硬化性組成物
技術分野
[0001] 本発明は、架橋性シリル基を少なくとも 1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法に より製造されたビニル系重合体 (1)、及び、疎水性微粉末シリカ(Π)又はアクリル酸ェ ステル系架橋ゴム状重合体にビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共 重合体 (III)を含有してなる透明な硬化性組成物に関する。
背景技術
[0002] 室温硬化性重合体は、硬化前は液状で硬化後はゴム状弾性体となり、接着剤、シ 一リング材、ガスケット等に使用される。代表的な室温硬化性シーリング材には、ウレ タン系、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系等のシーリング材が知ら れている。
[0003] シーリング材はガラス、金属、石材等の建築材料をはじめ種々の材料に対して用い られるが、ガラス等の透明材料の場合にはガラスを通して光がガラスとシーリング材の 界面に達するため、シーリング材の耐候性が小さいと劣化し、ガラスとシーリング材の 界面で剥離が発生する。このため、ガラス等の透明材料のシーリング材には耐候性 に優れるシリコーン系シーリング材が用いられている。しかしながら、シリコーン系シー リング材は内部よりシリコーンオイル等のシリコーンィ匕合物が染み出し、シーリング材 周辺を汚染するという問題がある。
[0004] 上記シリコーン系シーリング材に起因する問題を解決するため、シリコーン系シーリ ング材に代えて、変成シリコーン系シーリング材ゃ反応性ケィ素基を有するポリイソブ チレン系シーリング材等非シリコーン系のシーリング材を用いる方法が開示されてい る(特許文献 1参照)。特許文献 1には、反応性ケィ素基を有するポリイソブチレン系 シーリング材は、ガラス材料等透明材料のシーリング材として使用できることが記載さ れている。しかし、ポリイソブチレン系シーリング材は榭脂成分がほとんど水分を通さ な 、ために、 V、わゆる湿気硬化の 1液型シーリング材としての使用が難 、。
[0005] また変成シリコーン系シーリング材は、ウレタン系シーリング材に比べて耐候性は良
いものの長期の耐候性に耐えるには不十分である。変成シリコーン系シーリング材の 耐候性を向上させるために、架橋性シリル基を有する (メタ)アクリル系重合体を併用 する方法も開示されている (特許文献 2参照)が、透明材料に使用するには耐候性が 不十分である。
[0006] 室温硬化性組成物を、接着剤、シーリング材、ガスケット等の用途に用いるために は、主に補強の目的のために通常、炭酸カルシウムやタルク、クレー等が配合されて いる。し力 近年、意匠性の高い建築物が建設され、ガラスやアクリル板、高強度ポリ カーボネート等の透明性基材を用いる場合に、シーリング材にも透明性が求められる 場合がある。また近年、サイデイングボードを外壁に使用したサイデイング住宅が多く 建築されている力 サイデイングボードの色は多種に渡っている。サイデイングボード 間に用いられるシーリング材は目立たないものが使用され、サイデイングボードと同じ 色のシーリング材が用いられるのが好ましいが、ボードと同じ種類の数だけ生産、在 庫を抱えるのは好ましくない。半透明なシーリング材があれば、 1種類のシーリング材 で全ての色に適合でき、余分な在庫を保有する無駄を省くことが可能となる。また、 接着剤は通常基材の裏面に使用されるために透明性は要求されないが、接着剤が はみ出して外観を損なう場合があり、透明な接着剤は以前力も要望されていた。これ らの透明性を確保するためには、上記で示した炭酸カルシウムを主とするフイラ一は 不透明になってしまうため使用できず、適切なフィラーを選択する必要があった。シ 一リング材をガラス等の透明材料に使用すると、透明材料を通して入る光によってシ 一リング材と透明材料との界面が劣化し易ぐシーリング材は耐候性が極めて高いも のが必要である上に、シーリング材自体が透明な場合には、シーリング材の内部まで 光が通るため、更なる耐候性の高さが要求される。
[0007] 重合性不飽和結合を有するモノマー及び Z又はそのマクロモノマーと、反応性シリ コーンモノマー及び z又はそのマクロモノマーとが可溶する系を油溶性重合開始剤 によって重合させてなる共重合反応物において、温度 230°Cで、荷重 3. 92 X 105P aにおけるメルトフローレートが 2〜30gZlO分の範囲にあって、前記共重合反応物 の成形前後を通じて、吸光度測定法による光透過率が 90%以上であることを特徴と するシリコーンアクリル系ランダム共重合体が開示されている(特許文献 3参照)が、こ
の重合法では、シーリング材に要求される破断時の高 、伸びを発現することができな い。
[0008] 珪素原子含有官能基を有するアクリルポリマーを含むポリオキシプロピレン型変成 シリコーン榭脂と、その硬化剤と、疎水性微粉末シリカと、アミノ基を有するシランカツ プリング剤を含有する湿気硬化型接着剤組成物が開示されて!ヽる (特許文献 4参照) 力 透明性は優れているものの、硬化物の破断時の伸び、耐候性は不十分である。
[0009] 加水分解により架橋可能な反応性珪素基を有し、分子鎖が実質的に炭素数 1〜8 のアルキル基を有する (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と炭素数 10以 上の (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体と、加水分解 により架橋可能な反応性珪素基を有するォキシアルキレン重合体とからなる混合物 1 00重量部と、粒径 0. 01〜300 111の疎水性微粉末シリカ2〜300重量部とを配合 することを特徴とする湿気硬化型組成物が開示されて ヽる (特許文献 5参照)が、この 組成物も硬化物の伸び、耐候性は不十分である。
特許文献 1:特開平 10— 205013号公報
特許文献 2:特開昭 59— 122541号公報
特許文献 3 :特開 2002— 80548号公報
特許文献 4:特開 2000 - 38560号公報
特許文献 5:特開平 11― 302527号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明が解決しょうとする課題は、耐候性、接着性、強度、破断時の伸びに優れる 、透明な硬化性組成物及びシーリング材を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者らは、前記課題が、次の本発明によって解決されることを見いだした。
[1]架橋性シリル基を少なくとも 1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法により製造さ れたビュル系重合体 (I) 100重量部、及び、疎水性微粉末シリカ(Π) 1〜200重量部 を含有してなる硬化性組成物。
[2]架橋性シリル基を少なくとも 1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法により製造さ
れたビュル系重合体 (I) 100重量部、及び、アクリル酸エステル系架橋ゴム状重合体 にビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体 (III) 1〜200重量部 を含有してなる硬化性組成物。
[3]ビニル系重合体 (I)の分子量分布が 1. 8未満であることを特徴とする [1]又は [2 ]記載の硬化性組成物。
[4]ビュル系重合体 (I)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマ 一、芳香族ビュル系モノマー、フッ素含有ビュル系モノマー及びケィ素含有ビュル系 モノマー力もなる群力も選ばれる少なくとも 1つのモノマーを主として重合して製造さ れるものであることを特徴とする [1]〜 [3]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5]ビニル系重合体 (I)の主鎖力 (メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする [1 ]〜 [4]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[6]ビニル系重合体 (I)の主鎖が、アクリル系重合体であることを特徴とする [1]〜 [5 ]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[7]ビニル系重合体 (I)の主鎖が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とす る [6]に記載の硬化性組成物。
[8]ビニル系重合体 (I)の主鎖の製造法であるリビングラジカル重合法力 原子移動 ラジカル重合法であることを特徴とする [1]〜 [7]の 、ずれか一項に記載の硬化性組 成物。
[9]原子移動ラジカル重合法が、周期律表第 7族、 8族、 9族、 10族、又は 11族元素 を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる金属錯体を触媒とすることを特徴とする [8]に記載の硬化性組成物。
[10]触媒とする金属錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄を中心金属とする錯 体であることを特徴とする [9]に記載の硬化性組成物。
[11]触媒とする金属錯体が、銅の錯体であることを特徴とする [10]に記載の硬化性 組成物。
[12]ビニル系重合体 (I)の架橋性シリル基が、一般式(1)
- [SKR1) (Y) 0] -Si (R2) (Y) (1)
-b b 1 3-a a
{式中、
R
2は、同一又は異なって、それぞれ炭素数 1〜20のアルキル基、炭素数
6〜20のァリール基、炭素数 7〜20のァラルキル基、又は(R' ) SiO- (R'は炭素数
3
1〜20の 1価の炭化水素基を示し、 3個の R'は同一であってもよぐ異なっていてもよ V、)で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、 R1又は R2がそれぞれ 2個以上存在する とき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよい。 Yは水酸基又は加水分解性 基を示し、 Yが 2個以上存在するとき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよ い。 aは 0, 1, 2又は 3を示す。 bは 0, 1又は 2を示す。 1は 0〜19の整数を示す。ただ し、 a+lb≥lであることを満足するものとする。 }
で表されることを特徴とする [1]〜 [11]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[13]ビニル系重合体 (I)の架橋性シリル基が、主鎖末端にあることを特徴とする [1] 〜 [12]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[14]疎水性微粉末シリカ(Π)の粒径が 0. 02 μ m以下であることを特徴とする記載 の硬化性組成物。
[ 15]さらに、架橋性シリル基を少なくとも 1個有するポリオキシアルキレン系重合体 (I
V)を、ビュル系重合体 (1) 100重量部に対して 0. 1〜: L000重量部含有することを特 徴とする、 [ 1 ]〜 [ 14]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[16]架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体 (IV)を含有しな!、こと を特徴とする、 [1]〜 [14]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物。
[17]さらに、錫系硬化触媒 (V)を、ビニル系重合体 (1) 100重量部に対して 0. 1〜2
0重量部含有することを特徴とする、 [1]〜 [16]の ヽずれか一項に記載の硬化性組 成物。
[ 18] [ 1 ]〜 [ 17]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなる接着剤。
[ 19] [ 1 ]〜 [ 17]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなるシーリング 材。
[20] [1]〜 [17]の ヽずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなる液状ガスケ ッ卜。
[21 ] [ 1 ]〜 [ 17]の 、ずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなるコーティン グ材。
すなわち、本発明は、架橋性シリル基を少なくとも 1個有し、主鎖がリビングラジカル
重合法により製造されたビュル系重合体 (I)、及び、疎水性微粉末シリカ (Π)又はァ クリル酸エステル系架橋ゴム状重合体にビニル系単量体をグラフト重合して得られる グラフト共重合体 (ΠΙ)を含有してなる硬化性組成物に関するものである。
[0013] なお、本発明における「架橋性シリル基」とは、ケィ素原子に結合した水酸基又は 加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケィ素含有基 のことを言う。
発明の効果
[0014] 本発明の硬化性組成物は、室温において空気中の湿分と反応して硬化する 1液型 とすることが可能であり、硬化物の強度、破断時の伸び、耐候性、接着性が優れた、 透明な硬化性組成物である。また、当該硬化性組成物は、透明な接着剤、シーリン グ材等として好適に使用できる。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 以下に、本発明の硬化性組成物について詳述する。
< <主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビュル系重合体 (I) > >
<主鎖 >
本発明のビニル系重合体 (I)の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては、特に限 定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ )アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ェチル、(メタ)アクリル酸—n—プロピル、(メタ) アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸— n—ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、 (メタ)アクリル酸— t—ブチル、(メタ)アクリル酸— n—ペンチル、(メタ)アクリル酸— n キシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸—n プチル、(メタ )アクリル酸—n—ォクチル、(メタ)アクリル酸 2—ェチルへキシル、(メタ)アクリル酸 ノエル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フ ニル 、(メタ)アクリル酸トルィル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸— 2—メトキシ ェチル、(メタ)アクリル酸— 3—メトキシブチル、(メタ)アクリル酸— 2 ヒドロキシェチ ル、(メタ)アクリル酸— 2—ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)ァク リル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸 2—アミノエチル、 γ (メタクリロイルォキシプロピ ル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸
トリフルォロメチルメチル、(メタ)アクリル酸 2—トリフルォロメチルェチル、(メタ)アタリ ル酸 2—パーフルォロェチルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロェチルー 2— パーフルォロブチルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロェチル、(メタ)アタリ ル酸パーフルォロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルォロメチルメチル、(メタ)アタリ ル酸 2—パーフルォロメチル 2—パーフルォロェチルメチル、(メタ)アクリル酸 2— パーフルォ口へキシルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロデシルェチル、(メ タ)アクリル酸 2—パーフルォ口へキサデシルェチル等の(メタ)アクリル系モノマー;ス チレン、ビニノレトノレェン、 a—メチノレスチレン、クロノレスチレン、スチレンスノレホン酸及 びその塩等の芳香族ビュル系モノマー;パーフルォロエチレン、パーフルォロプロピ レン、フッ化ビ-リデン等のフッ素含有ビュル系モノマー;ビュルトリメトキシシラン、ビ -ルトリエトキシシラン等のケィ素含有ビュル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸
、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸の モノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、ェチル マレイミド、プロピノレマレイミド、ブチノレマレイミド、へキシノレマレイミド、ォクチノレマレイ ミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フエニルマレイミド、シクロへキシルマレ イミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタタリ口-トリル等のアクリロニトリル 系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビュル系モノマー;酢酸 ビュル、プロピオン酸ビュル、ピバリン酸ビュル、安息香酸ビュル、桂皮酸ビュル等 のビュルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等 の共役ジェン類;塩化ビュル、塩化ビ-リデン、塩化ァリル、ァリルアルコール等が挙 げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
[0016] ビュル系重合体(I)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー 、芳香族ビュル系モノマー、フッ素含有ビュル系モノマー及びケィ素含有ビュル系モ ノマーカ なる群より選ばれる少なくとも 1つのモノマーを主として重合して製造される ものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビュル系重合体 (I)を構成するモノ マー単位のうち 50モル0 /0以上、好ましくは 70モル0 /0以上力 上記モノマーであること を意味する。
[0017] なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び (メタ)アクリル酸系モノマ
一が好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステル モノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、 アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマ 一と共重合、更にはブロック共重合させても構わなぐその際は、これらの好ましいモ ノマーが重量比で 40重量%以上含まれて 、ることが好まし、。なお上記表現形式で 例えば (メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び Z又はメタクリル酸を表す。
[0018] なお、限定はされないが、ゴム弾性を要求する用途には、当該ビニル系重合体 (I) のガラス転移温度が室温な 、しは使用温度よりも低 、ことが好ま 、。
[0019] 本発明におけるビュル系重合体 (I)の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーショ ンクロマトグラフィー (GPC)で測定した重量平均分子量 (Mw)と数平均分子量 (Mn )との比(MwZMn)は、特に限定されないが、好ましくは 1. 8未満であり、より好まし くは 1. 6以下であり、特に好ましくは 1. 3以下である。本発明での GPC測定において は、通常、移動相としてクロ口ホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにておこ な 、、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
[0020] 本発明におけるビニル系重合体 (I)の数平均分子量は特に制限はな!/、が、ゲルパ 一ミエーシヨンクロマトグラフィーで測定した場合、 500〜1, 000, 000の範囲が好ま しく、 5, 000〜50, 000力さらに好まし!/ヽ。
<主鎖の合成法 >
本発明における、ビュル系重合体 (I)の合成法は、制御ラジカル重合の中でもリビ ングラジカル重合に限定される力 原子移動ラジカル重合が好ましい。以下にこれら について説明する。
制御ラジカル
ラジカル重合法は、重合開始剤としてァゾ系化合物、過酸ィ匕物等を用いて、特定の 官能基を有するモノマーとビュル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカ ル重合法 (フリーラジカル重合法) Jと、末端等の制御された位置に特定の官能基を 導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
[0021] 「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を 有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されな!、ので、官能化率の高 、重
合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量 使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点 がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体し か得られな 、と 、う問題点もある。
[0022] 「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合 をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤 法」と、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することによりほぼ設計どおり の分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
[0023] 「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に 対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて 経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル 重合であるため分子量分布が広ぐ粘度の高 、重合体し力得られな 、と 、う問題点 もめる。
[0024] これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高ぐラジカ ル同士のカップリング等による停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラ ジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくぐ分子量分布の狭い (MwZMnが 1. 1〜1. 5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって 分子量は自由にコントロールすることができる。
[0025] 従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低 、重合体を得る ことができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導 入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法と してはより好まし!/ヽものである。
