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JP2002348482A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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Publication number
JP2002348482A
JP2002348482A JP2001157137A JP2001157137A JP2002348482A JP 2002348482 A JP2002348482 A JP 2002348482A JP 2001157137 A JP2001157137 A JP 2001157137A JP 2001157137 A JP2001157137 A JP 2001157137A JP 2002348482 A JP2002348482 A JP 2002348482A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
acid
polyester resin
resin
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001157137A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Tokumizu
眞 徳水
Masaharu Fujimoto
雅治 藤本
Ken Futai
建 二井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2001157137A priority Critical patent/JP2002348482A/ja
Publication of JP2002348482A publication Critical patent/JP2002348482A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性に優れるとともに、高い機械的強度や
靱性を有する熱可塑性樹脂組成物を、ブリードアウトの
発生や耐熱性、耐久性の低下を招くことなく、さらに透
明性も損なうことなく低コストで提供する。 【解決手段】 特定の熱可塑性樹脂(A)70〜99質
量%と、特定のポリエステル樹脂(B)1〜30質量%
とを含む熱可塑性樹脂組成物であり、ポリエステル樹脂
(B)を、芳香族ジカルボン酸単位を80〜100[モ
ル%]含む特定の酸成分と、エチレングリコール単位を
含む特定のアルコール成分とから構成する。また、熱可
塑性樹脂(A)の屈折率aとポリエステル樹脂(B)の
屈折率bの差は0.029以下で、かつ、ポリエステル
樹脂(B)の溶融粘度Cbは、熱可塑性樹脂(A)の溶
融粘度Ca(Pa・s)の0.4倍未満とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物
に関し、詳しくは機械特性が高レベルに維持され、かつ
成形加工性が一段と改良された熱可塑性樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】縮合系熱可塑性樹脂は、一般に耐熱性、
機械的強度、寸法安定性、電気特性、透明性等に優れて
おり、機械部品、電子部品、車両用部品等の様々な用途
に利用されている。縮合系熱可塑性樹脂の一つであるポ
リエステルは、特に耐薬品性、耐熱性、機械的強度、靱
性、成形加工性が優れ、流動性が高いため、射出成形に
よって薄肉の成形品を得るのに適している。例えば、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)樹脂は、単独であ
るいはガラス繊維等で強化された複合材料として、薄肉
あるいは複雑形状の部品用途等に広く用いられている。
【0003】ところで、樹脂の重要な特性の1つである
流動性は、一般にその分子量に依存することが知られて
おり、数平均分子量10000〜40000のPETに
おいては、流動性の指標である溶融粘度C(Pa・s)
と、PETの数平均分子量Mnの間には下記式3に示す
関係が概ね成り立ち、低分子量のPETほど溶融粘度が
小さく、流動性に優れている。そこで、薄肉あるいは複
雑形状の射出成形には、分子量を小さくして流動性を高
めたPET等が使用されてきた。 C=3.5×10−10 ×Mn2.7 …(式3) (ただし、式3において溶融粘度Cは270℃、せん断
速度1200/(1/秒)で測定した値とする。)
【0004】このように樹脂の分子量を調節して、その
流動性を制御する方法以外に樹脂の流動性を改質する方
法としては、樹脂への溶解性がよい低分子量化合物を可
塑剤として加えて、樹脂の分子量を変更せずに溶融粘度
だけを低下させることも一般によく知られており、塩化
ビニル樹脂等においては工業的にも実施されている。ま
た、芳香族系プラスチックに特定の分子量、分子量分布
を持つスチレンオリゴマーを配合することにより、芳香
族系プラスチックの優れた諸特性を損なうことなく成形
性を向上できる改質方法が、特開平9−328589号
公報に開示されている。
【0005】一方、近年、PET樹脂廃棄物から有用な
PET樹脂を回収し再利用する試みが種々なされてい
る。例えば、特開平5−293885号公報には回収ポ
リエステル樹脂などの低粘度ポリエステル樹脂を減圧下
に溶融押出してポリエステルシートを製造する方法や、
特開平6−255645号公報には固相重合した再生P
ET樹脂を二軸延伸してボトルを製造する方法が開示さ
れている。ところが、これらの方法で得られたシートや
ボトルは、原料である回収PET樹脂の極限粘度などの
物性が市販されているペレット状のPET樹脂に比べる
と劣っていて、シートやボトルの要求物性として重要な
機械的強度などの特性が充分に得られないという問題が
あった。耐衝撃性などの機械的強度を改善する方法とし
ては、例えば特公昭58−47419号公報、特公昭6
3−4566号公報、特公平1−26380号公報など
に、各種のエポキシ基含有エチレン共重合体などを溶融
混練する方法などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような樹脂の流動性や耐衝撃性を改質する方法には問題
があった。すなわち、樹脂の分子量を調節して、その流
動性を制御する方法においては、熱可塑性樹脂の機械的
強度や靱性等の機械特性もその分子量に強く依存し、分
子量が高いほどその機械特性が優れることから、流動性
に優れた低分子量の熱可塑性樹脂を用いると、得られる
成形品の機械特性が低下してしまうといった問題があっ
た。そのため、製品に要求される機械特性に対応して、
使用できる熱可塑性樹脂の分子量下限が決定され、十分
な流動性を有する熱可塑性樹脂を使用することが難しか
った。熱可塑性樹脂の低分子量物を添加して流動性を改
質する方法では、溶融賦形時の熱により低分子量物と熱
可塑性樹脂との交換反応が起こり、分子量の低下や分子
量のばらつきが生じ、その結果、成形体の機械特性が低
下してしまうという問題があった。低分子量の可塑剤を
熱可塑性樹脂に加えて機械的強度を保ち、溶融粘度のみ
を低下させようとすると、可塑剤のブリードアウトによ
り樹脂に汚れが生じたり、ガラス転移温度が低下して耐
熱性が低下したりする等、問題があった。さらに、この
ような物性低下に加えてPETのような耐薬品性のよい
樹脂を可塑化するためには、可塑剤として特殊な化合物
を選択することが必要となり、コストや耐久性の面でも
制約があった。また、例えばポリエステルの場合、ポリ
エステルに相溶しないものを添加すると透明性が著しく
低下するので、高い透明度を必要とする場合に問題があ
った。さらに、可塑剤自体が液体である場合にはポリエ
ステルとのホッパーブレンドが難しいなどの実用的な制
約があった。
【0007】また、特公昭58−47419号公報、特
公昭63−4566号公報、特公平1−26380号公
報などに記載の方法によると、耐衝撃性は改善されるも
のの、ポリエステル樹脂とエポキシ基含有エチレン共重
合体との間に生じる化学反応などに起因して溶融粘度が
著しく増大して流動性(成型加工性)が低下したり、透
明性が著しく損なわれるなどの新たな問題が発生する。
また、リサイクルポリエステル樹脂を射出成形用途に使
用する場合、ボトル用に使用されたPET樹脂のほとん
どは一般の射出成形用PETに比べて分子量が高いため
に、箱や容器などの薄肉成型品や大型成形品などを成型
しようとすると流動性が不足し、良好な製品が得られに
くいという問題もある。このように、溶融粘度が低く流
動性に優れ、かつ、機械特性などの物性を維持した熱可
塑性樹脂を低コストで得ることは従来非常に困難であっ
た。
【0008】本発明の課題は、流動性に優れるととも
に、高い機械的強度や靱性を有する熱可塑性樹脂組成物
を、ブリードアウトの発生や耐熱性、耐久性の低下を招
くことなく、さらに透明性も損なうことなく低コストで
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、数平均分子量が18000以上で、かつ、27
0℃での溶融粘度が200Pa・s以上の熱可塑性樹脂
(A)70〜99質量%と、数平均分子量が3000以
上で、かつ、270℃での溶融粘度が200Pa・s未
満であるポリエステル樹脂(B)1〜30質量%とを含
む熱可塑性樹脂組成物であり、ポリエステル樹脂(B)
は、芳香族ジカルボン酸単位を80〜100[モル%]含
む酸成分と、エチレングリコール単位を含むアルコール
成分とからなり、酸成分中の芳香族ジカルボン酸単位以
外の二塩基酸単位のモル分率と、アルコール成分中のエ
チレングリコール単位以外の二酸塩基単位のモル分率と
の和が50[モル%]以下であって、さらに酸成分に含
まれる多価成分のモル分率と、アルコール成分に含まれ
る多価成分のモル分率との和が0.05〜3[モル%]
であり、熱可塑性樹脂(A)の屈折率aとポリエステル
樹脂(B)の屈折率bが下記式1を満足し、かつ、熱可
塑性樹脂(A)の溶融粘度Ca(Pa・s)とポリエス
テル樹脂(B)の溶融粘度Cbが下記式2を満足するこ
とを特徴とする。 |a−b|≦0.029…(式1) Cb<0.4×Ca…(式2) (ただし、式2において溶融粘度CaおよびCbは27
0℃、せん断速度1200(1/秒)で測定した値とす
る。) 上記ポリエステル樹脂(B)を構成する酸成分のうち4
0[モル%]以上がイソフタル酸単位および/またはフ
タル酸単位であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂
(A)と上記ポリエステル樹脂(B)が非相溶であり、
熱可塑性樹脂(A)の連続相中に粒子径0.02〜5μ
mのポリエステル樹脂(B)粒子が分散していることが
好ましい。上記熱可塑性樹脂(A)は、ポリカーボネー
ト樹脂および/またはポリアミド樹脂であることが好ま
しい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(A)としては、ポリ
エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂等が挙げられ、これらを単独で
または2種以上を組み合わせて用いることができる。こ
れらの熱可塑性樹脂(A)のうち、ポリエステル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂を使用すると、
透明性に優れた成形品が得られるため、特に透明性が要
求される用途には、これらの樹脂を使用することが好ま
しい。
【0011】ここで熱可塑性樹脂(A)として使用され
るポリエステル樹脂とは、ヒドロキシカルボン酸化合物
