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JPH1053447A - セメント硬化遅延剤およびその製造方法 - Google Patents

セメント硬化遅延剤およびその製造方法

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Publication number
JPH1053447A
JPH1053447A JP20722996A JP20722996A JPH1053447A JP H1053447 A JPH1053447 A JP H1053447A JP 20722996 A JP20722996 A JP 20722996A JP 20722996 A JP20722996 A JP 20722996A JP H1053447 A JPH1053447 A JP H1053447A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
component
curing
group
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20722996A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsu Ikuta
達 生田
Hiroaki Arita
博昭 有田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Evonik Ltd
Original Assignee
Daicel Huels Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Huels Ltd filed Critical Daicel Huels Ltd
Priority to JP20722996A priority Critical patent/JPH1053447A/ja
Publication of JPH1053447A publication Critical patent/JPH1053447A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B40/00Processes, in general, for influencing or modifying the properties of mortars, concrete or artificial stone compositions, e.g. their setting or hardening ability
    • C04B40/06Inhibiting the setting, e.g. mortars of the deferred action type containing water in breakable containers ; Inhibiting the action of active ingredients
    • C04B40/0633Chemical separation of ingredients, e.g. slowly soluble activator
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
    • C04B2103/20Retarders
    • C04B2103/24Hardening retarders

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  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)
  • Moulds, Cores, Or Mandrels (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分による溶出を抑制でき、高い硬化遅延能
を持続できるセメント硬化遅延剤を用い、洗い出し工法
によりコンクリート製品に装飾模様を形成する。 【解決手段】 アルカリの作用により加水分解可能なセ
メント硬化遅延成分の単位を、エステル結合又は酸アミ
ド結合により、重合体の主鎖又は側鎖に導入する。側鎖
に硬化遅延成分を有する重合体は、(1a)硬化遅延成分
(オキシカルボン酸など)の単位を有する重合性単量体
の単独重合体、又は共重合性単量体および共重合性高分
子(不飽和ポリエステル)の少くとも一方との共重合
体、(1b)重合体の側鎖のカルボキシル基などの反応性
基に対して硬化遅延能成分をエステル結合させた重合体
に大別される。主鎖に硬化遅延成分が導入された重合体
は、少くとも2つのヒドロキシル基又はカルボキシル基
を有する硬化遅延能成分をジオール成分又はジカルボン
酸成分とするポリエステルであってもよい。硬化遅延剤
は、粉粒体、フィルム又はシートであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメントの硬化を
遅延させる上で有用なセメント硬化遅延剤およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セメント硬化遅延剤は、セメントの水和
反応、ひいてはモルタルやコンクリートの凝結、硬化を
遅延させるために用いられるセメント混和剤の一種であ
る。特開平1−172250号公報にも記載されている
ように、従来のセメント硬化遅延剤は、無機系および有
機系の2種類に大別され、無機系硬化遅延剤としては、
酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ砂、塩化亜鉛、酸化亜鉛、珪
フッ化マグネシウムなどが使用され、有機系硬化遅延剤
としては、砂糖、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホ
ン酸塩、グルコン酸やその塩、ピルビン酸、α−ケトグ
ルタル酸などのケト酸などが使用されている。そして、
これらの硬化遅延剤の使用目的は、夏期における生コン
クリートの長時間輸送への対処、大型化したコンクリー
ト構造物における温度応力の緩和などである。
【0003】一方、コンクリート成形品および各種構造
物の表面には、左官技術の1つであるいわゆる洗い出し
工法を利用して装飾を施すことがしばしば行われてい
る。この洗い出し工法は、セメントが硬化する直前に水
洗することによりコンクリート表面層のモルタルを洗い
流し、骨材の一部を露出させる方法である。この方法
は、洗い出しを行うタイミングがコンクリートの硬化速
度との関係で時間的に極めて狭い範囲に限定されるの
で、コンクリート平板の多量生産や大型構造物への適用
は困難である。コンクリート混和物の一種であるセメン
ト硬化遅延剤を利用して、コンクリート表面層のみの硬
化を阻害すると、洗い出しのタイミングに拘りなく、コ
ンクリート製品の表面を装飾できる。具体的には、例え
ば、硬化遅延剤を紙に含浸させ、含浸紙を型枠の底に貼
付けなどにより固定し、生コンクリートを打設する。コ
ンクリートの硬化の後、成形品を型枠から離脱させ、前
記含浸紙と接触した表面部の未硬化のモルタルを洗い流
すことにより、骨材を露出させ、自然な風合いを有する
コンクリート製品が得られる。
【0004】しかし、前記セメント硬化遅延剤は、元来
セメント(以下、特に言及しない限り「コンクリート」
「モルタル」も含む意味に用いる)に混入するためのも
のであり、水に対して高い溶解性を具備している。この
ようなセメント硬化遅延剤を前記洗い出し工法に応用し
た場合には、生コンクリートの打設とともに硬化遅延剤
がコンクリートの中の水分に溶解し、型枠内または構築
物表面においてコンクリートからのブリード水と共に流
動する。そのため、洗い出しを必要としない個所にまで
硬化遅延剤が流動したり、場合によっては硬化遅延剤が
局所的に集中する一方、洗い出しを必要とする個所では
硬化遅延剤が流出し、硬化遅延剤の機能を有効に発現で
きない。特にコンクリート成形品や構造物表面に文字、
図柄などの装飾を洗い出し工法により施す場合には、硬
化遅延剤の効果発現部位を決定することが非常に困難で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、水分による溶出を抑制できるとともに、高い硬化遅
延能を有効に発現できるセメント硬化遅延剤およびその
製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
高い硬化遅延能を長期間に亘り持続できるセメント硬化
遅延剤およびその製造方法を提供することにある。本発
明のさらに他の目的は、洗い出し工法によりコンクリー
ト製品の表面に装飾模様を精度よく形成できるセメント
硬化遅延剤およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するするため鋭意検討の結果、セメント硬化遅延
能を有する成分を重合体の主鎖又は側鎖に加水分解可能
に導入すると、水に対する硬化遅延成分の溶出性と硬化
遅延能を抑制できる一方、セメントモルタルとの接触に
伴って、セメントモルタルの強いアルカリ性により前記
重合体が徐々に加水分解し、セメントに対する硬化遅延
効果を有効に発現できることを見いだし、本発明を完成
した。すなわち、本発明のセメント硬化遅延剤は、アル
カリの作用により加水分解可能なセメント硬化遅延成分
の単位を有する重合体で構成されている。この硬化遅延
剤において、セメント硬化遅延成分の単位は、重合体の
主鎖又は側鎖において、エステル結合又は酸アミド結合
で結合していてもよい。前記重合体は、加水分解可能な
セメント硬化遅延成分の単位を有する重合性単量体の単
独又は共重合体であってもよく、この共重合体は、加水
分解可能なセメント硬化遅延成分の単位を有する重合性
単量体と、共重合性単量体および共重合性高分子(不飽
和ポリエステルなど)のうち少くとも一方との共重合体
であってもよい。前記セメント硬化遅延成分は、ヒドロ
キシル基又はカルボキシル基を有する化合物、例えば、
オキシカルボン酸、ケトカルボン酸、多価カルボン酸、
糖、配糖体、多価アルコールなどであってもよい。主鎖
に硬化遅延成分が導入された重合体には、ヒドロキシル
基およびカルボキシル基から選択された少くとも2つの
反応性基を有する化合物と、少くともヒドロキシル基お
よびカルボキシル基の双方を有するオキシカルボン酸か
ら選択されたセメント硬化遅延能成分とのエステル化反
応により生成するポリエステルが含まれる。セメント硬
化遅延成分の単位の割合は、例えば、重合体全体に対し
て5〜60重量%程度である。前記硬化遅延剤の形態
は、(1)粉粒体、又は(2)フィルム又はシートであ
ってもよい。前記セメント硬化遅延剤は、(a)アルカ
リの作用により加水分解可能なセメント硬化遅延成分の
単位を有する重合性単量体の単独又は共重合、又は
(b)アルカリの作用により加水分解可能なセメント硬
化遅延成分のエステル化又はアミド化反応により、重合
体の側鎖又は主鎖にセメント硬化遅延成分の単位を導入
することにより製造できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のセメント硬化遅延剤を構
成する重合体は、アルカリの作用により加水分解して遊
離可能なセメント硬化遅延成分の単位を有している。
【0008】[セメント硬化遅延成分]セメント硬化遅
延成分は、重合体の主鎖又は側鎖に導入可能である限り
特に制限されないが、通常、活性水素原子(ヒドロキシ
ル基,カルボキシル基,又はアミノ基)を有している。
このような硬化遅延成分としては、例えば、ホスホン基
PO3 2 を有するホスホン酸化合物[例えば、アミノ
ジ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホス
ホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホス
ホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン
酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン
酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホ
ン酸)など]、オキシカルボン酸(グリコール酸、乳
酸、リンゴ酸、オキシマロン酸、粘液酸、酒石酸、クエ
ン酸、グルコン酸、ヒドロキシプロパン酸、グリセリン
酸など)、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ケト
カルボン酸(ピルビン酸、ケトグルタル酸など)、有機
カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ブタン酸
などの飽和多価カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸などの不飽和多価カルボン酸、グルコヘプタノ
ン酸など)、ポリヒドロキシ化合物(糖類,配糖体や多
価アルコールなど)、リグニンスルホン酸などが例示で
きる。糖類には、例えば、スクロース,サッカロース
(しょ糖)、グルコース(ぶどう糖)、コーンシロップ
などが含まれ、配糖体には、グルコース,フルクトー
ス,マンノース,ガラクトース,キシロース,アラビノ
ースなどの糖にヒドロキシ−C2-4 アルキル基やC2-4
アルキレンオキサイドが付加した化合物、多価アルコー
ルとしては、例えば、ピロガロール、没食子酸、2,
4,6−トリヒドロキシ安息香酸などの芳香族多価アル
コールなどが例示できる。これらの硬化遅延成分は単独
で又は二種以上組合せて重合体に導入することができ
る。
【0009】好ましい硬化遅延成分は、ヒドロキシル基
及び/又はカルボキシル基を有している。特にオキシカ
ルボン酸、なかでも分子中に2つのヒドロキシル基又は
2つのカルボキシル基を有するオキシカルボン酸が好ま
しい。
【0010】硬化遅延成分は、例えば、セメントに対し
て0.1重量%の硬化遅延成分を添加したとき、未添加
のセメントモルタルに対して、硬化時間を1.5倍以上
(例えば、1.5〜100倍)、好ましくは1.8倍以
上(例えば、2〜100倍程度)遅延させるのが好まし
い。より具体的には、普通ポルトランドセメントと、粗
粒率2.35で全体の99重量%が2.5mm篩を通過
する細骨材(砂)と、水とを用い、ポルトランドセメン
トに対する硬化遅延剤の割合0.1重量%、水/セメン
ト比=0.50、砂/セメント比=2.75の割合でホ
バート型ミキサーにより3分間混練して調製したモルタ
ル組成物について、貯蔵、計量、混練、凝結試験を21
℃の恒温室で行ったとき、ASTM C403に準じる
モルタル凝結試験において、セメントに対して0.1重
量%の硬化遅延剤を添加したモルタルの凝結始発時間T
1 は、硬化遅延剤を添加していないモルタルの凝結始発
時間T0 に対して、1.5倍以上(T=T1 /T0 ≧
1.5)、好ましくは1.8倍以上(T≧1.8)であ
る。
【0011】[重合体]前記重合体には、(I)側鎖に
