JP4615662B2 - 被覆用組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は粒状肥料、粒状殺虫成分含有物、または農薬含有物等の表面を耐水性の樹脂で被覆することにより、薬効に徐放性を持たせるための被覆用組成物ならびに該被覆用組成物で被覆された肥料、殺虫成分含有物、または農薬含有物等に関する。
【0002】
【従来の技術とその解決しようとする課題】
化学肥料は一般に水溶性であり、そのため速効性である。しかし水溶性であるために流亡、脱窒素等による成分損失(利用率の低下)が大きく、長期にわたって肥効を持続させることが困難である。また、施肥時の局部的な偏りにより農作物に濃度障害を及ぼす恐れがある。
【0003】
農作物に濃度障害を及ぼさない施肥方法の一つとして被覆肥料の施用が挙げられる。被覆肥料は粒状肥料の表面を有機系あるいは無機系の被覆材を用いて被覆することにより、内部の肥料成分の溶出を調節した肥料であり、その中でも成分調節機能の点で樹脂等を用いた有機系の被覆材が有効であり、主流を占めている。
【0004】
これらの資材はいずれも肥料の溶出が完了した後、その大部分の被覆材は土壌中で永年残留し、生態系環境に負荷を与えることになる。特に近年、環境にやさしい生態調和型農業の高まりの中では被覆肥料に使用される被覆材は肥効成分が溶出した後は極力速やかに土壌中で分解されることが要求される。しかしながら生分解型として知られるアルキッド樹脂等を用いた有機系の被覆材による被覆肥料の製造には一般に有機溶剤を使用するため、その毒性、引火性等に充分な注意及び対策が必要である。特に近年環境問題の高まりとともに溶剤の回収や環境汚染等が問題にされている。従って、かかる問題を解決すべく、回収や環境汚染に問題のある有機溶剤を用いることなく被覆粒状肥料を得ることができる被覆材が検討されたが、樹脂が高粘度であるため成膜性ならびに溶出制御という点で必ずしも満足できるものではなかった。
【0005】
これらの問題を解決するため、最近ではいくつかの方法が提案されている。特開平5−4887号には油変性アルキッド樹脂と分子中に共役二重結合を有する不飽和油とを主成分とする被覆材を使用する方法、特開平7−069769には油変性アルキッド樹脂と分子中に共役二重結合を有する不飽和油とを主成分とし、さらにエステルガムの配合物及びボイル油を配合する方法が提案されている。しかし、耐水性にはまだ十分ではなく、使用に耐えうる効果を得るには粒状肥料の重量に対し15〜20%の被覆を行う必要がある。また、特開平9−20582にはエステル−アミド樹脂を肥料用被覆樹脂として用いることが提案されているが、被覆にはアセトン、メタノール等の引火性の高い溶剤を使用しており、被覆作業を行うのに危険が伴う。特開平7−258001にはエチレン系単量体の共重合物をカルシウム塩やマグネシウム塩等の多価金属塩を用いて架橋させる方法が提案されているが、ポリマーの分子量が低く被覆膜の耐水性が十分でないため安定した徐放性能を得ることが困難である。
【0006】
殺虫成分は一般に水不溶性であるが、低濃度で薬効を発揮するため、わずかであっても水溶出することによって、必要以上の殺虫成分が流亡等によって損失し長期にわたって薬効を持続させることが困難となる。殺虫成分を徐放化させるために、マイクロカプセル化が行われているが、流水系でマイクロカプセルの製剤を散布した場合には製剤自身が流水によって移動し、安定した薬効を発揮させることは困難であった。
さらに殺菌剤等の農薬についても、農薬成分を効率よく徐放出させ得る被覆膜が求められていた。農作業において農薬製剤を圃場や本田等に散布する場合、農薬や作物の種類または散布時期によっては、散布後すぐに農薬成分が放出し始めると、薬害による苗の発育不良や枯死等を招く恐れがある。また作業労力等の点から時間的に効率のよい散布方法が求められている。これらの問題を回避するためは、農薬製剤を圃場等に散布後、農薬成分がすぐには放出せず、一定期間(通称、ラグタイムという)後に放出を開始して、農作物の栽培期間内に放出をほぼ完了し得るタイプの徐放性製剤、即ちパルス放出性農薬製剤を用いるのが好ましく、そのような製剤は、例えば特開平9−268103号、特開平6−80514号、特開平6-9303号、WO99/51091号等に記載されている。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明者はこれらの問題を解決すべく鋭意検討した結果、エポキシ基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステル単量体(以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体という)とビニル基を有する単量体との乳化共重合体を核とし、その外殻にカルボキシル基を有するビニル単量体とビニル基を有する単量体との乳化共重合体を有するコアシェル構造の水性分散体と炭素数100〜300のワックス水分散体の混合物を被覆用組成物として用いることによって耐水性を持つ被覆が可能であることを見いだし、以下に例示される本発明を完成した。
