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JP4084078B2 - 偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、光ピックアップ装置、接着装置 - Google Patents

偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、光ピックアップ装置、接着装置 Download PDF

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JP4084078B2 JP2002127925A JP2002127925A JP4084078B2 JP 4084078 B2 JP4084078 B2 JP 4084078B2 JP 2002127925 A JP2002127925 A JP 2002127925A JP 2002127925 A JP2002127925 A JP 2002127925A JP 4084078 B2 JP4084078 B2 JP 4084078B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光分離素子の作製方法及びその作製方法によって作製された偏光分離素子、及びその偏光分離素子を用いた光ピックアップ装置、及び偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク用の光ピックアップ装置では、光源からの入射光束と、光ディスクにより反射され光ディスクの情報を帯びた戻り光束(情報信号)とを分離して、戻り光束(情報信号)を効率良く光検出手段(例えば多分割フォトダイオード等の受光素子)に導くために、偏光分離素子が用いられている。従来は偏光分離素子として、プリズムを接着したビームスプリッタがλ/4波長板との組み合わせで用いられていたが、光ピックアップ装置の小型化、低コスト化の要求に答えるため、ビームスプリッタの代わりに薄型化が可能な「複屈折回折格子型の偏光分離素子」が提案されている。
【0003】
例えば直交する2つの偏光成分を分離する偏光分離素子として、特開2000−75130号公報には、透明基板上に入射光の異なる振動面に対し屈折率が異なる有機複屈折膜を接着し、この有機複屈折膜の表面に周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成した偏光分離素子が開示されている。尚、有機複屈折膜としては、延伸した有機高分子膜が用いられている。
この偏光分離素子では、接着剤を用いて有機複屈折膜を透明基板に接着しているが、有機複屈折膜を透明基板へ接着する際に、回折格子を透過する光束に対して格子面内で光路長を一定とするためには、接着剤層の厚さを均一にする必要がある。また、接着剤層に気泡が入ると入射光束や出射光束が気泡によって散乱されて回折効率が低下するため、気泡を巻きこまないような接着法が必要となる。
【0004】
以上の点から、透明基板へ有機複屈折膜を接着する方法としては、例えば貼り合せ光ディスクの作製工程で用いられているスピンナー法が適している。
このスピンナー法による貼り合せ光ディスクの作製工程の一例を図20を参照して説明する。
【0005】
図20(a)に示すように、第1の基板51のハブ51Aをスピンテーブル52のセンターピン53にさし込み、スピンテーブル52を回転させながら第1の基板51にディスペンサー54を用いて紫外線硬化型接着剤55を滴下する。
次に図20(b)に示すように、第1の基板51の周辺部まで接着剤55が広がったらスピンテーブル52の回転を停止する。
次に図20(c)に示すように、第2の基板56のハブ56Aをスピンテーブル52のセンターピン53にさし込み、第1の基板51と第2の基板56を接触させる。
次に図20(d)に示すように、スピンテーブル52を回転させ、余分な接着剤を振り切り接着剤層55の厚さを一定にする。
その後、図20(e)に示すように、スピンテーブル52の回転を停止し、紫外線(UV)を照射して接着剤層55を硬化し、貼り合せ光ディスクを完成させる。
【0006】
しかしながら、上記の方法を偏光分離素子の有機複屈折膜の接着に用いる場合、以下の問題が発生していた。
偏光分離素子は大きさが数mm程度であるため、偏光分離素子の作製の際には、直径4〜8インチの透明基板に接着された有機複屈折膜上に数10〜数100個の回折格子をアレイ状に作製し、その後、ダイシングによって個々の偏光分離素子を取り出している。また、1枚の基板から取れる偏光分離素子数を多くするため、有機複屈折膜や透明基板にはハブを設けていない。
【0007】
そのため、図21(a)に示すように、スピンテーブル10に透明基板1を真空吸着し、その後、透明基板1の中央に紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転して接着剤3を透明基板1の全面に広げた後、有機複屈折膜5を透明基板上に載せるが、有機複屈折膜5にはハブがないためセンターピンで固定できず、フリーな状態で透明基板1に載せることになる。一般的には載置装置を用いて有機複屈折膜5を接着剤3が塗付された透明基板1に載せているが、スピンテーブル10の回転中心に有機複屈折膜5の中心を正確に合せることは載置装置の機械的精度の点から困難な場合が多い。そのため有機複屈折膜5がスピンテーブル10の回転中心に載っていない場合、図21(a)のようにスピンテーブル10を回転させると、有機複屈折膜5が位置ずれを起こす。そして透明基板1と有機複屈折膜5の大きさが同じ場合、図21(b)に示すように、位置ずれによって透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出してしまう。
【0008】
通常、有機複屈折膜5を接着剤3が塗付された透明基板1に載せ、紫外線照射によって接着剤を硬化させた後、回折格子を形成するためリソグラフィー/ドライエッチングを行うが、装置内や工程間の搬送は基板側面をクランプして行うことが多く、透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出していると搬送が困難になり、回折格子を形成できない。
そのためスピンテーブル10の回転中に有機複屈折膜5の位置ずれが発生した場合は、スピンテーブル10の回転を停止し、適切な位置へ有機複屈折膜5を戻す作業を行い、再びスピンテーブル10を回転させる必要があり、上記の作業を繰り返すことによって貼り合せ工程のスループットを遅くしていた。また、上記の作業のため、スピンテーブル10の回転時間を一定にすることができず、基板間で接着剤層の厚さが不均一になる問題も発生していた。
【0009】
スピンテーブルの回転中に有機複屈折膜の位置ずれを起こさせないためには、回転中に紫外線を照射する方法が考えられる。例えば貼り合せ光ディスクの作製方法では、特開平10−334521号公報や特開2000−268416号公報において、回転中に紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する方法が提案されている。しかしながら、偏光分離素子の作製においては、接着剤層の厚さを均一化するため基板をある程度回転させた後に紫外線を照射しなければならないので、有機複屈折膜の位置ずれを完全に防止することは困難であった。
【0010】
また、載置装置に画像認識機能を搭載し、スピンテーブルの回転中心と有機複屈折膜の中心を検出し、載置装置にフィードバック制御を掛けながらスピンテーブルの回転中心に有機複屈折膜の中心を置く場合は、スピンテーブルの回転中心と有機複屈折膜の中心との位置合せ精度を著しく向上できるため、スピンテーブルの回転中に有機複屈折膜の位置ずれが起きにくい。しかしながら、載置装置にCCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子を用いた検出機構やフィードバック機構を設ける必要があり、載置装置のコストが上昇する。また、貼り合せ時に位置検出やフィードバック制御を行うため、貼り合せ工程のスループットが低下してしまう。そのため安価に偏光分離素子を作製することが困難になる。
【0011】
さらに接着剤層の厚さを均一化するため、スピンテーブルを回転させて余分な接着剤を振り切る工程において、振り切られた接着剤がミストとなり、有機複屈折膜上に付着してしまう。また、有機複屈折膜は有機高分子材料からなるため、貼り合せ工程のハンドリング中に有機複屈折表面にキズが付き易かった。
接着後、有機複屈折膜の表面に回折格子を形成するため、フォトリソグラフィー/エッチングを行うが、有機複屈折膜表面に接着剤ミストやキズがあると、リソグラフィー工程でパターン欠陥が生じ、偏光分離素子の製造歩留を低下させていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記の従来技術の問題を解決する方法として、透明基板の最小長をLS、有機複屈折膜の最大長をLFとした場合、LS>LFとして接着を行う作製方法を創案した。図22にその作製方法の一例を示す。
図22(a)に示すように、最小長LSの透明基板1をスピンテーブル10に真空吸着し、スピンテーブル10を回転させながら透明基板1の中央にディスペンサー12を用いて紫外線硬化型接着剤3を滴下する。そして図22(b)に示すように、透明基板1の全面に接着剤3が広がったらスピンテーブル10の回転を停止する。
次に図22(c)に示すように、最大長LFの有機複屈折膜5を透明基板1の上に乗せる。そして図22(d)に示すように、スピンテーブル10を回転させ、余分な接着剤3を振り切り接着剤層の厚さを一定にする。
次に図22(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、紫外線(UV)を照射して接着剤層3を硬化させる。図23は最小長LSの透明基板1上に紫外線硬化型接着剤3を介して最大長LFの有機複屈折膜5を接着した状態を示している。
【0013】
次に図22(f)に示すように、有機複屈折膜5の表面に回折格子を形成するためのフォトリソグラフィー/エッチングを行い、有機複屈折膜5上に回折格子5Aのアレイを形成する。
次に図22(g)に示すように、透明基板1上の回折格子が形成された有機複屈折膜5側に等方性接着剤6を滴下する。そして別の透明基板(対向透明基板)9の片面に粘着剤8によってλ/4波長板7を貼付け、その対向透明基板9のλ/4波長板7の側を透明基板1の等方性接着剤6の側にして透明基板1上に載せ、圧力を加えて等方性接着剤6を被接着面全面に広げて、透明基板1と対向透明基板9を接着する。その後、対向透明基板9側から紫外線を照射して等方性接着剤6を硬化し、偏光分離素子の中間完成体100を形成する。
次に図22(h)に示すように、中間完成体100をダイシングソー15でダイシングして個々の偏光分離素子101を取り出す。
【0014】
以上の作製方法によると、スピンテーブル10の回転中に有機複屈折膜5が位置ずれを起こしても、有機複屈折膜5の最大長LFが透明基板1の最小長LSよりも小さいため、基板からのはみ出しが生じにくく、次工程への搬送や装置間の搬送で搬送不良が起きにくい。
【0015】
しかしながらこの方法にも以下の問題があった。透明基板1は有機複屈折膜5よりも大きいため、透明基板1の周辺部は有機複屈折膜5で覆われてない。そのため有機複屈折膜5で被覆されていない領域に接着剤(図中の基板周辺部の接着剤)が残る。一般的に微細パターンをエッチングするドライエッチング装置は基板を冷却しながら行うため、基板周辺部をクランプしている。そのため基板周辺部に接着剤があると、クランプアームが直接接着剤に接触し、接着剤が基板から剥離しやすくなる。そして剥離した接着剤はチャンバー内の異物となり、最悪の場合、有機複屈折膜上に乗って回折格子の形状を劣化させ、偏光分離素子の歩留を低下させてしまう。
尚、基板周辺部の接着剤残りに対しては、前述の貼り合せ光ディスクの作製方法においては何ら提案されていないのが現状である。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、上記の本発明者らによる作製方法を改良し、有機複屈折膜を用いた偏光分離素子の作製過程において、有機複屈折膜と透明基板の接着工程後における装置間、装置内での搬送不良を低減することができ、回折格子を作製する際の製造歩留を向上することのできる新規な偏光分離素子の作製方法を提供することを目的としている。また、本発明は、上記の方法により作製され、従来のプリズムを接着したビームスプリッタよりも小型化が実現できる偏光分離素子を提供すること、さらにこの偏光分離素子を用い、従来のプリズムを接着したビームスプリッタを用いた光ピックアップ装置よりも小型化が実現できる光ピックアップ装置を提供することを目的としている。さらに本発明は、上記の偏光分離素子の作製方法を実現するための接着装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る偏光分離素子の作製方法は、「透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程と」を有しており、以下の点を特徴としている。
【0018】
請求項1に係る偏光分離素子の作製方法は、有機複屈折膜と透明基板の接着工程後における装置間、装置内での搬送不良を低減するものであり、「接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、前記透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなる」ことを特徴としている。
【0019】