[0026] なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が 生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化さ れたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明に おける定義も後者である。
[0027] 「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされて!/ヽる。
その例としては、例えばジャーナル'ォブ'アメリカン'ケミカルソサエティ一 (J. Am. C
hem. Soc. ) , 1994年、 116卷、 7943頁【こ示されるようなコノ ノレトポノレフイリン錯体 を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)ゝ 1994年、 27卷、 7228頁 に示されるような-トロキシド化合物等のラジカルキヤッビング剤を用いるもの、有機 ノ、ロゲンィ匕物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(
Atom Transfer Radical Polymerization :ATRP)等が挙げられる。
[0028] 「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物ある 、はハロゲン化スルホ -ル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビュル系モノマーを重合する「 原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官 能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自 由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさ らに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えば Matyjaszewskiら、ジャ 一ナル'ォブ'アメリカン'ケミカルソサエティ一 (J. Am. Chem. Soc. ) 1995年、 11 7卷、 5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules 995年、 28卷、 7901頁 ,サイエンス(Science) 1996年、 272卷、 866頁、 WO96Z30421号公報, W097 Z18247号公報、 WO98Z01480号公報, WO98Z40415号公報、あるいは Sa wamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules) 1995年、 28卷、 1721頁、特 開平 9— 208616号公報、特開平 8—41117号公報等が挙げられる。
[0029] 本発明において、これらのリビングラジカル重合のうちどの方法を使用するかは特 に制約はな 、が、原子移動ラジカル重合法が好まし 、。
[0030] 以下にリビングラジカル重合について詳細に説明していくが、その前に、後に説明 するビニル系重合体の製造に用いることができる制御ラジカル重合のうちの一つ、連 鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤 (テロマー)を用いたラジカル 重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビュル系重 合体を得る方法としては、次の 2つの方法が例示される。
[0031] 特開平 4— 132706号公報に示されているようなハロゲンィ匕炭化水素を連鎖移動 剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭 61— 271306号公報、 特許 2594402号公報、特開昭 54— 47782号公報に示されているような水酸基含 有メルカブタンある!/、は水酸基含有ポリスルフイド等を連鎖移動剤として用いて水酸
基末端の重合体を得る方法である。
[0032] 以下に、リビングラジカル重合について説明する。
[0033] そのうち、まず、ニトロキシド化合物等のラジカルキヤッビング剤を用いる方法につい て説明する。この重合では一般に安定な-トロキシフリーラジカル(=Ν— 0 ·)をラジ カルキャッビング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、 2 , 2, 6, 6 置換一 1—ピベリジ-ルォキシラジカルや 2, 2, 5, 5 置換一 1—ピペリ ジニルォキシラジカル等、環状ヒドロキシァミンからの-トロキシフリーラジカルが好ま L 、。置換基としてはメチル基やェチル基等の炭素数 4以下のアルキル基が適当で ある。具体的な-トロキシフリーラジカルィ匕合物としては、限定はされないが、 2, 2, 6 , 6—テトラメチルー 1ーピペリジニルォキシラジカル (TEMPO)、 2, 2, 6, 6—テトラ ェチルー 1ーピペリジニルォキシラジカル、 2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4 ォキソ 1 ーピペリジニルォキシラジカル、 2, 2, 5, 5—テトラメチルー 1 ピロリジニルォキシラ ジカル、 1, 1, 3, 3—テトラメチル一 2—イソインドリニルォキシラジカル、 N, N—ジ一 tーブチルァミンォキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに 、ガルピノキシル (galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても 構わない。
[0034] 上記ラジカルキヤッビング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキヤッビング 剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重 合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジ カルキャッビング剤 1モルに対し、ラジカル開始剤 0. 1〜10モルが適当である。
[0035] ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができる力 重合温度条件 下で、ラジカルを発生しうるパーォキシドが好ましい。このパーォキシドとしては、限定 はされないが、ベンゾィルパーォキシド、ラウロイルバーオキシド等のジァシルバーォ キシド類、ジクミルパーォキシド、ジー t ブチルパーォキシド等のジアルキルバーオ キシド類、ジイソプロピルパーォキシジカーボネート、ビス(4—tーブチルシクロへキ シル)パーォキシジカーボネート等のパーォキシカーボネート類、 t ブチルバーオ キシォタトエート、 t ブチルパーォキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等 がある。特にベンゾィルパーォキシドが好ましい。さらに、パーォキシドの代わりにァ
ゾビスイソプチ口-トリルのようなラジカル発生性ァゾィ匕合物等のラジカル発生剤も使 用しうる。
[0036] Macromolecules 1995, 28, 2993で報告されているように、ラジカルキヤッピン グ剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下式のようなアルコキシアミンィ匕合物を開 始剤として用いても構わな 、。
[0037] [化 1]
[0038] アルコキシアミンィ匕合物を開始剤として用いる場合、それが上式で示されているよう な水酸基等の官能基を有するものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得ら れる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
[0039] 上記の-トロキシドィ匕合物等のラジカルキヤッビング剤を用いる重合で用いられるモ ノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動 ラジカル重合につ ヽて用いるものと同様で構わな 、。
ラジカル
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ま 、原子移動ラジカル重合法に ついて説明する。
[0040] この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲンィ匕物、特に反応性の高い炭素ーハ ロゲン結合を有する有機ハロゲンィ匕物(例えば、 α位にハロゲンを有するカルボニル 化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル 化合物等が開始剤として用いられる。
[0041] 具体的に例示するならば、
C H— CH X、 C H -C (H) (X) CH、 C H— C (X) (CH )
6 5 2 6 5 3 6 5 3 2
(ただし、上の化学式中、 C Hはフエニル基、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
6 5
R3-C (H) (X) -CO R4、 R3-C (CH ) (X)— CO R4、 R3— C (H) (X)—C (0)R4、
2 3 2
R3-C (CH ) (X)— C (0)R4、
3
(式中、 R3、 R4は水素原子又は炭素数 1〜20のアルキル基、ァリール基、又はァラル キル基、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
R3— C H -SO X
6 4 2
(上記の各式において、 R3は水素原子又は炭素数 1〜20のアルキル基、ァリール基 、又はァラルキル基、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
等が挙げられる。
[0042] 原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有 する有機ハロゲンィ匕物又はハロゲン化スルホ二ルイ匕合物を用いることもできる。このよ うな場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合 の生長末端構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、 ァルケ-ル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が 挙げられる。
[0043] アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(2) に示す構造を有するものが例示される。
R 7C (X)— R8— R9— C (R5) = CH (2)
2
(式中、 R5は水素、又はメチル基、 R6、 R7は水素、又は、炭素数 1〜20の 1価のアル キル基、ァリール基、又はァラルキル、又は他端において相互に連結したもの、 R8は 、—C (O) O— (エステル基)、— C (O)— (ケト基)、又は o—, m—, p—フ -レン基 、 R9は直接結合、又は炭素数 1〜20の 2価の有機基で 1個以上のエーテル結合を含 んでいても良い、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
置換基 R6、 R7の具体例としては、水素、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、イソプ 口ピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられる。 R6と R7は他端におい て連結して環状骨格を形成して 、てもよ 、。
[0044] 一般式(2)で示される、ァルケ-ル基を有する有機ハロゲンィ匕物の具体例としては 、 XCH C(0)0(CH ) CH = CH、 H CC(H) (X)C(0)0(CH ) CH = CH、 (H
2 2 n 2 3 2 n 2 :
C) C(X)C(0)0(CH ) CH = CH、
2 2 n 2
CH CH C(H) (X)C(0)0(CH ) CH = CH、
3 2 2 n 2
[0045] [化 2]
[0046] (上記の各式にぉ 、て、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数)
XCH C (O) O (CH ) O (CH ) CH = CH , H CC (H) (X) C (O) O (CH ) O (CH
2 2 n 2 m 2 3 2 n 2
) CH = CH、 (H C) C(X)C(0)0(CH ) 0(CH ) CH = CH、 CH CH C(H) ( m 2 3 2 2 n 2 m 2 3 2
X)C(0)0(CH ) 0(CH ) CH = CH、
2 n 2 m 2
[0047] [化 3]
[0048] (上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数、 mは 1〜20 の整数)
o, m, p-XCH— C H— (CH ) — CH = CH、 o, m, p— CH C(H) (X)— C H
2 6 4 2 n 2 3 6 4 (CH ) CH = CH、 o, m, p— CH CH C(H) (X)— C H— (CH ) CH = C
2 n 2 3 2 6 4 2 n
H、
2
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数)
o, m, p-XCH C H— (CH ) —O (CH ) —CH = CH、 o, m, p— CH C(
2 6 4 2 n 2 m 2 3
H) (X)— C H— (CH ) —O (CH ) -CH = CH、 o, m, p— CH CH C(H) (X
6 4 2 n 2 m 2 3 2
)-CH - (CH ) -O- (CH ) CH = CH、
6 4 2 n 2 m 2
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数、 mは 1〜20 の整数)
o, m, p-XCH -C H—O— (CH ) —CH = CHゝ o, m, p— CH C(H) (X)—C
2 6 4 2 n 2 3
H O— (CH ) CH = CH、 o, m, p— CH CH C(H) (X)— C H O— (CH
6 4 2 n 2 3 2 6 4 2
) -CH=CH、
n 2
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数)
o, m, p-XCH -C H—O— (CH ) —O— (CH ) —CH = CH、 o, m, p— CH
2 6 4 2 n 2 m 2 3
C(H) (X)-CH -O-(CH) -O-(CH) —CH = CH、 o, m, p— CH CH C
6 4 2 n 2 m 2 3 2
(H) (X)-CH -O-(CH) -O-(CH) —CH = CH、
6 4 2 n 2 m 2
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数、 mは 1〜20 の整数)
ァルケ-ル基を有する有機ハロゲンィ匕物としてはさらに一般式(3)で示される化合 物が挙げられる。
H C = C(R5) -R9-C(R6) (X) -R10-R7 (3)
2
(式中、 R5、 R6、 R7、 R9、 Xは上記に同じ、 R1Qは、直接結合、 C(0)0— (エステル 基)、 C(O) (ケト基)、又は、o—, m—, P フ -レン基を表す)
R9は直接結合、又は炭素数 1〜20の 2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含ん でいても良い)である力 直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビ -ル基が結合しており、ハロゲン化ァリルイ匕物である。この場合は、隣接ビュル基によ つて炭素一ハロゲン結合が活性ィ匕されているので、 R1Qとして C (O)O基やフエ-レン 基等を有する必要は必ずしもなぐ直接結合であってもよい。 R9が直接結合でない場 合は、炭素—ハロゲン結合を活性ィ匕するために、 R1Qとしては C(0)0基、 C(O)基、 フエ-レン基が好ましい。
一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、
CH =CHCH X、 CH =C(CH )CHX、 CH =CHC(H) (X)CH、 CH =C(C
2 2 2 3 2 2 3 2
H )C(H) (X)CH、 CH =CHC(X) (CH ) 、 CH =CHC(H) (X)C H、 CH =C
3 3 2 3 2 2 2 5 2
HC(H) (X)CH(CH ) 、 CH =CHC(H) (X)C H、 CH =CHC(H) (X)CH C
H、 CH =CHCH C(H) (X)— CO R 、 CH =CH(CH ) C(H) (X)— CO R 、
5 2 2 2 2 2 2 2
CH =CH(CH ) C(H) (X) -CO RU、 CH =CH(CH ) C(H) (X)— CO RU、 C
2 2 3 2 2 2 8 2
H =CHCH C(H) (X)— C H、 CH =CH(CH ) C(H) (X)— C H、 CH =CH(
2 2 6 5 2 2 2 6 5 2
CH) C(H) (X)— CH、
2 3 6 5
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 R11は炭素数 1〜20のアルキル 基、ァリール基、ァラルキル基)
等を挙げることができる。
[0050] アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、 o—, m-, p-CH =CH- (CH ) —C H—SO X、 o—, m—, p— CH =CH— (
2 2 n 6 4 2 2
CH ) O— CH -SOX,
2 n 6 4 2
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 nは 0〜20の整数)
等である。
[0051] 上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一 般式 (4)に示す構造を有するものが例示される。
R 7C(X)— R8— R9— C(H)(R5)CH— [S R1) (Y) O]— Si(R2) (Y) (4)
2 2-b b 1 3-a a
(式中、 R
5、
R
9、 Xは上記に同じ。 R
2は、同一又は異なって、それぞ れ炭素数 1〜20のアルキル基、炭素数 6〜20のァリール基、炭素数 7〜20のァラル キル基、又は (R') SiO—(R'は炭素数 1〜20の 1価の炭化水素基を示し、 3個の R
3
,は同一であってもよぐ異なっていてもよい)で表されるトリオルガノシロキシ基を示し 、 R1又は R2がそれぞれ 2個以上存在するとき、それらは同一であってもよぐ異なって いてもよい。 Yは水酸基又は加水分解性基を示し、 Yが 2個以上存在するとき、それ らは同一であってもよぐ異なっていてもよい。 aは 0, 1, 2又は 3を示す。 bは 0, 1又 は 2を示す。 1は 0〜19の整数を示す。ただし、 a+lb≥lであることを満足するものと する。)
一般式 (4)の化合物を具体的に例示するならば、
XCH C(0)0(CH ) Si (OCH ) 、 CH C(H) (X)C(0)0(CH ) Si (OCH ) 、 (C
2 2 n 3 3 3 2 n 3 3
H ) C(X)C(0)0(CH ) Si (OCH )、 XCH C (O) O (CH ) Si(CH ) (OCH )、
3 2 2 n 3 3 2 2 n 3 3 2
CH C(H) (X)C(0)0(CH ) Si(CH ) (OCH )、 (CH ) C(X)C(0)0(CH ) Si
3 2 n 3 3 2 3 2 2 n
( ( ( ) ,CHoCH SiOCH I ll
P,,()() ()() () OCHoCH SiOCH o mCH CH CHXc HoI llI l l
P,,()()()() () HoCHoCHsiOCH o mCH CHXc H ll ll II l I
P,,()()()()CHCHCHXCHoCHsiOCH o mXCHc II ll II l
P p,,,,()() ()() () siOCHo mCHCHXCHoCH SiOCH o mII ll
P,, ( ( ( ) ( ) CHCHoCH SiOCH o mXCHc HoCHI llI l ll
P,, ) () ( ( ( )() ()Xc HCHoCH SiOCH o mCH CH CHX l I llI I
P P,,,, ( ((( o mXCHc HCHoCH siOCH o mCH CHI l I llI
P,, ( ( )() () ( ( ) ,CH SiOCH o mCH CH CHXc HCH SiOCHI l I
P P,,,, ( (() () o mXCHCHCH SiOCH o mCHCHXCHI I III I
P,, ( ( )() () ( ( ) ,CH SiOCH o mCH CH CHXc HCH SiOCHI l I
P P,,,, ( (() () o mXCHCHCH SiOCH o mCHCHXCHI I III I
()()()()() ,OOCH oCHsiCHOCH l
)()()(( ( ) ( )() () H c cxcooCH oCHsiCHOCH CH CH CHxc—
) ( ) ,() ()()((( ) ( ) , ( CHOCH H CCHxcooCH oCHsiCHOCH l
) ()()(( )()()()()( HxcooCH oCH siOCHXCHCooCH oCH si
)() , ()()()(()()( siOCHHe cxcooCH oCH siOCHCHCHC
() ( ) ( ( () () () ( ( XCH Co OCH OCH SiOCH H CCHX Co OCH OCH
( ) ( ) ,CHOCH
(式中、 R
5、 R
6、
a、 b、 1、 X、 Yは上記に同じ。ただし、 a+lb≥l であることを満足するものとする。 )
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH O) SiCH CH C (H) (X) C H、 (CH O) (CH ) SiCH CH C (H) (X) C H
3 3 2 2 6 5 3 2 3 2 2 6 5
、 (CH O) Si(CH ) C(H) (X) - CO Ru、 (CH O) (CH )Si(CH ) C(H) (X) -
3 3 2 2 2 3 2 3 2 2
CO Ru、 (CH O) Si(CH ) C(H) (X)— CO Ru、 (CH O) (CH )Si(CH ) C(H
2 3 3 2 3 2 3 2 3 2 3
) (X) -CO Ru、 (CH O) Si(CH ) C(H) (X)— CO Ru、 (CH O) (CH )Si(CH
2 3 3 2 4 2 3 2 3 2
) C(H) (X) -CO Ru、 (CH O) Si(CH ) C(H) (X)— CO Ru、 (CH O) (CH )
4 2 3 3 2 9 2 3 2 3
Si(CH ) C(H) (X) -CO Ru、 (CH O) Si(CH ) C(H) (X) - C H、 (CH O) (
2 9 2 3 3 2 3 6 5 3 2
CH )Si(CH ) C(H) (X)— C H、 (CH O) Si(CH ) C(H) (X)— C H、 (CH O
3 2 3 6 5 3 3 2 4 6 5 3
) (CH)Si(CH) C(H) (X)-CH
2 3 2 4 6 5
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 R11は炭素数 1〜20のアルキル 基、ァリール基、ァラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホ-ル化合物と しては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO (CH ) - OC (O) C (H) (R3) (X)
2 m
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 R3は水素原子又は炭素数 1〜
20のアルキル基、ァリール基、ァラルキル基、 mは 1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲンィ匕物、又はハロゲン化スルホ二ルイ匕合物としては特 に限定されず、下記のようなものが例示される。
H N - (CH ) OC (O) C (H) (R3) (X)
