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JP6253141B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP6253141B2 JP2013230186A JP2013230186A JP6253141B2 JP 6253141 B2 JP6253141 B2 JP 6253141B2 JP 2013230186 A JP2013230186 A JP 2013230186A JP 2013230186 A JP2013230186 A JP 2013230186A JP 6253141 B2 JP6253141 B2 JP 6253141B2
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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤのトレッド面には通常、溝が刻まれている。この溝により、トレッドパターンが形成されている。トレッドパターンは、タイヤの走行性能に影響する。このトレッドパターンを構成する溝の例として、周方向に延びる主溝及び軸方向に延びるラグ溝がある。
カーカスの補強の観点から、タイヤはベルトを備えている。ベルトは、トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されている。ベルトは、並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。コードの材質は通常、スチールである。
タイヤが高速で走行しているとき、ベルトの軸方向外側部分は遠心力により半径方向外向きにせり出すように動く。このベルトの動きは、リフティングとも称されている。ベルトの端には、歪みが集中しやすい。しかも走行状態にあるタイヤは熱を帯びる上に、タイヤのゴムは熱を蓄積しやすい。このため、ベルトの端ではコードがその周囲にあるゴムから剥離することがある。この剥離を伴う損傷は、ブレーカーエッジルース(BEL)とも称されている。この損傷は、タイヤの高速耐久性に影響する。高速耐久性の観点から、タイヤの構成について様々な検討がなされている。この検討の例が、特開2006−160108公報及び特開2005−280458公報に開示されている。
特開2006−160108公報 特開2005−280458公報
蓄熱を抑え高速耐久性を向上させるために、小さな厚みを有するトレッドを採用することがある。この場合、溝の底におけるトレッドの厚みも小さくなるため、溝の底には亀裂が生じやすい。溝の底に亀裂を伴う損傷は、トレッドグルーブクラッキング(TGC)とも称されている。この損傷は、ラグ溝を有するタイヤにおいて顕著である。
本発明の目的は、トレッドグルーブクラッキングの発生を防止しつつ、高速耐久性の向上が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、上記トレッドの半径方向内側に位置するベルトと、上記トレッドと上記ベルトとの間に位置する補強層とを備えている。上記ベルトは並列された多数のコードを含んでおり、それぞれのコードは赤道面に対して傾斜している。上記トレッド面のショルダー領域には、略軸方向に延在するラグ溝が刻まれている。上記補強層はゴム組成物から形成されている。上記ゴム組成物は基材ゴム及び短繊維を含んでいる。上記短繊維の長さは1μm以上100μm以下である。上記ゴム組成物に含まれる上記短繊維の配合量は基材ゴム100質量部に対して1質量部以上100質量部以下である。上記補強層は上記ラグ溝の半径方向内側に位置している。上記補強層において、上記短繊維は周方向に配向している。上記ラグ溝の底から上記補強層までの厚みtは2.0mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記厚みtは1.5mm以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、ラグ溝の底から補強層までの厚みtは2.0mm以下である。この厚みtは小さい。これにより、放熱が促される。このタイヤのトレッドの部分は、蓄熱しにくい。補強層は短繊維を含み、この短繊維は周方向に配向している。この補強層はトレッドとベルトとの間に位置している。この補強層は、ベルトの拘束に寄与する。この補強層は、ベルトのリフティングを抑えうる。このタイヤでは、小さな厚みtと補強層との相乗効果により、高速耐久性の向上が達成される。
このタイヤでは、補強層はラグ溝の半径方向内側に位置している。前述したように、補強層は短繊維を含み、この短繊維は周方向に配向している。この補強層はラグ溝の底における亀裂の発生を抑える。仮に亀裂が生じてもこの補強層はこの亀裂の成長を抑えうる。このタイヤでは、小さな厚みtを採用しているにもかかわらず、トレッドグルーブクラッキングの発生が防止される。
本発明によれば、トレッドグルーブクラッキングの発生を防止しつつ、高速耐久性の向上が達成された空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのトレッド面の一部が示された展開図である。 図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図3の補強層が示された拡大断面図である。 図5は、図4の補強層に含まれる短繊維が示された模式図である。 図6は、補強層のためのストリップが示された斜視図である。 図7は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ウィング8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、ベルト16、インナーライナー18、チェーファー20及び補強層22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、溝26が刻まれている。この溝26により、トレッドパターンが形成されている。