請求項2に係る偏光分離素子の作製方法は、回折格子を作製する際の製造歩留を向上するものであり、「請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」ことを特徴としている。
【0020】
請求項3に係る偏光分離素子の作製方法は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の透明基板からのはみ出しを低減するものであり、「請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機溶媒を滴下する前後あるいは滴下中の少なくも一方において前記透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を重合させ高粘度化させる」ことを特徴としている。
【0021】
請求項4に係る偏光分離素子の作製方法は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを低減し、かつ回折格子を作製する際の製造歩留を向上するものであり、「請求項3記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」ことを特徴としている。
【0022】
請求項5に係る偏光分離素子の作製方法は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを低減し、かつ回折格子を作製する際の製造歩留を向上するものであり、「請求項3記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を重合させ高粘度化させた後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」ことを特徴としている。
【0023】
請求項6に係る偏光分離素子の作製方法は、基板周辺の接着剤を除去しつつ、人体に対しより安全な作業環境を構築するものであり、「請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方である」ことを特徴としている。
【0025】
請求項に係る偏光分離素子の作製方法は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の透明基板からのはみ出しを防止しつつ、かつ有機複屈折膜で被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤を除去して、有機複屈折膜を透明基板に貼り合せた工程後において、装置間、装置内での搬送不良を低減するものであり、「接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転し、その後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正した後、前記透明基板の回転を止めた状態で第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させ、その後、透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなる」ことを特徴としている。
【0026】
請求項に係る偏光分離素子の作製方法は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを防止しつつ、かつ回折格子を作製する際の製造歩留を向上するものであり「請求項記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」ことを特徴としている。
【0027】
請求項に係る偏光分離素子の作製方法は、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを防止しつつ、かつ回折格子を作製する際の製造歩留を向上するものであり「請求項記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させた後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離する」ことを特徴としている。
【0028】
請求項10に係る偏光分離素子の作製方法は、基板周辺の接着剤を除去しつつ、人体に対しより安全な作業環境を構築するものであり、「請求項のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方である」ことを特徴としている。
【0029】
請求項11に係る偏光分離素子は、従来のプリズムを接着したビームスプリッタよりも小型化が実現できる偏光分離素子の構造を提供するものであり、「透明基板上に、周期的な凹凸格子からなる回折格子を有する複屈折膜を設けた構成の偏光分離素子において、請求項1〜10のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法を用いて作製したこと」を特徴としている。
【0030】
請求項12に係る光ピックアップ装置は、従来のプリズムを接着したビームスプリッタを用いた光ピックアップよりも小型化が実現できる光ピックアップ装置の構造を提供するものであり、「光記録媒体に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップ装置において、請求項11に記載の偏光分離素子を用いた」ことを特徴としている。
【0031】
請求項13に係る有機複屈折膜の接着装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であって、有機複屈折膜で被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤を除去して、有機複屈折膜を透明基板に貼り合せた工程後における装置間、装置内での搬送不良を低減できる装置構成を提供するものであり、「透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を前記透明基板に滴下するリンス機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなる」ことを特徴としている。
【0033】
請求項14に係る有機複屈折膜の接着装置は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であって、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の透明基板からのはみ出しを防止しつつ、かつ有機複屈折膜で被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤を除去して、有機複屈折膜を透明基板に貼り合せた工程後における装置間、装置内での搬送不良を低減できる装置構成を提供するものであり、「透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、前記透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を前記透明基板に滴下するリンス機構と、前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなる」ことを特徴としている。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る偏光分離素子の作製方法及びその作製方法によって作製された偏光分離素子、及びその偏光分離素子を用いた光ピックアップ装置、及び偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置の具体的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
[実施例1]
図1に本発明による偏光分離素子の作製方法の一実施例を示す。また、図2(a),(b)に紫外線硬化型接着剤を塗布された透明基板上に有機複屈折膜を載せ有機溶媒を滴下して透明基板周辺部の接着剤を除去する前後の状態を表す斜視図を示す。
まず図1(a)に示すように、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤3を3〜10g滴下した。その後、スピンテーブル10を150〜500rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げた後、図1(b)に示すようにスピンテーブル10の回転を停止した。
【0036】
次に図1(c)に示すように、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら、図示しない載置装置を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に直径80mm、厚さ100μmの有機複屈折膜5を載せた。図1(c)のの工程後の透明基板1と有機複屈折膜5の斜視図を図2(a)に示す。紫外線硬化型接着剤3が塗布された透明基板1の中心には有機複屈折膜5が載せられているが、透明基板1の表面で有機複屈折膜5で被覆されていない領域、つまり透明基板1の周辺部には有機複屈折膜5からはみ出した紫外線硬化型接着剤3Aが露出している。
【0037】
次に図1(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転させ、有機複屈折膜5に有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14をリンス機構のノズル13から滴下しながら紫外線硬化型接着剤3を振り切り、接着剤層の厚さを面内で一定にした。尚、イソプロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤は溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒である。ここで、図1(d)の工程後の透明基板1と有機複屈折膜5の状態を表す斜視図を図2(b)に示す。図1(c)の工程後に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤3A(図2(a))はイソプロピルアルコールによって除去されていた。
その後、図1(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜5側から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。
【0038】
次に有機複屈折膜5を接着した透明基板(以下、基板と略す)1をスピンテーブル10から外し、有機複屈折膜5上にポジレジストを1.5μmの厚さに塗布し、60℃の温度で30分のプリベークを行った。その後、基板1を図示しない縮小投影露光装置(NA=0.45、σ=0.6、波長;i線)に装着し、1000周期分の1.5μmのラインアンドスペースパターンのレチクルを用いて露光を行い、現像液NMD−3を用いて現像を行い、100℃の温度で30分のポストベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させた。その後、前記のレジストパターンを110℃の雰囲気で1,1,3,3−テトラメチルヘキサジシラザン蒸気にさらし、レジスト表面に1,1,3,3−テトラメチルヘキサジシラザンをドープした後、ECR(Electoron Cyclotron Resonance)エッチング装置を用いて酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、前記のレジストパターンをマスクとして有機複屈折膜5を深さ4μmエッチングした。その後、剥離液を用いてレジストパターンを除去し、1000周期分の凹凸格子からなる回折格子を完成させた。ここで、図1(f)は透明基板1上の有機複屈折膜5に回折格子5Aを形成した状態を模式的に示している。すなわち図1(f)において、有機複屈折膜5の上面には上記の1000周期分の凹凸格子からなる回折格子5Aが形成されている。
【0039】
次に平面加工した直径φ200mm、厚み50mmのステンレス台上に回折格子5Aを形成した基板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6をマイクロシリンジで1.0mL滴下する。そして図1(g)に示すように、両面を光学研磨した直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)9の一面に粘着剤8が塗布されたλ/4波長板7を貼り付け、λ/4波長板7を貼り付けた面を前記のアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を塗布した基板1面に載せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨した光学ガラス(図示せず)を載せて、対向透明基板9に100gf/cmの圧力を加え、等方性接着剤6を被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)を形成している。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、図1(g)は、回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図1(h)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、155個の偏光分離素子101を完成させた。
【0040】
尚、図1(c)の工程で、一部の基板1は第1の紫外線(UV)を照射した後に、スピンテーブル10から外し、ダイシングソーを用いて切断し、断面を金属顕微鏡(倍率200倍)で観察して基板の直径方向での接着剤層の厚さを測定した。その結果を図3に示す。基板の直径方向での接着剤層の膜厚の変動は7μm以下であり、ほぼ均一な厚さを持つ接着剤層が得られた。これにより、透明基板1を回転しながら、紫外線硬化型接着剤3は溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒14を滴下しても、均一な厚さの接着剤層が得られることが確認できた。
【0041】
本実施例の方法によると、図2(a)に示すように有機複屈折膜5で被覆されていない透明基板1の周辺にはみ出している紫外線硬化型接着剤3Aは、透明基板1を回転させながら、紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒14を滴下するため、透明基板1の周辺部にある紫外線硬化型接着剤3Aは図2(b)に示すように除去される。また、透明基板1を回転させながら前記の有機溶媒14を滴下するため、有機溶媒14には遠心力がかかり、有機複屈折膜5と透明基板1とで挟まれた領域にある紫外線硬化型接着剤3へは染み込みにくいので、その後の工程(図1(c))で第1の紫外線(UV)を照射することによって透明基板1と有機複屈折膜5は十分な接着面積が得られる。
その結果、基板周辺部には接着剤が残らないので、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても、基板周辺部からの異物の発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0042】
尚、本実施例では有機溶媒14としてイソプロピルアルコールを用いたが、前記の有機溶媒14はイソプロピルアルコールに限定される必要は無く、紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒であれば何ら構わない。しかしながら、貼り合せ光ディスク等の貼り合せ工程で広く用いられているアクリル系やエポキシ系紫外線硬化型接着剤は、イソプロピルアルコールとアセトンに非常によく溶解するので、有害性の大きい他の有機溶媒を用いるよりも、イソプロピルアルコールやアセトンを用いることは、作業環境や装置安全性の面からより望ましい。
【0043】
また、本実施例では透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、スピンテーブル10を回転させながら透明基板1の中央部にアクリル系紫外線硬化型接着剤3を滴下して接着剤を塗布したが、接着剤の塗布方法は本実施例の方法に限定される必要は無く、透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、スピンテーブル10を停止したまま透明基板1の中央部に接着剤3を滴下し、その後、スピンテーブル10を回転させて透明基板1の全面に接着剤3を広げても良く、あるいはロールコート法、スプレー法等によって紫外線硬化型接着剤3を透明基板1に塗布しても良い。
【0044】
[実施例2]
図4に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図4(a),(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布した。
その後、図4(c)に示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、紫外線硬化型接着剤3の上に載置装置(図示せず)を用いて載せた。
【0045】
次に図4(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転させ、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14を滴下しながら紫外線硬化型接着剤3を振り切った。尚、イソプロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒であり、図4(d)の工程中に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコールによって除去された。
次に図4(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、保護膜4上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。尚、第1の紫外線(UV)は保護膜4での吸収を考慮して、実施例1の時の1.2倍の強度のエネルギーで照射した。
その後、図4(f)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。
【0046】
次に有機複屈折膜5を接着した基板1をスピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した後、図4(g)に示すように、光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるように反射防止膜(図示せず)を形成している。また、図4(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図4(h)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0047】
本実施例の方法によると、透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程は、有機複屈折膜5の面のうち回折格子を形成する面を保護膜4で被覆した状態で行うことができる。そのため貼り合せ工程で有機複屈折膜5の回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率が著しく減る。特にスピンテーブル10を回転させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切る工程において、振り切った接着剤のミストが回折格子を形成する面に付着しない(接着剤のミストは保護膜4に付き、紫外線照射後、保護膜4を剥離するので、有機複屈折膜5の表面には残らない)ため、異物の非常に少ない有機複屈折膜表面を実現できる。そのためリソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0048】
[実施例3]
図5に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図5(a),(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布した。
その後、図5(c)に示すように、有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に載せた。
【0049】
次に図5(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切りながら、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14を滴下し、かつ透明基板1に第2の紫外線(UV)を照射した。尚、イソプロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒であるため、図5(d)の工程中に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコールによって除去された。ここで第2の紫外線の照射エネルギーは第1の紫外線の照射エネルギーよりも小さくし、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は重合して高粘度化する程度に留め、紫外線硬化型接着剤の完全硬化は次の工程での第1の紫外線照射によって成されるようにしておく。
その後、図5(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜5上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を完全に硬化させた。
【0050】
次に有機複屈折膜5を接着した基板1をスピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した後、図5(g)に示すように、光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるように反射防止膜(図示せず)を形成している。また、図5(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図5(h)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0051】
本実施例の方法によると、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合を開始して高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤3と有機複屈折膜5との固着力が強まり、透明基板1の回転によって起こる有機複屈折膜5の位置ずれを低減できる。その結果、有機複屈折膜5が透明基板1からはみ出す頻度が小さくなり、搬送不良を低減でき、より低コストの偏光分離素子を実現できる。
【0052】
尚、接着剤層の厚さを均一化するため、透明基板1を回転させてある程度接着剤を振り切らなければならないので、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3が急激に高粘度することを避ける必要があり、第2の紫外線は比較的弱い強度で照射するのが良く、本実施例では第1の紫外線の1/10の強度で紫外線照射を行った。
また、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3が高粘度化するため、接着剤層の厚さを均一化するためには透明基板1の回転数を最適化する必要があり、本実施例では第2の紫外線照射中に3ステップでスピンテーブル10の回転数を上昇させた。
【0053】
尚、本実施例では有機溶媒14の滴下中に透明基板1を回転しながら第2の紫外線を照射したが、第2の紫外線の照射は本実施例に限定される必要はなく、前記の有機溶媒14の滴下前、あるいは滴下後の一方であっても何ら構わず、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3が重合を始め、高粘度化して有機複屈折膜5との固着力が大きくなれば良い。
【0054】
[実施例4]
図6に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図6(a),(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布した。
その後、図6(c)に示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に載せた。
【0055】
次に図6(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切るながら、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14を滴下し、かつ透明基板に第2の紫外線(UV)を照射した。尚、イソプロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒であるため、図6(d)の工程中に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコールによって除去された。
尚、第2の紫外線の照射エネルギーは実施例3と同様に、第1の紫外線の照射エネルギーよりも小さくしておき、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合して高粘度化する程度に留め、紫外線硬化型接着剤3の完全硬化は次の工程での第1の紫外線照射によって成されるようにする。
次に図6(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、保護膜4上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。尚、第1の紫外線(UV)は保護膜4での吸収を考慮して、実施例1の時の1.2倍の強度のエネルギーで照射した。
その後、図6(f)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。
【0056】
次に有機複屈折膜5を接着した基板1をスピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した後、図6(g)に示すように、光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるように反射防止膜(図示せず)を形成している。また、図6(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図6(h)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0057】
本実施例の方法によっても、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合を開始して高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤3と有機複屈折膜5との固着力が強まり、透明基板1の回転によって起こる有機複屈折膜5の位置ずれを低減できる。