おいて硬化遅延成分の単位がエステル結合又は酸アミド
結合した重合体、(II)主鎖において硬化遅延成分の単
位がエステル結合又は酸アミド結合した重合体に大別さ
れる。
【0012】(I)側鎖に硬化遅延成分の単位が結合し
た重合体 側鎖に硬化遅延成分の単位が結合した重合体には、(I
a)加水分解可能なセメント硬化遅延成分の単位を有す
る重合性単量体の単独又は共重合体、(Ib)重合体の側
鎖に位置する反応性基に対して硬化遅延成分が加水分解
可能に結合した重合体が含まれる。
【0013】(Ia)重合性単量体の単独又は共重合体 重合性単量体としては、前記硬化遅延成分と重合性化合
物とが加水分解可能に結合した単量体が使用できる。硬
化遅延成分と重合性化合物はエステル結合又はアミド結
合(特にエステル結合)で結合している。重合性単量体
には、少なくとも一つのヒドロキシル基、カルボキシル
基、酸無水物基、エポキシ基およびアミノ基から選択さ
れた少くとも1つの反応性基を有する重合性化合物と、
ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するセメント硬
化遅延成分とのエステル化合物又はアミド化合物が含ま
れる。より具体的には、硬化遅延成分の単位を有する重
合性単量体には、例えば、次のような化合物が含まれ
る。
【0014】(i)ヒドロキシル基含有重合性化合物と
カルボキシル基含有硬化遅延成分とのエステル ヒドロキシル基含有重合性化合物には、例えば、アリル
アルコールまたはその誘導体[アリルアルコール、アリ
ルアルコールにアルキレンオキサイド(エチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイドなどのC2-4 アルキレンオ
キサイド)が付加した付加体など]、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、C4-10アルキレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリオキシC2-4 アルキレン
グリコーメルモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモ
ノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリ
レートなどが含まれる。上記エステルは、慣用の方法、
例えば、ヒドロキシル基含有重合性化合物とカルボキシ
ル基含有硬化遅延成分とを、必要により触媒及び/又は
有機溶媒の存在下、エステル化することにより得ること
ができる。
【0015】(ii)カルボキシル基又は酸無水物基含有
重合性化合物とヒドロキシル基含有硬化遅延成分とのエ
ステル カルボキシル基又は酸無水物基含有重合性化合物として
は、例えば、(メタ)アクリル酸などの重合性モノカル
ボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸などの重合性多価カルボン酸又はその酸無水物な
どが例示できる。上記エステルは、慣用の方法、例え
ば、カルボキシル基又は酸無水物基含有重合性化合物と
ヒドロキシル基含有硬化遅延成分とを、必要により触媒
及び/又は有機溶媒の存在下、エステル化することによ
り得ることができる。このような化合物には、グルコー
スなどの糖に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリレートがエーテ
ル結合した化合物[例えば、日本精化(株),商品名
「Sucraph-GEMA」]も含まれる。
【0016】(iii)エポキシ基含有重合性化合物とカ
ルボキシル基含有硬化遅延成分とのエステル エポキシ基含有重合性化合物としては、例えば、アリル
グリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート
などが例示できる。上記エステルは、慣用の方法、例え
ば、エポキシ基含有重合性化合物とカルボキシル基含有
硬化遅延成分とを、必要により触媒及び/又は有機溶媒
の存在下、エステル化することにより得ることができ
る。
【0017】(iv)アミノ基含有重合性化合物とカルボ
キシル基含有硬化遅延成分とのアミド アミノ基含有重合性化合物としては、例えば、アミノス
チレン、ビニルアミン(例えば、ビニルジメチルアミ
ン、ビニルジエチルアミンなど)などが挙げられる。上
記アミド化合物は、アミノ基含有重合性化合物とカルボ
キシル基含有硬化遅延成分とを、必要により触媒及び/
又は有機溶媒の存在下、反応させることにより得ること
ができる。
【0018】これらの重合性単量体は単独で又は二種以
上組合せて使用できる。好ましい重合性単量体には、カ
ルボキシル基又は酸無水物基を有する重合性化合物(例
えば、(メタ)アクリル酸やマレイン酸又はその酸無水
物など)とヒドロキシル基含有セメント硬化遅延成分
(例えば、オキシカルボン酸など)とのエステルが含ま
れる。
【0019】硬化遅延成分の単位を有する重合性単量体
は単独で重合してもよく、他の共重合性単量体及び共重
合性高分子のうち少くとも一方の成分と共重合させても
よい。共重合性単量体と共重合性高分子は併用してもよ
い。共重合性単量体には、前記硬化遅延成分を有する重
合性単量体に対して共重合可能な種々のビニル単量体、
例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエンなど)、アクリル系単量
体[例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)
アクリル酸C 1-18アルキルエステル、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-6 アルキル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリロニトリルなど]、ビニルエステル
系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルな
ど)、ビニルエーテル系単量体(メチルビニルエーチ
ル、イソブチルビニルエーテルなど)、アリルエーテル
系単量体(アリルアルコール、アリルアルコールのエチ
レンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加体など)
などが含まれる。これらの共重合性単量体は単独で又は
二種以上組合せて使用できる。好ましい共重合性単量体
は、スチレン系単量体(特にスチレン)、アクリル系単
量体[特に、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
1-10アルキルエステル、ヒドロキシC2-4 アルキル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
トなど]である。
【0020】共重合性高分子には、重合性不飽和結合を
有する種々の高分子、例えば、不飽和ポリエステル、エ
ポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により生成す
るエポキシ(メタ)アクリレートなどのビニルエステル
樹脂、(メタ)アクリル酸や2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)ア
クリレートを用いたポリエステル(メタ)アクリレー
ト、前記ヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレー
トを用いたウレタン(メタ)アクリレートなどが含まれ
る。これらの共重合体高分子も単独で又は二種以上組合
せて使用できる。好ましい共重合性高分子は、不飽和ポ
リエステルである。この不飽和ポリエステルは、加水分
解によりセメント硬化遅延能を発現させる。そのため、
前記硬化遅延成分の単位を有する重合性単量体と不飽和
ポリエステルとの共重合体を用いると、側鎖の加水分解
により硬化遅延能が発現するとともに、主鎖のエステル
結合の加水分解によっても硬化遅延能が発現するので、
長時間に亘り硬化遅延能を維持できる。
【0021】硬化遅延成分の単位を有する重合性単量体
の割合は、硬化遅延成分の単位の割合が、重合体全体の
5〜60重量%、好ましくは10〜50重量場、さらに
好ましくは20〜50重量%程度となる範囲から選択で
きる。硬化遅延成分の単位を有する重合性単量体の割合
は、例えば、共重合性単量体及び/又は共重合性高分子
100重量部に対して、10〜1000重量部、好まし
くは25〜750重量部、さらに好ましくは50〜50
0重量部程度の範囲であってもよい。なお、共重合性高
分子が不飽和ポリエステルである場合、硬化遅延成分の
単位を有する重合性単量体の割合は、例えば、不飽和ポ
リエステル100重量部に対して、5〜1000重量
部、好ましくは10〜750重量部、さらに好ましくは
20〜500重量部程度の範囲であってもよい。
【0022】(Ib)重合体の側鎖の反応性基に対して硬
化遅延成分が結合した重合体 この重合体は、高分子反応により、側鎖にセメント硬化
遅延成分が導入されている。すなわち、重合体として、
側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物基お
よびアミノ基から選択された少くとも一種の反応性基を
有する重合体を用い、前記反応性基に対してエステル又
はアミド結合させることによりセメント硬化遅延成分を
導入している。
【0023】前記反応性基を有する重合体としては、例
えば、ヒドロキシル基含有重合体[セルロースエステ
ル、セルロースエーテルなどのセルロース誘導体、ポリ
ビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールなどの
酢酸ビニル系重合体から誘導される重合体、前記ヒドロ
キシヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレートの
単独重合体又は他の共重合性単量体((メタ)アクリル
酸C1-10アルキルエステル、スチレンなど)との共重合
体など]、カルボキシル基含有重合体[(メタ)アクリ
ル酸の単独重合体又は他の共重合性単量体((メタ)ア
クリル酸C1-10アルキルエステル、スチレンなど)との
共重合体、マレイン酸,フマル酸と共重合性単量体
((メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル、スチレ
ンなど)との共重合体など]、酸無水物基含有重合体
[スチレン−無水マレイン酸共重合体、アルキルビニル
エーテル−無水マレイン酸共重合体など]、アミノ基含
有重合体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
などの置換アミノ基含有単量体と、他の共重合性単量体
((メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル、スチレ
ンなど)との共重合体など]などが挙げられる。これら
の反応性基を有する重合体は単独で又は二種以上使用で
きる。
【0024】重合体の側鎖に位置するセメント硬化遅延
成分は、慣用の方法、例えば、ヒドロキシル基含有重合
体ではカルボキシル基を有する硬化遅延成分とのエステ
ル化反応により導入でき、カルボキシル基含有重合体や
酸無水物基含有重合体ではヒドロキシル基を有する硬化
遅延成分とのエステル化反応により導入でき、アミノ基
含有重合体ではカルボキシル基を有する硬化遅延成分と
のアミド化反応により導入できる。硬化遅延成分の導入
量は、例えば、硬化遅延成分が導入された重合体全体の
5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%、さらに
好ましくは15〜30重量%程度である。
【0025】(II)重合体の主鎖に硬化遅延成分の単位
が結合した重合体 この重合体は、エステル化反応により重合体の主鎖に硬
化遅延成分の単位が加水分解可能に導入されている。す
なわち、この重合体では、硬化遅延成分として少くとも
ヒドロキシル基およびカルボキシル基の双方を有するオ
キシカルボン酸から選択された硬化遅延能成分を用い、
ヒドロキシル基およびカルボキシル基から選択された少
くとも2つの反応性基を有する化合物(グリコール成分
やジカルボン酸成分など)とのエステル化反応によりポ
リエステルの主鎖に硬化遅延成分を導入する。このポリ
エステルは、線状であってもよく、三次元的に分岐した
り架橋していてもよい。前記硬化遅延成分を構成するオ
キシカルボン酸としては、前記例示の化合物が使用でき
る。好ましい硬化遅延成分としては、例えば、ジカルボ
キシル化合物(乳酸,タルトロン酸,リンゴ酸,酒石
酸,クエン酸,オキシマロン酸など)、ジヒドロキシ化
合物(グルコン酸、グリセリン酸など)などが例示でき
る。
【0026】硬化遅延成分は、グリコール成分又はジカ
ルボン酸成分の一部又は全部として脱水縮合反応(エス
テル化反応)に供することによりポリエステルに導入さ
れ、生成するポリエステルは、飽和ポリエステルであっ
てもよく不飽和ポリエステルであってもよい。不飽和ポ
リエステルは前記ジカルボン酸成分として少くとも無水
マレイン酸(又はマレイン酸)を用いることにより調製
できる。
【0027】硬化遅延成分に対するグリコール成分とし
ては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC
2-6 アルキレングリコール;ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール(以
下、特に言及しない限り、これらを単にポリエチレング
リコールと総称する)、ジプロピレングリコール、トリ
プロピレンクセリコール、ポリプロピレングリコール
(以下、特に言及しない限り、これらを単にポリプロピ
レングリコールと総称する)、ポリテトラメチレングリ
コールなどのポリオキシアルキレングリコールなどが挙
げられる。これらのグリコール成分は単独で使用しても
よく組合せて使用してもよい。
【0028】硬化遅延成分に対するジカルボン酸成分と
しては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの
炭素数2〜10程度の脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン
酸などの炭素数4〜6程度の脂肪族不飽和ジカルボン
酸、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸などが含まれる。これら
の多価カルボン酸は単独で又は2種以上組合せて使用で
きる。
【0029】硬化遅延成分が導入された飽和又は不飽和
ポリエステルは、強度、伸度、可撓性、柔軟性、耐性な
どの特性を調整するため、前記硬化遅延成分,グリコー
ル成分及びジカルボン酸成分以外の成分により改質して
もよい。例えば、前記グリコール成分及びジカルボン酸
成分の少なくとも一方の成分の一部に代えて、多価アル
コール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールなど)、多価カルボン酸(例
