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JP4101399B2 - 光学的立体造形法に用いる樹脂組成物 - Google Patents

光学的立体造形法に用いる樹脂組成物 Download PDF

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JP4101399B2
JP4101399B2 JP16510399A JP16510399A JP4101399B2 JP 4101399 B2 JP4101399 B2 JP 4101399B2 JP 16510399 A JP16510399 A JP 16510399A JP 16510399 A JP16510399 A JP 16510399A JP 4101399 B2 JP4101399 B2 JP 4101399B2
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meth
acrylate
optical
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幸俊 加藤
隆喜 田辺
孝志 宇加地
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Japan Fine Coatings Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的立体造形法に用いる光硬化性の樹脂組成物に関し、更に詳しくは、活性エネルギー線を照射することによりゴム弾性および好適な引張特性を示す硬化物を得ることができる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光硬化性の液状物質に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物を形成する光学的立体造形法が提案されている〔特開昭60−247515号公報、米国特許明細書第4,575,330号(特開昭62−35966号公報)、特開昭62−101408号公報、特開平5−24119号公報参照〕。
この光学的立体造形法の代表的な例を説明すると、容器内に収容された光硬化性の液状物質(光硬化性樹脂組成物)の液面に、紫外線レーザなどの光を例えば入力CADデータを基にして選択的に照射することにより、所定のパターンを有する硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の光硬化性樹脂組成物を供給し、その液面に選択的に光を照射することにより、先行して形成された硬化樹脂層上にこれと連続するよう新しい硬化樹脂層を一体的に積層形成する。そして、光が照射されるパターンを変化させながらあるいは変化させずに上記の工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物が形成される。この光学的立体造形法は、目的とする立体形状物の形状が複雑なものであっても、容易にしかも短時間で得ることができるために注目されている。
【0003】
従来において、光学的立体造形法に使用される光硬化性の樹脂組成物としては、下記〔イ〕〜〔ハ〕のような樹脂組成物が公知である。
〔イ〕ウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、チオールおよびエン化合物、感光性ポリイミドなどのラジカル重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば特開平1−204915号公報、特開平2−208305号公報、特開平3−160013号公報参照)。
〔ロ〕エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などのカチオン重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば特開平1−213304号公報参照)。
〔ハ〕ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性有機化合物とを含有する樹脂組成物(例えば特開平2−28261号公報、特開平2−75618号公報、特開平6−228413号公報参照)。
【0004】
最近における立体形状物への要求特性の多様化に伴って、例えばタイヤ、防振材料、ホース、パッキング部品、Oリング、自動車などの窓ガラスのシール材、防塵または防毒マスク等のモデル、各種機構部品、真空注型用の型などに前記立体形状物を適用することが検討されている。
しかしながら、従来公知の樹脂組成物を光学的立体造形法に適用した場合に、ゴム弾性を有するとともに、ゴム製品に要求される引張特性(引張弾性率および伸び特性)を具備する硬化物(ゴム様の機械的特性を有する立体形状物)を形成することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、光学的立体造形法に用いる新規な樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、活性エネルギー線を照射することにより、ゴム弾性を有するとともに、ゴム製品に要求される引張特性を具備する硬化物を得ることができる樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、荷重が集中しやすいサポート部を有する立体形状物や複雑な立体形状物の造形に供される場合であっても、設計データに忠実で歪みや撓みのない立体形状物を造形することができる樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学的立体造形法に用いる樹脂組成物は、〔A〕(a)アルキレンオキシ構造を分子中に有する数平均分子量が2000以上のポリエーテルポリオールに由来の構造単位と、(b)有機ポリイソシアネート化合物に由来の構造単位と、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造単位とを分子中に含有するウレタン(メタ)アクリレート10〜30.7重量%、および、
〔B〕1分子中に1個のエチレン性不飽和結合(C=C)を有する単官能性モノマー10〜80重量%
よりなる液状成分中に
〔C〕ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、シリカ粒子、チタン酸カリウムウイスカー、タルクおよびカーボンブラックから選ばれた1種の無機充填剤10〜80重量%
が分散含有されてなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の光学的立体造形法に用いる樹脂組成物は、前記〔A〕ウレタン(メタ)アクリレートにおける(a)アルキレンオキシ構造を分子中に有する数平均分子量が2000以上のポリエーテルポリオールに由来の構造単位が、2種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールに由来の構造単位であることを特徴とする
【0008】
本発明の光学的立体造形法に用いる樹脂組成物においては、前記2種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールが、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとを開環共重合させて得られるポリエーテルジオールであることが好ましい。
また、前記〔B〕1分子中に1個のエチレン性不飽和結合(C=C)を有する単官能性モノマーが、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、これに活性エネルギー線を照射して得られる硬化物がゴム弾性(エラスティシティ)およびゴム製品として好適な引張特性(引張弾性率および伸び)を備えている点に特徴を有する。ここに、樹脂組成物に照射される「活性エネルギー線」としては、紫外線、可視光線および電子線など特に限定されるものではない。
【0013】
<硬化物のガラス転移点>
