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JP4835221B2 - 中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

中空糸膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液状混合物の成分を選択分離するための中空糸膜およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、排水処理、浄水処理、工業用水製造などの水処理に用いられる中空糸精密ろ過膜や中空糸限外ろ過膜およびその製造方法に関する。
精密ろ過膜や限外ろ過膜などの分離膜は食品工業、医療、用水製造および排水処理分野などをはじめとして様々な方面で利用されている。特に近年では、飲料水製造分野すなわち浄水処理過程においても分離膜が使われるようになってきている。浄水処理などの水処理用途で用いられる場合、処理しなければならない水量が大きいため、単位体積あたり有効膜面積が大きい中空糸膜が一般的に用いられている。さらに該中空糸膜の純水透過性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となり、装置がコンパクトになるため設備費が節約でき、膜交換費や設置面積の点からも有利になってくる。
また、透過水の殺菌や膜のバイオファウリング防止の目的で次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を膜モジュール部分に添加したり、膜の薬液洗浄として、塩酸、クエン酸、シュウ酸などの酸や水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ、塩素、界面活性剤などで膜を洗浄したりすることがあるため、近年では耐薬品性の高い素材としてポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いた分離膜が開発され、利用されている。また、浄水処理分野では、クリプトスポリジウムなどの耐塩素性を有する病原性微生物が飲料水に混入する問題が20世紀終盤から顕在化してきており、中空糸膜には膜が切れて原水が混入しないような高い強伸度特性が要求されている。
これまでに高透水性かつ高強伸度の耐薬品性の高い中空糸膜を課題とし、種々の方法が開示されている。例えば、特許文献1にはポリフッ化ビニリデン系樹脂を良溶媒に溶解したポリマー溶液を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点よりかなり低い温度で、口金から押し出して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の非溶媒を含む液体に接触させて非溶媒誘起相分離により非対称多孔構造を形成させる湿式溶液法が開示されている、しかしながら湿式溶液法では、膜厚方向に均一に相分離を起こすことが困難であり、マクロボイドを含む非対称三次元網目構造の膜となるため機械的な破断強度が十分でないという問題がある。また膜構造や膜性能に与える製膜条件因子が多いので、製膜工程の制御が難しく、再現性も乏しいといった欠点がある。
さらに比較的近年では特許文献2で開示されているように、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に無機微粒子と有機液状体を溶融混練しポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点以上の温度で口金から押し出して冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する溶融抽出法がある。溶融抽出法の場合、空孔性の制御が容易で、マクロボイドは形成されず比較的均質な三次元網目構造の膜が得られ破断伸度は高いが、破断強度は十分でなく、また無機微粒子の分散性が悪いとピンホールのような欠陥を生じる可能性がある。さらに、溶融抽出法は、製造コストが極めて高くなるという欠点を有している。
また特許文献3ではポリフッ化ビニリデン系樹脂および該樹脂の貧溶媒を含有し、温度が相分離温度以上であるポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を相分離温度以下の冷却浴に吐出し凝固させて中空糸膜を得る方法が開示されている。この方法により得られる中空糸膜は0.3〜30μmの球状構造を有しており強伸度性能は比較的高いが、必ずしも十分でない。
さらに高い破断強度を有する中空糸膜として、中空糸膜の長軸方向に配向した有機ポリマーの繊維状組織(フィブリル)で構成された膜が報告されている。例えば特許文献4ではポリエチレンを溶融賦形し、アニール処理を施し延伸する、いわゆる延伸開孔法により中空糸膜の長軸方向に配向したミクロフィブリルと中空糸膜の厚さ方向に配向したスタックドラメラとの結節部とから形成されるスリット状微細孔を有する中空繊維膜が開示されている。この膜は破断強度に優れ、製造過程で溶剤を使用しないことから安全性に優れるという特性を有している。しかしながら、溶融紡糸では微細孔を形成するために非常
に高倍率で延伸するので、破断伸度が低く、また十分な純水透過性能を得るには孔径が大きくなってしまう。
また特許文献5では有機ポリマーの溶液をノズルから押し出し、空中部を通過させ凝固浴で凝固させる紡糸工程において、空中部の水分量を高くし、かつ紡糸ドラフト(引取り速度/吐出線速度)を高くすることで、外表面およびその近傍が中空糸の長さ方向に高度に配向した繊維状組織で構成された中空糸膜が開示されている。しかしこの方法では破断強度を担う繊維状組織の層が非常に薄く、またその層が均一に形成されなければ、もっとも薄い部分に応力が集中し糸切れの原因になるという欠点がある。
特公平1−22003号公報 特許第2899903号公報 国際公開第03/031038号パンフレット 特開昭57−66114号公報 特許第2954327号公報
本発明では上記のような問題点に鑑み、耐薬品性の高いポリフッ化ビニリデン系樹脂を用い、高い強伸度性能をもち、かつ高い純水透過性能を有する中空糸膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、
(1)フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、エチレンから選ばれる1種類以上とフッ化ビニリデンとの共重合体およびフッ化ビニリデンホモポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリフッ化ビニリデン系樹脂を、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチルからなる群から選ばれる少なくとも1つの溶媒に20〜60重量%の濃度となるように、ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度Tc以上の温度で溶解してポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液とし、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から冷却液体中に吐出することにより冷却固化せしめて、中空糸膜の長さ方向に配向したアスペクト比が3以上である繊維状組織を有する中空糸膜を製造するに際し、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から吐出する前の送液ラインのいずれかの箇所において、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液に0.5MPa以上の圧力を加えつつ、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の温度Tが前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度をTcとした際にTc+35℃≦T≦Tc+60℃を満たした状態で前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を10秒以上滞留させる工程を有する中空糸膜の製造方法。
(2)前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から吐出する前の送液ラインのいずれかの箇所においてポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液に0.5MPa以上の圧力を加えるに際し、2以上のポンプで前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を加圧することを特徴とする(1)に記載の中空糸膜の製造方法。
(3)(1)または(2)に記載の中空糸膜の製造方法によって得られる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜であって、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が0.9μm以上3μm以下で、アスペクト比が3以上である繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上99.5%未満を占め、球状組織が中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めていることを特徴とする中空糸膜。
(4)(1)または(2)に記載の中空糸膜の製造方法によって得られる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜であって、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が0.9μm以上1.4μm未満で、アスペクト比が3以上である繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上99.5%未満を占め、球状組織が中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めており、50kPa、25℃における純水透過性能が0.7m /m ・hr以上、破断強度が13MPa以上、かつ破断伸度が150%以上であることを特徴とする中空糸膜。
(5)(1)または(2)に記載の中空糸膜の製造方法によって得られる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜であって、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が1.4μm以上3μm以下で、アスペクト比が3以上である繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上99.5%未満を占め、球状組織が中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めており、50kPa、25℃における純水透過性能が2.0m /m ・hr以上、破断強度が11MPa以上、かつ破断伸度が80%以上であることを特徴とする中空糸膜。
により構成される。
本発明によれば、化学的および物理的耐久性が非常に高く、かつ高い純水透過性能を有する中空糸膜が提供される。
本発明におけるポリフッ化ビニリデン系樹脂とはフッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂を意味し、複数の種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有しても構わない。フッ化ビニリデン共重合体は、フッ化ビニリデン残基構造を有するポリマーであり、典型的にはフッ化ビニリデンモノマーとそれ以外のフッ素系モノマーなどとの共重合体である。かかる共重合体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンから選ばれた1種類以上とフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない程度に、前記フッ素系モノマー以外の例えばエチレンなどのモノマーが共重合されていても良い。
本発明の中空糸膜の長さ方向断面の電子顕微鏡写真(1000倍)を図1に示す。
本発明の中空糸膜は、中空糸膜の長さ方向に配向したポリフッ化ビニリデン系樹脂の繊維状組織を有することが特徴である。ここで組織とは固形物である。また、中空糸膜の長さ方向に配向したとは当該組織の長さ方向と中空糸膜の長さ方向とがなす角度のうち鋭角である部分の角度が20度以内の場合と定義し、繊維状組織とはアスペクト比(長さ/直径)が3以上である組織と定義する。ここで長さとは当該組織の最長径を、直径とは当該組織の中空糸膜の幅方向の最長径を指すものとする。
