JPH10220562A - 樹脂製プーリ - Google Patents
樹脂製プーリInfo
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- JPH10220562A JPH10220562A JP3694297A JP3694297A JPH10220562A JP H10220562 A JPH10220562 A JP H10220562A JP 3694297 A JP3694297 A JP 3694297A JP 3694297 A JP3694297 A JP 3694297A JP H10220562 A JPH10220562 A JP H10220562A
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- resin
- filler
- pulley
- rolling bearing
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 真円度に優れ、且つ温度変化に対しても破損
することのない樹脂製プーリを提供する。 【解決手段】 転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲
に該転がり軸受1と一体的に形成された樹脂部2とから
なる樹脂製プーリにおいて、充填剤が樹脂部2に含有さ
れると共に、充填剤の含有率が、重量%で50〜65%
とされている。
することのない樹脂製プーリを提供する。 【解決手段】 転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲
に該転がり軸受1と一体的に形成された樹脂部2とから
なる樹脂製プーリにおいて、充填剤が樹脂部2に含有さ
れると共に、充填剤の含有率が、重量%で50〜65%
とされている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂製プーリに関
し、より詳しくは自動車に搭載される補機類の駆動用ベ
ルトやその他のベルトのテンショナ用、或いはアイドラ
プーリ等として使用される樹脂製プーリに関する。
し、より詳しくは自動車に搭載される補機類の駆動用ベ
ルトやその他のベルトのテンショナ用、或いはアイドラ
プーリ等として使用される樹脂製プーリに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の補機類を駆動するベ
ルトの案内用プーリとして、転がり軸受の外周に樹脂を
一体成形してなる樹脂製プーリが採用されている。
ルトの案内用プーリとして、転がり軸受の外周に樹脂を
一体成形してなる樹脂製プーリが採用されている。
【0003】この種の樹脂製プーリは、射出成形用金型
内の所定位置に転がり軸受を配置し、該転がり軸受の外
輪外周部と前記射出成形用金型との間に画成される空間
部に溶融樹脂を流し込んで射出成形することにより製造
される。
内の所定位置に転がり軸受を配置し、該転がり軸受の外
輪外周部と前記射出成形用金型との間に画成される空間
部に溶融樹脂を流し込んで射出成形することにより製造
される。
【0004】該樹脂製プーリにおいては、ベルトを案内
する外周部の成形精度の向上が品質上最も重要とされて
おり、外周部の成形精度が悪いために真円度が不良とな
った場合は、ベルトの振れに起因する振動や異常音が駆
動時に発生する。
する外周部の成形精度の向上が品質上最も重要とされて
おり、外周部の成形精度が悪いために真円度が不良とな
った場合は、ベルトの振れに起因する振動や異常音が駆
動時に発生する。
【0005】そこで、このような真円度を高める技術と
して、射出成形時に溶融樹脂が流入するゲート(ピンポ
イントゲート)の配設位置を工夫して該溶融樹脂の金型
への流入を制御する一方、成形用に使用する樹脂材料と
してガラス繊維等の強化繊維を15〜40重量%程度充
填した強化ナイロン66、強化ナイロン610、強化ナ
イロン612、或いはポリフェニレンサルファイドとミ
ネラルの複合材料を使用したり、強化ガラス繊維として
ガラス繊維を43%含有した6ナイロン、66ナイロ
ン、11ナイロン、12ナイロン等のポリアミド樹脂を
使用した樹脂製プーリが提案されている(特開平7−6
3249号公報、特開平8−4883号公報)。
して、射出成形時に溶融樹脂が流入するゲート(ピンポ
イントゲート)の配設位置を工夫して該溶融樹脂の金型
への流入を制御する一方、成形用に使用する樹脂材料と
してガラス繊維等の強化繊維を15〜40重量%程度充
填した強化ナイロン66、強化ナイロン610、強化ナ
イロン612、或いはポリフェニレンサルファイドとミ
ネラルの複合材料を使用したり、強化ガラス繊維として
ガラス繊維を43%含有した6ナイロン、66ナイロ
ン、11ナイロン、12ナイロン等のポリアミド樹脂を
使用した樹脂製プーリが提案されている(特開平7−6
3249号公報、特開平8−4883号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
樹脂製プーリにおいては、上述の如く射出成形によって
製造されるため、高温状態から常温に冷却固化する際の
相変化によって成形収縮が生じる。そして、かかる成形
収縮によってベルトを案内する樹脂製プーリの真円度
(外径円筒度)が悪化するため、上記従来の樹脂製プー
リではベルトの振動や異常音の発生対策としては未だ充
分ではないという問題点があった。
樹脂製プーリにおいては、上述の如く射出成形によって
製造されるため、高温状態から常温に冷却固化する際の
相変化によって成形収縮が生じる。そして、かかる成形
収縮によってベルトを案内する樹脂製プーリの真円度
(外径円筒度)が悪化するため、上記従来の樹脂製プー
