JP4084071B2 - 偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、ホログラムレーザーユニット、光ピックアップ - Google Patents
偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、ホログラムレーザーユニット、光ピックアップ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、偏光分離素子の作製方法及び偏光分離素子、ホログラムレーザーユニット、光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
光情報記録媒体(例えば光ディスク)に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップは、現在、小型化、低価格化、高性能化などの要求を受けている。中でも、光ピックアップに用いられる偏光分離素子は期待を集めている。偏光分離素子は半導体レーザー素子および受光素子が設けられたレーザーユニットからの出射光を全透過し、光ディスクからの反射光を回折して、前記レーザーユニットの受光素子にて受光させる役割を果たす。これまで偏光分離素子については種々の提案がなされている(例えば特開2000−75139号公報、特開2001−66428号公報等)。
ここで、図1は偏光分離素子1の構成例を示す断面図である。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A)、(B)により区別する。図1の構成では、下から下部透明基板3、接着層(A)4、有機複屈折膜などの光学的異方性材料5、接着層(B)6、上部透明基板7である。有機複屈折膜7には、凹凸状の回折格子2が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。また、下部透明基板3及び上部透明基板7は光学的に透明である。
【0003】
図2は偏光分離素子を用いたホログラムレーザーユニットの一例を示す構成説明図であり、同図(a)は、偏光分離素子1をキャップ9上に接着剤8を用いて実装した状態を示す要部斜視図、同図(b)は、リード14を有するステム13上に半導体レーザー11及び受光素子12を形成し、キャップ9上に偏光分離素子1を配置したホログラムレーザーユニットの概略構成図である。半導体レーザー11光源からの入射光が、偏光分離素子1に下面から入射する。光ディスクからの反射光はλ/4板10によって偏光方向が90°回転し、偏光成分の違いにより偏光分離素子1の回折格子部2(図1参照)で異常光線が分離され、受光素子12で受光され信号検出される。
【0004】
偏光分離素子の作製方法としては、通常、偏光分離素子1は大きさが数mm程度であるため、直径4〜8インチの透明基板に接着された有機複屈折膜上に数10〜数100個の回折格子をアレイ状に作製し、その後、ダイシングによって個々の偏光分離素子を取り出す方法がある。また、下部透明基板3上に有機複屈折膜などの光学的異方性膜5を貼りつけ、その表面にエッチングにより回折格子2を形成し、上部透明基板7を貼り合わせた後、図3(ウェハーからなる複数の偏光分離素子15の切削を真上から見た模式図)のようにダイシングによりウェハーからなる複数の偏光分離素子15を一定間隔で縦横に切削することにより、数mm角の偏光分離素子チップ1を作製し、各チップを取り出す方法が特開2000−75130号公報、特開2001−66428号公報を例として提案されている。
【0005】
基板などの板状物質2枚を貼り合わせる方法は、貼り合わせ光情報記録媒体(光ディスク)を対象として研究開発されている。それらの作製方法を図4、図5をもとに説明する。図4は、位置合わせピン16をもつスピンテーブル17と、貼り合わせ時に下側の基板(以下、第一基板18とする)と、貼り合わせ時に上側の基板(以下、第二基板19とする)とを示すの概略斜視図である。通常、光ディスクの作製においては、第一基板18、第二基板19は板状である。また、図5は、第一基板18に第二基板19を貼りつける方法の説明図である。
【0006】
まず、図5(a)に示すように位置合わせピン16をもつスピンテーブル17上に第一基板18を設置する。その後、第一基板18上に接着剤20を塗布し、スピンテーブルを回転させることにより接着剤膜厚を一定にする。図5(b)は接着剤20が一定膜厚となった状態を示す図である。その後、図5(c)に示すように第二基板19を接着剤20の上に設置する。接着剤20として紫外線硬化型樹脂が用いられる場合には、第二基板19を介して紫外線(UV光)を照射し、接着剤20を硬化させる。光ディスクの作製方法では、これらの方法をさらに改良し、接着剤の気泡を減少させる方法(例えば、特開平11−316982号公報、特開平9−231626号公報、特開平5−20713号公報)などが公開されている。
【0007】
偏光分離素子1の作製方法において、下部透明基板ウェハー上に有機複屈折膜などの光学的異方性膜を貼りつける工程では、光ディスクの作製方法と類似したスピンコート法を用いる方法がある。それらの作製方法を図6、図7をもとに説明する。図6は、位置合わせピンをもたないスピンテーブル21と、光学的透明下部基板ウェハー22と、複屈折膜などの光学的異方性膜23を示す概略斜視図である。また、図7は、透明基板ウェハー上に有機複屈折膜などの光学的異方性膜を貼りつける工程の説明図である。
【0008】
まず、図7(a)に示すように位置合わせピンをもたないスピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を設置する。その後、光学的透明下部基板ウェハー22に接着剤20を塗布し、スピンテーブルを回転させることにより接着剤膜厚を一定にする。図7(b)は接着剤20が一定膜厚となった状態を示す図である。その後、図7(c)に示すように光学的異方性膜23を接着剤20の上に設置する。接着剤20として紫外線硬化型樹脂が用いられる場合には、光学的異方性膜23を介して紫外線(UV光)を照射し、接着剤20を硬化させる。この工程では、光学的異方性膜23に回転中心となる印を設けておらず、光学的異方性膜23は固定されていない。そのため、以下の2つの課題が生じる。
【0009】
一つ目の課題は、スピンテーブル21を回転させた際に光学的異方性膜23の中心とスピンテーブルの回転中心がずれることである。一般的には載置装置を用いて光学的異方性膜23を接着剤20が塗布された光学的透明下部基板ウェハー22に乗せているが、スピンテーブル21の回転中心に光学的異方性膜23の中心を正確に合わせることは載置装置の機械的精度の点から困難な場合が多い。このような課題が生じると、回折格子を形成する工程におけるリソグラフィー、ドライエッチングにおいて、装置内や工程間の搬送は基板側面をクランプして行うことが多く、透明基板から光学的異方性膜23がはみ出していると搬送が困難になり、回折格子を形成できないという不具合に繋がる。二つ目の課題は、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと、光学的異方性膜23の常光線方向(もしくは異常光線方向)を示すオリエンテーションフラットの方向が一致しないという問題がある。
【0010】
偏光分離素子を構成する複屈折膜などの光学的異方性膜は、常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率の、方向によって異なる二つの屈折率をもつことに特徴がある。このため、回折格子を形成する工程におけるリソグラフィー、ドライエッチングにおいて、適度な精度で光学的異方性膜の常光線方向と異常光線方向の方向が明らかでないと、歩留りよく偏光分離素子を作製できない。
したがって、偏光分離素子の作製方法においては、上記の課題を解決できるような光学的異方性膜の屈折率方向を明らかにする工程を設けた偏光分離素子の作製方法の開発が必要である。また、上記の課題を解決した透明基板を用いて偏光分離素子作製工程に用いることと、そのような透明基板の作製方法を開発することが必要とされる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、請求項1に係る発明は、偏光分離素子の歩留りを向上させてコストを低くするとともに、信頼性の高い偏光分離素子を作製することができる偏光分離素子の作製方法を提供することを目的とする。
そして、上記目的に加え、偏光分離素子をウェハーで作製し、その後、各素子に分離する偏光分離素子の作製方法において、光学的透明基板ウェハー上の光学的異方性膜がその常光線方向もしくは異常光線方向のいずれか一方の方向を示すオリエンテーションフラットをもつことにより、常光線方向もしくは異常光線方向を明確にして後の工程を容易にし、歩留りを向上させ、偏光分離素子のコストを低くすることを目的とする。
また、請求項2〜7に係る発明は、上記目的に加え、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向がほぼ同方向となるように光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーを使用することにより、歩留りよく信頼性の高い偏光分離素子を作製することを目的とする。
請求項8に係る発明は、上記目的に加え、主に素子の信頼性を高めることを目的とする。
請求項9,10に係る発明は、上記目的に加え、偏光分離素子の作製方法において、歩留りよく素子を作製するとともに、素子の信頼性を高めることを目的とする。
請求項11に係る発明は、請求項1に係る発明の目的を達成するにあたり、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向がほぼ同方向である基板を作製、および使用し、偏光分離素子の歩留りを向上させることを目的とする。
請求項12に係る発明は、上記目的に加え、偏光分離素子作製工程において、光学的異方性膜にキズの発生や異物の付着を生じさせないことを目的とする。
請求項13に係る発明は、上記目的に加え、偏光分離素子の作製を容易にし、材料のコストも低くすることを目的とする。
請求項14に係る発明は、上記目的に加え、光学的異方性膜を保護し、主に素子の信頼性を高めることを目的とする。
請求項15に係る発明は、上記目的に加え、偏光分離素子の偏光分離度を向上することを目的とする。
請求項16に係る発明は、上記目的に加え、透過率が向上した偏光分離素子を作製することを目的とする。
請求項17に係る発明は、上記目的に加え、信頼性の高い偏光分離素子をタクトをよく作製することを目的とする。
請求項18に係る発明は、低コストで信頼性の高い偏光分離素子を提供することを目的とする。
請求項19に係る発明は、信頼性の向上したホログラムレーザーユニットを作製することを目的とする。
請求項20に係る発明は、信頼性の向上した光ピックアップを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1に係る発明は、光学的透明基板ウェハー上の凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜からなる複数の偏光分離素子を各素子に分離する作製工程からなる偏光分離素子の作製方法において、前記光学的透明基板ウェハーに前記光学的異方性膜を貼りつけた後に、回折格子を形成する工程において、前記光学的異方性膜がその常光線方向もしくは異常光線方向のいずれか一方の方向を示すオリエンテーションフラットをもち、前記光学的異方性膜のオリエンテーションフラットの方向と前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向が、ほぼ同方向となるように、該光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーを使用し、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向を検出することを特徴としている。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向と、前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向が、2°以内の精度で平行であることを特徴としている。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向からの角度ずれから検出することを特徴としている。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的透明基板ウェハー上の光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、回折格子を形成する工程の一つであるリソグラフィーの工程中、工程前、工程への搬送中のいずれかに行うことを特徴としている。
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、露光装置もしくは縮小投影露光装置を用いて検出することを特徴としている。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的透明基板ウェハーに前記光学的異方性膜を貼りつける前に、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向を検出することを特徴としている。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向を検出後に光学的異方性膜を回転させ、その後、光学的異方性膜を光学的透明基板ウェハーに貼ることを特徴としている。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、ほぼ一定の厚みの接着層になるように接着されていることを特徴としている。
また、請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、スピンテーブルの回転を利用して接着剤膜厚を調整することにより作製することを特徴としている。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの作製工程として、光学的透明基板ウェハー上に塗布した接着剤を一定膜厚にし、その上に光学的異方性膜を設置した後に、再度スピンテーブルを回転させ、接着剤を一定膜厚にし直す工程を設けたことを特徴としている。
また、請求項11に係る発明は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの作製工程として、光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットを示す線分部の一部もしくは全部と光学的異方性膜の線分部の位置を一致させる工程を設けて作製することを特徴としている。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項1〜11のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜として、分離可能な保護膜が取り付けられた光学的異方性膜を用いたことを特徴としている。