を構成単位とする熱可塑性ポリエステル樹脂、または、
ジカルボン酸などの酸成分およびジオールなどのアルコ
ール成分を構成単位とする熱可塑性ポリエステル樹脂で
あり、これらの混合物であっても良い。ヒドロキシカル
ボン酸単位としては、リンゴ酸、クエン酸、p−ヒドロ
キシ安息香酸、p−ヒドロキシエチル安息香酸などが挙
げられる。
【0012】ジカルボン酸単位としては、シュウ酸、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジ
オン酸、ダイマー酸、1,3もしくは1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、
4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、
ナフタレン−1,4もしくは2,6−ジカルボン酸、ア
ントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカル
ボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−スルホイソフ
タル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族
ジカルボン酸やこれらのエステル形成誘導体が挙げられ
る。ジオール単位としては、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデカンジオ
ール、ダイマージオール、シクロヘキサンジオール、シ
クロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、4,4’−
ジヒドロキシビフェニルのほか、ビスフェノール類、
2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)
プロパン等やこれらのエステル形成誘導体が挙げられ
る。
【0013】ポリエステル樹脂としては、上記各単位を
必要に応じて併用して得られるものであるが、なかでも
芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とし
て構成されるポリエステル樹脂が好ましく、さらには酸
成分のうちの80[モル%]以上がテレフタル酸で、ア
ルコール成分のうち60[モル%]以上がエチレングリ
コールであるポリエステルが好ましい。また特に、酸成
分のうちの80[モル%]以上がテレフタル酸で、アル
コール成分のうち80[モル%]以上がエチレングリコ
ールであるポリエステルは、PETまたは変性PETと
して広く実用化されていて、好ましく使用できる。
【0014】また、本発明において用いられる熱可塑性
樹脂(A)は、リサイクルポリエステルであってもよ
い。リサイクルポリエステルは、PETボトル、食品用
トレイ等の成形品として成形された後、再び回収された
回収PET樹脂または規格外PET樹脂である。また、
リサイクルポリエステルとしては、PETシート、容器
などの成形時に生じた格外品であってもよい。
【0015】熱可塑性樹脂(A)として使用されるポリ
カーボネート樹脂としては、2,2’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノール
A)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアルカン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以
上を主原料とするものが好ましく挙げられ、なかでもビ
スフェノールAを主原料として製造されるものが好まし
い。具体的には、上記ビスフェノールAをジヒドロキシ
成分として用い、エステル交換法あるいはホスゲン法に
より得られたポリカーボネートが好ましい。さらに、ビ
スフェノールAの一部、好ましくは10[モル%]以下
を4,4’−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルエーテル等で置換したものも
好ましい。
【0016】熱可塑性樹脂(A)として使用されるポリ
アミド樹脂は、ジアミンとジカルボン酸との縮合、アミ
ノ酸の縮合、ラクタムの開環などにより合成される。例
えば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプ
ロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等
のラクタム重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカ
ルボン酸等の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメ
チレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレ
ンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−
または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シク
ロヘキサン、m−またはp−キシリレンジアミン等のジ
アミン単位と、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、
セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、
およびこれらの共重合体が挙げられ、具体的には、ナイ
ロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン9、ナイロ
ン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン61
