JPH1053444A - セメント硬化遅延剤およびその製造方法 - Google Patents
セメント硬化遅延剤およびその製造方法Info
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- JPH1053444A JPH1053444A JP8207228A JP20722896A JPH1053444A JP H1053444 A JPH1053444 A JP H1053444A JP 8207228 A JP8207228 A JP 8207228A JP 20722896 A JP20722896 A JP 20722896A JP H1053444 A JPH1053444 A JP H1053444A
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- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B24/00—Use of organic materials as active ingredients for mortars, concrete or artificial stone, e.g. plasticisers
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- C04B40/00—Processes, in general, for influencing or modifying the properties of mortars, concrete or artificial stone compositions, e.g. their setting or hardening ability
- C04B40/06—Inhibiting the setting, e.g. mortars of the deferred action type containing water in breakable containers ; Inhibiting the action of active ingredients
- C04B40/0633—Chemical separation of ingredients, e.g. slowly soluble activator
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- C04B2103/20—Retarders
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水分による溶出を抑制しつつ、セメント硬化
遅延剤の高い硬化遅延能を有効に発現させる。 【解決手段】 セメント硬化遅延成分(オキシカルボン
酸など)を、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高
分子内に封入することにより、上記高分子の溶解又は加
水分解により硬化遅延成分の硬化遅延能を有効に発現さ
せる。アルカリ可溶性高分子には、(メタ)アクリル酸
又はその塩を単量体とする単独又は共重合体が含まれ、
アルカリ加水分解性高分子には、飽和又は不飽和ポリエ
ステル、不飽和ポリエステルの硬化物などが含まれる。
セメント硬化遅延剤における封入形態としては、分散や
被覆が挙げられる。セメント硬化遅延剤は粉粒体やシー
トであってもよい。
遅延剤の高い硬化遅延能を有効に発現させる。 【解決手段】 セメント硬化遅延成分(オキシカルボン
酸など)を、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高
分子内に封入することにより、上記高分子の溶解又は加
水分解により硬化遅延成分の硬化遅延能を有効に発現さ
せる。アルカリ可溶性高分子には、(メタ)アクリル酸
又はその塩を単量体とする単独又は共重合体が含まれ、
アルカリ加水分解性高分子には、飽和又は不飽和ポリエ
ステル、不飽和ポリエステルの硬化物などが含まれる。
セメント硬化遅延剤における封入形態としては、分散や
被覆が挙げられる。セメント硬化遅延剤は粉粒体やシー
トであってもよい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメントの硬化を
遅延させる上で有用なセメント硬化遅延剤およびその製
造方法に関する。
遅延させる上で有用なセメント硬化遅延剤およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セメント硬化遅延剤は、セメントの水和
反応、ひいてはモルタルやコンクリートの凝結、硬化を
遅延させるために用いられるセメント混和剤の一種であ
る。特開平1−172250号公報にも記載されている
ように、従来のセメント硬化遅延剤は、無機系および有
機系の2種類に大別され、無機系硬化遅延剤としては、
酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ砂、塩化亜鉛、酸化亜鉛、珪
フッ化マグネシウムなどが使用され、有機系硬化遅延剤
としては、砂糖、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホ
ン酸塩、グルコン酸やその塩、ピルビン酸、α−ケトグ
ルタル酸などのケト酸などが使用されている。そして、
これらの硬化遅延剤の使用目的は、夏期における生コン
クリートの長時間輸送への対処、大型化したコンクリー
ト構造物における温度応力の緩和などである。
反応、ひいてはモルタルやコンクリートの凝結、硬化を
遅延させるために用いられるセメント混和剤の一種であ
る。特開平1−172250号公報にも記載されている
ように、従来のセメント硬化遅延剤は、無機系および有
機系の2種類に大別され、無機系硬化遅延剤としては、
酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ砂、塩化亜鉛、酸化亜鉛、珪
フッ化マグネシウムなどが使用され、有機系硬化遅延剤
としては、砂糖、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホ
ン酸塩、グルコン酸やその塩、ピルビン酸、α−ケトグ
ルタル酸などのケト酸などが使用されている。そして、
これらの硬化遅延剤の使用目的は、夏期における生コン
クリートの長時間輸送への対処、大型化したコンクリー
ト構造物における温度応力の緩和などである。
【0003】一方、コンクリート成形品および各種構造
物の表面には、左官技術の1つであるいわゆる洗い出し
工法を利用して装飾を施すことがしばしば行われてい
る。この洗い出し工法は、セメントが硬化する直前に水
洗することによりコンクリート表面層のモルタルを洗い
流し、骨材の一部を露出させる方法である。この方法
は、洗い出しを行うタイミングがコンクリートの硬化速
度との関係で時間的に極めて狭い範囲に限定されるの
で、コンクリート平板の多量生産や大型構造物への適用
は困難である。コンクリート混和物の一種であるセメン
ト硬化遅延剤を利用して、コンクリート表面層のみの硬
化を阻害すると、洗い出しのタイミングに拘りなく、コ
ンクリート製品の表面を装飾できる。具体的には、例え
ば、硬化遅延剤を紙に含浸させ、含浸紙を型枠の底に貼
付けなどにより固定し、生コンクリートを打設する。コ
ンクリートの硬化の後、成形品を型枠から離脱させ、前
記含浸紙と接触した表面部の未硬化のモルタルを洗い流
すことにより、骨材を露出させ、自然な風合いを有する
コンクリート製品が得られる。
物の表面には、左官技術の1つであるいわゆる洗い出し
工法を利用して装飾を施すことがしばしば行われてい
る。この洗い出し工法は、セメントが硬化する直前に水
洗することによりコンクリート表面層のモルタルを洗い
流し、骨材の一部を露出させる方法である。この方法
は、洗い出しを行うタイミングがコンクリートの硬化速
度との関係で時間的に極めて狭い範囲に限定されるの
で、コンクリート平板の多量生産や大型構造物への適用
は困難である。コンクリート混和物の一種であるセメン
ト硬化遅延剤を利用して、コンクリート表面層のみの硬
化を阻害すると、洗い出しのタイミングに拘りなく、コ
ンクリート製品の表面を装飾できる。具体的には、例え
ば、硬化遅延剤を紙に含浸させ、含浸紙を型枠の底に貼
付けなどにより固定し、生コンクリートを打設する。コ
ンクリートの硬化の後、成形品を型枠から離脱させ、前
記含浸紙と接触した表面部の未硬化のモルタルを洗い流
すことにより、骨材を露出させ、自然な風合いを有する
コンクリート製品が得られる。
【0004】しかし、前記セメント硬化遅延剤は、元来
セメント(以下、特に言及しない限り「コンクリート」
「モルタル」も含む意味に用いる)に混入するためのも
のであり、水に対して高い溶解性を具備している。この
ようなセメント硬化遅延剤を前記洗い出し工法に応用し
た場合には、生コンクリートの打設とともに硬化遅延剤
がコンクリートの中の水分に溶解し、型枠内または構築
物表面においてコンクリートからのブリード水と共に流
動する。そのため、洗い出しを必要としない個所にまで
硬化遅延剤が流動したり、場合によっては硬化遅延剤が
局所的に集中する一方、洗い出しを必要とする個所では
硬化遅延剤が流出し、硬化遅延剤の機能を有効に発現で
きない。特にコンクリート成形品や構造物表面に文字、
図柄などの装飾を洗い出し工法により施す場合には、硬
化遅延剤の効果発現部位を決定することが非常に困難で
ある。
セメント(以下、特に言及しない限り「コンクリート」
「モルタル」も含む意味に用いる)に混入するためのも
のであり、水に対して高い溶解性を具備している。この
ようなセメント硬化遅延剤を前記洗い出し工法に応用し
た場合には、生コンクリートの打設とともに硬化遅延剤
がコンクリートの中の水分に溶解し、型枠内または構築
物表面においてコンクリートからのブリード水と共に流
動する。そのため、洗い出しを必要としない個所にまで
硬化遅延剤が流動したり、場合によっては硬化遅延剤が
局所的に集中する一方、洗い出しを必要とする個所では
硬化遅延剤が流出し、硬化遅延剤の機能を有効に発現で
きない。特にコンクリート成形品や構造物表面に文字、
図柄などの装飾を洗い出し工法により施す場合には、硬
化遅延剤の効果発現部位を決定することが非常に困難で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、水分による溶出を抑制できるとともに、高い硬化遅
延能を有効に発現できるセメント硬化遅延剤およびその
製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
洗い出し工法によりコンクリート製品の表面に装飾模様
を精度よく形成できるセメント硬化遅延剤およびその製
造方法を提供することにある。
は、水分による溶出を抑制できるとともに、高い硬化遅
延能を有効に発現できるセメント硬化遅延剤およびその
製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
洗い出し工法によりコンクリート製品の表面に装飾模様
を精度よく形成できるセメント硬化遅延剤およびその製
造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、硬化遅延剤を加水分解
性又はアルカリ可溶性高分子内に封入すると、水に対す
る硬化遅延剤の溶出を防止できるとともに硬化遅延機能
を殆ど喪失させることができる一方、セメントモルタル
と接触すると、セメントモルタルの強いアルカリ性によ
り前記高分子が加水分解又は溶解し、セメントの硬化の
進行と共に内部の硬化遅延剤が浸出又は溶出することを
見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明のセメ
ント硬化遅延剤は、セメント硬化遅延能を有する成分
(以下、単に硬化遅延成分という場合がある)と、この
セメント硬化遅延成分を封入するためのアルカリ可溶性
又はアルカリ加水分解性高分子とで構成されている。セ
メント硬化遅延成分には、オキシカルボン酸又はその塩
などの低分子量の硬化遅延成分の他、飽和ポリエステ
ル、不飽和ポリエステル又はその硬化物、リグニン又は
変性物などが含まれる。前記高分子は飽和又は不飽和ポ
リエステルであってもよく、不飽和ポリエステルは架橋
硬化物であってもよい。また、前記高分子は、少くとも
(メタ)アクリル酸又はその塩を単量体とする単独又は
共重合体であってもよい。硬化遅延成分の封入形態に
は、前記高分子内での硬化遅延成分の分散、前記高分子
による硬化遅延成分の被覆などが含まれる。硬化遅延剤
の形態は粉粒体やフィルム又はシートであってもよい。
粉粒体は、(1)アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解
性高分子で構成されたマトリックス内にセメント硬化遅
延能を有する成分が分散した粉粒体、又は(2)セメン
ト硬化遅延能を有する成分で構成された粉粒体がアルカ
リ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で被覆された粉
粒体であってもよく、フィルム又はシートは、(1)ア
ルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で構成され
たマトリックス内にセメント硬化遅延能を有する成分が
分散したフィルム又はシート、又は(2)基材シート上
にセメント硬化遅延能を有する成分を含む硬化遅延層が
形成され、この硬化遅延層がアルカリ可溶性又はアルカ
リ加水分解性高分子で被覆されているフィルム又はシー
トであってもよい。セメント硬化遅延剤は、被覆又は分
散により、硬化遅延成分を、アルカリ可溶性又はアルカ
リ加水分解性高分子内に封入させることにより調製でき
る。なお、本明細書において、「封入」とは硬化遅延成
分が、少くともアルカリ可溶性又は加水分解性高分子を
含む組成物内に包含され、硬化遅延成分の溶出が抑制さ
れていることを意味し、全ての硬化遅延成分が組成物内
に完全に封入されている必要はない。
を達成するため鋭意検討の結果、硬化遅延剤を加水分解
性又はアルカリ可溶性高分子内に封入すると、水に対す
る硬化遅延剤の溶出を防止できるとともに硬化遅延機能
を殆ど喪失させることができる一方、セメントモルタル
と接触すると、セメントモルタルの強いアルカリ性によ
り前記高分子が加水分解又は溶解し、セメントの硬化の
進行と共に内部の硬化遅延剤が浸出又は溶出することを
見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明のセメ
ント硬化遅延剤は、セメント硬化遅延能を有する成分
(以下、単に硬化遅延成分という場合がある)と、この
セメント硬化遅延成分を封入するためのアルカリ可溶性
又はアルカリ加水分解性高分子とで構成されている。セ
メント硬化遅延成分には、オキシカルボン酸又はその塩
などの低分子量の硬化遅延成分の他、飽和ポリエステ
ル、不飽和ポリエステル又はその硬化物、リグニン又は
変性物などが含まれる。前記高分子は飽和又は不飽和ポ
リエステルであってもよく、不飽和ポリエステルは架橋
硬化物であってもよい。また、前記高分子は、少くとも
(メタ)アクリル酸又はその塩を単量体とする単独又は
共重合体であってもよい。硬化遅延成分の封入形態に
は、前記高分子内での硬化遅延成分の分散、前記高分子
による硬化遅延成分の被覆などが含まれる。硬化遅延剤
の形態は粉粒体やフィルム又はシートであってもよい。
粉粒体は、(1)アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解
性高分子で構成されたマトリックス内にセメント硬化遅
延能を有する成分が分散した粉粒体、又は(2)セメン
ト硬化遅延能を有する成分で構成された粉粒体がアルカ
リ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で被覆された粉
粒体であってもよく、フィルム又はシートは、(1)ア
ルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で構成され
たマトリックス内にセメント硬化遅延能を有する成分が
分散したフィルム又はシート、又は(2)基材シート上
にセメント硬化遅延能を有する成分を含む硬化遅延層が
形成され、この硬化遅延層がアルカリ可溶性又はアルカ
リ加水分解性高分子で被覆されているフィルム又はシー
トであってもよい。セメント硬化遅延剤は、被覆又は分
散により、硬化遅延成分を、アルカリ可溶性又はアルカ
リ加水分解性高分子内に封入させることにより調製でき
る。なお、本明細書において、「封入」とは硬化遅延成
分が、少くともアルカリ可溶性又は加水分解性高分子を
含む組成物内に包含され、硬化遅延成分の溶出が抑制さ
れていることを意味し、全ての硬化遅延成分が組成物内
に完全に封入されている必要はない。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のセメント硬化遅延剤は固
体状であり、(1)セメント硬化遅延能を有する成分と
(2)アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子と
で構成され、硬化遅延成分が前記高分子内に封入された
構造を有する。 [硬化遅延成分]前記硬化遅延成分は、比較的分子量の
低い低分子量化合物、オリゴマー領域の分子量を含む高
分子量化合物のいずれであってもよい。低分子量化合物
と高分子量化合物は組合せて使用してもよい。低分子量
の硬化遅延成分のうち有機化合物としては、例えば、ホ
スホン基PO 3 H2 を有するホスホン酸化合物[例え
ば、アミノジ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メ
チレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,
1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレン
ホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレン
ホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレ
ンホスホン酸)又はそれらの塩(アンモニア、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネ
シウム、バリウムなどのアルカリ土類金属との塩)な
ど]、非ホスホン酸化合物[例えば、オキシカルボン酸
又はその塩(グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、
クエン酸、グルコン酸、オキシマロン酸、粘液酸、ヒド
ロキシプロパン酸など);アスコルビン酸、イソアスコ
ルビン酸など;ケトカルボン酸(ピルビン酸、ケトグル
タル酸など);糖[スクロース,サッカロース(しょ
糖)、グルコース(ぶどう糖)などの多糖類やコーンシ
ロップなどの糖類];多価アルコール(ピロガロール、
没食子酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸な
ど);多価カルボン酸又はその塩(シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、ブタン酸などの飽和多価カルボン酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カル
ボン酸、グルコヘプタノン酸など)が挙げられる。低分
子量の硬化遅延成分のうち無機化合物としては、例え
ば、リン酸又はその塩、酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ酸又
はその塩(ホウ砂など)、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ケイフ
ッ化マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸塩などが挙げ
られる。これらの低分子量化合物は単独で又は二種以上
混合して使用できる。低分子量硬化遅延剤のうち、ホス
ホン酸化合物、オキシカルボン酸又はその塩、ケトカル
ボン酸、糖、多価アルコール、多価カルボン酸又はその
塩、リン酸塩、酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ酸塩(ホウ砂
など)、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ケイフッ化マグネシウ
ム、ヘキサフルオロケイ酸塩からなる群から選択された
少なくとも1つの成分が好ましい。
体状であり、(1)セメント硬化遅延能を有する成分と
(2)アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子と
で構成され、硬化遅延成分が前記高分子内に封入された
構造を有する。 [硬化遅延成分]前記硬化遅延成分は、比較的分子量の
低い低分子量化合物、オリゴマー領域の分子量を含む高
分子量化合物のいずれであってもよい。低分子量化合物
と高分子量化合物は組合せて使用してもよい。低分子量
の硬化遅延成分のうち有機化合物としては、例えば、ホ
スホン基PO 3 H2 を有するホスホン酸化合物[例え
ば、アミノジ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メ
チレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,
1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレン
ホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレン
ホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレ
ンホスホン酸)又はそれらの塩(アンモニア、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネ
シウム、バリウムなどのアルカリ土類金属との塩)な
ど]、非ホスホン酸化合物[例えば、オキシカルボン酸
又はその塩(グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、
クエン酸、グルコン酸、オキシマロン酸、粘液酸、ヒド
ロキシプロパン酸など);アスコルビン酸、イソアスコ
ルビン酸など;ケトカルボン酸(ピルビン酸、ケトグル
タル酸など);糖[スクロース,サッカロース(しょ
糖)、グルコース(ぶどう糖)などの多糖類やコーンシ
ロップなどの糖類];多価アルコール(ピロガロール、
没食子酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸な
ど);多価カルボン酸又はその塩(シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、ブタン酸などの飽和多価カルボン酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カル
ボン酸、グルコヘプタノン酸など)が挙げられる。低分
子量の硬化遅延成分のうち無機化合物としては、例え
ば、リン酸又はその塩、酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ酸又
はその塩(ホウ砂など)、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ケイフ
ッ化マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸塩などが挙げ
られる。これらの低分子量化合物は単独で又は二種以上
混合して使用できる。低分子量硬化遅延剤のうち、ホス
ホン酸化合物、オキシカルボン酸又はその塩、ケトカル
ボン酸、糖、多価アルコール、多価カルボン酸又はその
塩、リン酸塩、酸化鉛、酸化ホウ素、ホウ酸塩(ホウ砂
など)、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ケイフッ化マグネシウ
ム、ヘキサフルオロケイ酸塩からなる群から選択された
少なくとも1つの成分が好ましい。
【0008】高分子量の硬化遅延成分としては、飽和ポ
リエステル、不飽和ポリエステル又はその硬化物、カル
ボキシル基又は酸無水物基を有するモノマーの単独又は
共重合体若しくはそれらの塩[スチレン−マレイン酸共
重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン
−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エ
ステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンスルホ
ン酸−アクリル酸コポリマーなど];リグニン又は変性
物[リグニンスルホン酸又はリグノスルホネート(例え
ば、リグノスルホン酸カルシウムなど)など]などが挙
げられる。これらの高分子量の硬化遅延成分も単独で又
は二種以上混合して使用できる。なお、高分子量の硬化
遅延成分が、硬化遅延成分を封入するためのアルカリ可
溶性又は加水分解性高分子と、化学構造などにおいて同
系統の化合物であったとしても、硬化遅延性能の有無や
差異において異なる限り、高分子量の硬化遅延成分は、
硬化遅延成分を封入するためのアルカリ可溶性又は加水
分解性高分子とは異なる成分として使用される。このよ
うな観点から、前記例示の高分子量の硬化遅延成分のう
ち、分子中に2価の金属イオンに対してキレートを構成
し得るアニオン性基(好ましくはカルボキシル基)と親
水性基(好ましくはグリコール又はポリオキシエチレン
グリコールなどのポリグリコール若しくはそれらのモノ
エーテル残基を有するグリコール)とを有する高分子
や、アルカリによる加水分解に伴って前記アニオン性基
と親水性基とを生成する高分子が好ましい。より具体的
には、マレイン酸,フマル酸などのジカルボン酸とエチ
レングリコール,プロピレングリコールなどのジオール
とのエステル化により生成する不飽和ポリエステルと、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやポリオキ
シエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの
親水性基含有モノマーとの架橋硬化物、マレイン酸,フ
マル酸などのジカルボン酸と2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートやポリオキシエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなどの親水性基を有する重合性モ
ノヒドロキシ化合物とのエステルの単独重合体又は他の
共重合性化合物との共重合体などが例示される。好まし
い高分子量の硬化遅延成分には、飽和ポリエステル、不
飽和ポリエステル又はその硬化物、リグニン又は変性物
から選択された少くとも一種が含まれる。なお、飽和ポ
リエステルおよび不飽和ポリエステルの詳細について
