JPH0329241B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0329241B2 JPH0329241B2 JP60037694A JP3769485A JPH0329241B2 JP H0329241 B2 JPH0329241 B2 JP H0329241B2 JP 60037694 A JP60037694 A JP 60037694A JP 3769485 A JP3769485 A JP 3769485A JP H0329241 B2 JPH0329241 B2 JP H0329241B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cyclodextrin
- maltosyl
- maltose
- pullulanase
- chromatography
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
- Grain Derivatives (AREA)
- General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Cosmetics (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
a 産業上の利用分野
本発明は新規な分岐サイクロデキストリンおよ
びその製造方法に関し、更に詳細には、マルトシ
ル−β−サイクロデキストリンおよびその製造方
法に関する。 b 従来の技術 サイクロデキストリンはグルコース残基がα−
1,4−結合により環状に結合したオリゴ糖であ
つて、グルコース残基6個からなるα−サイクロ
デキストリン、7個からなるβ−サイクロデキス
トリン、8個からなるγ−サイクロデキストリン
などが一般に知られている。 サイクロデキストリンはその構造から内部に空
隙があり、この空隙内部は親油性領域となつてい
るので各種の油性物質を取り込むことができる。
そのため、このような性質を利用して不安定物
質の安定化揮発性物質の保持異臭のマスキン
グ難・不溶性物質の可溶化など、種々の用途が
考えられている。しかしながら、これらのサイク
ロデキストリンは一般的に高価であり、このこと
がこれらサイクロデキストリンの利用拡大を妨げ
ている大きな要因ともなつている。 もつとも、これらのうちβ−サイクロデキスト
リンは他のサイクロデキストリンに比べて比較的
安価であり、かつ、また、抱接作用も最も強力な
ことから、利用面において有望視されているもの
である。 c 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このβ−サイクロデキストリン
は低温域(室温以下)での水に対する溶解度が極
めて低い(1.55%、20℃)という欠点があり、こ
の点における改良が待たれていた。 既に、α−サイクロデキストリンについてはグ
ルコース残基のC6の位置にグルコースあるいは
マルトースがα−1,6−結合により結合した分
岐サイクロデキストリンが知られており、このも
のは分岐のないものに比べて水への溶解度が高い
ことが知られている。 本発明者らは、かかる点に着目し、β−サイク
ロデキストリンに分岐を導入できればその溶解性
を改善できるのではないかとの着想のもとに種々
検討した結果、プルラナーゼの縮合反応を利用す
ればβ−サイクロデキストリンとマルトースとを
結合させることができるとの着想を得、更に検討
の結果、本発明に到達したものである。 d 問題点を解決するための手段 本発明は、マルトースとβ−サイクロデキスト
リンを含む混合物にプルラナーゼを作用させてマ
ルトシル−β−サイクロデキストリンを生成さ
せ、生成したマルトシル−β−サイクロデキスト
リンを反応液から分離採取することからなる、マ
ルトシル−β−サイクロデキストリンの製造方法
およびかくして得られるマルトシル−β−サイク
ロデキストリンに関するものである。 本発明により得られるマルトシル−β−サイク
ロデキストリンは、6−O−α−マルトシルシク
ロマルトヘプタオースともいい、分子式
C54H90O45分子量1459で表わされる、下記の理化
学的性質を有する新規化合物である。 1 比旋光度 [α]20 D+163゜(C=0.1,H2O) 2 ペーパークロマトグラフイー移動度 1−ブタノール:1−プロパノール:水=
3:5:4の展開溶媒を使用し、55℃で3回展
開した。グルコースの移動度を1.00とした時、
本品は0.21であつた(1スポツト)。 また、ヨウ素溶液を用いた発色およびグルコ