また、透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程中は有機複屈折膜5の表面が保護膜4で被覆されているため、有機複屈折膜5の表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。その結果、リソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0058】
[実施例5]
図7に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図7(a),(b)に示すように、実施例1と同様の工程で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布した。
その後、図7(c)に示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に載せた。
【0059】
次に図7(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切るながら、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)14を滴下し、かつ透明基板に第2の紫外線(UV)を照射した。イソプロピルアルコールは、本実施例に用いたアクリル系紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機複屈折膜5は溶解しない有機溶媒であるため、図7(d)の工程中に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤はイソプロピルアルコールによって除去された。尚、第2の紫外線の照射エネルギーは実施例4と同様に、第1の紫外線の照射エネルギーよりも小さくしておき、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合して高粘度化する程度に留めておかなければならないが、次の工程において第1の紫外線照射前に有機複屈折膜5から保護膜4を剥離するので、紫外線硬化型接着剤3はある程度硬化が進んでいる必要がある。そこで本実施例では、実施例4の2〜3倍の強度のエネルギーを照射した。
次に図7(e)に示すように、スピンテーブルの回転を停止し、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。
その後、図7(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を透明基板1に照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。
【0060】
次に有機複屈折膜5を接着した基板1をスピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した後、図7(g)に示すように、光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるように反射防止膜(図示せず)を形成している。また、図7(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図7(h)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0061】
本実施例の方法によっても、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3は重合を開始して高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤3と有機複屈折膜5との固着力が強まり、透明基板1の回転によって起こる有機複屈折膜5の位置ずれを低減できる。
また、透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程中は有機複屈折膜5の表面が保護膜4で被覆されているため、有機複屈折膜5の表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。その結果、リソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0062】
[実施例6]
図8に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。また、図9に図8(e)の工程の詳細を説明する斜視図を示す。
まず図8(a)に示すように、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52のアクリル系紫外線硬化型接着剤3を3〜10g滴下した。
その後、図8(b)に示すように、スピンテーブルを150〜500rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げた後、スピンテーブル10の回転を停止した。
【0063】
次に図8(c)に示すように、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に直径φ100mm、厚さ100μmの有機複屈折膜5を載せた。
その後、図8(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜32000rpmで再び回転し、余分な接着剤を振り切って接着剤層の厚さを均一にした。
次にスピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1からはみ出していた。そこで図8(e)及び図9(a)に示すように、調整治具11を用い、有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1の中心側へ押し、透明基板上を滑るように有機複屈折膜5を動かし(以後、滑るように動かすことを滑動と略す)、有機複屈折膜5の位置修正(つまり透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出さない位置へ有機複屈折膜5を動かす)を行った(図9(b))。
次に図8(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて透明基板に第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。
【0064】
次に有機複屈折膜5を接着した基板1をスピンテーブル10から外し、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングの工程によって回折格子を形成した後、図8(g)に示すように、光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を用い、実施例1と同様に、粘着剤8によってλ/4波長板7を貼付けられた直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を、基板1に接着した。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体100を形成した。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるように反射防止膜(図示せず)を形成している。また、図8(g)は、有機複屈折膜5に回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、λ/4波長板7を貼り付けた対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体100を模式的に示している。
次に図8(h)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体100をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子101を完成させた。
【0065】
尚、一部の基板は図8(f)の工程で第1の紫外線を照射した後に、スピンテーブル10から外して、ダイシングソーを用いて切断し、断面を金属顕微鏡(倍率200倍)で観察し、基板の直径方向での接着剤層の厚さを測定した。その結果を図10に示す。基板の直径方向での接着剤層の厚さの変動は6μm以下であり、実施例1と同程度のバラツキであることが確認された。この結果から、透明基板1を回転して余分な紫外線硬化型接着剤3を振り切り、接着剤層厚さを均一化した後は有機複屈折膜5を透明基板上で滑るように動かしても接着剤層の厚さ変動に影響はないことが判った。
【0066】
本実施例の方法によると、図8(d)の工程において透明基板1の回転によって有機複屈折膜5の位置ずれが発生した場合、図8(e)の工程で透明基板1の回転を止めた状態で、透明基板1上で有機複屈折膜5を滑動させ、有機複屈折膜5の位置を修正して透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出さないようにし、その状態で第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を硬化させるので、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを完全に防止できる。その結果、次工程以降の装置間及び装置内で搬送不良が起こらず、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0067】
[実施例7]
図11に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図11(a)に示すように、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤3を3〜11g滴下した。
その後、図11(b)に示すように、スピンテーブル10を300〜500rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その後、スピンテーブル10の回転を停止した。
【0068】
次に図11(c)に示すように、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら、載置装置(図示せず)を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に直径80mm、厚さ80μmの有機複屈折膜5を載せた。
その後、図11(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転し、余分な接着剤を振り切って接着剤層の厚さを均一にした。
その後、スピンテーブル10の回転を停止し、図11(e)に示すように、調整治具11を用いて有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1の中心側へ押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動させ、有機複屈折膜5の位置修正(つまり透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出さない位置へ有機複屈折膜5を動かす)を行った。
次に図11(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて透明基板1に第3の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を半硬化させた。尚、第3の紫外線のエネルギーは、次の工程でスピンテーブル10を回転させた時に有機複屈折膜5が位置ずれを起こさない程度に紫外線硬化型接着剤3を硬化できれば良いので、本実施例では、実施例1で用いた第1の紫外線の約30%のエネルギーで照射した。
【0069】
次に図11(g)に示すように、スピンテーブル10を回転数400〜1000rpmで再び回転させながら、有機複屈折膜上にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばアセトン)14を滴下した。アセトンは、本実施例に用いたエポキシ系紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒であるため、図11(f)の工程後に基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤はアセトンによって除去された。
その後、図11(h)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜側から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を完全に硬化させた。尚、本実施例では既に第3の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3が硬化を始めているので、実施例1で用いた第1の紫外線の約70%の強度のエネルギーで照射した。
【0070】
次に有機複屈折膜5を接着した透明基板(以下基板と略す)1をスピンテーブル10から外して、実施例1と同様にリソグラフィーとエッチングによって有機複屈折膜上に回折格子を形成した。ここで、図11(i)は透明基板1上の有機複屈折膜5に回折格子5Aを形成した状態を模式的に示している。この例では、有機複屈折膜5の上面には例えば1000周期分の凹凸格子からなる回折格子5Aが形成されている。
次に平面加工した直径φ200mm、厚み50mmのステンレス台上に回折格子5Aを形成した基板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)をマイクロシリンジで1.0mL滴下した。そして図11(j)に示すように、両面を光学研磨した直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を前記の紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を塗布した基板面に載せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨した光学ガラス(図示せず)を載せ、対向透明基板9に100gf/cmの圧力を加え、等方性接着剤6を被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)を形成している。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体102を形成した。尚、図11(j)は、回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体102を模式的に示している。
次に図11(k)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体102をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子103を完成させた。
【0071】
本実施例の方法によると、図11(d)の工程において透明基板1の回転によって有機複屈折膜5の位置ずれが発生した場合、図11(e)の工程で透明基板1の回転を止めた状態で、透明基板1上で有機複屈折膜5を滑動させ、有機複屈折膜5の位置を修正して透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出さないようにし、その状態で第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を半硬化させるので、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを完全に防止できる。
【0072】
また、有機複屈折膜5で被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤3は、図11(g)の工程において透明基板1を回転させながら、紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機復屈折膜5は溶解しない有機溶媒14を滴下するので、基板周辺部の紫外線硬化型接着剤3を除去することができる。ここで透明基板1を回転させながら前記の有機溶媒14を滴下するため、有機溶媒14には遠心力がかかり、有機複屈折膜5と透明基板1とで挟まれた領域にある紫外線硬化型接着剤3へは染み込みにくいので、第1の紫外線を照射することによって透明基板1と有機複屈折膜5は十分な接着面積が得られる。その結果、基板周辺部には接着剤が残らないので、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても、基板周辺部からの異物の発生は著しく少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0073】
尚、本実施例では有機溶媒14としてアセトンを用いたが、前記の有機溶媒14はアセトンに限定されるものでは無く、紫外線硬化型接着剤3を溶解するが有機復屈折膜5は溶解しない有機溶媒であれば何ら構わない。しかしながら、貼り合せ光ディスク等の貼り合せ工程で広く用いられているアクリル系やエポキシ系紫外線硬化型接着剤は、イソプロピルアルコールとアセトンに非常によく溶解するので、有害性の大きい他の有機溶媒を用いるよりも、イソプロピルアルコールやアセトンを用いることは、作業環境や装置安全性の面からより望ましい。
【0074】
また、本実施例では透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、スピンテーブル10を回転させながら透明基板1の中央部にエポキシ系紫外線硬化型接着剤を滴下して接着剤3を塗布したが、接着剤3の塗布方法は本実施例の方法に限定される必要は無く、透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、スピンテーブル10を停止したまま透明基板1の中央部に接着剤3を滴下し、その後、スピンテーブル10を回転させて透明基板1の全面に接着剤3を広げても良く、あるいはロールコート法、スプレー法等によって紫外線硬化型接着剤3を塗布しても良い。
【0075】
[実施例8]
図12に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図12(a),(b)に示すように、実施例7と同様の工程で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布した。
その後、図12(c)に示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、紫外線硬化型接着剤3の上に載置装置(図示せず)を用いて載せた。
【0076】
次に図12(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転し、余分な接着剤3を振り切って接着剤層の厚さを均一にした。
その後、スピンテーブル10の回転を停止し、図12(e)に示すように、調整治具11を用いて有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1の中心側へ押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動させ、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
次に図12(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて保護膜4を通して透明基板1に第3の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を半硬化させた。尚、第3の紫外線は保護膜4での吸収を考慮して、実施例7の時の1.2倍の強度のエネルギーで照射した。
【0077】
次に図12(g)に示すように、スピンテーブル10を回転数400〜1000rpmで再び回転し、保護膜4にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばアセトン)14を滴下して基板周辺部の紫外線硬化型接着剤3を除去した。
その後、図12(h)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、保護膜4上から高圧水銀灯を用いて第1の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。尚、第1の紫外線は保護膜4での吸収を考慮して、実施例7の時の1.2倍の強度のエネルギーで照射した。
その後、図12(i)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。
【0078】
次に有機複屈折膜5を接着した透明基板1をスピンテーブル10から外して、実施例7と同様にリソグラフィーとエッチングによって有機複屈折膜上に回折格子を形成した。
次に平面加工した直径φ200mm、厚み50mmのステンレス台上に回折格子を形成した透明基板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)をマイクロシリンジで1.0mL滴下した。そして図12(j)に示すように、両面を光学研磨した直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を前記の紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を塗布した基板面に載せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨した光学ガラス(図示せず)を載せ、対向透明基板9に100gf/cmの圧力を加え、等方性接着剤6を被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)を形成している。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体102を形成した。尚、図12(j)は、回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体102を模式的に示している。
次に図12(k)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体102をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子103を完成させた。
【0079】
本実施例の方法によると、透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程は、有機複屈折膜5の面のうち回折格子を形成する面を保護膜4で被覆した状態で行うことができるので、貼り合せ工程で有機複屈折膜5の回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率が著しく減少する。そのためリソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0080】
[実施例9]
図13に本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す。
まず図13(a),(b)に示すように、実施例7と同様の工程で、直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によって透明基板1をスピンテーブル10に固定した後、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転させて接着剤を透明基板全面に均一に塗布した。
その後、図13(c)に示すように、一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜5(直径80mm、厚さ100μm)を、その中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せ、かつ保護膜4の付いていない面を被接着面となるように、紫外線硬化型接着剤3の上に載置装置(図示せず)を用いて載せた。
【0081】
次に図13(d)に示すように、スピンテーブル10を回転数1000〜3000rpmで再び回転し、余分な接着剤3を振り切って接着剤層の厚さを均一にした。
その後、スピンテーブル10の回転を停止し、図13(e)に示すように、調整治具11を用いて有機複屈折膜5のはみ出した側の端部を透明基板1の中心側へ押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動させ、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
次に図13(f)に示すように、高圧水銀灯を用いて保護膜4を通して透明基板1に第3の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を半硬化させた。尚、第3の紫外線は保護膜4での吸収を考慮して、実施例7の時の2倍の強度のエネルギーで照射した。
その後、図13(g)に示すように、ピンセットを用いて、有機複屈折膜5から保護膜4を剥離した。
【0082】
次に図13(h)に示すように、スピンテーブル10を回転数400〜1000rpmで再び回転し、有機複屈折膜5にリンス機構のノズル13から有機溶媒(例えばアセトン)14を滴下して、基板周辺部の紫外線硬化型接着剤3を除去した。
その後、図13(i)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、高圧水銀灯を用いて透明基板1に第1の紫外線(UV)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化させた。尚、第1の紫外線は実施例7の80%のエネルギーで照射した。
【0083】
次に有機複屈折膜5を接着した透明基板1をスピンテーブル10から外して、実施例7と同様にリソグラフィーとエッチングによって有機複屈折膜上に回折格子を形成した。
次に平面加工した直径φ200mm、厚み50mmのステンレス台上に回折格子を形成した透明基板1を置き、回折格子面に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)をマイクロシリンジで1.0mL滴下した。そして図13(j)に示すように、両面を光学研磨した直径φ100mm、厚み1mmの対向透明基板(材質;ショット製光学ガラスBK7)を前記の紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)6を塗布した基板面に載せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨した光学ガラス(図示せず)を載せ、対向透明基板9に100gf/cmの圧力を加え、等方性接着剤6を被接着面全面に広げた。尚、対向透明基板9の被接着面と対向する面には入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)を形成している。この状態で対向透明基板9を通して紫外光を照射し、等方性接着剤6を硬化し、ウエハー状の偏光分離素子の中間完成体102を形成した。尚、図13(j)は、回折格子が形成された基板1に等方性接着剤6を介して、対向透明基板9を一体化して形成した中間完成体102を模式的に示している。
次に図13(k)に示すように、ダイシングソー15を用いて中間完成体102をダイシングして5mm角の大きさの複数の素子(各々の素子が1個の回折格子を有する)を切り出し、複数個の偏光分離素子103を完成させた。
【0084】
本実施例の方法によっても、有機複屈折膜5の面のうち回折格子を形成する面を保護膜4で被覆した状態で透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合せ工程を行うことができるため、貼り合せ工程で回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率を小さくすることが可能となる。そのためリソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0085】
[実施例10]
図14に本発明による光ピックアップ装置の一実施例を示す。この光ピックアップ装置はCD(コンパクトディスク)系の光ディスク(CD,CD−R,CD−RW)用であり、光源であるレーザーダイオード111、偏光分離素子112、コリメータレンズ113、対物レンズ114、光検出器であるフォトダイオード115を備えており、偏光分離素子112としては、実施例1〜6のいずれかの作製方法で作製された偏光分離素子が用いられる。
このCD系光ディスク用の光ピックアップ装置では、レーザーダイオード111から出射された波長780nmの光は、偏光分離素子112、コリメータレンズ113、対物レンズ114を通ってCD系の光ディスク116を照射する。そしてCD系の光ディスク116の記録面からの反射光は戻り光束となり、偏光分離素子112で回折されフォトダイオード115に導かれ、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号、情報信号の検出が行われる。
【0086】
本実施例の光ピックアップ装置を用い、CD系の光ディスク116としてCD−RWに信号を記録し、その後、同じ光ピックアップ装置で信号の再生を行ったところ、プリズムを接着したビームスプリッタとλ/4波長板を組み合わせた従来のCD系光ディスク用光ピックアップ装置と同等の再生信号出力を得ることができ、本実施例の光ピックアップ装置が従来の光ピックアップ装置と同等の記録/再生特性を持つことが確認できた。
また、本実施例の光ピックアップ装置では、偏光分離素子112は実施例1〜6のいずれかの作製方法によって有機複屈折膜5を透明基板1に接着して作製しているので、プリズムを接着したビームスプリッタよりも小さく薄型になっており、かつ偏光分離素子にλ/4波長板も組み込んでいるため、従来の光ピックアップ装置と比較して小型化・薄型化が実現できている。加えて実施例1〜6のいずれかの作製方法によって作製した偏光分離素子は比較的安価に製造できることから、光ピックアップ装置の低コスト化も実現することができる。
【0087】
[実施例11]
図15に本発明による光ピックアップ装置の別の実施例を示す。この光ピックアップ装置はDVD(デジタルバーサタイルディスク)系の光ディスク(DVD,DVD−ROM,DVD−RAM,S−DVD等)用であり、光源であるレーザーダイオード111、偏光分離素子112、コリメータレンズ113、対物レンズ114、光検出器であるフォトダイオード115、λ/4波長板117を備えており、偏光分離素子112としては、実施例7〜9のいずれかの作製方法で作製された偏光分離素子が用いられる。
このDVD系光ディスク用の光ピックアップ装置では、レーザーダイオード111から出射された波長680nmの光は偏光分離素子112とコリメータレンズ113、λ/4波長板117、対物レンズ114を通った後、DVD系の光ディスク118を照射する。そして,DVD系の光ディスク118の記録面からの反射光は戻り光束となり、偏光分離素子112で回折されフォトダイオード115に導かれ、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号、情報信号の検出が行われる。
【0088】
本実施例の光ピックアップ装置を用い、DVD系の光ディスク118としてDVD−ROMからの情報信号の再生を行った所、プリズムを接着したビームスプリッタとλ/4波長板を組み合わせた従来のDVD系光ディスク用の光ピックアップ装置と同等の信号出力を得ることができ、本実施例の光ピックアップ装置が従来の光ピックアップ装置と同等の再生特性を持つことが確認できた。
また、本実施例の光ピックアップ装置では、偏光分離素子112は実施例7〜9のいずれかの作製方法によって有機複屈折膜5を透明基板1に接着した構造をもつので、プリズムを接着したビームスプリッタよりも小さく薄型になっている。その結果、従来の光ピックアップ装置よりも小型化・薄型化が可能となる。さらに実施例7〜9のいずれかの作製方法によって作製した偏光分離素子は比較的安価に製造できることから、光ピックアップ装置をより低コストで作製することが可能となる。
【0089】
[実施例12]
図16に本発明による有機複屈折膜の接着装置の一実施例を示す。
この有機複屈折膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持するスピンテーブル10と、前記スピンテーブル10を回転させるステッピングモーター等からなる回転機構(図示せず)と、前記透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗布するディスペンサー16からなる塗布機構と、2本の吸着アーム21によって有機複屈折膜5の両端を保持し、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜5を載置する載置機構20と、紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を透明基板1に滴下するリンス機構17と、透明基板1に紫外線(UV)を照射する高圧水銀灯やメタルハライドランプ等からなる紫外線照射機構30等から構成されている。
【0090】
次に本実施例の接着装置を用いて有機複屈折膜を接着する手順を述べる。
直径φ100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の中央部にロボットアーム16Aによってディスペンサー16を移動し、スピンテーブル10を回転機構によって10rpmで回転させながら、屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤を4g滴下する。その後、ディスペンサー16を元の位置に戻し、スピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後、スピンテーブル10の回転を停止する。
【0091】
次に直径φ80mm、厚さ100μmの有機複屈折膜5の両端を載置機構20の2本の吸着アーム21に真空吸着して保持し、載置機構20を透明基板1上へ移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら2本の吸着アーム21の真空吸着を徐々に解除して透明基板1上の紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜5を載せる。
その後、載置装置20を元の位置に戻し、スピンテーブル10を1800rpmで回転させ、紫外線硬化型接着剤を振り切り、有機複屈折膜5の表面を平坦化する。また回転中に透明基板1と有機複屈折膜5の境界部にリンス機構17を移動し、リンス機構17から、紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒(本実施例ではイソプロピルアルコールを使用)を滴下して基板周辺部に残っている紫外線硬化型接着剤を除去する。
その後、スピンテーブル10の回転を停止し、リンス機構17を元の位置に戻す。そして透明基板上に紫外線照射機構30を移動し、有機複屈折膜5側から第1の紫外線(UV)を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させる。紫外線照射終了後、紫外線照射機構30を元の位置に戻し、スピンテーブル10の真空吸着を解除して有機複屈折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0092】
上記のように本実施例の接着装置を用いると、実施例1の偏光分離素子の作製方法を実現することができるため、透明基板の周辺部にある紫外線硬化型接着剤は除去される。
その結果、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても基板周辺部からの異物の発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
また、本実施例では回転停止後に紫外線照射機構30によって第1の紫外線を照射したが、リンス機構17から有機溶媒を滴下する前後あるいは滴下中の少なくても一方において、透明基板上に紫外線照射機構30を移動して有機複屈折膜5側から第2の紫外線を照射して接着剤を半硬化させた後、さらに回転停止後に第1の紫外線を照射すると、実施例3の偏光分離素子の作製方法を実現することができる。
【0093】
尚、本実施例では紫外線照射機構30は1つであるため、第1、第2の紫外線照射では照射時間や照射距離等を変えて第1の紫外線と第2の紫外線を照射するが、光強度の異なる2つの紫外線照射機構を設け、各々第1の紫外線と第2の紫外線を照射しても良い。
また、有機複屈折膜5の一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜を用いると、実施例2,4,5の偏光分離素子の作製方法を実現することができる。
さらに本実施例では紫外線硬化型接着剤の塗布にディスペンサーを用いたが、スプレーやロールコーターを用いても何ら構わない。
【0094】
[実施例13]
図17に本発明による有機複屈折膜の接着装置の別の実施例を示す。
この有機複屈折膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持するスピンテーブル10と、前記スピンテーブル10を回転させるステッピングモーター等からなる回転機構(図示せず)と、前記透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗布するディスペンサー16からなる塗布機構と、2本の吸着アーム21によって有機複屈折膜5の両端を保持し、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜5を載置する載置機構20と、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構40と、透明基板1に紫外線を照射する高圧水銀灯やメタルハライドランプ等からなる紫外線照射機構30等から構成されている。
尚、位置調整機構40はXY方向に可動できる2軸アーム41の先端に調整治具11が付いており、調整治具11で有機複屈折膜5を押し、透明基板1上を滑らせる機構になっている。
【0095】
次に本実施例の接着装置を用いて有機複屈折膜を接着する手順を述べる。
直径100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の中央部にロボットアーム16Aによってディスペンサー16を移動し、スピンテーブル10を回転機構によって10rpmで回転させながら、屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤を4g滴下する。その後、ディスペンサー16を元の位置に戻し、スピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後、スピンテーブル10の回転を停止する。
【0096】
次に直径80mm、厚さ100μmの有機複屈折膜5の両端を載置機構20の2本の吸着アーム21に真空吸着して保持し、載置機構20を透明基板1上へ移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら2本の吸着アーム21の真空吸着を徐々に解除して透明基板1上の紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜5を載せる。
その後、載置機構20を元の位置に戻し、スピンテーブル10を1800rpmで回転させ、紫外線硬化型接着剤を振り切り、有機複屈折膜5の表面を平坦化する。
【0097】
次にスピンテーブル10の回転を停止し、図18に示すように、位置調整機構40の2軸アーム41を動かして調整治具11を有機複屈折膜5の側面に突き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じて2軸アーム41をXY方向に動かし、有機複屈折膜5を調整治具11で押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑るように動かし(滑動)、有機複屈折膜5の位置修正(つまり透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出さない位置へ有機複屈折膜5を動かす)を行う。
位置調整が終了した後、位置調整機構40を元の位置に戻す。そして透明基板1上に紫外線照射機構30を移動し、有機複屈折膜5側から第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させる。紫外線照射終了後、紫外線照射機構30を元の位置に戻し、スピンテーブル10の真空吸着を解除して有機複屈折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0098】
上記のように本実施例の接着装置を用いると、実施例6の偏光分離素子の作製方法を実現することができるため、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを完全に防止でき、その結果、次工程以降の装置間及び装置内で搬送不良が起こらず、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
尚、本実施例では紫外線硬化型接着剤の塗布にディスペンサーを用いたが、スプレーやロールコーターを用いても良い。
【0099】
[実施例14]
図19に本発明による有機複屈折膜の接着装置の別の実施例をに示す。
この有機複屈折膜の接着装置は、本発明による偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であり、透明基板1を保持するスピンテーブル10と、前記スピンテーブル10を回転させるステッピングモーター等からなる回転機構(図示せず)と、前記透明基板1に紫外線硬化型接着剤を塗布するディスペンサー16からなる塗布機構と、2本の吸着アーム21によって有機複屈折膜5の両端を保持し、透明基板1上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜5を載置する載置機構20と、紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を透明基板1に滴下するリンス機構17と、有機複屈折膜5を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構40と、透明基板1に紫外線を照射する高圧水銀灯やメタルハライドランプ等からなる紫外線照射機構30から構成されている。
尚、位置調整機構はXY方向に可動できる2軸アーム41の先端に調整治具11が付いており、調整治具11で有機複屈折膜5を押し、透明基板上を滑らせる機構になっている。
【0100】
次に本実施例の接着装置を用いて有機複屈折膜を接着する手順を述べる。
直径100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定する。その後、透明基板1の中央部にロボットアーム16Aによってディスペンサー16を移動し、スピンテーブル10を20rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー16を用いて屈折率1.58、粘度600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤を5g滴下する。
その後、ディスペンサー16を元の位置に戻し、スピンテーブル10を450rpmで回転させ、透明基板1の全面に紫外線硬化型接着剤を広げ、その後、スピンテーブル10の回転を停止する。
【0101】
次に直径80mm、厚さ80μmの有機複屈折膜5の両端を載置機構20の2本の吸着アーム21に真空吸着して保持し、載置機構20を透明基板1上へ移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心にほぼ合せながら2本の吸着アーム21の真空吸着を徐々に解除して透明基板1上の紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜5を載せる。
その後、載置機構20を元の位置に戻し、スピンテーブル10を2200rpmで回転させ、紫外線硬化型接着剤を振り切り、有機複屈折膜5の表面を平坦化する。
【0102】
次にスピンテーブル10の回転を停止し、2軸アーム41を動かして調整治具11を有機複屈折膜5の側面に突き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じて2軸アーム41をXY方向に動かして有機複屈折膜5を調整治具11で押し、有機複屈折膜5を透明基板上で滑るように動かし(滑動)、有機複屈折膜5の位置修正を行う。
位置調整終了後、位置調整機構40を元の位置に戻し、透明基板1上に紫外線照射機構30を移動し、有機複屈折膜5側から第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させる。
【0103】
次に紫外線照射機構30を元の位置に戻し、スピンテーブル10を再び500rpmで回転させ、有機複屈折膜5上にリンス機構17を移動して、紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒(本実施例ではアセトンを使用)を滴下し、基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤を除去する。その後スピンテーブルの回転を停止し、リンス機構を元の位置に戻す。そして透明基板上に紫外線照射機構を移動し、有機複屈折膜側から第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化させる。
紫外線照射終了後、紫外線照射機構30を元の位置に戻し、スピンテーブル10の真空吸着を解除して有機複屈折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0104】
上記のように本実施例の接着装置を用いると、実施例7の偏光分離素子の作製方法を実現することができるため、透明基板1の周辺部にある紫外線硬化型接着剤は除去され、かつ透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを完全に防止できる。
また、有機複屈折膜5の一面に粘着剤2を介して有機高分子からなる保護膜4が付いた有機複屈折膜を用いると、実施例8,9の偏光分離素子の作製方法を実現することができる。
尚、本実施例では紫外線硬化型接着剤の塗布にディスペンサーを用いたが、ロールコート法、スプレー法等によって紫外線硬化型接着剤を塗布しても良い。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の偏光分離素子の作製方法は、透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する作製方法であり、前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、前記透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなるので、有機複屈折膜で覆われていない基板周辺部には接着剤が残らない。その結果、装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングした場合、基板周辺部からの異物の発生が著しく減少するので、偏光分離素子の製造歩留を向上できる。
また、透明基板を回転させながら前記の有機溶媒を滴下するため、有機溶媒には遠心力がかかり、有機複屈折膜と透明基板とで挟まれた領域にある紫外線硬化型接着剤へは染み込みにくいので、透明基板と有機複屈折膜は十分な接着面積が得られる。
【0106】
請求項2に記載の偏光分離素子の作製方法においては、前記有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、透明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から保護膜を剥離するので、有機複屈折膜の面のうち回折格子を形成する面を保護膜で被覆した状態で有機複屈折膜と透明基板の貼り合せを行うことができる。その結果、貼り合せ工程で回折格子を形成する面にキズや異物を付ける確率が著しく減少し、リソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減でき、偏光分離素子の製造歩留をさらに向上することができる。
【0107】
請求項3に記載の偏光分離素子の作製方法においては、有機溶媒滴下の前後あるいは滴下中の少なくも一方において、透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を重合させ高粘度化させるので、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は重合を開始して高粘度化し、紫外線硬化型接着剤と有機複屈折膜との固着力が強まり、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを低減することができる。その結果、有機複屈折膜が透明基板からはみ出す頻度が小さくなり、搬送不良を低減でき、より低コストの偏光分離素子を実現することができる。
【0108】
請求項4に記載の偏光分離素子の作製方法においては、有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、有機溶媒滴下の前後あるいは滴下中の少なくても一方において、透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射し、かつ透明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から保護膜を剥離するので、本方法によっても、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は重合を開始して高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤と有機複屈折膜との固着力が強まり、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを低減することができる。また、透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0109】
請求項5に記載の偏光分離素子の作製方法においては、有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、有機溶媒滴下の前後あるいは滴下中の少なくても一方において、透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射し、かつ透明基板に第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を重合させ高粘度化させた後に有機複屈折膜から保護膜を剥離するので、本方法によっても、第2の紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤は重合を開始して高粘度化するため、紫外線硬化型接着剤と有機複屈折膜との固着力が強まり、透明基板の回転によって起こる有機複屈折膜の位置ずれを低減することができる。また、透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0110】
請求項6に記載の偏光分離素子の作製方法においては、前記の有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方であるので、イソプロピルアルコールやアセトンは広く用いられているアクリル系紫外線硬化型接着剤やエポキシ系紫外線硬化型接着剤を溶解できることから、基板周辺の接着剤を除去することができる。また、イソプロピルアルコールやアセトンは他の有機溶媒に比べて有害性が小さいので、人体に対しより安全な作業環境を構築することができる。
【0112】
請求項に記載の偏光分離素子の作製方法は、透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する作製方法であり、前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転し、その後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正した後、前記透明基板の回転を止めた状態で第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させ、その後、透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなるので、透明基板の回転によって有機複屈折膜の位置ずれが発生した場合、透明基板の回転を止めた状態で、透明基板上で有機複屈折膜を滑動し、有機複屈折膜の位置を修正した後、その状態で第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させるので、透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しを完全に防止することができる。
また、有機複屈折膜で被覆されていない透明基板周辺の紫外線硬化型接着剤は、透明基板を回転させながら、紫外線硬化型接着剤を溶解するが有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下するため、基板周辺の接着剤は除去される。さらに透明基板を回転させながら前記の有機溶媒を滴下するので有機溶媒には遠心力がかかり、有機複屈折膜と透明基板とで挟まれた領域にある紫外線硬化型接着剤へは染み込みにくいので、第1の紫外線を照射することによって透明基板と有機複屈折膜は十分な接着面積が得られる。
【0113】
請求項に記載の偏光分離素子の作製方法においては、前記の有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、透明基板に第1の紫外線を照射した後に有機複屈折膜から保護膜を剥離するので、有機複屈折膜の面のうち回折格子を形成する面を保護膜で被覆した状態で有機複屈折膜と透明基板の貼り合せを行うことができる。したがって透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0114】
請求項に記載の偏光分離素子の作製方法においては、前記の有機複屈折膜は透明基板と接着する面と対向する面に粘着剤を介して保護膜が付いており、透明基板に第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させた後に有機複屈折膜から保護膜を剥離するので、有機複屈折膜の面のうち回折格子を形成する面を保護膜で被覆した状態で有機複屈折膜と透明基板の貼り合せを行うことができる。したがって透明基板と有機複屈折膜の貼り合せ工程中は有機複屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折膜表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。
【0115】
請求項10に記載の偏光分離素子の作製方法においては、前記の有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方であるので、イソプロピルアルコールやアセトンは広く用いられているアクリル系紫外線硬化型接着剤やエポキシ系紫外線硬化型接着剤を溶解できることから、基板周辺の接着剤を除去することができる。また、イソプロピルアルコールやアセトンは他の有機溶媒に比べて有害性が小さいので、人体に対しより安全な作業環境を構築することができる。
【0116】
請求項11に記載の偏光分離素子は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の作製方法によって、有機複屈折膜を透明基板に接着して作製しているので、従来のプリズムを接着したビームスプリッタよりも小さく薄型に形成することができる。
【0117】
請求項12に記載の光ピックアップ装置は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の作製方法によって作製された請求項11に記載の偏光分離素子を用いているので、この偏光分離素子は、従来のプリズムを接着したビームスプリッタよりも小さく薄型に形成できるため、本発明の光ピックアップ装置は従来の光ピックアップ装置よりも小型化、薄型化が実現できる。
【0118】
請求項13に記載の有機複屈折膜の接着装置は、透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、紫外線硬化型接着剤を溶解しかつ有機複屈折膜を溶解しない有機溶媒を透明基板に滴下するリンス機構と、透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなるので、請求項1〜6に記載の偏光分離素子の作製方法を実現でき、作製された偏光分離素子は透明基板の周辺部にある紫外線硬化型接着剤は除去される。そのため装置間や装置内の搬送で基板周辺部をハンドリングしても基板周辺部からの異物の発生が非常に少ないので、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【0120】
請求項14に記載の有機複屈折膜の接着装置は、透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、紫外線硬化型接着剤を溶解しかつ有機複屈折膜を溶解しない有機溶媒を透明基板に滴下するリンス機構と、有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構と、透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなるので、請求項1〜10記載の偏光分離素子の作製方法を実現でき、作製された偏光分離素子は、透明基板の周辺部にある紫外線硬化型接着剤は除去され、かつ透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しを完全に防止できるので、次工程以降の装置間及び装置内で搬送不良がさらに起こらず、偏光分離素子の製造歩留を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による偏光分離素子の作製方法の一実施例を示す工程説明図である。
【図2】(a),(b)は紫外線硬化型接着剤を塗布された透明基板上に有機複屈折膜を載せ有機溶媒を滴下して透明基板周辺部の接着剤を除去する前後の状態を表す斜視図である。
【図3】実施例1の作製方法で透明基板に有機複屈折膜を接着した際の、基板上の直径方向の距離と接着剤層の膜厚の関係を示す図である。
【図4】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図5】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図6】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図7】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図8】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図9】透明基板上の有機複屈折膜の位置ずれ修正方法の説明図である。
【図10】実施例6の作製方法で透明基板に有機複屈折膜を接着した際の、基板上の直径方向の距離と接着剤層の膜厚の関係を示す図である。
【図11】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図12】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図13】本発明による偏光分離素子の作製方法の別の実施例を示す工程説明図である。
【図14】本発明による光ピックアップ装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図15】本発明による光ピックアップ装置の別の実施例を示す概略構成図である。
【図16】本発明による有機複屈折膜の接着装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図17】本発明による有機複屈折膜の接着装置の別の実施例を示す概略構成図である。
【図18】図17に示す接着装置の位置調整機構によって有機複屈折膜の位置ズレを調整する際の説明図である。
【図19】本発明による有機複屈折膜の接着装置の別の実施例を示す概略構成図である。
【図20】従来の貼り合せ光ディスクの作製方法の一例を示す工程説明図である。
【図21】透明基板上に有機複屈折膜を接着する際の位置ずれを示す説明図である。
【図22】偏光分離素子の作製方法の一例を示す工程説明図である。
【図23】透明基板上に基板より直径の小さい有機複屈折膜を接着剤で接着した際の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:透明基板
2:粘着剤
3:紫外線硬化型接着剤
4:保護膜
5:有機複屈折膜
5A:回折格子
6:等方性接着剤
7,117:λ/4波長板
8:粘着剤
9:対向透明基板
10:スピンテーブル
11:調整治具
12,16:ディスペンサー
14:有機溶媒
15:ダイシングソー
16A:ロボットアーム
17:リンス機構
20:載置機構
21:吸着アーム
30:紫外線照射機構
40:位置調整機構
41:2軸アーム
101,103,112:偏光分離素子
111:レーザーダイオード
113:コリメータレンズ
114:対物レンズ
115:フォトダイオード
116:CD系光ディスク
118:DVD系光ディスク

Claims (14)

  1. 透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する偏光分離素子の作製方法において、
    前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、前記透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  2. 請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  3. 請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機溶媒を滴下する前後あるいは滴下中の少なくも一方において前記透明基板を回転しながら第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を重合させ高粘度化させることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  4. 請求項3記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  5. 請求項3記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を重合させ高粘度化させた後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  7. 透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記マスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸格子からなる回折格子を形成する工程とを有する偏光分離素子の作製方法において、
    前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布し、その紫外線硬化型接着剤の上に透明基板よりも小さい有機複屈折膜を載せた後、前記透明基板を回転し、その後、前記透明基板の回転を止めた状態で前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正した後、前記透明基板の回転を止めた状態で第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させ、その後、透明基板を回転しながら、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を滴下して透明基板の周辺部の紫外線硬化型接着剤を除去し、その後、透明基板に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する工程からなることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  8. 請求項7記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第1の紫外線を照射した後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  9. 請求項記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機複屈折膜は、前記透明基板と接着される面とは反対側の面に粘着剤を介して保護膜が設けられており、前記透明基板に第3の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化させた後に前記有機複屈折膜から前記保護膜を剥離することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
    前記有機溶媒がイソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも一方であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。
  11. 透明基板上に、周期的な凹凸格子からなる回折格子を有する複屈折膜を設けた構成の偏光分離素子において、
    請求項1〜10のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法を用いて作製したことを特徴とする偏光分離素子
  12. 光記録媒体に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップ装置において、
    請求項11に記載の偏光分離素子を用いたことを特徴とする光ピックアップ装置
  13. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であって、
    透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を前記透明基板に滴下するリンス機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなることを特徴とする有機複屈折膜の接着装置
  14. 請求項1〜10のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法に用いられる接着装置であって、
    透明基板を保持するスピンテーブルと、前記スピンテーブルを回転させる回転機構と、前記透明基板に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、前記透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、前記紫外線硬化型接着剤は溶解するが前記有機複屈折膜は溶解しない有機溶媒を前記透明基板に滴下するリンス機構と、前記有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構と、前記透明基板に紫外線を照射する紫外線照射機構からなることを特徴とする有機複屈折膜の接着装置。
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