[go: up one dir, main page]

JP2003277682A - 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法 - Google Patents

無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法

Info

Publication number
JP2003277682A
JP2003277682A JP2002086381A JP2002086381A JP2003277682A JP 2003277682 A JP2003277682 A JP 2003277682A JP 2002086381 A JP2002086381 A JP 2002086381A JP 2002086381 A JP2002086381 A JP 2002086381A JP 2003277682 A JP2003277682 A JP 2003277682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
modified
amine
electrodeposition coating
lead
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002086381A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003277682A5 (ja
JP4060620B2 (ja
Inventor
Satoru Uchitoi
悟 打土井
Yoshio Kojima
与志夫 児島
Mitsuo Yamada
光夫 山田
Seiji Yokoi
誠治 横井
Satoshi Kodama
敏 児玉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP2002086381A priority Critical patent/JP4060620B2/ja
Priority to US10/396,355 priority patent/US7094324B2/en
Publication of JP2003277682A publication Critical patent/JP2003277682A/ja
Publication of JP2003277682A5 publication Critical patent/JP2003277682A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4060620B2 publication Critical patent/JP4060620B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/44Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes for electrophoretic applications
    • C09D5/4473Mixture of polymers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D13/00Electrophoretic coating characterised by the process
    • C25D13/22Servicing or operating apparatus or multistep processes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被塗物として亜鉛鋼鈑を用いる場合でも塗膜
にピンホールやクレーターが生じ難く、また、電着塗料
自体の使用量も少なくて済むために経済性に優れ、さら
に環境に与える影響が少ない短時間電着可能な高つきま
わり性の無鉛性カチオン電着塗料の塗装方法を提供する
こと。 【解決手段】 バインダー樹脂として、スルホニウム変
性エポキシ樹脂、アミン変性ノボラック型エポキシ樹
脂、およびブロックイソシアネート硬化剤を含み、揮発
性有機分の含有量が1重量%以下であり、塗料液伝導度
が1000〜2500μS/cmであり、被塗物に電着
された塗膜の最低造膜温度が20〜35℃である無鉛性
カチオン電着塗料組成物を用いて、該最低造膜温度より
も2℃低い温度以上でかつ、該最低造膜温度よりも6℃
高い温度以下で電着塗装を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗物、特に被塗
物として亜鉛鋼板を塗装する際にも外観不良を生じ難
い、短時間電着可能な高つきまわり性の無鉛性カチオン
電着塗料を電着塗装する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電着塗装は、複雑な形状を有する被塗物
であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的か
つ連続的に塗装することができるので、自動車車体等の
大型で複雑な形状を有し、高い防錆性が要求される被塗
物の下塗り塗装方法として汎用されている。また、他の
塗装方法と比較して、塗料の使用効率が極めて高いこと
から経済的であり、工業的な塗装方法として広く普及し
ている。カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料中に被
塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより
行なわれる。
【0003】これまで電着塗料には、塗膜の耐食性を改
良するため、鉛が添加されてきた。近年、鉛が環境に対
して悪影響を与えることから、電着塗料に使用する鉛を
削減することが要求されている。
【0004】他方、塗装コストの低減の為、塗料自体の
使用量の減少も望まれている。
【0005】カチオン電着塗装の過程における塗膜の析
出は電気化学的な反応によるものであり、電圧の印加に
より、被塗物表面に塗膜が析出する。析出した塗膜は絶
縁性を有するので、塗装過程において、塗膜の析出が進
行して析出膜の増加するのに従い、塗膜の電気抵抗は大
きくなる。
【0006】その結果、当該部位への塗料の析出は低下
し、代わって、未析出部位への塗膜の析出が始まる。こ
のようにして、順次被着部分に塗料固形分が被着して塗
装を完成させる。本明細書中、被塗物の未着部位に塗膜
が順次形成される性質をつきまわり性という。
【0007】カチオン電着塗装においては、上述したよ
うに被塗物表面に絶縁性の塗膜が順次形成されていくの
で理論的には無限のつきまわり性を有しており、被塗物
の全ての部分に均一に塗膜を形成することができるはず
である。
【0008】しかしながら、被塗物の未着部位において
は、被着部位と比較して浴中で印加される電圧が弱くな
るため塗料固形分が着き難く、電着塗料のつきまわり性
が必ずしも充分ではなく、膜厚のムラが生じる。
【0009】カチオン電着塗装は、通常は下塗り塗装に
使用され、防錆等を主目的として行なわれることから、
複雑な構造を有する被塗物であっても、すべての部位で
その塗膜の膜厚を所定値以上にする必要がある。そのた
めに膜厚にムラがあると、厚い部分は塗り過ぎであり、
塗料が過剰に使用されていることになる。従って、塗料
の使用量を減少させるためには、電着塗料のつきまわり
性を向上する必要がある。
【0010】カチオン電着塗料の被塗物は、従来から自
動車車体等に用いられる鋼鈑が大部分を占めている。鋼
鈑は、防錆油が塗られて保管されている。この防錆油を
アルカリ等で脱脂し、表面処理を行った後の鋼鈑が、通
常被塗物として用いられる。
【0011】しかしながら、近年では、鋼鈑の表面に亜
鉛がめっきされた亜鉛鋼鈑に電着塗装を施すことも多く
なってきた。亜鉛鋼鈑は、通常の鋼鈑と比べて防錆性に
優れ、被塗物として用いると、より高い防錆性を実現で
きる。他方、亜鉛鋼鈑を被塗物として用いると、得られ
た電着塗膜にピンホールやクレータが発生し易く、外観
不良が生じやすい問題がある。その理由は、亜鉛鋼鈑は
カチオン電着塗装時の被塗物側で発生する水素ガスの放
電電圧が鉄鋼鈑よりも低いため、水素ガス中で火花放電
が生じ易くなるためではないかと考えられている。
【0012】また近年では、生産性向上のため、短時間
で電着塗装がおこなえることが要望されているが、電着
時間を短くするとつきまわり性が低下する問題があっ
た。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、被
塗物として亜鉛鋼鈑を用いる場合でも塗膜にピンホール
やクレーターが生じ難く、また、電着塗料自体の使用量
も少なくて済むために経済性に優れ、さらに環境に与え
る影響が少ない短時間電着可能な高つきまわり性の無鉛
性カチオン電着塗料の塗装方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、水性媒体、水
性媒体中に分散するか又は溶解したバインダー樹脂、中
和酸、有機溶媒、金属触媒を含有する無鉛性カチオン電
着塗料組成物であって、該バインダー樹脂が、100g
に含まれるスルホニウム塩基のミリ当量数が7〜45で
あるスルホニウム変性エポキシ樹脂、分子量が700〜
6000であるアミン変性ノボラック型エポキシ樹脂、
およびブロックイソシアネート硬化剤を含むものであ
り、該無鉛性カチオン電着塗料組成物中有機溶媒中の揮
発性有機分の含有量が1重量%以下であり、該無鉛性カ
チオン電着塗料組成物の塗料液伝導度が1000〜25
00μS/cmであり、被塗物に電着された塗膜の最低
造膜温度が20〜35℃である、無鉛性カチオン電着塗
料組成物を提供する工程;該無鉛性カチオン電着塗料組
成物の温度を該最低造膜温度よりも2℃低い温度以上で
かつ、該最低造膜温度よりも6℃高い温度以下に調節す
る工程;該被塗物を該無鉛性カチオン電着塗料組成物に
浸漬する工程;及び該被塗物を陰極として、上記温度条
件で電着塗装を行う工程;を包含する電着塗装方法を提
供するものであり、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0015】この方法は、前記バインダー樹脂がアミン
変性ビスフェノール型エポキシ樹脂を更に含む方法であ
ってもよい。そして、前記アミン変性ビスフェノール型
エポキシ樹脂のアミノ基を中和するのに必要な中和酸の
ミリ当量数が、前記バインダー樹脂100gに対し、7
〜45であることが好ましい。また、前記スルホニウム
変性エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂と式
【0016】
【化3】HO−R−S−R'−OH
【0017】[式中、R及びR'はそれぞれ独立して炭
素数2〜8の直鎖又は分枝鎖アルキレン基である。]で
表されるスルフィド化合物とを反応させて得られたもの
であることが好ましい。そして、そのスルフィド化合物
が1−(2ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノ−ル
であることが好ましい。一方、前記中和酸が酢酸、乳
酸、ギ酸、スルファミン酸、ジメチロールプロピオン
酸、およびメチロール酸からなる群から選択される1種
以上であることが好ましい。また、前記アミン変性ノボ
ラック型エポキシ樹脂が、1級アミン、2級アミンと式
【0018】
【化4】
【0019】[式中R、R'およびR''はそれぞれ独立
して水素又は、炭素数1〜5の直鎖または分枝鎖アルキ
レン基である。また繰り返し単位nは、0〜25であ
る。]であらわされるエポキシ樹脂とを反応して得られ
たものであることが好ましい。また、前記アミン変性ビ
スフェノール型エポキシ樹脂と前記スルホニウム変性エ
ポキシ樹脂との重量比が0/100〜90/10の範囲
であることが好ましい。更に顔料を含み、前記無鉛性カ
チオン電着塗料組成物中に含まれる顔料と樹脂固形分と
の重量比が1/9以下であることが好ましい。
【0020】ここで、無鉛性とは、実質上鉛を含まない
ことをいい、環境に悪影響を与えるような量で鉛を含ま
ないことを意味する。具体的には、電着浴中の鉛化合物
濃度が50ppm、好ましくは20ppmを超える量で
鉛を含有しないことをいう。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるカチオン電着
塗料組成物は、水性媒体、水性媒体中に分散するかまた
は溶解した、バインダー樹脂、、中和酸、有機溶媒、金
属触媒等種々の添加剤を含有する。バインダー樹脂は、
スルフォニウム変性エポキシ樹脂、アミン変性ノボラッ
ク型エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤とを
含む。好ましくは、アミン変性ビスフェノール型エポキ
シ樹脂も同時にバインダー樹脂に含まれる。水性媒体と
しては、イオン交換水等が一般に用いられる。
【0022】本発明で使用される無鉛性カチオン電着塗
料組成物では、バインダー樹脂に含まれるカチオン性樹
脂としてスルホニウム変性エポキシ樹脂およびアミン変
性ノボラック型エポキシ樹脂を用い、好ましくはアミン
変性ビスフェノール型エポキシ樹脂も同時に用いる。
【0023】スルホニウム変性エポキシ樹脂とは、エポ
キシ樹脂にスルフィド化合物及び中和酸を反応させてそ
のエポキシ基が開環されると同時にスルホニウム塩基が
導入された樹脂をいう。
【0024】アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂と
は、ノボラック型エポキシ樹脂にアミンを反応させてそ
のエポキシ基が開環されると同時にアミノ基が導入され
た樹脂をいう。。
【0025】アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂
とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂にアミンを反応さ
せてそのエポキシ基が開環されると同時にアミノ基が導
入された樹脂をいう。
【0026】また、ブロックイソシアネート硬化剤とし
ては、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロッ
クしたブロックポリイソシアネートを用いることが望ま
しい。
【0027】スルホニウム変性エポキシ樹脂 本発明で用いられる無鉛性カチオン電着塗料組成物に
は、スルフィド化合物で変性されたエポキシ樹脂が含ま
れる。このスルホニウム変性エポキシ樹脂は、例えば、
特開平6−128351号公報、特開平7−20696
8号公報などに記載されているような従来公知のもので
あってよい。スルホニウム変性エポキシ樹脂は、典型的
には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環をス
ルフィド化合物及び中和酸で開環して製造される。
【0028】アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂 本発明で用いられる無鉛性カチオン電着塗料組成物に
は、アミンで変性されたビスフェノール型エポキシ樹脂
が含まれる。このアミン変性ビスフェノール型エポキシ
樹脂は、例えば、特開昭54−4978号、同昭56−
34186号などに記載されているような従来公知のも
のでよい。アミン変性エポキシ樹脂は、典型的には、ビ
スフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環をアミンで開
環して製造される。
【0029】ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例は
ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ
樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828
(油化シェルエポキシ製、エポキシ当量180〜19
0)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜
500)、エピコート1010(同、エポキシ当量30
00〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエ
ピコート807(同、エポキシ当量170)などがあ
る。
【0030】特開平5−306327号公報第0004
段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有
エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよ
い。つきまわり性に優れた電着塗料が得られ、また、耐
熱性および耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
【0031】エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入す
る方法としては、例えば、メタノールのような低級アル
コールでブロックされたブロックポリイソシアネートと
ポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副
生する低級アルコールを系内より留去することで得られ
る。
【0032】特に好ましいビスフェノール型エポキシ樹
脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性
および耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得
られるからである。
【0033】2官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブ
ロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタ
ン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポ
キシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリ
ドン環含有エポキシ樹脂の具体的製造方法は、例えば、
特開2001−128959号公報第0012〜004
7段に記載されている。
【0034】これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポ
リオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性の
アルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良
い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジ
カルボン酸との反応を利用して鎖延長することができ
る。
【0035】ビスフェノール型エポキシ樹脂中のエポキ
シ基と反応させるアミンには、1級アミン、2級アミン
が含まれる。かかるアミンの中でも2級アミンが特に好
ましい。エポキシ樹脂と2級アミンを反応させると3級
アミノ基を有するアミン変性エポキシ樹脂が得られる。
【0036】アミンの具体例としては、ブチルアミン、
オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メ
チルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、N−メチルエタノールアミン、アミノエチル
エタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンの
ジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミン
がある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよ
い。
【0037】エポキシ樹脂と反応させるスルフィド化合
物は、エポキシ基と反応し、かつ妨害基を含まない全て
のスルフィド化合物が含まれる。尚、エポキシ樹脂とス
ルフィド化合物との反応は中和酸の存在下で行う必要が
あり、その結果、エポキシ樹脂にスルホニウム基が導入
される。
【0038】スルフィド化合物の具体例としては、脂肪
族スルフィド、脂肪族−芳香族混合スルフィド、アラル
キルスルフィドまたは環状スルフィドであり得る。使用
しうるスルフィド化合物の例には、ジエチルスルフィ
ド、ジプロピルスルフィド、エチルフェニルスルフィ
ド、テトラメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルフ
ィド等が挙げられる。
【0039】特に好ましいスルフィド化合物は、式
【0040】
【化5】HO−R−S−R'−OH
【0041】[式中、R及びR'はそれぞれ独立して炭
素数2〜8の直鎖又は分枝鎖アルキレン基である。]で
表されるチオジアルコールである。かかるスルホニウム
変性エポキシ樹脂は電着開始直後の短時間(約10秒
間)塗膜抵抗の形成を遅くする機能を有し、かつバイン
ダー樹脂に水分散安定性を付与する。
【0042】チオジアルコールの例には、チオジエタノ
ール、チオジプロパノール、チオジブタノール、1−
(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、1
−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジ
オール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ブタ
ノ−ル、及び1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−3−
ブトキシ−1−プロパノールなどがある。最も好ましく
は、スルフィド化合物は、1−(2−ヒドロキシエチル
チオ)−2−プロパノールである。
【0043】アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂 本発明で用いるアミン変性ノボラック型エポキシ樹脂
は、典型的にはノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ環
をアミンで開環して製造される。ノボラック型エポキシ
樹脂としては、式
【0044】
【化6】
【0045】[式中R、R'およびR''はそれぞれ独立
して水素又は、炭素数1〜5の直鎖または分枝鎖アルキ
レン基である。また繰り返し単位nは、0〜25であ
る。]で表わされるものを使用できる。
【0046】ノボラック型エポキシ樹脂の典型例は、フ
ェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹
脂である。前者の市販品としては、YDPN−638
(東都化成社製)、後者の市販品としては、YDCN−
701(同)、YDCN−704(同)などがある。
【0047】ノボラック型エポキシ樹脂中のエポキシ基
と反応させるアミンには、1級アミン、2級アミンが含
まれる。かかるアミンの中でも2級アミンが特に好まし
い。エポキシ樹脂と2級アミンを反応させると3級アミ
ノ基を有するアミン変性エポキシ樹脂が得られる。
【0048】アミンの具体例としては、ブチルアミン、
オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メ
チルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、N−メチルエタノールアミン、アミノエチル
エタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンの
ジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミン
がある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよ
い。
【0049】また、ノボラック型エポキシ樹脂に複数存
在するエポキシ環には、酢酸などのカルボン酸類、アリ
ルアルコールなどのアルコール類、ノニルフェノールの
ようなフェノール類を一部付加させてもよい。
【0050】エポキシ樹脂とスルフィド化合物又はアミ
ンとの反応は、当業者で知られている方法および条件で
行えばよい。エポキシ樹脂とスルフィド化合物との反応
については、例えば、特開平6−128351号公報、
特開平7−206968号公報に記載されている。エポ
キシ樹脂とアミンとの反応については、例えば、特開平
5−306327号公報、及び特開平2000−128
959号公報に記載されている。また、中和酸を用いて
これらをカチオン化する反応も、当業者に知られている
方法および条件化でおこなえば良い。
【0051】本発明において特に好ましい態様は、スル
ホニウム変性エポキシ樹脂と、アミン変性ビスフェノー
ル型エポキシ樹脂、アミン変性ノボラック型エポキシ樹
脂を、バインダー樹脂に含む様態である。この場合、被
塗物として亜鉛鋼鈑を用いる場合でも塗膜にピンホール
やクレーターが生じ難くなり、得られる電着塗料組成物
の亜鉛鋼鈑適性が特に向上する。また、短時間で電着を
おこなった際でも、つきまわり性を確保できる。
【0052】ブロックイソシアネート硬化剤 本発明のブロックイソシアネート硬化剤で使用するポリ
イソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2
個以上含有する化合物をいう。ポリイソシアネートとし
ては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳
香族−脂肪族系等のうちいずれのものであってもよい。
【0053】ポリイソシアネートの具体例には、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネ
ート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香
族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシ
アネート、及びリインジイソシアネート等のような炭素
数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロ
ヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロ
ヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロ
ヘキシル−4,4−ジイソシアネート、及び1,3−ジ
イソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水
添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナ
ートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノル
ボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような
炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレン
ジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリ
レンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環
を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシア
ネートの変性物(ウレタン化合物、カーボジイミド、ウ
レトジオン、ウレトンイミン、ビューレット及び/又は
イソシアヌレート変性物);等があげられる。これら
は、単独で、または2種類以上併用することができる。
【0054】ポリイソシアネートをエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、
ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/O
H比2以上で反応して得られる付加体ないしプレポリマ
ーもブロックイソシアネート硬化剤に使用してよい。
【0055】ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付
加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると
遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
【0056】ブロック剤としては、ε―カプロラクタム
やブチルセロソルブ等通常使用されるものを用いること
ができる。しかしながら、環境への影響を少なくするた
め、ブロックイソシアネート硬化剤の使用量は必要最小
限とすることが好ましい。
【0057】顔料 一般に、電着塗料組成物には着色剤として顔料を含有さ
せる。しかしながら、本発明の無鉛性カチオン電着塗料
組成物には顔料を含有させないことが好ましい。塗料の
つきまわり性が向上するからである。
【0058】塗膜に着色や耐食性を付与するため、着色
顔料、防錆顔料、体質顔料等を含有させる場合は、塗料
組成物中に含まれる顔料と顔料固形分との重量比(P/
V)が1/9以下になる量とする。塗料組成物中の顔料
の量が樹脂固形分との重量比1/9を超えると塗料固形
分の析出性が低下するため、つきまわり性が低下する。
また、塗膜比重が大きくなり使用量の増加をまねく。
【0059】本発明で使用される無鉛性カチオン電着塗
料に含有させてよい顔料の例としては、通常用いられる
顔料であれば特に制限はなく、酸化チタン及びカーボン
ブラックのような着色顔料、カオリン、タルク、ケイ酸
アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー及びシ
リカのような体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸
アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シア
ン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モ
リブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及び
リンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アル
ミニウム亜鉛のような防錆顔料があげられる。
【0060】顔料分散ペースト 顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を
予め高濃度で水性媒体中に分散させてペースト状にす
る。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる
低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからで
ある。一般にこのようなペーストを顔料ペーストとい
う。
【0061】顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂
と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂
としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子
量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スル
ホニウム基を有する変性エポキシ樹脂のようなカチオン
性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少
量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分
散樹脂と顔料との配合比(顔料分散樹脂/顔料)は、固
形分重量基準で10/100〜50/100である。
【0062】金属触媒 本発明で使用される無鉛性カチオン電着塗料組成物には
塗膜の耐食性を改良するための触媒として、金属触媒を
金属イオンとして含有させてよい。金属イオンとして
は、セリウムイオン、ビスマスイオン、銅イオン、亜鉛
イオンが好ましい。これらは適当な酸と組み合わせた塩
や金属イオンを含有する顔料からの溶出物として電着塗
料組成物に配合される。酸としては、塩酸、硝酸、リン
酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸のい
ずれかであればよい。好ましい酸は酢酸である。
【0063】電着塗料組成物 本発明で使用される無鉛性カチオン電着塗料組成物は、
上に述べた金属触媒、スルホニウム変性エポキシ樹脂、
アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミン変性
ノボラック型エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬
化剤、及び必要であれば顔料分散ペーストを水性媒体中
に分散または水溶化することによって調製される。ま
た、通常、水性媒体には、スルホニウム変性エポキシ樹
脂、アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミン
変性ノボラック型エポキシ樹脂を水媒体中に安定に分散
または水溶化するために中和酸を含有させる。中和酸
は、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無
機酸または有機酸である。
【0064】本発明で使用される電着塗料組成物では、
スルホニウム変性エポキシ樹脂の合計100gに含まれ
るスルホニウム塩基のミリ当量数は7〜45、好ましく
は10〜35とする。スルホニウム塩基のミリ当量数が
5ミリ当量未満であるとスルホニウム変性エポキシ樹脂
の親水性が不充分となり、塗料の分散安定性が維持でき
ないこととなり、45ミリ当量を超えると塗料のつきま
わり性が劣ることとなる。
【0065】またアミン変性ビスフェノール型エポキシ
樹脂の合計100gを中和するのに必要な中和酸のミリ
当量数は、7〜45、好ましくは、10〜35とする。
中和酸の量が7ミリ当量未満であるとアミン変性ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂の親水性が不充分となり、塗料
の分散安定性が維持できないこととなり、45ミリ当量
を超えると塗料のつきまわり性が劣ることとなる。
【0066】アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂
及びスルホニウム変性エポキシ樹脂、及び硬化剤として
ブロックイソシアネートを配合し、水性媒体にこれらを
分散させる方法については、アミン変性ビスフェノール
型エポキシ樹脂、スルホニウム変性エポキシ樹脂それぞ
れ、又はいずれかひとつにブロックイソシアネートを溶
液状態で混合し、それぞれをエマルションとし、その後
それぞれのエマルションを混合してよく、又はアミン変
性ビスフェノール型エポキシ樹脂およびスルホニウム変
性エポキシ樹脂を予め溶液状態で混合しておき、これに
ブロックイソシアネートを加えた混合溶液を、エマルシ
ョンにしてもよい。
【0067】アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂は、
中和酸により中和され用いることができる。中和酸の量
は特に限定されない。水性媒体中で安定に分散できる最
低量以上が必要であるが、付加させるアミンの種類およ
び中和酸の種類により異なる。このアミン変性ノボラッ
ク型エポキシ樹脂は、カチオン電着塗料組成物の液伝導
度を、つきまわり性に優れかつ亜鉛鋼鈑適性を損なわな
い最適範囲に調整する役割をもっている。
【0068】アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂
とスルホニウム変性エポキシ樹脂との混合割合は、重量
比で、0/100〜90/10、好ましくは30/70
〜70/30の範囲である。両者の混合割合が、90/
10を超えると亜鉛鋼鈑における塗膜の外観不良が解消
され難くなる。
【0069】アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の含
有量は特には規定されないが、カチオン電着塗料組成物
の液伝導度が1000〜2500μS/cmとなる範囲
とする。カチオン電着塗料組成物の液伝導度が1000
μS/cm未満であると、短時間でのつきまわり性が劣
る。2500μS/cmを超えると、亜鉛鋼鈑における
塗膜の外観不良が解消され難くなる。
【0070】本発明で使用される電着塗料組成物では、
アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の分子量は、70
0〜6000とする。好ましくは、1500〜5000
である。アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の分子量
が700未満だと、理由は不明だが亜鉛鋼鈑適性が劣
る。また、アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の分子
量が6000を超えると焼き付け時の粘度が高くなり、
仕上がり外観が低下する。
【0071】アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂を水
性媒体に分散または水溶化する方法については、アミン
変性ノボラック型エポキシ樹脂を溶融もしくは適当な溶
剤により液状化させたのち、予め中和酸を含ませた水性
媒体を攪拌しながら加えることにより得られる。このと
き加えた溶剤は、後工程で脱溶剤を行い除去することが
好ましい。
【0072】ブロックイソシアネート硬化剤の量は、硬
化時にスルホニウム変性エポキシ樹脂中の1級水酸基、
2級水酸基、アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂
およびアミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の1級アミ
ノ基、2級アミノ基、1級水酸基、2級水酸基等の活性
水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに
充分でなければならず、スルホニウム変性エポキシ樹脂
およびアミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂および
アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の合計とブロック
イソシアネート硬化剤との固形分重量比(エポキシ樹脂
/硬化剤)で表して、1/1〜9/1、好ましくは2/
1〜4/1の範囲である。
【0073】塗料組成物は、ジラウリン酸ジブチルス
ズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通
常のウレタン開劣触媒を含むことができる。鉛を実質的
に含まないため、その量は、樹脂固形分の0.1〜5重
量%とすることが好ましい。
【0074】有機溶媒はアミン変性ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂、スルホニウム変性エポキシ樹脂、ブロック
イソシアネート硬化剤、アミン変性ノボラックエポキシ
樹脂、顔料分散樹脂等の樹脂成分を合成する際に溶剤と
して必ず必要であり、完全に除去するには煩雑な操作を
必要とする。また、バインダー樹脂に有機溶媒が含まれ
ていると造膜時の塗膜の流動性が改良され、塗膜の平滑
性が向上する。従って、樹脂成分からこれらの有機溶媒
を完全に除去する必要はなく、また、別途有機溶媒を加
えてもよい。
【0075】塗料組成物に通常含まれる有機溶媒として
は、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール
モノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエー
テル等があげられる。従って、従来、樹脂成分からこれ
らの有機溶媒を完全に除去せず、また、別途有機溶媒を
加えることにより、電着塗料のVOC(揮発性有機分含
有量)で表現されている、揮発性有機分とは、沸点25
0℃以下の有機溶媒のことをいい、上記で具体的に列挙
したものをいう。これにたいし、本発明で使用される無
鉛性カチオン電着塗料組成物では、有機溶媒の含有量を
従来と比較して低くすることが好ましい。環境に対して
悪影響を与えるのを防止するためである。具体的には、
塗料組成物のVOCを1重量%以下、好ましくは0.5
〜0.8重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%
とする。塗料組成物のVOCが1重量%を越えると環境
に対して与える影響が大きくなり、また、析出塗膜に対
する流動性改良により塗膜抵抗値も減少するので、塗料
のつきまわり性も低下する。
【0076】VOCを1重量%以下にする方法として
は、反応時の粘度調整に使用される有機溶媒について
は、反応温度を上げ低溶剤または無溶剤で反応させるこ
とで削減する。、あた、反応時にどうしても必要な有機
溶媒については、脱ソルベントなどの工程で回収される
ような低沸点の溶媒を使用するなどして、最終製品のい
揮発性有機分含有量を削減することができる。塗装時の
粘度調整などに用いる有機」溶媒については、ソフトセ
グメントによる変性等、樹脂を低粘度化するなどして、
その含有量を削減することができる。
【0077】塗料組成物は、上記のほかに、可塑剤、界
面活性剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの常用の
塗料用添加剤を含むことができる。
【0078】本発明で使用される無鉛性カチオン電着組
成物は当業者に周知の方法で被塗物に電着塗装され、電
着塗膜(未硬化)を形成する。被塗物としては導電性の
あるものであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼
鈑、アルミニウム板及びこれらを表面処理したもの、こ
れらの成形物等をあげることができる。
【0079】好ましい被塗物は亜鉛鋼鈑である。本発明
の無鉛性カチオン電着塗料組成物は電着開始後の短時間
(約10秒間)、塗膜抵抗の形成を遅くすることで、亜
鉛鋼鈑に塗装した場合でも塗膜にピンホールやクレータ
ーが発生し難く、優れた外観の塗装物を提供できるから
である。
【0080】電着塗膜の膜厚は10〜20μmとするこ
とが好ましい。膜厚が10μm未満であると、防錆性が
不充分であり、20μmを超えると、塗料の浪費につな
がる。また、被塗物に電着された塗膜の最低造膜温度
(MFT)は従来のものよりも高くすること好ましい。
電着塗料のつきまわり性が改善されるからである。
【0081】具体的には、電着塗膜のMFTは20〜3
5℃とする。電着塗膜のMFTが20℃未満であると、
少ない熱でフローを起こす特性より膜厚が厚くなりやす
くつきまわり性不適となり、35℃を超えると熱による
フローが充分でなく外観が劣ることとなる。電着塗膜の
MFTは、好ましくは22〜32℃である。
【0082】電着塗料のMFTを従来のものと比較して
高くすることによりカチオン電着塗料組成物のつきまわ
り性が改善される理由は明確ではないが、塗装時の浴温
と最低造膜温度が接近していることにより、膜厚の不必
要な増加が抑えられ、内外板比率が向上するためではな
いかと考えられている。電着塗膜のMFTの調節は当業
者に周知の方法により行えば足りる。例えば、樹脂の配
合を変化させる。析出膜のTgを変化させる、溶剤量を
変化させる等である。
【0083】MFTとは熱可塑性有機樹脂粒子が結合し
て造膜するのに最低必要な温度を意味する。MFTの測
定方法は以下の通りである。電着塗料中に、同一組成の
被塗物を、一定面積浸漬させ、電着浴温度を10〜40
℃まで1℃毎に変化させ、塗装電圧200Vで3分間通
電したものを所の定焼き付け条件で乾燥させた後の塗膜
重量を測定する。この一定面積あたりの塗膜重量が最低
となる浴温度を最低造膜温度(MFT)とする。
【0084】本発明においては、塗装時の電着浴温度は
MFTよりも2℃低い温度以上でMFTよりも6℃高い
温度以下の範囲である。より好ましい電着浴温度の範囲
はMFTよりも1℃低い温度以上で、MFTよりも5℃
高い温度以下の範囲にあることである。
【0085】電着浴温度が、MFTよりも2℃低い温度
よりも低い場合及び、MFTよりも6℃高い温度よりも
高い場合は、つきまわり性が低下する。塗装時の電着浴
温と最低造膜温度が離れてしまうことが原因であると考
えられる。
【0086】上述のようにして得られる電着塗膜は、電
着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜2
60℃、好ましくは160〜220℃で、10〜30分
間焼き付けることにより硬化させる。
【0087】
【発明の効果】本発明の無鉛性カチオン電着塗料塗装方
法は、被塗物として亜鉛鋼鈑を用いる場合でも外観不良
が生じ難く、また、つきまわり性に優れ、電着塗料自体
の使用量も少なくて済み、かつ短時間電着可能なために
生産性、経済性に優れ、環境に与える影響が少ない。
【0088】
【実施例】以下の実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」
および「%」は、ことわりのない限り、重量基準によ
る。
【0089】製造例1 ブロックイソシアネート硬化剤の製造 ジフェニルメタンジイソシアネート1250部およびメ
チルイソブチルケトン(以下「MIBK」という。)2
66.4部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱
した後、ジブチルスズジラウレート2.5部を加えた。
ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソル
ブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴
下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペ
クトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収
が消失したことを確認し、放冷後、MIBK336.1
部を加えてブロックイソシアネート硬化剤を得た。
【0090】製造例2 アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイ
ソシアネート(重量比=8/2)87部、MIBK85
部およびジブチルスズジラウレート0.1部を仕込ん
だ。反応混合物を攪拌下、メタノール32部を滴下し
た。反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温
した。反応は主に、60〜65℃の範囲で行い、IRス
ペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸
収が消失するまで継続した。
【0091】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂550部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量330になるまで130℃で反
応させた。
【0092】続いて、ビスフェノールA100部及びオ
クチル酸36部を加えて120℃で反応させたところ、
エポキシ当量は1030となった。その後MIBK10
7部を加え反応混合物を冷却し、ジエタノールアミン7
9部を加え、110℃で2時間反応させた。その後、M
IBKで不揮発分80%となるまで希釈し、3級アミノ
塩基を有するエポキシ樹脂(樹脂固形分80%)を得
た。
【0093】得られた樹脂に製造例1で得られたブロッ
クイソシアネート硬化剤と固形分比で70/30で均一
になるように混合した。その後、樹脂固形分100g当
たり酸のミリ当量数が25になるよう蟻酸を添加し、さ
らにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下
でMIBKを除去することにより、固形分が36%のブ
ロックイソシアネート含有のアミン変性ビスフェノール
型エポキシ樹脂エマルションを得た。
【0094】製造例3 スルホニウム変性エポキシ樹脂の製造 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイ
ソシアネート(重量比=8/2)87部、MIBK85
部およびジブチルスズジラウレート0.1部を仕込ん
だ。反応混合物を攪拌下、メタノール32部を滴下し
た。反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温
した。反応は主に、60〜65℃の範囲で行い、IRス
ペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸
収が消失するまで継続した。
【0095】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂550部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量330になるまで130℃で反
応させた。
【0096】続いて、ビスフェノールA100部及びオ
クチル酸36部を加えて120℃で反応させたところ、
エポキシ当量は1030となった。その後MIBK10
7部を加え反応混合物を冷却し、SHP−100(1−
(2―ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、三
洋化成製)52部、イオン交換水21部、88%乳酸3
9部を加え、80℃で反応させた。反応は酸価が5を下
回るまで継続し、3級スルホニウム塩基を有するエポキ
シ樹脂(樹脂固形分80%)を得た。
【0097】得られた樹脂に製造例1で得られたブロッ
クイソシアネート硬化剤と固形分比で70/30で均一
になるように混合した。その後、イオン交換水をゆっく
りと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去すること
により、固形分が36%のブロックイソシアネート含有
のスルホニウム変性エポキシ樹脂エマルションを得た。
またこのエマルションの樹脂固形分100g当たりの塩
基のミリ当量は20であった。
【0098】製造例4 アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の製造 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を装備したフラス
コにMIBK204部を仕込み100℃まで昇温させ
る。そこにクレゾールノボラック樹脂YD−CN703
(東都化成製、エポキシ当量204)204部をすこし
づつ加え溶解し、エポキシ樹脂の50%溶液を得た。続
いて、攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下
漏斗を装備した先のフラスコとは別のフラスコに、N−
メチルエタノールアミン75.1部およびMIBK3
2.2部を仕込み120℃まで昇温した。先に得られた
エポキシ樹脂の50%溶液408部を3時間かけて滴下
した。その後、120℃で2時間保持した。のち、80
℃まで冷却した。さらに、88%ギ酸24.8部をイオ
ン交換水15.9部で希釈した水溶液を加えて30分間
80℃で混合した。引き続いて、脱イオン水489.4
部を加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去すること
により、固形分が34%のアミン変性ノボラック型エポ
キシ樹脂水溶液を得た。このアミン変性ノボラック型エ
ポキシ樹脂についてGPCによる分子量測定を行なった
結果、数平均分子量は3500であった。
【0099】製造例5 アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂の製造 フラスコにてMIBK167部とビスフェノールF型樹
脂YDF−170(東都化成製、エポキシ当量167)
167部を攪拌混合して、エポキシ樹脂の50%溶液を
得た。続いて、攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計お
よび滴下漏斗を装備した先のフラスコとは別のフラスコ
に、N−メチルエタノールアミン75.1部およびMI
BK32.2部を仕込み120℃まで昇温した。先に得
られたエポキシ樹脂の50%溶液334部を3時間かけ
て滴下した。その後、120℃で2時間保持した。の
ち、80℃まで冷却した。さらに、88%ギ酸24.8
部をイオン交換水15.9部で希釈した水溶液を加えて
30分間80℃で混合した。引き続いて、脱イオン水4
89.4部を加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去
することにより、固形分が34%のアミン変性ノボラッ
ク型エポキシ樹脂水溶液を得た。このアミン変性ノボラ
ック型エポキシ樹脂についてGPCによる分子量測定を
行なった結果、数平均分子量は500であった。
【0100】製造例6 顔料分散樹脂の製造 まず、攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度計を装備し
た反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、I
PDIと略す)222.0部を入れ、MIBK39.1
部で希釈した後、ここへジブチルスズジラウリート0.
2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した後、2
−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素
雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却すること
により、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−
エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(樹脂固
形分90.0%)が得られた。
【0101】次いで適当な反応容器に、ジメチルエタノ
ール87.2部、75%乳酸水溶液117.6部および
エチレングリコールモノブチルエーテル39.2部を順
に加え、65℃で約半時間攪拌して、4級化剤を調製し
た。
【0102】次に、エポン(EPON)829(シェル
・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部と
ビスフェノールA289.6部とを適当な反応容器に仕
込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱したとこ
ろ初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜160
℃で約1時間反応させて、次いで、120℃に冷却した
後、先に調整した2−エチルヘキサノールハーフブロッ
ク化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
【0103】反応混合物を110〜120℃に約1時間
保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル
463.4部を加え、混合物を85〜95℃に冷却し、
均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部を添
加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜95℃
に保持した後、脱イオン水964部を加えて、エポキシ
−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了させ、4
級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を得た
(樹脂固形分50%)。
【0104】製造例7 顔料分散ペーストの製造 サンドグラインドミルに製造例6で得た顔料分散樹脂を
120部、カーボンブラック2.0部、カオリン10
0.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸
アルミニウム18.0部およびイオン交換水221.7
部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料
ペーストを得た。(固形分48%)
【0105】実施例1 製造例2で得られたアミン変性ビスフェノール型エポキ
シ樹脂エマルションと製造例3で得られたスルホニウム
変性エポキシ樹脂エマルションを固形分比で50/50
で混合し、製造例4で得られたアミン変性ノボラック型
エポキシ樹脂水溶液を両エマルションの固形分合計10
0部に対して固形分として3部加え、さらにジブチルス
ズオキサイドが樹脂固形分に対し1重量%分とイオン交
換水を加えて、固形分が20%のカチオン電着塗料組成
物を得た。この塗料の最低造膜温度を測定したところ3
0℃であった。また、塗料液伝導度は、1600μS/
cmであった。得られたカチオン電着塗料組成物につい
て、電着浴温度をMFTよりも2℃高い温度(すなわち
32℃)で電着塗装し、つきまわり性および亜鉛鋼鈑適
性を後述の方法により評価した。結果については、表1
に示した。
【0106】実施例2 製造例3で得られたスルホニウム変性エポキシ樹脂エマ
ルションに、製造例4で得られたアミン変性ノボラック
型エポキシ樹脂水溶液を、スルホニウム変性樹脂エマル
ションの固形分合計100部に対して固形分として6部
加え、さらにジブチルスズオキサイドが樹脂固形分に対
し1重量%分とイオン交換水を加えて、固形分が20%
のカチオン電着塗料組成物を得た。アミン変性樹脂エマ
ルションは用いなかった。この塗料の最低造膜温度を測
定したところ33℃であった。また、塗料液伝導度は、
2000μS/cmであった。得られたカチオン電着塗
料組成物について、電着浴温度をMFTと同じ温度(す
なわち33℃)で電着塗装し、実施例1と同様にして評
価した。結果については、表1に示した。
【0107】実施例3 実施例2と同じ比率で混合されたカチオン電着樹脂組成
物に対して、製造例7の顔料分散ペーストを顔料分と樹
脂分の固形分比率で1/10となるように顔料分散樹脂
ペーストを添加し、イオン交換水を加えて固形分が20
%である実施例3のカチオン電着塗料組成物を得た。ま
たこの塗料の最低造膜温度を測定したところ32℃であ
った。また塗料液伝導度は、1900μS/cmであっ
た。得られたカチオン電着塗料組成物について、電着浴
温度をMFTよりも4℃高い温度(すなわち36℃)で
電着塗装し、実施例1と同様にして評価した。結果につ
いては、表1に示した。
【0108】実施例4 製造例2で得られたアミン変性ビスフェノール型エポキ
シ樹脂エマルションと製造例3で得られたスルホニウム
変性エポキシ樹脂エマルションを固形分比で70/30
で混合し、製造例4で得られたアミン変性ノボラック型
エポキシ樹脂水溶液を両エマルションの固形分合計10
0部に対して固形分として2.5部加え、さらにジブチ
ルスズオキサイドが樹脂固形分に対し1重量%分とイオ
ン交換水を加えて、固形分が20%のカチオン電着塗料
組成物を得た。この塗料の最低造膜温度を測定したとこ
ろ30℃であった。また、塗料液伝導度は、1600μ
S/cmであった。得られたカチオン電着塗料組成物に
ついて、電着浴温度をMFTよりも2℃低い温度(すな
わち28℃)で電着塗装し、実施例1と同様にして評価
した。結果については、表1に示した。
【0109】比較例1 製造例2で得られたアミン変性ビスフェノール型エポキ
シ樹脂エマルションと製造例3で得られたスルホニウム
変性エポキシ樹脂エマルションを固形分比で50/50
で混合した。アミン変性ノボラック型エポキシ樹脂は加
えなかった。ジブチルスズオキサイドが樹脂固形分に対
し1重量%分とイオン交換水を加えて、固形分が20%
のカチオン電着塗料組成物を得た。この塗料の最低造膜
温度を測定したところ30℃であった。また、塗料液伝
導度は、900μS/cmであった。得られたカチオン
電着塗料組成物について、電着浴温度をMFTよりも2
℃高い温度(すなわち32℃)で電着塗装し、実施例1
と同様にして評価した。結果については、表1に示し
た。
【0110】比較例2 実施例1で得られたカチオン電着塗料組成物にn−ヘキ
シルセロソルブを樹脂固形分に対し5重量%分添加し
た。この塗膜の最低造膜温度を測定したところ18℃で
あった。また塗料液伝導度は1550μS/cmであっ
た。得られたカチオン電着塗料組成物について、電着浴
温度をMFTよりも12℃高い温度(すなわち30℃)
で電着塗装し、実施例1と同様にして評価した。結果に
ついては、表1に示した。
【0111】比較例3 製造例2で得られたアミン変性ビスフェノール型エポキ
シ樹脂エマルションと製造例3で得られたスルホニウム
変性エポキシ樹脂エマルションを固形分比で50/50
で混合し、製造例4で得られたアミン変性ノボラック型
エポキシ樹脂水溶液を両エマルションの固形分合計10
0部に対して固形分として8部加え、さらにジブチルス
ズオキサイドが樹脂固形分に対し1重量%分とイオン交
換水を加えて、固形分が20%のカチオン電着塗料組成
物を得た。この塗料の最低造膜温度を測定したところ3
4℃であった。また、塗料液伝導度は、3000μS/
cmであった。得られたカチオン電着塗料組成物につい
て、電着浴温度をMFTと同じ温度(すなわち34℃)
で電着塗装し、実施例1と同様にして評価した。結果に
ついては、表1に示した。
【0112】比較例4 製造例2で得られたアミン変性ビスフェノール型エポキ
シ樹脂エマルションと製造例3で得られたスルホニウム
変性エポキシ樹脂エマルションを固形分比で50/50
で混合し、製造例5で得られたアミン変性ノボラック型
エポキシ樹脂水溶液を両エマルションの固形分合計10
0部に対して固形分として2.5部加え、さらにジブチ
ルスズオキサイドが樹脂固形分に対し1重量%分とイオ
ン交換水を加えて、固形分が20%のカチオン電着塗料
組成物を得た。この塗料の最低造膜温度を測定したとこ
ろ28℃であった。また、塗料液伝導度は、1650μ
S/cmであった。得られたカチオン電着塗料組成物に
ついて、電着浴温度をMFTよりも2℃高い温度(すな
わち30℃)で電着塗装し、実施例1と同様にして評価
した。結果については、表1に示した。
【0113】実施例および比較例で得られたカチオン電
着塗料組成物と焼き付けて得られたカチオン電着塗膜に
ついては以下の方法により評価を行なった。
【0114】<つきまわり性>つきまわり性は、いわゆ
る4枚ボックス法により評価した。すなわち、図1にし
めすように、4枚のリン酸亜鉛処理鋼鈑(JIS G3
141 SPCC−SDのサーフダインSD−5000
(日本ペイント社製)処理)11〜14を、立てた状態
で間隔20mmで平行に配置し、両側面下部および底面
を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を調
製した。なお、鋼鈑14以外の鋼鈑11〜13には下部
に8mmφの貫通穴15が設けられている。
【0115】カチオン電着塗料4リットルを塩ビ製容器
に移して第1の電着浴とした。図2に示すように、上記
ボックス10を、被塗装物として電着塗料21を入れた
電着塗料容器20内に浸漬した。この場合、各貫通穴1
5からのみ塗料21がボックス10内に侵入する。
【0116】マグネチックスターラー(非表示)で塗料
21を攪拌した。そして、各鋼鈑11〜14を電気的に
接続し、最も近い鋼鈑11との距離が150mmとなる
ように対極22を配置した。各鋼鈑11〜14を陰極、
対極22を陽極として電圧を印加して、鋼鈑にカチオン
電着塗装を行なった。塗装は、印加開始から5秒間で鋼
鈑11のA面に形成される塗膜の膜厚が15μmに達す
る電圧まで昇圧し、その後通常電着では175秒間、短
時間電着では115秒間その電圧を維持することにより
行った。
【0117】塗装後の各鋼鈑は、水洗した後、170℃
で25分間焼き付けし、空冷後、対極22から最も近い
鋼鈑11のA面に形成された塗膜の膜厚と、対極22か
ら最も遠い鋼鈑14のG面に形成された塗膜の膜厚とを
測定し、膜厚(G面)/膜厚(A面)の比(G/A値)
によりつきまわり性を評価した。この値が50%を超え
た場合を良好(凡例;○)、この値が50%以下の場合
を不良(凡例;×)と判断した。
【0118】<亜鉛鋼鈑適性>化成処理を行った合金化
溶融亜鉛めっき鋼鈑に、220Vまで5秒で昇圧後、1
75秒で電着したのち水洗し、170℃で25分間焼き
付けし、塗膜状態を観察した。塗膜異常が認められない
場合を良好(凡例;○)、わずかに異常が認められる場
合を、異常あり(凡例;△)、著しい異常が認められる
場合を不良(凡例;×)と判断した。
【0119】
【表1】
【0120】実施例の結果により、本願発明のカチオン
電着塗料塗装方法は亜鉛鋼鈑適性が良好で、かつ短時間
電着時のつきまわり性が良好であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 つきまわり姓を評価する際に用いるボックス
の一例を示す斜視図である。
【図2】 つきまわり姓の評価方法を模式的に示す断面
図である。
【符号の説明】
10...ボックス、 11〜14...リン酸亜鉛処理鋼板、 15...貫通穴、 20...電着塗装容器、 21...電着塗料、 22...対極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 13/06 C25D 13/06 E (72)発明者 児島 与志夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 山田 光夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 横井 誠治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 児玉 敏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DB061 DB062 DB071 DB072 DB391 DB392 DB401 DB402 DG161 DG162 GA09 GA13 KA02 KA04 KA06 KA08 MA08 MA09 MA10 MA14 NA20 PA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体、水性媒体中に分散するか又は
    溶解したバインダー樹脂、中和酸、有機溶媒、金属触媒
    を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物であって、 該バインダー樹脂が、100gに含まれるスルホニウム
    塩基のミリ当量数が7〜45であるスルホニウム変性エ
    ポキシ樹脂、分子量が700〜6000であるアミン変
    性ノボラック型エポキシ樹脂、およびブロックイソシア
    ネート硬化剤を含むものであり、 該無鉛性カチオン電着塗料組成物中有機溶媒中の揮発性
    有機分の含有量が1重量%以下であり、 該無鉛性カチオン電着塗料組成物の塗料液伝導度が10
    00〜2500μS/cmであり、 被塗物に電着された塗膜の最低造膜温度が20〜35℃
    である、無鉛性カチオン電着塗料組成物を提供する工
    程;該無鉛性カチオン電着塗料組成物の温度を該最低造
    膜温度よりも2℃低い温度以上でかつ、該最低造膜温度
    よりも6℃高い温度以下に調節する工程;該被塗物を該
    無鉛性カチオン電着塗料組成物に浸漬する工程;及び該
    被塗物を陰極として、上記温度条件で電着塗装を行う工
    程;を包含する電着塗装方法。
  2. 【請求項2】 前記バインダー樹脂がアミン変性ビスフ
    ェノール型エポキシ樹脂を更に含む請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記アミン変性ビスフェノール型エポキ
    シ樹脂のアミノ基を中和するのに必要な中和酸のミリ当
    量数が、前記バインダー樹脂100gに対し、7〜45
    である請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記スルホニウム変性エポキシ樹脂が、
    エポキシ樹脂と式 【化1】HO−R−S−R'−OH [式中、R及びR'はそれぞれ独立して炭素数2〜8の
    直鎖又は分枝鎖アルキレン基である。]で表されるスル
    フィド化合物とを反応させて得られたものである請求項
    1〜3いずれかひとつに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記スルフィド化合物が1−(2ヒドロ
    キシエチルチオ)−2−プロパノ−ルである請求項4記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 前記中和酸が酢酸、乳酸、ギ酸、スルフ
    ァミン酸、ジメチロールプロピオン酸、およびメチロー
    ル酸からなる群から選択される1種以上である請求項1
    〜5いずれかひとつに記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記アミン変性ノボラック型エポキシ樹
    脂が、1級アミン、2級アミンと式 【化2】 [式中R、R'およびR''はそれぞれ独立して水素又
    は、炭素数1〜5の直鎖または分枝鎖アルキレン基であ
    る。また繰り返し単位nは、0〜25である。]であら
    わされるエポキシ樹脂とを反応して得られたものである
    請求項1〜6いずれかひとつに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記アミン変性ビスフェノール型エポキ
    シ樹脂と前記スルホニウム変性エポキシ樹脂との重量比
    が0/100〜90/10の範囲である請求項2〜7い
    ずれかひとつ記載の方法。
  9. 【請求項9】 更に顔料を含み、前記無鉛性カチオン電
    着塗料組成物中に含まれる顔料と樹脂固形分との重量比
    が1/9以下である請求項1〜8いずれかひとつに記載
    の方法。
JP2002086381A 2002-03-26 2002-03-26 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法 Expired - Fee Related JP4060620B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002086381A JP4060620B2 (ja) 2002-03-26 2002-03-26 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
US10/396,355 US7094324B2 (en) 2002-03-26 2003-03-26 Electrodeposition coating method using lead-free cationic electrodeposition coating composition

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002086381A JP4060620B2 (ja) 2002-03-26 2002-03-26 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003277682A true JP2003277682A (ja) 2003-10-02
JP2003277682A5 JP2003277682A5 (ja) 2005-07-07
JP4060620B2 JP4060620B2 (ja) 2008-03-12

Family

ID=29233000

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002086381A Expired - Fee Related JP4060620B2 (ja) 2002-03-26 2002-03-26 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7094324B2 (ja)
JP (1) JP4060620B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004269627A (ja) * 2003-03-06 2004-09-30 Mazda Motor Corp 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2005230533A (ja) * 2004-01-20 2005-09-02 Tonami Shoten:Kk 食器
JP2006002003A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物
JP2006002002A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物
JP2006239651A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Sankyo Tateyama Aluminium Inc 複層電着塗膜形成方法
CN114870413A (zh) * 2022-04-14 2022-08-09 杭州特种纸业有限公司 一种钢纸用氯化锌溶液循环利用方法

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4204353B2 (ja) * 2003-03-05 2009-01-07 本田技研工業株式会社 鉛フリー電着塗料用組成物の塗装方法および塗装物
US20050173248A1 (en) * 2004-02-06 2005-08-11 Y.S. Fung Electrophoretic nano-coating
KR100831205B1 (ko) * 2006-12-31 2008-05-21 주식회사 케이씨씨 평활성, 방청성, 유연성이 우수한 고기능성 양이온전착수지 조성물
KR101005297B1 (ko) * 2008-09-30 2011-01-04 주식회사 케이씨씨 방향족 술폰산 및 우레탄 관능성 레올로지 조정제를 포함하는, 내부침투성이 우수한 양이온 전착도료용 수지 조성물
JP5469038B2 (ja) 2010-11-12 2014-04-09 株式会社オティックス 燃料系部品の製造方法および燃料系部品
CN106700028B (zh) * 2016-11-28 2019-03-22 中海油常州涂料化工研究院有限公司 一种阴极电泳涂料用硫鎓盐型分散树脂及其制备方法
KR102341535B1 (ko) * 2017-03-10 2021-12-22 주식회사 케이씨씨 양이온 전착수지 조성물
BR112022011789A2 (pt) * 2019-12-20 2022-08-30 Ppg Ind Ohio Inc Composição de revestimento eletrodepositável incluindo um pigmento de filossilicato e um agente de dispersão
CN112048273A (zh) * 2020-09-18 2020-12-08 浙江伟星实业发展股份有限公司 一种环保型胶水及其制备方法和应用

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3411668B2 (ja) 1994-04-20 2003-06-03 日本ペイント株式会社 電着塗装方法
JPH09235495A (ja) 1996-03-01 1997-09-09 Nippon Paint Co Ltd 低鉛含有カチオン電着塗料
JP3310620B2 (ja) * 1998-07-22 2002-08-05 日本ペイント株式会社 脂肪族炭化水素基を含有するカチオン電着塗料用樹脂組成物及びカチオン電着塗料組成物
JP2000204299A (ja) 1999-01-11 2000-07-25 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物および塗膜形成方法
KR20020077131A (ko) 2001-03-28 2002-10-11 닛본 페인트 가부시끼가이샤 무연 양이온계 전착 피복 조성물 및 전착 피복 방법
US7008998B2 (en) * 2001-11-16 2006-03-07 Basf Corporation Method for making an aqueous dispersion

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004269627A (ja) * 2003-03-06 2004-09-30 Mazda Motor Corp 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP4527944B2 (ja) * 2003-03-06 2010-08-18 マツダ株式会社 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2005230533A (ja) * 2004-01-20 2005-09-02 Tonami Shoten:Kk 食器
JP4680611B2 (ja) * 2004-01-20 2011-05-11 株式会社砺波商店 食器
JP2006002003A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物
JP2006002002A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物
JP2006239651A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Sankyo Tateyama Aluminium Inc 複層電着塗膜形成方法
JP4521300B2 (ja) * 2005-03-07 2010-08-11 三協立山アルミ株式会社 複層電着塗膜形成方法
CN114870413A (zh) * 2022-04-14 2022-08-09 杭州特种纸业有限公司 一种钢纸用氯化锌溶液循环利用方法

Also Published As

Publication number Publication date
US7094324B2 (en) 2006-08-22
US20040026248A1 (en) 2004-02-12
JP4060620B2 (ja) 2008-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4060620B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
JP2010095668A (ja) カチオン性電着塗料組成物
JP4130086B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法
US20090321270A1 (en) Electroconductivity-controlling agent for cationic electrodeposition coating composition and method for adjusting electroconductivity of cationic electrodeposition coating composition therewith
KR20080078792A (ko) 무연 양이온계 전착 피복 조성물 및 전착 피복 방법
JPH04502933A (ja) 導電性支持体の被覆法、水性ラッカー、ウレタン基含有付加生成物の製法及びウレタン基含有付加生成物
JP2002356645A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP5325658B2 (ja) カチオン電着塗料の付き回り性の向上方法
JP2005194389A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2006002003A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2004269627A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2002285391A (ja) 電着塗装方法
JP2002285392A (ja) 電着塗装方法
JP2006348316A (ja) 電着塗膜形成方法
JP2009161825A (ja) 電着塗装方法および水洗工程を短縮もしくは水洗水の使用量の削減方法
US20050279254A1 (en) Cationic electrodeposition coating composition
JP4326351B2 (ja) カチオン電着塗膜の形成方法
JP4518800B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2002294146A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2008214705A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2008189960A (ja) 電着塗膜形成方法
JP2007313420A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2006265689A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2006348076A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2008156655A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041028

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041028

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070601

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20071109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071220

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121228

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121228

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131228

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees