以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ32が示されている。図1において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ32の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ32の赤道面を表わす。このタイヤ32の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ32が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。両矢印Hは、ビードベースラインからタイヤ32の赤道までの半径方向距離を表している。この距離Hは、このタイヤ32の断面高さである。符号Phで示されているのは、ビードベースラインからの半径方向距離(図中の両矢印Hh)が断面高さHの半分となる、このタイヤ32の外面上の位置である。この符号Phは、このタイヤ32の断面高さHの半分の高さに相当する位置を表している。
このタイヤ32は、トレッド34、サイドウォール36、クリンチ38、ビード40、カーカス42、ベルト44、バンド46、インナーライナー48、チェーファー50及び荷重支持層52を備えている。このタイヤ32は、チューブレスタイプである。このタイヤ32は、乗用車に装着される。
トレッド34は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド34の外面は、路面と接地するトレッド面54を形成する。トレッド面54には、溝56が刻まれている。この溝56により、トレッドパターンが形成されている。トレッド34は、ベース層58とキャップ層60とを有している。ベース層58は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層58の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層60は、ベース層58の半径方向外側に位置している。キャップ層60は、ベース層58に積層されている。キャップ層60は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール36は、トレッド34の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール36は、軸方向においてカーカス42よりも外側に位置している。このサイドウォール36は、その半径方向外側端において、トレッド34と接合されている。このサイドウォール36は、その半径方向内側端において、クリンチ38と接合されている。サイドウォール36は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール36は、カーカス42の損傷を防止する。
このタイヤ32では、サイドウォール36の硬度は40以上75以下が好ましい。この硬度が40以上に設定されることにより、サイドウォール36がタイヤ32の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ32は、操縦安定性に優れる。この観点から、この硬度は45以上がより好ましい。この硬度が75以下に設定されることにより、このタイヤ32の剛性過大が効果的に抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬度は65以下がより好ましい。
本願において、硬度はJIS−A硬度である。この硬度は、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、硬度は、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
クリンチ38は、サイドウォール36よりも半径方向略内側に位置している。クリンチ38は、軸方向において、ビード40及びカーカス42よりも外側に位置している。クリンチ38は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ38は、リム(図示されず)のフランジと当接する。
ビード40は、サイドウォール36よりも半径方向略内側に位置している。ビード40は、クリンチ38よりも軸方向内側に位置している。
このタイヤ32では、ビード40は、第一コア62aと、第二コア62bと、エイペックス64とを備えている。詳細には、このタイヤ32のビード40は、第一コア62a、第二コア62b及びエイペックス64から構成されている。
第一コア62aは、軸方向においてカーカス42よりも内側に位置している。第一コア62aは、リング状であり、巻回された非伸縮性の第一ワイヤー66aを含む。このタイヤ32の第一コア62aは、第一ワイヤー66aを略周方向に巻き回すことにより形成されている。第一ワイヤー66aは、渦巻き状に巻かれている。第一ワイヤー66aの典型的な材質は、スチールである。
第二コア62bは、軸方向において第一コア62aよりも外側に位置している。第二コア62bは、軸方向においてカーカス42よりも外側に位置している。第二コア62bはリング状であり、巻回された非伸縮性の第二ワイヤー66bを含む。このタイヤ32の第二コア62bは、第二ワイヤー66bを略周方向に巻き回すことにより形成されている。第二ワイヤー66bは、渦巻き状に巻かれている。第二ワイヤー66bの典型的な材質は、スチールである。このタイヤ32では、第二ワイヤー66bは第一ワイヤー66aと同等である。
エイペックス64は、第二コア62bから半径方向略外向きにカーカス42に沿って延びている。このタイヤ32では、エイペックス64の半径方向外側端64eは位置Phの近傍に位置している。この外側端64eは、半径方向において、この位置Phと一致していてもよい。この外側端64eがこの位置Phよりも半径方向外側に位置してもよい。図示されているように、この外側端64eがこの位置Phよりも半径方向内側に位置してもよい。
カーカス42は、カーカスプライ68を備えている。このタイヤ32のカーカス42は、一枚のカーカスプライ68からなる。このカーカス42が2枚以上のカーカスプライ68から形成されてもよい。カーカスプライ68は、両側のビード40の間に架け渡されている。カーカスプライ68は、トレッド34及びサイドウォール36の内側に沿っている。このタイヤ32では、カーカスプライ68の端部はビード40の第一コア62aとその第二コア62bとの間に挟まれている。
このタイヤ32では、カーカス42の形成に際し、従来のタイヤ2のように、カーカスプライ68を折り返す必要はない。このタイヤ32では、カーカス42の形成は容易である。このカーカス42は、生産性の向上に寄与しうる。
図示されていないが、カーカスプライ68は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス42はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト44は、カーカス42の半径方向外側に位置している。ベルト44は、カーカス42と積層されている。ベルト44は、カーカス42を補強する。ベルト44は、内側層70a及び外側層70bからなる。図から明らかなように、軸方向において、内側層70aの幅は外側層70bの幅よりも若干大きい。このタイヤ32では、内側層70aの端70aeがベルト44の端である。ベルト44の軸方向幅は、タイヤ32の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト44が、3以上の層70を備えてもよい。
図示されていないが、内側層70a及び外側層70bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層70aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層70bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド46は、ベルト44の半径方向外側に位置している。このタイヤ32では、バンド46の軸方向幅はベルト44の軸方向幅よりも若干大きい。図示されていないが、バンド46はコードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド46は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト44が拘束されるので、ベルト44のリフティングが抑制される。ベルト44が効果的に拘束されるとの観点から、バンド46の軸方向幅はベルト44の軸方向幅の0.9倍以上1.1倍以下が好ましい。このタイヤ32では、バンド46のコードは有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー48は、カーカス42の内側に位置している。このインナーライナー48は、タイヤ32の内面を形成している。インナーライナー48は、架橋ゴムからなる。インナーライナー48には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー48の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー48は、タイヤ32の内圧を保持する。
チェーファー50は、ビード40の近傍に位置している。タイヤ32がリムに組み込まれると、チェーファー50はリムと当接する。この当接により、ビード40の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー50はクリンチ38と一体である。したがって、このタイヤ32では、チェーファー50の材質はクリンチ38の材質と同じである。このチェーファー50が、布とこの布に含浸したゴムとからなってもよい。
荷重支持層52は、サイドウォール36よりも軸方向内側に位置している。荷重支持層52は、カーカス42よりもさらに軸方向内側に位置している。荷重支持層52は、インナーライナー48よりも軸方向外側に位置している。荷重支持層52は、半径方向略外向きに先細りな形状を呈している。この荷重支持層52の半径方向外側端52eは、軸方向において、ベルト44の外側層70bの端70beよりも内側に位置している。
このタイヤ32では、荷重支持層52はゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
荷重支持層52のゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、荷重支持層52の強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
このタイヤ32では、荷重支持層52に含まれる短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下が好ましい。この短繊維の配合量が5質量部以上に設定されることにより、荷重支持層52が適度な強度を有する。この荷重支持層52は、タイヤ32の剛性に寄与しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、15質量部以上がより好ましく、25質量部以上ががさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましい。この短繊維の配合量が60質量部以下に設定されることにより、荷重支持層52がインナーライナー48及びカーカス42のそれぞれと十分に接合されうる。このタイヤ32は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は55質量部以下がより好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、荷重支持層52のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、荷重支持層52のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
荷重支持層52のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。荷重支持層52の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。荷重支持層52の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
荷重支持層52のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。荷重支持層52の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。荷重支持層52の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
荷重支持層52のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
図2には、図1のタイヤ32の一部が示されている。この図2には、荷重支持層52の設けられている部分が拡大して示されている。この図2において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ32の周方向である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。この図3には、荷重支持層52の一部が示されている。この図3において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の周方向である。
図示されているように、荷重支持層52は、多数の短繊維72と、マトリクス74とで構成されている。換言すれば、この荷重支持層52は繊維補強ゴム(FRR)からなる。これら短繊維72は、マトリクス74に分散している。これら短繊維72の長手方向は、略周方向に沿っている。この荷重支持層52において、短繊維72は周方向に配向している。短繊維72は、荷重支持層52の強度に効果的に寄与しうる。
図4は、図3の荷重支持層52の短繊維72が示された模式図である。図4において、左右方向が周方向である。矢印θで示されているのは、短繊維72の角度である。角度θは、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。直線X1は、周方向に延びている。直線X2は、短繊維72の一端76a及び他端76bを通過している。この角度θは、短繊維72の長手方向が周方向に対してなす角度である。角度θは、0°以上90°以下である。なお、図4中、両矢印Lで示されているのが繊維長である。この繊維長Lは、一端76aから他端76bまでの長さが計測されることにより得られる。
荷重支持層52がタイヤ32の剛性に効果的に寄与しうるとの観点から、角度θが20°以下である短繊維72の数の、短繊維72の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。比率の算出においては、荷重支持層52の、周方向に沿った断面に露出した短繊維72の角度が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維72について、角度θの測定がなされる。なお、角度θが20°以下である短繊維72の数の、短繊維72の総数に対する比率が90%以上である場合が、荷重支持層52における短繊維72が周方向に配向している状態である。
このタイヤ32では、短繊維72が効果的に荷重支持層52の強度を高めるとの観点から、短繊維72の平均長さL(図4参照)は、20μm以上が好ましい。平均長さLが20μm以上である短繊維72により、荷重支持層52が十分に補強される。マトリクス74への分散性の観点から、平均長さLは5000μm以下が好ましい。
短繊維72の平均直径Dは、0.04μm以上が好ましい。平均直径Dが0.04μm以上である短繊維72により、荷重支持層52の強度が十分に高められる。マトリクス74への分散性の観点から、平均直径Dは500μm以下が好ましい。
短繊維72のアスペクト比(L/D)は、10以上が好ましい。アスペクト比(L/D)が10以上である短繊維72により、荷重支持層52の強度が十分に高められる。マトリクス74への分散性の観点から、アスペクト比(L/D)は500以下が好ましい。
このタイヤ32では、短繊維72が荷重支持層52を効果的に補強する。この荷重支持層52は、タイヤ32の剛性に寄与しうる。このタイヤ32では、サイドウォール36の軸方向内側において、カーカス42とインナーライナー48との間に、この荷重支持層52は位置している。このタイヤ32では、パンクによってその内圧が低下した場合、荷重支持層52が車重を支えうる。これにより、内圧が低い場合でも、タイヤ32はある程度の距離を走行しうる。このタイヤ32は、ランフラットタイヤである。このタイヤ32は、サイド補強型である。この荷重支持層52は、パンクによってタイヤ32の内圧が低下した場合における、このタイヤ32の耐久性(ランフラット耐久性とも称されている。)に効果的に寄与しうる。
このタイヤ32では、荷重支持層52に含まれる短繊維72が質量に与える影響は小さい。このタイヤ32では、質量の増加を抑えつつ、荷重支持層52の効果的な補強が達成されている。
このタイヤ32では、荷重支持層52に含まれる短繊維72が周方向に配向しているので、荷重支持層52による、サイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられている。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。
このタイヤ32では、短繊維72が荷重支持層52を補強するので、薄い荷重支持層52の採用が可能である。このタイヤ32では、優れたランフラット耐久性及び操縦安定性を維持しつつ、軽量化が達成されうる。薄い荷重支持層52は縦バネ定数への影響を抑えるので、この場合、良好な乗り心地が得られる。
このタイヤ32では、荷重支持層52の硬度は60以上85以下が好ましい。この硬度が60以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ32の内圧が低下した場合、この荷重支持層52が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この硬度は65以上がより好ましい。この硬度が85以下に設定されることにより、荷重支持層52によるサイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬度は80以下がより好ましい。この硬度は、前述された、サイドウォール36の硬度と同様にして測定される。
このタイヤ32では、前述の通り、荷重支持層52はカーカスよりも軸方向内側に位置している。ビード40のエイペックス64は、クリンチ38の軸方向内側において、荷重支持層52よりも軸方向外側に位置している。このエイペックス64は、荷重支持層52をその半径方向内側から支えうる。このエイペックス64は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。
このタイヤ32では、エイペックス40は軸方向に積層された複数の層78から構成されている。図1に示されているように、このタイヤ32のエイペックス64は第一層78aと、この第一層78aの軸方向外側に位置する第二層78bとから構成されている。言い換えれば、このエイペックス64は、第一層78aを含み軸方向に積層された2の層78から構成されている。これらの層78のうち第一層78aは、カーカスプライ68に積層されている。第二層78bは、この第一層78aに積層されている。このエイペックス64が、カーカスプライ68に積層された第一層78aのみから構成されてもよい。
図1において、両矢印L1は第一層78aの長さを表している。この長さL1は、第一層78aの半径方向内端80aからその半径方向外端80bまでの長さを第一層78aの軸方向外面に沿って計測することにより得られる。両矢印L2は、第一層78aと重複している第二層78bの長さを表している。この重複長さL2は、第一層78aの内端80aから第二層78bの半径方向外端82の位置に相当する第一層78aの外面上の位置までの長さを第一層78aの外面に沿って計測することにより得られる。この長さL1とこの重複長さL2との差(L1−L2)は、第一層78aのうち、第二層78bと重複していない部分の長さを表す。
このタイヤ32では、第二層78bの重複長さL2は第一層78aの長さL1よりも小さい。言い換えれば、第二層78bは軸方向において第一層78aの一部と重複している。詳細には、第二層78bは第一層78aの半径方向内側部分と重複している。このタイヤ32では、第二層78bの重複長さL2が第一層78aの長さL1と等しくなるように、言い換えれば、第二層78bが第一層78aの全体と重複するように、エイペックス64が構成されてもよい。
本願においては、エイペックス64における層78の重複状態が「ラップ数」という概念で表される。このラップ数では、第一層78aの一部と重複している層78の存在が考慮される。図1に示されたタイヤ32のエイペックス64に基づいて、この「ラップ数」について説明すると、このエイペックス64を構成する層78のラップ数は、長さL1に対する差(L1−L2)の比を、エイペックス64を構成する層78の合計数から減じることにより表される。図1に示されたタイヤ32では、エイペックス64を構成する層78の合計数は「2」である。第一層78aの長さL1に対する第二層78bの重複長さL2の比は「0.5」であるので、長さL1に対する差(L1−L2)の比は「0.5」である。したがって、このエイペックス64におけるラップ数は、「1.5」となる。なお、このタイヤ32のエイペックス64において、第二層78bが第一層78aの全体と重複する場合は、重複長さL2は長さL1と等しいので、ラップ数は「2」となる。そして、エイペックスが第一層78aのみで構成される場合のラップ数は「1」である。
このタイヤ32では、ランフラット耐久性及び操縦安定性の観点から、前述されたラップ数は1以上が好ましい。エイペックス64による、質量及び乗り心地への影響が抑えられるとの観点から、このラップ数は3以下が好ましい。
図5には、このタイヤ32のエイペックス64が拡大して示されている。図5において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ32の周方向である。このタイヤ32では、エイペックス64をなす各層78は長尺のリボン84を用いて形成されている。
図6には、エイペックス64のためのリボン84が示されている。図6の矢印Aは、リボン84の長さ方向を表している。
このタイヤ32のエイペックス64のためのリボン84は、その幅方向に並列された5本のコード86と、トッピングゴム88とからなる。それぞれのコード86は、リボン84の長さ方向に延在している。このリボン84は、その長さ方向に延在するコード86を含んでいる。
このタイヤでは、エイペックス64はリボン84を渦巻き状に巻回すことにより形成されている。具体的には、このリボン84を用いて、エイペックス64の第一層78aが形成される。第一層78aの形成後、このリボン84を用いて第二層78bが形成される。
図示されていないが、第一層78aの形成では、リボン84の先端がカーカスプライ68に積層される。このとき、リボン84の外縁は前述の位置Phの近傍に配置される。リボン84は、カーカスプライ68に沿って、渦巻き状に巻回される。図7(a)に示されているように、カーカスプライ68に積層するリボン84の外縁90aは、このカーカスプライ68に積層されているリボン84の内縁90bと継ぎ合わされる。この第一層78aの形成のためのリボン84の巻回しは、積層するリボン84の内縁90bが第二コア62bの内側層92aに到達するまで、続けられる。これにより、第一層78aが得られる。
第二層78bの形成では、第一層78aにリボン84がさらに積層される。このとき、図7(b)に示されているように、リボン84の内縁90bが第二コア62bの外側層92bと当接させられる。リボン84は、第一層78aに沿って、渦巻き状に巻回される。第一層78aに積層するリボン84の内縁90bは、この第一層78aに積層されているリボン84の外縁90aと継ぎ合わされる。この第二層78bの形成のためのリボン84の巻回しは、前述された、第一層78aの長さL1に対する第二層78bの重複長さL2の比が「0.5」となる位置まで続けられる。これにより、第二層78bが得られる。
このタイヤ32では、半径方向外側から内側に向かってリボン84を渦巻き状に巻回すことにより第一層78aが形成され、半径方向内側から外側に向かってリボン84を渦巻き状にさらに巻回すことにより第二層78bが形成される。半径方向内側から外側に向かってリボン84を渦巻き状に巻回すことにより第一層78aを形成し、半径方向外側から内側に向かってリボン84を渦巻き状に巻回すことにより第二層78bを形成してもよい。リボン84の一部を重複させつつこのリボン84を渦巻き状に巻回して、第一層78a及び/又は第二層78bを形成してもよい。
前述したように、リボン84に含まれるコード86はこのリボン84の長さ方向に延在している。エイペックス64におけるリボン84は、略周方向に延在している。このエイペックス64において、リボン84は渦巻き状に巻き回されている。したがって、このエイペックス64は、略周方向に延在しつつ渦巻き状に巻回されたコード86を含んでいる。このコード86は、エイペックス64を効果的に補強する。このエイペックス64は、架橋ゴムからなる従来のエイペックス28よりも高い剛性を有する。このエイペックス64は、荷重支持層52を十分に支えうる。このエイペックス64は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。コード86が略周方向に延在しているので、このエイペックス64による縦バネ定数への影響は小さい。このタイヤ32では、エイペックス64による乗り心地への影響が効果的に抑えられている。本発明によれば、質量の増加を抑えつつ、パンクによって内圧が低下した場合における、耐久性を向上させるとともに、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤ32が得られる。
このタイヤ32では、リボン84に含まれるコード86の本数は1本以上である。生産性の観点から、このコード86の本数は3本以上が好ましい。タイヤ32の性能への影響が抑えられるとの観点から、このコード86の本数は15本以下が好ましい。
リボン84に複数本のコード86が含まれる場合、一のコード86aとこの一のコード86aの隣に位置する他のコード86bとの間隔(図6中の、両矢印DR)は、エイペックス64の剛性に寄与しうる。適度な剛性を有するエイペックス64が得られるとの観点から、この間隔DRは0.8mm以上が好ましく、1.2mm以下が好ましい。なお、本願においてこの間隔DRは、一のコード86aの中心から、この一のコード86aの隣に位置する他のコード86bの中心までの距離で表される。
このタイヤ32では、エイペックス64に含まれるコード86は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。このコード86として、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたハイブリッドコードが用いられてもよい。このハイブリッドコードとしては、ナイロン繊維とアラミド繊維との組み合わせで構成されたコード86が好ましい。このコード86の材質がスチールとされてもよい。
以上説明されたタイヤ32は、次のようにして製造される。この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ32の内面形状に近似されている。
この製造方法では、中子の外面にインナーライナー48が巻かれる。荷重支持層52のゴム組成物が押し出され、図8に示されたストリップ94が形成される。図8中、矢印Bで示された方向はこのストリップ94の長さ方向である。この長さ方向は、ストリップ94の押出方向でもある。
この製造方法では、ストリップ94はその断面形状が矩形状を呈するように成形される。前述したように、荷重支持層52のゴム組成物は短繊維72を含んでいる。したがって、このストリップ94も短繊維72を含んでいる。ストリップ94はゴム組成物を押し出して成形されるので、短繊維72は、このストリップ94において、その押出方向、言い換えれば、その長さ方向に配向している。ここで「長さ方向に配向」とは、長手方向がストリップ94の長さ方向に対してなす角度が20°以下である短繊維72の数の、短繊維72の総数に対する比率が90%以上である場合を意味している。このストリップ94における短繊維72の長手方向がストリップ94の長さ方向に対してなす角度は、前述の、荷重支持層52における角度θの計測方法と同様の方法で計測される。なお、比率の算出においては、ストリップ94の表面に露出した短繊維72の角度が、測定される。
この製造方法では、ストリップ94はインナーライナー48上に巻回される。これにより、タイヤ32のサイドウォール36の部分に相当する部分に、架橋により荷重支持層52をなす要素が形成される。
この製造方法では、荷重支持層52をなす要素が形成されると、この要素にビード40の一部をなす第一コア62aが組み合わされる。インナーライナー48に、荷重支持層52をなす要素及び第一コア62aが組み合わされたものの外側に、カーカスプライ68が形成される。このカーカスプライ68の端部に、ビード40の他の一部をなす第二コア62bが組み合わされる。前述されたリボン84を巻き回して、エイペックス64が形成される。ベルト44、サイドウォール36、トレッド34等がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。この製造方法では、ローカバーが組み立てられる工程は成形工程と称されている。
この製造方法では、中子の外面において荷重支持層52をはじめとする多数の要素が組み合わされてローカバーが得られる。言い換えれば、ローカバーは中子の外面において組み立てられる。前述したように、中子の外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ32の内面形状に近似されている。この製造方法では、従来の製造方法のようなローカバーのシェーピングは不要である。この製造方法では、成形工程においてローカバーは引き延ばされない。
ローカバーは、開かれたモールドに投入される。この製造方法では、ローカバーは中子に組み合わされた状態でモールドに投入される。したがって、モールドに投入されたローカバーの内側には、中子が位置している。
この製造方法では、図9に示されているように、モールド(図中の符号M)が締められると、ローカバー(図中の符号R)はモールドMのキャビティ面96と中子(図中の符号N)の外面98とに挟まれて加圧される。ローカバーRは、中子N及びモールドMからの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーRのゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ32が得られる。このタイヤ32は、ローカバーRをモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより形成される。この製造方法では、ローカバーRが加圧及び加熱される工程は架橋工程と称される。
前述したように、この製造方法では、ローカバーRは中子Nに組み合わされた状態でモールドMに投入され、モールドMのキャビティ面96と中子Nの外面98とに挟まれて加圧及び加熱される。この製造方法では、従来の製造方法で使用されるブラダーは不要である。この製造方法では、架橋工程においてローカバーRは引き延ばされない。
このタイヤ32の荷重支持層52は、短繊維72を含むゴム組成物からなる要素をモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより形成される。前述したように、この製造方法では、成形工程においてローカバーRは引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーRは引き延ばされない。このため、荷重支持層52のためのストリップ94が、加硫工程において、ブラダーを用いて3%引き延ばしてローカバーをモールドに押し当てていた、従来の製造方法では、使用できない程度に、多量の短繊維72を含んでいても、この製造方法では、このストリップ94から荷重支持層52が形成され、ローカバーRが得られる。そして、このローカバーRからタイヤ32が得られる。このタイヤ32では、従来タイヤ2の荷重支持層16よりも短繊維72を多く含む荷重支持層52の採用が可能である。このタイヤ32の荷重支持層52では、短繊維72による効果が最大限に発揮される。この製造方法によれば、多量の短繊維72を含有する荷重支持層52を備えたタイヤ32が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ32では、荷重支持層52はストリップ94を周方向に螺旋状に巻回して形成される。この荷重支持層52には、一枚のシートを用いて形成された従来の荷重支持層16のように、シートを巻き回して、このシートの一端とその他端とを継ぎ合わせることにより形成される、継ぎ目はない。この荷重支持層52の形態は、特異でない。しかもローカバーRを引き延ばすことなくタイヤ32が得られるので、このタイヤ32の製造方法では、荷重支持層52の形態変化が効果的に抑えられる。この荷重支持層52は、周方向において一様な形態を有する。この荷重支持層52は、ランフラット耐久性の向上に寄与しうる。
前述したように、このタイヤ32のローカバーは、成形工程及び加硫工程において、従来のタイヤのローカバーのように引き延ばされない。このため、この製造方法では、従来の製造方法において採用できなかった、略周方向に延在するコード86を含むエイペックス64を有するローカバーRを形成でき、このローカバーRからタイヤ32が得られる。この製造方法によれば、荷重支持層52と、荷重支持層52をその半径方向内側から支えうるエイペックス64との相乗効果により、乗り心地を損なうことなく、ランフラット耐久性及び操縦安定性が格段に向上されたタイヤ32が得られる。しかもこのタイヤ32のエイペックス64はジョイントレス構造を有しているので、従来のタイヤ2で散見された継ぎ目による、耐久性低下等の弊害が防止される。この製造方法によれば、タイヤ32の品質が一層向上しうる。
図1において、両矢印HJはビードベースラインからエイペックス64の外側端64eまでの半径方向高さを表している。両矢印eは、位置Phにおける荷重支持層52の厚さを表している。両矢印Eは、位置Phにおけるサイドウォール36の厚さを表している。
このタイヤ32では、高さHJの断面高さHに対する比は0.2以上0.7以下が好ましい。この比が0.2以上に設定されることにより、エイペックス64が剛性に寄与しうる。このタイヤ32は、操縦安定性及びランフラット耐久性に優れる。この観点から、この比は0.35以上がより好ましい。この比が0.7以下に設定されることにより、このエイペックス64による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ32は、乗り心地に優れる。
このタイヤ32では、荷重支持層52の厚さeは1mm以上15mm以下が好ましい。この厚さeが1mm以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ32の内圧が低下した場合、この荷重支持層52が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚さeは3mm以上がより好ましい。この厚さeが15mm以下に設定されることにより、荷重支持層52による、サイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。しかもこの厚みeが過大でないので、タイヤ32の質量が適切に維持される。この観点から、この厚みeは12mm以下がより好ましい。さらに好ましくは、この厚みeは10mm以下である。
このタイヤ32では、サイドウォール36の厚さEは1mm以上10mm以下が好ましい。この厚さEが1mm以上に設定されることにより、サイドウォール36がカーカス42の保護に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚さEは2mm以上がより好ましい。この厚さEが10mm以下に設定されることにより、サイドウォール36による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。しかもこの厚みEが過大でないので、タイヤ32の質量が適切に維持される。この観点から、この厚みEは7mm以下がより好ましい。
このタイヤ32では、サイドウォール36の厚さEに対する荷重支持層52の厚さeの比は1以上5以下が好ましい。この比が1以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ32の内圧が低下した場合、この荷重支持層52が車重の支持に効果的に寄与しうる。しかもこの荷重支持層52がタイヤ32の剛性に効果的に寄与するので、このタイヤ32は操縦安定性に優れる。この観点から、この比は2以上がより好ましい。この比が5以下に設定されることにより、荷重支持層52によるサイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この比は3.5以下がより好ましい。
図6において、両矢印TRはエイペックス64の形成に用いるリボン84の厚みを表している。両矢印WRは、このリボン84の幅を表している。
この製造方法では、厚みTRは0.3mm以上2.0mm以下が好ましい。この厚みTRが0.3mm以上に設定されることにより、コード86がトッピングゴム88で十分に覆われる。コード86が露出しないので、エイペックス64におけるルース等の損傷が防止される。この厚みTRが2.0mm以下に設定されることにより、このリボン84により形成されるエイペックス64がタイヤ32の質量に与える影響が抑えられる。しかも、この厚みTRに起因する段差の形成が防止される。このリボン84によれば、タイヤ32の耐久性への影響が抑えられたエイペックス64が形成されうる。
この製造方法では、幅WRは3mm以上25mm以下が好ましい。この幅WRが3mm以上に設定されることにより、このタイヤ32の生産性が適切に維持されうる。この観点から、この幅WRは5mm以上が好ましい。この幅WRが25mm以下に設定されることにより、このリボン84の巻き始めと巻き終わりにおける剛性差が適切に維持される。このリボン84によれば、エイペックス64がタイヤ32の耐久性を阻害することが防止されうる。この観点から、この幅WRは15mm以下がより好ましい。
図8において、両矢印TTは荷重支持層52の形成に用いるストリップ94の厚みを表している。両矢印WTは、このストリップ94の幅を表している。
この製造方法では、厚みTTは0.3mm以上2.0mm以下が好ましい。この厚みTTが0.3mm以上に設定されることにより、ストリップ94の強度が適切に維持される。しかもこのストリップ94により形成される荷重支持層52が、タイヤ32の剛性に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚みTTは0.5mm以上がより好ましい。この厚みTTが2.0mm以下に設定されることにより、このストリップ94により形成される荷重支持層52がタイヤ32の質量に与える影響が抑えられる。しかも、この厚みTTに起因する段差の形成が防止される。このストリップ94によれば、タイヤ32の耐久性への影響が抑えられた荷重支持層52が形成されうる。この観点から、この厚みTTは1.0mm以下がより好ましい。
この製造方法では、幅WTは3mm以上25mm以下が好ましい。この幅WTが3mm以上に設定されることにより、このタイヤ32の生産性が適切に維持されうる。この観点から、この幅WTは5mm以上が好ましい。この幅WTが25mm以下に設定されることにより、このストリップ94の巻き始めと巻き終わりにおける剛性差が適切に維持される。このストリップ94によれば、荷重支持層52がタイヤ32の耐久性を阻害することが防止されうる。この観点から、この幅WTは15mm以下がより好ましい。
本発明では、タイヤ32の各部材の寸法及び角度は、タイヤ32が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ32に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ32には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ32が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ32が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ32の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤも同様にして、各部材の寸法及び角度が測定される。
図10には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ100が示されている。図10において、上下方向がタイヤ100の半径方向であり、左右方向がタイヤ100の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ100の周方向である。図10において、一点鎖線CLはタイヤ100の赤道面を表わす。このタイヤ100の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。両矢印Hは、このタイヤ100の断面高さを表している。実線BBLは、ビードベースラインである。
このタイヤ100は、トレッド102、サイドウォール104、クリンチ106、ビード108、カーカス110、ベルト112、バンド114、インナーライナー116、チェーファー118及び荷重支持層120を備えている。このタイヤ100のビード108以外は、図1に示されたタイヤ32と同等の構成を有している。このタイヤ100は、サイド補強型のランフラットタイヤである。
このタイヤ100のビード108は、第一コア122a、第二コア122b及びエイペックス124を備えている。第一コア122a及び第二コア122bは、図1に示されたタイヤ32のビード40のそれと同等の構成を有している。
このタイヤ100では、エイペックス124は軸方向に積層された第一層126a及び第二層126bから構成されている。換言すれば、このエイペックス124は、第一層126aを含み軸方向に積層された2の層126から構成されている。なお、このエイペックス124は、図1に示されたタイヤ32のエイペックス64と同様、図6に示されたリボン84を渦巻き状に巻回すことにより形成されている。
このタイヤ100では、第二層126bが第一層126aの全体と重複している。言い換えれば、第二層126bの重複長さ(図10中の両矢印L2)は第一層126aの長さ(図10中の両矢印L1)と等しい。このタイヤ100では、エイペックス124のラップ数は、「2.0」である。
このタイヤ100では、荷重支持層120はカーカス110よりも軸方向内側に位置している。ビード108のエイペックス124は、クリンチ106の軸方向内側において、荷重支持層120よりも軸方向外側に位置している。このエイペックス124は、荷重支持層120をその半径方向内側から支えうる。このエイペックス124は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。
このタイヤ100では、エイペックス124は、略周方向に延在しつつ渦巻き状に巻回されたコードを含んでいる。このコードは、エイペックス124を効果的に補強する。このエイペックス124は、架橋ゴムからなる従来のエイペックス28よりも高い剛性を有する。このエイペックス124は、荷重支持層120を十分に支えうる。このエイペックス124は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。コードが略周方向に延在しているので、このエイペックス124による縦バネ定数への影響は小さい。このタイヤ100では、エイペックス124による乗り心地への影響が効果的に抑えられている。本発明によれば、質量の増加を抑えつつ、ランフラット耐久性を向上させるとともに、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤ100が得られる。
図10において、両矢印HJはビードベースラインからエイペックス124の外側端124eまでの半径方向高さを表している。
このタイヤ100では、高さHJの断面高さHに対する比は0.2以上0.7以下が好ましい。この比が0.2以上に設定されることにより、エイペックス124が剛性に寄与しうる。このタイヤ100は、操縦安定性及びランフラット耐久性に優れる。この観点から、この比は0.35以上がより好ましい。この比が0.7以下に設定されることにより、このエイペックス124による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ100は、乗り心地に優れる。
図11には、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ128が示されている。図11において、上下方向がタイヤ128の半径方向であり、左右方向がタイヤ128の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ128の周方向である。図11において、一点鎖線CLはタイヤ128の赤道面を表わす。このタイヤ128の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。両矢印Hは、このタイヤ128の断面高さを表している。実線BBLは、ビードベースラインである。
このタイヤ128は、トレッド130、サイドウォール132、クリンチ134、ビード136、カーカス138、ベルト140、バンド142、インナーライナー144、チェーファー146及び荷重支持層148を備えている。このタイヤ128のビード136以外は、図1に示されたタイヤ32と同等の構成を有している。このタイヤ128は、サイド補強型のランフラットタイヤである。
このタイヤ128のビード136は、第一コア150a、第二コア150b及びエイペックス152を備えている。第一コア150a及び第二コア150bは、図1に示されたタイヤ32のビード40のそれと同等の構成を有している。
このタイヤ128では、エイペックス152は軸方向に積層された第一層154a、第二層154b及び第三層154cから構成されている。換言すれば、このエイペックス152は、第一層154aを含み軸方向に積層された3の層154から構成されている。なお、このエイペックス152は、図1に示されたタイヤ32のエイペックス64と同様、図6に示されたリボン84を渦巻き状に巻回すことにより形成されている。
このタイヤ128では、第二層154bが第一層154aの全体と重複している。言い換えれば、第二層154bの重複長さ(図11中の両矢印L2)は第一層154aの長さ(図11中の両矢印L1)と等しい。第三層154cは、第一層154aの一部と重複している。詳細には、第三層154cは、第一層154aの半径方向内側部分と重複している。このタイヤ128では、第三層154cの重複長さ(図11中の両矢印L3)は、第一層154aの長さL1の半分である。したがって、この長さL1とこの重複長さL3との差(L1−L3)で表される、第一層154aのうち、第三層154cと重複していない部分の長さは、「0.5」である。エイペックス152を構成する層154の合計数は「3」であるので、このエイペックス152のラップ数は「2.5」である。なお、重複長さL3は、第一層154aの内端156から第三層154cの半径方向外端158の位置に相当する第一層154aの外面上の位置までの長さを第一層154aの外面に沿って計測することにより得られる。長さL1及び重複長さL2は、図1に示されたタイヤ32の長さL1及び重複長さL2と同様にして得られる。
このタイヤ128では、荷重支持層148はカーカス138よりも軸方向内側に位置している。ビード136のエイペックス152は、クリンチ134の軸方向内側において、荷重支持層148よりも軸方向外側に位置している。このエイペックス152は、荷重支持層148をその半径方向内側から支えうる。このエイペックス152は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。
このタイヤ128では、エイペックス152は、略周方向に延在しつつ渦巻き状に巻回されたコードを含んでいる。このコードは、エイペックス152を効果的に補強する。このエイペックス152は、架橋ゴムからなる従来のエイペックス28よりも高い剛性を有する。このエイペックス152は、荷重支持層148を十分に支えうる。このエイペックス152は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。コードが略周方向に延在しているので、このエイペックス152による縦バネ定数への影響は小さい。このタイヤ128では、エイペックス152による乗り心地への影響が効果的に抑えられている。本発明によれば、質量の増加を抑えつつ、ランフラット耐久性を向上させるとともに、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤ128が得られる。
図11において、両矢印HJはビードベースラインからエイペックス152の外側端152eまでの半径方向高さを表している。
このタイヤ128では、高さHJの断面高さHに対する比は0.2以上0.7以下が好ましい。この比が0.2以上に設定されることにより、エイペックス152が剛性に寄与しうる。このタイヤ128は、操縦安定性及びランフラット耐久性に優れる。この観点から、この比は0.35以上がより好ましい。この比が0.7以下に設定されることにより、このエイペックス152による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ128は、乗り心地に優れる。
図12には、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ160が示されている。図12において、上下方向がタイヤ160の半径方向であり、左右方向がタイヤ160の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ160の周方向である。図12において、一点鎖線CLはタイヤ160の赤道面を表わす。このタイヤ160の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。両矢印Hは、このタイヤ160の断面高さを表している。実線BBLは、ビードベースラインである。
このタイヤ160は、トレッド162、サイドウォール164、クリンチ166、ビード168、カーカス170、ベルト172、バンド174、インナーライナー176、チェーファー178及び荷重支持層180を備えている。このタイヤ160のビード168以外は、図1に示されたタイヤ32と同等の構成を有している。このタイヤ160は、サイド補強型のランフラットタイヤである。
このタイヤ160のビード168は、第一コア182a、第二コア182b及びエイペックス184を備えている。第一コア182a及び第二コア182bは、図1に示されたタイヤ32のビード40のそれと同等の構成を有している。
このタイヤ160では、エイペックス184は軸方向に積層された第一層186a、第二層186b及び第三層186cから構成されている。換言すれば、このエイペックス184は、第一層186aを含み軸方向に積層された3の層186から構成されている。なお、このエイペックス184は、図1に示されたタイヤ32のエイペックス64と同様、図6に示されたリボン84を渦巻き状に巻回すことにより形成されている。
このタイヤ160では、第二層186bが第一層186aの全体と重複している。言い換えれば、第二層186bの重複長さ(図12中の両矢印L2)は第一層186aの長さ(図12中の両矢印L1)と等しい。第三層186cも、第二層186bと同様、第一層186aの全体と重複している。言い換えれば、第三層186cの重複長さ(図12中の両矢印L3)は第一層186aの長さL1と等しい。エイペックス184を構成する層186の合計数は「3」であるので、このエイペックス184のラップ数は「3.0」である。
このタイヤ160では、荷重支持層180はカーカス170よりも軸方向内側に位置している。ビード168のエイペックス184は、クリンチ166の軸方向内側において、荷重支持層180よりも軸方向外側に位置している。このエイペックス184は、荷重支持層180をその半径方向内側から支えうる。このエイペックス184は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。
このタイヤ160では、エイペックス184は、略周方向に延在しつつ渦巻き状に巻回されたコードを含んでいる。このコードは、エイペックス184を効果的に補強する。このエイペックス184は、架橋ゴムからなる従来のエイペックス28よりも高い剛性を有する。このエイペックス184は、荷重支持層180を十分に支えうる。このエイペックス184は、ランフラット耐久性及び操縦安定性に寄与する。コードが略周方向に延在しているので、このエイペックス184による縦バネ定数への影響は小さい。このタイヤ160では、エイペックス184による乗り心地への影響が効果的に抑えられている。本発明によれば、質量の増加を抑えつつ、ランフラット耐久性を向上させるとともに、操縦安定性及び乗り心地の両立が達成された空気入りタイヤ160が得られる。
図12において、両矢印HJはビードベースラインからエイペックス184の外側端184eまでの半径方向高さを表している。
このタイヤ160では、高さHJの断面高さHに対する比は0.2以上0.7以下が好ましい。この比が0.2以上に設定されることにより、エイペックス184が剛性に寄与しうる。このタイヤ160は、操縦安定性及びランフラット耐久性に優れる。この観点から、この比は0.35以上がより好ましい。この比が0.7以下に設定されることにより、このエイペックス184による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ160は、乗り心地に優れる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
中子の外面にローカバーを成形し、この中子と組み合わせたままこのローカバーをモールドに投入した。このローカバーをモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより、図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(サイズ:245/40R18)を得た。このタイヤは、ランフラットタイヤである。このタイヤが中子工法で製造されたことが、この表において「A」で表されている。
荷重支持層の形成には、短繊維の配合量が40質量部とされたゴム組成物からなるストリップが用いられた。このストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより、荷重支持層が形成された。このストリップの幅WTは10mmとされ、その厚さTTは0.8mmとされた。なお、このストリップを指で摘んでその長さ方向に引っ張ると、このストリップは直ぐに破断した。つまり、このストリップには、加硫工程において、ブラダーを用いて3%引き延ばしてローカバーをモールドに押し当てていた、従来の製造方法では、使用できない程度に、多量の短繊維が含まれている。このことが、この表において、「B」で表されている。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。荷重支持層の硬度は、75とされた。
エイペックスの形成には、5本のコードを含むリボンが用いられた。このリボンの幅WRは5.0mmとされ、その厚さTRは0.8mmとされた。コードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。このことが、この表において、「a」で表されている。エイペックスの高さHJの断面高さHに対する比(HJ/H)は、0.47とされた。エイペックスを構成する層のラップ数は、1.5とされた。
この実施例1では、サイドウォールの硬度は60とされた。このタイヤの断面高さの、半分の高さに相当する位置における、荷重支持層の厚さeは10.0mmとされた。この位置におけるサイドウォールの厚さEは、4.0mmとされた。
[実施例2−10及び比較例5]
ゴム組成物における短繊維の配合量を下記の表2及び3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−10及び比較例5のタイヤを得た。比較例5及び実施例2−5では、ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると、このストリップは僅かに伸長した(伸長率で約3%)。これらには、従来の製造方法において使用可能な程度の短繊維が配合されている。このことが、この表において、「S」で表されている。これら以外では、実施例1と同様、ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると直ぐにこのストリップは破断した。
[実施例11−14]
ラップ数を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11−14のタイヤを得た。
[実施例15−18]
コードの材質を下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例15−18のタイヤを得た。実施例15では、その材質がスチールとされたコードが用いられた。このことが、表中、材質の欄に「s」で表されている。実施例16では、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。このことが、表中、材質の欄に「n」で表されている。実施例17では、レーヨン繊維からなるコードが用いられた。このことが、表中、材質の欄に「r」で表されている。実施例18では、ナイロン繊維及びアラミド繊維を組み合わせて構成されたハイブリッドコードが用いられた。このことが、表中、材質の欄に「h」で表されている。
[実施例19−24]
コードの本数及びリボンの幅を下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例19−24のタイヤを得た。
[実施例25−27]
比(HJ/H)を下記の表7の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例25−27のタイヤを得た。
[実施例28−31]
比(HJ/H)及び厚さEを下記の表8の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例28−31のタイヤを得た。
[比較例4]
エイペックスを従来のエイペックスのように架橋ゴムから構成させた他は実施例1と同様にして、比較例4のタイヤを得た。この比較例4では、エイペックスはカーカスプライよりも軸方向外側に位置し、かつ、第二コアを覆っている。この比較例4のエイペックスには、コードは含まれていない。このエイペックスの硬度は、85であった。
[比較例1]
従来の製造方法により、図13に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた比較例1の空気入りタイヤ(サイズ:245/40R18)を得た。このタイヤは、従来のランフラットタイヤである。このタイヤでは、荷重支持層はシートを用いて形成された。したがって、この荷重支持層には継ぎ目がある。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。このように従来の製造方法によりこのタイヤが製造されたことが、この表において「C」で表されている。このタイヤの荷重支持層の硬度は、75とされた。このタイヤの断面高さHの半分の高さHhにおける、この荷重支持層の厚さeは12mmとされた。この断面高さHの半分の高さHhにおける、サイドウォールの厚さEは4mmとされた。この荷重支持層には短繊維は含まれていない。エイペックスは、架橋ゴムからなる。このエイペックスには、コードは含まれていない。このエイペックスの硬度は、85であった。
[比較例2−3]
荷重支持層にアラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)を配合し、その配合量を下記の表1の通りとした他は比較例1と同様にして、比較例2−3のタイヤを得た。
[タイヤ質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から8に示されている。数値が小さいほど質量が小さいことが示されている。
[耐久性(ランフラット)]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、7.5kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤの内圧を常圧としてパンク状態を再現し、このタイヤを80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を、測定した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[操縦安定性及び乗り心地]
タイヤを18×8.5Jのリムに組み込み、標準内圧となるようにタイヤに空気を充填した。これを、排気量が3.0リットルであり、前側エンジン後輪駆動の乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性及び乗り心地を評価させた。この結果が、満点が10点とされた指数として下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[生産性]
1本のタイヤの生産に要する時間を計測した。その結果(計測された時間)が、下記の表1から8に、比較例1を100とした指数値で示されている。この数値が小さいほど、評価が高い。
表1から8に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。なお、比較例3では、シェーピング中にストリップが破断したため、ローカバーを成形することができなかった。したがって、この比較例3のタイヤは製造できなかった。