繊維状組織の直径は0.9μm以上3μm以下であることが必要である。繊維状組織の直径が0.9μm未満の場合、繊維状組織間の空隙が小さくなり純水透過性能が著しく低下する。繊維状組織の直径が3μmを超える場合、繊維状組織間の空隙が過度に大きくなり、阻止性能が低下することがある。また繊維状組織の直径が0.9μm以上3μm以下であれば、高い強伸度性能と高い純水透過性能が得られるが、繊維状組織の直径が大きいほど強伸度性能は低く、純水透過性能が高くなる傾向にある。そのため繊維状組織の直径を0.9μm以上1.4μm未満にすることで、強伸度性能を優先的に高くすることができ、1.4μm以上3μm以下にすることで、純水透過性能を優先的に高くすることができる。
また、繊維状組織は当該繊維状組織以外の繊維状組織ないしその他の組織と部分的に結合していてもよい。その場合は図2の模式図(1)〜(3)に従い、前記繊維状組織に該当するか否かを判定すればよい。図2において点線は組織の境界線とする。(1)のように組織の境界線が確認できる場合、それぞれに分けて判定する。(2)のように繊維状組織と判定される組織4が確認できる場合、その長さ方向に延長した部分に当たる組織も同一の繊維状組織として判定する(この場合、繊維状組織の長さは2で表される)。(3)のようにアスペクト比は3未満であるが繊維状組織の一部と見られる組織5をその長さ方
向に延長したとき、当該組織以外の繊維状組織の一部と見られる組織5につながる場合、その両組織と延長した部分に当たる組織はすべて同一の組織として判定する(この場合、繊維状組織の長さは2で表される)。
さらに、本発明の中空糸膜は、繊維状組織の他に長径が0.9μm以上3μm以下の球状組織を有することが好ましい。球状組織を含有することで繊維状組織間に形成される空隙が増え、純水透過性能が向上する。ここで球状組織とは真円率(長径/短径)が2以下である組織とする。
また、球状組織は近接する当該球状組織以外の球状組織、繊維状組織、ないしその他の組織と部分的に結合していてもよい。その場合、球状組織の一部と考えられる組織の長径7および短径8は図2の模式図(4)〜(6)に示すように直線(点線)を引いて測定し、その真円率が2以下であればその組織は球状組織とする。また球状組織とされた場合、点線を組織の境界線とする。
前記繊維状組織および球状組織のいずれにも当てはまらない組織は、本発明の繊維状組織でも球状組織でもない組織とする。また、電子顕微鏡写真の奥行き方向に2つの組織が重なって見える場合、その奥側の組織は見えている部分で判定し、手前側の組織の輪郭線をそれら2つの組織の境界線とする。
なお、判定に用いられる電子顕微鏡写真の端で組織が途切れている場合、その端を組織の境界線としても占有率に実質的な差は無いので、便宜上そのように取り扱うこととする。
本発明の中空糸膜は、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が0.9μm以上3μm以下の繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上を占めていることが必要であり、好ましくは50%以上である。繊維状組織が中空糸膜全体の30%未満しか占めていない場合、十分な強伸度性能が得られない。また、球状組織は、中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めていることが好ましく、より好ましくは0.5%以上10%未満である。球状組織が中空糸膜全体の30%以上を占めている場合、十分な強伸度性能が得られないことがあり、また球状組織が中空糸膜全体の0.5%未満しか占めていない場合、十分な純水透過性能が得られないことがあるためである。
ここで各組織の占有率(%)は中空糸膜の長さ方向の断面を走査型電子顕微鏡等を用いて繊維状組織および球状組織が明瞭に確認できる倍率、好ましくは1000〜5000倍で、任意の10カ所以上、好ましくは20カ所以上の写真を撮影し、{(その組織の占める面積の平均)/(写真全体の面積の平均)}×100で求められる。ここで、写真全体の面積および組織の占める面積は、写真撮影された各組織の対応する重量に置き換えて求める方法などが好ましく採用できる。すなわち、撮影された写真を紙に印刷し、写真全体に対応する紙の重量およびそこから切り取った組織部分に対応する紙の重量を測定すれば
よい。
なお、中空糸膜の外径と膜厚は、膜の破断強度を損なわない範囲で、中空糸膜内部の長さ方向の圧力損失を考慮し、膜モジュールとして純水透過性能が目標値になるように決めればよい。すなわち、中空糸膜の外径が大きいと圧力損失の点で有利になるが、中空糸膜の充填本数が減り膜面積の点で不利になる。一方、中空糸膜の外径が小さい場合は中空糸膜の充填本数を増やせるので膜面積の点で有利になるが、圧力損失の点で不利になる。また、膜厚は膜の破断強度を損なわない範囲で小さい方が好ましい。従って、中空糸膜の外径は0.3〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmであり、中空糸膜の膜厚は外径の0
.08〜0.4倍、より好ましくは0.1〜0.3倍である。
本発明の中空糸膜は、50kPa、25℃における純水透過性能が0.7m/m・hr以上、破断強度が11MPa以上、かつ破断伸度が80%以上が必要である。より好ましくは50kPa、25℃における純水透過性能が0.7m/m・hr以上、破断強度が13MPa以上、かつ破断伸度が150%以上、あるいは50kPa、25℃における純水透過性能が2.0m/m・hr以上、破断強度が11MPa以上、かつ破断伸度が80%以上である。
なお、水処理用途に好適な高い純水透過性能と高い強伸度性能を両立させた高性能の中空糸膜とするという観点から、50kPa、25℃における純水透過性能が0.7m/m・hr以上5.0m/m・hr以下、破断強度が11MPa以上25MPa以下、かつ破断伸度が80%以上500%以下の範囲、より好ましくは50kPa、25℃における純水透過性能が0.7m/m・hr以上5.0m/m・hr以下、破断強度が13MPa以上25MPa以下、かつ破断伸度が150%以上500%以下の範囲、あるいは50kPa、25℃における純水透過性能が2.0m/m・hr以上5.0m/m・hr以下、破断強度が11MPa以上25MPa以下、かつ破断伸度が80%以上500%以下の範囲とすることである。
純水透過性能の測定方法は、中空糸膜1〜10本程度からなる長さ約20cmの小型モジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で逆浸透膜処理水を送液し、一定時間の透過水量(m)を測定して得た値を、単位時間(hr)、単位有効膜面積(m)、50kPa当たりに換算して算出した。破断強度と破断伸度の測定方法は、引張試験機を用いて、逆浸透膜処理水で湿潤した状態の試験長50mmの膜をフルスケール5kgの荷重でクロスヘッドスピード50mm/分にて測定し、求めた。
本発明では、例えば以下に示す製造方法で中空糸膜を製造することにより、高い純水透過性能、高い強伸度性能を備えた中空糸膜を得ることができるのである。
まずポリフッ化ビニリデン系樹脂を20〜60重量%程度の比較的高濃度で、該樹脂の貧溶媒もしくは良溶媒に結晶化温度以上の温度で溶解する。樹脂濃度は高くなれば高い強伸度特性を有する中空糸膜が得られるが、高すぎると製造した中空糸膜の空孔率が小さくなり、純水透過性能が低下する。また調整した樹脂溶液の粘度が適正範囲になければ、中空糸膜に成形することができない。
またここで貧溶媒とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を60℃未満の低温では5重量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点以下(例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂がポリフッ化ビニリデンホモポリマー単独で構成される場合は178℃程度)の高温領域で5重量%以上溶解させることができる溶媒のことである。貧溶媒に対し60℃未満の低温でもポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%以上溶解させることが可能な溶媒を良溶媒、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点または溶媒の沸点まで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶解も膨潤もさせない溶媒を非溶媒と定義する。
ここで本発明に用いられるポリフッ化ビニリデン系樹脂の貧溶媒としてはシクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、プロピレンカーボネート、等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、および有機カーボネート等およびその混合溶媒が挙げられる。また良溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド等およびその混合溶媒が挙げられる。
さらに非溶媒としては、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、四塩化炭素、o−ジクロルベンゼン、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびその混合溶媒などが挙げられる。
またここで、本発明の中空糸膜は温度変化により相分離を誘起する熱誘起相分離法により製造される。熱誘起相分離法により製造する場合、主に2種類の相分離機構が利用される。一つは高温時に均一に溶解したポリマー溶液が、降温時に溶液の溶解能力低下が原因でポリマー濃厚相と希薄相に分離し、その後構造が結晶化により固定される液−液相分離法、もう一つが高温時に均一に溶解したポリマー溶液が、降温時にポリマーの結晶化が起こりポリマー固体相と溶媒相に相分離する固−液相分離法である。前者の方法では主に三次元網目構造が、後者の方法では主に球状組織で構成された球状構造が形成される。
本発明では後者の相分離機構が利用され、固−液相分離が誘起される樹脂濃度および溶媒を選択する必要がある。前者の相分離機構では本発明のような中空糸膜の長さ方向に配向した直径が0.9μm以上3μm以下の繊維状組織を発現させることは困難である。これは構造が固定される前の相分離でポリマー濃厚相は非常に微細な相を形成するので、繊維状組織の直径を0.9μm以上にすることができないためである。このことから、前者の相分離機構では強伸度性能と純水透過性能を両立させることができない。
次に本発明では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解してポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液とし、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を中空糸膜紡糸用の二重管式口金の外側の管から吐出し、中空部形成液体を二重管式口金の内側の管から吐出しながら冷却浴中で冷却固化して中空糸膜を得る。このとき図3に示したように、前記樹脂溶液を口金11から吐出する前の送液ライン12のいずれかの箇所13において前記樹脂溶液が0.5MPa以上、より好ましくは1.0MPa以上の圧力を加えられ、かかる状態を維持しつつ、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の温度Tが、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度をTcとした際にTc+35℃≦T≦Tc+60℃、より好ましくはTc+40℃≦T≦Tc+55℃を満たした状態で、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を10秒以上、より好ましくは20秒以上滞留させる工程を有する。
加圧手段としては特に限定されないが、図3に示したように送液ライン12に2以上のポンプ9および10を設置し、その間のいずれかの箇所13で加圧する方法が好ましく採用される。ここでポンプとしては、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ウィングポンプ、ギヤーポンプ、ロータリーポンプ、スクリューポンプなどが挙げられ、2種類以上を用いても構わない。また、前記箇所13でのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の滞留時間は、吐出速度および前記箇所13内の体積により調整することができる。この工程により結晶化が起こりやすい条件で圧力が加えられるため、結晶の成長が
異方性を有し中空糸膜の長さ方向に配向した繊維状組織が発現したと推測される。
ここで、前記箇所13でのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の温度がT>Tc+60℃、または前記箇所13でポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液に加えられる圧力が0.5MPa未満、または前記箇所13でのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の滞留時間が10秒未満では得られる中空糸膜の構造が球状組織で構成されやすく、十分な強伸度性能が得られない。また、前記箇所13でのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の温度は、より低い方が繊維状組織が形成されやすく繊維状組織の直径が小さくなる傾向にあり、T<Tc+35℃では繊維状組織の直径が0.9μm未満、あるいは球状組織の占有率が0.5%未満になるため十分な純水透過性能が得られなかったり、粘度が高くなり、口金からのポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の吐出が困難となり、結果的に中空糸膜が製造できなくなったりする。
