JP3545803B2 - 偏光化機能付面光源装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は、偏りの無い光から偏りのある光束を生成する機能あるいは偏りの乏しい光から偏りに富んだ光束を生成する機能(以下、「偏光化機能」と言う。)を備えた面光源装置に関する。本願発明に係る面光源装置は、偏りのある光束を必要とする任意の用途に使用され得るが、特に、液晶表示装置のバックライト光源に用いて有利なものである。
【0002】
【従来の技術】
表面あるいは内部に光散乱機能を有する板状の導光体の側方に蛍光ランプ等の光源を配置することによって面光源装置を構成し、液晶表示装置のバックライト光源等の用途で使用することは、従来より良く知られているところである(例えば、特開平2−221926号、特開平4−145485号及び実開昭51−89888号公報など)。
【0003】
これらの旧来型の面光源装置は、導光体内部あるいは表面領域に与えられた光散乱作用によって光の進行方向を出来るだけランダムなものとすることを通して光取出面から出射させる光量を確保するというものであり、光取出面から出射される光に明確な指向性は無く、また、特定方向の偏りを呈する光を生成する機能も有していない。
【0004】
これに対し、本発明者は先に、散乱特性を規定する特性パラメータ(有効散乱照射パラメータE及び相関距離a;詳細は後述。)を所定範囲に定めた楔形状の光散乱導光体が平行光束化機能を有することを利用して平行光束化装置を構成することを提案した。この平行光束化装置を光源手段と組み合わせて改良型の面光源装置を構成した場合、その出射光束に明確な指向性は認められるが、特定の方向への偏りを持った偏光を生成する機能は備わっていない。
【0005】
ところで、一般の光源から発せられる偏りの無い光から偏りのある光を得る手段としては、偏光板あるいはビームスプリッタ型の偏光子等が知られて用いられているが、これらは、所定の方向と直交する方向の偏光成分を排除する形で偏りのある光を得ようとするものであるから、光エネルギの半分程度が無駄になってしまう。従って、上記旧来型、改良型いずれの型の面光源装置とこのような偏光素子を組み合わせて偏光化された光束を生成するやり方では、使用される面光源の明るさを充分に生かした偏光光束を得ることは困難である。
【0006】
例えば、上記旧来型、改良型いずれの型の面光源装置を液晶表示装置の液晶表示パネル背後にバックライト光源手段として配置した場合でも、所定方向に偏光化された光を液晶層に入射させる為に液晶表示パネルの光入射側に設けられている偏光板によって、面光源装置の出射光の光エネルギの約半分が無駄になる現象が生じており、液晶表示装置の表示品位を損なう一因となっている。
【0007】
もし、光エネルギの利用効率の低下を抑制した形で所定方向に偏光化された光束を生成する能力を有する面光源装置が得られるならば、これを液晶表示装置のバックライト光源手段として採用することにより、上記液晶表示パネルの偏光板通過時の損失を低下させることが可能になる(バックライト光源出射光束の偏光方向と偏光板の偏光軸方向を平行にとれば良い)。従って、このような観点からも、エネルギ利用効率を大きく低下させることなく偏光化された光束を生成することが出来る面光源装置の実現が待たれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、上記従来技術の現状を背景に、偏光化に際しての光エネルギの利用効率の低下を抑え、明るい偏光光束を得ることが出来る偏光化機能付面光源装置を提供することを基本的な目的としてなされたものである。
また、本願発明は、特に、液晶表示装置のバックライト光源手段として用いるに適した偏光化機能付面光源装置を提供する企図をも有するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、先ず、上記目的を達成する為の基本的な構成として、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えた偏光化機能付面光源装置」を提案したものである。
【0010】
そして、偏光分離手段をより具体化した形態で指定した構成として、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.0の範囲の屈折率を有する透明な光学材料からなる偏光分離板を含むことを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、
「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、各々1.3〜2.0の範囲の屈折率を有すると共に空気層を挟んで積層的に配置された複数枚の偏光分離板を含むことを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、
「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.0の範囲の屈折率を有する偏光分離板を含み、該偏光分離板の光入射面には前記平行光束化素子の光取出面から出射された平行光束の出射方向に対応したブリュースター角条件を満たすような繰り返し傾斜面が形成されていることを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、並びに、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.3の範囲の屈折率を有する光学材料からなる多層膜を有する偏光分離板を含んでいることを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、を提案したものである。
【0011】
また、上記各構成における偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段から平行光束化素子に再入射した光の偏光状態を修正した上で、再度前記偏光分離手段へ向かわせることによって、より偏光度に富んだ光を得るようにした構成として、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段と、前記平行光束化素子の光取出面と相反する側の表面に沿って配置された補強スクランブラを備えたことを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、及び、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段と、前記平行光束化素子の光取出面と相反する側の表面に沿って配置された偏光変換手段を備え、前記偏光変換手段が位相差板並びに該位相差板の外側に臨んで配置された光反射手段を含んでいることを特徴とする偏光化機能付面光源装置」を提案したものである。
【0012】
そして、面光源装置の出射光束の伝播方向を修正する必要のある場合に備える為に、上記各構成に更に、「前記偏光分離手段の外側に光出射方向修正素子が配置されている」という要件を課した偏光化機能付面光源装置の構成を提案したものである。
【0013】
【作用】
本願発明は、上記改良型の面光源装置に用いられる光散乱導光体の平行光束化機能と近似的なブリュースター角条件に関連した偏光成分の反射/透過特性を組み合わせて利用することにより、相対的に高いエネルギ利用効率を以て所定の方向の偏光成分を多く含んだ光束を生成することが出来るという新規な原理に立脚したものである。
【0014】
そこで、先ず、本願発明で使用される光散乱導光体の散乱特性を記述する有効散乱照射パラメータEと相関距離aについて、Debyeの理論を引用して説明し、更に、それらの量との関連した平行光束化機能について説明する。
【0015】
今、一定の屈折率を有する基材内に一様に屈折率不均一構造を分布形成させた媒体からなる光散乱導光体内を強度I0 の光がy(cm)伝播し、その間の散乱により強度がIに減衰した場合を考え、有効散乱照射パラメータEを次式(1)または(2)で定義する。
【0016】
【数1】
上式(1),(2)は各々いわゆる積分形及び微分形の表現であり、物理的な意味は等価である。なお、このEは濁度と呼ばれることもある。
一方、媒体内に分布した不均一構造によって光散乱が起こる場合の散乱光強度は、縦偏光の入射光に対して出射光の大半が縦偏光である通常の場合(VV 散乱)には、次式(3)で表される。
【0017】
【数2】
自然光を入射させた場合には、Hh 散乱を考慮して、式(3)の右辺に(1+cos2Φ)/2を乗じた次式を考えれば良いことが知られている。
【0018】
【数3】
ここで、λ0 は入射光の波長、ν=(2πn)/λ0 、s=2sin (Φ/2)、nは媒体の屈折率、Φは散乱角、<η2 >は媒体中の誘電率ゆらぎ2乗平均(以下、<η2 >=τとして、τを適宜使用する。)であり、γ(r)は相関関数と呼ばれるものであり、次式(6)で表わされる。
【0019】
Debyeの理論によれば、媒体の屈折率不均一構造が界面を持ってA相とB相に分かれて分散している場合には、誘電率のゆらぎに関して相関関数γ(r)、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等について、下記の関係式(7),(8)が成立する。
【0020】
【数4】
不均一構造が半径Rの球状界面で構成されているとみなせば、相関距離aは次式で表される。
【0021】
【数5】
相関関数γ(r)についての式(6)を用い、式(5)に基づいて自然光を媒体に入射させた時の有効散乱照射パラメータEを計算すると結果は次のようになる。
【0022】
【数6】
以上述べた諸関係から、相関距離a及び誘電率ゆらぎ2乗平均τを変化させることにより、散乱光強度、散乱光強度の角度依存性及び有効散乱照射パラメータEを制御することが可能なことが判る。
図1は、横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとり、有効散乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線を、E=50[cm-1]及びE=100[cm-1]の場合について描いたものである。
Eの値は散乱導光媒体の散乱能の「強さ」を表わす指標であり、Eの値が大きければ散乱能が強く、Eの値が小さければ散乱能が弱い(透明に近い)ということになる。E=0は無散乱状態に対応している。従って、大寸法で明るさが均一な面光源の用途にはEの小さな光散乱導光体が適し、小寸法の面光源の用途にはEの大きな光散乱導光体が適しているという一般論が成立する。
【0023】
液晶表示装置のバックライト光源への適用時等に想定される通常サイズ(数cm〜数10cmの程度)の面光源を構成することを想定した場合、使用される光散乱導光体の有効散乱照射パラメータEの実際的な値の範囲は、E=0.5〜50[cm-1]の程度となる。
【0024】
一方、相関距離aは、光散乱導光体内部における個々の散乱現象における散乱光の方向特性に深く関わっている量である。即ち、上記(3)式乃至(5)式の形から推察されるように、光散乱導光体内部における光散乱は一般に前方散乱性を帯びているが、前方散乱性の強さが相関距離aに依存して変化する。
【0025】
図2は、これをaの2つの値について例示したグラフである。図において、横軸は散乱角度Φ(入射光線の進行方向をΦ=0°とする。)を表わし、縦軸は自然光を仮定した場合の散乱光強度、即ち、上記(5)式をΦ=0°に対して規格化した値、Vvh(Φ)/Vvh(0)を表わしている。
同図に併記されているように、a=0.13μm、上記(9)を用いて粒径に換算して2R=0.2μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦに関する緩やかな減少関数となるが、a=1.3μm、上記(9)式による粒径換算値で2R=2.0μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦが小さい範囲で急激に減少する関数となる。
【0026】
このように、光散乱導光体内の屈折率の不均一構造によって生ずる散乱は、基本的に前方散乱性を示し、相関距離aの値が小さくなると前方散乱性が弱まり、1回の散乱における散乱角度範囲が広がる傾向を持つようになる。この事実自体は、実験的にも確認済みの事項である。
【0027】
以上は光散乱導光体内部に分布した屈折率不均一構造による個々の散乱現象そのものに着目した議論であるが、光散乱導光体の光取出面から実際に出射される光の方向特性を評価する際には、光散乱導光体の内部側から光取出面に入射する光の全反射の現象と光出射時の界面透過率(光散乱導光体からの脱出率)を併せて考慮する必要がある。
【0028】
基礎的な光学理論によって良く知られているように、外部の媒体(空気)に比して相対的に大きな屈折率を有する光散乱導光体の内部側から光取出面に光が入射した場合、光散乱導光体内外の媒体の屈折率によって決まる臨界角αc を入射角α(ここでは、光取出面に対して光散乱導光体内部に向けて立てた法線の方向をα=0°とする。)が上回る場合には、外部(空気層)への出射(脱出)が起らない。
【0029】
本願発明に使用される光散乱導光体の代表的な材料であるPMMA(ポリメチルメタクリレート;屈折率1.492)では、αc =42°となる。後述するように、本願発明で光散乱導光体のマトリックスとして好適に使用される樹脂材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲にあり、これに対応する臨界角αc の範囲は、36.0°〜45.6°となる。
【0030】
従って、本願発明のように光取出面の側方に光入射面をとるケースでは(後述する各実施例参照)、光入射面から入射した光が不均一構造に遭遇して発生した1次散乱光が、直ちに上記臨界角条件を満たして光取出面から外部へ出射されることは極めて起り難いと考えられる。
【0031】
即ち、本願発明が前提とする条件の下では、光散乱導光体内部における多重散乱の効果、光散乱導光体の光取出面側及び背面側の界面あるいはそれに面して配置された反射部材による反射の効果等が複合的に作用し合った結果、上記臨界角条件を満たすに至った光が外部に出射されるという現象が、光取出面からの光出射に大きく関与しているものと考えて良い。
【0032】
そうだとすると、臨界角条件を満たした条件で光取出面方向に伝播する光について考えた場合、光入射面から入射した時点における光の伝播方向性を全体として保存するように作用する前記前方散乱性の効果は、上記複合的な効果によって相当程度薄められ、光の伝播方向分布にかなりの拡がりが生じている筈である。その結果、光散乱導光体から出射される光の方向特性は、臨界角条件を満たした光の光取出面における界面透過率(脱出率)の角度依存性に大きく左右されることになる。
【0033】
一般に、臨界角条件(α<αc )をぎりぎりで満たすような条件における界面透過率は極めて低く(例えば、アクリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分40%程度、S偏光成分20%程度)、入射角αが臨界角αc を下回る量が増えれば界面透過率は急激に上昇し、5°乃至10°以上下回った条件ではほぼ一定となる(アクリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分90%以上、S偏光成分85%以上)。
【0034】
以上のことから、アクリル樹脂(αc =約42°)の場合で言えば、光散乱導光体内部側から光取出面へ入射角α=35°〜40°前後で入射した光が、光散乱導光体の光取出面からの光出射に最も寄与しているものと考えられる。このα=35°〜40°の入射角で光取出面に入射した光は、スネルの法則に従って光取出面で屈折し、光取出面に外部に向けて立てた法線に対して65°±10°程度の範囲内に収まる方向(即ち、光取出面表面に対して15°〜35°程度立ち上がった方向)へ出射されることになる。
【0035】
光散乱導光体にアクリル樹脂以外の材料を使用した場合でも、実際的な材料の屈折率の範囲は1.4〜1.7の程度であるから、上記角度に数度程度のずれを見込めば、同様の議論が成立する。
【0036】
但し、ここで注意すべきことは、相関距離aの値が余り小さくなると、個々の散乱における前方散乱性そのものが薄れてしまい、一次散乱のみで後方散乱を含む広角度範囲の散乱光が発生するようになる為に、この指向性がぼやけてしまうことである。本願発明では、このような指向性鈍化現象を顕著に示さないような特性を有する光散乱導光体を使用する。以下、このような光散乱導光体を「指向出射性」の光散乱導光体と呼ぶことにする。
【0037】
本願発明が光散乱導光体の相関距離aについて指定している範囲(0.06μm≦a≦35μm)には、この条件が考慮に入れられている。光散乱導光体として、ポリマーマトリックス中に異屈折率粒子を均一に分散させたものを使用する場合には、前記(9)式から、上記相関距離の範囲は異屈折率粒子径の範囲、0.1μm〜54μmに相当していることが判る。
【0038】
次に、本願発明の偏光化機能付面光源装置に使用される指向出射性の光散乱導光体が楔形断面形状部分を有している意味について説明する。
図3は、本願発明の面光源装置に用いられる光散乱導光体の断面の基本形状を内部における繰り返し反射の様子と共に記したものである。
【0039】
同図において、1は平行光束化素子を構成する指向出射性の光散乱導光体であり、B0 は光源Lから出射され、光入射面2から光散乱導光体1の内部に取り込まれる光を代表する代表光線の進路を示したものである。光源Lは楔形の相対的に断面積が大きい側端部にあたる光入射面2に面して配置されるから、代表光線B0 として図示した如く略水平方向に伝播するものを想定する。
【0040】
この代表光線B0 の挙動を考察してみると、光線B0 は、一定割合で散乱による方向転換を受けながら、光取出面3及び該面に対して傾斜した裏面4で反射を繰り返しながら、光散乱導光体1の厚みの薄い末端部分へ近づいていく。面3,4の表面における内部反射は正反射であるから、個々の反射における入射角と反射角は当然等しい(θ1 ,θ2 ,θ3 ・・・・)。両面3,4の傾斜関係から、光取出面3における各反射について、θ2 >θ4 >θ6 ・・・の関係が成立する。
【0041】
ここで、各反射時における界面透過率を考えてみると、光散乱導光体の指向出射性の説明中で述べたと同様の議論により、θi >αc (臨界角;PMMA−空気界面で42°)の条件では全反射が起こり、θi がαc を下回ると透過率が急上昇し、θi が所定値(PMMA−空気界面で35°前後)以下で透過率はほぼ一定となる。図では、θ2 >αc >θ4 >θ6 の関係によって、出射光B4 ,B6 が生じている様子が描かれている。
【0042】
このような効果は、代表光線B0 (無散乱光)に限らず、1次散乱光や多重散乱光についても類似した形態で生じている筈であるから、全体としては、この効果によって光入射面2から遠ざかる程光取出面3からの光出射率が高められていることになる。この効果を、光入射面2からの距離xの関数f(x)で評価すると、f(x)はxに関する増加関数である。一方、光入射面2に近い部分では光源Lに近いという効果が直接光、散乱光いずれについても働く。この近接効果をg(x)で評価すれば、g(x)はxに関して減少傾向を有する関数とみることが出来る。
【0043】
従って、近接効果g(x)とf(x)が相殺される関係にあり、光散乱導光体1の出射光強度(明るさ)が均一化される作用が生じることになる。また、光散乱導光体1内の光が光取出面3に入射する機会も、楔形状の効果によって入射面2から遠ざかるにつれて増大する傾向を持つと考えられるから、この傾向も上記増加関数f(x)で評価される効果を補強しているものと考えられる。
【0044】
なお、両面3,4のなす角度ψに絶対的な制限は特にないが、明るさのレベル、均一度、指向特性等を考慮した実際的な範囲として、0.5°≦ψ≦6°という値が得られている。また、傾斜した裏面4(場合によっては光取出面3)を曲面とすることにより、反射角θ1 ,θ2 ,θ3 ・・・・の増大推移を制御し、より望ましい特性を実現することも可能である。また、楔形状の断面は必ずしも光散乱導光体1の全体に亙る必要はなく、光源の映り込みによる輝度むらを防止する為に、光入射面2の近傍の傾斜を緩めて平坦化したり、場合によっては逆傾斜部を形成する場合もある。
【0045】
以上述べた断面楔形状の光散乱導光体を採用したことによる効果は、裏面4に沿って反射体5を配置した場合にも同様に成立することは明らかであり、入射面2から入射した光をより遠方まで導光させ、また、光散乱導光体1の指向出射性を乱さないという観点から、反射体5として正反射性を有する反射体を配置することがより好ましい。
【0046】
本発明者は、このような楔形状断面部分を有する指向出射性の光散乱導光体と近似的なブリュースター角条件を利用した偏光分離手段を結合することにより、多重的な偏光化過程が発生し、高い光エネルギ利用効率で光束の偏光化が達成されるという原理を見い出した。本願発明は、この原理に基づいた偏光化機能付の面光源装置を提供したものであり、光散乱導光体とブリュースター角条件を利用した偏光分離手段の組合せ方、それによる多重的な偏光化過程の具体的内容については、次の実施例の中で述べることとする。
【0047】
【実施例】
図4は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第1の実施例を断面図で示したものである。同図中、図3と共通する要素については同じ符号が使用されている。符号1は楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子を表わしており、ここではその材料としてポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたものが使用されている。平行光束化素子1のサイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部6で0.2mmとした。
【0048】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって光を入射させ、光取出面3から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射体で、ここでは銀箔製シートでランプLを取り囲むように配置した。
【0049】
平行光束化素子1の裏面4には、光拡散インキパターンや凹凸拡散面等、強い光散乱を生じさせる為の処理は特に施されていない。符号5は裏面4に対向して配置された銀箔製シートからなる反射体で、裏面4から出射された光を平行光束化素子1内に復帰させるものである。また、空気層7を挟んで平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置には、偏光分離手段としての偏光分離板8が配置され、更にその外側には空気層9を挟んで光出射方向修正素子10が配置されている。符号11は、光出射方向修正素子10の光出射面であり、面光源装置としての光出射面でもある。この面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源として使用する場合には、光出射方向修正素子10の更に外側に液晶表示パネルが配置される。
【0050】
偏光分離板8は、透明な光学材料からなる板状体で構成され、ここでは代表的な光学ガラスであるBK−7(屈折率1.5163)からなる厚さ1mmの平坦な板状部材を使用した。空気層7の屈折率n0 =1として、ブリュースター角の値は56.60°となる。
【0051】
以下、図5及び図6を順次参照図に加え、この偏光分離板8と平行光束化素子1を組み合わせた第1の実施例における偏光化機能の概要について説明する。 図4において、ランプLの放射光及び反射体Rからの反射光は、光入射面2から平行光束化素子1の内部に進入し、平行光束化素子1内部の屈折率不均一構造(ここでは、異屈折率粒子)による散乱を受けながら、平行光束化素子1の末端部6に向けて導光される。その過程において光取出面3から徐々に光が出射されるが、「作用」の欄で述べた理由により、出射光は平行光束化されて明瞭な指向性を有するものとなっている。そこで、この平行光束を光線C0 で代表させ、平行光束化素子1から出射された光の挙動を光線追跡形式で記したものが図5である。
【0052】
「作用」の欄で既述した通り、平行光束化素子1の基材にPMMAを使用したケースでは光取出面3に立てた法線H0 から測って65°前後の方向へ強く光出射が起ることから、代表光線C0 の出射角は65°とする。
【0053】
平行光束化素子1の光取出面3から出射された代表光線C0 は、空気層7を直進して偏光分離板8の下面8aに入射し、偏光分離板8内に進入する光線C1 と反射して再び平行光束化素子1に向かう光線C2 に分割される。光線C1 は面8aで屈折し、偏光分離板8内を直進し、偏光分離板8の上面8bに至り、外部出射光線C3 と内部反射光線C4 に分割される。内部反射光線C4 は更に下面8aに戻り、再度内部反射光線C7 と空気層7へ進む光線C8 に分割される。内部反射光線C7 は上面8bで、再度外部出射光線C9 と内部反射光線C10に分割される。以下、内部反射光線は同様の過程を繰り返す。
【0054】
一方、空気層7を平行光束化素子1へ向かって直進する光線C2 及びC8 は、光取出面3で平行光束化素子1内に再入射する光線C11,C13と反射光線C12,C14 に分割される。反射光線C12,C14 は再度偏光分離板8へ向い、C0 と同様の経路を辿る。
【0055】
このような多重反射/透過のプロセスを通して、光線C0 の光エネルギも各界面3,8a,8bにおいて反射光線と透過光線に分割・分配されるが、その分配割合はP偏光成分とS偏光成分とで大きく異なっている。また、偏光分離板8を構成する厚さ1mmのBK−7板の内部光透過率は99.9%以上であり、その吸収損失は無視出来る程小さい。そこで、光線C0 をP偏光成分のエネルギとS偏光成分のエネルギを100づつ等量に有する偏光度0の自然光とした場合の各光線C1 〜C14の偏光成分別エネルギ量を計算し、その結果を図中に併記した。
【0056】
例えば、光線C0 がC1 とC2 と分割される際には、P偏光成分の透過率は極めて高く98.8%を示すが、S偏光成分の透過率は76.6%しかない。従って、光線C2 は殆どS偏光成分のみに偏光した光となっている。即ち、BK−7のブリュースター角56.60°から10°程度ずれた範囲では、近似的にブリュースター角条件が満たされていると言うことができ、反射光線C2 のS偏光率は極めて高い(もし、C0 の入射角がブリュースター角56.60°に一致すれば、反射光線C2 のS偏光率は当然100%となる)。
【0057】
光線C1 が偏光分離板8の上面8bに入射した場合の偏光成分別反射率も、P偏光成分1.2%、S偏光成分23.4%となる。従って、外部に出射される光線C3 の偏光成分別エネルギ量はP成分97.6、S成分58.7であり、相当程度の偏光度を有していることが判る。同様の計算をC4 以下について行なった値は図中に示されている。それらの数値から明かな如く、光線分割が繰り返されるにつれて、PS各偏光成分のエネルギ量が急激に減少するので、図5に示した光線C3 とC9 から近似的に外部出射光の偏光成分別エネルギ量を見積ると、P偏光成分=97.6、S偏光成分=61.9となる。
【0058】
このように、図5に示された光線のみを考慮した場合でも、相当程度に偏光化された出射光束が得られていることが判るが、本願発明はこのようなプロセスのみに頼って偏光化機能を果たすものではない。本願発明は、平行光束化素子の光取出面に対向して配置される偏光分離手段(第1の実施例ではBK−7板)から平行光束化素子に戻された光(以下、戻り光と言う。)を再利用し、最終的な出射光の偏光度を更に向上させるものである。
【0059】
図5の例で言えば、光線C11とC13に付記された数値に示したように、戻り光はほぼ完全にS偏光となっている。この戻り光は、平行光束化素子1を構成する光散乱導光体内を伝播する過程で再び散乱、反射等のプロセスを経た上で、その大部分が光取出面3から出射される。その際の出射指向性を考察してみると、入射面2から入射した場合程ではないが、やはり全体として図5で右方に向かう前方散乱性は保存されているから、「作用」の欄で述べた原理により、やはり光線C0 の出射方向で代表し得る弱い指向性を有しているものと考えられる。
【0060】
ところで、大半がS偏光成分からなる光線C11(S偏光成分18.2)やC13(S偏光成分10.6)は、平行光束化素子内で上記散乱、反射等のプロセスを経ることによってその偏光方向が乱されることになる。これを偏光スクランブル効果と呼ぶことにすると、この偏光スクランブル効果によって、C11あるいはC13に由来する光取出面3からの出射光のS偏光度はかなり低下しているものとみて良い。もし、偏光スクランブル効果が完全であり、無損失で光取出面3から再出射されると仮定すれば、そのエネルギ量は、C11由来分についてP偏光成分9.1、S偏光成分9.1であり、C13由来分については、P偏光成分5.3、S偏光成分5.3となる。
【0061】
両者を加算すると、P偏光成分=14.4、S偏光成分=14.4となる。この光がC0 と同様の履歴を経るものとすれば、(14.4/100)×97.6=14.1のエネルギ量が偏光分離板8の上面8bからの出射光束のP偏光成分に加算される。従って、このモデルから近似的に評価される最終的なP偏光成分エネルギ量は97.6+14.1=111.7となる。また、S偏光成分エネルギ量は61.9+(61.9/100)×14.1=70.6となる。
【0062】
即ち、本願発明では、平行光束化素子1の光取出面3から出射された光束の一部がS偏光化されて戻り光となり、その少なくとも一部が平行光束化素子1内で無偏光化されて平行光束化素子1の光取出面3から再出射され、再度偏光分離板によるS偏光排除作用を受けるという、リサイクル的な偏光化過程が取り入れられている。それ故、上記事例で説明した如く、少なくとも原理的には、自然光に含まれるP偏光成分を100%以上に増幅する作用を果たさせることも可能である。このような特徴は、本願発明に固有のものであり、以下に述べる各実施例においても共通して備わっている特徴である。
【0063】
なお、上記第1の実施例の説明では平行光束化素子1の(初回の)出射光を出射角65°のC0 で代表させたが、出射角の条件が10°程度変化したとしても現象の本質は殆ど変化しない。図6は、これを理解する為のグラフで、横軸にBK−7板への入射角(=光取出面3からの出射角)をとり、縦軸にP,S各偏光成分の1回透過の透過率(8bからの全出射エネルギ/8aへの全入射エネルギ;戻り光の再入射は考えない。)をとったものである。グラフから判るように、55°〜75°のほぼ全域に亙ってP偏光成分の透過率は約80%を越えており、S偏光成分の透過率はそれを約20%以上下回っている。従って、光取出面3からの出射光束の伝播方向に多少の拡がりあるいはずれがあっても、上記説明の本質的な部分に変更を要しないことは明らかである。
【0064】
第1の実施例に関してここまで述べたことから判るように、光源L、平行光束化素子1及び偏光分離手段(第1の実施例ではBK−7からなる偏光分離板)8が、偏光化された光束を得る面光源装置を構成する為の基本的な構成要件となっている。しかし、上記偏光化のプロセスの説明からも判るように、代表光線C0 の大きな出射角(ここでは、65°)で特徴付けられる指向性が偏光分離手段8からの出射光束についても強く残っており、通常の用途(液晶表示装置のバックライト光源等)で要求されることの多い正面方向あるいはこれに近い方向に光を出射する面光源装置を提供する上で好ましいとは言えない。
【0065】
図4に示されているように、偏光分離板8の外側に配置される光出射方向修正素子10は、このような要求に応えるもので、プリズム作用を通して偏光分離板8の光出射面8bから出射される指向性の光束の伝播方向を正面方向に修正する機能を有している。以下、図7(A),(B)を参照図に加えて、この光出射方向修正素子の光出射方向修正機能について説明する。
【0066】
図7(A)は、光出射方向修正素子の典型的な構造と配置を説明する図、図7(B)は変形型の配置を示したものであり、両図は図4,図5に示した配置における偏光分離板及び光出射方向修正素子の周辺部分を抽出拡大した断面図に、光線C3 ,C9 の追跡経路を併記した形で提示されている。
両図において、光出射方向修正素子10,10’は、例えばポリカーボネート(PC;屈折率npr=1.59)のような光学材料からなり、一方の面に多数のプリズム面10a,10b(頂角θpr)あるいは11a,11b(頂角θ'pr )が形成されている。光出射方向修正素子10,10’は、そのプリズム形成面を図7(A)のように光入射面とするか、逆に図7(B)のように光取出面として使用する。
【0067】
先ず、図7(A)では、前記の図5の関連説明から、偏光分離板8の光取出面8bに対して65°の出射角で出射されるように描かれているC3 ,C9 は、前記代表光線C0 に由来して偏光分離板8から出射される光束をほぼ代表しているものと考えられる。これら代表光線C3 ,C9 は、空気層9(屈折率n0 =1.0)を直進した後、光出射方向修正素子10のプリズム面10aに垂直に近い角度で入射する。
【0068】
プリズム面10aと相反する側のプリズム面10bに入射する光量の割合は相対的に小さいと考えることが出来るから、代表光線C3 ,C9 はプリズム面10bまでほぼ直進して正反射され、光出射方向修正素子10の平坦な光取出面11に対して垂直に近い角度で入射し、該面11から垂直方向に近い角度で出射する光束Dとなる。
【0069】
入射側のプリズム面10aの傾斜角θa を、光束C3 ,C9 がほぼ垂直に入射するように設定すると共に(ここではθa =25°)、他方のプリズム面10bの傾斜角θb を内部反射光が平坦な光取出面11にほぼ垂直に入射するように設定(ここではθb =65°/2=32.5°)すれば、光束Dの方向を垂直方向により正確に一致させることが出来る。このように、プリズム面の形成角度を選択することを通して、光束Dの方向特性を調整することが可能である。
【0070】
次に、図7(B)は、光出射方向修正素子10’をそのプリズム面11a,11bが外側に向く配置とした場合について、代表光線C3 ,C9 の挙動を説明した断面図であり、図7(A)の場合と同様に、代表光線C3 ,C9 は、空気層9(屈折率n0 =1.0)を直進した後、光出射方向修正素子10’の平坦面10’aに対して傾斜した角度で入射し、上方に向けて屈折され、その大半は反対側のプリズム面11a から垂直に近い角度で光束D’として出射される。光出射方向修正素子10’を構成する材料の屈折率やプリズム面11a,11bの傾斜角θ'a ,θ'bの値によっては、プリズム面11aから一旦空気中に出射された上で対向するプリズム面11bで正反射されて正面方向へ向かう光路が利用される場合もある。
【0071】
このように、図4の配置に、図7(A),(B)いずれの配置を適用した場合にも、偏光分離板8からの出射光の方向特性や光出射方向修正素子を構成する材料と関連させて各プリズム面の傾斜角等を適当に選択することにより、相当程度の範囲に亙って光の出射方向を制御出来る。
【0072】
なお、光出射方向修正素子10,10’は、図示したように列状にプリズム面が形成されたものに限らず、いかなる型のものを使用しても良い。例えば、三角錐状あるいはドーム状の突起群を分布させたフィルム、かまぼこ形断面を有する列状凸部を有する板状素子等が考えられる。また、複数枚重ねて使用することも考えられる。
【0073】
次に、本願発明の第2の実施例について説明する。図8は、図4と同様の形式で本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第2の実施例を表わしたものである。同図中、図4と共通する要素には同じ符号が使用されており、この第2の実施例は、偏光分離手段8,8’に関連した部分を除いて第1の実施例と全く同じ構成を備えている。そこで、この共通部分については説明を省き、偏光分離手段に関連した部分に絞って説明を行なうこととする。
【0074】
第2の実施例において採用される偏光分離手段は、平行光束化素子1の光取出面3に沿って平行配置される2枚の偏光分離板8,8’を備えている。各偏光分離板8,8’は吸収損失の少ない光学材料からなるもので、ここでは、共に板厚1mmのPMMA(ポリメチルメタクリレート;屈折率1.492、ブリュースター角=56.17°;内部透過の吸収損失は0.01%以下で、BK−7の場合と同様、無視出来る。)の板状部材を用いた。
【0075】
内側の偏光分離板8と外側の偏光分離板8’は適当なスペーサ(図示省略)によって互いに0.5mm離隔配置され、その間隙に空気層9が確保されている。
【0076】
また、外側の偏光分離板8’の外側には、第1の実施例と同様な光出射方向修正素子10が空気層9’を挟んで配置されている。
【0077】
図9は、この2枚の偏光分離板8,8’と平行光束化素子1を組み合わせた第2の実施例における偏光化機能の概要について説明する図である。図5の場合と同様に、平行光束化素子1の光取出面3から出射される平行光束を出射角65°の光線C0'で代表させ、平行光束化素子1から出射された光の挙動が光線追跡形式で記されている。また、各光線分岐時に伝播されるエネルギ量が、図5の場合と同じ表記法に従って併記されている(光線C0'のP偏光成分=S偏光成分=100)。
【0078】
代表光線C0'は、空気層7を直進して1枚目の偏光分離板8の下面8aに入射し、偏光分離板8内に進入する光線C1'と、反射して再び平行光束化素子1に向かう光線C2'とに分割される。各光線C1',C2'は、以後、図示したような種々の分岐経路を辿って、一部は空気層9を経て2枚目の偏光分離板8’の内側面8a’へ向い、一部は平行光束化素子1へ戻り光として入射する。
【0079】
この間の経緯は、2枚目の偏光分離板8’が関与しない部分に関する限り、図5で示した第1の実施例の場合と全く同様であるから、詳しい説明は省略する。但し、PMMAからなる偏光分離板8の屈折率がここでは第1の実施例の場合(BK−7)と若干異なる為に、各界面8a,8bの入出射時における屈折角がやや変化し、それに応じてP偏光成分とS偏光成分についての分岐割合が少量だけ変わっている。
【0080】
1枚目の偏光分離板8から出射された光線C3'は、2枚目の偏光分離板8’の内側面8’aに到達し、偏光分離板8’の内部へ進入する光線C2"とC1"に分割される。以後の経路は、1枚目の偏光分離板8の場合とほぼ同じであるが、偏光分離板8’の内部から内側面8’aを通って空気層9へ出た光線の相当部分が1枚目の偏光分離板8の外側面8bへ入射し、一部がその内部へ戻り、一部が反射されて2枚目の偏光分離板8’へ再度向かうという経路が多重的に形成されることに注意することが必要である。この間に1枚目の偏光分離板8へ戻った光の一部が更に平行光束化素子1へ戻る現象も僅かではあるが生起されている筈である。
【0081】
以上、述べたように、2枚(あるいはそれ以上の)偏光分離板8,8’を偏光分離手段として配置した場合には、光線経路は極めて複雑に分岐したものとなるから、最終的に2枚目の偏光分離板8’の外側面から出射されるP,S各偏光成分の量を厳密に計算することは困難である。
【0082】
そこで、光線経路が分岐する度に伝播されるエネルギ量が逓減されることを利用して、図示された経路の範囲で近似計算を行なうと、光線C"3〜C"6の各数値の積算値から、P偏光成分=94.9、S偏光成分=46.7と評価される。
【0083】
これを第1の実施例における対応数値、P偏光成分=97.6、S偏光成分=61.9と比較してみると(偏光分離板の材料の違いの影響は小さいことに注意。)、P偏光成分が抽出・保存状態はいずれの場合にも良好である一方、S偏光成分が大幅に低下していることが判る。
【0084】
この事実からも判るように、平行光束化素子1から65°前後で出射された光を1枚またはそれ以上の枚数の偏光分離板を介して取り出す場合には、1枚の偏光分離板の介在毎に、P偏光成分の大半を保存しながらS偏光成分の約3割〜4割程度が排除されて行く。
【0085】
そして、本願発明における偏光分離板の偏光化作用は、実施例1に関連して既に述べたように、このP偏光保存/S偏光排除現象に加えて、S偏光成分に富んだ戻り光が平行光束化素子内に復帰して偏光状態がスクランブルされた後に偏光分離板(1枚あるいは2枚以上)のP偏光保存/S偏光排除作用を再度受けるというリサイクルプロセスを通して、P偏光成分がより富化されるという現象を巧妙に利用したものである。
【0086】
第2の実施例における戻り光量(S偏光成分)を評価すると、図9に併記したデータから、17.5+10.4+7.4+4.8=40.1となる。平行光束化素子1の偏光スクランブル作用が完全であれば、約20のP偏光成分を有する平行光束化素子再出射光が得られる。その94.9%が保存されて2枚目の偏光分離板8’から出射されれば、約19の偏光成分が上乗せされる。これを戻り光除外評価分の94.9に加算すれば、最終的に約114のP偏光成分を含む偏光出力が得られることになる。
【0087】
なお、偏光分離板を2枚使用した程度では、光線C3"〜C6"等からなる出射光束の指向性が大きく崩れることは無い。従って、この第2の実施例においても、2枚目の偏光分離板8’の次段に配置された光出射方向修正素子10によって、第1の実施例の場合とほぼ同等の光出射方向修正作用が発揮されることになり、光出射方向修正素子10の光出射面11から正面方向に伝播する偏光化光束を出射させることが出来る。
【0088】
次に、上記各実施例で利用されている偏光分離板について、光入射時のブリュースター角条件の満足度をより向上させるよう更に工夫を加えた本願発明の第3の実施例について述べる。なお、この実施例の全体構成は偏光分離板自体の構造を除き、図4に示した第1の実施例と同様であるから、ここでは全体構成の説明は省略し、図4あるいは図5における平板型の偏光分離板8を図10に示した波形の断面構造を有する偏光分離板8”(以下、「波形偏光分離板」と呼ぶ。)に読み換えると共に、同図に併記した如く、平行光束化素子1からの出射光束を出射角65°の代表光線C0 で代表させて説明を行なう。
【0089】
図10(A)には、波形偏光分離板8”の断面形状が示されており、図示された通り、比較的短い急斜面部分81,83と比較的長い緩斜面部分82,84の繰り返しからなる等厚の波型形状を呈している。この波形偏光分離板8”を構成する材料としては、適当な屈折率を有する透光性の素材が利用されるが、ここではPMMA(ポリメチルメタクリレート;屈折率1.492、ブリュースター角56.17°)が使用されている。
【0090】
図10(B)は、図10(A)中に○印で囲まれた部分(繰り返し形状の1単位分)を拡大描示したもので、平行光束化素子1からの出射光束を代表する光線C0 の光線追跡図が併記されている。本実施例の本質的な特徴は、緩やかな斜面部分の入射側82の傾斜が、代表光線C0 に対してブリュースター角条件を満たすように選択されていることである。ここでは、平行光束化素子1の光取出面3に立てた法線Nに対して65°の出射角を持つ代表光線C0 が面82に入射する際の入射角がブリュースター角56°(概算)に合致するように、面82の傾斜角が光取出面3と平行な面Mに対して9°に設定されている。
【0091】
即ち、この角度条件の下では、代表光線C0 から分岐した反射光線R1 に含まれるP偏光成分は理論的には0であり、すべてのP偏光成分が面82を透過することになる。特に、第1あるいは第2の実施例との比較で言えば、平行光束化素子1の光取出面3からの出射角が直角に近い(より寝た方向の)光に対してもP偏光成分の面82,84の透過率が高いという利点がある。
【0092】
波形偏光分離板8”内部に進入したP偏光成分を多く含んだ光線T1 は、対向傾斜面84で内部反射光線T2 と65°の出射角を持った出射光線T3 に分岐するが、内部反射光線T2 にP偏光成分は殆ど含まれない(図5中の光線C2 あるいは図9中の光線C2'に付記されたデータ参照)。
【0093】
内部反射光線T2 は、更に面82で内部反射光線T4 と平行光束化素子1へ向かう光線R2 に分岐する。以下、多重的に繰り返される内部反射/出射のプロセスは、第1の実施例(特に、図5)で説明したものと類似したものであり、プロセスの進行に伴って運ばれるエネルギ量は急激に小さくなる。
【0094】
従って、この実施例の構成によれば、偏光分離板8”を配置したことによるP偏光成分の損失量が極めて小さくなるという特徴があり、第1,第2の実施例で説明したと同様の戻り光に対する偏光スクランブル効果と平行光束化素子1からの再出射によるP偏光成分の更なる上乗せと相俟って、P偏光成分をより多く含む出射光を生成することが出来る。この面84からの出射光に対して光出射方向修正素子10を配置すれば、前記第1,第2の実施例と同様の光出射方向修正が行われることは言うまでもない。
【0095】
急斜面81,83の傾斜角については、平行光束化素子1からの出射光が可能な限り光が入射しないよう代表光線C0 の方向に平行となるような角度に設定されることが望ましい。ここでは、90°−65°=25°とされている。急斜面81,83と緩斜面82,84の繰り返し周期について特に制限は無いが、一般には、稜線部85,86間で測った厚みを抑え、面光源として明かさの均一性を保つという観点から、短い周期とすることが好ましい。ここでは、稜線部85,86間で測った厚さが0.5mmとなるような繰り返し周期が選ばれている。
【0096】
次に、偏光分離手段として異屈折率材料からなる多層膜を備えた偏光分離板を利用した本願発明の第4の実施例について説明する。なお、この実施例の全体構成も、偏光分離板自体の構造を除き、図4に示した第1の実施例と同様であるから、ここでは全体構成の説明は省略し、図4あるいは図5における平板型の偏光分離板8を、図11に示した多層膜型偏光分離板18に読み換えた構成を想定するものとする。
【0097】
また、図11中に併記されているように、平行光束化素子1からの出射光束の出射角がやや高角度側(寝た方向)にずれた場合を想定し、70°の出射角を持つ代表光線D0 で代表される状態にあるものとして説明を行なう。(「作用」のの欄で説明したように、平行光束化素子1の光取出面3からの出射光束の出射方向の中心は、平行光束化素子1を構成する光散乱導光体の屈折率や相関距離aの値等によって、数度から10度程度の変動幅がある。)
多層膜型偏光分離板は、各隣り合う層の材料に屈折率の異なる透明材料を使用するという条件で、数層(原理的には最低2層)〜数10層の薄膜を積層形成した構造を有し、図11にはその3層分の断面と代表光線D0 の主要光路が例示されている。多層膜型偏光分離板18は、入射側から順に二酸化チタン(TiO2 ;屈折率n1 =2.3)層181、二酸化珪素(SiO2 ;屈折率n2 =1.46)層182、二酸化チタン(TiO2 ;屈折率n3 =n1 =2.3)層183で構成されており、以下、総層数に合わせて二酸化チタン層と二酸化珪素層が交互に積層された構造を有している。屈折率が更に異なる材料の層を積層させることもあり得る(例えば、二酸化ジルコニウムZrO2 、一般の酸化数を持った酸化チタンTiOx の層)。
【0098】
このような多層膜型の偏光分離板18の偏光分離原理は、異屈折率材料間に形成される界面におけるS偏光成分とP偏光成分の反射特性の違いを利用したものであり、その点では、前述の第1〜第3の実施例における偏光分離板手段と共通した特徴を有していると言うことが出来る。
【0099】
図11に描かれているように、平行光束化素子1からの出射光束を代表する代表光線D0 が、空気層7(屈折率n0 =1.0)からS偏光成分Is =100、P偏光成分Ip =100の相対強度を以て第1層181に入射すると、層181の内部へ進入する光線D1 と反射光線D2 が生じる。
【0100】
その際の反射率は、S偏光成分についてはRs =51.8%であるが、P偏光成分についてはRp =0.55%と極めて小さい。即ち、S偏光成分は半分程度しか第1層181内に進入出来ないが、P偏光成分についてはほぼその全量が界面を通過して第1層181内に進入する。
【0101】
この光線D2 が第2層との界面に到達すると、再び光線D3 とD4 に分岐する。その際の反射率は、Rs (S偏光成分)=9.3%、Rp (P偏光成分)=1.9%である。即ち、S偏光成分の9割程度が第2層182内に進入する一方、P偏光成分についてはその大半が界面を通過して第2層182内に進入することになる。
【0102】
同様に、第2層182と第3層183の界面においては、D5 とD6 の分岐が起こり、その際の反射率はRs (S偏光成分)=9.3%、Rp (P偏光成分)=1.9%となる。
【0103】
このように、各界面に遭遇する度にP偏光成分の大部分が次層へ伝播されていくのに対し、S偏光成分の相当部分が排除されていくという現象が起る。多重反射及び吸収損失の効果は小さいとして、本事例における第3層進入時の偏光成分の見積りを行なうと、S成分;Is =39.7,P成分;Ip =95.7という値が計算される。層数が更に増えれば、各数値Is ,Ip は等比数列的に減少すると考えられる。
【0104】
その際の平均的な公比をrs (S偏光成分),rp (P偏光成分)とすれば、rs <rp であり、rp は1を僅かに下回る程度となる。
従って、多層膜型偏光分離板18を構成する層の総数が多い程P偏光成分の「純度」は高くなると考えられる。このような傾向は、代表光線D0 の出射角が70°である場合に限らず、相当幅広い角度条件の下で成り立つものである。
【0105】
図12〜図14は、これを説明する為のグラフで、本実施例の層構成における各界面の光透過率がP偏光成分、S偏光成分に分けて記されている。これらのグラフから直ちに読み取れるように、代表光線D0 の層181への入射角が70°から10°程度ぶれたとしても、各界面におけるP偏光成分の透過率は100%に近いままであり、且つ、S偏光成分の透過率はP偏光成分の透過率を一貫して下回っている。
【0106】
これは、上記多層膜型偏光分離板のP偏光成分純化機能が特殊な条件下だけで成立するものではないことを物語っている。
以上のことから、本実施例のような多層膜型の偏光分離板を利用した構成は、高い偏光度(P偏光成分の純度)の出射光を必要とするケースに適した特徴を備えていることが判る。
【0107】
参考の為に、図15に実証データの1例を示した。これは厚さ1mmの光学ガラス板BK−7(屈折率1.5163)上に、TiOx (屈折率2.3前後)、SiO2 (屈折率1.46)及びZrO2 (屈折率2.0)からなる多層膜を真空蒸着により形成した偏光分離板について、日立製作所製の分光光度計U−3200を用いて、偏光分離機能を入射角度を55°〜70°まで変えながら測定した結果を示したものである。このグラフから容易に読み取れるように、可視光の全域に亙って高い偏光分離機能が発揮されていることが判る。また、入射角が大きい方が偏光分離機能が高いという傾向も読み取ることが出来る。
【0108】
なお、本実施例においても、第1,第2の実施例等で説明したと同様の戻り光に対する偏光スクランブル効果と平行光束化素子1からの再出射によるP偏光成分の増強作用が発揮されることや、多層膜型偏光分離板18の後段に光出射方向修正素子10を配置することによって光出射方向の修正を行えるということは言うまでもないことである。
【0109】
ここまでに説明した第1〜第4の実施例は、偏光分離手段の構成についてのバリエイションに関連したものであるが、次に説明する第5〜第7の実施例は偏光分離手段から平行光束化素子内に復帰した戻り光に対してS偏光成分をP偏光成分に変換する作用を強化する為の付加構成に関連したものである。即ち、第5〜第7の実施例の本質的な部分は、既述の第1〜第4のいずれの実施例とも組み合わせ得る性質を有しており、従って、各実施例に関する記述中の「偏光分離板8(第1の実施例に記載)」は、これを適宜他の第2〜第4の実施例に開示された型のものに置き換えても差し支えない。このような前提の下で、以下、各実施例について説明する。
【0110】
先ず、戻り光のS偏光成分をP偏光成分に変換する為の偏光スクランブル作用強化手段(以下、「補強スクランブラ」と言う。)として、高散乱能を有する平板状の光散乱導光体を用いた例として、第5の実施例について説明する。
【0111】
図16は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第5の実施例を断面図で示したものである。楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子1は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたもので構成されている。平行光束化素子1のサイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部6で0.2mmとした。
【0112】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって光を入射させ、光取出面3から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射手段で、ここでは銀箔製シートでランプLを取り囲むように配置した。
【0113】
空気層7を挟んで平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置には、偏光分離手段としての偏光分離板8が配置され、更にその外側には空気層9を挟んで光出射方向修正素子10が配置されている。符号11は、光出射方向修正素子10の光出射面であり、面光源装置としての光出射面でもある。この面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源として使用する場合には、光出射方向修正素子10の更に外側に液晶表示パネルが配置される。
【0114】
偏光分離板8は、光学ガラスBK−7からなる厚さ1mmの平坦板状体で構成されている。以上の構成は、第1の実施例と同一であり、また、その作用も基本的には変わらないので、ここでは詳しい説明を省略する。
本実施例が第1の実施例と異なっているのは、平行光束化素子1の裏面4に沿って、偏光分離板8から平行光束化素子1内に復帰した戻り光に対する偏光スクランブル作用を強化する為の補強スクランブラSRが設けられている点である。この補強スクランブラSRは、平行光束化素子1の全体あるいは楔形状末端部6の近傍の厚みが、散乱能の強さとの関連で不十分な為に偏光スクランブル作用が不足することを防止する為の素子である。
【0115】
従って、平行光束化素子1を構成する光散乱導光体よりも強い散乱能が与えられた材料を使用する。ここでは、平行光束化素子1と同種の材料の散乱能を強化したものとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.5wt%の割合で一様に分散させたものを使用した。補強スクランブラSRの大きさは、平行光束化素子1の裏面4に合わせたものとし、厚さは1mmとした。
【0116】
このような構成により、平行光束化素子1から補強スクランブラSR内に相当量の光が進入し、屈折率不均一構造(ここでは、異屈折率粒子材料)による異方性散乱作用を受けて、S偏光成分がP偏光成分に変換される。そして、この光はその強い散乱能に対応した充分な偏光スクランブル作用を受けた後に平行光束化素子1内に復帰するから、特に末端部6の近傍において不足しがちな偏光スクランブル作用を補強することが出来る。
【0117】
従って、戻り光が偏光分離板8へ向けて再出射される際のP偏光成分が50%に近づくことになり、最終的な出射光束に含まれるP偏光成分量が富化される結果をもたらす。なお、符号5は補強スクランブラSRの外側に設けられた銀箔製の反射体であり、補強スクランブラSRの外側から光量が無駄に放散されるのを防止する。
【0118】
次に、第5の実施例における平板状の補強スクランブラSRを楔形の補強スクランブラSR’として、平行光束化素子1に対して相補的な配置をとらせたのが図17に示した第6の実施例である。この実施例では、平行光束化素子1の厚さの大小に対応した偏光スクランブル作用の強弱が、相補的に配置された楔形補強スクランブラSR’の作用によって埋め合わされ、面光源装置の偏光機能がより均一化される。楔形の補強スクランブラSR’の大きさは、平行光束化素子1の裏面4に合わせたものとし、厚さは最厚部で4mm、最薄部で0.2mmとした。
【0119】
なお、この実施例の全体構成は、補強スクランブラSR’の形状を除いて第5の実施例と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0120】
更に、図18は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第7の実施例を断面図で示したものである。楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子1は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたもので構成されている。平行光束化素子1のサイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部6で0.2mmである。
【0121】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって光を入射させ、光取出面3から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射手段で、ここでは銀箔製シートでランプLを取り囲むように配置した。
【0122】
空気層7を挟んで平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置には、偏光分離手段としての偏光分離板8が配置され、更にその外側には空気層9を挟んで光出射方向修正素子10が配置されている。符号11は、光出射方向修正素子10の光出射面であり、面光源装置としての光出射面でもある。この面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源として使用する場合には、光出射方向修正素子10の更に外側に液晶表示パネルが配置される。
【0123】
偏光分離板8は、光学ガラスBK−7からなる厚さ1mmの平坦板状体で構成されている。以上の構成は、第5,第6の実施例の場合と同様に第1の実施例と同一であり、また、その作用も基本的には変わらないので、ここでは詳しい説明を省略する。
本実施例が第1の実施例と異なっているのは、平行光束化素子1の裏面4に沿って、可視光の全域に亙って2分の1波長板として作用する位相差板HWを配置し、更にその外側に銀箔からなる反射体5を設けている点である。この位相差板の遅相軸方向は、平行光束化素子1の縦横稜線に対して45°傾斜するように設定されている。また、その厚さは、偏光分離板8からの戻り光が平行光束化素子1内をほぼ直進して裏面4から透過した場合に、π/2の位相差(Δn・d;ここで、Δnは位相差板HWの複屈折値、dは光路長)を与えるように調整されている。戻り光を図5の代表光線C0 (出射角65°)に由来したものとすれば、位相差板HWへの入射角を計算すると約60°となるから、この60°の入射角の光線について、上記位相差が与えられることになる。
【0124】
今、偏光分離板8からの戻り光の内偏光スクランブル作用を殆ど受けていない成分に注目すると、この成分は、上記前提にある直進性の戻り光に対応していると考えられるから、位相差板HWはS偏光成分に対して特に有効な2分の1波長板として機能する。即ち、直進性の戻り光は、平行光束化素子1の裏面→位相差板HW→反射体5→位相差板HW→平行光束化素子1の裏面4、という経路を辿ることによってP偏光成分に富んだ光に変換される。
【0125】
この光は、平行光束化素子1の有する前方散乱性の効果(「作用」の説明の欄を参照)によって、その多くが平行光束化素子1から、再度65°前後の出射角を以て出射される。この光のP偏光成分の大半は偏光分離板8で反射されることなく、偏光化された光として面光源装置から出射される。この偏光変換作用は、平行光束化素子1の持つ偏光スクランブル作用と同時に発揮されるから、全体としてP偏光成分のエネルギに富んだ偏光光束が得られることになる。
【0126】
なお、以上の各実施例においては光源Lとして棒状の蛍光灯を使用したが、本願発明における光源は広義には光供給手段であれば良く、必ずしも自身が発光能力を有する必要はなく、例えば、他の発光素子に結合された光ファイバ束の出射端などであっても構わない。その偏光特性についても特に制限はなく、レーザ発振に由来した光のように特定の偏光特性を有する光を供給した場合でも、本願発明の本質的な偏光化作用自体が損なわれることは無い。
