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JP5526938B2 - アルミニウム多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

アルミニウム多孔質焼結体の製造方法 Download PDF

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JP5526938B2 JP2010082007A JP2010082007A JP5526938B2 JP 5526938 B2 JP5526938 B2 JP 5526938B2 JP 2010082007 A JP2010082007 A JP 2010082007A JP 2010082007 A JP2010082007 A JP 2010082007A JP 5526938 B2 JP5526938 B2 JP 5526938B2
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Description

本発明は、ヒートシンク、ヒートパイプ等の伝熱部材、各種フィルタ、触媒担持体、軽量構造部材、消音制振材、断熱材、電磁波遮断材等として好適な厚板状、ブロック状、円筒状あるいはその他の3次元異形状のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法に関するものである。
従来、蓄熱装置の伝熱部品、フィルターや燃料電池の凝縮回収器の復水トラップ部材、あるいは放熱のために使われるヒートシンク等を構成する多孔質の金属板として、一般に開気孔型のニッケル系やステンレス系の発泡金属が多用されている。
ところで、上記多孔質の金属板として、アルミニウム系の多孔質板を用いることができれば、熱伝導度の向上や装置の軽量化を図ることが可能になる。
一方、例えば、下記特許文献1においては、溶融アルミニウムに増粘剤を加えて増粘させた後に、発泡剤としての水素化チタンを添加して、水素化チタンの熱分解反応によって生じる水素ガスを利用して溶融アルミニウムを発泡させつつ固化させる発泡溶融法により、アルミニウム多孔質体を得る製造方法が提案されている。
ところが、上記ヒートシンク等に用いられる多孔質の金属板としては、気体や液体の流通が確保される限りにおいて、その孔径は小さい方が好ましいのに対して、上記従来の発泡溶融法によって得られる発泡アルミニウムは、数mmの大きな閉気孔を有するものであることから、実用には耐え得ないという問題点があった。
これに対して、本発明者等は、先に特願2009−82498号として、アルミニウム粉末に焼結助剤元素としてチタンを含む焼結助剤粉末を混合してアルミニウム混合原料粉末とし、このアルミニウム混合原料粉末に水溶性樹脂結合剤と水等を加えることにより気孔を含むスラリー状の粘性組成物として、当該粘性組成物をドクターブレード法等のスラリー法によって焼結前成形体とし、この焼結前成形体を、非酸化性雰囲気にて、上記アルミニウム混合原料粉末が融解を開始する温度をTm(℃)としたときに、Tm−10(℃)≦T≦685(℃)である温度T(℃)で加熱焼成することによりアルミニウムの多孔質焼結体を製造するアルミニウム多孔質焼結体の製造方法を提案した。
上記アルミニウム多孔質焼結体の製造方法によれば、孔径600μ以下の極めて小さな孔が形成された三次元骨格構造であって、かつ開気孔型のアルミニウム多孔質焼結体を容易に得ることができるという利点がある。
特開平08−209265号公報