リではベルトの振動や異常音の発生対策としては未だ充
分ではないという問題点があった。
【0007】また、上記従来の樹脂製プーリは、上述の
ような成形収縮が生じるため、樹脂部と転がり軸受との
接触部には転がり軸受の外輪外周の接線方向に応力が残
留するが、樹脂の線膨張率と転がり軸受を構成する金属
の線膨張率とは相違するため、即ち、樹脂の線膨張率が
金属の線膨張率よりもはるかに大きいため、製造された
樹脂製プーリが低温雰囲気に晒された場合は前記応力が
増大し、その結果樹脂の破損を招来するという問題点が
あった。
ような成形収縮が生じるため、樹脂部と転がり軸受との
接触部には転がり軸受の外輪外周の接線方向に応力が残
留するが、樹脂の線膨張率と転がり軸受を構成する金属
の線膨張率とは相違するため、即ち、樹脂の線膨張率が
金属の線膨張率よりもはるかに大きいため、製造された
樹脂製プーリが低温雰囲気に晒された場合は前記応力が
増大し、その結果樹脂の破損を招来するという問題点が
あった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、真円度に優れ、かつ温度変化に対しても
破損することのない樹脂製プーリを提供することを目的
とする。
ものであって、真円度に優れ、かつ温度変化に対しても
破損することのない樹脂製プーリを提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る樹脂製プーリは、転がり軸受と、該転が
り軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形成された樹脂
部とからなる樹脂製プーリにおいて、充填剤が前記樹脂
部に含有されると共に、前記充填剤の含有率が、重量%
で50〜65%とされていることを特徴としている。
に本発明に係る樹脂製プーリは、転がり軸受と、該転が
り軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形成された樹脂
部とからなる樹脂製プーリにおいて、充填剤が前記樹脂
部に含有されると共に、前記充填剤の含有率が、重量%
で50〜65%とされていることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て詳説する。
て詳説する。
【0011】図1は本発明に係る樹脂製プーリの一実施
の形態を示す正面図、図2は図1のA−A断面図であ
る。
の形態を示す正面図、図2は図1のA−A断面図であ
る。
【0012】図1及び図2において、本樹脂製プーリ
は、転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲に該転がり
軸受と一体的に形成された樹脂部2とから構成されてい
る。
は、転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲に該転がり
軸受と一体的に形成された樹脂部2とから構成されてい
る。
【0013】樹脂部2は、具体的には、転がり軸受1の
外輪に固着された内径円筒部3と、ベルト案内面4を有
する外径円筒部5と、該外径円筒部5と前記内径円筒部
3との間に形成された円板部6とを有し、さらに、該円
板部6には多数のリブ7…が放射状に形成されている。
また、内径円筒部3には所定ピッチ円で等間隔でもって
多数のゲート8…が形成されており、これらゲート8…
に溶融樹脂が流し込まれ、射出成形により本樹脂製プー
リの製造がなされる。
外輪に固着された内径円筒部3と、ベルト案内面4を有
する外径円筒部5と、該外径円筒部5と前記内径円筒部
3との間に形成された円板部6とを有し、さらに、該円
板部6には多数のリブ7…が放射状に形成されている。
また、内径円筒部3には所定ピッチ円で等間隔でもって
多数のゲート8…が形成されており、これらゲート8…
に溶融樹脂が流し込まれ、射出成形により本樹脂製プー
リの製造がなされる。
【0014】しかして、上記樹脂部2には樹脂材料以外
に含有率が重量%で50〜65%の充填剤が含有されて
いる。
に含有率が重量%で50〜65%の充填剤が含有されて
いる。
【0015】すなわち、上述の如く射出成形されて得ら
れる樹脂製プーリにおいては、駆動時におけるベルトの
振れに起因した振動発生を抑制して騒音を低減するため
にはベルトを案内する外径円筒部5の真円度(プーリ外
径円筒度)が良好であることが求められる。
れる樹脂製プーリにおいては、駆動時におけるベルトの
振れに起因した振動発生を抑制して騒音を低減するため
にはベルトを案内する外径円筒部5の真円度(プーリ外
径円筒度)が良好であることが求められる。
【0016】そこで、本願出願人が鋭意研究した結果、
真円度、すなわち外径円筒部5の精度が充填剤の含有率
に略比例し、また充填剤の含有率と成形時に収縮する成
形収縮率とは相関関係にあることが判明した。
真円度、すなわち外径円筒部5の精度が充填剤の含有率
に略比例し、また充填剤の含有率と成形時に収縮する成
形収縮率とは相関関係にあることが判明した。
【0017】つまり、成形収縮は、主として樹脂材料が
溶融温度近傍の高温状態から常温に冷却されるときの相
変化に起因する体積収縮によって生じるが、この場合、
樹脂部2に樹脂材料以外の充填剤を含有させることによ
り、充填剤に補強効果が生じ、その結果、樹脂材料の収
縮を抑制して成形精度の向上を図ることができることが
判明した。
溶融温度近傍の高温状態から常温に冷却されるときの相
変化に起因する体積収縮によって生じるが、この場合、
樹脂部2に樹脂材料以外の充填剤を含有させることによ
り、充填剤に補強効果が生じ、その結果、樹脂材料の収
縮を抑制して成形精度の向上を図ることができることが
判明した。
【0018】次に、上記充填剤の含有率を重量%で50
〜65%とした臨界的意義について説明する。
