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JP3649527B2 - セメント硬化遅延用成形品、及びそれを利用した表面装飾コンクリート製品の製造法 - Google Patents

セメント硬化遅延用成形品、及びそれを利用した表面装飾コンクリート製品の製造法 Download PDF

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JP3649527B2 JP19505096A JP19505096A JP3649527B2 JP 3649527 B2 JP3649527 B2 JP 3649527B2 JP 19505096 A JP19505096 A JP 19505096A JP 19505096 A JP19505096 A JP 19505096A JP 3649527 B2 JP3649527 B2 JP 3649527B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート表面がタイルなどの装飾材で装飾されたプレキャストコンクリート板(以下、PC板と略称する)などの表面装飾コンクリート製品を得るために有用なセメント硬化遅延用成形品、表面装飾コンクリート製品製造用キット及びそれらの製造法、並びに表面装飾コンクリート製品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PC板などの表面がタイルなどの装飾材で装飾されたコンクリート製品は、土木建築分野において壁材などとして広く利用されている。前記PC板は、通常、次のようにして製造されている。
【0003】
(1)プラスチック製のシート又はフィルム(例えば、ポリプロピレン製のストレッチドヤーンを編組して作成したシート)の表面に粘着剤を塗布し、その上に、タイルを、表(おもて)面が粘着剤に接するように所定の配列で配設し、貼着してユニットタイルを作製する。
(2)型枠の底面に、ユニットタイルを、貼着したタイルが上面となるように配設する。
(3)タイルとタイルの間の目地部に、コンクリートが流入するのを防ぐため、プラスチックス製の棒材、又はタイルの目地部に対応した形状に打ち抜かれた発泡ウレタン等の詰め物を施す。
(4)その上にコンクリートを打設する。なお、必要に応じて補強のため鉄筋を配設する。
(5)養生を施し、コンクリートを硬化させる。
(6)硬化したコンクリート板を型枠から脱型すると共に、プラスチック製のシート又はフィルム及び詰め物を除去し、前記詰め物の間隙からタイル表面に回りこんで硬化したコンクリートのセメント成分(以下「のろ」と称する)を取り除く清掃化粧作業を施す。
【0004】
上記一連の工程のうち、タイルの目地部に詰め物を施す作業は、PC板の外観デザイン上の要請から、タイルとタイルの間の目地部に所定の深さの溝(以下、「目地溝」と称する)を設けるために行われる。しかし、詰め物の詰め方が不完全であると、タイルと詰め物、詰め物同士の間隙に、コンクリートのセメント成分が多量に流入し硬化する。この硬化した「のろ」を完全に除去することは困難であり、「のろ」の残存によりPC板の商品価値が消失する場合もあるため、上記詰め物を施す作業は極めて神経を使う煩雑な作業である。また、PC板硬化後の「のろ」の除去、化粧作業は、ワイヤーブラシ、へら、サンドペーパー等による手作業を伴うため、作業効率が低く、コストも増大する。
【0005】
一方、タイルの代わりに自然石、破砕石、ガラス製品、陶器、陶板、金属製品、モルタル又はコンクリート製品で形成された、形状が一定でない複数の装飾材で装飾されたPC板も求められている。しかし、このようなPC板では、目地部に詰める適当な詰め物がない場合が多い上、装飾材の表面形状が複雑であるため、「のろ」の除去作業に極端に多くの時間を要する。そのため、上記のような装飾材を有するPC板の製造は極めて困難である。
【0006】
特開平3−224953号公報には、上記のような目地部における問題を解決するため、装飾材間の目地部にケイ酸ソーダと無機酸塩の水性混合液を注入し、PC板完成後に水洗により除去する方法が提案されている。また、「のろ」を除去する方法として、予め型枠内面にコンクリート硬化遅延剤を塗布したり、コンクリート硬化遅延剤を含浸させた紙、織布等を貼付した後、装飾材の配設、コンクリートの打設を行い、コンクリートの硬化後、型枠からPC板を脱型して未硬化の「のろ」を水洗除去するという方法が提案されている(特開昭54−119522号公報、特開昭54−141020号公報および特開平6−47725号公報)。さらに、特開昭48−1017号公報には、目地部への詰め物の充填作業及び「のろ」の除去作業に伴う問題を解決するため、装飾材の形状及び配置に即した孔を有する発泡成形品を作製し、これにコンクリート硬化遅延剤を塗布した後、型枠内に設置し、各孔に装飾材を配してコンクリートを打設、硬化し、脱型した後、セメントの未硬化部を水洗除去する方法が提案されている。
【0007】
しかし、これらの方法は、何れもPC板の製造に際して、例えば、型枠内面に硬化遅延剤を塗布したり、硬化遅延剤含浸織布等を貼付するなどの煩雑な作業や追加の手作業を必要とするため、作業性やコンクリート製品の生産性を高めることが困難である。また、上記特開昭48−1017号公報に記載の方法では、PC板の装飾デザインごとに発泡成形品の型を作製する必要があるため、汎用性に欠け、コストも高くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、表面装飾コンクリート製品の装飾材間に一定深さの目地溝を簡便且つ効率よく形成できるセメント硬化遅延用成形品と表面装飾コンクリート製品製造用キット及びこれらの製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、コンクリート硬化後の表面化粧作業を簡易化でき、美麗な表面装飾コンクリート製品を容易に得ることができるセメント硬化遅延用成形品と表面装飾コンクリート製品製造用キット、及びこれらの製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、装飾材の種類や装飾デザインによらず、コンクリート製品の表面装飾を簡易に行うことができる汎用性の高いセメント硬化遅延用成形品と表面装飾コンクリート製品製造用キット、及びこれらの製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、装飾性の高い製品を簡便且つ効率よく製造できるとともに、汎用性に優れた表面装飾コンクリート製品の製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、押圧により陥入可能な多孔質体で構成されているとともに、セメント硬化遅延能を備えた成形品を用いると、成形品の表面に装飾材を押圧して配設することにより、所定深さの目地溝を簡便且つ正確に形成できると共に、装飾材の表面などに流入するセメント成分の硬化を確実に抑制できるできることを見出だし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、押圧により陥入可能な多孔質体で構成されているとともに、セメント硬化遅延能を備えたセメント硬化遅延用成形品を提供する。前記多孔質体は、引張破断伸度0〜80%及び引張弾性率8000〜300000kgf/cm 2 の樹脂組成物で構成された発泡体、又は嵩密度0.1〜0.8g/cm 3 の不織布で構成されているとともに、セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)、又は多孔質体の表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)が形成された多孔質体であり、前記セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)又は前記硬化遅延層(2)は、加水分解によりセメント硬化遅延能を発現可能な樹脂又はホスホン酸基を有する樹脂で構成されるか、あるいはセメント硬化遅延剤を含んでいる。
【0011】
この成形品はシート状に形成されていてもよく、この場合、一方の面に基材シート層を有していてもよい。
【0012】
また、前記セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)又はセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)は、不飽和ポリエステルなどのセメント硬化遅延能を有する樹脂で構成されていてもよく、リン酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、ホスホン酸類、オキシカルボン酸類、ケト酸類、多価フェノール類、リグニンスルホン酸類、糖類などのセメント硬化遅延剤を含んでいてもよい。
【0013】
本発明は、また、セメント硬化遅延能を有する多孔質体又は表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層が形成された多孔質体で構成された前記セメント硬化遅延用成形品を製造する方法であって、引張破断伸度0〜80%及び引張弾性率8000〜300000kgf/cm 2 の樹脂組成物を発泡成形し、前記多孔質体を形成する工程を含むセメント硬化遅延用成形品の製造法を提供する。