は、後述する。
リエステル、不飽和ポリエステル又はその硬化物、カル
ボキシル基又は酸無水物基を有するモノマーの単独又は
共重合体若しくはそれらの塩[スチレン−マレイン酸共
重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン
−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エ
ステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンスルホ
ン酸−アクリル酸コポリマーなど];リグニン又は変性
物[リグニンスルホン酸又はリグノスルホネート(例え
ば、リグノスルホン酸カルシウムなど)など]などが挙
げられる。これらの高分子量の硬化遅延成分も単独で又
は二種以上混合して使用できる。なお、高分子量の硬化
遅延成分が、硬化遅延成分を封入するためのアルカリ可
溶性又は加水分解性高分子と、化学構造などにおいて同
系統の化合物であったとしても、硬化遅延性能の有無や
差異において異なる限り、高分子量の硬化遅延成分は、
硬化遅延成分を封入するためのアルカリ可溶性又は加水
分解性高分子とは異なる成分として使用される。このよ
うな観点から、前記例示の高分子量の硬化遅延成分のう
ち、分子中に2価の金属イオンに対してキレートを構成
し得るアニオン性基(好ましくはカルボキシル基)と親
水性基(好ましくはグリコール又はポリオキシエチレン
グリコールなどのポリグリコール若しくはそれらのモノ
エーテル残基を有するグリコール)とを有する高分子
や、アルカリによる加水分解に伴って前記アニオン性基
と親水性基とを生成する高分子が好ましい。より具体的
には、マレイン酸,フマル酸などのジカルボン酸とエチ
レングリコール,プロピレングリコールなどのジオール
とのエステル化により生成する不飽和ポリエステルと、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやポリオキ
シエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの
親水性基含有モノマーとの架橋硬化物、マレイン酸,フ
マル酸などのジカルボン酸と2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートやポリオキシエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなどの親水性基を有する重合性モ
ノヒドロキシ化合物とのエステルの単独重合体又は他の
共重合性化合物との共重合体などが例示される。好まし
い高分子量の硬化遅延成分には、飽和ポリエステル、不
飽和ポリエステル又はその硬化物、リグニン又は変性物
から選択された少くとも一種が含まれる。なお、飽和ポ
リエステルおよび不飽和ポリエステルの詳細について
は、後述する。
【0009】硬化遅延成分は、例えば、セメントに対し
て0.1重量%の硬化遅延成分を添加したとき、未添加
のセメントモルタルに対して、硬化時間を1.5倍以上
(例えば、1.5〜100倍)、好ましくは1.8倍以
上(例えば、2〜100倍程度)遅延させるのが好まし
い。より具体的には、普通ポルトランドセメントと、粗
粒率2.35で全体の99重量%が2.5mm篩を通過
する細骨材(砂)と、水とを用い、ポルトランドセメン
トに対する硬化遅延剤の割合0.1重量%、水/セメン
ト比=0.50、砂/セメント比=2.75の割合でホ
バート型ミキサーにより3分間混練して調製したモルタ
ル組成物について、貯蔵、計量、混練、凝結試験を21
℃の恒温室で行ったとき、ASTM C403に準じる
モルタル凝結試験において、セメントに対して0.1重
量%の硬化遅延剤を添加したモルタルの凝結始発時間T
1 は、硬化遅延剤を添加していないモルタルの凝結始発
時間T0 に対して、1.5倍以上(T=T1 /T0 ≧
1.5)、好ましくは1.8倍以上(T≧1.8)であ
る。これらの硬化遅延成分は、通常、室温において粉粒
体の形態で固体である。
て0.1重量%の硬化遅延成分を添加したとき、未添加
のセメントモルタルに対して、硬化時間を1.5倍以上
(例えば、1.5〜100倍)、好ましくは1.8倍以
上(例えば、2〜100倍程度)遅延させるのが好まし
い。より具体的には、普通ポルトランドセメントと、粗
粒率2.35で全体の99重量%が2.5mm篩を通過
する細骨材(砂)と、水とを用い、ポルトランドセメン
トに対する硬化遅延剤の割合0.1重量%、水/セメン
ト比=0.50、砂/セメント比=2.75の割合でホ
バート型ミキサーにより3分間混練して調製したモルタ
ル組成物について、貯蔵、計量、混練、凝結試験を21
℃の恒温室で行ったとき、ASTM C403に準じる
モルタル凝結試験において、セメントに対して0.1重
量%の硬化遅延剤を添加したモルタルの凝結始発時間T
1 は、硬化遅延剤を添加していないモルタルの凝結始発
時間T0 に対して、1.5倍以上(T=T1 /T0 ≧
1.5)、好ましくは1.8倍以上(T≧1.8)であ
る。これらの硬化遅延成分は、通常、室温において粉粒
体の形態で固体である。
【0010】[アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性
高分子]前記高分子はアルカリ可溶性又はアルカリ加水
分解性を有していればよい。アルカリ可溶性高分子 アルカリ可溶性高分子としては、例えば、カルボキシル
基、スルホン酸基を有する高分子が含まれる。アルカリ
可溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセル
ロース又はその塩、アルギン酸又はその塩、スルホイソ
フタル酸又はその塩などをジカルボン酸成分とする水溶
性ポリエステル樹脂、カルボキシル基又はその塩を有す
るアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂などが挙げられ
る。
高分子]前記高分子はアルカリ可溶性又はアルカリ加水
分解性を有していればよい。アルカリ可溶性高分子 アルカリ可溶性高分子としては、例えば、カルボキシル
基、スルホン酸基を有する高分子が含まれる。アルカリ
可溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセル
ロース又はその塩、アルギン酸又はその塩、スルホイソ
フタル酸又はその塩などをジカルボン酸成分とする水溶
性ポリエステル樹脂、カルボキシル基又はその塩を有す
るアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂などが挙げられ
る。
【0011】好ましいアルカリ可溶性高分子としては、
例えば、カルボキシル基又は酸無水物基を有する単量体
の単独又は共重合体、これらのカルボキシル基又は酸無
水物基を有する単量体と共重合性単量体との共重合体、
若しくはそれらの塩が好ましい。カルボキシル基又は酸
無水物基を有する単量体としては、例えば、(メタ)ア
クリル酸などの不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、無
水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸
などの不飽和ジカルボン酸などが例示できる。これらの
単量体は単独で又は二種以上使用できる。共重合性単量
体としては、例えば、アクリル系単量体[例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-18ア
ルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
などのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレートなど]、アリルエーテル単
量体、芳香族ビニル単量体[スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエンなど]、ビニルエステル単量体
[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど]、ビニルエー
テル単量体[メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、イソブチルビニルエーテルなど]などが例示でき
る。アルカリ可溶性高分子の塩としては、例えば、無機
塩基[アンモニア、ナトリウム、カリウムなどのアルカ
リ金属など]、有機塩基[メチルアミン、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリ
ンなど]との塩が例示できる。
例えば、カルボキシル基又は酸無水物基を有する単量体
の単独又は共重合体、これらのカルボキシル基又は酸無
水物基を有する単量体と共重合性単量体との共重合体、
若しくはそれらの塩が好ましい。カルボキシル基又は酸
無水物基を有する単量体としては、例えば、(メタ)ア
クリル酸などの不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、無
水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸
などの不飽和ジカルボン酸などが例示できる。これらの
単量体は単独で又は二種以上使用できる。共重合性単量
体としては、例えば、アクリル系単量体[例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-18ア
ルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
などのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレートなど]、アリルエーテル単
量体、芳香族ビニル単量体[スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエンなど]、ビニルエステル単量体
[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど]、ビニルエー
テル単量体[メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、イソブチルビニルエーテルなど]などが例示でき
る。アルカリ可溶性高分子の塩としては、例えば、無機
塩基[アンモニア、ナトリウム、カリウムなどのアルカ
リ金属など]、有機塩基[メチルアミン、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリ
ンなど]との塩が例示できる。
【0012】カルボキシル基又は酸無水物基を有する単
量体の使用量は、単量体全体の5〜100重量%、好ま
しくは10〜80重量%、特に15〜50重量%程度の
範囲から選択できる。アルカリ可溶性高分子の酸価は特
に制限されないが、カルボキシル基又は酸無水物基を有
する単量体と他の共重合性単量体との共重合体では、通
常、例えば、20〜300mgKOH/g、好ましくは
50〜250mgKOH/g程度であってもよい。
量体の使用量は、単量体全体の5〜100重量%、好ま
しくは10〜80重量%、特に15〜50重量%程度の
範囲から選択できる。アルカリ可溶性高分子の酸価は特
に制限されないが、カルボキシル基又は酸無水物基を有
する単量体と他の共重合性単量体との共重合体では、通
常、例えば、20〜300mgKOH/g、好ましくは
50〜250mgKOH/g程度であってもよい。
【0013】アルカリ可溶性高分子の具体例としては、
例えば、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アク
リル酸共重合体、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重
合体などが例示できる。好ましいアルカリ可溶性高分子
には、少くとも(メタ)アクリル酸又はその塩を単量体
とする単独又は共重合体(特にアクリル系樹脂やスチレ
ン系樹脂)が含まれる。
例えば、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アク
リル酸共重合体、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重
合体などが例示できる。好ましいアルカリ可溶性高分子
には、少くとも(メタ)アクリル酸又はその塩を単量体
とする単独又は共重合体(特にアクリル系樹脂やスチレ
ン系樹脂)が含まれる。
【0014】アルカリ加水分解性高分子 加水分解性高分子としては、飽和又は不飽和ポリエステ
ルが含まれ、前記不飽和ポリエステルは、不飽和ポリエ
ステルが架橋硬化物であってもよい。ポリエステル樹脂
は、グリコール成分とジカルボン酸成分とを主成分とす
る反応成分を脱水縮合反応に供することにより得ること
ができ、不飽和ポリエステル樹脂は前記ジカルボン酸成
分として少くとも無水マレイン酸(又はマレイン酸)を
用いることにより調製できる。
ルが含まれ、前記不飽和ポリエステルは、不飽和ポリエ
ステルが架橋硬化物であってもよい。ポリエステル樹脂
は、グリコール成分とジカルボン酸成分とを主成分とす
る反応成分を脱水縮合反応に供することにより得ること
ができ、不飽和ポリエステル樹脂は前記ジカルボン酸成
分として少くとも無水マレイン酸(又はマレイン酸)を
用いることにより調製できる。
【0015】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコールなどのC2-6 アルキレングリコー
