以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下の順序で説明を行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.画素信号用TSVについて
7.ADCの種別について
8.WCSPの構造例
9.電子機器への適用例
10.撮像素子の使用例
11.移動体への応用例
<<1.第1の実施の形態>>
<本開示の車両の構成例>
図1を参照して、本開示の車両の構成例について説明する。
本開示の車両11は、ECU31、フロントカメラモジュール32、ステアリング33、ヘッドランプ34、モータ35、エンジン36、ブレーキ37、および表示部38を備えている。
ECU(Electronic Control Unit)31は、電子制御に係る車両11の動作の全体を制御するものであり、例えば、フロントカメラモジュール32、ステアリング33、ヘッドランプ34、モータ35、エンジン36、ブレーキ37、および表示部38より供給される情報に基づいて、各種の運転に係る動作やドライバの運転支援を実現する。
フロントカメラモジュール32は、撮像素子を含み、車両11の前方、特に、走行中の前方の画像を撮像し、撮像した画像に基づいて、走行中のレーン、前方に存在する車両、および歩行者等を認識して、認識結果をECU31に供給する。また、フロントカメラモジュール32は、内蔵する撮像素子等の故障を検出し、故障が検出された場合、その旨をECU31に供給する。この処理によりECU31は、フロントカメラモジュール32により撮像された画像に基づいた認識結果を利用した運転に係る動作や運転支援を停止すると共に、その旨を表示部38に表示する。
ステアリング33は、走行方向を制御するためのものであり、通常はユーザであるドライバにより操作されるものであるが、ECU31により制御されることもある。すなわち、例えば、フロントカメラモジュール32により走行中の前方に歩行者や車両が検出され、衝突の恐れがあるような場合、ECU31の判断によりステアリング33が制御されて、衝突が回避されるような運転支援が実現される。
ヘッドランプ34は、特に夜間等でドライバによる目視が困難な状況で車両11の前方を明るく照射する前照灯であり、通常は、ドライバにより図示せぬスイッチ等が操作されて、ロービームおよびハイビームの点灯および消灯が制御される。また、ヘッドランプ34は、ECU31により制御されることもある。例えば、フロントカメラモジュール32により対向車が検出された場合、ECU31の判断により、ハイビームの点灯をロービームの点灯に切り替え、対向車の検出がなくなった場合、再びハイビームの点灯に制御されるような運転支援が実現される。
モータ35およびエンジン36は、いずれも車両11を駆動するための動力源であり、モータ35は、電力により駆動し、エンジン36は、ガソリンや軽油などの燃料により駆動する。また、モータ35およびエンジン36は、ECU31により制御される。すなわち、例えば、発進時など、エンジン36による効率が悪く燃費を低減させてしまうような状況においては、モータ35のみを駆動させる。また、走行状態に応じて、例えば、エンジン36による効率が良いタイミングにおいては、モータ35の駆動を停止させて、エンジン36により駆動するように制御する。さらに、フロントカメラモジュール32により前方に前走の車両や歩行者が検出された場合、モータ35やエンジン36の動作を緊急停止させて危機回避を補助するような運転支援が実現される。
ブレーキ37は、走行する車両11を停止させるときドライバにより操作されて、車両11を停止させるものである。また、ブレーキ37は、ECU31により制御されることもある。すなわち、例えば、フロントカメラモジュール32により前走する車両や歩行者が検出されて、緊急回避する必要があるような場合、ECU31の判断によりブレーキ37を動作させて緊急停止するような運転支援が実現される。
表示部38は、LCD(Liquid Crystal Display)などからなり、例えば、図示せぬGPS(Global Positioning System)装置と協働して、目的地までのルート案内などの情報を表示するナビゲーション機能を実現する。また、表示部38は、タッチパネルなどからなり、操作入力部としても機能する。さらに、表示部38は、フロントカメラモジュール32により撮像された撮像画像に基づいて、ステアリング33、モータ35、エンジン36、およびブレーキ37等を動作させて、例えば、緊急回避行動をとるような場合、その旨を表示する。また、フロントカメラモジュール32の故障が検出されて、撮像された画像に基づいた運転支援が停止されるようなときには、表示部38は、運転支援が停止されていることを示す情報を表示する。
<フロントカメラモジュールの構成例>
次に、図2を参照して、フロントカメラモジュール32の構成例について説明する。
フロントカメラモジュール32は、ECU31、ステアリング33、ヘッドランプ34、モータ35、エンジン36、ブレーキ37、および表示部38と同様に、バス51を介して接続されており、相互にデータや信号を授受できる構成とされている。
また、フロントカメラモジュール32は、レンズ71、撮像素子72、フロントカメラECU73、およびMCU(Module Control Unit)74を備えている。
レンズ71は、車両11の前方の撮像方向からの入射光を集光して、撮像素子72の撮像面において被写体の像を結像させる。
撮像素子72は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどからなり、レンズ71により集光されて車両11の前方の被写体の像が結像された画像を撮像し、撮像した画像をフロントカメラECU73に供給する。
フロントカメラECU(Electronic Control Unit)73は、撮像素子72により撮像された車両11の前方の画像に基づいて、例えば、レーン検出、歩行者検出、車両検出、ヘッドランプ検出、信号認識処理、および画質制御等の画像処理および画像解析処理を実行し、処理結果をMCU74に供給する。また、フロントカメラECU73は、これらの各種処理に加えて、撮像素子72の故障を検出し、故障が検出された場合、各種の処理結果の出力を停止すると共に、故障が検出されていることを示す情報を出力する。
MCU74は、画像処理結果をECU31等で認識可能な情報に変換してECU31に出力する。尚、この際、フロントカメラECU73より撮像素子72の故障が検出されたことを示す情報が出力された場合、MCU74は、対応する情報をECU31に供給する。このような場合、ECU31は、フロントカメラモジュール32より供給されてくる画像処理結果を用いた運転支援を中止すると共に、撮像素子72の故障により画像処理結果を用いた運転支援を中止していることを表示部38等に表示して、ドライバに対して運転支援がなされていないことを認識させる。
<運転支援処理>
次に、図3のフローチャートを参照して、車両11による運転支援処理について説明する。
ステップS11において、フロントカメラECU73は、例えば、表示部38がタッチパネルとして構成されており、タッチパネルが操作されることにより、運転支援の開始が指示されているか否かを判定し、指示されるまで、同様の処理を繰り返す。そして、ステップS11において、運転支援の開始が指示された場合、処理は、ステップS12に進み、運転支援処理が開始される。
ステップS12において、フロントカメラECU73は、フロントカメラモジュール32における故障検出処理を実行する。ここでの故障検出処理は、例えば、後述する行アドレス選択機能故障検出処理(図7)、パルス出力故障検出処理(図12,図15)、画素制御線故障検出処理(図17)、およびADC+TCV故障検出処理(図24)でもよいし、その他の故障検出処理であってもよいものである。ここでの故障検出処理は、撮像中に実行されても良いし、車両電源投入による運転支援シスムテ立ち上げ時や、車両出荷前の試験時や、工場内での不良品選別時に実行されても良い。
ステップS13において、フロントカメラECU73は、故障検出処理により故障があったか否かを判定し、故障がないと判定した場合、処理は、ステップS14に進む。
ステップS14において、フロントカメラECU73は、撮像素子72を制御して画像を撮像させ、撮像された画像を取得する。
ステップS15において、フロントカメラECU73は、撮像された画像を解析する。すなわち、フロントカメラECU73は、レーン検出、歩行者検出、車両検出、ヘッドランプ検出、信号認識処理、および画質制御等の画像処理および画像解析処理等を実行し、処理結果をECU31に供給する。
ステップS16において、ECU31は、解析処理結果に基づいて、ステアリング33、ヘッドランプ34、モータ35、エンジン36、ブレーキ37、および表示部38を制御して、各種の運転支援処理を実行する。
ステップS17において、フロントカメラECU73は、運転終了であるか否かを判定し、運転終了ではない場合、処理は、ステップS12に戻り、以降の処理を繰り返す。そして、ステップS17において、運転終了であるとみなされた場合、処理は、終了する。
また、ステップS13において、故障があると判定された場合、処理は、ステップS18に進む。
ステップS18において、フロントカメラECU73は、撮像素子72に故障が発生していることをECU31に通知する。ECU31は、運転支援処理を終了させると共に、表示部38に対して運転支援が終了し、運転支援をしてないことをドライバに認識させる画像を表示させる。
以上の処理により、撮像素子72により撮像された画像に基づいて実現される運転支援処理において、撮像素子72の故障が検出されることで、適切に運転支援処理を実現することできない状態となったときには、直ちに運転支援処理が終了されて、不適切な運転支援処理がなされることにより生じる事故等を防止することが可能となる。
<ハードウェアの構成例>
次に、図4を参照して、フロントカメラECUと撮像素子のハードウェアの構成について説明する。フロントカメラECUと撮像素子のハードウェアは、下チップ91、および上チップ92が積層された構成からなる。尚、図4の右部は、下チップ91のハードウェア構成であるフロアプランを表しており、図4の左部は、上チップ92のハードウェア構成であるフロアプランを表している。
下チップ91および上チップ92には、それぞれの図中左右端部にTCV(Through Chip Via:貫通電極)93−1,93−2が設けられており、下チップ91および上チップ92が貫通して電気的に接続されている。下チップ91において、TCV93−1の図中の右隣には、行駆動部102(図5)が配置され、電気的に接続されている。TCV93−2の図中の左隣には、フロントカメラECU73の制御線ゲート143(図5)が配置され、電気的に接続されている。尚、行駆動部102および制御線ゲート143については、図5を参照して詳細を後述する。
また、下チップ91および上チップ92には、それぞれの図中上下端部にTCV93−11,93−12が設けられており、下チップ91および上チップ92が貫通して電気的に接続されている。下チップ91において、TCV93−11の図中の下部には、カラムADC(Analog to Digital Converter)111−1が配設され、電気的に接続されており、TCV93−12の図中の上部には、カラムADC(Analog to Digital Converter)111−2が配設されており、電気的に接続されている。
カラムADC111−1,111−2の図中の右端部の間であって、制御線ゲート143の左隣に、DAC(Digital to Analog Converter)112が設けられており、図中の矢印C1,C2で示されるように、カラムADC111−1,111−2にランプ電圧を出力する。尚、カラムADC111−1,111−2およびDAC112が、図5における画像信号出力部103に対応する構成となる。また、DAC112は、カラムADC111−1,111−2に対して同一特性のランプ電圧を出力することが望ましいので、カラムADC111−1,111−2のいずれからも等距離であることが望ましい。さらに、DAC112は、図4の例では、1個の例が示されているが、カラムADC111−1,111−2に対して、それぞれ同一特性のものを1個ずつ、合計2個設けるようにしてもよい。尚、画像信号出力部103については、図5を参照して詳細を後述する。
さらに、上下のカラムADC111−1,111−2の間であって、行駆動部102およびDAC112の間には、信号処理回路113が設けられており、図5における制御部121、画像処理部122、出力部123、および故障検出部124に対応する機能を実現する。
上チップ92においては、上下左右の端部に設けられたTCV93−1,93−2,93−11,93−12で囲まれた方形状の範囲の、略全面が画素アレイ101により構成されている。
画素アレイ101は、TCV93−1より画素制御線L(図5)を介して、行駆動部102より供給される制御信号に基づいて、画素信号のうち、図中の上半分の画素の画素信号を、TCV93−11を介して、下チップ91に出力し、図中の下半分の画素の画素信号を、TCV93−12を介して、下チップ91に出力する。
制御信号は、図中の矢印B1で示されるように、行駆動部102を実現する信号処理回路113より、TCV93−1を介して上チップ92の画素アレイの画素制御線Lを介して制御線ゲート143(図5)に出力される。制御線ゲート143(図5)は、制御部121(図5)からの指令情報である行アドレスに対する行駆動部102(図5)からの画素制御線Lを介した制御信号に応じて制御線ゲート143より出力される信号と、制御部121より供給された行アドレスに対応する制御信号の検出パルスとの比較により画素制御線L、およびTCV93−1,93−2の断線による故障の有無を検出する。そして、制御線ゲート143は、図中の矢印B2で示されるように、故障の有無の情報を信号処理回路113により実現される故障検出部124に出力する。
カラムADC111−1は、図中の矢印A1で示されるように、TCV93−11を介して供給される、画素アレイ101の図中の上半分の画素の画素信号を、列単位でデジタル信号に変換して信号処理回路113に出力する。また、カラムADC111−2は、図中の矢印A2で示されるように、TCV93−12を介して供給される、画素アレイ101の図中の下半分の画素の画素信号を、列単位でデジタル信号に変換して信号処理回路113に出力する。
このように2層化することにより、上チップ92が画素アレイ101のみとなるため、画素に特化した半導体プロセスを導入することが可能となる。例えば、上チップ92には、回路のトランジスタがないため、1000℃のアニール工程などによる特性変動に注意を払う必要がなくなるので、白点対策の高温プロセスなどを導入することができ、結果として、特性を改善することが可能となる。
また、下チップ91に故障検出部124を配置することにより、下チップ91乃至上チップ92および上チップ92乃至下チップ91におけるTCV93−1,93−2の通過後の信号を検出することができるので、適切に故障を検出することが可能となる。
<フロントカメラECUと撮像素子との詳細な構成例>
次に、図5を参照して、図4のハードウェアにより実現されるフロントカメラECU73と撮像素子72との機能の詳細な構成例について説明する。
撮像素子72は、画素アレイ101、行駆動部102、および画像信号出力部103を備えている。
画素アレイ101は、入射光に応じた画素信号を発生する、画素がアレイ状に配置されている。
行駆動部102は、画素アレイ101内の各画素より画素信号をリセットして蓄積させる、および画素信号のリセットレベルと信号レベルとを読み出すといった垂直方向に転送させるための制御信号を発生し、画素制御線Lを介して、各画素に供給して、画素単位で画素信号のリセット、および読み出しを実行させる。
尚、ここでは、各画素において、画素信号は、光電変換による信号が蓄積されていない状態のリセットレベルと、光電変換による信号が蓄積された状態の信号レベルとを両方読み出し、すなわち、2回読み出し、信号レベルとリセットレベルとの差分値を画素信号としている。したがって、以降において、画素信号は、この信号レベルとリセットレベルとの差分値であるものとする。
画像信号出力部103は、画素アレイ101より行駆動部102により制御されてTCV93−11,93−12を介して読み出されてくるアナログ信号の画素信号をデジタル信号に変換し、画素信号として、フロントカメラECU73の画像処理部122に供給する。
フロントカメラECU73は、制御部121、画像処理部122、出力部123、および故障検出部124、および制御線ゲート143を備えている。
制御部121は、フロントカメラECU73の全体の動作を制御している。また、制御部121は、行アドレス選択機能故障検出処理において、所定の行アドレスを指定する指令情報を行駆動部102、および故障検出部124(の制御線ゲート143)に供給する。
また、制御部121は、パルス出力故障検出処理において、行駆動部102を制御して、画素アレイ101における各画素の画素信号の蓄積および読み出しを制御する制御信号を発生させると共に、行駆動部102において制御信号が出力されるタイミングで、制御信号毎に故障検出用のパルスを発生して故障検出部124に供給する。
故障検出部124は、行アドレス選択機能故障検出部141、パルス出力故障検出部142、および制御線ゲート143を備えている。行アドレス選択機能故障検出部141は、行アドレス選択機能故障検出処理を実行し、パルス出力故障検出部142は、パルス出力故障検出処理を実行させて、故障の有無を検出し、検出結果を出力部123に供給する。
より詳細には、行アドレス選択機能故障検出部141は、行アドレス選択機能故障検出処理により、行駆動部102、および制御線ゲート143の行アドレス選択機能についての故障の有無を検出する。
また、パルス出力故障検出部142は、パルス出力故障検出処理により、行駆動部102より、所定の行アドレスの画素制御線Lを介して供給される制御信号のパルス出力故障の有無を検出する。
画像処理部122は、撮像素子72の画像信号出力部103より供給されてくる画像信号からなる画像に基づいて、例えば、レーン検出、歩行者検出、車両検出、ヘッドランプ検出、信号認識処理、および画質制御等の画像信号処理、および画像解析処理を実行し、解析処理結果を出力部123に供給する。
出力部123は、画像処理部122の各種の処理結果、および故障検出部124の故障検出処理結果をECU31に出力する。
また、図5の撮像素子72とフロントカメラECU73とは、被写体からの入射光が受光可能な面を構成する第1のチップとなる上チップ92と、その下に積層された第2のチップである下チップ91とがTCV(Through Chip Via:貫通電極)93−1,93−2,93−11,93−12により電気的に接続された構造とされている。
より詳細には、上チップ92に設けられた画素アレイ101の図中の左端部と、下チップ91に設けられた行駆動部102とがTCV93−1により電気的に接続されている。また、上チップ92に設けられた画素アレイ101の図中の右端部と、下チップ91に設けられた制御線ゲート143とがTCV93−2により電気的に接続されている。さらに、上チップ92に設けられた画素アレイ101の図中の下端部と、下チップ91に設けられた画像信号出力部103とがTCV93−11,93−12により電気的に接続されている。
上チップ92には、撮像素子72の画素アレイ101のみが設けられており、撮像素子72の行駆動部102、および画像信号出力部103、並びに、フロントカメラECU73を構成する制御部121、画像処理部122、出力部123、および故障検出部124は、下チップ91に設けられている。
<故障検出部による故障検出処理>
次に、図6を参照して、故障検出部124の行アドレス選択機能故障検出部141における行アドレス選択機能故障検出処理と、パルス出力故障検出部142におけるパルス出力故障検出処理について説明する。
行アドレス選択機能故障検出部141は、制御部121により制御され、制御部121より供給される、行アドレスの指令情報を取得する。また、制御部121は、行アドレス選択機能故障検出部141に供給した行アドレスと同一の指令情報を行駆動部102、および制御線ゲート143に供給する。
行駆動部102、および制御線ゲート143は、制御部121より供給されてきた行アドレスの指令情報に基づいた、制御対象として選択する行アドレスの情報を選択情報として行アドレス選択機能故障検出部141およびパルス出力故障検出部142に出力する。
行アドレス選択機能故障検出部141は、制御部121より供給されてきた行アドレスの指令情報と、行駆動部102、および制御線ゲート143より供給されてきた行アドレスの選択情報とを比較して、一致した場合、行駆動部102、および制御線ゲート143の行アドレス選択機能に故障が生じていないものとみなし、一致しない場合、行アドレス選択機能に故障が生じているものとみなす。
パルス出力故障検出部142は、制御部121からの指令情報である行アドレスに対する行駆動部102からの画素制御線Lを介した制御信号に応じて制御線ゲート143より出力される信号と、制御部121より供給された行アドレスに対応する制御信号の検出パルスとの比較により画素制御線L、およびTCV93の断線による故障の有無を検出する。制御線ゲート143およびパルス出力故障検出部142の詳細な構成については、図9,図10を参照して後述する。
尚、図6の制御部121および故障検出部124の機能は、図5における信号処理回路113により実現される。
<行アドレス選択機能故障検出処理>
次に、図7のフローチャートを参照して、制御部121、故障検出部124の行アドレス選択機能故障検出部141による行アドレス選択機能故障検出処理について説明する。
ステップS21において、制御部121は、所定の行アドレスを指定する指令情報を行駆動部102、および故障検出部124に供給する。
この処理により、ステップS31において、故障検出部124の行アドレス選択機能故障検出部141は、制御部121より供給されてくる所定の行アドレスの指令情報を取得する。また、同様に、ステップS51の処理により、行駆動部102は、制御部121より供給されてくる所定の行アドレスの指令情報を取得する。
すなわち、ステップS21,S31の処理が、図8における経路R1の処理であり、ステップS21,S51の処理が、図8における経路R2の処理である。尚、図8においては、所定の行アドレスの情報が伝達される経路が太線の矢印で示されている。
ステップS52において、行駆動部102は、取得した所定の行アドレスの指令情報に基づいて、処理対象として選択する行アドレスの情報を選択情報として故障検出部124に供給する。
ステップS32において、行アドレス選択機能故障検出部141は、行駆動部102より供給されてくる選択情報としての行アドレスの情報を取得する。
すなわち、ステップS52,S32の処理が、図8における経路R3の処理となる。
ステップS33において、行アドレス選択機能故障検出部141は、行アドレスの指令情報と選択情報とが一致したか否かを判定する。ステップS33において、行アドレスの指令情報と選択情報とが一致した場合、行駆動部102の行アドレス選択機能における故障はないものとみなし、処理は、終了する。
一方、ステップS33において、行アドレスの指令情報と選択情報とが一致しない場合、行アドレス選択機能における故障が発生したものとみなし、処理は、ステップS34に進む。
ステップS34において、行アドレス選択機能故障検出部141は、行駆動部102における行アドレス選択機能に故障が発生したことを検出し、検出結果を出力部123に出力する。
以上の処理により、行アドレス選択機能故障検出部141は、行駆動部102より供給されてくる選択情報である行アドレスの情報と、制御部121からの指令情報である行アドレスとが一致するか否かに基づいて、行駆動部102における行アドレス選択機能の故障の有無を検出することが可能となる。
尚、行アドレス選択機能故障検出部141と制御線ゲート143との行アドレス選択機能検出処理については、図7における処理と同様であるので説明は省略するものとする。すなわち、図7におけるステップS51乃至S53の処理と同様の処理を制御線ゲート143が実行することで、同様の故障検出処理を実現することができる。
この場合、ステップS21,S31の処理が、図8における経路R1の処理であり、ステップS21,S51の処理が、図8における経路R4の処理である。また、ステップS52,S32の処理が、図8における経路R5の処理となる。
<制御線ゲートの構成例について>
次に、図9を参照して、制御線ゲート143の構成例について説明する。
制御線ゲート143には、アドレスデコーダ161、シャッタアドレスラッチ162、およびリードアドレスラッチ163が設けられている。また、各行単位で、画素信号の蓄積と読み出しに必要とされる制御信号の種別毎に、制御信号の供給の有無を検出するスイッチングゲート164乃至168が設けられている。スイッチングゲートとしては、例えば図9に示すクロックドインバータや、オペアンプ等の種々のものを適用可能である。
ここで扱う制御信号は、画素アレイの各行のシャッタ転送信号Shutter_TRG、各行のシャッタリセット信号Shutter_RST、各行のリード選択信号Read_SEL、各行のリードリセット信号Read_RST、および各行のリード転送信号Read_TRGの5種類である。
シャッタ転送信号Shutter_TRGは、光電変換により蓄積された画素信号をフォトダイオードより開放させる転送ゲートをオンにする制御信号である。シャッタリセット信号Shutter_RSTは、フォトダイオードに蓄積された画素信号を開放する際、リセットゲートをオンにして、フォトダイオードをリセットレベルに設定させる制御信号である。リード選択信号Read_SELは、FDに蓄積された画素信号を垂直転送線(VSL)に出力させるとき、選択ゲートをオンにする制御信号である。リードリセット信号Read_RSTは、FDをリセットレベルに設定させるとき、リセットゲートをオンにする制御信号である。リード転送信号Read_TRGは、フォトダイオードに蓄積された画素信号を転送させて、FDを信号レベルに設定させるとき転送ゲートをオンにする制御信号である。
より詳細には、スイッチングゲート164は、シャッタ転送信号Shutter_TRGを検出する。スイッチングゲート165は、シャッタリセット信号Shutter_RSTを検出する。スイッチングゲート166は、リード選択信号Read_SELを検出する。スイッチングゲート167は、リードリセット信号Read_RSTを検出する。スイッチングゲート168は、リード転送信号Read_TRGを検出する。さらに、各行において、スイッチングゲート164,165の負電源端子に負電力を供給するインバータ169、およびスイッチングゲート166乃至168の負電源端子に負電力を供給するインバータ170が設けられている。
アドレスデコーダ161は、制御部121より供給されてくる指令情報であるアドレス情報に基づいて、アドレスをデコードし、デコード結果をシャッタアドレスラッチ162、およびリードアドレスラッチ163に供給する。
シャッタアドレスラッチ162は、デコード結果が、自らの行アドレスであるとみなされるとき、スイッチングゲート164,165の正電源端子に正電力を供給すると共に、インバータ169にも電力を供給する。このとき、インバータ169は、正電力を負電力に変換してスイッチングゲート164,165の負電源端子に供給する。この結果、スイッチングゲート164,165は、動作可能な状態となる。
ここで、対応する指令情報である行アドレスに基づいて、スイッチングゲート164は、行駆動部102からのシャッタ転送信号Shutter_TRGをHi信号として検出すると、対応するHi信号を、STRG用バスB5を介してパルス出力故障検出部142出力する。
また、スイッチングゲート165は、行駆動部102からのシャッタリセット信号Shutter_RSTをHi信号として検出すると、対応するHi信号を、SRST用バスB4を介してパルス出力故障検出部142出力する。
リードアドレスラッチ163は、デコード結果が、自らの行アドレスであるとみなされるとき、スイッチングゲート166乃至168の正電源端子に正電力を供給すると共に、インバータ170にも電力を供給する。このとき、インバータ170は、正電力を負電力に変換してスイッチングゲート166乃至168の負電源端子に供給する。この結果、スイッチングゲート166乃至168は、動作可能な状態となる。
ここで、対応する指令情報である行アドレスに基づいて、スイッチングゲート166は、行駆動部102からのリード選択信号Read_SELをHi信号として検出すると、対応するHi信号を、SEL用バスB1を介してパルス出力故障検出部142出力する。
また、スイッチングゲート167は、リードリセット信号Read_RSTをHi信号として検出すると、対応するHi信号を、RRST用バスB2を介してパルス出力故障検出部142出力する。
さらに、スイッチングゲート168は、リード転送信号Read_TRGをHi信号として検出すると、対応するHi信号を、RTRG用バスB3を介してパルス出力故障検出部142出力する。
すなわち、指令情報として指定された行アドレスと対応する各種の制御信号が正しく行駆動部102より供給されてくると、対応するバスB1乃至B5より、行アドレスの指令情報で指定されたタイミングでHi信号が出力される。
尚、図9の制御部121およびパルス出力故障検出部142の機能は、図4における信号処理回路113により実現される。
<パルス出力故障検出部の構成例について>
次に、図10を参照して、パルス出力故障検出部142の詳細な構成例について説明する。
パルス出力故障検出部142は、故障判定部181、およびラッチ182乃至186を備えている。ラッチ182は、STRG用バスB5からの出力信号と、制御部121からのシャッタ転送信号STRG検出用のパルスとの双方がHi信号の状態になると、以降において、リセットされるまで、Hi信号を故障判定部181に出力する。ラッチ183は、SRST用バスB4からの出力信号と、制御部121からのシャッタリセット信号SRST検出用のパルスとの双方がHi信号の状態になると、以降において、リセットされるまで、Hi信号を故障判定部181に出力する。
ラッチ184は、RTRG用バスB3からの出力信号と、制御部121からのリード転送信号RTRG検出用のパルスとの双方がHi信号の状態になると、以降において、リセットされるまで、Hi信号を故障判定部181に出力する。ラッチ185は、RRST用バスB4からの出力信号と、制御部121からのリード転送信号RRST検出用のパルスとの双方がHi信号の状態になると、以降において、リセットされるまで、Hi信号を故障判定部181に出力する。ラッチ186は、SEL用バスB5からの出力信号と、制御部121からのリード選択信号SEL検出用のパルスとの双方がHi信号の状態になると、以降において、リセットされるまで、Hi信号を故障判定部181に出力する。
故障判定部181は、ラッチ182乃至186のぞれぞれの出力信号がHi信号ではないとき、故障を検出する。
すなわち、ラッチ182乃至186のそれぞれがHi信号を出力する場合、制御部121は、行駆動部102に対して指令情報として指定される行アドレスの所定の制御信号を出力させ、適切に制御信号が出力されている場合には、対応する制御信号がバスB1乃至B5よりHi信号として制御線ゲート143からパルス出力故障検出部142に出力される。
また、このタイミングにおいて、制御部121は、行駆動部102に供給する制御信号を発生させる指令信号のパルスよりも広いパルス幅の、対応する制御信号の検出用パルスを、パルス出力故障検出部142に供給している。このため、それらがほぼ同一のタイミングで供給されると、ラッチ182乃至186においては、いずれもHi信号が出力されることになるので、故障判定部181は、ここで、Hi信号が出力されている限り故障がないものとみなすことができる。
ここで、ラッチ182乃至186のいずれかからHi信号が出力されない状態になると、指令信号として指定された行アドレスにおける制御信号が、指定されたタイミングで出力されていないことになるので、画素制御線Lのいずれか、または、TCV93などのいずれかにおいて、断線に起因する故障が発生しているものとみなせる。
従って、この処理においては、故障が検出されない場合、画素アレイ101内の画素制御線Lの断線がないことが確認されると共に、TCV93における断線も発生していないことを確認することができる。
尚、ラッチ182乃至186のいずれにおいても、制御部121よりリセット信号を受け付ける端子が設けられており、動作前に受け付けると、ラッチしている値をリセットする。
尚、図10の制御部121およびパルス出力故障検出部142の機能は、図4における信号処理回路113により実現される。
<パルス出力故障検出処理における制御線ゲート管理処理>
次に、図11のフローチャートを参照して、制御部121とパルス出力故障検出部124によるパルス出力故障検出処理における制御線ゲート管理処理について説明する。
すなわち、ステップS61において、制御部121は、パルス出力故障検出部142におけるラッチ182乃至186の全てに対してリセット信号を供給して、ラッチしている情報をリセットさせる。尚、ここでは、各行における処理のみを説明しているが、ラッチ182乃至186のリセットは、各列単位で1回となる。また、ここでは各行における処理のみを説明しているが、1行読み出している最中に故障検出し、リセットした上で次の行の読み出しを実行するという処理を繰り返すことで全行について故障検出を実行する。
ステップS62において、制御部121は、制御線ゲート143に対して次に行駆動部102より出力される制御信号と、その行アドレスを供給する。尚、この処理は、画素アレイ101における各画素に対してシャッタを制御する制御信号(Shutter_TRG、Shutter_RST)および読み出しを制御する制御信号(Read_SEL、Read_RST、およびRead_TRG)のそれぞれが出力される際に、個別に実行される処理である。
ステップS71において、制御線ゲート143のアドレスデコーダ161は、制御部121より供給されてくる制御信号と行アドレスの情報を取得する。
ステップS72において、制御線ゲート143のアドレスデコーダ161は、制御部121より供給されてきた行アドレスの情報をデコードし、デコード結果を各行のシャッタアドレスラッチ162、およびリードアドレスラッチ163に供給する。
ステップS73において、それぞれ対応する行アドレスのシャッタアドレスラッチ162、およびリードアドレスラッチ163は、対応するスイッチングゲート164乃至168に電力を供給し、動作可能な状態にする。より詳細には、シャッタアドレスラッチ162、およびリードアドレスラッチ163は、それぞれ対応する行アドレスのスイッチングゲート164乃至168の正電圧端子に対して正電圧を印加すると共に、インバータ169,170を介して負電圧を発生させ、スイッチングゲート164乃至168の負電圧端子に負電圧を印加する。すなわち、スイッチングゲート164乃至168は、それぞれ正電圧と負電圧とをそれぞれ正電圧端子および負電圧端子に印加されることで、動作可能な状態となる。
ここで、ステップS63において、制御部121は、行駆動部102を制御して、行アドレスと同一の行アドレスにおけるシャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGを所定のタイミングで出力させる。
これに対して、ステップS74において、スイッチングゲート164乃至168は、それぞれ対応するシャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGが供給されてきたか否かを判定し、供給されてくるとき、対応するバスB1乃至B5に対してHi信号を出力する。尚、ここでは、説明の便宜上、スイッチングゲート164乃至168が個別に制御信号の有無を判定する処理としているが、スイッチングゲート164乃至168は、制御信号を検出すると、Hi信号を出力するように動作するということであり、有無を実質的に判定している訳ではない。したがって、ステップS74の処理は、スイッチングゲート164乃至168がHi信号を出力するときの動作条件を示すものに過ぎない。
すなわち、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGからなる制御信号が指定された行アドレスに供給されてくると、スイッチングゲート164乃至168は、この制御信号を検出すると共に、それぞれSTRG用バスB5、SRST用バスB4、SEL用バスB1、RRST用バスB2、およびRTRG用バスB3よりHi信号を出力する。
一方、ステップS74において、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGのそれぞれが供給されてこないとき、処理は、ステップS76に進む。
ステップS76において、スイッチングゲート164乃至168は、それぞれ対応するバスB1乃至B5に対してLow信号を出力する。
そして、ステップS64において、制御部121は、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGの検出用パルスとして、STRG検出用パルスをラッチ182に、SRST検出用パルスをラッチ183に、SEL検出用パルスをラッチ186に、RRST検出用パルスをラッチ185に、RTRG検出用パルスをラッチ184に、それぞれ供給する。
以上の処理により、制御部121の制御により、行駆動部102が、所定の行アドレスの画素制御線Lを介して、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGの制御信号を順次供給する。このとき、制御部121は、対応するタイミングで、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGの検出用パルスとして、STRG検出用パルスをラッチ182に、SRST検出用パルスをラッチ183に、SEL検出用パルスをラッチ186に、RRST検出用パルスをラッチ185に、RTRG検出用パルスをラッチ184に、それぞれ供給する。
<パルス出力故障検出処理>
次に、図12のフローチャートを参照して、パルス出力故障検出部142において実行される、上述した制御線ゲート管理処理と対応して実行されるパルス出力故障検出処理について説明する。
ステップS91において、ラッチ182乃至186は、それぞれに供給されてくる検出パルスがHi信号であるか否かを判定する。すなわち、ラッチ182は、STRG検出用パルスがHi信号であるか否かを、ラッチ183は、SRST検出用パルスがHi信号であるか否かを、ラッチ186は、SEL検出用パルスがHi信号であるか否か、ラッチ185は、RRST検出用パルスがHi信号であるか否かを、ラッチ184は、RTRG検出用パルスがHi信号であるか否かをそれぞれ判定する。そして、検出パルスがHi信号であると判定されるとき、処理は、ステップS92に進む。
ステップS92において、ラッチ182乃至186は、バスB5,B4,B3,B2,B1における信号がHi信号であるか否かを判定する。すなわち、ラッチ182は、STRG用バスB5より供給されてくる信号がHi信号であるか否かを、ラッチ183は、SRST用バスB4より供給されてくる信号がHi信号であるか否かを、ラッチ186は、SEL用バスB1より供給されてくる信号がHi信号であるか否かを、ラッチ185は、RRST用バスB2より供給されてくる信号がHi信号であるか否かを、ラッチ184は、RTRG用バスB3より供給されてくる信号がHi信号であるか否かを、それぞれ判定する。そして、バスB5,B4B3,B2,B1における信号がHi信号である場合、処理は、ステップS93に進む。
ステップS93において、ラッチ182乃至186は、Hi信号を出力する。
すなわち、図13の時刻t1乃至t2で示されるように、検出用パルスがHi信号の期間において、時刻t11乃至t12で示されるように、バスB1乃至B5の信号がHi信号であるとき、画素アレイ101における所定の行アドレスの画素制御線Lを介して画素信号を転送するために供給される制御信号が適切なタイミングで、適切に供給されているので、画素制御線LおよびTCV93−1,93−2の断線等の故障や、時定数等に異常が生じるような故障が検出されないものとみなし、ラッチ182乃至186は、故障がないことを示すHi信号を出力する。
一方、ステップS91またはステップS92において、いずれかでHi信号ではないとみなされた場合、処理は、ステップS94に進み、ラッチ182乃至186は、Low信号を出力する。すなわち、この場合、画素制御線Lの断線に起因する故障や時定数等の異常が発生するといった故障が検出されているものとみなして、ラッチ182乃至186は、故障が発生していることを示すLow信号を出力する。
ステップS95において、故障判定部181は、ラッチ182乃至186より供給されてくる信号がHi信号であるか否かを判定し、Hi信号ではない、すなわち、Low信号であるとき、ステップS96において、故障が発生していることを検出する。
一方、ステップS95において、ラッチ182乃至186より供給されてくる信号がHi信号であるとき、故障が発生していないものとみなし、ステップS96の処理はスキップされる。
以上の処理により、パルス出力故障の有無を検出することが可能となる。すなわち、制御部121により指定される所定の行アドレスにおける制御信号が、指定されたタイミングに、指定された行アドレスに対して出力されているか否かを確認することが可能となり、確認できない場合、故障が発生していることを検出することができる。
また、この際、画素制御線Lの断線の有無と共に、各種の時定数等の異常の有無や、各種の制御信号のHi信号に固着するといった状態の有無をも確認することが可能となる。
さらに、撮像素子72における画素アレイ101のみが上チップ92に設けられ、撮像素子72のその他の構成とフロントカメラECU73が下チップ91に設けられ、これらが積層されてTCV93−1,93−2を介して電気的に接続された構造であるため、TCV93−1,93−2の断線の有無についても確認することが可能となる。
尚、図12におけるステップS91,S92において、ラッチ182乃至186がHi信号であるか否かを判定する処理として説明をしているが、実態として、ラッチ182乃至186は、Hi信号であるか否かを判定するものではない。すなわち、ラッチ182乃至186は、バスB1乃至B5からの信号がHi信号であって、かつ、各種の検出用パルスがHi信号である状態になると、Hi信号を出力する構成であるのみである。したがって、図12におけるステップS91,S92の処理は、ラッチ182乃至186がHi信号を出力する動作条件を示したものに過ぎない。
<第1の実施の形態の第1の変形例>
以上においては、パルス出力故障検出処理において、制御部121より各種の制御信号について、制御線ゲート143に対して制御信号を出力するタイミングで、パルス出力故障検出部142に対して、検出用パルスを出力し、制御線ゲート143における各種制御信号のバスB1乃至B5からの出力信号とのタイミングが一致した場合にのみラッチ182乃至186より故障が発生していないことを示すHi信号を出力する例について説明してきた。しかしながら、全ての検出用パルスを固定のHi信号とし、バスB1乃至B5からの信号の有無を確認することで、簡易的に画素制御線LおよびTCV93−1,93−2の断線の有無のみの故障を検出するようにしてもよい。
図14は、簡易的な構造のパルス出力故障検出部142の構成例を示している。尚、図14のパルス出力故障検出部142の構成において、図10におけるパルス出力故障検出部142における構成と同一の機能を備えた構成については、同一の符号、および同一の名称を付しており、その説明は適宜省略するものとする。
すなわち、図14のパルス出力故障検出部142において、図10のパルス出力故障検出部142と異なる点は、ラッチ182乃至186に代えて、同一構造のラッチ191乃至195が設けられており、検出用パルスが、ラッチ191乃至195に対して共通で、かつ、固定されたHi信号とされて供給されている点である。また、制御部121は、ラッチ191乃至195に対して、水平方向の1列分の処理毎に1回リセットパルス(RSTパルス)を供給し、リセットする。
このような構成により、上述した制御線ゲート管理処理により画素制御線LおよびTCV93−1,93−2を介して供給されてくる制御信号の有無を示すバスB1乃至B5のHi信号、またはLow信号に基づいて、簡易的に断線等に起因するパルス出力故障を検出することが可能となる。
尚、図14の制御部121およびパルス出力故障検出部142の機能は、図4における信号処理回路113により実現される。
<図14のパルス出力故障検出部によるパルス出力故障検出処理>
次に、図15のフローチャートを参照して、図14のパルス出力故障検出部によるパルス出力故障検出処理について説明する。尚、図11のフローチャートを参照して説明した制御線ゲート管理処理が実行されていることを前提として説明する。ただし、この例においては、図11におけるステップS63の処理における検出用パルスは、制御信号毎に所定のタイミングで出力されるのではなく、Hi信号として固定的に出力されているものとする。
ステップS111において、ラッチ191乃至195は、それぞれ対応するバスB5,B4,B3,B2,B1より供給されてくる信号がHi信号であるか否か、すなわち、制御信号が供給されてきていることが示されているか否かを判定する。ステップS111において、Hi信号が供給されてきているとみなされた場合、処理は、ステップS112に進む。
ステップS112において、ラッチ191乃至195は、検出パルスが固定のHi信号であって、かつ、それぞれ対応するバスB5,B4,B3,B2,B1より供給されてくる信号がHi信号であるので、故障が検出されていないことを示すHi信号をラッチして出力する。
一方、ステップS111において、それぞれ対応するバスB5,B4,B3,B2,B1より供給されてくる信号がLow信号である場合、制御信号が供給されてきていないので、断線等の故障が検出されたものとみなして、処理は、ステップS113に進む。
ステップS113において、ラッチ191乃至195は、故障が検出されていることを示すLow信号をラッチして出力する。
ステップS114において、故障判定部181は、ラッチ191乃至195のいずれかからLow信号が供給されてきたか否かを判定する。そして、ステップS114において、Low信号が供給されてきているとみなした場合、処理は、ステップS115に進む。
ステップS115において、故障判定部181は、故障が検出されたものとみなし、故障が発生していることを示す情報を出力する。
以上の処理により、簡易的な構成により、画素アレイ101内の画素制御線LおよびTCV93−1,93−2の断線に係る故障を検出することが可能となる。
<第1の実施の形態の第2の変形例>
以上においては、画素アレイ101を挟んで行駆動部102と制御線ゲート143とを、TCV93−1,93−2を介して接続する例について説明してきたが、TCV93が設けられる面積を極力小さくすることで、上チップ92、および下チップ91の全体の面積を小さくするようにしてもよい。
この場合、例えば、図16で示されるように、図中の左部で示されるように、画素アレイ101と行駆動部102との間に制御線ゲート143を設けるようにして、画素アレイ101と制御線ゲート143との間にのみTCV93を設けて接続するようにしてもよい。
このような構成とすることで、TCV93を設ける部位を削減することができるので、TCV93に係る面積を小さくすることができる。また、制御線ゲート143における処理は、図4の場合と同様の処理を実現することができるので、行駆動部102から出力される制御信号が、所定の行アドレスに対して所定のタイミングで出力されていることを確認することができる。
ただし、この構成のみとすると画素アレイ101における画素制御線LおよびTCV93の断線の有無については確認ができない。
そこで、図16の画素アレイ101には、右端部に黒色画素(Optical Black画素)からなる故障検出カラム201が設けられており、所定の行アドレスについて、通常の画素信号を読み出すのに必要とされる一連の制御信号を供給することで、所定の画素値を発生し、故障検出部124に設けられる画素制御線故障検出部202に出力する。画像制御線故障検出部202は、故障検出カラム201より供給される信号に基づいて、画素制御線LおよびTCV93の断線に係る故障を検出する。
より詳細には、故障検出カラム201は、図16の右部で示されるように、フォトダイオードを含まないOPB(Optical Black)画素からなるものであり、所定の行アドレスで指定される一連の制御信号が供給されることにより、黒色画素相当の所定の画素信号を出力する。図16には、一般にフォトダイオードが設けられる部位に対して点線でフォトダイオードの回路記号を付してあるが、これはフォトダイオードが設けられていないことを示すものである。
より具体的には、故障検出カラム201は、転送トランジスタ211、リセットトランジスタ212、FD(Floating Diffusion)213、増幅トランジスタ214、選択トランジスタ215、およびAD変換部216を備えている。
転送トランジスタ211、リセットトランジスタ212、増幅トランジスタ213、および選択トランジスタ215は、いずれも一般的な画素回路に設けられるものであり、上述したシャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRGにより動作される。
また、選択トランジスタ215より出力される黒色画素の画素信号は、AD変換部216に出力される。AD変換部216は、画素信号をアナログデジタル変換し、画素制御線故障検出部202に出力する。
画素制御線故障検出部202は、故障検出カラム201より供給されてくる画素信号が、所定の黒色画素の画素値を示すものであるか否かに基づいて、画素アレイ101における画素制御線LおよびTCV93の断線に係る故障の有無を検出する。
尚、故障検出カラム201の構成として、フォトダイオードが設けられていない構成例を示したが、画素信号を読み出すにあたって、原則として固定された画素値が出力される構成であればよく、例えば、図16における点線で示した部位にフォトダイオードを設け、遮光するようにして、黒色画素の画素回路を構成するようにしてもよい。
尚、図16の制御部121および故障検出部124の機能は、図4における信号処理回路113により実現される。
<画素制御線故障検出処理>
次に、図17のフローチャートを参照して、図16の画素アレイ101の故障検出カラム201および画素制御線故障検出部202による制御線故障検出処理について説明する。
ステップS131において、故障検出カラム201におけるトランジスタ211乃至214は、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRG等の制御信号に基づいて、フォトダイオードのないOPB画素としての黒色画素の画素信号を、AD変換部216に出力する。
ステップS132において、AD変換部216は、アナログ信号からなる画素信号をデジタル信号に変換して画素制御線故障検出部202に出力する。
ステップS133において、画素制御線故障検出部202は、黒色画素からなる画素信号の画素値が所定の画素値であるか否かを判定する。ステップS133において、所定の画素値ではないと判定された場合、処理は、ステップS134に進む。
ステップS134において、画素制御線故障検出部202は、画素アレイ101における画素制御線LまたはTCV93等に断線等に起因する故障が検出されたものとみなし、出力部123に出力する。
すなわち、画素制御線LまたはTCV93が断線することで、トランジスタ211乃至214が、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRG等の制御信号により動作することができなかったため、所定の画素値が出力されなかったものとみなされて、故障が検出されたものとみなされる。
また、ステップS133において、所定の画素値が検出された場合、ステップS134の処理はスキップされる。すなわち、所定の黒色画素が検出されたのは、トランジスタ211乃至214が、シャッタ転送信号Shutter_TRG、シャッタリセット信号Shutter_RST、リード選択信号Read_SEL、リードリセット信号Read_RST、およびリード転送信号Read_TRG等の制御信号により動作することができた結果であるので、故障が検出されていないものとみなされる。
以上の処理により、TCV93に占める面積を小さくしつつ、行駆動部102より出力される制御信号の出力されるタイミングと行アドレスとに基づいた故障検出を実現することが可能となる。また、この際、画素アレイ101における画素制御線LおよびTCV93の断線に起因する故障を検出することが可能となる。
<<2.第2の実施の形態>>
以上においては、行アドレス選択機能故障、パルス出力故障、並びに、画素制御線およびTCVの断線故障を検出する例について説明してきたが、ADC(アナログデジタル変換回路)の故障を検出することでTCVの断線故障をも検出するようにしてもよい。
図18は、ADCおよびTCVの断線故障を検出するようにした、撮像素子72およびフロントカメラECU73の構成例のうち、特に、画素アレイ101、画像信号出力部103、および故障検出部124の構成例について説明する。尚、図18の構成のうち、図4を参照して説明した構成と同一の機能を備えた構成については、同一の名称、および同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとし、特に記載のない構成については、図4における構成と同一のものであるものとする。
すなわち、図18の画素アレイ101、画像信号出力部103、および故障検出部124のうち、図4の構成と異なるのは、画素アレイ101を構成する画素の画素回路の詳細な構成、および、画素信号出力部103の詳細な構成が示され、故障検出部124に新たにADC+TCV故障検出部271が設けられた点である。
画素アレイ101を構成するアレイ状に配置された画素221の画素回路は、フォトダイオード230、転送トランジスタ231、リセットトランジスタ232、FD(Floating Diffusion)233、増幅トランジスタ234、選択トランジスタ235、および垂直転送線VSLより構成されている。
さらに、垂直転送線VSLには、切替トランジスタ251、およびDSFトランジスタ252からなるDSF回路250が設けられている。尚、切替トランジスタ251、およびDSFトランジスタ252からなるDSF回路250は、上チップ92上の画素アレイ101には設けられておらず、下チップ91上に設けられており、垂直転送線VSLに対して、TCV93を介して接続されている。
フォトダイオード230、転送トランジスタ231、リセットトランジスタ232、FD(Floating Diffusion)233、増幅トランジスタ234、および選択トランジスタ235の構成については、一般的な画素回路と同様のものであり、上述した画素アレイ101上にアレイ状に配置されている各画素を構成する画素回路と同様である。
すなわち、フォトダイオード230は、入射光の光量に応じた電荷を蓄積し、画素信号として出力する。転送トランジスタ231は、上述したシャッタ転送信号Shutter_TRG、リード転送Read_TRGにより動作し、フォトダイオード230で蓄積された電荷をFD233に転送する、または、リセットトランジスタ232と協働してフォトダイオード230およびFD233をリセットレベルに設定する。また、リセットトランジスタ232は、上述したシャッタリセット信号Shutter_RST、およびリードリセット信号Read_RSTにより動作して、FD233をリセットレベルに設定する、または、フォトダイオード230をリセットレベルに設定する。
FD233は、フォトダイオード230より供給されてくる画素信号のうちの信号レベル、または、リセットトランジスタ232によりリセットレベルに設定され、増幅トランジスタ234のゲートに接続されている。
増幅トランジスタ234は、FD233の蓄積電荷の電圧に応じて電源電圧を増幅することで画素信号として出力する。選択トランジスタ235は、リード選択信号Read_SELにより動作し、行アドレスとして選択されたとき、増幅トランジスタ234より出力される画素信号を垂直転送線VSLに転送させる。
さらに、この例においては、垂直転送線VSLに切替トランジスタ251、およびDSFトランジスタ252からなるDSF回路250が設けられている。DSF回路250は、画素信号、または、ダミー画素信号を出力する。より詳細には、DSF(ダミーソースフォロワ回路)トランジスタ252は、画素信号の代わりに固定信号からなるダミー画素信号を垂直転送線VSLに供給するためのトランジスタである。切替トランジスタ251は、垂直転送線VSLに対して、選択トランジスタ235からの画素信号を出力するか、または、DSFトランジスタ252からダミー画素信号を出力するかを切り替えるものである。
尚、DSFトランジスタ252がオンにされて出力されるダミー画素信号は、所定の画素値からなる画素信号であるが、DSFトランジスタ252を複数に設けて、複数の所定の画素値からなる画素信号を切り替えて出力するようにしてもよい。以降においては、図示はしないが、複数種類の画素値からなる画素信号のそれぞれに対して、複数のDSFトランジスタ252を設け、これらを選択的に切り替えて出力することができるものとして説明する。
画像信号出力部103は、負荷MOS241、ADC242、および水平転送部243を備えている。
負荷MOS241は、画素アレイ101の垂直転送線VSLを介して供給されてくる画素信号を電流値から電圧値に変換してADC242に供給する。
ADC242は、負荷MOS241から供給されるアナログ信号からなる画素信号をデジタル信号に変換して水平転送部243に出力する。
より詳細には、ADC242は、コンパレータ261、カウンタ262、およびDAC(デジタルアナログ変換部)263より構成される。
コンパレータ261は、DAC263より供給されるものであって、カウンタ262からのクロックに同期して、所定のステップ間隔で変化するランプ電圧(Ramp)と、負荷MOS241より入力されてくるアナログ信号からなる画素信号との比較を行い、比較結果をカウンタ262に供給する。
カウンタ262は、カウントを繰り返し、コンパレータ261における比較結果が反転したタイミングにおけるカウント値をデジタル信号として水平転送部243に出力すると共に、クロック信号をDAC242に供給する。
DAC263は、カウンタ262からのクロック信号に同期して、ランプ電圧(Ramp)を所定のステップで変化させて発生し、コンパレータ261に供給する。尚、DAC263は、図4のフロアプランにおけるDAC112に対応するものである。
水平転送部243は、ADC242より供給されてくるデジタル信号に変換された画素信号を画像処理部122に供給すると共に、故障検出部124におけるADC+TVC故障検出部271に供給する。
ADC+TVC故障検出部271は、DSF回路250を制御して、例えば、ブランキング期間などにダミー画素信号を出力させ、ADC242によりデジタル信号に変換された画素信号と、ダミー画素信号として予め設定された所定の画素信号とを比較して、一致するか否かに基づいて、ADC242の故障や、画素制御線L、およびTCV93等の断線の有無に起因する故障を検出する。
より詳細には、図19で示されるように、例えば、下チップ91が下チップ91−1,91−2からなる2領域に分割されており、それぞれにADC242−1,242−2がカラム状に配置されている。また、図18の画素アレイ101が設けられた上チップ92に対して、TCV93−11,93−12を介して、それぞれ下チップ91−1,91−2が電気的に接続されている。ここで、図19のADC242−1,242−2は、図4のカラムADC111−1,111−2に対応する。
また、画素221の出力は、行制御線282−1,282−2,・・・によって制御される。行駆動部272は、所定の一行の画素221の画素信号が出力されるように制御する。画素221が出力する画素信号は、列信号線281−1,281−2,・・・を伝わり、カラムADC242−1,242−2に出力される。
そして、DSF回路250−1(250−1−1,250−1−2,・・・)は、下チップ91−1に設けられており、TCV93−11,93−12、および画素アレイ101を介して、他の下チップ91−2のADC242−2(242−2−1,242−2−2,・・・)に対して、ダミー画素信号を供給する。同様に、DSF回路250−2(250−2−1,250−2−2,・・・)は、下チップ91−2に設けられており、TCV93−11,93−12、および画素アレイ101を介して、他の下チップ91−1のADC242−1(242−1−1,242−1−2,・・・)に対して、ダミー画素信号を供給する。尚、下チップ91の分割数は、2以上であってもよく、この場合、対応する分割数分だけ、分割領域のそれぞれにADC242、およびDSF回路250が設けられる。
ADC242−1(242−1−1,242−1−2,・・・)は、それぞれ画素アレイ101から出力される画素信号と、DAC263−1から供給されるランプ電圧との大小関係をコンパレータ261−1(261−1−1,261−1−2,・・・)で比較し、2値の結果としてカウンタ262−1(262−1−1,262−1−2,・・・)に与える。
ADC242−2(242−2−1,242−2−2,・・・)は、それぞれ画素アレイ101から出力される画素信号と、DAC263−2から供給されるランプ電圧との大小関係をコンパレータ261−2(261−2−1,261−2−2,・・・)で比較し、2値の結果としてカウンタ262−2(262−2−1,262−2−2,・・・)に与える。
コンパレータ261−1,261−2は、タイミング制御回路273から供給されるPSET信号をトリガとするオートゼロ(Auto zero)回路を有しており、画素221より供給される画素信号とランプ電圧とのレベルの差であるオフセットをゼロにする。
カウンタ262−1,262−2は、タイミング制御回路273から供給されるカウンタ制御信号に基づきカウント動作する。カウンタクロックはコンパレータ261−1,261−2の出力によってマスクされるようになっていて、画素信号のレベルに応じたデジタル信号が得られるようになっている。
バスバッファ274−1(274−1−1,274−1−2,・・・)は出力を制御するためのものであり、ラッチ回路を含み、それぞれ列走査回路275−1の選択信号によって、値を水平出力線276−1に出力する。
バスバッファ274−2(274−2−1,274−2−2,・・・)は出力を制御するためのものであり、ラッチ回路を含み、それぞれ列走査回路275−2の選択信号によって、値を水平出力線276−2に出力する。
タイミング制御回路273はマスタークロックMCKを動作タイミングの基準として、撮像素子72の全体的な動作シーケンスを制御する。
ADC+TVC故障検出部271は、DSF回路250−1,250−2を制御して、画素アレイ101およびTCV93−11,93−12を介してダミーの画素信号を出力させ、ADC242−1,242−2により画素信号をデジタル信号に変換させて、所定の画素値からなる画素信号であるか否かに基づいて、ADC242−1,242−2の異常やTCV93−11,93−12の断線に起因する故障を検出することができる。
より詳細には、ADC+TVC故障検出部271は、下チップ91−1のDSF回路250−1を制御して、画素アレイ101およびTCV93−11,93−12を介して、ダミーの画素信号を下チップ91−2のADC242−2に出力させて画素信号をデジタル信号に変換させて、所定の画素値からなる画素信号であるか否かに基づいて、ADC242−2の異常、および、TCV93−11,93−12の断線に起因する故障を検出する。
同様に、ADC+TVC故障検出部271は、下チップ91−2のDSF回路250−2を制御して、画素アレイ101およびTCV93−11,93−12を介して、ダミーの画素信号を下チップ91−1のADC242−1に出力させて画素信号をデジタル信号に変換させて、所定の画素値からなる画素信号であるか否かに基づいて、ADC242−1の異常、および、TCV93−11,93−12の断線に起因する故障を検出する。
さらに、ADC242やTCV93に異常がないことを前提として、さらに、実装上の動作試験を実行して、動作異常として故障を検出するようにしてもよい。
<第1の動作試験>
図20で示されるように、例えば、ADC+TVC故障検出部271が、DSF回路250を制御して、リセットレベルの電位V1からなるダミー画素信号を発生してADC242によりリセットレベルの画素信号を求めさせ、次に、DSF回路250の電位を所定の信号レベルの電位V2からなるダミー画素信号を発生して信号レベルの画素信号を求めるという一連の動作を実現し、信号レベルとリセットレベルとの差分となる画素信号が、所定の画素信号として出力されるか否かを確認することで動作故障を検出するようにしてもよい。
このようにすることで、相関二重サンプリングによる画素信号の読み出しに異常が発生していないか否かに基づいた故障検出が可能となる。
尚、図20においては、実線が、DSF回路250を制御して出力するダミー画素信号の画素値を示したものであり、点線がランプ電圧の変化を示している。時刻t0乃至t2においては、ダミー画素信号としてリセットレベルとなる電位V1が出力され、この間にランプ電位が低下しており、時刻t0乃至t1における丸印で示されるタイミングで、コンパレータ261の比較結果が反転することにより、このタイミングで、リセットレベルの電位V1に相当するランプ電圧におけるカウンタの値によりリセットレベルのデジタル信号からなる画素信号が求められる。
また、時刻t3において、DSF回路250が制御されて、電位V2に相当するダミー画素信号が信号レベルの画素信号として出力される。ランプ電圧は時刻t4でリセットされて、再び時刻t4乃至t5において低下しており、時刻t4乃至t5における丸印のタイミングでコンパレータ261の比較結果が反転することにより、このタイミングで、信号レベルのデジタル信号からなる画素信号として出力される。
このようにして求められたリセットレベルと信号レベルとの差分が画素値として求められて、予め設定された所定の画素値であれば、ADC242およびTCV93の断線に起因する故障がなく、さらに、CDSによる画素信号の読み出し処理を実行する動作故障も発生していないことを確認することができる。
尚、図20の実線で示される、DSF回路250を制御して出力するダミー画素信号の画素値は、図4のフロアプランにおける画素アレイ101より出力されるものである。また、図20の点線で示される、ランプ電圧が、図4のフロアプランにおけるDAC111により出力されるものである。すなわち、DAC263は、DAC111に対応する。
<第2の動作試験>
アナログデジタル変換におけるゲインを変化させてAD変換結果を求めて、ゲインエラーに起因する動作故障を検出するようにしてもよい。
図21で示されるように、ランプ電圧のステップ幅を変化させてカウンタの値に対してアナログゲインを掛けて、AD変換結果を確認する。
すなわち、図21で示されるように、ランプ電圧の変化率であるステップ幅を変化させて、それぞれのAD変換結果を確認し、所定のデジタル信号に変換されているのかを確認する。例えば、時刻t3において、DSF回路250の動作を制御して、電位V2に相当するダミー画素信号を出力させる。
このとき、図21における点線で示される、例えば、0dBのランプ電圧の変移により、時刻t11において求められるデジタル信号に変換された画素信号と、一点鎖線で示される、例えば、30dBのランプ電圧の変移により、時刻t12において求められるデジタル信号に変換された画素信号とが、それぞれ予め設定された画素信号と一致するか否かにより、ゲインエラーに起因する動作故障を検出するようにしてもよい。
尚、図21の実線で示される、DSF回路250を制御して出力するダミー画素信号の画素値は、図4のフロアプランにおける画素アレイ101より出力されるものである。また、図21の点線で示される、ランプ電圧が、図4のフロアプランにおけるDAC111により出力されるものである。すなわち、DAC263は、DAC111に対応する。
<第3の動作試験>
太陽黒点補正処理の動作が実現されているか否かを確認することで動作故障を検出するようにしてもよい。
太陽黒点が生じるような場合、リセットレベルの画素信号を求めることができない状態となる。このとき、信号レベルは、カウンタの値を最大値までカウントすることで、画素信号を補正する。
そこで、図22で示されるように、リセットレベルを確定させる時刻t1乃至t2の前のタイミングである時刻t21において、DSF回路250の動作を制御して、リセットレベルを設定できない電位V11からなるダミー画素信号を出力させる。この後、時刻t4以降において、信号レベルの画素信号を検出する際、時刻t22において、コンパレータが反転しても、それ以降で示されるように、時刻t23において、カウンタの値が最大値までカウントさせる動作を実行するか否かに基づいて、太陽黒点補正処理が実現されるか否かを判定し、動作故障を検出する。
尚、図22の実線で示される、DSF回路250を制御して出力するダミー画素信号の画素値は、図4のフロアプランにおける画素アレイ101より出力されるものである。また、図22の点線で示される、ランプ電圧が、図4のフロアプランにおけるDAC111により出力されるものである。すなわち、DAC263は、DAC111に対応する。
<第4の動作試験>
暗電流クランプを掛けたときのクランプ動作が実現されているか否かを確認することで動作故障を検出するようにしてもよい。
すなわち、暗電流によるノイズが発生する場合、ランプ電圧に対する値を、暗電流によるノイズからなる画素信号分だけクランプすることで、画素信号を補正する。
そこで、図23で示されるように、時刻t2のリセットレベルを検出した後、ダミー画素信号をクランプ最大値Cmaxの画素信号が検出可能な程度の画素信号V21に設定し、所定のデジタル信号が求められてクランプ動作が実現されるか否かにより、動作故障を検出するようにしてもよい。
尚、図23の実線で示される、DSF回路250を制御して出力するダミー画素信号の画素値は、図4のフロアプランにおける画素アレイ101より出力されるものである。また、図23の点線で示される、ランプ電圧が、図4のフロアプランにおけるDAC111により出力されるものである。すなわち、DAC263は、DAC111に対応する。
<ADC+TCV故障検出処理>
次に、図24のフローチャートを参照して、ADC+TCV故障検出部271によるADC+TCV故障検出処理について説明する。
ステップS151において、ADC+TCV故障検出部271は、画像処理におけるブランキング期間に入ったか否かを判定し、ブランキング期間に入るまで同様の処理を繰り返す。そして、ステップS151において、ブランキング期間に入った場合、処理は、ステップS152に進む。
ステップS152において、ADC+TCV故障検出部271は、所定の列アドレスのDSF回路250−1を動作させて、上述した第1の動作試験乃至第4の動作試験のいずれかに対応するように時系列に変化させながらダミー画素信号を出力させる。
ステップS153において、ADC242−2は、ダミー画素信号として出力される画素信号を、デジタル信号に変換して、順次、ADC+TCV故障検出部271に供給する。
ステップS154において、ADC+TCV故障検出部271は、ADC242−2より供給されてくるダミー画素信号として出力される画素信号であって、デジタル信号に変換された画素信号の時系列の変移に基づいて、上述した第1の動作試験乃至第4の動作試験のいずれかの動作試験に対して所定の動作結果が得られたか否かを判定する。ステップS154において、第1の動作試験乃至第4の動作試験のいずれかに動作試験に対して所定の動作結果が得られない場合、処理は、ステップS155に進む。
ステップS155において、ADC+TCV故障検出部271は、ADC242−2の動作異常、TCV93−11,93−12の断線故障、または、第1の動作試験乃至第4の動作試験により確認される動作に関する動作故障が発生していることを検出し、出力部123に供給する。
一方、ステップS154において、第1の動作試験乃至第4の動作試験のいずれかの動作試験に対して所定の動作結果が得られた場合、ADC242−2、TCV93−11,93−12の断線故障、および、第1の動作試験乃至第4の動作試験いずれかの動作試験により確認される動作に関する動作故障のいずれもが発生していないものとみなされるので、ステップS155の処理がスキップされる。
以上の処理により、ADC242の動作異常、TCV93の断線の有無、および第1の動作試験乃至第4の動作試験により確認される動作故障の有無を検出することが可能となる。
尚、以上においては、ブランキング期間において、上述した第1の動作試験乃至第4の動作試験のいずれかが実行される例について説明してきたが、例えば、ブランキング期間に入る度に、第1の動作試験乃至第4の動作試験を順次切り替えて実行するようにしてもよいし、1回のブランキング期間で、これらのうちの2以上の動作試験を実行するようにしてもよい。
また、以上においては、DSF回路250−1を制御して、ダミー画素信号を発生させ、ADC242−2で画素信号をAD変換させる例について説明してきたが、当然のことながら、DSF回路250−2を制御して、ダミー画素信号を発生させ、ADC242−1により画素信号をAD変換させるようにしてもよい。
<第2の実施の形態の第1の変形例>
以上においては、各列の垂直転送線VSLにおいて、DSF回路250により制御できるダミー画素信号の設定電位がいずれも同一に設定される例について説明してきたが、異なる画素電位が設定できるようにしてもよい。例えば、図25で示されるように、隣接する列の点線で示されるVSLおよび実線で示されるVSLは、それぞれダミー画素信号が交互に第1の電位、および第1の電位よりも高い電位の第2の電位となるように設定するようにしてもよい。このような構成により、隣接する垂直転送線VSL間で短絡が発生すると、ADC242によりデジタル変換された画素信号の画素値は変化することになるので、垂直転送線VSL間の短絡検出も可能となる。
尚、以上においては、撮像素子72の構成として、画素アレイ101、行駆動部102、および画像信号出力部103を設け、フロントカメラECU73の構成として、制御部121、画像処理部122、出力部123、故障検出部124、および制御線ゲート143を設ける例について説明してきた。しかしながら、撮像素子72の構成として、画素アレイ101、行駆動部102、および画像信号出力部103に加えて、制御部121(このうちの故障検出に関する機能のみでもよい)、故障検出部124、および制御線ゲート143を設けるようにしてもよい。このようにフロントカメラECU73の一部の機能を備えた撮像素子72を構成することで、撮像素子72単独で故障検出を実現することが可能となる。また、従来の撮像素子を、本開示の撮像素子72により置き換えて使用することも可能となり、これまでは撮像素子自らで故障検出することができなかったような機器においても、故障検出することが可能となる。
<<3.第3の実施の形態>>
第1の実施の形態においては、運転支援処理において、故障が検出されると運転支援を終了させる例について説明してきたが、故障が検出されても、故障個所を補正するなどにより、運転支援を継続できるようにしてもよい。
すなわち、ADC242は、カラム単位で構成されているため、カラム単位で故障が発生した場合、故障が発生した行単位または列単位で、画素信号にノイズが含まれることになるので、縦筋ノイズや横筋ノイズとなることがある。
そこで、このような場合、故障が検出された行、または、列の画素信号を、故障が発生していない行や列の画素信号により補正するようにして、故障が発生しても補正により対応することで、運転支援処理を継続できるようにしてもよい。
図26は、カラム単位でAD変換するADC242に異常が発生し、縦筋ノイズ、または、横筋ノイズが発生した場合、補正して出力できるようにした撮像素子72の構成例を示している。尚、図26の撮像素子72の構成については、制御に係る行駆動部102等の構成は省略して表記されている。
すなわち、図26の撮像素子72は、画素アレイ101、画像信号出力部103、および補正部301より構成されている。図26においては、1列分の構成が図示されているが、実際には、全列分のADC242が設けられており、それぞれのADC242から各列の画素信号がデジタル信号に変換されて補正部301に出力される。尚、図26の画像信号出力部103については、図18を参照して説明したADC242の構成を簡略化して表記したものであり、1列分の構成のみが示されている。
補正部301は、横筋ノイズ、および、縦筋ノイズの有無を検出することで、故障の発生の有無を検出し、故障が発生している場合、エラーピン(Errorピン)からエラーが発生していることを示す信号をMCU74に出力する。
また、補正部301は、横筋ノイズ、または、縦筋ノイズが発生していることを検出した場合、正常な行の画素信号、および、正常な列の画素信号を用いて、横筋ノイズ、および、縦筋ノイズを発生させる行の画素信号、および、列の画素信号を補正して出力する。尚、補正部301の構成例については、図27を参照して詳細を説明する。
<補正部の構成例>
次に、図27を参照して、補正部301の構成例について説明する。
補正部301は、バッファ330、横筋補正処理部331、縦筋補正処理部332、選択部333、およびセレクタ334を備えている。
バッファ330は、画像信号出力部103より供給されてくる画素信号を記憶して、1枚の画像として格納する。
横筋補正処理部331は、バッファ330に格納されている画素信号を、1行ずつ処理対象行に設定し、処理対象行の画素と、その前後の行の3行の画素信号を読み出して、各行の平均値を求める。そして、横筋補正処理部331は、処理対象行の画素信号の平均値と、他の行の画素信号の平均値との差分を求め、差分が所定値より大きいか否かを判定することで横筋ノイズが発生しているか否かを判定する。横筋補正処理部331は、判定結果を選択部333に出力すると共に、横筋ノイズが発生している場合、処理対象行の各画素値を、前後の行の画素値の平均値に置き換えることで補正する。
縦筋補正処理部332は、横筋補正処理部331のバッファ354に格納されている画素信号を、1列ずつ処理対象列に設定し、処理対象列の画素と、その前後の列の3列の画素信号を読み出して、各列の平均値を求める。そして、縦筋補正処理部332は、処理対象列の画素信号の平均値と、他の列の画素信号の平均値との差分を求め、差分が所定値より大きいか否かを判定することで縦筋ノイズが発生しているか否かを判定する。縦筋補正処理部332は、判定結果を選択部333に出力すると共に、縦筋ノイズが発生している場合、処理対象列の各画素値を、前後の列の画素値の平均値に置き換えることで補正する。
選択部333は、横筋ノイズまたは縦筋ノイズが発生しているか否かの判定結果に基づいて、セレクタ334が選択して出力すべき画素信号を選択する選択信号をセレクタ334に供給すると共に、横筋ノイズまたは縦筋ノイズが発生しているときには、エラーピンよりエラー信号をMCU74に出力する。
より具体的には、補正が不要な場合、すなわち、バッファ330の画素信号をそのまま出力する場合には0を、補正が必要な場合には1を、それぞれセレクタ334に出力する。
セレクタ334は、選択部333より供給される選択信号に基づいて、バッファ330の画素信号をそのまま出力する、または補正した画素値を縦筋補正処理部332のバッファ374より出力する。
より詳細には、横筋補正処理部331は、各行平均値算出部351、横筋閾値判定部352、横筋補正部353、およびバッファ354を備えている。
各行平均値算出部351は、バッファ330に格納された画像より未処理の行を処理対象行に設定し、処理対象行について、前後の行を合わせて3行分の画素信号を読み出し、行毎に平均値を算出して横筋閾値判定部352に出力する。
横筋閾値判定部352は、処理対象行の画素値の平均値と、前後の行の画素値の平均値との差分を求め、所定の閾値と比較して、所定の閾値よりも大きく、処理対象行の値が、他の行と著しく異なるとみなされるか否かにより横筋ノイズの発生の有無を判定する。横筋閾値判定部352は、横筋ノイズが発生していると判定した場合、横筋ノイズが発生しており、故障が検出されたことを選択部333に出力すると共に、横筋補正部353を制御して、補正値を求めるように指示する。
横筋補正部353は、処理対象行の画素値を補正するように指示されると、処理対象行の各画素の画素値を、その前後の行の同一位置の画素値の平均値に置換して補正し、バッファ354に出力し格納させる。
より具体的には、例えば、図28の右部で示されるように、横筋ノイズの発生が検出され、処理対象行L2が異常な画素値からなる異常出力行であり、前後の行L1,L3が正常な画素値からなる正常出力行である場合、横筋補正部353は、処理対象行L2の画素値を、行L1,L3の各画素の平均値に置き換える。
また、縦筋補正処理部332は、各行平均値算出部371、縦筋閾値判定部372、縦筋補正部373、およびバッファ374を備えている。
各行平均値算出部371は、横筋補正処理部331のバッファ354に格納された画像より未処理の列を処理対象列に設定し、処理対象列について、前後の列を合わせて3列分の画素信号を読み出し、列毎に平均値を算出して縦筋閾値判定部372に出力する。
縦筋閾値判定部372は、処理対象列の画素値の平均値と、前後の列の画素値の平均値との差分を求め、所定の閾値と比較して、所定の閾値よりも大きく、処理対象列の値が、他の列と著しく異なるとみなされるか否かにより縦筋ノイズの発生の有無を判定する。縦筋閾値判定部372は、縦筋ノイズが発生していると判定した場合、縦筋ノイズが発生しており、故障が検出されたことを選択部333に出力すると共に、縦筋補正部373を制御して、補正値を求めるように指示する。
縦筋補正部373は、処理対象列の画素値を補正するように指示されると、処理対象列の画素値を、その前後の列の画素値の平均値に置換して補正し、バッファ374に出力し格納させる。
より具体的には、例えば、図28の左部で示されるように、縦筋ノイズの発生が検出され、処理対象列R2が異常な画素値からなる異常出力列であり、前後の列R1,R3が正常な画素値からなる正常出力列である場合、縦筋補正部373は、処理対象列R2の画素値を、列R1,R3の各画素の平均値に置き換える。
<図27の補正部による補正処理>
次に、図29,図30のフローチャートを参照して、図27の補正部301による補正処理について説明する。
ステップS151において、バッファ330は、画像信号出力部103より供給されてくる画素信号を記憶して、1枚の画像として格納する。
ステップS152において、補正部301は、行および列をカウントするカウンタn,mを1に初期化する。
ステップS153において、横筋補正処理部331の各行平均値算出部351は、バッファ330に格納された画像より処理対象行となるn行目の画素信号と、処理対象行の前後の行の画素信号とを合わせて3行分の画素信号を読み出し、行毎に平均値を算出して横筋閾値判定部352に出力する。
ステップS154において、横筋閾値判定部352は、処理対象行であるn行目の画素値の平均値と、前後の行の画素値の平均値との差分を求め、所定の閾値と比較して、所定の閾値よりも大きく、処理対象行の画素値が、他の行の画素値と著しく異なるか否かにより、横筋ノイズの発生の有無を判定する。
ステップS154において、処理対象行であるn行目の画素値の平均値と、前後の行の画素値の平均値との差分が所定の閾値よりも大きく、横筋ノイズの発生が検出された場合、処理は、ステップS155に進む。
ステップS155において、横筋閾値判定部352は、横筋ノイズが発生しており、故障が検出されたことを選択部333に出力すると共に、横筋補正部353に対して、補正値を求めるように指示する。ここで、選択部333は、処理対象行であるn行目の画素信号については、補正がなされていることを記憶する。
ステップS156において、横筋補正部353は、処理対象行であるn行目の画素値を、その前後の行の画素値の平均値に置換して補正し、バッファ354に格納し、処理は、ステップS158に進む。
一方、ステップS154において、横筋ノイズが発生していないとみなされた場合、処理は、ステップS157に進む。
ステップS157において、カウンタnが最大値Nであるか否かを判定し、最大値Nではない場合、処理は、ステップS158に進む。
ステップS158において、補正部301は、カウンタnを1インクリメントし、処理は、ステップS153に戻る。
すなわち、ステップS153乃至S158の処理が繰り返されて、横筋ノイズが発生しているか否かが判定され、横筋ノイズが発生しているとき、前後の行で補正された画素値がバッファリングされる処理が全行についてなされるまで、同様の処理が繰り返される。
そして、全ての行について処理がなされて、ステップS157において、カウンタnが最大値Nであるとみなされた場合、処理は、ステップS159に進む。
ステップS159において、縦筋補正処理部332の各列平均値算出部371は、横筋補正処理部331のバッファ354に格納された画像より未処理の列であるm列目を処理対象列として、処理対象列について、左右の列を合わせて3列分の画素信号を読み出し、列毎に平均値を算出して縦筋閾値判定部372に出力する。
ステップS160において、縦筋閾値判定部372は、処理対象列の画素値の平均値と、左右の列の画素値の平均値との差分を求め、所定の閾値と比較して、所定の閾値よりも大きく、処理対象列の値が、他の列と著しく異なるとみなされるか否かにより縦筋ノイズの発生の有無を判定する。
ステップS160において、処理対象列の画素値の平均値と、左右の列の画素値の平均値との差分が、所定の閾値よりも大きく、縦筋ノイズが発生している場合、処理は、ステップS161に進む。
ステップS161において、縦筋閾値判定部372は、縦筋ノイズが発生しており、故障が検出されたことを選択部333に出力すると共に、縦筋補正部373に対して、補正値を求めるように指示する。ここで、選択部333は、処理対象列であるm列目の画素信号については、補正がなされていることを記憶する。
ステップS162において、縦筋補正部373は、処理対象列であるm列目の画素値を、その左右の列の画素値の平均値に置換して補正し、バッファ374に格納し、処理は、ステップS163に進む。
一方、ステップS161において、縦筋ノイズが発生していないとみなされた場合、処理は、ステップS163に進む。
ステップS163において、カウンタmが最大値Mであるか否かを判定し、最大値Mではない場合、処理は、ステップS164に進む。
ステップS164において、補正部301は、カウンタmを1インクリメントし、処理は、ステップS159に戻る。
すなわち、ステップS159乃至S164の処理が繰り返されて、縦筋ノイズが発生しているか否かが判定され、縦筋ノイズが発生しているとき、左右の列で補正され、補正された画素値がバッファリングされ、それ以外のとき、そのままの画素値がバッファリングされる処理が全列についてなされるまで、同様の処理が繰り返される。
そして、全ての列について処理がなされて、ステップS163において、カウンタmが最大値Mであるとみなされた場合、処理は、ステップS165に進む。
すなわち、ステップS153乃至S158の処理により横筋補正処理がなされた後、ステップS159乃至S164の処理により縦筋補正処理がなされる。この処理により、横筋補正処理がなされた状態の画像に対して、縦筋補正処理がなされることになるので、縦筋補正処理部332におけるバッファ374には、縦筋補正処理と横筋補正処理とが掛けられた状態の画像の各画素が格納されることになる。
ステップS165(図30)において、選択部333は、読み出すべき画像を構成する画素のうち未処理の画素を処理対象の画素(m,n)に設定する。
ステップS166において、選択部333は、補正情報に基づいて、処理対象となる画素(m,n)が属するn行またはm列にエラーが発生しているか否かを判定する。ステップS166において、処理対象の画素(m,n)にエラーが発生しているとみなした場合、処理は、ステップS167に進む。
ステップS167において、選択部333は、セレクタ334に対して縦筋補正処理部332のバッファ374に格納されている補正された処理対象の画素の画素値を読み出す選択信号である1の信号を出力する。セレクタ334は、選択信号に基づいて、縦筋補正処理部332のバッファ374に格納されている補正された処理対象の画素の画素値を読み出して出力する。
一方、ステップS166において、処理対象の画素にエラーが発生していないとみなした場合、処理は、ステップS168に進む。
ステップS168において、選択部333は、セレクタ334に対して補正がなされていないバッファ330に格納されている処理対象の画素のオリジナルの画素値を読み出す選択信号である0の信号を出力する。セレクタ334は、選択信号に基づいて、バッファ330に格納されている補正されていないオリジナルの処理対象の画素の画素値を読み出して出力する。
ステップS169において、選択部333は、未処理の画素があるか否かを判定し、未処理の画素がある場合、処理は、ステップS166に戻る。すなわち、全ての画素について、エラーの有無により、補正画素値か、または、補正されていないオリジナルの画素値のいずれかが選択的に読み出されるまで、ステップS165乃至S169の処理が繰り返される。
そして、ステップS169において、未処理の画素がないとみなされた場合、処理は、終了する。
以上の処理により、カラム単位でのADC242において故障が発生した場合でも、列単位、または、行単位で補正することが可能となるので、運転支援処理を継続することが可能となる。
尚、カラムADC242に故障が発生している際にも、Errorピンよりエラー信号が出力されているので、MCU74は、どのカラムADC242において、故障が発生していることを認識することができるので、故障の発生を通知することが可能となる。ただし、カラムADC242に故障が発生し、縦筋のエラーや横筋のエラーが発生していても、画像信号を補正することができるので、運転支援処理を継続することが可能となる。すなわち、縦筋のエラーや横筋のエラーが発生しても、図3のフローチャートにおけるステップS13においては、故障が検出されたものとして処理することなく、ステップS14乃至S17の処理により運転支援処理を継続することが可能となる。
また、以上においては、補正部301が、撮像素子72に設けられる例について説明してきたが、フロントカメラECU73内に補正部301を設けるようにして、同様の処理を実現するようにしてもよい。
さらに、図27の補正部301においては、横筋補正処理部331による横筋補正処理の後、縦筋補正処理部332による縦筋補正処理がなされる構成例が示されているが、処理順序を入れ替えて、縦筋補正処理部332による縦筋補正処理がなされた後、横筋補正処理部331による横筋補正処理がなされる構成であってもよい。
また、横筋補正処理部331による横筋補正処理と、縦筋補正処理部332による縦筋補正処理とを並列処理できるようにして、セレクタ334において、オリジナルの画素値、横筋補正処理された画素値、および縦筋補正処理された画素値の3種類の画素値を、発生しているエラーの種別に応じて、選択的に出力するようにしてもよい。この3種類の画素値を選択する場合、縦筋補正処理と横筋補正処理との両方がなされた画素については、例えば、横筋補正処理された画素値を選択的に出力するようにしてもよい。
<<4.第4の実施の形態>>
以上においては、撮像素子72およびフロントカメラECU73の構成が、第1のチップとなる上チップ92と、その下に積層された第2のチップである下チップ91とがTCV93−1,93−2,93−11,93−12により電気的に接続された構造である例について説明してきた。しかしながら、上チップ92と下チップ91とは、相互に対向する位置にCu配線を設けて、Cu配線とCu配線とを直接接合(Cu−Cu接合)することにより電気的に接続された構造とするようにしてもよい。
図31は、画素アレイ434が形成された第1の半導体チップ部426と、ロジック回路455が形成された第2の半導体チップ部428とが貼り合わされた積層半導体チップ432を有して構成された撮像素子431の構成例を示している。尚、図31における撮像素子431が、上述した撮像素子72およびフロントカメラECU73に対応する構成であり、第1の半導体チップ部426が、上チップ92に対応する構成であり、第2の半導体チップ部428が、下チップ91に対応する構成である。
第1の半導体チップ部426は、薄膜化されたシリコンによる第1の半導体基板433に半導体ウェル領域430を形成し、この半導体ウェル領域430に、光電変換部となるフォトダイオードPDと、複数の画素トランジスタTr1、Tr2からなる複数の画素を列状に2次元配列した画素アレイ434が形成される。フォトダイオードPDは、画素アレイ434を構成する有効画素アレイ442およびオプティカルブラック領域441に形成する。また、半導体基板433に画素アレイ434を制御する制御回路(不図示)を構成する複数のMOSトランジスタが形成される。半導体基板433の表面433a側には、層間絶縁膜453を介して複数、この例では5層のメタルM1乃至M5による配線435[435a乃至435d]および436を配置した多層配線層437が形成される。配線435および436は、デュアルダマシン法で形成された銅(Cu)配線が用いられる。半導体基板433の裏面側には、絶縁膜438を介してオプティカルブラック領域441上を含んで遮光膜439が形成され、さらに平坦化膜443を介して有効画素アレイ442上にカラーフィルタ444およびレンズアレイ445が形成される。オプティカルブラック領域441上にもレンズアレイ445を形成することもできる。
第1の半導体チップ部426の多層配線層437では、対応する画素トランジスタと配線435間、隣り合う上下層の配線435間が、導電ビア452を介して接続される。さらに、第2の半導体チップ部428との接合面440に臨んで、5層目のメタルM5による接続配線436が形成される。接続配線436は、導電ビア452を介して4層目のメタルM4による所要の配線435d1に接続される。
第2の半導体チップ部428は、シリコンによる第2の半導体基板454に、半導体ウェル領域450を形成し、この半導体ウェル領域450に、周辺回路となるロジック回路455が形成される。ロジック回路455は、CMOSトランジスタを含む複数のMOSトランジスタTr11乃至Tr14で形成される。図31に示される、第2の半導体基板454の表面側上には、層間絶縁膜456を介して複数層、本例では4層のメタルM11乃至M14による配線457[457a乃至457c]および458を配置した多層配線層459が形成される。配線457および458は、デュアルダマシン法による銅(Cu)配線が用いられる。
第2の半導体チップ部428の多層配線層459では、MOSトランジスタTr11乃至Tr14と配線457間、隣り合う上下層の配線457間が、導電ビア464を介して接続される。さらに、第1の半導体チップ部426との接合面440に臨んで、4層目のメタルM14による接続配線458が形成される。接続配線458は、導電ビア464を介して3層目のメタルM13による所要の配線457cに接続される。
第1の半導体チップ部426と第2の半導体チップ部428とは、互いの多層配線層437および459が向かい合うようにして、接合面440に臨む接続配線436および458を直接接合して、電気的に接続される。Cu配線による接続配線436および458の直接接合は、熱拡散接合で行う。また、それ以外の方法として、互いの多層配線層437および459の表面に、絶縁性薄膜(不図示)を成膜して、プラズマ接合等で接合する方法でも可能である。このCu配線による接続配線436および458の直接接合が、Cu−Cu接合である。
<<5.第5の実施の形態>>
<5−1.3枚のチップが積層される第1の構成例>
以上においては、撮像素子72およびフロントカメラECU73が、下チップ91、および上チップ92からなる2枚のチップを積層することにより構成される例について説明してきたが、それ以上の数のチップが積層されることにより構成されるようにしてもよく、例えば、3枚のチップが積層されることで、実現されるようにしてもよい。
図32は、3枚のチップが積層されることにより実現される、撮像素子72およびフロントカメラECU73の構成例が示されている。
図32においては、撮像素子72およびフロントカメラECU73が、第1層チップ501、第2層チップ502、および第3層チップ503が上から順に積層されて構成されるときのフロアプランが示されており、上から順に第1層チップ501、第2層チップ502、および第3層チップ503のそれぞれのフロアプランが示されている。
第1層チップ501には中央に画素アレイ(Pixel array)511が配置され、画素アレイ511の第1の側に(本実施例では画素アレイ511の右側に)沿って、行制御信号用TSV(Through Silicon Via:貫通電極)(TSV for row driver)512−12が配置されている。
また、第2層チップ502の行駆動部(行デコーダ)522は、画素を駆動するための行制御信号を、上記行制御信号用TSV512−12を介して、第1層チップ501の各画素行におけるそれぞれの画素に対して送信する。また、各画素行におけるそれぞれの画素には行制御信号線が接続されており、行制御信号線は行制御信号用TSV512−12を介して第2層チップ502の行駆動部522に接続されている。
各画素から光電変換された画素信号を、第3層チップ503に配置された複数のAD(Analog to Digital)変換器540−1,540−2におけるそれぞれの比較器541−1,541−2に接続するための、画素信号用TSV512−1,512−2が画素アレイ511の第2,4の側に(本実施例では画素アレイ511の図中の上側および下側に)沿って配置されている。
また、AD変換器540−1,540−2は、それぞれ比較器(Comparator)541−1,541−2およびカウンタ(Counter)542−1,542−2を備えており、画素アレイ511より供給される画素信号をデジタル信号に変換する。
尚、比較器(Comparator)541−1,541−2およびカウンタ(Counter)542−1,542−2を備えたAD変換器540−1,540−2は、第2層チップ502に配置されるようにしてもよい。
画素信号用TSV(TSV for comparator)512−1,512−2は、各画素の垂直信号線に接続されている。また、第2層チップ502に、行制御信号線の故障検出部521が配置される場合、故障検出部521のTSV(TSV for 故障検出部)512−11は、上記画素アレイ511の第3の側(本実施例では画素アレイ511の左側)に沿って配置される。なお、好ましくは、故障検出部521のTSV(TSV for 故障検出部)512−11は、行制御信号線用TSV(TSV for row driver)512−12に対して、画素アレイ511を挟んだ反対側に配置されることが望ましい。
第2層チップ502には、中央にDRAM523が複数配置されており、DRAM523の第1の側に(本実施例ではDRAM523の右側に)沿って、行駆動部522が配置されている。また、比較器541−1,541−2が第3層チップ503にある場合はDRAM523の第2,4の側に(本実施例では画素アレイ511の図中の上側および下側に沿って)、画素信号を転送するための画素信号用TSV512−1,512−2が配置される。
なお、AD変換器540−1,540−2を構成する比較器541−1,541−2が第2層チップ502に構成され、カウンタ542−1,542−2が第3層チップ503に構成される場合、第2層チップ502におけるDRAM523の上側および下側に比較器541−1,541−2が配置され、比較器541−1,541−2からの信号を第3層チップ503のカウンタ542−1,542−2に転送するための画素信号用TSV512−1,512−2が、さらに複数の比較器541−1,541−2の下側に配置される。さらに、DRAM523の第3の側に(本実施例ではDRAM523の図中の左側に)故障検出部521が配置される。好ましくは、行駆動部522は、DRAM523を挟んで、故障検出部521に対して反対側に配置されることが望ましい。
第3層チップ503にはDRAM523の直下にDRAM523を制御するためのDRAM制御回路(DRAM Controller)545が配置され、DRAM制御回路545からの制御信号をDRAM523に転送するためのDRAM制御信号用TSV(TSV for DRAM)544が配置される。また、AD変換器540−1,540−2を構成する比較器541−1,541−2が第2層チップ502に構成され、カウンタ542−1,542−2が第3層チップ503に構成される場合、比較器541−1,541−2からの信号は、TSV512−1,512−2を介してカウンタ542−1,542−2に転送される。
また、第3層チップ503に複数のAD変換器540−1,540−2がある場合は、第2層チップ502の画素信号用TSV512−1,512−2と接続された、第3層チップ503の画素信号用TSV512−1,512−2が、それぞれAD変換器540−1,540−2の上側および下側に配置される。また、SRAMメモリ543はカウンタ542−2の図中の上部に配置される。なお、図32においては、上下に複数のAD変換器540−1,540−2を設ける構成が示されているが、図32中の上側、または、下側のいずれか1か所にAD変換器540を集約して、1個のAD変換器540で全ての画素信号を読みだす構成にしてもよい。また、故障検出部521からの検出信号を、図示しない信号処理回路に転送するための故障検出部用TSVが故障検出部521の直下に配置される。
尚、上述した第1層チップ501、第2層チップ502、および第3層チップ503のそれぞれを電気的に接続するTSV512は、いずれもCu−Cu接合でもよい。また、ここで、画素アレイ511は、画素アレイ101に対応する構成であり、TSV512は、TCV93に対応する構成である。
<5−2.3枚のチップにより積層される第2の構成例>
以上においては、故障検出部521が、第2層チップ502に設けられている例について説明してきたが、第3層チップ503に設けられるようにしてもよい。
図33は、故障検出部521が、第3層チップ503に設けられるときの構成例を示している。尚、図33において、図32の構成と同一の機能を備えた構成については、同一の符号を付しており、その説明は適宜省略する。
すなわち、図33においては、故障検出部521が、第3層チップ503の図中の左端部に配置されている。これに伴って、第2層チップ503のDRAM523の左側には、故障検出部用TSV512−11が設けられる。
<5−3.3枚のチップにより積層される第3の構成例>
以上においては、行駆動部522が、第2層チップ502に設けられる例について説明してきたが、第3層チップ503に設けられるようにしてもよい。
図34のフロアプランは、図32における第2層チップ502の行駆動部522を、第3層チップ503に設けるようにした構成例である。この場合、第3層チップ503上の行駆動部522が、画素アレイ511上の各画素に制御信号を送信する必要があるので、第2層チップ502には、行駆動部522に代えて、行駆動部用TSV512−12がDRAM523の右側に設けられる。
<5−4.3枚のチップにより積層される第4の構成例>
以上においては、行駆動部522が、第3層チップ503に設けられる例について説明してきたが、さらに、故障検出部521も第3層チップ503に設けるようにしてもよい。
図35のフロアプランは、図32における第2層チップ502の行駆動部522と故障検出部521とを、いずれも第3層チップ503に設けるようにした構成例である。この場合、第3層チップ503上の故障検出部521と行駆動部522とが、画素アレイ511上の各画素に制御信号を送受信する必要があるので、第2層チップ502には、故障検出部521および行駆動部522に代えて、故障検出部用TSV512−11および行駆動部用TSV512−12が、それぞれDRAM523の左右に設けられる。
<5−5.3枚のチップにより積層される第5の構成例>
以上においては、DRAM523が、第2層チップ502に設けられる例について説明してきたが、例えば、図35で示される第2層チップ502のフロアプランにおける構成と第3層チップ503のフロアプランにおける構成とをそれぞれ入れ替えるようにしてもよい。
図36は、図35で示される第2層チップ502上のDRAM523を第3層チップ503上に設け、第3層チップ上のAD変換器540−1,540−2、TSV544、DRAM制御部545、およびDAC546を第2層チップ502に設けるようにした構成例である。
ただし、故障検出部521、行駆動部522は、第2層チップ502に設けられることにより、第3層チップ503には、故障検出部用TSV512−11および、行駆動部用TSV512−12が不要となる。
<<6.画素信号用TSVについて>>
<6−1.比較器とカウンタとが同一チップに配置される場合の画素信号用TSV>
次に、画素信号用TSVの構成例について説明する。
図32乃至図35を参照して説明した3枚のチップが積層された実施例においては、AD変換器540−1,540−2を構成する比較器541−1,541−2とカウンタ542−1,542−2とは、同一の第3のチップ503に構成されている。
このため、画素アレイ511における各画素の画素信号は、第2のチップ502を経由することなく、第1のチップ501から第3のチップ503に直接転送される。
したがって、画素信号用TSV512−1,512−2は、例えば、図37で示されるように構成される。
図37において、画素信号用TSV512−1,512−2は、第1層チップ501および第3層チップ503とが電気的接続されるコンタクトにより形成されている。画素信号用TSV512−1,512−2を構成するコンタクトは、第1層チップ501のコンタクトに接続されるとともに、第3層チップ503のアルミパッドに接続されている。
図37で示されるように構成される画素信号用TSV512−1,512−2を介して、第1層チップ501上の画素アレイ511を構成する画素の画素信号が、第3層チップ503のAD変換器540−1,540−2に転送される。
尚、以上においては、画素信号用TSV512−1,512−2について説明してきたが、故障検出部用TSV512−11および行駆動部用TSV512−12についても、故障検出部521、および行駆動部522が第3層チップ503に設けられる場合については、図37で示される画素信号用TSV512−1,512−2と同様に構成されるようにしてもよい。
<6−2.比較器とカウンタとが異なるチップに配置される場合の画素信号用TSV>
以上においては、AD変換器540−1,540−2を構成する比較器541−1,541−2とカウンタ542−1,542−2とが、同一の第3層チップ503に構成される例について説明してきたが、異なるチップに構成されるようにしてもよい。
すなわち、例えば、比較器541−1,541−2が第2層チップ502に設けられ、カウンタ542−1,542−2が第3層チップ503に設けられ、AD変換器540−1,54−2が構成される場合、第1層チップ501に構成される画素アレイ511の各画素からの画素信号は、第2層チップ502の比較器541−1,541−2に出力され、比較器541−1,541−2の比較結果が第3層チップ503のカウンタ542−1,542−2に転送される。
したがって、画素信号用TSV512−1,512−2は、例えば、図38で示されるように、第1層チップ501と第2層チップ502とを電気的に接続するコンタクトからなる画素信号用TSV512a−1,512a−2と、第2層チップ502と第3層チップ503とを電気的に接続するコンタクトからなる画素信号用TSV512b−1,512b−2とから構成される。
このような構成により、第1層チップ501に構成される画素アレイ511の各画素からの画素信号は、画素信号用TSV512a−1,512a−2を介して、第2層チップ502の比較器541−1,541−2に出力される。また、比較器541−1,541−2の比較結果が、画素信号用TSV512b−1,512b−2を介して、第3層チップ503のカウンタ542−1,542−2に転送される。
尚、以上においては、画素信号用TSV512−1,512−2について説明してきたが、故障検出部用TSV512−11についても、故障検出部521が第2層チップ503に設けられる場合については、図38で示される画素信号用TSV512−1,512−2と同様に構成されるようにしてもよい。
<<7.ADCの種別について>>
<7−1.カラムADC>>
次に、ADCの種別について説明する。まず、図39を参照して、ADCのうち、カラムADCについて説明する。
図39は、カラムADCを説明するための撮像素子の構成例を示す図である。図39の撮像素子701は、画素アレイ部711と、駆動部712とを備える。また、駆動部712は、行駆動部721−1および行駆動部721−2と、アナログデジタル(AD)変換ユニット722と、試験電圧生成部723と、参照信号生成部724と、制御部725と、信号処理部726と、故障検出部727とを備える。
画素アレイ部711は、照射された光に応じた画像信号を生成する画素741が行列形状に配置されて構成されたものである。また、この画素アレイ部711には、画素741に制御信号を伝達する信号線である信号線713が行毎に配置され、それぞれの行に配置された画素741に対して共通に配線される。信号線713には、転送制御信号を伝達する転送制御信号線とリセット制御信号を伝達するリセット制御信号線と画素741からの画像信号の出力を制御する画素選択制御信号線とが含まれる。また、画素アレイ部711には、画素741により生成された画像信号を伝達するための信号線742が列毎に配置され、それぞれの列に配置された画素741に対して共通に配線される。
また、画素アレイ部711には、信号線713の故障を検出するための試験信号を生成する試験信号生成部743が行毎に配置される。この試験信号生成部743は、各行の両端に配置され、画素741と同様に信号線742および713が配線される。また、試験信号生成部743には、試験電圧を伝達する信号線714がさらに配線される。ここで、試験電圧とは、上述の転送制御信号線およびリセット制御信号線の故障を検出するための信号である。試験信号生成部743は、転送試験信号およびリセット試験信号を試験信号として生成する。転送試験信号は試験電圧および転送制御信号に基づいて生成され、リセット試験信号は試験電圧およびリセット制御信号に基づいて生成される。
行駆動部721−1および721−2は、画素741の制御信号を生成し、信号線713を介して出力するものである。この行駆動部721−1および721−2は、上述の転送制御信号、リセット制御信号および画素選択制御信号を制御信号として生成する。また、行駆動部721−1および721−2は、同一の制御信号を生成し、同時に信号線713に対して出力する。制御信号の生成に冗長性を持たせるためである。
アナログデジタル変換ユニット722は、画素741により生成された画像信号をデジタルの画像信号に変換するものである。このアナログデジタル変換ユニット722は、アナログデジタル変換を行うアナログデジタル変換部731が画素アレイ部711の列毎に配置され、それぞれに信号線742が配線される。また、アナログデジタル変換ユニット722には、試験信号生成部743等により生成された試験信号のアナログデジタル変換を行うためのアナログデジタル変換部731がさらに配置される。アナログデジタル変換により生成されたデジタルの画像信号は、信号処理部726に対して出力される。一方、デジタルの試験信号は、故障検出部727に対して出力される。
試験電圧生成部723は、試験電圧を生成し、信号線714を介して試験信号生成部743に対して出力するものである。この試験電圧生成部723は、転送試験電圧およびリセット試験電圧を試験電圧として生成する。転送試験電圧およびリセット試験電圧は、それぞれ電圧が異なる試験電圧である。転送試験電圧は試験信号生成部743等において転送試験信号が生成される際に生成される試験電圧であり、リセット試験電圧は試験信号生成部743等においてリセット試験信号が生成される際に生成される試験電圧である。
参照信号生成部724は、参照信号を生成し、アナログデジタル変換ユニット722に対して出力するものである。この参照信号は、信号線715を介して出力される。この参照信号として、電圧がランプ状に低下する信号を使用することができる。参照信号生成部724は、アナログデジタル変換の開始と同期して参照信号の生成を開始する。
制御部725は、撮像素子701の全体を制御するものである。この制御部725は、行駆動部721−1および721−2を制御するための共通の制御信号を生成し、信号線716を介して行駆動部721−1および721−2に出力する。また、制御部725は、アナログデジタル変換ユニット722に配置されたアナログデジタル変換部731を制御するための共通の制御信号を生成し、信号線717を介して全てのアナログデジタル変換部731に対して出力する。
故障検出部727は、試験信号生成部743等から出力された故障信号に基づいて信号線713の故障を検出するものである。この故障検出部727は、転送試験信号およびリセット試験信号に基づいて転送試験信号線、リセット試験信号線および画素選択制御信号線の故障を検出する。故障の検出は、試験信号生成部743等から出力された試験信号と正常時の試験信号とを比較することにより行うことができる。故障検出部727の構成の詳細については後述する。
同図の撮像素子701においては、画素アレイ部711および駆動部712は、異なる半導体チップに形成される。画素アレイ部711は、画像信号の生成を行うため、比較的高い電源電圧により動作する。一方、駆動部712は、デジタル的な信号処理を行う。このため、駆動部712には、高速な処理が要求され、比較的低い電源電圧が供給される。このように、画素アレイ部711および駆動部712は、性質が異なる回路によりそれぞれ構成される。そこで、画素アレイ部711および駆動部712を分離し、それぞれに適したプロセスにより製造される半導体チップに形成する。その後、これらの半導体チップを貼り合わせることにより、撮像素子701を構成する。これにより、撮像素子701のコストパフォーマンスを向上させることができる。この場合、信号線742、713および714は、異なる半導体チップ間の信号伝達を行うこととなる。
なお、画素アレイ部711、行駆動部721−1および721−2、アナログデジタル変換ユニット722、試験電圧生成部723、参照信号生成部724、制御部725、信号処理部726、および故障検出部727は、撮像素子701を構成する。
また、図39の例においては、行駆動部721−1および721−2が設けられ、同一の機能を備えた行駆動部721が2個設けられた撮像素子701の例が示されているが、いずれか1個にしてもよい。
さらに、信号処理部726は、アナログデジタル変換部731から出力されたデジタルの画像信号を処理するものである。この処理として、例えば、複数のアナログデジタル変換部731から出力されたデジタルの画像信号を順次転送する水平転送を行うことができる。
図39の撮像素子701におけるアナログデジタル変換ユニット722のように、アナログデジタル変換を行う複数のアナログデジタル変換部731が画素アレイ部711の列毎に配置され、行単位で画像信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル回路を、カラムADC回路という。
本開示の図4のカラムADC111、図5の画像信号出力部103、図18のADC242は、図39を参照して説明したカラムADC回路により実現してもよい。また、図32,図35乃至図38のAD変換器540は、カラムADC回路であってもよい。
<7−2.エリアADC>>
次に、図40を参照して、エリアADCについて説明する。図40は、エリアADCを説明するための撮像素子701の構成例を示す図である。尚、図40において、図39における撮像素子701と同一の機能を備えた構成についは、同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。すなわち、図40の撮像素子701は、複数のアナログデジタル変換ユニット781を備える点で、図39の撮像素子701と異なる。
図40の撮像素子701の画素アレイ部711は、画素741に代えて、画素ユニット771が行列形状に配置される。また、試験信号生成部743の代わりに故障検出ユニット772が行毎に配置される。また、信号線713および714が図39において説明した画素アレイ部711と同様に、画素ユニット771および故障検出ユニット772に対して配線される。
図40の撮像素子701において、アナログデジタル変換ユニット781は、画素アレイ部711に配置された画素ユニット771および故障検出ユニット772毎に配置され、画像信号等のアナログデジタル変換をそれぞれ行い、変換後の画像信号等を信号処理部726または故障検出部727に対してそれぞれ出力する。画素ユニット771および故障検出ユニット772と、これらに対応するアナログデジタル変換ユニット781とは、信号線742により個別に配線される。
尚、図40の例においては、行駆動部721−1および721−2が設けられ、同一の機能を備えた行駆動部721が2個設けられた撮像素子701の例が示されているが、いずれか1個にしてもよい。
図40の撮像素子701のアナログデジタル変換ユニット781のように、所定のエリア内の複数の画素からなる画素ユニット771毎に配置され、エリア単位で画像信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路を、エリアADC回路という。
本開示の図4のカラムADC111、図5の画像信号出力部103、図18のADC242は、それぞれに代えて、図40を参照して説明したエリアADC回路を用いるようにしてもよい。また、図32,図35乃至図38のAD変換器540は、エリアADC回路であってもよい。
尚、画素ユニット771が1画素により構成される場合、アナログデジタル変換ユニット781は、特に、画素ADC回路という。すなわち、この場合、画素単位でアナログデジタル変換ユニット781が構成される。
<<8.WCSPの構造例>>
<8−1.WCSPの概略の構造例>
図41は、本技術を採用した半導体装置としての撮像素子にWCSP(Waferlevel Chip Size Package)を採用するときの概略の構造例を示している。
図41に示される撮像素子801は、図中の矢印の方向で装置に入射する光もしくは電磁波を電気信号へ変換する。以後、本開示では、便宜上、電気信号へと変換する対象として、光を電気信号へ変換する装置を例に用いて説明する。
撮像素子801は、第1構造体851と第2構造体852とが積層された積層構造体853と、外部端子854と、第1構造体851の上側に形成された保護基板858とを備える。なお、以下では、便宜上、図41における、光が装置へ入射する入射面の側を上側、入射面と対向する装置のもう一方の面の側を下側として、第1構造体851を上側構造体851、第2構造体852を下側構造体852と称する。
この撮像素子801は、後で述べるように、上側構造体851の一部を構成する半導体基板(ウエハ)と、下側構造体852の一部を構成する半導体基板(ウエハ)と、保護基板858とを、ウエハレベルで貼り合せた後、個々の撮像素子801へと固片化して形成される。
固片化される前の上側構造体851は、半導体基板(ウエハ)に、入射した光を電気信号へ変換するための画素が形成されたものである。画素は、例えば、光電変換するためのフォトダイオード(PD)と、光電変換動作や光電変換された電気信号を読み出す動作を制御する、複数個の画素トランジスタを備える。固片化された後の撮像素子801に含まれる上側構造体851は、上側チップ、イメージセンサ基板、または、イメージセンサチップと呼ばれる場合もある。
撮像素子801が備える画素トランジスタは、例えば、MOSトランジスタであることが望ましい。
上側構造体851の上面には、例えば、R(赤)、G(緑)、またはB(青)のカラーフィルタ855とオンチップレンズ856が形成されている。オンチップレンズ856の上側には、撮像素子801の構造物、特にオンチップレンズ856やカラーフィルタ855を保護するための保護基板858が配置されている。保護基板858は、例えば透明なガラス基板である。保護基板858はその硬度がオンチップレンズ856の硬度よりも高いと、オンチップレンズ856を保護する作用が強まる。
固片化される前の下側構造体852は、半導体基板(ウエハ)に、トランジスタと配線とを含む半導体回路が形成されたものである。固片化された後の撮像素子801に含まれる下側構造体852は、下側チップ、信号処理基板、または、信号処理チップと呼ばれる場合もある。下側構造体852には、装置外部の不図示の配線と電気的に接続するための外部端子854が、複数、形成されている。外部端子854は、例えば、はんだボールである。
撮像素子801は、オンチップレンズ856上に配置されたガラスシール樹脂857を介して、上側構造体851の上側もしくはオンチップレンズ856の上側に保護基板858が固定されたキャビティレス構造を成している。ガラスシール樹脂857は、その硬度が保護基板858の硬度よりも低いため、シール樹脂が存在しない場合と比較すると、撮像素子801の外部から保護基板858へ加わった応力が装置内部へと伝わるのを緩和する作用を果たし得る。
なお、撮像素子801は、キャビティレス構造と異なる構造として、上側構造体851の上面に、柱状もしくは壁状の構造を形成し、保護基板858がオンチップレンズ856の上方に空隙を持って担持されるように、上記柱状もしくは壁状の構造に固定されたキャビティ構造を成しても良い。
<8−2.撮像素子の回路配置構成例>
次に、撮像素子801の回路の配置、すなわち、図41に示した撮像素子801の各ブロックを、上側構造体851と下側構造体852とにどのように分けて搭載するかを説明する。
図42は、撮像素子801における回路配置の回路配置構成例を示す図である。
回路配置構成例においては、アレイ上に配置された複数の画素871からなる画素アレイ部864は上側構造体851に配置されている。
撮像素子801に備わる画素周辺回路部のうち、行駆動部862は、一部が上側構造体851に配置され、かつ、一部が下側構造体852に配置されている。例えば、行駆動部862のうち、行駆動回路部が上側構造体851に配置され、行デコーダ部が下側構造体852に配置されている。
上側構造体851に配置される行駆動部862は、画素アレイ部864の行方向の外側に配置され、下側構造体852に配置される行駆動部862は、少なくともその一部が上側構造体851に備わる行駆動部862の下側に配置されている。
撮像素子801に備わる画素周辺回路部のうち、列信号処理部865は、一部が上側構造体851に配置され、かつ、一部が下側構造体852に配置されている。例えば、列信号処理部865のうち、負荷回路部、増幅回路部、ノイズ処理部、及び、ADCのコンパレータ部が上側構造体851に配置され、ADCのカウンタ部が下側構造体852に配置されている。
上側構造体851に配置される列信号処理部865は、画素アレイ部864の列方向の外側に配置され、下側構造体852に配置される列信号処理部865は、少なくともその一部が上側構造体851に備わる列信号処理部865の下側に配置されている。
上側構造体851に配置された行駆動部862の外側と、下側構造体852に配置された行駆動部862の外側には、これら2つの行駆動部862の配線を接続するための配線接続部869が配置されている。
上側構造体851に配置された列信号処理部865の外側と、下側構造体852に配置された列信号処理部865の外側にも、これら2つの列信号処理部865の配線を接続するための配線接続部869が配置されている。これらの配線接続部869においては、この後、図43を用いて説明する配線接続構造が用いられている。
下側構造体852に配置された行駆動部862と列信号処理部865の内側に、画像信号処理部866が配置されている。
下側構造体852において、入出力回路部889は、上側構造体851の画素アレイ部864の下側となる領域に配置される。
入出力回路部889は、入力回路部と出力回路部の双方もしくは少なくとも一方を含む回路部である。入出力回路部889が入力回路部と出力回路部の双方で構成される場合、入出力回路部889は、1つの外部端子854ごとに分かれて、下側構造体852に複数個配置される。入出力回路部889が入力回路部のみで構成される場合、入力回路部は、1つの外部端子854(入力端子)ごとに分かれて、下側構造体852に複数個配置される。入出力回路部889が出力回路部のみで構成される場合、出力回路部は、1つの外部端子854(出力端子)ごとに分かれて、下側構造体852に複数個配置される。これら複数個に分かれて配置された各入出力回路部889の周囲には、画像信号処理部が配置されている。言い換えれば、画像信号処理部を配置した領域内に、入出力回路部889が配置されている。
なお、下側構造体852において、入出力回路部889は、上側構造体851の行駆動部862の下側もしくは列信号処理部865の下側となる領域に配置されても良い。
言い換えると、入出力回路部889は、外部端子854が形成される下側構造体852側で、かつ、上側構造体851の画素アレイ部864の領域の下方、若しくは、上側構造体851の画素周辺回路部(図4の画素周辺回路領域1013のうち、上側構造体851に形成される回路部)の下方の任意の領域に配置することができる。
<8−3.撮像素子の断面構造>
本実施形態に係る撮像素子801の断面構造と回路配置を、図43を参照してさらに説明する。
図43は、図42のA−A’線における撮像素子801に係る断面構造を示す図である。
撮像素子801に備わる上側構造体851とその上方とを含めた部分には、オンチップレンズ856とカラーフィルタ855と画素トランジスタとフォトダイオード891とを有する画素871(図42)が、複数個、アレイ状に配列された画素アレイ部864が配置されている。画素アレイ部864の領域(画素アレイ領域)には、画素トランジスタ領域1001も配置される。画素トランジスタ領域1001は、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、リセットトランジスタのうちの少なくとも1つの画素トランジスタが形成される領域である。
下側構造体852に備わる半導体基板921の下側の表面で、かつ、上側構造体851に備わる画素アレイ部864の下方に位置する領域には、外部端子854が複数個配置されている。
なお、図43の説明おいては、「下側構造体852に備わる半導体基板921の下側の表面で、かつ、上側構造体851に備わる画素アレイ部864の下方に位置する領域」を第1特定領域、「下側構造体852に備わる半導体基板921の上側の表面で、かつ、上側構造体851に備わる画素アレイ部864の下方に位置する領域」を第2特定領域と称する。
第1特定領域に配置された複数個の外部端子854の少なくとも一部は、外部から撮像素子801へ信号を入力するための信号入力端子もしくは撮像素子801から外部へ信号を出力するための信号出力端子854Bである。言い換えれば、信号入力端子854A及び信号出力端子854Bは、外部端子854のなかから、電源端子及び接地端子を除いた外部端子854である。これらの信号入力端子854Aもしくは信号出力端子854Bを、信号入出力端子854Cと称する。
第1特定領域であって、かつ、これら信号入出力端子854Cの近傍に、半導体基板921を貫通する貫通ビア928が配置される。なお、半導体基板921を貫通するビアホールとその内部に形成されたビア配線とを併せて、単に貫通ビア928とも称する。
この貫通ビアホールは、半導体基板921の下側表面から、半導体基板921の上側表面上方に配置された多層配線層922の一部であってビアホールの終端(底部)となる導電性パッド1022(以後、ビア用パッド1022とも称する)まで、掘り込んで形成された構造であることが望ましい。
第1特定領域に配置された信号入出力端子854Cは、同じく第1特定領域に配置された貫通ビア928(より具体的には、貫通ビアホール内に形成されたビア配線)へ電気的に接続される。
第2特定領域であって、かつ、信号入出力端子854Cおよび上記貫通ビアの近傍となる領域に、入力回路部もしくは出力回路部を備えた入出力回路部889が配置される。
第1特定領域に配置された信号入出力端子854Cは、貫通ビア928とビア用パッド1022と、あるいはまた多層配線層922の一部とを介して、入出力回路部889へ電気的に接続される。
入出力回路部889を配置した領域を入出力回路領域1011と呼ぶ。下側構造体852に備わる半導体基板921の上側の表面には、入出力回路領域1011に隣接して信号処理回路領域1012が形成されている。信号処理回路領域1012は、画像信号処理部が形成される領域である。
画素アレイ部864の各画素を駆動させる行駆動部や列信号処理部の全部もしくは一部を含む画素周辺回路部を配置した領域を、画素周辺回路領域1013と呼ぶ。上側構造体861に備わる半導体基板941の下側の表面及び下側構造体852に備わる半導体基板921の上側の表面のうち、画素アレイ部864の外側となる領域には、画素周辺回路領域1013が配置されている。
信号入出力端子854Cは、下側構造体852に配置された、入出力回路領域1011の下側の領域に配置されて良いし、あるいは、信号処理回路領域1012の下側となる領域に配置されても良い。あるいは、信号入出力端子854Cは、下側構造体852に配置された、行駆動部もしくは列信号処理部などの画素周辺回路部の下側に配置されても良い。
上側構造体851の多層配線層942に含まれる配線と、下側構造体852の多層配線層922に含まれる配線とを接続する配線接続構造を上下配線接続構造とも称し、この構造を配置した領域を上下配線接続領域1014とも称する。
上下配線接続構造は、上側構造体851の上側の表面から半導体基板941を貫通し多層配線層942に至る第1貫通電極(シリコン貫通電極)949と、上側構造体851の上側の表面から半導体基板941と多層配線層942を貫通し下側構造体852の多層配線層922に至る第2貫通電極(チップ貫通電極)945と、これら2つの貫通電極(Through Silicon Via, TSV)を接続するための貫通電極接続配線946とによって形成されている。このような上下配線接続構造は、ツインコンタクト構造とも称する。
画素周辺回路領域1013の外側に、上下配線接続領域1014が配置されている。
本実施形態では、画素周辺回路領域1013が、上側構造体851と下側構造体852の両方に形成されているが、いずれか一方のみに形成することもできる。
また、上下配線接続領域1014が、画素アレイ部864の外側であって、かつ、画素周辺回路領域1013の外側に配置されているが、画素アレイ部864の外側であって、かつ、画素周辺回路領域1013の内側に配置されてもよい。
さらに、上側構造体851の多層配線層942と下側構造体852の多層配線層922とを電気的に接続する構造として、シリコン貫通電極949とチップ貫通電極945の2本の貫通電極を用いて接続するツインコンタクト構造を採用した。
上側構造体851の多層配線層942と下側構造体852の多層配線層922とを電気的に接続する構造としては、例えば、上側構造体851の配線層943と、下側構造体852の配線層923のそれぞれが、1本の貫通電極に共通に接続するシェアコンタクト構造としてもよい。
<8−4.他の上下配線接続構造を用いた場合の撮像素子の回路配置>
他の上下配線接続構造を用いた場合の、撮像素子801の回路の配置と断面構造を、図44を参照して説明する。
図44は、図42に示す上下配線接続構造とは異なる構造を用いた場合の、図42のA−A’線における撮像素子801に係る断面構造を示す図である。
図44の画素周辺回路領域1013において、上側構造体851の多層配線層942は、一部の配線を多層配線層942の最下面、言い換えれば、上側構造体851と下側構造体852との接合面に配置している。また、下側構造体852の多層配線層922も、一部の配線を多層配線層922の最上面、言い換えれば、上側構造体851と下側構造体852との接合面に配置している。そして、多層配線層942の一部の配線と、多層配線層922の一部の配線が、この接合面における略同一の位置に配置されて、配線どうしが電気的に接続されている。配線どうしを電気的に接続する形態としては、2つの配線を直接接触させる形態で良いし、あるいは、2つの配線間に薄膜の絶縁膜や高抵抗膜が形成され、形成された膜が一部で電気的に導通している形態であっても良い。あるいは、2つの配線間に薄膜の絶縁膜や高抵抗膜が形成され、2つの配線が容量結合によって電気信号を伝播させる形態であっても良い。
上側構造体851の多層配線層942の配線の一部の配線と下側構造体852の多層配線層922の配線の一部の配線を上記接合面の略同一の位置に形成し2つの配線を電気的に接続する構造の総称として、上下配線直接接続構造あるいは単に配線直接接続構造とも称する。
上記略同一の位置の具体的な例としては、例えば、撮像素子801を上側から下側方向へ平面視した場合に、電気的に接続する上記2つの配線の少なくとも一部が重なる位置であれば良い。接続する2つの配線の材料として、例えば、銅(Cu)を用いた場合には、この接続構造を、Cu−Cu直接接合構造あるいは単にCu−Cu接合構造と呼ぶ場合がある。
上下配線直接接続構造を用いる場合には、この接続構造を画素アレイ部864の外側に配置することができる。あるいは、この接続構造を、上側構造体851が備える画素周辺回路領域1013の内部と、下側構造体852が備える画素周辺回路領域1013の内部とに、配置することができる。より具体的には、上下配線直接接続構造を構成する配線のうち、上記接合面の上側構造体851の側に配置する配線は、上側構造体851の画素周辺回路領域1013に備わる回路の下側に配置することができる。また、上下配線直接接続構造を構成する配線のうち、上記接合面の下側構造体852の側に配置する配線は、下側構造体852の画素周辺回路領域1013に備わる回路の上側に配置することができる。あるいは、上側構造体851の配線として画素アレイ部864(画素トランジスタ領域1001)に配置された配線を用いて、これと下側構造体852の配線とによる上下配線直接接続構造を、画素アレイ部864(画素トランジスタ領域1001)の下方に配置することもできる。
<8−5.撮像素子の詳細構造>
次に、図45を参照して、撮像素子801の詳細構造について説明する。図45は、ツインコンタクト構造を備えた撮像素子801の外周付近を拡大して示した断面図である。
下側構造体852には、例えばシリコン(Si)で構成された半導体基板921の上側(上側構造体851側)に、多層配線層922が形成されている。この多層配線層922により、図42に示した入出力回路領域1011、信号処理回路領域1012(図45では不図示)、画素周辺回路領域1013などが形成されている。
多層配線層922は、上側構造体851に最も近い最上層の配線層923a、中間の配線層923b、及び、半導体基板921に最も近い最下層の配線層923cなどからなる複数の配線層923と、各配線層923の間に形成された層間絶縁膜924とで構成される。
複数の配線層923は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)などを用いて形成され、層間絶縁膜924は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などで形成される。複数の配線層923及び層間絶縁膜924のそれぞれは、全ての階層が同一の材料で形成されていてもよいし、階層によって2つ以上の材料を使い分けてもよい。
半導体基板921の所定の位置には、半導体基板921を貫通するシリコン貫通孔925が形成されており、シリコン貫通孔925の内壁に、絶縁膜926を介して接続導体927が埋め込まれることにより、貫通ビア(TSV:Through Silicon Via)928が形成されている。絶縁膜926は、例えば、SiO2膜やSiN膜などで形成することができる。貫通ビア928は、本実施形態では、外部端子854側よりも配線層923側の平面積が小さい逆テーパ形状となっているが、反対に、外部端子854側の平面積が小さい順テーパ形状でもよいし、外部端子854側と配線層923側の面積が略同一の非テーパ形状でも良い。
貫通ビア928の接続導体927は、半導体基板921の下面側に形成された再配線930と接続されており、再配線930は、外部端子854と接続されている。接続導体927及び再配線930は、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、チタンタングステン合金(TiW)、ポリシリコンなどで形成することができる。
また、半導体基板921の下面側には、外部端子854が形成されている領域を除いて、再配線930と絶縁膜926を覆うように、ソルダマスク(ソルダレジスト)931が形成されている。
一方、上側構造体851には、例えば、シリコン(Si)で構成された半導体基板941の下側(下側構造体852側)に、多層配線層942が形成されている。この多層配線層942により、画素871の回路が形成されている。
多層配線層942は、半導体基板941に最も近い最上層の配線層943a、中間の配線層943b、及び、下側構造体852に最も近い最下層の配線層943cなどからなる複数の配線層943と、各配線層943の間に形成された層間絶縁膜944とで構成される。
複数の配線層943及び層間絶縁膜944として使用される材料は、上述した配線層923及び層間絶縁膜924の材料と同種のものを採用することができる。また、複数の配線層943や層間絶縁膜944が、1または2つ以上の材料を使い分けて形成されてもよい点も、上述した配線層923及び層間絶縁膜924と同様である。
なお、図45の例では、上側構造体851の多層配線層942は5層の配線層943で構成され、下側構造体852の多層配線層922は4層の配線層923で構成されているが、配線層の総数はこれに限られず、任意の層数で形成することができる。
半導体基板941内には、PN接合により形成されたフォトダイオード891が、画素871ごとに形成されている。
また、詳細な図示は省略されているが、多層配線層942と半導体基板941には、転送トランジスタ、増幅トランジスタなどの複数の画素トランジスタや、FD(フローティングディフュージョン)なども形成されている。
カラーフィルタ855とオンチップレンズ856が形成されていない半導体基板941の所定の位置には、上側構造体851の所定の配線層943と接続されているシリコン貫通電極949と、下側構造体852の所定の配線層923と接続されているチップ貫通電極945が、形成されている。
チップ貫通電極945とシリコン貫通電極949は、半導体基板941上面に形成された接続用配線946で接続されている。また、シリコン貫通電極949及びチップ貫通電極945のそれぞれと半導体基板941との間には、絶縁膜947が形成されている。
半導体基板941のフォトダイオード891とカラーフィルタ855の間は平坦化膜948が形成されており、オンチップレンズ856とガラスシール樹脂857の間も、平坦化膜950が形成されている。
以上のように、図41に示される撮像素子801の積層構造体853は、下側構造体852の多層配線層922側と、上側構造体851の多層配線層942側とを貼り合わせた積層構造となっている。図45では、下側構造体852の多層配線層922と、上側構造体851の多層配線層942との貼り合わせ面が、一点鎖線で示されている。
また、撮像素子801の積層構造体853では、上側構造体851の配線層943と下側構造体852の配線層923が、シリコン貫通電極949とチップ貫通電極945の2本の貫通電極により接続され、下側構造体852の配線層923と外部端子(裏面電極)854が、貫通ビア928と再配線930により接続されている。これにより、上側構造体851の画素871で生成された画素信号が、下側構造体852に伝送され、下側構造体852で信号処理が施されて、外部端子854から、装置の外部へ出力される。
<8−6.変形例>
<変形例その1>
次に、図46を参照して、撮像素子801の変形例その1について説明する。
図46のAは、変形例その1に係る撮像素子801の外周付近の断面図であり、図46のBは、変形例その1に係る撮像素子801の外部端子854側の平面図である。
変形例その1では、図46のAに示されるように、外部端子854が、平面位置で貫通ビア928の位置と重なるように、貫通ビア928の直上に形成されている。これにより、図46のBに示されるように、撮像素子801の裏面側に再配線930を形成する面積が不要となるので、入出力部を形成する面積不足を解消することができる。
<変形例その2>
次に、図47を参照して、撮像素子801の変形例その2について説明する。
変形例その2では、積層構造体853では、下側構造体852の配線層943と上側構造体851の配線層923が、シリコン貫通電極949とチップ貫通電極945の2本の貫通電極により接続され、上側構造体851の配線層923とはんだボール(裏面電極)854が、貫通ビア(シリコン貫通電極)928と再配線930により接続されている。これにより、撮像素子801の平面積を、極限まで小さくすることができる。
さらに、積層構造体853とガラス保護基板858との間を、キャビティレス構造にして、ガラスシール樹脂857により貼り合わせることにより、高さ方向についても低くすることができる。
したがって、図41に示される撮像素子801によれば、より小型化した半導体装置(半導体パッケージ)を実現することができる。
<変形例その3>
次に、図48を参照して、撮像素子801の変形例その3について説明する。
図48で示されるように、貫通ビア928でなくてもよく、貫通ビア928をソルダマスク(ソルダレジスト)931で埋めて、貫通ビア928の形成箇所でダイシングされる構造でもよい。
ソルダマスク(ソルダレジスト)931と再配線930は、絶縁膜926bにより絶縁されているが、絶縁されればよいので、絶縁膜926b以外でもよく、例えば、ガラスシール樹脂857で埋められるようにしてもよい。
また、ガラスシール樹脂857、絶縁膜926b、ソルダマスク(ソルダレジスト)931は、全てが同一材料でもよいし、そのうちのいずれかが同一材料であってもよい。
さらに、配線層923cと再配線930とが、電気的に接続されているが、いずれの配線層と接続されてもよい。
尚、図48においては、積層構造体853とガラス保護基板858との間に、スペーサ1112を設けることで、キャビティ(空洞、空隙)1111を設ける構造とする例が示されているが、スペーサ1112を設けないようにして、ガラスシール樹脂857によりキャビティ1111が設けられるようにしてもよい。また、キャビティ1111およびスペーサ1112の空間にガラスシール樹脂857を充填してキャビティレス構造とするようにしてもよい。
また、図41乃至図48の撮像素子801における、上側構造体851および下側構造体852は、図4,図5における下チップ91および上チップ92に対応する。したがって、撮像素子72およびフロントカメラECU73は、図41乃至図48を参照して説明したWCSPからなる撮像素子801により実現するようにしてもよい。
<8−7.3層の積層構造体の例>
上述した各実施形態は、撮像素子801の積層構造体853が、下側構造体852と上側構造体851の2層で構成されていたが、3層以上の構造体で構成することもできる。
図49及び図50を参照して、下側構造体852と上側構造体851の間に、第3構造体1211を設けることにより、積層構造体853が3層で構成される例について説明する。
図49においては、画素アレイ部864が、画素共有構造を有する場合の構成が示されている。
画素共有構造は、フォトダイオード(PD)891と転送トランジスタ892については画素871ごとに有するが、FD(フローティングディフュージョン)893、増幅トランジスタ895、リセットトランジスタ894、及び選択トランジスタ896ついては複数画素で共有する構造である。
図49では、共有ユニット1220として、行方向に2個ずつ、列方向に2個ずつ(2x2)の4画素で、FD893、増幅トランジスタ895、リセットトランジスタ894、及び選択トランジスタ896を共有する構造が示されている。
4個の転送トランジスタ892のゲート電極には、それぞれ行方向に延在する転送トランジスタ駆動信号線1221が1本ずつ接続されている。4個の転送トランジスタ892のゲート電極のそれぞれに接続され、行方向に延在する4本の転送トランジスタ駆動信号線1221は、4本が平行になって、列方向に並べて配置されている。
FD893は、不図示の配線を介して、増幅トランジスタ895のゲート電極およびリセットトランジスタ894の拡散層へ接続されている。リセットトランジスタ894のゲート電極には、行方向に延在するリセットトランジスタ駆動信号線1222が1本接続されている。
選択トランジスタ896のゲート電極には、行方向に延在する選択トランジスタ駆動信号線1223が1本接続されている。選択トランジスタ896は省略される場合もある。
図49に示す3層の積層構造体853による撮像素子801は、下側構造体852と上側構造体851の間の第3構造体1211に、エリア信号処理部1231を備える。
エリア信号処理部1231は、ノイズ処理部やADCを有する読み出し信号処理部1232と、AD変換後のデジタルデータを保持するデータ保持部1233を備える。
例えば、共有ユニット1220の画素871それぞれが、AD変換後に16ビットで表されるデータを出力する場合には、データ保持部1233は、これらのデータを保持するために、64ビット分のラッチやシフトレジスタなどのデータ保持手段を備える。
エリア信号処理部1231は、さらに、データ保持部1233に保持されたデータを、エリア信号処理部1231の外部へ出力するための出力信号配線1237を備える。この出力信号配線は、例えば、データ保持部1233に保持された64ビットのデータを並列して出力する64ビットの信号線であっても良いし、データ保持部1233に保持された4画素分のデータを、1画素分ずつ出力するための16ビットの信号線であっても良いし、あるいは1画素分のデータの半分となる8ビットの信号線や、2画素分のデータとなる32ビットの信号線であっても良い。あるいは、データ保持部1233に保持されたデータを1ビットずつ読み出す1ビットの信号線であっても良い。
図49に示す撮像素子801は、上側構造体851の1個の共有ユニット1220が、第3構造体1211の1個のエリア信号処理部1231に接続されている。言い換えれば、共有ユニット1220とエリア信号処理部1231が1対1に対応している。このため、図49に示すように、第3構造体1211は、エリア信号処理部1231が、行方向および列方向にそれぞれ複数個配列されたエリア信号処理部アレイ1234を備える。
また、第3構造体1211は、行方向および列方向にそれぞれ複数個配列された各エリア信号処理部1231が備えるデータ保持部1233のデータを読み出す行アドレス制御部1235を備える。行アドレス制御部1235は、一般的な半導体メモリ装置と同じように、行方向の読出し位置を定める。
エリア信号処理部アレイ1234の行方向に並ぶエリア信号処理部1231は、行アドレス制御部1235から行方向に延びる制御信号線に接続され、行アドレス制御部1235の制御によって、エリア信号処理部1231の動作が制御される。
エリア信号処理部アレイ1234の列方向に並ぶエリア信号処理部1231は、列方向に延びる列読出し信号線1237に接続され、列読出し信号線は、エリア信号処理部アレイ1234の先に配置された列読出し部1236へと接続されている。
エリア信号処理部アレイ1234の各エリア信号処理部1231のデータ保持部1233に保持されたデータは、行方向に並んだ全てのエリア信号処理部1231のデータ保持部1233のデータが、同時に、列読出し部1236へと読み出されても良いし、列読出し部1236から指定された、特定のエリア信号処理部1231のデータのみが読み出されても良い。
列読出し部1236には、エリア信号処理部1231から読み出したデータを、第3構造体1211の外部へと出力するための配線が接続されている。
下側構造体852は、第3構造体1211の列読出し部1236からの配線が接続され、この列読出し部1236から出力されたデータを受け取るための読出し部1241を備える。
また、下側構造体852は、第3構造体1211から受け取ったデータを画像信号処理するための画像信号処理部を備える。
さらに、下側構造体852は、第3構造体1211から受け取ったデータを、画像信号処理部を経由して出力するあるいは経由せずに出力するための入出力部を備える。この入出力部は、出力回路部だけでなく、例えば、画素アレイ部864で使用するタイミング信号や、画像信号処理部で使用する特性データを、撮像素子801の外部から装置内へ入力するための入力回路部を備えていても良い。
図50のBに示されるように、上側構造体851に形成された各共有ユニット1220は、その共有ユニット1220の直下に配置された第3構造体1211のエリア信号処理部1231と接続されている。この上側構造体851と第3構造体1211との間の配線接続は、例えば、図44に示したCu−Cu直接接合構造によって接続することができる。
また、図50のBに示されるように、第3構造体1211に形成されたエリア信号処理部アレイ1234の外側の列読出し部1236は、その列読出し部1236の直下に配置された下側構造体852の読出し部1241と接続されている。この第3構造体1211と下側構造体852との間の配線接続は、例えば、図44に示したCu−Cu直接接合構造、あるいは、図43に示したツインコンタクト構造によって接続することができる。
従って、図50のAに示されるように、上側構造体851に形成された各共有ユニット1220の画素信号が、第3構造体1211の対応するエリア信号処理部1231に出力される。エリア信号処理部1231のデータ保持部1233で保持されているデータが、列読出し部1236から出力され、下側構造体852の読出し部1241に供給される。そして、画像信号処理部において、データに対して、各種の信号処理(例えば、トーンカーブ補正処理)が施され、入出力部から、装置外部へ出力される。
なお、3層の積層構造体853による撮像素子801において、下側構造体852に形成される入出力部は、第3構造体1211の行アドレス制御部1235の下側に配置して良い。
また、3層の積層構造体853による撮像素子801において、下側構造体852に形成される入出力部は、第3構造体1211のエリア信号処理部1231の下側に配置しても良い。
さらに、3層の積層構造体853による撮像素子801において、下側構造体852に形成される入出力部は、上側構造体851の画素アレイ部864の下側に配置しても良い。
尚、図49,図50の下側構造体852、上側構造体851、および、第3構造体1211からなる3層の積層構造体853からなる撮像素子801は、図32乃至図35で示される、第1層チップ501乃至第3層チップ503に対応する。したがって、図32乃至図35で示される3枚のチップが積層される撮像素子72およびフロントカメラECU73は、図49,図50を参照して説明した3層の積層構造体853からなるWCSPからなる撮像素子801により実現するようにしてもよい。
なお、各実施例については適宜組み合わせが可能である。すなわち、例えば、第4の実施の形態を参照して説明したCu−Cu接合は、第5の実施の形態における3枚のチップが積層されるフロアプランなどの他の実施の形態におけるTSV512にも適用することができる。
<<9.電子機器への適用例>>
上述した図5,図18の撮像素子72およびフロントカメラECU73、または、フロントカメラECU73における一部の機能を含む、単独で故障検出可能な撮像素子72は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
図51は、本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図51に示される撮像装置2001は、光学系2002、シャッタ装置2003、固体撮像素子2004、制御回路2005、信号処理回路2006、モニタ2007、およびメモリ2008を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
光学系2002は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの光(入射光)を固体撮像素子2004に導き、固体撮像素子2004の受光面に結像させる。
シャッタ装置2003は、光学系2002および固体撮像素子2004の間に配置され、制御回路2005の制御に従って、固体撮像素子2004への光照射期間および遮光期間を制御する。
固体撮像素子2004は、上述した固体撮像素子を含むパッケージにより構成される。固体撮像素子2004は、光学系2002およびシャッタ装置2003を介して受光面に結像される光に応じて、一定期間、信号電荷を蓄積する。固体撮像素子2004に蓄積された信号電荷は、制御回路2005から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
制御回路2005は、固体撮像素子2004の転送動作、および、シャッタ装置2003のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、固体撮像素子2004およびシャッタ装置2003を駆動する。
信号処理回路2006は、固体撮像素子2004から出力された信号電荷に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路2006が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ2007に供給されて表示されたり、メモリ2008に供給されて記憶(記録)されたりする。
このように構成されている撮像装置2001においても、上述した固体撮像素子2004および信号処理回路2006に代えて、図5,図18の撮像素子72およびフロントカメラECU73、または、固体撮像素子2004に代えて、フロントカメラECU73における一部の機能を含む、単独で故障検出可能な撮像素子72を適用することにより、自らで故障検出を実現することが可能となる。
<<10.撮像素子の使用例>>
図52は、図5,図18の撮像素子72およびフロントカメラECU73、または、フロントカメラECU73における一部の機能を含む、単独で故障検出可能な撮像素子72を使用する使用例を示す図である。
上述したカメラモジュールは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
<<11.移動体への応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図53は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図53に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図53の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図54は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図54では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図54には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031および車外情報検出ユニット12030に適用され得る。具体的には、図5,図18の撮像素子72およびフロントカメラECU73、または、フロントカメラECU73における一部の機能を含む、単独で故障検出可能な撮像素子72は、撮像部12031および車外情報検出ユニット12030に適用することができる。撮像部12031および車外情報検出ユニット12030に本開示に係る技術を適用することにより、故障を検出することが可能となるため、故障した撮像部12031または車外情報検出ユニット12030からの情報に基づいた誤った運転支援を停止させることができるので、誤った情報に基づいた誤った運転支援によって危険な状態に陥るようなことを抑制することが可能となる。
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
<1> 画素と画素制御線を有する第1の基板と、
前記第1の基板と積層される第2の基板とを備え、
前記第2の基板は、行駆動部と故障検出部とを有し、
前記画素制御線の一端は、第1の接続電極を介して前記行駆動部に接続され、
前記画素制御線の他端は、第2の接続電極を介して前記故障検出部に接続され、
前記行駆動部は、前記第1の接続電極を介して前記画素制御線に前記画素の動作を制御する制御信号を供給し、
前記故障検出部は、前記第1の接続電極、前記画素制御線、および前記第2の接続電極を介して供給される前記制御信号に基づいて故障を検出する
撮像装置。
<2> 前記第1の接続電極および前記第2の接続電極は、前記第1の基板と前記第2の基板とを貫通する貫通電極で構成されており、
前記第1の基板と前記第2の基板とは、前記貫通電極により電気的に接続された状態で積層されている
<1>に記載の撮像装置。
<3> 前記画素はアレイ状に配置され、前記画素の処理対象となるアドレスの情報と、前記アドレスの情報にとより特定される画素が制御されるタイミングの情報を出力する制御部をさらに含み、
前記故障検出部は、
前記制御部より出力されるアドレスの情報により特定される、前記行駆動部より供給される、前記画素の動作を制御する制御信号を検出し、検出信号を出力する検出部と、
前記アドレスの情報により特定される画素が制御されるタイミングにおいて、前記検出部より、前記制御部より出力されるアドレスの情報により特定される、前記画素の動作を制御する制御信号が検出されたとき前記検出信号が出力されるか否かに基づいて、前記制御信号のパルス出力の故障を検出するパルス出力故障検出部とを含む
<1>または<2>に記載の撮像装置。
<4> 前記検出部は、
前記制御部より出力されるアドレスの情報により特定される、前記画素の動作を制御する制御信号を検出するスイッチングゲートを含み、
前記制御部より出力されるアドレスの情報により特定される前記スイッチングゲートにのみ電力を供給し、
前記スイッチングゲートは、前記画素の動作を制御する制御信号を検出するとき、Hi信号を、前記制御信号毎に設定されたバスに出力し、
前記パルス出力故障検出部は、
前記制御信号毎に設定されたバスに出力される信号と、前記アドレスの情報により特定される画素が制御されるタイミングを示す信号とに応じた値を、前記制御信号毎に保持する複数の保持部を含み、
前記保持部が保持する値に応じて、前記制御信号のパルス出力の故障を検出する
<3>に記載の撮像装置。
<5> 前記複数の保持部は、前記制御信号毎に設定されたバスに出力される信号と、前記アドレスの情報により特定される画素が制御された状態であることを示す固定された信号とに応じた値を、前記制御信号毎に保持し、
前記パルス出力故障検出部は、前記保持部が保持する値に応じて、前記制御信号のパルス出力の故障を検出する
<4>に記載の撮像装置。
<6> 前記行駆動部と、前記第1の基板とは、貫通電極からなる前記第1の接続電極により接続され、前記検出部と、前記第1の基板とは、前記貫通電極とは異なる他の貫通電極からなる前記第2の接続電極により電気的に接続されている
<3>に記載の撮像装置。
<7> 前記制御部は、前記画素の処理対象となるアドレスの情報を前記行駆動部、および前記検出部に出力し、
前記行駆動部は、前記アドレスの情報に対応する自らのアドレスの選択情報を出力し、
前記検出部は、前記アドレスの情報に対応する自らのアドレスの選択情報を出力し、
前記故障検出部は、
前記行駆動部の前記アドレスの選択情報と、前記検出部の前記アドレスの選択情報とをそれぞれ前記制御部により出力されたアドレス情報と比較し、比較結果に基づいて、前記行駆動部、および前記検出部における、アドレス選択機能の故障を検出するアドレス選択機能故障検出部を含む
<3>に記載の撮像装置。
<8> 画素と画素制御線を有する第1の基板と、
前記第1の基板と積層される第2の基板とを備え、
前記第2の基板は、行駆動部と故障検出部とを有し、
前記画素制御線の一端は、第1の接続電極を介して前記行駆動部に接続され、
前記画素制御線の他端は、第2の接続電極を介して前記故障検出部に接続され、
前記行駆動部は、前記第1の接続電極を介して前記画素制御線に前記画素の動作を制御する制御信号を供給し、
前記故障検出部は、前記第1の接続電極、前記画素制御線、および前記第2の接続電極を介して供給される前記制御信号に基づいて故障を検出する
ステップを含む撮像方法。
<9> 画素と画素制御線を有する第1の基板と、
前記第1の基板と積層される第2の基板とを備え、
前記第2の基板は、行駆動部と故障検出部とを有し、
前記画素制御線の一端は、第1の接続電極を介して前記行駆動部に接続され、
前記画素制御線の他端は、第2の接続電極を介して前記故障検出部に接続され、
前記行駆動部は、前記第1の接続電極を介して前記画素制御線に前記画素の動作を制御する制御信号を供給し、
前記故障検出部は、前記第1の接続電極、前記画素制御線、および前記第2の接続電極を介して供給される前記制御信号に基づいて故障を検出する
カメラモジュール。
<10> 画素と画素制御線を有する第1の基板と、
前記第1の基板と積層される第2の基板とを備え、
前記第2の基板は、行駆動部と故障検出部とを有し、
前記画素制御線の一端は、第1の接続電極を介して前記行駆動部に接続され、
前記画素制御線の他端は、第2の接続電極を介して前記故障検出部に接続され、
前記行駆動部は、前記第1の接続電極を介して前記画素制御線に前記画素の動作を制御する制御信号を供給し、
前記故障検出部は、前記第1の接続電極、前記画素制御線、および前記第2の接続電極を介して供給される前記制御信号に基づいて故障を検出する
電子機器。
<11>
画素と、前記画素に接続される垂直信号線を有する第1の基板と、
前記第1の基板と積層される第2の基板とを備え、
前記第2の基板は、信号供給回路,アナログデジタル変換回路、及び故障検出部とを有し、
前記垂直信号線の一端は、第1の接続電極を介して前記信号供給回路に接続され、
前記垂直信号線の他端は、第2の接続電極を介して前記アナログデジタル変換回路に接続され、
前記信号供給回路は、前記第1の接続電極を介して前記垂直信号線にダミー画素信号を供給し、
前記アナログデジタル変換回路は、前記ダミー画素信号に基づいてデジタル信号を出力し、
前記故障検出部は、前記デジタル信号に基づいて故障を検出する
撮像装置。
<12>
画素が搭載された第1の基板と、
前記画素により撮像された画像を信号処理する信号処理部が搭載された第2の基板とを含み、
前記第1の基板と前記第2の基板とが電気的に接続された状態で積層され、
前記信号処理部は、前記信号処理により故障を検出する
撮像装置。