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JP2021098922A - 表面材とその製造方法 - Google Patents

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JP2021098922A
JP2021098922A JP2020202587A JP2020202587A JP2021098922A JP 2021098922 A JP2021098922 A JP 2021098922A JP 2020202587 A JP2020202587 A JP 2020202587A JP 2020202587 A JP2020202587 A JP 2020202587A JP 2021098922 A JP2021098922 A JP 2021098922A
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貫 松島
Kan Matsushima
貫 松島
小林 正樹
Masaki Kobayashi
正樹 小林
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Abstract

【課題】触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備える表面材、及びその製造方法を提供する。【解決手段】バインダ2と単層構造の布帛1とを備える表面材10において、前記布帛における両主面にバインダの層は存在していないという構成、前記布帛における両主面間にバインダの層が存在しているという構成、を共に満足する表面材は触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備える。また、単層構造の布帛におけるバインダ液を付与した一方の主面へ、溶媒および/または分散媒を付与する工程を備える表面材の製造方法は、主面へ付与したバインダ液を、溶媒および/または分散媒によって当該一方の主面から前記布帛の内部側へと押し込み、当該一方の主面にバインダ液が存在しないようにできる。【選択図】図1

Description

本発明は表面材とその製造方法に関する。
従来から自動車などの内装を構成可能な表面材として、バインダと単層構造の布帛とを備える表面材であって、表面材の主面(単層構造の布帛由来の主面)を構成する繊維同士がバインダの層によって接着し固定された表面材が使用されている。そして、当該表面材を意図した形状に加熱成型して、内装材を製造することが行われている。
上述した構成の表面材として本願出願人は、特開昭62−257472号公報(特許文献1)に記載した「繊維ウェブの片面にニードルパンチ処理を施し、該ニードルパンチ処理を施した面にバインダーを含浸させたのち、カレンダー処理を施し、ついで該ニードルパンチ処理を施した面の反対面にタックの少ないバインダーを含浸させた内装用表皮材」を提案した。
特開昭62−257472号公報
しかし、従来技術にかかる表面材の主面(単層構造の布帛由来の主面)にはバインダの層が存在しており、当該主面上に露出している繊維部分はバインダの層によって接着し固定されているため、当該主面は人に起毛感を感じさせることがない触感の悪いものであった。
一方、人に起毛感を感じさせ触感に優れる主面を備えた表面材を提供するため、表面材の主面(単層構造の布帛由来の主面)へバインダを付与しない場合には、当該主面から繊維が脱落し易いという問題が発生するものであった。
本発明は、触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備える表面材と、その製造方法の提供を目的とする。
第一の発明は「バインダと単層構造の布帛とを備える表面材であって、前記布帛における一方の主面よりも内部側、および、前記布帛におけるもう一方の主面よりも内部側にのみ前記バインダの層が存在している、表面材。」である。
また、第二の発明は「(1)単層構造の布帛を用意する工程、(2)バインダと前記バインダの溶媒および/または分散媒とを含んでいる、バインダ液を用意する工程、(3)前記布帛における一方の主面へ、前記バインダ液を付与する工程、(4)前記布帛における前記バインダ液を付与した前記一方の主面へ、前記溶媒および/または前記分散媒を付与する工程、(5)前記布帛から、前記溶媒および/または前記分散媒を除去する工程、を備える、請求項1に記載の表面材の製造方法。」である。
本願出願人は検討の結果、バインダと単層構造の布帛とを備える表面材において、
・前記布帛における両主面にバインダの層は存在していないという構成、そして、
・前記布帛における両主面間にバインダの層が存在しているという構成、
を共に満足する表面材は、触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備える表面材であることを見出した。
つまり、本発明の表面材では、表面材を構成する単層構造の布帛の両主面にバインダの層が存在していない。そのため、当該両主面上に露出している繊維部分はバインダの層によって固定されていないため、当該両主面は人に起毛感を感じさせ触感に優れる主面である。
一方、表面材を構成する前記布帛における両主面間にバインダの層が存在していることによって、当該各主面に露出しており触感の向上に寄与する繊維における前記布帛の内部側に存在している部分が、バインダの層により接着し固定されている。そのため、当該各主面から前記繊維(各主面に露出しており触感の向上に寄与する繊維)が脱落し難い。
また、本発明にかかる表面材の製造方法は、用意した単層構造の布帛における一方の主面へバインダ液を付与した後に、「(4)前記布帛における前記バインダ液を付与した前記一方の主面へ、前記溶媒および/または前記分散媒を付与する工程」を備えている。当該工程において、前記布帛における一方の主面に存在するバインダ液を、次いで付与されるバインダを含有していない前記溶媒および/または分散媒によって、当該一方の主面から前記布帛の内部側へと押し込み、当該一方の主面にバインダ液が存在しないようにできる。
その後、前記布帛に存在する溶媒および/または分散媒を除去することで、請求項1にかかる構成を満足した表面材を製造できる。
以上から、本発明によって、触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備える表面材を提供できる。
本発明にかかる表面材の模式断面図である。 比較例1で調製した表面材の、断面を写した光学顕微鏡写真である。 比較例2で調製した表面材の、断面を写した光学顕微鏡写真である。 実施例1で調製した表面材の、断面を写した光学顕微鏡写真である。 実施例2で調製した表面材の、断面を写した光学顕微鏡写真である。 実施例3で調製した表面材の、断面を写した光学顕微鏡写真である。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載のない限り、大気圧下のもと測定を行った。また、本発明で説明する各種測定は特に記載のない限り、25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。
本発明の表面材について、本発明にかかる表面材の模式断面図である図1を用いて説明する。なお、図1中に例示されている表面材(10)は、単層構造の布帛(1)とバインダの層(2)のみで構成された表面材(10)である。
本発明の表面材(10)は、単層構造の布帛(1)とバインダの層(2)とを備えている。
ここで単層構造の布帛(1)は、主として表面材(10)の骨格を形成する役割を担う部材である。そして、バインダの層(2)は単層構造の布帛(1)の構成繊維同士を接着一体化させて、単層構造の布帛(1)の形状が意図せず変形するのを防止する役割や、単層構造の布帛(1)の剛性など諸物性を向上させる役割を担う。また、後述するような添加剤を単層構造の布帛(1)の表面や空隙中に担持する役割を担うことができる。
本発明でいう布帛とは、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などの、シート状の繊維集合体である。
また、本発明でいう単層構造とは、布帛が複数の繊維集合体の積層体ではないことを意味する。布帛が単層構造を有していることによって、加熱成型して内装材を製造する際に、布帛に層間剥離が発生し難く成形性に優れる表面材(10)を提供できる。
また、布帛が単層構造であることによって、布帛の一方の主面における構成繊維ともう一方の主面における構成繊維の種類を同一なものにできる。そのため、加熱成型して内装材を製造する際に、布帛の両主面における成形型への追従性が均一的なものとなり、成形性に優れる表面材(10)を提供できる。
本発明に対し、例えば、一方の主面上にバインダの層を有する繊維ウェブを二枚用意し、当該バインダの層を対面させた状態で二枚の繊維ウェブを当該バインダによって接着一体化して表面材を調製した場合や、当該バインダの層を対面させた状態で二枚の繊維ウェブへニードルパンチ処理などの絡合処理を施して表面材を調製した場合には、積層構造の布帛を備えていること以外は本発明と同様の構成を有する表面材を調製できる。しかし、当該表面材を加熱成型して内装材を製造すると層間剥離が発生し易い恐れがある。この理由として、当該バインダ層の存在によって繊維ウェブ同士の層間は構成繊維の絡合が弱い部分となり、表面材が層間剥離し易い部分を有することになるためだと考えられる。
なお、布帛から容易に層を剥離できる場合、または、布帛の一方の主面における構成繊維ともう一方の主面における構成繊維の種類が同一でない場合には、布帛が単層構造を有していないと判断できる。
本発明の表面材(10)は、布帛(特に、全ての構成繊維がランダムに絡合してなる不織布)を含んでいるため柔軟であり、加熱成形性に優れる。なお、全ての構成繊維がランダムに絡合してなる布帛(特に、不織布)を備えた表面材(10)はより柔軟であり、より加熱成形性に優れる。
布帛の構成繊維は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ニトリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂を用いて構成できる。
なお、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。また、顔料を練り込み調製された繊維や、染色された繊維などの原着繊維であってもよい。
なお、表面材(10)に難燃性が求められる場合には、布帛の構成繊維が難燃性の樹脂を含んでいるのが好ましい。このような難燃性の樹脂として、例えば、モダアクリル樹脂、ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ノボロイド樹脂、ポリクラール樹脂、リン化合物を共重合したポリエステル樹脂、ハロゲン含有モノマーを共重合したアクリル樹脂、アラミド樹脂、ハロゲン系やリン系又は金属化合物系の難燃剤を練り込んだ樹脂などを挙げることができる。また、バインダ等を用いることで難燃剤を担持した表面材(10)であってもよい。
構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
構成繊維は、一種類の樹脂から構成されてなるものでも、複数種類の樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の樹脂から構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
また、構成繊維は、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維は、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
布帛が構成繊維として熱融着性繊維を含んでいる場合には、繊維同士を熱融着することによって、布帛に強度と形態安定性を付与し、削れや意図しない毛羽立ちの発生を抑制でき好ましい。このような熱融着性繊維は、全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、上述した複合繊維のような態様の一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性繊維における熱融着性を発揮する成分として、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂を含む熱融着性繊維などを適宜選択して使用できる。
布帛が捲縮性繊維を含んでいる場合には、伸縮性が増して成形型への追従性に優れ好ましい。このような捲縮性繊維として、例えば、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現した捲縮性繊維やクリンプを有する繊維などを使用することができる。また、布帛が加熱することで捲縮を発現する潜在捲縮性繊維を含んでいてもよい。
布帛が繊維ウェブや不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009−287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法、などによって調製できる。
調製した繊維ウェブの構成繊維を絡合および/または一体化させて不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維ウェブを加熱処理へ供するなどしてバインダあるいは接着繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。
加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている樹脂を加熱する方法などを用いることができる。
布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
なお、繊維ウェブ以外にも不織布あるいは織物や編物などの布帛を、上述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
単層構造の布帛(1)の構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、外観保持性が向上するように、0.1dtex以上であることができ、0.5dtex以上であることができ、1.0dtex以上であることができる。他方、成形性に優れた表面材(10)を調製可能なように、100dtex以下であることができ、50dtex以下であることができ、30dtex以下であることができ、10dtex以下であることができる。
また、単層構造の布帛(1)の構成繊維の繊維長も特に限定するものではないが、外観保持性が向上するように、20mm以上であることができ、25mm以上であることができ、30mm以上であることができる。他方、繊維長が110mmを超えると、単層構造の布帛(1)の調製時に繊維塊が形成される傾向があり、成形性に優れた表面材(10)を調製するのが困難となるおそれがあることから、110mm以下であるのが好ましく、70mm以下であることができる。なお、「繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
単層構造の布帛(1)の、例えば、厚さ、目付などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜調整する。
単層構造の布帛(1)の厚さは、500〜50000μmであることができ、1000〜3000μmであることができ、1100〜1900μmであることができる。なお、本発明において単層構造の布帛(1)の厚さとは、後述する(バインダの層の存在態様の確認方法)の項目で算出される、線分における端点(A)と端点(B)間の長さ(図中ではXとして図示する)をいう。
また、単層構造の布帛(1)の目付は、例えば、50〜500g/mであることができ、80〜300g/mであることができ、100〜250g/mであることができる。なお、本発明において目付とは、測定対象物の最も広い面積を有する面(主面)における1mあたりの質量をいう。
本発明で使用可能なバインダは適宜選択するが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体(スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、アクリル系樹脂(例えば、バーサチック酸ビニルエステル共重合アクリル系樹脂)などを使用できる。バインダとしてアクリル系樹脂を採用すると、熱成形時に適度に軟化するため成形型への追従性に優れる表面材(10)を提供でき好ましい。
バインダは、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、シリカなど無機粒子、加熱され発泡する粒子あるいは既発泡粒子など中空粒子、乳化剤、分散剤、界面活性剤などの添加剤を含有していてもよい。
単層構造の布帛(1)に含まれているバインダの目付は、本発明の構成を満足する表面材(10)を提供できるよう適宜選択する。具体的にバインダの目付は2g/m以上であることができる。また、バインダの目付は50g/m以下であることができ、30g/m以下であることができ、20g/m以下であることができる。
本発明にかかる表面材(10)は、単層構造の布帛(1)におけるバインダの層(2)の存在態様に特徴を有する。つまり、単層構造の布帛(1)における一方の主面よりも内部側、および、単層構造の布帛(1)におけるもう一方の主面よりも内部側にのみバインダの層(2)が存在している。
ここでいう、単層構造の布帛(1)における一方の主面よりも内部側にのみバインダの層(2)が存在しているとは、また、単層構造の布帛(1)におけるもう一方の主面よりも内部側にのみバインダの層(2)が存在しているとは、後述する(バインダの層の確認方法)において撮影された単層構造の布帛(1)の断面の光学顕微鏡写真において、一方の主面ともう一方の主面のいずれにも接することなくバインダの層(2)が存在していることを意味する。
単層構造の布帛(1)に存在するバインダの層(2)は、以下の測定方法へ供することによって判断できる。
(バインダの層の確認方法)
1.測定対象となる布帛(例えば、単層構造の布帛(1)や表面材(10))から試料(形状:正方形あるいは長方形)を採取する。
2.測定対象に含まれるバインダを染色可能な染色液(例えば、カヤステインQ(日本化薬(株)製)など)を用意する。
3.染色液を用いて試料中に含まれるバインダを染色する。
4.染色後の試料を厚さ方向に切断し、切断後の試料の両主面にインクジェット印刷用光沢紙(12)を重ね、更にインクジェット印刷用光沢紙(12)の上からガラス板(11)で試料を厚さ方向に挟み保持し固定(ガラス板(11)による試料の厚さ方向へ作用させる圧力:20g/cm)する。そして、その状態で切断後の試料における断面を、30倍の光学顕微鏡で撮影する。なお、光学顕微鏡写真における縦方向の範囲内に、染色後の試料の断面における厚さ方向の全体が収まるように撮影する。また、試料の厚さ方向の長さを示す線分を一辺として有する正方形の範囲が、光学顕微鏡写真中に納まるように撮影する。
なお、バインダの層(2)とは、光学顕微鏡写真における前述した正方形の範囲の横方向(前記試料断面の厚さ方向と垂直を成す方向)にわたり横断するように、バインダが一続きに存在することで層状の態様をなしているものを指す。
光学顕微鏡写真に写る、染色後の試料における一方の主面よりも内部側、および、染色後の試料におけるもう一方の主面よりも内部側にのみバインダの層(2)が存在している場合、当該測定対象は本発明の構成を満たすものである。換言すれば、後述する(バインダの層の存在態様の確認方法)において、図1のようにWならびにYとZが0よりも長い場合、当該測定対象は本発明の構成を満たすものである。
なお、本発明にかかるバインダの層(2)を備える単層構造の布帛(1)の厚さ方向へ圧力を作用させた場合、バインダの層(2)が存在している部分は当該部分を構成する繊維同士がバインダで一体化しており剛性に富む部分であるため、バインダの層(2)が存在していない部分よりも厚さ方向に変形し難く厚さが薄くなり難い部分である。
また、単層構造の布帛(1)が有するバインダの層(2)の数は適宜調整でき複数でも良い。しかし、触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備える表面材(10)を容易に提供できるよう、バインダの層(2)を一層のみ有しているのが好ましい。なお、本発明にかかる表面材(10)はバインダの層(2)以外にも、一続きに存在せず層状の態様を成していないが帯状の態様を有するバインダ部分を有していてもよい。
バインダの層(2)の厚さは適宜調整できるが、上述した光学顕微鏡写真に写る単層構造の布帛(1)の厚さよりも薄い厚さであり、200〜1000μmであることができ、300〜500μmであることができる。なお、バインダの層(2)の厚さは、以下の方法で求めることができる。
(バインダの層の厚さの測定方法)
1.上述した光学顕微鏡写真に写る単層構造の布帛(1)の両主面間を最短距離で結ぶ線分を、光学顕微鏡写真上に引く。なお、線分における単層構造の布帛(1)の一方の主面側の端点(一方の主面と線分との接点)を端点(A)、線分における単層構造の布帛(1)のもう一方の主面側の端点(もう一方の主面と線分との接点)を端点(B)とする。そして、線分における端点(A)と端点(B)間の長さを、単層構造の布帛(1)の厚さ(単位:μm)とする。なお、図中では単層構造の布帛(1)の厚さをXとして図示している。
2.光学顕微鏡写真に写る、ある一つのバインダの層(2)における一方の主面側の輪郭と前記線分の交点(a)、そして、前記バインダの層(2)におけるもう一方の主面側の輪郭と前記線分の交点(b)を、光学顕微鏡写真上に作図する。
そして、前記線分における交点(a)と交点(b)間の長さを、バインダの層(2)の厚さ(単位:μm)とする。なお、図中ではバインダの層(2)の厚さをWとして図示している。
なお、単層構造の布帛(1)の厚さに占める、バインダの層(2)の厚さの百分率は適宜調整できるが、5%〜80%の範囲であることができ、10%〜60%の範囲であることができ、20%〜30%の範囲であることができる。なお、当該百分率は、単層構造の布帛(1)の厚さに占めるバインダの層(2)の厚さの百分率を算出することで求めることができる。
単層構造の布帛(1)における主面からどの程度、内部側にバインダの層(2)が存在しているかについては適宜調整できる。なお、バインダの層(2)の存在態様は、以下の方法で確認できる。
(バインダの層の存在態様の確認方法)
1.上述した(バインダ層の厚さの測定方法)において作図した、線分における端点(A)と端点(B)間の長さ(X)、線分における端点(A)と交点(a)間の長さ(図中ではYとして図示する、一方の主面からバインダの層(2)が存在するまでの深さを意味する)、線分における端点(B)と交点(b)間の長さ(図中ではZとして図示する、もう一方の主面からバインダの層(2)が存在するまでの深さを意味する)を、各々求める。
2.100×Y/Xの値を算出(単位:%)する。その算出結果から、一方の主面から単層構造の布帛(1)の厚さ方向に当該算出値(単位:%)以上の範囲に、バインダの層(2)が存在すると判断できる。
3.100×Z/Xの値を算出(単位:%)する。その算出結果から、もう一方の主面から単層構造の布帛(1)の厚さ方向に当該算出値(単位:%)以上の範囲に、バインダの層(2)が存在すると判断できる。
なお、本発明の構成を満足する表面材(10)においては、100×Y/Xの算出値ならびに100×Z/Xの算出値は共に0%よりも大きい値となる。当該算出値は本発明の構成を満足するものであるならば適宜調整できるが、5%以上であることができ、7%以上であることができ、10%以上であることができ、15%以上であることができる。各算出値の上限は適宜調整できるが、73%以下であることができ、70%以下であることができ、60%以下であることができる。
なお、本発明にかかる表面材(10)は、以下の構成を満足する。
・W、X、Y、Zはいずれも0よりも大きい。
・100×Y/Xの算出値と100×Z/Xの算出値の和は、100%未満である。
・XはW+Y+Zの和となる。
表面材(10)の目付、厚さなどの諸物性は、本発明の目的が達成できるよう適宜調整でき、例えば、目付は140〜300g/mであることができ、150〜260g/mであることができ、160〜250g/mであることができる。また、厚さは500〜50000μmであることができ、1000〜3000μmであることができ、1100〜1900μmであることができる。
表面材(10)の主面(バインダの層(2)を備えた単層構造の布帛(1)のみで構成された表面材(10)である場合には、単層構造の布帛(1)の主面)の動摩擦係数の値は1.2μk以下であることができ、1.1μk以下であることができ、1.0μk以下であることができる。なお、動摩擦係数は以下の測定方法によって求めることができる。
(動摩擦係数の測定方法)
動摩擦係数は表面性試験機(表面性試験機トライボステーションType:32 新東科学株式会社製)を用いて測定される値である。測定対象となる布帛から採取した試料(63.5mm×約130mm)を平面圧子にたるみなく巻き付け、両端のクランプで固定し、ガラス板上にセットする。その後、ガラス板上にセットされた試料における露出している主面に平面圧子を接触させ、前記平面圧子により試料の厚さ方向へ50gの荷重をかける。そして、荷重をかけた状態のまま、試料を100mm/minの速度で、荷重がかかる方向と垂直を成す方向へ60mm移動させる。
その間に測定された動摩擦の測定値(ある表面上を他の表面で滑らせ続ける時に抵抗する力)から、動摩擦係数μk(測定された動摩擦の値と試験片の主面に対し垂直に働く力との比)を算出する。
表面材(10)の主面の表面粗さ(SMD)や平均摩擦係数(MIU)ならびに平均摩擦係数の変動(MMD)は、触感に優れる表面材(10)を実現できるよう適宜調整する。
なお、表面粗さ(SMD;surface roughness)は表面試験機(KES−FB4、カトーテック株式会社製)を用いて測定される値であり、表面材(10)から採取した試料(20cm角)を試験機に400gの荷重をかけてセットし、粗さ接触子(0.5mmワイヤー、接触面幅:5mm)に10.0gの加重をかけて試料に接触させ、試料を1mm/sec.の速度で移動させて測定された表面の凹凸データの平均偏差(average deviation of surface roughness data)を意味し、単位はμmである。
表面に起毛感を感じることができる表面材(10)を調整できるよう、表面粗さ(SMD)は、2.3μm以上であるのが好ましい。表面粗さ(SMD)の値の上限は特に定めるところではないが、過剰に高い値であった場合には表面の凸凹を強く感じることによって触感の低下を感じる恐れがあるため、表面粗さ(SMD)は4.5μm以下であることが望ましい。
表面材(10)の主面の平均摩擦係数(MIU)は主面の柔軟性を示す指標である。なお、平均摩擦係数(MIU;frictional coefficient)は、表面試験機(KES−FB4)を用いて測定されるμ(摩擦係数)の20mm間の平均値(average value of μ in a distance of 20mm)であり、表面材(10)から採取した試料(20cm角)を試験機に400gの荷重をかけてセットし、摩擦子(5mm×5mm)に50gの加重をかけて試料に接触させ、試料を1mm/sec.の速度で移動させて測定された平均値を意味する。
平均摩擦係数(MIU)は、0.19以上であることが好ましい。一方で、平均摩擦係数(MIU)の値が大きすぎると摩擦抵抗が大きすぎて触感を損なう恐れがあるため、1.6以下であるのが好ましい。
表面材(10)の主面の平均摩擦係数の変動(MMD)は主面の均一性を示す指標である。なお、平均摩擦係数の変動(MMD;fluctuations of average frictional coefficient)は、平均摩擦係数(MIU)の測定における平均偏差を意味する。
平均摩擦係数の変動(MMD)の上限値は0.01以下であることができ、下限値は0.005以上であることができ、0.008以上であることができる。
本発明にかかるバインダの層(2)を備えた単層構造の布帛(1)は、単体で表面材(10)としてもよいが、更に別の布帛、多孔体、フィルム、発泡体などの構成部材を積層してなる表面材(10)であってもよい。このとき、表面材(10)に当該単層構造の布帛(1)の主面が露出するように積層する。
表面材(10)はそのまま熱成形工程へ供することができるが、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜くなどして加工する工程や、リライアントプレス処理などの厚さや表面の平滑性といった諸物性を調整する工程などの、各種二次工程へ供してから熱成形工程へ供してもよい。
次に、本発明の表面材(10)の製造方法について説明する。なお、上述した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
本発明にかかる表面材(10)の製造方法は適宜選択できるが、一例として、
(1)単層構造の布帛(1)を用意する工程、
(2)バインダと前記バインダの溶媒および/または分散媒とを含んでいる、バインダ液を用意する工程、
(3)前記布帛(1)における一方の主面へ、前記バインダ液を付与する工程、
(4)前記布帛(1)における前記バインダ液を付与した前記一方の主面へ、前記溶媒および/または前記分散媒を付与する工程、
(5)前記布帛(1)から、前記溶媒および/または前記分散媒を除去する工程、
を備える、表面材(10)の製造方法であることができる。
工程(1)について説明する。
単層構造の布帛(1)として、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などの、シート状の布帛を用意する。なお、単層構造の布帛(1)における構成繊維の繊度や繊維長、単層構造の布帛(1)の厚さや目付は適宜調整できる。
工程(2)について説明する。
バインダの種類は適宜選択できる。また、溶媒あるいは分散媒の種類は適宜選択でき、例えば水などを採用できるが、単層構造の布帛(1)へバインダ液を好適に付与できるよう、バインダが溶解できると共に単層構造の布帛(1)が溶解しない溶媒を採用する、あるいは、バインダが分散できると共に単層構造の布帛(1)が溶解しない分散媒を採用するのが好ましい。また、バインダ液に占めるバインダの濃度や粘度は、本発明にかかる表面材(10)を提供できるよう、適宜調整する。
また、本発明の表面材(10)を提供できるよう、増粘剤や消泡剤などを添加したバインダ液であっても良い。
工程(3)について説明する。
単層構造の布帛(1)における一方の主面へバインダ液を付与する方法は適宜選択できるが、単層構造の布帛(1)の一方の主面にそのまま、あるいは泡立てた状態で、スプレーや含浸ロールなどを用いて散布あるいは塗布する方法、単層構造の布帛(1)の一方の主面をバインダ液に浸漬する方法などを採用できる。
なお、単層構造の布帛(1)の一方の主面へ付与するバインダ液の量は、本発明にかかる表面材(10)を提供できるよう、適宜調整する。また、単層構造の布帛(1)の一方の主面へバインダ液を付与する回数は、一回でも複数回でもよい。
工程(4)について説明する。
上述した工程(3)において、一方の主面へバインダ液を付与した後の単層構造の布帛(1)における、当該主面へバインダ液を構成する溶媒および/または分散媒を付与する。
本発明では本工程において、一方の主面に存在するバインダ液を、次いで付与されるバインダを含有していない前記溶媒および/または分散媒によって、当該一方の主面から前記布帛の内部側へと押し込み、当該一方の主面にバインダ液が存在しないようにできる。
なお、バインダ液からバインダ成分を除いた溶媒および/または分散媒含有液を、溶媒および/または分散媒として用いてもよい。このような溶媒および/または分散媒含有液は、増粘剤や消泡剤などを含有していても良い。
単層構造の布帛(1)の一方の主面へ付与する溶媒および/または分散媒の量は、本発明にかかる表面材(10)を提供できるよう、適宜調整する。単層構造の布帛(1)の一方の主面へ溶媒および/または分散媒を付与する回数は、一回でも複数回でもよい。また、単層構造の布帛(1)のもう一方の主面へも、同様に溶媒および/または分散媒を付与してもよい。
付与する溶媒および/または分散媒の量を少量に調整すると、単層構造の布帛(1)における一方の主面から内部側の浅い部分にバインダの層(2)が存在してなる表面材(10)を実現し易い。また、付与する溶媒および/または分散媒の量を多量に調整すると、単層構造の布帛(1)における一方の主面から内部側の深い部分にバインダの層(2)が存在してなる表面材(10)を実現し易い。つまり、単層構造の布帛(1)の一方の主面へ付与する溶媒および/または分散媒の量を調整することによって、単層構造の布帛(1)におけるバインダの層(2)の存在態様を調整できる。
なお、上述した効果が効率良く発揮されるよう、単層構造の布帛(1)の一方の主面へ付与したバインダ液が乾燥する前に、溶媒および/または分散媒を付与するのが好ましい。
工程(5)について説明する。
溶媒あるいは分散媒を除去する方法は適宜選択できるが、例えば、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する、室温雰囲気下や減圧雰囲気下に静置するなどして、溶媒あるいは分散媒を蒸発させ除去できる。溶媒あるいは分散媒を除去する際の加熱温度は、溶媒あるいは分散媒が揮発可能な温度であると共に、単層構造の布帛(1)の構成成分やバインダの機能などが意図せず低下することがないよう、加熱温度の上限を調整する。
また、加熱を受け発泡する粒子を備えている場合には、本工程によって当該粒子を発泡させてもよい。
上述の工程を経ることで、本発明にかかる構成を満足する表面材(10)を調製できる。そして、表面材(10)を熱成形手段へ供することで、内装材を調製できる。なお、熱成形手段へ供する前後において、表面材(10)あるいは内装材を打ち抜いたり切り抜く、あるいは立体的な形状を付与するなど、二次加工へ供しても良い。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(単層構造の布帛の調製)
原着ポリエステル繊維(繊度:1.3dtex、繊維長:51mm)を100%用いて、カード機により開繊して繊維ウェブを形成した。その後、片面から針密度400本/cmでニードルパンチ処理を行い、その後、熱ロール(ロール加熱温度:150℃)へ供することで、単層構造の不織布(目付:190g/m、厚さ:1960μm)を調製した。
(バインダ液の調製)
以下の配合物を混合してなるバインダ液を調製した。
・増粘剤A(固形分濃度:0.36質量部)・・・24質量部
・増粘剤B(固形分濃度:0.28質量部)・・・1質量部
・消泡剤(固形分濃度:0.07質量部)・・・0.5質量部
・アクリル系樹脂エマルジョン(固形分濃度:4.5質量部)・・・10質量部
・シリコン系樹脂エマルジョン(固形分濃度:0.96質量部)・・・3質量部
・25%濃度アンモニア水・・・1質量部
・水・・・60.5質量部
なお、本バインダ液中に含まれるバインダ成分は、アクリル系樹脂エマルジョンに含有されているアクリル系樹脂のみであり、本バインダ液はバインダ粒子のエマルジョン液であった。
(分散媒含有液の調製)
以下の配合物を混合してなる分散媒含有液を調製した。
・増粘剤A(固形分濃度:0.39質量部)・・・26質量部
・消泡剤(固形分濃度:0.07質量部)・・・0.5質量部
・25%濃度アンモニア水・・・1質量部
・水・・・72.5質量部
なお、本分散媒含有液中にはバインダ成分は含有されていなかった。
(比較例1)
単層構造の不織布を、温度180℃のテンタードライヤーで乾燥した。その後、放熱することによって冷却して表面材(目付:190g/m、厚さ:1960μm)を調製した。
(比較例2)
単層構造の不織布における、ニードリングを施した側の主面とは反対の主面にのみ、シリンダを用いてバインダ液を付与した。
バインダ液を付与した単層構造の不織布を、温度180℃のテンタードライヤーで乾燥することによって、バインダ液中に含まれるアクリル系樹脂によって構成繊維同士を接着固定すると共に分散媒を除去した。その後、放熱することによって冷却して表面材(目付:197g/m、厚さ:1870μm)を調製した。
(実施例1)
単層構造の不織布における、ニードリングを施した側の主面とは反対の主面にのみ、シリンダを用いてバインダ液を付与した。
更に、単層構造の不織布におけるバインダ液を付与した側の主面に、シリンダを用いて分散媒含有液をバインダ液と同体積量となるように付与した。
バインダ液ならびに分散媒含有液を付与した単層構造の不織布を、温度180℃のテンタードライヤーで乾燥することによって、バインダ液中に含まれるアクリル系樹脂によって構成繊維同士を接着固定すると共に分散媒を除去した。その後、放熱することによって冷却して表面材(目付:197g/m、厚さ:1830μm)を調製した。
(実施例2)
付与した分散媒含有液を、実施例1よりも多量にしたこと以外は、実施例1と同様にして表面材(目付:197g/m、厚さ:1840μm)を調製した。
(実施例3)
付与した分散媒含有液を、実施例2よりも多量にしたこと以外は、実施例2と同様にして表面材(目付:197g/m、厚さ:1820μm)を調製した。
上述のようにして調製した各表面材の断面を映した光学顕微鏡写真を、図2〜図6に図示する。なお、各光学顕微鏡写真中に写る、表面材の両主面側に存在する白色の板状の物体は、インクジェット印刷用光沢紙である。また、バインダの層の存在態様を理解し易くするため、光学顕微鏡写真の左側に各長さのおおよその関係を示す略図を併記した。なお、比較例1で調製した表面材(図2)はバインダの層を備えていないため、W、Y、Zに相当する部分を有していない。また、比較例2で調製した表面材(図3)は一方の主面に接してバインダの層が存在しているため、Yに相当する部分を有していない。
上述のようにして調製した各表面材の諸構成と評価結果を表1にまとめた。また、表1における「繊維脱落性」ならびに「官能評価」は以下に説明する方法で測定を行った。なお、バインダの層を備えておらず測定対象とならなかった項目については、表中に「−」を記載した。
(官能評価の測定方法)
表面材における、単層構造の不織布に対しニードリングを施した側と反対側の主面由来の主面を、人が触った際に感じる起毛感および滑らかさを点数評価した。なお、測定は各表面材につき同一の10名が行った。そして、各項目の合計値を算出した。
なお、起毛感の合計値が大きいほど当該主面は起毛感に優れること、また、滑らかさの合計値が大きいほど当該主面は滑らかさに優れることを意味する。
起毛感:感じる・・・2点、やや感じる・・・1点、感じない・・・0点
滑らかさ:感じる・・・2点、やや感じる・・・1点、ざらつきを感じ滑らかさを感じない・・・0点
(繊維脱落性の評価方法)
JIS K7204:1999(プラスチック−摩耗輪による摩耗試験方法)に従い、各表面材における、単層構造の不織布のニードリングを施した側と反対側の主面由来の主面の繊維脱落性を評価した。
なお、摩耗試験機、回転摩擦速度、使用摩耗輪、摩耗輪にかける荷重、摩耗回数は次の通りとした。
(1)摩耗試験機:ロータリーアブレージョンテスタ (株)東洋精機製作所
(2)回転摩擦速度:70r/min
(3)使用摩耗輪No:CS−10
(4)摩耗輪にかける荷重:4.9N
(5)摩耗回数:100回
試験後の主面部分における摩耗輪を処理した部分を目視で観察し、以下の基準で評価した。
3級:若干の繊維の脱落のみが認められた。
2級:3級の結果よりも多数の、繊維の脱落が認められた。
そのため、3級の評価を受けた表面材は、2級の評価を受けた表面材よりも、繊維の脱落が発生し難い主面を備える表面材である。
Figure 2021098922
比較例と実施例を比較した結果から、本発明にかかる構成を満足する表面材は、触感に優れると共に繊維の脱落が発生し難い主面を備えるものであった。
本発明の表面材は、各種内装材を調製可能な表面材である。特に、車両の天井、ピラーガーニッシュ、ドア、インストルメントパネル、ステアリングホイール、シフトレバー、コンソールボックス、トノカバー、ラゲッジフロア、ラゲッジサイドなどの内装材を調製できる、表面材である。
10:表面材
1:単層構造の布帛
2:バインダの層
11:ガラス板
12:インクジェット印刷用光沢紙
W:バインダの層の厚さ
X:単層構造の布帛の厚さ
Y:一方の主面からバインダの層が存在するまでの深さ
Z:もう一方の主面からバインダの層が存在するまでの深さ
A:単層構造の布帛の両主面間を最短距離で結ぶ線分における、単層構造の布帛の一方の主面側の端点(一方の主面と線分との接点)
B:単層構造の布帛の両主面間を最短距離で結ぶ線分における、単層構造の布帛のもう一方の主面側の端点(もう一方の主面と線分との接点)
a:バインダの層における一方の主面側の輪郭と線分の交点
b:バインダの層におけるもう一方の主面側の輪郭と線分の交点

Claims (2)

  1. バインダと単層構造の布帛とを備える表面材であって、
    前記布帛における一方の主面よりも内部側、および、前記布帛におけるもう一方の主面よりも内部側にのみ前記バインダの層が存在している、
    表面材。
  2. (1)単層構造の布帛を用意する工程、
    (2)バインダと前記バインダの溶媒および/または分散媒とを含んでいる、バインダ液を用意する工程、
    (3)前記布帛における一方の主面へ、前記バインダ液を付与する工程、
    (4)前記布帛における前記バインダ液を付与した前記一方の主面へ、前記溶媒および/または前記分散媒を付与する工程、
    (5)前記布帛から、前記溶媒および/または前記分散媒を除去する工程、
    を備える、
    請求項1に記載の表面材の製造方法。
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