【0014】
記樹脂組成物の発泡倍率は、例えば1.5〜80倍程度である。さらに、この製造法において、不飽和ポリエステルを含む組成物を発泡成形すると共に、前記不飽和ポリエステルを加熱により硬化させる工程を含んでいてもよい。
【0015】
本発明は、また、セメント硬化遅延能を有する多孔質体又は表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層が形成された多孔質体で構成された前記セメント硬化遅延用成形品を製造する方法であって、繊維を抄造して嵩密度0.1〜0.8g/cm 3 不織布で構成された多孔質体を形成する工程を含むセメント硬化遅延用成形品の製造法を提供する。
【0016】
本発明は、さらに、前記セメント硬化遅延用成形品の表面に、装飾材を押圧して陥入又は陥没させて保持させることにより、前記装飾材が配設されている表面装飾コンクリート製品製造用キットを提供する。前記装飾材は、粘着剤又は接着剤によりセメント硬化遅延用成形品に貼着されていてもよい。
【0017】
本発明は、さらにまた、前記セメント硬化遅延用成形品の表面に装飾材を押圧し、前記成形品を陥入又は陥没させて装飾材を保持させることにより、前記装飾材を配設する表面装飾コンクリート製品製造用キットの製造法を提供する。
【0018】
本発明は、また、前記セメント硬化遅延用成形品に装飾材を押圧して陥入又は陥没させて、保持させることにより、表面に装飾材が配設された前記セメント硬化遅延用成形品を、型枠内に、装飾材が上方に位置するように配設し、無機硬化性組成物を打設して養生した後、型枠及びセメント硬化遅延用成形品を除去する表面装飾コンクリート製品の製造法を提供する。
【0019】
なお、本明細書において、「引張破断伸度」及び「引張弾性率」とは、それぞれ非発泡状態での引張破断伸度及び引張弾性率を意味する。また、熱硬化性樹脂で構成された樹脂組成物の「引張破断伸度」及び「引張弾性率」とは、それぞれ樹脂組成物を発泡させることなく硬化させた場合の引張破断伸度及び引張弾性率を意味する。「シート」とは厚さの如何を問わず、二次元的構造物を意味し、フィルムを含む意味に用いる。また、「粘着剤又は接着剤」を総称して「粘着剤」と称することがある。「多価カルボン酸の誘導体」とは、多価カルボン酸の酸無水物、多価カルボン酸の低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルなどの脱離可能なC1-4 アルキルエステル)を含む意味に用いる。また、特に断りのない限り、「セメント」とは、水との混和により硬化性を示す無機物質を意味し、気硬性セメント、水硬性セメントなどを含む意味に用いる。さらに、セメントを含む硬化性組成物にはセメントペースト、モルタル組成物及びコンクリート組成物が含まれ、これらを単に「無機硬化性組成物」と総称する場合がある。「コンクリート製品」とは、無機硬化性組成物の硬化によって得られる製品を意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のセメント硬化遅延用成形品は多孔質体で構成されている。前記多孔質体は押圧により陥入可能であればよい。このような多孔質体には、押圧により押圧部が圧壊して陥入する多孔質体、及び押圧により塑性変形を伴って陥入する多孔質体などが含まれる。多孔質体としては、樹脂組成物の発泡体、及び不織布等で構成された非発泡体の何れであってもよい。
【0021】
発泡体を構成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、発泡成形可能な広範囲の樹脂を使用できる。前記樹脂として、例えば、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリオクテニレンなどのシクロアルケンの開環重合体、ポリカプロラクトンなどが例示できる。また、セメント硬化遅延能を有する樹脂(例えば、加水分解によりセメント硬化遅延能を発現可能なポリエステル樹脂、ホスホン酸基を有する樹脂など)を用いてもよい。これらの樹脂は1種又は2種以上混合して使用できる。好ましい樹脂には、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリオクテニレン、ポリカプロラクトン、ポリエステル樹脂(特に、不飽和ポリエステル樹脂)などが含まれる。なお、セメント硬化遅延剤として有機系の遅延剤を用いる場合には、遅延剤の熱分解を抑制するため、低融点、例えば融点150℃以下の樹脂(例えばポリオクテニレン、ポリカプロラクトンなど)を用いたり、樹脂組成物に可塑剤、ロジン誘導体、ワックスなどの融点や溶融粘度を低下させる機能を有する添加剤を添加するのが好ましい。
【0022】
前記樹脂組成物には、脆性を高めて押圧による陥入を容易にするため、無機粉体を含有させてもよい。無機粉体としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化物;ケイソウ土、カオリン、タルク、ベントナイト、クレー、石粉、火山灰、石炭灰などの粘土・鉱物類;カーボンブラック、グラファイト;鉄粉、アルミニウム末などの金属粉;炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩;二硫化モリブデンなどが例示される。無機粉体の使用量は、樹脂の種類に応じて適宜定められ、通常、樹脂100重量に対して、3〜200重量部程度であるが、好ましくは8〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部程度である。
【0023】
樹脂組成物は、必要に応じて、他の添加物、例えば、可塑剤、ワックス類、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、粘着剤、接着剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種または2種以上混合して使用できる。
【0024】
押圧により陥入可能な発泡体は、引張破断伸度が0〜80%程度の樹脂組成物で構成されている。このような発泡体の中でも、脆性の高い樹脂組成物、例えば、引張破断伸度が、0〜30%程度、好ましくは0〜20%程度、さらに好ましくは0〜15%程度であり、引張弾性率が、例えば10000kgf/cm2 以上(10000〜300000kgf/cm2 程度)、好ましくは15000kgf/cm2 以上(15000〜150000kgf/cm2 程度)、さらに好ましくは25000kgf/cm2 以上(25000〜100000kgf/cm2 程度)の樹脂組成物で構成された発泡体では、表面装飾コンクリート製品に用いる装飾材を押圧すると、押圧に伴って、押圧部の発泡樹脂が容易に圧壊して陥入(陥没)し、装飾材の形状に対応する凹みが形成される。このような発泡体は、装飾材間の目地溝の深さが、例えば1mm以上(例えば1〜20mm程度)、好ましくは2mm以上(例えば2〜10mm程度)の表面装飾コンクリート製品を得るのに特に有用である。
【0025】
また、前記発泡体のうち、ある程度延性を備えた樹脂組成物、例えば、引張破断伸度が、例えば20〜80%程度、好ましくは30〜80%程度であり、引張弾性率が8000kgf/cm2 以上(例えば8000〜20000kgf/cm2 程度)、好ましくは8000〜14000kgf/cm2 程度(例えば8000〜10000kgf/cm2 程度)の樹脂組成物で構成された発泡体では、装飾材を押圧した際、塑性変形により、押圧部の発泡樹脂が凹状に陥入(陥没)すると共に、押圧部の周辺部位が凸状に隆起する。このような発泡体は、凹曲面状の目地溝を有するコンクリート製品や、目地溝の浅い(例えば、0.3〜2mm程度)コンクリート製品を得るのに有用である。
【0026】
発泡体の発泡倍率(発泡体を構成する樹脂組成物の真比重/発泡体の嵩比重)は、特に限定されないが、装飾材の陥入を容易に行うため、例えば1.5倍以上(1.5〜80倍程度)、好ましくは1.8倍以上(1.8〜20倍程度)、さらに好ましくは2倍以上(2〜10倍程度)である。発泡体の発泡倍率は、2〜5倍程度、特に2〜2.5倍程度である場合が多い。発泡倍率が小さすぎると、所望の深さを有する目地溝を形成できない場合が生じる。発泡体の気泡は、連続気泡、独立気泡の何れであっても良いが、均一であることが好ましい。
【0027】
前記不織布を構成する繊維としては、広範な種類の繊維、例えば、木綿、ワラ、パルプなどの天然繊維;レーヨン、アセテート、ポリアミド系繊維(ナイロン)、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維などの人造繊維(化学繊維)などが挙げられる。これらの繊維は1種又は2種以上混合して使用できる。
【0028】
不織布には、必要に応じて、結合剤や他の添加剤が含まれていてもよい。結合剤としては、例えば、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム系結合剤、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ユリア樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、水溶性粘性物質(例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの合成水溶性高分子;ローカストビーンゴム、グアーガム、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、アルギン酸ソーダ、カラゲニンなどの天然水溶性高分子など)などが挙げられる。結合剤の含有量は、例えば、不織布を構成する繊維100重量部に対して、0〜2000重量部(例えば10〜2000重量部)、好ましくは0〜1000重量部(例えば50〜1000重量部)、さらに好ましくは0〜500重量部(例えば100〜500重量部)程度である。不織布に含有させる他の添加剤としては、例えば、前記例示の無機粉体、有機粉体などの粉粒体が挙げられる。不織布の嵩密度は、押圧による陥入操作が損なわれない範囲であればよく、例えば0.1〜0.8g/cm3 、好ましくは0.12〜0.6g/cm3 程度である。
【0029】
本発明のセメント硬化遅延用成形品の形状は特に限定されず、シート状、ブロック状などのいずれであってもよいが、シート状である場合が多い。シート状成形品の厚みは、コンクリート製品の装飾材間の目地溝の深さ、及び取扱性などを考慮して適当に選択できる。装飾材がタイルなどの場合には、シート状成形品の厚みは、例えば0.8〜30mm、好ましくは1〜15mm程度(例えば3〜10mm程度)である。なお、多孔質体が発泡体の場合には、発泡倍率によって、必要とする最小厚みが異なる。例えば、シート状成形品の陥入(陥没)により形成される凹みの深さを3mmとする場合には、発泡倍率2倍の発泡体で構成されたシート状成形品では6mm以上、発泡倍率3倍のシート状成形品では4.5mm以上の厚みが必要となる。
【0030】
シート状成形品は、一方の面に基材シート層を有していてもよい。基材シート層を構成するポリマーは特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル(特にポリアルキレンテレフタレート);エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体;アクリル樹脂;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリビニルアルコール、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体などが例示される。これらのポリマーは1種又は2種以上使用できる。基材シート層は、紙、ポリエステル製不織布、各種の織布、ポリプロピレンストレッチドヤーンの編組品などで形成されていてもよい。基材シート層は、単層であってもよく、複数の層が積層されていてもよい。また、基材シート層を構成するシート(フィルム)は、未延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸されていてもよい。
【0031】
基材シート層の厚みは、例えば10〜200μm、好ましくは15〜150μm、さらに好ましくは20〜100μm程度である。
【0032】
本発明のセメント硬化遅延用成形品は、押圧により陥入可能な多孔質体で構成されているので、装飾材を多孔質体に押圧して陥入(陥没)、保持させ、無機硬化性組成物を打設すると、成形品の非陥入部に対応する部位に目地溝が形成される。そのため、装飾材間の目地部に詰め物を施すという煩雑な作業を要しないだけでなく、押圧する際の圧力を調整することにより、所望の深さの目地溝を容易かつ正確に形成できる。したがって、無機硬化性組成物打設前の工程を大幅に簡略化できる。また、装飾材ごとに孔を設ける必要がないので、汎用性が高く、しかも製造コストを低減できる。
【0033】
本発明のセメント硬化遅延用成形品は、セメント硬化遅延能を備えている。このような成形品には、(A)セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)で構成された成形品、及び(B)多孔質体の表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)が形成された成形品が含まれる。
【0034】
[セメント硬化遅延用成形品(A)]
セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)で構成された成形品(A)において、セメント硬化遅延能は、多孔質体をセメント硬化遅延能を有する樹脂で構成することにより、又は多孔質体にセメント硬化遅延剤を含有させることにより付与できる。
【0035】
セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された多孔質体からなる成形品(A1)には、セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された発泡成形品(A11)、セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された不織布(A12)などが含まれる。また、セメント硬化遅延剤を含む多孔質体で構成された成形品(A2)には、セメント硬化遅延剤を含む発泡成形品(A21)、セメント硬化遅延剤を含む不織布(A22)などが含まれる。
【0036】
前記セメント硬化遅延能を有する樹脂は、セメントの硬化に対する遅延又は抑制作用を有する樹脂であれば特に限定されず、例えば、加水分解によりセメント硬化遅延能を発現可能な樹脂(例えば、ポリエステルなど)、ホスホン酸基を有する樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種又は2種以上混合して使用してもよい。これらの樹脂のうちポリエステルが好ましい。ポリエステルは、多価カルボン酸又はその誘導体を含むカルボン酸成分と、多価アルコール又はその縮合物を含むポリオール成分との縮合反応により得ることができる。
【0037】
多価カルボン酸には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの主鎖の炭素数が2〜6の飽和多価カルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸などの主鎖の炭素数が4〜6の不飽和多価カルボン酸などが含まれる。前記飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸は組合せて使用してもよい。これらの多価カルボン酸は単独で又は2種以上組合せて使用できる。
【0038】
多価カルボン酸成分は、前記多価カルボン酸以外に、脂肪族多価カルボン酸(例えば、アゼライン酸、セバシン酸など)、芳香族多価カルボン酸(例えば、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)を含んでいてもよい。特に、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はこれらの誘導体から選択された芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を含む多価カルボン酸成分を用いると、ポリエステルの強度、伸度、可撓性、柔軟性、耐水性などの特性を調整するのに有用である。
【0039】
ポリエステル全体に対する芳香族多価カルボン酸の含有量は、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%(例えば1〜15重量%)、さらに好ましくは0.1〜10重量%(例えば2〜10重量%)程度である。
【0040】
好ましい多価カルボン酸成分には、(1)主鎖の炭素数が4〜6の不飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体を含む多価カルボン酸成分(特に、少なくともマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸又はそれら誘導体を含む多価カルボン酸成分)、又は(2)主鎖の炭素数が4〜6の不飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体と、フタル酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸から選択された少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸又はそのその誘導体とを含む多価カルボン酸成分が含まれる。
【0041】
ポリオール成分には、炭素数2〜4の多価アルコール、例えば、ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコールなどのC2-4 アルキレングリコール)、C2-4 アルキレングリコールの縮合物であるポリオキシアルキレングリコール、例えば、ジオキシエチレングリコール、トリオキシエチレングリール、ポリオキシエチレングリコール(以下、特に言及しない限り、これらを単にポリエチレングリコールと総称する場合がある)、ジオキシプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(以下、特に言及しない限り、これらを単にポリプロピレングリコールと総称する場合がある)、ポリオキシテトラメチレングリコールなど;ポリオール(例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなど)が含まれる。これらのポリオール成分は単独で又は組合せて使用してもよい。
【0042】
好ましい多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジオキシエチレングリコール、トリオキシエチレングリール、ポリオキシエチレングリコール、ジオキシプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール及びグリセリンが含まれる。多価アルコールは、炭素数2〜4の脂肪族多価アルコール(特にジオール)又はその縮合物で構成された多価アルコール成分を含む場合が多い。
【0043】
ポリオキシアルキレングリコールの分子量は、例えば、重量平均分子量100〜7500、好ましくは200〜5000(例えば、200〜2500)程度であり、ポリエチレングリコールを用いる場合、重量平均分子量が300以下である場合が多い。
【0044】
多価アルコールは、必要に応じて他のポリオール、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどと併用してもよい。これらのポリエステルのうち不飽和ポリエステル、特にマレイン酸又は無水マレイン酸を多価カルボン酸成分とする不飽和ポリエステルが好ましい。
【0045】
ポリエステルの分子量は特に制限されず、例えば、重量平均分子量300〜100000(例えば、300〜25000)、好ましくは300〜50000(例えば、500〜15000)、さらに好ましくは500〜20000程度の範囲から選択できる。不飽和ポリエステルの分子量は、重量平均分子量300〜100000、好ましくは300〜50000、さらに好ましくは500〜10000程度であり、重量平均分子量300〜5000(例えば、500〜5000)、特に500〜2500程度である場合が多い。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0046】
不飽和ポリエステルなどのポリエステルは、慣用の方法、例えば、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを、触媒の存在下に縮合させることにより得ることができる。マレイン酸や無水マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸を用いる場合には、ハイドロキノンなどのラジカル重合禁止剤の存在下で縮合反応させる場合が多い。ポリエステルは、多価カルボン酸1当量に対して多価アルコール0.5〜3当量、好ましくは0.7〜2当量程度の範囲から選択できる。分子量の小さなポリエステルは多価カルボン酸およびポリオールのうちいずれか一方の成分を過剰に使用することにより得る場合が多い。
【0047】
前記セメント硬化遅延能を有する樹脂は、前記不飽和ポリエステルの硬化物であってもよい。
不飽和ポリエステルの硬化物は、不飽和ポリエステルと重合開始剤とを含む重合性組成物(i)を硬化させることにより得られる。重合開始剤としては、種々の有機過酸化物、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジクミルパーオキシドなどが使用できる。重合開始剤の使用量は、重合性を損なわない範囲、例えば、不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.5〜5重量部、好ましくは1〜4重量部程度であり、2〜3重量部程度である場合が多い。
不飽和ポリエステルの硬化物は、不飽和ポリエステルと重合性ビニルモノマー(反応性希釈剤)と前記重合開始剤とを含む重合性組成物(ii)の硬化物であってもよい。前記重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数1〜20(特に炭素数1〜10)程度のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基(ヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基など)を有するモノマー、(メタ)アクリル酸と前記多価アルコール(ポリエチレングリコールなど)とのエステル(例えば、エチレングリコールモノ(又はジ)(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(又はジ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(又はジ)(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。また、ビニルモノマーとしては、酢酸ビニルなどのビニルエステル、塩化ビニルなどのハロゲン含有ビニルモノマー、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、エチレン、プロピレンなどのオレフィン系モノマーも使用できる。これらの重合性モノマーは一種又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい重合性ビニルモノマーには、アクリル系モノマーおよびメタクリル系モノマー、特に(メタ)アクリル酸グリコールエステル類が含まれる。
【0048】
重合性ビニルモノマーの使用量は、不飽和ポリエステルの分子量などに応じて、硬化遅延能や不飽和ポリエステルの取扱い性を損なわない範囲、例えば、不飽和ポリエステル100重量部に対して、1〜500重量部(例えば、1〜100重量部)、好ましくは5〜200重量部(例えば、5〜100重量部)程度の範囲から選択でき、5〜30重量部程度の範囲であってもよい。
不飽和ポリエステルの硬化物は、前記重合性組成物を構成する成分(すなわち、重合性組成物(i)を構成する不飽和ポリエステルと重合開始剤と、重合性組成物(ii)を構成する不飽和ポリエステルと重合性ビニルモノマーと重合開始剤)に加えて、重合促進剤を含む重合性組成物(iii)の硬化物であってもよい。重合促進剤には、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトなどの有機酸コバルト塩、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどのβ−ジケトン又はβ−ケトエステル類、芳香族第3級アミン類、メルカプト類などが含まれる。これらの重合促進剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
重合性組成物における重合促進剤の濃度は、例えば、10〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm(例えば、10〜100ppm)程度の範囲から選択でき、30〜50ppm程度であってもよい。
【0049】
不飽和ポリエステルの硬化(架橋)は、常温でも可能であるが、短時間(例えば、0.5〜50分程度)で硬化させるためには、温度60〜200℃程度で行なうのが有利である。
【0050】
前記セメント硬化遅延剤は、セメントの硬化速度を低下させる硬化遅延剤又は凝結遅延剤であればよく、無機又は有機硬化遅延剤が使用できる。無機硬化遅延剤には、リン酸、ホウ酸又はそれらの塩、ヘキサフルオロケイ酸塩などが含まれる。有機硬化遅延剤には、ホスホン酸類、オキシカルボン酸類、多価カルボン酸類、ケト酸類、芳香族多価アルコール類、糖類、フミン酸、リグニンスルホン酸類、カルボキシル基を有するモノマーの単独又は共重合体若しくはその塩などが含まれる。
【0051】
ホスホン酸類としては、アミノジ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)又はこれらの塩(例えば、アンモニウム塩;ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。
【0052】
オキシカルボン酸類としては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、没食子酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸などのオキシカルボン酸又はその塩、及びアスコルビン酸、イソアスコルビン酸などのオキシカルボン酸に対応するラクトン類などが挙げられる。多価カルボン酸類としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸などの飽和多価カルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸などが例示できる。ケト酸類としては、ピルビン酸、α−ケトグルタール酸などのケト酸又はその塩などが挙げられる。多価フェノール類としては、ピロガロールなどが挙げられる。糖類には、スクロースなどの多糖類、コーンシロップなどが含まれる。リグニンスルホン酸類としては、リグニンスルホン酸又はリグノスルホネート(例えば、リグノスルホン酸カルシウムなど)などが挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの単独又は共重合体若しくはその塩としては、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンスルホン酸−アクリル酸コポリマーなどのポリマー又はその塩(好ましくは、低分子量ポリマー又はその塩)などが例示される。これらの硬化遅延剤のなかでも、無機硬化遅延剤、オキシカルボン酸類、ケト酸類、多価フェノール類、糖類、リグニンスルホン酸類などが好ましい。これらのセメント硬化遅延剤は、1種又は2種以上混合して使用できる。
【0053】
このように、セメント硬化遅延能を付与された多孔質体(1)で構成された成形品(A)では、多孔質体から滲出する硬化遅延成分によりコンクリートの硬化が抑制されるので、非硬化状態の無機硬化性組成物を水により容易に洗い流すことができる。また、特に、前記ポリエステルは、他の硬化遅延剤などと異なり、水に対してほとんど溶解することがなく、コンクリートからのブリード水とともにほとんど流動しない。しかし、コンクリートの強いアルカリ性によりポリエステルのエステル結合が加水分解され、硬化遅延に有用なカルボキシル基やヒドロキシル基が遊離する。この加水分解速度は、コンクリート中の水分がセメントの硬化に利用されるにつれて上昇し、養生中のコンクリートの発熱により最大となり、遊離したカルボキシル基とヒドロキシル基とが相乗的に大きな硬化遅延能を発現させる。一方、硬化遅延能が発現する段階のコンクリートは既に流動性がなく、ポリエステルの加水分解により硬化遅延成分が遊離しても、ブリード水に溶解して移動することもない。そのため、所望の部位でのみ硬化遅延能を発現でき、セメントの硬化後に洗い出すことにより、美麗な表面装飾を精度よく形成できる。
【0054】
[セメント硬化遅延用成形品(A)の製造]
セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)で構成された成形品(A)は、例えば、以下のような方法により製造できる。
【0055】
例えば、前記セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された発泡成形品(A11)は、前記セメント硬化遅延能を有する樹脂、及び必要に応じて他の樹脂、無機粉体などの添加剤を含むとともに、引張破断伸度が0〜80%である樹脂組成物を慣用の発泡成形法に付すことにより製造できる。また、セメント硬化遅延剤を含む発泡成形品(A21)は、例えば、前記セメント硬化遅延剤、前記発泡成形可能な樹脂、及び必要に応じて無機粉体などの添加剤を含むとともに、引張破断伸度が0〜80%である樹脂組成物を慣用の発泡成形法に付すことにより製造できる。
【0056】
発泡成形に供する樹脂組成物の好ましい引張破断伸度、及び引張弾性率は発泡体についての説明箇所で述べた値と同様である。引張破断伸度、引張弾性率は、樹脂組成物に含まれる樹脂の種類や重合度、前記無機粉体の添加量などにより調整できる。
【0057】
例えば、引張破断伸度0〜80%の樹脂組成物は、前記発泡成形可能な樹脂を含む組成物において、前記無機粉体を、前記樹脂100重量部に対して3〜200重量部程度含有させることにより調製できる。なお、前記無機粉体の量を、前記樹脂100重量部に対して、例えば5〜200重量部程度(好ましくは8〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部)に調整することにより、装飾材を押圧する際、押圧に伴って押圧部が容易に圧壊して陥入する発泡体を得ることができる。また、前記無機粉体の量を、前記樹脂100重量部に対して、例えば3〜20重量部(好ましくは3〜8重量部)程度に調整することにより、装飾材を押圧する際、塑性変形により押圧部が凹状に陥入する発泡体を得ることができる。なお、発泡成形可能な樹脂がポリオクテニレンなどのシクロアルケンの開環重合体や前記不飽和ポリエステルなどの場合には、前記無機粉体の量は前記樹脂100重量部に対して3〜100重量部程度、特に10〜60重量部程度である場合が多く、前記樹脂がスチレン系樹脂などの場合には、前記無機粉体の量は前記樹脂100重量部に対して3〜100重量部程度、特に5〜50重量部程度である場合が多い。
【0058】
前記発泡成形品(A11)の製造において、セメント硬化遅延能を有する樹脂の使用量は、発泡成形に供する樹脂組成物全体に対して、例えば10〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、さらに好ましくは40〜100重量%程度である。また、発泡成形品(A21)の製造において、セメント硬化遅延剤の使用量は、発泡成形可能な樹脂100重量部に対して、例えば5〜1000重量部、好ましくは10〜700重量部、さらに好ましくは20〜300重量部程度であり、特に30〜150重量部である場合が多い。
【0059】
発泡法としては、機械的な撹拌により起泡させた泡の隔膜を硬化剤で硬化させる方法、液状の原料が樹脂化する際に放出する生成ガスを利用する方法、発泡剤を利用する方法、可溶性物質を除去する方法などの何れの方法であってもよいが、熱分解性の化学発泡剤を利用し、成形と共に(又は成形後に)加熱により発泡させる場合が多い。発泡倍率は前記の通りである。
【0060】
より具体的には、発泡成形に供する樹脂組成物を構成する樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、例えば、樹脂の粉体又はペレット、発泡剤、及び必要に応じて無機粉体等の添加剤を含む混合物を、加熱等により発泡させつつ、押出成形又は射出成形することにより発泡成形品を得ることができる。また、発泡成形に供する樹脂組成物を構成する樹脂が熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル)の場合には、例えば、プレポリマー、発泡剤、及び必要に応じて硬化剤、無機粉体等の添加剤を含む混合物をトランスファー成形したり、前記混合物を支持体(フィルム、ベルト、ドラムなど)に流延し、加熱処理する方法(流延法)等により、発泡成形すると共に、発泡成形時又は発泡成形後に樹脂を加熱により硬化させて、発泡成形品を得ることができる。
【0061】
また、前記セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された不織布(A12)は、例えば、セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された繊維、又はセメント硬化遅延能を有する樹脂で被覆された繊維、及び必要に応じて前記結合剤などの添加剤を含む混合物を、慣用の抄造法により抄造して、所望の厚みを有する不織布で構成された多孔質体を形成することにより製造できる。また、不織布(A12)は、繊維と、セメント硬化遅延能を有する樹脂の粉粒体と、必要に応じて前記結合剤などの添加剤を含む混合物を抄造することにより製造することもできる。
【0062】
前記セメント硬化遅延剤を含む不織布(A22)は、例えば、セメント硬化遅延剤を含む組成物で被覆された繊維、及び必要に応じて前記結合剤などの添加剤を含む混合物を、慣用の抄造法により抄造して不織布で構成された多孔質体を形成することにより製造できる。また、前記不織布(A22)は、繊維と、セメント硬化遅延剤の粉粒体と、必要に応じて前記結合剤などの添加剤を含む混合物を抄造することによっても製造できる。
【0063】
抄造は、乾式又は湿式の何れの方法で行うこともできる。抄造に供する繊維としては前記例示のものを使用できる。繊維の繊維径は、例えば0.01〜2000μm、好ましくは0.05〜1000μm、さらに好ましくは0.1〜200μm程度である。また、繊維の繊維長は、例えば0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mm程度である。前記不織布(A12)又は(A22)における繊維の含有量は、例えば60〜99.5重量%、好ましくは70〜99重量%程度である。セメント硬化遅延能を有する樹脂又はセメント硬化遅延剤で被覆された繊維において、前記樹脂又は硬化遅延剤の塗布量は、セメント硬化に対する遅延作用を損なわない範囲で適宜設定できる。
【0064】
なお、一方の面に基材シート層を有するシート状の成形品は、慣用の成形法(例えば、前記押出成形、抄造など)により成形したシート状多孔質体に、基材シートを慣用の粘着剤又は接着剤により接合することにより形成できる。また、多孔質体が熱可塑性樹脂で構成される場合には、前記熱可塑性樹脂の粉体等を含む混合物を基材シート上に押出しラミネーションすることにより、また熱硬化性樹脂で構成される場合には、プレポリマー等を含む前記混合物を基材シート上に塗布し、硬化させることにより、基材シート層を有するシート状成形品を得ることができる。前記プレポリマー等を含む混合物を基材シートに塗布する際の塗布液は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;これらの混合溶媒などが挙げられる。塗布に際しては、刷毛ローラー、ゴムヘラなどを用いてもよいが、工業的には、通常のコーティングに利用される塗布手段、例えば、デップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、バーコーター、カーテンコーター、スプレーなどを利用する場合が多い。
【0065】
[セメント硬化遅延用成形品(B)]
多孔質体の表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)が形成された成形品(B)において、セメント硬化遅延能は、前記硬化遅延層(2)をセメント硬化遅延能を有する樹脂で構成することにより、又は前記硬化遅延層(2)にセメント硬化遅延剤を含有させることにより付与できる。
【0066】
多孔質体の表面にセメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された硬化遅延層が形成された成形品(B1)には、多孔質体が樹脂組成物の発泡体で構成された成形品(B11)、多孔質体が不織布で構成された成形品(B12)などが含まれる。また、多孔質体の表面にセメント硬化遅延剤を含む硬化遅延層が形成された成形品(B2)には、多孔質体が樹脂組成物の発泡体で構成された成形品(B21)、多孔質体が不織布で構成された成形品(B22)などが含まれる。
【0067】
セメント硬化遅延能を有する樹脂及びセメント硬化遅延剤としては、前記セメント硬化遅延用成形品(A)の項において例示したものを使用できる。
【0068】
前記セメント硬化遅延能を有する樹脂とセメント硬化遅延剤とは、単独又は併用することにより硬化遅延層(2)を形成してもよく、前記セメント硬化遅延材等が非成膜性である場合には、バインダー樹脂と併用して硬化遅延層(2)を形成してもよい。
【0069】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂などが例示される。これらのバインダー樹脂は1種又は2種以上使用できる。
【0070】
バインダー樹脂の使用量は、前記セメント硬化遅延能を有する樹脂とセメント硬化遅延剤の種類などに応じて選択できる。セメント硬化遅延能を有する樹脂を用いる場合、バインダー樹脂は必ずしも必要ではないが、例えば、セメント硬化遅延能を有する樹脂100重量部に対して、バインダー樹脂0〜200重量部、好ましくは0〜100重量部程度の範囲から選択できる。また、セメント硬化遅延剤を用いる場合、硬化遅延剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、例えば5〜1000重量部、好ましくは10〜700重量部、さらに好ましくは25〜500重量部程度である。
【0071】
[セメント硬化遅延用成形品(B)の製造]
セメント硬化遅延用成形品(B)は、例えば、以下の方法により製造できる。例えば、樹脂組成物の発泡体で構成された多孔質体の表面に、セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された硬化遅延層、又はセメント硬化遅延剤を含む硬化遅延層が形成された成形品(B11)(B21)は、前記発泡成形可能な樹脂、及び必要に応じて前記無機粉体などの添加剤を含むとともに、引張破断伸度が0〜80%である樹脂組成物を慣用の発泡成形法に付して所望の形状に成形した後、前記セメント硬化遅延能を有する樹脂又はセメント硬化遅延剤、及び必要に応じてバインダー樹脂、無機粉体、その他の添加剤を含む塗布液を、成形した発泡体の表面に塗布するか、又は発泡体に含浸させ、乾燥又は硬化させることにより製造できる。
【0072】
発泡成形に供する樹脂組成物の好ましい引張破断伸度、及び引張弾性率は発泡体についての説明箇所で述べた値と同様である。引張破断伸度、引張弾性率は、樹脂組成物に含まれる樹脂の種類や重合度、前記無機粉体の添加量などにより調整できる。例えば、引張破断伸度0〜80%の樹脂組成物は、前記セメント硬化遅延用成形品(A)の製造の場合と同様にして調製できる。また、発泡法としては、セメント硬化遅延用成形品(A)の製造の項で述べた方法を利用できる。
【0073】
前記塗布液は、例えば、前記例示の有機溶媒を含んでいてもよい。また、塗布に際しては、前記の塗布手段を利用できる。硬化遅延層(2)の厚みは、セメントの硬化に対して遅延効果が発現する厚みであればよく、例えば1〜300μm(例えば5〜200μm)、好ましくは2〜150μm(例えば5〜120μm)、さらに好ましくは5〜100μm(例えば10〜100μm)程度であり、5〜70μm程度である場合が多い。
【0074】
また、不織布で構成された多孔質体の表面に、セメント硬化遅延能を有する樹脂で構成された硬化遅延層、又はセメント硬化遅延剤を含む硬化遅延層が形成された成形品(B12)(B22)は、前記繊維、及び必要に応じて前記結合剤などの添加剤を含む混合物を、慣用の抄造法により抄造して、所望の厚みを有する不織布で構成された多孔質体を形成した後、前記セメント硬化遅延能を有する樹脂又はセメント硬化遅延剤、及び必要に応じてバインダー樹脂、無機粉体、その他の添加剤を含む塗布液を、成形した不織布の表面に塗布するか、又は不織布に含浸させ、乾燥又は硬化させることにより製造できる。抄造法、硬化遅延層の形成法としては、前記の方法を利用できる。
【0075】
なお、一方の面に基材シート層を有するシート状の成形品は、前記セメント硬化遅延用成形品(A)の場合と同様の方法により得ることができる。
【0076】
セメント硬化遅延用成形品(B)では、硬化遅延層(2)から滲出する硬化遅延成分によりコンクリートの硬化が抑制されるので、非硬化状態の無機硬化性組成物(セメントなど)を水により容易に洗い流すことができる。
【0077】
本発明のセメント硬化遅延用成形品は、上記のようにそれ自体セメント硬化遅延能を備えている成形品であるため、型枠にセメント硬化遅延剤を塗布したり、型枠にセメント硬化遅延剤を含浸させた織布等を貼付するという煩雑な作業を要しない。
【0078】
本発明のセメント硬化遅延用成形品は、装飾材と一体に固着した表面装飾コンクリート製品を製造する上で有用である。すなわち、セメント硬化遅延用成形品を型枠内に配設し、石、タイルなどの複数の装飾材の表(おもて)面側を前記成形品の表面に接するように配置する。なお、前記成形品の表面に硬化遅延層(2)が形成されている場合には、硬化遅延層(2)が上方に位置するように成形品を配設する。装飾材を背面から押圧し、所定の深さまで圧入する。装飾材の押圧は、個別に行ってもよく、複数の装飾材に同時に圧力をかけてもよい。この際、前記成形品のうち押圧部が陥入(陥没)し、装飾材の形状に対応した陥入部(凹み部)が形成される。前記陥入部の深さが、装飾材間の目地溝の深さに略対応する。したがって、装飾材を押圧する際の圧力を調整することにより、所望の深さの目地溝を容易かつ正確に形成できる。なお、前記セメント硬化遅延用成形品は、目地部のセメントの硬化を阻害するので、目地溝の深さは陥入部の深さと目地部における硬化遅延深度(硬化遅延作用が及ぶ深さ)の和に相当する。多孔質体の塑性変形により陥入部が形成される場合には、装飾材を押圧する際、塑性変形を容易にするため、成形品を加熱してもよい。
【0079】
装飾材としては、種々の材料、例えば、玉石、黒石、鉄平石などの天然石、人造石などの石材、タイルなどのセラミックス材、金属材、ガラス材、モルタル又はコンクリート材、木材、織布などが使用できる。装飾材は平板状であってもよく、タイルは通常のタイルの他、モザイクタイルや割りタイルであってもよい。また、コンクリート製品の製造に際して、必要に応じて、型枠内に鉄筋などの補強材を配設して無機硬化性組成物を打設してもよい。
【0080】
次いで、無機硬化性組成物(セメントを含む硬化性組成物)を型枠内に打設し、養生などの慣用の硬化方法により硬化させる。その際、前記成形品により、無機硬化性組成物との接触面での硬化を均一に抑制できるので、コンクリート硬化物を型枠から取出すとともに、前記成形品を除去し、装飾材の表面側(成形品との接触面側)を水、加圧水、ジェット流などにより洗浄すると、装飾材や目地溝に付着した未硬化の組成物を容易に除去でき、装飾材と一体となった表面装飾コンクリート製品(プレキャストコンクリート板など)を得ることができる。
【0081】
また、前記セメント硬化遅延用成形品を用いる場合、型枠内で装飾材を配置することなく、予め前記成形品に装飾材を配置又は配列させた表面装飾コンクリート製品製造用キットを型枠内に配設してもよい。例えば、前記セメント硬化遅延用成形品の表面に、複数の装飾材(例えば、タイルなど)を面方向に連続して又は散在して配置し、前記と同様に、装飾材の背面から圧力をかけ、成形品を陥入(陥没)させて装飾材を配設することにより、ユニットタイルなどの表面装飾コンクリート製品製造用キットを形成できる。なお、前記成形品の表面に硬化遅延層(2)が形成されている場合には、硬化遅延層(2)の表面に装飾材を配設する。複数の装飾材は、面方向(例えば、縦方向,横方向や縦横方向)に互いに隣接(連続)して又は間隔をおいて配列する場合が多い。
【0082】
なお、装飾材は、粘着剤又は接着剤により前記成形品に貼着されていてもよい。例えば、前記成形品又は装飾材に粘着剤又は接着剤を塗布することにより、装飾材を成形品に貼着できる。この方法は、塑性変形により陥入し、装飾材を保持できる多孔質体で構成された成形品に有用である。粘着剤又は接着剤としては、例えば、前記結合剤として例示したものを使用できる。粘着剤は、粘着付与剤(例えば、石油樹脂、テルペン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂などの炭化水素系樹脂、ロジン誘導体など)と併用してもよい。なお、装飾材と一体化した表面装飾コンクリート製品の化粧作業において、装飾材の表面を効率よく清浄化するため、粘着剤又は接着剤としては、装飾材を仮止め可能な程度の粘着力、接着力を付与できる材料、又は装飾材を強固に接着する場合には、洗浄により除去可能な材料が好ましい。また、両面接着テープにより装飾材を成形品に貼着してもよい。このようなキットでは、装飾材の脱離を確実に防止できる。
【0083】
表面装飾コンクリート製品製造用キットによれば、個別に型枠内で装飾材を配置する必要がなく、別の工程で作製されたキットを型枠内に配設するだけでよく、作業効率を高めることができる。
【0084】
前記ユニットタイルなどの表面装飾コンクリート製品製造用キットは、プレキャストコンクリート板などの化粧仕上げコンクリート製品の製造に有用である。すなわち、前記タイルなどの装飾材の裏面を上にして前記キットを、コンクリート打設用型枠に配置し、無機硬化性組成物を打設して養生した後、脱型し、セメント硬化遅延用成形品を除去することにより装飾材表面を露出させ、装飾材の表面を水洗して、装飾材表面に回り込んだ非硬化状態の無機硬化性組成物(セメントなど)を洗い流すことにより、装飾材と一体化した表面装飾コンクリート製品を製造できる。すなわち、タイルなどの装飾材の表面側に無機硬化性組成物が回り込んでも、前記成形品の硬化遅延成分により無機硬化性組成物の硬化を抑制でき、非硬化(半硬化又は未硬化)状態となるため、装飾材の表面から無機硬化性組成物を除去するための表面仕上げを、水洗などの洗浄という簡単な操作で効率よく、しかも完璧に行なうことができる。
【0085】
セメントには、例えば、気硬性セメント(セッコウ、消石灰やドロマイトプラスターなどの石灰);水硬性セメント(例えば、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、急硬高強度セメント、焼きセッコウなどの自硬性セメント;石灰スラグセメント、高炉セメントなど;混合セメント)などが含まれる。好ましいセメントには、例えば、セッコウ、ドロマイトプラスターおよび水硬性セメントなどが含まれる。
【0086】
前記セメントは、水とのペースト組成物(セメントペースト)として使用してもよく、砂、ケイ砂、パーライトなどの細骨材、粗骨材を含むモルタル組成物やコンクリート組成物として使用してもよい。前記ペースト組成物及びモルタル組成物は、必要に応じて、着色剤、硬化剤、塩化カルシウムなどの硬化促進剤、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの減水剤、凝固剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの増粘剤、発泡剤、合成樹脂エマルジョンなどの防水剤、可塑剤等の種々の添加剤を含んでいてもよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明のセメント硬化遅延用成形品及び表面装飾コンクリート製品製造用キットによれば、表面装飾コンクリート製品の装飾材間に一定深さの目地溝を、簡便且つ効率よく形成できる。また、コンクリート硬化後の表面化粧作業を簡易化でき、美麗な表面装飾コンクリート製品を容易に得ることができる。さらに、装飾材の種類や装飾デザインによらず、コンクリート製品の表面装飾を簡便に行うことができる。
【0088】
本発明のセメント硬化遅延用成形品の製造法及び表面装飾コンクリート製品製造用キットの製造法によれば、前記のように優れた成形品及びキットを簡便かつ効率よく製造できる。
【0089】
また、表面装飾コンクリート製品の製造法によれば、装飾性の高い製品を簡易且つ効率よく製造できるとともに、汎用性に優れる。
【0090】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0091】
実施例1
ポリオクテニレンポリマー(VESTENAMER 5031;ヒュルスA.G.製)100重量部、平均粒子径100μm以下に粉砕したクエン酸70重量部、炭酸カルシウム30重量部及びステアリン酸カルシウム2重量部を、120℃の条件下、ニーダーで混合した後、クラッシャーで粉砕し平均粒径2〜3mmの顆粒を得た。この顆粒100重量部に、発泡剤トルエン・スルホニル・ヒドラジド(永和化成(株)製;ユニホールNH500)3重量部、及びステアリン酸カルシウム0.3重量部をドライブレンドした後、押出し機により樹脂温度140℃の条件で押出し、幅35cm、厚み5mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートの平均発泡倍率は2.3であった。
【0092】
なお、別に、発泡剤を用いなかった点以外は前記と同様の操作を行い、無発泡シートを作成した。この無発泡シートの引張弾性率は18,000kgf/cm2 、引張破断伸度は24%であった。
【0093】
上記発泡シートを幅30cm、長さ55cmの大きさに切断し、この上に5cm×10cm、厚み1cmのタイル25枚を、シートの長手方向にタイルの長手方向を一致させ、タイルの表(おもて)面を発泡シートに接触するようにして配列した。なお、タイルは、発泡シートの端部から5mm離し、1cmの間隔で、発泡シートの幅及び長手方向に各5列ずつ並べた。次いで、タイルを、平板プレスにより、厚み5mmのゴムシートを介して、発泡シート中に陥没深さ2mmとなるように圧入した。このようにタイルを配設したシートをユニットタイルとし、60cm×55cm、深さ10cmの型枠の底部に、2枚並べて敷設した。ユニットタイルの上にコンクリートを打設し50℃の条件下で24時間養生処理を施し、さらに24時間室温で放置した後、脱型した。脱型後、発泡シートを除去し、加圧水をかけながら、箒でタイル表面及びタイル目地溝部の「のろ」を除去した。除去作業約2分で「のろ」は、ほぼ残すところなく取り除かれ、平均深さ3mmの目地溝を有する、表面仕上げの良好なタイル装飾PC板が得られた。
【0094】
実施例2
撹拌翼を備えた容量10リットルのオートクレーブに、無水マレイン酸3452g(35.2モル)、エチレングリコール2539g(40.9モル)を入れ、重合禁止剤としてのハイドロキノンと、重合触媒としてのテトラ−n−ブトキシチタンを、含有量がそれぞれ100ppm、50ppmとなるように添加した。内容物を撹拌し、反応により生成する水分を除去するため、窒素ガスを流入しながら、常圧下、常温から150℃まで3時間かけて昇温し、さらに150℃から210℃まで24時間かけて昇温し、反応を停止した。得られた油状不飽和ポリエステル(重量平均分子量2250)100重量部に対して、有機過酸化物(日本油脂(株)製;パーブチルオー)3重量部、架橋触媒としての酢酸コバルト0.005重量部、発泡剤としてのトルエン・スルホニル・ヒドラジド(永和化成(株)製;ユニホールNH500)3重量部、炭酸カルシウム30重量部を加えて混合した後、得られた混合物を厚さ30μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、厚み2mmとなるように塗布し、直ちに120℃の電気オーブンにより7分間加熱処理した。塗布された不飽和ポリエステルは発泡しながら硬化し、厚み約5mmの発泡シートが得られた。
【0095】
なお、別に、発泡剤を用いなかった以外は前記と同様の操作により無発泡シートを作成した。この無発泡シートの引張弾性率は48,000kgf/cm2 、引張破断伸度は5%であった。
【0096】
上記発泡シートを60cm×55cmの大きさにカットし、このシート上に、5cm×10cm、厚み1cmのタイル25枚を、実施例1と同様にして配列した。次いで、平板プレスにより、タイルによる発泡体の陥没深さが3mmとなるように、タイルの背面からタイルを押圧して発泡シート中に圧入した。このようにタイルを配設したシートをユニットタイルとして、60cm×55cm、深さ10cmの型枠の底部に設置した。ユニットタイルの上にコンクリートを打設し50℃の条件下で24時間養生処理を施し、さらに24時間室温で放置した後、脱型した。脱型後、発泡シートを除去し、加圧水をかけながら、箒でタイル表面及びタイル目地溝部の「のろ」を除去した。「のろ」は容易に洗い流され、タイル表面、目地溝部の何れにも全く残らず、極めて美麗な外観を有するタイル装飾PC板が得られた。なお、「のろ」の除去に要した時間は約2分であった。また、目地溝の深さは平均5mmであった。
【0097】
実施例3
モノマー処方を、無水マレイン酸3136g(32.0モル)、テレフタル酸531g(3.2モル)、エチレングリコール2538g(40.9モル)とした以外は実施例2と同様にして得られた不飽和ポリエステル(重量平均分子量2200)100重量部に、ジエチレングリコールモノアクリレート20重量部、有機過酸化物(日本油脂(株)製;パーブチルオー)3重量部、架橋触媒としての酢酸コバルト0.005重量部、発泡剤トルエン・スルホニル・ヒドラジド(永和化成(株)製;ユニホールNH500)3重量部、炭酸カルシウム5重量部を加えて混合し、得られた混合物を厚さ30μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、厚み500μmになるように塗布した後、直ちに150℃の電気オーブンにより1分間加熱処理した。塗布された不飽和ポリエステルは発泡しながら硬化し、厚みが平均1.2mmの発泡シートが得られた。
【0098】
なお、別に、発泡剤を用いなかった以外は上記と同様の操作により無発泡シートを作成した。この無発泡シートの引張弾性率は12,000kgf/cm2 、引張破断伸度は65%であった。
【0099】
上記発泡シートを用いて、各タイルを1cm角の両面接着テープを介して発泡シートに圧着する以外は実施例2と同様にしてユニットタイルを作成した。ただし、タイルの陥没深さの設定は行わず、平板プレスの総荷重を2トンとしてタイルを押圧した。発泡シートは押圧部においてわずかに塑性変形して陥入し、タイル間の目地部に相当する部分の発泡シートはわずかに凸状に隆起した。こうして得られたユニットタイルを用いて、実施例2と同様にして、コンクリートの打設、養生、脱型及び発泡シートの除去を行なった後、「のろ」を洗浄した。タイル表面の「のろ」はすべて容易に除去でき、目地溝の極めて浅いタイル装飾PC板が得られた。なお、目地溝は凹曲面状を呈しており、深さは1〜1.5mmであった。
【0100】
実施例4
ポリスチレン(旭化成ポリスチレンGP666;旭化成(株)製)のペレット100重量部に、発泡剤アゾジカルボンアミド(三協化成(株)製;セルマイクC)1重量部、炭酸カルシウム10重量部、ステアリン酸カルシウム1重量部を加えて混合し、押出し成形して、幅35cm、厚み5mmの発泡シートを作成した。
【0101】
なお、別に、発泡剤を用いなかった以外は前記と同様の操作により、厚み2mmの無発泡シートを作成した。この無発泡シートの引張弾性率は38,000kgf/cm2 、引張破断伸度は18%であった。
【0102】
上記発泡シートの片面に、実施例3と同様にして得られた不飽和ポリエステル100重量部、ジエチレングリコールモノアクリレート20重量部、有機過酸化物(日本油脂(株)製;パーブチルオー)3重量部及び架橋触媒としての酢酸コバルト0.005重量部の混合物を、100g/m2 の塗布量になるように塗布し、150℃のオーブン中で1分間加熱処理した。こうして得られたコンクリート硬化遅延性の不飽和ポリエステルが塗布された発泡シートを、30cm×55cmの大きさにカットし、塗布面を上部にして、60cm×55cm、深さ10cmの型枠の底部に2枚並べて設置し、発泡シート上に、5×10cm、厚み1cmのタイル25枚を実施例1と同様にして配列するとともに、その背面より圧力をかけ、各タイルを順次発泡シートの中に、陥没深さが3mmとなるように圧入した。次いで、実施例1と同様の操作により、コンクリートの打設、養生、脱型及び発泡シートの除去を行なった後、「のろ」を加圧水により洗浄した。除去作業約2分で「のろ」はすべて取り除かれ、平均深さ5mmの目地溝を有する、表面仕上げの良好なタイル装飾PC板が得られた。
【0103】
比較例
粘着剤が塗布されたポリプロピレンストレッチドヤーンの編組シートを30cm×55cmの大きさにカットし、この上に5cm×10cm、厚み1cmのタイルをその表面が粘着剤に接するように、間隔1cmで配列し、ユニットタイルを作成した。このユニットタイル2枚を60cm×55cm、深さ10cmの型枠の底部にタイルが上面となるように設置し、各目地部に予め断面が11mm×5mmとなるように裁断された中硬質の発泡ポリウレタンをへらを用い隙間を慎重に排除しながら詰めた。この詰め物作業に要した時間は約10分であった。次いで、タイル背面よりコンクリートを打設し、実施例1と同様に養生、脱型してPC板を作成した。ポリプロピレンシート、及び詰め物を取り除き、へら、ワイヤーブラシ、電動ワイヤーブラシ等の用具を利用しながら「のろ」の水洗除去作業を行った。「のろ」を目地溝を含めてほぼすべて除去するのに30分近くの時間を要した。

Claims (20)

  1. 押圧により陥入可能な多孔質体で構成されているとともに、セメント硬化遅延能を備えたセメント硬化遅延用成形品であって、前記多孔質体が引張破断伸度0〜80%及び引張弾性率8000〜300000kgf/cm 2 の樹脂組成物で構成された発泡体、又は嵩密度0.1〜0.8g/cm 3 の不織布で構成されているとともに、セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)、又は多孔質体の表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)が形成された多孔質体であり、前記セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)又は前記硬化遅延層(2)が、加水分解によりセメント硬化遅延能を発現可能な樹脂又はホスホン酸基を有する樹脂で構成されるか、あるいはセメント硬化遅延剤を含むセメント硬化遅延用成形品
  2. シート状に形成された請求項1記載のセメント硬化遅延用成形品。
  3. 一方の面に基材シート層を有する請求項2記載のセメント硬化遅延用成形品。
  4. 樹脂組成物が無機粉体を含む請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  5. 加水分解によりセメント硬化遅延能を発現可能な樹脂が不飽和ポリエステルである請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  6. 不飽和ポリエステルが、主鎖の炭素数が4〜6の不飽和多価カルボン酸又はその誘導体を含む多価カルボン酸成分と、主鎖の炭素数が2〜4の多価アルコール又はその縮合物を含むポリオール成分との反応により得られる不飽和ポリエステルである請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  7. 多価カルボン酸成分が、さらに、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を含む請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  8. 不飽和ポリエステルが架橋による硬化物である請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  9. 硬化物が、不飽和ポリエステルと重合性ビニルモノマーと重合開始剤とを含む重合性組成物の硬化物である請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  10. セメント硬化遅延剤が、リン酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、ホスホン酸類、オキシカルボン酸類、ケト酸類、多価フェノール類、リグニンスルホン酸類及び糖類から選択された少なくとも1種である請求項記載のセメント硬化遅延用成形品。
  11. セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)又は表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)が形成された多孔質体で構成された請求項1記載のセメント硬化遅延用成形品を製造する方法であって、引張破断伸度0〜80%及び引張弾性率8000〜300000kgf/cm 2 の樹脂組成物を発泡成形し、前記多孔質体を形成する工程を含むセメント硬化遅延用成形品の製造法。
  12. 引張破断伸度20〜80%、引張弾性率8000〜20000kgf/cm2の樹脂組成物を発泡成形する請求項11記載のセメント硬化遅延用成形品の製造法。
  13. 引張破断伸度0〜30%、引張弾性率10000〜300000kgf/cm2の樹脂組成物を発泡成形する請求項11記載のセメント硬化遅延用成形品の製造法。
  14. 樹脂組成物を1.5〜80倍の発泡倍率で発泡させる請求項11記載のセメント硬化遅延用成形品の製造法。
  15. 不飽和ポリエステルを含む樹脂組成物を発泡成形すると共に、前記不飽和ポリエステルを加熱により硬化させる工程を含む請求項11記載のセメント硬化遅延用成形品の製造法。
  16. セメント硬化遅延能を有する多孔質体(1)又は表面にセメント硬化遅延能を有する硬化遅延層(2)が形成された多孔質体で構成された請求項1記載のセメント硬化遅延用成形品を製造する方法であって、繊維を抄造して嵩密度0.1〜0.8 g/cm 3 不織布で構成された多孔質体を形成する工程を含むセメント硬化遅延用成形品の製造法。
  17. 請求項1記載のセメント硬化遅延用成形品の表面に、装飾材を押圧して陥入又は陥没させて保持させることにより、前記装飾材が配設されている表面装飾コンクリート製品製造用キット。
  18. 装飾材が、粘着剤又は接着剤によりセメント硬化遅延用成形品に貼着されている請求項17記載の表面装飾コンクリート製品製造用キット。
  19. 請求項1記載のセメント硬化遅延用成形品の表面に装飾材を押圧し、前記成形品を陥入又は陥没させて装飾材を保持させることにより、前記装飾材を配設する表面装飾コンクリート製品製造用キットの製造法。
  20. 請求項1記載のセメント硬化遅延用成形品に装飾材を押圧して陥入又は陥没させて、保持させることにより、表面に装飾材が配設された前記セメント硬化遅延用成形品を、型枠内に、装飾材が上方に位置するように配設し、無機硬化性組成物を打設して養生した後、型枠及びセメント硬化遅延用成形品を除去する表面装飾コンクリート製品の製造法。
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