以下に、本発明を実施するための複数の形態について説明する。以下の説明において、先行する形態で説明している事項に部分については同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。
図1は、本発明の実施の第1の形態である車両情報記録システム1の構成を簡略化して示す図である。車両情報記録システム1は、ドライブレコーダ2およびセキュリティ装置である盗難防止装置3を備えて構成される。車両情報記録システム1は、たとえば自動車などの車両に搭載される。ドライブレコーダ2と盗難防止装置3とは、電気的に接続されるとともに、相互に通信可能に接続されている。ドライブレコーダ2および盗難防止装置3は、車両情報記録システム1の外部に設けられるデータ通信装置4と電気的に接続されている。
ドライブレコーダ2は、ドライブレコーダ本体10と、撮像装置であるドライブレコーダ用カメラ(以下「レコーダ用カメラ」という場合がある)11と、音声取得装置であるドライブレコーダ用マイクロフォン(以下「レコーダ用マイク」という場合がある)12とを備える。レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12は、ドライブレコーダ本体10に電気的に接続され、ドライブレコーダ本体10とは別体に設けられる。ドライブレコーダ本体10は、車両が動作状態のとき、具体的にはイグニション(IG)スイッチがオンまたはアクセサリ(ACC)スイッチがオンのとき、レコーダ用カメラ11によって撮影された画像を表す画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報を、予め定める時間が経過する毎に図1では不図示のRAM(Random
Access Memory)にエンドレスに記憶させる。前記RAMには、画像情報および音声情報を記憶していき、記憶容量分の情報が記憶されると、記憶されている画像情報および音声情報のうち、時間的に最も古い情報が記憶されている記憶領域に、画像情報および音声情報を上書きして記憶することによって、画像情報および音声情報をエンドレスに記憶させることができる。またドライブレコーダ本体10は、車両が動作状態から停止状態に移行するとき、具体的にはイグニション(IG)スイッチがオンまたはアクセサリ(ACC)スイッチがオンからオフに移行するとき、情報の取得を停止する停止状態となる。ドライブレコーダ本体10は、停止状態のとき、盗難防止装置3によって起動されると、レコーダ用カメラ11によって撮影された画像を表す画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報をRAMに記憶させ、さらに後述する不揮発性ROM21に記録させる。
以下の実施の形態では、ドライブレコーダ本体10が、レコーダ用カメラ11によって撮影された画像を表す画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報の両方の情報をRAMに記憶させる場合について説明するが、画像情報および音声情報のうちのいずれか一方の情報を記憶させてもよい。
ドライブレコーダ本体10は、正規の運転中に予め定めるトリガ、たとえば車両に予め定める衝撃が与えられたことを検出したとき、RAMに記憶された前記画像情報および音声情報を、後述するメモリカード38に記録させる。
ドライブレコーダ本体10は、記録部である不揮発性ROM21を備える。不揮発性ROM21は、たとえばフラッシュROM(Flash Read Only Memory;略称:F−ROM)によって実現される。ドライブレコーダ本体10は、不正な運転中に予め定めるトリガ、たとえば車両に予め定める衝撃が与えられたり、後述する警報モード信号が与えられたとき、ならびに車両が停止状態のときに、後述する盗難行為等の、車両の異常の発生を検出したとき、予め定めるトリガが与えられたとき、または車両の異常が発生したことを検出したときから予め定める時間にわたって画像情報および音声情報を、取得して前記不揮発性ROM21に記録させるとともにデータ通信装置4に与える。データ通信装置4に与えられた画像情報および音声情報は、無線通信によって、携帯電話装置、センタ機器などの予め定める外部の通信装置に送信される。
ドライブレコーダ本体10は、動作状態のときに後述する盗難防止装置本体で判断された車両のセキュリティ状態に応じて画像情報および音声情報を、前記不揮発性ROM21に記録させる。セキュリティ状態は、警戒状態または警報状態である。警戒状態および警報状態の詳細については、後述する。
盗難防止装置本体15は、車両のセキュリティ状態が、警戒状態であるのか、または警報状態であるのかを判断し、判断したセキュリティ状態を表す信号をドライブレコーダ2に送信する。
図2は、ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ2は、ドライブレコーダ本体10、レコーダ用カメラ11、およびレコーダ用マイク12を備えて構成される。レコーダ用カメラ11は、CCD(Charge Coupled Device)カメラによって実現される。レコーダ用カメラ11は、車両の前方方向および室内にわたる所定の範囲を撮影するために、たとえばルームミラー裏のフロントガラスに、撮像する向きを変更可能に取り付けられる。レコーダ用カメラ11は、撮影方向を車両前方から、車両後方(車室内)にわたって、レコーダ用カメラ11が室外および室内の少なくともいずれかを撮像可能に設けられる。レコーダ用カメラ11の撮像方向は駆動装置であるアクチュエータ41によって変更される。レコーダ用カメラ11は、フロントガラスなどの車両に固定されるブラケットに、予め定める軸線まわりで角変位可能に保持される。アクチュエータ41は、たとえば電動機によって実現され、ドライブレコーダCPU22からの指令に応じて、歯車を介してレコーダ用カメラ11を、前記予め定める軸線まわりに角変位させる。
ドライブレコーダ本体10には、前記レコーダ用カメラ11で撮影するための撮影スイッチ(略称:撮影SW)20が電気的に接続されている。撮影スイッチ20を操作することによって、所定時間、前記レコーダ用カメラ11から取得した画像情報を、メモリカード38に記録することができる。撮影SW20は、ドライブレコーダ本体10とは別体に設けられているが、ドライブレコーダ本体10と一体にも受けられてもよい。
またレコーダ用マイク12は、ドライブレコーダ本体10とは別体で設けられ、少なくとも車室内の音声が収集可能な位置に設けられる。前記レコーダ用カメラ11、レコーダ用マイク12は、ドライブレコーダ本体10とは別体で設けられるのではなく、ドライブレコーダ本体10と共通の筐体に設けられてもよい。レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12は、ドライブレコーダ本体10から電力が供給されることによって動作する。
ドライブレコーダ本体10は、不揮発性ROM21、ドライブレコーダCPU(
Central Processing Unit)22、ドライブレコーダ用画像処理回路(以下「レコーダ用画像処理回路」という場合がある)23、第1RAM24、第2RAM25、メモリカードインターフェイス(略称:メモリカードI/F)26、表示灯28、ドライブレコーダ用通信回路(以下「レコーダ用通信回路」という場合がある)29、加速度センサ(以下「Gセンサ」という場合がある)30、GPS(Global Positioning System)受信機31、バックアップ(略称:B/U)バッテリ32、電源制御回路33、操作部34および起動停止回路42を備えて構成される。
不揮発性ROM21は、ドライブレコーダ本体10を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラムを記録している。以下の説明では、不揮発性ROM21を、F−ROM21という場合がある。
ドライブレコーダCPU22は、ドライブレコーダCPU22の各部を制御する制御部、およびレコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12から画像および音声情報を取得する取得部として機能する。ドライブレコーダCPU22は、F−ROM21に記録される制御プログラムを実行することによって、ドライブレコーダ本体10を構成する前述の不揮発性ROM21、レコーダ用画像処理回路23、第2RAM25、メモリカードI/F26、表示灯28、レコーダ用通信回路29、電源制御回路33、ライト37、およびアクチュエータ41を統括的に制御する。ドライブレコーダCPU22には、不揮発性ROM21、レコーダ用画像処理回路23、第2RAM25、メモリカードI/F26、表示灯28、レコーダ用通信回路29、Gセンサ30、GPS受信機31、B/Uバッテリ32、電源制御回路33、レコーダ用マイク12、撮影SW20、表示灯28、車速センサ36、ライト37、およびアクチュエータ41が電気的に接続されている。
ドライブレコーダCPU22は、車速センサ36から与えられる車速パルス信号を集計し、車両の走行速度(以下「車速」という)を特定する。またドライブレコーダCPU22は、レコーダ用カメラ11によって車室内を撮影するとき、たとえば発光ダイオード(
Light Emitting Diode;略称:LED)によって実現され、室内を照明する照明装置であるライト37を点灯させる。
またドライブレコーダCPU22は、タイマ機能を有し、時間を計測することができる。ドライブレコーダCPU22は、複数の時間計測を並列に行うことができ、すなわち複数のタイマとして、並列に動作することができる。
レコーダ用画像処理回路23は、たとえばJPEG IC(JPEG:Joint
Photographiccoding Experts Group、IC:Integrated Circuit)によって実現される。レコーダ用画像処理回路23は、レコーダ用カメラ11で撮影されてドライブレコーダ本体10に入力された画像をJPEG形式の画像情報に変換する。
第1RAM24および第2RAM25は、記憶部であり、たとえばSD−RAM(
Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって実現される。第1RAM24は、レコーダ用画像処理回路23によってJPEG形式に変換された画像情報を一時的に記憶する。
第2RAM25は、リングバッファメモリによって構成される。第2RAM25は、後述する加速度センサ30によって検出され、ドライブレコーダCPU22によって特定されるGセンサ出力値、車速センサ36から出力される車速パルス信号に基づいてドライブレコーダCPU22によって特定される車速を表す車速情報、レコーダ用画像処理回路23によってJPEG形式に変換された画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報、GPS受信機31から与えられる複数の電波信号に基づいてドライブレコーダCPU22によって特定される車両の位置を表す車両位置情報などをエンドレスで順次記憶する。
ドライブレコーダ本体10は、メモリカードI/F26を介して、ドライブレコーダ本体10に着脱可能に装着されるメモリカード38、たとえばコンパクトフラッシュ(登録商標)カード(以下「CFカード」という場合がある)にアクセス可能に構成されている。ドライブレコーダ本体10に着脱可能に装着されるメモリカード38は、前述のCFカードに限らず、たとえばSD(Secure Digital)メモリカード、メモリースティック(登録商標)およびスマートメディアであってもよい。以下の説明では、CFカードを指す場合、メモリカードと同一の参照符号「38」を付す。
表示灯28は、たとえばLEDによって実現される。表示灯28は、たとえば加速度センサ30の異常、レコーダ用画像処理回路23の異常、レコーダ用カメラ11とドライブレコーダ本体10とが電気的に接続されていない、またはレコーダ用カメラ11およびレコーダ用画像処理回路23間が断線しているなどのカメラの接続異常、およびレコーダ用画像処理回路23およびドライブレコーダCPU22間が断線しているなどのハード異常が発生しているときに、ドライブレコーダCPU22の指令に従って、所定の時間だけ点灯するか、または所定の点滅周期で点滅する。表示灯28は、前述した異常の種類にそれぞれ対応した数のLEDによって実現されてもよく、また異常の種類よりも少ない数のLEDによって実現されてもよい。前者の場合には、利用者が、点灯または点滅しているLEDによって異常の種類を即座に見分けることができ、後者の場合では、ドライブレコーダCPU22が異常の種類に応じて点滅のパターンを変更すれば、利用者が、点滅パターンによって異常の種類を即座に見分けることができるので、LEDの数を少なくしてレコーダ本体10をより小形に構成することができる。
レコーダ用通信回路29は、盗難防止装置本体15およびデータ通信装置4と通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
Gセンサ30は、車両の前後方向および左右方向に作用する重力加速度、いわゆるGセンサ出力値を検出可能である。車両の進行方向を前後方向とし、その一方が前方であり他方が後方である。また車両の前方に向かって左右の方向を左右方向とする。前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向とする。前後方向をY軸方向と定義し、左右方向をX軸方向と定義する。X軸方向のGセンサ出力値とY軸方向のGセンサ出力値とは、独立して検出される。Gセンサ30は、検出したX軸方向およびY軸方向のGセンサ出力値を表す信号をドライブレコーダCPU22に与える。ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ30から出力される前記Gセンサ出力値を表す信号に基づいて、X軸方向およびY軸方向のGセンサ出力値を特定する。
GPS受信機31は、GPSアンテナ31aを介して、図示外のGPS用衛星から送信される複数の電波信号を受信する。GPS受信機31は、受信した複数の電波信号をドライブレコーダCPU22に与える。ドライブレコーダCPU22は、GPS受信機31から与えられる複数の電波信号に基づいて、車両の位置を特定する。
ドライブレコーダ2には、ACCスイッチ35がオフのときに、盗難防止装置3によって、車両に設けられるバッテリ(以下「車両バッテリ」という場合がある)39から、後述するB/Uバッテリ32および電源制御回路33に電力の供給が可能となっている。B/Uバッテリ32は、車両バッテリ39から電力が供給されているとき、その供給されている電力を用いて、内蔵しているコンデンサを充電し、また事故等の断線により車両バッテリ39から電力の供給が停止したとき、前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電することによって、ドライブレコーダCPU22に電力を供給する。
電源制御回路33は、たとえばレギュレータによって実現される。電源制御回路33は、車両バッテリ39から与えられるたとえば12ボルト(V)の電圧を、ドライブレコーダCPU22を駆動するために用いられるたとえば5ボルト(V)の電圧に変換し、変換した電圧をドライブレコーダCPU22およびドライブレコーダ2の各部に与える。
起動停止回路42は、ACCスイッチ35がオフ状態のときに、車両バッテリ39からB/Uバッテリ32および電源制御回路33に電力を供給するために設けられる。起動停止回路42は、車両バッテリ39と、B/Uバッテリ32および電源制御回路33とを電気的に接続および切断接続可能な起動停止スイッチを含んで構成される。起動停止回路42は、盗難防止装置3の後述する盗難防止CPU52から与えられる起動指令に応じて、前記起動停止スイッチをオン状態にして、車両バッテリ39と、B/Uバッテリ32および電源制御回路33とを電気的に接続する。これによって、ACCスイッチ35がオフ状態のときであっても、B/Uバッテリ32および電源制御回路33に電力が供給されて、ドライブレコーダ2を起動させることができる。
また起動停止回路42は、ドライブレコーダCPU22から与えられる停止指令に応じて、前記起動停止スイッチをオフ状態にして、車両バッテリ39と、B/Uバッテリ32および電源制御回路33とを電気的に切断する。これによって、B/Uバッテリ32および電源制御回路33に電力が供給されなくなり、ACCスイッチ35がオフ状態のときに、ドライブレコーダ2を停止させることができる。レコーダ用カメラ11、レコーダ用マイク12およびアクチュエータ41は、電源制御回路33に接続されており、電源制御回路33に電力が供給されると、これにともなって電力が供給されて動作状態となり、電源制御回路33に電力が供給されなくなると、これにともなって電力の供給が停止して、停止状態となる。
操作部34は、スイッチによって実現され、操作することによってドライブレコーダCPU22に転送指令が与えられる。転送指令が与えられるとドライブレコーダCPU22は、F−ROM21に記録されている画像情報および音声情報をメモリカードI/F26に装着されるメモリカード38に転送して記録させる。そして転送が終了すると、ドライブレコーダCPU22は、F−ROM21に記録されている画像情報および音声情報を消去する。加速度センサ30は、衝撃センサおよび振動センサとして機能する。
図3は、盗難防止装置3の電気的構成を示すブロック図である。盗難防止装置3は、盗難防止装置本体15、ブザー50および無線用アンテナ55aを備えて構成される。盗難防止装置本体15は、盗難防止用ROM51、盗難防止CPU52、盗難防止用通信回路54、盗難防止用無線通信回路55、盗難防止用RAM56、および盗難防止用操作キー57を備えて構成される。
盗難防止用ROM51は、たとえばF−ROMによって実現される。盗難防止用ROM51は、盗難防止装置本体15を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラムを記憶する。また盗難防止用ROM51は、後述する送信機65から送信される送信機用ID(Identification)コードと照合される盗難防止用IDコードを記憶する。
盗難防止CPU52は、盗難防止用ROM51に記憶される制御プログラムを実行することによって、盗難防止装置本体15を構成する前述の盗難防止用ROM51、盗難防止用通信回路54、盗難防止用無線通信回路55、盗難防止用RAM56、および盗難防止用操作キー57を統括的に制御する。