ところが、上記アルミニウム多孔質焼結体の製造方法にあっては、スラリー法によって粘性組成物を乾燥・焼結しているために、5mm程度以下の薄板状の部材は容易に得られるものの、ヒートシンク等に用いられている数cmの厚板状のアルミニウム多孔質焼結体や、ブロック状、円筒状あるいはその他の3次元異形状のアルミニウム多孔質焼結体を得ることが出来ないという問題点があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、小孔径の三次元骨格構造を有する厚板状、ブロック状あるいは円筒状等の様々な形状の開気孔型のアルミニウム多孔質焼結体を容易かつ確実に製造することができるアルミニウム多孔質焼結体の製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法は、アルミニウム粉末に焼結助剤としてのチタン粉末および/または水素化チタン粉末を含むアルミニウム混合原料粉末、水および水溶性樹脂結合剤を混合することにより気泡を含む粘性組成物を得る粘性組成物調製工程と、この粘性組成物を所定形状を有する容器に充填して凍結、乾燥することにより焼結前成形体を得る焼結前工程と、上記焼結前成形体を、不活性雰囲気中または真空中において、上記アルミニウム混合原料粉末が融解を開始する温度をTm(℃)としたときに、Tm−10(℃)≦T≦685(℃)の温度T(℃)で加熱焼成する焼成工程とを有してなり、かつ上記焼結助剤粉末の平均粒子径をr(μm)、上記焼結助剤粉末の配合比をW質量%としたときに、1(μm)≦r≦30(μm)、1≦W≦20(質量%)であり、かつ0.1≦W/r≦2であることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記焼結前工程は、上記粘性組成物が沸騰する圧力よりも大きく、かつ大気圧よりも低い圧力に減圧して、混入している上記気泡を大型化するとともに、当該減圧状態において上記粘性組成物の上記凍結を行うことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記焼成前工程は、上記粘性組成物を、その凍結温度よりも0.1℃以上高く、かつ10℃以下の温度に1〜60分保持した後に、当該粘性組成物の上記凍結を行うことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記アルミニウム粉末は、平均粒子径が2〜200μmであることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の発明において、上記水溶性樹脂結合剤は、上記アルミニウム混合原料粉末の質量の0.1%〜7%の範囲内で含まれていることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の発明において、上記粘性組成物調製工程において、上記アルミニウム混合原料粉末の質量の0.02〜3%の範囲内の界面活性剤を添加することを特徴とするものである。
請求項1〜のいずれかに記載の発明によれば、粘性組成物調製工程において得られた粘性組成物を、所定の製品形状を有する有底円筒状あるいは箱状等の容器や割型に充填して、当該粘性組成物を凍結して乾燥することにより厚板状、ブロック状あるいは円筒状等の所定形状の焼結前成形体とし、これを不活性雰囲気中または真空中において、上記アルミニウム混合原料粉末が融解を開始する温度をTm(℃)としたときに、Tm−10(℃)≦T≦685(℃)の温度T(℃)で加熱焼成することにより、孔径600μm以下の小孔が形成された三次元骨格構造を有し、かつ直線長さ1cmあたりに20個以上の空孔を有する開気孔型のアルミニウム多孔質焼結体であって、上記製品形状を有する厚板状またはブロック状のアルミニウム多孔質焼結体を得ることができる。
ここで、加熱焼成温度をTm−10(℃)以上に限定した理由は、アルミニウム混合原料粉末に含まれるアルミニウム粉末とチタンを含む焼結助剤粉末が反応を開始する温度がTm−10(℃)だからである。また、上記アルミニウム混合原料粉末が融解を開始する温度をTmと記載したのは、純粋なアルミニウム融点は660℃であるが、工業的に利用されるアルミニウムは不純物として鉄やシリコンを含有するので融点は660℃よりも低くなるからである。他方、加熱焼成温度を685℃以下に限定した理由は、その温度よりも高い温度に加熱保持すると、焼結体にアルミニウムの液滴状の塊が発生するようになるからである。
この際に、請求項2に記載の発明のように、上記焼結前工程において、上記粘性組成物が沸騰する圧力よりも大きく、かつ大気圧よりも低い圧力に減圧すれば、混入している上記気泡が膨張して大型化し、隣接する気泡同士が連通することにより、容易に三次元骨格構造を構築させることができる。
さらに、請求項3に記載の発明のように、上記焼成前工程において、上記粘性組成物を、その凍結温度よりも0.1℃以上高く、かつ10℃以下の温度に1〜60分保持するようにすれば、内部の気泡を安定化させることができるとともに、粘性組成物の粘度が常温時よりも高くなることにより、上記気泡が外部に脱出することを防ぐこともできる。
また、上記アルミニウム粉末としては、上記粘性組成物が所望の形状に成形可能な程度に粘性を有するような粒径のものを用いることが好ましい。すなわち、その平均粒子径が小さくなると、アルミニウム粉末の質量に対する水溶性樹脂結合剤の質量を多くして、上記粘性やハンドリング強度を確保する必要があるものの、水溶性樹脂結合剤の質量が多くなると焼結前成形体を加熱焼成する際にアルミニウム中に残存する炭素量が増加して、焼結反応が阻害されてしまう。
他方、アルミニウム粉末の粒子径が大きすぎると、多孔質焼結体の強度が低下してしまう。従って、請求項4に記載の発明のように、好ましくはアルミニウム粉末の平均粒子径を2μm以上として水溶性樹脂結合剤の質量を多くすることによる焼結反応の阻害を防止し、かつ200μm以下として多孔質焼結体の強度を確保する。さらに好ましくはアルミニウム粉末の平均粒子径を7μm〜40μmとする。
さらに、本発明において、焼結助剤粉末は、その平均粒子径r、配合比W質量%を1(μm)≦r≦30(μm)、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)、0.1≦W/r≦2とする
これは、焼結助剤粉末の配合比Wが20質量%を超えるとアルミニウム混合原料粉末中で焼結助剤粉末同士が接点を持つようになって、アルミニウムとチタンの反応熱を制御できなくなるとともに所望の多孔質焼結体が得られないようになるので、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)とする。
また、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)の範囲内であっても、焼結助剤粉末の粒子径によってはアルミニウムとチタンの反応熱が大きくなりすぎる場合があり、反応熱によって溶解したアルミニウムの温度がさらに上昇して粘性が下がり、液滴を生じてしまう場合があった。
そこで、種々の条件で作製した試験片を電子顕微鏡で観察した結果から、発熱量をチタンの配合量および粒子径で制御できる範囲内では、チタン粒子の露出表面側からほぼ一定の厚さの表層部だけがアルミニウム反応していることがわかった。これにより、液滴の発生を防止するためには1(μm)≦r≦30(μm)、かつ0.1≦W/r≦2であることが望ましいことを実験的に導出した。
なお、0.1≦W/r≦2の意味について、焼結助剤粉末にチタンを利用する場合にて以下に説明すると、チタンの平均粒子径をr、チタンの粒子数をN、チタンの添加質量をw、チタンの比重をD、アルミニウムとの反応によるチタン粒径の減少量をdとすると、反応熱量Qは反応したチタンの体積に比例することから、Q∝4πr2 dNである。さらに、チタン粒子の添加量は、チタン粒子1個の平均体積とチタン粒子の数との積により算出されることから、w=4/3πrDNである。よって後者の式を前者の式に代入すると、Q∝3wd/rDとなる。ここで、3/Dが定数であること、ならびにdが焼結条件によらずほぼ一定であるという観察結果からQ∝w/rである。従って、液滴が発生しないW/rの範囲を実験的に求めて上述のように限定することによって、アルミニウムとチタンの反応熱が大きすぎることによる液滴の発生を防止するものである。
また、上記水溶性結合剤は、アルミニウム混合原料粉末の質量の7%を超えて含まれると、加熱焼成する際に焼結前成形体などに残留する炭素量が増加して、焼結反応が阻害される。他方、0.5%未満であると、焼結前成形体のハンドリング強度を確保することができない。このため、請求項に記載の発明のように、アルミニウム混合原料粉末の質量の0.5%〜7%の範囲内で含まれていることが好ましい。
