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JP2004202649A - 切削工具 - Google Patents

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JP2004202649A
JP2004202649A JP2002376764A JP2002376764A JP2004202649A JP 2004202649 A JP2004202649 A JP 2004202649A JP 2002376764 A JP2002376764 A JP 2002376764A JP 2002376764 A JP2002376764 A JP 2002376764A JP 2004202649 A JP2004202649 A JP 2004202649A
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JP
Japan
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cutting
tool
cutting edge
damping alloy
cutting tool
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Pending
Application number
JP2002376764A
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English (en)
Inventor
Junya Okita
淳也 沖田
Masanobu Ueda
正信 上田
Atsuhiko Maeda
敦彦 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】剛性、強度と減衰性のバランスが良く、かつ加工性に優れた制振材料を利用し、振動が生じにくく、また切刃部分の耐欠損性が高い切削工具を提供する。
【解決手段】工作機械側の工具台座部と接触する本体部101に制振合金材料部材105が設けられている。この制振合金部材105は、Mnをベースとし、基本組成として、原子%で、Cu:20±5%、Ni:5±3%、Fe:2±1%を含有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、旋削加工、フライス加工などに用いる切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5(A),(B)に示すように、従来の切削工具800は、本体部801と、この本体部801に設けられる切刃部支持面802と、この切刃部支持面802において、切刃部着座用のシート部材803を介在して配置され、実際に被削材と干渉する切刃部804とを備える。
【0003】
このような切削工具800を用いて被削材の加工を行なう場合には、切削工具800を旋盤等の工作機械(図示省略)に取り付けて加工を行なう。旋削加工においては、切削工具の送り運動と、被削材の回転運動により被削材の一部が除去されることにより、被削材に所望の形状が加工される。旋削加工は、通常連続的な加工となるが、被削材が切り欠き材であるような場合は、切削状態と非切削状態が交互に繰返される、断続切削加工となる。
【0004】
また、図6はフライス加工用の切削工具900の一例を示すものであり、所定の形状を有する本体部901と、この本体部901に設けられる凹部領域に、着座用のシート部材902を介在して、実際に被削材と干渉する切刃部903とが備えられている。この切削工具900は、フライス加工、エンドミル加工などに用いられ、これらの加工においては原理的に断続切削加工となる。
【0005】
断続切削加工においては、切削工具が被削材に食いついた瞬間の衝撃力、食いつき時、離脱時に生じる振動等によって、切削工具の刃先が欠損するケースが多い。
【0006】
また切削時の振動に関しては、切削工具の刃先の欠損以外にも、仕上げ面性状の悪化、騒音の発生など各種の悪影響をもたらす。このような振動は断続切削加工に限らず、たとえば中ぐり加工のように切削工具の突き出し量(工作機械による工具の把持部から切削点までの距離)が長くなる加工でも、工具系の剛性が低下しやすく、振動が生じやすくなる。
【0007】
このような振動を防ぐためには、2つの方法がある。1つは切削工具の剛性を高める方法であり、たとえば通常の工具では本体に鋼を用いるケースが多いが、これを超硬合金とすることは一般的に行なわれている。ただこの方法では、振動変位の振幅を減少することはできるが、切削工具費が高くなりやすい。また切削工具が高剛性となることで、断続切削時の工具食いつき時に工具が逃げることができず、衝撃的な力の影響を受けやすくなる。
【0008】
またこれとは別に、工具系の減衰性を向上する方法がある。たとえば特許文献1には、ホルダの敷板としてゴム板を使用している。ただゴム材料は減衰性が高いものの、一方で極端に剛性が低く、使用方法によってはかえって振動を誘発してしまう。また、耐久性の面でも問題が多い。これに対し、金属系の防振材(以下、制振合金)は比較的高い減衰性と、鋼材ほどではないが十分な強度を有しており、工具材料として利用する効果があるものと考えられる。たとえば特許文献2では、鉛系の材料を用いて工具の制振性を高めている。また特許文献3では、その実施例にてZn−Al系合金を用いている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭49−28984号公報
【0010】
【特許文献2】
実開平5−74706号公報
【0011】
【特許文献3】
実開昭61−205704号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように各種の制振合金が用いられているが、より高い効果を得るには用いる制振合金が次のような特性を有することが必要である。まず第1に、高い減衰性能を有することが必要であり、第2に十分な剛性、強度を有すること、第3に加工性、ろう付け性などに優れることである。
【0013】
しかし特に減衰性と剛性、強度は相反する項目であり、できるだけ高い減衰性を有しながら、かつ工具としての使用上問題のないレベルの強度が必要となる。前述の特許文献において用いられている制振合金は鋼などに比べると高減衰ではあるが、激しい外力変動を伴う切削加工での振動抑制には不十分である。また加工性の観点でも、鋼などに比べると利用しづらいという欠点もある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、剛性、強度と減衰性のバランスが良く、かつ加工性に優れた制振合金材料を利用し、振動が生じにくく、また切刃部分の耐欠損性が高い切削工具を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明では、本体部と、この本体部に設けられる切刃部支持面と、この切刃部支持面に支持される切刃部とを備える切削工具において、切刃部を除く少なくとも一部分に、Mnをベースとし、基本組成として、原子%で、Cu:20±5%、Ni:5±3%、Fe:2±1%を含有するマンガン基制振合金を用いたことを特徴とする。また同制振合金としては、上記組成をべースとしAl:2〜5%を含有したものであってもよい。このような制振合金は比較的高い剛性、強度を維持しながら、減衰性が高く、かつ加工性もすぐれており、切削工具に用いることで、切削に伴う振動を抑制して切削工具の欠損や加工面の品位低下、切削音の増大を防止することができる。
【0016】
また本発明では、切削工具において、切刃部を除く少なくとも一部分に、引張強さ200MPa〜700MPa、対数減衰率0.1〜0.8の制振合金を用いたことを特徴とする。上記の通り、強度と減衰性は相反する性質で、むやみに高い減衰性を有する材料を用いることは問題がある。そこで、引張強さが200MPa〜700MPaの材料とすることで、対数減衰率の範囲は制限されるが、両者のバランスをとって切削工具の耐振動性を高めることができる。中でも、引張強さ500MPa〜650MPa、対数減衰率0.2〜0.35の材料を用いれば、特に良好なバランスを実現できる。
【0017】
また本発明では、切削工具において、上記制振合金を、工作機械側工具台座部と接触する部分、あるいは切削工具本体内部に、あるいは切刃部に接するシート部材の少なくと一部分、または少なくとも切刃部支持面を含む本体部に用いることを特徴とする。制振合金は比較的高価であり、かつ鋼に比べると剛性も低い。このため、切削工具全体を制振合金とするよりも、一部に用いる方が合理的である。工作機械側工具台座部と接触する部分やシート部材、切刃部支持面は、部品間の振動伝達部分であり、特に制振材を設置する効果が大きい。また、工具本体内部でも特に、工作機械工具台座部と接する部分のうち、切刃側端部付近に設置することが望ましい。同部は工具頭部が切削力により変形する際の支点となる箇所であり、同部に制振合金を設置することで特に制振性を高める効果が現れやすい。
【0018】
また本発明では、特に切刃交換型の切削工具において、切刃部を上面から固定する際に切刃部の上面に配置されるシート部材を上記制振合金により構成したことを特徴とする。同部は切刃部を固定する大きな力がかかる重要な部分であるが、経年の使用により変形が生じても加工精度上の影響はない。このため、強度が鋼や超硬合金に比べて低い制振合金を用いても加工精度上の問題はなく、制振性を高めることが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、本発明に基づいた各実施の形態における切削工具ついて説明する。ここでは旋削加工用の切削工具およびフライス加工用の切削工具について説明するが、本発明はその他の切削加工用の切削工具に広く適用することができるものである。
【0020】
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態における切削工具の構造について説明する。なお、図1(A)は、本実施の形態における切削工具100の側面図であり、図1(B)は、図1(A)中B−B線矢視断面図である。
【0021】
この切削工具100は、一般的な外径旋削加工用工具であり、本体部101と、この本体部101の先端部側に設けられる切刃部支持面102と、この切刃部支持面102に支持される切刃部104とを備える。切刃部支持面102と切刃部104との間には、着座用のシート部材103が配設されている。
【0022】
さらに、この切削工具100は、工作機械側の工具台座部と接触する部分となる、本体部101に制振合金105が設けられている。この制振合金105は、本体部101にろう付けなどの方法により固着されていてもよく、工具台座部との締めつけ力により固定していても良い。
【0023】
本体部101は、Cr−Mo鋼等を素材とし、切刃部104は超硬合金等を素材としている。この切刃部104は交換可能なものをクランプする形でも、ろう付けなどにより固着される形でも良い。
【0024】
制振合金105の材料としては、Mnをべースとし、基本組成として、原子%で、Cu:20±5%、Ni:5±3%、Fe:2±1%を含有する制振合金を用いる。またCu、Ni、Feは同割合とし、Al:2〜5%を含有したものであってもよい。同材料は熱処理条件などによりさまざまな減衰性が得られるが、対数減衰率にするとおおむね0.1〜0.8の値となる。この対数減衰率は引張強さと負の相関が強く、対数減衰率が0.1のときに700MPa程度であるが、0.8の場合には200MPa程度まで低下する。
【0025】
この制振合金は、当然減衰係数が高いほど切削加工中に発生する振動を抑制する効果が強く、また工具の食いつき時等の衝撃応答を低下させる効果も強い。しかし、上記のように減衰性能と、引張強さ等で表現される剛性、強度はトレードオフの関係にあり、減衰性を高くしすぎるとかえって切削工具の振動が激しくなったり、寸法精度の低下を招くなど悪影響が生じる。この観点から両者のバランスが重要であり、特に引張強さ500MPa〜650MPa、対数減衰率0.2〜0.35の材料が望ましい。
【0026】
(実施の形態2)
図2を参照して、本実施の形態における切削工具の構造について説明する。なお、図2(A)は、本実施の形態における切削工具200の側面図であり、図2(B)は、図2(A)中B−B線矢視断面図である。
【0027】
この切削工具200も、一般的な外径旋削加工用工具であり、本体部201と、この本体部201の先端部側に設けられる切刃部支持面202と、この切刃部支持面202に支持される切刃部204とを備える。切刃部支持面202と切刃部204との間には、着座用のシート部材203が配設されている。本体部201は、Cr−Mo鋼等を素材とし、切刃部204は超硬合金等を素材としている。この切刃部204は交換可能なものをクランプする形でも、ろう付けなどにより固着される形でも良い。
【0028】
さらに、本実施の形態においては、制振合金を本体部の内部に設置している。ここでは、切削工具底面側中央付近に溝205を設け、この溝205に制振合金206、鋼材207の順に固着している。切削加工中は切刃部204に切削力がかかり、この結果、切削工具の中でも工作機械工具台座部から突き出している領域で特に曲げ変形が生ずることとなる。その際の曲げの支点は、台座部210の切刃側端部付近(Xで示す領域)となるが、この部分に制振合金206が存在することで、特に減衰効果を発揮しやすくなる。
【0029】
この曲げ支点となる部分は工作機械により台座部の長さが変化するため一定でないが、図2に示すように、制振合金206を本体部201の長手方向にある程度長く設置することで、どのような工作機械でも支点付近の工具本体断面に制振合金層を位置させることが可能である。
【0030】
(実施の形態3)
図3を参照して、本実施の形態における切削工具の構造について説明する。なお、図3は、本実施の形態における切削工具300の側面図である。
【0031】
この切削工具300も、一般的な外径旋削加工用工具であり、本体部301と、この本体部301の先端部側に設けられる切刃部支持面302と、この切刃部支持面302に支持される切刃部304とを備える。本体部301は、Cr−Mo鋼等を素材とし、切刃部304は超硬合金等を素材としている。この切刃部304は交換可能なものをクランプする形でも、ろう付けなどにより固着される形でも良い。
【0032】
切刃部支持面302と切刃部304との間には、着座用のシート部材303以外に、シート部材303と切刃部支持面302との間に、制振合金305が設けられている。
【0033】
ここで、シート部材303としては超硬合金等の硬質部材を用いる。シート部材303に直接制振合金を用いることは、その制振効果を引き出すには適している。しかし、シート部材303は十分な硬度がないと長期間の使用によって変形が生じやすく、超硬合金に比べ低硬度の制振合金を用いた場合、加工精度はもちろんのこと、本発明が着目している切刃部の欠損性に関しても悪影響を与える可能性がある。したがって、硬質のシート部材303を用い、その下部に制振合金305を配設することで、そのような問題を回避しながら、同合金が有する制振効果を引き出すことができる。
【0034】
(実施の形態4)
図4を参照して、本実施の形態における切削工具の構造について説明する。なお、図4は、本実施の形態における切削工具400の側面図である。
【0035】
この切削工具400も、一般的な外径旋削加工用工具であり、本体部401と、この本体部401の先端部側に設けられる切刃部支持面402と、この切刃部支持面402に支持される切刃部404とを備える。切刃部支持面402と切刃部404との間には、着座用のシート部材403が配設されている。本体部401は、Cr−Mo鋼等を素材とし、切刃部404は超硬合金等を素材としている。
【0036】
本実施の形態では、切刃部404が交換可能なものを対象としている。交換可能な切刃部404の固定方法には各種あるが、特に本実施の形態においては、切刃部404の上面から押さえることにより固定するか、あるいは同固定法と他の方法を併用するケースにおいて、上面から押さえるレバー410と切刃部404の間に用いるシート部材(押さえ金具)405として制振合金を用いる。
【0037】
切削時においては主に切刃部404を上面から押しつける方向に切刃部404に力が作用するが、切刃部404内部にはこれに反発する力が生じる。定常状態ではこれらの力がつりあうが、過渡的な状態ではこれらの力により振動が生じるため、本実施の形態では切刃部404上面に制振合金を用いてこの振動を抑制する。また同部は繰り返しの使用により変形等が生じても加工精度等には影響しないため、シート部材403と異なり、超硬合金等と比較して軟質な制振合金を用いることが可能である。
【0038】
(実施の形態5)
上述した各実施の形態においては、旋削加工用工具を用いての説明であったが、次に、図6を参照して、フライス加工用工具における実施の形態の一例を示す。本実施の形態では、本体部に設けられる凹部領域に切刃部が設置されるが、その際に本体部901と切刃部903との間に介在するシート部材902として、制振合金を使用する。このように制振合金のシート部材を使用することで、原理的に断続切削となるフライス切削時の振動、衝撃を抑制、緩和することができる。
【0039】
(実施例)
次に本発明に基づいた実施例を示す。被削材がCr−Mo鋼材の旋削加工において、被削材長手方向に溝を設けることで、断続切削加工を行なった。切削条件は切削速度200m/min、送り0.27m/rev、切込み2.0mmの湿式加工であり、切削工具先端の切刃部に破損が生じるまでの断続切削回数により評価した。
【0040】
本実施例では図5(A)に示した従来品のほか、各実施の形態に対応した発明品を用いる。各切削工具の本体はCr−Mo鋼によって構成されており、これに制振合金を組み合わせる。制振合金の素材としてはMnを基材とし、原子%で、Cu20%、Ni5%、Fe2%を含有したものを用いる。
【0041】
また実施例に用いた同部材の対数減衰率は0.3であり、引張強さが約600MPaである。またヤング率は約80GPaであり、鋼材に比べると強度、剛性とも低い値ではあるが減衰性は非常に高く、また他の制振部材に比べると減衰性と、強度・剛性のバランスが非常に優れている。
【0042】
次に各実施例の発明品の詳細を、下記表1および表2を参照して説明する。
実施例1は実施の形態1(図1参照)に対応したもので、切削工具本体の底面部に制振合金を設置している。切削工具本体の厚みが25mmに対し、制振合金の厚みは4mmとしている。
【0043】
実施例2は実施の形態2(図2参照)に対応しており、切削工具底面側中央付近に溝を設け、その溝に制振合金、鋼材の順に板材を接着剤で固着している。制振合金は、工具本体の長さ150mmに対して、長手方向で刃先より30〜90mmの位置に厚さ4mmで設置され、その下部に鋼材層厚さ3mmを設けている。
【0044】
実施例3は実施の形態3(図3参照)に対応しており、超硬合金製のシート部材の下に、厚さ2.0mmの制振合金を設置している。切刃部の上面側からのクランプカによりこれらは固定されている。
【0045】
実施例4は実施の形態4(図4参照)に対応しており、切刃部上面の押さえ金具として厚さ3mmの制振合金を用いている。この場合も切刃部の上面側からのクランプカによりチップ、シート部材とともに固定される。
【0046】
また使用する制振合金の機械的性質の影響を調べるため、実施例1(実施の形態1)と同様の構造で、切削工具本体の底面部に使用する制振合金の材質として、Mnを基材とし、Cuを20%含有する制振合金(対数減衰率0.16、引張強さ680MPa)を使用した実施例1−b、およびMg系合金(対数減衰率0.04、引張強さ200MPa)を使用した比較例1−cについても評価を行なっている。
【0047】
ここでは従来品および実施例1〜4はすべて切刃部は交換可能とし、材質はコーティング超硬合金製としている。表1に各工具での試験結果を示す。なお、試験結果は、10回の試験の平均値を示している。
【0048】
【表1】
Figure 2004202649
【0049】
表1から分かるように、各実施例品では従来品と比較してより寿命(断続切削回数)が長くなっており、切刃部の欠損が抑制されていることが分かる。特に、実施例1、2でその効果が顕著に現れ、切削工具全体にわたる機械的特性を変化させるような制振合金の使用方法が望ましいことがわかる。
【0050】
また、制振合金材の機械的性質の影響については、実施例1、実施例1−b、比較例および1−cを比較すると、対数減衰率が小さい比較例1−cはほとんど効果がなく、対数減衰率が高くなるにつれて寿命延長効果が大きくなっていることが分かる。
【0051】
次に、振動状態への影響について評価した各実施例の試験結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 2004202649
【0053】
表2はやはり溝付き丸棒のCr−Mo鋼を、切削速度100m/min、送り0.2mm/rev、切込み2.0mmにて乾式加工した場合の、切削工具頭部の加速度を測定した結果である。試験に用いた切削工具は表1のケースと同様である。加速度測定では、ホルダ頭部底面に加速度ピックアップを取り付け、得られる加速度振幅の時系列デー夕を周波数分析にかける。
【0054】
本実施例での切削工具系の固有振動数は3kHz〜7kHz程度であることから、周波数分析結果のうちこの周波数付近に現れるピークに着目し、各実施例でのピークにおけるパワー値を、通常品におけるピークでのパワー値により正規化した値を求め、表2に示している。このパワー値は加速度振幅の2乗に比例した数値となるため、この値が大きいほど、ホルダ頭部が激しく振動していることになる。
【0055】
表2の結果より、発明品は概して従来品よりも振動レベルが低く抑えられていることが分かる。特に実施例1では効果が大きい。実施例2では切削工具本体部に鋼材と比較すると剛性の劣る制振合金を用いているため、全体としての剛性が低下し振動が生じやすくなる可能性があるが、制振合金の減衰性により振動が効果的に抑制されていることが分かる。
【0056】
また、制振合金の機械的性質の影響についても先ほどと同様であり、対数減衰率が小さい比較例1−cは従来品と同等であり、対数減衰率が高くなるにつれて振動抑制効果は大きくなっている。
【0057】
次に、下記表3を用いて、フライス加工における実施例について説明する。
表3は、炭素鋼を切削速度170m/min、1刃当たりの送り0.28mm、切込み2.0mmにて正面フライス加工した場合の、工具欠損が生じるまでの切削距離を示したものである。それぞれの結果は、8回の試験結果の平均値である。
【0058】
【表3】
Figure 2004202649
【0059】
ここでは、図6に示すフライス加工用工具におけるシート部材として、超硬合金を用いた従来品と、実施の形態5に示した制振合金を用いた実施例5の2種を評価している。シート部材の厚みは3mmである。
【0060】
表3から分かるように、シート部材として制振合金を用いた実施例5は工具欠損までの切削距離が長くなっており、寿命延長効果が認められる。実施例5では切刃部と直接接触させる形で制振合金を設置しており、超硬合金と比べると制振合金の硬度は低いため、長時間の使用では制振合金製のシート部材に変形が生じるおそれもある。このため実施の形態3と同様に、切刃部に直接接するシート部材を超硬合金とし、その下部に制振合金を設置するようにしても良い。
【0061】
なお、上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。したがって、旋削加工用およびフライス加工用の切削工具に限定されることなく、その他広く切削加工に用いられる切削工具に適用される。よって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって画定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に基づいた切削工具によれば、切削工具の減衰性能を向上させることができる。その結果、切削工具の耐振動性、さらには切刃部の耐欠損性を向上させることが可能である。また、用いる制振合金は加工のしやすい材料であり、かつ切削工具全体ではなく一部に制振合金を用いることと合わせ、低コストで使いやすく高性能な切削工具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明に基づいた実施の形態1における切削工具の側面図であり、(B)は、(A)中B−B線矢視断面図である。
【図2】(A)は、本発明に基づいた実施の形態2における切削工具の側面図であり、(B)は、(A)中B−B線矢視断面図である。
【図3】本発明に基づいた実施の形態3における切削工具の側面図である。
【図4】本発明に基づいた実施の形態4における切削工具の側面図である。
【図5】(A)は、従来の技術における旋削加工用の切削工具の側面図であり、(B)は、(A)中B−B線矢視断面図である。
【図6】フライス加工用の切削工具の図である。
【符号の説明】
100,200,300,400 切削工具、101,201,301,401 本体部、102,202,302,402 切刃部支持面、103,203,303,403 シート部材、104,204,304,404 切刃部、105,205,305,405 制振合金。

Claims (8)

  1. 本体部と、前記本体部に設けられる切刃部支持面と、前記切刃部支持面に支持される切刃部と、を備える切削工具であって、
    当該切削工具は、前記切刃部を除く少なくとも一部分に、Mnをベースとし、基本組成として、原子%で、Cu:20±5%、Ni:5±3%、Fe:2±1%を含有する制振合金を用いたことを特徴とする切削工具。
  2. 前記制振合金は、さらにAl:2〜5%を含有することを特徴とする、請求項1に記載の切削工具。
  3. 本体部と、前記本体部に設けられる切刃部支持面と、前記切刃部支持面に支持される切刃部と、を備える切削工具であって、
    当該切削工具は、前記切刃部を除く少なくとも一部分に、引張強さ200MPa〜700MPa、対数減衰率0.1〜0.8の制振合金を用いたことを特徴とする切削工具。
  4. 前記制振合金の前記引張強さは、500MPa〜650MPaであり、前記対数減衰率は、0.2〜0.35であることを特徴とする、請求項3に記載の切削工具。
  5. 当該切削工具を工作機械に設置する際に、工作機械側工具台座部と接触する部分に、上記制振合金を配設したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
  6. 当該切削工具を工作機械に設置する際に、工作機械側工具台座部と接する部分のうち切刃側端部において、工具長手方向に垂直な断面の少なくとも一部分に、上記制振合金を配設したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
  7. 前記切刃部に接するシート部材の少なくと一部分、または少なくとも前記切刃部支持面を含む本体部領域を、上記制振合金により構成したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
  8. 当該切削工具の前記切刃部は交換可能に設けられ、
    前記切刃部を上面から固定する場合に、前記切刃部の上面に配置されるシート部材を上記制振合金により構成したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
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