0、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、
ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、
ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/
6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。さらに、透
明性を向上させるために、トリメチルヘキサメチレンジ
アミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビ
ス−(4−アミノ−1、2−メチルシクロヘキシル)メ
タン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシ
ル)メタンなどを共重合することもできる。
【0017】熱可塑性樹脂(A)としては、270℃に
おいてせん断速度1200(1/秒)で測定された溶融
粘度が200Pa・s以上であるものが使用される。溶
融粘度が200Pa・s未満では、流動性は良好である
が機械的強度、靱性、耐熱性などが不十分である。ま
た、熱可塑性樹脂(A)は、その数平均分子量Mnが1
8000以上のものが使用され、好ましくは21000
以上のものが使用される。数平均分子量Mnが1800
0未満であると、熱可塑性樹脂(A)の機械特性、特に
耐衝撃性が低い。分子量が18000以上であれば機械
特性、靱性、耐衝撃性等の特性が優れ、分子量が210
00以上であればこれらの特性がより優れる。さらに、
最も好ましい熱可塑性樹脂(A)の数平均分子量Mnは
22000〜40000であり、このような数平均分子
量Mnの熱可塑性樹脂(A)を使用すると、最終的に得
られる熱可塑性樹脂組成物の機械特性と流動性とがとも
にバランスよく優れる。
【0018】本発明において用いられるポリエステル樹
脂(B)は分子量が3000以上のものである。分子量
が3000未満では、最終的に得られる熱可塑性樹脂組
成物からポリエステル樹脂(B)がブリードアウトしや
すく、また、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、靱性、
耐熱性などが低下するという問題が生じやすくなる。さ
らに、エステル交換反応が進行して熱可塑性樹脂(A)
の分子量を著しく低下させる恐れが大きくなる。また、
このポリエステル樹脂(B)を配合することによる熱可
塑性樹脂(A)の流動性改質効果も低下する。流動性改
質効果が低下する理由は明確ではないが、おそらく熱可
塑性樹脂(A)との相溶性が高まりすぎて、熱可塑性樹
脂組成物中における熱可塑性樹脂(A)とポリエステル
(B)との相分離構造が消失することに起因すると考え
られる。ポリエステル樹脂(B)の好ましい分子量は5
000以上であって、5000以上の分子量では熱可塑
性樹脂組成物からのブリードアウトが著しく減少する。
さらに好ましくは10000以上であり、このような分
子量では部分的にエステル交換が生じても、熱可塑性樹
脂(A)の分子量低下の度合いが非常に少なく許容でき
る範囲となる。なお、熱可塑性樹脂組成物の物性を維持
する観点からは、ポリエステル樹脂(B)の最も好まし
い分子量は20000以上であるが、最適な分子量は熱
可塑性樹脂(A)の分子量および溶融粘度、さらには熱
可塑性樹脂組成物の用途に応じて適宜選定される。
【0019】また、ポリエステル樹脂(B)は、270
℃で測定した溶融粘度が200Pa・s未満のものであ
る。溶融粘度が200Pa・s以上では、熱可塑性樹脂
(A)に配合した場合、流動性改良効果が得られない。
好ましくはポリエステル樹脂(B)として270℃にお
ける溶融粘度が100Pa・s未満のものを使用する。
【0020】本発明のポリエステル樹脂(B)を構成す
る酸成分には、耐熱性の観点から芳香族ジカルボン酸単
位が80〜100[モル%]含まれ、好ましくは85〜
100[モル%]含まれる。芳香族ジカルボン酸単位と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−
1,4もしくは2,6−ジカルボン酸、アントラセンジ
カルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイ
ソフタル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙
げられ、これらのエステル形成誘導体も使用できる。エ
ステル形成誘導体としては、低級アルキルエステルやア
リールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等が挙
げられる。そして、特に、ポリエステル樹脂(B)を構
成する酸成分のうち40[モル%]以上がイソフタル酸
単位および/またはフタル酸単位であることが好まし
い。酸成分中の芳香族ジカルボン酸単位が80[モル
%]未満であると、ポリエステル樹脂(B)の屈折率が
低下して、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の透明
性も低下する。芳香族ジカルボン酸単位以外の二塩基酸
単位としては、脂肪族ジカルボン酸単位が挙げられ、具
体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジオン酸、ダイマー酸、1,3もしくは1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン
酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等、また
はこれらのエステル形成誘導体が挙げられる。
【0021】本発明のポリエステル樹脂(B)を構成す
るアルコール成分には、エチレングリコール単位が含ま