これに加え、請求項に記載の発明のように、アルミニウム混合原料粉末に界面活性剤を添加することにより、効果的に気泡を生成させることができ、この界面活性剤の添加量をアルミニウム混合原料粉末の質量の0.02%以上とすることによって、上記界面活性剤の添加による効果を得ることができ、3%以下とすることによって、焼結前成形体などに残存する炭素量が増加することによる焼結反応の阻害を防止できる。
本発明の一実施形態において粘性組成物中に気泡を分散形成するために用いられる気泡核形成装置を示す縦断面図である。 上記実施形態における粘性組成物調製工程を示すもので、(a)は成形型へ充填した状態、(b)は減圧した状態、(c)は粘性組成物中に気孔が形成された状態を示すものである。 上記実施形態において焼結後のアルミニウム多孔質焼結体の外観形状を示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るアルミニウム多孔質焼結体の製造方法の一実施形態について説明する。
この製造方法は、アルミニウム粉末に焼結助剤としてのチタン粉末および/または水素化チタン粉末を含むアルミニウム混合原料粉末、水および水溶性樹脂結合剤を混合することにより気泡を含む粘性組成物を得る粘性組成物調製工程と、この粘性組成物を凍結して乾燥することにより焼結前成形体を得る焼結前工程と、上記焼結前成形体を、不活性雰囲気中または真空中において、上記アルミニウム混合原料粉末が融解を開始する温度をTm(℃)としたときに、Tm−10(℃)≦T≦685(℃)の温度T(℃)で加熱焼成する焼成工程とから概略構成されたものである。
先ず、この製造方法において使用するアルミニウム粉末としては、平均粒子径が2〜200μmのものが用いられる。これは、平均粒子径が小さくなると、アルミニウム粉末に対して水溶性樹脂結合剤を多量に加えて、粘性組成物が所望の形状に成形可能な程度に粘性を有するように、かつ焼結前成形体がハンドリング強度を有するようにする必要がある。しかしながら、水溶性樹脂結合剤を多量に加えると、焼結前成形体を加熱焼成する際にアルミニウム中に残存する炭素量が増加して、焼結反応が阻害されてしまう。他方、アルミニウム粉末の粒子径が大きすぎると、最終的に得られたアルミニウム多孔質焼結体の強度が低下してしまう。そこで、アルミニウム粉末としては、上述のように平均粒子径2〜200μmの範囲内、より好ましくは7μm〜40μmの範囲内のものが用いられる。
さらに、このアルミニウム粉末にチタンおよび/または水素化チタンを混合する。これは、後工程となる焼成工程において、焼結前成形体をTm−10(℃)≦加熱焼成温度T≦685(℃)にて加熱焼成することによって、液滴の塊を生成させることのないアルミニウムのフリーシンタリングが可能となるためである。また、水素化チタン(TiH2 )は、そのチタン含有量が47.88(チタンの分子量)/(47.88+1(水素の分子量)×2)で95質量%以上である上に、470〜530℃にて脱水素してチタンとなるため上述の加熱焼成により熱分解してチタンとなる。従って、水素化チタンを混合した場合にも液滴の塊を生成させることのないアルミニウムのフリーシンタリングが可能となる。
その際、チタンあるいは水素化チタンの平均粒子径をr(μm)、チタンあるいは水素化チタンの配合比をW質量%としたときにの配合比をW質量%としたときに、1(μm)≦r≦30(μm)、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)であり、かつ0.1≦W/r≦2とする。すなわち、平均粒子径4μmの水素化チタン粉の場合に、配合比Wは、0.1≦W/4≦2であることから0.4〜8質量%となり、平均粒子径20μmのチタン粉の場合に、配合比Wは、0.1≦W/20≦2であることから2〜40質量%となるが、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)から2〜20質量%となる。
また、水素化チタンの平均粒子径は0.1(μm)≦r≦30(μm)としたが、より好ましくは4(μm)≦r≦20(μm)とする。このようにしたのは、1μm以下であると、自然発火する恐れがあり、一方、30μmを超えると、前記水素化チタンは焼結後にアルミニウムとチタンとの化合物が被覆したチタン粒子になるが、そのアルミニウムとチタンの化合物相がチタン粒子から剥離しやすくなって、焼結体に所望の強さが得られなるためである。
さらに、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)としたのは、焼結助剤粉末の配合比Wが20質量%を超えるとアルミニウム混合原料粉末中で焼結助剤粉末同士が接点を持つようになって、アルミニウムとチタンの反応熱を制御できなくなるとともに所望の多孔質焼結体が得られないようになるためである。
また、0.1(質量%)≦W≦20(質量%)の範囲内であっても、焼結助剤粉末の粒子径によってはアルミニウムとチタンの反応熱が大きくなりすぎる場合があり、反応熱によって溶解したアルミニウムの温度がさらに上昇して粘性が下がり、液滴を生じてしまう場合があった。
そこで、種々の条件で作製した試験片を電子顕微鏡で観察した結果から、発熱量をチタンの配合量および粒子径で制御できる範囲内では、チタン粒子の露出表面側からほぼ一定の厚さの表層部だけがアルミニウム反応していることがわかった。これにより、液滴の発生を防止するためには1(μm)≦r≦30(μm)、かつ0.1≦W/r≦2であることが望ましいことを実験的に導出した。
なお、0.1≦W/r≦2とした理由について、焼結助剤粉末にチタンを利用する場合を説明すると、チタンの平均粒子径をr、チタンの粒子数をN、チタンの添加質量をw、チタンの比重をD、アルミニウムとの反応によるチタン粒径の減少量をdとすると、反応熱量Qは反応したチタンの体積に比例することから、Q∝4πr2dNである。さらに、チタン粒子の添加量は、チタン粒子1個の平均体積とチタン粒子の数との積により算出されることから、w=4/3πr3DNである。よって後者の式を前者の式に代入すると、Q∝3wd/rDとなる。ここで、3/Dが定数であること、並びにdが焼結条件によらずほぼ一定であるという観察結果から、Q∝w/rである。したがって、液滴が発生しないW/rの範囲を実験的に求めて上述のように限定することによって、アルミニウムとチタンの反応熱が大きすぎることによる液滴の発生を防止することができる。
次いで、上記粘性組成物調製工程においては、上記アルミニウム混合原料粉末に、水溶性樹脂結合剤として、ポリビニルアルコール、メチルセルロースおよびエチルセルロースの少なくともいずれか一種以上を、可塑剤として、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびフタル酸ジNブチルの少なくともいずれか一種以上をそれぞれ加えるとともに、蒸留水と、界面活性剤としてのアルキルベタインとをそれぞれ加える。
このように、水溶性樹脂結合剤として、ポリビニルアルコール、メチルセルロースやエチルセルロースを用いることにより、その添加量が比較的少量で足りる。このため、その添加量をアルミニウム混合原料粉末の質量の0.5%〜7%の範囲内とする。これは、アルミニウム混合原料粉末の質量の7%を超えて含まれると、加熱焼成する際に焼結前成形体などに残留する炭素量が増加して焼結反応が阻害され、0.5%未満であると、焼結前成形体のハンドリング強度が確保されないためである。
また、アルキルベタインは、アルミニウム混合原料粉末の質量の0.02%〜3%が添加される。これは、アルミニウム混合原料粉末の質量の0.02%以上とすることによって、後述の非水溶性炭化水素系有機溶剤の混合の際に気泡が効果的に生成され、3%以下とすることによって、焼結前成形体などに残存する炭素量が増加することによる焼結反応の阻害が防止される。
そして、この粘性組成物調製工程においては、上記材料を1〜1.5時間真空混練して、内部に含まれている気泡や溶存ガス等の気体を除去しつつ粘性組成物を作成する。次いで、この粘性組成物を、当該圧力における粘性組成物の凝固点以上であって沸点未満の温度、例えば5℃以下の温度で、約1時間予備冷却する。これにより、粘性組成物の粘度が、常温時よりも高くなる。
次に、図1に示す気泡核形成装置1を用いて、上記粘性組成物中に、気泡核を分散形成させる。
この装置1は、攪拌槽2の一端下部に粘性組成物Sの供給管3と、添加ガスGの供給管4が接続されるとともに、他端上部に粘性組成物Sの排出管5が接続され、かつ内部に上記一端から他端に向けて複数台の撹拌機6が配置されたものであり、攪拌槽2内は上述した予備冷却の温度に保持されている。
そして、攪拌槽2内に、一端の供給管3から粘性組成物Sを連続的に供給しつつ供給管4から添加ガスGを導入して、撹拌機5によって高速で攪拌しつつ他端へと送ることにより、粘性組成物S中に添加ガスGを分散させて、気泡核G1を形成させる。この際に、攪拌槽2内は、上記予備冷却温度に保持されているために、粘度が高められている粘性組成物S中から添加ガスGが外部へと放散されることが抑止されることにより、ほぼ全量が気泡核G1となって粘性組成物S中に分散される。
ここで、添加ガスGとしては、空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のように、粘性組成物Sを変質させず、かつ焼結後に不純物として残存しない気体が好ましい。また、粘性組成物Sの体積に対する添加ガスGの体積比は、最終的な気孔率を勘案して、10:0.1〜8となるように調製する。また、撹拌機6による攪拌速度、攪拌槽2内における攪拌時間、攪拌槽2内の圧力(ゲージ圧で0〜1atm)を適宜設定することにより、気泡核G1の平均径を制御することができる。
次いで、気泡核形成装置1の攪拌槽2内において分散した気泡核Gを内包した粘性組成物Sを、予備冷却温度を保持しつつ排出管5から排出して、成形用の割型7に充填する。具体的には、この割型7としては、例えば100W×150L×80Hのアルミニウム製のものを用い、その内面にシリコーン離型剤を塗布した後に、上記粘性組成物Sを高さ10mmまで注入する。
そして、図2(a)に示すように、割型7を減圧容器(図示を略す。)内に入れ、一定時間(例えば1〜15分)をかけて、内部を粘性組成物Sが沸騰する圧力よりも大きく、かつ大気圧よりも低い圧力である0.01〜0.4atmに減圧して行く。すると、粘性組成物Sは、上記予備冷却温度に保持されているために、沸騰することなく、図3(b)に示すように、気泡核G1が徐々に膨張して気泡G2になるとともに、これに伴って粘性組成物Sの体積が増加する。
そして、最終的に図3(c)に示すように、粘性組成物S内に、隣接する気泡G2同士が連続した気孔G3が形成される。そこで、粘性組成物Sを、上記温度および圧力に保持したままで、1〜60分静置して安定化させた後に、−80℃以上であって粘性組成物Sの凝固点以下の凍結温度(例えば、−40℃)に冷却して、0.1〜2時間保持する。すると、粘性組成物S中の水分が凝固することにより、気孔G3を含む粘性組成物Sの形状が固定される。
次に、粘性組成物Sを真空雰囲気(例えば、約0.001atm、15℃)中に置いて内部の水分を昇華させて乾燥させた後に、割型7から取り出す。これにより、上記アルミニウム混合原料粉末が水溶性樹脂結合剤によって保持された100W×150L×43Hの寸法を有する厚板状の焼結前成形体が得られる。
そこで次に、上記焼結前成形体を、ジルコニア敷粉を敷いたアルミナセッターの上に載置して、露点が−20℃以下のアルゴン雰囲気中に520℃で1時間加熱保持する仮焼成を行う。これにより、焼結前成形体の水溶性樹脂結合剤成分、可塑剤成分、蒸留水およびアルキルベタインのバインダー溶液を飛ばす脱バインダーがなされるとともに、焼結助剤粉末として水素化チタンを用いた場合には脱水素がなされる。
そして、仮焼成後の焼結前成形体を、Tm−10(℃)≦加熱焼成温度T≦685(℃)で加熱焼成してアルミニウム多孔質焼結体を得る。
上記加熱焼成を、上記範囲の温度Tで行うのは、焼結前成形体を融解温度Tm(℃)まで加熱することにより、アルミニウムとチタンとの反応が開始するものと考えられるものの、実際にはアルミニウムに不純物としてFeやSiなどの共晶合金元素を微量に含有して融点が低下することから、Tm−10(℃)まで加熱することによりアルミニウムとチタンとの反応が開始するものと考えられるためである。実際に、アルミニウムの融点が660℃であるのに対して、純アルミニウム粉として流通している純度98%〜99.7%程度のアトマイズ粉では650℃前後が溶解開始温度となる。