【0127】
ところで、既に触れたように、本願発明の偏光化機能付面光源装置の特徴が極めて有効に生かされる代表的な事例として、液晶表示装置のバックライト光源手段への適用がある。即ち、従来の面光源装置には本願発明の偏光化機能付面光源装置のような偏光化機能が備わっていないために、液晶表示パネルの光入射側に設けられている偏光板によって面光源装置の出射光の光エネルギの約半分が遮断されて無駄になる現象が生じていたが、本願発明の偏光化機能付面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源手段に採用すれば、バックライト光源出射光束の偏光方向と偏光板の偏光軸方向が平行となる配置をとるだけで、表示に有効に寄与する光エネルギの割合を格段に向上させることが出来る。
【0128】
図19は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源手段として使用した場合の基本的な配置を要素分解斜視図で示したものである。この実施例では、バックライト光源手段として先に説明した本願発明の第1の実施例(図4参照)に示したものと同じ型の偏光化機能付面光源装置が使用されており、共通する要素については同じ符号で指示がなされている。
【0129】
即ち、符号1は楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子で、ここではポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.08wt%の割合で一様に分散させた材料からなるものが使用されている。この条件で有効散乱照射パラメータE及び相関距離aを計算すると、E=7.39[cm-1],a=1.3μmとなる。また、平行光束化素子1のサイズは使用する液晶セルのサイズに合わせて、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面側の端部で4.0mm、末端部で0.2mmとした。
【0130】
Lは平行光束化素子1の入射面から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって入射した光は、光取出面3から平行化された光束として取り出される。Rは入射面から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射体で、銀箔製シートが使用されている。
【0131】
平行光束化素子1の裏面4には、光拡散インキパターンや凹凸拡散面等、強い光散乱を生じさせる為の処理は特に施されておらず、銀箔製シートからなる反射体5が配置されている。
【0132】
符号8は平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置に配置された偏光分離板8であり、更にその外側には光出射方向修正素子10が配置されている。偏光分離板8には、光学ガラスBK−7(屈折率1.5163)からなる厚さ1mmの平坦な板状部材を使用した。また、光出射方向修正素子10はポリカーボネート(PC;屈折率1.59)からなるものを使用し、そのプリズム形成面を偏光分離板8の方向に向けて配置した。
【0133】
これら要素からなる偏光化機能付面光源装置で構成されるバックライト光源部の光出射側には、2枚の偏光板12,14とその間に配置された液晶セル13からなる液晶表示パネルが配置される。光入射側の偏光板12の透過偏光軸の方向は図中で水平方向を向くように設定される一方、光出射側の偏光板14の透過偏光軸の方向は図中で鉛直方向を向くように設定されている。
【0134】
既に詳しく説明したように、光源L、平行光束化素子1、反射体R,5、偏光分離板8及び光出射方向修正素子10からなる偏光化機能付面光源装置から出射される光束は、高い偏光度を有しており、また、図中破線で示した方向に沿った指向性を有すると共に、平坦度の高い光強度プロファイルを有している。
【0135】
平行光束化素子1と偏光分離板8を利用した偏光化プロセスの説明部分で明らかにしたように、偏光化機能付面光源装置から出射される光束はP偏光化されているから、図示された配置条件では、その主たる偏光軸が図中水平方向を向くことになる。従って、バックライト光束として偏光板12に入射した光の内、偏光板12を透過する光量の割合が大きくなり、少なくとも原理的には、50%を越える光透過率が確保される。
【0136】
このような特徴は、液晶パネル入射側の偏光板の透過偏光軸の方向をどのように選択しても光エネルギの少なくとも50%が無駄になっていた従来の構成では全く期待出来なかったものである。
【0137】
なお、本実施例では、バックライト光源手段として第1の実施例の型の偏光化機能付面光源装置を使用した例を説明したが、他の実施例に示した型のものを使用しても、同様の液晶表示装置を構成出来ることは言うまでもない。
【0138】
また、使用される平行光束化素子の散乱特性について要求される基本的な条件は特許請求の範囲に記載した通りであるが、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ワープロ、テレビジョン等のディスプレイ用に需要度が高いパネルサイズ3インチ〜10インチの液晶表示装置のバックライト光源手段としての用途を考えた場合には、有効散乱照射パラメータE及び相関距離aが次の範囲にある時に特に好ましい結果がもたらされることが確かめられている。
・有効散乱照射パラメータE;2.77[cm-1]≦E≦9.24[cm-1]
・相関距離a;a≦7μm
最後に、本願発明において、平行光束化素子あるいは補強スクランブラとして使用される光散乱導光体の材料及び製造方法について説明する。
本願発明で使用する光散乱導光体のベースとしては、種々のポリマー材料が利用可能である。これらポリマーの代表的なものを下記の表1及び表2に示した。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
このようなポリマー材料をベースとする光散乱導光体は、次のような方法によって製造することが可能である。
先ず、その1つは、2種類以上のポリマーを混練する工程を含む成形プロセスを利用する方法である。
即ち、2種類以上の屈折率の相互に異なるポリマー材料(任意形状で良い。工業的には、例えばペレット状のものが考えられる。)を混合加熱して、練り合わし(混練工程)、混練された液状材料を射出成形機の金型内に高圧で射出注入し、冷却固化することによって成形された平行光束化素子を金型から取り出せば金型形状に対応した形状の平行光束化素子を得ることが出来る。
【0141】
混練された2種類以上の異屈折率のポリマーは完全には混ざり合うことなく固化するので、それらの局所的濃度に不均一(ゆらぎ)が生まれて固定され、一様な散乱能が与えられる。
また、混練された材料を押し出し成形機のシリンダー内に注入し、通常のやり方で押し出せば目的とする成形物を得ることが出来る。
【0142】
これらポリマーブレンドの組合せや混合割合については、非常に幅広い選択が可能であり、屈折率差、成形プロセスで生成される屈折率不均一構造の強さや性質(散乱照射パラメータE、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等)を考慮して決定すれば良い。なお、使用し得るポリマー材料の代表的なものは前記表1及び表2に示した通りである。
【0143】
光散乱導光体を構成する材料の製造法の別の1つは、ポリマー材料中に屈折率の異なる(0.001以上の屈折率差)粒子状材料を一様に混入分散させるものである。
そして、粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の1つにサスペンション重合法と呼ばれる方法がある。即ち、粒子状材料をモノマー中に混入し、湯中に懸濁させた状態で重合反応を行なわせると、粒子状材料が一様に混入されたポリマー材料を得ることが出来る。これを原材料に用いて成形を行なえば、所望の形状の光散乱導光体が製造される。
【0144】
また、サスペンション重合を種々の粒子状材料とモノマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)について実行し、複数種類の材料を用意しておき、これを選択的にブレンドして成形を行なえば、多様な特性の光散乱導光体を製造することが出来る。また、粒子状材料を含まないポリマーをブレンドすれば、粒子濃度を簡単に制御することが出来る。
【0145】
粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の他の1つは、ポリマー材料と粒子状材料を混練するものである。この場合も、種々の粒子状材料とポリマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)で混練・成形(ペレット化)を行なっておき、これらを選択的にブレンドして光散乱導光体を成形製造することにより、多様な特性の光散乱導光体を得ることが出来る。
【0146】
また、上記のポリマーブレンド法と粒子状材料混入方法を組み合わせることも可能である。例えば、屈折率の異なるポリマーのブレンド・混練時に粒子状材料を混入させることが考えられる。
【0147】
以下、製造法の幾つかの実例を挙げておく。
<製造例1>
メタクリル樹脂のペレット(旭化成製、デルベット80N)に粒径0.8μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール108)を0.3wt%添加し、ミキサーで混合分散させた後、押し出し機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散されたペレットを調製した。
【0148】
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度230゜C〜260゜C、型温度50゜Cの条件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の光散乱導光体を得た。
【0149】
製造された光散乱導光体の相関距離はa=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式による見積計算値はE=12.6[cm-1]であった。
【0150】
<製造例2>
MMAに粒径0.8μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール108)を0.3wt%添加し、公知のサスペンション重合法により、該粉体が均一に分散した球状粒子を得た。これを製造例1と同様にペレタイザーでペレット化することにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散されたペレットを調製した。
【0151】
以下、製造例1と同じ条件で同型の楔状光散乱導光体を得た。この光散乱導光体は、製造例1で作製された光散乱導光体と外観上全く区別がつかないものであった。そして、相関距離はa=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式による見積値はE=12.6[cm-1]であった。
【0152】
<製造例3>
ポリメチルメタクリレート(PMMA)にポリスチレン(PSt)を0.5wt%添加し、V型タンブラーを用いて10分間、次いでヘンシェルミキサーを用いて5分間混合した。これを径30mmの2軸押し出し機[ナカタニ機械(株)製]を使って、シリンダー温度220゜C〜250゜C、スクリュー回転数75rpm、吐出量6kg/hrの条件で融解混合してペレットを作成した。
【0153】
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度220゜C〜250゜C、型温度65゜C、射出速度中速、射出圧力ショートショット圧プラス10kg/cm2 の条件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の光散乱導光体を得た。
【0154】
<製造例4>
MMA(メチルメタクリレート)に粒径2μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール120)を各々0.05wt%、0.08wt%、0.10wt%、0.15wt%を加えて均一に分散した4種類の試料と粒子無添加のMMA試料を用意し、計5種類の試料の各々にラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.5wt%、連鎖移動剤としてn―ラウリルメルカプタン(n−LM)を0.2wt%加え、70℃で24時間注型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の光散乱導光体を1枚づつ作製した。
【0155】
<製造例5>
MMA(メチルメタクリレート)にシリコーンオイルを0.025wt%加えて均一に分散させ、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)を0.5wt%、連鎖移動剤としてn―ブチルメルカプタン(n−BM)を0.2wt%、各々加え、70℃で30分間にわたりゾル化を行なった上で、更に65℃で24時間注型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mmまで徐々に変化した楔型の光散乱導光体を作製した。
【0156】
<製造例6>
PMMA(ポリメチルメタクリレート)に粒径2μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール120)を0.08wt%加え、V型タンブラを用いて10分間、次いでヘンシェルミキサを用いて5分間混合した。これを2軸押し出し機で溶融混合(シリンダ温度220℃〜250℃)・押出成形して、ペレットを作製した。
【0157】
このペレットを射出成形機を用いてシリンダ温度220℃〜250℃の条件で射出成形し、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mmまで徐々に変化した楔型の光散乱導光体を作製した。
【0158】
【発明の効果】
本願発明の偏光化機能付面光源装置は、平行光束化素子と偏光成分に依存した反射特性を有する偏光分離手段を組み合わせる構成を基礎として、リサイクル的な偏光化プロセスを実現するものであるから、高いエネルギ利用効率を以て偏光化された光束を得ることが出来る。また、本願発明に係る偏光化機能付面光源装置によれば、その出射光束に平行光束化素子に由来する明瞭な指向性が保存されているから、プリズム作用を利用した平行光束化素子を付加的に利用することによって、所望の方向に伝播する偏光化光束を生成させることが出来る。
【0159】
このような特性は、本願発明の偏光化機能付面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源手段として用いた際に極めて有利であり、液晶表示装置の表示品位を格段に向上させ、省電力性を大幅に改善させるに充分なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとり、有効散乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線を、E=50[cm-1]及びE=100[cm-1]の場合について描いたものである。
【図2】相関距離aによって光散乱導光体の前方散乱性の強さが変化することを説明するグラフである。
【図3】本願発明の面光源装置に用いられる光散乱導光体の断面の基本形状を内部における繰り返し反射の様子と共に記したものである。
【図4】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第1の実施例を断面図で示したものである。
【図5】平行光束化素子1から出射された光の挙動を代表光線に関する光線追跡形式で記したものである。
【図6】横軸にBK−7板への入射角をとり、縦軸にP,S各偏光成分の1回透過の透過率をとってグラフ化したものである。
【図7】(A)は、光出射方向修正素子の典型的な構造と配置を説明する図、(B)は変形型の配置を示した図である。両図は、図4,図5に示した配置における偏光分離板及び光出射方向修正素子の周辺部分を抽出拡大した断面図に、光線C3 ,C9 の追跡経路を併記した形で提示されている。
【図8】図4と同様の形式で本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第2の実施例を表わしたものである。
【図9】2枚の偏光分離板と平行光束化素子を組み合わせた第2の実施例における偏光化機能の概要について説明する図である。
【図10】(A)は、波形偏光分離板の断面形状を表わした図であり、(B)は、(A)中に○印で囲まれた部分(繰り返し形状の1単位分)を拡大描示したもので、平行光束化素子1からの出射光束を代表する光線C0 の光線追跡図が併記されている。
【図11】多層膜型偏光分離板の構造と作用を説明する図であり、多層膜3層分の断面と代表光線D0 の主要光路が例示されている。
【図12】図11に示した構造における空気層と第1層の界面における各偏光成分の透過率を入射角の関数として表わしたグラフである。
【図13】図11に示した構造における第1層と第2層の界面における各偏光成分の透過率を入射角の関数として表わしたグラフである。
【図14】図11に示した構造における第2層と第3層の界面における各偏光成分の透過率を入射角の関数として表わしたグラフである。
【図15】厚さ1mmの光学ガラス板BK−7上に、TiOx 、SiO2 及びZrO2 からなる多層膜を真空蒸着により形成した偏光分離板について、分光光度計を用いて、偏光分離機能を入射角度を55°〜70°まで変えながら測定した結果を示したグラフである。
【図16】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第5の実施例を断面図で示したものである。
【図17】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第6の実施例を断面図で示したものである。
【図18】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第7の実施例を断面図で示したものである。
【図19】本願発明を液晶表示装置のバックライト光源手段に適用した実施例の構成を要素分解斜視図で示したものである。
【符号の説明】
1 平行光束化素子
2 光入射面
3 光取出面
4 裏面
5 反射体(銀箔)
6 平行光束化素子の末端部
7,9 空気層
8,8’ 偏光分離板(平板形)
8” 波形偏光分離板
10 光出射方向修正素子
11 光出射方向修正素子の光出射面
18 多層膜型偏光分離板
181〜183 多層膜の第1〜第3層
C0 ,C'0,D0 代表光線
L 蛍光ランプ(光源)
R 反射体
SR,SR’ 補強スクランブラ
HW 位相差板
【産業上の利用分野】
本願発明は、偏りの無い光から偏りのある光束を生成する機能あるいは偏りの乏しい光から偏りに富んだ光束を生成する機能(以下、「偏光化機能」と言う。)を備えた面光源装置に関する。本願発明に係る面光源装置は、偏りのある光束を必要とする任意の用途に使用され得るが、特に、液晶表示装置のバックライト光源に用いて有利なものである。
【0002】
【従来の技術】
表面あるいは内部に光散乱機能を有する板状の導光体の側方に蛍光ランプ等の光源を配置することによって面光源装置を構成し、液晶表示装置のバックライト光源等の用途で使用することは、従来より良く知られているところである(例えば、特開平2−221926号、特開平4−145485号及び実開昭51−89888号公報など)。
【0003】
これらの旧来型の面光源装置は、導光体内部あるいは表面領域に与えられた光散乱作用によって光の進行方向を出来るだけランダムなものとすることを通して光取出面から出射させる光量を確保するというものであり、光取出面から出射される光に明確な指向性は無く、また、特定方向の偏りを呈する光を生成する機能も有していない。
【0004】
これに対し、本発明者は先に、散乱特性を規定する特性パラメータ(有効散乱照射パラメータE及び相関距離a;詳細は後述。)を所定範囲に定めた楔形状の光散乱導光体が平行光束化機能を有することを利用して平行光束化装置を構成することを提案した。この平行光束化装置を光源手段と組み合わせて改良型の面光源装置を構成した場合、その出射光束に明確な指向性は認められるが、特定の方向への偏りを持った偏光を生成する機能は備わっていない。
【0005】
ところで、一般の光源から発せられる偏りの無い光から偏りのある光を得る手段としては、偏光板あるいはビームスプリッタ型の偏光子等が知られて用いられているが、これらは、所定の方向と直交する方向の偏光成分を排除する形で偏りのある光を得ようとするものであるから、光エネルギの半分程度が無駄になってしまう。従って、上記旧来型、改良型いずれの型の面光源装置とこのような偏光素子を組み合わせて偏光化された光束を生成するやり方では、使用される面光源の明るさを充分に生かした偏光光束を得ることは困難である。
【0006】
例えば、上記旧来型、改良型いずれの型の面光源装置を液晶表示装置の液晶表示パネル背後にバックライト光源手段として配置した場合でも、所定方向に偏光化された光を液晶層に入射させる為に液晶表示パネルの光入射側に設けられている偏光板によって、面光源装置の出射光の光エネルギの約半分が無駄になる現象が生じており、液晶表示装置の表示品位を損なう一因となっている。
【0007】
もし、光エネルギの利用効率の低下を抑制した形で所定方向に偏光化された光束を生成する能力を有する面光源装置が得られるならば、これを液晶表示装置のバックライト光源手段として採用することにより、上記液晶表示パネルの偏光板通過時の損失を低下させることが可能になる(バックライト光源出射光束の偏光方向と偏光板の偏光軸方向を平行にとれば良い)。従って、このような観点からも、エネルギ利用効率を大きく低下させることなく偏光化された光束を生成することが出来る面光源装置の実現が待たれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、上記従来技術の現状を背景に、偏光化に際しての光エネルギの利用効率の低下を抑え、明るい偏光光束を得ることが出来る偏光化機能付面光源装置を提供することを基本的な目的としてなされたものである。
また、本願発明は、特に、液晶表示装置のバックライト光源手段として用いるに適した偏光化機能付面光源装置を提供する企図をも有するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、先ず、上記目的を達成する為の基本的な構成として、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えた偏光化機能付面光源装置」を提案したものである。
【0010】
そして、偏光分離手段をより具体化した形態で指定した構成として、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.0の範囲の屈折率を有する透明な光学材料からなる偏光分離板を含むことを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、
「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、各々1.3〜2.0の範囲の屈折率を有すると共に空気層を挟んで積層的に配置された複数枚の偏光分離板を含むことを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、
「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.0の範囲の屈折率を有する偏光分離板を含み、該偏光分離板の光入射面には前記平行光束化素子の光取出面から出射された平行光束の出射方向に対応したブリュースター角条件を満たすような繰り返し傾斜面が形成されていることを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、並びに、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.3の範囲の屈折率を有する光学材料からなる多層膜を有する偏光分離板を含んでいることを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、を提案したものである。
【0011】
また、上記各構成における偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段から平行光束化素子に再入射した光の偏光状態を修正した上で、再度前記偏光分離手段へ向かわせることによって、より偏光度に富んだ光を得るようにした構成として、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段と、前記平行光束化素子の光取出面と相反する側の表面に沿って配置された補強スクランブラを備えたことを特徴とする偏光化機能付面光源装置」、及び、「光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段と、前記平行光束化素子の光取出面と相反する側の表面に沿って配置された偏光変換手段を備え、前記偏光変換手段が位相差板並びに該位相差板の外側に臨んで配置された光反射手段を含んでいることを特徴とする偏光化機能付面光源装置」を提案したものである。
【0012】
そして、面光源装置の出射光束の伝播方向を修正する必要のある場合に備える為に、上記各構成に更に、「前記偏光分離手段の外側に光出射方向修正素子が配置されている」という要件を課した偏光化機能付面光源装置の構成を提案したものである。
【0013】
【作用】
本願発明は、上記改良型の面光源装置に用いられる光散乱導光体の平行光束化機能と近似的なブリュースター角条件に関連した偏光成分の反射/透過特性を組み合わせて利用することにより、相対的に高いエネルギ利用効率を以て所定の方向の偏光成分を多く含んだ光束を生成することが出来るという新規な原理に立脚したものである。
【0014】
そこで、先ず、本願発明で使用される光散乱導光体の散乱特性を記述する有効散乱照射パラメータEと相関距離aについて、Debyeの理論を引用して説明し、更に、それらの量との関連した平行光束化機能について説明する。
【0015】
今、一定の屈折率を有する基材内に一様に屈折率不均一構造を分布形成させた媒体からなる光散乱導光体内を強度I0 の光がy(cm)伝播し、その間の散乱により強度がIに減衰した場合を考え、有効散乱照射パラメータEを次式(1)または(2)で定義する。
【0016】
【数1】
上式(1),(2)は各々いわゆる積分形及び微分形の表現であり、物理的な意味は等価である。なお、このEは濁度と呼ばれることもある。
一方、媒体内に分布した不均一構造によって光散乱が起こる場合の散乱光強度は、縦偏光の入射光に対して出射光の大半が縦偏光である通常の場合(VV 散乱)には、次式(3)で表される。
【0017】
【数2】
自然光を入射させた場合には、Hh 散乱を考慮して、式(3)の右辺に(1+cos2Φ)/2を乗じた次式を考えれば良いことが知られている。
【0018】
【数3】
ここで、λ0 は入射光の波長、ν=(2πn)/λ0 、s=2sin (Φ/2)、nは媒体の屈折率、Φは散乱角、<η2 >は媒体中の誘電率ゆらぎ2乗平均(以下、<η2 >=τとして、τを適宜使用する。)であり、γ(r)は相関関数と呼ばれるものであり、次式(6)で表わされる。
【0019】
Debyeの理論によれば、媒体の屈折率不均一構造が界面を持ってA相とB相に分かれて分散している場合には、誘電率のゆらぎに関して相関関数γ(r)、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等について、下記の関係式(7),(8)が成立する。
【0020】
【数4】
不均一構造が半径Rの球状界面で構成されているとみなせば、相関距離aは次式で表される。
【0021】
【数5】
相関関数γ(r)についての式(6)を用い、式(5)に基づいて自然光を媒体に入射させた時の有効散乱照射パラメータEを計算すると結果は次のようになる。
【0022】
【数6】
以上述べた諸関係から、相関距離a及び誘電率ゆらぎ2乗平均τを変化させることにより、散乱光強度、散乱光強度の角度依存性及び有効散乱照射パラメータEを制御することが可能なことが判る。
図1は、横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとり、有効散乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線を、E=50[cm-1]及びE=100[cm-1]の場合について描いたものである。
Eの値は散乱導光媒体の散乱能の「強さ」を表わす指標であり、Eの値が大きければ散乱能が強く、Eの値が小さければ散乱能が弱い(透明に近い)ということになる。E=0は無散乱状態に対応している。従って、大寸法で明るさが均一な面光源の用途にはEの小さな光散乱導光体が適し、小寸法の面光源の用途にはEの大きな光散乱導光体が適しているという一般論が成立する。
【0023】
液晶表示装置のバックライト光源への適用時等に想定される通常サイズ(数cm〜数10cmの程度)の面光源を構成することを想定した場合、使用される光散乱導光体の有効散乱照射パラメータEの実際的な値の範囲は、E=0.5〜50[cm-1]の程度となる。
【0024】
一方、相関距離aは、光散乱導光体内部における個々の散乱現象における散乱光の方向特性に深く関わっている量である。即ち、上記(3)式乃至(5)式の形から推察されるように、光散乱導光体内部における光散乱は一般に前方散乱性を帯びているが、前方散乱性の強さが相関距離aに依存して変化する。
【0025】
図2は、これをaの2つの値について例示したグラフである。図において、横軸は散乱角度Φ(入射光線の進行方向をΦ=0°とする。)を表わし、縦軸は自然光を仮定した場合の散乱光強度、即ち、上記(5)式をΦ=0°に対して規格化した値、Vvh(Φ)/Vvh(0)を表わしている。
同図に併記されているように、a=0.13μm、上記(9)を用いて粒径に換算して2R=0.2μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦに関する緩やかな減少関数となるが、a=1.3μm、上記(9)式による粒径換算値で2R=2.0μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦが小さい範囲で急激に減少する関数となる。
【0026】
このように、光散乱導光体内の屈折率の不均一構造によって生ずる散乱は、基本的に前方散乱性を示し、相関距離aの値が小さくなると前方散乱性が弱まり、1回の散乱における散乱角度範囲が広がる傾向を持つようになる。この事実自体は、実験的にも確認済みの事項である。
【0027】
以上は光散乱導光体内部に分布した屈折率不均一構造による個々の散乱現象そのものに着目した議論であるが、光散乱導光体の光取出面から実際に出射される光の方向特性を評価する際には、光散乱導光体の内部側から光取出面に入射する光の全反射の現象と光出射時の界面透過率(光散乱導光体からの脱出率)を併せて考慮する必要がある。
【0028】
基礎的な光学理論によって良く知られているように、外部の媒体(空気)に比して相対的に大きな屈折率を有する光散乱導光体の内部側から光取出面に光が入射した場合、光散乱導光体内外の媒体の屈折率によって決まる臨界角αc を入射角α(ここでは、光取出面に対して光散乱導光体内部に向けて立てた法線の方向をα=0°とする。)が上回る場合には、外部(空気層)への出射(脱出)が起らない。
【0029】
本願発明に使用される光散乱導光体の代表的な材料であるPMMA(ポリメチルメタクリレート;屈折率1.492)では、αc =42°となる。後述するように、本願発明で光散乱導光体のマトリックスとして好適に使用される樹脂材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲にあり、これに対応する臨界角αc の範囲は、36.0°〜45.6°となる。
【0030】
従って、本願発明のように光取出面の側方に光入射面をとるケースでは(後述する各実施例参照)、光入射面から入射した光が不均一構造に遭遇して発生した1次散乱光が、直ちに上記臨界角条件を満たして光取出面から外部へ出射されることは極めて起り難いと考えられる。
【0031】
即ち、本願発明が前提とする条件の下では、光散乱導光体内部における多重散乱の効果、光散乱導光体の光取出面側及び背面側の界面あるいはそれに面して配置された反射部材による反射の効果等が複合的に作用し合った結果、上記臨界角条件を満たすに至った光が外部に出射されるという現象が、光取出面からの光出射に大きく関与しているものと考えて良い。
【0032】
そうだとすると、臨界角条件を満たした条件で光取出面方向に伝播する光について考えた場合、光入射面から入射した時点における光の伝播方向性を全体として保存するように作用する前記前方散乱性の効果は、上記複合的な効果によって相当程度薄められ、光の伝播方向分布にかなりの拡がりが生じている筈である。その結果、光散乱導光体から出射される光の方向特性は、臨界角条件を満たした光の光取出面における界面透過率(脱出率)の角度依存性に大きく左右されることになる。
【0033】
一般に、臨界角条件(α<αc )をぎりぎりで満たすような条件における界面透過率は極めて低く(例えば、アクリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分40%程度、S偏光成分20%程度)、入射角αが臨界角αc を下回る量が増えれば界面透過率は急激に上昇し、5°乃至10°以上下回った条件ではほぼ一定となる(アクリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分90%以上、S偏光成分85%以上)。
【0034】
以上のことから、アクリル樹脂(αc =約42°)の場合で言えば、光散乱導光体内部側から光取出面へ入射角α=35°〜40°前後で入射した光が、光散乱導光体の光取出面からの光出射に最も寄与しているものと考えられる。このα=35°〜40°の入射角で光取出面に入射した光は、スネルの法則に従って光取出面で屈折し、光取出面に外部に向けて立てた法線に対して65°±10°程度の範囲内に収まる方向(即ち、光取出面表面に対して15°〜35°程度立ち上がった方向)へ出射されることになる。
【0035】
光散乱導光体にアクリル樹脂以外の材料を使用した場合でも、実際的な材料の屈折率の範囲は1.4〜1.7の程度であるから、上記角度に数度程度のずれを見込めば、同様の議論が成立する。
【0036】
但し、ここで注意すべきことは、相関距離aの値が余り小さくなると、個々の散乱における前方散乱性そのものが薄れてしまい、一次散乱のみで後方散乱を含む広角度範囲の散乱光が発生するようになる為に、この指向性がぼやけてしまうことである。本願発明では、このような指向性鈍化現象を顕著に示さないような特性を有する光散乱導光体を使用する。以下、このような光散乱導光体を「指向出射性」の光散乱導光体と呼ぶことにする。
【0037】
本願発明が光散乱導光体の相関距離aについて指定している範囲(0.06μm≦a≦35μm)には、この条件が考慮に入れられている。光散乱導光体として、ポリマーマトリックス中に異屈折率粒子を均一に分散させたものを使用する場合には、前記(9)式から、上記相関距離の範囲は異屈折率粒子径の範囲、0.1μm〜54μmに相当していることが判る。
【0038】
次に、本願発明の偏光化機能付面光源装置に使用される指向出射性の光散乱導光体が楔形断面形状部分を有している意味について説明する。
図3は、本願発明の面光源装置に用いられる光散乱導光体の断面の基本形状を内部における繰り返し反射の様子と共に記したものである。
【0039】
同図において、1は平行光束化素子を構成する指向出射性の光散乱導光体であり、B0 は光源Lから出射され、光入射面2から光散乱導光体1の内部に取り込まれる光を代表する代表光線の進路を示したものである。光源Lは楔形の相対的に断面積が大きい側端部にあたる光入射面2に面して配置されるから、代表光線B0 として図示した如く略水平方向に伝播するものを想定する。
【0040】
この代表光線B0 の挙動を考察してみると、光線B0 は、一定割合で散乱による方向転換を受けながら、光取出面3及び該面に対して傾斜した裏面4で反射を繰り返しながら、光散乱導光体1の厚みの薄い末端部分へ近づいていく。面3,4の表面における内部反射は正反射であるから、個々の反射における入射角と反射角は当然等しい(θ1 ,θ2 ,θ3 ・・・・)。両面3,4の傾斜関係から、光取出面3における各反射について、θ2 >θ4 >θ6 ・・・の関係が成立する。
【0041】
ここで、各反射時における界面透過率を考えてみると、光散乱導光体の指向出射性の説明中で述べたと同様の議論により、θi >αc (臨界角;PMMA−空気界面で42°)の条件では全反射が起こり、θi がαc を下回ると透過率が急上昇し、θi が所定値(PMMA−空気界面で35°前後)以下で透過率はほぼ一定となる。図では、θ2 >αc >θ4 >θ6 の関係によって、出射光B4 ,B6 が生じている様子が描かれている。
【0042】
このような効果は、代表光線B0 (無散乱光)に限らず、1次散乱光や多重散乱光についても類似した形態で生じている筈であるから、全体としては、この効果によって光入射面2から遠ざかる程光取出面3からの光出射率が高められていることになる。この効果を、光入射面2からの距離xの関数f(x)で評価すると、f(x)はxに関する増加関数である。一方、光入射面2に近い部分では光源Lに近いという効果が直接光、散乱光いずれについても働く。この近接効果をg(x)で評価すれば、g(x)はxに関して減少傾向を有する関数とみることが出来る。
【0043】
従って、近接効果g(x)とf(x)が相殺される関係にあり、光散乱導光体1の出射光強度(明るさ)が均一化される作用が生じることになる。また、光散乱導光体1内の光が光取出面3に入射する機会も、楔形状の効果によって入射面2から遠ざかるにつれて増大する傾向を持つと考えられるから、この傾向も上記増加関数f(x)で評価される効果を補強しているものと考えられる。
【0044】
なお、両面3,4のなす角度ψに絶対的な制限は特にないが、明るさのレベル、均一度、指向特性等を考慮した実際的な範囲として、0.5°≦ψ≦6°という値が得られている。また、傾斜した裏面4(場合によっては光取出面3)を曲面とすることにより、反射角θ1 ,θ2 ,θ3 ・・・・の増大推移を制御し、より望ましい特性を実現することも可能である。また、楔形状の断面は必ずしも光散乱導光体1の全体に亙る必要はなく、光源の映り込みによる輝度むらを防止する為に、光入射面2の近傍の傾斜を緩めて平坦化したり、場合によっては逆傾斜部を形成する場合もある。
【0045】
以上述べた断面楔形状の光散乱導光体を採用したことによる効果は、裏面4に沿って反射体5を配置した場合にも同様に成立することは明らかであり、入射面2から入射した光をより遠方まで導光させ、また、光散乱導光体1の指向出射性を乱さないという観点から、反射体5として正反射性を有する反射体を配置することがより好ましい。
【0046】
本発明者は、このような楔形状断面部分を有する指向出射性の光散乱導光体と近似的なブリュースター角条件を利用した偏光分離手段を結合することにより、多重的な偏光化過程が発生し、高い光エネルギ利用効率で光束の偏光化が達成されるという原理を見い出した。本願発明は、この原理に基づいた偏光化機能付の面光源装置を提供したものであり、光散乱導光体とブリュースター角条件を利用した偏光分離手段の組合せ方、それによる多重的な偏光化過程の具体的内容については、次の実施例の中で述べることとする。
【0047】
【実施例】
図4は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第1の実施例を断面図で示したものである。同図中、図3と共通する要素については同じ符号が使用されている。符号1は楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子を表わしており、ここではその材料としてポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたものが使用されている。平行光束化素子1のサイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部6で0.2mmとした。
【0048】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって光を入射させ、光取出面3から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射体で、ここでは銀箔製シートでランプLを取り囲むように配置した。
【0049】
平行光束化素子1の裏面4には、光拡散インキパターンや凹凸拡散面等、強い光散乱を生じさせる為の処理は特に施されていない。符号5は裏面4に対向して配置された銀箔製シートからなる反射体で、裏面4から出射された光を平行光束化素子1内に復帰させるものである。また、空気層7を挟んで平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置には、偏光分離手段としての偏光分離板8が配置され、更にその外側には空気層9を挟んで光出射方向修正素子10が配置されている。符号11は、光出射方向修正素子10の光出射面であり、面光源装置としての光出射面でもある。この面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源として使用する場合には、光出射方向修正素子10の更に外側に液晶表示パネルが配置される。
【0050】
偏光分離板8は、透明な光学材料からなる板状体で構成され、ここでは代表的な光学ガラスであるBK−7(屈折率1.5163)からなる厚さ1mmの平坦な板状部材を使用した。空気層7の屈折率n0 =1として、ブリュースター角の値は56.60°となる。
【0051】
以下、図5及び図6を順次参照図に加え、この偏光分離板8と平行光束化素子1を組み合わせた第1の実施例における偏光化機能の概要について説明する。 図4において、ランプLの放射光及び反射体Rからの反射光は、光入射面2から平行光束化素子1の内部に進入し、平行光束化素子1内部の屈折率不均一構造(ここでは、異屈折率粒子)による散乱を受けながら、平行光束化素子1の末端部6に向けて導光される。その過程において光取出面3から徐々に光が出射されるが、「作用」の欄で述べた理由により、出射光は平行光束化されて明瞭な指向性を有するものとなっている。そこで、この平行光束を光線C0 で代表させ、平行光束化素子1から出射された光の挙動を光線追跡形式で記したものが図5である。
【0052】
「作用」の欄で既述した通り、平行光束化素子1の基材にPMMAを使用したケースでは光取出面3に立てた法線H0 から測って65°前後の方向へ強く光出射が起ることから、代表光線C0 の出射角は65°とする。
【0053】
平行光束化素子1の光取出面3から出射された代表光線C0 は、空気層7を直進して偏光分離板8の下面8aに入射し、偏光分離板8内に進入する光線C1 と反射して再び平行光束化素子1に向かう光線C2 に分割される。光線C1 は面8aで屈折し、偏光分離板8内を直進し、偏光分離板8の上面8bに至り、外部出射光線C3 と内部反射光線C4 に分割される。内部反射光線C4 は更に下面8aに戻り、再度内部反射光線C7 と空気層7へ進む光線C8 に分割される。内部反射光線C7 は上面8bで、再度外部出射光線C9 と内部反射光線C10に分割される。以下、内部反射光線は同様の過程を繰り返す。
【0054】
一方、空気層7を平行光束化素子1へ向かって直進する光線C2 及びC8 は、光取出面3で平行光束化素子1内に再入射する光線C11,C13と反射光線C12,C14 に分割される。反射光線C12,C14 は再度偏光分離板8へ向い、C0 と同様の経路を辿る。
【0055】
このような多重反射/透過のプロセスを通して、光線C0 の光エネルギも各界面3,8a,8bにおいて反射光線と透過光線に分割・分配されるが、その分配割合はP偏光成分とS偏光成分とで大きく異なっている。また、偏光分離板8を構成する厚さ1mmのBK−7板の内部光透過率は99.9%以上であり、その吸収損失は無視出来る程小さい。そこで、光線C0 をP偏光成分のエネルギとS偏光成分のエネルギを100づつ等量に有する偏光度0の自然光とした場合の各光線C1 〜C14の偏光成分別エネルギ量を計算し、その結果を図中に併記した。
【0056】
例えば、光線C0 がC1 とC2 と分割される際には、P偏光成分の透過率は極めて高く98.8%を示すが、S偏光成分の透過率は76.6%しかない。従って、光線C2 は殆どS偏光成分のみに偏光した光となっている。即ち、BK−7のブリュースター角56.60°から10°程度ずれた範囲では、近似的にブリュースター角条件が満たされていると言うことができ、反射光線C2 のS偏光率は極めて高い(もし、C0 の入射角がブリュースター角56.60°に一致すれば、反射光線C2 のS偏光率は当然100%となる)。
【0057】
光線C1 が偏光分離板8の上面8bに入射した場合の偏光成分別反射率も、P偏光成分1.2%、S偏光成分23.4%となる。従って、外部に出射される光線C3 の偏光成分別エネルギ量はP成分97.6、S成分58.7であり、相当程度の偏光度を有していることが判る。同様の計算をC4 以下について行なった値は図中に示されている。それらの数値から明かな如く、光線分割が繰り返されるにつれて、PS各偏光成分のエネルギ量が急激に減少するので、図5に示した光線C3 とC9 から近似的に外部出射光の偏光成分別エネルギ量を見積ると、P偏光成分=97.6、S偏光成分=61.9となる。
【0058】
このように、図5に示された光線のみを考慮した場合でも、相当程度に偏光化された出射光束が得られていることが判るが、本願発明はこのようなプロセスのみに頼って偏光化機能を果たすものではない。本願発明は、平行光束化素子の光取出面に対向して配置される偏光分離手段(第1の実施例ではBK−7板)から平行光束化素子に戻された光(以下、戻り光と言う。)を再利用し、最終的な出射光の偏光度を更に向上させるものである。
【0059】
図5の例で言えば、光線C11とC13に付記された数値に示したように、戻り光はほぼ完全にS偏光となっている。この戻り光は、平行光束化素子1を構成する光散乱導光体内を伝播する過程で再び散乱、反射等のプロセスを経た上で、その大部分が光取出面3から出射される。その際の出射指向性を考察してみると、入射面2から入射した場合程ではないが、やはり全体として図5で右方に向かう前方散乱性は保存されているから、「作用」の欄で述べた原理により、やはり光線C0 の出射方向で代表し得る弱い指向性を有しているものと考えられる。
【0060】
ところで、大半がS偏光成分からなる光線C11(S偏光成分18.2)やC13(S偏光成分10.6)は、平行光束化素子内で上記散乱、反射等のプロセスを経ることによってその偏光方向が乱されることになる。これを偏光スクランブル効果と呼ぶことにすると、この偏光スクランブル効果によって、C11あるいはC13に由来する光取出面3からの出射光のS偏光度はかなり低下しているものとみて良い。もし、偏光スクランブル効果が完全であり、無損失で光取出面3から再出射されると仮定すれば、そのエネルギ量は、C11由来分についてP偏光成分9.1、S偏光成分9.1であり、C13由来分については、P偏光成分5.3、S偏光成分5.3となる。
【0061】
両者を加算すると、P偏光成分=14.4、S偏光成分=14.4となる。この光がC0 と同様の履歴を経るものとすれば、(14.4/100)×97.6=14.1のエネルギ量が偏光分離板8の上面8bからの出射光束のP偏光成分に加算される。従って、このモデルから近似的に評価される最終的なP偏光成分エネルギ量は97.6+14.1=111.7となる。また、S偏光成分エネルギ量は61.9+(61.9/100)×14.1=70.6となる。
【0062】
即ち、本願発明では、平行光束化素子1の光取出面3から出射された光束の一部がS偏光化されて戻り光となり、その少なくとも一部が平行光束化素子1内で無偏光化されて平行光束化素子1の光取出面3から再出射され、再度偏光分離板によるS偏光排除作用を受けるという、リサイクル的な偏光化過程が取り入れられている。それ故、上記事例で説明した如く、少なくとも原理的には、自然光に含まれるP偏光成分を100%以上に増幅する作用を果たさせることも可能である。このような特徴は、本願発明に固有のものであり、以下に述べる各実施例においても共通して備わっている特徴である。
【0063】
なお、上記第1の実施例の説明では平行光束化素子1の(初回の)出射光を出射角65°のC0 で代表させたが、出射角の条件が10°程度変化したとしても現象の本質は殆ど変化しない。図6は、これを理解する為のグラフで、横軸にBK−7板への入射角(=光取出面3からの出射角)をとり、縦軸にP,S各偏光成分の1回透過の透過率(8bからの全出射エネルギ/8aへの全入射エネルギ;戻り光の再入射は考えない。)をとったものである。グラフから判るように、55°〜75°のほぼ全域に亙ってP偏光成分の透過率は約80%を越えており、S偏光成分の透過率はそれを約20%以上下回っている。従って、光取出面3からの出射光束の伝播方向に多少の拡がりあるいはずれがあっても、上記説明の本質的な部分に変更を要しないことは明らかである。
【0064】
第1の実施例に関してここまで述べたことから判るように、光源L、平行光束化素子1及び偏光分離手段(第1の実施例ではBK−7からなる偏光分離板)8が、偏光化された光束を得る面光源装置を構成する為の基本的な構成要件となっている。しかし、上記偏光化のプロセスの説明からも判るように、代表光線C0 の大きな出射角(ここでは、65°)で特徴付けられる指向性が偏光分離手段8からの出射光束についても強く残っており、通常の用途(液晶表示装置のバックライト光源等)で要求されることの多い正面方向あるいはこれに近い方向に光を出射する面光源装置を提供する上で好ましいとは言えない。
【0065】
図4に示されているように、偏光分離板8の外側に配置される光出射方向修正素子10は、このような要求に応えるもので、プリズム作用を通して偏光分離板8の光出射面8bから出射される指向性の光束の伝播方向を正面方向に修正する機能を有している。以下、図7(A),(B)を参照図に加えて、この光出射方向修正素子の光出射方向修正機能について説明する。
【0066】
図7(A)は、光出射方向修正素子の典型的な構造と配置を説明する図、図7(B)は変形型の配置を示したものであり、両図は図4,図5に示した配置における偏光分離板及び光出射方向修正素子の周辺部分を抽出拡大した断面図に、光線C3 ,C9 の追跡経路を併記した形で提示されている。
両図において、光出射方向修正素子10,10’は、例えばポリカーボネート(PC;屈折率npr=1.59)のような光学材料からなり、一方の面に多数のプリズム面10a,10b(頂角θpr)あるいは11a,11b(頂角θ'pr )が形成されている。光出射方向修正素子10,10’は、そのプリズム形成面を図7(A)のように光入射面とするか、逆に図7(B)のように光取出面として使用する。
【0067】
先ず、図7(A)では、前記の図5の関連説明から、偏光分離板8の光取出面8bに対して65°の出射角で出射されるように描かれているC3 ,C9 は、前記代表光線C0 に由来して偏光分離板8から出射される光束をほぼ代表しているものと考えられる。これら代表光線C3 ,C9 は、空気層9(屈折率n0 =1.0)を直進した後、光出射方向修正素子10のプリズム面10aに垂直に近い角度で入射する。
【0068】
プリズム面10aと相反する側のプリズム面10bに入射する光量の割合は相対的に小さいと考えることが出来るから、代表光線C3 ,C9 はプリズム面10bまでほぼ直進して正反射され、光出射方向修正素子10の平坦な光取出面11に対して垂直に近い角度で入射し、該面11から垂直方向に近い角度で出射する光束Dとなる。
【0069】
入射側のプリズム面10aの傾斜角θa を、光束C3 ,C9 がほぼ垂直に入射するように設定すると共に(ここではθa =25°)、他方のプリズム面10bの傾斜角θb を内部反射光が平坦な光取出面11にほぼ垂直に入射するように設定(ここではθb =65°/2=32.5°)すれば、光束Dの方向を垂直方向により正確に一致させることが出来る。このように、プリズム面の形成角度を選択することを通して、光束Dの方向特性を調整することが可能である。
【0070】
次に、図7(B)は、光出射方向修正素子10’をそのプリズム面11a,11bが外側に向く配置とした場合について、代表光線C3 ,C9 の挙動を説明した断面図であり、図7(A)の場合と同様に、代表光線C3 ,C9 は、空気層9(屈折率n0 =1.0)を直進した後、光出射方向修正素子10’の平坦面10’aに対して傾斜した角度で入射し、上方に向けて屈折され、その大半は反対側のプリズム面11a から垂直に近い角度で光束D’として出射される。光出射方向修正素子10’を構成する材料の屈折率やプリズム面11a,11bの傾斜角θ'a ,θ'bの値によっては、プリズム面11aから一旦空気中に出射された上で対向するプリズム面11bで正反射されて正面方向へ向かう光路が利用される場合もある。
【0071】
このように、図4の配置に、図7(A),(B)いずれの配置を適用した場合にも、偏光分離板8からの出射光の方向特性や光出射方向修正素子を構成する材料と関連させて各プリズム面の傾斜角等を適当に選択することにより、相当程度の範囲に亙って光の出射方向を制御出来る。
【0072】
なお、光出射方向修正素子10,10’は、図示したように列状にプリズム面が形成されたものに限らず、いかなる型のものを使用しても良い。例えば、三角錐状あるいはドーム状の突起群を分布させたフィルム、かまぼこ形断面を有する列状凸部を有する板状素子等が考えられる。また、複数枚重ねて使用することも考えられる。
【0073】
次に、本願発明の第2の実施例について説明する。図8は、図4と同様の形式で本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第2の実施例を表わしたものである。同図中、図4と共通する要素には同じ符号が使用されており、この第2の実施例は、偏光分離手段8,8’に関連した部分を除いて第1の実施例と全く同じ構成を備えている。そこで、この共通部分については説明を省き、偏光分離手段に関連した部分に絞って説明を行なうこととする。
【0074】
第2の実施例において採用される偏光分離手段は、平行光束化素子1の光取出面3に沿って平行配置される2枚の偏光分離板8,8’を備えている。各偏光分離板8,8’は吸収損失の少ない光学材料からなるもので、ここでは、共に板厚1mmのPMMA(ポリメチルメタクリレート;屈折率1.492、ブリュースター角=56.17°;内部透過の吸収損失は0.01%以下で、BK−7の場合と同様、無視出来る。)の板状部材を用いた。
【0075】
内側の偏光分離板8と外側の偏光分離板8’は適当なスペーサ(図示省略)によって互いに0.5mm離隔配置され、その間隙に空気層9が確保されている。
【0076】
また、外側の偏光分離板8’の外側には、第1の実施例と同様な光出射方向修正素子10が空気層9’を挟んで配置されている。
【0077】
図9は、この2枚の偏光分離板8,8’と平行光束化素子1を組み合わせた第2の実施例における偏光化機能の概要について説明する図である。図5の場合と同様に、平行光束化素子1の光取出面3から出射される平行光束を出射角65°の光線C0'で代表させ、平行光束化素子1から出射された光の挙動が光線追跡形式で記されている。また、各光線分岐時に伝播されるエネルギ量が、図5の場合と同じ表記法に従って併記されている(光線C0'のP偏光成分=S偏光成分=100)。
【0078】
代表光線C0'は、空気層7を直進して1枚目の偏光分離板8の下面8aに入射し、偏光分離板8内に進入する光線C1'と、反射して再び平行光束化素子1に向かう光線C2'とに分割される。各光線C1',C2'は、以後、図示したような種々の分岐経路を辿って、一部は空気層9を経て2枚目の偏光分離板8’の内側面8a’へ向い、一部は平行光束化素子1へ戻り光として入射する。
【0079】
この間の経緯は、2枚目の偏光分離板8’が関与しない部分に関する限り、図5で示した第1の実施例の場合と全く同様であるから、詳しい説明は省略する。但し、PMMAからなる偏光分離板8の屈折率がここでは第1の実施例の場合(BK−7)と若干異なる為に、各界面8a,8bの入出射時における屈折角がやや変化し、それに応じてP偏光成分とS偏光成分についての分岐割合が少量だけ変わっている。
【0080】
1枚目の偏光分離板8から出射された光線C3'は、2枚目の偏光分離板8’の内側面8’aに到達し、偏光分離板8’の内部へ進入する光線C2"とC1"に分割される。以後の経路は、1枚目の偏光分離板8の場合とほぼ同じであるが、偏光分離板8’の内部から内側面8’aを通って空気層9へ出た光線の相当部分が1枚目の偏光分離板8の外側面8bへ入射し、一部がその内部へ戻り、一部が反射されて2枚目の偏光分離板8’へ再度向かうという経路が多重的に形成されることに注意することが必要である。この間に1枚目の偏光分離板8へ戻った光の一部が更に平行光束化素子1へ戻る現象も僅かではあるが生起されている筈である。
【0081】
以上、述べたように、2枚(あるいはそれ以上の)偏光分離板8,8’を偏光分離手段として配置した場合には、光線経路は極めて複雑に分岐したものとなるから、最終的に2枚目の偏光分離板8’の外側面から出射されるP,S各偏光成分の量を厳密に計算することは困難である。
【0082】
そこで、光線経路が分岐する度に伝播されるエネルギ量が逓減されることを利用して、図示された経路の範囲で近似計算を行なうと、光線C"3〜C"6の各数値の積算値から、P偏光成分=94.9、S偏光成分=46.7と評価される。
【0083】
これを第1の実施例における対応数値、P偏光成分=97.6、S偏光成分=61.9と比較してみると(偏光分離板の材料の違いの影響は小さいことに注意。)、P偏光成分が抽出・保存状態はいずれの場合にも良好である一方、S偏光成分が大幅に低下していることが判る。
【0084】
この事実からも判るように、平行光束化素子1から65°前後で出射された光を1枚またはそれ以上の枚数の偏光分離板を介して取り出す場合には、1枚の偏光分離板の介在毎に、P偏光成分の大半を保存しながらS偏光成分の約3割〜4割程度が排除されて行く。
【0085】
そして、本願発明における偏光分離板の偏光化作用は、実施例1に関連して既に述べたように、このP偏光保存/S偏光排除現象に加えて、S偏光成分に富んだ戻り光が平行光束化素子内に復帰して偏光状態がスクランブルされた後に偏光分離板(1枚あるいは2枚以上)のP偏光保存/S偏光排除作用を再度受けるというリサイクルプロセスを通して、P偏光成分がより富化されるという現象を巧妙に利用したものである。
【0086】
第2の実施例における戻り光量(S偏光成分)を評価すると、図9に併記したデータから、17.5+10.4+7.4+4.8=40.1となる。平行光束化素子1の偏光スクランブル作用が完全であれば、約20のP偏光成分を有する平行光束化素子再出射光が得られる。その94.9%が保存されて2枚目の偏光分離板8’から出射されれば、約19の偏光成分が上乗せされる。これを戻り光除外評価分の94.9に加算すれば、最終的に約114のP偏光成分を含む偏光出力が得られることになる。
【0087】
なお、偏光分離板を2枚使用した程度では、光線C3"〜C6"等からなる出射光束の指向性が大きく崩れることは無い。従って、この第2の実施例においても、2枚目の偏光分離板8’の次段に配置された光出射方向修正素子10によって、第1の実施例の場合とほぼ同等の光出射方向修正作用が発揮されることになり、光出射方向修正素子10の光出射面11から正面方向に伝播する偏光化光束を出射させることが出来る。
【0088】
次に、上記各実施例で利用されている偏光分離板について、光入射時のブリュースター角条件の満足度をより向上させるよう更に工夫を加えた本願発明の第3の実施例について述べる。なお、この実施例の全体構成は偏光分離板自体の構造を除き、図4に示した第1の実施例と同様であるから、ここでは全体構成の説明は省略し、図4あるいは図5における平板型の偏光分離板8を図10に示した波形の断面構造を有する偏光分離板8”(以下、「波形偏光分離板」と呼ぶ。)に読み換えると共に、同図に併記した如く、平行光束化素子1からの出射光束を出射角65°の代表光線C0 で代表させて説明を行なう。
【0089】
図10(A)には、波形偏光分離板8”の断面形状が示されており、図示された通り、比較的短い急斜面部分81,83と比較的長い緩斜面部分82,84の繰り返しからなる等厚の波型形状を呈している。この波形偏光分離板8”を構成する材料としては、適当な屈折率を有する透光性の素材が利用されるが、ここではPMMA(ポリメチルメタクリレート;屈折率1.492、ブリュースター角56.17°)が使用されている。
【0090】
図10(B)は、図10(A)中に○印で囲まれた部分(繰り返し形状の1単位分)を拡大描示したもので、平行光束化素子1からの出射光束を代表する光線C0 の光線追跡図が併記されている。本実施例の本質的な特徴は、緩やかな斜面部分の入射側82の傾斜が、代表光線C0 に対してブリュースター角条件を満たすように選択されていることである。ここでは、平行光束化素子1の光取出面3に立てた法線Nに対して65°の出射角を持つ代表光線C0 が面82に入射する際の入射角がブリュースター角56°(概算)に合致するように、面82の傾斜角が光取出面3と平行な面Mに対して9°に設定されている。
【0091】
即ち、この角度条件の下では、代表光線C0 から分岐した反射光線R1 に含まれるP偏光成分は理論的には0であり、すべてのP偏光成分が面82を透過することになる。特に、第1あるいは第2の実施例との比較で言えば、平行光束化素子1の光取出面3からの出射角が直角に近い(より寝た方向の)光に対してもP偏光成分の面82,84の透過率が高いという利点がある。
【0092】
波形偏光分離板8”内部に進入したP偏光成分を多く含んだ光線T1 は、対向傾斜面84で内部反射光線T2 と65°の出射角を持った出射光線T3 に分岐するが、内部反射光線T2 にP偏光成分は殆ど含まれない(図5中の光線C2 あるいは図9中の光線C2'に付記されたデータ参照)。
【0093】
内部反射光線T2 は、更に面82で内部反射光線T4 と平行光束化素子1へ向かう光線R2 に分岐する。以下、多重的に繰り返される内部反射/出射のプロセスは、第1の実施例(特に、図5)で説明したものと類似したものであり、プロセスの進行に伴って運ばれるエネルギ量は急激に小さくなる。
【0094】
従って、この実施例の構成によれば、偏光分離板8”を配置したことによるP偏光成分の損失量が極めて小さくなるという特徴があり、第1,第2の実施例で説明したと同様の戻り光に対する偏光スクランブル効果と平行光束化素子1からの再出射によるP偏光成分の更なる上乗せと相俟って、P偏光成分をより多く含む出射光を生成することが出来る。この面84からの出射光に対して光出射方向修正素子10を配置すれば、前記第1,第2の実施例と同様の光出射方向修正が行われることは言うまでもない。
【0095】
急斜面81,83の傾斜角については、平行光束化素子1からの出射光が可能な限り光が入射しないよう代表光線C0 の方向に平行となるような角度に設定されることが望ましい。ここでは、90°−65°=25°とされている。急斜面81,83と緩斜面82,84の繰り返し周期について特に制限は無いが、一般には、稜線部85,86間で測った厚みを抑え、面光源として明かさの均一性を保つという観点から、短い周期とすることが好ましい。ここでは、稜線部85,86間で測った厚さが0.5mmとなるような繰り返し周期が選ばれている。
【0096】
次に、偏光分離手段として異屈折率材料からなる多層膜を備えた偏光分離板を利用した本願発明の第4の実施例について説明する。なお、この実施例の全体構成も、偏光分離板自体の構造を除き、図4に示した第1の実施例と同様であるから、ここでは全体構成の説明は省略し、図4あるいは図5における平板型の偏光分離板8を、図11に示した多層膜型偏光分離板18に読み換えた構成を想定するものとする。
【0097】
また、図11中に併記されているように、平行光束化素子1からの出射光束の出射角がやや高角度側(寝た方向)にずれた場合を想定し、70°の出射角を持つ代表光線D0 で代表される状態にあるものとして説明を行なう。(「作用」のの欄で説明したように、平行光束化素子1の光取出面3からの出射光束の出射方向の中心は、平行光束化素子1を構成する光散乱導光体の屈折率や相関距離aの値等によって、数度から10度程度の変動幅がある。)
多層膜型偏光分離板は、各隣り合う層の材料に屈折率の異なる透明材料を使用するという条件で、数層(原理的には最低2層)〜数10層の薄膜を積層形成した構造を有し、図11にはその3層分の断面と代表光線D0 の主要光路が例示されている。多層膜型偏光分離板18は、入射側から順に二酸化チタン(TiO2 ;屈折率n1 =2.3)層181、二酸化珪素(SiO2 ;屈折率n2 =1.46)層182、二酸化チタン(TiO2 ;屈折率n3 =n1 =2.3)層183で構成されており、以下、総層数に合わせて二酸化チタン層と二酸化珪素層が交互に積層された構造を有している。屈折率が更に異なる材料の層を積層させることもあり得る(例えば、二酸化ジルコニウムZrO2 、一般の酸化数を持った酸化チタンTiOx の層)。
【0098】
このような多層膜型の偏光分離板18の偏光分離原理は、異屈折率材料間に形成される界面におけるS偏光成分とP偏光成分の反射特性の違いを利用したものであり、その点では、前述の第1〜第3の実施例における偏光分離板手段と共通した特徴を有していると言うことが出来る。
【0099】
図11に描かれているように、平行光束化素子1からの出射光束を代表する代表光線D0 が、空気層7(屈折率n0 =1.0)からS偏光成分Is =100、P偏光成分Ip =100の相対強度を以て第1層181に入射すると、層181の内部へ進入する光線D1 と反射光線D2 が生じる。
【0100】
その際の反射率は、S偏光成分についてはRs =51.8%であるが、P偏光成分についてはRp =0.55%と極めて小さい。即ち、S偏光成分は半分程度しか第1層181内に進入出来ないが、P偏光成分についてはほぼその全量が界面を通過して第1層181内に進入する。
【0101】
この光線D2 が第2層との界面に到達すると、再び光線D3 とD4 に分岐する。その際の反射率は、Rs (S偏光成分)=9.3%、Rp (P偏光成分)=1.9%である。即ち、S偏光成分の9割程度が第2層182内に進入する一方、P偏光成分についてはその大半が界面を通過して第2層182内に進入することになる。
【0102】
同様に、第2層182と第3層183の界面においては、D5 とD6 の分岐が起こり、その際の反射率はRs (S偏光成分)=9.3%、Rp (P偏光成分)=1.9%となる。
【0103】
このように、各界面に遭遇する度にP偏光成分の大部分が次層へ伝播されていくのに対し、S偏光成分の相当部分が排除されていくという現象が起る。多重反射及び吸収損失の効果は小さいとして、本事例における第3層進入時の偏光成分の見積りを行なうと、S成分;Is =39.7,P成分;Ip =95.7という値が計算される。層数が更に増えれば、各数値Is ,Ip は等比数列的に減少すると考えられる。
【0104】
その際の平均的な公比をrs (S偏光成分),rp (P偏光成分)とすれば、rs <rp であり、rp は1を僅かに下回る程度となる。
従って、多層膜型偏光分離板18を構成する層の総数が多い程P偏光成分の「純度」は高くなると考えられる。このような傾向は、代表光線D0 の出射角が70°である場合に限らず、相当幅広い角度条件の下で成り立つものである。
【0105】
図12〜図14は、これを説明する為のグラフで、本実施例の層構成における各界面の光透過率がP偏光成分、S偏光成分に分けて記されている。これらのグラフから直ちに読み取れるように、代表光線D0 の層181への入射角が70°から10°程度ぶれたとしても、各界面におけるP偏光成分の透過率は100%に近いままであり、且つ、S偏光成分の透過率はP偏光成分の透過率を一貫して下回っている。
【0106】
これは、上記多層膜型偏光分離板のP偏光成分純化機能が特殊な条件下だけで成立するものではないことを物語っている。
以上のことから、本実施例のような多層膜型の偏光分離板を利用した構成は、高い偏光度(P偏光成分の純度)の出射光を必要とするケースに適した特徴を備えていることが判る。
【0107】
参考の為に、図15に実証データの1例を示した。これは厚さ1mmの光学ガラス板BK−7(屈折率1.5163)上に、TiOx (屈折率2.3前後)、SiO2 (屈折率1.46)及びZrO2 (屈折率2.0)からなる多層膜を真空蒸着により形成した偏光分離板について、日立製作所製の分光光度計U−3200を用いて、偏光分離機能を入射角度を55°〜70°まで変えながら測定した結果を示したものである。このグラフから容易に読み取れるように、可視光の全域に亙って高い偏光分離機能が発揮されていることが判る。また、入射角が大きい方が偏光分離機能が高いという傾向も読み取ることが出来る。
【0108】
なお、本実施例においても、第1,第2の実施例等で説明したと同様の戻り光に対する偏光スクランブル効果と平行光束化素子1からの再出射によるP偏光成分の増強作用が発揮されることや、多層膜型偏光分離板18の後段に光出射方向修正素子10を配置することによって光出射方向の修正を行えるということは言うまでもないことである。
【0109】
ここまでに説明した第1〜第4の実施例は、偏光分離手段の構成についてのバリエイションに関連したものであるが、次に説明する第5〜第7の実施例は偏光分離手段から平行光束化素子内に復帰した戻り光に対してS偏光成分をP偏光成分に変換する作用を強化する為の付加構成に関連したものである。即ち、第5〜第7の実施例の本質的な部分は、既述の第1〜第4のいずれの実施例とも組み合わせ得る性質を有しており、従って、各実施例に関する記述中の「偏光分離板8(第1の実施例に記載)」は、これを適宜他の第2〜第4の実施例に開示された型のものに置き換えても差し支えない。このような前提の下で、以下、各実施例について説明する。
【0110】
先ず、戻り光のS偏光成分をP偏光成分に変換する為の偏光スクランブル作用強化手段(以下、「補強スクランブラ」と言う。)として、高散乱能を有する平板状の光散乱導光体を用いた例として、第5の実施例について説明する。
【0111】
図16は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第5の実施例を断面図で示したものである。楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子1は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたもので構成されている。平行光束化素子1のサイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部6で0.2mmとした。
【0112】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって光を入射させ、光取出面3から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射手段で、ここでは銀箔製シートでランプLを取り囲むように配置した。
【0113】
空気層7を挟んで平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置には、偏光分離手段としての偏光分離板8が配置され、更にその外側には空気層9を挟んで光出射方向修正素子10が配置されている。符号11は、光出射方向修正素子10の光出射面であり、面光源装置としての光出射面でもある。この面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源として使用する場合には、光出射方向修正素子10の更に外側に液晶表示パネルが配置される。
【0114】
偏光分離板8は、光学ガラスBK−7からなる厚さ1mmの平坦板状体で構成されている。以上の構成は、第1の実施例と同一であり、また、その作用も基本的には変わらないので、ここでは詳しい説明を省略する。
本実施例が第1の実施例と異なっているのは、平行光束化素子1の裏面4に沿って、偏光分離板8から平行光束化素子1内に復帰した戻り光に対する偏光スクランブル作用を強化する為の補強スクランブラSRが設けられている点である。この補強スクランブラSRは、平行光束化素子1の全体あるいは楔形状末端部6の近傍の厚みが、散乱能の強さとの関連で不十分な為に偏光スクランブル作用が不足することを防止する為の素子である。
【0115】
従って、平行光束化素子1を構成する光散乱導光体よりも強い散乱能が与えられた材料を使用する。ここでは、平行光束化素子1と同種の材料の散乱能を強化したものとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.5wt%の割合で一様に分散させたものを使用した。補強スクランブラSRの大きさは、平行光束化素子1の裏面4に合わせたものとし、厚さは1mmとした。
【0116】
このような構成により、平行光束化素子1から補強スクランブラSR内に相当量の光が進入し、屈折率不均一構造(ここでは、異屈折率粒子材料)による異方性散乱作用を受けて、S偏光成分がP偏光成分に変換される。そして、この光はその強い散乱能に対応した充分な偏光スクランブル作用を受けた後に平行光束化素子1内に復帰するから、特に末端部6の近傍において不足しがちな偏光スクランブル作用を補強することが出来る。
【0117】
従って、戻り光が偏光分離板8へ向けて再出射される際のP偏光成分が50%に近づくことになり、最終的な出射光束に含まれるP偏光成分量が富化される結果をもたらす。なお、符号5は補強スクランブラSRの外側に設けられた銀箔製の反射体であり、補強スクランブラSRの外側から光量が無駄に放散されるのを防止する。
【0118】
次に、第5の実施例における平板状の補強スクランブラSRを楔形の補強スクランブラSR’として、平行光束化素子1に対して相補的な配置をとらせたのが図17に示した第6の実施例である。この実施例では、平行光束化素子1の厚さの大小に対応した偏光スクランブル作用の強弱が、相補的に配置された楔形補強スクランブラSR’の作用によって埋め合わされ、面光源装置の偏光機能がより均一化される。楔形の補強スクランブラSR’の大きさは、平行光束化素子1の裏面4に合わせたものとし、厚さは最厚部で4mm、最薄部で0.2mmとした。
【0119】
なお、この実施例の全体構成は、補強スクランブラSR’の形状を除いて第5の実施例と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0120】
更に、図18は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第7の実施例を断面図で示したものである。楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子1は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたもので構成されている。平行光束化素子1のサイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部6で0.2mmである。
【0121】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって光を入射させ、光取出面3から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射手段で、ここでは銀箔製シートでランプLを取り囲むように配置した。
【0122】
空気層7を挟んで平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置には、偏光分離手段としての偏光分離板8が配置され、更にその外側には空気層9を挟んで光出射方向修正素子10が配置されている。符号11は、光出射方向修正素子10の光出射面であり、面光源装置としての光出射面でもある。この面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源として使用する場合には、光出射方向修正素子10の更に外側に液晶表示パネルが配置される。
【0123】
偏光分離板8は、光学ガラスBK−7からなる厚さ1mmの平坦板状体で構成されている。以上の構成は、第5,第6の実施例の場合と同様に第1の実施例と同一であり、また、その作用も基本的には変わらないので、ここでは詳しい説明を省略する。
本実施例が第1の実施例と異なっているのは、平行光束化素子1の裏面4に沿って、可視光の全域に亙って2分の1波長板として作用する位相差板HWを配置し、更にその外側に銀箔からなる反射体5を設けている点である。この位相差板の遅相軸方向は、平行光束化素子1の縦横稜線に対して45°傾斜するように設定されている。また、その厚さは、偏光分離板8からの戻り光が平行光束化素子1内をほぼ直進して裏面4から透過した場合に、π/2の位相差(Δn・d;ここで、Δnは位相差板HWの複屈折値、dは光路長)を与えるように調整されている。戻り光を図5の代表光線C0 (出射角65°)に由来したものとすれば、位相差板HWへの入射角を計算すると約60°となるから、この60°の入射角の光線について、上記位相差が与えられることになる。
【0124】
今、偏光分離板8からの戻り光の内偏光スクランブル作用を殆ど受けていない成分に注目すると、この成分は、上記前提にある直進性の戻り光に対応していると考えられるから、位相差板HWはS偏光成分に対して特に有効な2分の1波長板として機能する。即ち、直進性の戻り光は、平行光束化素子1の裏面→位相差板HW→反射体5→位相差板HW→平行光束化素子1の裏面4、という経路を辿ることによってP偏光成分に富んだ光に変換される。
【0125】
この光は、平行光束化素子1の有する前方散乱性の効果(「作用」の説明の欄を参照)によって、その多くが平行光束化素子1から、再度65°前後の出射角を以て出射される。この光のP偏光成分の大半は偏光分離板8で反射されることなく、偏光化された光として面光源装置から出射される。この偏光変換作用は、平行光束化素子1の持つ偏光スクランブル作用と同時に発揮されるから、全体としてP偏光成分のエネルギに富んだ偏光光束が得られることになる。
【0126】
なお、以上の各実施例においては光源Lとして棒状の蛍光灯を使用したが、本願発明における光源は広義には光供給手段であれば良く、必ずしも自身が発光能力を有する必要はなく、例えば、他の発光素子に結合された光ファイバ束の出射端などであっても構わない。その偏光特性についても特に制限はなく、レーザ発振に由来した光のように特定の偏光特性を有する光を供給した場合でも、本願発明の本質的な偏光化作用自体が損なわれることは無い。
【0127】
ところで、既に触れたように、本願発明の偏光化機能付面光源装置の特徴が極めて有効に生かされる代表的な事例として、液晶表示装置のバックライト光源手段への適用がある。即ち、従来の面光源装置には本願発明の偏光化機能付面光源装置のような偏光化機能が備わっていないために、液晶表示パネルの光入射側に設けられている偏光板によって面光源装置の出射光の光エネルギの約半分が遮断されて無駄になる現象が生じていたが、本願発明の偏光化機能付面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源手段に採用すれば、バックライト光源出射光束の偏光方向と偏光板の偏光軸方向が平行となる配置をとるだけで、表示に有効に寄与する光エネルギの割合を格段に向上させることが出来る。
【0128】
図19は、本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源手段として使用した場合の基本的な配置を要素分解斜視図で示したものである。この実施例では、バックライト光源手段として先に説明した本願発明の第1の実施例(図4参照)に示したものと同じ型の偏光化機能付面光源装置が使用されており、共通する要素については同じ符号で指示がなされている。
【0129】
即ち、符号1は楔形断面形状を有する指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化素子で、ここではポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料粒子(径2μm、屈折率=1.4345)を0.08wt%の割合で一様に分散させた材料からなるものが使用されている。この条件で有効散乱照射パラメータE及び相関距離aを計算すると、E=7.39[cm-1],a=1.3μmとなる。また、平行光束化素子1のサイズは使用する液晶セルのサイズに合わせて、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面側の端部で4.0mm、末端部で0.2mmとした。
【0130】
Lは平行光束化素子1の入射面から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプLから右方に向かって入射した光は、光取出面3から平行化された光束として取り出される。Rは入射面から入射する光量を可能な限り多く確保する為に適宜配置される反射体で、銀箔製シートが使用されている。
【0131】
平行光束化素子1の裏面4には、光拡散インキパターンや凹凸拡散面等、強い光散乱を生じさせる為の処理は特に施されておらず、銀箔製シートからなる反射体5が配置されている。
【0132】
符号8は平行光束化素子1の光取出面3と対向する位置に配置された偏光分離板8であり、更にその外側には光出射方向修正素子10が配置されている。偏光分離板8には、光学ガラスBK−7(屈折率1.5163)からなる厚さ1mmの平坦な板状部材を使用した。また、光出射方向修正素子10はポリカーボネート(PC;屈折率1.59)からなるものを使用し、そのプリズム形成面を偏光分離板8の方向に向けて配置した。
【0133】
これら要素からなる偏光化機能付面光源装置で構成されるバックライト光源部の光出射側には、2枚の偏光板12,14とその間に配置された液晶セル13からなる液晶表示パネルが配置される。光入射側の偏光板12の透過偏光軸の方向は図中で水平方向を向くように設定される一方、光出射側の偏光板14の透過偏光軸の方向は図中で鉛直方向を向くように設定されている。
【0134】
既に詳しく説明したように、光源L、平行光束化素子1、反射体R,5、偏光分離板8及び光出射方向修正素子10からなる偏光化機能付面光源装置から出射される光束は、高い偏光度を有しており、また、図中破線で示した方向に沿った指向性を有すると共に、平坦度の高い光強度プロファイルを有している。
【0135】
平行光束化素子1と偏光分離板8を利用した偏光化プロセスの説明部分で明らかにしたように、偏光化機能付面光源装置から出射される光束はP偏光化されているから、図示された配置条件では、その主たる偏光軸が図中水平方向を向くことになる。従って、バックライト光束として偏光板12に入射した光の内、偏光板12を透過する光量の割合が大きくなり、少なくとも原理的には、50%を越える光透過率が確保される。
【0136】
このような特徴は、液晶パネル入射側の偏光板の透過偏光軸の方向をどのように選択しても光エネルギの少なくとも50%が無駄になっていた従来の構成では全く期待出来なかったものである。
【0137】
なお、本実施例では、バックライト光源手段として第1の実施例の型の偏光化機能付面光源装置を使用した例を説明したが、他の実施例に示した型のものを使用しても、同様の液晶表示装置を構成出来ることは言うまでもない。
【0138】
また、使用される平行光束化素子の散乱特性について要求される基本的な条件は特許請求の範囲に記載した通りであるが、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ワープロ、テレビジョン等のディスプレイ用に需要度が高いパネルサイズ3インチ〜10インチの液晶表示装置のバックライト光源手段としての用途を考えた場合には、有効散乱照射パラメータE及び相関距離aが次の範囲にある時に特に好ましい結果がもたらされることが確かめられている。
・有効散乱照射パラメータE;2.77[cm-1]≦E≦9.24[cm-1]
・相関距離a;a≦7μm
最後に、本願発明において、平行光束化素子あるいは補強スクランブラとして使用される光散乱導光体の材料及び製造方法について説明する。
本願発明で使用する光散乱導光体のベースとしては、種々のポリマー材料が利用可能である。これらポリマーの代表的なものを下記の表1及び表2に示した。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
このようなポリマー材料をベースとする光散乱導光体は、次のような方法によって製造することが可能である。
先ず、その1つは、2種類以上のポリマーを混練する工程を含む成形プロセスを利用する方法である。
即ち、2種類以上の屈折率の相互に異なるポリマー材料(任意形状で良い。工業的には、例えばペレット状のものが考えられる。)を混合加熱して、練り合わし(混練工程)、混練された液状材料を射出成形機の金型内に高圧で射出注入し、冷却固化することによって成形された平行光束化素子を金型から取り出せば金型形状に対応した形状の平行光束化素子を得ることが出来る。
【0141】
混練された2種類以上の異屈折率のポリマーは完全には混ざり合うことなく固化するので、それらの局所的濃度に不均一(ゆらぎ)が生まれて固定され、一様な散乱能が与えられる。
また、混練された材料を押し出し成形機のシリンダー内に注入し、通常のやり方で押し出せば目的とする成形物を得ることが出来る。
【0142】
これらポリマーブレンドの組合せや混合割合については、非常に幅広い選択が可能であり、屈折率差、成形プロセスで生成される屈折率不均一構造の強さや性質(散乱照射パラメータE、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等)を考慮して決定すれば良い。なお、使用し得るポリマー材料の代表的なものは前記表1及び表2に示した通りである。
【0143】
光散乱導光体を構成する材料の製造法の別の1つは、ポリマー材料中に屈折率の異なる(0.001以上の屈折率差)粒子状材料を一様に混入分散させるものである。
そして、粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の1つにサスペンション重合法と呼ばれる方法がある。即ち、粒子状材料をモノマー中に混入し、湯中に懸濁させた状態で重合反応を行なわせると、粒子状材料が一様に混入されたポリマー材料を得ることが出来る。これを原材料に用いて成形を行なえば、所望の形状の光散乱導光体が製造される。
【0144】
また、サスペンション重合を種々の粒子状材料とモノマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)について実行し、複数種類の材料を用意しておき、これを選択的にブレンドして成形を行なえば、多様な特性の光散乱導光体を製造することが出来る。また、粒子状材料を含まないポリマーをブレンドすれば、粒子濃度を簡単に制御することが出来る。
【0145】
粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の他の1つは、ポリマー材料と粒子状材料を混練するものである。この場合も、種々の粒子状材料とポリマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)で混練・成形(ペレット化)を行なっておき、これらを選択的にブレンドして光散乱導光体を成形製造することにより、多様な特性の光散乱導光体を得ることが出来る。
【0146】
また、上記のポリマーブレンド法と粒子状材料混入方法を組み合わせることも可能である。例えば、屈折率の異なるポリマーのブレンド・混練時に粒子状材料を混入させることが考えられる。
【0147】
以下、製造法の幾つかの実例を挙げておく。
<製造例1>
メタクリル樹脂のペレット(旭化成製、デルベット80N)に粒径0.8μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール108)を0.3wt%添加し、ミキサーで混合分散させた後、押し出し機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散されたペレットを調製した。
【0148】
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度230゜C〜260゜C、型温度50゜Cの条件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の光散乱導光体を得た。
【0149】
製造された光散乱導光体の相関距離はa=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式による見積計算値はE=12.6[cm-1]であった。
【0150】
<製造例2>
MMAに粒径0.8μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール108)を0.3wt%添加し、公知のサスペンション重合法により、該粉体が均一に分散した球状粒子を得た。これを製造例1と同様にペレタイザーでペレット化することにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散されたペレットを調製した。
【0151】
以下、製造例1と同じ条件で同型の楔状光散乱導光体を得た。この光散乱導光体は、製造例1で作製された光散乱導光体と外観上全く区別がつかないものであった。そして、相関距離はa=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式による見積値はE=12.6[cm-1]であった。
【0152】
<製造例3>
ポリメチルメタクリレート(PMMA)にポリスチレン(PSt)を0.5wt%添加し、V型タンブラーを用いて10分間、次いでヘンシェルミキサーを用いて5分間混合した。これを径30mmの2軸押し出し機[ナカタニ機械(株)製]を使って、シリンダー温度220゜C〜250゜C、スクリュー回転数75rpm、吐出量6kg/hrの条件で融解混合してペレットを作成した。
【0153】
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度220゜C〜250゜C、型温度65゜C、射出速度中速、射出圧力ショートショット圧プラス10kg/cm2 の条件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の光散乱導光体を得た。
【0154】
<製造例4>
MMA(メチルメタクリレート)に粒径2μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール120)を各々0.05wt%、0.08wt%、0.10wt%、0.15wt%を加えて均一に分散した4種類の試料と粒子無添加のMMA試料を用意し、計5種類の試料の各々にラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.5wt%、連鎖移動剤としてn―ラウリルメルカプタン(n−LM)を0.2wt%加え、70℃で24時間注型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の光散乱導光体を1枚づつ作製した。
【0155】
<製造例5>
MMA(メチルメタクリレート)にシリコーンオイルを0.025wt%加えて均一に分散させ、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)を0.5wt%、連鎖移動剤としてn―ブチルメルカプタン(n−BM)を0.2wt%、各々加え、70℃で30分間にわたりゾル化を行なった上で、更に65℃で24時間注型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mmまで徐々に変化した楔型の光散乱導光体を作製した。
【0156】
<製造例6>
PMMA(ポリメチルメタクリレート)に粒径2μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール120)を0.08wt%加え、V型タンブラを用いて10分間、次いでヘンシェルミキサを用いて5分間混合した。これを2軸押し出し機で溶融混合(シリンダ温度220℃〜250℃)・押出成形して、ペレットを作製した。
【0157】
このペレットを射出成形機を用いてシリンダ温度220℃〜250℃の条件で射出成形し、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mmまで徐々に変化した楔型の光散乱導光体を作製した。
【0158】
【発明の効果】
本願発明の偏光化機能付面光源装置は、平行光束化素子と偏光成分に依存した反射特性を有する偏光分離手段を組み合わせる構成を基礎として、リサイクル的な偏光化プロセスを実現するものであるから、高いエネルギ利用効率を以て偏光化された光束を得ることが出来る。また、本願発明に係る偏光化機能付面光源装置によれば、その出射光束に平行光束化素子に由来する明瞭な指向性が保存されているから、プリズム作用を利用した平行光束化素子を付加的に利用することによって、所望の方向に伝播する偏光化光束を生成させることが出来る。
【0159】
このような特性は、本願発明の偏光化機能付面光源装置を液晶表示装置のバックライト光源手段として用いた際に極めて有利であり、液晶表示装置の表示品位を格段に向上させ、省電力性を大幅に改善させるに充分なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとり、有効散乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線を、E=50[cm-1]及びE=100[cm-1]の場合について描いたものである。
【図2】相関距離aによって光散乱導光体の前方散乱性の強さが変化することを説明するグラフである。
【図3】本願発明の面光源装置に用いられる光散乱導光体の断面の基本形状を内部における繰り返し反射の様子と共に記したものである。
【図4】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第1の実施例を断面図で示したものである。
【図5】平行光束化素子1から出射された光の挙動を代表光線に関する光線追跡形式で記したものである。
【図6】横軸にBK−7板への入射角をとり、縦軸にP,S各偏光成分の1回透過の透過率をとってグラフ化したものである。
【図7】(A)は、光出射方向修正素子の典型的な構造と配置を説明する図、(B)は変形型の配置を示した図である。両図は、図4,図5に示した配置における偏光分離板及び光出射方向修正素子の周辺部分を抽出拡大した断面図に、光線C3 ,C9 の追跡経路を併記した形で提示されている。
【図8】図4と同様の形式で本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第2の実施例を表わしたものである。
【図9】2枚の偏光分離板と平行光束化素子を組み合わせた第2の実施例における偏光化機能の概要について説明する図である。
【図10】(A)は、波形偏光分離板の断面形状を表わした図であり、(B)は、(A)中に○印で囲まれた部分(繰り返し形状の1単位分)を拡大描示したもので、平行光束化素子1からの出射光束を代表する光線C0 の光線追跡図が併記されている。
【図11】多層膜型偏光分離板の構造と作用を説明する図であり、多層膜3層分の断面と代表光線D0 の主要光路が例示されている。
【図12】図11に示した構造における空気層と第1層の界面における各偏光成分の透過率を入射角の関数として表わしたグラフである。
【図13】図11に示した構造における第1層と第2層の界面における各偏光成分の透過率を入射角の関数として表わしたグラフである。
【図14】図11に示した構造における第2層と第3層の界面における各偏光成分の透過率を入射角の関数として表わしたグラフである。
【図15】厚さ1mmの光学ガラス板BK−7上に、TiOx 、SiO2 及びZrO2 からなる多層膜を真空蒸着により形成した偏光分離板について、分光光度計を用いて、偏光分離機能を入射角度を55°〜70°まで変えながら測定した結果を示したグラフである。
【図16】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第5の実施例を断面図で示したものである。
【図17】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第6の実施例を断面図で示したものである。
【図18】本願発明に係る偏光化機能付の面光源装置の第7の実施例を断面図で示したものである。
【図19】本願発明を液晶表示装置のバックライト光源手段に適用した実施例の構成を要素分解斜視図で示したものである。
【符号の説明】
1 平行光束化素子
2 光入射面
3 光取出面
4 裏面
5 反射体(銀箔)
6 平行光束化素子の末端部
7,9 空気層
8,8’ 偏光分離板(平板形)
8” 波形偏光分離板
10 光出射方向修正素子
11 光出射方向修正素子の光出射面
18 多層膜型偏光分離板
181〜183 多層膜の第1〜第3層
C0 ,C'0,D0 代表光線
L 蛍光ランプ(光源)
R 反射体
SR,SR’ 補強スクランブラ
HW 位相差板
Claims (8)
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えていることを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.0の範囲の屈折率を有する透明な光学材料からなる偏光分離板を含むことを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、各々1.3〜2.0の範囲の屈折率を有すると共に空気層を挟んで積層的に配置された複数枚の偏光分離板を含むことを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.0の範囲の屈折率を有する偏光分離板を含み、該偏光分離板の光入射面には前記平行光束化素子の光取出面から出射された平行光束の出射方向に対応したブリュースター角条件を満たすような繰り返し傾斜面が形成されていることを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段を備えており、前記偏光分離手段が、1.3〜2.3の範囲の屈折率を有する光学材料からなる多層膜を有する偏光分離板を含んでいることを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段と、前記平行光束化素子の光取出面と相反する側の表面に沿って配置された補強スクランブラを備えたことを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 光散乱能を規定する有効散乱照射パラメータE[cm−1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあると共に、光散乱能を与える屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光供給手段と、前記平行光束化素子の光取出面に沿って延在するように配置され、偏光成分に依存した反射特性を有する透光性の偏光分離手段と、前記平行光束化素子の光取出面と相反する側の表面に沿って配置された偏光変換手段を備え、前記偏光変換手段が位相差板並びに該位相差板の外側に臨んで配置された光反射手段を含んでいることを特徴とする偏光化機能付面光源装置。
- 前記偏光分離手段の外側に光出射方向修正素子が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された偏光化機能付面光源装置。
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