JPH0424065B2 - - Google Patents
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- JPH0424065B2 JPH0424065B2 JP58059198A JP5919883A JPH0424065B2 JP H0424065 B2 JPH0424065 B2 JP H0424065B2 JP 58059198 A JP58059198 A JP 58059198A JP 5919883 A JP5919883 A JP 5919883A JP H0424065 B2 JPH0424065 B2 JP H0424065B2
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- adsorbent
- carbon atoms
- adsorption
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- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
Description
本発明は、生体免疫機能に起因する各種疾患と
密接な関係をもつと考えられている自己抗体およ
び/または免疫複合体などを選択的に吸着除去す
る体液浄化用吸着材に関する。 周知の如く体液、例えば血液中に発現する自己
抗体および/または免疫複合体は、癌、免疫増殖
性症候群、および慢性関節リウマチ、全身性エリ
テマトーデス等の自己免疫疾患、あるいはアレル
ギー、臓器移植時の拒絶反応等の生体免疫機能に
関係した疾患および現象の原因あるいは進行と密
接な関係をもつていると考えられている。 そこで、血液、血漿等の体液成分から、上記自
己抗体および/または免疫複合体を特異的に吸着
除去することによつて、上記の如き疾患の進行を
防止し、症状を軽減せしめ、さらには治癒を早め
ることが期待されていた。 本発明者らは、自己抗体および/または免疫複
合体などを高い効率で選択的に吸着し、非選択的
な吸着が少なく、安全性があり、滅菌操作も簡単
に行なうことができ、体液浄化あるいは再生用に
適した吸着材を提供することを目的に鋭意研究し
た結果、担体に被吸着物質と化学的な選択的相互
作用をなす特別な化学構造を有する物質を保持さ
せてなる種々の吸着材を見出し、先に特許出願し
た(特願昭56−7152、特願昭56−18923、特願昭
56−76776、特願昭56−159444)。 本発明は、先の発明に関し、被吸着物質と選択
的相互作用をなす物質について、より詳細に検討
した結果なされたものであり、上記吸着材の改良
に関する。 本発明の目的に対して用いられる吸着材の性質
として望まれることは、 (1) 自己抗体、免疫複合体を選択的に、かつ、高
い効率で吸着すること、 (2) 目的物質以外の物質を吸着し難いこと、 (3) 凝固線溶系を活性化しないこと、 (4) 滅菌できること、 (5) 機械的強度が充分あること、 などである。 本発明者らは、体液浄化用吸着材として、さら
に高い効率で自己抗体、免疫複合体を吸着でき
る、すなわち、コンパクトでプライミングボリユ
ームの少ない吸着器とすることができる吸着材を
提供することを目標にして、さらに鋭意研究を重
ねた。 担体に対し各種化合物を固定化して、自己抗体
および/または免疫複合体に対する吸着特性を評
価したところ、担体に固定化された化合物の持つ
電荷と骨格構造の炭素数において、ある特定の条
件を満たす場合、すなわち、担体に固定化された
化合物に負電荷があり、骨格構造の炭素数が比較
的多い場合には、自己抗体および/または免疫複
合体の吸着能力が高くなることを見出し、さら
に、担体に固定化された化合物の分子量が比較的
小さい場合には、たとえ、その化合物が担体から
外れて生体に入つたとしても、抗原性を有しない
ことを確認して、本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、1分子中に負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、骨格構造に不飽和結
合を持つ炭素を10個以上500個以下持つ有機低分
子化合物部、または1分子中に負電荷を持つ置換
基を1個持ち、かつ、骨格構造に20個以上500以
下の炭素を持つ有機低分子化合物部が不溶性担体
に結合してなることを特徴とする自己抗体およ
び/または免疫複合体の吸着材であり、負電荷を
有する置換基は、カルボキシル基またはスルホン
酸基であることが好ましい。 本発明で言う有機低分子化合物部とは、その1
分子中に負電荷を有する置換基を1個持ち、かつ
骨格構造に不飽和結合を持つ炭素を10個以上500
個以下持つもの、または1分子中に負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、骨格構造に20個以上
500個以下の炭素を持つものを言うのであるが、
分子量は104以下であるのが好ましく、103以下で
あるのが望ましい。ここで、負電荷を有する置換
基とは、カスボキシル基(COO-、COOH、
COONa)、スルホン酸基(SO3 -、SO3H、SO3
Na)、リン酸基(PO3 -、PO3H、PO3Na)など
のように、血液、体液等の中性電解液中で負電荷
を示す特性基を言う。 本発明で言う有機低分子化合物部を例示する
と、ナフトール−スルホン酸、ナフチル酸のよう
に負電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、芳香
族性を持つた環状化合物、ウンデカン酸、ロイシ
ル−ロイシンのように、負電荷を有する置換基を
1個持つた長鎖脂肪族化合物等が挙げられる。芳
香族性を持つた化合物は、いずれも有用に用いる
ことができるが、ナフタレン、フエナントレン等
のベンゼン系芳香族環、ジベンゾフラン、キサン
テン等の含酸素芳香族環、チアントレンのような
含イオウ芳香族環に負電荷を有する置換基を導入
したものが良好な結果を与える。これらの中で
は、ベンゼン系芳香族環に負電荷を有する置換基
を導入したものが特に良好な結果を与える。 本発明で言う、有機低分子化合物部の骨格構造
が有する炭素数は、有機低分子化合物部の含有す
る炭素のうち負電荷を有する置換基、すなわち、
カルボキシル基の炭素を除く全ての炭素を言う。
ここで、カルボキシル基の炭素を除いたのは、カ
ルボキシル基が親水的であり、主に負電荷の効果
のみを示すからである。カルボキシル基以外の置
