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JP4162958B2 - 衝撃緩衝部材 - Google Patents

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JP4162958B2
JP4162958B2 JP2002281810A JP2002281810A JP4162958B2 JP 4162958 B2 JP4162958 B2 JP 4162958B2 JP 2002281810 A JP2002281810 A JP 2002281810A JP 2002281810 A JP2002281810 A JP 2002281810A JP 4162958 B2 JP4162958 B2 JP 4162958B2
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圭司 増山
中村  健太郎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用衝撃緩衝部材に関し、更に詳細には、車両における車体の前面または後面に配設したバンパービームに組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃緩衝部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から生産されている乗用車等の車両では、衝突安全の重点が乗員保護に置かれていた。例えば、当該車両が衝突した際の衝撃から乗員を保護する目的で、エアバッグ装置が標準的に装備されるようになったことは勿論、ピラーガーニッシュやドアトリムの内側に、リブ構造体または中空構造体とされる合成樹脂製の衝撃緩衝部材を配設することで、乗員の頭部、胸部または腰部等へのダメージを軽減する対策も図られている。
【0003】
しかしながら、乗員保護に関する安全対策が確立しつつある近年に至っては、歩行者保護に関する安全対策の確立が希求されつつある。すなわち、走行中の車両が誤って歩行者に衝突したり接触した場合に、該歩行者の脚部、腰部、胸部および頭部へ加わる衝撃を緩和するための技術が、各自動車メーカーや自動車部品メーカー等において研究・開発されている。
【0004】
一般的に、乗用車等の車両10における車体の前側および後側には、図8および図9に略示するように、バンパーフェース12の内側(裏側)に被覆された状態でバンパービーム14が配設されている(各図では、車体の前側のみを表示している)。すなわち、当該車両が他の車両や物体等に衝突した際には、前記バンパーフェース12を介して前記バンパービーム14に衝撃が加わり、これにより該バンパービーム14が変形して衝突による衝撃吸収が図られるようになっている。このバンパービーム14は、従前では金属製(鋼等)のものが主流とされていたが、近年に至っては、軽量化や防錆面等で有利な合成樹脂製のものに置換されつつある。このような合成樹脂製のバンパービーム14は、インジェクション成形により成形されたリブ構造体や、ブロー成形により成形された中空構造体等のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−237512号公報(第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、車両が歩行者に衝突した際の該歩行者の損傷部位は約40%が脚部とされ、車両が歩行者脚部へ及ぼす加害性を評価するために、例えば欧州実験車両委員会(EEVC;European Enhanced Vehicle-Safety Committee)における歩行者保護試験法検討ワーキンググループ(Working group 17)では、歩行者保護試験のひとつとして「バンパー評価試験」を提案している。このバンパー評価試験によれば、前記バンパービーム14に要求される衝撃吸収特性は、歩行者の脚部を模擬した脚部インパクター16に対し、40km/hの速度で該バンパービーム14を衝突させた際に、前記脚部インパクター16に設けたセンサー(図示せず)により測定される衝撃加速度が「150G以下」となることが要件とされている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたバンパービームや図8に示したバンパービーム14は、あくまで車両やその他の硬質物体(例えばガードレール、ブロック塀等)等の所謂「高剛性の物体」との衝突を前提として設計されたものが殆どであり、このような高剛性の物体との衝突時に機能してその衝撃を好適に吸収するようになっている。従って従来のバンパービーム14は、歩行者等の所謂「低剛性の物体」との衝突に対応し得るように設計されておらず、歩行者保護には十分に機能し得なかった。また仮に、歩行者保護に対応させるべく剛性を低く設計した場合には、バンパービーム14としての本来の機能が阻害されることとなり、高剛性の物体との衝突および低剛性の物体との衝突の両方に対応させ得るバンパービームの実施には技術的な課題があった。