アミラーゼで前処理した後の硝酸銀を用いた発
色により呈色された。 3 高速液体クロマトグラフイー (条件) カラムサイズ:6φ×50mm 担体:LiChrosorb−NH2(メルク社製) 溶媒:アセトニトリル:水=65:35 流速:2.0ml/min 検出器:示差屈折計ERC7520型(エルマ光学
株式会社製) 本品は上記条件で1ピークであつた。 4 溶解性 水に易溶(β−サイクロデキストリンと比較
した場合、20℃で100倍以上溶け、マルトシル
−α−サイクロデキストリンと比較した場合、
20℃で約3倍溶ける)、エタノールに難溶。 5 性状 水溶液は無色であり、粉末は白色。 6 赤外線吸収スペクトル 第1図参照 7 13C核磁気共鳴スペクトル 第2図参照 δ(D2O) 68.1(1−6結合のC6) 78.7(マルトースの1−4結合のC4) 99.7(1−6結合のC1) 8 β−サイクロデキストリンとマルトースの構
成 プルラナーゼ(林原生物化学研究所製、結晶
品)によりマルトースとβ−サイクロデキストリ
ンに分解され、その構成比率をペーパークロマト
グラフイーおよび高速液体クロマトグラフイーで
求めた結果、マルトース:β−サイクロデキスト
リン=1:1であつた。 プルラナーゼ(ノボ・インダストリー・ジヤパ
ン社製)によりマルトースとβ−サイクロデキス
トリンに分解され、その構成比率をペーパークロ
マトグラフイーおよび高速液体クロマトグラフイ
ーで求めた結果、マルトース:β−サイクロデキ
ストリン=1:1であつた。 グルコアミラーゼ(生化学工業製、結晶品)に
より分解した後、ペーパークロマトグラフイーで
単離すると、グルコースとヨウ素発色で淡黄橙色
を示す糖(グルコシル−β−サイクロデキストリ
ン)が等モル得られた。 本発明によれば、かかるマルトシル−β−サイ
クロデキストリンは次のごとくして製造される。 即ち、マルトースとβ−サイクロデキストリン
を含む基質濃度40〜85%溶液にプルラナーゼを所
定量加え、液の温度、PHなどを酵素の好適作用範
囲に維持して、1日〜6日間反応させ、マルトシ
ル−β−サイクロデキストリンを生成し、次い
で、所望によりクロマトグラフイーなどの方法に
よつて反応液から分離採取することにより製造さ
れる。 本発明において用いられるプルラナーゼは、粘
質多糖類プルランのα−1,6−グルコシド結合
を加水分解するほか、アミロペクチンやグリコー
ゲンのα−1,6−グルコシド結合をも切断する
能力を持つ酵素であり、主としてエアロバクタ
ー・エアロゲネス(Aerobacter aerogenes)、バ
シラス・sp(Bacillus sp)などの微生物より得ら
れる。これらプルラナーゼの使用量は、基質の品
質あるいは反応の実施形式などにより多少の違い
はあるが、通常の場合、β−サイクロデキストリ
ン1グラム当たり10単位以上用いられる。このプ
ルラナーゼの酵素活性は次のごとき方法により測
定される。即ち、0.5%プルラン溶液(プルラン
を50mM酢酸ナトリウム緩衝液、PH5.0に溶解し
たもの)200μlに酵素液50μl(同じ緩衝液に溶解し
たもの)を加え、10分間、50℃で酵素反応させ
る。反応後、反応液中に生成した還元糖をソモギ
イーネルソン(Somogyi−Nelson)法で測定す
る。酵素単位はこの条件で1分間に1μmoleのマ
ルトトリオースに相当する還元力を生成する酵素
量を1単位とする。 本発明において原料として用いられるマルトー
スおよびβ−サイクロデキストリンは、いずれも
市販の製品をそのまま用いることができるが、生
成物の分離精製の手数を考えると純度の高いもの
を用いるのが有利である。これらマルトースおよ
びβ−サイクロデキストリンの使用量は、β−サ
イクロデキストリンに対して通常マルトース1〜
7倍量、好ましくは3〜7倍量、更に好ましくは
4〜5倍量用いられる。また、溶液の濃度は、本
発明の方法がプルラナーゼの縮合反応を利用する
ものである関係上、一般的に原料基質の濃度が高
いほど好ましく、従つて、本発明における基質濃
度は60〜85%で使用することが好ましい。 本発明の方法においては、反応はプルラナーゼ
の作用条件に適合させて実施される。従つて、反
応温度、PHなどは用いられる酵素の種類(起源)
によつて差はあるが、一般に40〜80℃、PH4.0〜
6.0で行なうのが好ましい。 生成したマルトシル−β−サイクロデキストリ
ンを反応液から分離するには、例えばトヨパール
HW−40Sを用いたカラムクロマトグラフイーあ
るいはワツトマン17クロムによるペーパークロマ
トグラフイーを用いることにより容易に行なうこ