換基の炭素数、すなわち、アルコキシル基、アル
デヒド基、アルコキシカルボニル基などが含む炭
素は数える。 この有機低分子化合物部の含有する炭素と自己
抗体および/または免疫複合体との間に疏水性相
互作用力(フアンデルワールス力)が働く。 有機低分子化合物部は、吸着材の表面に露出し
ている必要があり、なるべく広い表面積を持つ構
造体上に散在していることが望ましい。 負電荷を有する置換基のクーロン力と骨格構造
炭素の疏水性相互作用力とが相乗的に働くことに
より、自己抗体および/または免疫複合体の選択
的吸着能力を向上させることが可能になる。負電
荷を有する置換基により、自己抗体および/また
は免疫複合体の吸着能力が上がる。また、有機低
分子化合物部骨格構造中の炭素数は多くなるにし
たがい、自己抗体および/または免疫複合体との
相互作用力が大きくなり、吸着能力が上がる。こ
の場合、炭素の数と自己抗体および/または免疫
複合体との相互作用力の強さは、不飽和炭素の場
合と飽和炭素の場合で多少異なり、不飽和炭素の
方が飽和炭素の場合よりも2倍程度大きな相互作
用力を示す。 本発明において、有機低分子化合物部骨格構造
中の炭素数は不飽和結合を有する炭素の場合10個
以上、そうでない場合は20個以上必要である。こ
れによつて自己抗体および/または免疫複合体を
非常に高率に吸着できるようになる。 また、炭素数の上限は分子量により規定される
が、炭素数で500個以下が好ましく、50個以下が
望ましい。 有機化合物部が、塩素、沃素等の疏水性置換基
を持つ場合は、置換基のないものに比べ、目的吸
着物質の吸着特性が向上する。これに対し、水酸
基、チオール基、アミド基等、非解離性親水性置
換基を多く持つ有機化合物部の場合には、置換基
のないものに比べ、目的吸着物質に対する吸着性
が落ちてくるので好ましくない。非解離性親水性
置換基の数は、有機化合物部の骨格構造炭素2個
に対し1個未満が好ましく、望ましくは炭素3個
に対し1個未満である。これらのことは、炭素の
結合様式の違い、置換基の種類等によつて、目的
吸着物質に及ぼす疏水性相互作用力が異なるため
と考えられる。 不溶性担体に結合する有機化合物部の分子量
は、たとえ、結合が外れて生体中に入つたとして
も、抗原性の点で104以下が好ましい。より好ま
しくは103以下である。 以下、本発明の吸着材を製造する方法につい
て、担体を活性化し、リガンドを結合する通常の
アフイニテイークロマトグラフイー用吸着体の製
造方法にしたがつた製造方法を例にあげて説明す
る。 担体は、1分子中に負電荷を有する置換基を1
個持ち、かつ、骨格構造に不飽和結合を持つ炭素
を10個以上500個以下持つ有機低分子化合物、ま
たは1分子中に負電荷を有する置換基を1個持
ち、かつ、骨格構造に20個以上500個以下の炭素
を持つ有機低分子化合物を結合できればよく、親
水性担体、疏水性担体いずれも使用できるが、疏
水性担体を用いる場合には、時に担体へのアルブ
ミンの非選択的吸着が生じるため、親水性担体の
方が好ましい結果を与える。 不溶性担体の形状は、粒子状、繊維状、中空糸
状、膜状等いずれの公知の形状も用いうるが、有
機低分子化合物の保持量、吸着材としての取扱い
性よりみて、粒子状、繊維状のものが好ましい。 球状または粒子状担体の平均粒径は25〜2500μ
mのものを利用できるが、その比表面積(吸着材
としての吸着能力)と体液の流通面より、50〜
1500μmのものが特に好ましい。 担体の比表面積は5m2/g以上が好ましく、55
m2/g以上が望ましい。 使用できる粒子状担体としては、アガロース
系、デキストラン系、セルロース系、ポリアクリ
ルアミド系、ガラス系、シリカ系、活性炭素等の
担体であるが、ゲル構造を有する親水性担体が良
好な結果を与える。また、通常固定化酵素、アフ
イニテイークロマトグラフイに用いられる公知の
担体は、特別な限定なく使用することができる。 粒子状担体としては、多孔性粒子、特に多孔性
重合体を用いることもできる。本発明で用いられ
る多孔性重合体粒子は、その表面に有機低分子化
合物を固定化できるものであり、排除限界分子量
(タンパク質)としては、本発明の目的吸着物質
の分子量が15万(IgG)より免疫複合体特にIgM
免疫複合体の場合には1000万に達するので、15〜
1000万が好ましい。本発明の目的に最も汎用的な
排除限界分子量は100〜500万である。 重合体組成は、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリウレタン系、ビニル化合物の重合体等、
多孔性構造をとりうる公知の重合体を用いること
ができるが、特に親水性モノマーにより親水化し
たビニル化合物系多孔性重合体粒子が好ましい結
果を与える。 繊維状担体を用いる場合には、その繊維径が
0.02デニールないし10デニール、より好ましくは
0.1デニールないし5デニールの範囲にあるもの
がよい。繊維径が大きすぎる場合には、グロブリ
ン系化合物の吸着量および吸着速度が低下する
し、小さすぎる場合には、凝固系の活性化、血球
粘着、目づまりをおこしやすい。使用できる繊維
状担体としては、再生セルロース系繊維、ナイロ
ン、アクリル、ポリエステル等公知の繊維を一般
に用いることができる。 有機低分子化合物を不溶性担体に結合する方法
は、共有結合、イオン結合、物理吸着、包埋ある
いは重合体表面への沈殿不溶化等あらゆる公知の
方法を用いることができるが、結合物の溶出性よ
りみて、共有結合により固定、不溶化して用いる
ことが好ましい。そのため通常固定化酵素、アフ
イニテイークロマトグラフイで用いられる公知の
担体の活性化方法およびリガンドの結合方法を用
いることができる。 活性化方法を例示すると、ハロゲン化シアン
法、エピクロルヒドリン法、ビスエポキシド法、
ハロゲン化トリアジン法、ブロモアアセチルブロ
ミド法、エチルクロロホルマート法、1,1′−カ
ルボニルジイミダゾール法等をあげることができ
る。本発明の活性化方法は、リガンドのアミノ
基、水酸基、カルボキシル基、チオール基等の活
性水素を有する求核反応基と置換および/または
付加反応できればよく、上記の例示に限定される
ものではないが、化学的安定性、熱的安定性等を
考慮すると、エポキシドを用いる方法が好まし
く、特にエピクロルヒドリン法が推奨できる。 担体に本発明で言う有機低分子化合物を2種類
以上結合することはさしつかえない。 以上、本発明吸着材の製造方法として、担体を
活性化した後、本発明で言う有機低分子化合物を
結合する方法について詳細に説明したが、本発明
は、これに限定されるものではない。例えば、本
発明で言う有機低分子化合物部を有する重合性モ
ノマーや架橋剤を用いて重合(共重合)する方
法、架橋重合体粒子さらに後架橋する時点で有機
低分子化合物部を有する架橋剤を用いる方法等も
用いることができる。さらに、不溶性物質に有機
低分子化合物を結合可能なポリマーをコート後、
有機低分子化合物を結合する方法や、有機低分子
化合物部を有するポリマーを不溶性物質にコート
する方法も用いることができる。その際、必要に
応じてコートポリマーを後架橋することもでき
る。また、有機低分子化合物を活性化した後に担
体を結合する方法も採用することができる。 すなわち、本発明は、1分子中に負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、骨格構造に不飽和結
合を持つ炭素を10個以上500個以下持つ有機低分
子化合物部、または1分子中に負電荷を有する置
換基を1個持ち、かつ骨格構造に20個以上500個
以下の炭素を持つ有機低分子化合物部を吸着材中
に有することにより、その効果を発揮するもので
あり、製造方法に左右されるものではない。 本発明の吸着材は、体液の導出入口を備えた容
器内に充填保持して使用することができる。 図面において、1は本発明自己抗体および/ま
たは免疫複合体吸着材を使用した吸着装置の一例
を示すものであり、円筒2の一端開口部に、内側
にフイルター3を張つたパツキング4を介して体
液導入口5を有するキヤツプ6をネジ嵌合し、円
筒2の他端開口部に内側にフイルター3′を張つ
たパツキング4′を介して体液導出口7を有する
キヤツプ8をネジ嵌合して容器を形成し、フイル
ター3および3′の間隙に吸着材を充填保持させ
て吸着材層9を形成してなるものである。 吸着材層9には、本発明の該吸着材を単独で充
填してもよく、他の吸着材と混合もしくは積層し
てもよい。他の吸着材としては、例えばDNA等
の他の悪性物質(抗原)の吸着材や、幅広い吸着
能を有する活性炭等を用いることができる。これ
により吸着材の相乗効果によるより広範な臨床効
果が期待できる。吸着材層9の容積は、体外循環
に用いる場合、50〜400ml程度が適当である。 本発明の装置を体外循環で用いる場合には、大
略次の二通りの方法がある。一つには、体内から
取り出した血液を遠心分離機もしくは模型血漿分
離器を使用して、血漿成分と血球成分とに分離し
た後、血漿成分を該装置に通過させ、浄化した
後、血球成分と合わせて体内にもどす方法であ
り、他の一つは体内から取り出した血液を直接該
装置に通過させ、浄化する方法である。 また、血液もしくは血漿の通過速度について
は、該吸着材の吸着能率が非常に高いため、吸着
材の粒度を粗くすることができ、また充填度を低
くできるので、吸着材層の形状の如何にかゝわり
なく、高い通過速度を与えることができる。その
ため多量の体液処理をすることができる。 体液の通液方法としては、臨床上の必要に応
じ、あるいは設備の装置状況に応じて、連続的に
通液してもよいし、また断続的に通液使用しても
よい。 本発明の吸着材は、以上述べてきたように、体
液中の自己抗体および/または免疫複合体を高率
かつ選択的に吸着除去し、非常にコンパクトな吸
着装置が組めると共に、簡便かつ安全に用いられ
る。 本発明の吸着材は、自己血漿、自己血液等の体
液を浄化、再生する一般的な用法に適用可能であ
り、癌、免疫増殖性症候群、慢性関節リウマチ、
全身性エリテマトーデス等の膠原病、重症節無力
症等の自己免疫疾患、アレルギー、臓器移植時の
拒絶反応等の生体免疫機能に関係した疾患および
現象、あるいは腎炎等の腎臓病、肝炎等の肝臓病
などの体外循環治療に有効に利用できる。 以下実施例により、本発明の実施の態様をより
詳細に説明する。 実施例 1 CNBr、活性化セフアローズ4B(スエーデン、
フアルマシア社製)に、通常の方法によつて、負
電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、骨格構造
に不飽和結合を持つ炭素を10個持つ有機低分子化
合物を結合せしめ、過剰の活性基をエタノールア
ミンでブロツキングした。各種有機化合物の保持
量は、残余有機化合物の1級アミノ基を4−フエ
ニルスピロ〔フラン−2(3H)、1′−フタラン〕−
3,3′−ジオン(“フルラム ”ロシユ社製)と
反応結合させ算出した。 吸着実験は、ACD加リウマチ患者血漿3容と
吸着材1容とを混合し、37℃、3時間インキユベ
ートした後、上清の血漿を評価した。評価は、リ
ウマチ因子、免疫複合体、免疫グロブリンGにつ
いて行なつた。 リウマチ因子の測定は、ラテツクス凝集テス
ト、受身感作血球凝集テストにて行つた。 ラテツクス凝集テストは、ポリスチレンラテツ
クス粒子にヒト−γ−グロブリンを吸着させたも
のに、リウマチ因子を含む患者血漿を作用させる
と、ラテツクス粒子が凝集する性質を検出法とし
て測定するものであり、通常血漿の希釈系列を作
成して、ラテツクス粒子が凝集しなくなる血漿希
釈倍率でリウマチ因子濃度を評価するものであ
る。リウマチ因子を高濃度に含む血漿は、陰性に
なる希釈倍率が高くなり、低濃度の血漿は逆に低
くなる。 受身感作血球凝集テストは、ヒツジ赤血球にウ
サギ−γ−グロブリンを吸着させたものであり、
他はラテツクス凝集テストと同じである。一般
に、受身感作血球凝集テストの方がラテツクス凝
集テストよりリウマチ因子特異性が高いとされて
いる。 グリシン食塩緩衝液で希釈系列を作成して、ラ
テツクス凝集テストにてリウマチ因子の陰性にな
る希釈倍率を求めた。ラテツクス凝集テストは、
日本凍結乾燥研究所のキツトを用いて行つた。同
様に受身感作血球凝集テスト〔RAHAテスト、
富士臓器製薬(株)製〕にて評価した。 免疫複合体は、ポリエチレングリコール沈降法
にて行なつた。この方法は、ポリエチレングリコ
ールにより沈降分取した免疫複合体をシングル・
ラジアル・イムノ・デイフユージヨン法にて、免
疫グロブリン量を定量することにより、免疫複合
体量を定量するものである。この方法の操作方
法、条件は以下のとおりである。 (1) 検体1.0mlを試験管に入れ、8%PEG(ポリエ
チレングリコール、平均分子量6000〜7500)を
1.0mlを加え、攪拌し、4℃で60分放置する。 (2) 4℃、1000g、60分間遠心し、上清を除去
後、得られた沈殿をPBS(リン酸緩衝生理食塩
水)に再溶解し、1.0mlとする。 (3) (1),(2)をさらに2回繰り返し、混入するモノ
メリツクな免疫グロブリンを洗浄する。 (4) 最終的に得られた免疫複合体のPBS浮遊液
をシングル・ラジアル・イムノ・デイフユージ
ヨン法にて、免疫グロブリンGを定量する。 免疫グロブリンGの定量は、シングル・ラジア
ル・イムノ・デフユージヨン法にて定量した。使
用したリウマチ患者血漿の値は、リウマチ因子の
ラテツクスが1280、RAHAが5120、免疫複合体
(免疫グロブリンGを測定)が60mg/d、免疫
グロブリンGが1600mg/dであつた。 吸着実験の結果を表1に示した。表1より1分
子中に負電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、
骨格構造に不飽和結合を持つ炭素を10個持つ有機
低分子化合物部を有する吸着材がリウマチ因子、
免疫複合体を選択的に吸着し、免疫グロブリンG
の非選択的な吸着が少ないことがわかる。なお、
表1のうち、骨格構造中の炭素数は、活性化に用
いた試薬であるCNBrが持つ炭素の数も含んでい
る。
密接な関係をもつと考えられている自己抗体およ
び/または免疫複合体などを選択的に吸着除去す
る体液浄化用吸着材に関する。 周知の如く体液、例えば血液中に発現する自己
抗体および/または免疫複合体は、癌、免疫増殖
性症候群、および慢性関節リウマチ、全身性エリ
テマトーデス等の自己免疫疾患、あるいはアレル
ギー、臓器移植時の拒絶反応等の生体免疫機能に
関係した疾患および現象の原因あるいは進行と密
接な関係をもつていると考えられている。 そこで、血液、血漿等の体液成分から、上記自
己抗体および/または免疫複合体を特異的に吸着
除去することによつて、上記の如き疾患の進行を
防止し、症状を軽減せしめ、さらには治癒を早め
ることが期待されていた。 本発明者らは、自己抗体および/または免疫複
合体などを高い効率で選択的に吸着し、非選択的
な吸着が少なく、安全性があり、滅菌操作も簡単
に行なうことができ、体液浄化あるいは再生用に
適した吸着材を提供することを目的に鋭意研究し
た結果、担体に被吸着物質と化学的な選択的相互
作用をなす特別な化学構造を有する物質を保持さ
せてなる種々の吸着材を見出し、先に特許出願し
た(特願昭56−7152、特願昭56−18923、特願昭
56−76776、特願昭56−159444)。 本発明は、先の発明に関し、被吸着物質と選択
的相互作用をなす物質について、より詳細に検討
した結果なされたものであり、上記吸着材の改良
に関する。 本発明の目的に対して用いられる吸着材の性質
として望まれることは、 (1) 自己抗体、免疫複合体を選択的に、かつ、高
い効率で吸着すること、 (2) 目的物質以外の物質を吸着し難いこと、 (3) 凝固線溶系を活性化しないこと、 (4) 滅菌できること、 (5) 機械的強度が充分あること、 などである。 本発明者らは、体液浄化用吸着材として、さら
に高い効率で自己抗体、免疫複合体を吸着でき
る、すなわち、コンパクトでプライミングボリユ
ームの少ない吸着器とすることができる吸着材を
提供することを目標にして、さらに鋭意研究を重
ねた。 担体に対し各種化合物を固定化して、自己抗体
および/または免疫複合体に対する吸着特性を評
価したところ、担体に固定化された化合物の持つ
電荷と骨格構造の炭素数において、ある特定の条
件を満たす場合、すなわち、担体に固定化された
化合物に負電荷があり、骨格構造の炭素数が比較
的多い場合には、自己抗体および/または免疫複
合体の吸着能力が高くなることを見出し、さら
に、担体に固定化された化合物の分子量が比較的
小さい場合には、たとえ、その化合物が担体から
外れて生体に入つたとしても、抗原性を有しない
ことを確認して、本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、1分子中に負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、骨格構造に不飽和結
合を持つ炭素を10個以上500個以下持つ有機低分
子化合物部、または1分子中に負電荷を持つ置換
基を1個持ち、かつ、骨格構造に20個以上500以
下の炭素を持つ有機低分子化合物部が不溶性担体
に結合してなることを特徴とする自己抗体およ
び/または免疫複合体の吸着材であり、負電荷を
有する置換基は、カルボキシル基またはスルホン
酸基であることが好ましい。 本発明で言う有機低分子化合物部とは、その1
分子中に負電荷を有する置換基を1個持ち、かつ
骨格構造に不飽和結合を持つ炭素を10個以上500
個以下持つもの、または1分子中に負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、骨格構造に20個以上
500個以下の炭素を持つものを言うのであるが、
分子量は104以下であるのが好ましく、103以下で
あるのが望ましい。ここで、負電荷を有する置換
基とは、カスボキシル基(COO-、COOH、
COONa)、スルホン酸基(SO3 -、SO3H、SO3
Na)、リン酸基(PO3 -、PO3H、PO3Na)など
のように、血液、体液等の中性電解液中で負電荷
を示す特性基を言う。 本発明で言う有機低分子化合物部を例示する
と、ナフトール−スルホン酸、ナフチル酸のよう
に負電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、芳香
族性を持つた環状化合物、ウンデカン酸、ロイシ
ル−ロイシンのように、負電荷を有する置換基を
1個持つた長鎖脂肪族化合物等が挙げられる。芳
香族性を持つた化合物は、いずれも有用に用いる
ことができるが、ナフタレン、フエナントレン等
のベンゼン系芳香族環、ジベンゾフラン、キサン
テン等の含酸素芳香族環、チアントレンのような
含イオウ芳香族環に負電荷を有する置換基を導入
したものが良好な結果を与える。これらの中で
は、ベンゼン系芳香族環に負電荷を有する置換基
を導入したものが特に良好な結果を与える。 本発明で言う、有機低分子化合物部の骨格構造
が有する炭素数は、有機低分子化合物部の含有す
る炭素のうち負電荷を有する置換基、すなわち、
カルボキシル基の炭素を除く全ての炭素を言う。
ここで、カルボキシル基の炭素を除いたのは、カ
ルボキシル基が親水的であり、主に負電荷の効果
のみを示すからである。カルボキシル基以外の置
換基の炭素数、すなわち、アルコキシル基、アル
デヒド基、アルコキシカルボニル基などが含む炭
素は数える。 この有機低分子化合物部の含有する炭素と自己
抗体および/または免疫複合体との間に疏水性相
互作用力(フアンデルワールス力)が働く。 有機低分子化合物部は、吸着材の表面に露出し
ている必要があり、なるべく広い表面積を持つ構
造体上に散在していることが望ましい。 負電荷を有する置換基のクーロン力と骨格構造
炭素の疏水性相互作用力とが相乗的に働くことに
より、自己抗体および/または免疫複合体の選択
的吸着能力を向上させることが可能になる。負電
荷を有する置換基により、自己抗体および/また
は免疫複合体の吸着能力が上がる。また、有機低
分子化合物部骨格構造中の炭素数は多くなるにし
たがい、自己抗体および/または免疫複合体との
相互作用力が大きくなり、吸着能力が上がる。こ
の場合、炭素の数と自己抗体および/または免疫
複合体との相互作用力の強さは、不飽和炭素の場
合と飽和炭素の場合で多少異なり、不飽和炭素の
方が飽和炭素の場合よりも2倍程度大きな相互作
用力を示す。 本発明において、有機低分子化合物部骨格構造
中の炭素数は不飽和結合を有する炭素の場合10個
以上、そうでない場合は20個以上必要である。こ
れによつて自己抗体および/または免疫複合体を
非常に高率に吸着できるようになる。 また、炭素数の上限は分子量により規定される
が、炭素数で500個以下が好ましく、50個以下が
望ましい。 有機化合物部が、塩素、沃素等の疏水性置換基
を持つ場合は、置換基のないものに比べ、目的吸
着物質の吸着特性が向上する。これに対し、水酸
基、チオール基、アミド基等、非解離性親水性置
換基を多く持つ有機化合物部の場合には、置換基
のないものに比べ、目的吸着物質に対する吸着性
が落ちてくるので好ましくない。非解離性親水性
置換基の数は、有機化合物部の骨格構造炭素2個
に対し1個未満が好ましく、望ましくは炭素3個
に対し1個未満である。これらのことは、炭素の
結合様式の違い、置換基の種類等によつて、目的
吸着物質に及ぼす疏水性相互作用力が異なるため
と考えられる。 不溶性担体に結合する有機化合物部の分子量
は、たとえ、結合が外れて生体中に入つたとして
も、抗原性の点で104以下が好ましい。より好ま
しくは103以下である。 以下、本発明の吸着材を製造する方法につい
て、担体を活性化し、リガンドを結合する通常の
アフイニテイークロマトグラフイー用吸着体の製
造方法にしたがつた製造方法を例にあげて説明す
る。 担体は、1分子中に負電荷を有する置換基を1
個持ち、かつ、骨格構造に不飽和結合を持つ炭素
を10個以上500個以下持つ有機低分子化合物、ま
たは1分子中に負電荷を有する置換基を1個持
ち、かつ、骨格構造に20個以上500個以下の炭素
を持つ有機低分子化合物を結合できればよく、親
水性担体、疏水性担体いずれも使用できるが、疏
水性担体を用いる場合には、時に担体へのアルブ
ミンの非選択的吸着が生じるため、親水性担体の
方が好ましい結果を与える。 不溶性担体の形状は、粒子状、繊維状、中空糸
状、膜状等いずれの公知の形状も用いうるが、有
機低分子化合物の保持量、吸着材としての取扱い
性よりみて、粒子状、繊維状のものが好ましい。 球状または粒子状担体の平均粒径は25〜2500μ
mのものを利用できるが、その比表面積(吸着材
としての吸着能力)と体液の流通面より、50〜
1500μmのものが特に好ましい。 担体の比表面積は5m2/g以上が好ましく、55
m2/g以上が望ましい。 使用できる粒子状担体としては、アガロース
系、デキストラン系、セルロース系、ポリアクリ
ルアミド系、ガラス系、シリカ系、活性炭素等の
担体であるが、ゲル構造を有する親水性担体が良
好な結果を与える。また、通常固定化酵素、アフ
イニテイークロマトグラフイに用いられる公知の
担体は、特別な限定なく使用することができる。 粒子状担体としては、多孔性粒子、特に多孔性
重合体を用いることもできる。本発明で用いられ
る多孔性重合体粒子は、その表面に有機低分子化
合物を固定化できるものであり、排除限界分子量
(タンパク質)としては、本発明の目的吸着物質
の分子量が15万(IgG)より免疫複合体特にIgM
免疫複合体の場合には1000万に達するので、15〜
1000万が好ましい。本発明の目的に最も汎用的な
排除限界分子量は100〜500万である。 重合体組成は、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリウレタン系、ビニル化合物の重合体等、
多孔性構造をとりうる公知の重合体を用いること
ができるが、特に親水性モノマーにより親水化し
たビニル化合物系多孔性重合体粒子が好ましい結
果を与える。 繊維状担体を用いる場合には、その繊維径が
0.02デニールないし10デニール、より好ましくは
0.1デニールないし5デニールの範囲にあるもの
がよい。繊維径が大きすぎる場合には、グロブリ
ン系化合物の吸着量および吸着速度が低下する
し、小さすぎる場合には、凝固系の活性化、血球
粘着、目づまりをおこしやすい。使用できる繊維
状担体としては、再生セルロース系繊維、ナイロ
ン、アクリル、ポリエステル等公知の繊維を一般
に用いることができる。 有機低分子化合物を不溶性担体に結合する方法
は、共有結合、イオン結合、物理吸着、包埋ある
いは重合体表面への沈殿不溶化等あらゆる公知の
方法を用いることができるが、結合物の溶出性よ
りみて、共有結合により固定、不溶化して用いる
ことが好ましい。そのため通常固定化酵素、アフ
イニテイークロマトグラフイで用いられる公知の
担体の活性化方法およびリガンドの結合方法を用
いることができる。 活性化方法を例示すると、ハロゲン化シアン
法、エピクロルヒドリン法、ビスエポキシド法、
ハロゲン化トリアジン法、ブロモアアセチルブロ
ミド法、エチルクロロホルマート法、1,1′−カ
ルボニルジイミダゾール法等をあげることができ
る。本発明の活性化方法は、リガンドのアミノ
基、水酸基、カルボキシル基、チオール基等の活
性水素を有する求核反応基と置換および/または
付加反応できればよく、上記の例示に限定される
ものではないが、化学的安定性、熱的安定性等を
考慮すると、エポキシドを用いる方法が好まし
く、特にエピクロルヒドリン法が推奨できる。 担体に本発明で言う有機低分子化合物を2種類
以上結合することはさしつかえない。 以上、本発明吸着材の製造方法として、担体を
活性化した後、本発明で言う有機低分子化合物を
結合する方法について詳細に説明したが、本発明
は、これに限定されるものではない。例えば、本
発明で言う有機低分子化合物部を有する重合性モ
ノマーや架橋剤を用いて重合(共重合)する方
法、架橋重合体粒子さらに後架橋する時点で有機
低分子化合物部を有する架橋剤を用いる方法等も
用いることができる。さらに、不溶性物質に有機
低分子化合物を結合可能なポリマーをコート後、
有機低分子化合物を結合する方法や、有機低分子
化合物部を有するポリマーを不溶性物質にコート
する方法も用いることができる。その際、必要に
応じてコートポリマーを後架橋することもでき
る。また、有機低分子化合物を活性化した後に担
体を結合する方法も採用することができる。 すなわち、本発明は、1分子中に負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、骨格構造に不飽和結
合を持つ炭素を10個以上500個以下持つ有機低分
子化合物部、または1分子中に負電荷を有する置
換基を1個持ち、かつ骨格構造に20個以上500個
以下の炭素を持つ有機低分子化合物部を吸着材中
に有することにより、その効果を発揮するもので
あり、製造方法に左右されるものではない。 本発明の吸着材は、体液の導出入口を備えた容
器内に充填保持して使用することができる。 図面において、1は本発明自己抗体および/ま
たは免疫複合体吸着材を使用した吸着装置の一例
を示すものであり、円筒2の一端開口部に、内側
にフイルター3を張つたパツキング4を介して体
液導入口5を有するキヤツプ6をネジ嵌合し、円
筒2の他端開口部に内側にフイルター3′を張つ
たパツキング4′を介して体液導出口7を有する
キヤツプ8をネジ嵌合して容器を形成し、フイル
ター3および3′の間隙に吸着材を充填保持させ
て吸着材層9を形成してなるものである。 吸着材層9には、本発明の該吸着材を単独で充
填してもよく、他の吸着材と混合もしくは積層し
てもよい。他の吸着材としては、例えばDNA等
の他の悪性物質(抗原)の吸着材や、幅広い吸着
能を有する活性炭等を用いることができる。これ
により吸着材の相乗効果によるより広範な臨床効
果が期待できる。吸着材層9の容積は、体外循環
に用いる場合、50〜400ml程度が適当である。 本発明の装置を体外循環で用いる場合には、大
略次の二通りの方法がある。一つには、体内から
取り出した血液を遠心分離機もしくは模型血漿分
離器を使用して、血漿成分と血球成分とに分離し
た後、血漿成分を該装置に通過させ、浄化した
後、血球成分と合わせて体内にもどす方法であ
り、他の一つは体内から取り出した血液を直接該
装置に通過させ、浄化する方法である。 また、血液もしくは血漿の通過速度について
は、該吸着材の吸着能率が非常に高いため、吸着
材の粒度を粗くすることができ、また充填度を低
くできるので、吸着材層の形状の如何にかゝわり
なく、高い通過速度を与えることができる。その
ため多量の体液処理をすることができる。 体液の通液方法としては、臨床上の必要に応
じ、あるいは設備の装置状況に応じて、連続的に
通液してもよいし、また断続的に通液使用しても
よい。 本発明の吸着材は、以上述べてきたように、体
液中の自己抗体および/または免疫複合体を高率
かつ選択的に吸着除去し、非常にコンパクトな吸
着装置が組めると共に、簡便かつ安全に用いられ
る。 本発明の吸着材は、自己血漿、自己血液等の体
液を浄化、再生する一般的な用法に適用可能であ
り、癌、免疫増殖性症候群、慢性関節リウマチ、
全身性エリテマトーデス等の膠原病、重症節無力
症等の自己免疫疾患、アレルギー、臓器移植時の
拒絶反応等の生体免疫機能に関係した疾患および
現象、あるいは腎炎等の腎臓病、肝炎等の肝臓病
などの体外循環治療に有効に利用できる。 以下実施例により、本発明の実施の態様をより
詳細に説明する。 実施例 1 CNBr、活性化セフアローズ4B(スエーデン、
フアルマシア社製)に、通常の方法によつて、負
電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、骨格構造
に不飽和結合を持つ炭素を10個持つ有機低分子化
合物を結合せしめ、過剰の活性基をエタノールア
ミンでブロツキングした。各種有機化合物の保持
量は、残余有機化合物の1級アミノ基を4−フエ
ニルスピロ〔フラン−2(3H)、1′−フタラン〕−
3,3′−ジオン(“フルラム ”ロシユ社製)と
反応結合させ算出した。 吸着実験は、ACD加リウマチ患者血漿3容と
吸着材1容とを混合し、37℃、3時間インキユベ
ートした後、上清の血漿を評価した。評価は、リ
ウマチ因子、免疫複合体、免疫グロブリンGにつ
いて行なつた。 リウマチ因子の測定は、ラテツクス凝集テス
ト、受身感作血球凝集テストにて行つた。 ラテツクス凝集テストは、ポリスチレンラテツ
クス粒子にヒト−γ−グロブリンを吸着させたも
のに、リウマチ因子を含む患者血漿を作用させる
と、ラテツクス粒子が凝集する性質を検出法とし
て測定するものであり、通常血漿の希釈系列を作
成して、ラテツクス粒子が凝集しなくなる血漿希
釈倍率でリウマチ因子濃度を評価するものであ
る。リウマチ因子を高濃度に含む血漿は、陰性に
なる希釈倍率が高くなり、低濃度の血漿は逆に低
くなる。 受身感作血球凝集テストは、ヒツジ赤血球にウ
サギ−γ−グロブリンを吸着させたものであり、
他はラテツクス凝集テストと同じである。一般
に、受身感作血球凝集テストの方がラテツクス凝
集テストよりリウマチ因子特異性が高いとされて
いる。 グリシン食塩緩衝液で希釈系列を作成して、ラ
テツクス凝集テストにてリウマチ因子の陰性にな
る希釈倍率を求めた。ラテツクス凝集テストは、
日本凍結乾燥研究所のキツトを用いて行つた。同
様に受身感作血球凝集テスト〔RAHAテスト、
富士臓器製薬(株)製〕にて評価した。 免疫複合体は、ポリエチレングリコール沈降法
にて行なつた。この方法は、ポリエチレングリコ
ールにより沈降分取した免疫複合体をシングル・
ラジアル・イムノ・デイフユージヨン法にて、免
疫グロブリン量を定量することにより、免疫複合
体量を定量するものである。この方法の操作方
法、条件は以下のとおりである。 (1) 検体1.0mlを試験管に入れ、8%PEG(ポリエ
チレングリコール、平均分子量6000〜7500)を
1.0mlを加え、攪拌し、4℃で60分放置する。 (2) 4℃、1000g、60分間遠心し、上清を除去
後、得られた沈殿をPBS(リン酸緩衝生理食塩
水)に再溶解し、1.0mlとする。 (3) (1),(2)をさらに2回繰り返し、混入するモノ
メリツクな免疫グロブリンを洗浄する。 (4) 最終的に得られた免疫複合体のPBS浮遊液
をシングル・ラジアル・イムノ・デイフユージ
ヨン法にて、免疫グロブリンGを定量する。 免疫グロブリンGの定量は、シングル・ラジア
ル・イムノ・デフユージヨン法にて定量した。使
用したリウマチ患者血漿の値は、リウマチ因子の
ラテツクスが1280、RAHAが5120、免疫複合体
(免疫グロブリンGを測定)が60mg/d、免疫
グロブリンGが1600mg/dであつた。 吸着実験の結果を表1に示した。表1より1分
子中に負電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、
骨格構造に不飽和結合を持つ炭素を10個持つ有機
低分子化合物部を有する吸着材がリウマチ因子、
免疫複合体を選択的に吸着し、免疫グロブリンG
の非選択的な吸着が少ないことがわかる。なお、
表1のうち、骨格構造中の炭素数は、活性化に用
いた試薬であるCNBrが持つ炭素の数も含んでい
る。
【表】
比較例 1
負電荷がない、または不飽和結合を持つ炭素数
が9個以下の有機化合物を用いて、実施例1と同
様に吸着材を調製し、実施例1と同様に実験し
た。結果を表2に示した。表2より負電荷のない
ものはリウマチ因子、免疫複合体の吸着能が落ち
ること、および不飽和結合を持つ炭素数が9個以
下のものは、吸着能力が低いことがわかる。
が9個以下の有機化合物を用いて、実施例1と同
様に吸着材を調製し、実施例1と同様に実験し
た。結果を表2に示した。表2より負電荷のない
ものはリウマチ因子、免疫複合体の吸着能が落ち
ること、および不飽和結合を持つ炭素数が9個以
下のものは、吸着能力が低いことがわかる。
【表】
実施例 2
セフアロース4B(スウエーデン、フアルマシア
社製)を1,4−ビス−(2,3−エポキシプロ
ポキシ)−ブタンを用い、通常の方法によつて活
性化した後、通常の方法によつて、負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、20個の炭素を持つ有
機低分子化合物を結合せしめ、過剰の活性基をエ
タノールアミンでブロツクし、吸着材とした。さ
らに、前記有機低分子化合物において、炭素が21
個および24個のものについても、それぞれ前記と
同様にして吸着材とした。 実施例1と同様に保持量を求めた後、実施例1
と同様に吸着実験を行なつた。 吸着実験の結果を表3に示した。表3より、負
電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、炭素20
個、21個および24個を持つ有機低分子化合物が結
合されている吸着材がリウマチ因子、免疫複合体
を選択的に吸着し、免疫グロブリンGの非選択的
な吸着が少ないことがわかる。なお、表3のう
ち、炭素数は活性化に用いた1,4−ビス−(2,
3−エポキシプロポキシ)−ブタンが持つ炭素を
含む。
社製)を1,4−ビス−(2,3−エポキシプロ
ポキシ)−ブタンを用い、通常の方法によつて活
性化した後、通常の方法によつて、負電荷を有す
る置換基を1個持ち、かつ、20個の炭素を持つ有
機低分子化合物を結合せしめ、過剰の活性基をエ
タノールアミンでブロツクし、吸着材とした。さ
らに、前記有機低分子化合物において、炭素が21
個および24個のものについても、それぞれ前記と
同様にして吸着材とした。 実施例1と同様に保持量を求めた後、実施例1
と同様に吸着実験を行なつた。 吸着実験の結果を表3に示した。表3より、負
電荷を有する置換基を1個持ち、かつ、炭素20
個、21個および24個を持つ有機低分子化合物が結
合されている吸着材がリウマチ因子、免疫複合体
を選択的に吸着し、免疫グロブリンGの非選択的
な吸着が少ないことがわかる。なお、表3のう
ち、炭素数は活性化に用いた1,4−ビス−(2,
3−エポキシプロポキシ)−ブタンが持つ炭素を
含む。
【表】
比較例 2
負電荷がない、または炭素数が19個以下の有機
化合物を用いて、実施例2と同様に実験した。結
果を表4に示した。表4より、負電荷のないもの
はリウマチ因子、免疫複合体の吸着能が落ちるこ
と、および炭素数が19個以下のものは、吸着能力
が低いことがわかる。
化合物を用いて、実施例2と同様に実験した。結
果を表4に示した。表4より、負電荷のないもの
はリウマチ因子、免疫複合体の吸着能が落ちるこ
と、および炭素数が19個以下のものは、吸着能力
が低いことがわかる。
【表】
実施例 3
酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレー
ト52.0g(架橋度X=0.35)、酢酸エチル100g、ヘ
プタン100g、ポリ酢酸ビニル(重合度500)7.5g
および2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3.8g
よりなる均一混合液と、ポリビニルアルコール1
重量%、リン酸二水素アトリウム二水和物0.05重
量%およびリン酸水素二ナトリウム十二水和物
1.5重量%を溶解した水400mlとをフラスコに入
れ、十分攪拌したのち65℃で18時間、さらに75℃
で5時間加熱攪拌して懸濁重合を行ない、粒状共
重合体を得た。過水洗、ついでアセトン抽出
後、カセイソーダ46.5gおよびメタノール2よ
りなる溶液中で40℃で18時間、共重合体のエステ
ル交換反応を行なつた。 得られたゲルの平均粒径は150μm、単位重量
あたりのビニルアルコール単位(qOH)は
10.0meq/g、比表面積は60m2/g、デキストラ
ンによる排除限界分子量は6×105であつた。 次に、得られたゲル10g(乾燥重量)をジメチ
ルスルホキシド120ml中に懸濁し、これにエピク
ロルヒドリン78.3ml、30%水酸化ナトリウム10ml
を加え、30℃で5時間攪拌しながら活性化反応を
行なつた。反応後ジメチルスルホキシドで洗浄
し、水洗し、吸引脱水した。次にこの活性化ゲル
を、3−アミノ−2−ナフチル酸2.5gを含む
0.1M炭酸ナトリウムバツフアー(pH9.8)160ml
中に懸濁した。50℃で14時間、攪拌しながら固定
化反応を行ない、その後60.6mg/mlのトリス(ヒ
ドロキシエチル)アミノメタン溶液33mlを加え、
さらに50℃5時間、攪拌しながらブロツキング反
応(残存活性基をブロツクする)を行つた。この
後、充分水洗して体液浄化用吸着材を得た。 この吸着材に固定化された3−アミノ−2−ナ
フチル酸の量は220μmol/g(乾燥重量)であつ
た。 この吸着材に固定化された有機化合物の不飽和
結合を持つ炭素数は10、総炭素数は13、負電荷数