ル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール(以下、特に言及しない限り、
これらを単にポリエチレングリコールと総称する)、ジ
プロピレングリコール、トリプロピレンクセリコール、
ポリプロピレングリコール(以下、特に言及しない限
り、これらを単にポリプロピレングリコールと総称す
る)、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシ
アルキレングリコールなどが挙げられる。これらのグリ
コール成分は単独で使用してもよく組合せて使用しても
よい。
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコールなどのC2-6 アルキレングリコー
ル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール(以下、特に言及しない限り、
これらを単にポリエチレングリコールと総称する)、ジ
プロピレングリコール、トリプロピレンクセリコール、
ポリプロピレングリコール(以下、特に言及しない限
り、これらを単にポリプロピレングリコールと総称す
る)、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシ
アルキレングリコールなどが挙げられる。これらのグリ
コール成分は単独で使用してもよく組合せて使用しても
よい。
【0016】ジカルボン酸成分としては、例えば、シュ
ウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸などの炭素数2〜10程度の
脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコ
ン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸などの炭素数4〜
6程度の脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタル酸、無水フ
タル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸などが含まれる。これらの多価カルボン酸は単
独で又は2種以上組合せて使用できる。
ウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸などの炭素数2〜10程度の
脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコ
ン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸などの炭素数4〜
6程度の脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタル酸、無水フ
タル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸などが含まれる。これらの多価カルボン酸は単
独で又は2種以上組合せて使用できる。
【0017】飽和又は不飽和ポリエステル樹脂は、強
度、伸度、可撓性、柔軟性、耐性などの特性を調整する
ため、前記グリコール成分及びジカルボン酸成分以外の
成分により改質されていてもよい。例えば、前記グリコ
ール成分及びジカルボン酸成分の少なくとも一方の成分
の一部に代えて、多価アルコール(例えば、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールな
ど)、多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロ
メリット酸など)などを共重合することができる。フタ
ル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はこれらの誘導体
から選択された芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を含
む多価カルボン酸成分は、ポリエステルの強度、伸度、
可撓性、柔軟性、耐水性などの特性を調整するのに有用
である。
度、伸度、可撓性、柔軟性、耐性などの特性を調整する
ため、前記グリコール成分及びジカルボン酸成分以外の
成分により改質されていてもよい。例えば、前記グリコ
ール成分及びジカルボン酸成分の少なくとも一方の成分
の一部に代えて、多価アルコール(例えば、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールな
ど)、多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロ
メリット酸など)などを共重合することができる。フタ
ル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はこれらの誘導体
から選択された芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を含
む多価カルボン酸成分は、ポリエステルの強度、伸度、
可撓性、柔軟性、耐水性などの特性を調整するのに有用
である。
【0018】飽和又は不飽和ポリエステル樹脂の分子量
は特に制限されないが、例えば、重量平均分子量300
〜25000、好ましくは500〜15000程度であ
る。
は特に制限されないが、例えば、重量平均分子量300
〜25000、好ましくは500〜15000程度であ
る。
【0019】不飽和ポリエステル樹脂の架橋硬化物は、
不飽和ポリエステル樹脂単独、又は不飽和ポリエステル
樹脂および反応性希釈剤の重合性組成物を有機過酸化物
などの重合開始剤により重合して硬化させることにより
得ることができる。反応性希釈剤としては、重合性ビニ
ルモノマー、例えば、スチレンなどのスチレン系モノマ
ー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル
基の炭素数1〜10程度のアルキル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有
するモノマーなどが挙げられる。これらの反応性希釈剤
は一種又は二種以上使用できる。なお、反応性希釈剤の
使用量は、所望する特性に応じて選択でき、例えば、樹
脂100重量部に対して、10〜500重量部、好まし
くは25〜200重量部程度である。
不飽和ポリエステル樹脂単独、又は不飽和ポリエステル
樹脂および反応性希釈剤の重合性組成物を有機過酸化物
などの重合開始剤により重合して硬化させることにより
得ることができる。反応性希釈剤としては、重合性ビニ
ルモノマー、例えば、スチレンなどのスチレン系モノマ
ー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル
基の炭素数1〜10程度のアルキル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有
するモノマーなどが挙げられる。これらの反応性希釈剤
は一種又は二種以上使用できる。なお、反応性希釈剤の
使用量は、所望する特性に応じて選択でき、例えば、樹
脂100重量部に対して、10〜500重量部、好まし
くは25〜200重量部程度である。
【0020】有機過酸化物としては、例えば、メチルエ
チルケトンパーオキシド、クメンハイドロパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエード、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、ジクミルパーオキシドなどが挙げられる。不
飽和ポリエステル樹脂の硬化は、常温でも可能である
が、短時間(例えば、0.5〜50分程度)で硬化させ
るためには、温度60〜200℃程度で行なうのが有利
である。硬化を促進するため、必要に応じて、硬化促進
剤、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト
などのコバルトの有機酸塩、アセチルアセトン、アセト
酢酸エチルなどのβ−ジケトン類、芳香族3級アミン
類、メルカプト化合物などを併用してもよい。
チルケトンパーオキシド、クメンハイドロパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエード、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、ジクミルパーオキシドなどが挙げられる。不
飽和ポリエステル樹脂の硬化は、常温でも可能である
が、短時間(例えば、0.5〜50分程度)で硬化させ
るためには、温度60〜200℃程度で行なうのが有利
である。硬化を促進するため、必要に応じて、硬化促進
剤、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト
などのコバルトの有機酸塩、アセチルアセトン、アセト
酢酸エチルなどのβ−ジケトン類、芳香族3級アミン
類、メルカプト化合物などを併用してもよい。
【0021】アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高
分子の割合は、所望する硬化遅延度や硬化遅延成分の封
入形態に応じて選択でき、例えば、硬化遅延成分100
重量部に対して1〜5000重量部、好ましくは10〜
1000重量部、さらに好ましくは20〜500重量部
程度の範囲から選択できる。
分子の割合は、所望する硬化遅延度や硬化遅延成分の封
入形態に応じて選択でき、例えば、硬化遅延成分100
重量部に対して1〜5000重量部、好ましくは10〜
1000重量部、さらに好ましくは20〜500重量部
程度の範囲から選択できる。
【0022】[硬化遅延成分の封入形態]本発明のセメ
ント硬化遅延剤では、アルカリ可溶性又はアルカリ加水
分解性高分子内に硬化遅延成分が封入された構造を有し
ていればよく、封入の形態は、分散や被覆のいずれであ
ってもよい。例えば、(1)硬化遅延成分が、前記高分
子で構成されたマトリックス内に分散して封入された分
散形態、(2)硬化遅延成分で構成された粉粒体又は硬
化遅延層がアルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分
子で被覆されている被覆形態であってもよい。前記分散
形態(1)において、マトリックスは、アルカリ可溶性
又はアルカリ加水分解性高分子単独で構成してもよく、
アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子と他の高
分子との樹脂組成物で構成してもよい。さらに、前記被
覆形態(2)において、粉粒体や硬化遅延層は、硬化遅
延成分単独で形成してもよく、硬化遅延成分とバインダ
ー樹脂とで形成してもよい。また、硬化遅延層を形成す
るためのバインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性又はア
ルカリ加水分解性高分子であってもよい。
ント硬化遅延剤では、アルカリ可溶性又はアルカリ加水
分解性高分子内に硬化遅延成分が封入された構造を有し
ていればよく、封入の形態は、分散や被覆のいずれであ
ってもよい。例えば、(1)硬化遅延成分が、前記高分
子で構成されたマトリックス内に分散して封入された分
散形態、(2)硬化遅延成分で構成された粉粒体又は硬
化遅延層がアルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分
子で被覆されている被覆形態であってもよい。前記分散
形態(1)において、マトリックスは、アルカリ可溶性
又はアルカリ加水分解性高分子単独で構成してもよく、
アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子と他の高
分子との樹脂組成物で構成してもよい。さらに、前記被
覆形態(2)において、粉粒体や硬化遅延層は、硬化遅
延成分単独で形成してもよく、硬化遅延成分とバインダ
ー樹脂とで形成してもよい。また、硬化遅延層を形成す
るためのバインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性又はア
ルカリ加水分解性高分子であってもよい。
【0023】前記分散形態(1)における他の高分子、
および前記被覆形態(2)におけるバインダー樹脂とし
ては、被膜成形性樹脂、例えば、熱可塑性樹脂[例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系
ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ(1,4−ジメチロール−シクロ
ヘキサンテレフタレート)などのポリエステル;ナイロ
ン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などのポ
リアミド;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル(E
VA)共重合体、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共
重合体(VA−VeoVa)などのビニルエステル系樹脂;
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共
重合体などのビニルエステル系樹脂のケン化物;エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合
体、ポリクロロプレン、塩素化ポリプロピレンなどのハ
