JP2021138664A - 有機リン化合物、熱可塑性樹脂組成物及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
本発明の有機リン化合物(1)は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
有機リン化合物(1)は、例えば以下の反応式のとおり、中間体(a)及び中間体(b)を反応させることで製造できる。以下の式中、R1〜R3は、一般式(1)におけるR1〜R3と同じである。中間体(a)が有するY1と中間体(b)が有するY2は、互いに反応して一般式(1)のXとなる反応性基である。
4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルのシクロヘキセン溶液に臭化第二銅を添加後、t−ブチルヒドロペルオキシドをゆっくりと添加する。その後、20%亜硫酸ナトリウム水溶液を添加し一晩撹拌した後、水相を分離し、有機相を水及び塩水で洗浄した後、回転エバポレーターで濃縮する。残渣をメタノール中に溶解させ、ブチルアミン及びPd担持木炭を添加した混合物を水素化し、中間体(a)として、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体を得る。
中間体(b)として使用するジフェニルホスホロクロリデートは、市販品を用いることができる。
ジフェニルホスホロクロリデートとトルエン(中間体(b))を4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させる。その後、2本の滴下漏斗に、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体(中間体(a))、トリエチルアミンをそれぞれ入れ滴下し反応させる。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる有機リン化合物A1を得る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、前記難燃剤が、有機リン化合物(1)を含有することを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有する熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する。熱可塑性樹脂におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂の全量に対して50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。熱可塑性樹脂におけるポリオレフィン系樹脂の含有量の上限は100質量%である。すなわち、熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂のみからなってもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを単量体成分の主成分として重合された単独重合体又は共重合体である。なお、本明細書において、「オレフィン」は、二重結合を1つ有する脂肪族鎖式不飽和炭化水素をいう。
熱可塑性樹脂が含有できるポリオレフィン系樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有する難燃剤は有機リン化合物(1)を含有する。難燃剤は、有機リン化合物(1)のみからなってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、有機リン化合物(1)以外のその他の難燃性化合物を含有してもよい。その他の難燃性化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、縮合リン酸エステル、イントメッセント系難燃剤が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が任意に含有できる難燃剤以外の添加剤としては、酸化防止剤、フィラー、結晶核剤等が挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるその他の添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であり、例えば、熱可塑性樹脂組成物の全量に対して、0〜30質量%程度の範囲内であり、0〜20質量%の範囲内が好ましい。また、合計で30質量%以下が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のポリオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂及び有機リン酸化合物(1)、並びに必要に応じて含有されていてもよいその他の難燃性化合物及びその他の成分を溶融混練して得ることができる。溶融混練の方法は特に限定されず、公知の溶融混練方法をとることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて、成形品を作製することができる。この成形品により、難燃性を有する製品を得ることができる。成形品を製造する際には、熱可塑性樹脂組成物を各種成形機内で溶融させ、成形することができる。成形手法としては、成形品の形態及び用途等に応じて適宜選択でき、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、及びインフレーション成形等を挙げることできる。また、押出成形及びカレンダー成形等で得られたシート状又はフィルム状の成形品について、真空成形や圧空成形等の二次成形を行うこともできる。
本発明は、上記成形品を部品として使用したことを特徴とする電子機器を提供できる。電子機器としては特に制限されないが、コンピュータ、スキャナ、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を兼ね備えたMFP(Multi Function Peripheral)と称される復合機等のOA機器、商業印刷用のデジタル印刷システム等が挙げられる。
(有機リン酸化合物A1の製造)
有機リン酸化合物A1を以下のとおり製造した。
4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル(東京化成社製)98.2g(0.49mol)、シクロヘキセン370g(4.52mol)溶液に臭化第二銅1.01g(4.5mmol)を添加後、60℃にして、t−ブチルヒドロペルオキシド49g(0.38mol)をゆっくりと添加した。混合物を、計3時間、60℃に維持した。その後、25℃まで冷却し、20%亜硫酸ナトリウム水溶液280gを添加した。一晩撹拌した後、水相を分離し、有機相を水及び塩水で洗浄し、その後、回転エバポレーターで濃縮した。残渣をメタノール1200mL中に溶解させ、ブチルアミン35.8g(0.49mol)及びPd担持木炭(10%)16.3gを添加した。混合物を、25℃において1.5時間撹拌し、その後、50℃/10バール(水素圧)において、1.5時間水素化した。混合物を、濾過し、濾液を濃縮。残渣を蒸留し、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体を89.9g(65%)得た。
ジフェニルホスホロクロリデート(DPC、大八化学工業社製)42.2g(0.2,mol)、トルエン30gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後、2本の滴下漏斗に、上記(1)で得られた4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体56.5g(0.2mol)、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、5〜10℃で3時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、3時間反応、その後40℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を80.9g(94%)得た。
有機リン酸化合物A2を以下のとおり製造した。
4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルに変えて4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル(東京化成社製)84.4g(0.49mol)を使用した他はA1のシクロヘキシルオキシ中間体と同様にして4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体を87.3g(70%)得た。
ジフェニルホスホロクロリデート(DPC、大八化学工業社製)53.7g(0.2,mol)、トルエン40gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後2本の滴下漏斗に、上記(1)で得られた4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体50.9g(0.2mol)、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、10℃以下を保ちながらで2時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、2時間反応、その後50℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を87.8g(90%)得た。
有機リン酸化合物A3を以下のとおり製造した。
有機リン酸化合物A2の合成中間体である4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体63.6g(0.25mol)、トリエチルアミン28.3g(0.28mol)、トルエン40gを4口フラスコに入れ、撹拌しながら10℃以下に冷却した。滴下ロートに4−クロロフェノール32.1g(0.25mol)をいれ、10℃以下液温を保ちながら3時間かけて滴下した。その室温で3時間、50℃にて2時間撹拌し、反応を終了させた。反応液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる4−ヒドロキシフェニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体を84g(97%)得た。
ジフェニルホスホロクロリデート(DPC、大八化学工業社製)53.7g(0.2,mol)、トルエン30gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後2本の滴下漏斗に、上記(1)で得られた4−ヒドロキシフェニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体69.3g(0.2mol)、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、5〜10℃で3時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、3時間反応、その後40℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を110.1g(93%)得た。
有機リン酸化合物A4を以下のとおり製造した。
有機リン酸化合物A2におけるシクロヘキシルオキシ体の合成と同様にして4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体を合成した。
撹拌機、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた四つ口フラスコに、オキシ塩化リン42.2g(0.25mol)(関東化学社製)、プロパノール24.0g(0.5mol)キシレン5gおよび無水塩化マグネシウム0.35gを充填し、この混合溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間かけて160℃まで昇温加熱し、その後1時間、同温度(160℃)で反応させた。同温度(160℃)で減圧し、副生塩化水素ガスおよびキシレンを取り除き、ジプロピルホスホクロリデート52.5g(97%)を得た。
ジフェニルホスホクロリデート(DPC、大八化学工業社製)53.7gを上記(2)のように合成したジプロピルホスホロクロリデート43.3gに変えた以外は、有機リン酸化合物A2の合成と同様にして、上記(1)で得られた4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−シクロヘキシルオキシ体とジプロピルホスホロクロリデートを反応させて化合物を78.0g(93%)得た。
有機リン酸化合物A5を以下のとおり製造した。
300mLステンレス鋼製オートクレーブ中に、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル6g(0.03mol)、CuBr2198mg(0.9mmol)及びBu4NBr286mg(0.9mmol)を添加した。オートクレーブを密封し、プロピレン38.6g(920mmol)を添加した。反応を70℃まで加熱した(圧力約28バール)。該温度に達した後、t−BuOOH7.6g(58.8mmol)(70%水溶液)を2.5時間添加し、更に2時間撹拌した。その後、オートクレーブ中の圧力を開放した。反応混合物を、ジクロロメタン50mLですすぎ、取り出した。反応混合物から溶媒を除去し、粗生成物(7.1g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、4−カルボキシ−1プロピルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4.5g(62%)を得た。
撹拌機、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた四つ口フラスコに、モノフェニルホスホロジクロリデート42.2g(0.2mol)(MPC、大八化学工業社製)、p−クレゾール21.6g(0.2mol)キシレン2gおよび無水塩化マグネシウム0.28gを充填し、この混合溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間かけて160℃まで昇温加熱し、その後1時間、同温度(160℃)で反応させた。同温度(160℃)で減圧し、副生塩化水素ガスおよびキシレンを取り除き、(フェニルp−メチルフェニル)ホスホロクロリデート53.7gを得た。
上記(2)で得られた(フェニルp−メチルフェニル)ホスホロクロリデート)50g(0.18mol)、トルエン30gを4つ口フラスコ内にて撹拌、完全に溶解させた。その後2本の滴下漏斗に上記(1)で得られた4−カルボキシ−1プロピルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン43.0g(0.18mol)、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)をそれぞれ入れ、寒剤冷却下、5〜10℃で3時間かけて滴下した。滴下後室温に放置し、3時間反応、その後40℃にて2時間撹拌を続けた。反応後の溶液を塩酸水溶液にて中和後、有機層を取り出し、水洗、トルエンを減圧流去後、水蒸気蒸留にて低沸点組成物流去、セライトろ過後、目的物となる化合物を80.2g(91%)得た。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂として、以下の市販品を準備した。
1.ポリオレフィン系樹脂
高密度ポリエチレン(PE):HI−ZEX(HDPE)1300J(製品名、プライムポリマー社製)
ポリプロピレン系樹脂(PP):プライムポリプロJ715M(製品名、プライムポリマー社製)
ABS樹脂:サンタックAT−05(製品名、日本エイアンドアル株式会社製)
ポリカーボネート樹脂(PC):タフロンA−1900(製品名、出光興産株式会社製)
難燃剤として、上記で得られた本発明の有機リン酸化合物(1)である有機リン酸化合物A1〜A5、以下に示す比較例用の市販品の有機リン酸化合物を用いた。また、その他の添加剤として以下に示す市販品のヒンダードアミンを用いた。
比較例用の有機リン酸化合物として、以下に示す構造を有する3種類の市販品の有機リン酸エステルを準備した。TPPは、大八化学社製トリフェニルホスフェートである。PX−200(製品名)は、大八化学工業社製の芳香族縮合リン酸エステルである。FP−500(アデカスタブFP−600、製品名、粘度(25℃)18000〜20000mPa・s)は、アデカ社製の芳香族縮合リン酸エステルである。なお、式中のnは粘度(25℃)を上記範囲とする数である。
ヒンダードアミンとして、市販品である以下に示す構造を有するFlamestabNOR116FF(製品名、BASF社製)を準備した。
混錬前の事前乾燥として、熱可塑性樹脂、難燃剤及びその他の添加剤を80℃で4時間乾燥した。次いで、表Iに示される成分比(質量部)で秤量し、ドライブレンドした。
なお、熱可塑性樹脂組成物中の構成成分及び質量比は下記の方法にて確認できる。この方法では質量比は、仕込み量と同じ値として確認できる。
(1)熱可塑性樹脂組成物中の構成成分の同定
熱可塑性樹脂組成物を、ソックスレー抽出器(溶剤:THF)にて5時間抽出処理を行い、熱可塑性樹脂組成物中の溶離成分を抽出する。抽出物を分取HPLCにより分離後、IR、1H−NMR、13C−NMRを用いて同定する。
熱可塑性樹脂組成物中の有機リン酸化合物は、ICP発光分析装置(セイコー電子社製、SPS4000)を用いて、リン元素含有量を測定し、同定した化合物の分子量より求められる。標準液には原子吸光分析用試薬(関東化学社製)を用いて、検量線法によりリン含有量を求めた。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物1〜17について、以下の評価1〜5を行い、評価した。結果を熱可塑性樹脂組成物の組成、成形時のシリンダ設定温度と共に表Iに示す。
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物1〜17のそれぞれを、80℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J55ELII)を用いて、表I記載のシリンダ設定温度、金型温度を50℃として成形し、縦80mm、横10mm、高さ4.0mmの大きさの試験片を得た。
〇:難燃剤の染み出しがうっすらと発生したが、べたつきがなく、使用上支障がない
△:熱処理後に難燃剤の染み出しが発生し、べたつきがある
×:熱処理実施前にすでに難燃剤の染み出しがあり、べたつきがある
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物1〜17のそれぞれを、80℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J55ELII)を用いて、表I記載のシリンダ設定温度、金型温度を50℃として成形し、縦125mm×横13mm×厚み1.6mmの短冊型試験片を得た。
○:V−1又はV−2(合格)
△:HB(合格)
×:規格外(HB試験についても不合格)
上記評価2と同様の方法で作製した試験片を、Ci4000ウエザオメーター(アトラス社製)にて30日間の暴露試験を行った(420nmで1W/m2、槽内温度25℃、湿度50%RH)。その後、評価3と同様の難燃性試験を実施し、耐光試験後の難燃性評価とした。
上記評価1で表面べたつきの評価に用いた試験片と同様の試験片を、金型を用いて成形した。成型数は300ショットを捨てショットとした後、連続100ショットを成形した。得られた100個の成形体の曲げ強度のばらつきXTS(%)を、下記式から求め、以下の評価基準により評価した。○以上であれば実用上問題ないと判断した。
なお、上記式中、TRmaxは、100個の成形体の曲げ強度の最大値(MPa)を表し、TRminは、100個の成形体の曲げ強度の最小値(MPa)を表し、TRavは、100個の成形体の曲げ強度の平均値(MPa)を表す。ここで、成形体の曲げ強度は、JIS K7171に基づいて測定された値である。
○:TRavが20MPa以上、かつXTSが0.5%以上5%未満
△:TRavが20MPa以上、かつXTSが5%以上15%未満
×:TRavが20MPa未満、又はXTSが15%以上
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物1〜17のそれぞれを、80℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J1300E−C5)を使用し、図1に示す大型複写機の外装部品G8を想定した模擬成形品を表Iに記載のシリンダ温度及び金型温度80℃にて成形し、中央部分よりサンプルを採取した。得られたサンプルについて、目視にて外観を観察し、以下の基準で評価を行なった。なお、この試験では表面べたつき性は評価に含めていない。○以上であれば実用上問題ないと判断した。
〇:僅かに、「やけ」または「バリ」が認められるが、製品として問題なし
×:「やけ」または「バリ」が認められ、製品として不可
G1〜G9:外装部品
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂と難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、
前記難燃剤が、請求項1又は請求項2に記載の有機リン化合物を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 前記有機リン酸化合物の含有量が、前記熱可塑性樹脂と前記有機リン酸化合物の合計量に対して10〜40質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の成形品を部品として使用したことを特徴とする電子機器。
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