[go: up one dir, main page]

JPH0659309B2 - 低比重リポ蛋白質吸着装置 - Google Patents

低比重リポ蛋白質吸着装置

Info

Publication number
JPH0659309B2
JPH0659309B2 JP60161167A JP16116785A JPH0659309B2 JP H0659309 B2 JPH0659309 B2 JP H0659309B2 JP 60161167 A JP60161167 A JP 60161167A JP 16116785 A JP16116785 A JP 16116785A JP H0659309 B2 JPH0659309 B2 JP H0659309B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
low
density lipoprotein
specific gravity
body fluid
lipoprotein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP60161167A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6222658A (ja
Inventor
徹 黒田
直邦 山脇
Original Assignee
旭化成工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 旭化成工業株式会社 filed Critical 旭化成工業株式会社
Priority to JP60161167A priority Critical patent/JPH0659309B2/ja
Publication of JPS6222658A publication Critical patent/JPS6222658A/ja
Publication of JPH0659309B2 publication Critical patent/JPH0659309B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、血液、血漿などの体液から吸着材を用いて低
比重リポ蛋白質を吸着除去する装置に関するものであ
る。
血液中の脂質、特に低比重リポ蛋白質の増加は、動脈硬
化の原因あるいは進行と密接な関係を持つていると考え
られており、動脈硬化が進むと心筋梗塞、脳梗塞等循環
器系の重篤な症状に陥る可能性が非常に高くなり、死亡
率も高い。そこで、血液、血漿等の体液成分から低比重
リポ蛋白質を選択的に吸着除去することによつて、上記
の如き疾患の進行を防止し、症状を軽減せしめ、さらに
は治ゆを早めることが期待されていた。
(従来の技術) 上記目的に使用可能な既存の技術には、アガロースゲル
にヘパリンを固定化した吸着材による吸着(Lupien,P-
J,et.al.:A new approach to the management
of familial hypercholesterolemia.Removal of
plasma-cholesterol based on the principle o
f affinity chromatography,Lancet,2:1261
〜1264,1976.)、 およびガラスパウダーまたはガラスビーズを用いたクロ
マトグラフイー(Carlson,L.A.:Chromatographic se
paration of serum lipoprotein on glass powde
r colums .Description of the method and so
me applications.Clin .Chim.Acta,5:528〜
538,1960.)がある。
本発明者らは、比低重リポ蛋白質吸着材の低比重リポ蛋
白質吸着能力をさらに高めるため鋭意研究した結果、分
子中に多数の負電荷を持つポリアニオン部を表面に持つ
吸着材が低比重リポ蛋白質を高率に吸着し、また、高比
重リポ蛋白質、アルブミン等の有用な蛋白質をほとんど
吸着しないことを見出し、すでに特許出願した(特願昭
58−80777、特願昭58−80778)。
(発明が解決しようとする問題点) 表面にポリアニオン部を有する低比重リポ蛋白質は、低
比重リポ蛋白質の吸力能力、高比重リポ蛋白質、アルブ
ミン等に対する選択性共に優れているのであるが、分子
中に負電荷部分を沢山有しているため、カチオン性無機
電解質、特にカルシウム、マグネシウムのような多価カ
チオンを吸着し易いという性質を持つている。このた
め、体液を前記吸着材で処理すると、体液中のカチオン
性無機電解質が減少してしまうので好ましくない。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意研究した
結果、低比重リポ蛋白質吸着装置の回路の特定の場所
に、無機電解質の補給器を設けることにより、低比重蛋
白質の吸着量を下げずに体液中の電解質濃度を安定にコ
ントロールすることが驚くほど簡単にできることを見出
し、さらには、低比重リポ蛋白質吸着器に体液を送るた
めの送液器に連動して無機電解質の補給器を作動させる
ことにより、自動的に体液中の電解質濃度を安定にコン
トロールできることを確認し、本発明を完成するに至つ
た。
すなわち、本発明は、体液導入部、体液導出部、体液導
入部と体液導出部との間に位置し、表面にポリアニオン
部を有する低比重リポ蛋白質吸着材が充填されている低
比重リポ蛋白質吸着器、および該低比重リポ蛋白質吸着
器に体液を送るための送液器とからなる低比重リポ蛋白
質吸着装置において、低比重リポ蛋白質吸着器の体液導
出口と体液導出部との間に、無機電解質の補給器を設け
たことを特徴とする低比重リポ蛋白質吸着装置であり、
好ましくは、低比重リポ蛋白質吸着器に体液を送るため
の送液器に連動して無機電解質の補給器が作動するよう
に設けられている低比重リポ蛋白質吸着装置である。
本発明で対象とする吸着物質は、低比重リポ蛋白質であ
るが、より詳細に説明すると、分子量が2.2×106から
3.5×106、水和密度が1.003から1.034(g/ml)、浮
上係数(1.063)が0から20×10-13cm・sec-1・dyn
-1・g-1、直径が20.0から30.0nmのリポ蛋白(SCANU,A.