えば、トリメリット酸、ピロメリット酸など)などを共
重合することができる。フタル酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸から選択された芳香族ジカルボン酸又はその誘
導体を含む多価カルボン酸成分は、ポリエステルの強
度、伸度、可撓性、柔軟性、耐水性などの特性を調整す
るのに有用である。
【0030】飽和又は不飽和ポリエステルの分子量は特
に制限されないが、例えば、重量平均分子量300〜2
5000、好ましくは500〜15000程度である。
硬化遅延成分が導入されたポリエステルはゲル化物であ
ってもよい。また、硬化遅延成分が導入された不飽和ポ
リエステルは架橋硬化物であってもよい。不飽和ポリエ
ステルの架橋硬化物は、不飽和ポリエステル樹脂単独、
又は不飽和ポリエステルおよび反応性希釈剤(重合性ビ
ニルモノマー)の重合性組成物を有機過酸化物などの重
合開始剤により重合して硬化させることにより得ること
ができる。反応性希釈剤としては、重合性ビニルモノマ
ー、例えば、スチレンなどのスチレン系モノマー、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭
素数1〜10程度のアルキル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリ
シジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有するモノ
マーなどが挙げられる。これらの反応性希釈剤は一種又
は二種以上使用できる。なお、反応性希釈剤の使用量
は、所望する特性に応じて選択でき、例えば、樹脂10
0重量部に対して、10〜500重量部、好ましくは2
5〜200重量部程度である。
【0031】有機過酸化物としては、例えば、メチルエ
チルケトンパーオキシド、クメンハイドロパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエード、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、ジクミルパーオキシドなどが挙げられる。不
飽和ポリエステルの硬化は、常温でも可能であるが、短
時間(例えば、0.5〜50分程度)で硬化させるため
には、温度60〜200℃程度で行なうのが有利であ
る。硬化を促進するため、必要に応じて、硬化促進剤、
例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトなど
のコバルトの有機酸塩、アセチルアセトン、アセト酢酸
エチルなどのβ−ジケトン類、芳香族3級アミン類、メ
ルカプト化合物などを併用してもよい。
【0032】硬化遅延成分の単位の割合は、ポリエステ
ル全体に対して5〜60重量%、好ましくは10〜50
重量%、さらに好ましくは20〜50重量%程度であ
る。
【0033】本発明のセメント硬化遅延剤は、他の硬化
遅延成分の他、種々の添加剤、例えば、顔料、染料など
の着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤、可
塑剤、消泡剤、乳化剤、充填剤などを含んでいてもよ
い。 [セメント硬化遅延剤の形態]本発明の硬化遅延剤の形
態は、(1)粉粒体や(2)フィルム又はシート(以
下、単に硬化遅延シートと称する場合がある)であって
もよい。また、(1)粉粒体は、(1a)前記重合体で構
成された粉粒体であってもよく、(1b)前記重合体で被
覆された粉粒体であってもよい。
【0034】前記粉粒体(1a)は、慣用の方法、例え
ば、粉砕、分級、造粒、スプレードライなどの方法や懸
濁重合と乾燥などの方法で得ることができ、重合体で被
覆された粉粒体(1b)は、有機又は無機粉粒体を、スプ
レー、浸漬などの方法や、流動層コーティング、マイク
ロカプセル化方法などで被覆することにより得ることが
できる。有機粉粒体には、例えば、木材、熱可塑性樹脂
(塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニ
ル系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、
オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリ
カーボネート、飽和ポリエステル、セルロース系樹脂な
ど)や熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
尿素樹脂、ポリウレタンなど)の粉粒体が含まれ、無機
粉粒体には、例えば、金属(鉄、アルミニウムなど)、
無機化合物(ケイソウ土、カオリン、タルク、ベントナ
イト、クレー、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、
酸化チタン、ガラス、セメント、硫酸カルシウム、炭酸
カルシウム、硫酸バリウム、石灰など)、砂や礫、セラ
ミックス、炭素(カーボンブラック、グラファイトな
ど)などが含まれる。有機又は無機粉粒体は、粉砕、分
級などの他、慣用の切断、造粒、成形や懸濁重合などの
方法により得ることができる。
【0035】硬化遅延能を有する重合体の被覆量は、広
い範囲、例えば、有機又は無機粉粒体100重量部に対
して1〜500重量部、好ましくは1〜250重量部、
さらに好ましくは5〜100重量部程度の範囲から選択
してもよい。粉粒体(1)の形状は特に制限されず、例
えば、無定形、球形、楕円形、ロッド状などのいずれで
あってもよい。粉粒体(1)の粒径は、例えば、平均粒
径1μm〜10mm、好ましくは5μm〜30mm、特
に10μm〜10mm程度の範囲から選択できる。
【0036】(2)硬化遅延シートは、(2a)前記重合
体で構成されたフィルム又はシートであってもよく、
(2b)前記重合体を基材に保持するフィルム又はシート
であってもよい。さらに、重合体を保持するフィルム又
はシート(2b)は、(2b-1)前記重合体を含む硬化遅延
層が、離型処理されていてもよい基材シート上に形成さ
れたフィルム又はシートや、(2b-2)前記重合体が多孔
質基材に含浸したフィルム又はシートであってもよい。
【0037】(2a)前記重合体で構成されたフィルム又
はシートは、硬化遅延成分が導入された重合体,および
必要により他の高分子とで構成された樹脂組成物を、慣
用の成形法、例えば、押出し成形法、流延法、カレンダ
ー法などでフィルム又はシート成形することにより調製
できる。硬化遅延成分が導入された重合体を保持するフ
ィルム又はシート(2b)のうち、(2b-1)硬化遅延層が
基材シート上に形成されたフィルム又はシート、および
(2b-2)前記重合体が多孔質基材に含浸したフィルム又
はシートは、硬化遅延成分が導入された重合体,および
必要によりバインダー樹脂を含む組成物を基材シートに
塗布又は含浸させ、硬化遅延層を形成することにより調
製できる。この方法において、塗布、含浸やコーティン
グには、加熱溶融した組成物を用いてもよく、水又は有
機溶媒を含む組成物を用いてもよい。有機溶媒として
は、例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアル
コール類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキ
サンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロ
エタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエ
チルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル
類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエー
テル類、及びこれらの混合溶媒などが例示できる。硬化
遅延成分が導入された重合体を含む組成物は、基材シー
トの少なくとも一方の面に塗布すればよく、塗布層は基
材シートの全面に形成してもよく、部分的(例えば、規
則的パターン又は不規則パターンとして)に形成しても
よい。
【0038】前記基材シートには、例えば、プラスチッ
クシートや金属箔などの無孔性シート、紙、織布や不織
布などの多孔性シートが含まれる。基材シートのうち好
ましい無孔性シートとしてはプラスチックシートが含ま
れ、多孔性シートとしては不織布などが含まれる。基材
シートを構成するポリマーは特に制限されず、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系ポリ
マー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリエステル(特にポリアルキレンテ
レフタレート);エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸共重合体;アクリル樹脂;ポリスチレ
ン;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリカーボネート;
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共
重合体などが例示される。これらのポリマーは一種又は
二種以上使用できる。好ましい基材シートには、プラス
チックシートや不織布などが含まれる。基材シートは、
単一層のシートであってもよく複数の層が積層された複
合シート、例えば、ポリエチレン製繊維などの繊維を織
ったクロスの片面又は両面に、前記ポリエチレンなどの
シートを積層した積層シートなどであってもよい。ま
た、プラスチックシートなどの基材シートは、未延伸シ
ートであってもよく、一軸又は二軸延伸シートであって
もよい。さらに、密着性を高めるため、基材シートの表
面は、火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などに
より表面処理されていてもよい。表面処理された基材シ
ートの表面張力は、約40dyn/cm以上である場合
が多い。前記基材シートの厚みは、作業性、機械的強度
などを損わない範囲で選択でき、例えば、15〜500
μm、好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは
30〜300μm程度であり、50〜300μm程度で
ある場合が多い。
【0039】硬化遅延シートは、適宜裁断して表面装飾
用シートとして使用してもよい。例えば、コンクリート
製品の洗いだし部位に対応する型枠の内壁又は底壁の部
位に、裁断した硬化遅延シートを貼付などにより固定
し、コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した
後、脱型し、貼付部位に対応するコンクリート製品の表
面の未硬化モルタルを洗い流すことにより、化粧仕上げ
コンクリート製品を得ることができる。また、硬化遅延
成分が被覆された形態で基材シートに保持されているの
で、コンクリートを打設しても硬化遅延成分の移動を抑
制できるとともに、ブリード水により流動することもな
い。そのため、コンクリート成形品又は建築物のうち、
所望の表面部位に文字、図柄などの装飾パターンを精度
よく明確に施すことができる。
【0040】硬化遅延シートは、シートへの粘着剤又は
接着剤(以下、単に粘着剤という)の混入、粘着剤の塗
布や、硬化遅延成分が導入された重合体で構成された被
覆層への粘着剤の混入などにより、粘着性又は接着性が
付与されたシートであってもよい。さらに、粘着性は、
硬化遅延成分を有する重合性単量体,共重合性単量体,
共重合性高分子の選択(特に共重合性単量体のうち、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシルなどのアクリル酸C2-8 アルキルエステル
の選択)により付与してもよい。粘着剤により粘着性が
付与された硬化遅延シートを利用すると、表面に模様、
図形や洗い出し面が形成され、装飾材と一体に固着した
コンクリート製品を製造する上で有用である。すなわ
ち、粘着面を上面にしてシートを型枠内に敷設し、粘着
面に石、タイルなどの複数の化粧材の表面側を粘着によ
り配置し、化粧材を位置決め固定する。次いで、無機硬
化性組成物を型枠内に打設し、養生などの慣用の硬化方
法により硬化させ、硬化した成形品を型枠から取出す。
そして、化粧材の表面側(シートとの接触面側)を水、
加圧水、ジェット流などにより洗浄することにより、化
粧材に付着した未硬化の組成物を容易に除去でき、粘着
剤を除去することにより、清浄化された表化粧材が貼り
合せられたコンクリート製品(化粧仕上げブロック、プ
レキャストコンクリート板など)を得ることができる。
なお、化粧材をシートの粘着面に粘着させない場合に
は、前記洗い出しにより骨材が露出し模様又は洗い出し
面を形成できる。
【0041】さらに、粘着性が付与された硬化遅延シー
トを用いる場合、型枠内で装飾材を配置することなく、
予め粘着面に装飾材を配置又は配列させたキットシート
を型枠内に配設してもよい。例えば、粘着面に、複数の
装飾材としてのタイルを面方向に連続して又は散在して
貼着することにより、ユニットタイルを形成できる。複
数のタイルは、面方向(例えば、縦方向,横方向や縦横
方向)に互いに隣接(連続)して又は間隔をおいて配列
する場合が多い。このような装飾材キットシートを用い
ると、個別に型枠内で装飾材を配置する必要がなく、別
の工程で作製された装飾材キットシートを型枠内に配設
するだけでよく、作業効率を高めることができる。装飾
材としては、種々の材料、例えば、玉石、黒石、鉄平石
などの天然石、人造石などの石材、タイルなどのセラミ
ックス材、金属材、ガラス材、木材、織布などが使用で
きる。装飾材は平板状であってもよく、タイルは通常の
タイルの他、モザイクタイルや割りタイルであってもよ
い。また、コンクリート製品の製造に際して、必要に応
じて、型枠内に鉄筋などの補強材を配設して無機硬化性
組成物を打設してもよい。
【0042】前記ユニットタイルなどの装飾材キットフ
イルムは、プレキャストコンクリート板などの化粧仕上
げコンクリート製品の製造に有用である。すなわち、前
記タイルなどの装飾材の裏面を上にして装飾材キットシ
ートを、コンクリート打設用型枠に配置し、コンクリー
トを打設して養生した後、脱型し、粘着性シートを除去
することにより、装飾材表面を露出させ、装飾材の表面
を水洗することにより、装飾材表面に回り込んだ非硬化
状態の無機硬化性組成物(セメントなど)を洗い流すこ
とにより、装飾材と一体化したプレキャストコンクリー
ト板を製造できる。すなわち、タイルなどの装飾材の表
面側に無機硬化性組成物が回り込んでも、硬化遅延剤に
より無機硬化性組成物の硬化を抑制でき、非硬化(半硬
化又は未硬化)状態となるため、装飾材の表面から無機
硬化性組成物を除去するための表面仕上げを、水洗など
の洗浄という簡単な操作で効率よく、しかも完璧に行な
うことができる。
【0043】前記硬化遅延シートにおいて、硬化遅延成
分が導入された重合体を含む硬化遅延層は基材シートか
ら剥離可能であってもよい。基材シートから硬化遅延層
が剥離可能である場合には、硬化遅延層のうち所望する
模様などに対応させて所定の部位又は領域をカッティン
グして基材シートから剥離し、シートを型枠内に配設
し、無機硬化性組成物(モルタル組成物など)を打設
し、養生硬化したコンクリート製品のうち前記シートと
の接触面を洗い出すことにより、コンクリート製品の表
面のうち非カッティング部に対応する部位に模様、図形
パターンや骨材などが露出した洗い出し面を形成でき
る。硬化遅延層を剥離可能とするため、基材シートの表
面は未処理であってもよく、例えば、ワックス、高級脂
肪酸アミド、シリコーンオイルなどの離型剤で処理して
もよい。基材シートの表面張力は、硬化遅延層の接着強
度と関連付けて、硬化遅延層の剥離性を損わない範囲で
相対的に選択できる。基材シートの表面張力は、例え
ば、38dyn/cm以下、好ましくは20〜38dy
n/cm、さらに好ましくは25〜36dyn/cm程
度である場合が多い。
【0044】本発明のセメント硬化遅延剤は、種々のセ
メント、例えば、気硬性セメント(セッコウ、消石灰や
ドロマイトプラスターなどの石灰);水硬性セメント
(例えば、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセ
メント、アルミナセメント、急硬高強度セメント、焼き
セッコウなどの自硬性セメント;石灰スラグセメント、
高炉セメントなど;混合セメント)などの硬化抑制に適
用できる。好ましいセメントには、例えば、セッコウ、
ドロマイトプラスターおよび水硬性セメントなどが含ま
れる。前記セメントは、水とのペースト組成物(セメン
トペースト)として使用してもよく、砂、ケイ砂、パー
ライトなどの細骨材、粗骨材を含むモルタル組成物やコ
ンクリート組成物として使用してもよい。前記ペースト
組成物及びモルタル組成物は、必要に応じて、着色剤、
硬化剤、塩化カルシウムなどの硬化促進剤、ナフタレン
スルホン酸ナトリウムなどの減水剤、凝固剤、カルボキ
シメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルア
ルコールなどの増粘剤、発泡剤、合成樹脂エマルジョン
などの防水剤、可塑剤などの種々の添加剤を含んでいて
もよい。
【0045】本発明のセメント硬化遅延剤は、種々のコ
ンクリート製品、例えば、カーテンウォール、壁材など
のコンクリートパネル、コンクリートブロックなどの製
造、特に化粧仕上げコンクリート製品(例えば、プレキ
ャストコンクリート板)の製造に有用である。
【0046】
【発明の効果】本発明では、加水分解可能な結合様式で
硬化遅延成分が重合体に導入されているため、水分によ
る溶出を抑制できるとともに、高い硬化遅延能を有効に
発現できる。また、高い硬化遅延能を長期間に亘り持続
できる。そのため、洗い出し工法によりコンクリート製
品の表面に装飾模様を精度よく形成できる。
【0047】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 アセトン溶媒中に2−ヒドロキシエチルメタクリレート
130.1g(1.0モル)、DL−リンゴ酸67g
(0.5モル)、モレキュラーシーブ10gおよび96
%硫酸1gを入れ、還流下で24時間反応させることに
より、リンゴ酸変性アクリル系単量体を生成させた(リ
ンゴ酸変性アクリル系単量体の含有量46重量%)。反
応終了後、モレキュラーシーブを濾過し、溶媒であるア
セトンをベンゼンに置換し、重合開始剤としてアゾイソ
ブチロニトリル(AIBN)をリンゴ酸変性アクリル系
単量体に対して0.5重量%添加し、窒素気流下、50
℃で15時間反応させることにより、数平均分子量約1
0000の重合体を得た。
【0048】そして、重合体を含む重合液を、バーコー
ターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに乾
燥後の厚み約60μmで塗布し、得られた硬化遅延シー
トをプラスチック製トレイの底面に貼り付けてモルタル
を打設した。1日経過後に脱型し、硬化したコンクリー
トの表面を水で洗い出し、凹部の洗い出し深さを非接触
式レーザー式変位センサーを用いて測定したところ、洗
い出し深度6.0mmであった。
【0049】実施例2 無水マレイン酸(159.7g)とプロピレングリコー
ル(169.6g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(160mg)を反応容器に仕込み、窒素気流下で徐々
に120℃に昇温し、反応により生成する水を反応系外
に除去しつつ7時間撹拌することにより数平均分子量約
500の不飽和ポリエステルを得た。このポリエステル
(50g)と実施例1で得られたリンゴ酸変性アクリル
系単量体(35g)、硬化剤としての有機過酸化物
(1.7g)(日本油脂(株)製,パーブチルO)、促
進剤としてのナフテン酸コバルト(1.7g)を加え、
80℃で30分加熱し、架橋した重合体を得た。架橋重
合体を液体窒素で冷却し、粉砕することにより、粉粒体
(平均粒径120μm)を得た。この粉粒体をプラスチ
ック製トレイの底面に散布してモルタルを打設した。1
日経過後に脱型し、硬化したコンクリートの表面を水で
洗い出し、凹部の洗い出し深さを非接触式レーザー式変
位センサーを用いて測定したところ、洗い出し深度4.
8mmであった。
【0050】実施例3 グリセリン(92g)と96%硫酸(0.5g)との混
合物を65℃に昇温し、ピルビン酸メチルエステル(3
4g)を徐々に滴下した。反応により生成するメタノー
ルを系外に追い出しながら反応させることにより、ピル
ビン酸グリエリンエステル(グリセリンモノエステル,
ジエステルの混合物)が得られた。ブチルアクリレート
70gとアクリル酸30gとの共重合体(カルボキシル
基を有する重合体,重量平均分子量20000)の酢酸
エチル溶液(固形分45重量%)110gに上記ピルビ
ン酸グリセリンエステル30g、触媒としてチタン酸テ
トラ−n−ブチル30mgを添加し、溶媒の酢酸エチル
を流出させながら、130℃で撹拌したところゲル化生
成物が得られた。ゲル化物を液体窒素で冷却し、粉砕す
ることにより、粉粒体(平均粒径150μm)を得た。
この粉粒体を用い、実施例2と同様にして洗い出し深さ
を測定したところ、洗い出し深度4.5mmであった。
【0051】実施例4 DL−グリセリン酸(65%水溶液)20gと無水マレ
イン酸12.1gとを反応器に仕込み、窒素気流下、生
成する水を系外に追い出しながら120℃で1時間、続
いて、150℃で2時間、更に200℃で3時間加熱を
することにより、ゲル化物を得た。生成したゲル化物を
液体窒素で冷却し、粉砕することにより、粉粒体(平均
粒径180μm)を得た。
【0052】この粉粒体を用い、実施例2と同様にして
洗い出し深さを測定したところ、洗い出し深度5.1m
mであった。
【0053】実施例5 グルコースと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとが
エーテル結合した化合物[日本精化(株),商品名「SU
CRAPH-GEMA」,50重量%水溶液]20gにレドックス
開始剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウム0.1gを
入れ、40℃で3時間撹拌した。重合液をアルミニウム
ホイル(半径2cm)に入れ、室温化24時間放置する
ことによりゲル化した。生成したゲル化物をプラスチッ
ク製トレイの底に貼付け、モルタルを打設し、高温高湿
槽に24時間放置した。その後、硬化したモルタルをト
レイから脱型し水洗し乾燥し、凹部の洗い出し深さを非
接触式レーザー式変位センサーを用いて測定したとこ
ろ、洗い出し深度15mmであった。
【0054】比較例1 2−ヒドロキシエチルアクリレート30gのベンゼン溶
液に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)を2−ヒドロキシエチルアクリレートに対
して0.5重量%添加し、窒素気流下、実施例1と同様
にして重合を行うことにより、数平均分子量約1200
0のアクリル系樹脂を得た。そして、アクリル樹脂を含
む重合液を用い、実施例1と同様にして洗い出し深さを
測定したところ、洗い出し深度0.2mmであった。
【0055】比較例2 無水マレイン酸(159.7g)とプロピレングリコー
ル(169.6g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(160mg)を反応容器に仕込、窒素気流下徐々に2
00℃に昇温し、生成する水を反応系外に除去しつつ7
時間撹拌することにより、数平均分子量約500の不飽
和ポリエステルを得た。このポリエステル(50g)と
2−ヒドロキシエチルアクリレート(35g)、硬化剤
として有機過酸化物(1.7g)(日本油脂(株)製、
パーブチルO)、促進剤としてナフテン酸コバルト
(1.7g)を加え、80℃で30分加熱して、架橋重
合体を得た。この架橋重合体を液体窒素で冷却し、粉砕
することにより、粉粒体(平均粒径150μm)を得
た。この粉粒体を用い、実施例2と同様にして洗い出し
深さを測定したところ、洗い出し深度2.9mmであっ
た。
【0056】比較例3 ピルビン酸グリセリンエステルを用いることなく、実施
例3と同様にして洗い出し深さを測定したところ、洗い
出し深度0.6mmであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 73/00 NTB C08G 73/00 NTB C08L 51/08 LLU C08L 51/08 LLU 55/00 LMG 55/00 LMG 101/00 LTB 101/00 LTB E04F 13/02 0231−2E E04F 13/02 F // B28B 1/14 B28B 1/14 E C04B 41/72 C04B 41/72 C04B 103:24

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリの作用により加水分解可能なセ
    メント硬化遅延成分の単位を有する重合体で構成されて
    いるセメント硬化遅延剤。
  2. 【請求項2】 セメント硬化遅延成分の単位が、重合体
    の主鎖又は側鎖において、エステル結合又は酸アミド結
    合で結合している請求項1記載の硬化遅延剤。
  3. 【請求項3】 重合体が、加水分解可能なセメント硬化
    遅延成分の単位を有する重合性単量体の単独又は共重合
    体である請求項1記載の硬化遅延剤。
  4. 【請求項4】 共重合体が、加水分解可能なセメント硬
    化遅延成分の単位を有する重合性単量体と、共重合性単
    量体および共重合性高分子のうち少くとも一方との共重
    合体である請求項3記載の硬化遅延剤。
  5. 【請求項5】 共重合性高分子が不飽和ポリエステルで
    ある請求項4記載の硬化遅延剤。
  6. 【請求項6】 セメント硬化遅延成分が、ヒドロキシル
    基又はカルボキシル基を有する請求項1又は3記載の硬
    化遅延剤。
  7. 【請求項7】 ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有
    するセメント硬化遅延成分が、オキシカルボン酸、ケト
    カルボン酸、多価カルボン酸、糖、配糖体、および多価
    アルコールから選択された少なくとも一種である請求項
    6記載の硬化遅延剤。
  8. 【請求項8】 重合性単量体が、少なくとも一つのヒド
    ロキシル基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基
    およびアミノ基から選択された少くとも1つの反応性基
    を有する重合性化合物と、ヒドロキシル基又はカルボキ
    シル基を有するセメント硬化遅延成分とのエステル化合
    物又はアミド化合物である請求項3記載の硬化遅延剤。
  9. 【請求項9】 重合性単量体が、カルボキシル基又は酸
    無水物基を有する重合性化合物とヒドロキシル基含有セ
    メント硬化遅延成分とのエステルである請求項3又は8
    記載の硬化遅延剤。
  10. 【請求項10】 側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル
    基、酸無水物基およびアミノ基から選択された少くとも
    一種の反応性基を有する重合体と、前記反応性基に対し
    てエステル又はアミド結合したセメント硬化遅延能を有
    する成分とで構成されている請求項1記載の硬化遅延
    剤。
  11. 【請求項11】 重合体が、ヒドロキシル基およびカル
    ボキシル基から選択された少くとも2つの反応性基を有
    する化合物と、少くともヒドロキシル基およびカルボキ
    シル基の双方を有するオキシカルボン酸から選択された
    硬化遅延能成分とのエステル化反応により生成するポリ
    エステルである請求項2記載の硬化遅延剤。
  12. 【請求項12】 セメント硬化遅延能を有する成分が、
    ジヒドロキシ化合物である請求項11記載の硬化遅延
    剤。
  13. 【請求項13】 セメント硬化遅延成分の単位の割合
    が、重合体全体に対して5〜60重量%である請求項1
    記載の硬化遅延剤。
  14. 【請求項14】 硬化遅延剤の形態が、(1)粉粒体、
    又は(2)フィルム又はシートである請求項1記載の硬
    化遅延剤。
  15. 【請求項15】 (1)粉粒体が、(1a)請求項1記載
    の重合体で構成された粉粒体、(1b)請求項1記載の重
    合体で被覆された粉粒体である請求項14記載の硬化遅
    延剤。
  16. 【請求項16】 (2)フィルム又はシートが、(2a)
    請求項1記載の重合体で構成されたフィルム又はシー
    ト、(2b)請求項1記載の重合体を基材に保持するフィ
    ルム又はシートである請求項14記載の硬化遅延剤。
  17. 【請求項17】 重合体を保持するフィルム又はシート
    が、(2b-1)請求項1記載の重合体を含む硬化遅延層が
    離型処理されていてもよい基材シート上に形成されたフ
    ィルム又はシート、又は(2b-2)請求項1記載の重合体
    が多孔質基材に含浸したフィルム又はシートである請求
    項16記載の硬化遅延剤。
  18. 【請求項18】 (a)アルカリの作用により加水分解
    可能なセメント硬化遅延成分の単位を有する重合性単量
    体の単独又は共重合、又は(b)アルカリの作用により
    加水分解可能なセメント硬化遅延成分のエステル化又は
    アミド化反応により、重合体の側鎖又は主鎖にセメント
    硬化遅延成分の単位を導入するセメント硬化遅延剤の製
    造方法。
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