【0008】
そこで、当該車両が歩行者等に衝突した際の衝撃により変形して、該歩行者に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃緩衝部材20を別途成形し(図10、図11)、該衝撃緩衝部材20を車体に配設した前記バンパービーム14の外端面に組付けるようにした技術が提案されている(図12、図13)。すなわち、高剛性の物体(車両や硬質物体等)との衝突には前記バンパービーム14で対応するようにし、また低剛性の物体(歩行者等)との衝突には前記衝撃緩衝部材20で対応するようにしたものである。
【0009】
ここで、従来の衝撃緩衝部材20は、例えばポリエチレン(PE)等の樹脂材料をブロー成形技術を利用してブロー成形した中空構造体であって、全長Lが1000mm、高さHが100mm、前後方向の厚み(ストローク)Wが60mm程度の外形サイズとされ、各部の平均的な肉厚tが3mm程度とされている。そして衝撃緩衝部材20は、前記バンパービーム14の外端面から所要量だけ前側に離間して位置すると共に、衝突した歩行者からの衝撃を受ける前側の当接壁部22と、前記バンパービーム14に当接する後側の取付壁部24から延出し、前記当接壁部22を裏側から支持する一対の支持壁部26,26とを有している。前記各支持壁部26,26は、全体が略平坦な平板状とされ、水平面に対する傾斜角度Tが約15度に設定されていて前方側が相互近接するようになり、前側当接壁部22の裏側を所謂「ハ字状」で支持するようになっている。
【0010】
図15は、前記衝撃緩衝部材20に対し、前述した「バンパー評価試験」を実施した際の試験結果を示したグラフであり、また図14は、この試験時における当該衝撃緩衝部材20の変形過程を経時的に概略図示した説明図である。なお図13から明らかなように、バンパーフェース12と衝撃緩衝部材20との間には適宜の隙間が画成されており、脚部インパクター16がバンパーフェース12に接触した時点では、該脚部インパクター16と衝撃緩衝部材20との間に35mm程度の間隔がある。従って、図15のグラフにおける横軸では、0〜35mmの区間が脚部インパクター16の変位領域+バンパーフェース12の変形領域とされ、衝撃緩衝部材20の実質的な変形領域は35〜95mmの区間とされる。
【0011】
また、本願出願人が行なったバンパー評価試験(コンピュータ解析)は、歩行者の脚部を模擬した脚部インパクター16を、固定した前記衝撃緩衝部材20に対して40km/hの速度で衝突させるようにしたものであり、固定した脚部インパクター16に対して40km/hの速度で衝撃緩衝部材20を衝突させるようにする前記欧州実験車両委員会によるバンパー評価試験とは、両者16,20の衝突方向が逆となっている。従って、欧州実験車両委員会のバンパー評価試験において表記される衝撃加速度は、本願出願人のバンパー評価試験では「発生減速度」として表記するが、実質的には「発生減速度=衝撃加速度」となる。
【0012】
前述した本願出願人によるバンパー評価試験での試験結果によれば、従来の衝撃緩衝部材20は、前記当接壁部22を裏側から支持する前記支持壁部26,26の存在により、衝突初期段階(脚部インパクター16が40mm程度変位した時点)において発生減速度の立上がりが早くなっている点は評価できる。しかしながら、(a)立上がり直後(衝突中期段階)に発生減速度の大きな落ち込みが発生する、(b)後半(衝突最終段階)では発生減速度が急激に上昇し、目標値とされる150Gを大幅に超過して200G近くにまで上昇する、等の問題点を内在している。
【0013】