〜65%とした臨界的意義について説明する。
【0019】上述のように充填剤を樹脂部2に含有させ
ると成形精度の向上を図ることができるが、含有率が5
0重量%未満であると充填剤の補強効果が不足して成形
精度が悪化し、プーリ外径円筒度が著しく悪くなるた
め、含有率は少なくとも50%以上は必要である。
ると成形精度の向上を図ることができるが、含有率が5
0重量%未満であると充填剤の補強効果が不足して成形
精度が悪化し、プーリ外径円筒度が著しく悪くなるた
め、含有率は少なくとも50%以上は必要である。
【0020】一方、充填剤の含有率が65%を超えると
射出成形時の流動性低下により、ゲート8とゲート8の
間に形成されるウェルド部での配向や歪みが大きくなっ
て円環引張強度が低下したりヒートサイクル性の悪化を
招来する。特に、この場合、一種の応力集中が生じてウ
ェルド部の強度が低下し、樹脂部2を破壊してしまう虞
がある。
射出成形時の流動性低下により、ゲート8とゲート8の
間に形成されるウェルド部での配向や歪みが大きくなっ
て円環引張強度が低下したりヒートサイクル性の悪化を
招来する。特に、この場合、一種の応力集中が生じてウ
ェルド部の強度が低下し、樹脂部2を破壊してしまう虞
がある。
【0021】そこで、本実施の形態では充填剤の含有率
を重量%で50〜65%に限定した。すなわち、充填剤
の含有率が50〜65%とされた樹脂製プーリは、プー
リ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率も7.4×1
0-3以下となり、また円環引張強度も960kgf/cm2 と
なって、真円度に優れ、かつ温度変化に対しても破損す
ることのない機械的強度にも優れたものとなる。尚、真
円度及び機械的強度の双方をより満足させるためには、
プーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率が7.5
×10-3以下、円環引張強度が960kgf/cm2 以上であ
るのが好ましく、そのためには充填剤の含有率は50〜
65%が好ましい。
を重量%で50〜65%に限定した。すなわち、充填剤
の含有率が50〜65%とされた樹脂製プーリは、プー
リ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率も7.4×1
0-3以下となり、また円環引張強度も960kgf/cm2 と
なって、真円度に優れ、かつ温度変化に対しても破損す
ることのない機械的強度にも優れたものとなる。尚、真
円度及び機械的強度の双方をより満足させるためには、
プーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率が7.5
×10-3以下、円環引張強度が960kgf/cm2 以上であ
るのが好ましく、そのためには充填剤の含有率は50〜
65%が好ましい。
【0022】また、樹脂材料としては、靱性に優れた直
鎖状ポリフェニレンサルフィド(以下、「L−PPS」
という)、66ナイロン、46ナイロンや或いは分枝状
のポリフェニレンサルフィド(PPS)を使用すること
ができる。
鎖状ポリフェニレンサルフィド(以下、「L−PPS」
という)、66ナイロン、46ナイロンや或いは分枝状
のポリフェニレンサルフィド(PPS)を使用すること
ができる。
【0023】また、充填剤としては、繊維系充填剤、粒
子状充填剤を使用することができる。具体的には、繊維
系充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミ
ド繊維、チタン酸カルシウムウィスカを使用することが
でき、粒子状充填剤としては、シリカ(SiO2 )やア
ルミナ(Al2O3 )の粒子、炭酸カルシウム(CaC
O3 )、タルク、マイカ、グラファイト、金属粉末等を
使用することができる。さらに、上記充填剤は、夫々単
独に使用してもよいが、繊維系充填剤と粒子状充填剤と
を組合わせた場合は、成形収縮による樹脂の異方性を抑
制し、且つ繊維により機械的な強度を保持することがで
きることから、繊維系充填剤と粒子状充填剤とを組合わ
せて使用するのが好ましい。
子状充填剤を使用することができる。具体的には、繊維
系充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミ
ド繊維、チタン酸カルシウムウィスカを使用することが
でき、粒子状充填剤としては、シリカ(SiO2 )やア
ルミナ(Al2O3 )の粒子、炭酸カルシウム(CaC
O3 )、タルク、マイカ、グラファイト、金属粉末等を
使用することができる。さらに、上記充填剤は、夫々単
独に使用してもよいが、繊維系充填剤と粒子状充填剤と
を組合わせた場合は、成形収縮による樹脂の異方性を抑
制し、且つ繊維により機械的な強度を保持することがで
きることから、繊維系充填剤と粒子状充填剤とを組合わ
せて使用するのが好ましい。
【0024】尚、樹脂材料及び充填剤としては、その他
にも使用をすることができるものがあり得ると考えられ
るが、自動車の補機類駆動用として使用するためには耐
熱性を有する樹脂材料が好ましく、UL規格(長期耐
熱)に規定する温度指数が少なくとも100℃以上であ
ることが好ましい。
にも使用をすることができるものがあり得ると考えられ
るが、自動車の補機類駆動用として使用するためには耐
熱性を有する樹脂材料が好ましく、UL規格(長期耐
熱)に規定する温度指数が少なくとも100℃以上であ
ることが好ましい。
【0025】また、高速に回転するベルトの案内やテン
ショナ用として使用する場合は、ベルトと樹脂部2との
間で生じる摩擦熱や転がり軸受1から発生する熱を効率
良く放熱させる必要があることから、熱伝導率の高いカ
ーボン系充填剤やアルミナ等のセラミック系充填剤、金
属系充填剤を使用するのが好ましく、充填剤と樹脂材料
との密着性を向上させるためには適宜シランカップリン
グ剤等の添加剤を添加するのも好ましい。
ショナ用として使用する場合は、ベルトと樹脂部2との
間で生じる摩擦熱や転がり軸受1から発生する熱を効率
良く放熱させる必要があることから、熱伝導率の高いカ
ーボン系充填剤やアルミナ等のセラミック系充填剤、金
属系充填剤を使用するのが好ましく、充填剤と樹脂材料
との密着性を向上させるためには適宜シランカップリン
グ剤等の添加剤を添加するのも好ましい。
【0026】
【実施例】次に、本発明の実施例について具体的に説明
する。
する。
【0027】〔第1の実施例〕本第1の実施例では、樹
脂材料としてL−PPS(商品名「フォートロンKP
S」;呉羽化学工業(株)製)を使用し、充填剤として
はガラス繊維(商品名「FESグレード」;富士ファイ
バーグラス(株)製)、シリカ(商品名「ニプシー
ル」;日本シリカ工業(株)製)、炭酸カルシウム(商
品名「ソフトン」;備北粉化工業(株)製)を使用し
た。すなわち、所定量のL−PPS、ガラス繊維、シリ
カ及び炭酸カルシウムを計測した後、これら樹脂材料及
び充填剤をヘンシェルミキサで混合して混合粉末を作製
し、次いで該混合粉末を二軸押出機(池貝鉄工(株)
製)に投入して所定条件下で混練、造粒し、ペレット状
の樹脂組成物を得た。
脂材料としてL−PPS(商品名「フォートロンKP
S」;呉羽化学工業(株)製)を使用し、充填剤として
はガラス繊維(商品名「FESグレード」;富士ファイ
バーグラス(株)製)、シリカ(商品名「ニプシー
ル」;日本シリカ工業(株)製)、炭酸カルシウム(商
品名「ソフトン」;備北粉化工業(株)製)を使用し
た。すなわち、所定量のL−PPS、ガラス繊維、シリ
カ及び炭酸カルシウムを計測した後、これら樹脂材料及
び充填剤をヘンシェルミキサで混合して混合粉末を作製
し、次いで該混合粉末を二軸押出機(池貝鉄工(株)
製)に投入して所定条件下で混練、造粒し、ペレット状
の樹脂組成物を得た。
【0028】次いで、樹脂製プーリ成形用金型(以下、
単に「金型」と略す。)を射出成形機に取り付け、前記
金型を開き、余熱した転がり軸受を該金型の所定位置に
装着した後、型締めを行ない、しかる後、転がり軸受の
外輪と金型との間に形成される空間部に溶融した前記樹
脂組成物を射出する。そしてその後、溶融樹脂組成物を
冷却して固化させた後、金型を開き、成形品を取り出し
て樹脂製プーリを得た。
単に「金型」と略す。)を射出成形機に取り付け、前記
金型を開き、余熱した転がり軸受を該金型の所定位置に
装着した後、型締めを行ない、しかる後、転がり軸受の
外輪と金型との間に形成される空間部に溶融した前記樹
脂組成物を射出する。そしてその後、溶融樹脂組成物を
冷却して固化させた後、金型を開き、成形品を取り出し
て樹脂製プーリを得た。
【0029】本第1の実施例における成形条件は以下の
通りである。
通りである。
【0030】樹脂溶融温度(℃):310〜325 金型温度(℃):140〜150 射出圧力(MPa):90〜120 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
プーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収
縮率、円環引張強度を測定した。
プーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収
縮率、円環引張強度を測定した。
【0031】表1は各樹脂材料及び充填剤の成分組成と
プーリ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例1
〜4は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例51、52は充填剤の重
量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測
定結果を示す。
プーリ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例1
〜4は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例51、52は充填剤の重
量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測
定結果を示す。
【0032】
【表1】 次に、上述したプーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイク
ル試験、成形収縮率、円環引張強度の測定方法について
説明する。
ル試験、成形収縮率、円環引張強度の測定方法について
説明する。
【0033】プーリ外径円筒度 製造された樹脂製プーリの真円度を評価するために実施
例1〜4及び比較例51、52のプーリ外径円筒度を測
定した。具体的には、図3に示すように、樹脂製プーリ
のベルト案内面の形状を測定し、数式(1)によりプー
リ外径円筒度Pを算出した。
例1〜4及び比較例51、52のプーリ外径円筒度を測
定した。具体的には、図3に示すように、樹脂製プーリ
のベルト案内面の形状を測定し、数式(1)によりプー
リ外径円筒度Pを算出した。
【0034】P=(D−d)/2 …(1) ここで、Dは樹脂製プーリの外接円直径D、dは樹脂製
プーリの内接円直径を示す。
プーリの内接円直径を示す。
【0035】騒音 実施例1〜4及び比較例51、52の樹脂製プーリを回
転数8000rpmで回転させてその時のベルトの振れ
と騒音状態を観察した。ベルトの振れは視認により評価
し、騒音状態は聴覚でもって判断し、評価した。
転数8000rpmで回転させてその時のベルトの振れ