【0008】
(1)エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体と少なくとも一種類のビニル基を有する単量体との乳化共重合体(A)を核とし、その外殻にカルボキシル基を有するビニル単量体と少なくとも一種類のビニル基を有する単量体との乳化共重合体(B)を有するコアシェル構造で分子量が10万より大きい水性分散体(C)と炭素数100〜300のワックス水分散体(D)の混合物を含有することを特徴とする被覆用組成物。特に、肥料、殺虫成分含有物、または農薬含有物の被覆用組成物が好ましい。
(2)ビニル基を有する単量体がスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルである上記(1)記載の被覆用組成物。
(3)ビニル基を有する単量体がスチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸からなる群から選択される1種類以上である上記(1)記載の被覆用組成物。
(4)エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が、メタクリル酸グリシジルである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の被覆用組成物。
(5)重量比で、乳化共重合体(A)と乳化共重合体(B)の比率が1:9〜9:1であり、水性分散体(C)に対するワックス水分散体(D)の添加比率が1〜10%である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の被覆用組成物。
(6)さらにタルクを含有する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の被覆用組成物。
(7)タルクの含量が水性分散体(C)に対して約1〜15重量%である、上記(6)記載の被覆用組成物。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の被覆用組成物で被覆されている、肥料、殺虫成分含有物または農薬含有物。
(9)パルス放出性農薬粒剤である、上記(8)に記載の農薬含有物。
(10)農薬がストロビルリン系殺菌剤である、上記(8)または(9)に記載の農薬含有物。
(11)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の被覆用組成物で被覆する工程を包含する、肥料、殺虫成分含有物または農薬含有物の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる(A)成分のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有するビニル単量体である。コア部となる乳化共重合体(A)成分はこれらのうち少なくとも一種類の単量体と、少なくとも一種類のビニル基を有する単量体との共重合によって得られる。(B)成分として用いられるカルボキシル基を有するビニル単量体にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等があり、シェル部となる乳化共重合体(B)成分はこれらのうち少なくとも一種類の単量体と、少なくとも一種類のビニル基を有する単量体との共重合によって得られる。またビニル基を有する単量体としてスチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等を用いることができる。該ビニル基を有する単量体の好ましい態様のひとつとしては、スチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸からなる群から選択される1種類以上が例示される。乳化重合を行なう際に、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体とビニル基を有する単量体混合物を添加し重合させることによってコア(核)となる共重合体微粒子(A)が生成し、熟成後にカルボキシル基を有するビニル単量体とビニル基を有する単量体との混合物を添加することによって共重合体微粒子(A)の表面にシェル(外核)となる共重合体微粒子(B)が生成し、コアシェル構造の粒子(C)が生成する。コア部となる乳化共重合体とシェル部となる乳化共重合体の比率は重量比で1:9〜9:1が良く、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
農薬含有物、特にパルス放出性農薬粒剤の調製に好ましい被覆用組成物の一態様としては、例えば、上記(A)の重合体の組成が重量比で、エポキシメタアクリル酸エステル(例:メタクリル酸グリシジル等):スチレン:アクリル酸ブチル:メタクリル酸ブチル=1:5〜10:1〜5:0.5〜4、好ましくは、1:7〜9:2〜4:1〜3であり、上記(B)の重合体の組成が重量比で、メタクリル酸:スチレン:アクリル酸ブチル:メタクリル酸ブチル=1:1〜5:2〜6:0.5〜4であり、好ましくは、1:2〜4:3〜5:1〜3であり、(A):(B)=1〜3:1である場合等が例示される。
【0010】
重合を行う際の界面活性剤には陰イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を用いることができる。陰イオン性界面活性剤としては特に限定するものではないが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホサクシネートなどが挙げられる。非イオン系界面活性剤は特に限定するものではないが、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの非イオン系界面活性剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。使用濃度は通常の乳化重合において使用される範囲でよく、モノマー量に対して1〜3重量%が使用される。
【0011】
残存モノマーはレドックス触媒を熟成時に添加することによって除去することができる。また造膜助剤としてベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加することも可能である。乳化重合において用いられる重合開始剤には、乳化重合で通常のものが使用可能であるが、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、アゾビスイソブチロニトリルおよびその塩等を用いることができ、モノマー量に対して通常0.1〜0.5重量%が使用される。乳化重合を行う温度は、特に制限されないが通常の乳化重合で行われる範囲でよく、65℃〜75℃で行うことができる。分子量は通常の乳化重合によって10万以上となるが、分子量がこれよりも小さい場合は耐水性の高い被膜が得られにくい。
【0012】
ワックス水分散体(D)は被覆した粒子のブロッキングを防止する効果を有し、炭素数100〜300のものが用いられる。炭素数100未満であるとブロッキング防止効果が十分でなく、300より多いと被覆時にワックス粒子が溶融しなくなり、ブロッキング防止効果が低減する。コアシェル構造の水性分散体(C)に対するワックス水分散体(D)の添加率は1〜10%、好ましくは2〜7%がよく、この範囲より低くするとブロッキング防止効果が十分でなく、この範囲よりも高くすると樹脂の硬化が起こりにくくなる。
【0013】
本発明の被覆用組成物には必要に応じて、他の公知の樹脂、たとえばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂を添加することも可能である。また、被覆された成分の溶出速度を調節するために、カオリン、タルク、クレー等の無機顔料を適宜添加することができる。特に、タルクを被覆用組成物に微量、例えば水性分散体(C)に対して約1〜約15重量%、好ましくは約5〜約10重量%配合することによって、該被覆用組成物で被覆された農薬含有物の農薬成分の溶出性をハイレベルでコントロールすることができ、好ましくはパルス放出性に放出させることができる。その場合、例えば、パルス放出性農薬粒剤を本田または育苗箱等に散布してから、農薬成分が溶出しだすまでのラグタイムを、好ましくは1〜数週間、特に好ましくは2〜4週間内に設定することができる。また、本発明の被覆用組成物を無機系の被覆物に被覆する場合、コロイダルシリカ(例:カープレックス等,シオノギ)を被覆用組成物に添加することによって被覆物との接着性が向上し、さらに造膜性、耐水性、耐ブロッキング性を改善することが可能となる。
【0014】
本発明において被覆される肥料、殺虫成分含有物、または農薬含有物は粒状であれば特に制限されない。通常使用される肥料では塩安、尿素、塩化カリ等の単肥やNK化成、塩化燐安、燐硝安カリ等の複合肥料および粒状の有機肥料等を用いることができる。殺虫成分含有物としてはフェニトロチオン、ピリプロキシフェン等の殺虫成分を含浸させた粘土鉱物等を用いることができる。また被覆に付される農薬の含有物としては、ストロビルリン系殺菌剤(例:メトミノストロビン等)等の農薬成分を含浸させた粘土鉱物等を用いることができる。該農薬含有物として好ましくは、パルス放出性農薬粒剤の調製に用いられる前製剤である。また、被覆方法は公知のごとく、熱風によって浮遊させた粒子に被覆用組成物を噴霧することによる流動層方式や回転ドラム等で粒子を流動状態にして被覆用組成物を噴霧する転動方式が挙げられ、いずれの方式でも差し支えない。