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JP7508811B2 - 有機リン化合物、熱可塑性樹脂組成物及び電子機器 - Google Patents

有機リン化合物、熱可塑性樹脂組成物及び電子機器 Download PDF

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JP7508811B2 JP2020039462A JP2020039462A JP7508811B2 JP 7508811 B2 JP7508811 B2 JP 7508811B2 JP 2020039462 A JP2020039462 A JP 2020039462A JP 2020039462 A JP2020039462 A JP 2020039462A JP 7508811 B2 JP7508811 B2 JP 7508811B2
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Description

本発明は、有機リン化合物、熱可塑性樹脂組成物及び電子機器に関する。より詳しくは、本発明は、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性が高く、ポリオレフィン系樹脂と共にこれを含有する熱可塑性樹脂組成物の成形品において、長期間安定して難燃性を発現する有機リン化合物及びポリオレフィン系樹脂と当該有機リン化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物、当該熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された部品を用いた電子機器に関する。
複写機等を含む電子機器の内外装材として使用される樹脂組成物としては、成形加工が容易で、かつ難燃性を確保した熱可塑性樹脂組成物が使用されている。難燃性を確保するためには添加剤として難燃剤を樹脂に添加することが一般的である。
難燃剤としては、有機リン化合物や、金属水酸化物等が一般的に使用されるが、成形加工の容易なポリオレフィン系樹脂においては、難燃性の指標の一つである酸素指数が低く、所定の難燃性を確保することが問題であった。また、樹脂の疎水性が高いため、極性構造を多く持つ難燃剤との相溶性が悪く、特に融点の低い有機リン酸エステルでは成形時に樹脂表面へのブリードアウトが発生することや、樹脂組成物の成形工程において、成形ばらつき、特に強度物性の変動が問題となっていた。
さらに、有機リン酸化合物を用いた難燃剤において、難燃性を改善する手法の一つとして、添加剤としてヒンダードアミン系酸化防止剤を併用する方法が提示されている(例えば、特許文献1~3を参照)。
ヒンダードアミン系酸化防止剤はラジカルトラップ剤として、樹脂の熱分解や、燃焼反応を抑制するため、難燃性向上に有効な手段であるが、成形時の加熱による揮発を避けるため、大分子量化をはかる必要があること、光安定剤としても効果を発現するために、長期間光に暴露した後の難燃性低下が問題となっていた。また、有機リン酸化合物とヒンダードアミン系酸化防止剤を併用した場合においても、ブリードアウトや強度物性の変動の問題は解決されていなかった。
特開2018-30939号公報 特開2001-348724号公報 特開2004-83913号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性が高く、ポリオレフィン系樹脂と共にこれを含有する熱可塑性樹脂組成物の成形品において、長期間安定して難燃性を発現する有機リン化合物を提供することである。また、上記有機リン化合物を含有することで長期間の使用後も安定して難燃性を発現する成形品が製造可能なポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いて製造された成形品を有する電子機器を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、特定のヒンダードアミン構造が分子末端に結合した有機リン化合物を新たに合成した。そして、この有機リン化合物を、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物に配合したところ、樹脂との相溶性が高く、さらに上記熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は長期間安定して難燃性を発現することを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.下記式A1、式A3、式A4又は式A5で表される構造であることを特徴とする有機リン化合物。
Figure 0007508811000001
.熱可塑性樹脂と難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、前記難燃剤が、第1項に記載の有機リン化合物を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
.前記有機リン化合物の含有量が、前記熱可塑性樹脂と前記有機リン化合物の合計量に対して10~40質量%の範囲内にあることを特徴とする第項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
.前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする第項又は第項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
.第項から第項までのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の成形品を部品として使用したことを特徴とする電子機器。
本発明の上記手段により、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性が高く、ポリオレフィン系樹脂と共にこれを含有する熱可塑性樹脂組成物の成形品において、長期間安定して難燃性を発現する有機リン化合物を提供することができる。また、上記難燃剤を含有することで長期間の使用後も安定して難燃性を発現する成形品が製造可能なポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いて製造された成形品を有する電子機器を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の有機リン化合物は、上記一般式(1)で表される構造を有する。以下、上記一般式(1)で表される構造を有する有機リン化合物を、「有機リン化合物(1)」ともいう。有機リン化合物(1)は、有機リン酸エステル構造の一部が、連結鎖を介してピペリジン構造のヒンダードアミンにて置換された構造を有する。
有機リン化合物(1)は、ピペリジン構造部位に疎水性の高いアルキル基を有する。この構造により、有機リン化合物(1)は、従来の有機リン酸エステル系難燃剤に比べて、疎水性の高いポリオレフィン系樹脂に対して高い親和性を有する。ポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物にこのような有機リン化合物(1)を難燃剤として配合し、これを用いて成形品を製造すると、製造時の難燃剤のブリードアウトが抑制される。これにより、得られる成形品は難燃性が十分に付与された難燃性の高い成形品となると考えられる。さらに、得られる成形品において、外観を良好に維持しながら、強度安定性を改善することができると考えている。
上記のとおりヒンダードアミンはラジカルトラップ作用を有し、有機リン化合物からなる難燃剤と共に用いた場合に難燃剤と相乗的に作用して難燃効果を向上させる。しかしながら、ヒンダードアミンは、耐光剤としても作用し、長期使用において、徐々に構造を変化させ、その結果、難燃性の低下を招くことが知られている。
有機リン化合物(1)は、上に説明したとおり、一つの化合物内にヒンダードアミンと有機リン化合物の構造の両方を有する化合物である。このような構造により、有機リン化合物(1)は、ポリオレフィン系樹脂に対して高い相溶性を有し、有機リン化合物(1)とポリオレフィン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の内部での安定性が高まる。これにより、得られる成形品の難燃性において、耐光安定性が増加したと考えられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品の適用例としての大型複写機の概略斜視図
本発明の有機リン化合物は、上記一般式(1)で表される構造であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、上記一般式(1)で表される構造が上記一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、前記難燃剤が、上記本発明の有機リン化合物を含有することを特徴とする。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記有機リン化合物の含有量が、前記熱可塑性樹脂と前記有機リン化合物の合計量に対して10~40質量%の範囲内にあることが好ましい。また、前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であると、本発明の効果がより顕著に発現される。
本発明の電子機器は、上記本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品を部品として使用したことを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[有機リン化合物(1)]
本発明の有機リン化合物(1)は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 0007508811000002
一般式(1)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はアルコキシ基を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。RとRは同じでも異なってもよい。Xは、2価の連結基を表す。
一般式(1)において、Rが置換基を有してもよいアルキル基である場合、当該アルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~12がより好ましく、3~8がさらに好ましい。当該アルキル基は、環状、分岐状、直鎖のいずれでもよく、これらの組み合わせであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられ、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基がさらに好ましい。この場合の、置換基としては、炭素数1~3程度のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(1)において、Rが置換基を有してもよいアルコキシ基である場合、当該アルコキシ基を構成するアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい。当該アルキル基は、環状、分岐状、直鎖のいずれでもよく、これらの組み合わせであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、オクチル基が挙げられ、メチル基、プロピル基、シクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。この場合の、置換基としては、炭素数1~3程度のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(1)において、Rが置換基を有してもよいアルコキシ基であることが好ましく、シクロヘキシルオキシ基であることが特に好ましい。
一般式(1)において、R又はRが置換基を有していてもよいアルキル基である場合、Rと同様の態様が挙げられる。R及びRにおいては、エチル基、プロピル基、2-エチルヘキシル基が好ましい。
一般式(1)において、R又はRが置換基を有していてもよいアリール基である場合、当該アリール基の炭素数は6~16が好ましく、6~12がより好ましく、6~9がさらに好ましい。なお、本明細書においてアリール基とは、芳香族炭化水素化合物において芳香環を形成する炭素原子の内のいずれか1つに結合した水素原子を取り去った残基に相当する基である。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
アリール基は、上記芳香環に結合する水素原子が炭化水素基に置換される場合を含む。アリール基として、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられ、フェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。この場合の、置換基としては、炭素数1~3程度のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(1)において、R又はRが置換基を有していてもよいアラルキル基である場合、当該アリール基の炭素数は7~13が好ましく、7~9がより好ましい。なお、本明細書においてアラルキル基とは、アルキレン基を介して芳香環が結合した基である。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
アラルキル基は、上記芳香環に結合する水素原子が炭化水素基に置換される場合を含む。アラルキル基として、具体的には、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基、3-フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基、が挙げられ、ベンジル基、1-フェニルエチル基が好ましい。この場合の、置換基としては、炭素数1~3程度のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(1)において、R及びRは同じであっても異なってもよい。製造容易性の観点から同じであることが好ましい。一般式(1)において、R及びRが置換基を有してもよいアリール基であることが特に好ましい。
一般式(1)において、Xは2価の連結基であり、具体的には、フェニレン基、-O-、炭素数1~3のアルキレン基、エステル結合(-C(=O)O-又は-OC(=O)-)、アミド結合(-NHCO-)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。連結基としては、-O-、エステル結合(-C(=O)O-又は-OC(=O)-及び-O-フェニレン基-O-が好ましい。フェニレン基は1,4-フェニレン基であることが好ましい。
有機リン化合物(1)としては、一般式(1)において、Rがシクロヘキシルオキシ基であり、R及びRが置換基を有してもよいアリール基であり、かつこれらは同じであることが好ましい。このような構造を有する有機リン化合物(1)は、下記一般式(2)で表される構造を有する。以下、一般式(2)で表される構造を有する有機リン化合物(1)を有機リン化合物(2)ともいう。有機リン化合物(2)は、有機リン化合物(1)の中でも、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性がより高く、ポリオレフィン系樹脂と共にこれを含有する熱可塑性樹脂組成物の成形品において、長期間安定して難燃性を発現する効果が高い有機リン化合物である。
Figure 0007508811000003
一般式(2)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基である。Xは2価の連結基を表す。一般式(2)において、Rが表す置換基を有していてもよいアリール基としては、R及びRが置換基を有していてもよいアリール基である場合と、好ましい態様も含めて同様の態様が挙げられる。Rとしては、特にフェニル基が好ましい。
一般式(2)において、Xが表す2価の連結基としては、一般式(1)のXと同様であり、-O-、エステル結合(-C(=O)O-又は-OC(=O)-及び-O-フェニレン基-O-が好ましい。フェニレン基は1,4-フェニレン基であることが好ましい。
有機リン化合物(1)として、具体的には、下記A1~A5でそれぞれ表される構造を有する有機リン化合物が挙げられる。A1で表される構造を示す有機リン化合物を以下、有機リン化合物A1ともいう。A2~A5で表される構造を示す有機リン化合物も同様である。
Figure 0007508811000004
有機リン化合物A1~A5のうちで、有機リン化合物A1、有機リン化合物A2、及び有機リン化合物A3が有機リン化合物(2)に分類される化合物であり、本発明の効果がより高く発現される有機リン化合物である。
(有機リン化合物(1)の製造方法)
有機リン化合物(1)は、例えば以下の反応式のとおり、中間体(a)及び中間体(b)を反応させることで製造できる。以下の式中、R~Rは、一般式(1)におけるR~Rと同じである。中間体(a)が有するYと中間体(b)が有するYは、互いに反応して一般式(1)のXとなる反応性基である。
Figure 0007508811000005
有機リン化合物(1)の製造方法の具体例として、以下に有機リン化合物A1の製造方法を説明する。
(1)中間体(a)
4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカルのシクロヘキセン溶液に臭化第二銅を添加後、t-ブチルヒドロペルオキシドをゆっくりと添加する。その後、20%亜硫酸ナトリウム水溶液を添加し一晩撹拌した後、水相を分離し、有機相を水及び塩水で洗浄した後、回転エバポレーターで濃縮する。残渣をメタノール中に溶解させ、ブチルアミン及びPd担持木炭を添加した混合物を水素化し、中間体(a)として、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体を得る。
(2)中間体(b)
中間体(b)として使用するジフェニルホスホロクロリデートは、市販品を用いることができる。
(3)中間体(a)及び中間体(b)の反応
ジフェニルホスホロクロリデートとトルエン(中間体(b))を4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させる。その後、2本の滴下漏斗に、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体(中間体(a))、トリエチルアミンをそれぞれ入れ滴下し反応させる。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる有機リン化合物A1を得る。
有機リン化合物(1)の同定は、質量分析(MS)、H-NMR、13C-NMR、赤外線分光法(IR)等により行うことができる。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、前記難燃剤が、有機リン化合物(1)を含有することを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と難燃剤以外に、熱可塑性樹脂組成物が一般的に含有する各種添加剤を任意に含有できる。以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分について説明する。
(熱可塑性樹脂)
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有する熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する。熱可塑性樹脂におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂の全量に対して50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。熱可塑性樹脂におけるポリオレフィン系樹脂の含有量の上限は100質量%である。すなわち、熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂のみからなってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂組成物から難燃剤及び任意に含有するその他の各種添加剤の含有量を除いた量である。
<ポリオレフィン系樹脂>
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを単量体成分の主成分として重合された単独重合体又は共重合体である。なお、本明細書において、「オレフィン」は、二重結合を1つ有する脂肪族鎖式不飽和炭化水素をいう。
ここで、樹脂(重合体)を構成する主成分とは、重合体を構成する全単量体成分中、50質量%以上である成分をいう。ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを全単量体成分中、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%含んでなる単独重合体又は共重合体である。
オレフィン共重合体には、オレフィンと他のオレフィンとの共重合体、又はオレフィンとオレフィンに共重合可能な他の単量体との共重合体が含まれる。ポリオレフィン系樹脂における上記他の単量体の含有量は、全単量体成分中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは0~20質量%である。
オレフィンとしては、炭素数2~12のα-オレフィンが好ましい。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-デセン等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂の重合に際して、オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィンに共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロペンテン及びノルボルネン等の環状オレフィン、並びに1,4-ヘキサジエン及び5-エチリデン-2-ノルボルネン等のジエン等を挙げることができる。上記他の単量体は、ポリオレフィン系樹脂の重合に際して、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂の好適な具体例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレンを主成分とするポリエチレン樹脂;ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、及びエチレン-プロピレン-ジエン共重合体等のプロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂;ポリブテン;並びにポリペンテン等を挙げることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂におけるプロピレンに由来する構造の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチックのいずれでもよい。ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂が含有するポリオレフィン系樹脂は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
<その他の熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂が含有できるポリオレフィン系樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
(難燃剤)
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有する難燃剤は有機リン化合物(1)を含有する。難燃剤は、有機リン化合物(1)のみからなってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、有機リン化合物(1)以外のその他の難燃性化合物を含有してもよい。その他の難燃性化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、縮合リン酸エステル、イントメッセント系難燃剤が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、難燃剤である有機リン化合物(1)の含有量は、熱可塑性樹脂と有機リン化合物(1)の合計量に対して10~40質量%の範囲内にあることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物における有機リン化合物(1)の含有量が、上記範囲内であれば、得られる成形品において、有機リン化合物(1)のブリードアウトの発生が抑制され、かつ、長期間の使用においても安定して難燃性を発現しやすい。
上記難燃剤がその他の難燃性化合物を含有する場合、その含有量としては、難燃剤の全量に対して40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。上記難燃剤はその他の難燃性化合物を含有しないことが特に好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の熱可塑性樹脂組成物が任意に含有できる難燃剤以外の添加剤としては、酸化防止剤、フィラー、結晶核剤等が挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるその他の添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であり、例えば、熱可塑性樹脂組成物の全量に対して、0~30質量%程度の範囲内であり、0~20質量%の範囲内が好ましい。また、合計で30質量%以下が好ましい。
(熱可塑性樹脂組成物の製造)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂及び有機リン化合物(1)、並びに必要に応じて含有されていてもよいその他の難燃性化合物及びその他の成分を溶融混練して得ることができる。溶融混練の方法は特に限定されず、公知の溶融混練方法をとることができる。
具体例を挙げると、各成分を例えばタンブラーやヘンシェルミキサーとして知られた高速ミキサー等の各種混合機を用いて予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラストグラフ、単軸押出機、二軸押出機、及びニーダー等の混練装置で溶融混練する方法が挙げられる。これらの中でも、生産効率がよいことから、押出機を用いて溶融混練する製造方法がより好ましく、二軸押出機を用いる製造方法がさらに好ましい。押出機を使用して各成分を溶融混練し、混練物をストランド状に押し出した後、ストランド状に押し出した混練物をペレット状やフレーク状等の形態に加工することができる。
溶融混練の際の温度は、例えば、150~280℃であり、使用するポリオレフィン系樹脂に応じて適宜選択される。ポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、溶融混練の際の温度は、180℃~270℃が好ましく、より好ましくは190~230℃である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、粉末状、顆粒状、タブレット(錠剤)状、ペレット状、フレーク状、繊維状、及び液状等の各種形態をとることができる。
なお、熱可塑性樹脂組成物における有機リン化合物(1)の含有量は、以下のとおり測定できる。
熱可塑性樹脂組成物を、ソックスレー抽出器(溶剤:THF)にて抽出処理を行い、熱可塑性樹脂組成物中の溶離成分を抽出する。溶離成分中には有機リン化合物(1)が含まれており、分取HPLC(High Performance Liquid Chromatography;高速液体クロマトグラフィー)で分離後、熱重量分析、およびIR、NMR等によって有機リン化合物(1)の構造を同定する。また、リン濃度を、E.P. Bertin の Principles and Practice of Xray Spectrometric Analysis Second Ed. (Plenum Press 1984) に記載されているように蛍光X線分析により測定する。得られたリン濃度を、同定した有機リン化合物(1)の構造に換算して、熱可塑性樹脂組成物中の有機リン化合物(1)の含有量を算出
する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれば、有機リン化合物(1)の作用により、難燃性を有し、その難燃性が長期に亘って担保されたポリオレフィン系樹脂を主成分とする成形品が製造可能である。
ここで、難燃性とは、耐燃性の一つで、燃焼する速さは遅いが、ある程度は燃え続ける性質を指す。耐燃性の評価については、JIS、ASTMなどがあるが、一般には、特にUL規格が重視されている。UL規格とはアメリカの「Underwriters Laboratorie社」が定め、同社によって評価される規格である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形される成形品において、所定のサイズの試験片として、上記UL規格で評価された場合に、UL94HBで合格と評価されることが好ましく、UL94V-2で合格と評価されることがより好ましく、UL94V-0で合格と評価されることがさらに好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれば、以下に説明する通常の成形方法によって、上記十分な難燃性を有しながら、難燃剤である有機リン化合物(1)のブリードアウトが抑制され、「バリ」、「やけ」等の発生が抑制された外観が良好であるとともに、曲げ強度等の機械的強度にも優れる成形品が得られる。
(成形品)
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて、成形品を作製することができる。この成形品により、難燃性を有する製品を得ることができる。成形品を製造する際には、熱可塑性樹脂組成物を各種成形機内で溶融させ、成形することができる。成形手法としては、成形品の形態及び用途等に応じて適宜選択でき、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、及びインフレーション成形等を挙げることできる。また、押出成形及びカレンダー成形等で得られたシート状又はフィルム状の成形品について、真空成形や圧空成形等の二次成形を行うこともできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形される成形品としては、特に限定されず、例えば、家電製品及び自動車等の分野における電気電子部品、電装部品、外装部品、及び内装部品等、並びに各種包装資材、家庭用品、事務用品、配管、及び農業用資材等を挙げることができる。
[電子機器]
本発明は、上記成形品を部品として使用したことを特徴とする電子機器を提供できる。電子機器としては特に制限されないが、コンピュータ、スキャナ、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を兼ね備えたMFP(Multi Function Peripheral)と称される復合機等のOA機器、商業印刷用のデジタル印刷システム等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形される成形品は、電子機器の外装部品として好ましく用いられる。図1に示す大型複写機を例に挙げて説明する。図1は、大型複写機10の概略斜視図である。図1に示すように、大型複写機10は、外装部品G1~G9で外装されている。このような外装部品に本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形される成形品を用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[有機リン化合物(1)の製造例]
(有機リン化合物A1の製造)
有機リン化合物A1を以下のとおり製造した。
(1)シクロヘキシルオキシ体の合成
4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル(東京化成社製)98.2g(0.49mol)、シクロヘキセン370g(4.52mol)溶液に臭化第二銅1.01g(4.5mmol)を添加後、60℃にして、t-ブチルヒドロペルオキシド49g(0.38mol)をゆっくりと添加した。混合物を、計3時間、60℃に維持した。その後、25℃まで冷却し、20%亜硫酸ナトリウム水溶液280gを添加した。一晩撹拌した後、水相を分離し、有機相を水及び塩水で洗浄し、その後、回転エバポレーターで濃縮した。残渣をメタノール1200mL中に溶解させ、ブチルアミン35.8g(0.49mol)及びPd担持木炭(10%)16.3gを添加した。混合物を、25℃において1.5時間撹拌し、その後、50℃/10バール(水素圧)において、1.5時間水素化した。混合物を、濾過し、濾液を濃縮。残渣を蒸留し、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体を89.9g(65%)得た。
(2)有機リン化合物A1の合成
ジフェニルホスホロクロリデート(DPC、大八化学工業社製)42.2g(0.2,mol)、トルエン30gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後、2本の滴下漏斗に、上記(1)で得られた4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体56.5g(0.2mol)、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、5~10℃で3時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、3時間反応、その後40℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を80.9g(94%)得た。
得られた化合物について、IR、H-NMR、13C-NMRの測定を行い、その結果から有機リン化合物A1と同定した。
(有機リン化合物A2の製造)
有機リン化合物A2を以下のとおり製造した。
(1)シクロヘキシルオキシ体の合成
4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカルに変えて4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル(東京化成社製)84.4g(0.49mol)を使用した他はA1のシクロヘキシルオキシ中間体と同様にして4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体を87.3g(70%)得た。
(2)有機リン化合物A2の合成
ジフェニルホスホロクロリデート(DPC、大八化学工業社製)53.7g(0.2,mol)、トルエン40gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後2本の滴下漏斗に、上記(1)で得られた4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体50.9g(0.2mol)、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、10℃以下を保ちながらで2時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、2時間反応、その後50℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を87.8g(90%)得た。
得られた化合物について、IR、H-NMR、13C-NMRの測定を行い、その結果から有機リン化合物A2と同定した。
(有機リン化合物A3の製造)
有機リン化合物A3を以下のとおり製造した。
(1)シクロヘキシルオキシ体の合成
有機リン化合物A2の合成中間体である4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体63.6g(0.25mol)、トリエチルアミン28.3g(0.28mol)、トルエン40gを4口フラスコに入れ、撹拌しながら10℃以下に冷却した。滴下ロートに4-クロロフェノール32.1g(0.25mol)をいれ、10℃以下液温を保ちながら3時間かけて滴下した。その室温で3時間、50℃にて2時間撹拌し、反応を終了させた。反応液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる4-ヒドロキシフェニルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体を84g(97%)得た。
(2)有機リン化合物A3の合成
ジフェニルホスホロクロリデート(DPC、大八化学工業社製)53.7g(0.2,mol)、トルエン30gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後2本の滴下漏斗に、上記(1)で得られた4-ヒドロキシフェニルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体69.3g(0.2mol)、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、5~10℃で3時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、3時間反応、その後40℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を110.1g(93%)得た。
得られた化合物について、IR、H-NMR、13C-NMRの測定を行い、その結果から有機リン化合物A3と同定した。
(有機リン化合物A4の製造)
有機リン化合物A4を以下のとおり製造した。
(1)シクロヘキシルオキシ体の合成
有機リン化合物A2におけるシクロヘキシルオキシ体の合成と同様にして4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体を合成した。
(2)ホスホクロリデートの合成
撹拌機、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた四つ口フラスコに、オキシ塩化リン42.2g(0.25mol)(関東化学社製)、プロパノール24.0g(0.5mol)キシレン5gおよび無水塩化マグネシウム0.35gを充填し、この混合溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間かけて160℃まで昇温加熱し、その後1時間、同温度(160℃)で反応させた。同温度(160℃)で減圧し、副生塩化水素ガスおよびキシレンを取り除き、ジプロピルホスホクロリデート52.5g(97%)を得た。
(3)有機リン化合物A4の合成
ジフェニルホスホクロリデート(DPC、大八化学工業社製)53.7gを上記(2)のように合成したジプロピルホスホロクロリデート43.3gに変えた以外は、有機リン化合物A2の合成と同様にして、上記(1)で得られた4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-シクロヘキシルオキシ体とジプロピルホスホロクロリデートを反応させて化合物を78.0g(93%)得た。
得られた化合物について、IR、H-NMR、13C-NMRの測定を行い、その結果から有機リン化合物A4と同定した。
(有機リン化合物A5の製造)
有機リン化合物A5を以下のとおり製造した。
(1)プロピルオキシ体の合成
300mLステンレス鋼製オートクレーブ中に、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル6g(0.03mol)、CuBr198mg(0.9mmol)及びBuNBr286mg(0.9mmol)を添加した。オートクレーブを密封し、プロピレン38.6g(920mmol)を添加した。反応を70℃まで加熱した(圧力約28バール)。該温度に達した後、t-BuOOH7.6g(58.8mmol)(70%水溶液)を2.5時間添加し、更に2時間撹拌した。その後、オートクレーブ中の圧力を開放した。反応混合物を、ジクロロメタン50mLですすぎ、取り出した。反応混合物から溶媒を除去し、粗生成物(7.1g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、4-カルボキシ-1プロピルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン4.5g(62%)を得た。
(2)ホスホロクロリデートの合成
撹拌機、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた四つ口フラスコに、モノフェニルホスホロジクロリデート42.2g(0.2mol)(MPC、大八化学工業社製)、p-クレゾール21.6g(0.2mol)キシレン2gおよび無水塩化マグネシウム0.28gを充填し、この混合溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間かけて160℃まで昇温加熱し、その後1時間、同温度(160℃)で反応させた。同温度(160℃)で減圧し、副生塩化水素ガスおよびキシレンを取り除き、(フェニルp-メチルフェニル)ホスホロクロリデート53.7gを得た。
(3)有機リン化合物A5の合成
上記(2)で得られた(フェニルp-メチルフェニル)ホスホロクロリデート)50g(0.18mol)、トルエン30gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後2本の滴下漏斗に上記(1)で得られた4-カルボキシ-1プロピルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン43.0g(0.18mol)、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、5~10℃で3時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、3時間反応、その後40℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を80.2g(91%)得た。
得られた化合物について、IR、H-NMR、13C-NMRの測定を行い、その結果から有機リン化合物A5と同定した。
[熱可塑性樹脂組成物の調製]
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂として、以下の市販品を準備した。
1.ポリオレフィン系樹脂
高密度ポリエチレン(PE):HI-ZEX(HDPE)1300J(製品名、プライムポリマー社製)
ポリプロピレン系樹脂(PP):プライムポリプロJ715M(製品名、プライムポリマー社製)
2.その他の熱可塑性樹脂
ABS樹脂:サンタックAT-05(製品名、日本エイアンドアル株式会社製)
ポリカーボネート樹脂(PC):タフロンA-1900(製品名、出光興産株式会社製)
(難燃剤及びヒンダードアミン)
難燃剤として、上記で得られた本発明の有機リン化合物(1)である有機リン化合物A1~A5、以下に示す比較例用の市販品の有機リン化合物を用いた。また、その他の添加剤として以下に示す市販品のヒンダードアミンを用いた。
<比較例用の有機リン化合物>
比較例用の有機リン化合物として、以下に示す構造を有する3種類の市販品の有機リン酸エステルを準備した。TPPは、大八化学社製トリフェニルホスフェートである。PX-200(製品名)は、大八化学工業社製の芳香族縮合リン酸エステルである。FP-500(アデカスタブFP-600、製品名、粘度(25℃)18000~20000mPa・s)は、アデカ社製の芳香族縮合リン酸エステルである。なお、式中のnは粘度(25℃)を上記範囲とする数である。
Figure 0007508811000006
<ヒンダードアミン>
ヒンダードアミンとして、市販品である以下に示す構造を有するFlamestabNOR116FF(製品名、BASF社製)を準備した。
Figure 0007508811000007
(熱可塑性樹脂組成物の調製)
混錬前の事前乾燥として、熱可塑性樹脂、難燃剤及びその他の添加剤を80℃で4時間乾燥した。次いで、表Iに示される成分比(質量部)で秤量し、ドライブレンドした。表Iにおいて、熱可塑性樹脂組成物No.3,4,9,10,13及び14の、それぞれの備考の欄の「本発明」を「参考例」と読み替える。
次いで、二軸押出混練機(KTX-30;株式会社神戸製鋼所)の原材料供給口(ホッパー)から、ドライブレンドして得られた混合物を毎時10kgで供給し、シリンダの温度190℃とし、スクリューの回転数を200rpmとの条件で溶融混錬を行った。混錬後の溶融樹脂を30℃の水槽にて冷却した後、ペレタイザーにてペレット化して、熱可塑性樹脂組成物1~17を得た。熱可塑性樹脂組成物1~10、13、14は、本発明の熱可塑性樹脂組成物に相当し、熱可塑性樹脂組成物11、12は参考例であり、熱可塑性樹脂組成物15~17は比較例である。
<熱可塑性樹脂組成物の組成の確認>
なお、熱可塑性樹脂組成物中の構成成分及び質量比は下記の方法にて確認できる。この方法では質量比は、仕込み量と同じ値として確認できる。
