以下、実施の形態を図面に従い説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる電源装置(LED点灯装置)が適用される照明器具を示す斜視図である。まず、電源装置を備える照明器具について簡単に説明する。
図1において、1は器具本体である。器具本体1は、円板状をした基台1aを有している。そして、この基台1a上に光源として直径の異なるリング状のLED照明灯2,及び3が同心状に配置される。LED照明灯2,3を覆うように乳白色のセード4が装着されている。器具本体1の内部には、電源装置100が配置されている。なお、図示しないが、さらに反射板、端子および配線などが器具本体1に設けられてもよい。
図2は、図1に示す照明器具の器具本体1の内部に組み込まれる電源装置100の概略構成を示している。
図2において、10は交流電源である。交流電源10は、不図示の商用電源を備える。交流電源10には、全波整流回路11の入力端子が接続されている。全波整流回路11は、交流電源10からの交流電力を全波整流した出力を発生する。全波整流回路11の正負極の出力端子間には、リップル電流平滑用のコンデンサ12が接続されている。
コンデンサ12には、降圧チョッパを構成するスイッチング素子として例えばGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ13が接続されている。
この電界効果トランジスタ13は、バンドギャップの違う異種の半導体材料を接合することで形成される。電界効果トランジスタ13は、界面に2次元電子ガスの層を備える。電界効果トランジスタ13は、2次元電子ガスの層の効果により高速なスイッチングと感度を実現することが出来る。電界効果トランジスタ13は、HEMT(High Electron Mobility Transistor)と呼ばれている。
また、この電界効果トランジスタ13は、ゲートソース間電圧をVgsとし、ゲート電圧の閾値をVth(負電圧)とする。電界効果トランジスタ13は、Vth>Vgsである場合にオフし、Vth<Vgsである場合にオンする。
電界効果トランジスタ13のドレインは、全波整流回路11の正極側の出力端子に接続される。電界効果トランジスタ13のソースは、半導体発光素子として複数個直列接続されたLED素子を有するLED素子群14、抵抗素子15及びインダクタ16の直列回路を介して全波整流回路11の正極側の出力端子に接続される。また、電界効果トランジスタ13のゲートは、駆動制御手段をなすスイッチング素子としてノーマリーオフタイプの電界効果トランジスタ18を介して抵抗素子15とインダクタ16の接続点に接続されている。
なお、電界効果トランジスタ13は、ソースとゲートの間にゲート保護用の図示極性のダイオード19が接続されている。
LED素子群14は、図1に示すLED照明灯2,3に相当する。LED素子群14に電流が流れると両端に図示極性の順方向電圧を発生する。順方向電圧の負電位を電界効果トランジスタ13のソースゲート間に印加させることで電界効果トランジスタ13をオフさせる。また、LED素子群14には、並列にコンデンサ20が接続されている。
インダクタ16は、カップリングされた補助巻線161を有する。補助巻線161の一方端は、抵抗素子15とインダクタ16の接続点に接続される。補助巻線161の他方端は、図示している極性のダイオード21を介して電界効果トランジスタ18のゲートに接続されている。そして、電界効果トランジスタ13のオンオフ動作にともなうインダクタ16での電磁的エネルギーの蓄積及び放出により、フライホイールダイオード22を介してコンデンサ20両端に降圧された直流出力を発生させる。また、インダクタ16での電磁的エネルギーの蓄積及び放出に同期した補助巻線161の出力により、電界効果トランジスタ18をオンオフ動作させる自励回路が構成されている。
抵抗素子15には、定電流制御手段を構成するコンパレータ23が接続されている。コンパレータ23は、図示極性のダイオード24を介して電界効果トランジスタ18のゲートに接続されている。また、コンパレータ23は、一方入力端子に予め設定された基準信号Vfを発生する電源17が接続される。コンパレータ23の他方端子には、抵抗素子15に流れる負荷電流が入力される。コンパレータ23は、入力される負荷電流と基準信号Vfとを比較する。コンパレータ23は、比較結果において、負荷電流が基準信号Vfに達する場合、電界効果トランジスタ18を強制的にオン動作させる。
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
いま、不図示の電源スイッチにより電源オンとすると、オン状態の電界効果トランジスタ13を介してLED素子群14の両端に図示極性の順方向電圧を発生する。また、電界効果トランジスタ13のオンにより、LED素子群14を流れる電流がコンパレータ23の基準信号Vfになると、電界効果トランジスタ18がオンし、LED素子群14の順方向電圧による負電位が電界効果トランジスタ13のソースとゲートの間に印加される。この場合、Vth>Vgsになって電界効果トランジスタ13がオフする。この状態で、インダクタ16の補助巻線161より電界効果トランジスタ18をオンし続ける信号が発生する。インダクタ16が放電を終了する場合、電界効果トランジスタ18がオフする。この場合、Vth<Vgsとなる為、電界効果トランジスタ13は、再びオンする。
以下、同様な動作が繰り返され、電界効果トランジスタ18のスイッチング動作により電界効果トランジスタ13をオンオフする。インダクタ16での電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード22を介してコンデンサ20両端に降圧された直流出力が発生する。この直流出力によりLED素子群14が点灯される。
また、抵抗素子15に流れる負荷電流がコンパレータ23の予め設定された基準信号Vfになると電界効果トランジスタ18がオンし、電界効果トランジスタ13がオフする。これにより負荷電流が制限されるようになり、LED素子群14に流れる負荷電流は、常に基準信号Vfと一致するように制御され、定電流制御が行われる。
したがって、このようにすれば、降圧チョッパを構成するスイッチング素子としてノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ13が用いられ、電界効果トランジスタ13を、LED素子群14に発生する順方向電圧を利用してオフできるようになる。これにより、ノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ13をオフするための負電圧を得るのに特別な電源回路を組み込むことがなくなり、部品点数を少なくできる。また、回路構成を簡単化できるとともに、装置を小型化でき、価格的にも安価にできる。
また、半導体発光素子14に発生する順方向電圧により電界効果トランジスタ13のゲート電圧の閾値Vthに対してVth>Vgs(ゲートソース間電圧)の適切な負電位を得られるので、ノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタを確実にオフすることができる。
また、スイッチング素子として、GaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ13を使用している。電界効果トランジスタ13は、効率を落とすことなく高周波化できる。これにより、回路を構成するインダクタやコンデンサなどのインピーダンス素子の容量を小さくすることができ、装置のさらなる小型化によりモジュール化が実現できる。
さらに、外部からの操作などで電源17の基準電圧Vfを変更することにより、LED素子群14の調光を行うこともできる。この場合、例えば、LED素子群14を搭載する不図示の基板側に、リモコン又はフォトカプラなどによる絶縁タイプの入力手段を介して制御信号を受け付ける受信回路を設けるのが好ましい。
なお、LED素子群14両端に発生させる順方向電圧を最適に設定するには、LED素子の直列個数が制限されるので、LED照明灯として、これ以上の個数のLED素子を必要とする場合は、適正個数以上のLED素子は、インダクタ16と直列に接続するようにすればよい。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を説明する。
図3は、第2の実施の形態の概略構成を示すもので、図2と同一部分には同符号を付している。