ここで、前記(a)および(b)が発生する原因は、主に前記支持壁部26,26の形状に問題があると推測される。すなわち前記(a)の発生原因は、衝突初期段階における前記支持壁部26,26が、その前側が外方へ変形するようになると共に後側が内方へ変形するようになった後(図14(a))、前側および後側の適宜部位で座屈変形が起こるようになるためと考えられる(図14(b))、一方、前記(b)の発生原因は、前記支持壁部26,26の後側が内方へ変形することで前記取付壁部24がバンパービーム14から浮上がって前方へ傍出するようになると共に、変形した該支持壁部26,26が内部で嵩張るため(図14(c))、衝突最終段階おいては当接壁部22、取付壁部24および支持壁部26,26が接触して圧潰が規制されるため(有効ストロークが減少するため)と考えられる。すなわち、図10および図11等に示した従来の衝撃緩衝部材20は、歩行者保護のための条件を十分に満足する衝撃吸収性能を有しているとはいえなかった。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、車両の車体前面または後面に配設したバンパービームに別途組付けるようにするタイプとして、歩行者保護のための条件を満足する衝撃吸収特性に優れた衝撃緩衝部材を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、車両における車体の前面または後面に配設したバンパービームに組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃緩衝部材において、
前記衝撃緩衝部材は、前記バンパービームの外端面から離間して位置する当接壁部と、前記当接壁部から前記バンパービームの外端面まで延在する壁部分と、前記壁部分から前記バンパービームに当接するよう延在する取付壁部と、前記取付壁部から前記当接壁部の裏側に向け延出して当接壁部を裏側から支持する支持壁部とを有する中空構造体であり、
前記支持壁部は、前記取付壁部に連なる所要幅の領域に、湾曲的に延在する湾曲支持壁を有し、
前記当接壁部へ前記物体を介して衝撃が加わった際に、前記湾曲支持壁がその湾曲方向へ変形しつつ折曲するよう構成したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る衝撃緩衝部材につき、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、図8〜図15を引用して説明した従来技術の項において既出の部材や部位と同一の部材、部位については、同一の符号を付して説明する。
【0017】
図1は、好適実施例に係る衝撃緩衝部材を一部省略して示した概略斜視図であり、図2は図1のII−II線断面図である。本実施例の衝撃緩衝部材30は、図10および図11に示した従来の衝撃緩衝部材20と基本的構成が同一であって、車両における車体の前面または後面に配設した前記バンパービーム14に組付けられ、当該車両が例えば歩行者等に代表される低剛性の物体に衝突した際の衝撃により圧潰的に変形し、これにより該歩行者に作用する衝撃を緩和させ得るようになっている。
【0018】
実施例の衝撃緩衝部材30は、例えばポリエチレン(PE)等の樹脂材料をブロー成形技術を利用してブロー成形した中空構造体であって、全長Lが1000mm、高さHが100mm、前後方向の厚み(ストローク)Wが60mm程度の外形サイズとされ、各部の平均的な肉厚tが3mm程度とされる。なお実施例では、車体の前面に配設したバンパービーム14に組付ける場合につき例示し、車体の後面に配設したバンパービームに組付ける場合については省略する。
【0019】
実施例の衝撃緩衝部材30は、前記バンパービーム14の外端面から所要量(前記厚みW分の約60mm)だけ前側に離間して位置すると共に、衝突した歩行者からの衝撃を受ける前側の当接壁部22と、前記バンパービーム14に当接する後側の取付壁部24,24と、これら取付壁部24,24から夫々延出し、前記当接壁部22を裏側から支持する一対の支持壁部26,26とを有している。これにより実施例の衝撃緩衝部材30は、上下に分離した2つの内部空間を有する中空構造体とされる。
【0020】
そして、前記各々の支持壁部26,26は、前記取付壁部24に連なる所要幅の領域に、所要の曲率半径Rで湾曲的に延在する湾曲支持壁32を、該取付壁部24に沿って(当該衝撃緩衝部材30の長手方向に沿って)有している。具体的に前記湾曲支持壁32は、前記当接壁部22と取付壁部24との間で前記内部空間へ湾曲的に傍出しており、図2における上側の支持壁部26では同図の上方側へ傍出していると共に、下側の支持壁部26では同図の下方側へ傍出している。従って、車両が歩行者等に衝突することで前記当接壁部22へ衝撃が加わり、前記各々の支持壁部26,26が前後方向から押圧された際には、後述すると共に図5に示すように、各々の湾曲支持壁32,32がその湾曲方向へ変形しつつ折曲することで該支持壁部26,26の変形開始の契機となると共に、これにより当該衝撃緩衝部材30の圧潰が許容されるようになる。
【0021】
ここで、前記湾曲支持壁32の前後方向への形成幅Dは、前記支持壁部26の前側方向への延出量Sの1/2程度に設定されている。これにより各々の支持壁部26,26は、前記取付壁部24に連なって該支持壁部26の後側半分を形成する前記湾曲支持壁32と、前記当接壁部22の裏側に接続されて該支持壁部26の前側半分を形成する平坦状の平坦支持壁34とに区分形成されている。このような支持壁部26,26は、車両と歩行者等との衝突により前後方向から押圧された際には、前述したように、先ず各々の前記湾曲支持壁32,32がその湾曲方向、すなわち相互に離間するように変形を開始するので、各々の平坦支持壁34,34は、上下方向へ離間するように変形しつつ前記当接壁部22および取付壁部24の間へ折畳まれるようになる(図5)。
【0022】
図3は、バンパービーム14に装着した実施例の衝撃緩衝部材30に、バンパー評価試験機の脚部インパクター16を衝突させ、当該衝撃緩衝部材30の衝撃吸収性能を試験する状態を示した説明斜視図であり、図4は図3のIV−IV線断面図である。また図6は、図3に示した「バンパー評価試験」における実施例の衝撃緩衝部材30の試験結果を示したグラフであり、図5は、この試験時における当該衝撃緩衝部材30の変形過程を経時的に概略図示した説明断面図である。但し、図6のグラフには、図7に示した形状の衝撃緩衝部材40(比較品)の試験結果と、図10に示した従来の衝撃緩衝部材20の試験結果(図15)とを同時に表示してある。ここで、図7に示した比較品としての衝撃緩衝部材40は、各々の支持壁部26,26における前後方向の略中央部位に、該部材40の長手方向に沿って段部42を形成したものである。
【0023】
なお図4から明らかなように、バンパーフェース12と衝撃緩衝部材30との間には適宜の隙間が画成されており、脚部インパクター16がバンパーフェース12に接触した時点では、該脚部インパクター16と衝撃緩衝部材20との間に35mm程度の間隔がある。従って、図6のグラフにおける横軸では、0〜35mmの区間が脚部インパクター16の変位領域+バンパーフェース12の変形領域とされ、衝撃緩衝部材30の実質的な変形領域は35〜95mmの区間とされる。
【0024】
また、本願出願人が行なったバンパー評価試験(コンピュータ解析)は、前述したように、歩行者の脚部を模擬した脚部インパクター16を、固定した前記衝撃緩衝部材30に対して40km/hの速度で衝突させるようにしたものであり、固定した脚部インパクター16に対して40km/hの速度で衝撃緩衝部材30を衝突させるようにする前記欧州実験車両委員会によるバンパー評価試験とは、両者16,30の衝突方向が逆となっている。従って、欧州実験車両委員会のバンパー評価試験において表記される衝撃加速度は、本願出願人が行なった本実施例のバンパー評価試験では「発生減速度」として表記するが、実質的には「発生減速度=衝撃加速度」となる。
【0025】
本願出願人によるバンパー評価試験での試験結果によれば、実施例の衝撃緩衝部材30は、前記当接壁部22を裏側から支持する前記支持壁部26,26の存在により、先ず衝突初期段階(脚部インパクター16が40mm程度変位した時点)における発生減速度の立上がりが早くなっている点が評価できる。また、立上がり直後である衝突中期段階には、若干の発生減速度の低下が見られるものの、従来の衝撃緩衝部材20と比較するとその低下量は極めて僅少であるから、適切な衝撃吸収状態が維持されると評価できる。更に衝突最終段階では、発生減速度が徐々に(緩やか)に上昇しているものの、発生減速度の最大値は目標値とされる150Gを下回る結果となっている。従って実施例の衝撃緩衝部材30は、歩行者に代表される低剛性の物体に対して好適な衝撃吸収性能を発揮することが確認され、歩行者に加わる衝撃を十分に吸収し得る衝撃吸収性能を有していると評価できる。
【0026】
このように、実施例の衝撃緩衝部材30において好適な衝撃吸収性能が得られたのは、前記支持壁部26,26の形状を前述のように設定したためであると評価できる。すなわち、衝突初期段階において前後方向から押圧力を受け始めた各々の支持壁部26,26では、図5(a)に示すように、その押圧力により各々の湾曲支持壁32,32が湾曲方向へ変形するようになるため、この際に該押圧力を好適に吸収するようになる。そして湾曲支持壁32,32は、支持壁部26と取付壁部24との連設部分(屈曲部分)を折曲ポイントとして、当接壁部22と取付壁部24との間へ変形するようになる(図5(b))。
【0027】