ロゲン含有ポリマー;アクリル樹脂、スチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系ポリ
マー;ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共
重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹
脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)、ス
チレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(AB
S樹脂)などのスチレン系ポリマー;ポリカーボネー
ト;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、酢酸セルロース、アセチルブチルセ
ルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系ポリマ
ー;天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、ブタジエンゴム、
イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレン
ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン
化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムな
どのエラストマー;天然高分子など]、熱硬化性樹脂
[例えば、熱硬化性アクリル樹脂、ビニルエステル樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂など]が例示でき
る。これらの樹脂は一種又は二種以上使用できる。マト
リックスを構成する他の高分子の割合は、アルカリ可溶
性又はアルカリ加水分解性高分子100重量部に対し
て、0〜1000重量部、好ましくは0〜700重量
部、さらに好ましくは0〜500重量部程度の範囲から
選択できる。粉粒体や硬化遅延層を構成するバインダー
樹脂の割合は、硬化遅延成分100重量部に対して、0
〜5000重量部(例えば、0〜500重量部)、好ま
しくは0〜2500重量部(例えば、0〜250重量
部)、さらに好ましくは0〜1000重量部(例えば、
0〜100重量部)程度の範囲から選択できる。前記硬
化遅延成分で構成された粉粒体の粒径は特に制限され
ず、例えば、平均粒径0.1μm〜5mm、好ましくは
1μm〜3mm、特に5μm〜1mm程度の範囲から選
択できる。本発明のセメント硬化遅延剤は、種々の添加
剤、例えば、顔料、染料などの着色剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤などの安定剤、可塑剤、消泡剤、乳化剤、充
填剤などを含んでいてもよい。本発明のセメント硬化遅
延剤は、アルカリ可溶性又は加水分解性高分子により封
入されているため、水溶性の高い硬化遅延成分を用いて
も、水による溶出を防止できる。しかも、モルタルとの
接触により、高分子が溶解又は加水分解するので、硬化
遅延成分の高い硬化遅延能を有効かつ長時間に亘り維持
できる。特に、硬化遅延成分として加水分解などにより
硬化遅延能が発現する不飽和ポリエステルなどを利用す
ると、硬化遅延能を長期間に亘り持続できる。そのた
め、本発明のセメント硬化遅延剤は、洗い出しにより所
望のパターンを精度よく形成する上で有用であるもの
の、従来の硬化遅延剤と同様の用途、例えば、夏期にお
ける生コンクリートの長期間に亘る硬化の抑制、大型コ
ンクリート構造物における温度による応力の緩和などの
ために、モルタルやコンクリートに添加してもよい。
および前記被覆形態(2)におけるバインダー樹脂とし
ては、被膜成形性樹脂、例えば、熱可塑性樹脂[例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系
ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ(1,4−ジメチロール−シクロ
ヘキサンテレフタレート)などのポリエステル;ナイロ
ン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などのポ
リアミド;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル(E
VA)共重合体、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共
重合体(VA−VeoVa)などのビニルエステル系樹脂;
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共
重合体などのビニルエステル系樹脂のケン化物;エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合
体、ポリクロロプレン、塩素化ポリプロピレンなどのハ
ロゲン含有ポリマー;アクリル樹脂、スチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系ポリ
マー;ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共
重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹
脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)、ス
チレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(AB
S樹脂)などのスチレン系ポリマー;ポリカーボネー
ト;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、酢酸セルロース、アセチルブチルセ
ルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系ポリマ
ー;天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、ブタジエンゴム、
イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレン
ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン
化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムな
どのエラストマー;天然高分子など]、熱硬化性樹脂
[例えば、熱硬化性アクリル樹脂、ビニルエステル樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂など]が例示でき
る。これらの樹脂は一種又は二種以上使用できる。マト
リックスを構成する他の高分子の割合は、アルカリ可溶
性又はアルカリ加水分解性高分子100重量部に対し
て、0〜1000重量部、好ましくは0〜700重量
部、さらに好ましくは0〜500重量部程度の範囲から
選択できる。粉粒体や硬化遅延層を構成するバインダー
樹脂の割合は、硬化遅延成分100重量部に対して、0
〜5000重量部(例えば、0〜500重量部)、好ま
しくは0〜2500重量部(例えば、0〜250重量
部)、さらに好ましくは0〜1000重量部(例えば、
0〜100重量部)程度の範囲から選択できる。前記硬
化遅延成分で構成された粉粒体の粒径は特に制限され
ず、例えば、平均粒径0.1μm〜5mm、好ましくは
1μm〜3mm、特に5μm〜1mm程度の範囲から選
択できる。本発明のセメント硬化遅延剤は、種々の添加
剤、例えば、顔料、染料などの着色剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤などの安定剤、可塑剤、消泡剤、乳化剤、充
填剤などを含んでいてもよい。本発明のセメント硬化遅
延剤は、アルカリ可溶性又は加水分解性高分子により封
入されているため、水溶性の高い硬化遅延成分を用いて
も、水による溶出を防止できる。しかも、モルタルとの
接触により、高分子が溶解又は加水分解するので、硬化
遅延成分の高い硬化遅延能を有効かつ長時間に亘り維持
できる。特に、硬化遅延成分として加水分解などにより
硬化遅延能が発現する不飽和ポリエステルなどを利用す
ると、硬化遅延能を長期間に亘り持続できる。そのた
め、本発明のセメント硬化遅延剤は、洗い出しにより所
望のパターンを精度よく形成する上で有用であるもの
の、従来の硬化遅延剤と同様の用途、例えば、夏期にお
ける生コンクリートの長期間に亘る硬化の抑制、大型コ
ンクリート構造物における温度による応力の緩和などの
ために、モルタルやコンクリートに添加してもよい。
【0024】[セメント硬化遅延剤の形態]本発明のセ
メント硬化遅延剤の形態は、(a)粉粒体に限らず、
(b)フィルムやシート(以下、単に硬化遅延シートと
称する場合がある)であってもよい。粉粒体(a)は、
(a1)分散形態の硬化遅延剤で形成された粉粒体であっ
てもよく、前記硬化遅延成分の粉粒体がアルカリ可溶性
又はアルカリ加水分解性高分子で被覆された被覆形態の
粉粒体(a2)であってもよい。粉粒体(a)の形状は特
に制限されず、例えば、無定形、球形、楕円形、ロッド
状などのいずれであってもよい。粉粒体(a)の粒径
は、例えば、平均粒径1μm〜10mm、好ましくは5
μm〜30mm、特に10μm〜10mm程度の範囲か
ら選択できる。硬化遅延シート(b)は、少くとも一方
の表面に前記封入された硬化遅延成分を備えていればよ
く、例えば、(b1)前記分散形態の硬化遅延剤で形成さ
れたフィルム又はシート、(b2)基材フィルム又はシー
トに形成され、かつ硬化遅延成分を含む硬化遅延層と、
この硬化遅延層を被覆するアルカリ可溶性又はアルカリ
加水分解性高分子とで構成されたシートであってもよ
い。前者(b1)におけるマトリックス樹脂、後者(b2)
におけるアルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子
として皮膜形成能を有する樹脂を用いるのが有利であ
る。
メント硬化遅延剤の形態は、(a)粉粒体に限らず、
(b)フィルムやシート(以下、単に硬化遅延シートと
称する場合がある)であってもよい。粉粒体(a)は、
(a1)分散形態の硬化遅延剤で形成された粉粒体であっ
てもよく、前記硬化遅延成分の粉粒体がアルカリ可溶性
又はアルカリ加水分解性高分子で被覆された被覆形態の
粉粒体(a2)であってもよい。粉粒体(a)の形状は特
に制限されず、例えば、無定形、球形、楕円形、ロッド
状などのいずれであってもよい。粉粒体(a)の粒径
は、例えば、平均粒径1μm〜10mm、好ましくは5
μm〜30mm、特に10μm〜10mm程度の範囲か
ら選択できる。硬化遅延シート(b)は、少くとも一方
の表面に前記封入された硬化遅延成分を備えていればよ
く、例えば、(b1)前記分散形態の硬化遅延剤で形成さ
れたフィルム又はシート、(b2)基材フィルム又はシー
トに形成され、かつ硬化遅延成分を含む硬化遅延層と、
この硬化遅延層を被覆するアルカリ可溶性又はアルカリ
加水分解性高分子とで構成されたシートであってもよ
い。前者(b1)におけるマトリックス樹脂、後者(b2)
におけるアルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子
として皮膜形成能を有する樹脂を用いるのが有利であ
る。
【0025】さらに、前記形態(a1)(a2)(b1)およ
び(b2)において、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分
解性高分子は、架橋硬化した不飽和ポリエステルなどの
ように硬化していてもよい。
び(b2)において、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分
解性高分子は、架橋硬化した不飽和ポリエステルなどの
ように硬化していてもよい。
【0026】硬化遅延シートは、シートへの粘着剤又は
接着剤(以下、単に粘着剤という)の混入、粘着剤の塗
布や、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で
構成された被覆層への粘着剤の混入などにより、粘着性
又は接着性が付与されたシートであってもよい。さら
に、粘着性は、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性
高分子の構成単量体の選択(特にアクリル酸C2-8 アル
キルエステルの選択)やアルカリ可溶性又はアルカリ加
水分解性高分子(例えば、不飽和ポリエステル)と軟質
単量体(特にアクリル酸C2-8 アルキルエステル)との
共重合により付与してもよい。粘着剤により粘着性が付
与された硬化遅延シートを利用すると、表面に模様、図
形や洗い出し面が形成され、装飾材と一体に固着したコ
ンクリート製品を製造する上で有用である。すなわち、
粘着面を上面にしてシートを型枠内に敷設し、粘着面に
石、タイルなどの複数の化粧材の表面側を粘着により配
置し、化粧材を位置決め固定する。次いで、無機硬化性
組成物を型枠内に打設し、養生などの慣用の硬化方法に
より硬化させ、硬化した成形品を型枠から取出す。そし
て、化粧材の表面側(シートとの接触面側)を水、加圧
水、ジェット流などにより洗浄することにより、化粧材
に付着した未硬化の組成物を容易に除去でき、粘着剤を
除去することにより、清浄化された表化粧材が貼り合せ
られたコンクリート製品(化粧仕上げブロック、プレキ
ャストコンクリート板など)を得ることができる。な
お、化粧材をシートの粘着面に粘着させない場合には、
前記洗い出しにより骨材が露出し模様又は洗い出し面を
形成できる。
接着剤(以下、単に粘着剤という)の混入、粘着剤の塗
布や、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で
構成された被覆層への粘着剤の混入などにより、粘着性
又は接着性が付与されたシートであってもよい。さら
に、粘着性は、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性
高分子の構成単量体の選択(特にアクリル酸C2-8 アル
キルエステルの選択)やアルカリ可溶性又はアルカリ加
水分解性高分子(例えば、不飽和ポリエステル)と軟質
単量体(特にアクリル酸C2-8 アルキルエステル)との
共重合により付与してもよい。粘着剤により粘着性が付
与された硬化遅延シートを利用すると、表面に模様、図
形や洗い出し面が形成され、装飾材と一体に固着したコ
ンクリート製品を製造する上で有用である。すなわち、
粘着面を上面にしてシートを型枠内に敷設し、粘着面に
石、タイルなどの複数の化粧材の表面側を粘着により配
置し、化粧材を位置決め固定する。次いで、無機硬化性
組成物を型枠内に打設し、養生などの慣用の硬化方法に
より硬化させ、硬化した成形品を型枠から取出す。そし
て、化粧材の表面側(シートとの接触面側)を水、加圧
水、ジェット流などにより洗浄することにより、化粧材
に付着した未硬化の組成物を容易に除去でき、粘着剤を
除去することにより、清浄化された表化粧材が貼り合せ
られたコンクリート製品(化粧仕上げブロック、プレキ
ャストコンクリート板など)を得ることができる。な
お、化粧材をシートの粘着面に粘着させない場合には、
前記洗い出しにより骨材が露出し模様又は洗い出し面を
形成できる。
【0027】さらに、粘着性が付与された硬化遅延シー
トを用いる場合、型枠内で装飾材を配置することなく、
予め粘着面に装飾材を配置又は配列させたキットシート
を型枠内に配設してもよい。例えば、粘着面に、複数の
装飾材としてのタイルを面方向に連続して又は散在して
貼着することにより、ユニットタイルを形成できる。複
数のタイルは、面方向(例えば、縦方向,横方向や縦横
方向)に互いに隣接(連続)して又は間隔をおいて配列
する場合が多い。このような装飾材キットシートを用い
ると、個別に型枠内で装飾材を配置する必要がなく、別
の工程で作製された装飾材キットシートを型枠内に配設
するだけでよく、作業効率を高めることができる。装飾
材としては、種々の材料、例えば、玉石、黒石、鉄平石
などの天然石、人造石などの石材、タイルなどのセラミ
ックス材、金属材、ガラス材、木材、織布などが使用で
きる。装飾材は平板状であってもよく、タイルは通常の
タイルの他、モザイクタイルや割りタイルであってもよ
い。また、コンクリート製品の製造に際して、必要に応
じて、型枠内に鉄筋などの補強材を配設して無機硬化性
組成物を打設してもよい。
トを用いる場合、型枠内で装飾材を配置することなく、
予め粘着面に装飾材を配置又は配列させたキットシート
を型枠内に配設してもよい。例えば、粘着面に、複数の
装飾材としてのタイルを面方向に連続して又は散在して
貼着することにより、ユニットタイルを形成できる。複
数のタイルは、面方向(例えば、縦方向,横方向や縦横
方向)に互いに隣接(連続)して又は間隔をおいて配列
する場合が多い。このような装飾材キットシートを用い
ると、個別に型枠内で装飾材を配置する必要がなく、別
の工程で作製された装飾材キットシートを型枠内に配設
するだけでよく、作業効率を高めることができる。装飾
材としては、種々の材料、例えば、玉石、黒石、鉄平石
などの天然石、人造石などの石材、タイルなどのセラミ
ックス材、金属材、ガラス材、木材、織布などが使用で
きる。装飾材は平板状であってもよく、タイルは通常の
タイルの他、モザイクタイルや割りタイルであってもよ
い。また、コンクリート製品の製造に際して、必要に応
じて、型枠内に鉄筋などの補強材を配設して無機硬化性
組成物を打設してもよい。
【0028】前記ユニットタイルなどの装飾材キットフ
イルムは、プレキャストコンクリート板などの化粧仕上
げコンクリート製品の製造に有用である。すなわち、前
記タイルなどの装飾材の裏面を上にして装飾材キットシ
ートを、コンクリート打設用型枠に配置し、コンクリー
トを打設して養生した後、脱型し、粘着性シートを除去
することにより、装飾材表面を露出させ、装飾材の表面
を水洗することにより、装飾材表面に回り込んだ非硬化
状態の無機硬化性組成物(セメントなど)を洗い流すこ
とにより、装飾材と一体化したプレキャストコンクリー
ト板を製造できる。すなわち、タイルなどの装飾材の表
面側に無機硬化性組成物が回り込んでも、硬化遅延剤に
より無機硬化性組成物の硬化を抑制でき、非硬化(半硬
化又は未硬化)状態となるため、装飾材の表面から無機
硬化性組成物を除去するための表面仕上げを、水洗など
の洗浄という簡単な操作で効率よく、しかも完璧に行な
うことができる。
イルムは、プレキャストコンクリート板などの化粧仕上
げコンクリート製品の製造に有用である。すなわち、前
記タイルなどの装飾材の裏面を上にして装飾材キットシ
ートを、コンクリート打設用型枠に配置し、コンクリー
トを打設して養生した後、脱型し、粘着性シートを除去
することにより、装飾材表面を露出させ、装飾材の表面
を水洗することにより、装飾材表面に回り込んだ非硬化
状態の無機硬化性組成物(セメントなど)を洗い流すこ
とにより、装飾材と一体化したプレキャストコンクリー
ト板を製造できる。すなわち、タイルなどの装飾材の表
面側に無機硬化性組成物が回り込んでも、硬化遅延剤に
より無機硬化性組成物の硬化を抑制でき、非硬化(半硬
化又は未硬化)状態となるため、装飾材の表面から無機
硬化性組成物を除去するための表面仕上げを、水洗など
の洗浄という簡単な操作で効率よく、しかも完璧に行な
うことができる。
【0029】前記硬化遅延シートにおいて、硬化遅延成
分を含む硬化遅延層は基材シートから剥離可能であって
もよい。基材シートから硬化遅延層が剥離可能である場
合には、硬化遅延層のうち所望する模様などに対応させ
て所定の部位又は領域をカッティングして基材シートか
ら剥離し、シートを型枠内に配設し、無機硬化性組成物
(モルタル組成物など)を打設し、養生硬化したコンク
リート製品のうち前記シートとの接触面を洗い出すこと
により、コンクリート製品の表面のうち非カッティング
部に対応する部位に模様、図形パターンや骨材などが露
出した洗い出し面を形成できる。硬化遅延層を剥離可能
とするため、基材シートの表面は未処理であってもよ
く、例えば、ワックス、高級脂肪酸アミド、シリコーン
オイルなどの離型剤で処理してもよい。基材シートの表
面張力は、硬化遅延層の接着強度と関連付けて、硬化遅
延層の剥離性を損わない範囲で相対的に選択できる。基
材シートの表面張力は、例えば、38dyn/cm以
下、好ましくは20〜38dyn/cm、さらに好まし
くは25〜36dyn/cm程度である場合が多い。
分を含む硬化遅延層は基材シートから剥離可能であって
もよい。基材シートから硬化遅延層が剥離可能である場
合には、硬化遅延層のうち所望する模様などに対応させ
て所定の部位又は領域をカッティングして基材シートか
ら剥離し、シートを型枠内に配設し、無機硬化性組成物
(モルタル組成物など)を打設し、養生硬化したコンク
リート製品のうち前記シートとの接触面を洗い出すこと
により、コンクリート製品の表面のうち非カッティング
部に対応する部位に模様、図形パターンや骨材などが露
出した洗い出し面を形成できる。硬化遅延層を剥離可能
とするため、基材シートの表面は未処理であってもよ
く、例えば、ワックス、高級脂肪酸アミド、シリコーン
オイルなどの離型剤で処理してもよい。基材シートの表
面張力は、硬化遅延層の接着強度と関連付けて、硬化遅
延層の剥離性を損わない範囲で相対的に選択できる。基
材シートの表面張力は、例えば、38dyn/cm以
下、好ましくは20〜38dyn/cm、さらに好まし
くは25〜36dyn/cm程度である場合が多い。
【0030】[製造方法]本発明のセメント硬化遅延剤
は、硬化遅延成分の封入形態および硬化遅延剤の形態に
応じて、被覆又は分散により、硬化遅延成分を、アルカ
リ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子内に封入させる
ことにより得ることができる。例えば、(1)分散形態
のセメント硬化遅延剤は、混合機や混練機などの慣用の
装置を用い、硬化遅延成分とアルカリ可溶性又はアルカ
リ加水分解性高分子と必要により他の高分子とを混合又
は混練することにより調製できる。混合に際しては必要
により水や有機溶媒を用いてもよく、混練においては前
記成分を溶融混練してもよい。(2)被覆形態のセメン
ト硬化遅延剤は、コーティング装置を用い、硬化遅延成
分と必要によりバインダー樹脂で構成された粉粒体又は
硬化遅延層を、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性
高分子で被覆することにより調製できる。また、被覆形
態の粉粒体は、例えば、流動層コーティングやマイクロ
カプセル化などの慣用の方法で調製できる。
は、硬化遅延成分の封入形態および硬化遅延剤の形態に
応じて、被覆又は分散により、硬化遅延成分を、アルカ
リ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子内に封入させる
ことにより得ることができる。例えば、(1)分散形態
のセメント硬化遅延剤は、混合機や混練機などの慣用の
装置を用い、硬化遅延成分とアルカリ可溶性又はアルカ
リ加水分解性高分子と必要により他の高分子とを混合又
は混練することにより調製できる。混合に際しては必要
により水や有機溶媒を用いてもよく、混練においては前
記成分を溶融混練してもよい。(2)被覆形態のセメン
ト硬化遅延剤は、コーティング装置を用い、硬化遅延成
分と必要によりバインダー樹脂で構成された粉粒体又は
硬化遅延層を、アルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性
高分子で被覆することにより調製できる。また、被覆形
態の粉粒体は、例えば、流動層コーティングやマイクロ
カプセル化などの慣用の方法で調製できる。
【0031】また、粉粒体の形態のセメント硬化遅延剤
(a)は、前記粉粒体の被覆に限らず、分散形態のセメ
ント硬化遅延剤の粉砕、分級などによっても得ることが
できる。さらに、硬化遅延シート(b)のうち、前記分
散形態の硬化遅延剤で形成された硬化遅延シート(b1)
は、硬化遅延成分,アルカリ可溶性又はアルカリ加水分
解性高分子,および必要により他の高分子とで構成され
た樹脂組成物を、慣用の成形法、例えば、押出し成形
法、流延法、カレンダー法などでフィルム又はシート成
形することにより調製できる。また、硬化遅延層が被覆
された硬化遅延シート(b2)は、硬化遅延成分,および
必要によりバインダー樹脂を含む組成物を基材シートに
塗布又は含浸させ、形成された硬化遅延層を、アルカリ
可溶性又はアルカリ加水分解性高分子を含む組成物でコ
ーティングし、被覆層を形成することにより調製でき
る。この方法において、塗布、含浸やコーティングに
は、加熱溶融した組成物を用いてもよく、水又は有機溶
媒を含む組成物を用いてもよい。有機溶媒としては、例
えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンな
どの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン
などのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル
類、及びこれらの混合溶媒などが例示できる。なお、硬
化遅延成分を含む組成物は、基材シートの少なくとも一
方の面に塗布すればよく、塗布層は基材シートの全面に
形成してもよく、部分的(例えば、規則的パターン又は
不規則パターンとして)に形成してもよい。
(a)は、前記粉粒体の被覆に限らず、分散形態のセメ
ント硬化遅延剤の粉砕、分級などによっても得ることが
できる。さらに、硬化遅延シート(b)のうち、前記分
散形態の硬化遅延剤で形成された硬化遅延シート(b1)
は、硬化遅延成分,アルカリ可溶性又はアルカリ加水分
解性高分子,および必要により他の高分子とで構成され
た樹脂組成物を、慣用の成形法、例えば、押出し成形
法、流延法、カレンダー法などでフィルム又はシート成
形することにより調製できる。また、硬化遅延層が被覆
された硬化遅延シート(b2)は、硬化遅延成分,および
必要によりバインダー樹脂を含む組成物を基材シートに
塗布又は含浸させ、形成された硬化遅延層を、アルカリ
可溶性又はアルカリ加水分解性高分子を含む組成物でコ
ーティングし、被覆層を形成することにより調製でき
る。この方法において、塗布、含浸やコーティングに
は、加熱溶融した組成物を用いてもよく、水又は有機溶
媒を含む組成物を用いてもよい。有機溶媒としては、例
えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンな
どの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン
などのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル
類、及びこれらの混合溶媒などが例示できる。なお、硬
化遅延成分を含む組成物は、基材シートの少なくとも一
方の面に塗布すればよく、塗布層は基材シートの全面に
形成してもよく、部分的(例えば、規則的パターン又は
不規則パターンとして)に形成してもよい。
【0032】前記基材シートには、例えば、プラスチッ
クシートや金属箔などの無孔性シート、紙、織布や不織
布などの多孔性シートが含まれる。基材シートのうち好
ましい無孔性シートとしてはプラスチックシートが含ま
れ、多孔性シートとしては不織布などが含まれる。基材
シートを構成するポリマーは特に制限されず、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系ポリ
マー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリエステル(特にポリアルキレンテ
レフタレート);エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸共重合体;アクリル樹脂;ポリスチレ
ン;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリカーボネート;
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共
重合体などが例示される。これらのポリマーは一種又は
二種以上使用できる。好ましい基材シートには、プラス
チックシートや不織布などが含まれる。基材シートは、
単一層のシートであってもよく複数の層が積層された複
合シート、例えば、ポリエチレン製繊維などの繊維を織
ったクロスの片面又は両面に、前記ポリエチレンなどの
シートを積層した積層シートなどであってもよい。ま
た、プラスチックシートなどの基材シートは、未延伸シ
ートであってもよく、一軸又は二軸延伸シートであって
もよい。さらに、密着性を高めるため、基材シートの表
面は、火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などに
より表面処理されていてもよい。表面処理された基材シ
ートの表面張力は、約40dyn/cm以上である場合
が多い。前記基材シートの厚みは、作業性、機械的強度
などを損わない範囲で選択でき、例えば、15〜500
μm、好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは
30〜300μm程度であり、50〜300μm程度で
ある場合が多い。
クシートや金属箔などの無孔性シート、紙、織布や不織
布などの多孔性シートが含まれる。基材シートのうち好
ましい無孔性シートとしてはプラスチックシートが含ま
れ、多孔性シートとしては不織布などが含まれる。基材
シートを構成するポリマーは特に制限されず、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系ポリ
マー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリエステル(特にポリアルキレンテ
レフタレート);エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸共重合体;アクリル樹脂;ポリスチレ
ン;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリカーボネート;
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共
重合体などが例示される。これらのポリマーは一種又は
二種以上使用できる。好ましい基材シートには、プラス
チックシートや不織布などが含まれる。基材シートは、
単一層のシートであってもよく複数の層が積層された複
合シート、例えば、ポリエチレン製繊維などの繊維を織
ったクロスの片面又は両面に、前記ポリエチレンなどの
シートを積層した積層シートなどであってもよい。ま
た、プラスチックシートなどの基材シートは、未延伸シ
ートであってもよく、一軸又は二軸延伸シートであって
もよい。さらに、密着性を高めるため、基材シートの表
面は、火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などに
より表面処理されていてもよい。表面処理された基材シ
ートの表面張力は、約40dyn/cm以上である場合
が多い。前記基材シートの厚みは、作業性、機械的強度
などを損わない範囲で選択でき、例えば、15〜500
μm、好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは
30〜300μm程度であり、50〜300μm程度で
ある場合が多い。
【0033】硬化遅延シートは、適宜裁断して表面装飾
用シートとして使用してもよい。例えば、コンクリート
製品の洗いだし部位に対応する型枠の内壁又は底壁の部
位に、裁断した硬化遅延シートを貼付などにより固定
し、コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した
後、脱型し、貼付部位に対応するコンクリート製品の表
面の未硬化モルタルを洗い流すことにより、化粧仕上げ
コンクリート製品を得ることができる。また、硬化遅延
成分が被覆された形態で基材シートに保持されているの
で、コンクリートを打設しても硬化遅延成分の移動を抑
制できるとともに、ブリード水により流動することもな
い。そのため、コンクリート成形品又は建築物のうち、
所望の表面部位に文字、図柄などの装飾パターンを精度
よく明確に施すことができる。
用シートとして使用してもよい。例えば、コンクリート
製品の洗いだし部位に対応する型枠の内壁又は底壁の部
位に、裁断した硬化遅延シートを貼付などにより固定
し、コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した
後、脱型し、貼付部位に対応するコンクリート製品の表
面の未硬化モルタルを洗い流すことにより、化粧仕上げ
コンクリート製品を得ることができる。また、硬化遅延
成分が被覆された形態で基材シートに保持されているの
で、コンクリートを打設しても硬化遅延成分の移動を抑
制できるとともに、ブリード水により流動することもな
い。そのため、コンクリート成形品又は建築物のうち、
所望の表面部位に文字、図柄などの装飾パターンを精度
よく明確に施すことができる。
【0034】本発明のセメント硬化遅延剤は、種々のセ
メント、例えば、気硬性セメント(セッコウ、消石灰や
ドロマイトプラスターなどの石灰);水硬性セメント
(例えば、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセ
メント、アルミナセメント、急硬高強度セメント、焼き
セッコウなどの自硬性セメント;石灰スラグセメント、
高炉セメントなど;混合セメント)などの硬化抑制に適
用できる。好ましいセメントには、例えば、セッコウ、
ドロマイトプラスターおよび水硬性セメントなどが含ま
れる。前記セメントは、水とのペースト組成物(セメン
トペースト)として使用してもよく、砂、ケイ砂、パー
ライトなどの細骨材、粗骨材を含むモルタル組成物やコ
ンクリート組成物として使用してもよい。前記ペースト
組成物及びモルタル組成物は、必要に応じて、着色剤、
硬化剤、塩化カルシウムなどの硬化促進剤、ナフタレン
スルホン酸ナトリウムなどの減水剤、凝固剤、カルボキ
シメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルア
ルコールなどの増粘剤、発泡剤、合成樹脂エマルジョン
などの防水剤、可塑剤などの種々の添加剤を含んでいて
もよい。
メント、例えば、気硬性セメント(セッコウ、消石灰や
ドロマイトプラスターなどの石灰);水硬性セメント
(例えば、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセ
メント、アルミナセメント、急硬高強度セメント、焼き
セッコウなどの自硬性セメント;石灰スラグセメント、
高炉セメントなど;混合セメント)などの硬化抑制に適
用できる。好ましいセメントには、例えば、セッコウ、
ドロマイトプラスターおよび水硬性セメントなどが含ま
れる。前記セメントは、水とのペースト組成物(セメン
トペースト)として使用してもよく、砂、ケイ砂、パー
ライトなどの細骨材、粗骨材を含むモルタル組成物やコ
ンクリート組成物として使用してもよい。前記ペースト
組成物及びモルタル組成物は、必要に応じて、着色剤、
硬化剤、塩化カルシウムなどの硬化促進剤、ナフタレン
スルホン酸ナトリウムなどの減水剤、凝固剤、カルボキ
シメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルア
ルコールなどの増粘剤、発泡剤、合成樹脂エマルジョン
などの防水剤、可塑剤などの種々の添加剤を含んでいて
もよい。
【0035】本発明のセメント硬化遅延剤は、種々のコ
ンクリート製品、例えば、カーテンウォール、壁材など
のコンクリートパネル、コンクリートブロックなどの製
造、特に化粧仕上げコンクリート製品(例えば、プレキ
ャストコンクリート板)の製造に有用である。
ンクリート製品、例えば、カーテンウォール、壁材など
のコンクリートパネル、コンクリートブロックなどの製
造、特に化粧仕上げコンクリート製品(例えば、プレキ
ャストコンクリート板)の製造に有用である。
【0036】
【発明の効果】本発明のセメント硬化遅延剤は、硬化遅
延成分が特定の高分子で封入されているので、水分によ
る硬化遅延成分の溶出を抑制でき、前記高分子の溶解又
は加水分解により硬化遅延成分の高い硬化遅延能を有効
に発現できる。また、硬化遅延成分の流出を抑制できる
ので、洗い出し工法によりコンクリート製品の表面に装
飾模様を精度よく形成できる。
延成分が特定の高分子で封入されているので、水分によ
る硬化遅延成分の溶出を抑制でき、前記高分子の溶解又
は加水分解により硬化遅延成分の高い硬化遅延能を有効
に発現できる。また、硬化遅延成分の流出を抑制できる
ので、洗い出し工法によりコンクリート製品の表面に装
飾模様を精度よく形成できる。
【0037】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 撹拌翼を備えたオートクレーブ(容量10リットル)
に、無水マレイン酸(2396g)とプロピレングリコ
ール(2543g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(2.3g)を入れた。窒素気流下、内容物を撹拌し反
応により生成する水を系外に追い出しながら、徐々に1
20℃に昇温し、2時間撹拌した後、200℃に昇温
し、7時間撹拌することにより、数平均分子量約500
の不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエス
テル(3000g)に、スチレンモノマー(450
g)、硬化剤としての有機過酸化物(70g)(日本油
脂(株)製、商品名パーブチルO)、促進剤としてのナ
フテン酸コバルト7gを添加し重合性組成物を得た。顆
粒状のDL−リンゴ酸(平均粒径200μm)100重
量部を110℃に加熱した流動層コーティング装置に入
れ、流動させながら、常温の前記重合性組成物8重量部
を3分間に亘り噴霧した。さらに、7分間加熱を加える
ことにより、DL−リンゴ酸の表面に加水分解性重合体
が形成された粉粒体(平均粒径300μm)が得られ
た。そして、型枠にモルタル(ポルトランドセメント/
砂/水=100/200/55(重量比))を流し込ん
だ後、モルタルの表面の5cm×20cmの範囲に上記
粉粒体を散布した。室温で1日放置した後、モルタルの
表面を水洗により洗いだしたところ、上記散布範囲に洗
いだし深度4.7mmのほぼ均一な洗い出し面が得られ
た。
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 撹拌翼を備えたオートクレーブ(容量10リットル)
に、無水マレイン酸(2396g)とプロピレングリコ
ール(2543g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(2.3g)を入れた。窒素気流下、内容物を撹拌し反
応により生成する水を系外に追い出しながら、徐々に1
20℃に昇温し、2時間撹拌した後、200℃に昇温
し、7時間撹拌することにより、数平均分子量約500
の不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエス
テル(3000g)に、スチレンモノマー(450
g)、硬化剤としての有機過酸化物(70g)(日本油
脂(株)製、商品名パーブチルO)、促進剤としてのナ
フテン酸コバルト7gを添加し重合性組成物を得た。顆
粒状のDL−リンゴ酸(平均粒径200μm)100重
量部を110℃に加熱した流動層コーティング装置に入
れ、流動させながら、常温の前記重合性組成物8重量部
を3分間に亘り噴霧した。さらに、7分間加熱を加える
ことにより、DL−リンゴ酸の表面に加水分解性重合体
が形成された粉粒体(平均粒径300μm)が得られ
た。そして、型枠にモルタル(ポルトランドセメント/
砂/水=100/200/55(重量比))を流し込ん
だ後、モルタルの表面の5cm×20cmの範囲に上記
粉粒体を散布した。室温で1日放置した後、モルタルの
表面を水洗により洗いだしたところ、上記散布範囲に洗
いだし深度4.7mmのほぼ均一な洗い出し面が得られ
た。
【0038】実施例2 無水マレイン酸(159.7g)とプロピレングリコー
ル(169.6g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(160mg)を反応容器に仕込、窒素気流下徐々に2
00℃に昇温し、生成する水を反応系外に除去しつつ7
時間撹拌することにより、数平均分子量約500の不飽
和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステル(50
g)に、スチレン(20g)、硬化剤としての有機過酸
化物(1.7g)(日本油脂(株)製、商品名パーブチ
ルO)、促進剤としてのナフテン酸コバルト(1.7
g)を添加し、重合性組成物を得た。この重合性組成物
(10g)に粉末リンゴ酸(平均粒径10μm)(4
g)を添加した塗布液を、バーコーターを用いて、ポリ
エチレンテレフタレートフィルム上に厚さ60μmにな
るように塗布し、80℃で30分間加熱して塗布層を硬
化した。その後、硬化した塗布層上に前記不飽和ポリエ
ステルを厚さが20μmになるようにコーティングし、
80℃で30分間加熱し、硬化させることによりフィル
ムを得た。得られたフィルムを5cm×20cmの短冊
状に切り、塗布層(硬化遅延剤層)を上にしてプラスチ
ック製トレイの底部に貼り付け、実施例1のモルタルを
流し込み、室温で1日放置した後、モルタルの表面を水
洗により洗い出したところ、正しく上記短冊の位置と形
状に対応して洗いだし深度5.1mmの均一な洗い出し
面が得られた。
ル(169.6g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(160mg)を反応容器に仕込、窒素気流下徐々に2
00℃に昇温し、生成する水を反応系外に除去しつつ7
時間撹拌することにより、数平均分子量約500の不飽
和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステル(50
g)に、スチレン(20g)、硬化剤としての有機過酸
化物(1.7g)(日本油脂(株)製、商品名パーブチ
ルO)、促進剤としてのナフテン酸コバルト(1.7
g)を添加し、重合性組成物を得た。この重合性組成物
(10g)に粉末リンゴ酸(平均粒径10μm)(4
g)を添加した塗布液を、バーコーターを用いて、ポリ
エチレンテレフタレートフィルム上に厚さ60μmにな
るように塗布し、80℃で30分間加熱して塗布層を硬
化した。その後、硬化した塗布層上に前記不飽和ポリエ
ステルを厚さが20μmになるようにコーティングし、
80℃で30分間加熱し、硬化させることによりフィル
ムを得た。得られたフィルムを5cm×20cmの短冊
状に切り、塗布層(硬化遅延剤層)を上にしてプラスチ
ック製トレイの底部に貼り付け、実施例1のモルタルを
流し込み、室温で1日放置した後、モルタルの表面を水
洗により洗い出したところ、正しく上記短冊の位置と形
状に対応して洗いだし深度5.1mmの均一な洗い出し
面が得られた。
【0039】比較例1 無水マレイン酸(159.7g)とプロピレングリコー
ル(169.6g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(160mg)を反応容器に仕込、窒素気流下徐々に2
00℃に昇温し、生成する水を反応系外に除去しつつ7
時間撹拌することにより、数平均分子量約500の不飽
和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステル(50
g)に、スチレン(35g)、硬化剤としての有機過酸
化物(1.7g)(日本油脂(株)製、商品名パーブチ
ルO)、促進剤としてのナフテン酸コバルト(1.7
g)を添加し、重合性組成物を得た。この重合性組成物
を、バーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に厚さが60μmになるように塗布し、8
0℃で30分間加熱し硬化させることによりフィルムを
得た。そして、実施例2と同様にして、洗いだし深度を
測定したところ、洗いだし深度1.0mmであった。
ル(169.6g)およびチタン酸テトラ−n−ブチル
(160mg)を反応容器に仕込、窒素気流下徐々に2
00℃に昇温し、生成する水を反応系外に除去しつつ7
時間撹拌することにより、数平均分子量約500の不飽
和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステル(50
g)に、スチレン(35g)、硬化剤としての有機過酸
化物(1.7g)(日本油脂(株)製、商品名パーブチ
ルO)、促進剤としてのナフテン酸コバルト(1.7
g)を添加し、重合性組成物を得た。この重合性組成物
を、バーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に厚さが60μmになるように塗布し、8
0℃で30分間加熱し硬化させることによりフィルムを
得た。そして、実施例2と同様にして、洗いだし深度を
測定したところ、洗いだし深度1.0mmであった。
【0040】比較例2 実施例1と同様にプラスチック製トレーにモルタルを流
し込んだ後、この表面に実施例1で用いた顆粒状のDL
−リンゴ酸(平均粒径200μm)0.44gを5cm
×20cmの範囲に散布した。一日室温で放置した後、
水洗により洗い出したところ、顆粒状リンゴ酸の散布範
囲では0〜8mmの極めて深度が不均一な洗い出し面が
得られ、かつこの洗い出し面は顆粒状リンゴ酸の散布領
域の一部から溝状に延び、トレーの側面にまで洗い出し
効果が及んだ。
し込んだ後、この表面に実施例1で用いた顆粒状のDL
−リンゴ酸(平均粒径200μm)0.44gを5cm
×20cmの範囲に散布した。一日室温で放置した後、
水洗により洗い出したところ、顆粒状リンゴ酸の散布範
囲では0〜8mmの極めて深度が不均一な洗い出し面が
得られ、かつこの洗い出し面は顆粒状リンゴ酸の散布領
域の一部から溝状に延び、トレーの側面にまで洗い出し
効果が及んだ。
【0041】比較例3 粘着剤が塗布された幅5cmのテープ(ニチバン(株)
製,段ボール梱包用強粘着タイプ)20cmに粉末リン
ゴ酸(平均粒径10μm)0.17gを均一に散布して
十分に固定した。このテープをプラスチック製トレーの
底面に粉末リンゴ酸の散布面を上にして貼付し、その上
に実施例2と同様にしてモルタルを打設した。一日放置
した後、モルタル固形物の表面を水洗により洗い出した
ところ、底面に、上記テープとは全く異なる形状であっ
て、極めて深度が不均一な洗い出し面が現れ、その一部
は側面にまで及んでいた。
製,段ボール梱包用強粘着タイプ)20cmに粉末リン
ゴ酸(平均粒径10μm)0.17gを均一に散布して
十分に固定した。このテープをプラスチック製トレーの
底面に粉末リンゴ酸の散布面を上にして貼付し、その上
に実施例2と同様にしてモルタルを打設した。一日放置
した後、モルタル固形物の表面を水洗により洗い出した
ところ、底面に、上記テープとは全く異なる形状であっ
て、極めて深度が不均一な洗い出し面が現れ、その一部
は側面にまで及んでいた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 63/52 NPD C08G 63/52 NPD // C04B 103:24
Claims (11)
- 【請求項1】 セメント硬化遅延能を有する成分が、ア
ルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子内に封入さ
れた構造を有するセメント硬化遅延剤。 - 【請求項2】 高分子が飽和又は不飽和ポリエステルで
ある請求項1記載の硬化遅延剤。 - 【請求項3】 不飽和ポリエステルが架橋硬化物である
請求項2記載の硬化遅延剤。 - 【請求項4】 高分子が、少くとも(メタ)アクリル酸
又はその塩を単量体とする単独又は共重合体である請求
項1記載の硬化遅延剤。 - 【請求項5】 セメント硬化遅延能を有する成分が、オ
キシカルボン酸又はその塩、ケトカルボン酸、糖、多価
カルボン酸、多価アルコール、リン酸又はその塩、酸化
鉛、酸化ホウ素、ホウ酸又はその塩、酸化亜鉛、塩化亜
鉛、ケイフッ化マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸塩
から選択された少くとも一種である請求項1記載の硬化
遅延剤。 - 【請求項6】 セメント硬化遅延能を有する成分が、飽
和ポリエステル、不飽和ポリエステル又はその硬化物、
リグニン又はその変性物から選択された少くとも一種の
高分子物質である請求項1記載の硬化遅延剤。 - 【請求項7】 セメント硬化遅延能を有する成分が、ア
ルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で構成され
たマトリックス内に分散して封入されている請求項1記
載の硬化遅延剤。 - 【請求項8】 硬化遅延剤の形態が、粉粒体、フィルム
又はシートである請求項1記載の硬化遅延剤。 - 【請求項9】 粉粒体が、(1)アルカリ可溶性又はア
ルカリ加水分解性高分子で構成されたマトリックス内に
セメント硬化遅延能を有する成分が分散した粉粒体、又
は(2)セメント硬化遅延能を有する成分で構成された
粉粒体がアルカリ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子
で被覆された粉粒体である請求項8記載の硬化遅延剤。 - 【請求項10】 フィルム又はシートが、(1)アルカ
リ可溶性又はアルカリ加水分解性高分子で構成されたマ
トリックス内にセメント硬化遅延能を有する成分が分散
したフィルム又はシート、又は(2)基材シート上にセ
メント硬化遅延能を有する成分を含む硬化遅延層が形成
され、この硬化遅延層がアルカリ可溶性又はアルカリ加
水分解性高分子で被覆されているフィルム又はシートで
ある請求項8記載の硬化遅延剤。 - 【請求項11】 被覆又は分散により、セメント硬化遅
延能を有する成分を、アルカリ可溶性又はアルカリ加水
分解性高分子内に封入させるセメント硬化遅延剤の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8207228A JPH1053444A (ja) | 1996-08-06 | 1996-08-06 | セメント硬化遅延剤およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8207228A JPH1053444A (ja) | 1996-08-06 | 1996-08-06 | セメント硬化遅延剤およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1053444A true JPH1053444A (ja) | 1998-02-24 |
Family
ID=16536368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8207228A Pending JPH1053444A (ja) | 1996-08-06 | 1996-08-06 | セメント硬化遅延剤およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1053444A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10101456A (ja) * | 1996-09-26 | 1998-04-21 | Ohbayashi Corp | コンクリート打継面の処理剤及び処理方法 |
JP2001322851A (ja) * | 2000-05-10 | 2001-11-20 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 凝結遅延剤およびセメント凝結調整方法 |
EP1421039A2 (en) * | 2000-04-27 | 2004-05-26 | W.R. Grace & Co.-Conn. | Basic-medium-soluble packaging material for use in castable cementitious composites |
JP2014211062A (ja) * | 2013-04-22 | 2014-11-13 | 株式会社ガイアートT・K | コンクリート舗装における骨材露出方法 |
CN113072323A (zh) * | 2021-02-24 | 2021-07-06 | 晋江华宝石业有限公司 | 一种低成本人造洞石的制造工艺 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03103346A (ja) * | 1989-05-19 | 1991-04-30 | Fritz Chem Co | コンクリート混合材装置およびその使用方法 |
JPH08118325A (ja) * | 1994-10-28 | 1996-05-14 | Sekisui Chem Co Ltd | コンクリート表面硬化遅延テープもしくはシート |
-
1996
- 1996-08-06 JP JP8207228A patent/JPH1053444A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113072323B (zh) * | 2021-02-24 | 2024-02-23 | 晋江华宝石业有限公司 | 一种低成本人造洞石的制造工艺 |
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Date | Code | Title | Description |
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