この場合、全波整流回路11の正負極の出力端子間に接続されるコンデンサ12間には、半導体発光素子として複数個直列接続されたLED素子を有するLED素子群31と直列に、例えばGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ32,33の直列回路がスイッチング素子として接続されている。これら電界効果トランジスタ32,33についても、ゲート電圧の閾値Vthが負電圧で、Vth>Vgs(ゲートソース間電圧)でオフ、Vth<Vgsでオンとなるものである。また、これら電界効果トランジスタ32,33は、ソースドレイン間に図示極性のダイオード32a、33aがそれぞれ接続されている。
電界効果トランジスタ32,33の直列回路には、コンデンサ34が並列接続され、電界効果トランジスタ33には、インダクタ35とコンデンサ36の直列回路が並列接続されている。電界効果トランジスタ32には、ゲートとソースの間に図示極性のダイオード37が接続され、このダイオード37の間にコンデンサ38を介して第1の駆動源39が接続されている。また、電界効果トランジスタ33も、ゲートとソースの間に図示極性のダイオード40が接続され、このダイオード40の間にコンデンサ41を介して第2の駆動源42が接続されている。これら第1及び第2の駆動源39、42は、コンデンサ38、41を介して正負のパルス状信号を出力し、ダイオード37、40により半波整流された負電圧の信号を電界効果トランジスタ32,33のゲートソース間に交互に入力する。
コンデンサ12とLED素子群31の接続点には、駆動制御手段であるスイッチング素子として例えばGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ43が接続されている。この電界効果トランジスタ43は、ドレインがコンデンサ12とLED素子群31の接続点に、ソースがコンデンサ44を介して電界効果トランジスタ33のゲートにそれぞれ接続される。さらに、電界効果トランジスタ43は、ゲートがコンデンサ44と電界効果トランジスタ33のゲートの接続点に接続され、電源投入とともに、LED素子群31の順方向電圧によりコンデンサ44に負電位を発生させ電界効果トランジスタ33のゲートに入力する。電界効果トランジスタ43は、ソースドレイン間に図示極性のダイオード43aが接続されている。
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
いま、不図示の電源スイッチにより電源オンし、LED素子群31に順方向電圧が発生すると、この順方向電圧によりオン状態の電界効果トランジスタ43を介してコンデンサ44に充電電流が流れ、コンデンサ44が図示極性に充電される。すると、電界効果トランジスタ33のゲートにコンデンサ44の負電位が印加され、電界効果トランジスタ33がオフされる。これにより、電源起動時のLED素子群31とオン状態の電界効果トランジスタ32,33による回路短絡が阻止され、過電流が流れてLED素子群31を破損するような事故が防止される。なお、コンデンサ44の充電電荷は、電界効果トランジスタ43のダイオード43aを通して放電される。
その後、第1及び第2の駆動源39、42からの出力によりダイオード37、40を介して負電圧の信号が電界効果トランジスタ32,33のゲートソース間に交互に入力される。まず、電界効果トランジスタ32がオンで、電界効果トランジスタ33のゲートに第2の駆動源42より負電圧の信号が入力されオフすると、全波整流回路11の正極側からLED素子群31、電界効果トランジスタ32、インダクタ35、コンデンサ36、全波整流回路11の負極側に電流が流れ、インダクタ35に電磁エネルギーが蓄えられる。この状態で、電界効果トランジスタ32のゲートに第1の駆動源39より負電圧の信号が入力されオフすると、インダクタ35の電磁エネルギーは、コンデンサ36、電界効果トランジスタ33のダイオード33aを通ってコンデンサ36に充電電流を流し続ける。ここまでは、コンデンサ36を出力コンデンサとする降圧チョッパの動作となる。
次に、電界効果トランジスタ33がオンで、電界効果トランジスタ32のゲートに第1の駆動源39より負電圧の信号が入力されオフすると、充電電流が無くなり、コンデンサ36よりインダクタ35、電界効果トランジスタ33を通って放電電流が流れ、インダクタ35に電磁エネルギーが蓄えられる。そして、この状態で、電界効果トランジスタ33のゲートに第2の駆動源42より負電圧の信号が入力されオフすると、インダクタ35の電磁エネルギーが電界効果トランジスタ32のダイオード32a、コンデンサ34を通って流れる。以下、同様な動作が繰り返されると、LED素子群31には負荷電流が流れ続け、この電流により、LED素子群31は点灯される。
したがって、このようにすれば、電源立ち上げとともに、LED素子群31の順方向電圧を利用してノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ43を介してコンデンサ44に充電電流を流して充電し、このコンデンサ44の負電位によりスイッチング回路を構成するノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ33をオフさせることができる。この場合も、第1の実施の形態と同様な効果を得られる。さらに、電界効果トランジスタ32,33のオンによる電源起動時の回路短絡を阻止することができるので、LED素子群31に過電流が流れるのを確実に無くして、LED素子群31の破損などの事故を未然に防止できる。
(変形例)
図4は、第2の実施の形態に適用される定電圧電源の概略構成を示す図である。第2の実施の形態には、電源として図4に示すような定電圧電源を適用することができる。この場合、直流電源46の正極側端にノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ47のドレインが接続され、この電界効果トランジスタ47のソースがコンデンサ48を介して直流電源46の負極側端に接続されている。また、電界効果トランジスタ47のゲートと直流電源46の負極側端の間に図示極性のツェナーダイオード49が接続されている。ツェナーダイオード49は、ツェナー効果により一定の電圧を発生する。
このようにすると、電界効果トランジスタ47のオンにより、ツェナーダイオード49による定電圧Vcがコンデンサ48の間に発生するようになり、この定電圧を電源として用いることができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を説明する。
図5は、第3の実施の形態の概略構成を示すもので、図2と同一部分には同符号を付している。
この場合、全波整流回路11の正負極の出力端子に接続されるコンデンサ12間には、スイッチング素子として、例えばGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ51,52の直列回路と、同様にGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ53,54の直列回路を並列に接続したフルブリッジ回路と、半導体発光素子として複数個直列接続されたLED素子を有するLED素子群55の直列回路が接続されている。また、電界効果トランジスタ51,52の接続点と電界効果トランジスタ53,54の接続点との間には、インダクタ65が接続されている。
電界効果トランジスタ51〜54についても、ゲート電圧の閾値Vthが負電圧で、Vth>Vgs(ゲートソース間電圧)でオフ、Vth<Vgsでオンとなるノーマリーオンタイプのものである。これら電界効果トランジスタ51〜54は、ソースドレイン間に図示極性のダイオード51a〜54aがそれぞれ接続されている。また、電界効果トランジスタ51〜54は、それぞれのゲートソース間に、ゲート保護用のダイオード56〜59が各別に接続されている。さらに、電界効果トランジスタ51〜54のブリッジ回路には、コンデンサ60が並列に接続されている。
LED素子群55は、電流が流れると両端に図示極性の順方向電圧を発生し、この順方向電圧によりグランドG側を負電位とする。この場合、グランドG側の負電位は、電界効果トランジスタ51〜54のゲート電圧の閾値Vth以下になるように設定されている。
電界効果トランジスタ51、54は、それぞれのゲートを共通接続し、駆動制御手段としてGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ61を介してグランドGに、同様に、電界効果トランジスタ52、53は、それぞれのゲートを共通接続し、駆動制御手段としてGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ62を介してグランドGにそれぞれ接続されている。
電界効果トランジスタ61、62は、ソースドレイン間に図示極性のダイオード61a、62aがそれぞれ接続されている。これら電界効果トランジスタ61、62は、駆動源63とともにスイッチ駆動部64を構成している。駆動源63は、電界効果トランジスタ61、62のゲートに接続され、負電圧の信号を電界効果トランジスタ61、62のゲートに交互に入力する。
なお、65,66は、電界効果トランジスタ52〜54のオフ状態からオンへの復帰を早めるための抵抗素子である。
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
いま、不図示の電源スイッチにより電源オンとすると、電界効果トランジスタ51〜54のオンにより、LED素子群55に図示極性の順方向電圧が発生し、グランドG側を負電位とする。この状態で、オン状態の電界効果トランジスタ61、62を介して電界効果トランジスタ51〜54の各ゲートにグランドG側の負電位が印加され、電界効果トランジスタ51〜54がオフされる。これにより、電源起動時の電界効果トランジスタ51〜54、LED素子群55による回路短絡が阻止される。
その後、スイッチ駆動部64の駆動源63からの出力により電界効果トランジスタ61、62のゲートに負電圧の信号が交互に入力される。まず、電界効果トランジスタ51,54がオンで、電界効果トランジスタ52,53のゲートに電界効果トランジスタ62がオンでグランドG側の負電位が印加されオフすると、全波整流回路11の正極側から電界効果トランジスタ51,インダクタ65、電界効果トランジスタ54、LED素子群55に電流が流れ、インダクタ65に電磁エネルギーが蓄えられる。この状態で、電界効果トランジスタ61がオンになって、電界効果トランジスタ51,54のゲートにグランドG側の負電位が印加されオフすると、インダクタ65の電磁エネルギーは、電界効果トランジスタ53のダイオード53a、コンデンサ60、電界効果トランジスタ52のダイオード52aを通って充電電流を流す。
次に、電界効果トランジスタ52,53がオンで、電界効果トランジスタ51,54のゲートに電界効果トランジスタ61がオンでグランドGの負電位が印加されオフすると、コンデンサ60より電界効果トランジスタ53、インダクタ65、電界効果トランジスタ52を通って放電電流が流れ、インダクタ65に電磁エネルギーが蓄えられる。この状態で、電界効果トランジスタ62がオンになって、電界効果トランジスタ52,53のゲートにグランドGの負電位が印加されオフすると、インダクタ65の電磁エネルギーは、電界効果トランジスタ51のダイオード51a、コンデンサ60、電界効果トランジスタ54のダイオード54aを通って充電電流として流れる。以下、同様な動作が繰り返されると、LED素子群55には負荷電流が流れ続け、この電流により、LED素子群55は点灯される。
したがって、このようにすれば、電源立ち上げとともに、LED素子群31の順方向電圧によりグランドG側を負電位に設定し、このグランドG側の負電位によりスイッチング回路を構成するノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ51〜54をオフさせることができる。この場合も、第1の実施の形態と同様な効果を得られる。さらに、電界効果トランジスタ51〜54のオンによる電源起動時の回路短絡を阻止することができるので、LED素子群55に過電流が流れるのを確実に無くして、LED素子群31の破損などの事故を未然に防止することもできる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を説明する。
図6は、第4の実施の形態の概略構成を示すもので、図2と同一部分には同符号を付している。
この場合、コンデンサ12には、降圧チョッパを構成するスイッチング素子として、第1の実施の形態で述べたと同様、例えばGaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタ71が接続されている。
この電界効果トランジスタ71は、ゲート電圧の閾値Vthが負電圧である。電界効果トランジスタ71は、Vth>Vgs(ゲートソース間電圧)でオフ、Vth<Vgsでオンとなる。電界効果トランジスタ71は、ドレインを全波整流回路11の正極側の出力端子に接続され、ソースを半導体発光素子として複数個直列接続されたLED素子を有するLED素子群72、抵抗素子73、インダクタ74の直列回路を介して全波整流回路11の正極側の出力端子に接続されている。
LED素子群72は、上述したと同様に図1に示すLED照明灯2,3に相当するもので、負荷電流が流れると両端に図示極性の順方向電圧を発生する。LED素子群72には並列にコンデンサ75が接続されている。
インダクタ74は、カップリングされた補助巻線741を有し、この補助巻線741の一方端を、コンデンサ76を介して電界効果トランジスタ71のゲートに接続され、他方端を電界効果トランジスタ71とLED素子群72の接続点に接続されている。そして、電界効果トランジスタ71のオンオフ動作にともなうインダクタ74での電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード77を介してコンデンサ75両端に降圧された直流出力を発生させる。
また、インダクタ74での電磁的エネルギーの蓄積及び放出に同期した補助巻線741の出力により電界効果トランジスタ71のソースとゲートの間にVth>Vgsの負電位を発生させ電界効果トランジスタ71をオフさせる自励回路を構成している。なお、ここでのフライホイールダイオード77は、例えばGaNによるノーマリーオンタイプのダイオードが用いられている。
電界効果トランジスタ71のゲートには、限流抵抗である抵抗素子78、スイッチング素子としてノーマリーオフタイプの電界効果トランジスタ80を介して抵抗素子73とインダクタ74の接続点が接続されている。
電界効果トランジスタ80は、コンパレータ81、82、抵抗素子83、84及び電源85とともに駆動制御手段としての発振停止部79を構成している。この場合、コンパレータ81は、一方の入力端子が電界効果トランジスタ71とLED素子群72の接続点に接続され、他方の入力端子に電源85が接続され、さらに出力端子が抵抗素子83,84を介して抵抗素子73とインダクタ74の接続点に接続されている。
また、コンパレータ81は、オペアンプとして動作され、電源85の設定によりLED素子群72の順方向電圧(負荷電圧)が上述のVthより低い状態を異常として検出するための基準信号Vfを抵抗素子83,84の接続点に発生させる。コンパレータ82は、一方の入力端子がLED素子群72と抵抗素子73の接続点に接続され、他方の入力端子が抵抗素子83,84の接続点に接続され、さらに出力端子が電界効果トランジスタ80のゲートに接続されている。コンパレータ82は、抵抗素子73に流れる電流と基準信号Vfの比較結果に基づいて電界効果トランジスタ80をオンさせる。
なお、86、87は、電界効果トランジスタ71のゲート電圧をクランプさせるゲート電圧クランプ回路を構成するダイオードである。この場合、電界効果トランジスタ71のゲート電圧クランプは、LED素子群72の順方向電圧を用いて行うようにしている。
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
いま、不図示の電源スイッチにより電源オンとすると、オン状態の電界効果トランジスタ71を介してLED素子群72の両端に図示極性の順方向電圧を発生する。また、電界効果トランジスタ71のオンにより、LED素子群72を介してインダクタ74に電流が流れる。これによりインダクタ74に電磁エネルギーが蓄積され、同時に、補助巻線721より出力が発生し、コンデンサ76を介して電界効果トランジスタ71のゲートに入力される。この場合、補助巻線721の出力により電界効果トランジスタ71のソースとゲートの間には、Vth>Vgsの負電位が発生し、電界効果トランジスタ71がオフされる。
この状態で、インダクタ74に蓄積された電磁エネルギーは、放出され、また、電界効果トランジスタ71は、補助巻線721からの入力が無くなると、Vth<Vgsになって、再びオンとなる。
以下、同様な動作が繰り返され、インダクタ74での電磁的エネルギーの蓄積及び放出に同期した補助巻線741の出力により電界効果トランジスタ71がオンオフされる。同時に、インダクタ74による電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード77を介してコンデンサ75両端に降圧された直流出力が発生し、この直流出力によりLED素子群72が点灯される。
一方、コンパレータ81は、オペアンプとして動作され、基準信号Vfを抵抗素子83,84の接続点に発生している。この状態で、LED素子群72の順方向電圧(負荷電圧)に応じて抵抗素子73に流れる負荷電流がコンパレータ82に入力される。コンパレータ82では、負荷電流と基準信号Vfとを比較する。そして、この比較結果から、このときの負荷電流が基準信号Vfより小さい、つまり、負荷電流に対応するLED素子群72の順方向電圧(負荷電圧)がVthより低いと判断すると、コンパレータ82より出力が発生し、電界効果トランジスタ80をオンする。すると、LED素子群72の順方向電圧の負電位が電界効果トランジスタ71のソースとゲートの間に印加され、電界効果トランジスタ71がオフされて自励発振が停止される。