れ、その他にはジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、ダイマージオール、シクロヘキサンジオール、シ
クロヘキサンジメタノール、1,1−ビス(4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘキサン、4,
4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,
2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロ
パン等が構成単位として含まれていてもよい。
【0022】そして、本発明で使用されるポリエステル
樹脂(B)においては、酸成分中における芳香族ジカル
ボン酸単位以外の二塩基酸単位のモル分率と、アルコー
ル成分中におけるエチレングリコール単位以外の二酸塩
基単位のモル分率の和が50[モル%]以下である。こ
れらのモル分率の和を、特にこのような範囲とすること
によって、ポリエステル樹脂(B)の屈折率の低下を抑
制して、その透明性を維持することができる。
【0023】さらに、本発明で使用されるポリエステル
樹脂(B)の酸成分および/またはアルコール成分には
構成成分として多価成分が含まれ、酸成分に含まれる多
価成分のモル分率と、アルコール成分に含まれる多価成
分のモル分率との和が0.05〜3[モル%]の範囲であ
る。すなわち、酸成分に多価カルボン酸単位が0.05
〜3[モル%]含まれる場合、または、アルコール成分
に多価アルコール単位が0.05〜3[モル%]含まれ
る場合、酸成分に含まれる多価成分のモル分率とアルコ
ール成分に含まれる多価成分のモル分率の和が0.05
〜3[モル%]である場合がある。ここで3価以上の多
価カルボン酸の具体例としてはトリメリット酸、ピロメ
リット酸及びこれらの無水物等の多価カルボン酸などが
挙げられ、3価以上の多価アルコールとしてはトリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等
が挙げられる。これら3価以上のカルボン酸および3価
以上のアルコールが上記の範囲内で含まれると、ポリエ
ステル樹脂(B)の構造に枝分かれが生じ、その結果、
最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、靱性、
耐衝撃性などの性能バランスがより優れる。
【0024】酸成分に含まれる多価成分のモル分率と、
アルコール成分に含まれる多価成分のモル分率との和が
0.05[モル%]未満では、これらを使用することに
よる効果が十分に発現せず、3[モル%]を超えると、
ゲル化によりポリエステル樹脂(B)を製造する反応の
制御が難しくなる。より好ましくは、0.1〜2[モル
%]の範囲である。なお、好適な多価成分の量はポリエ
ステル樹脂(B)の分子量にも依存する。特にポリエス
テル樹脂(B)一分子に対して平均0.2個〜2個の三
価ないし四価の多価カルボン酸または多価アルコールを
構成単位として含有する場合には、ポリエステル樹脂
(B)の流動性が効率よく向上し、または、最終的に得
られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が安定に発現す
る。ポリエステル樹脂(B)のおおよその分子量はゲル
パーミュエーションクロマトグラフィによって測定で
き、求められた数平均分子量と多価成分量使用量から一
分子あたりの多価成分個数を簡便に算出することができ
る。枝分かれにより性能バランスをさらに高める効果は
ポリエステル樹脂(B)一分子あたりの多価成分量が
0.2個以上のときに明確となるが、一分子あたり2個
以上の多価成分を導入するとポリエステル樹脂(B)製
造において重合末期の時粘度上昇が急激となり、再現性
よく製造することが比較的難しくなる傾向にある。
【0025】ポリエステル樹脂(B)は、公知の直接重
合法やエステル交換法等により製造できる。エステル化
反応またはエステル交換反応には、必要に応じてチタン
ブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネシウ
ム、酢酸マンガン等の通常使用されるエステル化触媒ま
たはエステル交換触媒を使用することができる。エステ
ル化反応またはエステル交換反応後には、常法に従って
該反応で生じた水またはアルコールを除去する。重合反
応は、圧力20kPa以下の真空下でジオール成分を留
出除去させながら重合を行うことが好ましい。重合に際
しては通常公知の重合触媒、例えばチタンブトキサイ
ド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫
化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等を
用いることができる。また、重合温度、触媒量について
は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に設
定することができる。
【0026】また、ポリエステル樹脂(B)の末端カル
ボキシル基や末端水酸基は、他の末端基で置きかえても
よい。いわゆる末端封止と呼ばれる処理は、たとえばポ
リエステル樹脂(B)の重合時に適当量のモノカルボン
酸やモノアルコールを共存させることにより実施でき、
末端封止により熱可塑性樹脂(A)との溶融混合時に生
じるエステル交換を抑制する効果が期待できる。本発明
で用いるポリエステル樹脂(B)の分子量が10000
以下である場合やポリエステル樹脂(B)中の多官能成
分量が2[モル%]以上である場合などに末端封止を行
うと、過度のエステル交換を抑制でき、たとえ高温長時
間の熱履歴を受けた場合でも、最終的に得られる熱可塑
性樹脂組成物の性能バランスを安定に保つことができ
