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JP2016190830A - ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびその製造方法 - Google Patents

ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびその製造方法 Download PDF

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徹 樋浦
Toru Hiura
徹 樋浦
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Nippon Nyukazai Co Ltd
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Abstract

【課題】副生成物としてのポリアルキレングリコールの含有量が少ないポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを提供する。
【解決手段】本発明は、塩基性触媒の存在下、アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、アルキレンオキサイドと、を混合して前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルと前記アルキレンオキサイドとの付加反応を行う工程を含み、前記塩基性触媒は、金属アルコキシドのアルコール溶液の形態で添加される、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびその製造方法に関する。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(以下、単に「グリコールエーテル」とも称することがある)は、その用途は非常に広範であり、例えば、塗料、インキ、染料、写真複写液、洗浄剤、電解液、ソリュブルオイル、作動油、ブレーキ液、冷媒、凍結防止剤等に使用されうる。また、(メタ)アクリル酸を用いてエステル化した場合、UV・EV硬化型樹脂の反応性希釈剤、粘度調整剤として使用され、塗料、印刷の製版基剤等に幅広く応用されている。
このようなグリコールエーテルの製造方法としては、例えば、水酸化ナトリウム等の塩基性触媒の存在下、鎖長の短いジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、酸化エチレンとの付加反応を行う方法が挙げられる(例えば、特許文献1)。
特表2008−523178号公報
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの製造過程においては、ポリアルキレングリコール(PAG)が副生成物として生じることが知られており、このPAGの副生を抑制することができる技術が求められている。
例えば、上述のようなグリコールエーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応を行う場合、原料であるグリコールエーテル中にPAGが多く含まれていると、これらPAGに対しても(メタ)アクリル酸のエステル化が起こり、反応収率が低下するという不都合が生じる。
特許文献1に開示された技術によれば、原料混合物から水を蒸留して除去することによってグリコールエーテル製造時のPAGの副生をある程度抑制することができることが示されているものの、さらにPAGの副生を抑制することができる技術が求められていた。
そこで、本発明は、副生成物としてのポリアルキレングリコール(PAG)の含有量が少ないポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(グリコールエーテル)を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を積み重ねた。その結果、驚くべきことに、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの製造時に用いる塩基性触媒として、金属アルコキシドのアルコール溶液を用いることにより、副生成物であるポリアルキレングリコール(PAG)の含有量が低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、塩基性触媒の存在下、下記式(i):
上記式(i)中、
は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
は、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であり、
mは、0〜10の整数である;で表される化合物(I)と、
アルキレンオキサイドと、
を混合して前記化合物(I)と前記アルキレンオキサイドとの付加反応を行う工程を含み、
前記塩基性触媒は、金属アルコキシドのアルコール溶液の形態で添加される、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの製造方法である。
本発明によれば、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(グリコールエーテル)の製造時に用いる塩基性触媒として、金属アルコキシドのアルコール溶液を用いることにより、ポリアルキレングリコール(PAG)の副生を抑制することができる。よって、副生成物としてのPAGの含有量が少ないグリコールエーテルが提供されうる。
本発明の第一の形態によれば、上記式(i)で表される化合物(I)(以下、単に「化合物(I)」とも称する)と、アルキレンオキサイドと、を混合して前記化合物(I)とアルキレンオキサイドとの付加反応を行う工程を含み、前記塩基性触媒は、金属アルコキシドのアルコール溶液の形態で添加される、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの製造方法が提供される。このように、本発明に係る製造方法は、塩基性触媒を特定の形態とすることを特徴の一つとする。
従来のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(グリコールエーテル)の製造方法としては、塩基性触媒の存在下、鎖長の短いアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、酸化エチレンとの付加反応を行う方法が知られており、このとき、塩基性触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物や、ナトリウムメトキシド(CHONa)等の金属アルコキシドをそのまま(固体の状態で)添加することが行われていた。
かような従来技術に対し、本発明者は、ポリアルキレングリコール(PAG)を低減するために、塩基性触媒の探索を行った。その過程で、驚くべきことに、塩基性触媒として金属アルコキシドのアルコール溶液を添加することにより、グリコールエーテル中において、副生成物として生成するPAGの含有量が低減できることが見いだされた。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記メカニズムに限定されるものではない。
本発明において、塩基性触媒として使用される金属アルコキシドのアルコール溶液は、金属アルコキシドがアルコール中に溶解した、または分散した形態をとるものである。
一方で、金属水酸化物や金属アルコキシドは、化合物(I)およびアルキレンオキサイドの付加反応において有効な触媒作用を発揮するものの、吸湿性が高いという特徴がある。したがって、上述の従来技術のように、金属水酸化物や金属アルコキシドをそのまま(固体の状態で)原料混合物(原料化合物)に添加すると、これらが大気中の水分によって吸湿する結果、原料混合物中の水分量が多くなってしまう。そうすると、グリコールエーテルの生成過程において、原料化合物中の水分とアルキレンオキサイドとが反応することによってPAGの副生につながる。また、金属アルコキシド自身が加水分解してしまい、触媒能すなわち反応効率が低下してしまうという不都合もある。
これに対し、本発明の方法によれば、化合物(I)とアルキレンオキサイドとの反応に際し、塩基性触媒としての金属アルコキシドをアルコール溶液の形態で添加するため、金属アルコキシドの吸湿を低減することができる。その結果、上記のような金属アルコキシドの吸湿に起因するPAGの副生や反応効率の低下を効果的に抑制することができる。
また、本発明の方法によれば、塩基性触媒として固体(粉末、フレーク、ペレット等)ではなく、溶液を添加するため、計量時や添加時におけるハンドリング性の観点からも有利である。かようなハンドリング性の改良は、特に大スケールでのグリコールエーテルの製造において極めて重要であり、本発明に係る製造方法は、特にスケールアップ時のハンドリング性の向上という観点からも有用である。
加えて、本発明の方法によれば、特許文献1に開示された技術のように、蒸留によって原料混合物中の水を蒸留する必要もなく、純度の高いグリコールエーテルが得られるため、製造(精製)工程が煩雑となることなく、また、製造設備を簡素化することができる。
以下、本発明に係るグリコールエーテルの製造方法について、具体的に説明する。
<ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(グリコールエーテル)の製造方法>
本発明に係るグリコールエーテルの製造方法は、下記の化合物(I)、アルキレンオキサイドおよび塩基性触媒のアルコール溶液を用いる。以下、それぞれについて具体的に説明する。
[化合物(I)]
本発明の製造方法において用いられる原料化合物としての化合物(I)は、下記式(i)で表される、アルコールまたはアルキレングリコールモノアルキルエーテルである:
上記式(i)中、
は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
は、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であり、
mは、0〜10の整数である。
なお、本明細書中、「置換されているかもしくは非置換の」とは、ある基の水素原子が他の基で置換されていても、置換されていなくてもよいことを意味する。ここで、置換しうる置換基としては、特に限定されない。
また、一つの置換基に対して、さらに置換される置換基の数は特に制限はなく、所望のグリコールエーテルの構造を考慮して適宜選択されうる。なお、上記において、同一の置換基で置換されることはない。すなわち、置換基としてのアルキル基は、アルキル基で置換されることはない。
上記式(i)中、Rは、化合物(I)において末端のアルコキシ基を形成する一価の基であり、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基を示す。Rは、所望のグリコールエーテルの構造に依存して適宜選択される。反応性や入手容易性を考慮すると、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜10のアリール基であると好ましく、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜5のアルキル基であるとより好ましく、メチル基であると特に好ましい。
上記式(i)中、mは、オキシアルキレン基(−OA−)の付加モル数を示し、0〜10の整数である。mは、反応性や入手容易性を考慮すると、1〜10の整数であると好ましく、1または2であるとより好ましい。以下で詳述するように、AおよびRの種類にも依存するが、化合物(I)に由来するポリアルキレングリコール(原料中の不純物)や水との分離容易性を考慮すると、mは小さい方が好ましい。
上記式(i)中のRとして示される、置換されているかもしくは非置換の炭素原子数1〜20のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基などの直鎖、分岐のアルキル基が挙げられる。上記置換基は、所望のグリコールエーテルの構造により決定されるが、反応性や入手容易性を考慮すると、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記式(i)中のRとして示される、置換されているかもしくは非置換の炭素原子数1〜20個のシクロアルキル基の例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基が挙げられる。上記置換基は、所望のグリコールエーテルの構造により決定されるが、反応性や入手容易性を考慮すると、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
上記式(i)中のRとして示される、置換されているかもしくは非置換の炭素原子数6〜30のアリール基の例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などが挙げられる。上記置換基は、所望のグリコールエーテルの構造により決定されるが、反応性や入手容易性を考慮すると、フェニル基、ジメチルフェニル基(2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基等)が好ましい。
上記式(i)中のRとして示される、置換されているかもしくは非置換の炭素原子数7〜31のアリールアルキル基の例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、3−(1−ナフチル)プロピル基、または3−(2−ナフチル)プロピル基などが挙げられる。上記置換基は、所望のグリコールエーテルの構造により決定されるが、反応性や入手容易性を考慮すると、ベンジル基が好ましい。
上記式(i)中、Aは、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基を示す。Aは、所望のグリコールエーテルの構造に依存して適宜選択される。上記式(i)中のAとして示される、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1,2−ジメチルエチレン基などの直鎖または分岐のアルキレン基が挙げられる。反応性や入手容易性を考慮すると、Aは、エチレン基、またはメチルエチレン基であると好ましく、エチレン基であると特に好ましい。
本発明において化合物(I)として好ましく用いられる具体的な化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(モノエチレングリコールモノメチルエーテル)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ(n−ヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノ(2−エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ(n−ヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノ(2−エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。これらの原料化合物は、市販品を用いてもよいし、予め合成したものを用いてもよい。上記の中でも、PAGの副生を抑制しやすく、また、入手が容易であるという観点から、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いると好ましい。
本発明に係る製造方法において、化合物(I)は原料化合物として用いられるが、PAGの副生を抑制するために、化合物(I)は、純度の高いものを用いることが好ましい。しかしながら、化合物(I)(化合物(I)を含む原料、すなわち、原料として用いる化合物(I))は、その製造や保存過程において生じる不純物(原料含有不純物)を含みうる。
上記式(i)において、mが1〜10である場合(化合物(I)がアルキレングリコールモノアルキルエーテルである場合)、原料含有不純物としては、アルキレングリコールが挙げられる。すなわち、化合物(I)(化合物(I)を含む原料)は、アルキレングリコールを原料含有不純物として含みうる。ここで、アルキレングリコールとは、具体的には、下記式(a):
上記式(a)中、
は、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であり、
nは、1〜10の整数である;で表される化合物(以下、「化合物(A)」とも称することがある)である。
上記化合物(A)は、上記化合物(I)を製造する際に生じる副反応生成物である。よって、上記式(a)中、Aは、上記式(i)におけるAと同じ基であるため、詳細な説明は省略する。また、一般に、上記式(a)中、nは、通常、1または2である。化合物(A)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。
化合物(I)(化合物(I)を含む原料)中、上記原料含有不純物の含有量(不純物が二種以上である場合は、その合計量)は、少ないほど好ましく、150質量ppm以下であると好ましい。かような含有量であれば、化合物(I)とアルキレンオキサイドとの付加反応を行う際、PAGの生成を効果的に抑制することができる。上記の原料含有不純物の含有量は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定される。
また、上述の原料中の水と、後述するアルキレンオキサイドとの反応によるPAGの生成を抑制するために、化合物(I)を含む原料中の含水量は、少ない方が好ましい。具体的には、化合物(I)を含む原料中の水分量は、0.5質量%以下であると好ましい。上記水分含有量は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定される。
[アルキレンオキサイド]
本発明の製造方法において用いられる原料化合物としてのアルキレンオキサイドは、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基を有するアルキレンオキサイドであり、所望のグリコールエーテルの構造に依存して適宜選択される。
本発明においてアルキレンオキサイドとして好ましく用いられる具体的な化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
例えば、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、等が挙げられる。反応性や入手容易性の観点で、エチレンオキサイドを用いるとより好ましい。
反応性、入手容易性、さらに得られるグリコールエーテルの工業上の利用可能性を考慮すると、化合物(I)は、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテルであり、アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイドであると好ましい。
[塩基性触媒]
本発明に係る製造方法において用いられる塩基性触媒は、金属アルコキシドのアルコール溶液の形態で添加される。このように、アルコール溶液の形態で添加することにより、金属アルコキシドの吸湿性の影響を低減することができるため、反応系中(原料混合物中)の水分量を少なくすることができる。その結果、原料化合物として用いられるアルキレンオキサイドによる、PAGの副生を抑制することができる。
本発明において用いられる金属アルコキシドは、上記化合物(I)およびアルキレンオキサイドの付加反応を促進することができるものであれば特に制限されず、アルカリ金属アルコキシドや、第二族元素のアルコキシドが挙げられる。
本発明において用いられるアルカリ金属アルコキシドは、特に制限されないが、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシドおよびナトリウム−tert−ペントキシド等が挙げられる。
また、本発明において用いられる第二族元素のアルコキシドは、特に制限されないが、例えば、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド等が挙げられる。
なお、上記の金属アルコキシドは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
なかでも、反応性(触媒作用)に優れるため、本発明において用いられる金属アルコキシドは、アルカリ金属アルコキシドであると好ましい。アルカリ金属アルコキシドは吸湿性が高く、そのまま固体の状態で添加すると、大気中の水分によって吸湿し、反応系中(原料混合物中)の水分を増加させてしまう。したがって、本発明によれば、アルカリ金属アルコキシドを用いながらも、その吸湿性によって生じるPAGの生成を抑制すると共に、アルカリ金属アルコキシドの優れた触媒作用を有効に利用することができる。
上記のアルカリ金属アルコキシドの中でも、反応性や入手容易性を考慮すると、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ペントキシドおよびカリウム−tert−ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
上記金属アルコキシドは、アルコール溶液の形態で用いられる。このとき用いられる溶媒、すなわち、上記金属アルコキシドのアルコール溶液の溶媒は、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。なかでも、反応性や入手容易性を考慮すると、アルコール溶液の溶媒は、メタノールまたはエタノールを含むと好ましい。
グリコールエーテルの純度をより向上させるという観点からは、金属アルコキシド(M(OR:Mは、金属元素であり、zは、金属元素Mの価数を示す)のアルコキシド部分(OR)を構成する炭化水素基(すなわち、−R)と、アルコール溶媒(RALCOH)の炭化水素基(すなわち、−RALC)とは、同じ置換基であると好ましい。例えば、金属アルコキシドとしてナトリウムメトキシドを用いる場合、メタノール溶液とすると好ましい。なお、上記のように、金属アルコキシドがアルコール溶媒に由来するアルコキシドであると、調製が容易であるという観点からも好ましい。
塩基性触媒(金属アルコキシドのアルコール溶液)中における金属アルコキシドの濃度は特に制限されないが、入手容易性やハンドリング性を考慮すると、20〜40質量%であると好ましく、25〜35質量%であるとより好ましい。
塩基性触媒のアルコール溶液は、市販品を用いてもよいし、予め合成したものを用いてもよい。また、合成する方法は特に制限されないが、例えば、アルコールに、アルカリ金属等の金属を添加することによって得ることができる。
[製造条件]
本発明の製造方法において、上記塩基性触媒の存在下、上記化合物(I)およびアルキレンオキサイドの付加反応を行う工程を含み、このとき、塩基性触媒は、アルコール溶液の形態で反応系中に添加されることを特徴とする。塩基性触媒の存在下、化合物(I)とアルキレンオキサイドとを反応させることができるものであればその手順および反応条件は特に制限されず、公知の付加反応の手順および反応条件をそのまま、あるいは適宜修飾して採用することができる。以下、本発明に係るグリコールエーテルの製造方法として好ましい例について説明する。
本発明に係るグリコールエーテルの製造方法の好ましい例は、(1)原料混合工程および(2)反応工程を含み、さらに任意で、(3)反応停止工程や(4)後処理工程を含んでいてもよい。以下、各工程について、それぞれ説明する。
(1)原料混合工程
本工程では、上記化合物(I)と塩基性触媒との混合が行われる。このとき、塩基性触媒は、上述の通り、アルコール溶液の形態で添加される。
具体的には、反応容器に、化合物(I)および塩基性触媒のアルコール溶液(以下、単に「触媒溶液」とも称することがある)をそれぞれ添加し、混合する。この時の添加方法および添加順序は特に制限されない。化合物(I)、触媒溶液の順で反応容器に添加してもよいし、この逆であってもよく、また、これらを一度に反応容器に加えてもよい。触媒溶液の吸湿を抑制するという理由や、安全性の観点から、反応容器に化合物(I)を加え、その後、触媒溶液を添加すると好ましい。
反応容器に化合物(I)および触媒溶液を添加する際の温度は、特に制限されないが、具体的には、0〜40℃であると好ましい。
また、反応容器に対する化合物(I)および触媒溶液の添加は、大気下で行ってもよいし、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行ってもよい。
触媒溶液の添加量は、化合物(I)の量(仕込み量、化合物(I)として二種以上の化合物を用いる場合はその合計量)に対して、触媒溶液中に含まれる塩基性触媒(触媒量換算)が、0.1〜10質量%となる量であると好ましい。かような量とすることにより、化合物(I)とアルキレンオキサイドとの付加反応が効果的に促進される。このような観点から、触媒溶液の添加量は、化合物(I)の量(合計量)に対して、塩基性触媒(触媒量換算)が、0.1〜5質量%となる量であるとより好ましく、0.1〜1質量%となる量であると特に好ましい。
上記の通り、反応容器に化合物(I)および触媒溶液を添加した後、撹拌等を行うことにより、これら原料を混合し、原料混合物を得る。このとき、撹拌方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
本発明に係るグリコールエーテルの製造方法では、化合物(I)およびアルキレンオキサイドの反応工程において、反応系中へ水が混入することを抑制する目的から、触媒溶液に由来する溶媒以外の溶媒を用いることなく反応を行うことが好ましい。
上記の通り原料混合物を得た後、必要に応じて、反応容器中の脱気、および不活性ガス(窒素、アルゴン等)による置換操作を行ってもよい。
また、上記原料混合物を得た後、以下で詳説する反応工程における付加反応を促進するため、加熱を行い、原料混合物を昇温する操作を行ってもよい。このときの反応系中の温度としては、使用する化合物(I)およびアルキレンオキサイドの反応性にも依存するが、50〜200℃であると好ましい。
(2)反応工程
本工程は、塩基性触媒存在下、化合物(I)とアルキレンオキサイドとを付加反応させる工程である。本工程では、上記「(1)原料混合工程」により得られた原料混合物に、アルキレンオキサイドを添加し、必要に応じて加熱することにより、付加反応を進行させる。
反応容器へアルキレンオキサイドを添加する際、安全性をより向上させる(特に反応温度の制御)という観点から、アルキレンオキサイドは何回かに分けて添加すると好ましい。なお、本明細書中、アルキレンオキサイドの添加の開始時点を以って「反応開始時点(付加反応の開始時点)」とする。
また、アルキレンオキサイドを断続的に添加した場合、その添加に要する時間は、アルキレンオキサイドの添加量に応じて適宜決定され、特に制限されない。
また、アルキレンオキサイドの添加は、上記原料混合物を撹拌しながら行われると好ましい。
反応容器にアルキレンオキサイドを添加する時の系中(原料混合物)の温度は、化合物(I)とアルキレンオキサイドとの反応性に応じて適宜調節され、特に制限されないが、50〜200℃であると好ましい。
ここで、PAGの生成を抑制するため、反応開始時点における原料混合物(アルキレンオキサイドを添加する前であって、化合物(I)および触媒溶液の混合物)中のアルキレングリコールの含有量(アルキレングリコールが二種以上である場合は、その合計量)は、少ない方が好ましい。具体的には、上記付加反応の開始時点における、原料混合物中のアルキレングリコールの含有量(合計量)が、150質量ppm以下であると好ましい。上記アルキレングリコールの含有量は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定される。
上記アルキレングリコールとは、具体的には、上述の式(a)で表される化合物(A)である。ここで、化合物(A)の説明は上述の通りであるため、詳細な説明は省略する。
反応工程におけるアルキレンオキサイドの添加量は、所望のグリコールエーテルの構造により、適宜決定される。
上記の通り、反応容器中で化合物(I)とアルキレンオキサイドとを反応させる際には、撹拌等を行うことにより、反応を促進し、また、得られるグリコールエーテルの分子量分布を狭くすることができる。このとき、撹拌方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
上記のように反応容器にアルキレンオキサイドの添加を行った後、必要に応じてさらに反応させる(熟成させる)ことが好ましい。このとき、反応を十分に進行させるため、反応系中(原料混合物)の温度を上記アルキレングリコールの添加時の温度に保持しながら撹拌を継続すると好ましい。
反応の雰囲気は特に制限されず、例えば、大気下、または窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下などを適宜採用することができる。
反応時の圧力(反応容器内のゲージ圧力)は特に制限されないが、0〜1.0MPaであると好ましい。
(3)反応停止工程
本工程では、上記(2)反応工程の後、所望のグリコールエーテルが得られたことを確認してから化合物(I)とアルキレンオキサイドとの付加反応を停止させる操作を行う。
具体的には、加熱を終了して冷却する。このとき、冷却方法は特に制限されず、空冷、水冷等の公知の冷却手段を用いることができる。冷却は、原料混合物の温度が50℃以下となるまで行われると好ましい。
上記のように、原料混合物を冷却した後、塩基性触媒が残留していると、得られたグリコールエーテルの品質および性能の低下につながることから、塩基性触媒の中和を行うことが望ましい(中和工程)。
塩基性触媒の中和方法は、従来公知の方法を採用することができる。このような中和方法としては、例えば、酸性水溶液を添加し、適当な温度および時間で中和する方法が挙げられる。
中和工程に用いられる酸性水溶液は、特に制限されるものではなく、水に溶解する酸性物質を用いて調製することができ、酸性物質としては、たとえば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、酢酸、グリコール酸などを好ましく用いることができる。なお、上記酸性物質は、1種単独で使用されてもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
また、中和温度は、特に制限されないが、100℃以下とすると好ましい。中和温度を100℃以下とすることにより、得られたグリコールエーテルの品質および性能の低下を抑制することができる。
(4)後処理工程
本工程では、上記(3)反応停止工程の後、適当な後処理を行う。後処理の方法は、公知の方法をそのまま、あるいは適宜修飾して用いることができ、特に制限されない。
例えば、本工程では、得られたグリコールエーテルの各種物性の測定や、酸化防止剤の添加が行われると好ましい。
添加される酸化防止剤は、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物およびアミン系化合物などが挙げられる。
上記の各工程を経て得られるグリコールエーテルは、PAGの含有量が極めて少ない。好ましい一例としては、グリコールエーテル中に含まれるPAGの含有量が1500質量ppm以下のものを得ることができる。なお、上記PAGの含有量は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
<ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(グリコールエーテル)>
上記の製造方法により、PAGの含有量が極めて少ないポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(グリコールエーテル)を得ることができる。すなわち、本発明の第二の形態によれば、下記式(ii):
上記式(ii)中、
は、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であり、
は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
kは、1〜100の整数である;で表されるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルであって、
ポリアルキレングリコールの含有量が1500質量ppm以下である、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルもまた提供される。なお、上記PAGの含有量は、具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
上記グリコールエーテルは、化合物(I)とアルキレンオキサイドの付加反応生成物である。よって、上記式(ii)中、Aは、上記式(i)におけるAおよびAと同じ置換基であるため、詳細な説明は省略する。また、上記式(ii)中、kは、アルキレンオキサイドの付加数を示し、式:k≧m+1の関係を満たす。kは、アルキレンオキサイドの添加量、反応時間および反応温度等により適宜調節される。
上記のように、不純物としてのPAGが非常に少ないグリコールエーテルは、例えば、塗料、インキ、染料、写真複写液、洗浄剤、電解液、ソリュブルオイル、作動油、ブレーキ液、冷媒、凍結防止剤等に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。なお、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
以下に示す原料中の水分量は、各原料約5.0gをサンプリングし、京都電子工業株式会社製カールフィシャー水分計MKA−610を使用して容量滴定法によって測定した。
また、以下に示す原料(化合物(I)としてのモノエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテル)中の不純物(エチレングリコール:EG)の量は、アジレント・テクノロジー株式会社製、Agilent7890A(GC−MS)によって測定した。この時の測定条件は、以下の通りである。なお、反応系中のEG濃度の測定も同様とした。
<測定条件>
カラム:Inert Cap WAX(30m×0.25mmID×0.25μm)
注入量:0.2μL
プログラム:50℃−(1℃/min.)−55℃−(100℃/min.)−240℃。
さらに、原料混合物中の不純物量の測定も上記と同様とした。
(実施例1:エチレングリコールモノメチルエーテルを用いたグリコールエーテルの製造)
撹拌機と温度調節機を備えたオートクレーブに、上記化合物(I)として、モノエチレングリコールモノメチルエーテル(水分量:0.5質量%以下、EG量:150質量ppm以下)76.10質量部を仕込み、さらに、塩基性触媒として、28質量%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(SM−28)0.78質量部を仕込んだ。系内を窒素置換した後、所定温度まで加熱昇温を行った。このとき、反応系中のエチレングリコールの濃度は、150質量ppm以下であった。
続いて、所定温度において、上記アルキレンオキサイドとしてのエチレンオキサイド361.2質量部(モル比:8.2)を7時間かけて断続的にオートクレーブ中に導入し、そのままの温度で7時間熟成をしてエチレンオキサイドの付加反応を完結させた。冷却後、触媒を中和する目的で89質量%リン酸水溶液0.32質量部を加え、目的物であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル)を434.0質量部得た。下記方法に従って得られたグリコールエーテル中のPEG含有量を測定したところ、1500質量ppm以下であった。
(実施例2:ジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いたグリコールエーテルの製造)
撹拌機と温度調節機を備えたオートクレーブに、上記化合物(I)として、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(水分量:0.5質量%以下、EG量:150質量ppm以下)120.15質量部を仕込み、さらに、触媒として、28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(SM−28)0.78質量部を仕込んだ。系内を窒素置換した後、所定温度まで加熱昇温を行った。このとき、反応系中のエチレングリコールの濃度は、150質量ppm以下であった。
続いて、所定温度において上記アルキレンオキサイドとしてのエチレンオキサイド317.2質量部(モル比:7.2)を7時間かけて断続的にオートクレーブ中に導入し、そのままの温度で7時間熟成をしてエチレンオキサイドの付加反応を完結させた。冷却後、触媒を中和する目的で89質量%リン酸水溶液0.3質量部を加え、目的物であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル)を434.2質量部得た。下記方法に従って得られたグリコールエーテル中のPEG含有量を測定したところ、1500質量ppm以下であった。
(比較例1:塩基性触媒としてナトリウムメトキシド(粉末)を用いたグリコールエーテルの製造)
撹拌機と温度調節機を備えたオートクレーブに、上記化合物(I)として、モノエチレングリコールモノメチルエーテル(水分量:0.5質量%以下、EG量:150質量ppm以下)76.10質量部を仕込み、さらに、触媒として、ナトリウムメトキシド(粉末)0.21質量部を仕込んだ。系内を窒素置換した後、所定温度まで加熱昇温を行った。このとき、反応系中のエチレングリコールの濃度は、150質量ppm以下であった。
続いて、所定温度において上記アルキレンオキサイドとしてのエチレンオキサイド361.2質量部(モル比:8.2)を7時間かけて断続的にオートクレーブ中に導入し、そのままの温度で7時間熟成をしてエチレンオキサイドの付加反応を完結させた。冷却後、触媒を中和する目的で89質量%リン酸水溶液0.30質量部を加え、目的物であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル)を415.4質量部得た。下記方法に従って得られたグリコールエーテル中のPEG含有量を測定したところ、2700質量ppmであった。
(比較例2:塩基性触媒としてナトリウムメトキシド(粉末)を用いたグリコールエーテルの製造)
撹拌機と温度調節機を備えたオートクレーブに、上記化合物(I)として、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(水分量:0.5質量%以下、EG量:150質量ppm以下)120.15質量部を仕込み、さらに、塩基性触媒として、ナトリウムメトキシド(粉末)0.22質量部を仕込んだ。系内を窒素置換した後、所定温度まで加熱昇温を行った。このとき、反応系中のエチレングリコールの濃度は、150質量ppm以下であった。
続いて、所定温度において上記アルキレンオキサイドとしてのエチレンオキサイド317.2質量部(モル比:7.2)を7時間かけて断続的にオートクレーブ中に導入し、そのままの温度で7時間熟成をしてエチレンオキサイドの付加反応を完結させた。冷却後、触媒を中和する目的で89質量%リン酸水溶液0.31質量部を加え、目的物であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル)を432.6質量部得た。下記方法に従って得られたグリコールエーテル中のPEG含有量を測定したところ、6700質量ppmであった。
(比較例3:塩基性触媒として水酸化カリウムを用いたグリコールエーテルの製造)
撹拌機と温度調節機を備えたオートクレーブに、上記化合物(I)として、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(水分量:0.5質量%以下、EG量:150質量ppm以下)120.15質量部を仕込み、さらに、塩基性触媒として、水酸化カリウム(フレーク)0.19質量部を仕込んだ。系内を窒素置換した後、所定温度まで加熱昇温を行った。このとき、反応系中のエチレングリコールの濃度は、150質量ppm以下であった。
続いて、所定温度において上記アルキレンオキサイドとしてのエチレンオキサイド303.9質量部(モル比:7.2)を7時間かけて断続的にオートクレーブ中に導入し、そのままの温度で7時間熟成をしてエチレンオキサイドの付加反応を完結させた。冷却後、触媒を中和する目的で89質量%リン酸水溶液0.22質量部を加え、目的物であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル)を420.9質量部得た。下記方法に従って得られたグリコールエーテル中のPEG含有量を測定したところ、8000質量ppmであった。
≪評価≫
上記実施例および比較例で得られたグリコールエーテルについて、HPLCによってPEG含有量を評価した。得られた結果を下記表1に示す。
表1中、実施例1と比較例1との対比、ならびに実施例2と比較例2〜3との対比により、本発明に係る製造方法によれば、PEGの含有量が極めて少ないグリコールエーテルが製造できることが示された。
また、上記実施例および比較例で得られたグリコールエーテルについて、HPLC測定の結果、実施例に係るグリコールエーテルは、一種類のピークとして観測された。また、そのピークの半値幅は、それに対応する比較例(すなわち、同じ原料化合物を用いた比較例)で得られたグリコールエーテルのものよりも狭いことが分かった。

Claims (6)

  1. 塩基性触媒の存在下、下記式(i):
    上記式(i)中、
    は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
    は、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であり、
    mは、0〜10の整数である;で表される化合物(I)と、
    アルキレンオキサイドと、
    を混合して前記化合物(I)と前記アルキレンオキサイドとの付加反応を行う工程を含み、
    前記塩基性触媒は、金属アルコキシドのアルコール溶液の形態で添加される、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの製造方法。
  2. 前記金属アルコキシドは、アルカリ金属アルコキシドである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルコール溶液の溶媒は、メタノールまたはエタノールを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記化合物(I)は、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテルであり、
    前記アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記付加反応の開始時点における、原料混合物中のアルキレングリコールの含有量が、150質量ppm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 下記式(ii):
    上記式(ii)中、
    は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、
    は、炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキレン基であり、
    kは、1〜100の整数である;で表されるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルであって、
    ポリアルキレングリコールの含有量が1500質量ppm以下である、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル。
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