とができるが、工業的には特にコスト上の理由か
らイオン交換樹脂クロマトグラフイー、大量ゲル
ろ過分離法などを用いるのが有利である。 e 発明の効果 本発明により得られる新規な分岐サイクロデキ
ストリンは、公知のβ−サイクロデキストリンと
同程度の強い抱接力を有し、かつ、その溶解性に
おいて格段に優れているので、医薬品、食品、化
粧品その他一般の化学工業分野でのサイクロデキ
ストリンの用途開発に寄与するところが大きい。 f 実施例 次に実施例を示し、本発明を更に詳細かつ具体
的に説明する。 実施例 1 マルトース(日本澱粉工業〓製、純度99%)
2.00gとβ−サイクロデキストリン(日本食品化
工〓製、純度98%)0.40gに、PH5.0、50mM酢
酸ナトリウム緩衝液0.63mlを加え沸騰浴中加熱溶
解する。冷却後、これにバシラス・sp(Bacillus
sp)の耐熱性プルラナーゼ(ノボ・インダストリ
ー・ジヤパン社製、200単位/g)400mgを加え、
70℃で2日間反応させる。 終了後、この反応液をトヨパールHW−40Sを
充填したカラム(2.5×100cm×2本)によりゲル
ろ過クロマトグラフイーにかけて分離精製を行
う。試料負荷後15〜17時間後に溶出されてくるフ
ラクシヨンを集め、ロータリーエバポレータで濃
縮乾燥して、マルトシル−β−サイクロデキスト
リンの白色粉末213mgを得る。 このものの元素分析値は次の通りであつた。 元素分析値(C54H90O45) 計算値C=44.45% H=6.22% O=49.34% 実測値C=44.27% H=6.24% また、このものは277℃で分解した。 次に、この粉末を、70%1−プロパノール21
−ブタノール:ピリジン:水=6:4:31−
ブタノール:1−プロパノール:水=3:5:4
を展開剤に用いてペーパー上に展開後、ヨウ素溶
液を用いる発色およびグルコアミラーゼでペーパ
ーを一度処理した後、硝酸銀発色させたところ、
1スポツトを与え単一物質であることが確認され
た。 次に、上記で得られた物質5mgを取り、これに
エアロバクター・エアロゲネス(Aerobacter
aerogenes)のプルラナーゼ(林原生物化学研究
所製、結晶品40単位/mg)1単位をPH6.0、50m
M酢酸ナトリウム緩衝液500μlに溶解し、30℃で
一夜反応させたところ、マルトースとβ−サイク
ロデキストリンを1:1の割合で生成することが
ペーパークロマトグラフイーおよび高速液体クロ
マトグラフイーにより確認された。 更に、上記で得られた物質5mgを取り、これに
リゾプス・デレマー(Rhizopus delemer)のグ
ルコアミラーゼ(生化学工業製、結晶品30単位/
mg)10単位をPH5.0、50mM酢酸ナトリウム緩衝
液に溶解し、30℃で一夜反応させたところ、グル
コースとグルコシル−β−サイクロデキストリン
を1:1の割合で生成することがペーパークロマ
トグラフイーおよび高速液体クロマトグラフイー
により確認された。 以上の結果から、上記の物質はマルトシル−β
−サイクロデキストリンであることが確認され
た。 実施例 2〜12 実施例1と同様な操作手順により、但し基質濃
度、酵素量、反応温度、反応時間を種々に変えて
反応を行ない、次表の結果を得た。 【表】
びその製造方法に関し、更に詳細には、マルトシ
ル−β−サイクロデキストリンおよびその製造方
法に関する。 b 従来の技術 サイクロデキストリンはグルコース残基がα−
1,4−結合により環状に結合したオリゴ糖であ
つて、グルコース残基6個からなるα−サイクロ
デキストリン、7個からなるβ−サイクロデキス
トリン、8個からなるγ−サイクロデキストリン
などが一般に知られている。 サイクロデキストリンはその構造から内部に空
隙があり、この空隙内部は親油性領域となつてい
るので各種の油性物質を取り込むことができる。
そのため、このような性質を利用して不安定物
質の安定化揮発性物質の保持異臭のマスキン
グ難・不溶性物質の可溶化など、種々の用途が
考えられている。しかしながら、これらのサイク
ロデキストリンは一般的に高価であり、このこと
がこれらサイクロデキストリンの利用拡大を妨げ
ている大きな要因ともなつている。 もつとも、これらのうちβ−サイクロデキスト
リンは他のサイクロデキストリンに比べて比較的
安価であり、かつ、また、抱接作用も最も強力な
ことから、利用面において有望視されているもの
である。 c 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このβ−サイクロデキストリン