トレッド4は、ベース層28とキャップ層30とを有している。キャップ層30は、ベース層28の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層28に積層されている。ベース層28は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層28の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層30は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側端は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス14の損傷を防止する。
ウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。ウィング8は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
クリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ10は、リムのフランジと当接する。
ビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス34は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス14は、カーカスプライ36からなる。カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、コア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと折り返し部36bとが形成されている。
図示されていないが、カーカスプライ36は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス14が、2枚以上のカーカスプライ36から形成されてもよい。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、カーカス14を補強する。ベルト16は、内側層38及び外側層40からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層38の幅は外側層40の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト16の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト16が、3以上の層を備えてもよい。
インナーライナー18は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー18は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー18は、架橋ゴムからなる。インナーライナー18には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー18の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
チェーファー20は、ビード12の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー20がリムと当接する。この当接により、ビード12の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー20は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー20がクリンチ10と一体とされてもよい。この場合、チェーファー20の材質はクリンチ10の材質と同じとされる。
補強層22は、トレッド4のベース層28とベルト16との間に位置している。このタイヤ2では、一対の補強層22が設けられている。それぞれの補強層22は、軸方向において離間して配置されている。このタイヤ2では、補強層22はショルダー領域Sに設けられている。図示されているように、補強層22はベルト16の端を覆う。詳細には、この補強層22は、ベルト16の内側層38の端、及び、その外側層40の端を覆う。なお、ベルト16の幅よりも大きな幅を有する一の補強層22が設けられ、この一の補強層22によりベルト16のそれぞれの端が覆われてもよい。
このタイヤ2では、補強層22はゴム組成物から形成されている。換言すれば、補強層22はゴム組成物を架橋したものからなる。このゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
補強層22のゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、補強層22の強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
好ましくは、補強層22のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、補強層22のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
補強層22のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。補強層22の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。補強層22の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
補強層22のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。補強層22の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。補強層22の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
補強層22のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
図2には、このタイヤ2のトレッド面24の展開図が示されている。この図2には、このタイヤ2のトレッドパターンの一部が示されている。この図2において、左右方向が軸方向であり、上下方向が周方向である。紙面との垂直方向は、タイヤ2の半径方向である。
図示されているように、トレッドパターンは多数の溝26で構成されている。このタイヤ2では、トレッドパターンは、第一主溝42、第二主溝44、ラグ溝46、傾斜溝48及び縦溝50を備えている。
第一主溝42は、赤道面上に位置している。第一主溝42は、周方向に延在している。このタイヤ2では、第一主溝42の深さは4mm以上9mm以下である。第一主溝42の幅は、1.5mm以上10mm以下である。
第二主溝44は、第一主溝42の軸方向外側に位置している。第二主溝44は、周方向に延在している。このタイヤ2では、第二主溝44の深さは4mm以上9mm以下である。第二主溝44の幅は、2mm以上16mm以下である。
ラグ溝46は、第二主溝44の軸方向外側に位置している。ラグ溝46は、略軸方向に延在している。本発明では、タイヤ2の軸方向に対する角度の絶対値が10°以下であるラグ溝46は、「略軸方向に延在するラグ溝」と称される。このタイヤ2では、ラグ溝46の深さは4mm以上8mm以下である。ラグ溝46の幅は、2mm以上4mm以下である。ラグ溝46の長さは、20mm以上60mm以下である。このタイヤ2のトレッドパターンには、多数のラグ溝46が設けられている。これらのラグ溝46は、周方向に間隔を空けて配置されている。
傾斜溝48は、軸方向において、第一主溝42と第二主溝44との間に位置している。傾斜溝48は、赤道面に対して傾斜しつつ第二主溝44から赤道面に向かって延在している。傾斜溝48は、第二主溝44と連通しているが、第一主溝42とは連通していない。傾斜溝48の延在方向が周方向に対してなす角度の絶対値は、50°以上60°以下である。このタイヤ2では、傾斜溝48の深さは2mm以上8mm以下である。傾斜溝48の幅は、1.5mm以上5mm以下である。傾斜溝48の長さは、10mm以上40mm以下である。
縦溝50は、ラグ溝46の軸方向外側に位置している。縦溝50は、周方向に延在している。縦溝50は、ラグ溝46と連通している。このタイヤ2では、縦溝50の深さは0.2mm以上2.0mm以下である。縦溝50の幅は、1.0mm以上3.0mm以下である。縦溝50の長さは、10mm以上60mm以下である。このタイヤ2のトレッドパターンには、多数の縦溝50が設けられている。これらの縦溝50は、周方向に間隔を空けて配置されている。
このタイヤ2では、第一主溝42、第二主溝44及び傾斜溝48はトレッド面24のセンター領域Cに設けられている。ラグ溝46及び縦溝50は、このトレッド面24のショルダー領域Sに設けられている。図2において、両矢印WAはトレッド面24の展開幅を表している。この展開幅WAは、一方のトレッド面24の端から他方のトレッド面24の端までの周長に等しい。実線L1及びL2はそれぞれ、センター領域Cとショルダー領域Sとの境界を表している。境界L1から境界L2までの領域がセンター領域Cであり、一方のトレッド面24の端から境界L1までの領域及び他方のトレッド面24の端から境界までの領域がショルダー領域Sである。図2において、両矢印WCはセンター領域Cの幅である。このタイヤ2では、幅WCの幅WAの比は0.3以上0.6以下である。
図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。この図3には、トレッド4のラグ溝46の部分が示されている。このIII−III線は、ラグ溝46の底からベルト16までの厚みが最小となる位置を通る直線である。この図3において、上下方向はタイヤ2の半径方向であり、左右方向はタイヤ2の周方向である。図示されているように、補強層22はラグ溝46の半径方向内側に位置している。
この図3において、両矢印tはラグ溝46の底から補強層22までの厚みを表している。この厚みtは、ラグ溝46の底におけるトレッド4の厚みである。両矢印tfは、補強層22の厚みを表している。両矢印tbは、ラグ溝46の底からベルト16までの厚みを表している。この厚みtbは、厚みtと厚みtfとの和(t+tf)に等しい。
このタイヤ2では、厚みtは2.0mm以下である。この厚みtは小さい。これにより、放熱が促される。このタイヤ2のトレッド4の部分は、蓄熱しにくい。このタイヤ2は、高速耐久性に優れる。小さな厚みtは、軽量化に寄与しうる。このタイヤ2では、軽量化も達成されうる。しかも小さな質量は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。この観点から、この厚みtは1.5mm以下が好ましい。この厚みtは小さいほど好ましいので、この厚みtが0.0mmに設定されてもよい。この場合、ラグ溝46の底に補強層22が露出する。
図4は、図3の一部が示された拡大断面図である。この図4には、補強層22が示されている。この図4において、上下方向はタイヤ2の半径方向であり、左右方向はタイヤ2の周方向である。
図示されているように、このタイヤ2の補強層22は、多数の短繊維52と、マトリクス54とで構成されている。換言すれば、この補強層22は繊維補強ゴム(FRR)からなる。これら短繊維52は、マトリクス54に分散している。これら短繊維52の長手方向は、略周方向に沿っている。この補強層22において、短繊維52は周方向に配向している。短繊維52は、補強層22の強度に効果的に寄与しうる。
図5は、図4の補強層22の短繊維52が示された模式図である。図5において、左右方向が周方向である。矢印θで示されているのは、短繊維52の角度である。角度θは、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。直線X1は、周方向に延びている。直線X2は、短繊維52の一端56及び他端58を通過している。この角度θは、短繊維52の長手方向が周方向に対してなす角度である。角度θは、0°以上90°以下である。
補強層22がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうるとの観点から、角度θが20°以下である短繊維52の数の、短繊維52の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。比率の算出においては、補強層22の、周方向に沿った断面に露出した短繊維52の角度が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維52について、角度θの測定がなされる。なお、角度θが20°以下である短繊維52の数の、短繊維52の総数に対する比率が90%以上である場合が、補強層22における短繊維52が周方向に配向している状態である。
このタイヤ2の補強層22は短繊維52を含み、この短繊維52は周方向に配向している。補強層22は、ベルト16に積層されている。補強層22は、ベルト16の動きを拘束する。補強層22がベルト16の端を覆うので、ベルト16のリフティングが効果的に抑えられる。しかもラグ溝46の底におけるトレッド4の厚みtが2.0mm以下に設定されているので、このタイヤ2のトレッド4の部分は蓄熱しにくい。このタイヤ2では、小さな厚みtと補強層22との相乗効果により、高速耐久性の向上が達成される。
前述したように、補強層22はラグ溝46の半径方向内側に位置している。このタイヤ2では、補強層22が短繊維52を含み、この短繊維52が周方向に配向しているので、ラグ溝46の底における亀裂の発生が抑えられる。仮に亀裂が生じてもこの補強層22が、この亀裂の成長を抑えうる。このタイヤ2では、小さな厚みtを採用しているにもかかわらず、トレッドグルーブクラッキング(TGC)の発生が防止される。
本発明によれば、トレッドグルーブクラッキングの発生を防止しつつ、高速耐久性の向上が達成された空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、補強層22の厚みtfは0.3mm以上3.0mm以下が好ましい。この厚みtfが0.3mm以上に設定されることにより、補強層22がタイヤ2の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、TGCの発生が防止されるとともに、高速耐久性の向上が達成される。この観点から、この厚みtfは0.5mm以上がより好ましい。この厚みtfが3.0mm以下に設定されることにより、補強層22によるタイヤ2の剛性への影響が抑えられる。タイヤ2の質量が適切に維持されるので、転がり抵抗の増加が防止される。この観点から、この厚みtfは2.0mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、補強層22のゴム組成物に含まれる短繊維52の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上100質量部以下である。この短繊維52の配合量が1質量部以上に設定されることにより、補強層22が適度な強度を有する。この補強層22は、TGCの発生防止及び高速耐久性の向上に寄与しうる。この観点から、この短繊維52の配合量は、2質量部以上が好ましい。短繊維52の配合量が100質量部以下に設定されることにより、短繊維52とこの短繊維52の周りに存在するゴムとが十分に接合されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維52の配合量は90質量部以下が好ましい。
このタイヤ2では、短繊維52の平均長さLは1μm以上100μm以下である。平均長さLが1μm以上に設定されることにより、補強層22において、短繊維52の周方向への配向が達成される。この補強層22は、TGCの発生防止及び高速耐久性の向上に寄与しうる。この観点から、この平均長さLは5μm以上が好ましい。平均長さLが100μm以下に設定されることにより、短繊維52がマトリクス54に良好に分散しうる上に、短繊維52とこの短繊維52の周りに存在するゴムとが十分に接合されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、平均長さLは90μm以下が好ましい。なお、この平均長さLは、無作為に抽出された100本の短繊維52について計測された長さの平均値で表される。それぞれ短繊維52の長さは、短繊維52を実体顕微鏡で観察しつつ、その一端から他端までの長さを計測することにより得られる。
このタイヤ2では、短繊維52の平均直径Dは、0.04μm以上が好ましい。平均直径Dが0.04μm以上である短繊維52により、補強層22の強度が十分に高められる。マトリクス54への分散性の観点から、平均直径Dは500μm以下が好ましい。なお、この平均直径Dは、無作為に抽出された100本の短繊維52について計測された直径の平均値で表される。この短繊維52の直径は、実体顕微鏡で計測される。
以上説明されたタイヤ2は、次のようにして製造される。この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ2の内面形状に近似されている。
この製造方法では、中子の外面にインナーライナー18が巻かれる。インナーライナー18上に、カーカスプライ36が巻かれる。ビード12が組み合わされた後、サイドウォール6及びクリンチ10が形成される。ベルト16をカーカスプライ36に積層した後、補強層22が形成される。
この製造方法では、補強層22の形成の前に、補強層22のためのゴム組成物を押し出して、図6に示されたストリップ60が形成される。図6中、矢印Bで示された方向はこのストリップ60の長さ方向である。この長さ方向は、ストリップ60の押出方向でもある。
この製造方法では、ストリップ60はその断面形状が矩形状を呈するように成形される。前述したように、補強層22のゴム組成物は短繊維52を含んでいる。したがって、このストリップ60も短繊維52を含んでいる。ストリップ60はゴム組成物を押し出して成形されるので、短繊維52は、このストリップ60において、その押出方向、言い換えれば、その長さ方向に配向している。ここで「長さ方向に配向」とは、短繊維52の長手方向がストリップ60の長さ方向に対してなす角度が20°以下である短繊維52の数の、短繊維52の総数に対する比率が90%以上である場合を意味している。このストリップ60における短繊維52の長手方向がストリップ60の長さ方向に対してなす角度は、前述の、補強層22における角度θの計測方法と同様の方法で計測される。なお、比率の算出においては、ストリップ60の表面に露出した短繊維52の角度が測定される。
この製造方法では、ストリップ60はベルト16の端を覆うように周方向に螺旋状に巻回される。これにより、補強層22が得られる。前述したように、このストリップ60において、短繊維52はその長さ方向に配向している。したがって、この製造方法により得られる補強層22では、短繊維52は周方向に配向している。
この製造方法では、補強層22を形成した後、ベース層28及びキャップ層30が形成される。ベース層28及びキャップ層30は、前述された補強層22と同様、それぞれのゴム組成物から形成されたストリップを用いて形成される。これによりトレッド4が得られ、ローカバー(未架橋タイヤ2)の組み立てが完了する。この製造方法では、ローカバーを組み立てる工程は、成形工程と称される。
この製造方法では、ローカバーは加硫工程に供される。加硫工程では、ローカバーは、モールド(図示されず)に投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ2が得られる。
前述したように、この製造方法では、補強層22はストリップ60を周方向に螺旋状に巻回して形成される。このため、この補強層22には、一枚のシートを用いて補強層を形成した場合のように、シートを巻き回してこのシートの一端とその他端とを継ぎ合わせることにより形成される、継ぎ目はない。この補強層22の形態は、特異でない。この補強層22は、ユニフォミティの向上に寄与しうる。ストリップ60を巻きながら補強層22の形態が整えられるので、ゴムの使用量が適切に維持される上に、補強層22の形態を整えるための工程を別に設ける必要もない。この製造方法は、タイヤ2の質量の増加を防止するとともに、生産性の向上に寄与しうる。
図6において、両矢印Tsは補強層22のためのストリップ60の厚さを表している。両矢印Wsは、このストリップ60の幅を表している。
この製造方法では、生産性及びユニフォミティの向上の観点から、厚みtsは0.3mm以上が好ましく、2.0mm以下が好ましい。幅Wsは、5mm以上が好ましく、50mm以下が好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤ2の各部材の寸法及び角度も、同様にして測定される。
図7には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ62が示されている。図7において、上下方向がタイヤ62の半径方向であり、左右方向がタイヤ62の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ62の周方向である。図7において、一点鎖線CLはタイヤ62の赤道面を表わす。このタイヤ62の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ62は、トレッド64、サイドウォール66、ウィング68、クリンチ70、ビード72、カーカス74、ベルト76、バンド78、インナーライナー80、チェーファー82及び補強層84を備えている。このタイヤ62は、チューブレスタイプである。このタイヤ62は、乗用車に装着される。このタイヤ62では、トレッド64、バンド78及び補強層84以外は、図1に示されたタイヤ2の構成と同等の構成を有している。
トレッド64は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド64は、路面と接地するトレッド面86を形成する。トレッド64には、溝88が刻まれている。この溝88により、トレッドパターンが形成されている。このトレッドパターンは、図2に示されたトレッドパターンと同等である。この図7には、トレッドパターンを構成する溝88のうち、第一主溝90、第二主溝92及びラグ溝94が示されている。第一主溝90及び第二主溝92は、トレッド面86のセンター領域Cに設けられている。第一主溝90及び第二主溝92のそれぞれは、周方向に延在している。ラグ溝94は、このトレッド面86のショルダー領域Sに設けられている。ラグ溝94は、略軸方向に延在している。
トレッド64は、ベース層96とキャップ層98とを有している。ベース層96は、キャップ層98とバンド78との間に位置している。ベース層96は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層96の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層98は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
ベルト76は、トレッド64の半径方向内側に位置している。このベルト76の構成は、図1に示されたタイヤ2のベルト16の構成と同等である。このベルト76は、内側層100及び外側層102からなる。内側層100及び外側層102のそれぞれは、並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。
バンド78は、ベルト76の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド78の幅はベルト76の幅よりも大きい。このバンド78は、フルバンドとも称される。図示されていないが、このバンド78は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド78は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト76が拘束されるので、ベルト76のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
補強層84は、トレッド64とベルト76との間に位置している。詳細には、この補強層84はトレッド64のキャップ層98とバンド78との間に位置している。このタイヤ62では、一対の補強層84が設けられている。それぞれの補強層84は、軸方向において離間して配置されている。この図7に示されたタイヤ62では、補強層84はショルダー領域Sに設けられている。
このタイヤ62では、補強層84はベース層96の軸方向外側に位置している。図示されているように、キャップ層98はベース層96と一対の補強層84とからなる部材に積層されている。このタイヤ62では、補強層84とキャップ層98との間にベース層96は存在していない。なお、トレッド64のベース層96の全体がこの補強層84で構成されてもよい。この場合、トレッド64のキャップ層98が全体として補強層84に積層される。
このタイヤ62では、補強層84とベルト76との間にはバンド78が介在している。補強層84は、バンド78を介してベルト76の端を覆っている。図示されているように、ベルト76の内側層100の端、及び、その外側層102の端のそれぞれは、バンド78及びベルト76で覆われている。
図8は、図1のVIII−VIII線に沿った断面図である。この図8には、トレッド64のラグ溝94の部分が示されている。このVIII−VIII線は、ラグ溝94の底からバンド78までの厚みが最小となる位置を通る直線である。この図8において、上下方向はタイヤ62の半径方向であり、左右方向はタイヤ62の周方向である。図示されているように、補強層84はラグ溝94の半径方向内側に位置している。
この図8において、両矢印tはラグ溝94の底から補強層84までの厚みを表している。この厚みtは、ラグ溝94の底におけるトレッド64の厚みである。両矢印tfは、補強層84の厚みを表している。両矢印tbは、ラグ溝94の底からバンド78までの厚みを表している。この厚みtbは、厚みtと厚みtfとの和(t+tf)に等しい。
このタイヤ62では、厚みtは2.0mm以下である。この厚みtは小さい。これにより、放熱が促される。このタイヤ62のトレッド64の部分は、蓄熱しにくい。このタイヤ62は、高速耐久性に優れる。小さな厚みtは、軽量化に寄与しうる。このタイヤ62では、軽量化も達成されうる。しかも小さな質量は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。この観点から、この厚みtは1.5mm以下が好ましい。この厚みtは小さいほど好ましいので、この厚みtが0.0mmに設定されてもよい。この場合、ラグ溝94の底に補強層84が露出する。
このタイヤ62では、補強層84は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物から形成されている。言い換えれば、この補強層84は、多数の短繊維と、マトリクスとで構成されている。これら短繊維は、マトリクスに分散している。この補強層84において、短繊維は周方向に配向している。短繊維は、補強層84の強度に効果的に寄与しうる。この補強層84のためのゴム組成物は、図1に示されたタイヤ2の補強層22のためのゴム組成物と同等である。
このタイヤ62では、補強層84は短繊維を含み、この短繊維は周方向に配向している。このタイヤ62では、補強層84はバンド78に積層されている。このタイヤ62では、補強層84は、バンド78とともに、ベルト76の動きを拘束する。このタイヤ62では、ベルト76のリフティングが効果的に抑えられる。しかもラグ溝94の底におけるトレッド64の厚みtが2.0mm以下に設定されているので、このタイヤ62のトレッド64の部分は蓄熱しにくい。このタイヤ62では、小さな厚みtと補強層84との相乗効果により、高速耐久性の向上が達成される。
前述したように、補強層84はラグ溝94の半径方向内側に位置している。このタイヤ62では、補強層84が短繊維を含み、この短繊維が周方向に配向しているので、ラグ溝94の底における亀裂の発生が抑えられる。仮に亀裂が生じてもこの補強層84が、この亀裂の成長を抑えうる。このタイヤ62では、小さな厚みtを採用しているにもかかわらず、トレッドグルーブクラッキング(TGC)の発生が防止される。
このタイヤ62では、補強層84の厚みtfは0.3mm以上3.0mm以下が好ましい。この厚みtfが0.3mm以上に設定されることにより、補強層84がタイヤ62の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ62では、TGCの発生が防止されるとともに、高速耐久性の向上が達成される。この観点から、この厚みtfは0.5mm以上がより好ましい。この厚みtfが3.0mm以下に設定されることにより、補強層84によるタイヤ62の剛性への影響が抑えられる。タイヤ62の質量が適切に維持されるので、転がり抵抗の増加が防止される。この観点から、この厚みtfは2.0mm以下がより好ましい。
このタイヤ62では、補強層84のゴム組成物に含まれる短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上100質量部以下である。この短繊維の配合量が1質量部以上に設定されることにより、補強層84が適度な強度を有する。この補強層84は、TGCの発生防止及び高速耐久性の向上に寄与しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、2質量部以上が好ましい。短繊維の配合量が100質量部以下に設定されることにより、短繊維とこの短繊維の周りに存在するゴムとが十分に接合されうる。このタイヤ62は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は90質量部以下が好ましい。
このタイヤ62では、短繊維の平均長さLは1μm以上100μm以下である。平均長さLが1μm以上に設定されることにより、補強層84において、短繊維の周方向への配向が達成される。この補強層84は、TGCの発生防止及び高速耐久性の向上に寄与しうる。この観点から、この平均長さLは5μm以上が好ましい。平均長さLが100μm以下に設定されることにより、短繊維がマトリクスに良好に分散しうる上に、短繊維とこの短繊維の周りに存在するゴムとが十分に接合されうる。このタイヤ62は、耐久性に優れる。この観点から、平均長さLは90μm以下が好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。タイヤのサイズは、195/65R15とされた。この実施例1のベルトに含まれるコードの材質は、スチールとされた。この実施例1には、バンドは設けられていない。
この実施例1のタイヤには、一対の補強層が設けられた。それぞれの補強層は、ショルダー領域に配置された。このことが、表中、「タイプ」の欄に「part」で表されている。補強層には、ナイロン繊維からなる短繊維が配合された。短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部とされた。短繊維の平均長さLは、10μmとされた。補強層の厚みtfは、1.0mmとされた。ラグ溝の底から補強層までの厚みtは、1.0mmとされた。したがって、ラグ溝の底からベルトまでの厚みtbは、2.0mmであった。
この実施例1の補強層は、補強層のためのゴム組成物からなるストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成された。このことが、表中、「プロセス」の欄に「new」で表されている。補強層は、短繊維が周方向に配向するように構成された。このことが、表中、「配向」の欄に、「Y」で表されている。
[比較例1−2及び5]
補強層を設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例1−2及び5のタイヤを得た。下記の表1に示されているように、比較例1では、厚みtは2.0mmとされた。比較例2では、厚みtを3.0mmに設定するとともに、バンドが設けられた。このバンドは、ナイロン繊維からなるコードを含んでいる。このことが、表中、「バンド」の欄に「N−FB」で表されている。下記の表3に示されているように、比較例5では、厚みtは1.0mmとされた。
[比較例3]
ストリップの形成のための押し出し条件を調節して、補強層に含まれる短繊維を周方向に配向させなかった他は実施例1と同様にして、比較例3のタイヤを得た。短繊維が周方向に配向していないことが、表中、「配向」の欄に「N」で表されている。
[実施例2−5及び比較例4]
厚みt及び厚みtbを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−5及び比較例4のタイヤを得た。
[実施例6−9]
厚みtf及び厚みtbを下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−9のタイヤを得た。
[実施例10−12及び比較例6−7]
配合量を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例10−12及び比較例6−7のタイヤを得た。
[実施例13−14及び比較例8−9]
長さLを下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例13−14及び比較例8−9のタイヤを得た。
[実施例15]
一の補強層でベルトの全体が覆われるように構成させた他は実施例1と同様にして、実施例15のタイヤを得た。一の補強層でベルトの全体が覆われていることが、表中、「タイプ」の欄に、「all」で表されている。
[実施例16−17]
一のシートを巻回しこのシートの一端とその他端とを継ぎ合わせて補強層を形成した他は実施例1と同様にして、実施例16−17のタイヤを得た。従来の製造方法でタイヤを製造させたことが、表中、「プロセス」の欄に、「old」で表されている。なお、実施例16では、短繊維の配合量が2質量部に設定されている。
[実施例18]
図7に示された基本構成を備え、下記の表7に示された仕様を備えた実施例18の空気入りタイヤを得た。タイヤのサイズは、195/65R15とされた。この実施例18のベルトに含まれるコードの材質は、スチールとされた。この実施例18には、バンドが設けられた。このバンドは、ナイロン繊維からなるコードを含んでいる。このことが、表中、「バンド」の欄に「N−FB」で表されている。
この実施例18のタイヤには、実施例1と同様、一対の補強層が設けられた。それぞれの補強層は、ショルダー領域に配置された。このことが、表中、「タイプ」の欄に「part」で表されている。補強層には、ナイロン繊維からなる短繊維が配合された。短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部とされた。短繊維の平均長さLは、10μmとされた。補強層の厚みtfは、2.0mmとされた。ラグ溝の底から補強層までの厚みtは、1.0mmとされた。したがって、ラグ溝の底からベルトまでの厚みtbは、3.0mmであった。
この実施例18の補強層は、補強層のためのゴム組成物からなるストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成された。このことが、表中、「プロセス」の欄に「new」で表されている。補強層は、短繊維が周方向に配向するように構成された。このことが、表中、「配向」の欄に、「Y」で表されている。
[比較例10−12及び15]
補強層を設けなかった他は実施例18と同様にして、比較例10−12及び15のタイヤを得た。下記の表7に示されているように、比較例10では、厚みtは2.5mmとされた。比較例11では、厚みtは3.0mmとされた。比較例12では、厚みtを4.0mmに設定するとともに、バンドが2層とされた。このことが、表中、「バンド」の欄に「N−2FB」で表されている。下記の表9に示されているように、比較例15では、厚みtは2.0mmとされた。
[比較例13]
ストリップの形成のための押し出し条件を調節して、補強層に含まれる短繊維を周方向に配向させなかった他は実施例18と同様にして、比較例13のタイヤを得た。短繊維が周方向に配向していないことが、表中、「配向」の欄に「N」で表されている。
[実施例19−22及び比較例14]
厚みt及び厚みtbを下記の表8の通りとした他は実施例18と同様にして、実施例19−22及び比較例14のタイヤを得た。
[実施例23−26]
厚みtf及び厚みtbを下記の表9の通りとした他は実施例18と同様にして、実施例23−26のタイヤを得た。
[実施例27]
配合量を下記の表10の通りとした他は実施例18と同様にして、実施例27のタイヤを得た。
[実施例28]
一の補強層でベルトの全体が覆われるように構成させた他は実施例18と同様にして、実施例28のタイヤを得た。一の補強層でベルトの全体が覆われていることが、表中、「タイプ」の欄に、「all」で表されている。この実施例28では、トレッドのベース層が補強層で構成されている。
[高速耐久性]
ECE30規格に準拠し、高速耐久性について、評価を行った。試作タイヤに損傷が生じた速度V(km/h)を得た。この結果が、下記表1から10に示されている。実施例1−17及び比較例1−9のタイヤでは、210km/hの速度(JATMA規格の速度記号「H」に相当)で損傷が認められなかった場合が合格「OK」とされた。このHレンジで損傷が認められた場合が不合格「NG」とされた。実施例18−28及び比較例10−15のタイヤでは、240km/hの速度(JATMA規格の速度記号「V」に相当)で損傷が認められなかった場合が合格「OK」とされた。このVレンジで損傷が認められた場合が不合格「NG」とされた。
[耐TGC]
試作タイヤを正規リムに組み込み正規内圧とし、これを温度が30℃に調整されたオゾン(濃度=50ppm)の雰囲気下に3日放置した後、このタイヤのラグ溝を観察し、トレッドグルーブクラッキング(TGC)の発生の有無を確認し、下記の格付けを行った。
A:亀裂なし
B:1mm未満の幅及び1cm未満の長さを有する亀裂が数本
C:1mm未満の幅及び1cm未満の長さを有する亀裂が多数本(計数不能)
D:1mm以上の幅及び1cm以上の長さを有する亀裂が数本
E:1mm以上の幅及び1cm以上の長さを有する亀裂が多数本(計数不能)
この結果が、下記の表1から10に示されている。「A」及び「B」が合格レベルである。
[転がり抵抗]
転がり抵抗試験機を用い、下記の測定条件で転がり抵抗を測定した。
使用リム:15×6−J(アルミニウム合金製)
内圧:200kPa
荷重:4.41kN
速度:50km/h
この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1から10に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1から10に示されている。数値が小さいほど好ましい。
[ユニフォミティ]
「JASO C607:2000」に規定されたユニフォミティ試験の条件に準拠して、ラジアル・フォース・バリエーション(RFV)を測定した。各試作タイヤについて20本ずつ測定を行い、RFVの平均値を得た。この平均値に基づいて、ユニフォミティを評価した。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1から10に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[製造時間]
一本のタイヤの製造に要する時間を計測した。その結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1から10に、示されている。数値が小さいほど好ましい。
Figure 0006253141
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表1から10に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された空気入りタイヤは、種々の車両にも装着されうる。
2、62・・・タイヤ
4、64・・・トレッド
16、76・・・ベルト
22、84・・・補強層
24、86・・・トレッド面
26、88・・・溝
28、96・・・ベース層
30、98・・・キャップ層
38、100・・・内側層
40、102・・・外側層
46、94・・・ラグ溝
52・・・短繊維
54・・・マトリクス
78・・・バンド

Claims (1)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、上記トレッドの半径方向内側に位置するベルトと、上記トレッドと上記ベルトとの間に位置する補強層とを備えており、
    上記ベルトが並列された多数のコードを含んでおり、それぞれのコードが赤道面に対して傾斜しており、
    上記トレッド面のショルダー領域に、略軸方向に延在するラグ溝が刻まれており、
    上記補強層がゴム組成物から形成されており、
    上記ゴム組成物が基材ゴム及び短繊維を含んでおり、
    上記短繊維の長さが1μm以上100μm以下であり、
    上記ゴム組成物に含まれる上記短繊維の配合量が基材ゴム100質量部に対して1質量部以上100質量部以下であり、
    上記補強層が上記ラグ溝の半径方向内側に位置しており、
    上記補強層において、上記短繊維が周方向に配向しており、
    上記ラグ溝の底から上記補強層までの厚みtが1.0mm以下である、空気入りタイヤ。
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