JPH0719716U - レンズ鏡筒 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】複雑な機能を備えながら、容易に精度よく組み
立てることのできるレンズ鏡筒を提供する。 【構成】レンズＬ２を保持する保持部２と、固定鏡筒１
と、レンズ駆動環（カム環）４と、操作環（距離操作
環）６とを備えたレンズ鏡筒であって、固定鏡筒１の外
周面上にフランジ状の第１の突起部３０４を設ける。操
作環６には、内周側に突出して第１の突起部３０４の側
面と対向する第２の突起部１４を設ける。レンズ駆動環
４には、外周側に突出して第１の突起部３０４の側面と
対向する第３の突起部３０７を設ける。そして、第１の
突起部３０４と第２の突起部３０６とが対向する部分、
および、第１の突起部３０４と第３の突起部３０７とが
対向する部分には、ブラシ１４、１７ａ等と導体パター
ンとを備えた可動電気接点を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、複数の部品および電気接点が搭載されたレンズ鏡筒に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

従来、オートフォーカス（ＡＦ）カメラシステムにおいては、レンズ鏡筒内に ＲＯＭ等の電気的手段を搭載して焦点距離などレンズ固有のデータを保持すると ともに、電気接点を通してカメラ本体とこれらのデータを電気的に授受し、カメ ラ本体内のモータの回転力をカップリング等により機械的にレンズ鏡筒内に伝達 し、前記データ等より求められた量だけ合焦光学系を光軸方向に移動させてＡＦ 作動をおこなっている。

【０００３】 しかし、近年、ＡＦカメラにさまざまな機能を盛り込む多機能化が進み、これ にともなって、カメラ本体のみならずレンズ鏡筒にも独立した駆動機能をもたせ たカメラシステムが開発されている。例えば、ある合焦位置で合焦光学系を固定 するフォーカスロック機能、ある必要な合焦位置を記憶させるフォーカスプリセ ット機能、その合焦位置に自動復帰させる機能などのＡＦ補助機能や、ＡＦ駆動 中に距離操作環を回すと自動的にマニュアルフォーカス（ＭＦ）に切り替わる機 能の操作性を向上させる機能などがレンズ鏡筒に搭載されている。

【０００４】 そして、これらは、レンズ鏡筒に内蔵された機械的機構のみならず、レンズ鏡 筒に内蔵されたエンコーダー、モータ等の電気部品により構成されている。その ため、レンズ鏡筒には、これらの駆動回路や制御回路など従来より複雑な電気回 路が内蔵されている。これにともなって、レンズ鏡筒の機構も複雑になっている 。

【０００５】 複雑な駆動機構が内蔵された従来のレンズ鏡筒の構成の概略を図３を用いて説 明する。 光学系は、レンズ群Ｌ１、Ｌ２及びＬ３からなっている。レンズ群Ｌ １、Ｌ３は、固定鏡筒１０１の両端部付近の内周面に固定されている。合焦光学 レンズ群Ｌ２は、レンズ保持環１０２に保持され、レンズ保持環１０２は、レン ズ保持環１０２に植設されたピン１０３と固定鏡筒１０１に刻設された直進溝３ ０１とが係合することにより、固定鏡筒１０１の内周面に移動可能に嵌合してい る。

【０００６】 固定鏡筒１０１の外周側には、レンズ駆動環（以下カム環と称する）１０４が 回転可能に嵌合し、さらに外側に操作環（以下距離操作環と称する）１０６が回 転可能に嵌合している。カム環１０４には、カム溝が設けられ、ピン１０３と係 合している。また、固定鏡筒１０１には、ピン１０５が植設され、カム環１０４ に設けられた周方向に沿った溝と係合している。

【０００７】 固定鏡筒１０１の一部には、エンコーダパターン１３１が固定されている。カ ム環１０４の一部に取り付けられたブラシ１３２ａ、１３２ｂは、カム環１０４ が回転するとエンコーダパターン１３１上を摺動する。