は低温域(室温以下)での水に対する溶解度が極
めて低い(1.55%、20℃)という欠点があり、こ
の点における改良が待たれていた。 既に、α−サイクロデキストリンについてはグ
ルコース残基のC6の位置にグルコースあるいは
マルトースがα−1,6−結合により結合した分
岐サイクロデキストリンが知られており、このも
のは分岐のないものに比べて水への溶解度が高い
ことが知られている。 本発明者らは、かかる点に着目し、β−サイク
ロデキストリンに分岐を導入できればその溶解性
を改善できるのではないかとの着想のもとに種々
検討した結果、プルラナーゼの縮合反応を利用す
ればβ−サイクロデキストリンとマルトースとを
結合させることができるとの着想を得、更に検討
の結果、本発明に到達したものである。 d 問題点を解決するための手段 本発明は、マルトースとβ−サイクロデキスト
リンを含む混合物にプルラナーゼを作用させてマ
ルトシル−β−サイクロデキストリンを生成さ
せ、生成したマルトシル−β−サイクロデキスト
リンを反応液から分離採取することからなる、マ
ルトシル−β−サイクロデキストリンの製造方法
およびかくして得られるマルトシル−β−サイク
ロデキストリンに関するものである。 本発明により得られるマルトシル−β−サイク
ロデキストリンは、6−O−α−マルトシルシク
ロマルトヘプタオースともいい、分子式
C54H90O45分子量1459で表わされる、下記の理化
学的性質を有する新規化合物である。 1 比旋光度 [α]20 D+163゜(C=0.1,H2O) 2 ペーパークロマトグラフイー移動度 1−ブタノール:1−プロパノール:水=
3:5:4の展開溶媒を使用し、55℃で3回展
開した。グルコースの移動度を1.00とした時、
本品は0.21であつた(1スポツト)。 また、ヨウ素溶液を用いた発色およびグルコ
アミラーゼで前処理した後の硝酸銀を用いた発
色により呈色された。 3 高速液体クロマトグラフイー (条件) カラムサイズ:6φ×50mm 担体:LiChrosorb−NH2(メルク社製) 溶媒:アセトニトリル:水=65:35 流速:2.0ml/min 検出器:示差屈折計ERC7520型(エルマ光学
株式会社製) 本品は上記条件で1ピークであつた。 4 溶解性 水に易溶(β−サイクロデキストリンと比較
した場合、20℃で100倍以上溶け、マルトシル
−α−サイクロデキストリンと比較した場合、
20℃で約3倍溶ける)、エタノールに難溶。 5 性状 水溶液は無色であり、粉末は白色。 6 赤外線吸収スペクトル 第1図参照 7 13C核磁気共鳴スペクトル 第2図参照 δ(D2O) 68.1(1−6結合のC6) 78.7(マルトースの1−4結合のC4) 99.7(1−6結合のC1) 8 β−サイクロデキストリンとマルトースの構
成 プルラナーゼ(林原生物化学研究所製、結晶
品)によりマルトースとβ−サイクロデキストリ
ンに分解され、その構成比率をペーパークロマト
グラフイーおよび高速液体クロマトグラフイーで
求めた結果、マルトース:β−サイクロデキスト
リン=1:1であつた。 プルラナーゼ(ノボ・インダストリー・ジヤパ
ン社製)によりマルトースとβ−サイクロデキス
トリンに分解され、その構成比率をペーパークロ
マトグラフイーおよび高速液体クロマトグラフイ
ーで求めた結果、マルトース:β−サイクロデキ
ストリン=1:1であつた。 グルコアミラーゼ(生化学工業製、結晶品)に
より分解した後、ペーパークロマトグラフイーで
単離すると、グルコースとヨウ素発色で淡黄橙色
を示す糖(グルコシル−β−サイクロデキストリ
ン)が等モル得られた。 本発明によれば、かかるマルトシル−β−サイ
クロデキストリンは次のごとくして製造される。 即ち、マルトースとβ−サイクロデキストリン
を含む基質濃度40〜85%溶液にプルラナーゼを所
定量加え、液の温度、PHなどを酵素の好適作用範
囲に維持して、1日〜6日間反応させ、マルトシ
ル−β−サイクロデキストリンを生成し、次い
で、所望によりクロマトグラフイーなどの方法に
よつて反応液から分離採取することにより製造さ
れる。 本発明において用いられるプルラナーゼは、粘
質多糖類プルランのα−1,6−グルコシド結合
を加水分解するほか、アミロペクチンやグリコー
ゲンのα−1,6−グルコシド結合をも切断する
能力を持つ酵素であり、主としてエアロバクタ
ー・エアロゲネス(Aerobacter aerogenes)、バ
シラス・sp(Bacillus sp)などの微生物より得ら
れる。これらプルラナーゼの使用量は、基質の品
質あるいは反応の実施形式などにより多少の違い
はあるが、通常の場合、β−サイクロデキストリ
ン1グラム当たり10単位以上用いられる。このプ
ルラナーゼの酵素活性は次のごとき方法により測
定される。即ち、0.5%プルラン溶液(プルラン
を50mM酢酸ナトリウム緩衝液、PH5.0に溶解し
たもの)200μlに酵素液50μl(同じ緩衝液に溶解し
たもの)を加え、10分間、50℃で酵素反応させ
る。反応後、反応液中に生成した還元糖をソモギ
イーネルソン(Somogyi−Nelson)法で測定す
る。酵素単位はこの条件で1分間に1μmoleのマ
ルトトリオースに相当する還元力を生成する酵素
量を1単位とする。 本発明において原料として用いられるマルトー
スおよびβ−サイクロデキストリンは、いずれも
市販の製品をそのまま用いることができるが、生
成物の分離精製の手数を考えると純度の高いもの
を用いるのが有利である。これらマルトースおよ
びβ−サイクロデキストリンの使用量は、β−サ
イクロデキストリンに対して通常マルトース1〜
7倍量、好ましくは3〜7倍量、更に好ましくは
4〜5倍量用いられる。また、溶液の濃度は、本
発明の方法がプルラナーゼの縮合反応を利用する
ものである関係上、一般的に原料基質の濃度が高
いほど好ましく、従つて、本発明における基質濃
度は60〜85%で使用することが好ましい。 本発明の方法においては、反応はプルラナーゼ
の作用条件に適合させて実施される。従つて、反
応温度、PHなどは用いられる酵素の種類(起源)
によつて差はあるが、一般に40〜80℃、PH4.0〜
6.0で行なうのが好ましい。 生成したマルトシル−β−サイクロデキストリ
ンを反応液から分離するには、例えばトヨパール
HW−40Sを用いたカラムクロマトグラフイーあ
るいはワツトマン17クロムによるペーパークロマ
トグラフイーを用いることにより容易に行なうこ
とができるが、工業的には特にコスト上の理由か
らイオン交換樹脂クロマトグラフイー、大量ゲル
ろ過分離法などを用いるのが有利である。 e 発明の効果 本発明により得られる新規な分岐サイクロデキ
ストリンは、公知のβ−サイクロデキストリンと
同程度の強い抱接力を有し、かつ、その溶解性に
おいて格段に優れているので、医薬品、食品、化
粧品その他一般の化学工業分野でのサイクロデキ
ストリンの用途開発に寄与するところが大きい。 f 実施例 次に実施例を示し、本発明を更に詳細かつ具体
的に説明する。 実施例 1 マルトース(日本澱粉工業〓製、純度99%)
2.00gとβ−サイクロデキストリン(日本食品化
工〓製、純度98%)0.40gに、PH5.0、50mM酢
酸ナトリウム緩衝液0.63mlを加え沸騰浴中加熱溶
解する。冷却後、これにバシラス・sp(Bacillus
sp)の耐熱性プルラナーゼ(ノボ・インダストリ
ー・ジヤパン社製、200単位/g)400mgを加え、
70℃で2日間反応させる。 終了後、この反応液をトヨパールHW−40Sを
充填したカラム(2.5×100cm×2本)によりゲル
ろ過クロマトグラフイーにかけて分離精製を行
う。試料負荷後15〜17時間後に溶出されてくるフ
ラクシヨンを集め、ロータリーエバポレータで濃
縮乾燥して、マルトシル−β−サイクロデキスト
リンの白色粉末213mgを得る。 このものの元素分析値は次の通りであつた。 元素分析値(C54H90O45) 計算値C=44.45% H=6.22% O=49.34% 実測値C=44.27% H=6.24% また、このものは277℃で分解した。 次に、この粉末を、70%1−プロパノール21
−ブタノール:ピリジン:水=6:4:31−
ブタノール:1−プロパノール:水=3:5:4
を展開剤に用いてペーパー上に展開後、ヨウ素溶
液を用いる発色およびグルコアミラーゼでペーパ
ーを一度処理した後、硝酸銀発色させたところ、
1スポツトを与え単一物質であることが確認され
た。 次に、上記で得られた物質5mgを取り、これに
エアロバクター・エアロゲネス(Aerobacter
aerogenes)のプルラナーゼ(林原生物化学研究
所製、結晶品40単位/mg)1単位をPH6.0、50m
M酢酸ナトリウム緩衝液500μlに溶解し、30℃で
一夜反応させたところ、マルトースとβ−サイク
ロデキストリンを1:1の割合で生成することが
ペーパークロマトグラフイーおよび高速液体クロ
マトグラフイーにより確認された。 更に、上記で得られた物質5mgを取り、これに
リゾプス・デレマー(Rhizopus delemer)のグ
ルコアミラーゼ(生化学工業製、結晶品30単位/
mg)10単位をPH5.0、50mM酢酸ナトリウム緩衝
液に溶解し、30℃で一夜反応させたところ、グル
コースとグルコシル−β−サイクロデキストリン
を1:1の割合で生成することがペーパークロマ
トグラフイーおよび高速液体クロマトグラフイー
により確認された。 以上の結果から、上記の物質はマルトシル−β
−サイクロデキストリンであることが確認され
た。 実施例 2〜12 実施例1と同様な操作手順により、但し基質濃
度、酵素量、反応温度、反応時間を種々に変えて
反応を行ない、次表の結果を得た。 【表】
第1図は、マルトシル−β−サイクロデキスト
リンの赤外線吸収スペクトルを示し、第2図は、
マルトシル−β−サイクロデキストリンの13C核
磁気共鳴スペクトルを示す。
リンの赤外線吸収スペクトルを示し、第2図は、
マルトシル−β−サイクロデキストリンの13C核
磁気共鳴スペクトルを示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 マルトシル−β−サイクロデキストリン 2 β−サイクロデキストリン1重量部に対しマ
ルトースを3〜7重量部含む固形分濃度40〜85%
の溶液をプルラナーゼの存在下に反応させ、該反
応液からマルトシル−β−サイクロデキストリン
を分離、採取することを特徴とするマルトシル−
β−サイクロデキストリンの製造方法。 3 β−サイクロデキストリン1重量部に対し、
マルトースを4〜5重量部含む固形分濃度60〜85
%の溶液をプルラナーゼの存在下に反応させるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60037694A JPS61197602A (ja) | 1985-02-28 | 1985-02-28 | 新規分岐サイクロデキストリンおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60037694A JPS61197602A (ja) | 1985-02-28 | 1985-02-28 | 新規分岐サイクロデキストリンおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61197602A JPS61197602A (ja) | 1986-09-01 |
JPH0329241B2 true JPH0329241B2 (ja) | 1991-04-23 |
Family
ID=12504660
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60037694A Granted JPS61197602A (ja) | 1985-02-28 | 1985-02-28 | 新規分岐サイクロデキストリンおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61197602A (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07108240B2 (ja) * | 1986-11-20 | 1995-11-22 | 株式会社シノテスト | γ−グルタミルトランスペプチダ−ゼ活性の測定法 |
JPH0764884B2 (ja) * | 1986-11-27 | 1995-07-12 | 株式会社トクヤマ | シクロデキストリン組成物 |
JPS63208510A (ja) * | 1987-02-25 | 1988-08-30 | Sansho Seiyaku Kk | メラニン生成抑制外用剤 |
JPS63219349A (ja) * | 1987-03-07 | 1988-09-13 | Showa Sangyo Co Ltd | 甘味料 |
JPS63254197A (ja) * | 1987-04-10 | 1988-10-20 | 日研化学株式会社 | 安定な香気成分の製造方法 |
JPS645453A (en) * | 1987-06-26 | 1989-01-10 | Showa Sangyo Co | Candy |
US5002935A (en) * | 1987-12-30 | 1991-03-26 | University Of Florida | Improvements in redox systems for brain-targeted drug delivery |
US5017566A (en) * | 1987-12-30 | 1991-05-21 | University Of Florida | Redox systems for brain-targeted drug delivery |