と騒音状態を観察した。ベルトの振れは視認により評価
し、騒音状態は聴覚でもって判断し、評価した。
【0036】ヒートサイクル試験 実施例1〜4及び比較例51、52の樹脂製プーリを恒
温槽の中に入れ、図4に示すヒートサイクルでもって−
20〜120℃の間を1サイクルとし、該サイクルを2
0回繰り返して樹脂製プーリの外観を観察した。すなわ
ち、1サイクルを8時間とし、最初の2時間は恒温槽を
−20℃に設定し、次いで恒温槽の温度を120℃まで
徐々に昇温させ、次いで恒温槽の温度を2時間の間12
0℃に保持した後、該恒温槽の温度を徐々に−20℃ま
で冷却する。そして、かかるサイクルを20回繰り返し
た後、試験品となった樹脂製プーリの外観を観察した。
すなわち、該樹脂製プーリにクラック(割れ)が発生し
ていないか否かを調査し、前記クラックの発生の有無に
より製品の良否を判定した。
温槽の中に入れ、図4に示すヒートサイクルでもって−
20〜120℃の間を1サイクルとし、該サイクルを2
0回繰り返して樹脂製プーリの外観を観察した。すなわ
ち、1サイクルを8時間とし、最初の2時間は恒温槽を
−20℃に設定し、次いで恒温槽の温度を120℃まで
徐々に昇温させ、次いで恒温槽の温度を2時間の間12
0℃に保持した後、該恒温槽の温度を徐々に−20℃ま
で冷却する。そして、かかるサイクルを20回繰り返し
た後、試験品となった樹脂製プーリの外観を観察した。
すなわち、該樹脂製プーリにクラック(割れ)が発生し
ていないか否かを調査し、前記クラックの発生の有無に
より製品の良否を判定した。
【0037】成形収縮率 射出成形された樹脂の成形収縮率xを測定するために、
図5に示すような樹脂円筒体を製造した。すなわち、表
1に示す各組成を有する樹脂組成物を射出成形して、8
個のゲート12…を有する樹脂円筒体11を作製し、数
式(2)に基づいて成形収縮率xを算出した。
図5に示すような樹脂円筒体を製造した。すなわち、表
1に示す各組成を有する樹脂組成物を射出成形して、8
個のゲート12…を有する樹脂円筒体11を作製し、数
式(2)に基づいて成形収縮率xを算出した。
【0038】 x=((T−t)/T)×1000 …(2) ここで、Tは金型のコアピン外径寸法、tは樹脂円筒体
の内径寸法である。
の内径寸法である。
【0039】円環引張強度 図6及び図7に示すように、2分割された断面L字状の
第1及び第2の引張治具13a、13bを、前記成形収
縮率の測定に使用した樹脂円筒体11の内径部に挿入
し、次いで第1の引張治具13aを矢印E方向に、第2
の引張治具13bを矢印F方向に夫々引っ張り、樹脂円
筒体11の破壊強度を測定して円環引張強度を得た。
尚、樹脂円筒体11は、ゲート12とゲート12との間
に形成されるウェルド部14が最弱部分であるので、第
1及び第2の引張治具13a、13bの互いの対向面1
5a、15bと前記ウェルド部14とが水平方向に一直
線上となるように樹脂円筒体11をセットし、前記ウェ
ルド部14の破壊強度を測定した。
第1及び第2の引張治具13a、13bを、前記成形収
縮率の測定に使用した樹脂円筒体11の内径部に挿入
し、次いで第1の引張治具13aを矢印E方向に、第2
の引張治具13bを矢印F方向に夫々引っ張り、樹脂円
筒体11の破壊強度を測定して円環引張強度を得た。
尚、樹脂円筒体11は、ゲート12とゲート12との間
に形成されるウェルド部14が最弱部分であるので、第
1及び第2の引張治具13a、13bの互いの対向面1
5a、15bと前記ウェルド部14とが水平方向に一直
線上となるように樹脂円筒体11をセットし、前記ウェ
ルド部14の破壊強度を測定した。
【0040】表1から明らかなように、充填剤の含有率
が増加するに伴い、プーリ外径円筒度や成形収縮率が良
好な結果を得ることができ、また充填率の含有率と円環
引張強度との間にも相関関係があることが判る。そし
て、比較例51は充填剤の含有率が67%と高いため、
プーリ外径円筒度は9μmと良好な結果が得ることがで
きたが、円環引張強度が840kgf/cm2 と低下し、また
ヒートサイクル試験においてもクラックの発生が認めら
れた。これは充填剤の含有率が高すぎるためにウェルド
部14での配向、歪みが大きくなるためと考えられる。
また、比較例52は充填剤が45%と低いため、円環引
張強度やヒートサイクル試験においては良好な結果が得
られたが、充填剤の補強効果が不足しているため成形収
縮率が8.9×10-3と大きく、プーリ外径円筒度が9
7μmと真円度の悪化を招来し、駆動中のベルトの振れ
も激しく、騒音状態の悪化を招いた。
が増加するに伴い、プーリ外径円筒度や成形収縮率が良
好な結果を得ることができ、また充填率の含有率と円環
引張強度との間にも相関関係があることが判る。そし
て、比較例51は充填剤の含有率が67%と高いため、
プーリ外径円筒度は9μmと良好な結果が得ることがで
きたが、円環引張強度が840kgf/cm2 と低下し、また
ヒートサイクル試験においてもクラックの発生が認めら
れた。これは充填剤の含有率が高すぎるためにウェルド
部14での配向、歪みが大きくなるためと考えられる。
また、比較例52は充填剤が45%と低いため、円環引
張強度やヒートサイクル試験においては良好な結果が得
られたが、充填剤の補強効果が不足しているため成形収
縮率が8.9×10-3と大きく、プーリ外径円筒度が9
7μmと真円度の悪化を招来し、駆動中のベルトの振れ
も激しく、騒音状態の悪化を招いた。
【0041】一方、実施例1〜4は、充填剤の含有率が
重量%で50〜65%の範囲とされているので、騒音状
態、円環引張強度及びヒートサイクル試験のいずれにお
いても良好な結果が得られた。また、表1から少なくと
もプーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率が7.