本発明の被覆用組成物の被覆率は、被覆する粒子の重量に対して樹脂分として3〜30%の範囲が好ましく、この範囲よりも低くすると均一に被覆するのが困難となり、しかも十分な徐放性効果が得られず、また、この範囲よりも高くすると徐放効果の割にコストが高くなり実用的でない。特にメトミノストロビン等のストロビルリン系殺菌剤を含有する農薬製剤を調製する場合には、本発明の被覆用組成物の被覆率は、最終製剤の全重量に対して樹脂分として好ましくは約5〜約25重量%、特に好ましくは約10〜約15重量%である。被覆率が高すぎると、粒剤を散布後、農薬を放出するまでのラグタイムが過度に長くなりすぎて、薬効発現の時期を逸してしまったり、ラグタイムの延長に伴う溶出速度の低下を余儀なくされる恐れがある。一方、被覆率が低すぎると、ラグタイムが過度に短くなりすぎる結果、苗の発育に悪影響を及ぼしたり、あるいは所望の薬効発現の時期以前に農薬が放出されてしまい、期待していた効果が得られない恐れがある。
【0015】
本発明はさらに、前記の被覆用組成物で被覆する工程を包含する、肥料、殺虫成分含有物または農薬含有物等の製造方法、ならびに、その製法等によって得られる該被覆用組成物で被覆されている、肥料、殺虫成分含有物または農薬含有物を提供する。該被覆用組成物で被覆されている農薬含有物の農薬とは、農作物(樹木および農林産物)を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミその他の動植物、またはウイルスの防除に用いられる薬剤(例:殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺そ剤、誘引剤、忌避剤等)、および農作物の生理機能の増進または抑制に用いられる薬剤(例:除草剤、植物成長調節剤(例:植物成長剤、発芽抑制剤等))、ならびにこれらの薬剤の効力を増強したりする補助剤等を意味する。以下に殺虫剤成分や農薬の具体例を示す。
【0016】
[除草剤]ピラゾレート、ダイムロン、ブロモブチド、メフェナセット、MCP、MCPB、トリクロピル、ナプロアニリド、CNP、クロメトキシニル、ビフェノックス、MCC、ピリブチカルブ、DCPA、ナプロパミド、ジフェナミド、ピロピザミド、アシュラム、DCMU、リニュロン、メチルダイムロン、テブチウロン、ベンスルフロンメチル、シマジン、アトラジン、シメトリン、アメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、メトリブジン、ベンタゾン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、グリホサート、ビアラホス、アロキシジム、イマゾスルフロン、アジムスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、シノスルフロン。
【0017】
[殺虫・殺ダニ剤]ダイアジノン、フェンチオン、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン、ジメトエート、PMP、ジメチルビンホス、アセフェート、DEP、NAC、MTMC、MIPC、PHC、MPMC、XMC、BPMC、ベンダイオカルブ、ピリミカルブ、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、シペルメトリン、カルタップ塩酸塩、チオシクラム、ベンスルタップ、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ、メトプレン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、ピリダベン、クロフェンテジン、ニテンピラム。
【0018】
[殺菌剤]プロベナゾール、イソプロチオラン、ピロキロン、フルトラニル、メトミノストロビン、ジラム、チウラム、キャプタン、TPN、フサライド、トルクロホスメチル、ホセチル、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンタゾール、チアベンタゾール、ジエトフェンカルブ、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ヘキサコナゾール、トリホリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ミルディオマイシン、PCNB、ヒドロキシイソキサゾール、ダゾメット、ジメチリモール、ジクロメジン、トリアジン、フェリムゾン、トリシクラゾール、オキソリニックなどが例示されるが、好ましくはメトミノストロビン等のストロビルリン系化合物である。
【0019】
農薬または殺虫剤成分の含量は、最終の製剤全重量に対して、通常、約0.1〜約90重量%、好ましくは約0.1〜約50重量%、より好ましくは約0.1〜約30重量%である。
本発明の被覆組成物により被覆されている農薬製剤は、所望により、種々の農薬製剤用基剤や添加剤(例:膨潤剤、担体、結合剤、界面活性剤等)を含有し得る。その例を以下に示す。
【0020】
(膨潤剤)水を吸収することによって体積が膨張し、その結果、粒剤内部の農薬を放出せしめるための物質である。通常、膨潤剤は、コーティング造粒法として農薬と一緒に混合して、粒状珪砂、粒状炭酸カルシウム等の担体表面に付着させるか、担体表面に農薬を付着させた後、その表面に付着させる。また、押し出し造粒法として、担体、農薬等と膨潤剤を一緒に混合し、押し出し造粒法にて成形させたり、担体、農薬等を押し出し造粒法にて成形した粒剤に、膨潤剤を付着させる。具体例としては、ベントナイト、デンプン、吸水性高分子等が挙げられる。ベントナイトとしては、ナトリウム系ベントナイトが好ましい。デンプンとしては、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、メチルデンプン、カルボキシメチルデンプン等が例示される。吸水性高分子としては、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−ポリアクリル酸塩、イソブチレン−マレイン酸塩、PVA−ポリアクリル酸塩等が例示される。膨潤剤として好ましくは、ベントナイトもしくは吸水性高分子(特に、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−ポリアクリル酸塩、イソブチレン−マレイン酸塩、PVA−ポリアクリル酸塩)である。これらの膨潤剤は、単独または複数で使用でき、またそれらの種類や組み合わせは特に制限されない。膨潤剤の配合量は、通常、製剤全重量に対して、約0.1〜約70重量%、好ましくは約0.5〜約60重量%である。膨潤剤の配合量が多すぎると、ラグタイムが短くなりすぎたり、溶出速度が高くなりすぎたりする恐れがある。一方、配合量が少なすぎると、ラグタイムが長すぎたり、散布しても農薬が放出されない恐れがある。
【0021】
(担体)その表面に農薬、膨潤剤等を付着させ得る化学的に不活性な粒状物質または農薬、膨潤剤等とともに混合することができる化学的に不活性な粉状物質であり、例えば、けいそう土、クレイ、ベントナイト、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、珪砂等、パルス放出性粒剤の調製に一般的に使用され得る粒状担体および粉状担体が挙げられる。担体として好ましくは珪砂、炭酸カルシウム、ベントナイト、タルクおよびクレーである。
該粒状担体は破砕品(例:粒状炭酸カルシウム、粒状珪砂等)または造粒品のいずれでもよいが、形状としては球形で粒径0.1〜3mm、好ましくは粒径0.5〜2.5mmの粒状のものが望ましい。また、粉状担体は、平均粒子径1〜20μm の粉状のものが望ましい。担体の配合量は、通常、製剤全重量に対して、約5〜約90重量%、好ましくは約10〜約85重量%である。
【0022】
(結合剤)粒状担体の表面に有効成分、膨潤剤等を付着させる目的で使用するもの、粉状担体、有効成分、膨潤剤等を混合し、押し出し造粒法にて粒剤を成形させる目的で使用するもの、ならびに粉状担体、有効成分を混合し、押し出し造粒法にて成形した粒剤に膨潤剤等を付着させる目的で使用するものであり、溶解時に粘着性を示す高分子である。
好ましくは水と有機溶剤のいずれにも溶解する高分子であり、具体的にはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エポキシ樹脂、または下記の界面活性剤等が挙げられる。これらの結合剤は、単独または複数のいずれでも使用できる。
また、それらの種類、組み合わせ、含量は適宜設定すればよい。
【0023】
(界面活性剤)非イオン性、陰イオン性等のタイプが使用可能である。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酸化エチレン/酸化プロピレン共重合体、高級脂肪酸アルカノールアマイドが用いられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸重合縮合物金属塩、アルケニルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルキルアリールスルホン酸塩(例:アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等)、リグニンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム、高級アルコールスルホン酸塩、高級アルコールエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、高級脂肪酸アルカリ金属塩などが用いられる。好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩である。配合量は、通常、製剤全重量に対して、約1〜10重量%、好ましくは約2〜8重量%、より好ましくは約3〜6重量%である。
【0024】
本発明の農薬製剤の好ましい例としては、パルス放出性農薬粒剤が例示される。該製剤におけるラグタイムとは、通常、粒剤を散布した日時から計算して含有農薬が粒剤内部から放出を開始するまでの期間を意味するが、本明細書においては便宜上、含有農薬が溶出試験用の水に約1%溶出するまでに要する時間をラグタイムと称する。本発明のパルス放出性農薬粒剤は、好ましくは、農薬成分としてメトミノストロビン等のストロビルリン系殺菌剤を含有する。そのラグタイムの期間は、好ましくは、約7〜約28日、特に好ましくは約14〜約21日であり、ラグタイム経過後の農薬の溶出速度は、粒剤中の農薬含量に対する1日当りの溶出量でもって規定すれば、例えば、約0.5〜約5.5%/日(20℃)、好ましくは約1.5〜約4.5%/日(20℃)である。
【0025】
本発明のパルス放出性農薬粒剤の製造は、基本的には従来のパルス放出性粒剤に準じて行えばよく特に制限されないが、好ましくは次の通りである。まず、農薬及び要すれば膨潤剤、担体、結合剤、界面活性剤等の混合物を押出造粒機で造粒し、乾燥等を行って粒剤(前製剤)を調製する。次にその表面に、本発明の被覆用組成物を、流動層造粒機、パンコーティング装置、転動コーティング装置、転動流動型被覆装置、通気型被覆装置、ナウターミキサー等を用いて被覆することにより、疎水性被覆膜を付与する。該被覆膜は、必要に応じて複数回被覆してもよい。また好ましくは、得られた粒剤の表面にさらにシリカを付着させる。該パルス放出性農薬粒剤を水田や畑に使用する場合、散布量は、含有農薬の量によって異なり一概には規定できないが、通常、約0.6〜2kg/10aである。また育苗箱中にて使用する場合、散布量は約30〜100g/箱である。
【実施例】
次に本発明の実施例及び試験例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
実施例1
還流コンデンサ、撹拌機、滴下装置および温度計が付いた反応容器に水を500g仕込み、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを15gおよびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB17)5gを添加し窒素ガスで減圧置換を行った。70℃まで加温し重合開始剤として過硫酸アンモンを1.7g添加した。これに、スチレン200g、アクリル酸ブチル90g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸グリシジル25gの混合モノマーを撹拌しながら3時間で添加した。温度を70℃に保ったまま熟成を2時間行い、コア部のエマルジョンを調製した。次に、スチレン55g、アクリル酸ブチル65g、メタクリル酸ブチル25g、メタクリル酸15gの混合モノマーを2時間で添加し、コア部の外殻にシェル部となる樹脂を形成させた。添加後、温度を75℃に上げ、残存モノマーをなくすためにレドックス触媒としてロンガリットC0.6gを水10gに溶解して添加し熟成を3時間行った。熟成後40℃まで冷却し、トリエチルアミンでpHを8.0に調節した。これに不揮発分50%のワックス水分散体(炭素数約180)を100g添加し、被覆用エマルジョンを得た。重量平均分子量は52万であった。
【0027】
実施例2
還流コンデンサ、撹拌機、滴下装置および温度計が付いた反応容器に水を500g仕込み、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを15gおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB15)5gを添加し窒素ガスで減圧置換を行った。70℃まで加温し重合開始剤として過硫酸ナトリウムを1.7g添加した。これに、アクリル酸シクロヘキシル200g、アクリル酸ブチル65g、メタクリル酸ブチル50g、メタクリル酸グリシジル25gの混合モノマーを撹拌しながら2時間で添加した。温度を70℃に保ったまま熟成を2時間行い、コア部のエマルジョンを調製した。次に、アクリル酸シクロヘキシル40g、アクリル酸ブチル50g、メタクリル酸ブチル47g、イタコン酸23gの混合モノマーを3時間で添加し、コア部の外殻にシェル部となる樹脂を形成させた。添加後、温度を75℃に上げ、残存モノマーをなくすためにレドックス触媒としてロンガリットC1g添加し熟成を3時間行った。熟成後40℃まで冷却し、トリエチルアミンでpHを8.0に調節した。これに不揮発分50%のワックス水分散体(炭素数約180)を100g添加し、被覆用エマルジョンを得た。重量平均分子量は47万であった。
【0028】
比較例1
還流コンデンサ、撹拌機、滴下装置および温度計が付いた反応容器に水を500g仕込み、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを15gおよびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB17)5gを添加し窒素ガスで減圧置換を行った。70℃まで加温し重合開始剤として過硫酸アンモンを1.7g添加した。これに、スチレン255g、アクリル酸ブチル155g、メタクリル酸ブチル70gの混合モノマーを撹拌しながら4時間で添加した。これは単一の樹脂エマルジョンであり、コアシェル構造を有していない。添加後、温度を75℃に上げ、残存モノマーをなくすためにレドックス触媒としてロンガリットC1g添加し熟成を3時間行った。熟成後40℃まで冷却し、アンモニアでpHを8.0に調節した。これに不揮発分50%のワックス水分散体(炭素数約180)を100g添加し、被覆用エマルジョンを得た。このエマルジョンはコアシェル構造をもたない。重量平均分子量は49万であった。
【0029】
比較例2
実施例1でワックス水分散体を添加しない試料を比較例2とした。
【0030】
試験例1 肥料の被覆
被覆装置としてハイコーターHCT−MINI(フロイント社製)を用いた。ハイコーターのベッセルに平均粒径約3mmの市販硫安粒状肥料150gを仕込み、温度90℃において回転数40R.P.Mで実施例1、比較例1および2のエマルジョン樹脂をスプレー噴霧して被覆し、被覆率15%の被覆粒状肥料を得た。比較例2を被覆した試料はブロッキングを起こし、流動性は著しく低下した。
【0031】
得られた被覆粒状肥料の溶出試験を行った。被覆粒状肥料の一定量(20g)を蒸留水(200g)に投入し、25℃の恒温室内に放置し、一定期間ごとに液中の硫酸イオン濃度を測定し、溶出した硫安の溶出率を求めた。硫酸イオン濃度の測定にはイオンクロマトグラフィー分析装置を用いた。表1の結果から明らかなように、実施例1の被覆粒状肥料は、比較例1のものよりも徐放効果が著しく、緩効性肥料として適していることがわかる。
【0032】
【表1】
肥料成分溶出試験結果
単位は%
【0033】
試験例2 殺虫成分ピリプロキシフェン含有粒子の被覆
被覆装置としてハイコーターHCT−MINI(フロイント社製)を用いた。
ハイコーターのベッセルにピリプロキシフェンを0.5%含浸させた石川ライト1号(平均粒径約4mm)150gを仕込み、温度90℃において回転数40R.P.Mで実施例2のエマルジョン樹脂をスプレー噴霧して被覆し、被覆率10%の被覆粒状殺虫成分含有物を得た。
【0034】
得られた被覆粒状殺虫成分の溶出試験を行った。被覆粒状殺虫成分含有物の一定量(200mg)を蒸留水(5リットル)に投入し、25℃の恒温室内に放置し、一定期間ごとに液中のピリプロキシフェン濃度を測定し、溶出したピリプロキシフェンの溶出率を求めた。ピリプロキシフェン濃度の測定にはガスクロマトグラフィー分析装置を用いた。表2の結果から明らかなように、被覆を行うことによって殺虫成分の溶出が長期にわたり継続させることができ、薬効を保持することが可能となる。
【0035】
【表2】
殺虫成分溶出試験結果
単位は%
【0036】
試験例3
実施例1で得られた被覆用エマルジョンをコーティング剤として用いて農薬製剤を調製し、コーティング剤の配合量と水中での製剤崩壊性について検討した。
(サンプル調製方法)
下記表3の実施例3のサンプル調製方法を次に示すが、実施例4〜5および参考例1についても同様にして調製した。
<造粒工程>
1)メトミノストロビンをサンプルミルを用いて平均粒径25〜40μmとなるよう粉砕する。
2)メトミノストロビン粉砕末480.6g,リグニンスルホン酸ナトリウム94.2g(商品名:リグノサイト458,ジョージアパシフィック社),ベントナイト1884.8g(商品名:クニゲルV1,クニミネ工業(株))、およびクレー477.6g(商品名:フバサミクレーA300,フバサミクレー工業(株))をミキサーで混合する。
3)次いで、ポリカルボン酸ナトリウム62.8g(商品名:トキサノンGR31A,三洋化成工業(株))と水630gを混合し、ミキサーを運転しながら混合末に添加し、混合する。
4)上記混合物を押出造粒機(金網径1.0mm)で造粒し、次いで整粒械にて球状に成形する。
5)流動層乾燥機で乾燥後(送風温度60℃)、JIS標準篩で篩過して850〜1,700μmの前製剤を得る。
<コーティング工程>
1)実施例1で得られた被覆用エマルジョン(成分含量45%)をイオン交換水で20%液に希釈し、流動層コーティング機にて前製剤1.2kgにスプレーし、乾燥(送風温度37〜42℃)する。
2)転動流動層コーティング機より取り出し、カープレックス#80(シオノギ)を6.3g添加して袋内混合し、製剤を得る。
(水中崩壊性試験方法)
200mLビーカーに3°硬水100mLをとり、製剤0.5gを加えて経時日数と粒子崩壊の関係を目視確認した。
(結果)
製剤組成を表3に、水中崩壊性を表4に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
コーティング量を調節することにより、農薬成分の溶出開始時期をコントロールすることができた。
【0039】
試験例4(タルク配合による製剤の水中での有効成分溶出性)
農薬成分の溶出パターンをさらにハイレベルでコントロールすべく、コーティング剤中にタルクを分散させて、水中での溶出性を検討した。なお比較のため、タルクを添加しない製剤およびコーティングを全く施さない製剤についても試験した。
(サンプル調製方法)
<造粒工程>
試験例3の調製方法と同じ。
<コーティング工程>
試験例3の調製方法と同じ。なお、タルクは被覆用エマルジョン(成分45%)をイオン交換水で20%液に希釈した後に添加し、マグネットスターラーで撹拌しながらコーティングに供した。
(製剤の水中における有効成分溶出率)
20℃の3°硬水300mLに試料40mgを投入し、20℃で放置する。
所定時間経過後ガラス棒で攪拌(20rpm)し、30秒後靜置後上層より3mL採取して検体とし、HPLC法にて有効成分含量を測定する。
試験を継続する場合は、サンプリング後、上層の147mLを静かに除去し、20℃の3°硬水150mLを静かに加え、20℃で再び放置する。
溶出率の計算式
【数1】
Vm:ビーカー中の3ーHWの容量(mL)
Dn:n回目の操作で得られた有効成分濃度(ppm)
Ps:製剤中の有効成分濃度(%)
Gw:投入した粒剤の重量(mg)
(結果)
製剤組成を表5に、有効成分溶出率を表6に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
タルクを添加しない製剤(参考例2)では、4週間経過後も農薬成分は溶出しなかった。またコーティングを施さなかった製剤(参考例3)では、1日目で約30%溶出してしまった。これに対して、タルクをコーティング膜中に微量配合した製剤(実施例6)では、2週間経過後から農薬成分が徐々に溶出し始めた。
即ち、パルス放出型製剤として好ましい溶出パターンを示した。
【0042】
【発明の効果】
本発明の被覆用組成物は有機溶剤を含有していないため、引火性等の危険性がない。さらに本発明の被覆用組成物を用いれば粒状肥料、粒状殺虫成分含有物または農薬含有物等から有効成分の溶出速度の調節が可能となり、長期にわたり効力を持続させることができる。さらに本発明の農薬含有物は徐放性製剤として有用である。特にパルス放出性農薬粒剤は、所望の薬効発現の時期に合わせて農薬放出までのラグタイムを微妙にコントロールできる。よって、例えば農薬製剤を育苗箱施用した場合、農薬の影響を受けやすい稲の幼苗期に薬害を発生させず、しかも目的とする殺虫、殺菌、除草効果の発現が必要な時期に十分な農薬量を放出し得ることとなり、農薬の散布労力の省力化と散布薬量の低薬量化が可能となる。本粒剤は、育苗箱、水田または畑地等にて利用できる。
Claims (7)
- エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体と少なくとも一種類のビニル基を有する単量体(ただし、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を除く)との乳化共重合体(A)を核とし、その外殻にカルボキシル基を有するビニル単量体と少なくとも一種類のビニル基を有する単量体との乳化共重合体(B)を有するコアシェル構造で分子量が10万より大きい水性分散体(C)と、炭素数100〜300のワックス水分散体(D)の混合物を含有することを特徴とする、肥料、殺虫成分含有物または農薬含有物のための被覆用組成物。
- ビニル基を有する単量体がスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルである請求項1に記載の被覆用組成物。
- ビニル基を有する単量体がスチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸からなる群より選択される1種類以上である請求項1に記載の被覆用組成物。
- エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体がメタクリル酸グリシジルである請求項1〜3のいずれかに記載の被覆用組成物。
- 重量比で、乳化共重合体(A)と乳化共重合体(B)の比率が1:9〜9:1であり、水性分散体(C)に対するワックス水分散体(D)の添加比率が1〜10%である請求項1〜4のいずれかに記載の被覆用組成物。
- さらにタルクを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の被覆用組成物。
- タルクの含量が水性分散体(C)に対して1〜15%である請求項6に記載の被覆用組成物。
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