US5997856A (en) * | 1988-10-05 | 1999-12-07 | Chiron Corporation | Method and compositions for solubilization and stabilization of polypeptides, especially proteins |
EP0406811A3 (en) * | 1989-07-03 | 1991-08-28 | Ajinomoto Co., Inc. | Novel clathrate compounds and a drug comprising them |
US5124154A (en) * | 1990-06-12 | 1992-06-23 | Insite Vision Incorporated | Aminosteroids for ophthalmic use |
JP3135912B2 (ja) * | 1990-11-27 | 2001-02-19 | 日本食品化工株式会社 | ルチン包接複合体及びその製造法 |
JP4087938B2 (ja) * | 1998-02-04 | 2008-05-21 | 高砂香料工業株式会社 | ヒノキチオ−ル類の分岐サイクロデキストリン包接化合物からなる抗菌剤およびそれを含有する組成物 |
JP5622187B2 (ja) * | 2009-09-08 | 2014-11-12 | 群泰生物科技股▲ふん▼有限公司 | 水溶性ミノキシジル組成物 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5648156A (en) * | 1979-09-26 | 1981-05-01 | Nec Corp | Transistor |
-
1985
- 1985-02-28 JP JP60037694A patent/JPS61197602A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5648156A (en) * | 1979-09-26 | 1981-05-01 | Nec Corp | Transistor |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61197602A (ja) | 1986-09-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0329241B2 (ja) | ||
JPH0331440B2 (ja) | ||
JPH044875B2 (ja) | ||
JPH0258918B2 (ja) | ||
US4910137A (en) | Twig branched cyclodextrin | |
JPH044874B2 (ja) | ||
JPS62164701A (ja) | ジグルコシル−α−サイクロデキストリンおよびその製造方法 | |
JPH0440997B2 (ja) | ||
JPH044877B2 (ja) | ||
JPH0412881B2 (ja) | ||
JPH044876B2 (ja) | ||
JPH06284896A (ja) | ポリフェノール配糖体の製造法 | |
JPH0430276B2 (ja) | ||
JPH0436679B2 (ja) | ||
JP2001112496A (ja) | セロオリゴ糖の製造法 | |
JP3459276B2 (ja) | チアミン糖誘導体及びその製造法 | |
JP2888506B2 (ja) | 非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法 | |
JPS6211701A (ja) | α−サイクロデキストリンの回収方法 | |
JP3630378B2 (ja) | ガラクトシルグリセロール類の製造方法 | |
JP3682931B2 (ja) | ガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体の製造方法 | |
JPH04210596A (ja) | ジマルトシルサイクロデキストリンの製造方法 | |
JP3009944B2 (ja) | 分岐シクロデキストリンの製造法 | |
JPH03145496A (ja) | オリゴ糖誘導体 | |
JPS62267292A (ja) | モラノリン誘導体の製法 | |
JPH0430277B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |