以下、本発明に係る画像加熱装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置
先ず、本発明の一実施例に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像加熱装置としての定着装置100を搭載した画像形成装置1の模式的な断面図である。
画像形成装置1は、電子写真方式を用いたカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部10Y、10C、10M、10Kを有する。これら4つの画像形成部10Y、10C、10M、10Kは、下方から上方に順にこの順番で配列されている。
尚、本実施例では、各画像形成部10Y、10C、10M、10Kの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表す符号の末尾のY、C、M、Kは省略して、総括的に説明する。
画像形成部10は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)である感光体ドラム11を有する。感光体ドラム11は、図1中の矢印方向(反時計回り)に回転駆動される。感光体ドラム11の周囲には、その回転方向に沿って、次の各手段が設けられている。先ず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ12である。次に、露光手段としての露光装置13である。次に、現像手段としての現像装置14である。次に、転写装置としての中間転写ユニット20である。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置15である。
第1、第2、第3、第4の画像形成部10Y、10C、10M、10Kの現像装置14Y、14C、14M、14Kには、現像剤としてそれぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーが収容されている。
中間転写ユニット20は、中間転写体としてのエンドレスベルト状のフィルムで構成された中間転写ベルト21を有する。中間転写ベルト21は、駆動ローラ22、2次転写対向ローラ23、テンションローラ24の3本のローラに張架されている。中間転写ベルト21は、駆動ローラ22によって図1中の矢印方向(時計回り)に回転駆動される。中間転写ベルト21の内周面側において、各画像形成部10の各感光体ドラム11に対向する位置には、1次転写手段としてのローラ型の1次転写部材である1次転写ローラ25がそれぞれ配置されている。各1次転写ローラ25は、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11に押圧され、中間転写ベルト21と感光体ドラム11との接触部(圧接部)に1次転写部N1が形成されている。又、中間転写ベルト21の外周面側において2次転写対向ローラ23に対向する位置には、2次転写手段としてのローラ型の2次転写部材である2次転写ローラ26が配置されている。2次転写ローラ26は、2次転写対向ローラ23に巻きかけられている部分の中間転写ベルト21に押圧され、2次転写ローラ26と中間転写ベルト21との接触部(圧接部)に2次転写部N2が形成されている。又、中間転写ベルト21の外周面側において、2次転写対向ローラ23に対向して、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置27が配置されている。
露光装置13は、各画像形成部10の各感光体ドラム11に、各画像形成部10に対応する画像情報に応じた光を照射する光学系として構成されている。本実施例では、この光学系として、レーザー走査露光光学系が用いられている。
又、記録材Pの搬送方向において2次転写部N2の上流側には、記録材給送装置30が設けられている。又、記録材Pの搬送方向において2次転写部N2の下流側には画像加熱装置としての定着装置100が設けられている。
フルカラー画像の形成時を例に画像形成動作について説明する。各画像形成部10において帯電ローラ12により、感光体ドラム11の表面が略一様に帯電させられる。帯電した感光体ドラム11は、露光装置13により画像データに基づいて走査露光される。これにより、感光体ドラム11の表面に走査露光の画像パターンに対応した静電潜像(静電像)が形成される。感光体ドラム11上に形成された静電潜像は、現像装置14により、現像剤としてのトナーで、トナー像として現像される。
第1、第2、第3、第4の画像形成部10Y、10C、10M、10Kの感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー像が形成される。
各画像形成部10の各感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像は、各1次転写部N1において、中間転写ベルト21上に、所定の位置合わせ状態で順次重畳されて1次転写される。このとき、中間転写ベルト21は、各感光体ドラム11の回転と同期して略等速で回転している。又、このとき、各1次転写ローラ25には、1次転写バイアス電源(図示せず)により、静電潜像を現像するトナーの正規の帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト21上にフルカラー画像用の未定着の合成トナー像が形成される。
各画像形成部10において、1次転写後に感光体ドラム11上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置15により感光体ドラム11上から除去されて回収される。
このように、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト21の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト21上に順次重ね合わせるようにして形成されていく。尚、単色のみの画像形成(単色モード)時には、目的の色の画像形成部10においてのみトナー像が形成され、1次転写が行われる。
一方、記録材給送装置30において、記録材カセット31内の記録材Pが給送ローラ32により1枚分離給送され、レジストローラ33により所定のタイミングで2次転写部N2に搬送される。
中間転写ベルト21上に形成されたトナー像は、2次転写部N2において、記録材P上に一括して2次転写される。このとき、2次転写ローラ26には、2次転写バイアス電源(図示せず)により、静電潜像を現像するトナーの正規の帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加される。
2次転写後に中間転写ベルト21上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置27により中間転写ベルト21上から除去されて回収される。
記録材P上に2次転写されたトナー像は、定着装置100により溶融されると共に混色され、記録材P上に定着される。定着装置100の構成及び動作については、後述して詳しく説明する。
トナー像が定着された記録材Pは、フルカラープリントとして排紙パス41を通って、排紙トレイ42に送り出される。
2.定着装置の概略構成及び動作
次に、本実施例の定着装置100の概略構成について説明する。
尚、以下の説明において、定着装置100又はこれを構成している部材に関し、長手方向、短手方向、正面、背面、左右、上流、下流とは、それぞれ次のことをいうものとする。長手方向とは、記録材Pの搬送路面内において記録材Pの搬送方向に略直交する方向である。又、短手方向とは、上記長手方向と直交する方向(記録材Pの搬送路面内において記録材Pの搬送方向と略平行な方向)である。又、正面とは、定着装置100を記録材Pの入口側から見た面、背面とはその反対側の面(記録材Pの出口側から見た面)である。又、左とは、定着装置100を正面から見たときの左であり、右とは、定着装置100を正面から見たときの右である。又、上流とは、記録材Pの搬送方向における上流であり、下流とは、記録材Pの搬送方向における下流である。
図2は、本実施例の定着装置100の要部の模式的な断面図である。
定着装置100は、定着部材(定着回転体、加熱回転体)としての無端状のベルトで構成された定着ベルト101と、加圧部材(加圧回転体)としての加圧ローラ102と、誘導加熱手段(加熱源)としての誘導加熱部200と、を有する。定着ベルト101は、後述するように誘導発熱体としての金属層を有する。加圧ローラ102は、定着ベルト101の外周面に接触させられている。定着ベルト101の内周面側には、定着ベルト101と加圧ローラ102との間に押圧力を作用させて定着ニップ部Nを形成するための圧力付与部材104が設けられている。圧力付与部材104は、金属製のステー105に保持されている。又、定着ベルト101の内周面側において、ステー105の誘導加熱部200側には、ステー105の誘導加熱による温度上昇を抑制する磁気遮蔽部材としての磁気遮蔽コア106が設けられている。
又、転写ベルト101の内周面側には、温度検知手段としての温度センサ(温度検出素子)107が設けられている。温度センサ107としては、サーミスタなどが用いられる。温度センサ107は、定着ベルト101の長手方向の略中央位置の内周面に当接させられている。温度センサ107は、圧力付与部材104に弾性支持部材107aを介して取り付けられている。これにより、定着ベルト101の温度センサ107が当接する面が波打つなどしてその位置が変動しても、これに追従して良好な接触状態が維持される。
図3は、本実施例の定着装置100の要部の模式的な断面図である。
定着ベルト101の長手方向の両端部には、定着ベルト101の長手方向の移動及び周方向の形状を規制する規制部材としての左定着フランジ108a、右定着フランジ108bが設けられている。ステー105は、左右定着フランジ108a、108b内に挿通されて、定着ベルト101の内周面側に配置されている。ステー105の長手方向の両端部105a、105bと、定着装置100のシャーシ側のバネ受け部材109a、109bとの間に、それぞれ付勢手段としての圧縮コイルバネであるステー加圧バネ110a、110bが、圧縮された状態で設けられている。そして、ステー加圧バネ110a、110bは、ステー105に対して、定着ベルト101を加圧ローラ102に向けて押圧する(押し下げる)力を作用させている。これにより、ステー105に保持された圧力付与部材104の下面と加圧ローラ102の上面とが、定着ベルト101を挟んで圧接して、記録材Pの搬送方向に所定の幅を有する定着ニップ部Nが形成される。又、本実施例では、左右定着フランジ108a、108bが、加圧ローラ102の長手方向の両端部において、芯金102aに当接するようになっている(図示せず)。こうすることで、加圧ローラ102の弾性層102bや定着ベルト101が永久変形してしまうことを抑制することができる。又、定着装置100は、定着フランジ108a、108bを介して定着ベルト101を回転可能に支持するための支持側板111a、111bを有する。支持側板111a、111bにより、定着フランジ108a、108bを介して定着ベルト101の長手方向の位置が規制される。加圧ローラ102も、その長手方向の両端部において、芯金102aを介して支持側板111a、111bによって回転可能に支持される。
図4は、定着ベルト101の層構成の模式的な断面図である。定着ベルト101は、金属製の基層である金属層(導電層)101aを有する。金属層101aを構成する金属としては、鉄合金、銅、銀などを適宜選択することが可能である。金属層101aの内径は、定着ベルト101を小径化(低熱容量化)するなどの理由から、20mm〜60mm程度とすることが好ましく、本実施例では60mmである。金属層101aの厚さは、熱容量と磁束による発熱効率の観点から、10μm〜70μmの範囲内で設定することが好ましい。本実施例では、金属層101aの厚さは60μmである。金属層101aの外周には、弾性層101bとしての耐熱性のゴムで形成されたゴム層が設けられている。弾性層101bの厚さは、定着ベルト101の熱容量を小さくして、昇温にかかる時間(ウォーミングアップタイム)を短縮し、カラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることなどを考慮して、100μm〜800μmの範囲内で設定することが好ましい。本実施例では、弾性層101bの厚さは100μmである。弾性層101bの外周には、表面離型層101cとしてのフッ素樹脂層が設けられている。フッ素樹脂としては、例えばPFAやPTFEが用いられる。本実施例では、表面離型層101cの厚さは、熱伝導性と耐久性の観点から、20μm〜200μmの範囲内で設定することが好ましい。本実施例では、表面離型層101cの厚さは150μmである。金属層101aの内面側には、定着ベルト101の内面と温度センサ107との摺動摩擦を低下させるために、摺動性の高い滑性層101dを設けても良い。滑性層101dの厚さは、10μm〜50μmの範囲内で設定するのが好ましい。
加圧ローラ102は、金属製の芯金102aと、芯金102aの外周に設けられた弾性層102bとしてのゴム層と、弾性層102bの外周に設けられ加圧ローラ102の表面を構成する離型層102cと、を有する。本実施例では、芯金102aの外径は40mmである。又、弾性層102bの厚さは20mmである。又、離型層102cの厚さは150μmである。
圧力付与部材104は、耐熱性の樹脂で形成されている。又、ステー105は、定着ニップ部Nに圧力を加えるために剛性が必要であるため、本実施例では鉄製とされている。又、圧力付与部材104は、特に、その短手方向の両端部で、後述する誘導加熱部200の励磁コイル202と接近している。従って、励磁コイル202により発生した磁界を遮蔽して圧力付与部材104の発熱を抑制するために、圧力付与部材104の誘導加熱部200側に、定着装置100の長手方向の略全域にわたって磁気遮蔽コア106が配置されている。
尚、定着ベルト101は、金属層101aが金属で構成されている。そのため、定着ベルト101が回転状態にあっても、その長手方向への寄りを規制するための手段としては、定着ベルト101の長手方向の端部を単純に受け止めるだけの定着フランジ108a、108bを設ければ十分である。これにより、定着装置100の構成を簡略化できる。
誘導加熱部200は、定着ベルト101の加圧ローラ102側とは反対側に対向して配置されている。誘導加熱部200は、全体として定着ベルト101の長手方向に略平行に、且つ、定着ベルト101との間に所定の隙間を有して配置されている。誘導加熱部200は、誘導発熱体としての定着ベルト101の金属層101aを誘導発熱させることにより、定着ベルト101をその外側から電磁誘導加熱方式により加熱する。誘導加熱部200の構成及び動作については、後述して詳しく説明する。
次に、定着装置100による定着プロセスの概略を説明する。
誘導加熱部200の励磁コイル202に、制御部50(図18)によって制御される電源装置103(図18)から電力が供給されて、定着ベルト101が所定の定着温度まで昇温され、その定着温度で温調される。電源装置103は、励磁回路(電磁誘導加熱駆動回路、高周波コンバータ)、AC電源などを有する。定着ベルト101が所定の定着温度で温調された状態で、定着ニップ部Nにおける定着ベルト101と加圧ローラ102との間に、未定着トナー像Tを担持した記録材Pがガイド部材(図示せず)で案内されて導入される。記録材Pは、トナー像を担持した面を定着ベルト101側に向けて、定着ニップ部Nに搬送される。そして、この記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて、定着ベルト101の外周面に密着し、定着ベルト101と一緒に定着ベルト101と加圧ローラ102とで挟持されて搬送されていく。これにより、主に定着ベルト101の熱が付与されることで、更には定着ニップ部Nにおける加圧力を受けることで、未定着トナー像Tが記録材Pの表面に定着させられる。定着ニップ部Nを通った記録材Pは、定着ベルト101の表面が定着ニップ部Nの出口部分で変形することによって、定着ベルト101の外周面から自己分離されて、定着装置100の外部へ搬送される。
ここで、記録材Pの搬送方向に略直交する方向における記録材Pの寸法を記録材Pの幅という。本実施例の画像形成装置1、定着装置100では、各種幅の記録材Pの搬送は、記録材Pの幅の中心を基準とする、所謂、中央基準搬送で行われる。図3中のOはその中央基準線(仮想線)を示す。図3中のAは、画像形成装置1、定着装置100で使用可能な最大幅の記録材P(以下「大サイズの記録材P」という。)の幅に対応する領域(通紙領域)を示す。図3中のBは、上記最大幅よりも小さい所定の幅の記録材P(以下「小サイズの記録材P」という。)の幅に対応する領域(通紙領域)を示す。図3中のCは、領域Aと領域Bとの差領域((A−B)/2)であり、小サイズの記録材Pを使用した場合に生じる領域(非通紙領域)である。
温度センサ107は、定着ベルト101の長手方向の略中央位置(上記中央基準線Oに対応する位置)の内周面の温度を検知し、その検知した温度の情報を制御部50(図18)に入力する。即ち、温度センサ107は、いずれの幅の記録材Pを使用した場合でも通紙領域に対応する定着ベルト101の内周面に接触し、その通紙領域に対応する定着ベルト101の温度を検知することができる。制御部50は、温度センサ107によって検知される温度が所定の目標温度(定着温度)に維持されるように、電源装置103(図18)から誘導加熱部200の励磁コイル202に入力する電力を制御する。即ち、温度センサ107によって検知される温度が所定の定着温度に昇温した場合、励磁コイル202への通電が遮断される。本実施例では、制御部50は、温度センサ107によって検知される温度が所定の目標温度(定着温度)である180℃で略一定になるように、電源装置103から励磁コイル202に印加する高周波電流の周波数を変化させる。これによって、制御部50は、励磁コイル202に入力する電力を制御して、定着ベルト101の温度調節を行う。
定着ベルト101は、少なくとも画像形成の実行時には、加圧ローラ102が図2中の矢印方向(反時計回り)に回転駆動されることで、定着ベルト101の外周面と加圧ローラ102の外周面との摩擦力で図2中の矢印方向(時計回り)に従動して回転する。加圧ローラ102は、制御部50(図18)によって制御される駆動手段としてのモータM1(図18)によって回転駆動される。そして、定着ベルト101は、2次転写部N2から搬送されてくる未定着トナー像Tを担持した記録材Pの搬送速度とほぼ同一の周速度で回転させられる。本実施例では、定着ベルト101の周速度は200mm/secとされ、フルカラー画像を1分間にA4サイズで50枚、A4Rサイズで32枚定着することが可能である。
3.誘導加熱部の概略構成
次に、誘導加熱部200の概略構成について説明する。
図5は、本実施例の定着装置100の一部省略部分分解斜視図である。定着装置100の誘導加熱部200は、誘導発熱体としての金属層101aを備える定着ベルト101を誘導加熱する誘導加熱手段(加熱源)を構成する。
誘導加熱部200は、励磁コイル202と磁性体コア(磁性コア)203(204、205、206)とを備えた磁束発生手段201を有する。又、誘導加熱部200は、励磁コイル202を保持するコイル保持部材207を有する。
励磁コイル202は、電線(巻線)を、定着装置100の長手方向に長い略楕円形状(略横長船底形状)に巻回して形成される。励磁コイル202は、その巻き中心部202bを頂部として、定着ベルト101の外周面の一部に沿うように巻線部202aが湾曲されて、定着ベルト101の外周面の一部に対向して配置されている。又、励磁コイル202は、その長手方向の端部が定着ベルト101の長手方向の両側面の一部にも対向するように配置されている。励磁コイル202の電線としては、例えばリッツ線が用いられる。励磁コイル202は、コイル保持部材207に固定されて保持されている。
磁性体コア203は、定着装置100の長手方向において分割して配置された複数の外側磁性体コア204を有する。外側磁性体コア204は、励磁コイルの巻き中心部と周囲を囲むような形状(略アーチ形状)とされている。即ち、外側磁性体コア204は、励磁コイル202の巻線部202aの外周面と略同心円上に配置される部分(R部)を有する。又、この外側磁性体コア204は、励磁コイル202の巻き中心部202bに向けて突出し、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに近づくように配置された部分(凸部)を有する。本実施例では、定着装置100の長手方向の一方の端部側から他方の端部側まで、ほぼ等間隔で16個に分割された外側磁性体コア204が設けられている(中央の2個の間隔は若干小さい)。詳しくは後述するように、この複数の外側磁性体コア204の少なくとも1個が、励磁コイル202に対する位置が変更可能な可動磁性体コアとされる。又、少なくとも上記可動磁性体コアとされる外側磁性体コア(コア群)204は、励磁コイル202の巻線部202aに対向する一対の第1部分(第1、第2の端部コア)241と、励磁コイル202の巻き中心部202bに向けて突出する凸部242aを備えた第2部分(中央コア、中央部)242と、に分割されている。外側磁性体コア204のコイル保持部材207に対する保持方法については後述する。
又、磁性体コア203は、励磁コイル202の上流側において定着装置100の長手方向に沿って延在する上流側磁性体コア205を有する。又、磁性体コア203は、励磁コイル202の下流側において定着装置100の長手方向に沿って延在する下流側磁性体コア206を有する。上流側磁性体コア205及び下流側磁性体コア206は、コイル保持部材207に固定されて保持されている。