他方、アルミニウムとチタンの包晶温度である665℃になり、さらに融解潜熱が入熱されるとアルミニウムの焼結体が融解することから、炉内雰囲気温度を685℃以下に保つ必要がある。
なお、焼結工程における加熱焼成は、アルミニウム粒子表面およびチタン粒子表面の酸化被膜の成長を抑制するため、非酸化性雰囲気にて行う必要がある。但し、加熱温度が400℃以下に30分間程度保持の条件であれば空気中で加熱してもアルミニウム粒子表面およびチタン粒子表面の酸化被膜はさほど成長しないので、例えば、焼結前成形体を、一旦空気中で300℃〜400℃に10分間程度加熱保持して脱バインダーした後、アルゴン雰囲気中で所定の温度に加熱して焼成してもよい。
そして、図3に示すように、上記焼結によって得られたアルミニウム多孔質焼結体10は、有孔金属焼結体からなる三次元網目構造の金属骨格を有し、金属骨格間に空孔を有している。また、有孔金属焼結体にAl−Ti化合物が分散しており、空孔が直線長さ1cm当たりに20個以上形成されて、70〜90%の全体気孔率を有している。ちなみに、得られたアルミニウム多孔質焼結体10の寸法は、概ね75W×110L×30Hである。
したがって、ヒートシンク、ヒートパイプ等の伝熱部材、各種フィルタ、触媒担持体、軽量構造部材、消音制振材、断熱材、電磁波遮断材等として好適な厚板状、ブロック状、円筒状あるいはその他の3次元異形状の多孔質の金属板材料として好適に用いることができる。
ヒートシンク、ヒートパイプ等の伝熱部材、各種フィルタ、触媒担持体、軽量構造部材、消音制振材、断熱材、電磁波遮断材等として好適な厚板状、ブロック状、円筒状あるいはその他の3次元異形状のアルミニウム多孔質焼結体を製造する際に利用可能である。
10 アルミニウム多孔質焼結体
S 粘性組成物
1 気泡核
2 気泡
3 気孔

Claims (6)

  1. アルミニウム粉末に焼結助剤としてのチタン粉末および/または水素化チタン粉末を含むアルミニウム混合原料粉末、水および水溶性樹脂結合剤を混合することにより気泡を含む粘性組成物を得る粘性組成物調製工程と、
    この粘性組成物を所定形状を有する容器に充填して凍結、乾燥することにより焼結前成形体を得る焼結前工程と、
    上記焼結前成形体を、不活性雰囲気中または真空中において、上記アルミニウム混合原料粉末が融解を開始する温度をTm(℃)としたときに、Tm−10(℃)≦T≦685(℃)の温度T(℃)で加熱焼成する焼成工程とを有してなり、
    かつ上記焼結助剤粉末の平均粒子径をr(μm)、上記焼結助剤粉末の配合比をW質量%としたときに、1(μm)≦r≦30(μm)、1≦W≦20(質量%)であり、かつ0.1≦W/r≦2であることを特徴とするアルミニウム多孔質焼結体の製造方法。
  2. 上記焼結前工程は、上記粘性組成物が沸騰する圧力よりも大きく、かつ大気圧よりも低い圧力に減圧して、混入している上記気泡を大型化するとともに、当該減圧状態において上記粘性組成物の上記凍結を行うことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法。
  3. 上記焼成前工程は、上記粘性組成物を、その凍結温度よりも0.1℃以上高く、かつ10℃以下の温度に1〜60分保持した後に、当該粘性組成物の上記凍結を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法。
  4. 上記アルミニウム粉末は、平均粒子径が2〜200μmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法。
  5. 上記水溶性樹脂結合剤は、上記アルミニウム混合原料粉末の質量の0.1%〜7%の範囲内で含まれていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法。
  6. 上記粘性組成物調製工程において、上記アルミニウム混合原料粉末の質量の0.02〜3%の範囲内の界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のアルミニウム多孔質焼結体の製造方法。
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