M.:plasma lipoproteins :an introduction.“Th
e Biochemistry of Atherosclerosis”ed. by SCA
NU A≧M.,1979,P.3〜8,による)を言う。
これより比重の小さいリポ蛋白、すなわち、浮上係数
(1.063)が20×10-13cm・sec-1.dyn-1・g-1より
大きいリポ蛋白質は吸着されてもよいが、比重の高い高
比重リポ蛋白は吸着されないことが好ましい。
本発明で言う体液導入部、体液導出部とは、体液を導入
または導出する目的で使用するもので、塩化ビニルチユ
ーブ、ポリエチレンチユーブ、シリコンチユーブ等のチ
ユーブで生体にとつて安全なものが使用できる。また、
本発明で言う送液器には、通常の血液透析に用いられる
血液ポンプのようなポンプが使用できるが、血液、血漿
等に損傷を与えず、生体にとつて安全に液体を送ること
ができるものであればどんなものを用いてもよい。
本発明で言う低比重リポ蛋白質吸着材のポリアニオン部
とは、1分子の分子量が600以上であり、1分子中に
負電荷を示す官能基、すなわち、カルボキシル基(COO
H,COO-)、スルホン酸基(SO3H,SO3 -)など血漿中で
負電荷を示す官能基を多数個持つものを言う。例示する
と、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニ
ルリン酸、ポリメタクリル酸等のビニル系合成ポリアニ
オン、ポリスチレンスルホン酸、ポリ−α−メチルスチ
レンスルホン酸、ポリスチレンリン酸等のスチレン系ポ
リアニオン、ビニル系アニオンの共重合体例えば、スチ
レンマレイン酸共重合体のようなポリアニオン、ポリグ
ルタミン酸、ポリアスパラギン酸等の合成ペプチド系ポ
リアニオン、polyU、polyA等の合成核酸系ポリアニオン
やポリリン酸、ポリホスフエイトエステル、アルギン
酸、ヘパリン、デキストラン硫酸等のポリアニオンがあ
げられる。
中でも合成することによつて得られるポリアニオンは、
その化学的安定性に優れ、高圧蒸気滅菌、γ線滅菌、エ
チレンオキサイド滅菌等に対しても安定なものを得やす
く、また、分子量の調節も比較的簡便に行なえる等の点
で天然の物より優れ、推奨できる。また、合成により得
られるポリアニオンの場合、天然の多糖類にみられるよ
うな補体の活性化を起こし難いポリアニオンが容易に得
られるため好ましい。さらに、ビニル系アニオンのよう
に、担体に対して直接グラフト重合を行なえるものは、
担体に対して分子量の大きいポリアニオンを高保持量で
固定することができる点で、より好ましい結果を与え
る。
また、吸着目的物質である低比重リポ蛋白質は、直径が
約200Åという巨大なリポ蛋白であるため、ポリアニ
オン部の構造は鎖状構造であることが好ましく、吸着材
表面から長く伸びている方が好ましい。また、ポリアニ
オン部中の負電荷密度は、分子量300当りに少なくと
も1個あるのが好ましい。さらに好ましくは、分子量2
00当りに1個以上であり、分子量70から150の単
位に1個あるのが望ましい。ここで言う分子量には、負
電荷を示す官能基の分子量も含む。ポリアニオン部の分
子量は、小さくなると低比重リポ蛋白質をあまり吸着し
なくなるので、少なくとも600は必要である。好まし
いのは2500以上であり、1万から500万の範囲が
さらに好ましい。
ポリアニオン部が持つ多数個の負電荷を示す官能基が、
低比重リポ蛋白質の多数点を認識することにより、強い
クーロン力で低比重リポ蛋白質を結合すると考えられ
る。
負電荷を示す官能基の中では、カルボキシル基(COOH,
COO-)が特に好ましい結果を与える。スルホン酸基(SO
3H,SO3 -)に比べて弱酸であるため、アルブミンのよう
な有用蛋白質に対する吸着性が小さい。また、血液凝固
系蛋白の吸着も少なく、活性化も起こし難い。さらに、
補体系蛋白も吸着し難い。
前記したポリアニオン部の中では、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸のようなポリカルボン酸が特に安定であ
り、推奨できる。
負電荷の密度は吸着材1ml当り1μedから1meqの範囲が
低比重リポ蛋白質の吸着性能がよく、吸着選択性がよ
く、凝固線溶系、補体系への影響が少ない適当な範囲で
ある。1μeq/mlより負電荷密度が低くなると、低比重
リポ蛋白質の吸着能力が実用性能に満たず、1meqを越
えると非選択的な吸着が増え、凝固線溶系、補体系に悪
影響を与える。より好ましい範囲は5μeq/mlから70
0μeq/ml、さらに好ましいのは10μeq/mlから50
0μeq/mlである。
負電荷密度の測定は、通常の陽イオン交換樹脂のイオン
交換容量測定方法に準じて行なうことができる。
本発明で言う低比重リポ蛋白質吸着材を製造する方法
は、例えば、担体を活性化し、ポリアニオンを共有結合
させる方法、担体にアニオンモノマーをグラフト重合さ
せ、ポリアニオンのグラフト鎖を形成させる方法などが
挙げられる。
担体は、ポリアニオンを固定できればよく、親水性担
体、疎水性担体いずれも使用できるが、疎水性担体を用
いる場合には、時に担体へのアルブミンの非特異的吸着
が生じるため、親水性担体の方が好ましい結果を与え
る。
不溶性担体の形状は、粒子状、繊維状、中空糸状、膜状
等いずれの公知の形状も用いうるが、ポリアニオンの保
持量、吸着材としての取扱い性よりみて、粒子状、繊維
状のものが好ましい。
担体は、ポリアニオンを固定できれば、どのような材質
のものを用いてもよい。使用できる担体としては、セル
ロース系ゲル、デキストラン系ゲル、アガロース系ゲ
ル、ビニルポリマーゲル、ポリアクリルアミド系ゲル、
ポリヒドロキシエチルメタアクリレート系ゲル、多孔質
ガラス、シリカ等の有機または無機の多孔体が使用で
き、通常のアフイニテイークロマトグラフイーに用いら
れる担体用の材料は全て用いることができるが、被吸着
物質である低比重リポ蛋白質が直径200〜300Å、
分子量が2.2×106〜3.5×106と大きいので、担体の排除
限界分子量は220万以上、孔の直径は200Å以上あ
る方が吸着効率が高い。
前記した担体の中でも、特にビニルアルコール単位を主
構成成分とする架橋共重合体からなる担体は、その親水
性のため血漿中のタンパク質等溶質との相互作用が小さ
く、非特異吸着を最小限に低下させる。また、血漿中の
補体系、凝固系と相互作用しない等の極めて優れた特性
を有する。物理的特性の面でも、優れた孔径分布を示
し、耐熱性を有し、熱滅菌を可能ならしめ、さらには合
成高分子の特性である物理的機械的強度に優れている。
全血用吸着材の担体として用いる場合にも、血球成分と
の相互作用が少なく、血栓形成や血球成分の非特異粘
着、残血等を最小限におさえる等の極めて優れた特性を
併せ持つている。
ビニルアルコール単位を主構成成分とする架橋重合体
は、水酸基を有するモノマーの重合またはポリマーの化
学反応による水酸基の導入により合成できる。両者を併
用して合成することもできる。重合方法としては、ラジ
カル重合法を用いることができる。架橋剤は重合時共重
合により導入してもよいし、また、ポリマーの化学反応
(ポリマー間、ポリマーと架橋剤)で導入してもよく、
両者を併用してもよい。
一例をあげると、ビニル系モノマーとビニル系またはア
リル系架橋剤との共重合により作ることができる。この
場合のビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル類を例示することができる。
架橋剤としては、トリアリルイソシアヌレート、トリア
リルシアヌレート等のアリル化合物類、エチレングリコ
ールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタ
アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、ブタンジ
オールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニ
ルエーテル、テトラビニルグリオキザール等のポリビニ
ルエーテル類、ジアリリデンペンタエリスリツト、テト
ラアリロキシエタンのようなポリアリルエーテル類、グ
リシジルメタクリレート等のグリシジルアクリレート類
を用いることができる。また、必要に応じて、他のコモ
ノマーを共重合したものも用いることができる。
ビニル系共重合体の場合には、カルボン酸のビニルエス
テルとイソシアヌレート環を有するビニル化合物(アリ
ル化合物)を共重合し、共重合体を加水分解して得られ
るポリビニルアルコールのトリアリルイソシアヌレート
架橋体が、強度、化学的安定性の面で特に良好な担体を
与える。
ポリアニオンを不溶性担体の表面に固定する方法は、共
有結合、イオン結合、物理吸着、包埋あるいは重合体表
面への沈殿不溶化等あらゆる公知の方法を用いることが
できるが、固定化した化合物の溶出性から考えると、共
有結合により、固定、不溶化して用いることが好まし
い。そのため通常固定化酵素、アフイニテイクロマトグ
ラフイーで用いられる公知の担体の活性化方法、リガン
ドとの結合方法、および担体または活性化担体を幹ポリ
マーとし、ポリアニオンを枝とするグラフト重合の手法
を用いることができる。
活性化方法を例示すると、ハロゲン化シアン法、エピク
ロルヒドリン法、ビスエポキシド法、ハロゲン化トリア
ジン法、ブロモアセチルブロミド法、エチルクロロホル
マート法、1,1′−カルボニルジイミダゾール法等をあ
げることができる。本発明の活性化方法は、リガンドの
アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基等の活
性水素を有する求核反応基と置換および/または付加反
応できればよく、上記の例示に限定されるものではない
が、化学的安定性、熱的安定性等を考慮すると、エポキ
シドを用いる方法が好ましく、特にエピクロルヒドリン
法が推奨できる。
また、シリカ系、ガラス系等のシラノール基を持つ担体
については、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロ
ロシラン等の各種シランカツプリング剤が好ましく用い
られる。
グラフト重合法を例示すると、連鎖移動反応を利用する
方法、放射線、紫外線などによる脱水素、脱ハロゲンな
どの反応を利用する方法、過酸化物の形成を利用する方
法などがあげられるが、水酸基、チオール、アルデヒ
ド、アミン等の還元性基を有する担体に、セリウム塩、
鉄塩などを開始剤としてアニオンモノマーをグラフト重
合して行く方法が簡便であり、推奨できる。また、グラ
フト重合の系は、比較的分子量の大きいポリアニオンを
担体の内部まで固定できるので好ましく用いられる。
担体にポリアニオンを2種類以上結合してもさしつかえ
ない。
以上、低比重リポ蛋白質吸着材の製造方法として担体を
活性化した後、ポリアニオンを結合する方法について説
明したが、これに限定されるものではない。
低比重リポ蛋白質吸着器は、前記した低比重リポ蛋白質
吸着材を、体液の導出入口を備えた容器内に充填保持し
たものである。
第1図において、1は低比重リポ蛋白質吸着材を納めて
なる低比重リポ蛋白質吸着器の一例を示すものであり、
円筒2の一端開口部に、内側にフイルター3を張つたパ
ツキング4を介して体液導入口を有するキヤツプをネジ
嵌合し、円筒2の他端開口部に内側にフイルター3′を
張つたパツキング4′を介して体液導出口7を有するキ
ヤツプ8をネジ嵌合して容器を形成し、フイルター3お
よび3′の間隙に低比重リポ蛋白質吸着材を充填保持さ
せて吸着材層9を形成してなるものである。
吸着材層9には、低比重リポ蛋白質吸着材を単独で充填
してもよく、他の吸着材と混合もしくは積層してもよ
い。他の吸着材としては、例えば、幅広い吸着能を有す
る活性炭のようなものを用いることができる。これによ
り吸着材の相乗効果によるより広範な臨床効果が期待で
きる。吸着材層9の容積は、体外循環に用いる場合、5
0〜400ml程度が適当である。
この低比重リポ蛋白質吸着器を備えた本発明装置を体外
循環で用いる場合には、大略次の二通りの方法がある。
一つには、体内から取り出した血液を遠心分離器もしく
は膜型血漿分離器を使用して、血漿成分と血球成分とに
分離した後、血漿成分を該装置に通過させ、浄化した
後、血球成分と合わせて体内にもどす方法であり、他の
一つは体内から取り出した血液を直接該装置に通過さ
せ、浄化する方法である。
体液の通液方法としては、臨床上の必要に応じ、あるい
は設備の装置状況に応じて、連続的に通液してもよい
し、また、断続的に通液使用してもよい。
本発明の低比重リポ蛋白質吸着装置は、例えば、第2図
のように構成される。
図中、10は体液導入部、11は体液導出部、12は低
比重リポ蛋白質吸着器、13は送液器、14は無機電解
質の補給器を示す。
以下、本発明の低比重リポ蛋白質吸着装置を用い、血漿
から低比重リポ蛋白質を吸着除去する方法を例にとつて
説明する。
先ず、血漿は体液導入部10を通して、送液器13によ
り低比重リポ蛋白質吸着器12に送られる。ここで送液
器13には、通常の人工透析に用いられる血液ポンプと
同様のポンプを用いることができる。低比重リポ蛋白質
吸着器12に送られた血漿は、ここで低比重リポ蛋白質
が除去され、また、カルシウム、マグネシウム等の多価
カチオンが吸着除去される。
次に、低比重リポ蛋白質と多価カチオンが除かれた血漿
は、無機電解質の補給器14のところまで送られ、ここ
で、カルシウム、マグネシウム等の多価カチオンを含む
無機電解質の補給を受け、電解質バランスを正常に戻し
た後、体液導出部11より導出される。このように本発
明の低比重リポ蛋白質吸着装置では、低比重リポ蛋白質
の吸着能力を高く維持したままの状態で体液を処理で
き、また、電解質濃度を低比重リポ蛋白質吸着器より下
流側で補正できるので、常に一定の電解質濃度にコント
ロールでき、安全である。
次に、無機電解質の補給器による電解質バランス・コン
トロールの方法であるが、体液中の電解質濃度は、特別
の疾患がない限り安定な値を示しており、また、低比重
リポ蛋白質による多価カチオン吸着の度合も前もつて知
ることができるので、低比重リポ蛋白質吸着材を通過し
た後の体液の電解質濃度を測定しなくても、吸着材を通
過した体液の量さえわかれば、それに見合つた量の多価
カチオン補給により、体液の電解質濃度を正常な値に戻
してやることが可能となる。これを自動的に行なうため
の最も適した制御方法は、低比重リポ蛋白質吸着器に体
液を送るための送液器と無機電解質補給器とを連動さ
せ、吸着器を通過した体液の容量に見合つた量の無機電
解質を補給してやることである。すなわち、体液が一定
量、低比重リポ蛋白質吸着器を通過したならば、予め定
められた量のカチオン性電解質が補給されるようにして
やる方法である。
これを達成するための装置の例を第3図、第4図に示
す。
第3図は体液を送るための送液器13と無機電解質の補
給器14とを、制御装置15により連動させるようにし
たものであり、送液器13としては、ビニールチユーブ
をローラーでしごく血液ポンプ、無機電解質の補給器1
4としては、注射筒を利用したインフユージヨンポンプ
を使うことができ、制御装置15は、送液器13の送液
速度が変化した場合、その速度に連動して補給器14の
注入速度をコントロールするものである。コントロール
のし方は、間欠的な無機電解質の注入でもよいが、連続
的に、また、送液器の速度に比例して行なうのが好まし
い。
第4図は送液器13、無機電解質の補給器14共に1台
のローラーポンプで行なうものであり、体液を送るため
の送液器13のビニールチユーブは太く、カチオン性電
解質補給器のビニールチユーブは細くするなどして、お
互いの流量の違いをコントロールすることができる。
上記したような装置を使用することにより、自動的に電
解質濃度が補正され、きわめて便利である。
(発明の効果) 本発明の低比重リポ蛋白質吸着装置を使用することによ
り、低比重リポ蛋白質吸着材の低比重リポ蛋白質の吸着
能力を高く維持したまま、吸着材によつて吸着されたカ
ルシウム、マグネシウム等の多価カチオン濃度を正常の
値に戻すことが可能となり、そのコントロールも非常に
簡便となつた。また、自動化した装置を用いることによ
り、さらに安定に、簡便に体液電解質濃度をコントロー
ルできるようになつた。
(実施例) 第2図に示す装置を用いて、低比重リポ蛋白質の吸着実
験を行なつた。
体液導入部、体液導出部には軟質塩化ビニールチユーブ
を用い、体液を送るための送液器には軟質塩化ビニール
チユーブをローラーでしごく形の血液ポンプ、無機電解
質の補給器には注射筒を利用したインフユージヨンポン
プを用いた。
低比重リポ蛋白質吸着器には内径1.4cm、長さ6.5cm、内
容積10mlの容器の中に低比重リポ蛋白質吸着材10ml
を詰めたものを用いた。
低比重リポ蛋白質吸着材は以下に述べる方法で製造し
た。
酢酸ビニル1000g、トリアリルイソシアヌレート4
14g、酢酸エチル1000g、ヘプタン1000g、
ポリ酢酸ビニル(重合度500)70gおよび2,2′−
アゾビスイソブチロニトリル36gよりなる均一混合液
と、ポリビニルアルコール1重量%、リン酸二水素ナト
リウム二水和物0.05重量%およびリン酸水素二ナトリウ
ム十二水和物1.5重量%を溶解した水4とをフラスコ
に入れ、十分撹拌した後、65℃で18時間、さらに7
5℃で5時間加熱撹拌して懸濁重合を行い、粒状共重合
体を得た。重合中、撹拌速度は粒径が小さめになるよう
にコントロールした。過、水洗、ついでアセトン抽出
後、カセイソーダ465gおよびメタノール20より
なる溶液中で、40℃で18時間、共重合体のエステル
交換反応を行つた。得られた粒子の平均粒径は40μm
であつた。
このゲルを内径7.5mm、長さ120cmのステンレス製カ
ラムに充填して、種々の分子量を持つデキストランやポ
リエチレングリコールの水溶液およびアルブミン、イム
ノグロブリンG、イムノグロブリンM、β−リポプロテ
イン、タバコ、モザイク、ウイルスのリン酸緩衝塩溶液
を測定したところ、それぞれ分子量の大きい順に溶出さ
れた。デキストランの排除限界分子量は約5×106
タンパク質の排除限界分子量は約2×107であつた。
また、0.3M塩化ナトリウム および0.1Mリン酸ナトリ
ウムを含む水溶液を溶媒として、ヒト−γ−グロブリ
ン、ヒト−アルブミンの溶液を流したところ、ほとんど
100%の回収率で回収され、ゲルの非特異的吸着は非
常に少なかつた。サンプルの測定はすべて流速1ml/mi
nで実施した。
つぎにエステル交換され、水で十分に洗浄し、乾燥した
ゲル150gをジメチルスルホキシド1800mlおよび
エピクロルヒドリン1200mlからなる溶液中に懸濁
し、50%水酸化ナトリウム水溶液150mlを加え、3
0℃で5時間撹拌下反応させる。反応終了後ガラスフイ
ルターで過し、3のジメチルスルホキシド、ついで
20の水で洗浄してエポキシ基結合ゲルを得た。
該ゲルのエポキシ基結合量は、1mlにつき0.11mmolであ
つた。該エポキシ基結合ゲルを用い、ポリアクリル酸
(重量平均分子量9×104、米国アルドリツチ社製)
をリガンドとして結合させて吸着材を作成した。