したがって、このようにしても第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。さらに、Vth電圧よりもLED素子群72の順方向電圧(負荷電圧)が低いと判断されると、電界効果トランジスタ71を強制的にオフして自励発振を停止させることができる。これにより、LED素子群72の順方向電圧の異常な低下により回路が制御不能に陥るのを防止できるなどの回路保護を実現することができる。
なお、基準信号Vfの設定を変更することにより、LED素子群72の順方向電圧(負荷電圧)が所定の順方向電圧(負荷電圧)より高い電圧になったときに自励発振を停止させるようにすることもできる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、GaNによるノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタを適用した例を述べたが、SiCなどの他のワイドバンドギャップ半導体を適用することもできる。また、上述した実施の形態では、半導体発光素子としてLED素子の例を述べたが、レーザダイオードなど他の半導体発光素子を用いた場合にも適用できる。
なお、一実施形態に係る電源装置(LED点灯装置)は、ノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタからなるスイッチング素子と、半導体発光素子に発生する順方向電圧により電界効果トランジスタのゲート電圧の閾値Vthに対してVth>Vgs(ゲートソース間電圧)の負電位を印加してオフ可能な駆動制御手段とを備えていてもよい。
また、一実施形態に係る電源装置は、半導体発光素子に発生する順方向電圧が前記閾値Vthよりも低いとき又は所定の電圧より高いときに電界効果トランジスタをオフ可能にする駆動制御手段を備えていてもよい。
また、一実施形態に係る電源装置は、ノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタを有する駆動制御手段を備えていてもよい。
上記の第1乃至第4の実施形態によると、ノーマリーオンタイプのスイッチング素子をオフするのに半導体発光素子に発生する順方向電圧を利用することで特別な回路を組み込むことがなくなり、装置の小型化、低価格化を実現できる。
また、上記の第1乃至第4の実施形態によると、半導体発光素子に発生する順方向電圧により適切な負電位を得られ、ノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタを確実にオフすることができる。
またさらに、上記の第1乃至第4の実施形態によると、ノーマリーオンタイプの電界効果トランジスタによる自励発振を停止させ回路保護を実現できる。
(第5の実施の形態)
図7を参照してLED点灯装置における第5の形態について説明する。
本形態において、LED点灯装置は、直流電源DC、チョッパCH、負荷回路LCおよび制御回路CCを具備している。
直流電源DCは、どのような構成でもよいが、例えば整流回路DBを主体として構成され、また所望により平滑コンデンサC1などからなる平滑回路を備えていることができる。本形態において、整流回路DBは、好ましくはブリッジ形整流回路からなり、交流電源AC、例えば商用交流電源の交流電圧を全波整流して直流電圧を得る。
本形態において、チョッパCHは、非絶縁形降圧チョッパにより構成されている。チョッパCHのパワー部すなわち負荷に供給する電力が通過する回路部は、ノーマリオンスイッチQ1、インダクタL1、フリーホイールダイオードD1および電流検出用インピーダンス素子Z1を含んで構成されている。そして、パワー部は、回路動作上第1の回路Aおよび第2の回路Bに分けることができる。
第1の回路Aは、直流電源DCからインダクタL1に電磁エネルギーを蓄積させる回路であり、ノーマリオンスイッチQ1、負荷回路LCおよびインダクタL1を含む直列回路が直流電源DCに接続した構成を備えている。そして、ノーマリオンスイッチQ1のオン時に直流電源DCから増加電流が流れてインダクタL1に電磁エネルギーが蓄積される。
第2の回路Bは、インダクタL1に蓄積された電磁エネルギーを放出する回路である。第2の回路Bは、フリーホイールダイオードD1および負荷回路LCを含む直列回路がインダクタL1に接続した構成を備えていて、ノーマリオンスイッチQ1のオフ時にインダクタL1から減少電流が流れる。
ノーマリオンスイッチQ1は、背景技術の項において述べた各種ワイドギャップ半導体を用いることが許容されるが、本形態においてはGaN基板を用いたHEMTを用いている。したがって、ノーマリオンスイッチQ1は、ドレイン、ソースおよびゲートを備えた電界効果形のワイドギャップ半導体である。ノーマリオンスイッチQ1は、広く普及しているSi半導体に比較して飛躍的に優れたポテンシャルを有していて、例えばGHz級の動作周波数でチョッパを動作させることが可能になる。このため、インダクタL1の超小形化を実現することができる。その結果、LED点灯装置の全体を著しく小形化することができる。
インダクタL1は、直流電源DCから供給される電磁的エネルギーを蓄積し、次に放出する機能を有しているのであればよいので、従来技術におけるような2次巻線を配設する必要がない。このため、インダクタL1の構造を簡素化してその小形化に寄与することができる。
フリーホイールダイオードD1は、インダクタL1に蓄積された電磁的エネルギーを放出して回生するための電流経路すなわち第2の回路Bを提供する手段である。フリーホイールダイオードD1は、チョッパCHの動作周波数に応じて例えばショットキーバリヤダイオード、PINダイオードなどのスイッチングダイオードを用いることができる。
電流検出用インピーダンス素子Z1は、増加電流および減少電流がともに流れる回路上の位置すなわち第1の回路Aおよび第2の回路Bに共有されている線路部分に挿入されて上記各電流を検出する手段である。そして、例えば抵抗値の小さな抵抗器を用いて構成される。
また、チョッパCHは、昇圧チョッパの場合、インダクタL1およびノーマリオンスイッチQ1の直列回路が直流電源DCに接続する第1の回路Aと、インダクタL1、フリーホイールダイオードD1および負荷回路LCの直列回路が直流電源DCに接続する第2の回路Bとで構成することができる。なお、昇降圧チョッパの場合は前述のとおりである。
負荷回路LCは、負荷の発光ダイオードLEDと出力コンデンサC2の並列回路により構成されていて、増加電流と減少電流がともに流れる回路上の位置に接続されている。なお、発光ダイオードLEDは、上記電流に対して順方向に単一で、または直列接続した複数で構成される。
制御回路CCは、制御スイッチCSおよび整合手段MCを備えていて、適当な制御電源の供給を受けて作動してノーマリオンスイッチQ1のオン、オフを制御する。本形態においては、負荷回路LCの両端から制御回路CCに対して制御電源が供給される。
制御スイッチCSは、ノーマリオンスイッチQ1のオン、オフを切り換える手段である。すなわち、制御スイッチCSがオンすることにより、ノーマリオンスイッチQ1のゲートがインピーダンス素子Z1およびインダクタL1の接続点に接続すれば、ノーマリオンスイッチQ1のゲートにはソースに対して負電圧が印加されるので、ノーマリオンスイッチQ1がオフする。また、制御スイッチCSがオフしてノーマリオンスイッチQ1のゲートがインピーダンス素子Z1およびインダクタL1の接続点に対する接続から開放されるか、またはソースと同電位になれば、ノーマリオンスイッチQ1がオンする。
整合手段MCは、インピーダンス素子Z1と制御スイッチCSとの間に介在して、増加電流が第1の所定値に達したときに制御スイッチCSをオンさせる。また、減少電流が第2の所定値に達したときに制御スイッチCSをオフさせる。
したがって、増加電流が流れているときにインピーダンス素子Z1の端子電圧が第1の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオンさせるので、ノーマリオンスイッチQ1をオフする。また、減少電流が流れているときにインピーダンス素子Z1の端子電圧が第2の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオフさせるので、ノーマリオンスイッチQ1がオンする。
次に、回路動作について説明する。
直流電源DCが投入されると、チョッパCHのノーマリオンスイッチQ1がオンして直流電源DCから第1の回路A内を電流が流れ出し、電流は直線的に増加する。これが増加電流であり、インダクタL1内に電磁エネルギーが蓄積される。増加電流が第1の回路A内を流れ出すと、インピーダンス手段Z1の端子電圧が増加電流に比例して増大していく。そして、端子電圧が第1の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオンさせる。
制御スイッチCSがオンすると、ノーマリオンスイッチQ1のゲートが負電圧になるので、ノーマリオンスイッチQ1がオフし、増加電流が遮断される。これにより、インダクタL1に蓄積されていた電磁エネルギーが放出されて第1の回路B内を電流が流れ始め、電流は直線的に減少する。これが減少電流である。減少電流が第2の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオフさせる。
制御スイッチCSがオフすると、ノーマリオンスイッチQ1のゲートに対する負電圧の印加が解除されるので、ノーマリオンスイッチQ1がオンし、再度増加電流が流れ始める。以後、以上の回路動作を繰り返すことで、DC−DC変換動作を継続する。
(第6の実施の形態)
図8を参照してLED点灯装置における第6の形態について説明する。
本形態は、制御回路CCが第5の形態と異なっている。なお、図において、図7と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
本形態において、制御回路CCは、制御スイッチCSが並列接続したP形FET1およびN形FET2により構成されている。そして、P形FET1のドレインとN形FET2のソースとの接続端がノーマリオンスイッチQ1のゲートに接続している。
また、整合回路MCは、ヒステリシスコンパレータCPhにより構成されている。そして、ヒステリシスコンパレータCPhは、反転入力端子がインピーダンス手段Z1の負荷回路LC側の一端に接続し、非反転入力端子が基準電位Eに接続し、出力端子がP形FET1およびN形FET2のゲートに接続している。また、非反転入力端子と出力端子の間に予め抵抗値が調整された帰還抵抗器R1が接続している。上記基準電位Eは、負荷回路LCおよびインピーダンス手段Z1の直列部分に対して並列接続している抵抗器R2およびR3からなる電圧分割器VDの接続点に形成されている。
そうして、ノーマリオンスイッチQ1がオンしてインピーダンス手段Z1に増加電流IUが流れている場合において、インピーダンス手段Z1の端子電圧が第1の所定値に達すると、ヒステリシスコンパレータCPhの反転入力端子に正の第1の所定値電圧が入力し、出力端子に負の最大出力電圧が出力する。この負の最大出力電圧は、制御スイッチCSのP形FET1のゲートに印加されるので、P形FET1がオンする。なお、このときN形FET2はオフ状態を維持する。
P形FET1がオンすると、ノーマリオンスイッチQ1のゲートが負電位になるので、ノーマリオンスイッチQ1はオフし、増加電流IUが遮断される。これに伴いインダクタL1から減少電流IDが流れ出す。減少電流IDが流れているときのインピーダンス手段Z1の端子電圧がヒステリシスコンパレータCPhの反転入力端子に増加電流の端子電圧に引続いて入力するので、その値が第2の所定値に達すると、今度はヒステリシスコンパレータCPhの出力端子から正の最大電圧が出力される。その結果、P形FET1がオフし、N形FET2がオンする。
P形FET1がオフし、N形FET2がオンする結果、ノーマリオンスイッチQ1がオンするので、再度増加電流が負荷回路LCに流れる。以後、以上の動作を繰り返してチョッパ動作が行われる。
次に、図9を参照して第6の形態における各部の電流、電圧波形の関係を説明する。すなわち、図9の(a)は増加電流IUの波形、(b)は減少電流IDの波形、(c)はインピーダンス手段の端子電圧VZ1の波形、(d)はインダクタの電圧VL1の波形、(e)はノーマリオンスイッチのゲート電圧VGSの波形であり、時間軸を揃えて示している。なお、図において、増加電流IUのピーク値が第1の所定値に達したときに相当する。また、減少電流IDの0値が第2の所定値に達したときに相当する。
図9の電流波形図は、制御に遅れがない場合の理想的な波形であるが、増加電流の遮断時の制御に無視することができない遅れが生じる場合には、ピーク値より制御の遅れに相当する値だけ低い位置に第1の所定値があることになる。また、減少電流が第2の所定値に達したときの制御に無視することができない遅れが生じる場合には、減少電流と次の増加電流との間に制御の遅れに相当する電流の遮断時間が生じる。
(第7の実施の形態)
図10を参照してLED点灯装置における第7の形態について説明する。
本形態は、制御回路CCが第5および第6の形態と異なっている。なお、図において、図7と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
すなわち、制御スイッチCSがバイポーラトランジスタQ2を主体として構成されている。バイポーラトランジスタQ2は、コレクタがノーマリオンスイッチQ1のゲートに接続するとともに、ドロッパからなる制御電源Vddを介してノーマリオンスイッチQ1のソースに接続し、エミッタがインダクタL1およびインピーダンス手段Z1の接続点に接続している。
また、整合手段MCがバイポーラトランジスタQ3、抵抗器R4およびR5を主体として構成されている。バイポーラトランジスタQ3のコレクタが抵抗器R4を介して制御スイッチCSのバイポーラトランジスタQ2のベースに接続し、エミッタがインダクタL1およびインピーダンス手段Z1の接続点に接続し、ベースが抵抗器R6を介してバイポーラトランジスタQ2のコレクタに接続している。また、抵抗器R5、R4およびバイポーラトランジスタQ3のコレクタ・エミッタの直列回路がインピーダンス手段Z1に並列接続している。
そうして、ノーマリオンスイッチQ1がオンして増加電流が流れている場合においては、制御スイッチCSのバイポーラトランジスタQ2がオフし、整合手段MCのバイポーラトランジスタQ3がオンしている。このため、インピーダンス手段Z1の端子電圧は、抵抗器R4および抵抗器R5の直列回路で分圧され、抵抗器R4の両端電圧がバイポーラトランジスタQ2のベース・エミッタ間に印加される。
そこで、抵抗器R4と抵抗器R5の値を予め調整して抵抗器R4の値を相対的に小さく設定しておくことにより、増加電流が第1の所定値に達する以前のレベルではバイポーラトランジスタQ2がオフ状態となるように構成することができる。しかし、増加電流が第1の所定値に達すると、バイポーラトランジスタQ2がオン状態になり、ノーマリオンスイッチQ1のゲートに負電圧が印加されるので、ノーマリオンスイッチQ1がオフして増加電流が遮断される。
バイポーラトランジスタQ2がオン状態になると、バイポーラトランジスタQ3がオフするので、ノーマリオンスイッチQ1がオフして減少電流が流れている場合には、インピーダンス手段Z1の端子電圧が分圧されることなくバイポーラトランジスタQ2に印加され、引き続きバイポーラトランジスタQ2がオン状態を維持する。しかし、インピーダンス手段Z1の端子電圧が低下していき第2の所定値に達すると、バイポーラトランジスタQ2がオン状態を維持できないでオフする。その結果、ノーマリオンスイッチQ1が再びオンする。以後、上述の回路動作を繰り返し、チョッパ動作を継続する。
なお、上記の実施形態において、チョッパは、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなどの各種チョッパを含む。なお、昇降圧チョッパは、昇圧チョッパおよび降圧チョッパをシーケンシャルに接続したものである。上記各チョッパは、いずれもノーマリオンスイッチをオンすることによりインダクタに直流電源から流入する増加電流が流れ、オフすることによりインダクタに蓄積された電磁エネルギーが放出されて減少電流が流れてチョッパ動作を行う点で共通している。
また、上記の実施形態において、制御回路は、制御スイッチおよび整合手段を備えている。
制御スイッチは、少なくともノーマリオンスイッチのオン状態からオフ状態への切り換えを行うスイッチを含む。なお、所望によりノーマリオンスイッチのオフ状態からオン状態に切り換える第2のスイッチを備えることが許容される。この場合、ノーマリオンスイッチのオン状態からオフ状態への切り換えを行うスイッチは第1のスイッチとなる。
整合手段は、インピーダンス手段と制御スイッチの間に介在して、インピーダンス手段に増加電流が流れる場合において、インピーダンス手段の端子電圧が第1の所定値に達したときに制御スイッチを動作させてノーマリオンスイッチをオフさせる。また、減少電流が流れる場合において、インピーダンス手段の端子電圧が第2の所定値に達したときに制御スイッチを制御してノーマリオンスイッチをオンさせる。なお、第2の所定値は第1の所定値より低い値である。
整合手段は、上述の機能を備えていればよく、その余の構成は特段限定されない。しかし、好適には整合手段をヒステリシスコンパレータにより構成することができる。また、整合手段を、インピーダンス手段の端子電圧を直接検出する第1の検出手段と電圧分割器を介して検出する第2の検出手段を備え、制御スイッチがノーマリオンスイッチをオフする際に連動して第2の検出手段から第1の検出手段に切り換えるように構成してもよい。
そうして、ノーマリオンスイッチがオンしているときに直流電源から増加電流がインダクタに流れるが、インピーダンス手段の端子電圧が第1の所定値に達すると、整合手段を経由して制御スイッチがオンして負電圧をノーマリオンスイッチのゲートに印加させるので、ノーマリオンスイッチがオフして増加電流を遮断する。これに伴いインダクタに蓄積された電磁エネルギーが放出されて減少電流がインダクタから流れるとともに、整合手段を経由して制御スイッチがオフしてノーマリオンスイッチのゲートに対する負電圧の印加を解除するので、ノーマリオンスイッチがオンする。以後、上述の回路動作が繰り返えされてチョッパ動作を行なう。
チョッパ動作に伴う増加電流と減少電流がともに流れる回路上の位置に負荷回路が接続しているので、DC−DC電圧変換が行われ、出力端に接続する負荷の発光ダイオードが変換された電圧の下で定電流制御されて点灯する。なお、負荷回路の発光ダイオードに並列接続している出力コンデンサは、チョッパの出力中に含まれる高周波成分を発光ダイオードからバイパスするように作用する。その結果、発光ダイオードは、平滑化された直流電流により点灯する。
上記の実施形態において、制御回路に対する制御電源の供給は、特段限定されないが、好適には次のとおりである。すなわち、負荷回路またはノーマリオンスイッチの高電圧側から制御電源を得る。負荷回路から制御電源を得る態様においては、負荷回路に出力コンデンサにより平滑化された直流電圧が発生するので、ノーマリオンスイッチのゲート閾値電圧より高い電圧を負荷回路から取り出して制御電源を得ることにより、制御電源の回路構成を簡素化することができる。また、ノーマリオンスイッチの高電圧側から制御電源を得る態様においては、例えばノーマリオンスイッチのドレイン側からドロッパを経てノーマリオンスイッチのゲート閾値電圧より高い電圧を得るように構成することができる。
上記の実施形態において、照明装置は、発光ダイオードを光源とする装置を全て含む意味である。したがって、照明器具、表示装置および標識装置などであることを許容する。照明装置本体は、照明装置からLED点灯装置を除去した残余の部分を意味する。
上記の第5乃至第7の実施形態によると、チョッパの主スイッチング素子としてノーマリオンスイッチを用いるとともに、少なくともオン時にノーマリオンスイッチのゲートに負電圧を印加してノーマリオンスイッチをオフ状態に制御し、かつオフ時にノーマリオンスイッチのゲートに対する負電圧の印加を解除してノーマリオンスイッチをオン状態に制御するスイッチを含み、インピーダンス素子および制御スイッチの間に介在して増加電流が流れているときにおいてインピーダンス素子の端子電圧が、第1の所定値に達した際に制御スイッチをオンさせ、かつ減少電流が流れているときにおいて第1の所定値より低い第2の所定値に達した際に制御スイッチをオフさせる制御回路を具備していることにより、インダクタに2次巻線を配設することなしに簡単な回路構成となり、しかも良好な特性を有するとともにIC化が容易なチョッパおよびこれを備えた照明装置を提供できる。
(第8の実施の形態)
第8の形態を図11に示す。LED点灯装置は、直流電源DC、チョッパCHおよび負荷回路LCを具備している。
直流電源DCは、後述するチョッパCHに対して変換前の直流電圧を入力するための手段である。直流電圧を出力すればどのような構成でもよいが、例えば整流回路DBを主体として構成され、また所望により平滑コンデンサなどからなる平滑回路を備えていることができる。本形態において、整流回路DBは、好ましくはブリッジ形整流回路からなり、交流電源AC、例えば商用交流電源の交流電圧を全波整流して直流電圧を得る。
本形態において、チョッパCHは、直流入力端t1及びt2並びに直流出力端t3及びt4を備える。チョッパCHは、、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなど既知の各種チョッパのいずれかを内部に備える。チョッパCHは、上記いずれの構成においても、スイッチング素子Q11、定電流手段CCM、インダクタL11、ダイオードD11および駆動巻線DWを共通の構成として備える。
スイッチング素子Q11は、ノーマリオフスイッチおよびにーマリオンスイッチのいずれでもよい。定電流手段CCMは、定電流値が予め固定的に設定されているタイプでもよいし、可変であってもよい。インダクタL11は、その一端が駆動巻線DWに接続している。駆動巻線DWは、インダクタL11に磁気的に結合していて、インダクタL11の端子電圧に比例的な電圧を誘起し、スイッチング素子Q11の制御端子に印加することでスイッチング素子Q11を駆動する。
前記チョッパCHは、一対の入力端t1、t2と一対の出力端t3、t4を有し、内部回路をその回路動作上第3の回路および第4の回路に分けることができる。第3の回路は、直流電源DCから増加する電流を流してインダクタL11に電磁エネルギーを蓄積する回路であり、降圧形チョッパの場合にはスイッチング素子Q11、定電流手段、インダクタL11および負荷回路LCを含む直列回路が直流電源DCに接続した構成を備えている。そして、スイッチング素子Q11のオン時に直流電源DCから増加する電流が流れてインダクタL11に電磁エネルギーが蓄積される。
第4の回路は、インダクタL11に蓄積された電磁エネルギーを放出して減少する電流を流す回路であり、降圧チョッパの場合、ダイオードD11および後述する負荷回路LCを含む直列回路がインダクタL11に接続した構成を備えていて、スイッチング素子Q11のオフ時にインダクタL11から減少する電流が流れる。
また、チョッパCHは、昇圧チョッパの場合、インダクタL11、スイッチング素子Q11および定電流手段CCMの直列回路が直流電源DCに接続する第3の回路と、インダクタL11、ダイオードD11および負荷回路LCの直列回路が直流電源DCに接続する第4の回路とを備える。なお、昇降圧チョッパの場合は前述のとおりである。
負荷回路LCは、負荷となる発光ダイオードを含み、かつ高周波成分をバイパスする出力コンデンサを並列接続して備えていて、降圧チョッパの場合、増加する電流と減少する電流がともに流れる回路上の位置に接続されている。昇圧形の場合、減少する電流が流れる回路上の位置に接続されている。なお、発光ダイオードLEDは、チョッパの出力端に流れる電流に対して順方向に単一で、または直列接続した複数で構成される。
以下、図12ないし図17を参照して第9ないし第12の形態を説明する。なお、各図において、図11と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
(第9の実施の形態)
(第9の形態)について説明する。
第9の形態を図12に示す。本実施形態は、スイッチング素子Q11にGaN−HEMTを、また定電流手段CCMに定電流ダイオードを、それぞれ用いるとともに、インダクタL11が定電流手段CCMと負荷回路LCとの間に接続している。なお、図中、図11と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。符号C11は、チョッパCHの入力端t1、t2間に接続した高周波バイパス用コンデンサである。符号C12は、駆動巻線DWとスイッチング素子Q11の制御端子との間に挿入した結合コンデンサである。符号Cは第3の回路、符号Dは第4の回路である。負荷回路LCの符号LEDは発光ダイオード、C13は出力コンデンサである。
次に、図12および図13を参照しながら第9の形態における回路動作について説明する。
直流電源DCが投入されると、チョッパCHのスイッチング素子Q11がオンしているので、直流電源DCからスイッチング素子Q11、定電流手段CCMを経由して第3の回路C内を電流が流れ出し、電流は直線的に増加する。これにより、インダクタL11内に電磁エネルギーが蓄積される。なお、スイッチング素子Q11がオンの期間中スイッチング素子Q11のゲート・ソース間電圧VGSは0になる。増加する電流が定電流手段CCMの定電流値に達すると、電流の増加傾向が停止して定電流に保持される。なお、増加する電流がインダクタL11に流れている間、インダクタL11の端子電圧は、図13の(e)に示すように正極性である。
増加する電流が定電流手段CCMの定電流値に達したとき、インダクタL11に流れる電流がさらに増加しようとするので、定電流手段CCMの電圧VCCMが図13の(a)示すようにパルス状に大きくなる。そして、これに伴ってスイッチング素子Q11のソース電位が制御端子(ゲート)の電位より高くなり、その結果制御端子が相対的に明らかに負電位になるため、スイッチング素子Q11はオフする。このため、インダクタL11に流入する増加する電流IUは、図13の(b)に示すようにスイッチング素子Q11のオフによって遮断される。
スイッチング素子Q11がオフすると同時にインダクタL11に蓄積されていた電磁エネルギーの放出が開始して、第4の回路Dに図13の(c)に示すように減少する電流が流れ出す。なお、に減少する電流が流れている間、インダクタL11の電圧極性が図13の(e)に示すように反転して負極性になり、駆動巻線DWにはスイッチング素子Q11の制御端子が負電位になる電圧が誘起される。この場合、図13の(f)に示すように負電圧が定電流手段CCMを経由してスイッチング素子Q11のゲート・ソース間に印加するので、スイッチング素子Q11はオフ状態に維持される。
第3の回路Cに流れる減少する電流が0になると、スイッチング素子Q11の制御端子に印加されていた負電圧が誘起されなくなると同時に、逆起電力により制御端子が図13の(e)に示すように正になる電圧が駆動巻線DWに誘起される。これにより、スイッチング素子Q11は再びオンし、以後上述したのと同様な回路動作が繰り返される。
以上の回路動作から明らかなように、チョッパCHは、降圧チョッパ動作を行い、その出力端t3、t4間に接続する負荷回路LCに増加する電流と減少する電流とが交互に流れる出力電流IOが図13の(d)に示されるように形成され、それらの直流成分で発光ダイオードLEDが点灯し、出力コンデンサC4は高周波成分をバイパスする。
(第10の実施の形態)
(第10の形態)について説明する。
第10の形態を図14に示す。本形態においては、定電流手段CCMがGaN−HEMTであるとともに、インダクタL11が定電流手段CCMとの間に負荷回路LCが介在する位置に接続されている。
また、定電流手段CCMは、可調整電位源Eを用いてゲート電位を可変にすることで定電流値を可変にしている。なお、図中符号ZD1は、スイッチング素子Q11のゲート・ソース間電圧VGSが0.6V以上にならないようにクランプするためのダイオードである。
さらに、本形態においては、直列接続体を形成しているスイッチング素子Q11、定電流手段CCMおよびダイオードD11が集積回路ICとして構成されている。この集積回路ICは、第1ないし第5の外部端子P1〜P5を備えている。第1の外部端子P1は、スイッチング素子Q11のドレインから導出されている。第2の外部端子P2は、ダイオードD11のカソードから導出されている。第3の外部端子P3は、定電流手段CCMのソースおよびダイオードD11のアノードの接続点から導出されている。第4の外部端子P4は、スイッチング素子Q11のゲートから導出されている。第5の外部端子P5は、定電流手段CCMのゲートから導出されている。
すなわち、集積回路ICは、チョッパの上記3個のパワー系半導体素子からなる直列接続体の両端に位置する半導体素子の主端子から第1および第2の主端子が導出され、直列接続体の中間の接続部の主端子から第3の外部端子が導出され、スイッチング素子Q11、定電流手段CCMの制御端子から第4および第5の外部端子が導出されている。したがって、上記第1ないし第3の外部端子はパワー系であり、第4および第5の外部端子は制御系である。
そうして、第10の形態においては、定電流手段CCMがスイッチング素子Q11と同様にGaN−HEMTにより構成されているため、10MHz以上の高周波における高速スイッチング特性がより一層向上する。しかし、所望によりダイオードD11もGaN系で形成すれば、GaN系基板を用いて一体的な集積回路を構成することができ、極めて高速なスイッチングを行えるとともに、頗る小形化されたチョッパを構成するのが容易になる。
また、可調整電位源E1を用いることで定電流値が可変であるから、所望の負荷電流を設定するのが容易になるとともに、電源電圧変動に対して可調整電位源E1を帰還制御すれば、電源電圧変動に対する発光ダイオードの光出力の変動を抑制することもできる。さらに、スイッチング素子Q11の制御端子に印加される駆動巻線DWの負電圧に定電流手段CCMおよび負荷回路LCの電圧降下が加算される。
(第11の実施の形態)
(第11の形態)について説明する。
第11の形態を図15に示す。なお、図12と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。本形態においては、定電流手段CCMがトランジスタQ12およびQ13を用いたカレントミラー定電流回路により構成されている。なお、カレントミラー定電流回路は、トランジスタQ12および抵抗器R11の直列回路がスイッチング素子Q11と直列に挿入され、トランジスタQ12のベースにトランジスタQ13のベースが接続し、エミッタに逆バイアス電源E2が逆極性に接続し、コレクタとバイアス電源E2との直列回路に直流電源E3が接続している。さらに、トランジスタQ13のコレクタとベースが導体で直結されている。
また、スイッチング素子Q11の制御端子と定電流手段CCMを跨ぐ位置との間に一対のツェナーダイオードZD1、ZD2を逆極性に並列接続してクランプ回路を形成している。ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧は−12V、またツェナーダイオードZD2のツェナー電圧は+0.7Vであり、スイッチング素子Q11に過大なVGSが印加されないように保護するようにしている。
そうして、第11の形態によれば、トランジスタQ13に接続した直流電圧によりトランジスタQ12に流れる定電流値を所望に制御できるとともに、定電流値に達したときに生じる電圧が高くなる。この為、負荷の発光ダイオードLEDの電圧を利用する必要がなくなる。
また、定電流手段CCM定電流値を制御するのに直流電源E2を用いるので、高速制御可能なトランジスタが不要になる。さらに、スイッチング素子Q11をオフするときに定電流手段CCMを同期してオフさせれば、スイッチング素子Q11を実質的にノーマリオフにできる。さらにまた、所望によりスイッチング素子Q11、定電流手段CCMおよびダイオードD11の半導体部品部分をGaN系チップに集積化することが可能である。
(第12の実施の形態)
(第12の形態)について説明する。
第12の形態を図16および図17に示す。図16は、LED点灯装置を実施するための第5の形態における集積回路モジュールの模式図である。図17は、平面コイル構造体の模式的一部拡大・一部断面斜視図である。
本形態は、第8ないし第11の形態の一部または複数において、LED点灯装置の半導体部品、コイル部品、コンデンサ部品および外部端子を中心に集積してIC化したものである。すなわち、LED点灯装置の発光ダイオードLEDを除いた残余の回路部品を、平面コイル構造体L、平面コンデンサ構造体C、GaNチップG、配線形成体W、端子形成体Tおよび基板構成体Bからなる各平面構造体に分割して形成する。これらの平面構造体を一体に積層し、各構造体間をスルーホールなどの手段を用いて接続して集積回路モジュールIC´としたものである。図示例の集積回路モジュールICは、概略以下の各平面構造体により構成されている。
平面コイル構造体Lは、図17に示すように、インダクタL11および駆動巻線DWを、それぞれ扁平コイル素線を平面において渦巻状をなすように巻回して形成する。それらが適度の離間状態となるように保持し、かつ内部および周囲を磁性体層Mで被覆する。これによりし、平面コイル構造体Lは、全体として平面状に構成される。
そして、インダクタL11および駆動巻線DWの一端は、コイルの中心部に位置して端子部tを構成している。そして、当該端子部tの中心にスルーホールhが形成され、後述するGaNチップGの定電流手段部分の一方の端子導体を当該スルーホールhに挿入し、さらに導電体を内部に注入して、インダクタL11、駆動巻線DWおよびGaNチップGの接続導体を一緒に接続するように構成されている。なお、磁性体層Mは、図17の一部を図の右側に拡大して断面を示すように、例えばフェライト微粒子を分散したセラミックスまたはプラスチックスからなる。
平面コンデンサ構造体Cは、例えばそれぞれ薄い誘電体膜を挟んだ一対の電極体を備えてなる複数のコンデンサを集合した平面構造体である。
GaNチップGは、GaN系半導体基板にスイッチング素子Q11、定電流手段CCMおよびダイオードD11が形成された平面構造体である。
配線形成体Wは、平面コイル構造体L、平面コンデンサ構造体CおよびGaNチップGと後述する端子形成体Tとの間を所要に接続する平面構造体である。
端子形成体Tは、配線形成体Wと後述する基板構成体Bとの間に介在して両者を接続する基板構成体Bは、外部端子TEおよび外部取付手段(図示しない。)を備え、以上説明の各平面構造体を一体的に支持してモジュール化している。なお、外部端子TEは、LED点灯装置の入力端子および発光ダイオードLEDを接続する出力端子である。
そうして、本形態は、10MHz以上の高周波で動作するLED点灯装置に好適であり、基板構成体Bに配設される外部端子TEは、そのいずれも直流であり、直流の入出力だけであるから、動作が安定であるとともに、顕著な小形化を実現することができる。このため、LED点灯装置を照明装置の発光ダイオードの間に配設することも可能になり、照明装置の著しい小形化に寄与する。
なお、一実施形態に係るLED点灯装置は、スイッチング素子、定電流手段およびダイオードの直列接続体を備える。この直列接続体は、その両端側に位置する一対の主端子から導出された第1および第2の外部端子と、直列接続体の中間接続部に位置する主端子から導出された第3の外部端子と、スイッチング素子および定電流手段の制御端子から導出された第4および第5の外部端子とを備えた集積回路を有する。
なお、上記の実施形態において、「チョッパ」とは、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなどの各種チョッパを含む概念である。なお、昇降圧チョッパは、昇圧チョッパおよび降圧チョッパをシーケンシャルに接続したものである。上記各チョッパは、いずれもスイッチング素子をオンさせることにより直流電源からインダクタに増加電流が流れるとともに、スイッチング素子をオフさせることによりインダクタに蓄積された電磁エネルギーによりダイオードを経由して減少電流が流れる動作を繰り返して直流電源電圧をDC−DC変換して出力端に出力する点で共通している。
スイッチング素子は、ノーマリオンスイッチおよびノーマリオフスイッチのいずれであってもよい。スイッチング素子にワイドバンドギャップ半導体、例えばGaN−HEMTを用いると、MHz以上、例えば10MHz以上の高周波でのスイッチング特性が著しく向上してスイッチング損失が低下するとともに、インダクタも小形化するためにLED点灯装置の大幅な小形化を図ることができる。
また、ワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子の場合、ノーマリオン特性を有しているものの方が得やすく、低コストであるが、ノーマリオフ特性を有しているものも可能なので、これを用いてもよい。また、ノーマリオンスイッチは、そのスイッチングの閾値が負であるものを用いると、インダクタに磁気結合した駆動巻線を用いたオフ制御が容易になるので好適である。
定電流手段は、定電流特性を有する回路手段であり、例えば定電流ダイオード、接合型FET、三端子レギュレータおよびトランジスタを用いた各種定電流回路などを用いることができる。なお、トランジスタを用いた定電流回路としては、一石または二石のトランジスタを用いた既知の定電流回路であることを許容する。また、接合型FETの一種であるGaN−HEMTを定電流手段として使用することができる。このスイッチング素子は、10MHz以上の高周波のスイッチング特性が優れているので、高速スイッチングを行わせるのに好都合である。
定電流手段は、スイッチング素子のオン時にインダクタに電流が流れる第1の回路中にスイッチング素子と直列に介在する。また、定電流手段は、スイッチング素子を駆動する駆動巻線を含むスイッチ素子の駆動回路中にも介在する。これらの構成を具備していることにより、定電流手段を流れる増加する電流が定電流値に到達し、さらに増加しようとすると、定電流手段の電圧が急激に上昇するので、そのとき定電流手段に生じる電圧上昇によって、スイッチング素子の駆動回路に組み込まれる主端子(例えばソース)の電位を制御端子(例えばゲート)の電位に対して相対的に高くすることができる。その結果、制御端子の電位がスイッチング素子の閾値より低くなるために、スイッチング素子をオフさせることができる。この回路動作は、スイッチング素子がノーマリオンスイッチで、かつ閾値が負であることにより、一層容易かつ確実になるが、ノーマリオフスイッチに対しても有効である。
また、スイッチング素子と定電流手段を直接直列接続することが許容されるが、この場合には共通の半導体チップ、例えばGaN系チップにスイッチング素子と定電流手段を集積して一体化するのが容易になる。この場合、スイッチング素子の一方の主端子、例えばドレインと、定電流手段のスイッチング素子に対して他端側の主端子からなるパワー系の2つの端子と、スイッチング素子および定電流手段のそれぞれの制御端子、例えばゲートからなる2つの制御系の端子とを備えた4端子構造のICモジュールによって、上記スイッチング素子と定電流手段を構成することができ、より一層小形化された単一のコンポーネントにすることができる。
インダクタは、直流電源からスイッチング素子および定電流手段を経由する第1の回路に増加する電流が流れるときに、電磁的エネルギーを内部に蓄積する。また、インダクタは、スイッチング素子のオフ時に蓄積された電磁的エネルギーを放出するので、その際に減少する電流が第2の回路に流れる。
また、チョッパを10MHz以上の高周波で動作させる場合、インダクタおよびこれに磁気結合する駆動巻線を平面コイル構造にするとともに、コンデンサを平面構造にすれば、チョッパの集積回路化に好都合となるとともに、信頼性の高い動作が得られる。すなわち、平面コイル構造のインダクタおよび駆動巻線と、平面構造のコンデンサと、スイッチング素子、定電流手段および後述するダイオードなどの半導体部品を集積した半導体チップと、を積層して全体を一体化した集積回路モジュールを構成することができる。その結果、LED点灯装置の著しい小形化を図ることができる。また、これに伴い、駆動コイルとスイッチとの間の距離が最短かされるので、不要で、しかも雑音発生などに有害な寄生インダクタンスや寄生キャパシタンスの発生を最小限に止めることができ、チョッパ動作の安定性および信頼性が向上する。
ダイオードは、インダクタから減少する電流が流出する際の経路である第2の回路を提供する。ワイドバンドギャップ半導体、例えばGaN系のダイオードをダイオードとして用いると、より一層の高速スイッチングが可能になる。この場合、ダイオードをスイッチング素子および定電流手段と一緒に半導体素子の集積回路として構成するのが容易になる。この集積回路は、スイッチング素子、定電流手段およびダイオードの直列接続体において、その一端側の主端子、他端側に主端子、ならびに中間の接続点の主端子からなるパワー系の3つの主端子と、スイッチング素子および定電流手段をそれぞれ制御する2つの制御端子との都合5つの外部端子を備えた構造となる。
上記集積回路を用いてチョッパを構成すると、全体が一層小形化するとともに、高速スイッチングを行わせるのが容易になる。
駆動巻線は、インダクタに磁気結合した巻線であって、スイッチング素子を制御する。すなわち、スイッチング素子がオンのときにインダクタに流れた増加する電流が定電流手段の定電流値に到達してスイッチング素子がオフすると、大きな電圧が生じるので、スイッチング素子の主端子(ソース)が制御端子より高くなり、相対的に制御端子が負電位になって閾値を下回るので、スイッチング素子がオフ状態に維持される。
上記の第8乃至第12の実施形態によると、スイッチング素子のオン時に直流電源から定電流手段を経由してインダクタに流れる増加する電流が定電流手段の定電流値に達したときに定電流手段に生じる電圧によりスイッチング素子をオフさせるので、インダクタに流れる電流を検出する抵抗素子などのインピーダンス手段およびその電圧降下が予め設定された閾値に達したときにスイッチング素子をオフさせる制御回路で構成される電流帰還形の帰還回路を配設することなしに、増加する電流が所定値に達したときにスイッチング素子を簡単な構成でオフさせることができてチョッパ動作を行うから、回路構成が簡単になり、集積化および小形化が容易なチョッパを具備したLED点灯装置を提供できる。
さらに、インダクタおよび駆動巻線を平面コイル構造体にするとともに、少なくともスイッチング素子およびダイオードを平面コイル構造の少なくとも一面に積層された集積回路を構成していることにより、駆動コイルとスイッチング素子との間の距離が最短化されて、不要で、しかも雑音発生などに有害な寄生インダクタンスや寄生キャパシタンスの発生を最小限に止めることができるので、チョッパ動作の安定性および信頼性が向上する。
さらにまた、スイッチング素子、定電流手段およびダイオードを5つの外部端子を備え
た集積回路として構成すれば、チョッパ全体が一層小形化するとともに、高速スイッチン
グを行わせるのが容易になる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。