る。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物における熱可
塑性樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の配合比は、
熱可塑性樹脂(A)が70〜99質量%で、ポリエステ
ル樹脂(B)が1〜30質量%の範囲である。ポリエス
テル樹脂(B)が1質量%未満では、熱可塑性樹脂
(A)の流動性を十分に改質できす、30質量%を超え
ると、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、靱
性、耐久性などが低下する。
【0028】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物におい
ては、熱可塑性樹脂(A)の屈折率aとポリエステル樹
脂(B)の屈折率bは下記式1を満足することが必要で
ある。 |a−b|≦0.029…(式1) なお、ここで屈折率は室温で測定した値である。熱可塑
性樹脂(A)の屈折率aとポリエステル樹脂(B)の屈
折率bとの差が0.029を超える場合には、熱可塑性
樹脂組成物が不透明となって用途が制限され、工業的な
利用価値が著しく低下する。熱可塑性樹脂組成物の透明
性の維持をより確実にするためには、熱可塑性樹脂
(A)の屈折率aとポリエステル樹脂(B)の屈折率b
との差は0.015以下が好ましく、さらに好ましくは
0.005以下であり、最も好ましくは0.002以下
である。
【0029】また、熱可塑性樹脂(A)の溶融粘度Ca
(Pa・s)とポリエステル樹脂(B)の溶融粘度Cb
は下記式2を満足することが必要である。 Cb<0.4×Ca …(式2) なお、溶融粘度CaおよびCbは270℃、せん断速度
1200(1/秒)で測定した値である。ポリエステル
樹脂(B)の溶融粘度Cbが熱可塑性樹脂(A)の溶融
粘度Caの0.4倍以上であると、熱可塑性樹脂(A)
の流動性を改善する効果が小さく、機械的強度などの実
用特性と流動性との高度なバランスが得られない。好ま
しくは、ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度Cbは熱可
塑性樹脂(A)の溶融粘度Caの0.2倍以下である。
ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度Cbが熱可塑性樹脂
(A)の溶融粘度Caの0.2倍以下であると、熱可塑
性樹脂組成物の流動性がより高まり、優れた流動性と機
械特性とが非常にバランス良く発現する。例えば、リサ
イクルPETを熱可塑性樹脂(A)として使用する場合
には、多くの場合ポリエステル樹脂(B)が熱可塑性樹
脂(A)よりも高価となるので、経済的にはポリエステ
ル樹脂(B)の使用量を低下させることが好ましくな
る。このような場合、ポリエステル樹脂(B)の溶融粘
度Cbが熱可塑性樹脂(A)の溶融粘度Caの0.2倍
以下であれば、ポリエステル樹脂(B)の量を20質量
%以下としても十分に流動性の優れた熱可塑性樹脂組成
物が得られる。さらに好ましくは、ポリエステル樹脂
(B)の溶融粘度Cbは熱可塑性樹脂(A)の溶融粘度
のCaの0.1倍以下である。このような場合、ポリエ
ステル樹脂(B)の含有量が熱可塑性樹脂組成物中、1
5質量%以下であっても、熱可塑性樹脂組成物は非常に
優れた流動性を発現するうえ、耐熱性や機械特性も高く
維持でき、これら特性バランスがより優れたものとな
る。
【0030】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物におい
て、熱可塑性樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とは
非相溶であることが好ましく、熱可塑性樹脂(A)の連
続相中にポリエステル樹脂(B)粒子が分散している場
合に、特に機械特性と流動性とがともに優れたものとな
る。熱可塑性樹脂(A)の連続相中におけるポリエステ
ル(B)粒子の大きさは、混練条件や成型条件などによ
って変動する場合があり特に制限はないが、押出ストラ
ンドや成型試験片において、ポリエステル(B)の粒子
径が0.02〜5μmの範囲であることが好ましい。粒
子径が0.02μm未満では、熱可塑性樹脂(A)の流
動性を十分に改善できない場合があり、5μmよりも大
きいと、熱可塑性樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)
の相溶性が不十分となり、熱可塑性樹脂組成物の機械的
強度、靱性の低下をきたす恐れがある。さらに好ましく
は、ポリエステル(B)の粒子径は0.02〜2μmの
範囲である。このような場合、熱可塑性樹脂組成物の流
動性と機械的強度、靱性とがともに優れ、これらのバラ
ンスも最適となる。熱可塑性樹脂(A)相とポリエステ
ル樹脂(B)相との状態は、例えば、溶融賦形後の熱可
塑性樹脂組成物を透過型電子顕微鏡で観察することによ
って確認できる。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を混合するこ
とによって得られるが、混合方法には特に制限はなく、
樹脂同士を混合する場合に通常使用する公知の方法で、
全体として実質的に均一になるように混合すればよい。
例えば、溶融混合法を採用する場合、溶融押出機を用い
て200〜300℃で溶融混合すればよい。溶融押出機
としては、例えば単軸スクリュー押出機、二軸押出機、
多層押出機を用いることができる。また、場合によって
は混錬の手間を省略して、押出成形機や射出成形機など
により溶融混合と成形を同時に行うことも可能であり、
これらは成形機のスクリュー構成や成形品の用途などに
応じて適宜判断できる。熱可塑性樹脂組成物の製造にお
いては、熱可塑性樹脂(A)の一部とポリエステル樹脂
(B)を混合してマスターバッチとし、ついで残りの熱
可塑性樹脂(A)を混合してもよい。また、熱可塑性樹
脂組成物には、上記の熱可塑性樹脂(A)およびポリエ
ステル樹脂(B)以外に、所望により他の樹脂を混合し
てもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、特
定の性能を付与するために各種添加剤もしくは充填剤を
配合することもできる。添加剤および充填剤の例として
は、ガラス繊維、炭素繊維等の強化用繊維、シリカ、タ
ルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チ
タン、カーボンブラック等の顔料、紫外線吸収剤、離型
剤、難燃剤等が挙げられる。
【0032】このような熱可塑性樹脂組成物は、機械特
性、特に耐衝撃性、靭性が高く、かつ、流動性にも優
れ、また、ブリードアウトの発生や、耐熱性、耐久性に
も優れ、しかも安価である。よって熱可塑性樹脂組成物
は、特にしきり板、パネル、ケース、カップなど薄肉成
形品用途や、特にリサイクルポリエステルを用いたゴミ
箱、パレットなど大型成形品等に用いる射出成形用材料
として極めて有用である。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明す
る。なお、例中の部は特に説明のない限り質量部を表
す。 [参考例]実施例および比較例では、以下の熱可塑性樹
脂(A1)〜(A4)を用いた。 熱可塑性樹脂(A1):ジカルボン酸単位がテレフタ
ル酸からなり、ジオール単位が67[モル%]のエチレ
ングリコールと33[モル%]の1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールからなり、屈折率が1.560であるポ
リエステル共重合体 熱可塑性樹脂(A2):屈折率が1.584であるビ
スフェノールA型ポリカーボネート 熱可塑性樹脂(A3):テレフタル酸、エチレングリ
コールからなり、屈折率が1.575であるポリエチレ
ンテレフタレート 熱可塑性樹脂(A4):イソフタル酸39.9[モル
%]、ドデカンジカルボン酸8.9[モル%](以上ジ
カルボン酸成分)、ヘキサメチレンジアミン26.1
[モル%]、ビス(3−メチル−4−アミノ−シクロヘ
キシル)メタン25.1[モル%](以上ジアミン成
分)からなり、屈折率が1.535である脂環式透明ナ
イロン
【0034】これら熱可塑性樹脂の数平均分子量、溶融
粘度を測定した。結果をまとめて表1に示す。なお、数
平均分子量は、東ソー製ゲル浸透クロマトグラフにて溶
媒としてクロロホルムを用いて標準ポリスチレン換算に
より求めた。また、溶融粘度Cは東洋精機製作所製キャ
ピログラフを使用し、直径1mm、L/D=10のオリ
フィスを用いて、270℃、せん断速度1200(1/
秒)で押出した際の値を測定した。
【0035】[製造例1] [ポリエステル樹脂(B1)の合成]フタル酸成分30
[モル%]およびイソフタル酸成分70[モル%]から
なる酸成分(ジカルボン酸成分)と、トリメチロールプ
ロパン1.5[モル%]およびエチレングリコール9
8.5[モル%]からなるアルコール成分(ジオール成
分)と、三酸化アンチモン触媒500ppmを用いて、
280℃での減圧溶融重合によりポリエステル樹脂(B
1)を得た。ポリエステル樹脂(B1)の数平均分子
量、溶融粘度、屈折率を表2に示す。なお、数平均分子
量および溶融粘度は、上記参考例と同様にして求めた。
屈折率は、熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂をそれぞれ
単独に加熱して成形が可能な温度で軟化または溶融させ
てプレス成形し、急速に冷却固化し薄い平板とした。こ
れをアタゴ社製アッベ屈折率計を用いてJIS K71
05に準拠して求めた。結果を表2に示す。
【0036】[製造例2〜5] [ポリエステル樹脂(B2)〜(B5)の合成]製造例
1と同様の方法を用い、表2に示すような組成でポリエ
ステル樹脂(B2)〜(B5)を得て、製造例1と同様
にして、これらの数平均分子量、溶融粘度、屈折率を求
めた。結果を表2に示す。
【0037】[実施例1]ポリエステル樹脂(B1)1
0部と、熱可塑性樹脂(A1)90部と、トリエチルホ
スフィン0.1部を混合して2軸押し出し機に供給し、
260℃で溶融混練して表3に示すポリエステル樹脂組
成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の透明性
を評価するとともに、溶融粘度、Iz衝撃強度を測定し
た。その結果を表3に示す。なお、Iz衝撃強度は、A
STM D256に準拠して測定した。試験片の成形に
は射出成形機を用い、シリンダー温度260℃、金型温
度10℃にて行い、成形後2週間が経過したものについ
てIz衝撃強度を測定した。そして、射出成形された試
験片の透過型電子顕微鏡観察により、ポリエステル(A
1)の連続相中にポリエステル樹脂(B1)粒子が分散
していることが確認でき、その粒子径の分布は0.03
μm〜2.0μmの範囲であった。また、透明性の評価
は射出成形機を用い、シリンダー温度260℃、金型温
度10℃にて厚さ1.6mmの板状試験片を作成して目
視によりヘイズ値の測定を行った。ヘイズ値が10未満
を透明(表中記号;○)、10以上を不透明(表中記
号;×)とした。溶融粘度は参考例と同様にして求め
た。
【0038】[実施例2〜4]表3に示す割合で実施例
1と同様にして、ポリエステル樹脂(B1)〜(B2)
と表1に示す熱可塑性樹脂(A1)〜(A4)を溶融混
練した。実施例1と同様にして、得られたポリエステル
樹脂組成物の透明性を評価するとともに、溶融粘度C、
Iz衝撃強度を測定した。その結果を表3に示す。また
射出成形された試験片の透過型電子顕微鏡観察により、
各熱可塑性樹脂の連続相中に各ポリエステル樹脂粒子が
分散していることが確認でき、その粒子径の分布は0.
03μm〜2.0μmの範囲であった。
【0039】[比較例1〜3]表3に示す割合で実施例
1と同様にして、ポリエステル樹脂(B3)〜(B5)
と表1に示す熱可塑性樹脂(A3)を溶融混練した。実
施例1と同様にして、得られたポリエステル樹脂組成物
の透明性を評価するとともに、溶融粘度C、Iz衝撃強
度を測定した。その結果を表3に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】このように、実施例1〜4で得られた熱可
塑性樹脂組成物は、透明性に優れ、高い流動性を有し、
かつ、機械的強度(Iz衝撃強度)も優れていた。一
方、構成単位にエチレングリコールを有さないポリエス
テル樹脂(B3)と熱可塑性樹脂(A3)からなる比較
例1の熱可塑性樹脂組成物は、屈折率の差|a−b|が
0.029を超え、流動性と強度は優れているものの透
明性が低かった。数平均分子量が2000のポリエステ
ル樹脂(B4)を使用した比較例2の熱可塑性樹脂組成
物は流動性は良いものの機械的強度が低かった。また、
溶融粘度が200Pa・sを超えるポリエステル樹脂
(B5)を使用した比較例3の熱可塑性樹脂樹脂組成物
は、機械的強度は優れているが流動性が低かった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば機
械特性、特に耐衝撃性および靭性が高く、かつ、流動性
にも優れ、また、ブリードアウトの発生や、耐熱性、耐
久性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を、低コストで得る
ことができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に、
しきり板、パネル、ケース、カップなど薄肉成形品用途
や、特にリサイクルポリエステルを用いたゴミ箱、パレ
ットなど大型成形品等に用いる射出成形用材料として極
めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二井 建 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 CF032 CF042 CF082 CF112 CF182 CG011 CG021 CL011 CL031 CL051 FD010 FD050 GC00 GG00 GT00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量が18000以上で、か
    つ、270℃での溶融粘度が200Pa・s以上の熱可
    塑性樹脂(A)70〜99質量%と、 数平均分子量が3000以上で、かつ、270℃での溶
    融粘度が200Pa・s未満であるポリエステル樹脂
    (B)1〜30質量%とを含む熱可塑性樹脂組成物であ
    り、 ポリエステル樹脂(B)は、芳香族ジカルボン酸単位を
    80〜100[モル%]含む酸成分と、エチレングリコー
    ル単位を含むアルコール成分とからなり、酸成分中の芳
    香族ジカルボン酸単位以外の二塩基酸単位のモル分率
    と、アルコール成分中のエチレングリコール単位以外の
    二酸塩基単位のモル分率との和が50[モル%]以下で
    あって、さらに酸成分に含まれる多価成分のモル分率
    と、アルコール成分に含まれる多価成分のモル分率との
    和が0.05〜3[モル%]であり、 熱可塑性樹脂(A)の屈折率aとポリエステル樹脂
    (B)の屈折率bが下記式1を満足し、かつ、熱可塑性
    樹脂(A)の溶融粘度Ca(Pa・s)とポリエステル
    樹脂(B)の溶融粘度Cbが下記式2を満足することを
    特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 |a−b|≦0.029…(式1) Cb<0.4×Ca…(式2) (ただし、式2において溶融粘度CaおよびCbは27
    0℃、せん断速度1200(1/秒)で測定した値とす
    る。)
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂(B)を構成する酸成
    分のうち40[モル%]以上がイソフタル酸単位および
    /またはフタル酸単位であることを特徴とする請求項1
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(A)とポリエステル樹脂
    (B)が非相溶であり、熱可塑性樹脂(A)の連続相中
    に粒子径0.02〜5μmのポリエステル樹脂(B)粒
    子が分散していることを特徴とする請求項1または2に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリカーボネー
    ト樹脂および/またはポリアミド樹脂であることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
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