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JP2005249211A - 樹脂製プーリ - Google Patents

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JP2005249211A JP2005157147A JP2005157147A JP2005249211A JP 2005249211 A JP2005249211 A JP 2005249211A JP 2005157147 A JP2005157147 A JP 2005157147A JP 2005157147 A JP2005157147 A JP 2005157147A JP 2005249211 A JP2005249211 A JP 2005249211A
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Toshimi Takagi
敏己 高城
Magozo Hamamoto
孫三 浜本
Hiroyuki Yamashita
浩幸 山下
Tadashi Kondo
正 近藤
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Abstract

【課題】 真円度に優れ、且つ温度変化に対しても破損することのない樹脂製プーリを提供する。
【解決手段】 転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲に該転がり軸受1と一体的に形成された樹脂部2とからなる樹脂製プーリにおいて、充填剤が樹脂部2に含有されると共に、充填剤の含有率が、重量%で50〜65%とされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は樹脂製プーリに関し、より詳しくは自動車に搭載される補機類の駆動用ベルトやその他のベルトのテンショナ用、或いはアイドラプーリ等として使用される樹脂製プーリに関する。
従来より、自動車の補機類を駆動するベルトの案内用プーリとして、転がり軸受の外周に樹脂を一体成形してなる樹脂製プーリが採用されている。
この種の樹脂製プーリは、射出成形用金型内の所定位置に転がり軸受を配置し、該転がり軸受の外輪外周部と前記射出成形用金型との間に画成される空間部に溶融樹脂を流し込んで射出成形することにより製造される。
該樹脂製プーリにおいては、ベルトを案内する外周部の成形精度の向上が品質上最も重要とされており、外周部の成形精度が悪いために真円度が不良となった場合は、ベルトの振れに起因する振動や異常音が駆動時に発生する。
そこで、このような真円度を高める技術として、射出成形時に溶融樹脂が流入するゲート(ピンポイントゲート)の配設位置を工夫して該溶融樹脂の金型への流入を制御する一方、成形用に使用する樹脂材料としてガラス繊維等の強化繊維を15〜40重量%程度充填した強化ナイロン66、強化ナイロン610、強化ナイロン612、或いはポリフェニレンサルファイドとミネラルの複合材料を使用したり、強化ガラス繊維としてガラス繊維を43%含有した6ナイロン、66ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等のポリアミド樹脂を使用した樹脂製プーリが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開平7−63249号公報 特開平8−4883号公報
しかしながら、従来の樹脂製プーリにおいては、上述の如く射出成形によって製造されるため、高温状態から常温に冷却固化する際の相変化によって成形収縮が生じる。そして、かかる成形収縮によってベルトを案内する樹脂製プーリの真円度(外径円筒度)が悪化するため、上記従来の樹脂製プーリではベルトの振動や異常音の発生対策としては未だ充分ではないという問題点があった。
また、上記従来の樹脂製プーリは、上述のような成形収縮が生じるため、樹脂部と転がり軸受との接触部には転がり軸受の外輪外周の接線方向に応力が残留するが、樹脂の線膨張率と転がり軸受を構成する金属の線膨張率とは相違するため、即ち、樹脂の線膨張率が金属の線膨張率よりもはるかに大きいため、製造された樹脂製プーリが低温雰囲気に晒された場合は前記応力が増大し、その結果樹脂の破損を招来するという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、真円度に優れ、かつ温度変化に対しても破損することのない樹脂製プーリを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の樹脂製プーリは、転がり軸受と、該転がり軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形成された樹脂部とからなる樹脂製プーリにおいて、
前記樹脂部は充填剤を含有すると共に、前記充填剤の含有率が、重量%で50〜65%であることを特徴とする。
請求項2記載の樹脂製プーリは、請求項1記載の樹脂製プーリにおいて、プーリ外径円筒度が30μm以下であることを特徴とする。
請求項3記載の樹脂製プーリは、請求項1記載の樹脂製プーリにおいて、プーリ外径円筒度が22μm以下であることを特徴とする。
請求項4記載の樹脂製プーリは、請求項3記載の樹脂製プーリにおいて、成形収縮率が5.8×10−3以下であることを特徴とする。
請求項5記載の樹脂製プーリは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂製プーリにおいて、円環引張強度が960kgf/cm以上であることを特徴とする。
請求項6記載の樹脂製プーリは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂製プーリにおいて、前記充填剤は、繊維系充填剤及び粒子状充填剤から成り、前記繊維系充填剤に対する前記粒子状充填剤の重量比率が、1.2〜1.6であることを特徴とする。
請求項7記載の樹脂製プーリは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂製プーリにおいて、前記樹脂製プーリは、自動車の補機類駆動用プーリであり、前記転がり軸受と前記樹脂部は射出成形により一体的に成形されることを特徴とする。
請求項1記載の樹脂製プーリによれば、転がり軸受と、該転がり軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形成された樹脂部とからなる樹脂製プーリにおいて、充填剤が樹脂部に含有されると共に、充填剤の含有率が、重量%で50〜65%とされているので、真円度に優れ、温度変化に対しても破損することのない機械的強度に優れた信頼性及び耐久性の向上した樹脂製プーリを得ることができる。
請求項2記載の樹脂製プーリによれば、プーリ外径円筒度が30μm以下であるので、駆動時におけるベルトの振れに起因した振動発生を抑制して騒音を低減することができる。
請求項3記載の樹脂製プーリによれば、プーリ外径円筒度が22μm以下であるので、騒音を更に低減することができる。
請求項4記載の樹脂製プーリによれば、成形収縮率が5.8×10−3以下であるので、樹脂部の収縮を抑制して成形精度の向上を図ることができる。
請求項5記載の樹脂製プーリは、円環引張強度が960kgf/cm以上であるので、機械的強度を向上させることができる。
請求項6記載の樹脂製プーリによれば、充填剤は、繊維系充填剤及び粒子状充填剤から成り、繊維系充填剤に対する粒子状充填剤の重量比率が、1.2〜1.6であるので、成形収縮による樹脂の異方性を抑制し、且つ繊維により機械的な強度を保持することができる。
次に、本発明の実施の形態について詳説する。
図1は本発明に係る樹脂製プーリの一実施の形態を示す正面図、図2は図1のA−A断面図である。
図1及び図2において、本樹脂製プーリは、転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲に該転がり軸受と一体的に形成された樹脂部2とから構成されている。
樹脂部2は、具体的には、転がり軸受1の外輪に固着された内径円筒部3と、ベルト案内面4を有する外径円筒部5と、該外径円筒部5と前記内径円筒部3との間に形成された円板部6とを有し、さらに、該円板部6には多数のリブ7…が放射状に形成されている。また、内径円筒部3には所定ピッチ円で等間隔でもって多数のゲート8…が形成されており、これらゲート8…に溶融樹脂が流し込まれ、射出成形により本樹脂製プーリの製造がなされる。
しかして、上記樹脂部2には樹脂材料以外に含有率が重量%で50〜65%の充填剤が含有されている。
すなわち、上述の如く射出成形されて得られる樹脂製プーリにおいては、駆動時におけるベルトの振れに起因した振動発生を抑制して騒音を低減するためにはベルトを案内する外径円筒部5の真円度(プーリ外径円筒度)が良好であることが求められる。
そこで、本願出願人が鋭意研究した結果、真円度、すなわち外径円筒部5の精度が充填剤の含有率に略比例し、また充填剤の含有率と成形時に収縮する成形収縮率とは相関関係にあることが判明した。
つまり、成形収縮は、主として樹脂材料が溶融温度近傍の高温状態から常温に冷却されるときの相変化に起因する体積収縮によって生じるが、この場合、樹脂部2に樹脂材料以外の充填剤を含有させることにより、充填剤に補強効果が生じ、その結果、樹脂材料の収縮を抑制して成形精度の向上を図ることができることが判明した。
次に、上記充填剤の含有率を重量%で50〜65%とした臨界的意義について説明する。
上述のように充填剤を樹脂部2に含有させると成形精度の向上を図ることができるが、含有率が50重量%未満であると充填剤の補強効果が不足して成形精度が悪化し、プーリ外径円筒度が著しく悪くなるため、含有率は少なくとも50%以上は必要である。
一方、充填剤の含有率が65%を超えると射出成形時の流動性低下により、ゲート8とゲート8の間に形成されるウェルド部での配向や歪みが大きくなって円環引張強度が低下したりヒートサイクル性の悪化を招来する。特に、この場合、一種の応力集中が生じてウェルド部の強度が低下し、樹脂部2を破壊してしまう虞がある。
そこで、本実施の形態では充填剤の含有率を重量%で50〜65%に限定した。すなわち、充填剤の含有率が50〜65%とされた樹脂製プーリは、プーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率も7.4×10−3以下となり、また円環引張強度も960kgf/cm となって、真円度に優れ、かつ温度変化に対しても破損することのない機械的強度にも優れたものとなる。尚、真円度及び機械的強度の双方をより満足させるためには、プーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率が7.5×10−3以下、円環引張強度が960kgf/cm 以上であるのが好ましく、そのためには充填剤の含有率は50〜65%が好ましい。
また、樹脂材料としては、靱性に優れた直鎖状ポリフェニレンサルフィド(以下、「L−PPS」という)、66ナイロン、46ナイロンや或いは分枝状のポリフェニレンサルフィド(PPS)を使用することができる。
また、充填剤としては、繊維系充填剤、粒子状充填剤を使用することができる。具体的には、繊維系充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、チタン酸カルシウムウィスカを使用することができ、粒子状充填剤としては、シリカ(SiO )やアルミナ(Al )の粒子、炭酸カルシウム(CaCO )、タルク、マイカ、グラファイト、金属粉末等を使用することができる。さらに、上記充填剤は、夫々単独に使用してもよいが、繊維系充填剤と粒子状充填剤とを組合わせた場合は、成形収縮による樹脂の異方性を抑制し、且つ繊維により機械的な強度を保持することができることから、繊維系充填剤と粒子状充填剤とを組合わせて使用するのが好ましい。
尚、樹脂材料及び充填剤としては、その他にも使用をすることができるものがあり得ると考えられるが、自動車の補機類駆動用として使用するためには耐熱性を有する樹脂材料が好ましく、UL規格(長期耐熱)に規定する温度指数が少なくとも100℃以上であることが好ましい。
また、高速に回転するベルトの案内やテンショナ用として使用する場合は、ベルトと樹脂部2との間で生じる摩擦熱や転がり軸受1から発生する熱を効率良く放熱させる必要があることから、熱伝導率の高いカーボン系充填剤やアルミナ等のセラミック系充填剤、金属系充填剤を使用するのが好ましく、充填剤と樹脂材料との密着性を向上させるためには適宜シランカップリング剤等の添加剤を添加するのも好ましい。
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。
〔第1の実施例〕
本第1の実施例では、樹脂材料としてL−PPS(商品名「フォートロンKPS」;呉羽化学工業(株)製)を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「FESグレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シリカ(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)製)、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化工業(株)製)を使用した。すなわち、所定量のL−PPS、ガラス繊維、シリカ及び炭酸カルシウムを計測した後、これら樹脂材料及び充填剤をヘンシェルミキサで混合して混合粉末を作製し、次いで該混合粉末を二軸押出機(池貝鉄工(株)製)に投入して所定条件下で混練、造粒し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
次いで、樹脂製プーリ成形用金型(以下、単に「金型」と略す。)を射出成形機に取り付け、前記金型を開き、余熱した転がり軸受を該金型の所定位置に装着した後、型締めを行ない、しかる後、転がり軸受の外輪と金型との間に形成される空間部に溶融した前記樹脂組成物を射出する。そしてその後、溶融樹脂組成物を冷却して固化させた後、金型を開き、成形品を取り出して樹脂製プーリを得た。
本第1の実施例における成形条件は以下の通りである。
樹脂溶融温度(℃):310〜325
金型温度(℃):140〜150
射出圧力(MPa):90〜120
次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、プーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度を測定した。
表1は各樹脂材料及び充填剤の成分組成とプーリ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例1〜4は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プーリの測定結果を示し、比較例51、52は充填剤の重量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測定結果を示す。
Figure 2005249211
次に、上述したプーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度の測定方法について説明する。
・プーリ外径円筒度
製造された樹脂製プーリの真円度を評価するために実施例1〜4及び比較例51、52のプーリ外径円筒度を測定した。具体的には、図3に示すように、樹脂製プーリのベルト案内面の形状を測定し、数式(1)によりプーリ外径円筒度Pを算出した。
P=(D−d)/2 …(1)
ここで、Dは樹脂製プーリの外接円直径D、dは樹脂製プーリの内接円直径を示す。
・騒音
実施例1〜4及び比較例51、52の樹脂製プーリを回転数8000rpmで回転させてその時のベルトの振れと騒音状態を観察した。ベルトの振れは視認により評価し、騒音状態は聴覚でもって判断し、評価した。
・ヒートサイクル試験
実施例1〜4及び比較例51、52の樹脂製プーリを恒温槽の中に入れ、図4に示すヒートサイクルでもって−20〜120℃の間を1サイクルとし、該サイクルを20回繰り返して樹脂製プーリの外観を観察した。すなわち、1サイクルを8時間とし、最初の2時間は恒温槽を−20℃に設定し、次いで恒温槽の温度を120℃まで徐々に昇温させ、次いで恒温槽の温度を2時間の間120℃に保持した後、該恒温槽の温度を徐々に−20℃まで冷却する。そして、かかるサイクルを20回繰り返した後、試験品となった樹脂製プーリの外観を観察した。すなわち、該樹脂製プーリにクラック(割れ)が発生していないか否かを調査し、前記クラックの発生の有無により製品の良否を判定した。
・成形収縮率
射出成形された樹脂の成形収縮率xを測定するために、図5に示すような樹脂円筒体を製造した。すなわち、表1に示す各組成を有する樹脂組成物を射出成形して、8個のゲート12…を有する樹脂円筒体11を作製し、数式(2)に基づいて成形収縮率xを算出した。
x=((T−t)/T)×1000 …(2)
ここで、Tは金型のコアピン外径寸法、tは樹脂円筒体の内径寸法である。
・円環引張強度
図6及び図7に示すように、2分割された断面L字状の第1及び第2の引張治具13a、13bを、前記成形収縮率の測定に使用した樹脂円筒体11の内径部に挿入し、次いで第1の引張治具13aを矢印E方向に、第2の引張治具13bを矢印F方向に夫々引っ張り、樹脂円筒体11の破壊強度を測定して円環引張強度を得た。尚、樹脂円筒体11は、ゲート12とゲート12との間に形成されるウェルド部14が最弱部分であるので、第1及び第2の引張治具13a、13bの互いの対向面15a、15bと前記ウェルド部14とが水平方向に一直線上となるように樹脂円筒体11をセットし、前記ウェルド部14の破壊強度を測定した。
表1から明らかなように、充填剤の含有率が増加するに伴い、プーリ外径円筒度や成形収縮率が良好な結果を得ることができ、また充填率の含有率と円環引張強度との間にも相関関係があることが判る。そして、比較例51は充填剤の含有率が67%と高いため、プーリ外径円筒度は9μmと良好な結果が得ることができたが、円環引張強度が840kgf/cm と低下し、またヒートサイクル試験においてもクラックの発生が認められた。これは充填剤の含有率が高すぎるためにウェルド部14での配向、歪みが大きくなるためと考えられる。また、比較例52は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、充填剤の補強効果が不足しているため成形収縮率が8.9×10−3と大きく、プーリ外径円筒度が97μmと真円度の悪化を招来し、駆動中のベルトの振れも激しく、騒音状態の悪化を招いた。
一方、実施例1〜4は、充填剤の含有率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、騒音状態、円環引張強度及びヒートサイクル試験のいずれにおいても良好な結果が得られた。また、表1から少なくともプーリ外径円筒度が40μm以下、成形収縮率が7.4×10−3以下の場合に真円度に優れ、かつ温度変化に対しても破損することのない樹脂製プーリを得ることのできることが判る。
尚、成形時には樹脂の収縮応力σpが生じ、また金属製(例えば、SUJ2)の転がり軸受の線膨張率αmと樹脂部を形成する樹脂の線膨張率αpの差により射出後温度を下げたときには温度差応力σTが生じる。そして、収縮応力σpと温度差応力σTとを加算した合計応力σが円環引張強度を超えたときに樹脂製プーリは破壊するものと解される。
そこで、本願出願人は、実施例4と比較例51の成分組成を有する樹脂組成物を使用してダンベル型引張試験片(JIS1号型)を作製し、(株)島津製作所製のオートグラフを使用して引張弾性率Epを測定し、さらに上記引張試験片から小片を切り出してセイコー電子(株)製TMAにより樹脂の線膨張率αpを測定し、その後、数式(3)、(4)、(5)に基づいて夫々、収縮応力σp、温度差応力σT、合計応力σを算出した。
σp=(x/(1000−x))×Ep …(3)
σT=ΔT×(αp−αm)×Ep …(4)
σ=σp+σT …(5)
ここで、ΔTは射出成形時の温度と冷却固化後の温度との温度差である。
表2は各種応力等の測定結果を示す。
Figure 2005249211
この表2より、実施例4の合計応力σは738kgf/cm であり、比較例51の合計応力σは729kgf/cm と算出される。円環引張強度が840kgf/cm の比較例51が破壊していることから合計応力σをほぼ推定することができる。
〔第2の実施例〕
樹脂材料として46ナイロン(商品名「テイジンナイロン46」;帝人(株))製)を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「FESグレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シリカ(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)製)、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化工業(株)製)を使用し、第1の実施例と同様に、樹脂組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを製造した。
本第2の実施例における成形条件は以下の通りである。
樹脂溶融温度(℃):315〜325
金型温度(℃):120〜140
射出圧力(MPa):120〜140
次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度を測定した。
表3は各樹脂材料及び充填剤の組成とプーリ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例11〜14は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プーリの測定結果を示し、比較例61、62は充填剤の重量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測定結果を示す。
Figure 2005249211
表3中、比較例61は充填剤の含有率が67%と高いため、プーリ外径円筒度は26μmと良好な結果が得られたが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環引張強度が950kgf/cm と低下し、ヒートサイクル試験においてもクラックの発生が認められた。また、比較例62は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度が60μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招いた。
一方、実施例11〜14は、充填剤の含有率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測定結果はいずれも満足すべき結果が得られた。
〔第3の実施例〕
樹脂材料として66ナイロン(商品名「ウルトラミッド」A4Hグレード;ビーエーエスエフエンジニアリングプラスチック(株)製)を使用し、充填剤としてはガラス繊維(商品名「FESグレード」;富士ファイバーグラス(株)製)、シリカ(商品名「ニプシール」;日本シリカ工業(株)製)、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」;備北粉化工業(株)製)を使用し、第1及び第2の実施例と同様、樹脂組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを製造した。
本第3の実施例の成形条件は以下の通りである。
樹脂溶融温度(℃):290〜305
金型温度(℃):90〜100
射出圧力(MPa):100〜110
次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度を測定した。
表4は各樹脂材料及び充填剤の組成とプーリ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例21〜24は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プーリの測定結果を示し、比較例71、72は充填剤の重量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測定結果を示す。
Figure 2005249211
表4中、比較例71は充填剤の含有率が67%と高いため、プーリ外径円筒度は18μmと良好な結果が得られたが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環引張強度が890kgf/cm と低下し、ヒートサイクル試験においてもクラックの発生が認められた。また、比較例72は充填剤が45%と低いため、円環引張強度やヒートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度が53μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招いた。
一方、実施例21〜24は、充填剤の含有率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測定結果についていずれも満足すべき結果が得られた。
〔第4の実施例〕
樹脂材料としてL−PPS(商品名「フォートロンKPS」;呉羽化学工業(株)製)を使用し、充填剤としてはカーボン繊維(商品名「リノベス」;大阪ガス(株)製)、アルミナ(ASグレード;昭和電工(株)製)を使用し、実施例1及び実施例2と同様に、樹脂組成物を得た後、射出成形して樹脂製プーリを作製した。
本第4の実施例の成形条件は以下の通りである。
樹脂溶融温度(℃):310〜325
金型温度(℃):140〜150
射出圧力(MPa):90〜120
次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、第1の実施例と同様の方法により、プーリ外径円筒度、騒音、ヒートサイクル試験、成形収縮率、円環引張強度を測定した。
表5は各樹脂材料及び充填剤の組成とプーリ外径円筒度等の測定結果を示している。実施例31〜34は充填剤の重量%が50〜65%とされた樹脂製プーリの測定結果を示し、比較例81は充填剤の重量%が50〜65%の範囲外とされた樹脂製プーリの測定結果を示す。
Figure 2005249211
表5中、比較例81は充填剤の含有率が67%と高いため、プーリ外径円筒度は6μmと良好な結果が得られたが、第1の実施例に述べた理由と同様の理由から円環引張強度が880kgf/cm と低下し、ヒートサイクル試験においても割れが発生した。また、比較例82は充填剤が40%と低いため、円環引張強度やヒートサイクル試験においては良好な結果が得られたが、充填剤の補強効果が不足しているためプーリ外径円筒度が67μmと真円度が悪化し、騒音状態の悪化を招いた。
一方、実施例31〜33は、充填剤の含有率が重量%で50〜65%の範囲とされているので、測定結果についていずれも満足すべき結果が得られた。
図8〜図10は第1〜第4の実施例における測定結果を示した特性図である。○が第1の実施例の測定結果、□は第2の実施例の測定結果、△は第3の実施例の測定結果、◎は第4の実施例の測定結果を夫々示す。
図8〜図10から明らかなように、樹脂部2の充填率が50%〜65%の範囲内の樹脂製プーリは、プーリ外径円筒度が40μm以下となり(図8)、また成形収縮率が7.4×10−3以下となり(図9)、さらに円環引張強度が960kgf/cm 以上となって(図10)、良好な真円度を得ることができ、温度変化に対しても破損することのない信頼性や耐久性の優れた樹脂製プーリを得ることができることが判る。
本発明に係る樹脂製プーリの一実施の形態を示す正面図である。 図1のA−A断面図である。 プーリ外径円筒度の測定方法を説明するための説明図である。 ヒートサイクル試験の試験条件を示す時間−温度特性図である。 樹脂円筒体の正面図である。 樹脂円筒体の円環引張強度試験を説明するための説明図である。 図6のB−B断面図である。 充填剤含有率に対するプーリ外径円筒度の特性図である。 充填剤含有率に対する成形収縮率の特性図である。 充填剤含有率に対する円環引張強度の特性図である。
符号の説明
1 転がり軸受
2 樹脂部

Claims (7)

  1. 転がり軸受と、該転がり軸受の周囲に該転がり軸受と一体的に形成された樹脂部とからなる樹脂製プーリにおいて、
    前記樹脂部は充填剤を含有すると共に、前記充填剤の含有率が、重量%で50〜65%であることを特徴とする樹脂製プーリ。
  2. プーリ外径円筒度が30μm以下であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製プーリ。
  3. プーリ外径円筒度が22μm以下であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製プーリ。
  4. 成形収縮率が5.8×10−3以下であることを特徴とする請求項3記載の樹脂製プーリ。
  5. 円環引張強度が960kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂製プーリ。
  6. 前記充填剤は、繊維系充填剤及び粒子状充填剤から成り、前記繊維系充填剤に対する前記粒子状充填剤の重量比率が、1.2〜1.6であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂製プーリ。
  7. 前記樹脂製プーリは、自動車の補機類駆動用プーリであり、前記転がり軸受と前記樹脂部は射出成形により一体的に成形されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂製プーリ。
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JP2012233533A (ja) * 2011-05-02 2012-11-29 Nsk Ltd 樹脂プーリ及びその製造方法

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