本発明の樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移点が10℃以下とされ、好ましくは0℃以下、更に好ましくは−5℃以下とされる。
ここに、樹脂組成物の硬化物の「ガラス転移点」は、当該硬化物に3.5Hzの振動周波数を与え、動的粘弾性測定装置を用いて損失正接の温度依存性曲線を測定したときに、測定温度領域に存在するピーク(極大)から求めることができる。すなわち、本発明の樹脂組成物の硬化物においては、10℃以下の測定温度領域にピーク(極大)が存在する。
なお、測定温度領域に、ガラス転移点に相当するピークが複数存在する場合には、主要なガラス転移点(損失正接の最大ピークから求められるガラス転移点)が10℃以下であることが必要とされ、すべてのガラス転移点が10℃以下であることが好ましい。
【0014】
ガラス転移点が10℃以下の硬化物は、好適なゴム弾性を有するものであり、かかる硬化物からなる立体形状物に荷重を与えて変形しても、迅速にもとの形状に復元することができる。
【0015】
<硬化物の弾性変形の仕事の割合>
本発明の樹脂組成物の硬化物は、弾性変形の仕事の割合(以下、「弾性変形仕事率」という。)が50%以上とされ、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上とされる。
ここに、樹脂組成物の硬化物における「弾性変形仕事率」は、次のようにして測定することができる。
【0016】
(i)超微小硬さ試験機「フィッシャースコープH−100」(フィッシャー社製)を使用し、膜状(例えば100μm厚)の硬化物の表面に、室温下において、直径0.4mmのボール形状の圧子により圧縮荷重を付与し(圧縮速度:30μm/min)、硬化物の圧縮歪みが5%になったところで当該圧縮荷重を解除することにより、図1に示すような「応力−歪み曲線」を測定する。
【0017】
(ii)応力−歪み曲線の一例を示す図1において、曲線OAは圧縮荷重の付与時における応力と歪み量との関係を示し、曲線ABは圧縮荷重解除後(復元時)における応力と歪み量との関係を示している。Cは、Aから下ろした垂線と、横軸との交点である。
ここに、点OABで囲まれた面積は塑性変形の仕事量Wr に相当し、点BACで囲まれた面積は弾性変形の仕事量We に相当し、点OACで囲まれた面積は全仕事量Wt に相当する。
従って、弾性変形仕事率は、We /Wt =We /(Wr +We )=(点BACで囲まれた面積)/(点OACで囲まれた面積)により求めることができる。
弾性変形仕事率が50%以上の硬化物は、好適なゴム弾性を有するものであり、かかる硬化物からなる立体形状物に荷重を与えて変形しても、迅速にもとの形状に復元することができる。
【0018】
<硬化物の引張特性>
(1)引張弾性率:
本発明の樹脂組成物による硬化物の引張弾性率は0.05kgf/mm2 以上であることが好ましく、更に好ましくは0.08〜30kgf/mm2 、特に好ましくは0.1〜20kgf/mm2 とされる。
十分な伸び特性を有するものであっても、引張弾性率が0.05kgf/mm2 未満の硬化物からなる立体形状物は、その造形時および/または使用時において当該立体形状物の一部(特に下層部やサポート部)に、強度不足に起因する歪みや撓みが生じることがある。
【0019】
(2)伸び(Eb):
本発明の樹脂組成物による硬化物の伸び(破断伸び)は50%以上であることが好ましく、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上とされる。
【0020】
十分な引張弾性率(0.05kgf/mm2 以上)を有するものであっても、伸びが50%未満の硬化物からなる立体形状物は、許容変形量が少ないために実用的ではなく、ゴム製品として用途が制限されてしまう。
【0021】
<樹脂組成物の組成>
本発明の樹脂組成物は、光硬化性樹脂および光開始剤を含む液状成分中に充填剤が分散含有されて構成される。
以下、本発明の樹脂組成物を構成する光硬化樹脂、光開始剤および充填剤について説明する。
【0022】
<光硬化性樹脂>
本発明の樹脂組成物を構成する好適な光硬化性樹脂としては、下記一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。
【化1】
一般式(I):
X−Y−Z〔−(R 1 −Z) m −(R 2 −Z) n −Y−〕 p
上記一般式(I)において、Xは、各々独立にエチレン性不飽和基を有する1価の有機基であり、かかる有機基(X)としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、ビニル基などを挙げることができる。そして、2つの有機基(X)のうち、少なくとも一方が(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、両方の有機基(X)が(メタ)アクリロイル基であることが特に好ましい。
【0023】
上記一般式(I)において、R1 およびR2 は、互いに異なる炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基である。
脂肪族炭化水素基(R1 )および(R2 )としては、例えばエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基および1,2−ブチレン基などを挙げることができる。
【0024】
上記一般式(I)において、Zは、各々独立に酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子であることが好ましい。
なお、Zで示される原子は、すべて主鎖中に存在している。
【0025】
上記一般式(I)において、−(R1 −Z)−で示される基の繰り返し数(m)は、1以上とされ、好ましくは3〜500とされる。
また、−(R2 −Z)−で示される基の繰り返し数(n)は、0または1以上とされ、好ましくは3〜500とされる。
【0026】
上記一般式(I)において、最終的に得られる硬化物に好適なゴム弾性を付与する観点から、(m+n)の値は6以上であることが必要とされ、(m+n)の値が6〜1000であることが好ましい。
また、−(R1 −Z)m −(R2 −Z)n −Y−で示される基の繰り返し数(p)は、1以上とされ、好ましくは1〜100とされる。
−(R1 −Z)m −(R2 −Z)n −で示される基において、−(R1 −Z)−および−(R2 −Z)−は、それぞれ、「−R1 −Z−R2 −Z−R1 −Z−R2 −Z−R1 −Z−R1 −Z−R2 −Z−R2 −Z−R1 −Z−R2 −Z−」のようにランダムに結合されていてもよいし、「−R1 −Z−R1 −Z−R1 −Z−R1 −Z−R1 −Z−R2 −Z−R2 −Z−R2 −Z−R2 −Z−R2 −Z−」のようにブロック状に結合されていてもよい。
なお、−(R1 −Z)−および−(R2 −Z)−で示されるすべての基は、線状に結合されて主鎖を構成するものである。
【0027】
上記一般式(I)において、Yは、各々独立に2価の有機基であり、かかる有機基(Y)としては特に限定されるものではないが、当該有機基(Y)中に、ウレタン結合(−CONH−)が含まれていることが好ましい。これにより、得られる樹脂組成物にウレタン結合が導入され、当該樹脂組成物の硬化物において機械的強度を向上させることができる。
【0028】
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、チオウレタン(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物を構成するウレタン(メタ)アクリレート〔上記一般式(I)で表される化合物〕は、(a)アルキレンオキシ構造を分子中に有する数平均分子量500以上のポリエーテルポリオール(以下、「ポリエーテルポリオール(a)ともいう。)に由来の構造単位と、(b)有機ポリイソシアネート化合物に由来の構造単位と、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造単位とを分子中に含有するウレタン(メタ)アクリレートである。