また、請求項13に係る発明は、請求項1〜12のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜として、有機複屈折膜を用いたことを特徴としている。
【0021】
請求項14に係る発明は、請求項1〜13のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、偏光分離素子は、光学的透明下部基板、下部接着層(接着層Aとする)、光学的異方性膜、上部接着層(接着層Bとする)、光学的透明上部基板からなり、光学的透明下部基板あるいは光学的透明上部基板の一方が前記の光学的透明基板ウェハーであることを特徴としている。
請求項15に係る発明は、請求項14記載の偏光分離素子の作製方法において、前記光学的異方性膜の常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率の何れか一方と、その光学的異方性膜に形成された回折格子を埋める接着層Bの屈折率、光学的異方性材料の回折格子が形成されていない側の接着層Aの屈折率が、ほぼ同一であることを特徴としている。
【0022】
請求項16に係る発明は、請求項14または15記載の偏光分離素子の作製方法において、光学的透明下部基板の下面、もしくは光学的透明上部基板の上面の少なくとも一方に反射防止膜を施した光学的透明基板を使用することを特徴としている。
また、請求項17に係る発明は、請求項1〜16のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、請求項1〜13のいずれか一つに記載の偏光分離素子における接着層、あるいは請求項14〜16のいずれか一つに記載の偏光分離素子における接着層A,Bを作製するために用いられる接着剤として、感光性であり、弾性力の大きいエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤もしくはゴム系接着剤を用いたことを特徴としている。
【0023】
請求項18に係る発明は、光学的透明基板上に、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜を設けた構成の偏光分離素子において、請求項1〜17のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法を用いて作製したことを特徴としている。
また、請求項19に係る発明は、半導体レーザーと受光素子を有するレーザーユニットに偏光分離素子を一体化してなるホログラムレーザーユニットにおいて、請求項18記載の偏光分離素子を用いて作製したことを特徴としている。
さらに請求項20に係る発明は、光情報記録媒体に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップにおいて、請求項18記載の偏光分離素子、もしくは請求項19記載のホログラムレーザーユニットを用いて作製されたことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施例に従って説明するが、実施例1では、請求項1〜5,8,13〜18,21,22に係る発明を説明する。実施例2では、請求項1,2,8,13〜18,21,22に係る発明を説明する。実施例3では、請求項1〜5,8〜10,12〜18,21,22に係る発明を説明する。実施例4では、請求項1,2,8〜10,12〜18,21,22に係る発明を説明する。実施例5では、請求項1〜5,8〜10,12〜22に係る発明を説明する。実施例6では、請求項1,2,8〜18,21,22に係る発明を説明する。実施例7では、請求項6〜22に係る発明を説明する。実施例8では、請求項1,2,8〜22に係る発明を説明する。実施例9では、請求項1,2,8〜18,21,22に係る発明を説明する。
【0025】
[実施例1]
請求項1〜5,8,13〜17に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。この図1に示す構成の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を、図8,9を参照して説明する。
【0026】
(1).図8(a)に示すような、光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22上に有機複屈折膜23が貼りつけられた基板を用意した。光学的透明下部基板ウェハー22は、直径100mm、厚さ1.0mmであり、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている。また、光学的透明下部基板ウェハー22の、有機複屈折膜23が貼りつけられていない側の面には反射防止膜が施されている。有機複屈折膜23は、直径90mm、厚さ0.1mmであり、端部には異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが形成されている。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23は、接着層(A)4と同質のエポキシ系紫外線硬化型樹脂で下全面が接着されており、接着層(A)4の厚みは0.02mmである。この段階において、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向は、どれだけの角度でずれているかは把握できていない。
【0027】
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上の有機複屈折膜23表面に洗浄処理を施した。
(3).有機複屈折膜23上にポジレジストを塗布し、90℃で30分のプリベークを行った。
(4).有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を縮小投影露光装置(NA=0.45、σ=0.6、波長;i線)のステージに装着し、真空吸着により固定した。縮小投影露光装置に取り付けられたCCDカメラによる画像から、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向に対して2°ずれていることを確認した。光学的透明下部基板ウェハー22を2°回転させることにより、2°の角度ずれを補正し、レチクルのラインアンドスペースパターンと有機複屈折膜23の異常光線方向を一致させた。
【0028】
(5).1000周期ある1.5μmラインアンドスペースパターンのレチクルを用いて露光を行い、現像液NMD−3を用いて現像を行い、その後、100℃で30分のポストベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させた。
(6).前記のレジストパターン上にスパッタ法によってアルミニウム(Al)を蒸着し、引き続きアセトンを用いてレジストを溶解してAlのリフトオフを行い、レジストパターンを反転させたAlパターンを完成させた。その後、ECR(Electoron Cyclotron Resonance)エッチング装置を用い酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、前記のAlパターンを金属マスクにして有機複屈折膜を深さ4μmエッチングした。
(7).リン酸系のAlエッチング液を用いてAlパターンを除去し、1000周期ある凹凸からなる回折格子を完成させた。図8(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22上の有機複屈折膜23に回折格子を形成した様子を模式的に示した上面図である。
【0029】
(8).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図9(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
【0030】
(9).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図9(b)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
(10).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)に示したように縦横各12ライン切削した。
(11).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0031】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。
【0032】
実施例1の偏光分離素子の作製方法では、従来例と比較して、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの角度ずれを補正した後に回折格子を形成するリソグラフィーの工程を行っている。その後、リソグラフィーの工程におけるレチクルのラインアンドスペースパターンと有機複屈折膜23の異常光線方向を一致させるように角度ずれの補正を行うことにより、回折格子形成の歩留りが向上する。そのため、偏光分離素子の歩留りを向上させてコストを低くするとともに信頼性の高い素子を提供できる。
【0033】
このような方法により作製した偏光分離素子は、角度ずれを検出する工程を設けているため、タクトよく作製することが可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
【0034】
[実施例2]
請求項1,2,8,13〜17に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。この図1に示す構成の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を、図10を参照して説明する。
【0035】
(1).図10(a)に示すような、光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22上に有機複屈折膜23が貼りつけられた基板を用意した。光学的透明下部基板ウェハー22は、直径100mm、厚さ1.0mmであり、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている。また、光学的透明下部基板ウェハーの、有機複屈折膜23が貼りつけられていない側の面には反射防止膜が施されている。有機複屈折膜23は、直径90mm、厚さ0.1mmであり、端部には異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが形成されている。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23は、接着層(A)4と同質のエポキシ系紫外線硬化型樹脂で下全面が接着されており、接着層(A)4の厚みは0.02mmである。本実施例では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向は、1°以内であることを、CCDカメラが取り付けられた金属顕微鏡により確認している。
【0036】
(2).有機複屈折膜23表面を洗浄した後、フォトリソグラフィー、ドライエッチングによって回折格子を形成した。
(3).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図10(b)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
【0037】
(4).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図10(c)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
(5)前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(6).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0038】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。
【0039】
実施例1の偏光分離素子の作製方法では、従来例と比較して、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が1°以内の精度で有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を使用しているため、有機複屈折膜23の屈折率方向にしたがって回折格子を形成でき、偏光分離素子の歩留りを向上させることができる。使用する有機複屈折膜23の屈折率測定精度は1°程度であり、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が2°以内の精度で有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を使用すれば、歩留りは約90%を越えることがわかっている。2°以上の角度ずれが生じている際には、偏光分離素子の回折効率が減少することに起因して、歩留りは低下する。
【0040】
このような方法により作製する偏光分離素子は主に光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットが一致した基板を使用しているため、歩留りが向上される。また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1,58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
【0041】
[実施例3]
請求項1〜5,8〜10,12〜17に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。この図1に示す構成の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を、図11〜13を参照して説明する。
【0042】
(1).直径100mm、厚さ1.0mm、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図11(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤としてエポキシ系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごと700rpmで回転させ、エポキシ系紫外線硬化型樹脂を一定膜厚に調整した。
【0043】
(3).直径80mm、膜厚100μmである有機複屈折膜23を用意した。図11(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と、異常光線方向を示すオリエンテーションフラットをもつ複屈折膜23を真上から見た図である。有機複屈折膜23は、両面に保護膜が取り付けられており、端部には異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが形成されている。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図11(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜23を配置しようとしている図である。
【0044】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜23を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が一致するように配置し、貼りつけ、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向がずれた際には、これらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜23を回転させた。
【0045】
(5).高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したエポキシ系紫外線硬化型樹脂20はアセトンを用いて除去した。図11(d)は、有機複屈折膜23を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている斜視図である。また、図12(a)は、光学的透明下部基板ウェハー上に貼りつけられた有機複屈折膜23の上面図である。
【0046】
(6).有機複屈折膜23の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(7).光学的透明下部基板ウェハー22上の有機複屈折膜23上にポジレジストを塗布し、90℃で30分のプリベークを行った。
【0047】
(8).有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を、縮小投影露光装置(NA=0.45、σ=0.6、波長;i線)のステージに装着し、真空吸着により固定した。縮小投影露光装置に取り付けられたCCDカメラによる画像から、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向に対して2°ずれていることを確認した。そこで光学的透明下部基板ウェハー22を2°回転させることにより、2°の角度ずれを補正し、レチクルのラインアンドスペースパターンと有機複屈折膜23の異常光線方向を一致させた。
【0048】
(9).1000周期ある1.5μmラインアンドスペースパターンのレチクルを用いて露光を行い、現像液NMD−3を用いて現像を行い、その後、100℃で30分のポストベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させた。
(10).前記のレジストパターン上にスパッタ法によってAlを蒸着し、引き続きアセトンを用いてレジストを溶解してAlのリフトオフを行い、レジストパターンを反転させたAlパターンを完成させた。その後、ECRエッチング装置を用い酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、前記のAlパターンを金属マスクにして有機複屈折膜を深さ4μmエッチングした。
(11).リン酸系のAlエッチング液を用いてAlパターンを除去し、1000周期ある凹凸からなる回折格子を完成させた。図12(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22上の有機複屈折膜23に回折格子を形成した様子を模式的に示した上面図である。
【0049】
(12).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図13(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(13).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図13(b)は、UV光を照射している斜視図である。
【0050】
(14).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(15).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0051】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0052】
実施例3の偏光分離素子の作製方法では、縮小投影露光装置に取り付けられたCCDカメラによる画像から、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向に対してどれほどずれているかを検出した。その後、リソグラフィーの工程におけるレチクルのラインアンドスペースパターンと有機複屈折膜23の異常光線方向を一致させるように補正を行うことにより、回折格子形成の歩留りが向上する。また、有機複屈折膜23を貼りつけた光学的透明下部基板ウェハー22はスピンコート法を利用して作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた有機複屈折膜を使用することにより、各工程において、複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。
【0053】
このような方法により作製する偏光分離素子は、従来例と比較してタクトよく作製が可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
【0054】
[実施例4]
請求項1,2,8〜10,12〜17に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。この図1に示す構成の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を、図11〜13を参照して説明する。
【0055】
(1).直径100mm、厚さ1.0mm、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図11(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤としてエポキシ系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごと700rpmで回転させ、エポキシ系紫外線硬化型樹脂を一定膜厚に調整した。
【0056】
(3).直径80mm、膜厚100μmである有機複屈折膜23を用意した。図11(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と、異常光線方向を示すオリエンテーションフラットをもつ複屈折膜23を真上から見た図である。有機複屈折膜23は、両面に保護膜が取り付けられており、端部には異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが形成されている。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図11(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜23を配置しようとしている様子を示す図である。
【0057】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜23を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が一致するように配置し、貼りつけ、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向がずれた際にはこれらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜25を回転させた。
(5).高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したエポキシ系紫外線硬化型樹脂20はアセトンを用いて除去した。図11(d)は、有機複屈折膜23を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている様子を示す斜視図である。
【0058】
(6).有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22(図12(a))を、CCDカメラが取り付けられた金属顕微鏡により観察し、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向は、1°の精度で平行であることを確認した。また、作製された基板の厚みを測定し、その値から光学的透明下部基板ウェハー22の厚みと有機複屈折膜23の厚みを引き、接着層厚みを求めたところ20〜22μmであった。
(7).有機複屈折膜23の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(8).光学的透明基板に貼付された有機複屈折膜23表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって回折格子を形成した(図12(b))。
【0059】
(9).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図13(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(10).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図13(b)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
【0060】
(11).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(12).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0061】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0062】
実施例4の偏光分離素子の作製方法では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が1°の精度で有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハーを作製した。使用する有機複屈折膜の屈折率測定精度は1°程度であり、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が2°以内の精度で有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を使用すれば、歩留りは約90%を越えることがわかっている。2°以上の角度ずれが生じている際には、偏光分離素子の回折効率が減少することに起因して、歩留りは低下する。
この基板はスピンテーブルを回転させて接着層膜厚を調整する方法を利用して作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた有機複屈折膜を使用することにより、各工程において、有機複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。
【0063】
このような方法により作製する偏光分離素子は、主に光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの一致を利用しているため、従来例と比較してタクトよく作製が可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
【0064】
[実施例5]
請求項1〜5,8〜10,12〜17に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。この図1に示す構成の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を図14〜17を参照して説明する。また、その作製された偏光分離素子を用いたホログラムレーザーユニット及び光ピックアップの構成を図18に示す。
【0065】
(1).直径100mm、厚さ1.0、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図14(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤としてエポキシ系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごとスピンテーブル21を700rpmで回転させ、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に調整した。
【0066】
(3).直径80mm、膜厚100μmである有機複屈折膜23を用意した。図14(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23を真上から見た図である。有機複屈折膜23は、両面に保護膜が取り付けられている。その形状は、実施例3,4で使用した有機複屈折膜23と同形状である。従って、複屈折膜23の異常光線方向は、線分からなるオリエンテーションフラットにより示される。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図14(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜23を配置しようとしている様子を示す図である。
【0067】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜23を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が一致するように配置し、貼りつけ、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向がずれた際にはこれらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜23を回転させた。最終的に図15(a)に示すように有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と一致するように位置調整した。
【0068】
(5).高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したエポキシ系紫外線硬化型樹脂20はアセトンを用いて除去した。図15(b)は、有機複屈折膜23を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている様子を示す斜視図である。
(6).有機複屈折膜23の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(7)光学的透明下部基板ウェハー22上の有機複屈折膜23上にポジレジストを塗布し、90℃で30分のプリベークを行った。
【0069】
(8).図16に示すように、有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を縮小投影露光装置27(NA=0.45、σ=0.6、波長;i線)までベルト式につながっているウェハー用トレイ28にのせ、固定した。ベルトが移動することにより、ウェハー用トレイ28上の基板も移動し、CCDカメラ29が取り付けられている位置で一次停止させた。図16は、ウェハーの搬送路および縮小投影露光装置27、CCDカメラ29の概略構成図であり、ベルト式に移動する搬送路には、ウェハーを固定するウェハー用トレイ28が設置されている。
(9).CCDカメラ29による画像により、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向に対して3°ずれていることを確認した。そこで、ウェハー用トレイ28を回転させることにより、この3°の角度ずれを補正できるように光学的透明下部基板ウェハー22を回転させた。
(10).再度ベルトが移動することにより、ウェハー用トレイ28上の基板を縮小投影露光装置27のステージまで移動させた。この状態では、レチクルのラインアンドスペースパターンと有機複屈折膜23の異常光線方向はほぼ一致している。
【0070】
(11).1000周期ある1.5μmラインアンドスペースパターンのレチクルを用いて露光を行った。その後、ベルトを移動させ、露光を終えた基板を取り出した。
(12).現像液NMD−3を用いて現像を行い、その後、100℃で30分のポストベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させた。
(13).前記のレジストパターン上にスパッタ法によってAlを蒸着し、引き続きアセトンを用いてレジストを溶解してAlのリフトオフを行い、レジストパターンを反転させたAlパターンを完成させた。その後ECRエッチング装置を用い酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、前記のAlパターンを金属マスクにして有機複屈折膜を深さ4μmエッチングした。
(14).リン酸系のAlエッチング液を用いてAlパターンを除去し、1000周期ある凹凸からなる回折格子を完成させた。図17(a)は、光学的透明下部基板ウェハー22上の有機複屈折膜23に回折格子を形成した様子を模式的に示した上面図である。
【0071】
(15).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図17(b)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(16).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図17(c)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
【0072】
(17).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(18).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0073】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と複屈折膜23の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0074】
(19).その後、上記の作製方法で作製した図1に示す構成の偏光分離素子1を用い、把持ハンドが備えられたホログラム実装装置を用いて、半導体レーザー11と受光素子(フォトダイオード)12が共通のステム上にマウントされているレーザーユニットのキャップ9の実装位置に偏光分離素子1を載置し、水平に位置調整した。
(20).図2(a),(b)に示すように偏光分離素子1の側面端部の下4隅にディスペンサを用いてアクリル系紫外線硬化型樹脂8を塗布し、紫外線を照射して固定し、ホログラムレーザーユニットを作製した。
(21).次に図18に示すように、上記のホログラムレーザーユニットと、λ/4板10、光学調整されたコリメートレンズ30、対物レンズ31を用いて、光ディスク32に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップ光学系を形成した。
【0075】
実施例5の偏光分離素子の作製方法では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの角度ずれをリソグラフィー工程における、縮小投影露光装置への搬送中に行っている。そのため、レチクルのラインアンドスペースパターンと有機複屈折膜23の異常光線方向はほぼ一致した状態で露光を行うことができ、偏光分離素子の歩留り向上につながる。また、この基板はスピンテーブル21の回転を利用して接着剤膜厚を一定にして作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた複屈折膜を使用することにより、各工程において、複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。
【0076】
このような方法により作製した偏光分離素子は、従来例と比較してタクトよく作製が可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
また、図18に示すような構成のホログラムレーザーユニットと、それを用いた光ピックアップでは、本発明による偏光分離素子を用いているため、従来例と比較してタクトがよく、信頼性の高いホログラムレーザーユニット及び光ピックアップとなる。
【0077】
[実施例6]
請求項1,2,8〜18に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。この図1に示す構成の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を図19〜21を参照して説明する。
【0078】
(1).直径100mm、厚さ1.0mm、端部には長さ30mmのオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図19(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤としてエポキシ系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごとスピンテーブル21を700rpmで回転させ、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に調整した。
【0079】
(3).直径80mm、最大長87.2mm、膜厚100μmである図19(b)に示す有機複屈折膜33を用意した。図19(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜33を真上から見た図である。有機複屈折膜33は、両面に保護膜が取り付けられている。その形状は、実施例4で使用した有機複屈折膜23と同形状のものに、オリエンテーションフラットを示す線分の中心に一辺8.9mmの正方形状部が加わった形状となっている。従って、有機複屈折膜33の異常光線方向は、互いに平行な3辺のオリエンテーションフラットにより示される。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図19(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜33を配置しようとしている図である。
【0080】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜33を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜33のオリエンテーションフラットの方向が一致するように配置し、貼りつけ、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜33のオリエンテーションフラットの方向がずれた際にはこれらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜33を回転させた。最終的に図20(a)に示すように有機複屈折膜33の正方形状部のオリエンテーションフラット部が光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラット部の中心部と一致するように位置調整した。
【0081】
(5)高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したエポキシ系紫外線硬化型樹脂20はアセトンを用いて除去した。図20(b)は、有機複屈折膜33を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている様子を示す斜視図である。
【0082】
(6).CCDカメラが取り付けられた金属顕微鏡により、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜33のオリエンテーションフラットの方向は、1°の精度で平行であることを確認した。また、作製された基板の厚みを測定し、その値から光学的透明下部基板ウェハー22の厚みと有機複屈折膜33の厚みを引き、接着層厚みを求めたところ20〜22μmであった。
(7).有機複屈折膜33の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(8).光学的透明基板に貼付された有機複屈折膜33表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって回折格子を形成した。
【0083】
(9)有機複屈折膜33上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図21(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜33の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(10).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図21(b)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
【0084】
(11).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(12).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0085】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜33の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0086】
実施例6の偏光分離素子の作製方法では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と、有機複屈折膜33のオリエンテーションフラットの方向が、1°の精度で有機複屈折膜33が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を作製した。使用する有機複屈折膜33の屈折率測定精度は1°程度であり、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と、有機複屈折膜33のオリエンテーションフラットの方向が、2°以内の精度で有機複屈折膜33が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を使用すれば、歩留りは約90%を越えることがわかっている。2°以上の角度ずれが生じている際には、偏光分離素子の回折効率が減少することに起因して、歩留りは低下する。
【0087】
この基板はスピンテーブルを回転させて接着層膜厚を調整する方法を利用して作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた有機複屈折膜を使用することにより、各工程において、有機複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。使用した有機複屈折膜33の形状は、実施例4で使用した有機複屈折膜23と同形状のものに、オリエンテーションを示す線分の中心に正方形状部が加わった形状となっている。そのため、有機複屈折膜33の正方形状部のオリエンテーションフラット部が光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラット部の中心部と一致するように位置調整することにより、有機複屈折膜33の異常光線方向と光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向を合わせることができる。また、光学的透明下部基板ウェハー22の中心と有機複屈折膜33の円の中心が一致する。
【0088】
このような方法により作製する偏光分離素子は、主に光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜33のオリエンテーションフラットの一致を利用しているため、従来例と比較してタクトよく作製が可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
【0089】
[実施例7]
請求項6〜20に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から下部透明基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(アクリル系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(アクリル系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、上部透明基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。図1の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を図22〜24を参照して説明する。また、その作製された偏光分離素子を用いたホログラムレーザーユニット及び光ピックアップの構成を図25に示す。
【0090】
(1).直径100mm、厚さ1.0mm、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図22(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤としてアクリル系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごと700rpmで回転させ、アクリル系紫外線硬化型樹脂を一定膜厚に調整した。
【0091】
(3).直径80mm、膜厚100μmである有機複屈折膜23を用意した。図22(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と、異常光線方向を示すオリエンテーションフラットをもつ複屈折膜23を真上から見た図である。有機複屈折膜23は、両面に保護膜が取り付けられており、端部には異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが形成されている。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図22(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にアクリル系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜23を配置しようとしている図である。
【0092】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜23を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が一致するようにCCDカメラで観察して角度ずれを調整して配置し、貼りつけた。その後、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向がCCDカメラで観察してずれていると判断した際には、これらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜23を回転させ、位置調整した。図23(a)は、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が一致するように有機複屈折膜23を設置した様子を示す上面図である。
【0093】
(5).高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、アクリル系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したアクリル系紫外線硬化型樹脂20はイソプロピルアルコールを用いて除去した。図23(b)は、有機複屈折膜23を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりアクリル系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている様子を示す斜視図である。CCDカメラを用いて光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向を観察したところ、ほぼ1°の精度で同方向になっていることを確認した。
【0094】
(6).有機複屈折膜23の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(7).光学的透明下部基板ウェハー22に貼付された有機複屈折膜25の表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって回折格子を形成した。図23(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上の、回折格子が形成された有機複屈折膜23を簡略的に示した上面図である。
【0095】
(8).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、アクリル系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図24(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、アクリル系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(9).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、アクリル系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図24(b)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
【0096】
(10).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(11).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0097】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0098】
(12)その後、上記の作製方法で作製した図1に示す構成の偏光分離素子1を用い、把持ハンドが備えられたホログラム実装装置を用いて、半導体レーザー11と受光素子(フォトダイオード)12が共通のステム上にマウントされているレーザーユニットのキャップ9の実装位置に偏光分離素子1を載置し、水平に位置調整した。
(13).図2(a),(b)に示すように偏光分離素子1の側面端部の下4隅にディスペンサを用いてアクリル系紫外線硬化型樹脂8を塗布し、紫外線を照射して固定し、ホログラムレーザーユニットを作製した。
(14).次に図25に示すように、上記のホログラムレーザーユニットと、λ/4板10、光学調整されたコリメートレンズ30、対物レンズ31を用いて、光ディスク32に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップ光学系を形成した。
【0099】
実施例7の偏光分離素子の作製方法では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向に対する、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向を検出し、ほぼ平行にした後に有機複屈折膜23を光学的透明下部基板ウェハー22に貼りつけている。そのため、これらの角度が1°の精度で平行となっている有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハーを作製することができた。これは、光学的透明下部基板ウェハー22に有機複屈折膜23を貼りつける前に、互いのオリエンテーションフラットがどれだけずれているかを検出するところに特徴がある。貼りつける前に角度ずれを検出することは、有機複屈折膜23を貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハーを作製した際に、ウェハーとしての品質ばらつきが小さくなるとともに、リソグラフィーの工程における回折格子形成の歩留りを向上させる。また、この基板は回転するスピンテーブルを利用して接着層膜厚を調整して作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた有機複屈折膜を使用することにより、各工程において、有機複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。
【0100】
このような方法により作製する偏光分離素子は、回折格子の素子間のばらつきを小さくし、従来例と比較してタクトよく作製が可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高い。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいアクリル系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
また、図25に示すような構成のホログラムレーザーユニットと、それを用いた光ピックアップでは、本発明による偏光分離素子を用いているため、従来例と比較してタクトがよく、信頼性の高いホログラムレーザーユニット及び光ピックアップとなる。
【0101】
[実施例8]
請求項1,2,8〜20に係る発明を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から下部透明基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(アクリル系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(アクリル系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、上部透明基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。図1の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を図26〜27を参照して説明する。また、その作製された偏光分離素子を用いたホログラムレーザーユニット及び光ピックアップの構成を図28に示す。
【0102】
(1).直径100mm、厚さ1.0mm、端部にはオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図26(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー22を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤としてアクリル系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごと700rpmで回転させ、アクリル系紫外線硬化型樹脂を一定膜厚に調整した。
【0103】
(3).直径80mm、膜厚100μmである有機複屈折膜23を用意した。図26(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と、異常光線方向を示すオリエンテーションフラットをもつ複屈折膜23を真上から見た図である。有機複屈折膜23は、両面に保護膜が取り付けられており、端部には異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが形成されている。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図26(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にアクリル系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜23を配置しようとしている図である。
【0104】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜23を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が一致するように配置し、貼りつけ、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向がずれた際には、これらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜25を回転させた。
【0105】
(5).高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、アクリル系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したアクリル系紫外線硬化型樹脂20はイソプロピルアルコールを用いて除去した。図26(d)は、有機複屈折膜23を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりアクリル系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている様子を示す斜視図である。
【0106】
(6).CCDカメラが取り付けられた金属顕微鏡により、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向は、1°の精度で平行であることを確認した。また、作製された基板の厚みを測定し、その値から光学的透明下部基板ウェハー22の厚みと有機複屈折膜25の厚みを引き、接着層厚みを求めたところ20〜22μmであった。
(7).有機複屈折膜23の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(8).光学的透明下部基板ウェハー22に貼付された有機複屈折膜25表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって回折格子を形成した。
【0107】
(9).有機複屈折膜23上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、アクリル系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図27(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜23の上に、アクリル系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(10).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、アクリル系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図27(b)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
【0108】
(11).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(12).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0109】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0110】
(13)その後、上記の作製方法で作製した図1に示す構成の偏光分離素子1を用い、把持ハンドが備えられたホログラム実装装置を用いて、半導体レーザー11と受光素子(フォトダイオード)12が共通のステム上にマウントされているレーザーユニットのキャップ9の実装位置に偏光分離素子1を載置し、水平に位置調整した。
(14).図2(a),(b)に示すように偏光分離素子1の側面端部の下4隅にディスペンサを用いてアクリル系紫外線硬化型樹脂8を塗布し、紫外線を照射して固定し、ホログラムレーザーユニットを作製した。
(15).次に図28に示すように、上記のホログラムレーザーユニットと、λ/4板10、光学調整されたコリメートレンズ30、対物レンズ31を用いて、光ディスク32に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップ光学系を形成した。
【0111】
実施例8の偏光分離素子の作製方法では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が、1°の精度で有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハーを作製した。使用する有機複屈折膜の屈折率測定精度は1°程度であり、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と、有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの方向が、2°以内の精度で有機複屈折膜23が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を使用すれば、歩留りは約90%を越えることがわかっている。2°以上の角度ずれが生じている際には、偏光分離素子の回折効率が減少することに起因して、歩留りは低下する。
【0112】
この基板はスピンテーブルを回転させて接着層膜厚を調整する方法を利用して作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた有機複屈折膜を使用することにより、各工程において、有機複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。
【0113】
このような方法により作製する偏光分離素子は、主に光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜23のオリエンテーションフラットの一致を利用しているため、従来例と比較して素子の歩留りが向上する。また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいアクリル系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
また、図28に示すような構成のホログラムレーザーユニットと、それを用いた光ピックアップでは、本発明による偏光分離素子を用いているため、従来例と比較してタクトがよく、信頼性の高いホログラムレーザーユニット及び光ピックアップとなる。
【0114】
[実施例9]
請求項1,2,8〜18を実施し、作製された偏光分離素子の断面図は図1の通りである。図1の構成では、接着層は2層存在するため、記号(A),(B)により区別する。図1の構成は、下から光学的透明下部基板3(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層(A)4(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、有機複屈折膜5(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層(B)6(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、光学的透明上部基板7(BK7、厚さ:1.0mm)である。有機複屈折膜5には、凹凸状の回折格子2(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層(B)6が埋める構造になっている。図1の偏光分離素子は従来技術で述べたように動作する。以下、図1の構造から成る偏光分離素子の作製手順を図29〜31を参照して説明する。
【0115】
(1).直径100mm、厚さ1.0mm、端部には長さ30mmのオリエンテーションフラットが形成されている光学的透明下部基板ウェハー(BK7ガラス基板)22をスピンナーのスピンテーブル21上に、光学的透明下部基板ウェハー22の中心とスピンテーブル21の中心が一致するように配置し、真空吸着を行った。設置の際には、光学的透明下部基板ウェハー22の反射防止膜が施された面を下側にした。図29(a)は、スピンテーブル21上に光学的透明下部基板ウェハー24を配置し、真空吸着を行った様子を示す図である。
(2).光学的透明基板上に接着剤としてエポキシ系紫外線硬化型樹脂を滴下し、基板ごとスピンテーブル21を700rpmで回転させ、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に調整した。
【0116】
(3).直径96mm、膜厚100μmである図29(b)に示す有機複屈折膜34を用意した。図29(b)は、光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜34を真上から見た図である。有機複屈折膜34は、両面に保護膜が取り付けられている。有機複屈折膜34は、異常光線方向を示すオリエンテーションフラットが長さ17.4mmで形成されている。その形状は、実施例4で使用した有機複屈折膜23と略同様の形状であるが、直径およびオリエンテーションフラットの長さが異なる。まず一面の保護膜を剥離し、その有機複屈折膜表面を洗浄処理した。図29(c)は、光学的透明下部基板ウェハー22上にエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を一定膜厚に塗布し、その上に、有機複屈折膜34を配置しようとしている図である。
【0117】
(4).保護膜を剥離した面を下側に有機複屈折膜34を、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜34のオリエンテーションフラットの方向が一致するように配置し、貼りつけ、スピンテーブル21を再度回転させた。光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜34のオリエンテーションフラットの方向がずれた際には、これらの方向が一致するように、細針を用いて有機複屈折膜34を回転させた。最終的に図30(a)に示すように有機複屈折膜34のオリエンテーションフラット部の中心と光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラット部の中心部が一致するように位置調整した。
【0118】
(5).高圧水銀灯によって数分間紫外線を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させた。光学的透明下部基板ウェハー22端部に付着したエポキシ系紫外線硬化型樹脂20はアセトンを用いて除去した。図30(b)は、有機複屈折膜34を光学的透明下部基板ウェハー22の上に設置し、UV光を照射させることによりエポキシ系紫外線硬化型樹脂20を硬化させている様子を示す斜視図である。
【0119】
(6).CCDカメラが取り付けられた金属顕微鏡により、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットと有機複屈折膜34のオリエンテーションフラットの方向は、1°の精度で平行であることを確認した。また、作製された基板の厚みを測定し、その値から光学的透明下部基板ウェハー22の厚みと有機複屈折膜34の厚みを引き、接着層厚みを求めたところ20〜22μmであった。
(7).有機複屈折膜34の剥離されていない面の保護膜を剥離し、表面を洗浄処理した。
(8)光学的透明基板に貼付された有機複屈折膜34表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって回折格子を形成した。
【0120】
(9).有機複屈折膜34上の端部にスペーサー(一辺5mm、厚み40μmの金属片)26を4箇所に設置し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を中心付近から滴下し、光学的透明上部基板ウェハー25を、反射防止膜が施された面を上側にして配置した。図31(a)は、スピンテーブル21上に載置された光学的透明下部基板ウェハー22上に接着剤20で貼りつけられている有機複屈折膜34の上に、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を介して光学的透明上部基板ウェハー25を配置した例を示す正面断面図である。
(10).光学的透明下部基板ウェハー22との平行を保ちつつ、光学的透明上部基板ウェハー25を一定圧力で上部から押し続け、光学的透明上部基板ウェハー25がこれ以上下降しなくなった時点で上部からUV光を照射し、エポキシ系紫外線硬化型樹脂24を硬化させた。図31(b)は、UV光を照射している様子を示す斜視図である。
【0121】
(11).前工程により作製された基板をダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図3(切削を真上から見た図)のように縦横各12ライン切削した。
(12).その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各素子を剥離して、144個の偏光分離素子を得た。
【0122】
このようにして図1に示す断面図の構成の偏光分離素子1を得た。作製した144個の偏光分離素子の回折効率、波面収差を測定したところ、1次回折光の回折効率の許容値を40%、波面収差の許容値を0.02rms(λ)とすると、歩留りは90%を越えた。光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜34の間の接着層(A)4の厚みを金属顕微鏡による観察により測定したところ、各素子で20〜22μmであった。
【0123】
実施例9の偏光分離素子の作製方法では、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と、有機複屈折膜34のオリエンテーションフラットの方向が、1°の精度で有機複屈折膜34が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を作製した。使用する有機複屈折膜34の屈折率測定精度は1°程度であり、光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向と、有機複屈折膜34のオリエンテーションフラットの方向が、2°以内の精度で有機複屈折膜28が貼りつけられた光学的透明下部基板ウェハー22を使用すれば、歩留りは約90%を越えることがわかっている。2°以上の角度ずれが生じている際には、偏光分離素子の回折効率が減少することに起因して、歩留りは低下する。
【0124】
この基板はスピンテーブルを回転させて接着層膜厚を調整する方法を利用して作製したため、接着層膜厚はウェハー全体で誤差は約10%である。また、保護膜が取り付けられた有機複屈折膜を使用することにより、各工程において、有機複屈折膜にキズや異物がつきづらく、偏光分離素子を作製するための基板として品質の向上した基板を使用できる。使用した有機複屈折膜34の形状は、実施例4で使用した有機複屈折膜23と同様の形状の形状であるが、直径およびオリエンテーションを示す線分の長さが異なる。複屈折膜28のオリエンテーションフラット部の中心と光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラット部の中心部が一致するように位置調整することにより、有機複屈折膜34の異常光線方向と光学的透明下部基板ウェハー22のオリエンテーションフラットの方向を合わせることができることに加え、光学的透明下部基板ウェハー22の中心と有機複屈折膜34の円の中心が一致するように設計されている。
【0125】
このような方法により作製する偏光分離素子は主に光学的透明下部基板ウェハー22と有機複屈折膜34のオリエンテーションフラットの一致を利用しているため、従来例と比較してタクトよく作製が可能であり、また、作製された偏光分離素子は接着層(A)4の膜厚がほぼ一定であることから素子としての信頼性が高く、素子間の品質のばらつきも小さい。光学的異方性膜としては、有機複屈折膜を使用しているため、偏光分離素子のコストは低い。偏光分離素子は、偏光分離素子は、光学的透明下部基板の下側と光学的透明上部基板の上側に反射防止膜が施されているため、P偏光透過率は約98%である。有機複屈折膜5の異常光線方向屈折率と接着層(B)6の屈折率は1.58で、ほぼ同じ値であり、回折効率も高い。さらに接着層(A)4の屈折率も同じ1.58であるため、接着層(A)4と接着層(B)6は同質の接着剤を使用することが可能であり、コストを低くすることが可能である。また、接着層(A)4、接着層(B)6として、弾性力の大きいエポキシ系紫外線硬化型樹脂を使用しており、有機複屈折膜5が剥離するような不具合は生じにくく、偏光分離素子として信頼性の高い素子となる。
【0126】
以上、本発明の具体的な実施例について説明してきたが、本発明はこれらの実施例にとどまることなく応用できることは言うまでもない。実施例においては、光学的透明下部基板ウェハーと複屈折膜のオリエンテーションフラット間の角度ずれをCCDカメラで視覚的に検出したが、レーザー光を利用して複屈折膜の屈折率を測定する、もしくは、光学素子を用いるなど、光学的に角度ずれを検出してもよい。面積の大きい複屈折膜シートから、実施例に示すような形状の複屈折膜を作製する際には、異常光線方向もしくは常光線方向の方向と平行になるようにオリエンテーションフラットを形成する際に誤差が生じることもある。そのような際には、光学的に異常光線もしくは常光線方向を検出する方法は効果的である。例えば、偏光分離素子の例として図1に示すような構造を挙げたが、λ/4板を接着層(A)4、複屈折膜5との間に含む構造の素子としてもよい。また、複屈折膜の異常光線方向をオリエンテーションフラットの方向としたが、常光線方向をオリエンテーションフラットの方向としてもよい。また、複屈折膜の貼りつけ時に光学的透明下部基板ウェハーの端部に付着した接着剤は、本実施例ではアセトン、イソプロピルアルコールを用いて除去したが、接着剤を溶解する有機溶媒を用いて除去すればよく、その工程は接着剤硬化前でも硬化後でも構わず、除去方法は様々である。
【0127】
さらに実施例6では、実施例4で使用した有機複屈折膜23と同形状のものに、オリエンテーションを示す線分の中心に一辺8.9mmの正方形状部が加わった形状の有機複屈折膜33を使用しているが、一辺8.9mmの正方形状部はオリエンテーションフラットをもつ他の形状、サイズでも同様の役割を果たす。また、この箇所のみを作製し、実施例4で使用した有機複屈折膜23と同形状のものに接着剤等で付け加えてもよい。
【0128】
また、本発明を利用した装置を開発することも可能である。このように本発明を使用する応用範囲は広く、使用することにより、従来例と比較してタクトよく生産が可能であり、また、主にオリエンテーションフラットの一致、接着層膜厚一定に起因した、信頼性が向上した偏光分離素子となる。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的透明基板ウェハーに光学的異方性膜を貼りつけた後に、回折格子を形成する工程において、前記光学的異方性膜がその常光線方向もしくは異常光線方向のいずれか一方の方向を示すオリエンテーションフラットをもち、前記光学的異方性膜のオリエンテーションフラットの方向と前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向が、ほぼ同方向となるように、該光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーを使用し、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向を検出するため、回折格子の形成の歩留りが向上し、偏光分離素子の歩留りが向上し、低コストにつながるという効果を奏することができる。
すなわち、請求項1に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、光学的異方性膜がその常光線方向もしくは異常光線方向のいずれか一方の方向を示すオリエンテーションフラットをもつ。そのため、工程を簡易にし、上記の効果を増大させるという効果を奏することができる。
【0130】
さらに請求項1に係る偏光分離素子の作製方法では、前記光学的異方性膜のオリエンテーションフラットの方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向がほぼ同方向となるように光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーを使用するため、偏光分離素子の作製が容易であり、タクトよく偏光分離素子を作製できるという効果を奏することができる。また、素子としての信頼性が高く、品質のばらつきも小さい。
請求項2に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向が、2°以内の精度で平行である。そのため、請求項1に係る発明の効果を増大させるという効果を奏することができる。
【0131】
請求項3に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出を、光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットを基準にして行う。そのため、工程を簡易にし、請求項1に係る発明の効果を増大させるという効果を奏することができる。
請求項4に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的透明基板ウェハー上の光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、回折格子を形成する工程の一つであるリソグラフィーの工程中、工程前、工程への搬送中のいずれかに行う。そのため、回折格子を形成する歩留りを向上させ、偏光分離素子の歩留り、品質の向上につながるという効果を奏することができる。
請求項5に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出において、露光装置もしくは縮小投影露光装置を用いて検出する。そのため、工程を簡易にし、偏光分離素子の歩留り、信頼性の向上につながるという効果を奏することができる。
【0132】
請求項6に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的透明基板ウェハーに光学的異方性膜を貼りつける前に、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向を検出する。そのため、光学的異方性膜の異常光線方向もしくは常光線方向のいずれかの方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向を精度良く合わせられるという効果を奏することができる。
【0133】
請求項7に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向を検出後に光学的異方性膜を回転させ、その後、光学的異方性膜を光学的透明基板ウェハーに貼る。そのため、工程を簡易にし、請求項6に係る発明の効果を増大させるという効果を奏することができる。
【0134】
請求項8に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、ほぼ一定の厚みの接着層になるように接着する。そのため、偏光分離素子の信頼性を向上させ、素子間のばらつきを低減させるという効果を奏することができる。
請求項9に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、スピンテーブルの回転を利用して接着剤膜厚を調整することにより作製する。そのため、偏光分離素子の信頼性を向上させ、素子間のばらつきを低減させるという効果を奏することができる。
【0135】
請求項10に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、光学的透明基板ウェハー上に塗布した接着剤を一定膜厚にし、その上に光学的異方性膜を設置した後に、再度スピンテーブルを回転させ、接着剤を一定膜厚にし直す工程を設けている。そのため、偏光分離素子の信頼性を向上させ、素子間のばらつきを低減させるという効果を奏することができる。
請求項11に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの作製工程として、光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットを示す線分部の一部もしくは全部と光学的異方性膜の線分部の位置を一致させる工程を設けて作製する。そのため、光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの作製を容易にし、歩留りよく偏光分離素子を作製するとともに、素子の信頼性を高めるという効果を奏することができる。
【0136】
請求項12に係る偏光分離素子の作製方法では、分離可能な保護膜が取り付けられた光学的異方性膜を用いているため、光学的異方性膜のキズの発生や異物の付着を低減し、請求項1に係る発明の効果を増大させることができる。
請求項13に係る偏光分離素子の作製方法では、偏光分離素子を構成する光学的異方性膜として、高分子からなる有機複屈折膜を用いた際には、偏光分離素子の作製が容易であり、材料のコストも低くすることができるという効果を奏することができる。
【0137】
請求項14に係る偏光分離素子の作製方法では、偏光分離素子は、光学的透明下部基板、下部接着層(接着層(A))、光学的異方性膜、上部接着層(接着層(B))、光学的透明上部基板からなり、光学的透明下部基板あるいは光学的透明上部基板の一方が前記の光学的透明基板ウェハーである。そのため、光学的透明上部基板が光学的異方性膜を保護し、素子の信頼性を向上させるという効果を奏することができる。
請求項15に係る偏光分離素子の作製方法では、光学的異方性膜の常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率の何れか一方と、その光学的異方性膜に形成された回折格子を埋める接着層(B)の屈折率がほぼ同じであることから、偏光分離素子の偏光分離度を向上することができるという効果を奏することができる。さらに光学的異方性膜の回折格子が形成されていない側の接着層(A)の屈折率も同じであるため、光学的異方性膜を挟む2つの接着層として、同質のものを使用することができ、コストを低くし、管理を簡易にするという効果を奏することができる。
【0138】
請求項16に係る偏光分離素子の作製方法では、偏光分離素子の光入射面もしくは光出射面の少なくとも一面に反射防止膜を施した透明基板を用いることにより、素子の透過率が向上した偏光分離素子を作製できるという効果を奏することができる。
請求項17に係る偏光分離素子の作製方法では、偏光分離素子を構成する接着層として紫外線硬化型樹脂を例として感光性樹脂を用い、さらにその樹脂として光学的異方性膜の応力を緩和させる効果をもつエポキシ系接着剤もしくはゴム基接着剤を用いた際にもタクトを上昇させる効果のほか、素子の信頼性を向上させるという効果も奏することができる。
【0139】
請求項18に記載の偏光分離素子では、請求項1〜17のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法を用いて作製されているため、低コストで信頼性の高い偏光分離素子を実現することができる。
請求項19に記載のホログラムレーザーユニットでは、請求項18に記載の偏光分離素子を用いているため、ホログラムレーザーユニットとしての信頼性を向上させ、高性能のホログラムレーザーユニットを低コストで提供することができる。
請求項20に記載の光ピックアップでは、請求項18に記載の偏光分離素子、もしくは請求項19に記載のホログラムレーザーユニットを用いて作製した光ピックアップであるため、信頼性が向上し、高性能の光ピックアップを低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光分離素子の構成例を示す断面図である。
【図2】偏光分離素子を用いたホログラムレーザーユニットの一例を示す構成説明図であり、(a)は偏光分離素子をキャップ上に接着剤を用いて実装した様子を示す要部斜視図、(b)はキャップ上に偏光分離素子を配置したホログラムレーザーユニットの概略構成図である。
【図3】ウェハーからなる偏光分離素子をダイシングにより縦横に切削する際の説明図である。
【図4】位置合わせピンをもつスピンテーブルと2枚の基板の斜視図である。
【図5】2枚の板状基板を貼りつける際の貼りつけ方法の説明図である。
【図6】位置合わせピンをもたないスピンテーブルと複屈折膜などの光学的異方性膜、光学的透明下部基板ウェハーの斜視図である。
【図7】有機複屈折膜などの光学的異方性膜を光学的透明下部基板ウェハーに貼りつける際の貼りつけ方法の説明図である。
【図8】実施例1の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は有機複屈折膜の異常光線方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向がほぼ同方向となるように有機複屈折膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの上面図、(b)は(a)により作製された基板に回折格子を形成した様子を模式的に示した上面図である。
【図9】実施例1の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は図8(b)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(b)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図10】実施例2の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は有機複屈折膜の異常光線方向と光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向がほぼ同方向となるように有機複屈折膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの上面図、(b)は(a)で示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(c)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図11】実施例3または実施例4の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)はスピンテーブル上に光学的透明下部基板ウェハーを設置した様子を示す斜視図、(b)はオリエンテーションフラットをもつ光学的透明下部基板ウェハーと有機複屈折膜の上面図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に接着剤を塗布し、一定膜厚に延ばした様子を示す斜視図、(d)は接着剤の上に有機複屈折膜を設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図12】(a)は光学的透明下部基板上にオリエンテーションフラットが一致するように有機複屈折膜を貼りつけた様子を示す上面図、(b)は(a)で作製された基板に回折格子を形成した様子を模式的に示した上面図である。
【図13】実施例3または実施例4の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は図11(d)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(b)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図14】実施例5の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)はスピンテーブル上に光学的透明下部基板ウェハーを設置した様子を示す斜視図、(b)はオリエンテーションフラットをもつ光学的透明下部基板ウェハーと有機複屈折膜の上面図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に接着剤を塗布し、一定膜厚に延ばした様子を示す斜視図である。
【図15】実施例5の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は光学的透明下部基板ウェハーのオリエンテーションフラット部の一部と有機複屈折膜のオリエンテーションフラット部を一致させて、光学的透明下部基板ウェハー上に有機複屈折膜を貼りつけた様子を示す上面図、(b)は接着剤の上に有機複屈折膜を設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図16】実施例5の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、CCDカメラ付き基板搬送路と縮小投影露光装置を示す概略図である。
【図17】実施例5の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は光学的透明下部基板ウェハー上に貼りつけられた複屈折膜に回折格子を形成した様子を模式的に示す上面図、(b)は(a)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(c)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図18】実施例5の偏光分離素子を用いて作製したホログラムレーザーユニットを備えた光ピックアップの一例を示す概略構成図である。
【図19】実施例6の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)はスピンテーブル上に光学的透明下部基板ウェハーを設置した様子を示す斜視図、(b)はオリエンテーションフラットをもつ光学的透明下部基板ウェハーと3辺のオリエンテーションフラットをもつ有機複屈折膜の上面図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に接着剤を塗布し、一定膜厚に延ばした様子を示す斜視図である。
【図20】実施例6の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は光学的透明下部基板ウェハーのオリエンテーションフラット部の一部と有機複屈折膜のオリエンテーションフラット部を一致させて、光学的透明下部基板ウェハー上に有機複屈折膜を貼りつけた様子を示す上面図、(b)は接着剤の上に有機複屈折膜を設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図21】実施例6の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は図20(b)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(b)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図22】実施例7の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)はスピンテーブル上に光学的透明下部基板ウェハーを設置した様子を示す斜視図、(b)はオリエンテーションフラットをもつ光学的透明下部基板ウェハーと有機複屈折膜の上面図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に接着剤を塗布し、一定膜厚に延ばした様子を示す斜視図である。
【図23】実施例7の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は光学的透明下部基板ウェハーのオリエンテーションフラット部の一部と有機複屈折膜のオリエンテーションフラット部を一致させて、光学的透明下部基板ウェハー上に有機複屈折膜を設置した様子を示す上面図、(b)は接着剤の上に有機複屈折を設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に貼りつけられた複屈折膜に回折格子を形成した様子を模式的に示す上面図である。
【図24】実施例7の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は図23(c)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(b)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図25】実施例7の偏光分離素子を用いて作製したホログラムレーザーユニットを備えた光ピックアップの一例を示す概略構成図である。
【図26】実施例8の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)はスピンテーブル上に光学的透明下部基板ウェハーを設置した様子を示す斜視図、(b)はオリエンテーションフラットをもつ光学的透明下部基板ウェハーと有機複屈折膜の上面図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に接着剤を塗布し、一定膜厚に延ばした様子を示す斜視図、(d)は接着剤の上に光学的異方性膜を設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図27】実施例8の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は図26(d)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(b)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【図28】実施例8の偏光分離素子を用いて作製したホログラムレーザーユニットを備えた光ピックアップの一例を示す概略構成図である。
【図29】実施例9の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)はスピンテーブル上に光学的透明下部基板ウェハーを設置した様子を示す斜視図、(b)はオリエンテーションフラットをもつ光学的透明下部基板ウェハーと有機複屈折膜の上面図、(c)は光学的透明下部基板ウェハー上に接着剤を塗布し、一定膜厚に延ばした様子を示す斜視図である。
【図30】実施例9の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は光学的透明下部基板ウェハーのオリエンテーションフラット部の一部と有機複屈折膜のオリエンテーションフラット部を一致させて、光学的透明下部基板ウェハー上に有機複屈折膜を貼りつけた様子を示す上面図、(b)は接着剤の上に光学的異方性膜を設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図、
【図31】実施例9の偏光分離素子の作製方法の説明図であって、(a)は図30(b)に示す基板に接着剤を塗布し、その上に光学的透明上部基板ウェハーを設置した様子を示す正面断面図、(b)は光学的透明上部基板ウェハーまでを設置し、UV光により接着剤を硬化させている様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:偏光分離素子
2:偏光分離素子回折格子部
3:光学的透明下部基板
4:接着層(A)
5:有機複屈折膜などの光学的異方性材料
6:接着層(B)
7:光学的透明上部基板
8:接着剤
9:キャップ
10:λ/4板
11:半導体レーザー
12:受光素子
13:ステム
14:リード
15:各素子に切り出す前のウェハー状の複数からなる偏光分離素子
16:位置合わせピン
17:位置合わせピンをもつスピンテーブル
18:第一基板
19:第二基板
20:接着剤(A)
21:位置合わせピンをもたないスピンテーブル
22:光学的透明下部基板ウェハー
23,33,34:有機複屈折膜などの光学的異方性膜
24:接着剤(B)
25:光学的透明上部基板ウェハー
26:スペーサー
27:縮小投影露光装置
28:ウェハー搬送用トレイ
29:CCDカメラ
30:コリメートレンズ
31:対物レンズ
32:光ディスク
Claims (22)
- 光学的透明基板ウェハー上の凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜からなる複数の偏光分離素子を各素子に分離する作製工程からなる偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的透明基板ウェハーに前記光学的異方性膜を貼りつけた後に、回折格子を形成する工程において、前記光学的異方性膜がその常光線方向もしくは異常光線方向のいずれか一方の方向を示すオリエンテーションフラットをもち、前記光学的異方性膜のオリエンテーションフラットの方向と前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向が、ほぼ同方向となるように、該光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーを使用し、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向を検出することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向と、前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向が、2°以内の精度で平行であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1または2記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、前記光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットの方向からの角度ずれから検出することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜3のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的透明基板ウェハー上の光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、回折格子を形成する工程の一つであるリソグラフィーの工程中、工程前、工程への搬送中のいずれかに行うことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の検出は、露光装置もしくは縮小投影露光装置を用いて検出することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的透明基板ウェハーに前記光学的異方性膜を貼りつける前に、前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向を検出することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜の常光線方向もしくは異常光線方向の一方の方向を検出後に光学的異方性膜を回転させ、その後、光学的異方性膜を光学的透明基板ウェハーに貼ることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜7のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、ほぼ一定の厚みの接着層になるように接着されていることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜8のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーは、スピンテーブルの回転を利用して接着剤膜厚を調整することにより作製することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜9のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの作製工程として、光学的透明基板ウェハー上に塗布した接着剤を一定膜厚にし、その上に光学的異方性膜を設置した後に、再度スピンテーブルを回転させ、接着剤を一定膜厚にし直す工程を設けたことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜10のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜が貼りつけられた光学的透明基板ウェハーの作製工程として、光学的透明基板ウェハーのオリエンテーションフラットを示す線分部の一部もしくは全部と光学的異方性膜の線分部の位置を一致させる工程を設けて作製することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜11のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜として、分離可能な保護膜が取り付けられた光学的異方性膜を用いたことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜12のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜として、有機複屈折膜を用いたことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜13のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
偏光分離素子は、光学的透明下部基板、下部接着層(接着層Aとする)、光学的異方性膜、上部接着層(接着層Bとする)、光学的透明上部基板からなり、光学的透明下部基板あるいは光学的透明上部基板の一方が前記の光学的透明基板ウェハーであることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項14記載の偏光分離素子の作製方法において、
前記光学的異方性膜の常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率の何れか一方と、その光学的異方性膜に形成された回折格子を埋める接着層Bの屈折率、光学的異方性材料の回折格子が形成されていない側の接着層Aの屈折率が、ほぼ同一であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項14または15記載の偏光分離素子の作製方法において、
光学的透明下部基板の下面、もしくは光学的透明上部基板の上面の少なくとも一方に反射防止膜を施した光学的透明基板を使用することを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1〜16のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において、
請求項1〜13のいずれか一つに記載の偏光分離素子における接着層、あるいは請求項14〜16のいずれか一つに記載の偏光分離素子における接着層A,Bを作製するために用いられる接着剤として、感光性であり、弾性力の大きいエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤もしくはゴム系接着剤を用いたことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 光学的透明基板上に、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜を設けた構成の偏光分離素子において、
請求項1〜17のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法を用いて作製したことを特徴とする偏光分離素子。 - 半導体レーザーと受光素子を有するレーザーユニットに偏光分離素子を一体化してなるホログラムレーザーユニットにおいて、
請求項18記載の偏光分離素子を用いて作製したことを特徴とするホログラムレーザーユニット。 - 光情報記録媒体に対して情報の記録、再生または消去を行う光ピックアップにおいて、
請求項18記載の偏光分離素子、もしくは請求項19記載のホログラムレーザーユニットを用いて作製されたことを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1〜17のいずれか一つに記載の偏光分離素子の作製方法において用いるウェハーであって、
オリエンテーションフラットをもつ複屈折膜が接着剤により基板上に貼り付いたことを特徴とするウェハー。 - 請求項21記載のウェハーにおいて、
前記光学的透明基板ウェハーと前記光学的異方性膜は相似形状であり、前記光学的透明基板ウェハーより前記光学的異方性膜が小さいことを特徴としたウェハー。
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