各々の湾曲支持壁32,32が当接壁部22と取付壁部24との間へ変形するようになった衝突中期段階にあっては、図5(b)に示すように、各々の支持壁部26,26が湾曲的に変形した状態で衝突による押圧力を受けるようになるため、この段階における発生減速度の低下が好適に抑えられるものと推測される。しかも、各々の支持壁部26,26における湾曲支持壁32,32が相互離間するよう外方へ変形するため、これに伴って各々の平坦支持壁34,34も相互離間するように外方へ徐々に変形するようになる。なお、前記湾曲支持壁32,32が当接壁部22と取付壁部24との間へ変形するようになるので、これに連設されている前記取付壁部24,24が、バンパービーム14から浮上がって前方へ傍出的に変形することも規制される。
【0028】
そして衝突最終段階になると、図5(c)に示すように各々の支持壁部26,26は、湾曲支持壁32と平坦支持壁34との連設部位で折曲変形して略密着した折畳み状態となり、また該湾曲支持壁32は前記取付壁部24の裏側に略密着した状態となり、かつ該平坦支持壁34は前記当接壁部22の裏側に略密着した状態となる。従って、各々の支持壁部26,26は、前記当接壁部22と取付壁部24との間で折曲して最小の厚みとなる二つ折り状の折畳み状態となり、当該衝撃緩衝部材30が圧潰する際の有効ストロークを最大限に確保することができる。しかも、衝撃緩衝部材30が最大に圧潰される直前まで、当接壁部22、支持壁部26および取付壁部24が接触しないため圧潰が規制されることがなく、従って衝突最終段階で発生減速度が急激に上昇することが防止される。
【0029】
これに対して、前記比較品としての衝撃緩衝部材40では、図6のグラフに図示するように、衝突初期段階において各々の支持壁部26,26における前記段部42,42に押圧力が集中するために、各々の段部42,42において容易に折曲するようになり、衝突初期段階における発生減速度の立上がりが小さくなる問題を内在している。また衝突最終段階では、所要幅の前記段部42,42が当接壁部22と取付壁部24との間で嵩張ってしまい、支持壁部26,26と当接壁部22および取付壁部24との接触タイミングが早まると共に接触後に発生減速度が急激に大きくなるため、最終的な発生減速度の値は目標値の150Gを大きく超過する結果となった。従って、比較品に係る衝撃緩衝部材40は、歩行者に代表される低剛性の物体に対して好適な衝撃吸収性能を発揮することが不可能であり、歩行者保護のための条件を満足する衝撃吸収性能を有していないと評価できる。
【0030】
なお、図6に示した試験結果はコンピュータ解析によるものであるが、本願出願人は、図1および図2に例示した形状の衝撃緩衝部材30を実際にブロー成形し、これを脚部インパクター16に実際に衝突させてバンパー評価試験を実施した。この実物での試験による試験結果は、コンピュータ解析による前記試験結果よりも良好なデータが得られ、発生減速度の最大値は目標値とされる150Gを余裕をもって下回ることが確認された。
【0031】
このように実施例の衝撃緩衝部材30では、衝突時に歩行者等からの衝撃を受ける前記当接壁部22を裏側から支持する前記支持壁部26,26を、該取付壁部24に連なる後側の長手方向に沿って所要幅の湾曲支持壁32を設けた形状とした。従って、歩行者等との衝突による衝撃力が前記当接壁部22へ加わった際には、前記湾曲支持壁32,32が湾曲方向へ変形することで各々の支持壁部26,26がスムーズに折曲変形し、よって当該衝撃緩衝部材30が適切に圧潰して衝突による衝撃を好適に吸収するようになる。これにより、歩行者に対して好適な衝撃吸収性能を発揮するようになるため、歩行者に加わる衝突時の衝撃を減少させて負傷度合の軽減化を図ることが可能となる。
【0032】
また実施例の衝撃緩衝部材30は、従来の衝撃緩衝部材20と同様にブロー成形技術により一体的に成形されるので、成形コストが格別嵩むこともない。
【0033】
なお前記実施例では、車両の車体前面に配設したバンパービーム14に取付ける衝撃緩衝部材30を例示したが、本願が対象とする衝撃緩衝部材は、車体の後面に配設したバンパービームに取付けて使用に供されるものも含まれる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る衝撃緩衝部材によれば、バンパービームに当接する取付壁部から衝突時に歩行者等からの衝撃を受ける当接壁部を裏側から支持する支持壁部に、取付壁部に連なる所要幅の領域に湾曲支持壁を設けた。従って、歩行者を代表とする低剛性の物体との衝突による衝撃力が当接壁部へ加わった際には、前記湾曲支持壁が湾曲方向へ変形することで支持壁部がスムーズに折曲変形するようになり、当該衝撃緩衝部材が適切に圧潰して衝突による衝撃を好適に吸収するようになる。これにより、歩行者に代表される低剛性の物体に対して要求される衝撃吸収性能を具備するようになるため、該低剛性の物体に加わる衝突時の衝撃を減少させ得る有益な効果を奏する。なお衝撃緩衝部材は、ブロー成形技術により一体的に成形されるので成形コストが嵩むこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】好適実施例に係る衝撃緩衝部材を一部省略して示した概略斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1に示した衝撃緩衝部材をバンパービームに装着したもとで、バンパー評価試験機の脚部インパクターを該衝撃緩衝部材に衝突させ、当該衝撃緩衝部材の衝撃吸収性能を試験する状態を示した説明斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】脚部インパクターを衝撃緩衝部材に衝突させる状態を経時的に示した説明断面図であって、(a)は該衝撃緩衝部材の変形初期段階を示し、(b)は変形中期段階を示し、(c)は変形最終段階を示している。
【図6】図5に示した試験による試験結果を表示したグラフであって、実施例の衝撃緩衝部材、図7に示した比較品としての衝撃緩衝部材、図10に示した従来の衝撃緩衝部材の試験結果を同時に表示している。
【図7】比較品としての衝撃緩衝部材の側断面図であって、支持壁部に段差を設けたタイプである。
【図8】車体前面にバンパービームを設けた従来の車両の概略斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】歩行者等の低剛性の物体との衝突における衝撃を吸収するべく開発された従来の衝撃緩衝部材を、一部省略して示した概略斜視図である。
【図11】図10のY−Y線断面図である。
【図12】図10に示した従来の衝撃緩衝部材をバンパービームに装着したもとで、バンパー評価試験機の脚部インパクターを該衝撃緩衝部材に衝突させ、当該衝撃緩衝部材の衝撃吸収性能を試験する状態を示した説明斜視図である。
【図13】図12のZ−Z線断面図である。
【図14】脚部インパクターを従来の衝撃緩衝部材に衝突させる状態を経時的に示した説明断面図であって、(a)は該衝撃緩衝部材の変形初期段階を示し、(b)は変形中期段階を示し、(c)は変形最終段階を示している。
【図15】図14に示した試験による試験結果を表示したグラフである。
【符号の説明】
14 バンパービーム
16 脚部インパクター
22 当接壁部
24 取付壁部
26 支持壁部
32 湾曲支持壁
D 形成幅(湾曲支持壁32の)
S 延出量(支持壁部26の)

Claims (6)

  1. 車両における車体の前面または後面に配設したバンパービーム(14)に組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃緩衝部材において、
    前記衝撃緩衝部材は、前記バンパービーム(14)の外端面から離間して位置する当接壁部(22)と、前記当接壁部 (22) から前記バンパービーム (14) の外端面まで延在する壁部分と、前記壁部分から前記バンパービーム(14)に当接するよう延在する取付壁部(24)と、前記取付壁部 (24)から前記当接壁部 (22) の裏側に向け延出して当接壁部(22)を裏側から支持する支持壁部(26,26)とを有する中空構造体であり、
    前記支持壁部(26,26)は、前記取付壁部(24)に連なる所要幅の領域に、湾曲的に延在する湾曲支持壁(32)を有し、
    前記当接壁部(22)へ前記物体を介して衝撃が加わった際に、前記湾曲支持壁(32)がその湾曲方向へ変形しつつ折曲するよう構成した
    ことを特徴とする衝撃緩衝部材。
  2. 記湾曲支持壁(32)は、前記中空構造体における内部空間側へ湾曲し、この湾曲支持壁 (32) 前記当接壁部(22)と取付壁部(24)との間へ折曲することで、該支持壁部(26,26)が折畳み状態に変形する請求項1記載の衝撃緩衝部材。
  3. 前記支持壁部 (26,26) の延出方向における前記湾曲支持壁(32)の形成幅(D)は、前記支持壁部(26,26)の延出量(S)の1/2とされている請求項1または2記載の衝撃緩衝部材。
  4. 前記衝撃緩衝部材は、ポリエチレン等の樹脂材料からブロー成形技術に基いて一体成形される請求項1〜3の何れか一項に記載の衝撃緩衝部材。
  5. 前記衝撃緩衝部材は、前記低剛性の物体を模擬したインパクター(16)を40km/hの速度で衝突させた際に、該インパクター(16)に設置したセンサーで測定される発生減速度が150G以下となる請求項1〜4の何れか一項に記載の衝撃緩衝部材。
  6. 前記低剛性の物体は歩行者である請求項1〜5の何れか一項に記載の衝撃緩衝部材。
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