は1である。 この吸着材を内径30mm、長さ70mmカラムに充填
し、ACD加リウマチ患者血漿を5ml/minの流
速で150ml流した。このとき、カラム内の吸着材
の充填体積低下、目詰まり、流量低下はみられ
ず、カラム前後の圧力損失は15mmHg以下であつ
た。 カラム通過前後の血漿蛋白を分析したところ、
リウマチ因子は吸着前がラテツクスで320、
RAHAで2560であつたのに対し、吸着後では両
者とも陰性化した。また、免疫複合体(C/q固
相法EIAで測定)も吸着前が20μg/mlであつたの
に対し、吸着後は3μg/ml以下に低下した。これ
に対し、免疫グロブリンGは1320mg/dが1170
mg/dに下がつただけであつた。
ト52.0g(架橋度X=0.35)、酢酸エチル100g、ヘ
プタン100g、ポリ酢酸ビニル(重合度500)7.5g
および2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3.8g
よりなる均一混合液と、ポリビニルアルコール1
重量%、リン酸二水素アトリウム二水和物0.05重
量%およびリン酸水素二ナトリウム十二水和物
1.5重量%を溶解した水400mlとをフラスコに入
れ、十分攪拌したのち65℃で18時間、さらに75℃
で5時間加熱攪拌して懸濁重合を行ない、粒状共
重合体を得た。過水洗、ついでアセトン抽出
後、カセイソーダ46.5gおよびメタノール2よ
りなる溶液中で40℃で18時間、共重合体のエステ
ル交換反応を行なつた。 得られたゲルの平均粒径は150μm、単位重量
あたりのビニルアルコール単位(qOH)は
10.0meq/g、比表面積は60m2/g、デキストラ
ンによる排除限界分子量は6×105であつた。 次に、得られたゲル10g(乾燥重量)をジメチ
ルスルホキシド120ml中に懸濁し、これにエピク
ロルヒドリン78.3ml、30%水酸化ナトリウム10ml
を加え、30℃で5時間攪拌しながら活性化反応を
行なつた。反応後ジメチルスルホキシドで洗浄
し、水洗し、吸引脱水した。次にこの活性化ゲル
を、3−アミノ−2−ナフチル酸2.5gを含む
0.1M炭酸ナトリウムバツフアー(pH9.8)160ml
中に懸濁した。50℃で14時間、攪拌しながら固定
化反応を行ない、その後60.6mg/mlのトリス(ヒ
ドロキシエチル)アミノメタン溶液33mlを加え、
さらに50℃5時間、攪拌しながらブロツキング反
応(残存活性基をブロツクする)を行つた。この
後、充分水洗して体液浄化用吸着材を得た。 この吸着材に固定化された3−アミノ−2−ナ
フチル酸の量は220μmol/g(乾燥重量)であつ
た。 この吸着材に固定化された有機化合物の不飽和
結合を持つ炭素数は10、総炭素数は13、負電荷数
は1である。 この吸着材を内径30mm、長さ70mmカラムに充填
し、ACD加リウマチ患者血漿を5ml/minの流
速で150ml流した。このとき、カラム内の吸着材
の充填体積低下、目詰まり、流量低下はみられ
ず、カラム前後の圧力損失は15mmHg以下であつ
た。 カラム通過前後の血漿蛋白を分析したところ、
リウマチ因子は吸着前がラテツクスで320、
RAHAで2560であつたのに対し、吸着後では両
者とも陰性化した。また、免疫複合体(C/q固
相法EIAで測定)も吸着前が20μg/mlであつたの
に対し、吸着後は3μg/ml以下に低下した。これ
に対し、免疫グロブリンGは1320mg/dが1170
mg/dに下がつただけであつた。
図面は本発明の吸着剤を容器に充填した吸着装
置の一例を示す模式図である。
置の一例を示す模式図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 1分子中に負電荷を有する置換基を1個持
ち、かつ、骨格構造に不飽和結合を持つ炭素を10
個以上500個以下持つ有機低分子化合物部、また
は1分子中に負電荷を持つ置換基を1個持ち、か
つ、骨格構造に20個以上500個以下の炭素を持つ
有機低分子化合物部が不溶性担体に結合してなる
ことを特徴とする自己抗体および/または免疫複
合体吸着材。 2 負電荷を有する置換基がカルボキシル基また
はスルホン酸基である特許請求の範囲第1項記載
の自己抗体および/または免疫複合体吸着材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58059198A JPS59186559A (ja) | 1983-04-06 | 1983-04-06 | 自己抗体および/または免疫複合体吸着材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58059198A JPS59186559A (ja) | 1983-04-06 | 1983-04-06 | 自己抗体および/または免疫複合体吸着材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59186559A JPS59186559A (ja) | 1984-10-23 |
JPH0424065B2 true JPH0424065B2 (ja) | 1992-04-24 |
Family
ID=13106481
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58059198A Granted JPS59186559A (ja) | 1983-04-06 | 1983-04-06 | 自己抗体および/または免疫複合体吸着材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59186559A (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59200655A (ja) * | 1983-04-30 | 1984-11-14 | 旭化成株式会社 | 血液浄化吸着材 |
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-
1983
- 1983-04-06 JP JP58059198A patent/JPS59186559A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59186559A (ja) | 1984-10-23 |
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