【0030】
ここに、ポリエーテルポリオール(a)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールを例示することができ、さらに、2種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールなども好適に使用することができる。
【0031】
ポリエーテルポリオール(a)を得るためのイオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド(1,2−ブチレンオキサイド)、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類を挙げることができる。
【0032】
ポリエーテルポリオール(a)を得るためのイオン重合性環状化合物の具体的な組合せとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシドとの組合せ、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフランとの組合せ、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの組合せ、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとの組合せ、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの組合せ、テトラヒドロフランとブテン−オキシドとエチレンオキシドとの組合せ、テトラヒドロフランとブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの組合せを挙げることができる。
また、ポリエーテルポリオール(a)として、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミンなどの環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸類およびジメチルシクロポリシロキサン類から選ばれた1種とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。
これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体は、ランダムに結合されて構成されていてもよいし、ブロック状に結合されて構成されていてもよい。
【0033】
ポリエーテルポリオール(a)の数平均分子量は500以上であることが必要とされ、2000以上であることが好ましい。
数平均分子量が500未満のポリエーテルポリオールでは、最終的に得られる樹脂組成物の硬化物が十分なゴム弾性を示すものとならない。また、数平均分子量が500未満のポリエーテルポリオールに由来の構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物は、その粘度が過大となり、光学的立体造形法に適用したときに取扱性や造形精度が低下する。
【0034】
ポリエーテルポリオール(a)の市販品としては、例えばPTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学(株)製)、PPG700、PPG1000、EXCENOL2020、1020(以上、旭硝子ウレタン(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂(株)製)、PTG650(SN)、PTG1000(SN)、PTG2000(SN)、PTG3000(SN)、PPTG2000、PPTG1000、PTGL1000、PTGL2000(以上、保土谷化学工業(株)製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000、PBG2000B(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0035】
上記のウレタン(メタ)アクリレートを得るために使用される有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば2, 4−トリレンジイソシアネート、2, 6−トリレンジイソシアネート、1, 3−キシリレンジイソシアネート、1, 4−キシリレンジイソシアネート、1, 5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3, 3' −ジメチル−4, 4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、4, 4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、3, 3' −ジメチルフェニレンジイソシアネート、4, 4' −ビフェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
これらのうち、2, 4−トリレンジイソシアネート、2, 6−トリレンジイソシアネート、1, 3−キシリレンジイソシアネート、1, 4−キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0036】
上記のウレタン(メタ)アクリレートを得るために使用される水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、式:H2 C=C(R3 )COO−C2 4 (OCO−C5 10r −OH(式中、R3 は水素原子またはメチル基を示し、rは1〜15の数である。)で表される(メタ)アクリレート;アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物などを挙げることができる。
これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
上記のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオール(a)以外のポリオール化合物に由来する構造単位を有していてもよい。
かかるポリオール化合物としては、▲1▼ エチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸などの多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール;▲2▼ ポリ(ヘキサンジオールカーボネート)、ポリ(ノナンジオールカーボネート)、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタメチレンカーボネート)などのポリカーボネートポリオール;▲3▼ ε−カプロラクトンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオールなどのジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンポリオール;▲4▼ エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールFエーテル、ポリオキシプロピレンビスフェノールFエーテルなどのポリオールを挙げることができる。
【0038】
上記のウレタン(メタ)アクリレートを調製するに際して、ポリオール〔ポリエーテルポリオール(a)および併用可能なポリオール化合物〕、有機ポリイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレートのそれぞれの使用割合としては、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対して有機ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が1.1〜2.0当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.1〜1.0当量となるような割合であることが好ましい。