ここで前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度Tcは次のように定義する。示差走査熱量測定(DSC測定)装置を用いて、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と溶媒など製膜ポリマー原液組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度10℃/minで溶解温度まで昇温し30分保持して均一に溶解した後に、降温速度10℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度をTcとする。
次に本発明に用いられる冷却浴には、熱誘起相分離による固−液相分離を誘起させる必要があることから、結晶化温度より20℃以上低く、濃度が50〜95重量%の貧溶媒あるいは良溶媒と、濃度が5〜50重量%の非溶媒からなる混合液体が好ましい。さらに貧溶媒としては樹脂溶液と同じ貧溶媒を用いることが好ましく採用される。ただし高濃度の良溶媒を用いるときは温度を十分に低くしないと凝固しなかったり、凝固が遅く中空糸膜表面が平滑にならなかったりする場合がある。また、前記の濃度範囲を外れない限りにおいて、貧溶媒、良溶媒を混合しても良い。ただし、高濃度の非溶媒を用いると中空糸膜の外表面に緻密層が形成され透水性が著しく低下する場合がある。また、中空部形成液体には、冷却浴同様、濃度が50〜95重量%の貧溶媒あるいは良溶媒と、濃度が5〜50重量%の非溶媒からなる混合液体が好ましい。さらに貧溶媒としては樹脂溶液と同じ貧溶媒を用いることが好ましく採用される。
以上の製造工程に加えて、繊維状組織間の空隙を拡大し純水透過性能を向上させることおよび破断強度を強化するために延伸を行うことも有用であり好ましい。延伸の方法は好ましくは50〜140℃、より好ましくは55〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃の温度範囲で、好ましくは1.1〜4倍、より好ましくは1.1〜2倍の延伸倍率である。50℃未満の低温雰囲気で延伸した場合、安定して均質に延伸することが困難である。140℃を超える温度で延伸した場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点に近くなるため、構造組織が融解し空隙が拡大せず透水性は向上しない。また、延伸は液体中で行う方が温度制御が容易であり好ましいが、スチームなどの気体中で行っても構わない。液体としては水が簡便で好ましいが、90℃程度以上で延伸する場合には、低分子量のポリエチレングリコールなどを用いることも好ましく採用できる。一方、このような延伸を行わない場合は、延伸を行う場合と比べて、純水透過性能および破断強度は低下するが、破断伸度および阻止性能は向上する。したがって、延伸工程の有無および延伸工程の延伸倍率は中空糸膜の用途に応じて適宜設定することができる。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。ここで本発明に関連するパラメーターは以下の方法で測定した。
(1)ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度Tc セイコー電子製DSC−6200を用いて、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と溶媒など製膜ポリマー原液組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度10℃/minで溶解温度まで昇温し30分保持して均一に溶解した後に、降温速度10℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度を結晶化温度Tcとした。
(2)中空糸膜の純水透過性能
純水透過性能の測定方法は、中空糸膜1〜10本程度からなる長さ約20cmの小型モジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で逆浸透膜処理水を送液し、一定時間の透過水量(m)を測定して得た値を、単位時間(hr)、単位有効膜面積(m)、50kPa当たりに換算して算出した。
(3)中空糸膜の破断強度、破断伸度
引張試験機((株)東洋ボールドウィン製TENSILON/RTM―100)を用いて、逆浸透膜処理水で湿潤させた中空糸膜を試験長50mm、フルスケール5kgの加重でクロスヘッドスピード50mm/分にて測定し求めた。
(4)繊維状組織の平均直径
中空糸膜の長さ方向の断面を走査型電子顕微鏡等を用いて3000倍で写真を撮影し、10個の繊維状組織の直径を平均して求めた。
(5)組織の占有率
中空糸膜の長さ方向の断面を走査型電子顕微鏡等を用いて3000倍で任意の20カ所の写真を撮影し、{(組織の占める面積の平均)/(写真全体の面積の平均)}×100で求めた。ここで写真全体の面積および組織の占める面積は、撮影された写真を紙に印刷し、写真全体に対応する紙の重量およびそこから切り取った組織部分に対応する紙の重量としてそれぞれ置き換えて求めた。
(実施例1)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー28重量%とジメチルスルホキシド72重量%を120℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは20℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で2.0MPaに加圧し、64〜66℃で22秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にジメチルスルホキシド90重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、ジメチルスルホキシド85重量%水溶液からなる温度10℃の浴中で固化させた。その後90℃の水中で1.4倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表
1に示す。
(実施例2)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー28重量%とジメチルスルホキシド72重量%を120℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは20℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.8MPaに加圧し、66〜68℃で235秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にジメチルスルホキシド90重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、ジメチルスルホキシド85重量%水溶液からなる温度8℃の浴中で固化させた。その後85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表
1に示す。
(実施例3)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー36重量%とγ−ブチロラクトン64重量%を150℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは48℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.1MPaに加圧し、98〜100℃で19秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度13℃の浴中で固化させた。その後85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に
示す。
(実施例4)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー36重量%とγ−ブチロラクトン64重量%を150℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは48℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.2MPaに加圧し、101〜103℃で250秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度13℃の浴中で固化させた。その後85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(実施例5)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を150℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは51℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.4MPaに加圧し、101〜103℃で23秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度13℃の浴中で固化させた。その後85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(実施例6)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を160℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは51℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.1MPaに加圧し、103〜105℃で19秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度13℃の浴中で固化させた。その後85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(実施例7)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を160℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは51℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.3MPaに加圧し、102〜104℃で21秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度13℃の浴中で固化させた。その後85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表
1に示す。
(実施例8)
重量平均分子量35.8万のフッ化ビニリデンホモポリマー52重量%とプロピレンカーボネート48重量%を170℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは72℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.6MPaに加圧し、125〜127℃で25秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にプロピレンカーボネート100重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、プロピレンカーボネート85重量%水溶液からなる温度5℃の浴中で固化させた。その後80℃の水中で1.8倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(実施例9)
重量平均分子量35.8万のフッ化ビニリデンホモポリマー52重量%とプロピレンカーボネート48重量%を170℃で溶解した。このフッ化ビニリデンホモポリマー溶液のTcは72℃であった。該溶液を2つのギヤーポンプを設置することによりその間のライン上で1.9MPaに加圧し、123〜125℃で240秒間滞留させた後、二重管式口金の外側の管から吐出し、同時にプロピレンカーボネート100重量%水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出し、プロピレンカーボネート85重量%水溶液からなる温度5℃の浴中で固化させた。その後80℃の水中で1.6倍に延伸した。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(比較例1)
2つのギヤーポンプ間の溶液圧力を0.2MPaにした以外は実施例3と同様にして中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(比較例2)
2つのギヤーポンプ間の溶液温度を118〜120℃にした以外は実施例3と同様にして中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(比較例3)
2つのギヤーポンプ間の溶液温度を79〜81℃にした以外は実施例3と同様にして中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
(比較例4)
2つのギヤーポンプ間の溶液温度を73〜75℃にした以外は実施例3と同様にしたが、口金からの吐出が困難で中空糸膜は得られなかった。
(比較例5)
2つのギヤーポンプ間の溶液滞留時間を5秒にした以外は実施例3と同様にして中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の性能と構造を表1に示す。
本発明の一実施態様に係る中空糸膜の長さ方向の断面写真である。 本発明で規定する中空糸膜の長さ方向に配向した繊維状組織と球状組織の模式図である。 本発明の一実施態様に係る中空糸膜の製造工程である。
符号の説明
1 中空糸膜の長さ方向に配向した繊維状組織
2 長さ
3 直径
4 繊維状組織と判定される組織
5 アスペクト比は3未満であるが繊維状組織の一部と見られる組織
6 球状組織
7 長径
8 短径
9 ポンプ
10 ポンプ
11 口金
12 送液ライン
13 送液ラインのうち、樹脂溶液を所定圧力以上で加圧しつつ所定の温度で所定時間滞留させる箇所

Claims (5)

  1. フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、エチレンから選ばれる1種類以上とフッ化ビニリデンとの共重合体およびフッ化ビニリデンホモポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1つのポリフッ化ビニリデン系樹脂を、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチルからなる群から選ばれる少なくとも1つの溶媒に20〜60重量%の濃度となるように、ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度Tc以上の温度で溶解してポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液とし、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から冷却液体中に吐出することにより冷却固化せしめて、中空糸膜の長さ方向に配向したアスペクト比が3以上である繊維状組織を有する中空糸膜を製造するに際し、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から吐出する前の送液ラインのいずれかの箇所において、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液に0.5MPa以上の圧力を加えつつ、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の温度Tが前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液の結晶化温度をTcとした際にTc+35℃≦T≦Tc+60℃を満たした状態で前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を10秒以上滞留させる工程を有する中空糸膜の製造方法。
  2. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を口金から吐出する前の送液ラインのいずれかの箇所においてポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液に0.5MPa以上の圧力を加えるに際し、2以上のポンプで前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を加圧することを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の中空糸膜の製造方法によって得られる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜であって、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が0.9μm以上3μm以下で、アスペクト比が3以上である繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上99.5%未満を占め、球状組織が中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めていることを特徴とする中空糸膜。
  4. 請求項1または2に記載の中空糸膜の製造方法によって得られる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜であって、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が0.9μm以上1.4μm未満で、アスペクト比が3以上である繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上99.5%未満を占め、球状組織が中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めており、50kPa、25℃における純水透過性能が0.7m/m・hr以上、破断強度が13MPa以上、かつ破断伸度が150%以上であることを特徴とする中空糸膜。
  5. 請求項1または2に記載の中空糸膜の製造方法によって得られる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜であって、中空糸膜の長さ方向に配向した直径が1.4μm以上3μm以下で、アスペクト比が3以上である繊維状組織が中空糸膜全体の30%以上99.5%未満を占め、球状組織が中空糸膜全体の0.5%以上30%未満を占めており、50kPa、25℃における純水透過性能が2.0m/m・hr以上、破断強度が11MPa以上、かつ破断伸度が80%以上であることを特徴とする中空糸膜。
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