ポリアクリル酸4.5gを蒸留水で500mlにし、これを
リガンド液とした。このリガンド液に前記エポキシ基結
合ゲル100mlを加え、50℃で16時間、振とうしな
がらリガンドの結合反応を行なつた。
この後、充分に水洗し、吸引脱水した後、0.1規定の水
酸化ナトリウム溶液中に30分間浸し、ポリアクリル酸
をナトリウム型にし、その後、充分量の水洗を行ない、
低比重リポ蛋白質吸着材とした。
吸着実験は、家族性高コレステロール血症患者の血漿を
用いて行なつた。
先ず、血漿の流れる回路と低比重リポ蛋白質吸着器の内
部は生理食塩水でプライミングしておき、次に、患者血
漿を0.67ml/minの流速で体液導入部より送液器(血液
ポンプ)により導入した。同時に補給器(インフユージ
ヨンポンプ)によりカルシウム、マグネシウムを補給し
た。カルシウムおよびマグネシウムの濃度は各々5Eq/
、2.3g/dlで混合溶液とした。インフユージヨンポ
ンプの流量は1.67μl/minとした。体液導出部より導
出される最初の10mlを捨て、その後、出てくる血漿1
00mlをサンプリングし、カルシウム濃度、マグネシウ
ム濃度、総コレステロール濃度を測定し、吸着実験前の
血漿濃度と比較したところ、カルシウム濃度は5.0meq/
が4.9meq/に、マグネシウム濃度は2.3mg/dlが2.4
mg/dlに、安定してコントロールできたのに対し、総コ
レステロール濃度は420mg/dlが160mg/dlと大幅
に減少した。
比較例 実施例1と同様の低比重リポ蛋白質吸着器を用い、カル
シウム、マグネシウムの補給をしなかつたこと以外は、
実施例1と同様に吸着実験を行なつた。その結果、カル
シウム濃度は5.0meq/が0.2meq/に、マグネシウム
濃度は2.3mg/dlが0.1mg/dlと、ほとんど吸着され、残
らなかつた。しかし、総コレステロール濃度は420mg
/dlが158mg/dlと大幅に減少し、よく吸着できた。
【図面の簡単な説明】
第1図は低比重リポ蛋白質吸着器の一例を示す模式図、
第2図は本発明低比重リポ蛋白質吸着装置の一例を示す
模式図、第3図および第4図は本発明低比重リポ蛋白質
吸着装置を自動化した例について示す模式図である。 1……低比重リポ蛋白質吸着器 2……円筒、3,3′……フイルター 4……パツキング、5……体液導入口 6,8……キヤツプ、7……体液導出口 9……吸着材層、10……体液導入部 11……体液導出部、12……低比重リポ蛋白質吸着
器、13……送液器 14……補給器、15……制御装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体液導入部、体液導出部、体液導入部と体
    液導出部との間に位置し、表面にポリアニオン部を有す
    る低比重リポ蛋白質吸着材が充填されている低比重リポ
    蛋白質吸着器、および該低比重リポ蛋白質吸着器に体液
    を送るための送液器とからなる低比重リポ蛋白質吸着装
    置において、低比重リポ蛋白質吸着器の体液導出口と体
    液導出部との間に、無機電解質の補給器を設けたことを
    特徴とする低比重リポ蛋白質吸着装置。
  2. 【請求項2】低比重リポ蛋白質吸着器に体液を送るため
    の送液器に連動して無機電解質の補給器が作動するよう
    に設けられている特許請求の範囲第1項記載の低比重リ
    ポ蛋白質吸着装置。
JP60161167A 1985-07-23 1985-07-23 低比重リポ蛋白質吸着装置 Expired - Fee Related JPH0659309B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60161167A JPH0659309B2 (ja) 1985-07-23 1985-07-23 低比重リポ蛋白質吸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60161167A JPH0659309B2 (ja) 1985-07-23 1985-07-23 低比重リポ蛋白質吸着装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6222658A JPS6222658A (ja) 1987-01-30
