JP2005036089A - ポリシラザン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造単位(−SiR1R2−NH−)p、(−SiR1’R2’−O−)p’および(−SiR3R4−NH−SiR5R6−)qをランダムな配列で含む有機ポリシラザン化合物と、構造単位−(SiH2NH)n−を含むシラザン化合物とを含んでなり、これらが重合してコポリマーを形成することができることを特徴とする重合性組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、重合性組成物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、架橋剤を含有する重合性組成物、重合性組成物中の重合性成分を重合させたケイ素含有コポリマー、およびびこの重合したケイ素含有コポリマーにより構成される被膜に関するものである。本願発明は、さらに前記ケイ素含有コポリマー組成物の硬化物を誘電体層、隔壁(リブ層)および/または真空封止剤として有するプラズマディスブレイ表示装置(PDP)、あるいは前記硬化物を層問絶縁膜および/または配向膜として有する液晶表示装置(LCD)などにも関するものである。
【0002】
背景技術
耐熱高分子化合物に関しては、Rochoらによりシリコーンが合成されて以来、フッ素系材料、ポリイミドベンダゾール、芳香族ポリアミド、ポリイミド等の芳香族または複素環系高分子化合物が研究されてきている。更に近年、宇宙・航空分野における技術の進展、半導体またはディスプレイ分野の技術の進歩により、高分子化合物に対する耐熱性の要求が高まり、それに伴って芳香族または複素環系高分子化合物において研究の進展が見られ、芳香族ポリイミド等の改良が進められている。またこの他に、ポリボロシロキサン、ポリチタノキサンのように主鎖がSi、Ti、Bなどの金属元素とO、Nなどからなる有機金属ポリマーが研究されている。
【0003】
このような背景のもと、近年さまざまな耐熱・絶縁材料分野、電子材料分野で高分子化合物に対してさらなる耐熱性の向上が望まれている。
【0004】
例えば、最も代表的用途として電子材料分野においては層間絶縁膜用途、PDP用誘電体層等が、回転機器分野においては発電機、高圧交流モーター、産業用直流モーター、および電車モーター等が挙げられる。これらの高圧回転機に属する装置は大容量化、高圧化への傾向があり、それに用いられる高分子化合物には小型化、高耐熱性が要求される。しかも、これらの分野における耐熱性の要求特性は400℃をこえるものである。高分子化合物の耐熱性に関しては電子材料分野も同じでように改良が望まれている。
【0005】
更に、この他に耐熱性とともに絶縁性、機械特性等も高分子化合物には要求される。ところが、現在の耐熱性高分子化合物のうち有機ポリマーに関しては、実用化されているポリマーの耐熱性は一般に300℃以下である。
【0006】
一方、シリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂等の有機金属ポリマーは、ポリマーの熱安定性が高いこともあり、500℃以上の高い耐熱性を有するものがある。
【0007】
ところが、有機高分子は一般に分子構造が分岐の少ない線状構造であるのに対し、有機金属ポリマーは分岐の多い網目構造を有していることが多い。そしてOH基同士の脱水素縮合反応あるいは酸化反応により、巨大な三次元網目構造を有する硬化物が形成される。その結果、形成される被膜の膜厚限界が小さく、可とう性に乏しく、使用が制限されているのが一般的である。
【0008】
そこで、このような有機金属ポリマーの欠点を解決するために、有機樹脂と無機材料との複合化が試みられており、例えば無機ポリシラザン部分と有機シラザン部分からなるブロック共重合シラザンが提案されている(例えば特許文献1)。
【0009】
我々はこのような要求にたいして主鎖の結合がSi−Ph−Si−O、Si−Nからなるケイ素含有ポリマーを開発した(特許文献2および3)。
【0010】
これらのポリマーはポリイミドを超える耐熱性を有しているものであるが、PDP誘電体層等の用途においては更に450℃を超える耐熱性とさらに高い膜厚限界が要求され、有機基を有する一般的な樹脂の限界を超えている。
【0011】
【特許文献1】
特開平2−175726号公報
【特許文献2】
特開平8−231727号公報
【特許文献3】
特開平9−188765号公報
【特許文献4】
特開昭60−145903号公報
【非特許文献1】
Communication of Am. cer. sor., c−13, January (19823)
【0012】
【発明の概要】
前記したとおりの、従来の樹脂にあった問題点をすべて解決し、耐熱性および透明性に優れ、比誘電率が低く、可擁性および機械的強度に優れた樹脂、ならびにそのような樹脂を形成させることができる重合性組成物が求められていた。本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、特定の成分の組み合わせを含んでなる重合性組成物により、その目的が達成できることを見出した。
【0013】
本願発明による重合性組成物は、少なくとも下記一般式(I)、(I’)、および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含む有機ポリシラザン化合物(a)と、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位を含むシラザン化合物(b)とを含んでなり、前記有機ポリシラザン化合物(a)と前記シラザン化合物(b)とが重合してコポリマーを形成することができることを特徴とするものである。
【化6】
[上式中、R1、R2、R1’、R2’、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基を表すが、これらが同時に水素であることはなく、R7は二価の芳香族基を表し、p、p’、およびqは、それぞれ構造単位(I)、(I’)、および(II)のモル比を表す数であって、それぞれゼロをのぞく任意の数であり、形成されるコポリマー中のSi−O結合の数NSi−OおよびSi−N結合の数NSi−Nの割合は、NSi−O/(NSi−N+NSi−O)=0.50〜0.99である。]
【0014】
本願発明によれば、450℃でも使用できる耐熱性を有し、透明性を兼ね備え、かつ、比誘電率が低く、可擁性および機械的強度に優れた硬化物を得ることができる。このため、本願発明による組成物から形成された被膜や硬化物は、耐熱性を要求される電子材料用途に適したものである。従って、本願発明の別の態様である、下記のようなフィルムまたは被膜、誘電体層、隔壁(リブ層)および/または真空封止剤、あるいは層間絶縁膜および/または配向膜において、優れた性能を発揮することができる。
【0015】
本願発明による他の態様であるフィルムまたは被膜は、前記の重合性組成物を硬化させたものである。
【0016】
本願発明による他の態様であるプラズマディスプレイ表示装置は、前記の重合性組成物の硬化物を誘電体層、隔壁(リブ層)および/または真空封止剤として具備してなるものである。
【0017】
本願発明による他の態様である液晶表示装置は、前記の重合性組成物の硬化物を層間絶縁膜および/または配向膜として具備してなるものである。
【0018】
【発明の具体的説明】
本発明による重合性組成物は、特定の構造単位を含む有機ポリシラザン化合物(a)と、特定の構造単位を含むシラザン化合物(b)とを含んでなり、前記有機ポリシラザン化合物(a)と前記シラザン化合物(b)とが重合してコポリマーを形成することができることを特徴とするものである。
【0019】
有機ポリシラザン化合物(a)
本発明による重合性組成物に用いることのできる有機ポリシラザン化合物(a)は、少なくとも下記一般式(I)、(I’)および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含むものである。
【化7】
上式中、R1、R2、R1’、R2’、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基を表すが、これらが同時に水素であることはなく、特に、C1〜C3アルキル基、C1〜C2アルケニル基、C6〜C8シクロアルキル基、C6〜C8アリール基、C1〜C3アラルキル基、C1〜C3アルキルアミノ基、C1〜C3アルキルシリル基、またはC1〜C3アルコキシ基であることが好ましい。また、R1およびR2が同時に水素ではないことが好ましく、R1’およびR2’が同時に水素ではないことが好ましく、R3、R4、R5、およびR6が同時に水素ではないことが好ましい。
【0020】
R7は二価の芳香族基を表し、好ましくはアラルキレン基、アリーレン基、特にフェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ベンジリデン基、フェネチリデン基、α−メチルベンジリデン基、シンナミリデン基、ナフチレン基が挙げられる。
【0021】
p、p’およびqは、それぞれ構造単位(I)、(I’)および(II)のモル比を表す数である。p、p’およびqは、それぞれゼロをのぞく任意の数である。
【0022】
本発明の重合性組成物の重合性成分が反応して形成されるコポリマー中のSi−O結合の数NSi−OおよびSi−N結合の数NSi−Nの割合は、NSi−O/(NSi−N+NSi−O)=0.50〜0.99であり、好ましくは0.80〜0.95、である。NSi−O/(NSi−N+NSi−O)が0.50より小さいと弾性率が上昇して脆くなる傾向があり、0.99を超えるとポリマー中の架橋点が減少してポリマーの硬度が不十分になることがあるので注意が必要である。
【0023】
本発明における有機ポリシラザン化合物(a)は、さらに下記一般式(III)または(IV)の少なくとも一種の構造単位を含むことができる。
【化8】
上式中、R8及びR9は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基を表し、特に、C1〜C3アルキル基、C1〜C2アルケニル基、C6〜C8シクロアルキル基、C6〜C8アリール基、C1〜C3アラルキル基、C1〜C3アルキルアミノ基、C1〜C3アルキルシリル基、またはC1〜C3アルコキシ基であることが好ましい。
【0024】
ここで一般式(IV)の構造単位は3官能性であって、この単位を含む場合、本願発明における有機ポリシラザン化合物(a)は分岐構造を有するものとなる。
【0025】
r、およびsは、それぞれ構造単位(I)〜(IV)のモル比を表す数であって、前記したp、p’およびqとの関係は、一般に
q/(p+p’+q+r+s)=0.01〜0.99
である。
【0026】
本発明における有機ポリシラザン化合物(a)は、さらに下記一般式(V)、(VI)、または(VII)の少なくとも一種の構造単位を含むことができる。
【化9】
上式中、R1、R2、R8、およびR9は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基であり、特に、C1〜C3アルキル基、C1〜C2アルケニル基、C6〜C8シクロアルキル基、C6〜C8アリール基、C1〜C3アラルキル基、C1〜C3アルキルアミノ基、C1〜C3アルキルシリル基、またはC1〜C3アルコキシ基であることが好ましい。
【0027】
ここで一般式(VII)の構造単位は3官能性であって、この単位を含む場合、本願発明における有機ポリシラザン化合物(a)は分岐構造を有するものとなる。
【0028】
R10は二価の芳香族基であり、好ましくはアラルキレン基、アリーレン基、または下記一般式(L−I)で表される基である。
【化10】
上式中、Rllはハロゲン原子または低級アルキル基、好ましくはC1〜C3アルキル基、であり、aは0〜4の整数であり、Zは直接結合しているか、または下記一般式(L−II)で表される基である。
【化11】
式中、Rl2はハロゲン原子または低級アルキル基、好ましくはC1〜C3アルキル基、であり、bは0〜4の整数であり、Yは直接結合しているかまたは二価の基であり、好ましくはYは直接結合しているか、−O−、−S−、−CH2−、または−CH2CH2−である。
【0029】
R10として好ましいものは、より具体的にはフェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ベンジリデン基、フェネチリデン基、α−メチルベンジリデン基、シンナミリデン基、ナフチレン基が挙げられる。
【0030】
t、u、およびwはそれぞれ構造単位(V)〜(VII)のモル比を表す数であって、それぞれ任意の数である。
【0031】
本願発明における有機ポリシラザン化合物(a)は前記したとおりの、一般式(I)、(I’)および(II)の構造単位を必須とし、必要に応じて(III)〜(VII)の構造単位を含む。
【0032】
本発明による重合性組成物は、これら構造単位に含まれる基のC=C結合により結合エネルギーが上昇され、また二官能基(R7、場合によりR10)の導入によってポリマーの直鎖化が進行し、もちろんSi結合によって酸化安定性が高いので、硬化によって得られた硬化物は450℃以上の耐熱性を有する上に、可擁性を併せ持ち、しかも前記一般式(IV)、場合により(VII)の構造単位を有する場合には、機械的強度が高く、さらに、前記一般式(I)及び(III)〜(VII)中の−NH−基並びに一般式(III)及び(V)中のSi−H結合の存在により、加熱により硬化が進み、さらに耐熱性で強度の強いものを得ることができると考えられる。また本発明による硬化ポリマーは無色で透明性に優れ、しかも大気中で硬化した場合においても無色で、優れた透明性を有する硬化ポリマーを形成することができる。Si−H結合を有する一般式(III)及び(V)の構造単位、また−NH−を有する一般式(I)及び(III)〜(VII)の構造単位が存在する場合、加熱硬化の際に硬化の制御を容易に行うことができるという特徴もある。
【0033】
これらの各成分の配合割合は一般にq/(p+p’+q+r+s)=0.01〜0.99の関係を満たすものであるが、
q/(p+p’+q+r+s)=0.1〜0.5
であることが好ましい。
【0034】
さらに、
一般にq/(p+p’+q+r+s)=0.01〜0.99、好ましくは0.2〜0.75、であり、
一般にr/(p+p’+q+r+s)=0〜0.99、好ましくは0.01〜0.2、であり、
一般にs/(p+p’+q+r+s)=0〜0.99、好ましくは0.1〜0.5、であり、
一般に(p+p’)/(p+p’+q+r+s+t+u+w)=0.01〜0.99、好ましくは0.1〜0.5、であり、
一般にq/(p+p’+q+r+s+t+u+w)=0.01〜0.99、好ましくは0.2〜0.75、であり、
一般に(t+u+w)/(p+p’+q+r+s+t+u+w)=0〜0.99、好ましくは0.01〜0.5、であり、
一般に(r+u)/(p+p’+q+r+s+t+u+w)=0〜0.99、好ましくは0.01〜0.2、であり、
一般に(s+w)/(p+p’+q+r+s+t+u+w)=0〜0.99、好ましくは0.1〜0.75
である。
【0035】
このような構造単位からなる有機ポリシラザン化合物(a)は、数平均分子量が500〜1,000,000であることが好ましい。これは、有機ポリシラザン化合物(a)の数平均分子量が500より大きい場合には、十分な塗布性を確保するのに十分な粘度が得られ、また1,000,000以下である場合には有機ポリシラザン化合物(a)の安定性が優れているためである。前記有機ポリシラザン化合物(a)の数平均分子量は、より好ましくは800〜100,000であり、さらに好ましくは1,000〜10,000である。
【0036】
前記有機ポリシラザン化合物(a)は、いずれの方法により製造されたものであってもよい。好ましい製造方法としては、下記一般式(VIII)で表されるオルガノポリハロシランと、一般式(IX)で表されるジシリル化合物とを含む混合物、または必要に応じて、これにさらに一般式(X)および/または一般式(XI)で表されるオルガノポリハロシランが含まれた混合物を、必要に応じてまず一般式(XII)で表されるジアミンと反応させた後、適切な溶媒に分散させた水と反応させ、その後アンモニアとの反応を実施して、未反応のハロシランを完全に反応させる方法が挙げられる。
【化12】
(式中、Rl〜R10は上記定義されたものであり、またXはハロゲン原子を表す。)
【0037】
本発明において用いられる有機ポリシラザン化合物(a)を製造する際に出発原料として用いられる、上記般式(VII)、(X)又は(XI)で表されるオルガノポリハロシランにおいて、R1、R2、R8、およびR9は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基から選ばれるが、通常、炭素数が1〜7、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜2のアルキル基、炭素数が2〜7のアルケエル基、炭素数が5〜7のシクロアルキル基、およびアリール基が一般的であり、Xは、通常フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子、好ましくは塩素原子である。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。さらに、アルキルシリル基(モノ−、ジ−、またはトリ−置換体)、アルキルアミノ基(モノ−、またはジ−置換体)、及びアルコキシ基としては、通常、炭素原子を1〜7個有するものが使用される。なお、R1とR2は同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。前記一般式(VIII)で表される化合物としては、ジフェニルジクロロシランが好ましく、前記一般式(X)で表される化合物としては、メチルジクロロシランが好ましく、前記一般式(XI)で表される化合物としては、フェニルトリクロロシランが好ましい。
【0038】
一方、本発明における有機ポリシラザン化合物(a)を製造する際に出発原料として用いられる、一般式(IX)で表されるジシリル化合物のR3〜R6は、一般式(VIII)、(X)、および(XI)のRl、R2、R8、およびR9同様、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基から選ぱれ、またXはハロゲン原子である。これらの基あるいは原子の具体例は一般式(VIII)、(X)、および(XI)で表されるオルガノポリハロシランにおけるRl、R2、R8、およびR9におけるものと同様のものが挙げられる。またR7としては、2価の芳香族基、好ましくはアラルキレン基、アリーレン基、特にフェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ベンジリデン基、フェネチリデン基、α−メチルベンジリデン基、シンナミリデン基、ナフチレン基が挙げられる。
【0039】
一般式(IX)で表される化合物としては、具体的には1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼンが好ましいものである。有機ポリシラザン化合物(a)の製造においては、上記のとおり、オルガノポリハロシラン類とジシリル化合物との混合物を、必要に応じ、まず一般式(XII)で表されるジアミンと反応させる。一般式(XII)におけるR10は、二価の芳香族基であり、アラルキレン基、ナフチレン基、または前記一般式(L−I)で表される基であることが好ましい。以下に、一般式(XII)で示されるジアミンの具体例を挙げる。R10としてはこの具体例に示されるように、フェニレン基等のアリーレン基、ビフェニレン基等種々の二価の芳香族基が挙げられるが、アリーレン基が好ましいものである。なお、以下で例示された化合物はいずれも一般式(XII)で示されるジアミンとして好ましい化合物を単に例示したにすぎないもので、本発明の一般式(XII)で表されるジアミンが下記例示化合物に限られるものではない。
【化13】
【0040】
これらの中で特にパラ−フェニレンジアミン(p−PDA)、メタ−フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4’−ジフェニルジアミノエーテル(オキシジアニン、ODA)が好ましい。
【0041】
また、反応溶媒としては、ルイス塩基および非反応性溶媒単独または混合物のいずれを使用してもよい。この場合、ルイス塩基としては、例えば3級アミン類(トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、およびトリエチルアミン等のトリアルキルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアニリンおよびこれらの誘導体)、立体障害性の基を有する2級アミン類、フォスフィン、スチピン、アルシン、およびこれらの誘導体等(例えばトリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン、トリメチルアルシン、トリメチルスチピン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)を挙げることができる。中でも、低沸点でアンモニアより塩基性の小さい塩基(例えぱピリジン、ピコリン、トリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン)が好ましく、特にピリジンおよびピコリンが取扱上および経済上の観点から好ましい。
【0042】
非反応性溶媒としては、一般に、(イ)ハロゲン化炭化水素、例えばハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、およびハロゲン化ベンゼン、(ロ)エーテル類、例えば脂肪族エーテル、および脂環式エーテル、(ハ)炭化水素溶媒、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および芳香族炭化水素、ならびに(ニ)複素環化合物、が使用できる。これらの中でも好ましいのは、(イ)ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、およびテトラクロロエタン(ロ)エーテル類としては、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、(ハ)炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オククン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンクン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン、(ニ)複素環化合物としては、N−メチル−2−ピロリドン、およびピリジンが挙げられる。これらの溶媒のうち、安全性などの点からジクロロメタン、キシレン、およびN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。また、ピリジン/ジクロロメタン混合溶媒も好ましいものである。
【0043】
上記製造法においては、最初に前記一般式(VIII)、(X)、および必要に応じて一般式(XI)で表されるオルガノポリハロシランと一般式(IX)で表されるジシリル化合物とを有機溶媒中で混合し、続いて必要に応じてまず前記一般式(XII)で表されるジアミンを反応させるが、オルガノポリハロシランとジシリル化合物との混合割合は、モル比で一般に1:99〜99:1の範囲内であり、好ましくは90:10〜10:90であり、さらに好ましくは80:20〜40:60、である。また、上記両ハロケイ素化合物とジアミンとの使用割合は、モル比で一般に100:0〜10:90の範囲であり、好ましくは100:0〜25:75であり、さらに好ましくは100:0〜40:60である。また、ジアミンによるアミン変性量としては、両ハロケイ素化合物の理論反応量の0〜50mol%とするのが好ましい。溶媒中のハロケイ素化合物の濃度は任意に選択することができるが、1〜25重量%の範囲とするのがよい。温度は反応系が液体となる範囲(典型的には−40℃〜300℃)ならいずれでもよい。また、圧力は一般的には常圧ないし加圧下であるが、窒素加圧下が好ましい。
【0044】
前記ハロケイ素化合物とジアミンとの反応を実施した後、またはジアミンとの反応を行うことなくハロケイ素化合物に適宜の溶媒に分散させた水を加えて反応させ、Si−O結合を生成させる、このとき水を分散させる溶媒としては、上記のジアミンとの反応における溶媒と同様のものを用いることができる。特にピリジンおよびピコリンが取扱上および経済上の観点から好ましい。また、水との反応においては、反応系への水の注入速度がポリマーの生成に大きな影響を与える。注入速度が速い場合には、ポリマーの生成が十分に行われない場合がある。水の注入速度としては、0.1molH2O/分以下が望ましい。さらに、反応温度もポリマーの生成に重要な役割を果たす。ハイドロリシス反応の温度は、通常−40℃〜20℃、より好ましくは−20℃〜5℃、である。反応温度が高い場合、ポリマーの生成が十分に行われない場合がある。
【0045】
水との反応が終了した後、アンモニアを加えてアミノリシス反応を実施し、ハロシランを完全に反応させる。この場合の反応溶媒、反応温度等の条件は、前段のジアミンとの場合と同じである。アンモニアの添加量は、反応しないで残っているハロゲン原子の量によって決まる。即ち、ハロケイ素化合物のアンモノリシスに必要な理論量は、添加したジアミンの量水の量から計算できるが、アンモニアは過剰になっても構わないため、通常理論量より過剰な量で用いられる。圧力は一般的に常圧下から加圧下であるが、窒素加圧下が好ましい。本反応においてHClが生成するが、これはトリエチルアミンあるいはアンモニア等の塩基で塩を作り、目的物質と分離することができる。このようにして製造されたコポリマーと副生塩化アンモニウムまたはアミン塩を濾別し、この濾液を減圧下で溶媒を除去すれば、目的の有機ポリシラザン化合物(a)が得られる。
【0046】
この有機ポリシラザン化合物(a)は脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素、工一テル類、アルコール、エステル、ケトン等の一般的有機溶媒に可溶性であるという特徴を有する。
【0047】
シラザン化合物(b)
本願発明における、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位を含むシラザン化合物(b)は、例えばペルヒドロポリシラザンである。このペルヒドロポリシラザンの製造法は、例えば特開昭60−145903号公報(特許文献4)、D. SeyferthらによるCommunication of Am. cer. sor., c−13, January (19823)(非特許文献1)に記載されている。
【0048】
前記構造単位の重合度nは1以上の任意の数であるが、一般に10〜10,000、好ましくは10〜200である。
【0049】
また、少なくとも一般式−(SiH2NH)n−で表される構造単位を含むシラザン化合物は、必ずしも重合している必要はなく、重合性組成物が硬化する際に重合するものであってもよい。さらには、前記有機ポリシラザン化合物(a)と結合する際に−(SiH2NH)−の構造単位が一つだけ独立して結合してもよい。
【0050】
シラザン化合物(b)の末端基は特に限定されないが、一般にシリル基、メチル基、アミノ基、メトキシ基、アルコキシ基またはトリメチルシリル基である。また、末端にほかの有機ポリシラザン化合物(a)や架橋剤などのほかの成分と結合するために、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、カルボニル基を有していてもよい。
【0051】
架橋剤
本発明による重合性組成物は、必要に応じて、前記の有機ポリシラザン化合物(a)同士、シラザン化合物(b)同士、あるいは有機ポリシラザン化合物(a)とシラザン化合物(b)とを架橋させるための架橋剤を含むことができる。
【0052】
前記化合物を架橋させる架橋剤としては、例えば、ケイ素含有架橋剤および熱により酸を発生する化合物が挙げられる。ケイ素含有架橋剤としては、例えば
(1)一般式:Si(NCO)4、で表されるテトライソシアネートシラン、
(2)一般式:R11Si(NCO)3、で表されるトリイソシアネートシラン、
(3)一般式:Si(OR12)4、で表されるテトラアルコキシシラン、および (4)一般式:R13Si(ORl4)3で表されるトリアルコキシシラン
が好ましいものとして挙げられる。上記式中、Rl1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基などを表し、好ましくはメチル基、エチル基、またはフェニル基である。また、Rl2、Rl4は各々独立にアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、またはブチル基である。さらに、R13は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基などを表し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、またはビニル基である。これらケイ素含有架橋剤は単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。これらのケイ素含有架橋剤を添加することにより、形成されるポリマーの耐熱性が向上する。
【0053】
上記ケイ素含有架橋剤を具体的に例示すると、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、エチルトリイソシアネートシラン、フェニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが代表的なものとして挙げられ、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキンシランが好ましいものである。
【0054】
また、酸を発生する化合物からなる架橋剤としては、主鎖が耐熱性の高いベンゼン環で構成されている、ベンゼン環を有する過酸化物が好ましい。ベンゼン環を有する過酸化物としては、例えば3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましいものとして挙げられる。これら酸を発生する化合物は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0055】
架橋剤の使用量は、目的とする架橋度、用いられる架橋剤の種類、架橋温度、周囲雰囲気等により異なるし、ベースボリマー中のSi−H基の量によっても異なる。しかし、一般に、硬化速度および硬化物の耐熱性を考慮すると、通常、重合性成分の合計に対し、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、の量である。
【0056】
溶剤
本発明による重合性組成物は、必要に応じて溶剤を含んでなる。特に、基材の表面に重合体被膜を形成させるような用途においては、溶剤に前記の各成分が溶解されているものが取り扱い上便利である。
【0057】
本発明による重合性組成物に用いることのできる溶媒としては、(イ)芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、およびトリエチルベンゼン、(ロ)脂肪族炭化水素、例えばn−ベンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘブタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン、およびジペンテン、(ハ)脂環族炭化水素、例えばシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレン、およびp−メンタン、(ニ)エーテル類、例えばジプロピルエーテル、およびジブチルエーテル(DBE)、(ホ)ケトン類、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、(ヘ)エステル類、例えば酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、ステアリン酸ブチル、および乳酸エチル、(ト)エチレングリコールモノアルキルエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、およびエチレングリコルモノエチルエーテル、(チ)エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、(リ)プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、(ヌ)エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、を使用することが好ましい。これらの中では芳香族炭化水素、エーテル類、)プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、具体的にはキシレン、DBE、PGMEAが特に好ましいものである。これらの溶剤は単独で用いられてもよいし、二種以上を併用してもよい。溶剤の使用量は、重合性組成物がどのような目的で用いられるか、また、重合性組成物を構成する成分の種類などによって異なるものであるが、基材に前記組成物あるいはポリマーを適用できる範囲であれぱどのような量であってもよい。
【0058】
重合性組成物
本発明による重合性組成物は、前記の有機ポリシラザン化合物(a)、シラザン化合物(b)、および必要に応じて前記したその他の成分を配合して組成物とする。ここで、有機ポリシラザン化合物(a)とシラザン化合物(b)との配合比は、目的に応じて任意に選択されるが、有機ポリシラザン化合物(a)の重量に対してシラザン化合物(b)を1〜90重量%配合することが好ましく、10〜50重量%配合することがより好ましい。この配合比を変化させることで、特に形成される硬化物の硬度が変化するので、その用途に応じて配合比を調整することが好ましい。また、そのほかの添加剤、例えば粘度調整剤、架橋促進剤等を添加することもできる。さらには、前記の一般式(I)〜(VII)の構造単位を有するモノマーを配合することもできる。
【0059】
本願発明の組成物は、通常、溶剤を含んだ溶液または分散物の形態とするのが取り扱い性の観点から好ましいが、溶剤を含まない、固体または粉末の形状とすることもできる。また、必要に応じて、2種類の組成物に分け、使用時に必要に応じて混合して用いる形態であってもよい。さらに、少量の溶剤を含んだ濃厚な液体組成物として製造および運搬し、使用時に溶剤を追加して適当な濃度に調整するようなことも可能である。
【0060】
予備架橋または予備重合条件
本発明による重合性組成物は、一般に基材などに塗布して基材表面に硬化した被膜を形成させる用途に用いられる。このとき、前記した各成分を混合した重合性組成物をそのまま塗布して硬化させることもできるが、塗布に先立って、あらかじめ重合性成分を予備架橋または予備重合させておいてもよい。
【0061】
本発明による重合性組成物を予備架橋または予備重合させる際の反応条件は、重合性組成物に含まれる重合性成分、架橋剤、架橋促進剤、および溶媒等によって異なる。しかし、通常−20℃〜l00℃、好ましくは10〜100℃、より好ましくは30〜90℃、の温度で、反応時間は通常0.05〜5時間、好ましくは1〜3時間、で行われる。
【0062】
被膜形成および焼成条件
本発明による重合性組成物は、たとえば、必要に応じて適度の粘度に調整された上で、スピンコート、バーコート、ロールコート、浸漬コートなど従来周知の方法により基体に塗布される。
【0063】
塗布された被膜は、一般にさらに加熱することで硬化された被膜が形成される。このような加熱処理は、一般に150〜500℃、好ましくは200〜450℃、より好ましくは250〜400℃で、一般に0.1〜2時間、好ましくは0.5〜2時間、より好ましくは0.5〜1時間、行う。
【0064】
また、本発明による重合性組成物を、例えばガラス基板上に塗布して架橋硬化被膜を形成させ、形成された被膜をガラス基板から剥離すればフィルム単体を得ることができる。また、本願発明による組成物を型枠などに充填し、架橋硬化させることによりブロック状の硬化物を得ることもできる。これらのフィルムまたは硬化物は、少なくとも前記一般式(I)、(I’)および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含む構造単位(a’)と、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位(b’)とを含んでなるコポリマーを含んでなる。このようなフィルムまたは硬化物は、高温に耐え、優れた機械的特性と可擁性を備え、ほぼまたは完全な無着色で透明性に優れ、低い比誘電率を有するものである。この焼成条件は、本発明による重合性組成物を塗布した被膜の硬化についてのみでなく、被膜以外の形態で用いられる場合、または重合性組成物が溶剤を含まない状態で用いられる場合、本発明による重合性組成物が予備架橋または予備重合されていない場合などにおいても同様である。
【0065】
こうして得られた被膜またはフィルムは、前記したような、PDP背面板用または前面板用誘電体層、PDPリブ(隔壁)用材料並びにPDP真空封止剤、LCDあるいは半導体素子の層間絶縁膜、表示素子の前面表示板、600℃低温プロセス対応PMD材料、電線被覆層等の用途に利用することができる。また、本発明による重合性組成物は、光ファイバー材料、接着剤、セラミックスとの複合材、耐熱性糸などの材料としても利用が可能である。
【0066】
さらに、得られた被膜は耐アルカリ性などの耐薬品性にも優れているため、強アルカリ液であるインクジェットブリンターインクが接触する部分に保護膜として被膜を形成してやることにより、強アルカリ液に対する保護が可能となる。耐アルカリ性が要求される部材自体を本発明による組成物の硬化物により構成することも可能である。また、本発明による重合性組成物が架橋剤を含んでいる場合は、塗布により一回当りの塗布膜厚を20〜100μmの厚みで形成することができ、架橋剤を含まない重合性組成物を用いる場合に比べ一回当たりの塗布膜厚を厚く形成することができる。このため、厚膜が要求される層間絶縁膜またはPDPの誘電体膜などの形成にも適したものである。
【0067】
本発明による重合性組成物の硬化物をFPDに用いる一例を、図1を参照しつつ、PDPの製造を例に挙げて簡単に説明する。
(1)ケイ素含有共重合ポリマー誘電体層4を有するプラズマディスブレイパネルの前面基板の形成
AC型プラズマディスプレイパネルの前面基板1には、通常のソーダライムガラスまたは高歪点ガラスが用いられ、該ガラスの背面基板10と向き合う片面にスパッタにより透明電極2(ITO膜)が、またこの透明電極2上に導電性の高いバス電極3(例えぱ印刷による厚膜材料による銀電極、蒸着によるアルミニウム電極またはスパッタリングによるCr/Cu/Cr電極)がパターニング配置される。この電極3上を、全面に亘って本発明による重合性組成物で被覆し、450℃60分間焼成して、誘電体層4を形成させる。さらに図示されていないシール層を印刷などにより形成した後、前記誘電体層4の表面を蒸着などの方法によりMgO保護層5で被覆する。
【0068】
(2)ケイ素含有共重合ポリマー誘電体層7を有するプラズマディスプレイパネル背面基板の形成
背面ガラス基板10上には、一般にはシリコン酸化膜のパッシベーション膜が設けられ、このバッシベーション膜上に前面基板の透明電極2と直交する形となるようにストライプ状のアドレス電極8が、厚膜銀ペーストまたは厚膜アルミニウムペーストの印刷、Cr−Cu−Crのスパッタ膜等によリ形成され、その後該電極を被覆するように背面基板全面に上記と同様にして本発明による重合性組成物が塗布され硬化されて誘電体層7が形成される。さらに、上記電極8に隣接、平行する形で多数の隔壁(リブ)6が形成され、各隔壁毎に赤、青、緑の蛍光体9がアドレス電極8上および隔壁6側面に形成される。その後図示しないシール層を形成させる。但し、前記誘電体層7は、電極問のリークを防止するための絶縁層としての役目と放電時の輝度向上のための反射板としての役目を有するものであるため、輝度向上のために適当な無機顔料または無機フィラー等が配合されるのが好ましい。これら無機顔料等の配合は、重合性組成物中にその適当量を添加することにより行ない得る。
【0069】
(3)プラズマディスプレイパネルの組み立て
このようにして製造された前面板および背面板を組み立て、排気後ガスを封入することによりプラズマディスプレイパネルが得られる。上記重合性組成物の焼成により、電極膜上には、透明性、平面特性、耐熱性、機械的強度に優れ、誘電率の低い誘電体層が形成される。なお、基板上に電極を設ける際、蒸着などにより導電膜が全面に形成される場合は、ホトレジストなどを用いてパターニングを行った後、導電膜をエッチングすることにより所望のパターンを有する電極を形成させることができる。また、上記例においては前面基板上および背面基板上の誘電体層をいずれも本発明による重合性組成物を用いて形成したが、いずれか一方が前記重合性組成物を用いて形成されていてもよい。また隔壁も本発明による重合性組成物を用いて形成させることもできる。
【0070】
【実施例】
調製例a1(有機ポリシラザン化合物(a1)の合成)
恒温槽内に設置した反応容器を乾燥窒素で置換した後、キシレン1000mlにフェニルトリクロロシラン(PhSiCl3)47g(0.222mol)、ジフェニルジクロロシラン(Ph2SiCl2)56g(0.222mol)、メチルジクロロシラン(MeSiHCl2)3.8g(0.033mol)、および1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン50g(0.19mol)を溶解させたものを投入した。次に反応容器内温度を−5℃に設定し、所定の温度に達した後、水13.0g(0.7222mol)をピリジンl000mlに溶解させた溶液を、約30ml/分の速度で反応容器に注入した。この時、注入とともにハロシランと水との反応が起こり、容器内温度が−2℃まで上昇した。水とピリジン混合溶液の注入が終了した後、1時間撹拌を継続した。その後、未反応のクロロシランを完全に反応させる目的でアンモニアを2Nl/分の速度で10分間注入し撹拌した。反応終了後、乾燥窒素を吹き込み未反応のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過し、濾液約2,300mlを得た。この濾液を減圧下で溶媒置換したところ、100gの無色透明な粘性樹脂(有機ポリシラザン化合物(a1))が得られた。
【0071】
得られた有機ポリシラザン化合物(a1)の数平均分子量は2,200であった。またIRスペクトル分祈の結果、波数3350cm−1にN−H基に基づく吸収;2160cm−1にSi−Hに基づく吸収;1140cm−1にSi−Ph基に基づく吸収;1060−1100cm−1にSi−Oに基づく吸収;1020−820cm−1にSi−HおよびSi−N−Siに基づく吸収;3140、2980、1270cm−1にC−Hに基づく吸収;810、780cm−1にベンゼン環のC−Hに基づく吸収が確認された。さらにこのポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、δ7.2ppnl(br,C6H5)、δ4.8ppm(br,SiH)、δ1.4ppm(br,NH)、δ0.3ppm(br,SiCH3)の吸収が確認された。なお、このポリマーの理論的なNSi−O/(NSi−N+NSi−O)は、0.928である。
【0072】
調製例b1(無機シラザン化合物の合成)
内容積1リットルの四つロフラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラ、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つロフラスコに乾燥ピリジンを490ml入れ、これを氷冷した。次にジクロロシラン51.9gを加えると、白色固体状のアダクト(SiH2Cl2・2C2H5N)が生成した。反応混合物を氷冷し、撹拌しながら水酸化ナトリウム管および活性炭を通して精製したアンモニア51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。
【0073】
反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄した後、さらに乾燥窒素雰囲気下でろ過して濾液850mlを得た。濾液5mlから溶媒を除去すると樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン(無機シラザン化合物(b1))0.102gが得られた。
【0074】
得られた無機シラザン化合物(b1)の数平均分子量は、GPC(ポリスチレン喚算)にて測定したところ1100であった。IRスペクトル分祈の結果、波数3390、および1180cm−1のN−Hに基づく吸収:2170cm−1のSi−Hに基づく吸収:1040〜800cm−1のSi−N−Siに基づく吸収が確認された
【0075】
実施例1
調整例a1で得られた有機ポリシラザン化合物(a1)10gをキシレンで約60%に調整した後、調整例b1で得られた無機シラザン化合物(b1)を有機ポリシラザン化合物(a1)に対して10wt%(1g)添加し、室温で約1時間混合した。
【0076】
混合液を0.5ミクロンのシリンジフィルタで濾過し、GPCにて数平均分子量を測定したところ2,250であり、ベースポリマーと比べ殆ど変化は見られなかった。
【0077】
次にPDP用として使用されている高歪点硝子(商品名PD200:旭硝子株式会社製)上にスピンコート(500rpm)にて塗布した(試験片:3×3cm)。このとき、クラック耐性測定用に膜厚が約20μmのものを、ヘイズ測定用に膜厚が約10μmのものを準備した。
【0078】
次いで混合液が塗布された高歪点ガラスをマッフル炉にて大気中450℃で60分間処理し膜を硬化させた。得られた膜についてクラックの有無およびヘイズ(可視光領域)について評価した。ヘイズの評価は、日本電飾工業株式会社製A300型ヘイズメーターで行った。その結果、クラックは全く見られず、ヘイズは5%であり、高耐熱性、高透明性を示した。この塗膜におけるNSi−O/(NSi−N+NSi−O)は0.95であった。
【0079】
さらに、この膜について電極をつけた高歪点ガラス(PD200)に膜厚が10μmになるように450℃/1時間の条件で製膜し、その後MgOを製膜し、封止、脱気工程を経てPDPパネルを作成した。
【0080】
このものを点灯させた結果、問題なく点灯することが確認できた。これによりPDP誘電体層としての有用性が実証された。
【0081】
実施例2
実施例1と同様に有機ポリシラザン(a1)と無機シラザン(b1)との混合液を作成した。さらに、この混合液に熱架橋を促進する目的で3,3,’4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(以下、BTTBという)を0.05g(重合性成分の合計量に対して5wt%)添加した。
【0082】
このものを、実施例1と同様にPD200上に塗布し、450℃/1時間焼成して、実施例1と同様に膜厚約10μmの硬化膜と膜厚約20μmの硬化膜とを得た。得られた膜はクラックは全く見られず、ヘイズは3%であった。この塗膜におけるNSi−O/(NSi−N+NSi−O)は0.96であった。
【0083】
実施例1と同様に高耐熱性、高透明性を確認できた。BTTBを加えることによりヘイズの改善が認められた。
【0084】
実施例3〜4
無機シラザン(b1)の添加量を重合性成分の合計量に対して20%,50%とした以外は,実施例1と同様の混合物を調製した。これらの混合物をそれぞれ高歪点硝子上に塗布し450℃/1時間焼成して、実施例1と同様に膜厚約10μmの硬化膜と膜厚約20μmの硬化膜とを得た。得られた膜についてクラック限界膜厚およびヘイズについて調べた。
【0085】
比較例1
比較として無機シラザン(b1)を含まないほかは実施例1と同様にして調製した混合物を用いて同様に調べた。
【0086】
得られた結果は表1に示すとおりであった。なお、ヘイズは、通常10%以下であれば実用上問題ないが、比較例1、実施例1〜4はいずれもこの範囲内にあり、実用可能なものであった。
【0087】
ここで、クラック耐性とは、膜厚を増加させていったときにクラックができない限界の膜厚を示す。すなわち、クラック耐性の数値が大きいもの(膜厚の厚いもの)ほどクラック耐性が高く、クラックができにくいということができる。耐熱性が弱いものはクラック耐性も低く、クラック耐性は耐熱性を示す指標となる。
【0088】
なお、実施例3および4の塗膜におけるNSi−O/(NSi−N+NSi−O)はそれぞれ、0.95および0.91であった。
【0089】
調整例a2(有機ポリシラザン化合物(a2)の合成)
恒温槽内に設置した反応容器を乾燥窒素で置換した後、キシレン1000mlにフェニルトリクロロシラン(PhSiCl3)47g(0.222mol)、ジフェニルジクロロシラン(Ph2SiCl2)56g(0.222mol)、メチルジクロロシラン(MeSiHCl2)3.8g(0.033mol)、および1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン50g(0.19mol)を溶解させたものを投入した。次に反応容器内温度を−5℃に設定し、所定の温度に達した後、ジアミノジフェニルエーテル(DDE:H2NPhOPhNH2)3.56g(0.0178mol)を投入し、1時間撹拌して反応させた。その後、反応で生成したDDEの塩酸塩を中和するためにトリエチルアミン40gをキシレン500mlに溶解した溶液を反応容器にに注入し、さらに1時間撹拌を継続した。反応容器内の温度を−5℃に維持したまま、水13g(0.7222mol)をピリジンl000mlに溶解させた溶液を、約30ml/分の速度で反応容器に注入した。この時、注入とともにハロシランと水との反応が起こり、容器内温度が−2℃まで上昇した。水とピリジン混合溶液の注入が終了した後、1時間撹拌を継続した。その後、未反応のクロロシランを完全に反応させる目的でアンモニアを2Nl/分の速度で10分間注入し撹拌した。アンモニアの添加とともに塩化アンモニウムの白色沈殿の生成が確認された。反応終了後、乾燥窒素を吹き込み未反応のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過し、濾液約2,300mlを得た。この濾液を減圧下で溶媒置換したところ、105gの僅かに黄色く着色した透明な高粘性樹脂(有機ポリシラザン化合物(a2))が得られた。
【0090】
得られた有機ポリシラザン化合物(a1)の数平均分子量は2,050であった。またIRスペクトル分祈の結果、波数3350cm−1にN−H基に基づく吸収;2160cm−1にSi−Hに基づく吸収;1140cm−1にSi−Ph基に基づく吸収;1060−1100cm−1にSi−Oに基づく吸収;1020−820cm−1にSi−HおよびSi−N−Siに基づく吸収;3140、2980、1270cm−1にC−Hに基づく吸収;810、780cm−1にベンゼン環のC−Hに基づく吸収が確認された。さらにこのポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、δ7.2ppnl(br,C6H5)、δ4.8ppm(br,SiH)、δ1.4ppm(br,NH)、δ0.3ppm(br,SiCH3)の吸収が確認された。なお、このポリマーの理論的なNSi−O/(NSi−N+NSi−O)は、0.928である。
【0091】
実施例5
有機ポリシラザン化合物(a2)10gをキシレンで約60%の溶液に調製したたあと、シラザン化合物(b1)を有機ポリシラザン化合物(a2)に対して10重量%添加し、室温で約1時間混合した。
【0092】
混合液を0.52μmのシリンジフィルターで濾過し、GPCにより数平均分子量を測定したところ2100であり、ベースポリマーとほとんど変化がなかった。
【0093】
次にPDP用として使用されている高歪点硝子(商品名PD200:旭硝子株式会社製)上にスピンコートにて塗布した(試験片:3×3cm)。このとき、クラック耐性測定用に膜厚が約20μmのものを、ヘイズ測定用に膜厚が約10μmのものを準備した。
【0094】
次いで混合液が塗布された高歪点ガラスをマッフル炉にて大気中450℃で60分間処理し膜を硬化させた。得られた膜についてクラックの有無およびヘイズ(可視光領域)について評価した。ヘイズの測定は実施例1と同様の装置を用いて行った。その結果、クラックは全く見られず、ヘイズは6%であり、高耐熱性、高透明性を示した。
【0095】
さらに、電極を付けた高歪点硝子(PD200)に膜厚が10μmとなるように、同様の方法で製膜し、さらにMgOを成膜してから、封止および脱気工程を経て、PDPパネルを作成した。このPDPパネルを点灯させたところ、問題なく転倒させることができた。これによって、本願発明による組成物を硬化させて、有用なPDP誘電体層を得られることがわかった。
【0096】
なお、これらの塗膜におけるNSi−O/(NSi−N+NSi−O)は0.93であった。
【0097】
実施例6
実施例5と同様にして、有機ポリシラザン化合物(a2)とシラザン化合物(b1)の混合液を調製した。さらに、この混合液に熱架橋を促進する目的で3,3’、4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾエフェノン(以下、BTTBという)を0.05g添加した。
【0098】
この混合液を実施例5と同様に高歪点硝子(PD200)上に塗布し、450℃60分間焼成して、実施例5と同様に膜厚約10μmの硬化膜と膜厚約20μmの硬化膜とを得た。得られた膜にはクラックは全く見られず、ヘイズは5%であり、高耐熱性および高透明性が確認された。また、BTTBを用いることでヘイズが改善されていることがわかった。
【0099】
実施例7〜8
シラザン化合物(b1)の添加量を、重合性成分の合計量に対して20重量%、50重量%としたほかは、実施例5と同様の混合液を調製した。これらの混合液をそれぞれ高歪点硝子上に塗布し、450℃60分間焼成してて、実施例5と同様に膜厚約10μmの硬化膜と膜厚約20μmの硬化膜とを得た。得られた膜についてクラック限界膜厚およびヘイズを調べた。
【0100】
比較例2
比較としてシラザン化合物(b1)を含まないほかは実施例5と同様にして調製した混合液についても同様に調べた。
【0101】
得られた結果は表2に示すとおりであった。比較例2および実施例5〜8のヘイズは、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0102】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による重合性組成物を用いて形成された誘電体層を具備してなるAC型プラズマディスプレイパネルの模式断面図。
【符号の説明】
1 全面基板
2 透明電極
3 バス電極
4 誘電体層
5 MgO保護膜
6 隔壁(リブ)
7 誘電体層
8 アドレス電極
9 蛍光体
10 背面ガラス基板
Claims (11)
- 少なくとも下記一般式(I)、(I’)、および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含む有機ポリシラザン化合物(a)と、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位を含むシラザン化合物(b)とを含んでなり、前記有機ポリシラザン化合物(a)と前記シラザン化合物(b)とが重合してコポリマーを形成することができることを特徴とする重合性組成物。
- 前記有機ポリシラザン化合物(a)の数平均分子量が500〜1,000,000である、請求項1に記載の重合性組成物。
- 前記有機ポリシラザン化合物(a)の重量に対して、前記シラザン化合物(b)を1〜90重量%含有する、請求項1または2に記載の重合性組成物。
- 架橋剤を更に含んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合性組成物。
- 溶剤をさらに含んでなる。請求項1〜7のいずれ1項に記載の重合性組成物。
- 請求項1に記載の一般式(I)、(I’)および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含む構造単位(a’)と、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位(b’)とを含んでなるコポリマーの硬化物を含んでなるフィルムまたは被膜。
- 請求項1に記載の一般式(I)、(I’)および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含む構造単位(a’)と、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位(b’)とを含んでなるコポリマーの硬化物を誘電体層、隔壁(リブ層)および/または真空封止剤として具備してなるプラズマディスプレイ表示装置。
- 請求項1に記載の一般式(I)、(I)’および(II)で表される構造単位をランダムな配列で含む構造単位(a’)と、一般式−(SiH2NH)n−(ここで、nは1以上の整数である)で表される構造単位(b’)とを含んでなるコポリマーの硬化物を層間絶縁膜および/または配向膜として具備してなる液晶表示装置。
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