盗難防止CPU52には、盗難防止用ROM51、盗難防止用通信回路54、盗難防止用無線通信回路55、盗難防止用RAM56、および盗難防止用操作キー57が電気的に接続される。また盗難防止CPU52には、ブザー50が電気的に接続される。ブザー50は、警報音出力装置であって、盗難防止CPU52によって、セキュリティ状態が警報状態であると判断されたとき、盗難防止機能として警報音を出力する。なお、盗難防止機能としては警報音の出力ではなく、監視センタなどの所定の装置の対して異常が発生したことを無線通信によって通報するものでもよいし、あるいは警報音の出力と、前記通報との両者を行うものであってもよい。
さらに盗難防止CPU52には、車両のガラスの割れた音によってガラス割れを検出するガラス割れセンサ58と、利用者以外の第三者、すなわち後述する送信機65を所持していない者の車両への侵入を電波によって検出する侵入センサ59と、車両のドアの開閉状態を検出するドアセンサ60と、車両の振動を検出する振動センサ64とが電気的に接続される。ガラス割れセンサ58、侵入センサ59、ドアセンサ60および振動センサ64は、それぞれのセンサによる検出結果を表す検出信号を盗難防止CPU52に与える。本実施の形態では、侵入センサ59は、シングルゾーンセンサによって実現され、車室内における動体を検出可能なように検出可能エリアが定められている。
盗難防止CPU52は、ガラス割れセンサ58から与えられる検出信号に基づいて、車両のガラスが割られる異常が検出されたか否かを判断する。また盗難防止CPU52は、侵入センサ59から与えられる検出信号に基づいて、利用者以外の第三者が車両に侵入する異常が検出されたか否かを判断する。また盗難防止CPU52は、ドアセンサ60から与えられる検出信号に基づいて、利用者以外の第三者によって車両のドアが抉じ開けられる異常が検出されたか否かを判断する。また盗難防止CPU52は、振動センサ64からの与えられる検出信号に基づいて、利用者以外の第三者によって車両に振動が与えられる異常が検出されたか否かを判断する。
盗難防止用通信回路54は、ドライブレコーダ本体10およびデータ通信装置4と通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。盗難防止用無線通信回路55は、無線用アンテナ55aを介して、後述する送信機65と無線通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
盗難防止用RAM56は、盗難防止装置3の動作中にワークメモリとして機能し、盗難防止装置3のセキュリティ状態が無警戒状態に設定されているのか、警戒状態に設定されているのか、警報状態に設定されているのかを表す設定状態情報を記憶する。盗難防止CPU52は、この設定状態情報を読出すことによって、無警戒状態、警戒状態または警報状態のいずれの状態に設定されているのかを判断することができる。
盗難防止用操作キー57は、複数の操作入力キーを備える。操作入力キーが操作されることによって、数字情報、文字情報および盗難防止装置3への指示情報などの所定の情報など、操作に応じた情報を表す信号を生成して盗難防止CPU52に与える。したがって利用者は、盗難防止用操作キー57の操作入力キーを操作して、盗難防止装置3に情報を入力することができる。
車両には、車両のドア鍵の施錠および解錠を行うドアロック部61設けられる。盗難防止CPU52は、後述する送信機65から送信されるロック指令信号またはアンロック指令信号を受け、ロック指令信号を受け車両のドア鍵を施錠するロック状態とし、アンロック指令信号を受け車両のドア鍵を解錠するアンロック状態として、ロック状態とアンロック状態とが切り換わるようにドアロック部61を制御する。またドアロック部61は、ロック状態であるのか、アンロック状態であるのかを検出するためのロック検出センサを備え、ロック検出センサは検出信号を盗難防止CPU52に与える。
盗難防止CPU52は、後述する送信機65から送信される送信機用IDコードとともにロック指令信号を、盗難防止用無線通信回路55によって受信すると、盗難防止用ROM51に記憶されている盗難防止用IDコードと受信した送信機用IDコードとを比較し、両者が一致した場合、ドア鍵をロック状態にするとともに、セキュリティ状態を無警戒状態から警戒状態に設定する。なお、送信機65がロック指令信号またはアンロック指令信号ではなくセキュリティのセット指令信号またはリセット指令信号を送信するよう構成されている場合は、ドア鍵のロック制御を行なわず警戒状態の設定または解除のみ行なう。
盗難防止CPU52は、車両のセキュリティ状態を判断し、セキュリティ状態が警報状態のときに警報状態信号を、盗難防止用通信回路54によってドライブレコーダ2に送信させる。
図4は、送信機65の電気的構成を示すブロック図である。送信機65は、送信機用操作キー66、送信機用ROM67、送信機用無線通信回路68、送信機用アンテナ69および制御回路70を備えて構成される。送信機用操作キー66は、複数の操作キーを有し、この操作キーを操作することによって、車両の全てのドア鍵を施錠するロック指令および車両の全てのドア鍵を開錠するアンロック指令を入力することができる。なお、ロック制御機能を持たせない場合は、セキュリティのセット指令およびリセット指令を入力する。
送信機用ROM67は、送信機65を動作させるための制御プログラムを記憶する。また送信機用ROM67には、盗難防止装置3の盗難防止用ROM51に記憶される盗難防止用IDコードと照合される送信機用IDコードを記憶する。
送信機用無線通信回路68は、送信機用アンテナ69を介して、盗難防止装置3と無線通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
制御回路70は、CPUなどによって構成される。制御回路70は、送信機用ROM67に記憶される制御プログラムに従って、送信機65を構成する送信機用無線通信回路68を制御する。制御回路70は、送信機用操作キー66によってロック指令またはアンロック指令が入力されたとき、ロック指令を表すロック指令信号またはアンロック指令を表すアンロック指令信号を、送信器用IDコードとともに送信機用無線通信回路68および送信機用アンテナ69によって、盗難防止装置3に送信させる。
図5は、データ通信装置4の電気的構成を示すブロック図である。データ通信装置4は、データ通信用ROM75、データ通信用無線通信回路76、データ通信用アンテナ77、データ通信用通信回路78、データ通信CPU79、データ通信用電源制御回路81およびデータ通信用起動停止回路82を備えて構成される。
データ通信用ROM75は、データ通信装置4を動作させるための制御プログラムを記憶する。データ通信用無線通信回路76は、データ通信用アンテナ77を介して、携帯電話装置およびセンタ機器などの外部の通信装置と無線通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
データ通信用通信回路78は、ドライブレコーダ2および盗難防止装置3と通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
データ通信CPU79は、データ通信用ROM75に記憶される制御プログラムを実行することによって、データ通信装置4を構成するデータ通信用無線通信回路76およびデータ通信用通信回路78を制御する。
データ通信CPU79は、ドライブレコーダ2から送信される画像情報および音声情報を、データ通信用通信回路78によって受信すると、受信した前記画像および音声情報を、データ通信用無線通信回路76およびデータ通信用アンテナ77によって、予め定める外部の通信装置に送信させる。データ通信装置4は、ドライブレコーダ2から画像および音声情報を受信する前に、ドライブレコーダ2によって起動される。
データ通信用電源制御回路81は、たとえばレギュレータによって実現され、車両バッテリ39から与えられるたとえば12ボルト(V)の電圧を、データ通信CPU79を駆動するために用いられるたとえば5ボルト(V)の電圧に変換し、変換した電圧をデータ通信CPU79およびドライブレコーダ2の各部に与える。
データ通信用起動停止回路82は、車両バッテリ39からデータ通信用電源制御回路81に電力を供給するために設けられる。データ通信用起動停止回路82は、車両バッテリ39とデータ通信用電源制御回路81とを電気的に接続および切断接続可能な起動停止スイッチを含んで構成される。データ通信用起動停止回路82は、盗難防止装置3の盗難防止CPU52から与えられる起動指令に応じて、前記起動停止スイッチをオン状態にして、車両バッテリ39とデータ通信用電源制御回路81とを電気的に接続する。これによって、電源制御回路33に電力が供給されて、データ通信装置4を起動させることができる。なお、ドライブレコーダ2が盗難防止装置3によって起動されたときに、ドライブレコーダ2がデータ通信装置4を起動させる構成としてもよい。
データ通信用起動停止回路82は、データ通信CPU79から与えられる停止指令に応じて、前記起動停止スイッチをオフ状態にして、車両バッテリ39とデータ通信用電源制御回路81とを電気的に切断する。これによって、データ通信用電源制御回路81に電力が供給されなくなり、データ通信装置4を停止させることができる。データ通信装置4は、画像および音声情報を外部の通信装置に送信した後、停止状態となる。ここで停止状態とは、電力が供給されない状態である。データ通信装置4には、画像および音声情報を送信するときにだけ電力が供給されることによって、省電力化を図ることができる。
図6は、盗難防止CPU52が盗難防止用ROM51に記憶される制御プログラムを実行したときの処理動作を示すフローチャートである。以後、ロック指令信号およびセット指令信号をまとめて警戒指令と記載し、アンロック指令信号およびリセット指令信号をまとめて警戒解除指令と記載する。
盗難防止CPU52に電力が供給されるとステップa1に移り、処理を開始する。ステップa1では、盗難防止CPU52が、盗難防止用無線通信回路55によって盗難防止用IDコードに一致する送信機用IDコードとともに警戒指令を受信したか否かを判断する。ステップa1において盗難防止用IDコードに一致する送信機用IDコードとともに警戒指令を受信したと判断すると、盗難監視を行うモードに移行するための処理を行うべくステップa2に移り、盗難防止CPU52は、ドアセンサ60およびドアロック部61からの検出信号に基づいて、警戒モードへの移行条件が成立しているか判断する。警戒モードへの移行条件は、本実施の形態では、車両に設けられる全てのドアが閉まっており、かつドア鍵がロックされていることである。ステップa2において、警戒モードへの移行条件が成立していると判断すると、ステップa3に移り、盗難防止CPU52は、警戒モードを設定し、すなわち盗難防止用RAM56にセキュリティ状態が警戒状態であることを記憶させて、ステップa4に移る。ステップa1またはステップa2において否定判定されたときは、ステップa4に移る。
ステップa4では、盗難防止CPU52は、盗難防止用無線通信回路55によって盗難防止用IDコードに一致する送信機用IDコードとともに警戒解除指令を受信したか否かを判断する。ステップa4において、盗難防止用IDコードに一致する送信機用IDコードとともに警戒解除指令を受信したと判断すると、盗難監視を行わないモードに移行するための処理を行うべくステップa5に移り、盗難防止CPU52は、無警戒モードを設定し、すなわち盗難防止用RAM56にセキュリティ状態が無警戒状態であることを記憶させて、ステップa6に移る。ステップa4において否定判定されたときは、ステップa6に移る。
ステップa6では、盗難防止CPU52は、セキュリティ状態が警戒モードであるかを判断し、すなわち、盗難防止用RAM56に記憶されているセキュリティ状態が警戒状態であるのか否かを判断する。ステップa6において、セキュリティ状態が警戒モードであると判断すると、盗難監視を行うモードに移行していると判断し、ステップa7に移り、盗難防止CPU52は、ガラス割れセンサ58、侵入センサ59、ドアセンサ60および振動センサ64からの検出信号に基づいて、異常を検出したか、すなわち盗難の発生を検出したか否かを判断する。盗難防止CPU52は、ガラス割れセンサ58からの検出信号が、ガラスが割れたことを示すものであるとき、侵入センサ59からの検出信号が、車両に侵入者が侵入したことを示すものであるとき、ドアセンサ60からの検出信号が、ドアが開いたことを示すものであるとき、および振動センサ64からの検出信号が、盗難行為に起因する可能性が高いことを示すものであるときの少なくともいずれかであれば盗難の発生を検出する。ステップa7において盗難の発生を検出するとステップa8に移り、盗難防止CPU52は直ちに警報を発生すべく、警報発生処理を行わせるためのモードである警報モードを設定し、すなわち盗難防止用RAM56にセキュリティ状態が警報状態であることを記憶させて、ステップa9に移る。
ステップa9では、ドライブレコーダ2を起動させるために、盗難防止CPU52は、ドライブレコーダ2の起動停止回路42に起動指令を与えて、ドライブレコーダ2の電源を投入し、引き続きステップa10において、データ通信装置4を起動させるために、データ通信装置4のデータ通信用起動停止回路82に起動指令を与えて、データ通信装置4の電源を投入する。ドライブレコーダ2が起動することによって、レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12にも電力が供給され、ドライブレコーダCPU22が、レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12からの画像および音声情報の取得を開始する。またデータ通信装置4が起動することによって、データ通信装置4は、通信待機状態となる。ステップa6またはステップa7において否定判定されたとき、あるいはステップa10の処理が完了すると、ステップa11に移る。
ステップa11では、盗難防止CPU52は、セキュリティ状態が警報モードであるかを判断し、すなわち、盗難防止用RAM56に記憶されているセキュリティ状態が警報状態であるのか否かを判断する。ステップa11において、セキュリティ状態が警報モードであると判断すると、盗難行為が発生していると判断し、ステップa12に移り、盗難防止CPU52は、アラームとして、ブザー50に警報音を出力させ、警報音の出力を開始するとステップa13に移り、盗難防止CPU52は、盗難行為が発生していることをドライブレコーダ2に通知するために、警報状態を表す警報モード信号をドライブレコーダに通知し、すなわち盗難防止用通信回路54から警報モード信号を送信させて、ステップa1に移る。
図7は、ドライブレコーダCPU22が不揮発性ROM21に記憶される制御プログラムを実行したときの動作処理を示すフローチャートである。ドライブレコーダ2が起動され、ドライブレコーダCPU22に電力が供給されるとステップb1に移り、処理を開始する。ステップb1では、ドライブレコーダCPU22は、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンになっているか否かを判断する。ステップb1で、オンになっていると判断すると、不正侵入者がIGスイッチまたはACCスイッチ35を直結などによって不正にオンにしたのか否かを判断すべく、ステップb2に移り、盗難防止用通信回路54から警報モード信号を受信したか否かを判断し、警報モード信号を受信してないと判断すると、正規の運転中であると判断し、通常のドライブレコーダとしての運転中の記録処理を行うべくステップb3に移る。ドライブレコーダ2が起動されると、レコーダ本体10の各部、レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12、ならびに撮影SW20にも電力が供給される。
ステップb3に移ると、予め定める時間T1が経過する毎にステップb4に移って、運行情報を第2RAM25に、エンドレスに記憶させて、ステップb5に移る。予め定める時間T1は、単位時間あたりにレコーダ用カメラ11によって取得された画像を何枚記録するかに応じて定められ、たとえば1秒間に10枚記録する場合には、100ミリ秒(ms)とされる。ただし、ステップb3の処理を初回に行う場合には、予め定める時間T1が経過していないと判断する。またステップb4で第2RAM25に記憶される運行情報は、ドライブレコーダCPU22によって特定されるGセンサ出力値と、車速センサ36から出力される車速パルス信号に基づいてドライブレコーダCPU22によって特定される車速を表す車速情報と、レコーダ用画像処理回路23によってJPEG形式に変換された画像情報と、レコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報と、GPS受信機31から与えられる複数の電波信号に基づいてドライブレコーダCPU22によって特定される車両の位置を表す車両位置情報を含む。ステップb3において否定判定されたときは、ステップb5に移る。
ステップb5では、ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ30から与えられるGセンサ出力値を表す信号に基づいて特定された第2RAM25に記憶される最新のGセンサ出力値Gが、予め定める値G1以上であるか否かを判断する。予め定める値G1以上であると判断すると、事故が発生したと判断し、ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ出力値Gが、予め定める値G1以上であると判断した時刻を基準時刻として、基準時刻の前後30秒間に第2RAM25に記憶された運行情報をメモリカード38に記録して、ステップb7に移る。予め定める値G1は、事故相当であると判断すべき衝撃検知レベルに選ばれ、たとえば0.5Gに選ばれる。ステップb5において否定判定されたときは、ステップb7に移る。
ステップb7では、ドライブレコーダCPU22は、転送指令が与えられたか否かを判断する。ステップb7において転送指令が与えられたと判断すると、ドライブレコーダCPU22は、後述するように盗難検出時にF−ROM21に記録された画像および音声情報をメモリカードI/F26に装着されるメモリカード38に転送して記録させる。メモリカードI/F26にメモリカード38が装着されていない場合には、たとえば表示灯28を点灯または点滅させて、メモリカードI/F26にメモリカード38が装着されていないことを報知してもよい。なお、転送が終了するとF−ROM21から、転送した情報を消去する。後述するように盗難検出時は画像および音声情報をメモリカード38ではなくドライブレコーダ本体10に内蔵されるF−ROM21に記録させる。これは盗難者によって盗難検出時に記録された画像および音声情報が持ち去られないようにするためである。しかしながらF−ROM21に画像および音声情報を記録すると、ドライブレコーダ本体10には画像および音声情報を出力するための表示装置およびスピーカ装置を備えていないことから、記録された画像および音声情報を正規の使用者が盗難検出後に確認できないので、ステップb7およびb8の処理を設けることによって、盗難検出時の画像および音声情報をメモリカード38に転送して、表示装置およびスピーカ装置を備えるパーソナルコンピュータなどで再生して確認することができる。ステップb7において否定判定されたときは、ステップb1に移る。
前述したステップb1において、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンになっていないときは、盗難の発生が検出されたことによってドライブレコーダ2が起動されたと判断し、またステップb2において、警報モード信号を受信したと判断したときは、不正侵入者がIGスイッチまたはACCスイッチをオンしたと判断し、すなわち不正な運転中であると判断して、画像および音声情報を記録すべく、ステップb9に移り、レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12から画像および音声情報を取得して、画像および音声情報をF−ROM21に記録する。またステップb10に移り、F−ROM21に記録される画像および音声情報をドライブレコーダ用通信回路29からデータ通信装置4に送信して、ステップb11に移る。データ通信装置4では、ドライブレコーダ用通信回路29から画像および音声情報を受け取ると、これらの情報を予め定める外部の通信装置に送信する。このように、F−ROM21に画像および音声情報を記録するとともに、データ通信装置4にも画像および音声情報を与えて、データ通信装置によって外部の通信装置に画像および音声情報を送信すれば、車両情報記録システム1が破壊されてしまうような不具合が生じても、外部の通信装置において取得した画像および音声情報から犯人の特定および犯行手口の解明を行うことができる。
ステップb11では、レコーダ用カメラ11の移動が完了したか否かを判断し、移動が完了してないと判断すると、車室内を撮像すべく、ステップb12に移りアクチュエータ41に指令を与えてレコーダ用カメラ11を移動させて、撮像方向を変更し、ステップb13に移ってライト37を点灯して、ステップb14に移る。このように、ドライブレコーダ2が盗難防止装置3によって起動されるか、あるいは、ドライブレコーダ2に盗難防止装置3から所定の信号である警報モード信号が与えられると、レコーダ用カメラ11が撮像する向きを室外から室内へと変更させるので、1台のカメラを用いて、盗難行為が発生する車室内の画像情報を取得することができる。
本実施の形態では、レコーダ用カメラ11の撮像方向をドライブレコーダCPU22がアクチュエータ41に指令を与えて変更しているが、本発明の実施の他の形態においてレコーダ用カメラ11の撮像方向は、盗難防止CPU52がアクチュエータ41に指令を与えて変更する構成としてもよい。この場合には、盗難防止装置3が車両の異常を検出したときに、レコーダ用カメラ11が撮像する向きを室外から室内へと変更させるとともに、ライト37を点灯させればよく、ステップs11〜ステップs13までの各処理を省略すればよい。
また本発明の実施のさらに他の形態では、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンからオフに切り替わり、ドライブレコーダ2が画像情報の取得を停止する停止状態になると、ドライブレコーダCPU22がアクチュエータ41によって、レコーダ用カメラ11が撮像する向きを室外から室内へと変更させてもよい。この場合、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオフからオンに切り替わると、ドライブレコーダCPU22が、レコーダ用カメラ11が撮像する向きを室内から室外へと変更させる。この場合、ドライブレコーダCPU22は、レコーダ用カメラ11の向きの変更が終了した時点で起動停止回路42に停止指令を与えて電源をオフにする。
ステップb14では、十分な時間にわたって車室内の撮影および録音が行われたか否かを判断すべく、最初にステップb11においてレコーダ用カメラ11の移動が完了したと判断したとき、あるいはステップb9において画像および音声情報の記録を開始したときから、予め定める時間T2が経過したか判断し、予め定める時間T2が経過したと判断すると、ステップb15に移り、起動停止回路42に停止指令を与えて、電源をオフにする。予め定める時間T2は、たとえば1分に設定される。ステップb14において否定判定されたときは、ステップb1に移り、レコーダ用カメラ11の移動が完了してから予め定める時間T2が経過するまでの間、画像および音声情報をF−ROM21に記録するとともに、データ通信装置4に送信させる。
以上のように車両情報記録システム1では、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオフにされて車両が停止状態であるときは、車両の異常が盗難防止装置3によって検出されたときに、盗難防止装置3が停止状態となっているドライブレコーダ2を起動させるので、車両が停止状態のときにドライブレコーダ2を常に起動しておく必要がなく、省電力化を図ることができるとともに、車両における盗難行為などの異常が発生したときには、この異常状態に関する情報を記録することができる。
また不所望にIGスイッチまたはACCスイッチ35がオンされて車両が動作状態となった場合であっても、盗難防止装置3によって異常が検出されると盗難行為に関する情報が記録されるので、記録された情報から、犯人を特定しやすくなる。
また本実施の形態では、レコーダ用カメラ11が撮像する向きを変更する途中に、撮像された画像情報についてもF−ROM21に記録されるので、車両の前方および後方の画像情報だけでなく、レコーダ用カメラ11が略鉛直な軸線まわりに角変位する場合には、車両の側方の画像情報についても取得することができ、さらに車外において車両にいたずらなどを行っている者を撮像することができるようになる。
さらに、レコーダ用カメラ11が撮像する向きを変更するときに、ライト37が車室内を照明するので、夜間および屋内駐車場などに駐車している車両であっても、車室内の画像を鮮明に取得することができるようになる。
また盗難防止装置3は、ドライブレコーダ2に記録された情報がデータ通信装置4に与えられる前に、停止状態にあるデータ通信装置4を起動させるので、車両に異常が発生していないときにデータ通信装置4による電力の消費を低減することができる。
また本実施の形態では、ステップb14において予め定める時間T2が経過したと判断するまでの間、画像および音声情報を記録する構成としているが、本発明の実施のさらに他の形態において、侵入センサ59によって盗難防止CPU52が動体を検知している間は、レコーダ用カメラ11によって取得した画像および音声情報をF−ROM21に記録する構成としてもよい。この場合、盗難防止CPU52が侵入センサ59からの信号の変化がなくなったときに、不正侵入者が車室内から退去したと判断して、不正侵入者が退去したことを示す信号を盗難防止用通信回路54からドライブレコーダ2に送信する。ドライブレコーダCPU22は、ドライブレコーダ用通信回路29に盗難防止用通信回路54から不正侵入者が退去したことを示す信号が与えられると、画像および音声情報のF−ROM21への記録、およびデータ通信装置への送信を停止する構成とすればよい。このような構成とすると、侵入者が車室内に居続ける間、画像および音声情報を取得することができ、無駄に画像および音声情報をF−ROM21に記録することなく、不正侵入者に関する情報をより多く得ることができるようになる。
図8は、本発明の実施のさらに他の形態においてドライブレコーダCPU22が不揮発性ROM21に記憶される制御プログラムを実行したときの動作処理の一部を示すフローチャートである。本実施の形態では、前述の実施の形態とは異なり、盗難防止装置3が振動センサ64を備えておらず、その代わりにドライブレコーダ2の加速度センサ30により盗難行為による異常を検出する。そのため、ドライブレコーダ2はIGスイッチまたはACCスイッチ35がオフのときにも電源が供給され、すなわちバッテリ35から電力が供給されて加速度センサ30によって異常を監視する。ただし、レコーダ用カメラ11には盗難を検出するまでは電源(電力)を供給しない。他の構成は前述した実施の形態と同様であるので、同様の部分には同様の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図8のフローチャートは、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオフ時に絶えず繰り返される処理であり、すなわち、図7のフローチャートのステップb1において、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンになっていないと判断されたときの処理である。
図7のフローチャートのステップb1において、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンになっていないと判断されたとき、図8のフローチャートのステップc1に移る。ステップc1において、警報モード信号を受信したと判断したときは、盗難が発生していると判断し、不正侵入者に関する画像および音声情報を記録すべく、ステップc3に移ってレコーダ用カメラ11の電源をオンにし、警報モード信号を受信していないと判断された場合であっても、ステップc2において、Gセンサ30から与えられるGセンサ出力値Gが、予め定める値G2以上であると判断したときにも、盗難が発生していると判断し、不正侵入者に関する画像および音声情報を記録すべく、ステップc3に移る。予め定める値G2は、盗難行為が発生していると判断すべき衝撃検知レベルに選ばれ、たとえば0.1Gに選ばれる。これによって、何らかの原因によって、ドライブレコーダ用通信回路29が警報状態信号を受信できない不所望な状態となったとしても、Gセンサ30によって不正侵入者を検出することができるので、盗難行為が発生したときに、より確実に盗難行為に関する画像および音声情報を記録することができるようになる。
ステップc4〜ステップc9までの各処理は、前述した図7に示すフローチャートのステップb9〜ステップb14にそれぞれ対応するので、説明を省略する。ステップc8の後、ステップc9でレコーダ用カメラ11の電源をオフにして処理を終了する。ただしステップc9において、否定判定されたときには、ステップc4に移る。またステップc2において、否定判定されたときには、処理を終了する。
本実施の形態では、ドライブレコーダ2が有する加速度センサ30が振動センサ64の役目を兼ねるため、盗難防止装置3に振動センサ64を設ける必要がなく、盗難防止装置の構成を簡略化することができる。なお、盗難検出の精度をより高めたい場合には、盗難防止装置3にも振動センサ64を設け、加速度センサ30との双方で盗難行為を検出するようにしてもよい。また本実施の形態では、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオフ時にも、ドライブレコーダ2に電源が供給されているため、若干の暗電流は発生するものの、レコーダ用カメラ11への電源供給および撮影は盗難検出時にのみ行われるため、バッテリ上がりを防止できる。
また前述の各実施の形態において、レコーダ用カメラ11は、盗難防止装置3に接続されていてもよく、この場合には、盗難防止装置3の盗難防止用通信回路54を介してレコーダ用カメラ11からの画像情報がドライブレコーダ2に与えられる構成とすればよい。
また前述の各実施の形態では、レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12の両者を備えているが、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12のいずれか一方のみを備える構成の場合には、レコーダ用カメラ11を備える構成のほうが好ましい。