【０００８】 この部分を図５を用いてさらに説明する。エンコーダパターン１３１は、固定 鏡筒１０１の周方向に沿って平行に配置された５本のエンコーダパターン１３１ ａ〜１３１ｅからなる。ブラシ１３２ａは、カム環１０４上のクラッチモータに 電気的に接続されている。図３には示していないが、固定鏡筒１０１には、制御 回路が搭載されている。制御回路は、エンコーダパターン１３１ａ〜１３１ｅに 接続されている。制御回路は、パターン１３１ａおよびブラシ１３２ａを介して 、クラッチモータ１１１に駆動電流を供給し、動作を制御する。また、制御回路 は、パターン１３１ｂ〜１３１ｅがブラシ１３２ｂを介して導通しているかどう かを検出することにより、カム環１０４の回転角度を検出する。 制御回路は、 図示しないスイッチによりユーザからオートフォーカス（ＡＦ）の指示を受けた 場合には、クラッチモータ１１１を駆動して、クラッチ軸１０７ａ、１０７ｂを 動かし、カム環１０４とモータ１１０を連結する。そして、カメラ本体側から受 け取った信号に基づき、モータ１１０を駆動してカム環１０４を回転させ、レン ズ群Ｌ２を合焦位置まで移動させる。この時カム環１０４の回転角度は、エンコ ーダパターン１３１ｂ〜１３１ｅから検出する。

【０００９】 また、制御回路は、ユーザからマニュアルフォーカス（ＭＦ）の指示を受けた 場合には、クラッチモータ１１１を駆動して、クラッチ軸１０７ａ、１０７ｂを 動かし、距離操作環１０６とカム環１０４とを連結する。これによりユーザが距 離操作環１０６回転させるとカム環１０４が回転し、レンズ群Ｌ２が移動する。

【００１０】 さらに、制御回路は、ＭＦ割込みの可能なＡＦの指示を受けた場合、上述のＡ Ｆに切換えるとともに、エンコーダ１１４により距離操作環１０６が回されたか どうかを監視し、距離操作環１０６が回されたことを検出した場合には、ただち に、上述のＭＦに切換える。

【００１１】 これらの機能の他にも、ある合焦位置で合焦光学系を固定するフォーカスロッ ク機能、ある必要な合焦位置を記憶させるフォーカスプリセット機能、その合焦 位置に自動復帰させる機能などのＡＦ補助機能等を動作させるために、複数のフ ォトインタラプタやモータ等が搭載されている。

【００１２】 図３に示したレンズ鏡筒を組み立てる手順について、簡単に説明する。図３に は示していないが、固定鏡筒１０１は、レンズ群Ｌ１およびＬ２を保持する前部 と、レンズ群Ｌ３を保持する後部とに分割されている。前部と後部は、印籠部に よって接続され固定部材によって固定されている。組立ての際には、まず、固定 鏡筒１０１の前部に、レンズ群Ｌ１，Ｌ２、カム環１０４、距離操作環１０６等 の各部品を取り付ける。つぎに、固定鏡筒１０１の後部を光軸方向に動かしなが ら、前部に前記印籠部を介して接続する。この時、カム環１０４のブラシ１３２ ａ、１３２ｂが、固定鏡筒１０１の後部から光軸方向に押されて変形しないよう に、カム環１０４のブラシ１３２ａ、１３２ｂを支持している部分をカム環１０ ４の中心軸側に倒すようにしながら固定鏡筒の後部を接続するなどの工夫を行っ ている。

【００１３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のごとき従来の技術においては、レンズ鏡筒の機能が多くなり、構造が複 雑になるという問題が発生している。すなわち、組み付けられる部品点数が増加 し、組立時間が増加するとともにその作業内容も極めて複雑となり、組立の作業 性や信頼性が悪くなる。特に、エンコーダパターンとブラシとが接触する部分に ついては、ブラシを変形させないようにするための工夫が必要であった。このよ うに、部品点数が増加し、組立て作業が複雑になると、組立て精度の低下、製造 コストの増加、およびレンズ鏡筒が大型化するという問題が生じていた。

【００１４】 そこで本考案は、複雑な機能を備えながら、容易に精度よく組み立てることの できるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、レンズ保持部を移動可能に保持する固定 鏡筒と、該固定鏡筒の外側に配置され前記レンズ保持部に駆動力を伝えるための カム環と、該カム環のさらに外側に配置され外部から回転駆動力を受けてこの力 をカム環に伝えるための距離操作環とを備えたレンズ鏡筒であって、 前記固定鏡筒の外周面上に形成された鍔状に突出した第１の突起部と、 該第１の突起部の側面と対向する如く、前記距離操作環の内周面に突出して形 成された第２の突起部と、 前記第１の突起部の側面と対向する如く、前記カム環に形成された第３の突起 部と、 前記第１の突起部と第２の突起部とが対向する部分、および、前記第１の突起 部と第３の突起部とが対向する部分には、対向する一方にブラシが配置され、他 方に導体パターンが配置されることによって構成される可動接点機構と、を有す ることを第１の課題解決の手段とするものである。