(1)熱可塑性樹脂組成物中の構成成分の同定
熱可塑性樹脂組成物を、ソックスレー抽出器(溶剤:THF)にて5時間抽出処理を行い、熱可塑性樹脂組成物中の溶離成分を抽出する。抽出物を分取HPLCにより分離後、IR、H-NMR、13C-NMRを用いて同定する。
(2)各成分の質量比率
熱可塑性樹脂組成物中の有機リン化合物は、ICP発光分析装置(セイコー電子社製、SPS4000)を用いて、リン元素含有量を測定し、同定した化合物の分子量より求められる。標準液には原子吸光分析用試薬(関東化学社製)を用いて、検量線法によりリン含有量を求めた。
<評価>
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物1~17について、以下の評価1~5を行い、評価した。結果を熱可塑性樹脂組成物の組成、成形時のシリンダ設定温度と共に表Iに示す。
(評価1:表面べたつき)
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物1~17のそれぞれを、80℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J55ELII)を用いて、表I記載のシリンダ設定温度、金型温度を50℃として成形し、縦80mm、横10mm、高さ4.0mmの大きさの試験片を得た。
上記の試験片を、恒温恒湿槽を使用して80℃、90%RHで48時間熱処理を行った後、表面の目視観察を実施した。難燃剤又は難燃剤及び添加剤の染み出し(べたつき)について、下記のような判定を実施した。〇以上のものを合格とした。
◎:難燃剤の染み出し(べたつき)が一切認められない
〇:難燃剤の染み出しがうっすらと発生したが、べたつきがなく、使用上支障がない
△:熱処理後に難燃剤の染み出しが発生し、べたつきがある
×:熱処理実施前にすでに難燃剤の染み出しがあり、べたつきがある
(評価2:初期難燃性)
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物1~17のそれぞれを、80℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J55ELII)を用いて、表I記載のシリンダ設定温度、金型温度を50℃として成形し、縦125mm×横13mm×厚み1.6mmの短冊型試験片を得た。
次いで、得られた試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して難燃性試験を行った。試験はUL94V試験法を最初に実施し、UL94VでV-2未達の材料についてUL94HB試験を実施し、難燃性の序列を確認した。そして、難燃性を、以下の評価基準に基づいて評価した。△すなわちHB以上の難燃性であれば合格とした。
◎:V-0(合格)
○:V-1又はV-2(合格)
△:HB(合格)
×:規格外(HB試験についても不合格)
(評価3:耐光試験後の難燃性)
上記評価2と同様の方法で作製した試験片を、Ci4000ウエザオメーター(アトラス社製)にて30日間の暴露試験を行った(420nmで1W/m、槽内温度25℃、湿度50%RH)。その後、評価3と同様の難燃性試験を実施し、耐光試験後の難燃性評価とした。
(評価4:曲げ強度)
上記評価1で表面べたつきの評価に用いた試験片と同様の試験片を、金型を用いて成形した。成型数は300ショットを捨てショットとした後、連続100ショットを成形した。得られた100個の成形体の曲げ強度のばらつきXTS(%)を、下記式から求め、以下の評価基準により評価した。○以上であれば実用上問題ないと判断した。
XTS(%)=(TRmax-TRmin)/(TRav)×100
なお、上記式中、TRmaxは、100個の成形体の曲げ強度の最大値(MPa)を表し、TRminは、100個の成形体の曲げ強度の最小値(MPa)を表し、TRavは、100個の成形体の曲げ強度の平均値(MPa)を表す。ここで、成形体の曲げ強度は、JIS K7171に基づいて測定された値である。
◎:TRavが20MPa以上、かつXTSが0.5%未満
○:TRavが20MPa以上、かつXTSが0.5%以上5%未満
△:TRavが20MPa以上、かつXTSが5%以上15%未満
×:TRavが20MPa未満、又はXTSが15%以上
(評価5:外装部品の作製評価)
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物1~17のそれぞれを、80℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J1300E-C5)を使用し、図1に示す大型複写機の外装部品G8を想定した模擬成形品を表Iに記載のシリンダ温度及び金型温度80℃にて成形し、中央部分よりサンプルを採取した。得られたサンプルについて、目視にて外観を観察し、以下の基準で評価を行なった。なお、この試験では表面べたつき性は評価に含めていない。○以上であれば実用上問題ないと判断した。
◎:外観不良無し
〇:僅かに、「やけ」または「バリ」が認められるが、製品として問題なし
×:「やけ」または「バリ」が認められ、製品として不可
Figure 0007508811000008
表Iから、本発明の有機リン化合物は、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性が高く、ポリオレフィン系樹脂と共にこれを含有する熱可塑性樹脂組成物の成形品において、長期間安定して難燃性を発現することがわかる。
10:大型複写機
G1~G9:外装部品

Claims (5)

  1. 記式A1、式A3、式A4又は式A5で表される構造であることを特徴とする有機リン化合物。
    Figure 0007508811000009
  2. 熱可塑性樹脂と難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、
    前記難燃剤が、請求項1に記載の有機リン化合物を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記有機リン化合物の含有量が、前記熱可塑性樹脂と前記有機リン化合物の合計量に対して10~40質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項から請求項までのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の成形品を部品として使用したことを特徴とする電子機器。
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