2 2 m
(上記の各式において、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 R3は水素原子又は炭素数 1〜 20のアルキル基、ァリール基、ァラルキル基、 mは 1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホ-ル化合物として は特に限定されず、下記のようなものが例示される。
[0054] [化 4]
[0055] (上記の各式にぉ 、て、 Xは塩素、臭素、又はヨウ素、 R3は水素原子又は炭素数 1〜 20のアルキル基、ァリール基、ァラルキル基、 mは 1〜20の整数)
成長末端構造を 1分子内に 2つ以上有する重合体を得るためには、 2つ以上の開 始点を持つ有機ハロゲンィ匕物、又はハロゲンィ匕スルホニルイ匕合物を開始剤として用 レ、るのが好ましレ、。具体的に例示するならば、
5] o,m,p-X-CH2-C6H4-CH2-X
(式中、 C6H4はフエ二レン基、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
(式中 R11は炭素数 1 ~ 2 0のアルキル基、 ァリール基、 またはァラ ルキル基、 nは 0 ~ 2 0の整数、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素) し h し H3
X-CH2-C-CH2-X X-CH-C— CH-X X— C—— C— C— X
II I II I I II I
0 CH3 O CH3 CH3 0 CH3
X-CH-(CH2)irCH-X
(式中、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0 ~ 2 0の整数)
[0057] [ィ匕 6]
II II
X— CH2-C— 0-(〇1~12)^0— C— CH
Ch CH,
II
X— CH— C一 O- (CH^O— C— CH— X
CH3 O o On CH3
I ii ii I
X— C—— C-0-(CH2)m O-C-C—— X
CH3 CH3
(式中、 mは 1 ~ 2 Oの整数、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
O
II II
o,m,p - X-CH2 -c-o- ■C6H4-0-C一 CH2_X
CH3 O O CH3
I II II
ο,πι,ρ— X— CH-C-O- -C6H4-0-C- CH— X
o'm,p- X— S02-C6H4-S02-X
(式中、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
[0058] 等が挙げられる。
[0059] この重合において用いられるビュル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示
したものをすベて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周 期律表第 7族、 8族、 9族、 10族、又は 11族元素を中心金属とする金属錯体である。 更に好ましいものとして、 0価の銅、 1価の銅、 2価のルテニウム、 2価の鉄又は 2価の ニッケルを中心金属とする錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。 1価の 銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シ アン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触 媒活性を高めるために 2, 2' —ビビリジル及びその誘導体、 1, 10—フエナント口リン 及びその誘導体、テトラメチルエチレンジァミン、ペンタメチルジェチレントリァミン、へ キサメチルトリス(2—アミノエチル)ァミン等のポリアミン等の配位子が添加される。好 ましい配位子は、含窒素化合物であり、より好ましい配位子は、キレート型含窒素化 合物であり、さらに好ましい配位子は、 N, N, Ν' , Ν", Ν"—ペンタメチルジェチレン トリアミンである。また、 2価の塩化ルテニウムのトリストリフエ-ルホスフィン錯体 (RuCl (PPh ) )も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活
2 3 3
性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、 2価の鉄のビストリフエ -ルホスフィン錯体(FeCl (PPh ) ) , 2価のニッケルのビストリフ -ルホスフィン錯
2 3 2
体(NiCl (PPh ) )、及び、 2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr (P
2 3 2 2
Bu ) )も、触媒として好適である。
3 2
[0060] 重合は無溶剤又は各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼ ン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテ ル系溶媒、塩化メチレン、クロ口ホルム等のハロゲンィ匕炭化水素系溶媒、アセトン、メ チルェチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール 、プロパノール、イソプロパノール、 n ブチルアルコール、 t ブチルアルコール等 のアルコール系溶媒、ァセトニトリル、プロピオ-トリル、ベンゾ-トリル等の-トリル系 溶媒、酢酸ェチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピ レンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独又は 2種以上を混合し て用いることができる。
[0061] また、限定はされないが、重合は 0°C〜200°Cの範囲で行うことができ、好ましくは 5
0〜150。Cである。
[0062] 本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も 含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒が ラジカルを発生させた時の高酸ィ匕状態、例えば、 Cu (I)を触媒として用いた時の Cu( Π' )に対し、過酸ィ匕物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原 子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999, 32, 2872参照)。
<官能基>
架橋件シリル某の数
ビニル系重合体 (I)は、少なくとも 1個の架橋性シリル基を有するものである。また、 組成物の硬化性及び硬化物の物性の観点から、架橋性シリル基の数は平均して、 好ましくは 1. 1個以上 4. 0以下、より好ましくは 1. 2個以上 3. 5以下である。
シリル の
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される 場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋 性シリル基の少なくとも 1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全 ての架橋性官能基を分子鎖末端に有するものである。
[0063] 上記架橋性シリル基を分子末端に少なくとも 1個有するビニル系重合体 (I)、中でも
(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平 3— 14068号公報、特公平 4— 5 5444号公報、特開平 6— 211922号公報等に開示されている。し力しながらこれら の方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる 重合体は、架橋性官能基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、 MwZ Mnで表される分子量分布の値が一般に 2以上と大きぐ粘度が高くなるという問題を 有している。
従って、分子量分布が狭ぐ粘度の低いピ ル系重合体であって、高い割合で分子 鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジ カル重合法」を用いることが好まし 、。
[0064] 以下にこれらの官能基について説明する。
シリル
本発明におけるビュル系重合体 (I)の架橋性シリル基としては、一般式(1); - [SKR1) (Y) 0] -Si (R2) (Y) (1)
-b b 1 3-a a
{式中、
R
2は、同一又は異なって、それぞれ炭素数 1〜20のアルキル基、炭素数 6〜20のァリール基、炭素数 7〜20のァラルキル基、又は(R' ) SiO- (R'は炭素数
3
1〜20の 1価の炭化水素基を示し、 3個の R'は同一であってもよぐ異なっていてもよ V、)で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、 R1又は R2がそれぞれ 2個以上存在する とき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよい。 Yは水酸基又は加水分解性 基を示し、 Yが 2個以上存在するとき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよ い。 aは 0, 1, 2又は 3を示す。 bは 0, 1又は 2を示す。 1は 0〜19の整数を示す。ただ し、 a+lb≥lであることを満足するものとする。 }
で表される基が挙げられる。
[0065] 加水分解性基としては、例えば、水素原子、アルコキシ基、ァシルォキシ基、ケトキ シメート基、アミノ基、アミド基、アミノォキシ基、メルカプト基、アルケニルォキシ基等 の一般に使用されている基が挙げられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、 アミノォキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、ァ ルコキシ基がとくに好まし 、。
[0066] 加水分解性基や水酸基は、 1個のケィ素原子に 1〜3個の範囲で結合することがで き、(a+∑b)は 1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル 基中に 2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。 架橋性シリル基を形成するケィ素原子は 1個以上であるが、シロキサン結合等により 連結されたケィ素原子の場合には、 20個以下であることが好ましい。とくに、一般式( 7)
-Si(R2) (Y) (7)
a a
(式中、
Yは前記と同じ。 aは 1, 2又は 3を示す。)で表される架橋性シリル基が、 入手が容易であるので好ま U、。
[0067] なお、特に限定はされないが、硬化性を考慮すると aは 2個以上が好ましい。また、 a 力 S3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)は 2個のもの(例えばジメトキシ官能基)よりも
硬化性が早いが、貯蔵安定性や力学物性 (伸び等)に関しては 2個のものの方が優 れている場合がある。硬化性と物性バランスをとるために、 2個のもの(例えばジメトキ シ官能基)と 3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)を併用してもよ!/、。
<シリル基導入法 >
以下に、本発明のビュル系重合体 (I)へのシリル基導入法について説明するが、こ れに限定されるものではな 、。
[0068] 架橋性シリル基を少なくとも 1個有するビニル系重合体 (I)の合成方法としては、
(A)アルケニル基を少なくとも 1個有するビニル系重合体に架橋性シリル基を有する ヒドロシランィ匕合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法、
(B)水酸基を少なくとも 1個有するビニル系重合体に一分子中に架橋性シリル基とィ ソシァネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させる方法、
(C)ラジカル重合によりビュル系重合体を合成する際に、 1分子中に重合性のアルケ ニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる方法、
(D)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、架橋性シリル基を有する連 鎖移動剤を用いる方法、
(E)反応性の高!、炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に、 1 分子中に架橋性シリル基と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法、 等が挙げられる。
[0069] (A)の方法で用いるァルケ-ル基を少なくとも 1個有するビュル系重合体は、種々 の方法で得られる。以下に合成方法を例示するが、これらに限定されるわけではない
(A— a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式( 8)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低 ヽァルケ-ル 基を併せ持つ化合物を第 2のモノマーとして反応させる方法。
H C = C (R")—R15—R16—C (R17) =CH (8)
2 2
(式中、 R"は水素又はメチル基を示し、 R15は— C (0) 0—、又は o—, m—, p フエ 二レン基を示し、 R16は直接結合、又は炭素数 1〜20の 2価の有機基を示し、 1個以 上のエーテル結合を含んでいてもよい。 R17は水素、又は炭素数 1〜20のアルキル
基、炭素数 6〜20のァリール基又は炭素数 7〜20のァラルキル基を示す) なお、一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低 ヽァルケ二ル基を併せ持つ 化合物を反応させる時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性 質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、 第 2のモノマーとして反応させるのが好まし 、。
(A-b)リビングラジカル重合によりビュル系重合体を合成する際に、重合反応の終 期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば 1, 5 へキサジェン、 1, 7—ォ クタジェン、 1, 9ーデカジエン等のような重合性の低いァルケ-ル基を少なくとも 2個 有する化合物を反応させる方法。
(A— c)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に 、例えばァリルトリブチル錫、ァリルトリオクチル錫等の有機錫のようなアルケニル基を 有する各種の有機金属化合物を反応させてハロゲンを置換する方法。
(A-d)反応性の高!、炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に 、一般式(9)に挙げられるようなァルケ-ル基を有する安定ィ匕カルバ-オンを反応さ せてハロゲンを置換する方法。
M+C— (R18) (R19)—R2°— C (R17) =CH (9)
2
(式中、 R17は上記に同じ、 R18、 R19はともに力ルバ-オン Cを安定ィ匕する電子吸引基 である力 又は一方が前記電子吸引基で他方が水素又は炭素数 1〜10のアルキル 基、又はフエ二ル基を示す。 R2Qは直接結合、又は炭素数 1〜10の 2価の有機基を示 し、 1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。 M+はアルカリ金属イオン、又は 4 級アンモ-ゥムイオンを示す)
R18、R19の電子吸引基としては、—CO R、— C (0)R及び— CNの構造を有するもの
2
が特に好ましい。
(A— e)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に 、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートァニ オンを調製し、しかる後にハロゲンゃァセチル基のような脱離基を有するアルケニル 基含有化合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有するィ ソシァネートイ匕合物、アルケニル基を有する酸ハロゲン化物等の、ァルケ-ル基を有
する求電子化合物と反応させる方法。
(A— f)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に 、例えば一般式(10)あるいは(11)に示されるようなアルケニル基を有するォキシァ ユオンあるいはカルボキシレートァ-オンを反応させてハロゲンを置換する方法。 H C = C (R17)— R21— O— M+ (10)
2
(式中、 R"、 M+は上記に同じ。 R21は炭素数 1〜20の 2価の有機基で 1個以上のエー テル結合を含んで 、てもよ 、)
H C = C (R17) -R22-C (0) 0"M+ (11)
2
(式中、 R"、 M+は上記に同じ。 R22は直接結合、又は炭素数 1〜20の 2価の有機基 で 1個以上のエーテル結合を含んで!/、てもよ!/、)
等が挙げられる。
[0070] 上述の反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体 の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒と する原子移動ラジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
[0071] またアルケニル基を少なくとも 1個有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも 1 個有するビニル系重合体力 得ることも可能であり、以下に例示する方法が利用でき るがこれらに限定されるわけではない。
[0072] 水酸基を少なくとも 1個有するビニル系重合体の水酸基に、
(A-g)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用させ、塩ィ匕ァリルのようなァルケ-ル基 含有ハロゲン化物と反応させる方法、
(A—h)ァリルイソシァネート等のァルケ-ル基含有イソシァネートイ匕合物を反応させ る方法、
(A—i) (メタ)アクリル酸クロリドのようなァルケ-ル基含有酸ハロゲン化物をピリジン 等の塩基存在下に反応させる方法、
(A— j)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させる 方法、
等が挙げられる。
[0073] 本発明では (A— a)、(A—b)のようなァルケ-ル基を導入する方法にハロゲンが直
接関与しな 、場合には、リビングラジカル重合法を用いてビュル系重合体を合成す ることが好ましい。制御がより容易である点から (A— b)の方法がさらに好ましい。 反応性の高 、炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体のハロゲ ンを変換することによりァルケ-ル基を導入する場合は、反応性の高い炭素 ハロゲ ン結合を少なくとも 1個有する有機ハロゲンィ匕物、又はハロゲン化スルホ-ルイ匕合物 を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合すること (原 子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少 なくとも 1個有するビュル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点か ら (A—f)の方法がさらに好ま 、。
[0074] また、架橋性シリル基を有するヒドロシランィ匕合物としては特に制限はないが、代表 的なものを示すと、一般式(12)で示される化合物が例示される。
H— [S R1) (Y) O] -Si (R2) (Y) (12)
2-b b 1 3 - a a
{式中、
R
2は、同一又は異なって、それぞれ炭素数 1〜20のアルキル基、炭素数 6〜20のァリール基、炭素数 7〜20のァラルキル基、又は(R' ) SiO- (R'は炭素数
3
1〜20の 1価の炭化水素基を示し、 3個の R'は同一であってもよぐ異なっていてもよ V、)で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、 R1又は R2がそれぞれ 2個以上存在する とき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよい。 Yは水酸基又は加水分解性 基を示し、 Yが 2個以上存在するとき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよ い。 aは 0, 1, 2又は 3を示す。 bは 0, 1又は 2を示す。 1は 0〜19の整数を示す。ただ し、 a+lb≥lであることを満足するものとする。 }
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式(13)
H-Si(R2) (Y) (13)
3~a a
(式中、 R2、 Yは前記と同じ。 aは 1, 2又は 3を示す。 )
で示される架橋性基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
[0075] 上記の架橋性シリル基を有するヒドロシランィ匕合物をアルケニル基に付加させる際 には、遷移金属触媒が通常用いられる。遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、 アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金 酸、塩ィ匕白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金ーォレフイン錯体
、白金 (0)—ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外 の触媒の例としては、 RhCl (PPh ) , RhCl , RuCl , IrCl , FeCl , A1C1 , PdCl ·
3 3 3 3 3 3 3 2
H O, NiCl , TiCl等が挙げられる。
2 2 4
(B)及び (A— g)〜 (A— j)の方法で用いる水酸基を少なくとも 1個有するビニル系 重合体の製造方法は以下のような方法が例示されるが、これらの方法に限定されるも のではない。
(B— a)ラジカル重合によりビュル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式( 14)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合 物を第 2のモノマーとして反応させる方法。
H C = C (R14) -R15-R16-OH (14)
2
(式中、 R"、 R15、 R16は上記に同じ)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を反応させる 時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合に は重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第 2のモノマーとして 反応させるのが好ましい。
(B-b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終 期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば 10 ゥンデセノール、 5 へキ セノール、ァリルアルコールのようなァルケ-ルアルコールを反応させる方法。
(B— c)例えば特開平 5— 262808号公報に示される水酸基含有ポリスルフイドのよう な水酸基含有連鎖移動剤を多量に用いてビュル系モノマーをラジカル重合させる方 法。
(B— d)例えば特開平 6— 239912号公報、特開平 8— 283310号公報に示されるよ うな過酸ィ匕水素あるいは水酸基含有開始剤を用いてビュル系モノマーをラジカル重 合させる方法。
(B— e)例えば特開平 6— 116312号公報に示されるようなアルコ一ル類を過剰に用 V、てビュル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B—f)例えば特開平 4— 132706号公報等に示されるような方法で、反応性の高い 炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個に有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分
解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法
(B— g)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に 、一般式(15)に挙げられるような水酸基を有する安定化力ルバ-オンを反応させて ハロゲンを置換する方法。
M+C— (R18) (R19) -R2°-OH (15)
(式中、 R18、 R19、 R2°は上記に同じ)
R18、R19の電子吸引基としては、—CO R、— C (0)R及び— CNの構造を有するもの
2
が特に好ましい。
(B— h)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に
、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートァニ オンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(B— i)反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体に
、例えば一般式(16)あるいは(17)に示されるような水酸基を有するォキシァ-オン あるいはカルボキシレートァ-オンを反応させてハロゲンを置換する方法。
HO-R21-0"M+ (16)
(式中、 R21及び M+は前記に同じ)
HO— R22— C (0) 0— M+ (17)
(式中、 R22及び M+は前記に同じ)
(B-j)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終 期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第 2のモノマーとして、一分子中に重合 性の低いアルケニル基及び水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(18)に示される化合物等が 挙げられる。
H C = C (R14) -R21-OH (18)
2
(式中、 R14及び R21は上述したものと同様である。 )
上記一般式(18)に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易である ということ力ら、 10 ゥンデセノール、 5 へキセノール、ァリルアルコールのようなァ
ルケ-ルアルコールが好まし 、。
[0078] 本発明では (B— a)〜(B— e)及び (B— j)のような水酸基を導入する方法にハロゲ ンが直接関与しな 、場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系重合体を 合成することが好ましい。制御がより容易である点から (B— b)の方法がさらに好まし い。
反応性の高 、炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体のハロゲ ンを変換することにより水酸基を導入する場合は、有機ハロゲン化物、又はハロゲン ィ匕スルホニルイ匕合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジ カル重合すること (原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御 力 り容易である点から(B— i)の方法がさらに好ま U、。
[0079] また、一分子中に架橋性シリル基とイソシァネート基のような水酸基と反応し得る基 を有する化合物としては、例えば γ—イソシアナ一トプロピルトリメトキシシラン、 γ - イソシアナ一トプロピルメチルジメトキシシラン、 γ イソシアナ一トプロピルトリェトキ シシラン等が挙げられ、必要により一般に知られているウレタン化反応の触媒を使用 できる。
[0080] (C)の方法で用いる一分子中に重合性のァルケ-ル基と架橋性シリル基を併せ持 つ化合物としては、例えば γ—トリメトキシシリルプロピル (メタ)アタリレート、 γ—メチ ルジメトキシシリルプロピル (メタ)アタリレート等のような、下記一般式(19)で示すもの が挙げられる。
H C = C (R14) - R15 - R23 - [Si (R1) (Y) 0]—Si(R2) (Y) (19)
2 2-b b 1 3-a a
(式中、
R
2、 R
14、 R
15、 Y、 a、 b、 1は上記に同じ。 R
23は、直接結合、又は炭素数 1 〜20の 2価の有機基で 1個以上のエーテル結合を含んで!/、てもよ!/、。
ただし、 a + lb≥lであることを満足するものとする。 )
一分子中に重合性のァルケ-ル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させ る時期に特に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する 場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第 2のモノマー として反応させるのが好まし 、。
[0081] (D)の連鎖移動剤法で用いられる、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤としては 例えば特公平 3— 14068号公報、特公平 4— 55444号公報に示される、架橋性シリ ル基を有するメルカブタン、架橋性シリル基を有するヒドロシラン等が挙げられる。
[0082] (E)の方法で用いられる、上述の反応性の高い炭素 ハロゲン結合を少なくとも 1 個有するビニル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲンィ匕物等を開始剤と し、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるがこれらに限 定されるわけではない。
[0083] 一分子中に架橋性シリル基と安定ィ匕カルバ-オンを併せ持つ化合物としては、一 般式 (2で示すものが挙げられる。
M+C— (R18) (R19)— R24— C (H) (R25)— CH - [SKR1) (Y) O]— Si (R2) (Y)
2 2-b b 1 3-a a
(20)
(式中、
R
18、 R
19、 Y、 a、 b、 1、 M+は前記に同じ。 R
24は直接結合、又は炭素数 1〜10の 2価の有機基で 1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい、 R
25は水素、 炭素数 1〜10のアルキル基、炭素数 6〜10のァリール基又は炭素数 7〜10のァラル キル基を示す。ただし、 a+lb≥lであることを満足するものとする。 )
R18、R19の電子吸引基としては、—CO R、— C (0)R及び— CNの構造を有するもの
2
が特に好ましい。
< <疎水性微粉末シリカ (Π) > >
本発明における疎水性微粉末シリカ (Π)としては、例えば、ヒュームドシリカ (煙霧質 シリカ)等の微粉末シリカが挙げられる。
[0084] 微粉末シリカは、揮発性シラン化合物を原料とし、高温火炎加水分解法で製造され る球形の一次粒子からなる白色の高分散性のニ酸ィ匕ケィ素である。一次粒子は孤立 して存在しているわけではなぐ凝集粒子や集塊粒子を形成している。これら粒子の 表面にはシロキサン及びシラノール基が存在している。
[0085] 本発明における疎水性微粉末シリカとは、シラノール基と、シラン類及びシラザン類 等を反応させることによって化学的に表面処理したものである。例えば、ジメチルジク ロルシラン、へキサメチルジシラザン、ジメチルシロキサン、トリメトキシォクチルシラン 、ジメチルシリコーン等の有機ケィ素化合物で処理し、疎水性としたものが好ましい。
表面を疎水化することによって、水分吸着が少なくなり、リビングラジカル重合法によ つて製造されたビニル系重合体 (I)に分散しやすくなる効果がある。
[0086] 疎水性微粉末シリカ(Π)として、製品として流通しており入手し易いものの例として は、 日本ァエロジル (株)社製のァエロジル、富士シリシァ化学 (株)社製のサイロホー ビック等が挙げられる。
[0087] 疎水性微粉末シリカ(Π)の粒径は、特に制限されな!、が、なるべく小さ!/、ものが好 ましい。疎水性微粉末シリカ (Π)の粒径が可視光の波長よりも小さい場合には、当該 疎水性微粉末シリカ(Π)が本硬化性組成物中に分散して 、ても、透明に見えるため である。
[0088] 具体的には、比表面積 (BET吸着法による)力 好ましくは 50m2Zg以上、より好ま しくは 50〜400m2Zg、さらに好ましくは 100〜300m2Zg程度の超微粉末状のシリ 力が好ましい。なお、 BET吸着法とは、粉体粒子表面に吸着占有面積のわ力つた不 活性気体分子を液体窒素の温度で物理吸着させ、その量力 試料の比表面積を求 める方法である。
[0089] なお、比表面積を粒径に換算すると、およそ比表面積 50m2Zg = 20nm=0. 02 μ mである。よって、疎水性微粉末シリカ(Π)の粒径は、 0. 02 μ m以下であることが 好ましい。
[0090] 疎水性微粉末シリカ (Π)の配合量は、架橋性シリル基を有するビニル系重合体 (I) 100重量部に対して、 1〜200重量部が好ましぐ 3〜: LOO重量部が特に好ましい。 疎水性微粉末シリカ (Π)の配合量が 1重量部未満と少な!/、場合、硬化物の補強効果 及びチクソ性付与効果が発現しにくい傾向がある。一方、配合量が 200重量部より多 い場合には、硬化前の粘度が高ぐカートリッジ等力 押し出すのに強い力が必要に なり、作業性が低下する傾向がある。
< <アクリル酸エステル系架橋ゴム状重合体にビニル系単量体をグラフト重合して得 られるグラフト共重合体 (ΠΙ) > >
本発明の (ΠΙ)成分である、アクリル酸エステル系架橋ゴム状重合体にビニル系単 量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体は、ガラス転移温度が 0°C以下のゴ ム状重合体 [A]をコア層として含み、重合体 [B]をシェル層として含むコア—シェル
型のグラフト共重合体である(以下、グラフト共重合体 (ΠΙ)と略す)。
[0091] 前記グラフト共重合体 (III)のコア層を形成するゴム状重合体 [A]は、 1層のみの層 構造を有するものであってよぐもしくは 2層以上の多層構造を有するものであっても よい。同様にシェル層を形成する重合体 [B]も、 1層のみの層構造を有するものであ つてよぐもしくは 2層以上の多層構造を有するものであってよい。
[0092] 当該グラフト共重合体 (III)は、通常、前記ゴム状重合体 [A]と単量体混合物 (b)と をグラフト共重合させて得られるものであり、多くの場合、前記ゴム状重合体 [A]を固 形分として含むゴムラテックス [Α' ]存在下で、単量体混合物 (b)をグラフト共重合さ せて得られるものである。
[0093] なお、単量体混合物 (b)は、グラフト共重合の結果として重合体 [B]を与える。
前記ゴム状重合体 [A]は、ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルの単 量体 (a— 1)、芳香族ビニル単量体 (a— 2)、ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキ ルエステルの単量体 (a— 1)及び芳香族ビニル単量体 (a— 2)と共重合可能なビニ ル単量体 (a— 3) (以下、共重合性ビニル単量体 (a— 3)という)、ならびに多官能性 単量体 (a— 4)を含む単量体混合物(a)を重合して得られる重合体である。
[0094] 該単量体混合物 (a)を、例えば乳化重合させることによってゴム状重合体 [A]を含 むゴムラテックス [A, ]を得ることができる。乳化重合法により前記ゴム状重合体 [A] を得た場合には、該ゴム状重合体 [Α' ]は、水性媒体中に分散されたゴムラテックス [ A' ]の状態のままで、単量体混合物 (b)とのグラフト共重合に用いることができる。 前記ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルの単量体 (a— 1)は、耐候性 を向上させる成分である。
[0095] 前記ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)のブタジ ェンとしては、通常 1, 3—ブタジエンが用いられる。前記アクリル酸アルキルエステル の代表例としては、例えばメチルアタリレート、ェチルアタリレート、ブチルアタリレート 、 2—ェチルへキシルアタリレート等の炭素数 1〜8のアルキル基を有するアクリル酸 アルキルエステルを挙げることができる力 これらに限定されるものではない。これら ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルは、単独で又は 2種以上を混合し て用いることができる。
[0096] 前記ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)の使用量 は、最終的に得られる成形体の耐衝撃性を充分に向上させるために、ゴム状重合体 [A]を得る際の重合成分全量の 50〜: LOO重量%である。
[0097] 前記ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)に含まれ るブタジエンとアクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、最終的 に得られる硬化性組成物に高度な耐候性を付与する場合には、該ブタジエンと該ァ クリル酸アルキルエステルの合計量を 100重量%として、該ブタジエン力^〜 25重量 %であって該アクリル酸アルキルエステルが 75〜: L00重量%とすることが好ましぐよ り好まし 、割合は該ブタジエン 0〜 12重量%であって該アクリル酸アルキルエステル 88〜: L00重量%であり、最も好まし!/、割合は該ブタジエン 0重量%であって該アタリ ル酸アルキルエステル 100重量0 /0である。
[0098] 前記芳香族ビニル単量体 (a— 2)は、本発明のビニル系重合体 (I)から最終的に得 られる硬化物の透明性を向上させる作用を有し、グラフト共重合体 (ΠΙ)の屈折率と、 用いるビニル系重合体 (I)の屈折率との差がなるべく小さくなるように調整する際に用 いられる成分である。
[0099] 前記芳香族ビュル単量体 (a— 2)の代表例としては、例えばスチレン、 α—メチル スチレン、 1—ビュルナフタレン、 2—ビュルナフタレン等を挙げることができる力 こ れらに限定されるものではな 、。これら芳香族ビニル単量体は単独で又は 2種以上を 混合して用いることができる。
[0100] 前記芳香族ビニル単量体 (a— 2)の使用量は、相対的に前記ブタジエン及び Z又 はアクリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)の使用量が少なくなり、所望のゴム 状重合体 [A]が得られに《なる恐れを小さくするために、ゴム状重合体 [A]を得る 際の重合成分全量の 0〜50重量%であることが最も好ましい。
[0101] 前記共重合性ビニル単量体 (a— 3)は、グラフト共重合体 (ΠΙ)とビニル系重合体 (I )との相溶性の微調整を行うために用いられる成分である。
[0102] 前記共重合性ビュル単量体 (a— 3)の代表例としては、例えばアクリロニトリル、メタ クリロ-トリル等のシアン化ビュル単量体や、 4ーヒドロキシブチルアタリレート等を挙 げることができるが、これらに限定されるものではない。これらビュル単量体は単独で
又は 2種以上を混合して用いることができる。
[0103] 前記共重合性ビニル単量体 (a— 3)の使用量は、相対的に前記ブタジエン及び Z 又はアクリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)の使用量が少なくなり、所望のゴ ム状重合体 [A]が得られに《なる恐れを小さくするために、ゴム状重合体 [A]を得 る際の重合成分全量の 0〜20重量%である力 好ましくは 0〜: LO重量%、より好まし くは 0重量%である。
[0104] 前記多官能性単量体 (a— 4)は、得られるゴム状重合体 [A]中に架橋構造を形成 させるために用いられる成分である。
[0105] 前記多官能性単量体 (a— 4)の代表例としては、例えばジビニルベンゼン、ァリル アタリレート、ァリルメタタリレート等が挙げられる力 これらに限定されるものではない 。前記多官能性単量体 (a— 4)としてはほかに、マクロマーと呼ばれる両末端にラジ カル重合可能な官能基を有する分子、例えば a , ωージメタクリロイロキシポリオキシ エチレン等を用いることもできる。これら多官能性単量体は単独で又は 2種以上を混 合して用いることができる。
[0106] 前記多官能性単量体 (a— 4)の使用量は、相対的に前記ブタジエン及び Z又はァ クリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)の使用量が少なくなり、所望のゴム状重 合体 [A]が得られに《なる恐れを小さくするために、ゴム状重合体 [A]を得る際の 重合成分全量の 0〜5重量%であり、好ましくは 0. 1〜3重量%でぁる。
[0107] 前記ゴム状重合体 [A]を得る方法には特に限定がなぐ前記ブタジエン及び Z又 はアクリル酸アルキルエステルの単量体(a— 1)、芳香族ビニル単量体(a— 2)、共重 合性ビニル単量体 (a— 3)、ならびに多官能性単量体 (a— 4)をそれぞれ所望量含 有した単量体混合物 (a)に、水性媒体、重合開始剤、乳化剤等を配合し、例えば通 常の乳化重合法によって重合させ、ゴムラテックス [Α' ]に含有させた状態で得る方 法等を採用することができる。
[0108] 水性媒体とは、水 90重量%以上を含み、かつ実質的に該水性媒体中で乳化重合 が可能な組成を有する液体をさす。該水性媒体中には、該水性媒体中で乳化重合 が可能である限り、水と混合可能な水以外の液体を 10重量%以下含むことができる 。ここで水と混合可能な水以外の液体としては、アセトン、メチルアルコール、ェチル
アルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルホ ルムアルデヒド等が挙げられる力 これらに限定されるものではない。
[0109] 重合開始剤としては、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトン又はアルデヒドの 過酸化物、ァセチルパーオキサイド等のジァシルバーオキサイド類、 t ブチルハイ ドロパーオキサイド、クメンハイド口パーオキサイド等のハイド口パーオキサイド類、ジ t ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、 t ブチルパーイソブ チレート等のアルキルパーエステル類、 t ブチルパーォキシイソプロピルカルボネ ート等のパーカルボネート類等の有機過酸ィヒ物、過酸化水素、過硫酸カリウム等の 無機過酸化物、 2, 2'—ァゾビスイソブチ口-トリル等のァゾィ匕合物等が挙げられるが 、これらに限定されるものではない。これらのうち有機過酸ィ匕物及び Z又は無機過酸 化物を用いる場合には、これらを熱分解型重合開始剤として用いてよぐまたァスコ ルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム等の還元剤や、必要 に応じて硫酸第 1鉄等の助触媒、エチレンジアミンテトラアセテート等のキレート剤を 併用してレドックス型重合開始剤として用いても良!、。
[0110] 乳化剤としては、界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の種類は特に限定され るものではなぐ陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活 性剤、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の組み合わせ、陽イオン性界 面活性剤と非イオン系界面活性剤の組み合わせの 、ずれであっても良 、。陰イオン 性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えばパルミチン酸力リウ ム、ォレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩類、ド デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸トリエタノールァミン、ドデシル硫酸アンモニゥム 等に代表される高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩類もしくはァミン又は アンモ-ゥム塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホ ン酸ナトリウムに代表されるアルキルベンゼンスルホン酸又はアルキルナフタレンスル ホン酸のアルカリ金属塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等 のアルカリ金属塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸のナトリウム塩等のアルカリ金属塩類 、アルキルリン酸塩等のアルキルフォスフェート塩類、ポリオキシエチレンアルキルェ 一テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフエ-ルエーテル硫酸ナトリウム
等のポリオキシエチレンサルフェート塩類が挙げられる。非イオン性界面活性剤とし ては、特に限定されるものではないが、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテル、 ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、 ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフエノ ールエーテル類、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタン セスキォレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモ ノステアレートに代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエ チレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリオキ シエチレンァシルエステル、ォキシエチレンォキシプロピレンブロックポリマー(分子 量約 2000〜約 10000)、グリセリルモノォレエート等の脂肪酸モノダリセライドが挙げ られる。また陽イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例え ばドデシルァミンアセテート等のアルキルアミン塩、ドデシルトリメチルアンモ-ゥムク 口ライド等の第四級アンモ-ゥム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ る。これらの他に、高分子界面活性剤を用いることも可能である。
[0111] 前記ゴム状重合体 [A]を得る際の、前記単量体混合物(a)の添加及び重合は、一 段階で行っても良ぐまた多段階で行っても良ぐ特に限定がない。前記単量体混合 物(a)の添加は、まとめて一括で添加して良ぐ連続して添加しても良ぐ二段階以上 に分けてそれらの組み合わせで添加を行っても良ぐ特に限定がない。
[0112] また、反応温度は、好ましくは 20〜90°C、より好ましくは 30〜70°C、さらに好ましく は 40〜60。Cである。
[0113] 前記単量体混合物(a)は、前述のごとく前記ブタジエン及び Z又はアクリル酸アル キルエステルの単量体(a— 1)、芳香族ビニル単量体(a— 2)、共重合性ビニル単量 体 (a— 3)、ならびに多官能性単量体 (a— 4)のそれぞれ所望量をあらかじめ混合す る方法以外に、水性媒体、開始剤、乳化剤等があらかじめ導入された反応容器中に 、前記ブタジエン及び Z又はアクリル酸アルキルエステルの単量体 (a— 1)、芳香族 ビニル単量体 (a 2)、共重合性ビニル単量体 (a— 3)、ならびに多官能性単量体 (a 4)のそれぞれ所望量をおのおの別々に、あるいはそれらのいくつかの組み合わせ で別々に導入し、反応容器中で撹拌混合して、ミセルの形で得ることもできる。この場
合にも、反応容器内を重合開始可能な条件に移行することにより、例えば通常の乳 化重合法によって単量体混合物 (a)を重合させ、ゴムラテックス [Α' ]に含有させた状 態でゴム状重合体 [Α]を得ることができる。
[0114] 力べして得られるゴム状重合体 [Α]のガラス転移温度は、最終的に得られる成形体 に大きな変形速度が加えられた場合であっても、充分に変形できるようにするために 、 0°C以下とされる。
[0115] 前記単量体混合物(b)は、メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)、アクリル 酸アルキルエステル単量体(b— 2)、芳香族ビニル単量体(b— 3)、シアン化ビニル 単量体 (b— 4)、ならびに、メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)、アクリル酸 アルキルエステル単量体(b— 2)、芳香族ビニル単量体(b— 3)及びシアン化ビュル 単量体 (b— 4)と共重合可能なビニル単量体 (b— 5) (以下、共重合性ビニル単量体 (b 5) t 、う)力 なるものである。
[0116] 前記メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)は、グラフト共重合体 (ΠΙ)とビ- ル系重合体 (I)との接着性を向上させ、本発明の硬化性組成物から最終的に得られ る硬化物の強度を向上させるために用いられる成分である。
[0117] 前記メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)の代表例としては、例えばメチル メタタリレート、ェチルメタタリレート、ブチルメタタリレート等の炭素数 1〜5のアルキル 基を有するメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる力 これらに限定されるもので はな ヽ。これらメタクリル酸アルキルエステルは単独で又は 2種以上を混合して用いる ことができる。
[0118] 前記メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)の使用量は、単量体混合物(b) 全量の 10〜: LOO重量%である。
[0119] 前記メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)に、メチルメタタリレートを、好まし くは 60〜: L00重量%、より好ましくは 80〜: L00重量%の割合で含ませて用いることに より、最終的に得られる硬化性組成物の強度を特に良好に発現させることができる。
[0120] 前記アクリル酸アルキルエステル単量体(b— 2)は、グラフト共重合体(ΠΙ)のシェル 層の軟ィ匕温度を調整することによって、最終的に得られる硬化性組成物におけるグ ラフト共重合体のビニル系重合体 (I)中への良好な分散を促進し、硬化物の強度を
良好に発現させるために用いられる成分である。
[0121] 前記アクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 2)の代表例としては、例えば、ェチル アタリレート、ブチルアタリレート、 2—ェチルへキシルアタリレート等の炭素数 2〜12 のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが挙げられる力 これらに限定さ れるものではな ヽ。これらメタクリル酸アルキルエステルは単独で又は 2種以上を混合 して用いることができる。
[0122] 前記アクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 2)の使用量は、単量体混合物(b)全 量の 0〜60重量%である。
[0123] グラフト共重合体 (III)とビニル系重合体 (I)との接着性を十分に維持しながら、同 時にバランス良ぐ最終的に得られる硬化物におけるグラフト共重合体のビニル系重 合体 (I)中への良好な分散を達成するために、単量体混合物 (b)に含まれるメタタリ ル酸アルキルエステル単量体(b— 1)とアクリル酸アルキルエステル単量体(b— 2) の合計量を 100重量%として、該メタクリル酸アルキルエステル単量体 (b— 1)の割 合を 60〜100重量%、該アクリル酸アルキルエステル単量体(b— 2)の割合を 0〜4 0重量%とすることが好ましい。
[0124] 前記芳香族ビニル単量体 (b— 3)は、最終的に得られる硬化物の透明性を向上さ せる作用を有し、グラフト共重合体 (ΠΙ)の屈折率と、用いるビニル系重合体 (I)の屈 折率との差がなるべく小さくなるように調整する際に用いられる成分である。
[0125] 前記芳香族ビニル単量体 (b— 3)の代表例としては、例えば前記芳香族ビニル単 量体 (a— 2)の代表例として例示された単量体等が挙げられるが、これらに限定され るものではな!/、。これら芳香族ビニル単量体は単独で又は 2種以上を混合して用いる ことができる。
[0126] 前記芳香族ビニル単量体 (b— 3)の使用量は、相対的に前記メタクリル酸アルキル エステル単量体 (b— 1)の使用量が少なくなり、最終的に得られる硬化性組成物の強 度が充分に向上されに《なる恐れを小さくするために、単量体混合物 (b)全量の 0 〜90重量%であり、好ましくは 0〜10重量%、より好ましくは 0重量%である。
[0127] 前記シアンィ匕ビ二ル単量体 (b— 4)は、グラフト共重合体 (ΠΙ)とビニル系重合体 (I) との相溶性の微調整を行うために用いられる成分である。
[0128] 前記シアンィ匕ビュル単量体 (b— 4)の代表例としては、例えばアクリロニトリル、メタ クリロ-トリル等が挙げられる力 これらに限定されるものではない。これらシアンィ匕ビ -ル単量体は単独で又は 2種以上を混合して用いることができる。
[0129] 前記シアンィ匕ビ二ル単量体 (b— 4)の使用量は、相対的に前記メタクリル酸アルキ ルエステル単量体 (b— 1)の使用量が少なくなり、最終的に得られる硬化性組成物の 強度が充分に向上されに《なる恐れを小さくするために、単量体混合物 (b)全量の 0〜25重量%である力 より好ましくは 0重量%である。
[0130] 前記共重合性ビュル単量体 (b— 5)の代表例としては、例えばメチルアタリレート、 4—ヒドロキシブチルアタリレート、グリシジルメタタリレート等が挙げられる力 これらに 限定されるものではな 、。これらビニル単量体は単独で又は 2種以上を混合して用い ることがでさる。
[0131] 共重合性ビニル単量体 (b— 5)の使用量は、相対的に前記メタクリル酸アルキルェ ステルの使用量が少なくなり、最終的に得られる硬化性組成物の強度が十分に向上 されに《なる恐れを小さくするために、単量体混合物 (b)全量の 0〜20重量%であ り、好ましくは 0〜: LO重量%、より好ましくは 0重量%である。
[0132] 上述のように、グラフト共重合体 (III)は、前記ゴム状重合体 [A]と単量体混合物 (b )とをグラフト共重合させて得られるものである。単量体混合物 (b)はグラフト共重合の 結果として重合体 [B]を与える。
[0133] 前記ゴム状重合体 [A]及び単量体混合物 (b)の使用量は、本発明のビニル系重 合体 (I)力 最終的に得られる硬化物の強度を充分に向上させるためには、ゴム状 重合体 [A]が 50重量%以上、好ましくは 60重量%以上、すなわち単量体混合物 (b )が 50重量%以下、好ましくは 40重量%以下となるようにする。
[0134] 前記グラフト共重合体 (ΠΙ)を得る方法には特に限定がなぐ前記のごとく調製した ガラス転移温度が 0°C以下のゴム状重合体 [A]を含むゴムラテックス [A, ]に、メタタリ ル酸アルキルエステル単量体(b— 1)、アクリル酸アルキルエステル単量体(b— 2)、 芳香族ビニル単量体 (b— 3)、シアンィ匕ビュル単量体 (b— 4)及び共重合性ビュル単 量体 (b— 5)をそれぞれ所望量含有した単量体混合物 (b)を添加し、前述と同様の 重合開始剤等を配合して通常の重合法によって重合させ、グラフト共重合体ラテック
ス力 粉末状のグラフト共重合体を得る方法等を採用することができる。
[0135] なお、前記単量体混合物 (b)の添加及び重合は、一段階で行ってもよぐ多段階で 行ってもよぐ特に限定がない。前記単量体混合物 (b)の添加は、まとめて一括で添 カロして良ぐ連続して添加しても良ぐ二段階以上に分けてそれらの組み合わせで添 加を行っても良ぐ特に限定がない。
[0136] また、反応温度は、好ましくは 20〜90°C、より好ましくは 30〜70°C、さらに好ましく は 40〜60。Cである。
[0137] 力べして得られるグラフト共重合体 (ΠΙ)の平均粒子径は、 0. 03-0. 28 μ mの範 囲にあることが好ましい。
[0138] また、本発明におけるグラフト共重合体 (ΠΙ)を粉体として得る方法には特に限定が なぐ例えば、酸もしくは塩で凝固させ、熱処理、脱水処理、乾燥処理する等して、あ るいは噴霧乾燥処理して、あるいは凝固させた後脱水処理し、融解する等して、粉体 として得ることができる。
[0139] グラフト共重合体 (III)の使用量は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して 1〜20 0重量部の範囲が好ましぐさらに 1〜50重量部の範囲が好ましい。グラフト共重合体 (III)の使用量が 200重量部を超えた場合には硬化性組成物の粘度が高くなり、作 業性が低下する傾向がある。
< <架橋性シリル基を少なくとも 1個有するポリオキシアルキレン系重合体 (IV) > > 本発明で用いられる、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体 (IV) (以下、ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)ともいう)は、特公昭 45— 36319号、特 公昭 46— 12154号、特公昭 49— 32673号、特開昭 50— 156599号、特開昭 51— 73561号、特開昭 54— 6096号、特開昭 55— 82123号、特開昭 55— 123620号、 特開昭 55— 125121号、特開昭 55— 131022号、特開昭 55— 135135号、特開昭 55— 137129号の各公報等に記載されている。
[0140] ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)の分子鎖は、本質的に一般式:
R26 - O -
(式中、 R26は 2価の有機基)で示される繰返し単位力もなるものが好ましい。 R26は、 炭素数 3〜6の 2価の炭化水素基が好ましぐ更にはその大部分が炭素数 3又は 4の
炭化水素基が特に好ましい。 R の具体例としては、—CH (CH )— CH —CH (
3 2
C H )— CH C (CH ) — CH CH CH CH CH—等が挙げられる。ポ
2 5 2 3 2 2 2 2 2 2
リオキシアルキレン系重合体 (IV)の分子鎖は 1種だけの繰返し単位力もなつて!/、て もよいし、 2種以上の繰返し単位力 なっていてもよいが、 R26としては特に重合体を 適度に低粘度化できる点や硬化物に適度な柔軟性を付与できる点から、 -CH (CH )— CH—が好ましい。
3 2
[0141] ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)は、直鎖状であっても分枝状であってもよぐあ るいは、これらの混合物であってもよい。また、他の単量体単位等が含まれていても よいが、良好な作業性を得る点や硬化物の柔軟性を付与できる点から、 -CH (CH
3
)一 CH— O—で表される繰返し単位が重合体中に 50重量%以上存在することが好
2
ましぐ更には 80重量%以上存在することが好ましい。
[0142] ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)におけるシロキサン結合を形成することによつ て架橋しうる架橋性シリル基は、ビニル系重合体 (I)における架橋性シリル基と同様 のものが使用でき、一般式(1);
- [SKR1) (Y) 0] -Si (R2) (Y) (1)
-b b 1 3-a a
{式中、
R
2は、同一又は異なって、それぞれ炭素数 1 20のアルキル基、炭素数 6 20のァリール基、炭素数 7 20のァラルキル基、又は(R' ) SiO- (R'は炭素数
3
1 20の 1価の炭化水素基を示し、 3個の R'は同一であってもよぐ異なっていてもよ V、)で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、 R1又は R2がそれぞれ 2個以上存在する とき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよい。 Yは水酸基又は加水分解性 基を示し、 Yが 2個以上存在するとき、それらは同一であってもよぐ異なっていてもよ い。 aは 0, 1, 2又は 3を示す。 bは 0, 1又は 2を示す。 1は 0 19の整数を示す。ただ し、 a+lb≥lであることを満足するものとする。 }
で表される基が挙げられる。
[0143] 加水分解性基としては、例えば、水素原子、アルコキシ基、ァシルォキシ基、ケトキ シメート基、アミノ基、アミド基、アミノォキシ基、メルカプト基、アルケニルォキシ基等 の一般に使用されている基が挙げられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、 アミノォキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、ァ
ルコキシ基がとくに好まし 、。
[0144] 加水分解性基や水酸基は、 1個のケィ素原子に 1〜3個の範囲で結合することがで き、(a+∑b)は 1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル 基中に 2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。 架橋性シリル基を形成するケィ素原子は 1個以上であるが、シロキサン結合等により 連結されたケィ素原子の場合には、 20個以下であることが好ましい。とくに、一般式( 7)
Si(R2) (Y) (7)
3~a a
(式中、 R2、 Yは前記と同じ。 aは 1, 2又は 3を示す。)で表される架橋性シリル基が、 入手が容易であるので好ま U、。
[0145] なお、特に限定はされないが、硬化性を考慮すると aは 2個以上が好ましい。また、 a 力 S3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)は 2個のもの(例えばジメトキシ官能基)よりも 硬化性が早いが、貯蔵安定性や力学物性 (伸び等)に関しては 2個のものの方が優 れている場合がある。硬化性と物性バランスをとるために、 2個のもの(例えばジメトキ シ官能基)と 3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)を併用してもよ!/、。
[0146] 架橋性シリル基は、ポリオキシアルキレン系重合体 (IV) 1分子あたり平均して少なく とも 1個存在するものであり、 1. 1〜5個の範囲で存在するのがより好ましい。ポリオキ シアルキレン系重合体 (IV) 1分子中に含まれる架橋性シリル基の数が 1個未満にな ると、硬化性が不十分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。一方、架橋性 シリル基の数が 5個を越えると硬化物が硬くなり、 目地への追従性が低下するため好 ましくない。
[0147] 架橋性シリル基は、ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)の分子鎖の末端に存在し てもよぐ内部に存在してもよい。架橋性シリル基が分子鎖の末端に存在する場合は 、最終的に形成される硬化物に含まれるポリオキシアルキレン系重合体 (IV)成分の 有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が 得られやすくなる。
[0148] ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)の数平均分子量 (Mn)としては特に限定され ず、一般的には、 500-100, 000の範囲であればよいが、重合体の粘度や硬化物
のゴム弹' |4の, 力ら、 2, 000〜60, 000の範囲力 S好まし <、 5, 000〜30, 000の範 囲がより好ましい。なお本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)の数平 均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算で求めた 値である。また作業性や硬化物の伸びの観点から、分子量分布 (MwZMn)は小さ いものが望ましぐ好ましくは 1. 6以下である。
[0149] 架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体 (IV)は、官能基を有するポ リオキシアルキレン系重合体に架橋性シリル基を導入することによって得るのが好ま しい。
官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、ポリオキシアルキレン系重合体を 製造するための通常の重合法 (苛性アルカリを用いるァ-オン重合法)や、この重合 体を原料とした鎖延長反応方法のほか、特開昭 61— 197631号公報、特開昭 61— 215622号公報、特開昭 61— 215623号公報及び特開昭 61— 218632号公報等 に例示されるポルフィリン/アルミ錯体触媒、特公昭 46 - 27250号公報及び特公昭 59— 15336号公報等に例示される複合金属シアン化錯体触媒、特開平 10— 2735 12号公報に例示されるポリフォスファゼン塩力 なる触媒を用いた方法等により得る ことができる。実用上、複合金属シアン化錯体触媒を用いる方法が好ましい。なお、 架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)の分子量分布は、対応する 架橋性シリル基導入前の重合体の分子量分布に依存するため、導入前の重合体の 分子量分布はできるだけ狭 、ことが好ま U、。
[0150] 架橋性シリル基の導入は公知の方法で行えばよ!、。すなわち、例えば、以下の方 法が挙げられる。
[0151] (F)末端に水酸基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能 基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次 いで、得られた反応生成物に、架橋性シリル基を有するヒドロシランィ匕合物を、ヒドロ シリル化触媒存在下に付加させて、重合体末端に架橋性シリル基を導入する。
[0152] (G)末端に水酸基、エポキシ基、或いはイソシァネート基等の官能基 (以下、 Z官能 基という)を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この Z官能基に対して反応性を 示す官能基 (以下、 T! 官能基という)及び架橋性シリル基を有するケィ素化合物を
反応させ、重合体末端に架橋性シリル基を導入する。
[0153] τ' 官能基及び架橋性シリル基を有するケィ素化合物としては特に限定されず、例 えば、 Ν— ( |8—アミノエチル) Ί—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Ν— ( |8—アミ ノエチル) Ύ—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 Ί—ァミノプロピルトリエトキシ シラン等のアミノ基含有シラン類; Ύ—メルカプトプロピルトリメトキシシラン、 Ύ—メル カプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類; γ—グリシドキ シプロピルトリメトキシシラン、 2— (3, 4 エポキシシクロへキシル)ェチルトリメトキシ シラン等のエポキシシラン類;ビニルトリエトキシシラン、 Ί—メタクリロイルォキシプロ ピルトリメトキシシラン、 γ—アタリロイルォキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビ -ル型不飽和基含有シラン類; γ クロ口プロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含 有シラン類; y—イソシァネートプロピルトリエトキシシラン、 γ—イソシァネートプロピ ルメチルジメトキシシラン等のイソシァネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリ メトキシシラン、メチルジェトキシシラン等のハイドロシラン類等が挙げられる。
[0154] 以上の方法の中で、経済性や反応が効率的に進む点から、(F)の方法、又は、 (G )の方法のうち、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、イソシァネ ート基及び架橋性シリル基を有する化合物を反応させる方法が好ましい。
[0155] なお、ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)は、耐候性、粘接着性を付与するために 、アクリル変性したポリオキシアルキレン系重合体を含んでもよい。アクリル変性した ポリオキシアルキレン系重合体とは、ラジカル重合した (メタ)アクリル酸アルキル単量 単位力もなる共重合体をブレンドしたポリオキシアルキレン系重合体である。
[0156] ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)の使用量は、ビニル系重合体 (I) 100重量部 に対して、 0〜: LOOO重量部の範囲が好ましぐさらには 0〜400重量部の範囲がより 好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)が 0重量部の場合、つまり使用しない 場合には、耐候性が大変良好である。ポリオキシアルキレン系重合体 (IV)を併用し た場合は、作業性が良ぐ硬化物の破断時の伸びが高くなり、引裂き強度も向上し、 シーリング材、ガスケット用途に適したものとなる。
< <錫系硬化触媒 (V) > >
本発明における硬化性組成物には、さらに錫系硬化触媒 (V)を配合しても良!、。
錫系硬化触媒 (V)としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジァセテ ート、ジブチル錫ジェチルへキサノレート、ジブチル錫ジォクテート、ジブチル錫ジメ チノレマレート、ジブチノレ錫ジェチノレマレート、ジブチノレ錫ジブチノレマレート、ジブチノレ 錫ジイソォクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジル マレート、ジブチル錫マレエート、ジォクチル錫ジアセテート、ジォクチル錫ジステア レート、ジォクチル錫ジラウレート、ジォクチル錫ジェチルマレート、ジォクチル錫ジィ ソォクチルマレート等のジアルキル錫カルボン酸塩類;
ジブチル錫オキサイド、ジォクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸ェ ステルとの混合物等のジアルキル錫オキサイド類;
ジアルキル錫オキサイド、ジアルキル錫ジアセテート等の 4価錫化合物と、テトラエト キシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジフエ二ルジメトキシシラン、フエニルトリメトキシ シラン等の加水分解性ケィ素基を有する低分子ケィ素化合物との反応物; ォクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫等の 2価の錫化合物類;
モノブチル錫トリスォタトエート、モノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化 合物やモノォクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;
ラウリルァミンとォクチル酸錫の反応物及び混合物等のアミン系化合物と有機錫化合 物との反応物及び混合物;
ジブチル錫ビスァセチルァセトナート、ジォクチル錫ビスァセチルァセトナート、ジブ チル錫ビスェチルァセトナート、ジォクチル錫ビスェチルァセトナート等のキレートイ匕 合物;
ジブチル錫ジメチラート、ジブチル錫ジェチラート、ジォクチル錫ジメチラート、ジォク チル錫ジェチラート等の錫アルコラート類等が挙げられる。
この中でも、ジブチル錫ビスァセチルァセトナート等のキレート化合物や錫アルコラ一 ト類は、シラノール縮合触媒としての活性が高いのでより好ましい。また、ジブチル錫 ジラウレートは、最終の硬化性組成物の着色が少なぐ低コストであり、入手が容易で あるために好ましい。
これらの錫系硬化触媒 (V)は、単独で使用してもよぐ 2種以上併用してもよい。 この錫系硬化触媒 (V)の配合量は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して 0. 1
〜20重量部程度が好ましぐ 0. 5〜: LO重量部が更に好ましい。錫系硬化触媒の配 合量が 0. 1重量部未満であると、硬化触媒の効果が十分に発揮されないことがある 。一方、錫系硬化触媒の配合量が 20重量部を超えると、硬化時に局部的な発熱や 発泡が生じて良好な硬化物が得られ難くなつたり、ポットライフが短くなつて、作業性 が低下し易い傾向がある。
< <硬化性組成物 > >
本発明の硬化性組成物においては、各架橋性官能基に応じて、硬化触媒や硬化剤 が必要になるものがある。また、 目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加して も構わない。
<硬化触媒,硬化剤 >
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合触媒の存在下、あるいは 非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状とし ては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから榭脂状のものまで幅 広く作成することができる。
このような縮合触媒としては、既に述べた錫系硬化触媒 (V)以外に、次のようなもの も使用できる。テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステ ル類;アルミニウムトリスァセチルァセトナート、アルミニウムトリスェチルァセトァセテ ート、ジイソプロポキシアルミニウムェチルァセトアセテート等の有機アルミニウム化合 物類;ジルコニウムテトラァセチルァセトナート、チタンテトラァセチルァセトナート等の キレートイ匕合物類;ォクチル酸鉛;ブチルァミン、ォクチルァミン、ラウリルァミン、ジブ チルァミン、モノエタノールァミン、ジエタノールァミン、トリエタノールァミン、ジェチレ ントリアミン、トリエチレンテトラミン、ォレイルァミン、シクロへキシルァミン、ベンジルァ ミン、ジェチルァミノプロピルァミン、キシリレンジァミン、トリエチレンジァミン、グァニ ジン、ジフエ-ルグァ-ジン、 2, 4, 6—トリス(ジメチルアミノメチル)フエノール、モル ホリン、 N—メチルモルホリン、 2—ェチルー 4ーメチルイミダゾール、 1, 8—ジァザビ シクロ(5, 4, 0)ゥンデセン一 7 (DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのァミン 系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子 量ポリアミド榭脂;過剰のポリアミンとエポキシィ匕合物との反応生成物; γ—ァミノプロ
ピルトリメトキシシラン、 N— ( j8—アミノエチル) Ί—ァミノプロピルメチルジメトキシ シラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには 他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
[0159] これらの触媒は、単独で使用してもよぐ 2種以上併用してもよぐ錫系硬化触媒 (V )と併用しても良い。この縮合触媒の配合量は、ビュル系重合体 (1) 100重量部に対 して 0. 1〜20重量部程度が好ましぐ 0. 5〜: LO重量部が更に好ましい。縮合触媒の 配合量が 0. 1重量部未満であると、縮合触媒の効果が十分に発揮されないことがあ る。
[0160] 一方、縮合触媒の配合量が 20重量部を超えると、硬化時に局部的な発熱や発泡 が生じて良好な硬化物が得られ難くなつたり、ポットライフが短くなつて、作業性が低 下し易い傾向がある。
[0161] 本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、一般式
(23)
R27 Si (OR28) (23)
c 4-c
(式中、 R27及び R28は、それぞれ独立して、炭素数 1〜20の置換あるいは非置換の 炭化水素基であり、 R27又は R28がそれぞれ 2個以上存在するときは、それらは同一で あってもよぐ異なっていてもよい。 cは 0、 1、 2、 3のいずれかである。)で示されるシラ ノール基をもたな ヽケィ素化合物を添加しても構わな 、。
[0162] 前記ケィ素化合物としては、限定はされないが、フエニルトリメトキシシラン、フエ二 ルメチルジメトキシシラン、フエ二ルジメチルメトキシシラン、ジフエ二ルジメトキシシラ ン、ジフエ-ルジェトキシシラン、トリフエ-ルメトキシシラン等の、一般式(23)中の R27 力 炭素数 6〜20のァリール基であるもの力 組成物の硬化反応を加速する効果が 大きいために好ましい。特に、ジフエ-ルジメトキシシランゃジフエ-ルジェトキシシラ ンは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
[0163] このケィ素化合物の配合量は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して 0. 01〜2 0重量部程度が好ましぐ 0. 1〜: L0重量部が更に好ましい。ケィ素化合物の配合量 力 Sこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケィ 素化合物の配合量力 Sこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下すること
がある。
<接着性付与剤 >
本発明の組成物には、シランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接着性 付与剤を添加することができる。接着性付与剤を添加すると、外力により目地幅等が 変動することによって、シーリング材がサイデイングボード等の被着体力 剥離する危 険性をより低減することができる。また、場合によっては接着性向上の為に用いるブラ イマ一の使用の必要性がなくなり、施工作業の簡略ィ匕が期待される。
シランカップリング剤の具体例としては、 γ—イソシァネートプロピルトリメトキシシラ ン、 Ί—イソシァネートプロピルトリエトキシシラン、 γ—イソシァネートプロピルメチル ジエトキシシラン、 Ί イソシァネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシァネ ート基含有シラン類; y—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 γ—ァミノプロピルトリエト キシシラン、 γ—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 γ—ァミノプロピルメチルジェ トキシシラン、 N - ( j8—アミノエチル) γ—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Ν— ( β—アミノエチル) γ—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 Ν ~ ( β—アミノエチ ル) γ—ァミノプロピルトリエトキシシラン、 Ν— ( j8—アミノエチル) Ί—ァミノプロ ピルメチルジェトキシシラン、 γ—ウレイドプロピルトリメトキシシラン、 Ν フエニル一 γ—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Ν ベンジノレ一 γ—ァミノプロピルトリメトキシシ ラン、 Ν ビュルベンジル一 y—ァミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シ ラン類; Ί—メルカプトプロピルトリメトキシシラン、 γ—メルカプトプロピルトリエトキシ シラン、 γ メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、 γ メルカプトプロピルメチル ジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類; y—グリシドキシプロピルトリメトキシ シラン、 γ—グリシドキシプロピノレトリエトキシシラン、 γ—グリシドキシプロピノレメチノレ ジメトキシシラン、 2 - (3, 4 エポキシシクロへキシノレ)ェチノレトリメトキシシラン、 2 - (3, 4 エポキシシクロへキシノレ)ェチノレトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン 類; 13 カルボキシェチルトリエトキシシラン、 13 カルボキシェチルフエ-ルビス(2 —メトキシエトキシ)シラン、 Ν— ( β—カルボキシメチル)アミノエチル一 γ—アミノプ 口ピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビュルトリメトキシシラン、ビニルトリ
ィルォキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビュル型不飽和基含有シラン類; γ —クロ口プロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル) イソシァヌレート等のイソシァヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを 変性した誘導体である、ァミノ変性シリルポリマー、シリルィ匕ァミノポリマー、不飽和ァ ミノシラン錯体、フエ-ルァミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル 化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
[0165] 上記シランカップリング剤の使用量は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対し、 0. 1 〜20重量部が好ましぐ 0. 5〜10重量部がより好ましい。
[0166] 本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、 すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタル等の無機基材や、塩 ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の有機 基材に用いた場合、ノンプライマー条件又はプライマー処理条件下で、著しい接着 性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対す る接着性を改善する効果が特に顕著である。
[0167] シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されな 、が、例えば、ェポキ シ榭脂、フエノール榭脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシァネート等 が挙げられる。
[0168] 上記接着性付与剤は 1種類のみで使用しても良いし、 2種類以上混合使用しても 良い。
これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することがで きる。特に限定はされないが、接着性、特にオイルパン等の金属被着面に対する接 着性を向上させるために、上記接着性付与剤の中でもシランカップリング剤を 0. 1〜 20重量部併用することが好ましい。
<可塑剤 >
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤を必要に応じて用いても良い。 可塑剤を後述する充填材と併用して使用すると、硬化物の伸びを大きくできたり、多 量の充填材を混合できたりするためより、有利となる力 必ずしも添加しなければなら ないものではない。
[0169] 可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例 えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2—ェチルへキシル)フタレート 、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジォク チルアジペート、ジォクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等 の非芳香族二塩基酸エステル類;ォレイン酸ブチル、ァセチルリシノール酸メチル等 の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ ベンゾエート、ペンタエリスリトーノレエステノレ等のポリアノレキレングリコーノレのエステノレ 類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット 酸エステル類;ポリスチレン、ポリ α—メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタ ジェン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン アクリロニトリル、ポリクロ口プレン; 塩素化パラフィン類;アルキルジフエニル、部分水添ターフェ-ル等の炭化水素系油 ;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ レンダリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基 をエステル基、エーテル基等に変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大 豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン 酸、ァゼライン酸、フタル酸等の 2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコー ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の 2価ァ ルコール力 得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル 系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
[0170] なかでも数平均分子量 500〜15000の重合体である高分子可塑剤は、添加するこ とにより、該硬化性組成物の粘度やスランプ性及び該組成物を硬化して得られる硬 化物の引張り強度、伸び等の機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中 に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長 期にわたり維持することができる。また屋外等に使用した場合には、可塑剤の表面層 へのブリードが抑えられ埃等が付着しにくぐまた硬化性組成物の表面に塗料等を塗 布する場合においても塗膜の軟ィ匕や、それによる塗膜の汚れが生じにくぐ長期にわ つて美観を保つことができる。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基 を有しても有しなくても構わな ヽ。
[0171] 上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、 500〜15000と記載した力 好ましくは 800〜10000であり、より好ましくは 1000〜8000である。分子量力 すぎると熱や 降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できないことが ある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
[0172] これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系重合体 (I)と相溶するものが好ましい。中 でも相溶性及び耐候性、耐熱性の点カゝらビュル系重合体が好ましい。ビニル系重合 体の中でも (メタ)アクリル系重合体が好ましぐアクリル系重合体がさらに好ましい。こ のアクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型 アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移 動剤を使用せず高温連続重合法 (USP4414370、特開昭 59— 6207号公報、特 公平 5— 58005号公報、特開平 1— 313522号公報、 USP5010166)にて作製さ れるため本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが、東亞 合成(株)製の ARUFON UP— 1000、 UP— 1020、 UP— 1110等や、ジョンソン ポリマー(株)製の JDX— P1000、JDX— P1010、JDX— P1020等が挙げられる。 勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。
この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭ぐ低粘度化が可能なことから好 ましぐ更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものでは ない。
[0173] 高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましぐ 1. 8未満 が好ましい。 1. 7以下がより好ましぐ 1. 6以下がなお好ましぐ 1. 5以下がさらに好 ましぐ 1. 4以下が特に好ましぐ 1. 3以下が最も好ましい。
[0174] 上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよぐ 2種以上を併用しても よいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い 、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
[0175] 可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、ビニル系重合体 (I) 100重量 咅 こ対して 5〜800重量咅^好ましく ίま 10〜600重量咅^さら【こ好ましく ίま 10〜500 重量部である。 5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくい傾向があり、 80
0重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
<充填材>
本発明の硬化性組成物には、各種充填材を必要に応じて用いても良いが、最終の 硬化性組成物が透明になるものでなければならな 、。
[0176] 具体的には、微粉末の高純度溶融石英ガラスフィラー、高純度結晶性石英フィラー 等が挙げられ、市販品としては、龍森 (株)社製のヒューズレックスやクリスタライト等が 例として挙げられる。
[0177] 充填材を用いる場合の添加量は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して、充填 材を 0〜400重量部の範囲で使用するのが好ましぐ 0〜250重量部の範囲で使用 するのがより好ましぐ 0〜: LOO重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量 力 00重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。
充填材は単独で使用しても良 ヽし、 2種以上併用しても良 ヽ。
く物性調整剤〉
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の弓 I張特性を調整す る物性調整剤を添加しても良 、。
[0178] 物性調整剤としては特に限定されな 、が、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチ ルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、 n—プロピルトリメトキシシラン等のアルキ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、 γ —ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Ν— ( β—アミノエチル)ァミノプロピルメチルジメト キシシラン、 γ—メルカプトプロピルトリメトキシシラン、 γ—メルカプトプロピルメチル ジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシ ロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を 硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整 剤は単独で用いてもよぐ 2種以上併用してもよい。
[0179] 物性調整剤は、特に限定されないがビニル系重合体 (I) 100重量部に対して、好ま
しくは 0. 1〜80重量部、更に好ましくは 0. 1〜50重量部の範囲で使用できる。この 量が 0. 1重量部未満では軽量ィ匕の効果が小さぐ 80重量部を超えるとこの配合物を 硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。
くシラノール含有ィ匕合物 >
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、シラノール含有ィ匕合物を添加してもよ い。
シラノール含有ィ匕合物とは、分子内に 1個のシラノール基を有する化合物、及び Z又 は、水分と反応することにより分子内に 1個のシラノール基を有する化合物を生成し 得る化合物のことをいう。これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に用 いてもよい。
分子内に 1個のシラノール基を有する化合物は、特に限定されず、下記に示したィ匕 合物、(CH ) SiOH、 (CH CH ) SiOH、 (CH CH CH ) SiOH、(n— Bu) SiOH
3 3 3 2 3 3 2 2 3 3
、(sec— Bu) SiOH, (t— Bu) SiOH, (t— Bu) Si (CH ) OH、 (C H ) SiOH, (
3 3 3 2 5 11 3
C H ) SiOH, (C H ) SiOH, (C H ) Si (CH ) OHゝ (C H ) Si (CH ) OH、 (C
6 13 3 6 5 3 6 5 2 3 6 5 3 2 6
H ) Si (C H ) OH、 C H Si (C H ) OH、 C H CH Si (C H ) OH、 C H Si (CH )
5 2 2 5 6 5 2 5 2 6 5 2 2 5 2 10 7 3
OH
2
(ただし、上記式中 C Hはフエ-ル基を、 C Hはナフチル基を示す。 )
6 5 10 7
等のような (R") SiOH (ただし式中 R"は同一又は異種の置換もしくは非置換のアル
3
キル基又はァリール基)で表すことができる化合物、
墓〔星0
Ho!soll " ,一o H
[化 8]
(式中、 Rは下記 R29と同様であり、 mは正数を示す。 ) 等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサンィ匕合物、
[0184] [化 9
[0185] (式中、 Rは下記 R29と同様であり、 mは正数を示す。 )
等のような主鎖が珪素、炭素力 なるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物
[0186] [化 10]
[0187] (式中、 mは正数を示す。)
等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合した化合物、
[0189] (式中、 mは正数を示し、 nは正数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素、酸素力 なるポリマー末端にシラノール基が結合した 化合物等が例示できる。このうち下記一般式 (24)で表される化合物が好ま 、。 (R29) SiOH (24)
3
(式中、 R29は炭素数 1〜20の 1価の炭化水素基を示す。複数の R29は同一であっても よく又は異なっていてもよい。 )
R29は、メチル基、ェチル基、ビニル基、 t—ブチル基、フエ-ル基が好ましぐさらに 易入手性、効果の点力 メチル基が好ましい。
[0190] 上記分子内に 1個のシラノール基を有する化合物は、ビニル系重合体 (I)の架橋性 シリル基ある!/ヽは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の 数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
[0191] また、水分と反応することにより分子内に 1個のシラノール基を有する化合物を生成 し得る化合物は、特に限定されないが、水分と反応して生成する分子内に 1個のシラ ノール基を有する化合物 (加水分解生成物)が、上記一般式 (24)で表される化合物 が好ましい。例えば、特に限定されるわけではないが、後述するような一般式(25)で 表される化合物以外に下記の化合物を挙げることができる。
[0192] N, O—ビス(トリメチルシリル)ァセトアミド、 N— (トリメチルシリル)ァセトアミド、ビス ( トリメチルシリル)トリフルォロアセトアミド、 N—メチルー N—トリメチルシリルトリフルォ ロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、 N— (t—ブチルジメチルシリル) N—メチルト リフルォロアセトアミド、 (N, N—ジメチルァミノ)トリメチルシラン、 (N, N—ジェチル
ァミノ)トリメチルシラン、へキサメチルジシラザン、 1, 1, 3, 3—テトラメチルジシラザ ン、 N— (トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルォロメタンスルフォネ ート、トリメチルシリルフエノキシド、 n—ォクタノールのトリメチルシリル化物、 2—ェチ ルへキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリ メチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメ チルシリル)ィ匕物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)ィ匕物、 (CH ) SiNH
3 3
Si(CH ) 、 (CH ) SiNSi (CH ) 、
[0193] [化 12]
0
F3C- S- O.Si(CH3)3
0
[0194] 等が好適に使用できる力 加水分解生成物の含有シラノール基の量からは(CH ) S
3 3 iNHSi (CH ) が特に好ましい。
3 3
[0195] さらには、水分と反応することにより分子内に 1個のシラノール基を有する化合物を 生成し得る化合物は、特に限定されないが、上記化合物以外に下記一般式 (25)で 表される化合物が好ましい。
( (R29) SiO) R30 (25)
3 q
(式中、 R29は上述したものと同様である。 qは正数を、 R3°は活性水素含有ィ匕合物力も 一部あるいは全ての活性水素を除いた基を示す。 )
R29は、メチル基、ェチル基、ビニル基、 t—ブチル基、フエ-ル基が好ましぐさらにメ チル基が好ましい。
(R29) Si基は、 3個の R29が全てメチル基であるトリメチルシリル基が特に好ましい。ま
3
た、 qは 1〜5が好ましい。
上記 R3Qの由来となる活性水素含有ィ匕合物としては特に限定されないが、例えば、メ タノール、エタノール、 n—ブタノール、 iーブタノール、 tーブタノール、 n—ォクタノー ノレ、 2—ェチノレへキサノーノレ、ベンジノレアノレコーノレ、エチレングリコーノレ、ジエチレン グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、 ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチ レングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトーノレ等のアルコー ル類;フエノール、クレゾール、ビスフエノール A、ヒドロキノン等のフエノール類;ギ酸、 酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、 メタクリル酸、ォレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、シユウ酸、マロン酸、コ ハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等 のカルボン酸類;アンモニア;メチルァミン、ジメチルァミン、ェチルァミン、ジェチルァ ミン、 n—ブチルァミン、イミダゾール等のアミン類;ァセトアミド、ベンズアミド等の酸ァ ミド類、尿素、 N, N,—ジフエ-ル尿素等の尿素類;アセトン、ァセチルアセトン、 2, 4 一へプタジオン等のケトン類等が挙げられる。
上記一般式 (25)で表される水分と反応することにより分子内に 1個のシラノール基を 有する化合物を生成し得る化合物は、例えば上述の活性水素含有化合物等に、トリ メチルシリルクロリドゃジメチル (tーブチル)シリルクロリド等のようなシリル化剤とも呼 ばれる (R29) Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反応し得る基を有する化合物を
3
反応させることにより得ることができるが、これらに限定されるものではない (ただし、 R 29は上述したものと同様である。 ) o
上記一般式(25)で表される化合物を具体的に例示すると、ァリロキシトリメチルシラ ン、 N, O—ビス(トリメチルシリル)ァセトアミド、 N— (トリメチルシリル)ァセトアミド、ビ ス(トリメチルシリル)トリフルォロアセトアミド、 N—メチルー N—トリメチルシリルトリフル ォロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、 N— (t—ブチルジメチルシリル) N—メチ ルトリフルォロアセトアミド、 (N, N—ジメチルァミノ)トリメチルシラン、(N, N—ジェチ ルァミノ)トリメチルシラン、へキサメチルジシラザン、 1, 1, 3, 3—テトラメチルジシラ
ザン、 N— (トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルォロメタンスルフォ ネート、トリメチルシリルフエノキシド、 n—ォクタノールのトリメチルシリル化物、 2—ェ チルへキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)ィ匕物、ト リメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリ メチルシリル)ィ匕物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)ィ匕物、等が挙げら れるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよぐ 2種以上を併用してもよ い。
[0197] また、一般式( (R31) SiO (R320) ) Dで表すことができるような化合物、 CH O (CH
3 s t 3 2
CH (CH ) O) Si(CH )、 CH =CHCH (CH CH (CH ) 0) Si (CH )、 (CH ) S
3 5 3 3 2 2 2 3 5 3 3 3 3 iO (CH CH (CH ) O) Si (CH )、 (CH ) SiO (CH CH (CH ) O) Si(CH )
2 3 5 3 3 3 3 2 3 7 3 3
(式中、 R31は同一又は異種の置換もしくは非置換の 1価の炭化水素基又は水素原 子、 R32は炭素数 1〜8の 2価の炭化水素基、 s、 tは正の整数で、 tは 1〜6、 s X tは 5 以上、 Dは 1〜6価の有機基)
等も好適に使用できる。これらは単独で用いてもよぐ 2種以上を併用してもよい。
[0198] 水分と反応することにより分子内に 1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る 化合物の中では、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、加水分解後 に生成する活性水素化合物はフエノール類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく 、活性水素化合物が水酸基であるフエノール類及びアルコール類が更に好まし 、。
[0199] 上記の化合物の中では、 N, O—ビス(トリメチルシリル)ァセトアミド、 N- (トリメチル シリル)ァセトアミド、トリメチルシリルフエノキシド、 n—ォクタノールのトリメチルシリル 化物、 2—ェチルへキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシ リル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)ィ匕物、ペンタエリスリトー ルのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物 等が好ましい。
[0200] この水分と反応することにより分子内に 1個のシラノール基を有する化合物を生成し 得る化合物は、貯蔵時、硬化時あるいは硬化後に水分と反応することにより、分子内 に 1個のシラノール基を有する化合物を生成する。この様にして生成した分子内に 1 個のシラノール基を有する化合物は、上述のようにビニル系重合体 (I)の架橋性シリ
ル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を 減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
[0201] シラノール含有ィ匕合物の添加量は、硬化物の期待物性に応じて適宜調整可能で ある。シラノール含有ィ匕合物は、ビュル系重合体 (1) 100重量部に対して 0. 1〜50 重量部、好ましくは 0. 3〜20重量部、さらに好ましくは 0. 5〜: LO重量部添加できる。
0. 1重量部未満では添加効果が現れず、 50重量部を越えると架橋が不十分になり
、硬化物の強度やゲル分率が低下する傾向がある。
[0202] また、シラノール含有ィ匕合物をビュル系重合体 (I)に添加する時期は特に限定され ず、ビュル系重合体 (I)の製造時に添加してもよぐ硬化性組成物の作製時に添加し てもよい。
<チクソ性付与剤 (垂れ防止剤) >
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするため にチクソ性付与剤 (垂れ防止剤)を添加しても良!、。
[0203] また、チクソ性付与剤(垂れ防止剤)としては特に限定されな 、が、例えば、ポリアミ ドワックス類、水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミ-ゥ ム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹼類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂 れ防止剤)は単独で用いてもよぐ 2種以上併用してもよい。
[0204] チクソ性付与剤は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して 0. 1〜50重量部、好 ましくは 0. 2〜25重量部添加できる。添加量が 0. 1重量部未満ではチクソ付与効果 が十分発現せず、また 50重量部を越えて用いると配合物の粘度が高くなり、さらに配 合物の貯蔵安定性が低下する傾向がある。
<光硬化性物質 >
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光硬化性物質を添加しても良 、。 光硬化性物質とは、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化をおこし、硬 化等の物性的変化を生ずるものである。この光硬化性物質を添加することにより、硬 化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性 (残留タックとも 、う)を低減でき る。この光硬化性物質は、光をあてることにより硬化し得る物質であるが、代表的な光 硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に 1日間、室温で静置するこ
とにより硬化させることができる物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリ ゴマー、榭脂あるいはそれらを含む組成物等多くのものが知られており、その種類は 特に限定されないが、例えば、不飽和アクリル系化合物、ポリケィ皮酸ビュル類ある いはアジド化榭脂等が挙げられる。
[0205] 不飽和アクリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、トリ メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコール等の低分子量ァ ルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフエノール A、イソシァヌル酸等の酸あ るいは上記低分子量アルコール等をエチレンォキシドゃプロピレンォキシドで変性し たアルコール類の (メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端に水酸基 を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビュル 系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエス テルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビュル系あるいは (メタ )アクリル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール等の (メタ)アクリル酸 エステル類;ビスフエノール A型ゃノボラック型等のエポキシ榭脂と (メタ)アクリル酸を 反応させることにより得られるエポキシアタリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイ ソシァネート及び水酸基含有 (メタ)アタリレート等を反応させることにより得られる分子 鎖中にウレタン結合及び (メタ)アクリル基を有するウレタンアタリレート系オリゴマー等 が挙げられる。
[0206] ポリケィ皮酸ビニル類とは、シンナモイル基を感光基とする感光性榭脂であり、ポリ ビュルアルコールをケィ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケィ皮酸ビニル 系誘導体が挙げられる。
[0207] アジド化榭脂は、アジド基を感光基とする感光性榭脂として知られており、通常はァ ジドィ匕合物を感光剤として加えたゴム感光液のほか、「感光性榭脂」(昭和 47年 3月 1 7日出版、印刷学会出版部発行、 93頁〜、 106頁から、 117頁〜)に詳細な例示が あり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。 上記の光硬化性物質の中では、取り扱 ヽ易 ヽと 、う理由で不飽和アクリル系化合物 が好ましい。
[0208] 光硬化性物質は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して 0. 01〜30重量部添加
するのが好ましい。 0. 01重量部未満では効果が小さぐまた 30重量部を越えると物 性への悪影響が出ることがある。なお、ケトン類、ニトロ化合物等の増感剤ゃァミン類 等の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
<空気酸化硬化性物質 >
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて空気酸化硬化性物質を添加しても良 い。
空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化できる不飽和基を有する化 合物である。この空気酸化硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化さ せた際の硬化物表面の粘着性 (残留タックとも 、う)を低減できる。本発明における空 気酸化硬化性物質は、空気と接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体的 には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有するものである。代表的な空気酸 化硬化性物質は、例えば空気中で室内に 1日間静置することにより硬化させることが できる。
[0209] 空気酸化硬化性物質としては、例えば、桐油、アマ二油等の乾性油;これら乾性油 を変性して得られる各種アルキッド榭脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、 エポキシ系榭脂、シリコーン榭脂; 1, 2 ポリブタジエン、 1, 4 ポリブタジエン、 C5 〜C8ジェンの重合体や共重合体、更には該重合体や共重合体の各種変性物(マレ インィ匕変性物、ボイル油変性物等)等が具体例として挙げられる。これらのうちでは桐 油、ジェン系重合体のうちの液状物 (液状ジェン系重合体)やその変性物が特に好 ましい。
[0210] 上記液状ジェン系重合体の具体例としては、ブタジエン、クロ口プレン、イソプレン、
1, 3 ペンタジェン等のジェン系化合物を重合又は共重合させて得られる液状重合 体や、これらジェン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレン等の単量 体とをジェン系化合物が主体となるように共重合させて得られる NBR, SBR等の重 合体や更にはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物等)等が挙 げられる。これらは単独で用いてもよぐ 2種以上を併用してもよい。これら液状ジェン 系化合物のうちでは液状ポリブタジエンが好ましい。
[0211] 空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよぐ 2種以上を併用してもよい。また空
気酸化硬化性物質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用 すると効果を高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテ ン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ォクチル酸コバルト、ォクチル 酸ジルコニウム等の金属塩ゃァミン化合物等が例示される。
[0212] 空気酸化硬化性物質は、ビニル系重合体 (I) 100重量部に対して 0. 01〜30重量 部添加するのが好ましい。 0. 01重量部未満では効果が小さぐまた 30重量部を越 えると物性への悪影響が出ることがある。
<酸化防止剤、光安定剤 >
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、酸化防止剤又は光安定剤を用いても 良い。
酸化防止剤、光安定剤としては、各種のものが知られており、例えば大成社発行の「 酸ィ匕防止剤ハンドブック」、シーエムシー発行の「高分子材料の劣化と安定化」 (235 〜242)等に記載された種々のものが挙げられる力 これらに限定されるわけではな い。
酸ィ匕防止剤としては、特に限定はされないが、アデカスタブ PEP— 36、アデカスタ ブ AO— 23 (以上 、ずれも旭電化工業製)等のチォエーテル系酸化防止剤; Irgaf os38、 Irgafosl68、 Irgaf osP— EPQ (以上いずれもチノく'スペシャルティ'ケミカル ズ製)等のリン系酸ィ匕防止剤;ヒンダードフエノール系酸ィ匕防止剤等が挙げられる。な かでも、以下に示したようなヒンダードフエノール系化合物が好ましい。
[0213] ヒンダードフ ノール系化合物としては、具体的には以下のものが例示できる。
2, 6 ジー tーブチルー 4 メチルフエノール、 2, 6 ジー tーブチルー 4ーェチルフ ェノール、モノ(又はジ又はトリ)(αメチルベンジル)フエノール、 2, 2'ーメチレンビス (4 ェチル 6— t—ブチルフエノール)、 2, 2, 一メチレンビス(4—メチル 6— t— ブチノレフエノーノレ)、 4, 4,ーブチリデンビス(3—メチノレー 6— tーブチノレフエノーノレ) 、 4, 4'ーチォビス(3—メチルー 6 t ブチルフエノール)、 2, 5 ジー tーブチルハ イドロキノン、 2, 5 ジ一 t—ァミルハイドロキノン、トリエチレングリコール一ビス一 [3 一(3— t ブチルー 5—メチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、 1, 6 へ キサンジオール—ビス [3— (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プロピ
ォネート]、 2, 4 ビス一(n—ォクチルチオ)ー6—(4ーヒドロキシ 3, 5 ジー t— ブチルァ-リノ)— 1 , 3, 5 トリァジン、ペンタエリスリチルーテトラキス [3— (3, 5 - ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、 2, 2 チォージエチレン ビス [3— (3, 5—ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、ォクタデ シル— 3— (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、 N, N, —へキサメチレンビス(3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシ一ヒドロシンナマミド)、 3 , 5—ジ一 t ブチル 4—ヒドロキシ -ベンジルフォスフォネート ジェチルエステル 、 1 , 3, 5 トリメチルー 2, 4, 6 トリス(3, 5 ジ一 t—ブチル 4 ヒドロキシベンジ ル)ベンゼン、ビス(3, 5—ジ— t ブチル—4—ヒドロキシベンジルホスホン酸ェチル )カルシウム、トリス一(3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシベンジル)イソシァヌレ ート、 2, 4 ビス [ (オタチルチオ)メチル ] o クレゾール、 N, N,一ビス [3— (3, 5 - ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオ-ル]ヒドラジン、トリス(2, 4 ジー t ブチルフエ-ル)フォスファイト、 2 - (5—メチル 2 ヒドロキシフエ-ル)ベンゾト リァゾール、 2— [ 2 ヒドロキシ— 3 , 5 ビス( α , a -ジメチルベンジル)フエ-ル] — 2H ベンゾトリァゾール、 2— (3, 5 ジ一 t—ブチル 2 ヒドロキシフエ-ル)ベ ンゾトリァゾール、 2— (3— t—ブチル 5—メチル 2 ヒドロキシフエ-ル) 5 ク ロロべンゾトリァゾール、 2— (3, 5—ジ— t—ブチル—2—ヒドロキシフエ-ル)— 5— クロ口べンゾトリァゾール、 2— (3, 5 ジ一 t—アミルー 2 ヒドロキシフエ-ル)ベンゾ トリァゾール、 2 - (2,一ヒドロキシ一 5, 一t—ォクチルフエ-ル)一ベンゾトリアゾール 、メチル 3— [3— t—ブチル 5— (2H ベンゾトリアゾール 2—ィル) 4 ヒド ロキシフエ-ル]プロピオネート ポリエチレングリコール(分子量約 300)との縮合物 、ヒドロキシフエ-ルペンゾトリアゾール誘導体、 2— (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒド ロキシベンジル) 2— n—ブチルマロン酸ビス(1 , 2, 2, 6, 6 ペンタメチル一 4— ピペリジル)、 2, 4 ジー t ブチルフエ二ルー 3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシ ベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック 200、ノクラック M— 17、ノクラック SP、ノクラック SP— N 、ノクラック NS— 5、ノクラック NS— 6、ノクラック NS— 30、ノクラック 300、ノクラック N S— 7、ノクラック DAH (以上いずれも大内新興ィ匕学工業製)、アデカスタブ AO— 3
0、アデカスタブ AO— 40、アデカスタブ AO— 50、アデカスタブ AO— 60、アデ カスタブ AO— 616、アデカスタブ AO— 635、アデカスタブ AO— 658、アデ力 スタブ AO— 80、アデカスタブ AO— 15、アデカスタブ AO— 18、アデカスタブ 328、アデカスタブ 八0— 37 (以上ぃずれも旭電化ェ業製)、11¾}八?^0 ー245、 I RGANOX- 259, IRGANOX—565、 IRGANOX— 1010、 IRGANOX—1024 、 IRGANOX— 1035、 IRGANOX— 1076、 IRGANOX— 1081、 IRGANOX— 1098、 IRGANOX— 1222、 IRGANOX— 1330、 IRGANOX— 1425WL (以上 いずれもチノく'スペシャルティ'ケミカルズ製)、 SumilizerGM、 SumilizerGA— 80 ( 以上いずれも住友ィ匕学製)等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
[0215] また、光安定剤としては、チヌビン P、チヌビン 234、チヌビン 320、チヌビン 326、チ ヌビン 327、チヌビン 329、チヌビン 213 (以上いずれもチノく'スペシャルティ'ケミカル ズ製)等のベンゾトリアゾール系化合物、チヌビン 1577等のトリアジン系、 CHIMAS SORB81等のベンゾフエノン系化合物、チヌビン 120 (チノく'スペシャルティ ·ケミカル ズ製)等のベンゾエート系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系化合物等が 例示できる。
[0216] なかでも、ヒンダードアミン系化合物がより好ましい。ヒンダードアミン系化合物として は、具体的には以下のものが例示できる力 これらに限定されるものではない。
[0217] コハク酸ジメチルー 1一(2 ヒドロキシェチル)ー4ーヒドロキシ一 2, 2, 6, 6—テト ラメチルピペリジン重縮合物、ポリ [{6— (1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル)アミノー 1 , 3, 5 トリアジン— 2, 4 ジィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメチル— 4 ピペリジル)イミ ノ } ]、N, N,一ビス(3ァミノプロピノレ)エチレンジァミン 2, 4 ビス [N ブチノレー N - (1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチノレー 4 ピペリジノレ)ァミノ]— 6 クロ口一 1, 3, 5 ト リアジン縮合物、ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4ーピペリジル)セバケート、コハク 酸—ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチル— 4 ピペリディ-ル)エステル等が挙げられる。
[0218] 商品名で言えば、チヌビン 622LD、チヌビン 144、 CHIMASSORB944LD、 CH IMASSORB119FL (以上いずれもチノく'スペシャルティ'ケミカルズ製)、アデカス タブ LA— 52、アデカスタブ LA— 57、アデカスタブ LA— 62、アデカスタブ L A— 67、アデカスタブ LA— 63、アデカスタブ LA— 68、アデカスタブ LA—82、
アデカスタブ LA— 87 (以上いずれも旭電ィ匕工業製)、サノール LS— 770、サノー ノレ LS— 765、サノーノレ LS— 292、サノーノレ LS— 2626、サノーノレ LS— 1114、サノ ール LS— 744、サノール LS—440 (以上 、ずれも三共製)等が例示できるがこれら に限定されるものではない。
[0219] 酸ィ匕防止剤と光安定剤とは併用してもよぐ併用することによりその効果を更に発揮 し、耐熱性ゃ耐候性等が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止剤と光 安定剤を混合してあるチヌビン C353、チヌビン B75 (以上!/、ずれもチノく'スペシャル ティ ·ケミカルズ製)等を使用しても良 、。
[0220] なお、耐候性向上のために、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物 (HALS)を 組み合わせることがある力 この組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特 に限定はされないが併用しても良ぐ併用することが好ましいことがある。
[0221] 酸ィ匕防止剤あるいは光安定剤は、得には限定されないが、高分子量のものを用い ることにより本発明の耐熱性の改善効果を更に長期に亘つて発現するためより好まし い。
[0222] 酸化防止剤又は光安定剤の使用量は、それぞれ、ビニル系重合体 (I) 100重量部 に対して 0. 1〜20重量部の範囲であることが好ましい。 0. 1重量部未満では耐熱性 改善の効果が少なぐ 20重量部を超えると効果に大差がなく経済的に不利である。 <その他の添加剤 >
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的と して、必要に応じて、上記以外の各種添加剤を添加してもよい。
[0223] このような添加物としては、例えば、難燃剤、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル 禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料 、発泡剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよぐ 2種類以上を 併用してちょい。
このような添加物の具体例は、例えば、特公平 4 69659号、特公平 7—108928号 、特開昭 63— 254149号、特開昭 64— 22904号の各公報等に記載されている。 <硬化性組成物の作製 >
本発明の硬化性組成物は、上述したように、架橋性シリル基を少なくとも 1個有し、
主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビニル系重合体 (I)、及び、疎水性 微粉末シリカ(Π)又はアクリル酸エステル系架橋ゴム状重合体にビニル系単量体を グラフト重合して得られるグラフト共重合体 (III)を含有してなるものである。また、上 記ビュル系重合体 (I)、疎水性微粉末シリカ (Π)及びグラフト共重合体 (ΠΙ)を全て含 有することもできる。さらに、架橋性シリル基を少なくとも 1個有するポリオキシアルキレ ン系重合体 (IV)や、錫系硬化触媒 (V)も含有することができる。
[0224] 本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空 気中の湿気により硬化する 1成分型として調製しても良ぐ硬化剤として別途硬化触 媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用 前に混合する 2成分型として調整しても良い。 2成分型にすると、 2成分の混合時に 着色剤を添加することができ、例えば、サイデイングボードの色に合わせたシーリング 材を提供する際に、限られた在庫で豊富な色揃えをすることが可能となる等、市場か ら要望されている多色化対応が容易となり、低層建物用等により好ましい。着色剤は 、例えば顔料と可塑剤、場合によっては充填材を混合しペーストイ匕したものを用いる と作業し易い。また、更に 2成分の混合時に遅延剤を添加することにより硬化速度を 作業現場にて微調整することができる。
[0225] 上記のようにして得られた本発明の硬化性組成物は、透明である。また、透明材料 用硬化性組成物として、特に好ましく用いることができる。
< <硬化物 > >
<用途 >
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材ゃ複層ガ ラス用シーリング材、接着剤、弾性接着剤、コーティング材、ガスケット、注型材料、各 種成形材料、人工大理石、及び、網入りガラスや合わせガラス端面 (切断部)の防鲭 ,防水用封止材、自動車や船舶、家電等に使用される防振 ·制振,防音 ·免震材料、 自動車部品、電機部品、各種機械部品等において使用される液状シール剤等の様 々な用途に利用可能である。なかでも、接着剤、シーリング材、液状ガスケット、コー ティング材として、より好適に利用可能である。
実施例
[0226] 以下に、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例の みに限定されるものではない。
なお、下記実施例及び比較例中、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量 %」を表す。
また、下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布 (重量平均分子量と数平均 分子量の比)」は、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリス チレン換算法により算出した。ただし、 GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填 したもの(shodex GPC K— 804 ;昭和電工 (株)製)、 GPC溶媒としてクロ口ホルム を用いた。
(合成例 1)
2Lフラスコに臭化第一銅 8. 39g (58. 5mmol)、ァセトニトリル 112mLを仕込み、 窒素気流下 70°Cで 30分間加熱攪拌した。これに 2, 5—ジブロモアジピン酸ジェチ ル 17. 6g (48. 8mmol)、アクリル酸ブチル 224mL (l. 56mol)を加え、さらに 70。C で 45分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジェチレントリァミン (以後トリァミンと称 す) 0. 41mL (l. 95mmol)を加えて反応を開始した。引き続き 70°Cで加熱攪拌を 続け、反応開始後 80分から断続的にアクリル酸ブチル 895mL (6. 24mol)を 160 分かけて滴下した。またこの間にトリァミン 1. 84mL (8. 81mmol)を追カ卩した。反応 開始力ら 375分後に、 1, 7—才クタジェン 288mL (l. 95mol)、トリァミン 4. lmL (l 9. 5mmol)を添加し、引き続き 70°Cで加熱攪拌を続け、反応開始力も 615分後に 加熱を停止した。反応溶液をトルエンで希釈してろ過し、ろ液を減圧加熱すること〖こ より重合体 [1]を得た。得られた重合体 [1]の数平均分子量は 24000、分子量分布 1. 3であり、また1 H—NMR分析より求めた重合体 1分子あたりのァルケ-ル基の個 数は 2. 6個であった。
[0227] 窒素雰囲気下、 2Lフラスコに、上記重合体 [1]、酢酸カリウム 11. 9g (0. 121mol) 、N, N—ジメチル酢酸アミド(以下 DMAcともいう) 900mLを仕込み、 100°Cで 11時 間加熱攪拌した。反応溶液を減圧加熱して DMAcを除去し、トルエンを加えてろ過 した。ろ液に吸着剤(200g、協和化学製、キヨ一ワード 700PEL)を加えて窒素気流 下 100°Cで 3時間加熱攪拌した。吸着剤を濾過により除去した後、ろ液のトルエンを
減圧留去することにより重合体 [2]を得た。
[0228] 1L耐圧反応容器に、重合体 [2] (648g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(25. 5mL、 0. 207mol)、オルトぎ酸メチル(7. 54mL、 0. 0689mol)、及び 0価白金の 1, 1, 3 , 3—テトラメチル— 1, 3 ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒 の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で 3 X 10—3当量とした。混合物 を 100°Cで 2時間加熱攪拌した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル 基末端重合体 (ポリマー A)を得た。得られた重合体の数平均分子量は GPC測定 (ポ リスチレン換算)により 30000、分子量分布は 1. 8であった。重合体 1分子当たりに 導入された平均のシリル基の数を1 H—NMR分析により求めたところ、 1. 9個であつ た。
(合成例 2)
臭化第一銅 3. 40g (23. 7mmol)、ァセトニトリル 47mL、 2, 5 ジブロモアジピン 酸ジェチル 7. 80g (21. 7mmol)、アクリル酸ブチル 368mL (2. 56mol)、アクリル 酸メチル 38mL (0. 41mol)、アクリル酸ステアリル 77mL (0. 19mol)、トリアミン 2. 4 75mL (l l. 86mmol)、ァセトニトリル 141mL、 1, 7—ォクタジェン 58mL (0. 40m ol)を用いた以外は合成例 1と同様にして、アルケニル基末端ビニル系共重合体 [3] を得た。
[0229] この共重合体 [3] (260g)と、ジメトキシメチルヒドロシラン(8. 46mL、 68. 6mmol) 、オルトぎ酸ジメチル(2. 50mL、 22. 9mmol)、及び白金触媒を用いて、末端にシ リル基を有するポリ(アクリル酸 n—ブチル Zアクリル酸メチル Zアクリル酸ステアリ ル)共重合体 (ポリマー B)を得た。得られた共重合体の数平均分子量は 23000、分 子量分布は 1. 3であった。共重合体 1分子当たりに導入された平均のシリル基の数 を1 H— NMR分析により求めたところ、約 1. 7個であった。
(合成例 3)
ァリルエーテル基を分子末端に導入した平均分子量約 19000のポリオキシプロピ レン 800gを攪拌機付耐圧反応容器に入れ、メチルジメトキシシランと塩ィ匕白金酸触 媒 (塩化白金酸六水和物) 1 X 10—4[eqZビュル基]を加え、 90°Cで 2時間反応させ ることにより、一分子あたり平均 2. 1個のメチルジメトキシシリル基を有する架橋性シリ
ル基含有ポリオキシアルキレン重合体 (ポリマー C)を得た。
(実施例 1)
合成例 1で得られたポリマー A100重量部、疎水性微粉末シリカとしてへキサメチル ジシラザンで疎水処理したシリカ(日本ァエロジル (株)製、商品名 R812、粒径 0. 00 7 m) 5重量部、可塑剤としてジイソデシルフタレート (新日本理ィ匕 (株)製、商品名: サンソサイザ一 DIDP) 20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ'スぺシ ャルティ.ケミカルズ (株)製、商品名:チヌビン 213) 1重量部、ヒンダードアミン系光安 定剤 (三共 (株)製、商品名:サノール LS765) 1重量部、接着性付与剤として N— β - (アミノエチル) - γ—ァミノプロピルトリメトキシシラン(日本ュ-カー (株)製、商品 名: Α— 1120) 2重量部、錫系硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート (三共有機合 成 (株)製、商品名: STANN BL) 2重量部を加えて混練し、減圧にして脱泡を行つ て硬化性組成物を得た。
(実施例 2)
実施例 1におけるポリマー Αの代わりに、合成例 2で得られたポリマー B50重量部、 合成例 3で得られたポリマー C50重量部を用い、へキサメチルジシラザンで疎水処理 したシリカの代わりに、ジメチルシリコーンで疎水処理したシリカ(日本ァエロジル (株) 製、商品名 RY200S、粒径。. 012 5重量部を用い、ジイソデシルフタレートの 使用量を 10重量部に変更した以外は、実施例 1と同様にして硬化性組成物を得た。 (実施例 3)
実施例 2におけるジメチルシリコーンで疎水処理したシリカの代わりに、へキサメチ ルジシラザンで疎水処理したシリカ(日本ァエロジル (株)製、商品名 R812) 5重量部 を用いた以外は、実施例 2と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例 4)
実施例 2におけるジメチルシリコーンで疎水処理したシリカの代わりに、ジメチルジ クロルシランで疎水処理したシリカ(日本ァエロジル (株)製、商品名 R972CF、粒径 0. 016 /z m) 5重量部を用いた以外は、実施例 2と同様にして硬化性組成物を得た。 (実施例 5)
実施例 3におけるジイソデシルフタレートの代わりに、アクリル系可塑剤 (東亞合成 (
株)製、商品名:アルフォン UP— 1020) 10重量部を用いた以外は、実施例 3と同様 にして硬化性組成物を得た。
(実施例 6)
実施例 2におけるジイソデシルフタレートを 10重量部から 20重量部に増量し、ジメ チルシリコーンで疎水処理したシリカの代わりに、ブチルアタリレートを主成分とする 架橋ゴム状重合体に、メチルメタタリレートとブチルアタリレートを主成分とするビニル 系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体 (鐘淵化学工業 (株)社製、商 品名:カネエース FM— 20)を 5重量部用いた以外は、実施例 2と同様にして硬化性 組成物を得た。
(実施例 7)
実施例 6にお 、て、さらにへキサメチルジシラザンで疎水処理したシリカを 5重量部 用いた以外は、実施例 6と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例 8)
実施例 3におけるポリマー Cの代わりに、アクリル変性したポリオキシアルキレン系重 合体 (鐘淵化学工業 (株)社製、商品名: MSポリマー S943)を 50重量部用いた以外 は、実施例 3と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例 1)
実施例 1におけるジイソデシルフタレート 20重量部を 10重量部に変更し、へキサメ チルジシラザン処理シリカであるァエロジル R812を用いな 、こと以外は、実施例 1と 同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例 2)
実施例 2にお!/、て、ジメチルシリコーン処理シリカであるァエロジル RY200Sを用い な 、こと以外は、実施例 2と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例 3)
実施例 1において、ポリマー Aの代わりに MSポリマー S943を 100重量部用い、ジ イソデシルフタレート 20重量部を 10重量部に変更すること以外は、実施例 1と同様に して硬化性組成物を得た。
(比較例 4)
実施例 2において、ポリマー Bとポリマー Cを用いる代わりに、ポリマー Cを 100重量 部用いること以外は、実施例 2と同様にして硬化性組成物を得た。
上記実施例 1〜8及び比較例 1〜4で得られた硬化性組成物を用いて、各物性に つ!、て以下のようにして測定 ·評価を行 、、その結果を表 1に示した。
(硬化物の透明性)
23°C、 50%R. H. (相対湿度)の条件下において、厚さ 2mmのアクリル板上に、 5 mmのスぺーサーを用いて硬化性組成物を伸ばし、新聞紙の上に、厚さ 5mmの硬 化性組成物を載せたアクリル板を置き、上部から硬化性組成物とアクリル板を通して 新聞を観察した。文字の見え具合でその透明性を観察し、次のように評価した。 ◎:透明で文字がはっきり見える、〇:少し白濁している力 文字が読める、△:白濁し て文字が読めない、 X:不透明で文字が読めない
(ポリカーボネートへの接着性)
23°C、 50%R. H. の条件下において、硬化性組成物をポリカーボネート上に厚さが 約 5mmになるよう載せて、マイクロスパテユラで軽くおさえた。 1週間後にポリカーボ ネートとの基材界面に力ミソリ刃を用いて約 lcmの切りこみを入れ、これを約 180度 方向に引っ張った際の破壊状態を観察して、次のように評価した。 CFは接着性が良 好ということである。
CF:硬化性組成物の破壊、 AF:ポリカーボネート界面での剥離
(硬化性組成物の粘度)
硬化性組成物を lOOccのカップに空気が入らないように詰め、 23°C、 50%R. H.の 条件下において、(株)トキメック社製 BH型粘度計とローター No. 7を用いて、 2rpm 、 lOrpmにおける粘度をそれぞれ測定した。
(作業性)
硬化性組成物の 2rpmでの粘度の値を lOrpmの粘度で割った比(粘比)が 1. 1以 上を〇、 1. 1未満を Xとした。
(硬化物の引張物性)
硬化性組成物を厚さ約 3mmのシート状試験体にして、 23°C X 3日、 50°C X 4日の 硬化養生を行った後、 JIS3号ダンベル型に打ち抜いた。島津 (株)製オートグラフを
用いて引張速度 200mmZ分で引張試験(23°C、 50%R. H. )を行い、 50%引張 モジュラス、 100%引張モジュラス、破断時の強度 (Tb)、破断時の伸び (Eb)を測定 した。
謹性)
硬化性組成物を厚さ約 3mmのシート状試験体にして、 23°C X 3日、 50°C X 4日の 硬化養生を行った後、アルミ板にはりつけて、スガ試験機 (株)製サンシャインゥェザ 一メーターを用いて、促進耐候性試験 (ブラックパネル温度 63°C、降雨時間 18分 Z 120分)を行った。 500時間照射後、 1000時間照射後、 3000時間照射後に試験体 表面を観察し、表面が初期と同じ状態であるのを〇で示し、表面にクラック (割れ)が 生じたものを Xで示した。
[表 1]
S例 比較例
1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 3 4 架橋性シリル基含有リビ
ングラジカル重号法にて 100 100
製造されたビニル系重合
体ポリマー A
to架橋性シリル基含有リビ
料ングラジカル重号法にて
組 50 50 50 50 50 50 50 50
製造されたビニル系重合
成体ポリマー B
架橋性シリル基含有ポリ
ォキシアルキレン重合体 50 50 50 50 50 50 50 100 ポリマー C
MSポりマー S943 50 100 ァエロジル RY200S 5 5 ァエロジル R812 5 5 5 5 5 5 ァエロジル R972CF 5
カネエース FM- 20 5 5
ジイソデシルフタレ一卜 20 10 10 10 20 20 10 10 10 10 10 (可塑剤)
アクリル系可塑剤 10
紫外線吸収剤 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 光安定剤 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 接着性付与剤 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 錫系硬化触媒 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 硬 1匕物の透明性 ◎ O O ◎ O 〇 O ◎ ◎ O ◎ Δ ポリカーボネートへの接着性 CF CF CF CF CF CF CF CF CF CF CF CF 粘 2rpm (Pa- s) 270 170 70 106 84 228 245 204 92 24 158 146 度 l Orpm (Pa-s) 188 100 62 85 75 176 190 157 92 23 130 80 粘 J (2rpm/10rpm) 1.44 1.70 1.13 1.25 1.12 1.30 1.29 1.30 1.00 1.04 1.22 1.83 作業性 〇 O O 〇 〇 〇 〇 O X X 〇 〇
50%モジュラス (MPa) 0.1 0.24 0.23 0.25 0.24 0.24 0.29 0.12 0.09 0.17 0.18 0.39 引
張 100%モジュラス (MPa) 0.3 0.40 0.39 0.42 0.42 0.43 0.47 0.23 0.15 0.28 0.30 0.62 物破断時の強度 (MPa) 0.4 0.68 0.90 0.79 0.68 0.74 0.95 0.62 0.21 0.37 0.83 0.85 性
破断時の伸び (%) 143 185 225 205 185 182 193 239 147 147 299 167 サンシャインゥェザ一メー
ター 500時間後 〇 O O O 〇 〇 〇 O O O O X 耐
サンシャインウエザーメー
候ター 1000時間後 〇 O O O O 〇 O O O O X X 性
サンシャインウエザーメ一
〇 O O O X X ター 3000時間後 O O O 〇 〇 O 実施例 1で得られた硬化性組成物は、作業性がよぐ硬化物は透明で、耐候性試 験において 3000時間照射後も表面の劣化が見られず良好な耐候性を示した。また 、実施例 2〜8で得られた硬化性組成物は、ポリオキシアルキレン系共重合体を併用 することで、硬化物の透明性、耐候性を低下させることなぐ硬化物の破断時の強度
、破断時の伸びがさらに大幅に改善された。比較例 1、 2で得られた硬化性組成物は 、疎水性微粉末シリカ及びアクリル酸エステル系架橋ゴム状重合体にビュル系単量 体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体を含有しておらず、 2rpmと lOrpmの 粘度の比 (粘比)が小さぐシーリング材として使用する場合に、 目地に施工した際に 垂れる可能性が高ぐ好ましくない。比較例 3、 4で得られた硬化性組成物は、架橋性 シリル基含有リビングラジカル重合法で製造されたビニル系重合体を使用しておらず
、透明性や作業性、硬化物の引張物性は良好なものの、硬化物の耐候性が乏しぐ 長期の使用に耐えない。
産業上の利用可能性
本発明の硬化性組成物は、室温において空気中の湿分と反応して硬化する 1液型 とすることが可能であり、硬化物の強度、破断時の伸び、耐候性、接着性が優れた、 透明な硬化性組成物である。また、当該硬化性組成物は、透明な接着剤、シーリン グ材等として好適に使用できる。