,2bを被覆して防食保護層6が形成される。その後、最外層の熱収縮チューブ4は、剥離除去してもよい。またそのままの状態にしておいても防食保護層の防食能にとって何の不都合も引き起こさない。
なお、熱収縮チューブ4の構成樹脂として、反応液の開環重合に伴って発生する反応熱で融解するような熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンをはじめとするポリオレフィンやポリスチレンなどを用いると、前記した反応液の熱硬化過程で熱収縮チューブの内表面は融解して反応液と混合し、冷却後には、形成された防食保護層と密着一体化するようになり、そのことによって防食能の更なる向上が図られるので好適である。
【0032】
また、本発明方法においては、金属管接続部の外側に筒状体を配置するに先立ち、当該接続部に、次のような処置を施すと防食保護効果を一層高めることができるので好適である。
すなわち、図2で示した接続部Aにおいて、溶接部3、裸出表面部1a,2a、更に被覆層1b,2bの外周面に、常用の防食ブライマーを塗布したのちその外側に、例えば、ブチル系ゴムを主成分とし、粘着付与剤(タッキファイヤー)、軟化剤、架橋剤が配合されている接着性ゴム混和物から成る粘着剤シートやテープを巻回したり、または、直接、常用の防食テープを巻回したり、更には従来と同じように熱収縮チューブを密着被覆したのち、その外側に熱収縮チューブを配置し、ノルボルネン系単量体の重合体から成る防食保護層を形成すると、反応液の硬化反応時に発熱する熱でこれらホットメルト接着剤が軟化して接続部に強固に接着するとともに、形成された硬化層の内面にも強固に接着して、一層優れた防食保護層が形成される。
【0033】
【実施例】
実施例1
図1で示した被覆鋼管1,2の接続部(外径216.3mm,長さ450mm)の外側に、内径265mm、長さ600mmの熱収縮チューブ4を配置した。したがって、この熱収縮チューブ4の両端部4b,4cは、厚み2.5mmの被覆層1b,2bと長さ75mmで重なり合っている。
【0034】
なお、熱収縮チューブ4の配置に先立ち、接続部Aの表面にディスクサンダでSIS St−3程度の下地処理を施し、また被覆層1b,2bの表面を粒度80番程度のサンドペーパで粗面化しておいた。
この熱収縮チューブ4は、架橋ポリエチレンから成り、50%の加熱収縮をするチューブであった。
【0035】
ついで、熱収縮チューブ4の両端部4b,4cの位置に相当するプラスチック被覆1a,1bの表面にブチルゴム系マスチック5a,5bを巻回してそこを両端部4b,4bで被包したのち、プロパンガスバーナで加熱して当該両端部4b,4cを熱収縮させてマスチック5a,5bと接着させ、熱収縮チューブ4内に、図2で示したように、空隙部Bを形成した。
【0036】
一方、ジシクロペンタジエン75重量部と非対称型シクロペンタジエン三量体25重量を混合し、ここにスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名、クレイトン1170、シエル社製)5重量部、およびフェノール系酸化防止剤(商品名、イルガノックス1010、チバガイギー社製)2重量部を溶解し、得られた溶液を2つの液に分割し、一方の液には、1リットル当り、ジエチレンアルミニウムクロリド(活性剤)40ミリモル、n−プロパノール44ミリモル、四ケイ素20ミリモルを配合して反応原液Aを調製し、他方の液には、1リットル当り、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート(メタセシス触媒)10ミリモルを配合して反応原液Bを調製した。反応原液A,Bはいずれも温度30℃で待機させた。
【0037】
ついで、前記した反応原液Aと反応原液Bの同容量を反応射出成形機を用いて混合して反応液とし、それをただちに、熱収縮チューブ4の注入口4aから空隙部Bに注入した。
5分経過後には、接続部Aとポリエチレン被覆層1b,2bの外側に、アイゾット衝撃強さが40kg・cm/cmである非常に硬い防食保護層が形成された。
【0038】
ついで、防食保護層が形成されている個所を屋外の水槽中に1ヵ月間浸漬したのち取り出し、メガオームメータを用いて防食保護層の絶縁抵抗を測定し、ついで防食保護層を剥離して接続部Aを表出させ、その表出面における発錆の有無を目視観察した。
絶縁抵抗は1010Ω・m2 と非常に大きく、また発錆は全く認められなかった。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の方法では、金属管の接続部に防食保護層を形成するに際し、従来の金型に代えて熱可塑性樹脂の熱収縮チューブを金属管の接続部を配置するので、従来のように、重い金型の輸送、配置、取り外し、また清掃などの作業は不要になり、現場での施工能率は非常に高くなる。また、反応液がノルボルネン系単量体とメタセシス触媒と活性剤とから成るので、非常に短時間で、防食能が優れている防食保護層を形成することができる。
【0042】
また、熱収縮チューブを用いるので、反応液の硬化過程では形成されつつある防食保護層を常時緊締する力が作用し続けるので、注入される反応液の液漏れを防止するとともに防食保護層と接続部との密着性を高めることができる。
【0043】
更に、熱収縮チューブの両端部のみが収縮して金属管の接続部と密着するので、熱収縮チューブに反応液を注入したときに液洩れは起こらないようになる。
そして、熱収縮チューブの両端部と粘着剤層とが液密に接着するので、反応液の液洩れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被覆金属管を互いの管端で溶接した状態を示す部分断面図である。
【図2】 図1の接続部の外側に熱収縮チューブを配置した状態を示す部分断面図である。
【図3】接続部に防食保護層を形成した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1,2 被覆金属管
1a,2a 被覆金属管1,2の裸出表面部
1b,2b 被覆層
3 溶接部
4 熱可塑性樹脂の熱収縮チューブ
4a 反応液の注入口
4b,4c 熱収縮チューブ4の両端部
4d 空気孔
5a,5b 粘着剤層
6 防食保護層
A 接続部
B 空隙部
Claims (2)
- 金属管の溶接部および前記溶接部の両脇に位置する金属管の裸出表面部を含む金属管の接続部を被包して熱収縮チューブを前記接続部に配置したのち、前記熱収縮チューブの両端部のみを選択的に加熱して熱収縮させることにより前記熱収縮チューブの両端部のみを前記接続部に密着させ、
ついで、前記接続部と前記熱収縮チューブが形成する空隙部に、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒、および活性剤を含む反応液を注入したのち前記反応液を硬化して前記接続部を被覆する防食保護層を形成することを特徴とする金属管接続部の防食保護方法。 - 前記熱収縮チューブを前記接続部に配置するに際し、前記熱収縮チューブの両端部が接触する前記接続部の箇所に、粘着剤層を設けておく請求項1の金属管接続部の防食保護方法。
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