上述の外側磁性体コア204、上流側磁性体コア205及び下流側磁性体コア206によって、励磁コイル202が発生した磁界が定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101a以外に実質的に漏れないように、励磁コイル202を覆っている。又、磁性体コア203は、励磁コイル202により発生した交流磁束を、効率よく定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに導く役割を果たす。このように、磁性体コア203は、磁気回路(磁路)の効率を上げる役割と、磁気遮蔽の役割とを果たす。磁性体コア203の材質としては、フェライトなどの高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いることが好ましい。
尚、本実施例では、上流側磁性体コア205、下流側磁性体コア206は、それぞれ定着装置100の長手方向に沿って連続した一体の部材とされている。しかし、上流側磁性体コア205、下流側磁性体コア206は、定着装置100の長手方向において分割された複数の部材とされていてもよい。
コイル保持部材207は、電気絶縁性の樹脂で形成されている。コイル保持部材207は、定着装置100の長手方向に沿って延在する有底の箱形状とされている。コイル保持部材207は、その底部271側が定着ベルト101に対向する。底部271は、定着ベルト101の外周面の一部に沿うようにコイル保持部材207の内側に向けて湾曲した曲面部271aを有する。そして、コイル保持部材207は、底部271とは反対側が開口部272として開放されている。本実施例では、コイル保持部材207は、定着ベルト101の上方から、底部271の曲面部271aと定着ベルト101の外周面との間に所定のギャップ(隙間)を有するようにして、定着ベルト101に対面させて配置されている。
定着ベルト101が回転している状態において、誘導加熱部200の励磁コイル202に、電源装置103(図18)から20kHz〜50kHzの高周波電流が印加される。そして、励磁コイル202により発生した磁界によって、誘導発熱体としての定着ベルト1の金属層101aが誘導発熱し、定着ベルト101が昇温する。即ち、励磁コイル202は、電源装置103から供給される交流電流によって交番磁束を発生する。この交番磁束は、誘導加熱部200の磁性体コア203に導かれて、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに作用し、この金属層101aに渦電流を発生させる。この渦電流は、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aの固有抵抗によってジュール熱を発生させる。このように、励磁コイル202に対して交流電流を供給することで発生した磁束の作用により、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aが電磁誘導発熱する。
ここで、本実施例では、定着ベルト101と誘導加熱部200の励磁コイル202とは、肉厚が2mm程度のモールド部材であるコイル保持部材207により電気絶縁の状態が保たれている。そして、定着ベルト101と励磁コイル202とは、コイル保持部材207によって略一定距離に配置され、定着ベルト101を略均一に発熱させることができるようになっている。本実施例では、上述のように、温度センサ107によって検知される温度が所定の目標温度(定着温度)である180℃で略一定になるように温度調節がされる。本実施例では、励磁コイル202を含む誘導加熱部200が、高温になる定着ベルト101の内部ではなく外部に配置されている。そのため、励磁コイル202の温度が高温になりにくく、電気抵抗も上昇せず、高周波電流を流してもジュール発熱による損失を軽減することが可能となる。又、励磁コイル202を定着ベルト101の外部に配置したことで、定着ベルト101の小径化(低熱容量化)にも寄与することができ、省エネルギー性にも優れている。
4.外側磁性体コア
次に、外側磁性体コア204の構成について更に説明する。上述のように、本実施例では、外側磁性体コア204は、定着装置100の長手方向(記録材Pの搬送方向に略直交する方向)において分割されて略等間隔で並んで配置されている。それぞれの外側磁性体コア204は、励磁コイル202の巻き中心部と周囲を囲むような形状(略アーチ形状)に構成されている。
そして、本実施例では、定着装置100の長手方向の両端部側の所定領域(可動領域)Eに配置された外側磁性体コア204は、励磁コイル202に対する位置が変更可能な可動磁性体コアとされている。特に、本実施例では、定着装置100の長手方向の一方の端部側の5個の外側磁性体コア204、他方の端部側の5個の外側磁性体コア204が、可動磁性体コアとされている。この可動磁性体コアである外側磁性体コア204は、詳しくは後述するように、移動手段としてのコア移動機構によって移動可能とされている。
一方、本実施例では、定着装置100の長手方向の中央部の所定領域(固定領域)Dに配置された外側磁性体コア204は、詳しくは後述するように、コイル保持部207に対して固定されている。
尚、固定領域Dは、小サイズの記録材Pの幅に対応した幅となっている。そして、固定領域Dと可動領域Eとを合わせた幅は、大サイズの記録材Pの幅に対応した幅となっている。即ち、本実施例では、固定領域Dは図3中のB領域に対応し、可動領域Eは図3中のC領域に対応し、固定領域Dと可動領域Eとを合わせた領域は図3中のA領域に対応する。
詳しくは後述するが、図6に示すように、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204を励磁コイル202から離れる方向に移動可能とすることにより、可動領域Eでは励磁コイル202と外側磁性体コア204との距離が離れる。そのため、励磁コイル202の周りにできる磁性体コア203及び定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aなどからなる磁気回路の効率が落ちて、発熱量が低下する。従って、非通紙部昇温が回避され、その結果、磁性体コア203や励磁コイル202の異常昇温も回避される。図6は、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202から遠ざけられた状態を示す、本実施例の定着装置100の要部の模式的な断面図である。
ここで、図23〜図25を参照して、磁性体コアを移動させて誘導発熱体の発熱量を低下させる構成の定着装置における課題について説明する。
図23は、参考例の定着装置の要部の模式的な断面図である。図24は、参考例の定着装置の一部省略部分分解斜視図である。尚、参考例の定着装置において、本実施例の定着装置のものと同一又はそれに対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
参考例の定着装置100は、基本的には本実施例の定着装置100と同様の構成を有する。但し、参考例の定着装置100では、定着装置100の長手方向において分割されて略等間隔で並んで配置された磁性体コア203(本実施例の外側磁性体コア204に対応)は、それぞれ一体とされている。即ち、参考例の定着装置100では、磁性体コア203は、励磁コイル202の巻線部202aの外周面と略同心円上に配置されるR部203Rを有する。又、この磁性体コア203は、励磁コイル202の巻き中心部202bに向けて突出し、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに近づくように配置された凸部203Tを有する。そして、これらR部203Rと、凸部203Tとは、一体的に形成されている。尚、本参考例では、本実施例における上流側磁性体コア205、下流側磁性体コア206は設けられていないが、これらが設けられていても以下の説明は同様に当てはまる。
誘導加熱部200の磁束発生手段201による定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aの発熱効率を上げるためには、磁束発生手段201において励磁コイル202に対して磁性体コア203を近づけることが効果的である。又、磁性体コア203における凸部203Tと定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの距離を小さくすることが効果的である。
しかしながら、励磁コイル202と磁性体コア203との距離を近づけると、発熱効率に対する磁性体コア203と励磁コイル202と定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの相対位置の感度が大きくなる。
図25は、磁性体コア203の位置と定着ベルト101の長手方向における温度分布(発熱分布)の関係を示した説明図である。図25(a)は、良好な温度分布と磁性体コア203の位置との関係を示し、図25(b)は、課題となる温度分布と磁性体コア203の位置との関係を示す。
定着装置100の長手方向において分割して配置された複数の磁性体コア203間で、磁性体コア203と励磁コイル202と定着ベルト101との間の相対位置のズレが生じると、同方向における定着ベルト101の温度分布が不均一になりやすくなる。特に、磁性体コア203の凸部203Tの定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対する位置(図中の高さ方向の位置)のズレが、定着ベルト101の長手方向における温度分布の不均一性により顕著に影響する。
定着ベルト101の長手方向における温度分布を均一にするためには、次のようにすることが望まれる。即ち、図25(a)に示すように、定着装置100の長手方向において分割して配置された複数の磁性体コア203間での、磁性体コア203と励磁コイル202と定着ベルト101との間の相対位置を管理することが望まれる。特に、磁性体コア203の凸部203Tの定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対する位置(図中の高さ方向の位置)を定着装置100の長手方向において略均一にすることが望ましい。又、R部203Rとこれが対向する励磁コイル202の外周面とを、略同心円上に配置することが望ましい。
又、上記参考例の定着装置100において、可動領域Eに配置された磁性体コア203が励磁コイル202に対してより近い第1の位置とより遠い第2の位置とに移動可能であるものとする。この場合、定着ベルト101の長手方向における温度分布を略均一に保つためには、例えば磁性体コア203をコイル保持部材207に当接させてその位置を決めることが考えられる。
しかしながら、磁性体コア203をコイル保持部材207に当接させ、且つ、磁性体コア203を第2の位置から第1の位置に移動させようとすると、その移動の際の当接による衝撃で、磁性体コア203が破損する恐れがある。特に、参考例の定着装置100のように、磁性体コア203のR部203Rと凸部203Tとが一体で形成されている場合、移動する磁性体コア203の全衝撃を磁性体コア203の凸部203Tで受けるために、破損の懸念が大きい。磁性体コア203は、一般に、フェライトなどの粉体を焼成した部材であり、比較的衝撃に弱い。
5.コア保持部材
次に、図7〜図9をも参照して、可動磁性体コアである可動領域Eに配置された外側磁性体コア204を保持するコア保持部材208について説明する。
図7は、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204とコア保持部材208との分解斜視図である。図8は、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204とコア保持部材208とコイル保持部材207との分解断面図である。図9(a)、(b)は、それぞれ後述する第1の位置、第2の位置にあるコア保持部材208とコイル保持部材207とを示す断面図である。
前述の課題に対し、本実施例では、少なくとも可動磁性体コアである可動領域Eに配置された外側磁性体コア204は、次のように分割された構成とする。即ち、励磁コイル202の巻線部202aに対向する第1部分241と、励磁コイル202の巻き中心部202bに向けて突出する凸部242aを備えた第2部分242と、に分割された構成とする。この可動磁性体コアである可動領域Eに配置された外側磁性体コア204は、コア保持部材208によって保持される。コア保持部材208は、その保持した外側磁性体コア204の第1部分241及び第2部分242を励磁コイル202に対してより近い位置で保持する第1の位置と、より遠い位置で保持する第2の位置と、に移動可能とする。そして、コア保持部材208が第2の位置から第1の位置へ移動する際に、コア保持部材208とコイル保持部材207の第1の当接部273とが当接して、コア保持部材208に保持された第1部分241の励磁コイル202に対する位置が決まる。又、コア保持部材208が第2の位置から第1の位置へ移動する際に、コア保持部材208に保持された外側磁性体コア204の第2部分242とコイル保持部材207の第2の当接部274とが当接して、第2部分242の励磁コイル202に対する位置が決まる。本実施例では、第1の当接部273は、励磁コイル202の巻き中心部を通過するように、コイル保持部材207の底部271から定着ベルト101側とは反対側に突出して設けられた突起部275の先端部で構成される。又、本実施例では、第2の当接部274は、励磁コイル202の巻き中心部に対向するコイル保持部材207の底部271で構成される。そして、本実施例では、第2部分242の凸部242aの先端部242bが、コイル保持部材207の第2の当接部274に当接する。以下、更に詳しく説明する。
本実施例では、外側磁性体コア204は、全体として、定着装置100の長手方向に所定幅を有し、該長手方向と略直交する断面は略アーチ形状とされている。外側磁性体コア204の第1部分241、241は、上記略アーチ形状の両端部を構成する基端部241a、241aから、上記略アーチ形状の頂部側の端部を構成する先端部241b、241bまで、励磁コイル202の曲率と同等の曲率で湾曲されている。より詳細には、第1部分241、241の基端部241a、241a側の所定範囲は、励磁コイル202側に向けて延ばされた略平坦な係合部241e、241eとされている。この係合部241e、241eの端部から先端部241b、241bまでが励磁コイル202の曲率と同等の曲率で湾曲された湾曲部241f、241fとされている。そして、第1部分241、241の励磁コイル202側の面の、係合部241e、241eと湾曲部241f、241fとの間に、第1の段部241c、241cが形成されている。又、第1部分241、241の励磁コイル202側の面の、先端部241b、241bに隣接する部分に、第2の段部241d、241dが形成されている。
又、外側磁性体コア204の第2部分242は、上記略アーチ形状の頂部を構成するように設けられた略平坦な基部242cと、この基部242cから励磁コイル202の巻き中心部に向けて突出するように形成された凸部242aと、を有する。即ち、第2部分242は、定着装置100の長手方向と略直交する断面が略T字形状とされている。
このような形状の外側磁性体コア204が、図7、図9に示すように、コア保持部材208に取り付けられる。尚、図7には、定着装置100の長手方向において分割された3個の外側磁性体コア204を保持する一体に形成された1個のコア保持部材208の例が示されている。但し、コア保持部材208は、1個ずつの外側磁性体コア204を保持するようになっていてもよいし、2個又は3個より多くの外側磁性体コア204を保持する部分が一体とされていてもよい。以下、1個の外側磁性体コア204を保持するコア保持部材208の部分に注目して説明する。
コア保持部材208は、定着装置100の短手方向に沿って延在する対向して配置された長側部281、281と、定着装置100の長手方向に沿って延在する対向して配置された短側部282、282と、を有する枠構造体である。本実施例では、長側部281、281は、コイル保持部材207の底部271の曲面部271aを逃がすように、励磁コイル202側の端部が切り欠かれた形状とされている。短側部282、282は、略矩形形状とされている。そして、長側部281、281間に橋渡しされるようにして、第1の支持梁283、283と、第2の支持梁284、284と、が設けられている。第1の支持梁283、283は、それぞれ隣接する短側部282との間に所定の隙間(d1)を有して配置されている。第2の支持梁284、284は、定着装置100の短手方向における長側部281、281の略中央部において、互いに所定の隙間(d2)を有して配置されている。第2の支持梁284、284は、励磁コイル202側の端部に、短側部282側に突出した第1部分支持部284a、284aを有する。又、第2の支持梁284、284は、励磁コイル202側の端部に、第1部分支持部284a、284aとは反対側に突出した第2部分支持部284b、284bを有する。又、第2の支持梁284、284は、第1部分支持部284a、284a、第2部分支持部284b、284bが設けられた端部から励磁コイル202側(即ち、誘導発熱体側)とは反対側に延在する嵌合部284c、284cを有する。コア保持部材208は、電気絶縁性の樹脂で形成されている。
本実施例では、第1部分241、241は、図8の矢印Gで示すように、上方(励磁コイル202側とは反対側)からコア保持部材208内に落とし込まれるようにして取り付けられる。即ち、第1部分241、241の基端部241a、241a側に設けられた係合部241e、241eは、コア保持部材208の短側部281、281と第1の支持梁283、283との間に設けられた隙間(溝)285、285に嵌合される。隙間285の間隔d1と係合部241eの厚さd3とは略同一とされている。そして、第1部分241、241の第1の段部241c、241cがコア保持部材208に設けられた第1の支持梁283、283の上面に突き当てられる。この状態で、第1の段部241c、241cは、第1の支持梁283、283に固定手段として熱溶着により固定される。又、第1部分241、241の第2の段部241d、241dが、コア保持部材208の第2の支持梁284、284に設けられた第1部分支持部284a、284aの上面に突き当てられる。この状態で、第2の段部241d、241dは、第2の支持梁284、284に固定手段として熱溶着により固定される。このようにして、第1部分241、241は、コア保持部材208に固定されて保持される。尚、固定手段としては、溶着、接着、締結、弾発係合(スナップフィット)などの任意の手段を用いることができる。
本実施例では、第2部分242も、図8の矢印Gで示すように、上方から(励磁コイル202側とは反対側)からコア保持部材208内に落とし込まれるようにして配置される。即ち、第2部分242は、その凸部242aの先端部242b側からコア保持部材208の第2の支持梁284、284間の隙間284dに挿入される。第2の支持梁284、284の嵌合部284c、284c間の間隔d2は、第2部分242の基部242cが移動可能なように遊びを有して嵌合する程度に該基部242cの同方向の寸法d4よりも若干大きくされている。一方、第2支持梁284、284の第2部分支持部284b、284b間の間隔は、第2部分242の基部242cの同方向の幅よりも小さくされている。これにより、第2部分242は、基部242cの下面がコア保持部材208の第2の支持梁284、284に設けられた第2部分支持部284b、284bの上面に突き当てられるようにして、第2の支持梁284、284によって懸架されることが可能となっている。そして、第2部分242は、コア保持部材208に固定されておらず、図8中の矢印G方向及びその反対方向に自由に移動できるように、第2の支持梁284、284間の隙間284dに配置される。
本実施例では、上述のように外側磁性体コア204が取り付けられたコア保持部材208は、図8中の矢印Gで示すように、上方(励磁コイル202側とは反対側)から、コイル保持部材207内に落とし込まれるようにして配置される。後述するように、コア保持部材208は、移動手段としてのコア移動機構によって図8中の矢印G方向及びその反対方向にスライド移動して、第1の位置(図9(a))と、第2の位置(図9(b))とに配置される。前述のように、コイル保持部材207は、定着装置100の長手方向に沿って延在する有底の箱形状とされている。コイル保持部材207の底部271は、定着ベルト101の外周面の一部に沿うようにコイル保持部材207の内側に向けて湾曲した曲面部271aを有する。コイル保持部材207は、底部271とは反対側が開口部272として開放されている。定着装置100の長手方向に沿って延在するコイル保持部材207の長側壁276、276間の距離は、コア保持部材208が移動可能なように遊びを有して嵌合する程度にコア保持部材208の短側部282、282間の距離よりも若干大きくされている。
励磁コイル202は、コイル保持部材207の底部271の曲面部271aに沿うようにして、該曲面部271aとの間に実質的に隙間が無いように、コイル保持部材207に固定されて保持されている。コイル保持部材207は、励磁コイル202の巻き中心部202bを通過するように、底部271の曲面部271aから定着ベルト101側とは反対側に突出して設けられた突起部275を有する。突起部275の定着ベルト101側とは反対側の先端部は、励磁コイル202の巻線部202aの外周面よりも突出している。この突起部275の先端部が、コア保持部材208に当接する第1の当接部273を構成する。この第2の当接部273は、コア保持部材208の第2の支持梁284、284に設けられた第2部分支持部284b、284bの下面で構成される受部(止め部)286、286に当接する。又、突起部275の内側に位置する(即ち、励磁コイル202の巻き中心部202bに対応する)底部271の曲面部271aが、外側磁性体コア204の第2部分242に当接する第2の当接部274を構成する。この第2の当接部274は、外側磁性体コア204の第2部分242の凸部242aの先端部242bに当接する。又、コイル保持部材207の長側壁276、276と底部271の曲面部271aとの間に位置する、底部271の略平坦部分である平坦部271b、271bに、それぞれ上流側磁性体コア205、下流側磁性体コア206が配置されている。上流側磁性体コア205、下流側磁性体コア206は、コイル保持部材207に固定手段として熱溶着により固定される。
尚、図5に示すように、本実施例では、固定磁性体コアである固定領域Dに配置された外側磁性体コア204も、可動磁性体コアと同様に、第1部分241と第2部分242とに分割されている。即ち、本実施例では、全ての外側磁性体コア204が実質的に同一の構成、寸法・形状を有する。但し、固定磁性体コアである固定領域Dに配置された外側磁性体コア204は、コイル保持部材207に対して固定されている。本実施例では、固定磁性体コアである固定領域Dに配置された外側磁性体コア204は、固定コア保持部材を介してコイル保持部材207に対して固定されている。この固定コア保持部材は、外側磁性体コア204の保持方法については上記コア保持部材208と同様の構成を有するが、第1の位置に固定的に配置されている。尚、固定磁性体コアである固定領域Dに配置された外側磁性体コア204は、コイル保持部材207に直接固定するなどしてもよい。
図9(a)、(b)を参照して、外側磁性体コア204の第1部分241及び第2部分242と励磁コイル202との位置関係について説明する。
図9(a)に示すように、コア保持部材208が第1の位置にあるときに、コア保持部材208の第2の支持梁284、284に設けられた受部286、286と、コイル保持部材207の突起部275に設けられた第1の当接部273とが当接する。これにより、コア保持部材208に保持された外側磁性体コア204の第1部分241は、コア保持部材208及びコイル保持部材207を介して、励磁コイル202の巻線部202aの外周面と略同心円上に配置される。
ここで、第1の当接部273は、図5に示すように定着装置100の長手方向に延在するコイル保持部材207の長手方向の略全域において、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対して略等距離とされている。又、可動領域Eに配置された複数の外側磁性体コア204の第1部分241の全てが実質的に同一の構成のコア保持部材208によって保持される。そのため、可動領域Eに配置された複数の外側磁性体コア204の第1部分241は全て、励磁コイル202の巻線部202aの外周面と略同心円上に配置される。又、上述のように、本実施例では、固定領域Dに配置された複数の外側磁性体コア204の第1部分241についても、上記コア保持部材208と同様の構成の固定コア保持部材を介してコイル保持部材207に対して固定されている。従って、可動領域E及び固定領域Dを含む定着装置100の長手方向に配置される複数の外側磁性体コア204の第1部分241の全てが、励磁コイル202の巻線部202aの外周面と略同心円上に配置される。
一方、コア保持部材208が第1の位置にあるときに、外側磁性体コア204の第2部分の基部242cの下面と、コア保持部材208の第2部分支持部284b、284bの上面との間には、図9(a)中の矢印G方向に沿って隙間(空間)287が形成される。そして、第2部分242は、その凸部242aの先端部242bがコイル保持部材202に設けられた第2の当接部274に当接して、この状態で保持される。このとき、第2部分242の凸部242aは、励磁コイル202の巻き中心部202b内に配置される。又、このとき、第2部分242の基部242cは、第1部分241の湾曲部241fと共に励磁コイル202と同等の曲率を有する略アーチ形状を形成する。
ここで、第2の当接部274は、図5に示すように定着装置100の長手方向に延在するコイル保持部材207の長手方向の略全域において、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対して略等距離とされている。そのため、可動領域Eに配置された複数の外側磁性体コア204の第2部分242は、コイル保持部材207の第2の当接部274の形状に沿って、定着装置100の長手方向において定着ベルト101の金属層(誘導発熱)101aに対して略等距離に配置される。又、上述のように、本実施例では、固定領域Dにおいても、定着装置100の長手方向において分割して配置された複数の外側磁性体コア204は、上記コア保持部材208と同様の構成の固定コア保持部材を介してコイル保持部材207に対して固定されている。従って、可動領域E及び固定領域Dを含む定着装置100の長手方向の全ての外側磁性体コア204の第2部分242が、コイル保持部材207の第2の当接部274の形状に沿って、定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対し略等距離に配置される。
このように、本実施例によれば、複数の外側磁性体コア204の第1部分241、第2部分242と励磁コイル202と定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの相対位置を、定着装置100の長手方向において略均一にすることが可能となる。これにより定着ベルト101の長手方向における温度分布を略均一にすることが可能となる。
尚、図9(b)に示すように、コア保持部材208が第2の位置にあるときに、コア保持部材208の第2の支持梁284、284に設けられた受部286、286は、コイル保持部材207の突起部275に設けられた第1の当接部から離間される。そして、コア保持部材208に保持された外側磁性体コア204の第1部分241は、コア保持部材208が第1の位置にあるときよりも、励磁コイル202から遠ざけられた位置に配置される。又、コア保持部材208が第2の位置にあるときに、外側磁性体コア204の第2部分242は、その基部242cの下面がコア保持部材208の第2の支持梁284、284に設けられた第2部分支持部284b、284bの上面に係合して懸架される。そして、このようにしてコア保持部材208に保持された第2部分242は、コア保持部材208が第1の位置にあるときよりも、励磁コイル202から遠ざけられた位置に配置される。このとき、第2部分242の凸部242aは、励磁コイル202の巻き中心部202b外に配置される。
このように、本実施例では、可動磁性体コアである可動領域Eに配置された外側磁性体コア204は、励磁コイル202に対してより近接した近接位置と、この近接位置よりも励磁コイル202から離れた離間位置とに移動可能とされる。コア保持部材208が第1の位置にあるときに、可動磁性体コアである外側磁性体コア204は近接位置に配置される。このときに、第1部分241に沿う仮想円が励磁コイル202の巻線部の外周面に沿う仮想円と略同心円上に配置されると共に、第2部分242の凸部242aが励磁コイル202の巻き中心部内に配置される。又、コア保持部材208が第2の位置にあるときに、可動磁性体コアである外側磁性体コア204は離間位置に配置される。このときに、第1部分241が励磁コイル202の半径方向の外側に移動する。そして、第1部分241に沿う仮想円が励磁コイル202の巻線部の外周面に沿う仮想円の略同心円上から外れると共に、第2部分242の凸部242が励磁コイル202の巻き中心部外に配置される。
又、本実施例では、コア保持部材208は、第2の支持梁284、284の先端部近傍において、該第2の支持梁284、284間に橋渡しするように設けられた封止部材(規制部、シート)288を有する。封止部材288は、第2部分242の定着ベルト101(即ち、誘導発熱体)側とは反対側に配置され第2部分242の定着ベルト101側(即ち、誘導発熱体側)とは反対側への移動を規制する規制手段を構成する。これにより、コア保持部材208が第2の位置から第1の位置に移動する際に、外側磁性体コア204の第2部分242が図9(a)中の矢印G方向とは反対方向に移動して、コア保持部材208から抜けてしまうことを防止することができる。封止部材288としては、耐熱性を有するアラミドポリマー繊維や、耐熱性の紙を好適に用いることができる。又、本実施例では、封止部材288は、コア保持部材208に対して、固定手段として熱溶着により固定される。
上述のように、コア保持部材208が第1の位置にあるときに、外側磁性体コア204の第2部分242は、その凸部242aの先端部242bがコイル保持部材207の第2の当接部274に当接する。又、このときに第2部分242の基部242cの下面がコア保持部材208の第2部分支持部284b、284bに対し隙間(空間)287を有した状態とされる。そのため、本実施例では、コア保持部材208が第1の位置にあるときに、第2部分242と封止部材288との間に所定のクリアランスαを設ける。これにより、第2部分242と封止部材288とが接触して、コア保持部材208が図9(a)中の矢印G方向とは反対方向に持ち上げられることを防止することができる。
本実施例によれば、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202に対する離間位置から近接位置に移動する際に受ける衝撃を低減することができる。
即ち、コア保持部材208が第2の位置から第1の位置に移動する際に、先ず、コア保持部材208の受部286、286とコイル保持部材207の第1の当接部273とが当接する。これにより、外側磁性体コア204の第1部分241は、励磁コイル202に対する位置が決められる。従って、第1部分241がコイル保持部材207に直接当接することはなく、第1部分241への衝撃を低減することができる。
又、コア保持部材208が第2の位置から第1の位置に移動する際に、外側磁性体コア204の第2部分242は、上述のような位置決めの精度の向上のためにコイル保持部材207に直接当接する。この第2部分242の凸部242aが受ける力は、第2部分242の自重のみである。
例えば、図23、図24に示した参考例のように、磁性体コア203(本実施例の外側磁性体コアに対応)が一体の場合は、移動する磁性体コア203の全体の荷重を凸部203Tが受ける。これに対して、本実施例では、第2部分242が受ける力は、第2部分242の自重のみに低減することができる。
このように、本実施例によれば、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202に対する離間位置から近接位置に移動する際に受ける衝撃を低減し、該外側磁性体コア204の破損の可能性を低減することができる。
6.コア移動機構
本実施例では、コア保持部材208の移動方式としてスライド方式を用いる。移動手段としての移動機構としては、コア保持部材208をスライド移動させて第1の位置と第2の位置とに移動させることができれば、任意の構成のものを用いることができる。
図10は、コア移動機構300の一例の概略構成を示す模式図である。このコア移動機構300は、回動可能なレバー部材312、これを移動させる駆動手段としての電磁ソレノイド315などを有して構成される。このコア移動機構300は、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204を単独で又は複数個をまとめて保持するコア保持部材208毎に設けることができる。
更に説明すると、定着装置100の枠体に設けられた軸311には該軸を中心に回動可能にレバー部材312が配設される。レバー部材312の一方の腕部に設けた長穴部312aとコア保持部材208に設けたピン軸313とが係合されて、レバー部材312とコア保持部材308とが連結される。又、定着装置100の枠体に設けられた支持板314には電磁ソレノイド315が固定されて配設される。そして、電磁ソレノイド315のプランジャ315aに設けられたピン軸315bとレバー部材312の他方の腕部に設けた長穴部312bとが係合されて、電磁ソレノイド315とレバー部材312とが連結される。更に、レバー部材312の一方の腕部側に設けられたばね掛け部312cと支持板314に設けられたばね掛け部314aとの間には引っ張りばね(付勢部)316が張設される。これにより、レバー部材312は、引っ張りばね316の引っ張り力により軸311を中心に、コア保持部材208をコイル保持部材207の底部271側に移動させる方向に回動するように付勢されている。
そして、電磁ソレノイド315に対する通電がオフであるときには、プランジャ315aにはソレノイド内方への引き込み力が作用していない。そのため、レバー部材312が、軸311を中心に、引っ張りばね316の引っ張り力によりコア保持部材208をコイル保持部材207の底部271側に移動させる方向に十分に回動される。これにより、コア保持部材208は第1の位置に配置される。一方、電磁ソレノイド315に対する通電がオンにされると、プランジャ315aがソレノイド315の内方へ引き込まれる。そのため、レバー部材312が、軸311を中心に、ばね314の引っ張り力に抗してばねを引き伸ばしながら、コア保持部材208をコイル保持部材207の底部271から離れる方向に十分に回動される。これにより、コア保持部材208は第2の位置に配置される。
尚、本実施例では、コア保持部材208の移動方式としてスライド方式を示したが、励磁コイル202と可動磁性体コアである外側磁性体コア207との所定の距離関係を確保できれば、他の移動方式でもよい。他の移動方式として回動方式を採用した場合を実施例2において説明する。
又、本実施例では、定着装置100の長手方向における外側磁性体コア204の配置として、励磁コイル202の巻線部202aの内側に配置した例を示した。しかし、発熱幅を広く取るために、外側磁性体コア204を励磁コイル202の巻線部202aの外側にも配置してよい。但し、その際の励磁コイル202の巻線部202aの外側に配置される外側磁性体コア204も、上記同様にしてコイル保持部材207に対して位置決めされる。
7.導電部材
次に、磁性体コアを移動させることによる磁束の漏れを低減した本実施例の変形例の構成について説明する。図11は、本変形例の定着装置の一部省略部分分解斜視図である。図12は、本変形例における後述する導電部材の模式図である。図13(a)、(b)は、それぞれ本変形例における第1の位置、第2の位置にあるコア保持部材208とコイル保持部材207とを示す断面図である。図14、図15は、それぞれ可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202に対して近付けられた状態、遠ざけられた状態を示す、本変形例の定着装置100の模式的な断面図である。尚、本変形例の定着装置の基本的な構成及び動作は、後述する導電部材が設けられていることを除いて、上記本実施例の定着装置のものと実質的に同じである。又、本変形例の定着装置において、本実施例の定着装置のものと同一又はそれに対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
本変形例では、可動磁性体コアである可動領域Eに配置された外側磁性体コア204の外側であって、コイル保持部材207の長側壁276、276の内側に、導電部材289が配置されている。この導電部材289は、可動領域Eに対応するコイル保持部材207の長手方向の両端部側において、上下流側の長側壁276、276の内面にそれぞれ固定されている。導電部材289は、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励起コイル202に対する離間位置に移動したことで形成される空間に対応する位置に配置されている。導電部材289は、当該空間で磁束密度を減少させる磁束調整部材である。この導電部材289は、例えば透磁率が低い金属材料の薄板であり、コイル保持部材207の上記側壁に、固定手段として接着剤により固定される。
先ず、磁性体コアの移動による作用(作用A)について説明する。
使用する記録材Pが大サイズの記録材Pの場合は、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204は、図14に示すように、励磁コイル202に対する近接位置に移動されている。定着装置100は、この状態において、加圧ローラ102が回転駆動され、又励磁コイル202に通電がされて、定着動作を実行する。従って、この場合、定着ベルト101は、大サイズの記録材Pの通紙領域(図3の領域A)の全体が略均一に発熱する。左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202に対する近接位置に移動されている状態において励磁コイル202の周りに形成される磁気回路を図14に太線Hで示した。この磁気回路Hは、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204、上流側磁性体コア205、下流側磁性体コア206、及び定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aで形成される。
使用する記録材Pが小サイズの記録材Pの場合は、図15に示すように、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204と励磁コイル202との間隙が広がっている。定着装置100は、この状態において、加圧ローラ102が回転駆動され、又励磁コイル202に通電がされて、定着動作を実行する。左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202に対する離間位置に移動されている状態において励磁コイル202の周りに形成される磁気回路を図15に太線Hで示した。この状態では、励磁コイル202の周りに形成される磁気回路の効率は落ちる。従って、この場合、定着ベルト101は、大サイズの記録材Pと小サイズの記録材Pの通紙領域の差領域(図3の領域C)における発熱量が低下する。
次に、導電部材289の作用(作用B)について説明する。
図15に示す状態では、導電部材289が、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が移動したことで形成される空間に配置され、コイル保持部材207に保持されている。導電部材289は、磁束が定着装置100の外部に洩れることを低減することができる。それだけでなく、導電部材289は、次の役割も有する。
即ち、導電部材289は、励磁コイル202から発生する磁束Hの一部に鎖交することによって電磁誘導作用が生じ、励磁コイル202の磁束H(図15)に変化を与えている。励磁コイル202の磁束Hと鎖交する位置に導電部材289を配置すると、電磁誘導の法則により、導電部材289には鎖交する磁束Hの変化割合に比例した起電力が生じ、導電部材289には誘導電流が流れる閉回路(鎖交回路)が形成される。このとき、その起電力の方向、或いは、起電力が生じて流れる電流の方向は、その電流によって生ずる磁束が、鎖交磁束の変化を妨げる方向である。従って、導電部材289に鎖交する磁束が通る領域、即ち、可動領域Eにおいては、磁束密度が減少し、定着ベルト101の可動領域Eに対応する部分の発熱量は抑えられる。
このように、基本的には、上述の作用Aが働くことによって、小サイズの記録材Pを使用する際の非通紙部昇温を抑制することができる。そして、導電部材289を用いる場合には、上述の作用Aと作用Bとが働くことで、小サイズの記録材Pを使用する際の非通紙部昇温を一層抑制することができる。
又、導電部材289は動かず、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204だけ動く構成であるため、装置全体を煩雑にすることなく、省スペースで構成することが可能となる。
尚、導電部材289自体の発熱による昇温を抑制しつつ、消費電力を低下させるために、導電部材289を透磁率が低い材料からなる導電部材で構成することが好ましい。導電部材289は、その比透磁率の値が0.9以上1.1以下のものが好ましく、例えば銅、アルミ、銀、鉛などが挙げられる。上述の材料の比透磁率は、銅(0.999991)、アルミ(1.00002)、銀(0.99998)、鉛(0.999983)である。又、発熱量を小さくするために、電気抵抗値の低い金属板が好ましい。
電磁誘導による発熱の原理は、磁束の鎖交した部材に電流が流れると、表皮抵抗Rsに比例した電力で発熱を生じるというものである。ここで、角振動数をω、透磁率をμ、固有抵抗をρとすると、表皮深さδは次式で示される。
δ=(2ρ/μω)1/2
更に、表皮抵抗Rsは次式で示される。
Rs=ρ/δ
そして、磁束の鎖交した部材に発生する電力Wは、部材に流れる電流をIとすると、次式で表せる。
W∝Rs∫|I|2dS
従って、透磁率μを小さく、そして固有抵抗ρ小さくすれば、電力Wが低くなり、部材の発熱も抑えられる。
一方、導電部材289から磁束を漏らさないように、本変形例では、導電部材289の厚さt(図12)は、表皮深さδよりも厚くされている。上述のように、表皮深さδは、導電部材289の透磁率μと、導電部材289の固有抵抗ρと、励磁コイル202から生じる磁束の角振動数ωで定められる。
因みに、導電部材289の厚さtが表皮深さδより薄い場合は、電磁誘導の原理により次式で表される。
Rs≒ρ/t(t:厚さ)
従って、この場合は導電部材289の発熱量が大きくなってしまう。
又、導電部材289による磁束低下の効果を充分に発揮するためには、励磁コイル202から発生する磁束が広がっていない位置に導電部材289を配置したほうが効果的である。つまり、導電部材289は、励磁コイル202から近く、且つ、左右の可動領域Eの外側磁性体コア204、上下流側磁性体コア205、206、誘導発熱体101a及び導電部材289で磁気回路を形成し、外部に磁束を極力漏らさないように配置したほうがよい。
本変形例では、導電部材289は、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が移動する軌跡の近傍に配置され、コイル保持部材207に直接固定されている。又、本変形例では、導電部材289の左右の可動領域Eに配置された外側磁性体204の移動方向における長さL(図12)は、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204の移動距離d(図15)よりも長くされている。これにより、外側磁性体コア204を移動させることで形成される外側磁性体コア204と励磁コイル204との間の間隔が広がっても、導電部材289の存在により磁束の洩れを小さくでき、装置近傍にある部品への影響を低減することができる。又、導電部材289による磁束低下の効果を充分に発揮する目的で、定着装置100の長手方向における導電部材289の長さW(図12)は、可動領域Eの同方向における長さよりも長くなっている。尚、導電部材289は、少なくとも左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が移動した空間に配置されていればよい。従って、導電部材289は、例えば、左右の可動領域Eに配置された外側磁性体コア204の外周を覆ったり、磁性体コア203の全域を覆ったりする構成としてもよい。
8.非通紙部昇温の抑制
図16、図17を参照して、本実施例(及び上記変形例)における非通紙部昇温の抑制効果について更に説明する。
図16、図17は、小サイズの記録材Pである幅W1の記録材Pを使用する場合の、外側磁性体コア204の移動による効果を説明するための模式図である。
図16のグラフは、記録材Pの幅W1に対して外側磁性体コア204によって磁束が強められている幅W2が広い場合の、通紙1枚目(点線)と通紙500枚目(実線)の定着ベルト101の長手方向における温度分布を示す。定着ベルト101の所定の目標温度(定着温度)は180℃である。これによると、通紙1枚目において通紙領域で均一な温度分布を得ようとすると、通紙500枚目において紙領域の端部において定着ベルト101の温度は270℃となり、大きく目標温度を超えて昇温してしまっているのが分かる。この過昇温は、定着ベルト101の耐久破壊を招くおそれがあるため、低減することが望まれる。
本実施例(及び上記変形例)では、この定着ベルト101の過昇温の対策として、非通紙部においては励磁コイル202と外側磁性体コア204との隙間を広げる。これにより、定着ベルト101を通過する磁束密度を低めて、定着ベルト101の発熱量を低下させる。
図17のグラフは、記録材Pの幅W1と外側磁性体コア204によって磁束が強められている幅W3とが一致する場合の、通紙1枚目(点線)と通紙500枚目(実線)の定着ベルト101の長手方向における温度分布を示す。これによると、通紙1枚目においても、通紙領域で均一な温度分布が得られ、良好な定着性を得ることが可能であることが分かる。又、通紙500枚目においても、記録材Pの幅W1の外側である非通紙部領域の定着ベルト101の温度は、耐久破壊のおそれのある温度以下に保たれており、定着ベルト101の耐久破壊の可能性を低減することが可能であることが分かる。
このように、非通紙領域において励磁コイル202と外側磁性体コア202との隙間を広げることにより、定着性と定着ベルト101の耐久破壊の可能性の低減とを両立することができる。
9.制御態様
図18は、本実施例の画像形成装置1の要部の概略制御態様を示す。画像形成装置1の動作は、画像形成装置1に設けられた制御部50が統括的に制御する。制御部50は、制御手段としてのCPU51、記憶手段としてのROM52、RAM53などを有する。そして、制御部50は、CPU51において、ROM52に格納され、必要に応じてRAM53に読み出されたプログラムやデータに従って、画像形成装置1の各部の動作を制御する。本実施例との関係では、制御部50には、定着装置100の誘導発熱部200に高周波電流を印加する電源装置103、定着装置100の加圧ローラ102を回転駆動するモータM1などが接続されている。又、制御部50には、定着装置100の定着ベルト101の温度を検知する温度センサ107、定着装置100のコア保持部材208を移動させるコア移動機構300の駆動手段などが接続されている。
図19は、画像形成に際する画像形成装置1の動作の制御の概略を説明するためのフローチャートである。制御部50は、画像形成装置1の待機状態時にはコア移動機構300により可動領域Eの外側磁性体コア204を保持したコア保持部材208を第1の位置に配置させている(ステップS1)。制御部50は、プリント開始信号が入力されると(ステップS2)、外部ホスト装置(図示せず)や画像形成装置1の操作部(図示せず)の記録材サイズ入力手段からの使用する記録材Pのサイズの入力値を読み取る(ステップS3)。制御部50は、その入力値が大サイズの記録材Pか小サイズの記録材Pかを判断する(ステップS4)。制御部50は、小サイズ記録材Pであると判断した場合には、コア移動機構300により可動領域Eの外側磁性体コア204を保持したコア保持部材208を第2の位置に移動させる(ステップS5)。その後、制御部50は、設定された枚数分のプリントジョブを実行させる(ステップS6)。制御部50は、そのプリントジョブが終了したら(ステップS7)、画像形成装置1を待機状態にして、次のプリントジョブのプリント開始信号の入力待ちをする(ステップS8)。一方、ステップS4において、大サイズの記録材Pであると判断した場合には、制御部50は、コア保持部材208を第1の位置に配置したままにして、設定された枚数分のプリントジョブを実行させる(ステップS6)。制御部50は、そのプリントジョブが終了したら(ステップS7)、画像形成装置1を待機状態にして、次のプリントジョブのプリント開始信号の入力待ちをする(ステップS8)。
10.効果
以上説明したように、本実施例では、定着装置100の長手方向において分割して配置された外側磁性体コア204のうち可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が移動する。これにより、小サイズの記録材Pを使用する際の非通紙部昇温を抑制することができる。そして、本実施例によれば、このような構成において、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204と励磁コイル202と定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの相対位置を、定着装置100の長手方向において略均一にすることが可能となる。これにより、定着ベルト101の長手方向における温度分布を略均一にすることが可能となる。
又、コア保持部材208が第2の位置から第1の位置に移動して、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204が励磁コイル202に対する離間位置から近接位置に移動する際に、該外磁性体コア204にかかる衝撃を低減することができる。これにより、該外側磁性体コア204の破損の可能性を低減することが可能となる。
このように、本実施例によれば、非通紙部昇温の抑制と定着ベルト101の長手方向における温度分布の均一性とを両立し、且つ、外側磁性体コア204の破損の可能性を低減することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置、定着装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、コイル保持部材207、コア保持部材208及びコア移動機構300の構成が実施例1の画像形成装置1とは異なる。
図20は、本実施例における誘導加熱部200の一部省略外観斜視図である。又、図21(a)、(b)は、それぞれ本実施例における第1の位置、第2の位置にあるコア保持部材208とコイル保持部材207とを示す断面図である。
実施例1では、コア保持部材208の移動方式としてスライド方式を用いたが、本実施例では、コア保持部材208の移動方式として回動(揺動)方式を用いる。
本実施例では、実施例1と同様に、可動領域Eに配置された複数の外側磁性体コア204は、移動手段としての移動機構300によって第1の位置と第2の位置とに移動可能なコア保持部材208に保持される。
尚、本実施例では、図20に示すように、コア保持部材208は、1個ずつの外側磁性体コア204を保持するようになっている。但し、実施例1と同様に、コア保持部材208は、2個以上の外側磁性体コア204を保持する部分が一体とされていてもよい。又、本実施例においても、実施例1と同様に、固定領域Dに配置された複数の外側磁性体コア204は、固定コア保持部材を介してコイル保持部材207に対して固定されている。この固定コア保持部材は、外側磁性体コア204の保持方法については上記コア保持部材208と同様の構成を有するが、第1の位置に固定的に配置されている。
コア保持部材208は、各外側磁性体コア204の保持方法自体については、実施例1のものと概略同様の構成を有する。図21(a)、(b)に示すように、本実施例では、長側部281、短側部282の形状などは実施例1のものとは異なるが、機能的には実質的に等価である。
又、コイル保持部材207は、実施例1と同様に、底部271の曲面部271aから定着ベルト101側とは反対側に突出した突起部275を有する。但し、本実施例では、実質的に、励磁コイル202の巻き中心部202bに対して下流側で定着装置100の長手方向に延在する部分の先端部のみが、励磁コイル202の巻線部202aの外周面よりも突出している。そして、この先端部が第1の当接部273となる。従って、本実施例では、コア保持部材208の第2の支持梁284、284のうち下流側の第2の支持梁284の第2部分支持部284bの下面のみが、第1の当接部273と当接する受部286となる。
又、本実施例では、コイル保持部材207の可動領域Eに対応する下流側の長側壁276の内面に、実施例1で説明した変形例におけるものと同様の導電部材289が設けられている。又、本実施例では、コイル保持部材207の上流側の長側壁276は、下流側の長側壁276よりも、定着ベルト101側とは反対側の端部が低くされている。この上流側の長側壁276の定着ベルト101側とは反対側の端部は、後述するコア移動機構300の回動中心を中心とする円弧の接線に沿うようにして傾斜されている。そして、可動領域Eに対応するこの上流側の長側壁276の傾斜した端部に、板状の導電部材289が設けられている。
コア移動機構300は、本実施例では、回動軸301、アーム部302、ベース303、コイルバネ304、カム305、カム軸306などを有して構成される。回動軸301は、コイル保持部材207、コア保持部材208の上流側において、定着装置100の長手方向に沿って配置されており、その長手方向の両端部において、コイル保持部材207に取り付けられたベース303に支持されている。アーム部302は、回動軸301に回動可能に軸支されている。そして、このアーム部302が、コア保持部材208の上流側の短側部282に連結されている。これにより、コア保持部材208は、回動軸301の回動中心を中心として回動可能にベース303に支持されている。
尚、本実施例では、アーム部302は、コア保持部材208と一体に形成されているが、これらは別部材とされて適当な固定手段によって固定されてもよい。又、本実施例では、ベース303とコイル保持部材207とは別部材とされ、固定手段として熱溶着で固定されているが、これらは一体に形成されてもよい。
コア保持部材208は、図20に示す回動軸301と同軸上に設けられた付勢手段(付勢部)としてのねじりコイルばね304により、図21(a)、(b)中の矢印F方向に、所定の力で付勢さている。即ち、コア保持部材208は、コイルばね304により、コア保持部材208がコイル保持部材207に近づくように回動する方向に、所定の力で付勢されている。図21(a)に示す第1の位置において、ねじりコイルばね304の力により、コア保持部材208の受部286がコイル保持部材207の第1の当接部273に押圧される。又、このとき、外側磁性体コア204の第2部分242の凸部242aの先端部242bとコイル保持部材207の第2の当接部274とが当接する。
即ち、第2部分242の位置決めは、先端部242bがコイル保持部材207に接触することによって行われる。この理由について説明する。励磁コイル202から生じる磁束は、励磁コイル202の巻線の内側に集中するので、定着ベルト101に作用する磁束の大きさは、励磁コイル202の巻線の内側の第2部分242と定着ベルト101との間隔に大きく依存する。もし定着ベルト101に作用する磁束の大きさが長手方向の位置によってばらついてしまうと、定着ベルト101に加熱ムラが生じるおそれがある。そこで、加熱ムラを抑制するためには、長手方向に並べて配置された第2部分242毎に、第2部分242と定着ベルト101との間隔がばらつかないようにするのが望ましい。そこで、本実施例では、長手方向に並べて配置された第2部分242毎に、第2部分242と定着ベルト101との間隔がばらつかないように、第2部分242の位置決めは、先端部242bがコイル保持部材207に接触することによって行われる。
第2部分242は、実施例1と同様に、第1の位置にあるコア保持部材208に対して図21(a)の矢印G方向及びその反対方向に移動可能に保持されているので、ねじりコイルばね304の力によりコイル保持部材207に押圧されることはない。
コア保持部材208は、カム305とカム軸306とを用いて移動させる。カム軸306は、コイル保持部材207、コア保持部材208よりも上流側、且つ、回動軸301よりも下流側において、定着装置100の長手方向に沿って配置されている。カム305は、アーム部302とベース303との間に位置して、カム軸306に固定されている。本実施例では、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204を保持する全てのコア保持部材208が同期して第1の位置又は第2の位置に配置される。従って、全てのカム305はカム軸306の回転方向において実質的に同一のカムプロフィールを有する。
図21(a)に示すように、コア保持部材208を第1の位置に配置する場合は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によってカム軸306を回転させてカム305をアーム部302から退避した位置に配置する。これにより、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204は、励磁コイル202に対する近接位置に移動される。
一方、図21(b)に示すように、コア保持部材208を第2の位置に配置する場合は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によりカム軸306回転させて、カム305がアーム部302を押し上げる位置に配置する。カム305は、ねじりコイルばね304の付勢力に抗して、アーム部302を移動させる。これにより、可動領域Eに配置された外側磁性体コア204は、励磁コイル202に対する離間位置に移動される。
以上、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、コア移動機構300の構成をより簡易化することができる。
実施例3
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置、定着装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、定着装置100の長手方向における外側磁性体コア204の位置の設定が、実施例1とは異なる。
本実施例では、実施例1と同様に、可動領域Eに配置された複数の外側磁性体コア204は、移動手段としての移動機構300によって第1の位置と第2の位置とに移動可能なコア保持部材208に保持される。
尚、本実施例では、実施例1と同様に、可動領域Eに配置された複数の外側磁性体コア204は、コア保持部材208を介してコイル保持部材207に対して移動可能に保持される。又、固定領域Dに配置された複数の外側磁性体コア204は、固定コア保持部材を介してコイル保持部材207に対して固定されている。この固定コア保持部材は、外側磁性体コア204の保持方法については上記コア保持部材208と同様の構成を有するが、第1の位置に固定的に配置されている。
図22は、本実施例における外側磁性体コア204の位置と定着ベルト101の長手方向における温度分布との関係を示す説明図である。
実施例1では、定着装置100の長手方向において分割して配置された複数の外側磁性体コア204と定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの距離は、定着装置100の長手方向において略均一とされた。これにより、定着ベルト101の長手方向における温度分布を略均一にすることが可能となる(図25(a)参照)。
これに対して、本実施例では、図22に示すように、定着ベルト101の長手方向における温度分布を、中央位置(中央基準線O)の温度に対し両端部の温度の方が高めになるようにする。これは、用紙などの記録材Pの搬送時に、定着装置100の長手方向における記録材Pの中央と端部の搬送速度差に起因して搬送しわが生じることがあることに対する対策として、中央に対し端部の搬送速度を大きくするためである。
そのために、本実施例では、コイル保持部材207の第2の当接部274の定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの距離は、定着装置100の長手方向の両端部側よりも略中央部側において大きく設定されている。即ち、定着装置100の長手方向において、コイル保持部材207の底部271で構成された第2の当接部274は、略中央部(中央基準線O)に関してクラウン高さΔxを有する対称なクラウン形状とされる。又、本実施例では、コイル保持部材207の第1の当接部273の定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aとの距離も、定着装置100の長手方向の両端部側よりも略中央部側において大きく設定されている。即ち、定着装置100の長手方向において、コイル保持部材207の突起部275の先端部で構成された第1の当接部273も、略中央部(中央基準線O)に関してクラウン高さΔxを有する対称なクラウン形状とされる。
本実施例では、実施例1と同様に、定着装置100の長手方向において分割して配置された複数の外側磁性体コア204は、コア保持部材208を介して又は直接にコイル保持部材207に当接して、定着ベルト101に対する位置関係が保持される。従って、コイル保持部材207に設けたクラウン形状に沿って、各外側磁性体コア204の定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対する位置が規制されることで、図22に示すような定着ベルト101の長手方向における温度分布を得ることができる。
以上、本実施例によれば、定着装置100の長手方向において外側磁性体コア204の定着ベルト101の金属層(誘導発熱体)101aに対する位置を略均一とせずに変化させる場合であっても、各外側磁性体コア204を適正な位置に配置することができる。
その他
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、画像形成装置、定着装置は、記録材の通紙を片側通紙基準で行う構成であってもよい。この場合、小サイズの記録材を用いるときには、記録材の搬送方向に略直交する方向に一方の端部側の可動磁性体コアを移動させるようにすればよい。
又、画像加熱装置は、記録材上の未定着画像を定着させる定着装置の他、記録材上の未定着画像を仮定着させる仮定着装置、画像を担持した記録材を加熱して光沢などの表面性を改質する表面改質装置(例えば光沢を増大させる光沢増大化装置)などであってもよい。又、画像加熱装置は、インクジェット方式などの、染料や顔料を含む液体により画像形成を行う画像形成装置においてインクを速く乾かすための加熱乾燥装置であってもよい。又、その他、例えば、紙幣などのしわ除去用の熱プレス装置や、熱ラミネート装置、紙などの含水分を蒸発させる加熱乾燥装置など、シートを加熱処理する加熱装置として用いても有効である。
又、複数の可動磁性体コアのうち移動させる可動磁性体コアの数を、記録材の幅に応じて変更するようにしてもよい。その場合、1個ずつの可動磁性体コアを個別に移動させることができるコア移動機構を用いることが好ましい。
又、上述の実施例では、定着装置の長手方向において分割して配置された複数の磁性体コアの可動領域と固定領域とを設けた。しかし、例えば定着装置の長手方向において分割して配置された複数の磁性体コアの全てを励磁コイルに対する近接位置と離間位置とに移動可能として、使用する記録材の幅に応じて移動させる磁性体コアを変更するように構成してもよい。