JPH0659309B2 true JPH0659309B2 (ja) 1994-08-10

Family

ID=15729868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60161167A Expired - Fee Related JPH0659309B2 (ja) 1985-07-23 1985-07-23 低比重リポ蛋白質吸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0659309B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8029454B2 (en) 2003-11-05 2011-10-04 Baxter International Inc. High convection home hemodialysis/hemofiltration and sorbent system

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59102436A (ja) * 1982-12-02 1984-06-13 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 吸着体

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6222658A (ja) 1987-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0143369B1 (en) A porous adsorbent for adsorbing low density lipoproteins
JPH0513696B2 (ja)
JP2543693B2 (ja) 低比重リポ蛋白質の吸着材およびその製造方法
JPH0659309B2 (ja) 低比重リポ蛋白質吸着装置
JPH0323182B2 (ja)
JPH01181875A (ja) 免疫複合体の吸着体およびそれを用いた免疫複合体の除去装置
JPH0114791B2 (ja)
JPH0424065B2 (ja)
JP3157026B2 (ja) 血液浄化用吸着材
JPS5854959A (ja) 免疫吸着装置の製造方法
JPS6159142B2 (ja)
JPH024301B2 (ja)
JPS6226073A (ja) 直接血液潅流吸着方法およびその装置
JPH0622624B2 (ja) 低比重リポ蛋白質吸着材の再生方法
JPH01265972A (ja) 体液中の有害成分の除去方法
JPH01315338A (ja) 低比重リポ蛋白質吸着材
JPS62244442A (ja) 低比重リポ蛋白質吸着材およびその製造方法
JPS6259975B2 (ja)
JPS6259976B2 (ja)
JPS6361024B2 (ja)
JPH043988B2 (ja)
JP2726662B2 (ja) 吸着体およびそれを用いた除去装置
JPH088928B2 (ja) 低比重リポ蛋白質を除去した血漿を製造する装置
JPH06178807A (ja) 不織布型血液浄化用吸着材
JPH06237995A (ja) 血液浄化吸着材

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees