WO2006104157A1 - インク組成物及びこれを用いた記録方法、記録物 - Google Patents

Description

明 細 書

インク組成物及びこれを用いた記録方法、記録物

技術分野

[0001] 本発明はインク組成物に関する。さらに詳しくは、インクジェット記録方式に用いる のに好適なインク組成物に関する。

背景技術

[0002] インクジェット記録方式は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて 印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、こ れまで写真やオフセット印刷の分野であった高精細な画像記録（印刷）にもインクジ エツト記録方法を用いられるようになってきており、一般に用いられる普通紙やインク ジェット記録用の専用紙 (マット系、光沢系）に対してのみならず、印刷本紙等の記録 媒体にも高品質な記録が求められてきている。

[0003] インクジェット記録に用いられるインクとしては、一般に着色剤となる色材と水と水溶 性有機化合物、界面活性剤等を含むインク組成物が知られて ヽる。

着色剤としては、染料あるいは顔料が用いられ、特にカラーインクは色の彩度の高 さ、透明性、水への溶解性が高い等の理由力 水溶性染料が使用される場合が多 い。しかし、このような染料は一般的に耐光性ゃ耐ガス性の点が不十分であり、また、 水溶性であることから、耐水性にも問題があるため、水溶性染料を用いたインクにより 記録された記録物は、記録画像の保存性に劣るという欠点を有している。これに対し て、水に不溶な着色剤は、耐水性の面において有利である。特に水に不溶な着色剤 の中でも顔料はこうした耐光性、耐ガス性、耐水性に優れた色材であるため、この色 材特性を活力ゝした顔料インクの開発が進められてきており、例えば、顔料を界面活性 剤や高分子分散剤で分散した水性顔料インクや顔料表面に水分散可能な官能基を 付与させた自己分散顔料を用いた水性顔料インク、顔料を水分散可能な榭脂で被 覆した着色微粒子を用いた水性顔料インクなどが提案されて 、る。

[0004] このような顔料インクは、顔料粒子 (顔料含有の着色微粒子も含む）がインク液中で 安定分散しているものであるが、インクが紙などの記録媒体に付着した後、インクが 乾燥する過程で、水分や、揮発性の溶剤類が蒸発することにともなって、安定分散系 が崩れ、顔料の凝集が起こりやすい。凝集した顔料が紙などの記録媒体上に析出す ると、表面の平滑性が失われ、光沢性の低下や印刷画像の均一性が劣化し、高画質 な画像を得られないという問題がある。また、析出した顔料の反射光によって、本来 の色相とは異なる色相の色が見えるようになり（ブロンズ現象）、均一な所望の色相の 画像が得られないという問題があった。また、表面に析出した顔料が擦れによって剥 がれてしまうという定着性や、指などで触った際に表面の顔料が擦れたり、つぶれた りして、光沢感が変わるというダロスチェンジなどの耐擦性にも問題があった。

[0005] 顔料インクの画像品質については、光沢性や分散性等を向上させる目的で、インク 中に分散して！/ヽる顔料の粒子径を限定すること (特許文献 1参照)や、顔料と顔料誘 導体を同時に含有させること (特許文献 2参照)や、にじみや発色性を向上させる目 的で、ポリマー微粒子を含有させること (特許文献 3参照)や、無機微粒子を含有させ ること (特許文献 4参照)や、普通紙における印字濃度とインクジェット専用紙におけ る光沢性を向上させる目的で、顔料を含有する水不溶性ビニルポリマー分散体を含 有するインク (特許文献 5参照)などが提案されて!、る。

[0006] し力しながら、このような顔料インクにおいても、光沢性や印刷画像の均一性には不 十分であり、特に紙表面に凝集した顔料の反射光によって、本来の色相とは異なる 色相の色に見えてしまう（ブロンズ現象）や、インクの定着性やダロスチェンジといった 耐擦性に対しては、水溶性染料インクの品質に対して劣ると ヽぅ課題があった。

[0007] 特許文献 1：特開 2002— 356637号公報

特許文献 2 :特開 2002— 294134号公報

特許文献 3：特開 2001— 123098号公報

特許文献 4:特開平 11— 209671号公報

特許文献 5 :特開 2005— 41994号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、種 々の記録媒体、特に光沢を有する記録媒体に対してブロンズ現象のなぐ優れた光 沢感を有する画像を得ることが可能なインク組成物であって、耐擦性が良好な、特に インクジェット記録方式に用いるのに好適なインク組成物を提供することにある。 課題を解決するための手段

[0009] 本発明者らは鋭意検討の結果、特定の、水不溶性ポリマーによって被覆された着 色剤と、特定の榭脂成分を含有するインク組成物が、前記課題を解決し得るとの知 見を得た。本発明は、力かる知見に基づくものである。

[0010] 本発明の第 1の態様は以下のインク組成物、記録方法および記録物に関する。

(1)色材として水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤と添加剤として榭脂 ェマルジヨンを少なくとも含有するインク組成物であって、水不溶性ポリマーの重量平 均分子量力 ^s50000〜150000であり、樹月旨エマノレジョンは、該水不溶' 14ポジマーを 構成するモノマー成分と同種のモノマー成分力 なり、その分子量が該水不溶性ポリ マーに対して、 1. 5倍〜 4倍の重量平均分子量の榭脂からなることを特徴とするイン ク組成物。

(2)前記着色剤が水に不溶な着色剤であることを特徴とする（1)に記載のインク組成 物。

(3)前記水不溶性ポリマー及び榭脂ェマルジヨンを構成するポリマーが分岐型ポリマ 一であることを特徴とする（1)または（2)に記載のインク組成物。

(4)前記榭脂ェマルジヨンの平均粒子径が 20〜200nmであることを特徴とする（1) 〜（3)の 、ずれかに記載のインク組成物。

(5)前記着色剤が顔料であり、前記インク組成物がさらに水と水溶性有機化合物を 含み、インク組成物中の顔料粒子の平均粒子径が 50〜150nmの範囲にあることを 特徴とする（1)〜 (4) V、ずれかに記載のインク組成物。

(6)前記水溶性有機化合物が、少なくとも多価アルコール類と固体湿潤剤とグリコー ルのブチルエーテル類力もなることを特徴とする（5)に記載のインク組成物。

(7)多価アルコール類がグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、 1 , 5—ペンタンジオール及び 1, 2—へキサンジオールから選択される 2種類以上から なり、固体湿潤剤がトリメチロールェタンまたはトリメチロールプロパンまたは尿素であ り、ブチルダリコール類がジエチレングリコールモノブチルエーテル又はトリエチレン グリコールモノブチルエーテルであることを特徴とする（6)に記載のインク組成物。

(8)インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする（1)〜（7)の何れかに記載 のインク組成物。

(9) (1)〜（8)の何れかに記載のインク組成物を記録媒体に付着させて印字を行うェ 程からなる記録方法。

(10)さらに、インクの液滴を吐出する工程力 なり、該液滴を記録媒体に付着させて 印字を行うことを特徴とする（9)に記載の記録方法。

(11) (9)または（10)に記載の記録方法によって記録された記録物。

本発明の第 2の態様は以下のインク組成物、記録方法および記録物に関する。

(12)水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤と、榭脂粒子とを少なくとも含 有するインク組成物であって、水不溶性ポリマーは少なくとも重合性不飽和単量体と 重合開始剤を用いて溶液重合法により得られるポリマーであり、水不溶性ポリマーに よって被覆されている着色剤は該水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させたのち少 なくとも着色剤と水とを加えて混合し、有機溶媒を除去して水系に分散する転相乳化 法によって得られる色材であり、榭脂粒子は少なくとも架橋剤を用いて乳化重合法に よって得られるポリマーであることを特徴とするインク組成物。

(13)前記着色剤が水に不溶な着色剤であることを特徴とする（12)に記載のインク 組成物。

(14)前記水不溶性ポリマーが分岐型ポリマーであることを特徴とする（ 12)または（ 1 3)に記載のインク組成物。

(15)前記榭脂粒子が 40°C以下の温度で膜ィ匕しないポリマーからなることを特徴とす る（12)〜（14)のいずれかに記載のインク組成物。

(16)前記榭脂粒子の平均粒子径が 20〜80nmであることを特徴とする（12)〜（15 )の 、ずれかに記載のインク組成物。

(17)前記着色剤が顔料であり、前記インク組成物がさらに水と水溶性有機化合物を 含み、インク組成物中の平均粒子径が 50〜150nmの範囲にあることを特徴とする（ 12)〜（16)いずれかに記載のインク組成物。

(18)前記水溶性有機化合物が、少なくとも多価アルコール類と固体湿潤剤とグリコ ールのブチルエーテル類力もなることを特徴とする（17)に記載のインク組成物。

(19)多価アルコール類がグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、 1, 5—ペンタンジオール及び 1, 2—へキサンジオールから選択される 2種類以上か らなり、固体湿潤剤がトリメチロールェタンまたはトリメチロールプロパンまたは尿素で あり、ブチルダリコール類がジエチレングリコールモノブチルエーテル又はトリェチレ ングリコールモノブチルエーテルであることを特徴とする（18)に記載のインク組成物

(20)インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする（12)〜（19)の何れかに 記載の組成物。

(21) (12)〜（20)の何れかに記載のインク組成物を記録媒体に付着させて印字を 行う工程からなる記録方法。

(22)さらに、インクの液滴を吐出する工程力 なり、該液滴を記録媒体に付着させて 印字を行うことを特徴とする（21)に記載の記録方法。

(23) (21)または（22)に記載の記録方法によって記録された記録物。 発明を実施するための最良の形態

[0012] 以下、本発明の第 1の態様に基づくインク組成物を、その好ましい実施形態に基づ いて詳細に説明する。

本発明の第 1の態様のインク組成物は、水不溶性ポリマーによって被覆されている 着色剤と榭脂ェマルジヨンを少なくとも含有するインク組成物であって、水不溶性ポリ マーの重量平均分子量が 50000〜 150000であり、榭脂ェマルジヨンは該水不溶 性ポリマーを構成するモノマー成分と同種のモノマー成分力 なり、その分子量が該 水不溶性ポリマーに対して、 1. 5倍〜 4倍の重量平均分子量の榭脂からなることを特 徴とする。

これらの各構成要素について詳細に説明する。

[0013] [色材]

本発明の第 1の態様のインク組成物に用いられる色材は、少なくとも水不溶性ポリ マーによって被覆されている着色剤であり、この色材に用いられる水不溶性ポリマー は、疎水性基をもつモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体榭脂からなり、 少なくとも塩生成基をもつモノマーの残基を含有しているものである。ここで、水不溶 性ポリマーとは中和後に 25°Cの水 lOOgに対する溶解度が lg未満であるポリマーを いう。

[0014] 疎水性基を持つモノマーは、メチルメタタリレート、ェチルメタタリレート、イソプロピ ノレメタタリレート、 n—ブチルメタタリレート、イソブチルメタタリレート、 n—ァミルメタタリ レート、イソアミルメタタリレート、 n—へキシルメタタリレート、 2—ェチルへキシルメタク リレート、ォクチルメタタリレート、デシルメタタリレート、ドデシルメタタリレート、ォクタ デシルメタタリレート、シクロへキシルメタタリレート、フエ-ルメタタリレート、ベンジルメ タクリレート、グリシジルメタタリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビュル等のビ -ルエステル類やアクリロニトリル、メタタリ口-トリル等のビュルシアン化合物類、スチ レン、 a—メチルスチレン、ビュルトルエン、 4— t—ブチルスチレン、クロルスチレン、 ビュルァ-ソール、ビュルナフタレン等の芳香族ビュル単量体類などがあり、それぞ れ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもできる。

[0015] 親水性基を持つモノマーとしては、ポリエチレングリコールモノメタタリレート、ポリプ ロピレングリコーノレモノメタタリレート、エチレングリコール 'プロピレングリコーノレモノメ タクリレートなどがあり、それぞれ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもでき る。特に、ポリエチレングリコール（2〜30)モノメタタリレート、ポリエチレングリコール（ 1〜15) 'プロピレングリコール（1〜15)モノメタタリレート、ポリプロピレングリコール（ 2〜30)メタタリレート、メトキシポリエチレングリコール（2〜30)メタタリレート、メトキシ ポリテトラメチレングリコール（2〜30)メタタリレート、メトキシ（エチレングリコール 'プロ ピレングリコール共重合体）（1〜30)メタタリレートなどの分岐鎖を構成するモノマー 成分を用いることによって、印刷画像の光沢性が向上する。

[0016] 塩生成基をもつモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイ ン酸などがあり、それぞれ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもできる。

[0017] さらに、片末端に重合成官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マ クロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。

[0018] 本発明の第 1の態様における水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸 濁重合法、乳化重合法など公知の重合法により、モノマーを共重合させることによつ て得られるが、特に溶液重合法が好ましぐ重合の際には、公知のラジカル重合剤や 重合連鎖移動剤を添加してもよ ヽ。

[0019] 本発明の第 1の態様における、水不溶性ポリマーによって被覆された着色剤は、例 えば、上記の水不溶性ポリマーをメタノール、エタノール、イソプロパノール、 n—ブタ ノール、アセトン、メチルェチルケトン、ジブチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させ 、得られた溶液に着色剤を添加し、次いで中和剤及び水を添加して混練、分散処理 を行うことにより水中油滴型の分散体を調整し、得られた分散体から有機溶媒を除去 することによって、水分散体として得ることができる。混練、分散処理は、例えば、ボー ルミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用い ることがでさる。

中和剤は、ェチルァミン、トリメチルァミン等の 3級ァミン、水酸化リチウム、水酸化ナ トリウム、水酸ィ匕カリウム、アンモニア等が好ましぐ得られる水分散体の pHが 6〜 10 であることが好ましい。

[0020] また、被覆する水不溶性ポリマーとしては、重量平均分子量が 50000〜 150000 程度のものが、着色剤、特に顔料を安定的に分散させる点で好ましい。重量平均分 子量はゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー（GPC)による分子量分析方法により 柳』定することができる。

本発明の第 1の態様における、水不溶性ポリマーによって被覆された着色剤に用 いられる着色剤としては、「染料便覧」（出版元;丸善株式会社)等に記載の既存の染 料、顔料を用いることができる。

本発明の第 1の態様における着色剤は、水に不溶の着色剤であることが好ましぐ より好ましい着色剤は顔料である。本発明の第 1の態様に用いることができる顔料とし ては、公知の無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができ、カラーインデック スに記載されているビグメントイエロー、ビグメントレッド、ビグメントバイオレット、ピグメ ントブルー、ビグメントブラック等の顔料の他、フタロシアニン系、ァゾ系、アントラキノ ン系、ァゾメチン系、縮合環系等の顔料が例示できる。また、黄色 4号、 5号、 205号 、 401号;橙色 228号、 405号;青色 1号、 404号等の有機顔料や、酸化チタン、酸ィ匕 亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クローム等の無機顔料が挙げら れる。例えば、 C. I.ビグメントイエロー 1, 3, 12, 13, 14, 17, 24, 34, 35, 37, 42 , 53, 55, 74, 81, 83, 95, 97, 98, 100, 101, 104, 108, 109, 110, 117, 12 0, 128, 138, 150, 153, 155, 174, 180, 198、 C. I.ビグメントレッド 1, 3, 5, 8 , 9, 16, 17, 19, 22, 38, 57 : 1, 90, 112, 122, 123, 127、 146, 184、 202、 2 09、 C. I.ピグメントノィォレッド 1, 3, 5 : 1, 16, 19, 23, 38、 C. I.ビグメントブル 一 1, 2, 15, 15 : 1, 15 : 2, 15 : 3, 15 :4, 16、 C. I.ビグメントブラック 1, 7等であり 、複数の顔料を用いてインク組成物を形成することもできる。

[0021] これらの顔料は、 0. 5〜8重量％の範囲で本発明の第 1の態様のインク中に含有さ れることが好ましい。含有量が 0. 5重量％未満では印字濃度 (発色性)が不充分であ る場合があり、また 8重量％よりも大き 、と光沢メディア上での光沢性劣化やノズルの 目詰まり、吐出の不安定を起こす等の信頼性に不具合が生じる場合がある。

[0022] さらに、着色剤と水不溶性ポリマーの重量比率が、着色剤：水不溶性ポリマー = 1 :

0. 2〜1： 1の比率にあることが、分散安定性や、インクの保存安定性やノズルの目詰 まり防止等の観点、光沢メディア上での光沢性の観点力 好ましい。詳しくは、水不 溶性ポリマーが着色剤に対して、 20%より少ないと安定分散ができず、着色剤の凝 集が発生し、着色剤に対して 100%より多いとブロンズ現象は小さくなつてくるが、発 色が低下し、光沢メディア上での光沢も劣化するためである。

また、発色や光沢メディア上での光沢性の観点から、インク組成物中での顔料粒子 の平均粒子径が 50〜150nmの範囲であることが好ましい。尚、これらの平均粒子径 は、 Microtrac UPA150 (マイクロトラック社製）や粒度分布測定機 LPA3100 (大 塚電子 (株)製)等の粒径測定によって得ることができる。

[0023] なお、本発明の第 1の態様における、水不溶性ポリマーによって被覆されている着 色剤は、着色剤が水不溶性ポリマーによって完全に被覆されずに、一部の着色剤が 露出した形状でもよい。

[0024] [榭脂ェマルジヨン]

本発明の第 1の態様における榭脂ェマルジヨンは、前記の水不溶性ポリマーを構成 するモノマー成分と同種のモノマー成分力 得られる榭脂からなる。ここで、「同種の モノマー成分力 得られる榭脂」とは、前記の水不溶性ポリマー同様、疎水性基をも つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体樹脂からなり、少なくとも塩生成 基をもつモノマーの残基を含有して！/ヽる榭脂を意味する。

[0025] 疎水性基を持つモノマーは、メチルメタタリレート、ェチルメタタリレート、イソプロピ ノレメタタリレート、 n—ブチルメタタリレート、イソブチルメタタリレート、 n—ァミルメタタリ レート、イソアミルメタタリレート、 n—へキシルメタタリレート、 2—ェチルへキシルメタク リレート、ォクチルメタタリレート、デシルメタタリレート、ドデシルメタタリレート、ォクタ デシルメタタリレート、シクロへキシルメタタリレート、フエ-ルメタタリレート、ベンジルメ タクリレート、グリシジルメタタリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビュル等のビ -ルエステル類やアクリロニトリル、メタタリ口-トリル等のビュルシアン化合物類、スチ レン、 a—メチルスチレン、ビュルトルエン、 4— t—ブチルスチレン、クロルスチレン、 ビュルァ-ソール、ビュルナフタレン等の芳香族ビュル単量体類などがあり、それぞ れ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもできる。

[0026] 親水性基を持つモノマーとしては、ポリエチレングリコールモノメタタリレート、ポリプ ロピレングリコーノレモノメタタリレート、エチレングリコール 'プロピレングリコーノレモノメ タクリレートなどがあり、それぞれ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもでき る。特に、ポリエチレングリコール（2〜30)モノメタタリレート、ポリエチレングリコール（ 1〜15) 'プロピレングリコール（1〜15)モノメタタリレート、ポリプロピレングリコール（ 2〜30)メタタリレート、メトキシポリエチレングリコール（2〜30)メタタリレート、メトキシ ポリテトラメチレングリコール（2〜30)メタタリレート、メトキシ（エチレングリコール 'プロ ピレングリコール共重合体）（1〜30)メタタリレートなどの分岐鎖を構成するモノマー 成分を用いることによって、印刷画像の光沢性が向上する。

[0027] 塩生成基をもつモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイ ン酸などがあり、それぞれ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもできる。

[0028] さらに、片末端に重合成官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マ クロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。

[0029] 本発明の第 1の態様における水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸 濁重合法、乳化重合法など公知の重合法により、モノマーを共重合させることによつ て得られるが、特に溶液重合法が好ましぐ重合の際には、公知のラジカル重合剤や 重合連鎖移動剤を添加してもよ ヽ。

[0030] 重合で得られた榭脂を有機溶媒に溶解させ、中和剤及び水を添加して分散処理を 行い、得られた分散体から有機溶媒を除去することによって、榭脂ェマルジヨンとして 得ることができる。

中和剤は、ェチルァミン、トリメチルァミン等の 3級ァミン、水酸化リチウム、水酸化ナ トリウム、水酸ィ匕カリウム、アンモニア等が好ましぐ得られる水分散体の pHが 6〜 10 であることが好ましい。

[0031] この榭脂ェマルジヨンと水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤を併用す ることにより、着色剤に対して水不溶性ポリマーの比率が増えるにしたがって発生す る発色低下や、光沢メディア上での光沢劣化を防ぐことができ、さらにインク組成物中 の榭脂成分の増量にともな 、、定着性やダロスチェンジと!/、つた耐擦性が向上する。

[0032] 一般にポリマー分散剤により着色剤を分散した分散体に、添加剤としての榭脂エマ ルジョン等のポリマーを併用すると、分散剤であるポリマーと添加剤であるポリマーに おいて、着色剤に対して吸脱着が起こり、分散安定性が崩れ、保存安定性が劣化す るという問題があるが、本発明の第 1の態様における榭脂ェマルジヨンの榭脂は着色 剤を被覆する水不溶性ポリマーと類似構造をもつことで、インク組成物中で水不溶性 ポリマーと榭脂ェマルジヨンの榭脂の吸脱着が起こった場合も安定な分散状態を保 つことができる。

また、本発明の第 1の態様における榭脂ェマルジヨンの榭脂は該水不溶性ポリマー の分子量に対して、 1. 5倍〜 4倍の重量平均分子量のポリマーであることにより、定 着性が良好で、信頼性が高いインク組成物を提供できる。これは、該榭脂の重量平 均分子量が水不溶性ポリマーの分子量に対して、 1. 5倍より小さい場合は定着作用 が不十分であり、 4倍を超える場合は吐出安定性などの信頼性に不具合を与えるた めである。

さらに、榭脂ェマルジヨンの平均粒子径が、 20〜200nmの範囲にあること力 分散 安定性や記録画像の光沢性やブロンズ改善の観点力も好ましい。尚、これらの平均 粒子径は、 Microtrac UPA150 (Microtrac社製）や粒度分布測定機 LPA3100 (大塚電子 (株)製)等の粒径測定によって得ることができる。

[0033] 以下、本発明の第 2の態様に基づくインク組成物を、その好ましい実施形態に基づ いて詳細に説明する。

本発明の第 2の態様のインク組成物は、水不溶性ポリマーによって被覆されている 着色剤と、榭脂粒子とを少なくとも含有するインク組成物であって、水不溶性ポリマー は少なくとも重合性不飽和単量体と重合開始剤を用いて溶液重合法により得られる ポリマーであり、水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤は該水不溶性ポリ マーを有機溶媒に溶解させたのち少なくとも着色剤と水とを加えて混合し、有機溶媒 を除去して水系に分散する転相乳化法によって得られる色材であり、榭脂粒子は少 なくとも重合性不飽和単量体と重合開始剤を用いて乳化重合法によって得られるポ リマーであることを特徴とする。

これらの各構成要素について詳細に説明する。

[0034] [着色剤]

本発明の第 2の態様のインク組成物に用いられる着色剤としては、「染料便覧」（出 版元；丸善株式会社)等に記載の既存の染料、顔料を用いることができる。

本発明の第 2の態様における着色剤は、水に不溶の着色剤であることが好ましぐ より好ましい着色剤は顔料である。本発明の第 2の態様に用いることができる顔料とし ては、公知の無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができ、カラーインデック スに記載されているビグメントイエロー、ビグメントレッド、ビグメントバイオレット、ピグメ ントブルー、ビグメントブラック等の顔料の他、フタロシアニン系、ァゾ系、アントラキノ ン系、ァゾメチン系、縮合環系等の顔料が例示できる。また、黄色 4号、 5号、 205号 、 401号;橙色 228号、 405号;青色 1号、 404号等の有機顔料や、酸化チタン、酸ィ匕 亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クローム等の無機顔料が挙げら れる。例えば、 C. I.ビグメントイエロー 1, 3, 12, 13, 14, 17, 24, 34, 35, 37, 42 , 53, 55, 74, 81, 83, 95, 97, 98, 100, 101, 104, 108, 109, 110, 117, 12 0, 128, 138, 150, 153, 155, 174, 180, 198、 C. I.ビグメントレッド 1, 3, 5, 8 , 9, 16, 17, 19, 22, 38, 57 : 1, 90, 112, 122, 123, 127、 146, 184、 202、 2 09、 C. I.ピグメントノ ィォレッド 1, 3, 5 : 1, 16, 19, 23, 38、 C. I.ビグメントブル 一 1, 2, 15, 15 : 1, 15 : 2, 15 : 3, 15 : 4, 16、 C. I.ビグメントブラック 1, 7等であり 、複数の顔料を用いてインク組成物を形成することもできる。

[0035] これらの顔料は、 0. 5〜8重量％の範囲で本発明の第 2の態様のインク中に含有さ れることが好ましい。含有量が 0. 5重量％未満では印字濃度 (発色性)が不充分であ る場合があり、また 8重量％よりも大き 、と光沢メディア上での光沢性劣化やノズルの 目詰まり、吐出の不安定を起こす等の信頼性に不具合が生じる場合がある。

[0036] [色材：水不溶性ポリマーによって被覆されて!ヽる着色剤]

本発明の第 2の態様における、水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤に 用いられる水不溶性ポリマーは、少なくとも重合性不飽和単量体と重合開始剤を用 いて溶液重合法により重合によって得られるポリマーである。ここで、水不溶性ポリマ 一とは中和後に 25°Cの水 lOOgに対する溶解度が lg未満であるポリマーをいう。

[0037] 重合性不飽和単量体としては、ビュル芳香族炭化水素、メタアクリル酸エステル類 、メタアクリルアミド、アルキル置換メタアクリルアミド、無水マレイン酸、ビュルシアン 化合物類、メチルビ-ルケトン、酢酸ビュルなどが挙げられる。具体的には、スチレン 、 a—メチルスチレン、ビニルトルエン、 4— t—ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニ ルァ-ノール、ビュルナフタレン、メチルメタタリレート、ェチルメタタリレート、イソプロ ピノレメタタリレート、 n—ブチルメタタリレート、イソブチルメタタリレート、 n—アミルメタク リレート、イソアミルメタタリレート、 n—へキシルメタタリレート、 2—ェチルへキシルメタ タリレート、ォクチルメタタリレート、デシルメタタリレート、ドデシルメタタリレート、ォクタ デシルメタタリレート、シクロへキシルメタタリレート、フエ-ルメタタリレート、ベンジルメ タクリレート、グリシジルメタタリレート、アクリロニトリル、メタタリ口-トリルなどがあり、そ れぞれ単独ある 、は 2種類以上を混合して用いることもできる。

[0038] さらに、本発明の第 2の態様における水不溶性ポリマーは印刷画像の光沢性を付 与するために、親水性基を持つモノマーと塩生成基をもつモノマーをその構成成分 として含むことが好ましい。

親水性基を持つモノマーとしては、ポリエチレングリコールモノメタタリレート、ポリプ ロピレングリコーノレモノメタタリレート、エチレングリコール 'プロピレングリコーノレモノメ タクリレートなどがあり、それぞれ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもでき る。特に、ポリエチレングリコール（2〜30)モノメタタリレート、ポリエチレングリコール（ 1〜15) 'プロピレングリコール（1〜15)モノメタタリレート、ポリプロピレングリコール（ 2〜30)メタタリレート、メトキシポリエチレングリコール（2〜30)メタタリレート、メトキシ ポリテトラメチレングリコール（2〜30)メタタリレート、メトキシ（エチレングリコール 'プロ ピレングリコール共重合体）（1〜30)メタタリレートなどの分岐鎖を構成するモノマー 成分を用いることによって、印刷画像の光沢性がさらに向上する。

[0039] 塩生成基をもつモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイ ン酸などがあり、それぞれ単独あるいは 2種類以上を混合して用いることもできる。

[0040] さらに、片末端に重合成官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マ クロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。

また、重合の際には、公知のラジカル重合剤や重合連鎖移動剤を添加してもよい。

[0041] 本発明の第 2の態様に用いられる、水不溶性ポリマーによって被覆された着色剤は 、転相乳化法により得られるものである。すなわち、上記の水不溶性ポリマーをメタノ ール、エタノール、イソプロパノール、 n—ブタノール、アセトン、メチルェチルケトン、 ジブチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に着色剤を添加し、次 いで中和剤及び水を添加して混練、分散処理を行うことにより水中油滴型の分散体 を調整し、得られた分散体から有機溶媒を除去することによって、水分散体として得 ることができる。混練、分散処理は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高 圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用いることができる。

[0042] 中和剤は、ェチルァミン、トリメチルァミン等の 3級ァミン、水酸化リチウム、水酸化ナ トリウム、水酸ィ匕カリウム、アンモニア等が好ましぐ得られる水分散体の pHが 6〜 10 であることが好ましい。

[0043] また、被覆する水不溶性ポリマーとしては、重量平均分子量が 10000〜 150000 程度のものが、着色剤、特に顔料を安定的に分散させる点で好ましい。重量平均分 子量はゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー（GPC)による分子量分析方法により 柳』定することができる。

[0044] さらに、発色や光沢メディア上での光沢性の観点から、インク組成物中での平均粒 子径が 50〜150nmの範囲であることが好ましい。尚、これらの平均粒子径は、 Micr otrac UPA150 (Microtrac社製）や粒度分布測定機 LP A3100 (大塚電子（株） 製)等の粒径測定によって得ることができる。

[0045] なお、本発明の第 2の態様における、水不溶性ポリマーによって被覆されている着 色剤は、着色剤が水不溶性ポリマーによって完全に被覆されずに、一部の着色剤が 露出した形状でもよい。

[0046] [榭脂粒子]

榭脂粒子を形成する榭脂としては、アクリル系榭脂、メタクリル系榭脂、スチレン系 榭脂、ウレタン系榭脂、アクリルアミド系榭脂、エポキシ系榭脂からなる群より選択され る 1種または 2種以上であることが好ましい。これらの榭脂はホモポリマーであっても、 あるいはコポリマーであっても良ぐ単相構造及び複相構造 (コアシェル型）の何れの ものも使用できるが、本発明の第 2の態様に用いられる榭脂は、架橋剤を用いて内部 架橋されている榭脂である。

[0047] 一般にポリマー分散剤により着色剤を分散した分散体に添加剤としてのポリマーを 併用すると、分散剤であるポリマーと添加剤であるポリマーにおいて、着色剤に対し て吸脱着が起こり、分散安定性が崩れ、保存安定性が劣化するという問題がある。し かし、本発明の第 2の態様においては、着色剤が転相乳化法により水不溶性ポリマ 一で被覆されており、分散粒子として安定であることと、榭脂微粒子が内部架橋して いるため、強固な榭脂粒子として存在することと、乳化重合法で作られた榭脂粒子に は除去できな!/、微量の界面活性剤 (乳化重合の際に用いられる界面活性剤)が含ま れることにより、水不溶性ポリマーと榭脂粒子の吸脱着を阻害しているものと考えられ 、それによつて分散安定性が保たれると考えられる。

[0048] さらに本発明の第 2の態様に用いられる榭脂粒子は 40°C以下の温度で膜ィ匕しない ポリマーであることが好まし 、。本発明の第 2の態様における榭脂粒子の添力卩は榭脂 の膜ィ匕による定着性ゃ耐擦性の向上を目的としたものでなぐ微粒子を記録媒体表 面に残すことによって、表面のすべり性を改善し、擦れによる着色剤の剥がれやグロ スチェンジを防止することを目的としており、この 40°C以下で膜ィ匕しないポリマーを用 いることで、膜ィ匕するポリマーを用いた場合に比較し、目詰まり回復性などの信頼性 が格段に良好であるという利点がある。

[0049] 本発明の第 2の態様に用いられる榭脂粒子は、少なくとも不飽和単量体の乳化重 合によって得られた榭脂粒子のェマルジヨン（例えば、 V、わゆる「アクリルェマルジヨン 」）の形態でインク組成物中に配合されることが好ましい。その理由は、榭脂粒子のま まインク組成物中に添加しても該榭脂粒子の分散が不十分となる場合があるため、ィ ンクの製造上ェマルジヨンの形態が好ましいからである。

[0050] 榭脂粒子のェマルジヨン (アクリルェマルジヨン等）は、公知の乳化重合法により得 ることができる。例えば、不飽和単量体 (不飽和ビニルモノマー等）を重合開始剤、及 び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる

[0051] 不飽和単量体としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体 類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体 類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、ォレフィン単量体類、ジェ ン単量体類等が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアタリレート、ェチルァク リレート、イソプロピルアタリレート、 n—ブチノレアタリレート、イソブチルアタリレート、 n ーァミルアタリレート、イソアミルアタリレート、 n—へキシルアタリレート、 2—ェチルへ キシルアタリレート、ォクチルアタリレート、デシルアタリレート、ドデシルアタリレート、 ォクタデシルアタリレート、シクロへキシルアタリレート、フエ-ルアタリレート、ベンジル アタリレート、グリシジルアタリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタタリレート、 ェチルメタタリレート、イソプロピルメタタリレート、 n—ブチルメタタリレート、イソブチル メタタリレート、 n—アミルメタクリレー卜、イソアミルメタクリレー卜、 n—へキシルメタクリレ ート、 2—ェチルへキシルメタタリレート、ォクチルメタタリレート、デシルメタタリレート、 ドデシルメタタリレート、ォクタデシルメタタリレート、シクロへキシルメタタリレート、フエ -ルメタタリレート、ベンジルメタタリレート、グリシジルメタタリレート等のメタクリル酸ェ ステル類、及び酢酸ビュル等のビュルエステル類；アクリロニトリル、メタタリ口-トリル 等のビュルシアンィ匕合物類;塩ィ匕ビユリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類； スチレン、 aーメチノレスチレン、ビニノレトノレェン、 4—tーブチノレスチレン、クロノレスチレ ン、ビュルァ-ソール、ビュルナフタレン等の芳香族ビュル単量体類；エチレン、プロ ピレン等のォレフィン類；ブタジエン、クロ口プレン等のジェン類；ビュルエーテル、ビ 二ルケトン、ビュルピロリドン等のビュル単量体類；アクリル酸、メタクリル酸、ィタコン 酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類；アクリルアミド、メタクリルアミド 、 N, Ν'—ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類； 2—ヒドロキシェチルアタリレー ト、 2—ヒドロキシプロピルアタリレート、 2—ヒドロキシェチノレメタタリレート、 2—ヒドロキ シプロピルメタタリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独また は二種以上混合して使用することができる。

また、架橋剤としては、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体を使 用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例とし ては、ポリエチレングリコールジアタリレート、トリエチレングリコールジアタリレート、 1, 3—ブチレングリコールジアタリレート、 1, 4ーブチレングリコールジアタリレート、 1, 6 一へキサンジオールジアタリレート、ネオペンチルグリコールジアタリレート、 1, 9ーノ ナンジオールジアタリレート、ポリプロピレングリコールジアタリレート、 2, 2 '—ビス（4 —アタリロキシプロピロキシフエニル）プロパン、 2, 2 '—ビス（4—アタリロキシジェトキ シフエ-ル）プロパン等のジアタリレート化合物、トリメチロールプロパントリアタリレート 、トリメチロールェタントリアタリレート、テトラメチロールメタントリアタリレート等のトリア クリレートイ匕合物、ジトリメチロールテトラアタリレート、テトラメチロールメタンテトラァク リレート、ペンタエリスリトールテトラアタリレート等のテトラアタリレートイ匕合物、ジペンタ エリスリトールへキサアタリレート等のへキサアタリレート化合物、エチレングリコールジ メタタリレート、ジエチレングリコールジメタタリレート、トリエチレングリコールジメタタリ レート、ポリエチレングリコールジメタタリレート、 1, 3—ブチレングリコールジメタクリレ ート、 1, 4ーブチレングリコールジメタタリレート、 1, 6—へキサンジオールジメタクリレ ート、ネオペンチルグリコーノレジメタクリレート、ジプロピレングリコーノレジメタクリレート 、ポリプロピレングリコールジメタタリレート、ポリブチレングリコールジメタタリレート、 2 , 2 '—ビス（4ーメタクリロキシジエトキシフエ-ル）プロパン等のジメタタリレート化合物 、トリメチロールプロパントリメタタリレート、トリメチロールェタントリメタクリレート等のトリ メタクリレートイ匕合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビュルベンゼン等が挙げられ、こ れらを単独または二種以上混合して使用することができる。 [0053] また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動 剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモ- ァ、無機アルカリの水酸ィ匕物、例えば、水酸ィ匕ナトリウムや水酸ィ匕カリウム等が好まし い。

[0054] 本発明の第 2の態様にぉ 、て、榭脂粒子は、インクのインクジェット適正物性値、信 頼性（目詰まりや吐出安定性等)、定着性や光沢性等をより有効に得る観点力も 0. 1 〜5重量％の範囲で本発明の第 2の態様のインク中に含有されることが好ましい。 一方、本発明の第 2の態様に使用される榭脂粒子の平均粒子径は、インク組成物 中における分散安定性、記録画像の光沢性を劣化させずに粒子によって記録媒体 表面のすべり性を上げることで耐擦性を向上させる作用を得るためには、その平均 粒子径が 20〜80nmであることが好ましい。尚、これらの平均粒子径は、 Microtrac

UPA150 (マイクロトラック社製)や粒度分布測定機 LPA3100 (大塚電子 (株)製） 等の粒径測定によって得ることができる。

[0055] [水溶性有機化合物]

本発明の第 1の態様に基づくインク組成物および第 2の態様に基づくインク組成物 (以下、単に「本発明のインク組成物」あるいは「インク組成物」と称する）は、インクジ ット記録方法に好適なインク組成物であり、水と水溶性有機化合物を含有する。水 は主溶媒であり、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超 純水を用いることが好ましい。特に紫外線照射または過酸ィ匕水素添加等により滅菌 処理した水を用いることが、カビゃバクテリアの発生を防止してインク組成物の長期 保存を可能にする点で好まし 、。

[0056] 上記水溶性有機化合物として、例えば、グリセリン、 1, 2, 6 へキサントリオール、 エチレングリコーノレ、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ ール、テトラエチレンダリコール、ペンタエチレンフリコール、ジプロピレングリコール、 2 ブテン一 1, 4ージオール、 2 ェチルー 1, 3 へキサンジオール、 2—メチルー 2, 4 ペンタンジオール、 1, 2 オクタンジオール、 1, 2 へキサンジオール、 1, 2 ペンタンジオール、 4ーメチルー 1, 2 ペンタンジオール等の多価アルコール類、 トリメチローノレエタン、メチロールプロパン、グルコース、マンノース、フルクトース、リボ ース、キシロース、ァラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、 （ソルビット） 、マノレトース、セロビオース、ラタトース、スクロース、トレノヽロース、マノレトトリオース等 の糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、尿素類等のいわゆる固体湿潤剤、ェタノ ール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数 1〜4の アルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール モノェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモ ノメチノレエーテノレアセテート、ジエチレングリコーノレモノメチノレエーテル、ジエチレン グリコーノレモノエチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノ n プロピノレエーテノレ、 エチレングリコーノレモノ iso プロピノレエーテノレ、ジエチレングリコ一ノレモノ i_so— プロピノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノー _n—ブチノレエーテノレ、エチレングリコー ノレモノー tーブチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノー tーブチノレエーテノレ、 1ーメ チノレー 1ーメトキシブタノール、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテル、プロピレン グリコーノレモノェチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノー tーブチノレエーテノレ、プ ロピレングリコールモノ n プロピノレエーテノレ、プロピレングリコ一ノレモノ iso プ 口ピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール モノェチノレエーテル、ジプロピレングリコーノレモノー _n—プロピノレエ一テル、ジプロピ レングリコールモノ iso プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、 2—ピロリ ドン、 N—メチル 2 ピロリドン、 1, 3 ジメチルー 2—イミダゾリジノン、ホルムアミド 、ァセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、ァセチン、ジァセチン、ト リアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの 1種又は 2種以上を用いることができ、 これらの水溶性有機化合物は、インク組成物の適正な物性値 (粘度等)の確保、印刷 品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に 10〜50重量％含まれることが 好ましい。

さらに、本発明においては、水溶性有機化合物として、少なくとも多価アルコール類 と固体湿潤剤とグリコールのブチルエーテル類とを併用することで、印刷品質、吐出 安定性、 目詰まり回復性等の信頼性に優れるインク組成物を提供できる。これは、多 価アルコール類、固体湿潤剤が保水性 (保湿性)と普通紙等の記録メディアへのイン ク組成物の浸透性の制御に好適であり、グリコールのブチルエーテル類が吐出安定 性と記録メディアへのインク組成物の浸透性の制御に好適であり、これらを併用する ことで、さらに印刷品質、吐出安定性、 目詰まり回復性等の信頼性の高いインク組成 物を提供できる。

特に好ましい水溶性有機化合物として、多価アルコール類がグリセリン、ジエチレン グリコール、トリエチレングリコール、 1, 5—ペンタンジオール及び 1, 2—へキサンジ オール力も選択される 2種類以上の併用であり、固体湿潤剤がトリメチロールエタンま たはトリメチロールプロパンまたは尿素であり、ブチルダリコール類がジエチレングリコ ールモノブチルエーテル又はトリエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられ る。

[0057] [その他の添加剤]

さらに、インクの記録媒体への濡れ性を制御し、均一な光沢性を付与したり、記録媒 体への浸透性やインクジヱット記録方法における印字安定性を得るために表面張力 調整剤を含有することが好ましい。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール 系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。

アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール 420、 440、 465 、 485、 104、 STG (エアープロダクツ社製品）、オルフイン PD— 001、 SPC、 El 004 、 E1010 (日信化学工業 (株）製品）、ァセチレノール E00、 E40、 E100、 LH (川研 ファインケミカル (株)製品）等が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類とし ては、 BYK— 346、 347、 348、 UV3530 (ビックケミ一社製品）などが挙げられる。 これらは、インク組成物中に複数種用いてもよぐ表面張力 20〜40mNZmに調整さ れることが好ましぐインク中には 0. 1〜3. 0重量％含まれる。

[0058] さらに、本発明のインク組成物には、 pH調整剤を含有することが好ましい。

pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアル力 リ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールァミン、トリプロパノールァミン、ジェタノ ールァミン、モノエタノールァミン等のアミン類等を用いることが出来る力 好ましくは 、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールァミン、トリプロパノールァミン 力も選択される少なくとも 1種類の pH調整剤を含み、 pH6〜10に調整されることが好 ましい。 pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンタを構成する材料等に悪影響 を与えたり、目詰まり回復性が劣化する。

[0059] また、必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐'防カビ剤等を添 カロすることも出来る。

[0060] 本発明のインク組成物はペン等の筆記具類、スタンプ等に好適に使用することがで きるが、インクジェット記録用インクセットとしてさらに好適に使用できる。本発明にお いてインクジェット記録方式とは、インクを微細なノズルより液滴として吐出して、その 液滴を記録媒体に付着させる方式を意味する。具体的に以下に説明する。

[0061] 第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置 Vヽた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射さ せ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録 する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる 方式である。

[0062] 第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等 で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射し たインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情 報信号を偏向電極に与えて記録する。

[0063] 第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情 報信号を同時に加え、インク滴を噴射 ·記録させる方式である。

[0064] 第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式で あり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射- 記録させる方式である。

[0065] 以上の ヽずれの方式も本発明のインク組成物を用いたインクジェット記録方法に使 用することができる。

[0066] 本発明の記録物は、少なくとも上記インク組成物を用いて記録が行われたものであ る。この記録物は、本発明のインク組成物を用いることにより、発色に優れ、光沢感の ある記録物、さらには耐擦性が良好な記録物として提供される。 実施例

[0067] 以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例 に限定されるものではない。

[0068] [実施例 1 A〜5Aおよび比較例 1 A〜4A]

[着色剤分散液の調整]

水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤を分散粒子とする着色剤分散液 を下記の方法によって調整した。

[0069] (水不溶性ポリマー 1〜3の合成）

有機溶媒 (メチルェチルケトン） 20重量部、重合連鎖移動剤（2—メルカプトエタノ ール) 0. 03重量部、重合開始剤、表 1に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十 分に行った反応容器内に入れて 75°C攪拌下で重合し、モノマー成分 100重量部に 対してメチルェチルケトン 40重量部に溶解した 2, 2 ' ァゾビス（2, 4 ジメチルバレ 口-トリル 0. 9重量部を加え、 80°Cで 1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。

[0070] [表 1]

表 1

[0071] (着色剤分散液 1)

水不溶性ポリマー 1として得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた 5部をメ チルェチルケトン 15部に溶かし、水酸ィ匕ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和し た。さらに、 C. I.ビグメントイエロー 74を 15部加え、水をカ卩えながら分散機で混練し た。

得られた混練物にイオン交換水 100部をカ卩ぇ攪拌した後、減圧下、 60°Cでメチル ェチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が 20重量 %のイェロー顔料の水分散体を得た。

[0072] (着色剤分散液 2)

水不溶性ポリマー 2として得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた 6部をメ チルェチルケトン 45部に溶かし、水酸ィ匕ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和し た。さらに、 C. I.ビグメントバイオレット 19を 18部加え、水を加えながら分散機で混 練した。

得られた混練物にイオン交換水 120部をカ卩ぇ攪拌した後、減圧下、 60°Cでメチル ェチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が 20重量 %のマゼンタ顔料の水分散体を得た。

[0073] (着色剤分散液 3)

水不溶性ポリマー 3として得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた 8部をメ チルェチルケトン 15部に溶かし、水酸ィ匕ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和し た。さらに、 C. I.ビグメントブルー 15 :4を 12部加え、水をカ卩えながら分散機で混練 した。

得られた混練物にイオン交換水 100部をカ卩ぇ攪拌した後、減圧下、 60°Cでメチル ェチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が 20重量 %のシアン顔料の水分散体を得た。

[0074] [榭脂ェマルジヨンの調製]

榭脂ェマルジヨンを構成するポリマーは表 1に示すモノマーに代えて、表 2に示す モノマーを用い、前述の水不溶性ポリマー 1〜3の合成と同様の方法で調整すること ができる。

[表 2]

表 2

[0076] (榭脂エマノレジョン 1)

水不溶性ポリマー 4として得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた 5部をメ チルェチルケトン 15部に溶かし、水酸ィ匕ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和し た。この中和物にイオン交換水 100部をカ卩ぇ攪拌した後、減圧下、 60°Cでメチルェ チルケトンを除去し、さらに一部の水を除去して固形分濃度が 15重量％の榭脂エマ ノレジョン 1を得た。

[0077] (榭脂エマノレジョン 2)

水不溶性ポリマー 5として得られたポリマー溶液を榭脂ェマルジヨン 1と同様にして、 固形分濃度が 15重量％の榭脂ェマルジヨン 2を得た。

[0078] (榭脂エマノレジョン 3)

水不溶性ポリマー 6として得られたポリマー溶液を榭脂ェマルジヨン 1と同様にして、 固形分濃度が 15重量％の榭脂ェマルジヨン 3を得た。

[0079] [インクの調製]

表 3に示す割合で各成分を混合し、室温にて 2時間攪拌した後、孔径 5 mのメン ブランフィルタ一にて濾過して、各インクを調製した。ただし表 3中に示す添加量は全 て重量％濃度として表わされており、着色剤分散液の（ ）内の数字は着色剤の固形 分濃度が表わされている。またイオン交換水の「残量」とは、インク全量が 100部とな るようにィ才ン交換水をカロえることを意味する。

[0080] [表 3]

表 3

DEGmBE ； ジエチレングリコールモノブチルエーテル TEGmBE ； トリエチレングリコ一ルモノブチルェ一テル EDTA ； エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム

[0081] (試験 1)平均粒子径

粒度分布計 (マイクロトラック社製の UPA— 150)を用いて、各インク組成物を純水 で 1000倍希釈、希釈液の粒度分布を測定し、体積平均粒子径を求めた。

[0082] (試験 2)ブロンズ

各インク糸且成物について、インクジェットプリンタ PX— V600を用いて、 100%及び 50%Dutyのパッチパターンを作成し、 EPSON写真用紙く光沢〉、（商品名：セィ コーエプソン株式会社製）に 1440dpiの解像度で印刷を行い、蛍光灯 (F11光源）下 で、印刷物の角度を変えて目視で観察し、反射光の色相変化について以下の基準 に基づいて判定した。

A； V、ずれのパッチも反射光が白く、違和感のな 、色相が観察できる

B； V、ずれかのパッチでやや反射光に色が確認できる力 違和感のな 、色相が観察 できる

C；印刷物の反射光に色が確認でき、違和感がある。

[0083] (試験 3)光沢性

試験 2の印刷物につ 、て、光沢計 GM - 268 (コ-力ミノルタ社製）を用 V、て 20° 光沢 (G )を測定し、光沢度の平均値の結果から以下の基準に基づいて判定した。

20

なお、光沢性は印刷物の一般に鏡面光沢の指標として用いる 60° 光沢が高い値を 示しても見た目の光沢感と一致しないことがわかり、鋭利検討の結果、視野角 20° での光沢度が見た目の光沢感と一致してくることが判明したため、本発明においては 、視野角 20° の光沢を指標値とした。

A; 60≤G

20

B ;45≤G < 60

20

C ;G <45

20

[0084] (試験 4)定着性

試験 2の印刷物について、印刷後、記録物を 24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社 製のイェロー水性蛍光ペン ZEBRA PEN2 (登録商標）を用いて、印刷文字を筆圧 300gZl5mmで擦り、汚れの有無を目視で観察した。その結果を下記基準に基づ き判定した。

A;同一部分を 2回擦っても全く汚れが生じない。

B ; 1回の擦りまでは汚れが生じないが、 2回の擦りでは汚れが発生する。

C； 1回の擦りで汚れが発生する。

[0085] (試験 5)グロスチェンジ

試験 2の印刷物について、印刷後、記録物を約 2時間自然乾燥させた後、指で軽く 擦り、印刷面の光沢変化の有無を目視で観察した。その結果を下記基準に基づき判 し 7こ。

A；指で擦った跡が判別できず、光沢変化がな!、

B；指で擦った跡がやや判別できるが、光沢変化は殆どな!/、

C；指で擦った跡が判別できる

[0086] (試験 6)保存安定性

アルミパックにインクを 50g入れた状態で 70°Cの環境下に 1週間放置した。放置後 、異物（沈降物）の発生の有無について、また、異物の発生がないものについては、 更に物性 (粘度、表面張力、 pH、粒子径)の変化について、下記基準に基づき判定 した。

A；異物の発生がなぐ物性の変化もない。

B ;異物の発生はないが、物性が若干変化する。

C ;異物が発生するか、物性が著しく変化する。

[0087] (試験 7)吐出安定性

試験 2での印刷の際の印字開始力もインクエンドまでにインクのドット抜けや飛行曲 力 Sりが発生するか、また発生した場合に正常印刷への復帰動作として行うプリンタタリ 一-ングが何回必要であつたかを評価し、下記基準に基づき判定した。

A；発生しな 、かクリーニング 1回。

B ;クリーニング 2又は 4回。

C ;クリーニング 5回以上。

[0088] (試験 8)目詰まり回復性

インクジェットプリンタ PX— V600を用いて、各インクをヘッドに充填し、全ノズルより インクが吐出していることを確認した後、インクカートリッジがない状態で、かつホーム ポジション外の位置（ヘッドがプリンタに備えたキャップの位置力もずれており、ヘッド にキャップがされていない状態)で 40°Cの環境下に 1週間放置した。放置後に、再び 全ノズルよりインク組成物が吐出するまでに要したクリーニングの回数を調べ、下記 基準に基づき判定した。

A；クリーニング 1回。

B ;クリーニング 2〜5回。

C ;クリーニング 6回以上

以上の評価結果を表 4にまとめる。

[表 4]

表 4

[0090] 表 4から明らかなように、本発明のインク組成物によれば、種々の記録媒体、特に光 沢を有する記録媒体に対して優れた光沢感を有する画像を得ることが可能なインク 組成物であって、ブロンズ現象が少なぐ定着性やダロスチェンジ等の耐擦性も良好 である。また、保存安定性に優れ、吐出安定性や目詰まり回復性が良好で信頼性が 高ぐインクジェット記録方式に用いるのに好適なインクセットである。

[0091] [実施例 1B〜5Bおよび比較例 1B〜2B]

[着色剤分散液]

上記実施例で調整した着色剤分散液 1〜3を使用した。

[0092] [榭脂粒子の調製]

榭脂粒子を分散粒子とする榭脂分散液 (ェマルジヨン)を下記の方法によって調製 した。尚、膜ィ匕の有無は、約 25°Cの室内周囲温度の環境でアルミニウム板にエマル ジョンを薄く塗布し、 目視により判断した。また、粒子径は、 Microtrac UPA150 ( Microtrac社製）の粒度分布測定による平均粒子径の値である。

[0093] (榭脂粒子 1の製造法）

撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン 交換水 lOOOg及びラウリル硫酸ナトリウム 6. 5gを仕込み、撹拌下に窒素置換しなが ら 70°Cまで昇温した。内温を 70°Cに保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム 4gを添 加し、溶解後、予めイオン交換水 450g、ラウリル硫酸ナトリウム 2gにアクリルアミド 20 gにスチレン 550g、ブチルアタリレート 200g、及びメタクリル酸 30g、トリエチレングリ コールジアタリレート lgを撹拌ィ匕に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的 に 4時間かけて滴下した。滴下終了後、 3時間の熟成を行った。

得られた水性ェマルジヨンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを 添カ卩して固形分 37重量％、 pH8に調整した。

得られた水性ェマルジヨンは 40°Cの温度で膜ィ匕しな ヽこと確認し、榭脂粒子の平 均粒子径は 40nmであった。

[0094] (榭脂粒子 2の製造法）

撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン 交換水 800g及びラウリル硫酸ナトリウム lgを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら 75 °Cまで昇温した。内温を 75°Cに保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム 6gを添加し、 溶解後、予めイオン交換水 450g、ラウリル硫酸ナトリウム 2gにアクリルアミド 20gにメ チルメタクリレー卜 600g、ブチルアタリレー卜 215g、メタクリル酸 30g、卜リエチレングリ コールジアタリレート 5gを撹拌ィ匕に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的 に 5時間かけて滴下した。滴下終了後、 3時間の熟成を行った。得られた水性エマル ジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸ィ匕ナトリウム水溶液とを添加して固 形分 40重量％、 pH8に調整した。

得られた水性ェマルジヨンは 40°Cの温度で膜ィ匕しな ヽこと確認し、榭脂粒子の平 均粒子径は 60nmであった。

[0095] (榭脂粒子 3の製造法）

撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン 交換水 900g及びラウリル硫酸ナトリウム 3gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら 70 °Cまで昇温した。内温を 70°Cに保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム 4gを添加し、 溶解後、予めイオン交換水 450g、ラウリル硫酸ナトリウム 3gにアクリルアミド 20gにス チレン 300g、ブチルアタリレート 640g、メタクリル酸 30g、及びトリエチレングリコール ジアタリレート 5gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に 4時 間かけて滴下した。滴下終了後、 3時間の熟成を行った。得られた水性ェマルジヨン を常温まで冷却した後、イオン交換水と 5%水酸ィ匕ナトリウム水溶液を添加して固形 分 40重量％、 pH8に調整した。

得られた水性ェマルジヨンは 40°Cの室内周囲温度で膜ィ匕しな 、こと確認し、榭脂 粒子の平均粒子径は 90nmであった。

[0096] (榭脂粒子 4の製造法）

撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン 交換水 800g及びラウリル硫酸ナトリウム lgを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら 75 °Cまで昇温した。内温を 75°Cに保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム 6gを添加し、 溶解後、予めイオン交換水 450g、ラウリル硫酸ナトリウム 2gにアクリルアミド 20gにメ チルメタタリレート 600g、ブチルアタリレート 215g、及びメタクリル酸 30gを撹拌化に 加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に 5時間かけて滴下した。滴下終了 後、 3時間の熟成を行った。得られた水性ェマルジヨンを常温まで冷却した後、イオン 交換水と水酸ィ匕ナトリウム水溶液とを添加して固形分 40重量％、pH8に調整した。 得られた水性ェマルジヨンは 40°Cの温度で膜ィ匕しな 、こと確認し、榭脂粒子の平均 粒子径は 70nmであった。

[0097] [インクの調製]

表 5に示す割合で各成分を混合し、室温にて 2時間攪拌した後、孔径 5 mのメン ブランフィルタ一にて濾過して、各インクを調製した。ただし表 5中に示す添加量は全 て重量％濃度として表わされており、着色剤分散液の（ ）内の数字は着色剤の固形 分濃度が表わされている。またイオン交換水の「残量」とは、インク全量が 100部とな るようにィ才ン交換水をカロえることを意味する。

[0098] [表 5]

¾009 表 5

DEGmBE ； ジエチレングリコールモノブチルエーテル TEGmBE ； トリエチレングリコ一ルモノブ于ルェ一亍ル EDTA ； エチレンジァミン四 K酸ニナトリウム

表 6

星0 [0101] 表 6から明らかなように、本発明のインク組成物によれば、種々の記録媒体、特に光 沢を有する記録媒体に対して優れた光沢感を有する画像を得ることが可能なインク 組成物であって、ブロンズ現象が少なぐ定着性やダロスチェンジ等の耐擦性も良好 である。また、保存安定性に優れ、吐出安定性や目詰まり回復性が良好で信頼性が 高ぐインクジェット記録方式に用いるのに好適なインクセットである。

[0102] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。

本出願は、 2005年 3月 28日出願の日本特許出願 2005— 090808および 2005— 0908 09に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0103] 本発明は前述の実施の形態に限定される物でなぐ筆記具用インク、オフセット印 刷用インク等の用途にも適用できる。

Claims

請求の範囲

[1] 色材として水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤と添加剤として榭脂ェ マルジヨンを少なくとも含有するインク組成物であって、水不溶性ポリマーの重量平 均分子量力 ^s50000〜150000であり、樹月旨エマノレジョンは、該水不溶' 14ポジマーを 構成するモノマー成分と同種のモノマー成分力 なり、その分子量が該水不溶性ポリ マーに対して、 1. 5倍〜 4倍の重量平均分子量の榭脂からなることを特徴とするイン ク組成物。

[2] 前記着色剤が水に不溶な着色剤であることを特徴とする請求項 1に記載のインク組 成物。

[3] 前記水不溶性ポリマー及び榭脂ェマルジヨンを構成するポリマーが分岐型ポリマー であることを特徴とする請求項 1または 2に記載のインク組成物。

[4] 前記榭脂ェマルジヨンの平均粒子径が 20〜200nmであることを特徴とする請求項 1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。

[5] 前記着色剤が顔料であり、前記インク組成物がさらに水と水溶性有機化合物を含 み、インク組成物中の顔料粒子の平均粒子径が 50〜150nmの範囲にあることを特 徴とする請求項 1〜4いずれか一項に記載のインク組成物。

[6] 前記水溶性有機化合物が、少なくとも多価アルコール類と固体湿潤剤とダリコール のブチルエーテル類力 なることを特徴とする請求項 5に記載のインク組成物。

[7] 多価アルコール類がグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、 1, 5 ペンタンジオール及び 1 , 2 へキサンジオールから選択される 2種類以上からなり 、固体湿潤剤がトリメチロールェタンまたはトリメチロールプロパンまたは尿素であり、 ブチルダリコール類がジエチレングリコールモノブチルエーテル又はトリエチレングリ コールモノブチルエーテルであることを特徴とする請求項 6に記載のインク組成物。

[8] インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする請求項 1〜7のいずれか一項 に記載のインク組成物。

[9] 請求項 1〜8の ヽずれか一項に記載のインク組成物を記録媒体に付着させて印字 を行う工程からなる記録方法。

[10] さらに、インクの液滴を吐出する工程力 なり、該液滴を記録媒体に付着させて印 字を行うことを特徴とする請求項 9に記載の記録方法。

[11] 請求項 9または 10に記載の記録方法によって記録された記録物。

[12] 水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤と、榭脂粒子とを少なくとも含有す るインク組成物であって、水不溶性ポリマーは少なくとも重合性不飽和単量体と重合 開始剤を用いて溶液重合法により得られるポリマーであり、水不溶性ポリマーによつ て被覆されている着色剤は該水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させたのち少なく とも着色剤と水とを加えて混合し、有機溶媒を除去して水系に分散する転相乳化法 によって得られる色材であり、榭脂粒子は少なくとも架橋剤を用いて乳化重合法によ る重合によって得られるポリマーであることを特徴とするインク組成物。

[13] 前記着色剤が水に不溶な着色剤であることを特徴とする請求項 12に記載のインク 組成物。

[14] 前記水不溶性ポリマーが分岐型ポリマーであることを特徴とする請求項 12または 1 3に記載のインク組成物。

[15] 前記榭脂粒子が 40°C以下の温度で膜ィ匕しないポリマーからなることを特徴とする 請求項 12〜 14のいずれか一項に記載のインク組成物。

[16] 前記榭脂粒子の平均粒子径が 20〜80nmであることを特徴とする請求項 12〜15 の!、ずれか一項に記載のインク組成物。

[17] 前記着色剤が顔料であり、前記インク組成物がさらに水と水溶性有機化合物を含 み、インク組成物中の顔料粒子の平均粒子径が 50〜150nmの範囲にあることを特 徴とする請求項 12〜 16いずれか一項に記載のインク組成物。

[18] 前記水溶性有機化合物が、少なくとも多価アルコール類と固体湿潤剤とダリコール のブチルエーテル類力もなることを特徴とする請求項 17に記載のインク組成物。

[19] 多価アルコール類がグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、 1, 5 ペンタンジオール及び 1 , 2 へキサンジオールから選択される 2種類以上からなり 、固体湿潤剤がトリメチロールェタンまたはトリメチロールプロパンまたは尿素であり、 ブチルダリコール類がジエチレングリコールモノブチルエーテル又はトリエチレングリ コールモノブチルエーテルであることを特徴とする請求項 18に記載のインク組成物。

[20] インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする請求項 12〜19のいずれか一 項に記載のインク組成物。

[21] 請求項 12〜20のいずれか一項に記載のインク組成物を記録媒体に付着させて印 字を行う工程からなる記録方法。

[22] さらに、インクの液滴を吐出する工程力 なり、該液滴を記録媒体に付着させて印 字を行うことを特徴とする請求項 21に記載の記録方法。

[23] 請求項 21または 22に記載の記録方法によって記録された記録物。