4×10-3以下の場合に真円度に優れ、かつ温度変化に
対しても破損することのない樹脂製プーリを得ることの
できることが判る。
重量%で50〜65%の範囲とされているので、騒音状
態、円環引張強度及びヒートサイクル試験のいずれにお
いても良好な結果が得られた。また、表1から少なくと
もプーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率が7.
4×10-3以下の場合に真円度に優れ、かつ温度変化に
対しても破損することのない樹脂製プーリを得ることの
できることが判る。
【0042】尚、成形時には樹脂の収縮応力σpが生
じ、また金属製(例えば、SUJ2)の転がり軸受の線
膨張率αmと樹脂部を形成する樹脂の線膨張率αpの差
により射出後温度を下げたときには温度差応力σTが生
じる。そして、、収縮応力σpと温度差応力σTとを加
算した合計応力σが円環引張強度を超えたときに樹脂製
プーリは破壊するものと解される。
じ、また金属製(例えば、SUJ2)の転がり軸受の線
膨張率αmと樹脂部を形成する樹脂の線膨張率αpの差
により射出後温度を下げたときには温度差応力σTが生
じる。そして、、収縮応力σpと温度差応力σTとを加
算した合計応力σが円環引張強度を超えたときに樹脂製
プーリは破壊するものと解される。
【0043】そこで、本願出願人は、実施例4と比較例
51の成分組成を有する樹脂組成物を使用してダンベル
型引張試験片(JIS1号型)を作製し、(株)島津製
作所製のオートグラフを使用して引張弾性率Epを測定
し、さらに上記引張試験片から小片を切り出してセイコ
ー電子(株)製TMAにより樹脂の線膨張率αpを測定
し、その後、数式(3)、(4)、(5)に基づいて夫
々、収縮応力σp、温度差応力σT、合計応力σを算出
した。
51の成分組成を有する樹脂組成物を使用してダンベル
型引張試験片(JIS1号型)を作製し、(株)島津製
作所製のオートグラフを使用して引張弾性率Epを測定
し、さらに上記引張試験片から小片を切り出してセイコ
ー電子(株)製TMAにより樹脂の線膨張率αpを測定
し、その後、数式(3)、(4)、(5)に基づいて夫
々、収縮応力σp、温度差応力σT、合計応力σを算出
した。
【0044】 σp=(x/(1000−x))×Ep …(3) σT=ΔT×(αp−αm)×Ep …(4) σ=σp+σT …(5) ここで、ΔTは射出成形時の温度と冷却固化後の温度と
の温度差である。
の温度差である。
【0045】表2は各種応力等の測定結果を示す。
【0046】
【表2】 この表2より、実施例4の合計応力σは738kgf/cm2
であり、比較例51の合計応力σは729kgf/cm2 と算
出される。円環引張強度が840kgf/cm2 の比較例51
が破壊していることから合計応力σをほぼ推定すること
ができる。
であり、比較例51の合計応力σは729kgf/cm2 と算
出される。円環引張強度が840kgf/cm2 の比較例51
が破壊していることから合計応力σをほぼ推定すること
ができる。
【0047】〔第2の実施例〕樹脂材料として46ナイ
ロン(商品名「テイジンナイロン46」;帝人(株))
製)を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「F
ESグレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シ
リカ(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)
製)、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化
工業(株)製)を使用し、第1の実施例と同様に、樹脂
組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを製造し
た。
ロン(商品名「テイジンナイロン46」;帝人(株))
製)を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「F
ESグレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シ
リカ(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)
製)、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化
工業(株)製)を使用し、第1の実施例と同様に、樹脂
組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを製造し
た。
【0048】本第2の実施例における成形条件は以下の
通りである。
通りである。
【0049】樹脂溶融温度(℃):315〜325 金型温度(℃):120〜140 射出圧力(MPa):120〜140 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、
騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度
を測定した。
第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、
騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度
を測定した。
【0050】表3は各樹脂材料及び充填剤の組成とプー
リ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例11〜
14は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例61、62は充填剤の重
量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測
定結果を示す。
リ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例11〜
14は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例61、62は充填剤の重
量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測
定結果を示す。
【0051】
【表3】 表3中、比較例61は充填剤の含有率が67%と高いた
め、プーリ外径円筒度は26μmと良好な結果が得られ
たが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環
引張強度が950kgf/cm2 と低下し、ヒートサイクル試
験においてもクラックの発生が認められた。また、比較
例62は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒ
ートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、
充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度
が60μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招い
た。
め、プーリ外径円筒度は26μmと良好な結果が得られ
たが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環
引張強度が950kgf/cm2 と低下し、ヒートサイクル試
験においてもクラックの発生が認められた。また、比較
例62は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒ
ートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、
充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度
が60μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招い
た。
【0052】一方、実施例11〜14は、充填剤の含有
率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測
定結果はいずれも満足すべき結果が得られた。
率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測
定結果はいずれも満足すべき結果が得られた。
【0053】〔第3の実施例〕樹脂材料として66ナイ
ロン(商品名「ウルトラミッド」A4Hグレード;ビー
エーエスエフエンジニアリングプラスチック(株)製)
を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「FES
グレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シリカ
(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)製)、
炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化工業
(株)製)を使用し、第1及び第2の実施例と同様、樹
脂組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを製造し
た。
ロン(商品名「ウルトラミッド」A4Hグレード;ビー
エーエスエフエンジニアリングプラスチック(株)製)
を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「FES
グレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シリカ
(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)製)、
炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化工業
(株)製)を使用し、第1及び第2の実施例と同様、樹
脂組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを製造し
た。
【0054】本第3の実施例の成形条件は以下の通りで
ある。
ある。
【0055】樹脂溶融温度(℃):290〜305 金型温度(℃):90〜100 射出圧力(MPa):100〜110 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、
騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度
を測定した。
第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、
騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度
を測定した。
【0056】表4は各樹脂材料及び充填剤の組成とプー
リ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例21〜
24は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例71、72は充填剤の重
量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測
定結果を示す。
リ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例21〜
24は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例71、72は充填剤の重
量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測
定結果を示す。
【0057】
【表4】 表4中、比較例71は充填剤の含有率が67%と高いた
め、プーリ外径円筒度は18μmと良好な結果が得られ
たが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環
引張強度が890kgf/cm2 と低下し、ヒートサイクル試
験においてもクラックの発生が認められた。また、比較
例72は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒ
ートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、
充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度
が53μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招い
た。
め、プーリ外径円筒度は18μmと良好な結果が得られ
たが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環
引張強度が890kgf/cm2 と低下し、ヒートサイクル試
験においてもクラックの発生が認められた。また、比較
例72は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒ
ートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、
充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度
が53μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招い
た。
【0058】一方、実施例21〜24は、充填剤の含有
率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測
定結果についていずれも満足すべき結果が得られた。
率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測
定結果についていずれも満足すべき結果が得られた。
【0059】〔第4の実施例〕樹脂材料としてL−PP
S(商品名「フォートロンKPS」;呉羽化学工業
(株)製)を使用し、充填剤としてはカーボン繊維(商
品名「リノベス」;大阪ガス(株)製)、アルミナ(A
Sグレード;昭和電工(株)製)を使用し、実施例1及
び実施例2と同様に、樹脂組成物を得た後、射出成形し
て樹脂製プーリを作製した。
S(商品名「フォートロンKPS」;呉羽化学工業
(株)製)を使用し、充填剤としてはカーボン繊維(商
品名「リノベス」;大阪ガス(株)製)、アルミナ(A
Sグレード;昭和電工(株)製)を使用し、実施例1及
び実施例2と同様に、樹脂組成物を得た後、射出成形し
て樹脂製プーリを作製した。
【0060】本第4の実施例の成形条件は以下の通りで
ある。
ある。
【0061】樹脂溶融温度(℃):310〜325 金型温度(℃):140〜150 射出圧力(MPa):90〜120 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、
騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度
を測定した。
第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、
騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度
を測定した。
【0062】表5は各樹脂材料及び充填剤の組成とプー
リ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例31〜
34は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例81は充填剤の重量%が
50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測定結果
を示す。
リ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例31〜
34は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プ
ーリの測定結果を示し、比較例81は充填剤の重量%が
50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測定結果
を示す。
【0063】
【表5】 表5中、比較例81は充填剤の含有率が67%と高いた
め、プーリ外径円筒度は6μmと良好な結果が得られた
が、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環引
張強度が880kgf/cm2 と低下し、ヒートサイクル試験
においても割れが発生した。また、比較例82は充填剤
が40%と低いため、円環引張強度やヒートサイクル試
験においては良好な結果が得られたが、充填剤の補強効
果が不足しているためプーリ外径円筒度が67μmと真
円度が悪化し、騒音状態の悪化を招いた。
め、プーリ外径円筒度は6μmと良好な結果が得られた
が、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環引
張強度が880kgf/cm2 と低下し、ヒートサイクル試験
においても割れが発生した。また、比較例82は充填剤
が40%と低いため、円環引張強度やヒートサイクル試
験においては良好な結果が得られたが、充填剤の補強効
果が不足しているためプーリ外径円筒度が67μmと真
円度が悪化し、騒音状態の悪化を招いた。
【0064】一方、実施例31〜33は、充填剤の含有
率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測
定結果についていずれも満足すべき結果が得られた。
率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測
定結果についていずれも満足すべき結果が得られた。
【0065】図8〜図10は第1〜第4の実施例におけ
る測定結果を示した特性図である。○が第1の実施例の
測定結果、□は第2の実施例の測定結果、△は第3の実
施例の測定結果、◎は第4の実施例の測定結果を夫々示
す。
る測定結果を示した特性図である。○が第1の実施例の
測定結果、□は第2の実施例の測定結果、△は第3の実
施例の測定結果、◎は第4の実施例の測定結果を夫々示
す。
【0066】図8〜図10から明らかなように、樹脂部
2の充填率が50%〜65%の範囲内の樹脂製プーリ
は、プーリ外径円筒度が40μm以下となり(図8)、
また成形収縮率が7.4×10-3以下となり(図9)、
さらに円環引張強度が960kgf/cm2 以上となって(図
10)、良好な真円度を得ることができ、温度変化に対
しても破損することのない信頼性や耐久性の優れた樹脂
製プーリを得ることができることが判る。
2の充填率が50%〜65%の範囲内の樹脂製プーリ
は、プーリ外径円筒度が40μm以下となり(図8)、
また成形収縮率が7.4×10-3以下となり(図9)、
さらに円環引張強度が960kgf/cm2 以上となって(図
10)、良好な真円度を得ることができ、温度変化に対
しても破損することのない信頼性や耐久性の優れた樹脂
製プーリを得ることができることが判る。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、転がり軸
受と、該転がり軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形
成された樹脂部とからなる樹脂製プーリにおいて、充填
剤が前記樹脂部に含有されると共に、前記充填剤の含有
率が、重量%で50〜65%とされているので、真円度
に優れ、温度変化に対しても破損することのない機械的
強度に優れた信頼性及び耐久性の向上した樹脂製プーリ
を得ることができる。
受と、該転がり軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形
成された樹脂部とからなる樹脂製プーリにおいて、充填
剤が前記樹脂部に含有されると共に、前記充填剤の含有
率が、重量%で50〜65%とされているので、真円度
に優れ、温度変化に対しても破損することのない機械的
強度に優れた信頼性及び耐久性の向上した樹脂製プーリ
を得ることができる。
【図1】本発明に係る樹脂製プーリの一実施の形態を示
す正面図である。
す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】プーリ外径円筒度の測定方法を説明するための
説明図である。
説明図である。
【図4】ヒートサイクル試験の試験条件を示す時間−温
度特性図である。
度特性図である。
【図5】樹脂円筒体の正面図である。
【図6】樹脂円筒体の円環引張強度試験を説明するため
の説明図である。
の説明図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】充填剤含有率に対するプーリ外径円筒度の特性
図である。
図である。
【図9】充填剤含有率に対する成形収縮率の特性図であ
る。
る。
【図10】充填剤含有率に対する円環引張強度の特性図
である。
である。
1 転がり軸受 2 樹脂部
フロントページの続き (72)発明者 近藤 正 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 転がり軸受と、該転がり軸受の周囲に該
転がり軸受と一体的に形成された樹脂部とからなる樹脂
製プーリにおいて、 充填剤が前記樹脂部に含有されると共に、前記充填剤の
含有率が、重量%で50〜65%とされていることを特
徴とする樹脂製プーリ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3694297A JPH10220562A (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 樹脂製プーリ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3694297A JPH10220562A (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 樹脂製プーリ |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005157147A Division JP2005249211A (ja) | 2005-05-30 | 2005-05-30 | 樹脂製プーリ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10220562A true JPH10220562A (ja) | 1998-08-21 |
Family
ID=12483814
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3694297A Pending JPH10220562A (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 樹脂製プーリ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10220562A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008519090A (ja) * | 2004-11-03 | 2008-06-05 | エルケム アクシエセルスカプ | 高性能エンジニアリングプラスチックス及びエンジニアリングプラスチックス中で使用するための添加剤 |
-
1997
- 1997-02-06 JP JP3694297A patent/JPH10220562A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008519090A (ja) * | 2004-11-03 | 2008-06-05 | エルケム アクシエセルスカプ | 高性能エンジニアリングプラスチックス及びエンジニアリングプラスチックス中で使用するための添加剤 |
JP4880610B2 (ja) * | 2004-11-03 | 2012-02-22 | エルケム アクシエセルスカプ | 高性能エンジニアリングプラスチックス及びエンジニアリングプラスチックス中で使用するための添加剤 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
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