【００１６】 また、前記導体パターンは硬質プリント基板であり、その少なくとも一部は、 不連続なパターンであり、該不連続なパターンは、前記カム環の回転角度を検出 するために用いられることを第２の課題解決の手段とし、 さらに、前記可動接点機構は、基板の同一面上に状態検出手段と電源供給手段 を有する硬質プリント基板と、少なくとも２つの状態設定手段によって構成され ることを第３の課題解決の手段としている。

【００１７】

【作用】

本考案では、鍔状の第１の突起部を、固定鏡筒の外周面上に設ける。これによ り、組立て時においては、固定鏡筒の第１の突起部とカム環の第３の突起部が対 向するように、カム環を固定鏡筒に挿入しピンを溝に嵌入させ固定鏡筒に植設す ることにより固定鏡筒とカム環は、光軸方向について位置合わせされる。また、 第１の突起部と第２の突起部が対向するように、距離操作環を固定鏡筒の嵌合部 に挿入することにより、固定鏡筒と距離操作環は、光軸方向および光軸に垂直な 方向について位置合わせされる。従って、これらの位置合わせを容易に行うこと ができる。

【００１８】 そして、さらに、第１の突起部と第２の突起部とが対向する部分、および、第 １の突起部と第３の突起部とが対向する部分に、ブラシと導体パターンとを備え た可動接点機構を設ける。例えば、第１の突起部の側面に導体パターンを設け、 第２および第３の突起部にブラシを取り付ける。このことにより、固定鏡筒、距 離操作環、カム環を位置合わせすることで、ブラシと導体パターンとが位置合わ せされるため、可動接点機構のみを別途、位置合わせする必要はない。また、可 動接点機構が、固定鏡筒の周方向に沿って設けられた鍔状の第１の突起部の側面 に設けられているため、組立て時に距離操作環やカム環を挿入する際に、エンコ ーダのブラシが変形する恐れがなく、精度よく組み立てることができる。

【００１９】

【実施例】

本考案の一実施例を図面を用いて説明する。

【００２０】 本実施例のレンズ鏡筒の構成を図１、図２を用いて説明する。

【００２１】 レンズ鏡筒の光学系は、レンズ群Ｌ１、Ｌ２及びＬ３からなっている。図１の ようにレンズ群Ｌ１、Ｌ３は、固定鏡筒１の両端部付近の内周面に固定されてい る。レンズ群Ｌ１の直径は、レンズ群Ｌ２，Ｌ３の直径よりも大きい。したがっ て、固定鏡筒１の直径は、レンズ群Ｌ１側で大きく、レンズ群Ｌ３側で小さい。

【００２２】 また、固定鏡筒１は、レンズ群Ｌ３を保持する部分において、外筒と内筒とに分 かれている。レンズ群Ｌ３は内筒に保持されている。合焦光学レンズ群Ｌ２は、 レンズ保持環２に保持され、レンズ保持環２は、レンズ保持環２に植設されたピ ン３と固定鏡筒１に刻設された直進溝３０１とが係合することにより、固定鏡筒 １の内周面に光軸方向にのみ移動可能に嵌合している。

【００２３】 固定鏡筒１の外周側には、カム環４が回転可能に嵌合している。カム環４には 、カム溝３０２が設けられ、ピン３と係合している。また、固定鏡筒１には、ピ ン５が植設され、カム環４の周方向に沿って設けられた溝３０３と係合している 。カム環４の外側には、距離操作環６が配置されている。

【００２４】 カム環４は、固定鏡筒１の内筒と外筒との間に配置されたモータ１０の回転駆 動力または距離操作環６の回転力を伝達されることによって回転駆動される。モ ータ１０は、レンズ鏡筒内に搭載された制御回路２０（図１では図示せず）に接 続され、制御回路２０の指示により駆動される。カム環４とモータ１０との間に は、セグメントギア８、クラッチ７（図１では図示せず）が配置されている。カ ム環４上に配置されたクラッチモータ１１は、制御回路２０の指示に応じて回転 駆動することによりクラッチ７のクラッチ軸７ａ、７ｂを光軸方向に移動させる 。これにより、クラッチ軸７ａ、７ｂをセグメントギア８または距離操作環６と 連結し、カム環４にモータ１０または距離操作環６の駆動力を伝達する。

【００２５】 固定鏡筒１のレンズ群Ｌ３側の端部には、図１、図２のように、レンズ鏡筒を カメラ本体３０に連結するためのバヨネットマウント部１ａが形成されている。

【００２６】 バヨネットマウント１ａには、制御回路２０と接続された電気接点１６が設けら れている。電気接点１６は、カメラ本体３０の電気接点と接触し、カメラ本体３ ０の制御回路３２とレンズ鏡筒の制御回路２０とを電気的に接続する。

【００２７】 固定鏡筒１の、該固定鏡筒１がレンズ群Ｌ１を保持する部分と、レンズ群Ｌ２ を保持する部分との間には、その外周側の周方向に沿って鍔状の第１の突起部３ ０４が形成されている。また、第１の突起部３０４のカム環４側の面には、エン コーダパターンが設けられた硬質プリント基板の一種である平滑基板１８が接着 されている。カム環４の第１の突起部３０４側の端部には、端部の一部を第１の 突起部３０４に平行に立ち上げた第３の突起部３０７が形成され、この部分にブ ラシ１７ａ、１７ｂが搭載されている。また、距離操作環６の内壁の一部には、 第２の突起部３０６が設けられ、ブラシ１４が搭載されている。ブラシ１４、１ ７ａ、１７ｂは、平滑基板１８と接触し、エンコーダを形成する。

【００２８】 平滑基板１８およびブラシ１４、１７ａ、１７ｂの構成を図４を用いてさらに 説明する。平滑基板１８は、外周部が円形であり内周部に基板中心に向けての扇 型の突出部を有する略ドーナツ形状である。その外周部には、導体で形成された ２本のエンコーダパターン１１８ａ、１１８ｂが周方向に沿って配置されている 。内周部の扇型の突出部には、４本のエンコーダパターン１１９、１２０ａ、１ ２０ｂ、１２０ｃ、１２０ｄが配置されている。 パターン１１８ａは、線状の パターンであり、パターン１１８ｂは、破線状のパターンである。パターン１１ ８ａ、１１８ｂは、それぞれ制御回路２０に接続されている。ブラシ１４は、２ 本の歯がついた櫛型の導体のブラシである。距離操作環６の回転とともに、ブラ シ１４の歯先の部分がパターン１１８ｂ上を摺動する。制御回路２０は、ブラシ １４を介してパターン１１８ａ、１１８ｂ間が導通状態であるかどうかを検出す ることにより、距離操作環６が回転したかどうかを検出する。

【００２９】 パターン１１９は、線状のパターンであり、制御回路２０に接続されている。

【００３０】 ブラシ１７ａは、クラッチモータ１１と接続されており、カム環４が回転してい る場合および停止している場合のいずれの場合も常にパターン１１９と接触し、 制御回路２００の制御信号および駆動電力を伝達する。

【００３１】 パターン１２０ａは、線状のパターンである。パターン１２０ｂ、１２０ｃ、 １２０ｄは、不規則な破線状のパターンである。パターン１２０ａ、１２０ｂ、 １２０ｃ、１２０ｄは、それぞれ制御回路２０に接続されている。ブラシ１７ｂ は、４本の歯がついた櫛型の導体のブラシである。カム環４の回転ともに、ブラ シ１７ｂの歯先の部分がパターン１２０ａ、１２０ｂ、１２０ｃ、１２０ｄ上を それぞれ摺動する。制御回路２０は、ブラシ１７ｂを介してパターン１２０ａと 、パターン１２０ｂ、１２０ｃ、１２０ｄとの間が導通状態であるかどうかを検 出することにより、カム環４の回転角度を検出する。 また、固定鏡筒１の外側 には、ユーザから合焦操作モードの切換を受け付けるスイッチ２４が配置されて いる。スイッチ２４は、オートフォーカス（ＡＦ）合焦モード、マニュアルフォ ーカス（ＭＦ）合焦モード、ＭＦ合焦割込みが可能なＡＦ合焦のモードを受け付 ける。

【００３２】 また、本実施例のレンズ鏡筒は、上記機能の外、合焦光学系を固定するフォー カスロック機能、ある特定の合焦位置を記憶させるフォーカスプリセット機能、 その特定の合焦位置に自動復帰させるＡＦ補助機能が搭載されており、これらを 実現するために、上述した構成の以外にフォトインタラプタやモータが取り付け られているがこれらの説明は省略する。

【００３３】 つぎに、本実施例のレンズ鏡筒の組立て方法の概略について簡単に説明する。

【００３４】 固定鏡筒１は、図示していないが、レンズ群Ｌ３を保持する後部と、レンズ群Ｌ １，Ｌ２を保持する前部とに分割され、これらを印籠によって嵌合させ、その後 、固定部材で固定させるることによって連結されている。まず、固定鏡筒１の前 部の第１の突起部３０４に平滑基板１８を接着する。つぎに、カム環４の第３の 突起部３０７に、ブラシ１７ａ、１７ｂを固定する。カム環４を、固定鏡筒１の 前部のレンズ群Ｌ２を保持する端部からレンズ群Ｌ１を保持する端部へ向かって 、光軸に平行に移動させながら、固定鏡筒１の前部に、カム環４をかぶせる。こ の時、カム環４のブラシ１７ａ、１７ｂが平滑基板１８に適宜な当接力で押圧す る状態になる如く、溝３０３にピン５が嵌入し固定鏡筒に植設される。これによ ってカム環４の光軸方向の位置合わせおよびブラシ１７ａ、１７ｂと平滑基板１ ８のパターン１１９、１２０ａ、１２０ｂ、１２０ｃ、１２０ｄとの位置合わせ が終了する。固定鏡筒１の内側にレンズ保持環２に取り付けたレンズ群Ｌ２を挿 入し、ピン３を植設する。レンズ群Ｌ１を固定鏡筒１の前部に固定する。

【００３５】 つぎに、カム環４にクラッチモータ１１やクラッチ等の駆動部を取り付ける。

【００３６】 ブラシ１４を取り付けた距離操作環６を、固定鏡筒１の前部のレンズ群Ｌ２を保 持する端部からレンズ群Ｌ１を保持する端部へ向かって、光軸に平行に移動させ ながら、固定鏡筒１の前部に形成した距離操作環６が当接する当接面１ｂ、回転 するための回転摺動面１ｃからなる嵌合部に、距離操作環６を嵌合させる。この 場合、距離操作環６のブラシ１４が平滑基板１８に所定の押圧力で当接すること で、距離操作環６の光軸方向および光軸に垂直な方向の位置合わせが終了する。

【００３７】 また、同時に、ブラシ１４と平滑基板１８のパターン１１８ａ、１１８ｂとの位 置合わせが終了する。レンズ群Ｌ３、モータ１０等を取り付けた固定鏡筒１の後 部を前部に印籠部によって連結する。これにより、レンズ鏡筒が完成する。

【００３８】 本実施例のレンズ鏡筒をカメラ本体に接続した場合の動作について図２を用い て説明する。

【００３９】 本実施例では、図２のように、レンズ鏡筒をカメラ本体３０に接続した。カメ ラ本体３０には、光学系のほか制御回路３２、焦点検出装置が搭載されている。

【００４０】 制御回路２０は、カメラボデイ３０の制御回路３２との通信、レンズ鏡筒に設 けられたスイッチ２４の設定状態の確認、各種駆動部の駆動制御、エンコーダー の信号の認識等を行う。

【００４１】 尚レンズ鏡筒内の制御回路２０とカメラ本体内の制御回路３２との間の通信方 法については、従来よく知られた技術であるのでここでは説明を省略する。

【００４２】 カメラ本体３０の焦点検出装置３１は合焦状態を検出する。制御回路３２は、 レンズ鏡筒内の制御回路２０と通信し、制御回路２０内の記憶回路に記憶されて いるレンズ固有データの読み込み、レンズ鏡筒の作動を命令する各種の作動コマ ンドの伝達、及びカメラ本体３０の各部の制御を行う。

【００４３】 ユーザは、合焦操作モードスイッチ２４を操作して、ＡＦ合焦、ＭＦ合焦、Ｍ Ｆ割込可能なＡＦ合焦のモードの何れかを設定する。合焦操作モードスイッチ２ ４が、ＡＦモードが選択を受け付けると、制御回路２０は、エンコーダのブラシ １７ａを介してクラッチモータ１１に駆動信号を送り、軸７ａ、７ｂをギア８側 に位置させ、カム環４とセグメントギア８とを連結する。

【００４４】 つぎに、制御回路２０は、モータ１０を回転させる。セグメントギア８を介し てモータ１０の回転駆動力が伝達されカム環４が回転する。カム環４の回転によ り、レンズ保持環２に植設されたピン３は、カム環４のカム溝３０２に沿って固 定鏡筒１の直進溝３０１にガイドされながら移動する。これにより、レンズ保持 環２は、光軸に沿って前後に移動し、合焦光学レンズ群Ｌ２が合焦位置に移動す る。

【００４５】 この際の移動量の制御は次のように行われる。カメラ本体３０内の焦点検出装 置３１の出力と制御回路２０から伝達されたレンズ固有データとから制御回路３ ２内で合焦光学レンズ群Ｌ２の移動量を算出し、制御回路２０へ伝達する。制御 回路２０は、この移動量に合わせてモータ１０を駆動させて合焦光学レンズ群Ｌ ２を光軸方向に移動させて合焦操作を行う。

【００４６】 合焦操作モードスイッチ２４によりＭＦモードが選択されると、制御回路２０ は、クラッチモータ１１を駆動させ、クラッチ７の軸７ａ、７ｂを移動させ、カ ム環４と距離操作環６とを連結する。これにより、ユーザが距離操作環６を回転 させると、カム環４が回転し、合焦光学レンズ群Ｌ２が光軸に沿って前後に移動 する。

【００４７】 合焦操作モードスイッチ２４によりＭＦ割込可能ＡＦモードが選択されると、 制御回路２０はブラシ１４を介してエンコーダパターン１１８ａ、１１８ｂの導 通状態を常にモニターし、ユーザが距離操作環６を回したことを検知すると、す なわちＭＦの操作をすると、直ちに制御回路２０はクラッチモータ１１を駆動さ せ、クラッチ７によりカム環４とＡＦモータ１０との連結を切り、カム環４と距 離操作環６とを連結させ、ＭＦ合焦操作を可能とする。

【００４８】 このように本実施例では、固定鏡筒１の第１の突起部３０４に、カム環４およ び距離操作環６と対向する面にエンコーダパターン１１８ａ等を設けている。こ のように、第１の突起部３０４を用いてカム環４および距離操作環６の位置合わ せを行うことにより、容易にかつ精度よく位置合わせすることができる。

【００４９】 また、第１の突起部３０４にエンコーダパターン１１８ａ等を設けた平滑基板 １８を配置しているため、カム環４および距離操作環６の位置合わせをすること により、エンコーダパターン１１８ａ等とブラシ１４ａ、１７ａ、１７ｂとが位 置合わせされる。そのため、従来のようにカム環と距離操作環の位置合わせと別 途にエンコーダの位置合わせを行う必要はない。また、エンコーダパターン１１ ８等を設けた平滑基板１８が光軸に垂直な方向に配置されているため、カム環４ や距離操作環６を取り付ける際にブラシ１４、１７ａ、１７ｂに無理な力が加わ ることがない。したがって、ブラシが従来のように変形したり、ブラシとエンコ ーダの接触圧力がばらつくことがなく、組立て精度を向上させることができる。

【００５０】 さらに、本実施例では、光軸に垂直な方向にエンコーダパターンを設けた平滑 基板１８を配置することにより、光軸方向にエンコーダが占めるスペースは極小 さいながらも、固定鏡筒１がレンズ群Ｌ１を保持する部分とレンズ群Ｌ２を保持 する部分との半径の差のスペースを得ることができる。本実施例では、このスペ ースに配置した平滑基板１８上に、従来からエンコーダとして配置されていたパ ターンに加えて、さらに、従来フォトインタラプタで検出していた距離操作環６ の回転を検出するためのパターン１１８ａ、１１８ｂを搭載することができた。

【００５１】 これにより、従来エンコーダが光軸方向に占めていたスペースおよび距離操作環 の回転を検出するためのフォトインタラプタのスペースを、光軸に垂直に配置し た第１の突起部および平滑基板の締めるスペースに縮小することがで きた。同時 に、部品数を減少することができることから、製造コストを低減することができ る。

【００５２】 尚、本実施例で用いた平滑基板は、ガラスエポキシ基板などの硬質プリント基 板などに替えて構成することもできることは勿論であるが、望ましくは本実施例 の如く、平滑基板を用いれば、接触トルクが減少し、ＡＦ駆動用の消費電流が減 少するので、電池の高寿命化にも効果が得られる。

【００５３】 また、本実施例では、第１の突起部３０４および平滑基板１８をカム環４のレ ンズ群Ｌ１側の端部に設けたが、この位置に限らず、カム環４のレンズＬ３側の 端部に配置することももちろん可能である。

【００５４】

【考案の効果】 以上のように本考案によれば、固定鏡筒に、距離操作環やカム環の一部分に対 向する面を有する第１の突起部を設け、この第１の突起部にエンコーダを配置す ることにより、組立性が向上するとともに製造コストが低減されるという効果が 得られる。また、２以上のエンコーダが同一スペースにまとめられるのであるか ら、省スペース化の効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のレンズ鏡筒の断面図。

【図２】図１のレンズ鏡筒をカメラ本体に取り付けた場
合の各部品の動作を示すためのブロック図。

【図３】従来のレンズ鏡筒の断面図。

【図４】図１のレンズ鏡筒の第１の突起部に取り付けら
れたエンコーダの構成を示す説明図。

【図５】図３のレンズ鏡筒のエンコーダの構成を示す説
明図。

【符号の説明】

１、１０１…固定鏡筒、１ａ、１０１ａ…バヨネットマ
ウント部、２、１０２…レンズ保持部材、３、１０３…
ピン、４、１０４…カム環（レンズ駆動環）、５、１０
５…ピン、６、１０６…距離操作環（操作環）、７、１
０７…クラッチ、７ａ，７ｂ，１０７ａ，１０７ｂ…
軸、８、１０８…セグメントギア、１０、１１０…モー
タ、１１、１１１…クラッチモータ、１４、１７ａ、１
７ｂ…ブラシ、１６、１１６…電気接点、１８…平滑基
板（硬質プリント基板）、２０…制御装置、２４…合焦
操作モードスイッチ、３０…カメラ本体、３１…焦点検
出装置、３２…制御回路、１１４…フォトインタラプ
タ、１１８ａ、１１８ｂ、１１９、１２０ａ、１２０
ｂ、１２０ｃ、１２０ｄ…エンコーダパターン、１３
１、１３１ａ、１３１ｂ、１３１ｃ、１３１ｄ、１３１
ｅ…エンコーダパターン、１３２ａ、１３２ｂ…ブラ
シ、Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３…レンズ群。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】レンズ保持部を移動可能に保持する固定鏡
   筒と、該固定鏡筒の外側に配置され前記レンズ保持部に
   駆動力を伝えるためのレンズ駆動環と、該レンズ駆動環
   のさらに外側に配置され外部から回転駆動力を受けてこ
   の力をレンズ駆動環に伝えるための操作環とを備えたレ
   ンズ鏡筒であって、 前記固定鏡筒の外周面上に形成された鍔状に突出した第
   １の突起部と、 該第１の突起部の側面と対向する如く、前記操作環の内
   周面に突出して形成された第２の突起部と、 前記第１の突起部の側面と対向する如く、前記レンズ駆
   動環に形成された第３の突起部と、 前記第１の突起部と第２の突起部とが対向する部分、お
   よび、前記第１の突起部と第３の突起部とが対向する部
   分には、対向する一方にブラシが配置され、他方に導体
   パターンが配置されることによって構成される可動接点
   機構と、を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
2. 【請求項２】前記導体パターンは硬質プリント基板であ
   り、その少なくとも一部は、不連続なパターンであり、
   該不連続なパターンは、前記レンズ駆動環の回転角度を
   検出するために用いられることを特徴とする請求項１記
   載のレンズ鏡筒。
3. 【請求項３】前記可動接点機構は、基板の同一面上に状
   態検出手段と電源供給手段を有する硬質プリント基板
   と、少なくとも２つの状態設定手段によって構成される
   ことを特徴とする請求項１記載のレンズ鏡筒。