【0039】
上記のウレタン(メタ)アクリレートを調製するための反応においては、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン−2−メチルトリエチレンアミンなどのウレタン化触媒が、反応系の総量に対して0. 01〜1重量%となる割合で用いられる。また、反応温度は、通常10〜90℃とされ、好ましくは30〜80℃とされる。
【0040】
また、上記のウレタン(メタ)アクリレートを調製するための反応方法(反応手順)としては、
(1)ポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応容器に一括に仕込んで反応させる方法;
(2)ポリオールと有機ポリイソシアネート化合物とを反応させ、得られた反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる方法;
(3)有機ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させ、得られた反応生成物とポリオールとを反応させる方法;
(4)有機ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させ、得られた反応生成物(i)とポリオールとを反応させ、得られた反応生成物(ii)と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる方法を挙げることができる。これらのうち、上記(2)および(3)の方法が好ましい。
【0041】
上記のウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は、1,000〜50,000であることが好ましく、更に好ましくは2,000〜30,000とされる。この数平均分子量が1,000未満であると、最終的に得られる樹脂組成物の硬化物が十分なゴム弾性を示すものとなりにくい。他方、この数平均分子量が50,000を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が過大となり、光学的立体造形法に適用したときに取扱性や造形精度が低下することがある。
【0042】
本発明の樹脂組成物において、上記一般式(I)で表される化合物の含有割合は10〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜80重量%とされる。この含有割合が10重量%未満であると、最終的に得られる樹脂組成物の硬化物に適度なゴム弾性、機械的強度や靱性などの力学的特性を付与することが困難となり、当該硬化物からなる立体形状物に割れや欠けが生じやすくなる。他方、この含有割合が90重量%を超えると、樹脂組成物の粘度が過大となり、光学的立体造形法に適用したときに取扱性や造形精度が低下する傾向があるとともに、当該樹脂組成物の硬化物に適度な伸び特性を付与することが困難となる。
【0043】
上記一般式(I)で表される化合物が含有されてなる本発明の樹脂組成物には、さらに、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合(C=C)を有する単官能性モノマーが含有されていることが好ましい。
かかる単官能性モノマーが含有されていることにより、最終的に得られる樹脂組成物の粘度を後述する好適な範囲に調整することができるとともに、当該樹脂組成物の硬化物に適度な伸び特性(例えば50%以上)を付与することができる。
【0044】
かかる単官能性モノマーとしては、例えばアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレートを例示することができる。これらの単官能性モノマーは、単独でまたは2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0045】
このような単官能性モノマーの市販品としては、例えばアロニックスM−101、M−102、M−111、M−113、M−117、M−152、TO−1210(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TC−110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート192、ビスコート220、ビスコート320、ビスコート2311HP、ビスコート2000、ビスコート2100、ビスコート2150、ビスコート8F、ビスコート17F(以上、大阪有機化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0046】
上記一般式(I)で表される化合物と単官能性モノマーとを含有する本発明の樹脂組成物において、当該単官能性モノマーの含有割合は10〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜80重量%とされる。この含有割合が10重量%未満であると、得られる樹脂組成物の粘度の調整効果および当該樹脂組成物の硬化物への伸び特性の付与効果を十分に発揮させることができない場合がある。他方、この含有割合が90重量%を超えると、得られる樹脂組成物の硬化物が、ゴム製品として十分な引張弾性率を有するものとならない。
【0047】
本発明の樹脂組成物における光硬化性樹脂の含有割合は10〜99重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜90重量%とされる。
この含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の粘度が過大となり、取扱性が低下して造形が困難となるとともに、当該樹脂組成物の硬化物に適度なゴム弾性、機械的強度、靱性などの力学的特性を付与することが困難となる。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる樹脂組成物の硬化物が、ゴム製品として十分な引張弾性率を有するものとならない。
【0048】
<光開始剤>
本発明の樹脂組成物を構成する光開始剤としては、光などのエネルギー線を受けることにより分解してラジカルを発生し、当該ラジカルによって光硬化性樹脂のラジカル重合反応を開始させるラジカル重合用の光開始剤を用いることが好ましい。
かかるラジカル重合用の光開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、およびBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンその他の色素増感剤との組み合わせなどを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
本発明の樹脂組成物における光開始剤の含有割合は0.01〜15重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10重量%とされる。
この含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物のラジカル重合反応速度(硬化速度)が小さくなって造形に時間を要したり、解像度が低下したりする傾向がある。一方、この含有割合が過大である場合には、過剰量の光開始剤が樹脂組成物の硬化特性、立体形状物の物性、耐熱性、取扱性などに悪影響を及ぼすことがある。
【0050】
<充填剤>
本発明の樹脂組成物は、光硬化性樹脂および光開始剤を含む液状成分中に充填剤が分散含有されて構成されている。
本発明の樹脂組成物を構成する充填剤によれば、当該樹脂組成物の硬化物に、好適なゴム弾性および伸び特性を維持した状態で、ゴム製品に要求される十分な引張特性(0.05kgf/mm2 以上の引張弾性率)を付与することができる。かかる充填剤としては、無機充填剤および有機充填剤の何れであってもよい。
【0051】
本発明の樹脂組成物を構成する無機充填剤は、粒子状のものおよび繊維状のものを用いることができる。粒子状の無機充填剤における平均粒子径、または繊維状の無機充填剤における平均繊維長は1〜50μmとされ、好ましくは3〜40μmとされる。この平均粒子径(平均繊維長)が1μmである場合には、得られる樹脂組成物の粘度が過大となると共に硬化速度が小さくなり、さらに当該樹脂組成物によっては寸法精度の高い硬化物を得ることができない。一方、平均粒子径(平均繊維長)が50μmを超える場合には、得られる樹脂組成物によって平滑な表面を有する硬化物を得ることができない。
【0052】
かかる無機充填剤の具体例としては、例えば酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイソウ土、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカ粒子、シラスバルーン、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカー、カーボンウィスカー、サファイアウィスカー、ベリリアウィスカー、炭化ホウ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、タルクおよびカーボンブラック等を挙げることができる。これらの中では、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、シリカ粒子、チタン酸カリウムウイスカー、タルクおよびカーボンブラック等が好ましい。これらの無機充填剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
また、無機充填剤としては、シランカップリング剤等により表面処理されたものであってもよい。無機充填剤の表面処理剤として使用されるシランカップリン剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0054】
これらの無機充填剤の市販品としては、例えばガラスビーズGB210、GB210A、GB210B、GB210C、GB045Z、GB045ZA、GB045ZB、GB045ZC、GB731、GB731A、GB731B、GB731C、GB731M、GB301S、EGB210、EGB210A、EGB210B、EGB210C、EGB045Z、EGB045ZA、EGB045ZB、EGB045ZC、MB−10、MB−20、EMB−10、EMB−20、HSC−070Q、HSC−024X、HSC−080S、HSC−070G、HSC−075L、HSC−110、HSC−110A、HSC−110B、HSC−110C(以上、東芝バロティーニ(株)製);ラジオライト#100、ラジオライト ファインフローB、ラジオライト ファインフローA、ラジオライトスパークルフロー、ラジオライト スペシャルフロー、ラジオライト#300、ラジオライト #200、ラジオライト クリアーフロー、ラジオライト #500、ラジオライト #600、ラジオライト #2000、ラジオライト #700、ラジオライト #500S、ラジオライト #800、ラジオライト #900、ラジオライト #800S、ラジオライト #3000、ラジオライト エース、ラジオライトスーパーエース、ラジオライト ハイ・エース、ラジオライト PC−1、ラジオライト デラックスP−5、ラジオライト デラックスW−50、ラジオライト マイクロファイン、ラジオライトF、ラジオライト SPF、ラジオライト GC(以上、昭和化学工業(株)製);ハイジライト H−X、ハイジライト H−21、ハイジライト H−31、ハイジライト H−32、ハイジライト H−42、ハイジライト H−42M、ハイジライト H−43、ハイジライト H−32ST、ハイジライト H−42STV、ハイジライト H−42T、ハイジライト H−34、ハイジライト H−34HL、ハイジライト H−32I、ハイジライト H−42I、ハイジライト H−42S、ハイジライト H−210、ハイジライト H−310、ハイジライト H−320、ハイジライト H−141、ハイジライトH−241、ハイジライト H−341、ハイジライト H−320I、ハイジライト H−320ST、ハイジライト HS−310、ハイジライト HS−320、ハイジライト HS−341、アルミナ A−42−6、アルミナ A−42−1、アルミナ A−42−2、アルミナ A−42−3、アルミナ A−420、アルミナ A−43−M、アルミナ A−43−L、アルミナ A−50−K、アルミナ A−50−N、アルミナ A−50−F、アルミナ AL−45−H、アルミナ AL−45−2、アルミナ AL−45−1、アルミナAL−43−M、アルミナ AL−43−L、アルミナ AL−43PC、アルミナ AL−150SG、アルミナ AL−170、アルミナ A−172、アルミナ A−173、アルミナ AS−10、アルミナ AS−20、アルミナ AS−30、アルミナ AS−40、アルミナ AS−50(以上、昭和電工(株)製);スターマグ−U、スターマグ−M、スターマグ−L、スターマグ−P、スターマグ−C、スターマグ−CX、高純度マグネシアHP−10、高純度マグネシアHP−10N、高純度マグネシアHP−30、スターブランド−200、スターブランド−10、スターブランド−10A、星印炭酸マグネシウム金星、星印炭酸マグネシウム 二ッ星、星印炭酸マグネシウム 一ッ星、星印炭酸マグネシウム S、星印炭酸マグネシウム 飼料用、星印炭酸マグネシウム重質、高純度炭酸マグネシウムGP−10、高純度炭酸マグネシウム30、スターブランド軽質炭酸カルシウム 一般用、スターブランド軽質炭酸カルシウムEC、スターブランド軽質炭酸カルシウム KFW−200(以上、神島化学工業(株)製)、MKCシリカ GS50Z、MKCシリカ SS−15(以上、三菱化学(株)製)、アドマファイン SO−E3、アドマファイン SO−C3、アドマファイン AO−800、アドマファイン A0−809、アドマファインAO−500、アドマファイン AO−509(以上、(株)アドマテックス製);XM−220(三井化学(株)製);ティスモ−D、ティスモ−L、トフィカーY、トフィカーYN、トフィカーYB、デンドールWK−200、デンドールWK−200B、デンドールWK−300、デンドールBK−200、デンドールBK−300、スワナイト、バリハイBスーパーデントール(以上、大塚化学(株)製)等が挙げられ、球状のシリカ粒子の市販品として、例えばサンスフェアNP−100、NP−200(以上、洞海化学工業(株)製)、シルスターMK−08、MK−15(以上、日本化学工業(株)製)、FB−48(以上、電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えばFEF、SRF、HAF、ISAFおよびSAFなどを挙げることができ、特に、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上で、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上であるものが好ましい。また、耐摩耗性の良好な立体形状物を得る観点からは、HAF、ISAF、SAFを用いることが好ましい。
【0055】
本発明の樹脂組成物を構成する有機充填剤としては、架橋ポリスチレン系高分子粒子、架橋型ポリメタクリレート系高分子粒子、ポリエチレン系高分子粒子、ポリプロピレン系高分子粒子、ポリブタジエン系高分子粒子などを例示することができ、これらの高分子粒子はコア・シェル構造を有していてもよい。
【0056】
本発明の樹脂組成物における充填剤の含有割合は、1〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%とされる。
充填剤の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の硬化物がゴム製品として十分な引張弾性率(0.05kgf/mm2 以上)を有するものとならない。他方、充填剤の含有割合が過大である場合には、得られる樹脂組成物の粘度が高くなって、寸法精度の高い硬化物を得ることが困難となるとともに、当該硬化物は、ゴム製品として十分な伸び特性(50%以上)を発揮することが困難となる。
【0057】
<任意成分>
本発明の樹脂組成物には、当該樹脂組成物の光硬化性、得られる硬化物のゴム弾性および引張特性が損なわれない範囲において、上記の必須成分〔光硬化性樹脂、光開始剤および充填剤〕以外の成分を含有させることができる。
かかる任意成分としては、アクリル系化合物、不飽和ポリエステル化合物などのラジカル重合性有機化合物であって、上記一般式(I)で表される化合物以外のもの;エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、環状エーテル化合物などのカチオン重合性有機化合物;オニウム塩などのカチオン性光重合開始剤;アミン系化合物などからなる光増感剤(重合促進剤);チオキサントン、チオキサントンの誘導体、アントラキノン、アントラキノンの誘導体、アントラセン、アントラセンの誘導体、ペリレン、ペリレンの誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテルなどからなる光増感剤;ビニルエーテル類、ビニルスルフィド類、ビニルウレタン類、ウレタンアクリレート類、ビニルウレア類などの反応性希釈剤;エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンスチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーなどのポリマーないしオリゴマー;フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤;その他重合開始助剤;老化防止剤;レベリング剤;濡れ性改良剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線安定剤;紫外線吸収剤;シランカップリング剤;顔料;染料などを挙げることができる。
これらの任意成分のうち、顔料および染料などの着色剤を含有させることが好ましく、これにより、着色された硬化物(立体形状物)を得ることができ、当該立体形状物における用途のさらなる拡大および商品価値の向上を図ることができる。かかる着色剤としては、従来公知の顔料(無機顔料・有機顔料)および染料を挙げることができる。
【0058】
本発明の樹脂組成物は、上記の必須成分および任意成分を均一に混合することによって調製することができる。このようにして得られる樹脂組成物の粘度(25℃)は、10〜30,000cpsであることが好ましく、更に好ましくは50〜20,000cpsとされる。
得られる光硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)が過小である場合には、装置の振動などによって樹脂液表面の平面性が失われることがあり、一方、光硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)が過大となる場合には、平滑な薄い層を供給することが難しく、高精度の造形物を得ることができないことがある。
【0059】
<光学的立体造形法>
以上のようにして得られる本発明の樹脂組成物は、光学的立体造形法における光硬化性の液状樹脂組成物として好適に使用される。すなわち、本発明の樹脂組成物に対して、可視光、紫外光、赤外光などの光を選択的に照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、硬化樹脂層が一体的に積層されてなる、所望の形状の立体形状物を製造することができる。
【0060】
樹脂組成物に光を選択的に照射する手段としては、特に制限されるものではなく、種々の手段を採用することができる。例えば、▲1▼ レーザ光、あるいはレンズやミラー等を用いて得られた収束光を走査させながら組成物に照射する手段、▲2▼ 所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に照射する手段、▲3▼ 多数の光ファイバーが束ねられてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を組成物に照射する手段等を採用することができる。また、マスクを用いる手段においては、マスクとして、液晶表示装置と同様の原理により、指定のパターンに従って、光透過領域と光不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成するものを用いることもできる。以上において、目的とする立体形状物が微細な部分形状を有するものである場合または高い寸法精度が要求されるものである場合には、組成物に選択的に光を照射する手段として、スポット径の小さいレーザ光を走査する手段を採用することが好ましい。
なお、容器内に収容されている樹脂組成物における光の照射面(例えば収束光の走査平面)は、当該樹脂組成物の液面、透光性容器の器壁との接触面の何れであってもよい。樹脂組成物の液面または器壁との接触面を光の照射面とする場合には、容器の外部から直接または器壁を介して光を照射することができる。
【0061】
本発明の樹脂組成物を使用して行う光学的立体造形法においては、通常、樹脂組成物の所定部分を硬化させた後、光の照射位置(照射面)を、既硬化部分から未硬化部分に連続的にまたは段階的に移動させることにより、硬化部分を積層させて所望の立体形状物を造形する。ここで、照射位置の移動は種々の方法によって行うことができ、例えば光源、樹脂組成物の収容容器、樹脂組成物の既硬化部分の何れかを移動させたり当該容器に樹脂組成物を追加供給したりするなどの方法を挙げることができる。
光学的立体造形法の代表的な一例を説明すると、収容容器内において昇降自在に設けられた支持ステージを樹脂組成物の液面から微小量降下(沈降)させることにより、当該支持ステージ上に樹脂組成物を供給してその薄層(1)を形成する。次いで、この薄層(1)に対して選択的に光を照射することにより、固体状の硬化樹脂層(1)を形成する。次いで、この硬化樹脂層(1)上に樹脂組成物を供給してその薄層(2)を形成し、この薄層(2)に対して選択的に光照射することにより、前記硬化樹脂層(1)上にこれと連続して一体的に積層するよう新しい硬化樹脂層(2)を形成する。そして、光照射されるパターンを変化させながら或いは変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層(n)が一体的に積層されてなる立体形状物が造形される。
【0062】
このようにして得られる立体形状物を収容容器から取り出し、その表面に残存する樹脂組成物を除去した後、必要に応じて洗浄する。ここで、洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類に代表される有機溶剤、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどに代表される有機溶剤、テルペン類、グリコールエーテル系エステル類に代表される脂肪族系有機溶剤、低粘度の熱硬化性樹脂および樹脂を挙げることができる。
また、表面平滑性に優れた立体形状物を得ようとする場合には、熱硬化性樹脂または樹脂よりなる洗浄剤を用いて洗浄した後、当該洗浄剤の種類に応じて、熱処理または光照射処理によるポストキュアを行うことが好ましい。なお、このポストキュアによれば、立体形状物の表面に存在する樹脂を硬化させるだけでなく、内部に残存することのある未硬化の樹脂組成物を硬化させることもできるので、有機溶剤によって洗浄した場合であってもポストキュアを行うことが好ましい。
【0063】
以上のようにして形成される立体形状物(本発明の樹脂組成物による硬化物)は、好適なゴム弾性を示すとともに、ゴム製品に要求される引張特性(0.05kgf/mm2 以上の引張弾性率・50%以上の伸び)およびその他の機械的特性(硬さ・耐屈曲性・曲げ剛性)を有している。しかも、当該立体形状物は、高い寸法精度を有している。
また、本発明の樹脂組成物によれば、十分な引張弾性率を有する硬化物が得られるので、本発明の樹脂組成物を、荷重が集中しやすいサポート部を有する立体形状物や複雑な立体形状物(例えばH型形状物、アーチ型形状物)の造形工程に供しても、得られる立体形状物に強度不足に起因する歪みや撓みを発生させることはない。
本発明の立体形状物は、ゴム弾性が要求される用途、例えばタイヤ、防振材料、ホース、パッキング部品、Oリング、自動車などの窓ガラスのシール材、防塵または防毒マスク等のモデル、各種機構部品、真空注型用の型などに好適である。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を意味する。
【0065】
〔合成例1〕
攪拌機を備えた容量3リットルのセパラブルフラスコに、2,4−トリレンジイソシアネ−ト(有機ポリイソシアネート化合物)152.0g、数平均分子量4000のエチレンオキサイドと1,2−ブチレンオキサイドとの開環ランダム共重合体[式『HO−〔CH2 CH(C2 5 )O〕44−〔CH2 CH2 O〕18−H』(この式は、「−CH2 CH(C2 5 )O−」と「−CH2 CH2 O−」とが、44:18(モル比)の割合でランダムに結合された線状の分子を示している。)で表されるポリエーテルポリオール(a)]1764.7g、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール(重合禁止剤)0.5gを仕込み、この系の温度が10℃以下となるまで氷水浴で冷却した。次いで、この系に、ジブチルチンジラウレート1.6gを添加して反応を開始し、系の温度を20〜35℃に保持しながら2時間反応させ、その後、35〜50℃で1時間攪拌を継続した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔水酸基含有(メタ)アクリレート〕101.3gを添加し、50〜70℃でさらに5時間攪拌を継続することにより、数平均分子量が約4600であるウレタンアクリレートのオリゴマー(以下、「ウレタンアクリレート(A−1)」という。)を得た。
このウレタンアクリレート(A−1)は、上記一般式(I)で表される化合物
〔X(2つのX):H2 C=CH−COO−C2 4 −O−,
Y(すべてのY):−CONH−C6 3 (CH3 )−NHCO−,
Z(すべてのZ):O,
1 −Z:−CH2 CH(C2 5 )−O−,
2 −Z:−CH2 CH2 −O−,
m=44,n=18,p=1,
−(R1 −Z)−および−(R2 −Z)−はランダムに結合〕であり、その具体的な化学構造を下記式(1)に示す。
なお、下記式(1)において、下線で示す構造単位は、「−CH2 CH(C2 5 )O−」と「−CH2 CH2 O−」とが、44:18(モル比)の割合で、ランダムに結合されている線状の構造単位である。
【0066】
〔合成例2〕
攪拌機を備えた容量3リットルのセパラブルフラスコに、2,4−トリレンジイソシアネ−ト(有機ポリイソシアネート化合物)120.3g、数平均分子量4000のエチレンオキサイドと1,2−ブチレンオキサイドとの開環ランダム共重合体[式『HO−〔CH2 CH(C2 5 )O〕44−〔CH2 CH2 O〕18−H』(この式は、「−CH2 CH(C2 5 )O−」と「−CH2 CH2 O−」とが、44:18(モル比)の割合でランダムに結合された線状の分子を示している。)で表されるポリエーテルポリオール(a)]1844.2g、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール(重合禁止剤)0.5gを仕込み、この系の温度が10℃以下となるまで氷水浴で冷却した。次いで、この系に、ジブチルチンジラウレート1.6gを添加して反応を開始し、系の温度を20〜35℃に保持しながら2時間反応させ、その後、35〜50℃で1時間攪拌を継続した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート〔水酸基含有(メタ)アクリレート〕53.5gを添加し、50〜70℃でさらに5時間攪拌を継続することにより、数平均分子量が約8800であるウレタンアクリレートのオリゴマー(以下、「ウレタンアクリレート(A−2)」という。)を得た。
このウレタンアクリレート(A−2)は、上記一般式(I)で表される化合物
〔X(2つのX):H2 C=CH−COO−C2 4 −O−,
Y(すべてのY):−CONH−C6 3 (CH3 )−NHCO−,
Z(すべてのZ):O,
1 −Z:−CH2 CH(C2 5 )−O−,
2 −Z:−CH2 CH2 −O−,
m=44,n=18,p=2,
−(R1 −Z)−および−(R2 −Z)−はランダムに結合〕であり、その具体的な化学構造を下記式(2)に示す。
なお、下記式(2)において、下線で示す構造単位は、「−CH2 CH(C2 5 )O−」と「−CH2 CH2 O−」とが、44:18(モル比)の割合で、ランダムに結合されている線状の構造単位である。
【0067】
【化2】
Figure 0004101399
【0068】
<実施例1〜3および比較例1〜2>
表1に示す配合処方に従って、攪拌機を備えた反応容器に光硬化性樹脂および光開始剤を仕込み、50〜60℃で1時間攪拌することにより、液状成分を得、この液状成分中に、表1に示す充填剤を分散含有させて樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物の各々について、B型粘度計により測定された粘度(25℃)を表1に併せて示す。
なお、比較例1は、充填剤を含有しない樹脂組成物に係る比較例であり、比較例2は、得られる硬化物がゴム弾性を示さない樹脂組成物に係る比較例である。
【0069】
<硬化物のガラス転移点>
(1)試験片の作製:
上記の実施例および比較例で得られた樹脂組成物の各々を、15ミルのアプリケーターバーを用いてガラス板上に塗布し、厚さ約200μmの塗膜を形成した。形成された塗膜に対して、空気雰囲気下、1.0J/cm2 の紫外線を照射して硬化膜(厚さ約200μm)を形成した。得られた硬化膜をガラス板から剥離し、温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、当該硬化膜を矩形状(長さ30mm×幅3mm)にカットして試験片を作製した。
ここに、試験片(硬化膜)の感触を調べたところ、実施例1〜3および比較例1に係る硬化膜はゴム(エラストマー)と全く同様の感触を呈していた。これに対して、比較例2に係る硬化膜はゴム弾性を有するものではなかった。
【0070】
(2)ガラス転移点の測定:
動的粘弾性測定装置「レオバイブロン」(オリエンテック社製)を用い、上記試験片の長さ方向に振動周波数3.5Hz、振幅10μmの強制振動を与えながら、昇温速度3℃/分で−150〜100℃の温度領域での損失正接を測定し、当該測定温度領域における極大を測定してガラス転移点とした。各樹脂組成物に係る硬化膜のガラス転移点の測定値を下記表1に併せて示す。
【0071】
<硬化物の弾性変形仕事率>
(1)試験片の作製:
上記の実施例1〜3および比較例1〜2で得られた樹脂組成物の各々を、254μmのアプリケーターバーを用いてガラスプレパラート上に塗布し、厚さ約100μmの塗膜を形成した。形成された塗膜に対して、窒素雰囲気下、1.0J/cm2 の紫外線を照射して硬化膜(厚さ約100μm)を形成した。これを、温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置して試験片を作製した。
【0072】
(2)応力−歪み曲線の測定:
超微小硬さ試験機「フィッシャースコープH−100」(フィッシャー社製)を使用し、室温(23℃)下において、硬化膜の表面に、直径0.4mmのボール形状の圧子により圧縮荷重を付与し(圧縮速度:30μm/min)、硬化膜の圧縮歪みが5%になったところで当該圧縮荷重を解除することにより、応力−歪み曲線を測定した。
ここに、実施例2に係る硬化膜についての圧縮荷重−歪み曲線(応力−歪み曲線)を図2に示す。同図において、▲1▼は、圧縮荷重の付与時における応力−歪み曲線であり、▲2▼は、圧縮荷重の解除後における応力−歪み曲線である。
図2に示したように、実施例2に係る硬化膜にあっては、圧縮荷重の付与時における応力−歪み曲線▲1▼(図1における曲線OAに相当)と、圧縮荷重の解除後における応力−歪み曲線▲2▼(図1における曲線ABに相当)と、ベースライン(図1における直線BOに相当)とにより囲まれる面積(塑性変形の仕事量Wr に相当)が狭く、弾性変形仕事率(We /Wt )は88%と大きいものであった。
【0073】
(3)弾性変形仕事率の算出:
実施例1〜3および比較例1〜2の各々に係る硬化物について測定された応力−歪み曲線において、弾性変形の仕事量We に相当する面積(図1における点BACで囲まれた面積)の全仕事量Wt (図1における点OACで囲まれた面積)に対する比率から弾性変形仕事率を算出した。各樹脂組成物に係る硬化膜の弾性変形仕事率を下記表1に併せて示す。
【0074】
<硬化物の引張弾性率>
(1)試験片の作製:
上記の実施例1〜3および比較例1〜2で得られた樹脂組成物の各々を、アプリケータバーを用いてガラス板上に塗布することにより、厚みが200μmの塗膜を形成した。次いで、メタルハライドランプを装備したコンベア硬化装置を用いて、当該塗膜の表面に紫外線を照射(照射量0.5J/cm2 )して、半硬化樹脂フィルムを作製した。その後、当該半硬化樹脂フィルムをガラス板から剥離して離型紙に載せ、最初に紫外線を照射した面とは反対側の面から紫外線を照射(照射量0.5J/cm2 )して硬化樹脂フィルムとした。このようにして作製された硬化樹脂フィルムを、温度23℃,相対湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した後、矩形状(長さ100mm×幅6mm)にカットして試験片を作製した。
【0075】
(2)測定(JIS K 7127に準拠):
上記のようにして作製された試験片について、、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で、引張速度1mm/min、標線間距離25mmの条件で引張弾性率を測定した。結果を下記表1に併せて示す。
【0076】
<硬化物の伸び>
(1)試験片の作製:
上記の実施例1〜3および比較例1〜2で得られた樹脂組成物の各々を用い、引張弾性率を測定するための試験片の作製方法と同様にして、矩形状の試験片を作製した。
【0077】
(2)測定(JIS K 7127に準拠):
上記のようにして作製された試験片について、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で、引張速度50mm/min、標線間距離25mmの条件で伸び(Eb)を測定した。結果を下記表1に併せて示す。
【0078】
<造形時における形状保持性>
上記の実施例1〜3および比較例1〜2で得られた樹脂組成物の各々を用い、光造形装置「ソリッドクリエーターJSC−2000」〔ソニー(株)製〕により、下記の造形条件に従って、図3に示すようなH型の形状および寸法〔厚さ(紙面の前後方向):6.4mm〕の立体形状物を造形し、造形時における形状保持性について評価した。
評価基準としては、橋梁部分(水平部分)の下層部(第1層から第3〜20層位まで)が垂れ下がるなどの変形が生じた場合、または、造形できなかった場合を「×」とし、そのような変形が生じることなく、設計データに忠実な立体形状物を造形することができた場合を「○」とした。結果を下記表1に併せて示す。
【0079】
〔造形条件〕
(i)液面におけるレーザー光強度:60mW
(ii)走査速度:各組成物において硬化深さが0.3mmとなる適正走査速度
(iii)形成する硬化樹脂層の厚み:0.2mm
【0080】
【表1】
Figure 0004101399
【0081】
<立体形状物の寸法精度>
実施例1〜3に係る樹脂組成物の各々を用い、光造形装置「ソリッドクリエーターJSC−2000」〔ソニー(株)製〕により、下記の造形条件に従って、図4に示すような、箱本体1および蓋2を造形した。
実施例1〜3に係る立体形状物(箱本体1および蓋2)の何れにおいても、箱本体1の開口を蓋2により確実に塞ぐことができ、実施例1〜3に係る樹脂組成物によれば、寸法精度の高い立体形状物を作製できることが確認された。
【0082】
〔造形条件〕
(i)液面におけるレーザー光強度:100mW
(ii)走査速度:各組成物において硬化深さが0.3mmとなる適正走査速度
(iii)形成する硬化樹脂層の厚み:0.2mm
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、光学的立体造形法に用いる新規な樹脂組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物によれば、これに活性エネルギー線を照射することにより、ゴム弾性を有するとともに、ゴム製品に要求される引張特性(0.05kgf/mm2 以上の引張弾性率および50%以上の伸び)を具備する硬化物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物によれば、サポート部を有する立体形状物や複雑な形状の立体形状物(例えばH型形状物、アーチ型形状物)の造形に供される場合でも、設計データに忠実で歪みや撓みのない立体形状物を造形することができる。
本発明の立体形状物はゴム弾性を有するとともに、ゴム製品に要求される引張特性を具備する硬化物から構成されるので、ゴム弾性が要求される分野に適用することができ、光学的立体造形法による立体形状物への要求特性の多様化に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超微小硬さ試験機を使用して測定された硬化物の応力−歪み曲線の一例を示すチャートである。
【図2】実施例2に係る硬化膜の応力−歪み曲線を示すチャートである。
【図3】実施例および比較例に係る樹脂組成物について、造形時における形状保持性を評価するために造形した立体形状物を示す正面図である。
【図4】実施例に係る樹脂組成物を使用して造形した立体形状物を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 箱本体
2 蓋

Claims (4)

  1. 〔A〕(a)アルキレンオキシ構造を分子中に有する数平均分子量が2000以上のポリエーテルポリオールに由来の構造単位と、(b)有機ポリイソシアネート化合物に由来の構造単位と、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造単位とを分子中に含有するウレタン(メタ)アクリレート10〜30.7重量%、および、
    〔B〕1分子中に1個のエチレン性不飽和結合(C=C)を有する単官能性モノマー10〜80重量%
    よりなる液状成分中に
    〔C〕ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、シリカ粒子、チタン酸カリウムウイスカー、タルクおよびカーボンブラックから選ばれた1種の無機充填剤10〜80重量%
    が分散含有されてなることを特徴とする光学的立体造形法に用いる樹脂組成物。
  2. 前記〔A〕ウレタン(メタ)アクリレートにおける(a)アルキレンオキシ構造を分子中に有する数平均分子量が2000以上のポリエーテルポリオールに由来の構造単位が、2種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールに由来の構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の光学的立体造形法に用いる樹脂組成物。
  3. 前記2種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールが、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとを開環共重合させて得られるポリエーテルジオールであることを特徴とする請求項2に記載の光学的立体造形法に用いる樹脂組成物。
  4. 前記〔B〕1分子中に1個のエチレン性不飽和結合(C=C)を有する単官能性モノマーが、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学的立体造形法に用いる樹脂組成物。
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