JPH0376323B2 - - Google Patents
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- JPH0376323B2 JPH0376323B2 JP58037486A JP3748683A JPH0376323B2 JP H0376323 B2 JPH0376323 B2 JP H0376323B2 JP 58037486 A JP58037486 A JP 58037486A JP 3748683 A JP3748683 A JP 3748683A JP H0376323 B2 JPH0376323 B2 JP H0376323B2
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- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/70—Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
- A61K31/715—Polysaccharides, i.e. having more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic linkages; Derivatives thereof, e.g. ethers, esters
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B37/00—Preparation of polysaccharides not provided for in groups C08B1/00 - C08B35/00; Derivatives thereof
- C08B37/0006—Homoglycans, i.e. polysaccharides having a main chain consisting of one single sugar, e.g. colominic acid
- C08B37/0024—Homoglycans, i.e. polysaccharides having a main chain consisting of one single sugar, e.g. colominic acid beta-D-Glucans; (beta-1,3)-D-Glucans, e.g. paramylon, coriolan, sclerotan, pachyman, callose, scleroglucan, schizophyllan, laminaran, lentinan or curdlan; (beta-1,6)-D-Glucans, e.g. pustulan; (beta-1,4)-D-Glucans; (beta-1,3)(beta-1,4)-D-Glucans, e.g. lichenan; Derivatives thereof
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Description
本発明はフクロタケに由来する多糖類、その製
造法ほよびこの多糖類を有効成分として含む抗腫
瘍剤に関する。 従来よりある種の多糖類が抗腫瘍性を示すこと
は知られているがその構造と抗腫瘍性との相関は
今だ明確ではない。 また或種の菌類由来の多糖を酸化後還元して、
ポリオール化を行ない抗腫瘍性のある多糖を得る
ことも公知である。例えばキクラゲおよびペスタ
ロチア属の産生する多糖からこの様な処理によつ
て得られる多糖が抗腫瘍性を有することは本発明
者等の発明についての特開昭55−25409および特
開昭56−34701により明らかとなつている。この
場合も原料および得られるポリオール化された多
糖の構造等と抗腫瘍性との関係は必ずしも明らか
でない。 本発明者等はフクロタケからアルカリ抽出され
た多糖に強い抗腫瘍性があることをすでに見出し
ている。(特願昭57−162121号)しかしこの多糖
は乾燥により中性条件で水に対し難溶化する性質
があり、抗腫瘍剤として臨床に用いるに充分に使
いやすいことは言い難い。 本発明者等は特願昭57−162121号(特開昭59−
534240号)記載の多糖の抗腫瘍性を損なうことな
く中性条件で水に対する溶解性を改良すべく鋭意
検討の結果酸化剤、特に過ヨウ素酸またはその水
溶性塩による酸化処理についで還元処理により導
びかれた多糖がその処理前の多糖に比較し著じる
しく中性条件で水溶性が改善されると同時にその
抗腫瘍性が増強されることを発見し本発明をなし
たものである。すなわち本発明はフクロタケに含
有されるアルカリ可溶性多糖を酸化剤、特に過ヨ
ウ素酸またはその水溶性塩による酸化処理につぐ
還元処理により調整することのできる水溶性が改
善されかつ抗腫瘍性の増強された多糖を提供する
ものである。 本発明の多糖の物理的化学的性質は以下の通り
である。 (1) 溶解性 水、生理食塩水、アルカリ水溶液およびジメ
チルスルホキシドに可溶であり、メタノール、
エタノール、n−ブタノール、アセトン、ベン
ゼン、トルエン、酢酸エチル、プロピレングリ
コール、ピリジン等に実質的に不溶である。 (2) 旋光度 本発明の多糖の0.5規定水酸化ナトリウム水
溶液(0.5%)中での比旋光度は〔α〕25 D:約+
22.4゜である。 (3) 元素分析 充分に乾燥された試料の元素分析値は C:43〜44.5% H:5.8〜6.3% でありN,Sは検出限界以下であつた。 (4) 分子量 所望により用いる低粘度化処理の方法ならび
に条件にもよるが、濃度0.1モル/、PH8.6の
トリス塩酸緩衝液を移動相とするゲル過高速
液体クロマトグラフイにおいて分子量約7万な
いし約280万、特に約7万ないし約80万の分画
中に溶出する。 (5) 構成糖 本発明の多糖をギ酸および硫酸あるいは硫酸
で加水分解した後、高速液体クロマトグラフイ
(移動相:CH3CN/H2O=75/25、カラム:
東洋曹達製LS−450K)、ならびにペーパーク
ロマトグラフイ(展開溶媒:ブタノール/ピリ
ジン/水=6/4/3、発色剤:硝酸銀溶液)
ならびにアルジトールアセテートに誘導した後
ガスクロマトグラフイ(カラム:Thermon−
3000およびECNSS−N)で同定ならびに定量
した。 (イ) 本発明の多糖を完全に加水分解するとグル
コースとグリセロールとグリコールアルデヒ
ドが生成した。 (ロ) 本発明の多糖を箱守法によりメチル化し、
加水分解し後分解物をそのままあるいはアル
ジトールアセテートに誘導してガスクロマト
グラフイで分析した所、主成分として2,
4,6−トリ−O−メチルグルコースが検出
され、少量成分として2,4−ジ−O−メチ
ルグルコースならびに1,3−ジ−O−メチ
ル−グリセリンが検出され、他にごく少量の
2,3,4,6−テトラ−O−メチル−グル
コースと2,3,4−トリ−O−メチル−グ
ルコースが認められる場合と認められない場
合がある。 (ハ) 本発明のグルカンを酸で緩和加水分解する
と白色の沈殿を生ずる。この水溶性画分を高
速液体クロマトグラフイで分析するとグリセ
リンの存在が確認される。一方この白色沈殿
をメチル化し加水分解した後分解物をそのま
まあるいはアルジトールアセテートに誘導し
てガスクロマトグラフイで分析した所2,
4,6−トリ−O−メチル−グルコースのみ
が主成分として検出され、他に痕跡量の2,
3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
が検出される。 従つて本発明の多糖は主鎖は実質上β−1,3
結合のグルコースのみから成り、β−1,3−結
合のグルコース結合3〜6個、特に4〜6個に1
個の割合でその6位にβ−結合で主として単独の
グルコース残基またはグルコース残基の炭素−炭
素結合の一部が切断され、かつポリオール化され
た基より成る側鎖を有するが、側鎖約3個ないし
約10個のうち1個はβ−1,6−結合した2コの
グルコース残基またはそのグルコース残基の炭素
−炭素結合の一部が切断され、かつポリオール化
された基より成ると認められる。これらの結果お
よび後述するフクロタケ由来の多糖の構造から本
発明の多糖は、本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 ……() で表わされる第1のくり返えし単位(式中D−
GluはD−グリコピラノース残基を表わし、βは
結合様式で表わし数字は結合位置を表わす)、式 で表わされる第2のくり返えし単位(式中D−
Glu、β及び数字は前記同様の意味を表わしXは
式 で表わされる基または で表わされるD−グルコピラノシル基を表わす。)
ならびに で表わされる第3のくり返えし単位(式中D−
Glu、β、X及び数字は前記同様の意味を表わ
し、Yは式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノース残基を表わ
す。これらの前式中、(P)を付した炭素にXが
結合し、(Q)を付した酸素でグルコピラノース
残基に結合する意味である)からなり、前記第2
および/または第3のくり返えし単位中のXの少
なくとも一部は前記 で表わされる基であり、前記第1、第2および第
3の各くり返し単位の個数の和100個当り、各平
均で、第3のくり返えし単位の個数が約4ないし
約12個であり、第2のくり返えし単位と第3のく
り返えし単位の個数の和が約16ないし約33個、特
に約16ないし約23個である、フクロタケ由来の多
糖類である。 本発明の多糖類の()式およい()式で表
わされるくり返えし単位中のXおよびYの式(A)で
表わされる基および式(C)で表わされる基の合量
は、好ましくはその式(A)、(B)、(C)および(D)の各基
の合量の1/4以上である。 主鎖のβ−1,3−グルコピラノース単位当り
の、式(A)と式(C)の和の割合ならびに式(B)と式(D)の
和の割合は本発明の多糖を過ヨウ素酸によつて完
全に酸化したときの過ヨウ素酸の消費量およびギ
酸の生成量ならびに完全に加水分解した時のグリ
セリンおよびグルコースの定量により計算され
る。 本発明は更にフクロタケをアルカリ水溶液で抽
出し、得られた可溶性画分を酸化したのち還元し
て、その炭素−炭素結合の一部を切断して開環さ
せ、本発明の多糖類を製造する方法を提供するも
のである。 原料として用いるフクロタケはその子実体及び
菌糸体のいずれであつてもよい。そしてこれらは
生の状態であつても乾燥品であつてもよい。抽出
にあたり原料をあらかじめ細断することは抽出効
率をあげるために有効である。 抽出に用いるアルカリ水溶液としては、例えば
水酸化ナトリムウム、水酸化カリウム等のアルカ
リ金属水酸化物を用いることができる。特に水酸
化ナトリウム水溶液が便利である。 用いるアルカリの濃度は特に限定的ではない
が、約0.1規定ないし約3規定の範囲内で用いる
のが好ましい。 抽出に用いるアルカリ水溶液の量は通常1回の
抽出あたり、原料乾燥重量の約5ないし約100倍
量程度である。この量は少なすぎれば抽出効率が
悪く、多すぎれば後処理が面倒である。 この抽出公定においては多糖の分解又は過酸化
等の変性を防ぐため、窒素等の不活性ガスの雰囲
気下で抽出を行うことが好ましい。またさらに水
素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下で行つ
てもよい。 抽出温度には格別の限定はないが、約30℃以下
が望ましい。さらに高温、例えば通常の熱アルカ
リ抽出の温度条件である60ないし80℃程度で抽出
すると、さらに多くの分岐を有する多糖類が抽出
されるからである。抽出操作はくり返し行つても
よい。 本発明の方法で、フクロタケをアルカリ水溶液
で抽出して得られる中間体の多糖類は水、アルコ
ール等の溶媒では抽出されないので、アルカリ水
溶液で抽出する工程に先だち、水、熱水、緩衝
液、アルコール又はこれらを組合せた溶媒によ
り、これらの夾雑物を除去しておくことが好まし
い。なおこの様な操作によりアルカリ水溶液抽出
の際夾雑物となる蛋白質、マンノガラクタン、グ
リコーゲン様多糖等をあらかじめ除去することが
できる。 本発明の方法に従つて抽出を行つたアルカリ水
溶液は塩酸、酢酸等の酸で中和する。ついでこの
溶液に塩化セチルピリジニウムなどの第4級アン
モニウム塩を加えて、時に夾雑する酸性物質を不
活性沈殿として析出させ、この沈殿を過、遠心
分離等の通常の分離手段により除去する操作を行
つてもよい。中和液をそのまま又は濃縮後水で透
析し、透析液を乾燥することにより中間体の多糖
類を得ることができる。中和液をそのまま又は濃
縮した後、これにアルコール、アセトンなどの沈
殿剤を加え、得られた沈殿を所望により水に対し
て透析し、乾燥して中間体の多糖類を固体として
得てもよい。その際の乾燥方法としては、減圧乾
燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の適当な乾燥手段を用
いることができる。所望によりこれらの調製工程
の一部は省略し、次の酸化処理を行つてもよい。 こうして得られる中間体多糖は本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 ……() で表わされる第1のくり返えし単位、式 で表わされる第2のくり返し単位及び式 で表わされる第3のくり返し単位(各式中Gluは
グルコピラノース残基を、数字は結合位置を表わ
す)からなり、第1(式(1))、第2(式()及び
式3(式()の各くり返し単位の個数の和100当
り、平均で第3(式())のくり返し単位の個数
が約4ないし約12個で、第2(式())及び第3
(式())のくり返し単位の個数の和が同じく約
16ないし約23個である多糖類である。 この多糖類の物理的、化学的性質は以下の通り
である。 (1) 溶解性 アルカリ水溶液及びジメチルスルホキシドに
可溶で、メタノール、エタノール、n−ブタノ
ール、アセトン、ベンゼン、トルエン、酢酸エ
チル、プロピレングリコール、ピリジン等に実
質的に不溶である。乾燥した本発明の多糖類は
水に難溶性であるが、超音波処理などの操作を
加えることにより、水に部分的に可溶化でき
る。また塩類溶液にはわずかに溶ける。低濃度
でアルカリ水溶液に溶解したのち中和すること
溶解したままで残る。 (2) 旋光度 この多糖類の0.5規定水酸化ナトリウム水溶
液(0.5%)中での比旋光度は 〔α〕25 D:約−12゜ である。 (3) 元素分析値 注意深く充分に乾燥するとCnH2nOnから計
算される値に近い値を与えるが、通常少量の水
分を含有し、 C:43〜45% H:5.6〜6.4% N:定量限界以下 程度の値を与える。ハロゲン及び硫黄は検出さ
れない。 (4) 赤外線吸収分析 KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルを
第1図に示す。896cm-1における吸収はD−グ
ルコース残基のβ−結合に特有なものである。 (5) C13−NMR分析 δ:103.6、86.8、76,9、75.2、74.2、(ppm)
73.3、70.7、69.0及び61.4にピークを示す。 (6) 発色反応 アンスロン反応: 陽性 ニンヒドリン反応: 陰性 デイシユのカルバゾール反応: 陰性 (7) 分子量 濃度0.1モル/、PH8.6のトリス塩酸塩緩衝
液を移動相とするゲル過高速液体クロマトグ
ラフイにおいて分子量約30万ないし約280万、
特に約30万ないし約80万の分画中に溶出する。 (8) 塩化セチルピリジニウムとの反応 水溶液中塩化セチルピリジニウムと沈澱を生
成しない。 (9) 構成糖類 この多糖類を1規定硫酸水溶液中、100℃で
加水分解した後、ペーパークロマトグラフイに
より、及びアルジトールアセテートに誘導後、
ガスクロマトグラフイにより同定するとグルコ
ースのみが検出される。 (10) 結合構式 メチル化分析により、モル比で 2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコー
ス 1 2,4,6−トリ−O−メチルグルコース
約2.7ないし約5.0、特に約3.7ないし約5.0 2,3,4−トリ−O−メチルグルコース
約0.10ないし約0.35、特に約0.30ないし約0.35 及び 2,4−ジ−O−メチルグルコース
約0.7ないし約1.3 を与える。 エキソ型のβ−1,3グルカナーゼを用いて酵
素分解すると、グルコースとゲンチオビオーズを
生成する。 またメタ過ヨウ素ナトリウムで充分に酸化し、
水素化ホウ素ナトリウムで還元後、緩和な条件、
例えば0.1ないし0.2規定硫酸で、80ないし100℃、
1〜2時間程度加水分解すると側鎖に相当するグ
ルコース基の除去された直鎖状β−1,3−グル
カンが得られる。このものはメチル化分析で2,
4,6−トリ−O−メチルグルコースと痕跡量の
2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
を与える。この直鎖状β−1,3−グルカンをエ
キソ型β−1,3−グルカナーゼで酵素分解する
とグルコースのみが生成する。 従つてこの多糖類の主鎖は実質上β−1,3−
結合のグルコース残基のみから成る。 このことからこの多糖類は連続したβ−1,3
−グルコシド結合の主鎖よりなり、β−1,3−
結合のグルコース結合3〜6個、特に4〜6個に
1個の割合で、その6位にβ−結合で主として単
独のグルコース残基よりなる側鎖を有するが、側
鎖約3個ないし約10個のうち1個はβ−1,6−
結合した2ケのグルコース残基からなるものと認
められる。それ故、この多糖類の基本構造は前述
の一般式のくり返し単位からなるということがで
きる。 これらのことから本発明の方法で中間体として
経由する多糖は公知のスクレログルカン、シゾフ
イラン及びキクラゲ子実体から得られる分枝型β
−1,3−グルカンよりも枝分れの頻度が少なく
かつ分枝中にわずかのβ−1,6−結合で2ケ以
上連続したグルコース残基からなる分枝をもつ多
糖類である。 この多糖類は特願昭57−157058号(特開昭59−
45301号)の明細書中に開示されている物質であ
る。 こうして得られた中間体多糖は酸化剤、特に過
ヨウ素酸またはその水溶性塩で酸化処理し、つい
で還元処理を行う。所望によりこの任意の段階で
たとえば超音波処理等の低粘度化処理を行なつて
もよい。 用いる酸化剤は隣接する水酸基を有する炭素−
炭素結合を選択的に酸化する酸化剤が許容され
る。この例として過ヨウ素酸またはその塩、特に
メタ過ヨウ素酸ナトリウムあるいはメタ過ヨウ素
酸カリウムが好適に用いられる。酸化反応の溶媒
としてはPH3〜8の範囲で用いられる緩衝液を用
いてもよいが通常蒸留水を用いて充分である。酸
化剤の濃度は特に規定するものではないが、0.01
〜0.2mol/が好ましく、0.02〜0.1mol/がさ
らに好ましい。酸化剤の量は所望の開環度を与え
るべく適量を用いるが通常原料多糖の無水グルコ
ース単位あたり約0.02〜約2モルの範囲で用いる
のが好ましい。酸化剤が少なすぎれば水可溶性多
糖への変換が不充分であり多すぎても適量以上の
効果が得られないためである。溶媒の量は原料多
糖が充分浸漬され充分かくはんされる量であれば
よく、通常原料多糖1部に対し10部〜500部が好
適に用いられる。 酸化反応は室温もしくはそれ以下の温度で行な
うのが好ましくさらに不活性ガスの雰囲気下で行
なつてもよい。また通常冷暗所で行なう。 上記した酸化処理によつて中間体多糖の主鎖を
構成するβ−1,3−グルコピラノース残基は酸
化されず、式()および式()で表わされる
くり返し単位中の分岐したグルコピラノース残基
のみが酸化される。 酸化反応終了後、エチレングリコール又はグリ
セリン等で残存する酸化剤を分解するのは必ずし
も必須ではないが望ましい工程である。 次いで行なう還元反応において、還元剤は水に
可溶な還元剤が好ましく、この例として水素化ホ
ウ素ナトリウム(NaBH4)あるいは水素化シア
ノ硼素ナトリウム(NaBH3CN)があげられる
が、水素化ホウ素ナトリウムが好適に用いられ
る。還元反応に先立ち重炭酸ナトリウム等で反応
液を微アルカリ性にしてもよい。還元剤の量は酸
化反応液の処理方法によつても異なるが、エチレ
ングリコールで酸化剤を分解し、重炭酸ナトリウ
ムでPH8に調整した場合は理論量の約1.2倍以上
を用いればよい。還元反応の溶媒は水性であるこ
とが望ましくその量は原料多糖に対し100倍ない
し1000倍用いることが望ましい。還元反応はかく
はん下に室温で行なつて何ら差し支えない。反応
時間は約1日程度で充分である。 上記した酸化処理ならびに還元処理により、水
難溶性の原料多糖は水可溶性に変換され反応液中
に溶解する。 なお水素化ホウ素ナトリウム還元剤として用い
た場合、還元反応の後に鉱酸又は有機酸を反応液
に加え、微酸性として残存する水素化ホウ素ナト
リムを分解してもよい。又還元後も水不溶性の残
査が残る場合は遠心分離等の通常の固液分離の方
法によつて残査を除去してもよい。 こうして得られた水可溶性の多糖を含む溶液は
そのまま蒸留水中に透析してもよいし減圧濃縮し
た後に透析してもよい。 あるいは濃縮前あるいは濃縮後の多糖を含む溶
液にメチルアルコール、アセトン等の水に溶解し
得る貧溶媒を加え目的の多糖を沈澱させ、この沈
澱を遠心分離等の通常の方法で集めた後蒸留水中
に再たび溶解させて透析してもよい。もちろんこ
れらの精製方法をくり返し行つてもよい。透析は
通常2日ないし5日間で充分である。 こうして得られた透析内液は凍結乾燥、ふん霧
乾燥等の通常の方法により固型物として得られ
る。充分な透析後に貧溶媒の添加による沈澱操作
を行なう場合その沈澱を用いた溶媒でよく洗浄し
た後減圧乾燥してもよい。 上記の処理過程のいずれかの段階でたとえば超
音波処理あるいはβ−1,3グルカン分解酵素処
理等の低粘度化処理を行なうことはなんらさしつ
かえない。 こうして得られる本発明の多糖類は前述した中
間体の多糖類と比べて中性条件での水溶性が大き
く改善されている。また、その抗腫瘍性も増強さ
れている。 本発明のフクロタケ由来の多糖より導びかれる
多糖は前記2種の前述したキクラゲまたはペスタ
ロチア属の微生物由来のポリオール化された多糖
類に比べるとβ−1,3−グルカンを主鎖として
いる点に同一性があるものの、フクロタケ多糖は
前二者に比較し著じるしく分岐が少ないという特
徴を有する。 本発明の多糖ポリオールは高い抗腫瘍性と低い
毒性を示す。たとえばマウス腹腔に投与した場
合、LD50は1000mg/Kg以上である。 本発明の多糖ポリオールは既知の抗腫瘍性多糖
類と同様に生理学的に許容される媒体に溶解又は
分散させた後、静脈内、筋肉内又は皮下注射によ
り投与できる。 以下本発明を実施例によつてさらに詳細に説明
する。 実施例 1 風乾したフクロタケ子実体100gを0.9%の食塩
を含むPH7.0の0.1Mリン酸塩緩衝液1に一夜浸
した後、ミキサーおよびボモジナイザーで破砕し
た。さらにこれに同じリン酸塩緩衝液2を加え
て4時間かくはんし遠心分離した。得られた固形
分を同じリン酸塩緩衝液3に入れホモジナイザ
ーで分散させた後、4時間かくはん、遠心分離し
沈澱を得た。この沈澱を3の水に分散させ、オ
ートクレーブ中、120℃で30分間加熱した。冷却
後遠心分離して沈澱を得た。この熱水抽出処理さ
らに4回くり返し、水溶性画分をほぼ完全に抽出
除去した。 こうして得られた水不溶性画分を、水素化ホウ
素ナトリウム5gを溶解させた1規定水酸化ナト
リウム水溶液3に分散させた。窒素気流下に25
℃で4時間かくはんした後遠心分離した。この沈
澱に対して1規定水酸化ナトリウム水溶液による
抽出操作をくり返した。両水酸化ナトリムウ抽出
液を合併し、これを濃塩酸で中和し、PH6.5に調
整した。 こうして得た抽出液に塩化セチルピリジニウム
水溶液(10%)をかくはん下に、その添加によつ
てあらたに沈澱が生じなくなるまで滴下し、つい
で10000Gで3分間遠心分離を行い、生じた沈澱
を除去した。この上清に等容のメタノールを加え
てかくはんし、多糖類を沈澱させた。この沈澱を
蒸留水500mlに加えホモミキサーで分散後流水中
に5日間透析した。 透析内液を凍結乾燥し、中間体の多糖類13.0g
を得た。 元素分析値 C:44.03% H:6.05% N:定量限界以下 比旋光度 〔α〕25 D:−12゜(濃度0.5%、0.5規定水酸化ナトリ
ウム溶液中) 赤外吸収スペクトル 第1図にKBr錠剤法による、フーリエ変換赤
外吸収スペクトルを示す。 分子量 0.1M、PH8.6のトリス塩酸塩緩衝液を移動相と
して、東洋曹達工業(株)製G5000PWカラムを用い
たゲル過高速液体クロマトグラフイで分子量約
65万のリテンシヨンタイムの位置に溶出した。 C13−NMR分析、発色反応及び塩化セチルピリ
ジウムとの反応 前述した物理的、化学的性質と同じでであつ
た。 構成糖及び結合様式 得られた多糖をメチル化し、さらに加水分解し
た。得られたメチル化糖をアルジトールアセテー
トに誘導した。これをガスクロマトグラフイで分
析した。得られたメチル化糖のモル比は 2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
1 2,4,6−トリ−O−メチルグルコース 3.76 2,3,4,−トリ−O−メチルグルコース0.33 2,4−ジ−O−メチルグルコース 1.01 別にこの多糖をエキソ型β−1,3−グルカナ
ーゼで酵素分解した。グルコースとゲンチオビオ
ースが得られた。そのモル比は前者1モルに対し
て後者0.177モルであつた。 さらにまたこの多糖をメタ過ヨウ素酸ナトリウ
ムで充分に酸化し、水素化ホウ素ナトリウムで還
元した。これを更に0.1規定の硫酸中、100℃で2
時間加水分解したところ、側鎖に相当するグルコ
ース基の除去された直鎖状のグルカンの沈澱が得
られた。この沈澱を同様にしてメチル化分析を行
つたところ2,4,6−トリ−O−メチルグルコ
ースと痕跡量の2,3,4,6−テトラ−O−メ
チルグルコースを与えた。 またこの沈澱をエキソ型β−1,3−グルカナ
ーゼで酵素分解したところグルコースのみが生成
した。 従つて得られた多糖は前述した式()、()
及び()のくり返し単位からなりその個数の比
がこれらのくり返し単位の合計の個数100個当り、
式()のくり返し単位7個、式()のくり返
し単位と式()のくり返し単位との個数の和は
21個であつた。 こうして調整した中間体多糖2gを蒸留水300
mlに加えよくかくはんした。メタ過ヨウ素酸ナト
リウム1.2gを加え10℃で遮光下に10日間撹拌し
て反応させた。ついでエチレングリコール1mlを
加え3時間撹拌した。この反応後を8000Gで30分
遠心分離し、上清を除去し固形分を得た。この固
形分を蒸留水500ml中に移し、デイスパーザーで
分散させた後水素化ホウ素ナトリウム0.25gを加
え、室温で1日撹拌した。この反応液を遠心分離
し、上清液に少量の酢酸を加えPH6.5に調整した
後2倍量のメタノールを加え撹拌した。次にこれ
を遠心分離にかけ上清を除去した。得られた沈澱
を蒸留水300mlに溶解させ5日間透析した。透析
内液を凍結乾燥し白色の目的多糖1.7gを得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 分析方法は前述した中間体多糖の場合と同じで
ある。 以下の各実施例の分析方法も同様である。 元素分析値 C:43.8% H:6.1% 赤外吸収スペクトル 第2図にKBr錠剤法による、フーリエ交換赤
外吸収スペクトルを示す。 分子量 0.1M、PH8.6のトリス塩酸塩緩衝液を移動相と
して、東洋曹達工業(株)製G5000PWカラムを用い
たゲル過高速液体クロマトグラフイで分子量約
65万のリテンシヨンタイムの位置に溶出した。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位7個、第2のくり返し単位と第3の
くり返し単位との和は21個であり、また、式(A)と
式(C)の数の和は約24個、また式(B)と式(D)の数の和
は約4個であつた。 実施例 2 実施例1で調整した中間体多糖2gを用いメタ
過ヨウ素酸ナトリウムを0.6gとし、酸化反応温
度を4℃とし、水素化ホウ素ナトリムウを0.2g
にした以外は実施例1と同様にして酸化反応以後
の処理をした。目的の多糖1.65gを得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 元素分析値 C:43.6% H:6.0% 分子量 実施例1の多糖と同様であつた。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約7個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は21個であり、また式(A)と
式(C)の数の和は約21個、また式(B)と式(D)の数の和
は約7個であつた。 実施例 3 実施例1で調製した中間体多糖2gを蒸留水
300mlに加えてよくかくはんした。メタ過ヨウ素
酸ナトリウム0.4gを加え4℃で遮光下に8日間
撹拌して反応させた。ついでエチレングリコール
0.5mlを加え3時間撹拌した。ついで蒸留水200ml
を加えた後0.5モル/濃度の炭酸水素ナトリウ
ム水溶液を加え、PH8.0に調整した。これに水素
化ホウ素ナトリウム0.25gを加え1日間撹拌し
た。この反応液に小量の酢酸を加えPH6.0とした。
この溶液を外部液を蒸留水として5日間透析し
た。透析内液を凍結乾燥し、目的の多糖1.70gを
得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 元素分析値 C:43.5% H:6.1% 分子量 実施例1の多糖と同様であつた。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と式()の第2のくり返し単位と式()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約7個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は約21個であり、また式(A)
と式(C)の数の和は約11個、また式(B)と式(D)の数の
和は約17個であつた。 実施例 4 塩化セチルピリジニウムの添加とそれに続く遠
心分離操作を除いた以外は実施例1と同様にして
中間体多糖類を調製した。この多糖2gを蒸留水
400mlに分散させ1.3gのメタ過ヨウ素酸カリウム
を用いて実施例1と同様に酸化反応を行なつた。
実施例1と同様にしてその後の処理を行なつたと
ころ目的の多糖1.6gを得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 元素分析値 C:43.2% H:5.9% 分子量 実施例1と同等であつた。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
体と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約6個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は20個であり、また式(A)と
式(C)の数の和は約24個、また式(B)と式(D)の数の和
は約2個であつた。 実施例 5 実施例4と同様にして中間体多糖類を調製し
た。この多糖2gを実施例1と同様にして酸化・
還元した。還元反応後少量の酢酸を加えPHを6.0
に調製し、20KHz100Wの条件で外部より氷冷し
ながら撹拌下に30分超音波処理をした。 ついでこの処理液に2倍量のアセトンをゆつく
り加えかくはんし遠心分離を行ない上清を除去し
た後この沈澱を蒸留水300mlに溶解させ5日間透
析した。透析内液を凍結乾燥し、白色の目的多糖
類1.60gを得た。 本多糖の性状は以下の通りである。 元素分析値 C:43.2% H:6.0% 分子量 実施例1と同様な条件でのゲル過高速液体ク
ロマトグラフイ分子量約12万のリテンシヨンタイ
ムの位置に溶出した。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約6個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は19個であり、また、式(A)
と式(C)の数の和は約21個、また式(B)と式(D)の数の
和は約4個であつた。 実施例 6 アルカリ水溶液抽出の前の工程を実施例1と同
様にして行つた後、抽出温度を20℃に変えた以外
は実施例1と同様にしてアルカリ水溶液抽出を行
つた。得られた抽出液を塩酸でPH6.5に調整した
後、実施例1と同様にして塩化セチルピリジニウ
ム水溶液(10%)を加え生ずる沈澱を遠心分離に
より除去した。上清を2日間流水中に透析した
後、透析内液を3にまで40℃で減圧下に濃縮し
た。これに等容のメタノールを加え生じた沈澱を
10000Gで30分間遠心分離した。この沈澱を300ml
のメタノールに加え約1時間かくはん遠心分離し
沈澱を得た。このメタノールによる洗浄をさらに
2度くり返したのち、沈澱を減圧乾燥し中間体多
糖10.5gを得た。 こうして得た多糖について実施例1と同様にし
て分析を行なつた。 元素分析値 C:44.31% H:6.10% N:定量限界以下 分子量 分子量約55万の位置に溶出した。 メモル化糖のモル比 2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
1 2,4,6−トリ−O−メチルグルコース 4.26 2,3,4−トリ−O−メチルグルコース 0.32 2,4−ジ−O−メチルグルコース 1.01 エキソ型β−1,3−グルカナーゼ消化で得らた
グルコースとゲンチオビオーズのモル比
1:0.160 くり返し単位の割合 合計個数100個当り式()のくり返し単位6
個で、式()のくり返し単位と式()のくり
返し単位の個数の和は19個であつた。 その他の結果は実施例1の場合と実質的に同一
であつた。 こうして得られた中間体多糖2gを用い、実施
例1と同様に酸化反応以後の処置を施した所1.6
gの目的多糖を得た。 元素分析値 C:43.9% H:6.1% 分子量 約50万の位置に溶出した。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり第3のく
り返し単位約6個第2のくり返し単位と第3のく
り返し単位との和は19個であり、また式(A)と式(C)
の数の和は23個、または式(B)と式(D)の数の和は2
個であつた。 実施例 7 〔水に対する溶解性試験〕 実施例1の中間体多糖および目的の多糖を精秤
し生理食塩水(PH6.3)50mlを加え40℃で3時間
撹拌した所第1表の結果を得た。生理食塩水のか
わりに精製水(PH6.7)を用いた場合もまた同様
の結果を得た。 第1表より本発明の多糖の中性域での溶解性改
良が明確に示される。
造法ほよびこの多糖類を有効成分として含む抗腫
瘍剤に関する。 従来よりある種の多糖類が抗腫瘍性を示すこと
は知られているがその構造と抗腫瘍性との相関は
今だ明確ではない。 また或種の菌類由来の多糖を酸化後還元して、
ポリオール化を行ない抗腫瘍性のある多糖を得る
ことも公知である。例えばキクラゲおよびペスタ
ロチア属の産生する多糖からこの様な処理によつ
て得られる多糖が抗腫瘍性を有することは本発明
者等の発明についての特開昭55−25409および特
開昭56−34701により明らかとなつている。この
場合も原料および得られるポリオール化された多
糖の構造等と抗腫瘍性との関係は必ずしも明らか
でない。 本発明者等はフクロタケからアルカリ抽出され
た多糖に強い抗腫瘍性があることをすでに見出し
ている。(特願昭57−162121号)しかしこの多糖
は乾燥により中性条件で水に対し難溶化する性質
があり、抗腫瘍剤として臨床に用いるに充分に使
いやすいことは言い難い。 本発明者等は特願昭57−162121号(特開昭59−
534240号)記載の多糖の抗腫瘍性を損なうことな
く中性条件で水に対する溶解性を改良すべく鋭意
検討の結果酸化剤、特に過ヨウ素酸またはその水
溶性塩による酸化処理についで還元処理により導
びかれた多糖がその処理前の多糖に比較し著じる
しく中性条件で水溶性が改善されると同時にその
抗腫瘍性が増強されることを発見し本発明をなし
たものである。すなわち本発明はフクロタケに含
有されるアルカリ可溶性多糖を酸化剤、特に過ヨ
ウ素酸またはその水溶性塩による酸化処理につぐ
還元処理により調整することのできる水溶性が改
善されかつ抗腫瘍性の増強された多糖を提供する
ものである。 本発明の多糖の物理的化学的性質は以下の通り
である。 (1) 溶解性 水、生理食塩水、アルカリ水溶液およびジメ
チルスルホキシドに可溶であり、メタノール、
エタノール、n−ブタノール、アセトン、ベン
ゼン、トルエン、酢酸エチル、プロピレングリ
コール、ピリジン等に実質的に不溶である。 (2) 旋光度 本発明の多糖の0.5規定水酸化ナトリウム水
溶液(0.5%)中での比旋光度は〔α〕25 D:約+
22.4゜である。 (3) 元素分析 充分に乾燥された試料の元素分析値は C:43〜44.5% H:5.8〜6.3% でありN,Sは検出限界以下であつた。 (4) 分子量 所望により用いる低粘度化処理の方法ならび
に条件にもよるが、濃度0.1モル/、PH8.6の
トリス塩酸緩衝液を移動相とするゲル過高速
液体クロマトグラフイにおいて分子量約7万な
いし約280万、特に約7万ないし約80万の分画
中に溶出する。 (5) 構成糖 本発明の多糖をギ酸および硫酸あるいは硫酸
で加水分解した後、高速液体クロマトグラフイ
(移動相:CH3CN/H2O=75/25、カラム:
東洋曹達製LS−450K)、ならびにペーパーク
ロマトグラフイ(展開溶媒:ブタノール/ピリ
ジン/水=6/4/3、発色剤:硝酸銀溶液)
ならびにアルジトールアセテートに誘導した後
ガスクロマトグラフイ(カラム:Thermon−
3000およびECNSS−N)で同定ならびに定量
した。 (イ) 本発明の多糖を完全に加水分解するとグル
コースとグリセロールとグリコールアルデヒ
ドが生成した。 (ロ) 本発明の多糖を箱守法によりメチル化し、
加水分解し後分解物をそのままあるいはアル
ジトールアセテートに誘導してガスクロマト
グラフイで分析した所、主成分として2,
4,6−トリ−O−メチルグルコースが検出
され、少量成分として2,4−ジ−O−メチ
ルグルコースならびに1,3−ジ−O−メチ
ル−グリセリンが検出され、他にごく少量の
2,3,4,6−テトラ−O−メチル−グル
コースと2,3,4−トリ−O−メチル−グ
ルコースが認められる場合と認められない場
合がある。 (ハ) 本発明のグルカンを酸で緩和加水分解する
と白色の沈殿を生ずる。この水溶性画分を高
速液体クロマトグラフイで分析するとグリセ
リンの存在が確認される。一方この白色沈殿
をメチル化し加水分解した後分解物をそのま
まあるいはアルジトールアセテートに誘導し
てガスクロマトグラフイで分析した所2,
4,6−トリ−O−メチル−グルコースのみ
が主成分として検出され、他に痕跡量の2,
3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
が検出される。 従つて本発明の多糖は主鎖は実質上β−1,3
結合のグルコースのみから成り、β−1,3−結
合のグルコース結合3〜6個、特に4〜6個に1
個の割合でその6位にβ−結合で主として単独の
グルコース残基またはグルコース残基の炭素−炭
素結合の一部が切断され、かつポリオール化され
た基より成る側鎖を有するが、側鎖約3個ないし
約10個のうち1個はβ−1,6−結合した2コの
グルコース残基またはそのグルコース残基の炭素
−炭素結合の一部が切断され、かつポリオール化
された基より成ると認められる。これらの結果お
よび後述するフクロタケ由来の多糖の構造から本
発明の多糖は、本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 ……() で表わされる第1のくり返えし単位(式中D−
GluはD−グリコピラノース残基を表わし、βは
結合様式で表わし数字は結合位置を表わす)、式 で表わされる第2のくり返えし単位(式中D−
Glu、β及び数字は前記同様の意味を表わしXは
式 で表わされる基または で表わされるD−グルコピラノシル基を表わす。)
ならびに で表わされる第3のくり返えし単位(式中D−
Glu、β、X及び数字は前記同様の意味を表わ
し、Yは式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノース残基を表わ
す。これらの前式中、(P)を付した炭素にXが
結合し、(Q)を付した酸素でグルコピラノース
残基に結合する意味である)からなり、前記第2
および/または第3のくり返えし単位中のXの少
なくとも一部は前記 で表わされる基であり、前記第1、第2および第
3の各くり返し単位の個数の和100個当り、各平
均で、第3のくり返えし単位の個数が約4ないし
約12個であり、第2のくり返えし単位と第3のく
り返えし単位の個数の和が約16ないし約33個、特
に約16ないし約23個である、フクロタケ由来の多
糖類である。 本発明の多糖類の()式およい()式で表
わされるくり返えし単位中のXおよびYの式(A)で
表わされる基および式(C)で表わされる基の合量
は、好ましくはその式(A)、(B)、(C)および(D)の各基
の合量の1/4以上である。 主鎖のβ−1,3−グルコピラノース単位当り
の、式(A)と式(C)の和の割合ならびに式(B)と式(D)の
和の割合は本発明の多糖を過ヨウ素酸によつて完
全に酸化したときの過ヨウ素酸の消費量およびギ
酸の生成量ならびに完全に加水分解した時のグリ
セリンおよびグルコースの定量により計算され
る。 本発明は更にフクロタケをアルカリ水溶液で抽
出し、得られた可溶性画分を酸化したのち還元し
て、その炭素−炭素結合の一部を切断して開環さ
せ、本発明の多糖類を製造する方法を提供するも
のである。 原料として用いるフクロタケはその子実体及び
菌糸体のいずれであつてもよい。そしてこれらは
生の状態であつても乾燥品であつてもよい。抽出
にあたり原料をあらかじめ細断することは抽出効
率をあげるために有効である。 抽出に用いるアルカリ水溶液としては、例えば
水酸化ナトリムウム、水酸化カリウム等のアルカ
リ金属水酸化物を用いることができる。特に水酸
化ナトリウム水溶液が便利である。 用いるアルカリの濃度は特に限定的ではない
が、約0.1規定ないし約3規定の範囲内で用いる
のが好ましい。 抽出に用いるアルカリ水溶液の量は通常1回の
抽出あたり、原料乾燥重量の約5ないし約100倍
量程度である。この量は少なすぎれば抽出効率が
悪く、多すぎれば後処理が面倒である。 この抽出公定においては多糖の分解又は過酸化
等の変性を防ぐため、窒素等の不活性ガスの雰囲
気下で抽出を行うことが好ましい。またさらに水
素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下で行つ
てもよい。 抽出温度には格別の限定はないが、約30℃以下
が望ましい。さらに高温、例えば通常の熱アルカ
リ抽出の温度条件である60ないし80℃程度で抽出
すると、さらに多くの分岐を有する多糖類が抽出
されるからである。抽出操作はくり返し行つても
よい。 本発明の方法で、フクロタケをアルカリ水溶液
で抽出して得られる中間体の多糖類は水、アルコ
ール等の溶媒では抽出されないので、アルカリ水
溶液で抽出する工程に先だち、水、熱水、緩衝
液、アルコール又はこれらを組合せた溶媒によ
り、これらの夾雑物を除去しておくことが好まし
い。なおこの様な操作によりアルカリ水溶液抽出
の際夾雑物となる蛋白質、マンノガラクタン、グ
リコーゲン様多糖等をあらかじめ除去することが
できる。 本発明の方法に従つて抽出を行つたアルカリ水
溶液は塩酸、酢酸等の酸で中和する。ついでこの
溶液に塩化セチルピリジニウムなどの第4級アン
モニウム塩を加えて、時に夾雑する酸性物質を不
活性沈殿として析出させ、この沈殿を過、遠心
分離等の通常の分離手段により除去する操作を行
つてもよい。中和液をそのまま又は濃縮後水で透
析し、透析液を乾燥することにより中間体の多糖
類を得ることができる。中和液をそのまま又は濃
縮した後、これにアルコール、アセトンなどの沈
殿剤を加え、得られた沈殿を所望により水に対し
て透析し、乾燥して中間体の多糖類を固体として
得てもよい。その際の乾燥方法としては、減圧乾
燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の適当な乾燥手段を用
いることができる。所望によりこれらの調製工程
の一部は省略し、次の酸化処理を行つてもよい。 こうして得られる中間体多糖は本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 ……() で表わされる第1のくり返えし単位、式 で表わされる第2のくり返し単位及び式 で表わされる第3のくり返し単位(各式中Gluは
グルコピラノース残基を、数字は結合位置を表わ
す)からなり、第1(式(1))、第2(式()及び
式3(式()の各くり返し単位の個数の和100当
り、平均で第3(式())のくり返し単位の個数
が約4ないし約12個で、第2(式())及び第3
(式())のくり返し単位の個数の和が同じく約
16ないし約23個である多糖類である。 この多糖類の物理的、化学的性質は以下の通り
である。 (1) 溶解性 アルカリ水溶液及びジメチルスルホキシドに
可溶で、メタノール、エタノール、n−ブタノ
ール、アセトン、ベンゼン、トルエン、酢酸エ
チル、プロピレングリコール、ピリジン等に実
質的に不溶である。乾燥した本発明の多糖類は
水に難溶性であるが、超音波処理などの操作を
加えることにより、水に部分的に可溶化でき
る。また塩類溶液にはわずかに溶ける。低濃度
でアルカリ水溶液に溶解したのち中和すること
溶解したままで残る。 (2) 旋光度 この多糖類の0.5規定水酸化ナトリウム水溶
液(0.5%)中での比旋光度は 〔α〕25 D:約−12゜ である。 (3) 元素分析値 注意深く充分に乾燥するとCnH2nOnから計
算される値に近い値を与えるが、通常少量の水
分を含有し、 C:43〜45% H:5.6〜6.4% N:定量限界以下 程度の値を与える。ハロゲン及び硫黄は検出さ
れない。 (4) 赤外線吸収分析 KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルを
第1図に示す。896cm-1における吸収はD−グ
ルコース残基のβ−結合に特有なものである。 (5) C13−NMR分析 δ:103.6、86.8、76,9、75.2、74.2、(ppm)
73.3、70.7、69.0及び61.4にピークを示す。 (6) 発色反応 アンスロン反応: 陽性 ニンヒドリン反応: 陰性 デイシユのカルバゾール反応: 陰性 (7) 分子量 濃度0.1モル/、PH8.6のトリス塩酸塩緩衝
液を移動相とするゲル過高速液体クロマトグ
ラフイにおいて分子量約30万ないし約280万、
特に約30万ないし約80万の分画中に溶出する。 (8) 塩化セチルピリジニウムとの反応 水溶液中塩化セチルピリジニウムと沈澱を生
成しない。 (9) 構成糖類 この多糖類を1規定硫酸水溶液中、100℃で
加水分解した後、ペーパークロマトグラフイに
より、及びアルジトールアセテートに誘導後、
ガスクロマトグラフイにより同定するとグルコ
ースのみが検出される。 (10) 結合構式 メチル化分析により、モル比で 2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコー
ス 1 2,4,6−トリ−O−メチルグルコース
約2.7ないし約5.0、特に約3.7ないし約5.0 2,3,4−トリ−O−メチルグルコース
約0.10ないし約0.35、特に約0.30ないし約0.35 及び 2,4−ジ−O−メチルグルコース
約0.7ないし約1.3 を与える。 エキソ型のβ−1,3グルカナーゼを用いて酵
素分解すると、グルコースとゲンチオビオーズを
生成する。 またメタ過ヨウ素ナトリウムで充分に酸化し、
水素化ホウ素ナトリウムで還元後、緩和な条件、
例えば0.1ないし0.2規定硫酸で、80ないし100℃、
1〜2時間程度加水分解すると側鎖に相当するグ
ルコース基の除去された直鎖状β−1,3−グル
カンが得られる。このものはメチル化分析で2,
4,6−トリ−O−メチルグルコースと痕跡量の
2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
を与える。この直鎖状β−1,3−グルカンをエ
キソ型β−1,3−グルカナーゼで酵素分解する
とグルコースのみが生成する。 従つてこの多糖類の主鎖は実質上β−1,3−
結合のグルコース残基のみから成る。 このことからこの多糖類は連続したβ−1,3
−グルコシド結合の主鎖よりなり、β−1,3−
結合のグルコース結合3〜6個、特に4〜6個に
1個の割合で、その6位にβ−結合で主として単
独のグルコース残基よりなる側鎖を有するが、側
鎖約3個ないし約10個のうち1個はβ−1,6−
結合した2ケのグルコース残基からなるものと認
められる。それ故、この多糖類の基本構造は前述
の一般式のくり返し単位からなるということがで
きる。 これらのことから本発明の方法で中間体として
経由する多糖は公知のスクレログルカン、シゾフ
イラン及びキクラゲ子実体から得られる分枝型β
−1,3−グルカンよりも枝分れの頻度が少なく
かつ分枝中にわずかのβ−1,6−結合で2ケ以
上連続したグルコース残基からなる分枝をもつ多
糖類である。 この多糖類は特願昭57−157058号(特開昭59−
45301号)の明細書中に開示されている物質であ
る。 こうして得られた中間体多糖は酸化剤、特に過
ヨウ素酸またはその水溶性塩で酸化処理し、つい
で還元処理を行う。所望によりこの任意の段階で
たとえば超音波処理等の低粘度化処理を行なつて
もよい。 用いる酸化剤は隣接する水酸基を有する炭素−
炭素結合を選択的に酸化する酸化剤が許容され
る。この例として過ヨウ素酸またはその塩、特に
メタ過ヨウ素酸ナトリウムあるいはメタ過ヨウ素
酸カリウムが好適に用いられる。酸化反応の溶媒
としてはPH3〜8の範囲で用いられる緩衝液を用
いてもよいが通常蒸留水を用いて充分である。酸
化剤の濃度は特に規定するものではないが、0.01
〜0.2mol/が好ましく、0.02〜0.1mol/がさ
らに好ましい。酸化剤の量は所望の開環度を与え
るべく適量を用いるが通常原料多糖の無水グルコ
ース単位あたり約0.02〜約2モルの範囲で用いる
のが好ましい。酸化剤が少なすぎれば水可溶性多
糖への変換が不充分であり多すぎても適量以上の
効果が得られないためである。溶媒の量は原料多
糖が充分浸漬され充分かくはんされる量であれば
よく、通常原料多糖1部に対し10部〜500部が好
適に用いられる。 酸化反応は室温もしくはそれ以下の温度で行な
うのが好ましくさらに不活性ガスの雰囲気下で行
なつてもよい。また通常冷暗所で行なう。 上記した酸化処理によつて中間体多糖の主鎖を
構成するβ−1,3−グルコピラノース残基は酸
化されず、式()および式()で表わされる
くり返し単位中の分岐したグルコピラノース残基
のみが酸化される。 酸化反応終了後、エチレングリコール又はグリ
セリン等で残存する酸化剤を分解するのは必ずし
も必須ではないが望ましい工程である。 次いで行なう還元反応において、還元剤は水に
可溶な還元剤が好ましく、この例として水素化ホ
ウ素ナトリウム(NaBH4)あるいは水素化シア
ノ硼素ナトリウム(NaBH3CN)があげられる
が、水素化ホウ素ナトリウムが好適に用いられ
る。還元反応に先立ち重炭酸ナトリウム等で反応
液を微アルカリ性にしてもよい。還元剤の量は酸
化反応液の処理方法によつても異なるが、エチレ
ングリコールで酸化剤を分解し、重炭酸ナトリウ
ムでPH8に調整した場合は理論量の約1.2倍以上
を用いればよい。還元反応の溶媒は水性であるこ
とが望ましくその量は原料多糖に対し100倍ない
し1000倍用いることが望ましい。還元反応はかく
はん下に室温で行なつて何ら差し支えない。反応
時間は約1日程度で充分である。 上記した酸化処理ならびに還元処理により、水
難溶性の原料多糖は水可溶性に変換され反応液中
に溶解する。 なお水素化ホウ素ナトリウム還元剤として用い
た場合、還元反応の後に鉱酸又は有機酸を反応液
に加え、微酸性として残存する水素化ホウ素ナト
リムを分解してもよい。又還元後も水不溶性の残
査が残る場合は遠心分離等の通常の固液分離の方
法によつて残査を除去してもよい。 こうして得られた水可溶性の多糖を含む溶液は
そのまま蒸留水中に透析してもよいし減圧濃縮し
た後に透析してもよい。 あるいは濃縮前あるいは濃縮後の多糖を含む溶
液にメチルアルコール、アセトン等の水に溶解し
得る貧溶媒を加え目的の多糖を沈澱させ、この沈
澱を遠心分離等の通常の方法で集めた後蒸留水中
に再たび溶解させて透析してもよい。もちろんこ
れらの精製方法をくり返し行つてもよい。透析は
通常2日ないし5日間で充分である。 こうして得られた透析内液は凍結乾燥、ふん霧
乾燥等の通常の方法により固型物として得られ
る。充分な透析後に貧溶媒の添加による沈澱操作
を行なう場合その沈澱を用いた溶媒でよく洗浄し
た後減圧乾燥してもよい。 上記の処理過程のいずれかの段階でたとえば超
音波処理あるいはβ−1,3グルカン分解酵素処
理等の低粘度化処理を行なうことはなんらさしつ
かえない。 こうして得られる本発明の多糖類は前述した中
間体の多糖類と比べて中性条件での水溶性が大き
く改善されている。また、その抗腫瘍性も増強さ
れている。 本発明のフクロタケ由来の多糖より導びかれる
多糖は前記2種の前述したキクラゲまたはペスタ
ロチア属の微生物由来のポリオール化された多糖
類に比べるとβ−1,3−グルカンを主鎖として
いる点に同一性があるものの、フクロタケ多糖は
前二者に比較し著じるしく分岐が少ないという特
徴を有する。 本発明の多糖ポリオールは高い抗腫瘍性と低い
毒性を示す。たとえばマウス腹腔に投与した場
合、LD50は1000mg/Kg以上である。 本発明の多糖ポリオールは既知の抗腫瘍性多糖
類と同様に生理学的に許容される媒体に溶解又は
分散させた後、静脈内、筋肉内又は皮下注射によ
り投与できる。 以下本発明を実施例によつてさらに詳細に説明
する。 実施例 1 風乾したフクロタケ子実体100gを0.9%の食塩
を含むPH7.0の0.1Mリン酸塩緩衝液1に一夜浸
した後、ミキサーおよびボモジナイザーで破砕し
た。さらにこれに同じリン酸塩緩衝液2を加え
て4時間かくはんし遠心分離した。得られた固形
分を同じリン酸塩緩衝液3に入れホモジナイザ
ーで分散させた後、4時間かくはん、遠心分離し
沈澱を得た。この沈澱を3の水に分散させ、オ
ートクレーブ中、120℃で30分間加熱した。冷却
後遠心分離して沈澱を得た。この熱水抽出処理さ
らに4回くり返し、水溶性画分をほぼ完全に抽出
除去した。 こうして得られた水不溶性画分を、水素化ホウ
素ナトリウム5gを溶解させた1規定水酸化ナト
リウム水溶液3に分散させた。窒素気流下に25
℃で4時間かくはんした後遠心分離した。この沈
澱に対して1規定水酸化ナトリウム水溶液による
抽出操作をくり返した。両水酸化ナトリムウ抽出
液を合併し、これを濃塩酸で中和し、PH6.5に調
整した。 こうして得た抽出液に塩化セチルピリジニウム
水溶液(10%)をかくはん下に、その添加によつ
てあらたに沈澱が生じなくなるまで滴下し、つい
で10000Gで3分間遠心分離を行い、生じた沈澱
を除去した。この上清に等容のメタノールを加え
てかくはんし、多糖類を沈澱させた。この沈澱を
蒸留水500mlに加えホモミキサーで分散後流水中
に5日間透析した。 透析内液を凍結乾燥し、中間体の多糖類13.0g
を得た。 元素分析値 C:44.03% H:6.05% N:定量限界以下 比旋光度 〔α〕25 D:−12゜(濃度0.5%、0.5規定水酸化ナトリ
ウム溶液中) 赤外吸収スペクトル 第1図にKBr錠剤法による、フーリエ変換赤
外吸収スペクトルを示す。 分子量 0.1M、PH8.6のトリス塩酸塩緩衝液を移動相と
して、東洋曹達工業(株)製G5000PWカラムを用い
たゲル過高速液体クロマトグラフイで分子量約
65万のリテンシヨンタイムの位置に溶出した。 C13−NMR分析、発色反応及び塩化セチルピリ
ジウムとの反応 前述した物理的、化学的性質と同じでであつ
た。 構成糖及び結合様式 得られた多糖をメチル化し、さらに加水分解し
た。得られたメチル化糖をアルジトールアセテー
トに誘導した。これをガスクロマトグラフイで分
析した。得られたメチル化糖のモル比は 2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
1 2,4,6−トリ−O−メチルグルコース 3.76 2,3,4,−トリ−O−メチルグルコース0.33 2,4−ジ−O−メチルグルコース 1.01 別にこの多糖をエキソ型β−1,3−グルカナ
ーゼで酵素分解した。グルコースとゲンチオビオ
ースが得られた。そのモル比は前者1モルに対し
て後者0.177モルであつた。 さらにまたこの多糖をメタ過ヨウ素酸ナトリウ
ムで充分に酸化し、水素化ホウ素ナトリウムで還
元した。これを更に0.1規定の硫酸中、100℃で2
時間加水分解したところ、側鎖に相当するグルコ
ース基の除去された直鎖状のグルカンの沈澱が得
られた。この沈澱を同様にしてメチル化分析を行
つたところ2,4,6−トリ−O−メチルグルコ
ースと痕跡量の2,3,4,6−テトラ−O−メ
チルグルコースを与えた。 またこの沈澱をエキソ型β−1,3−グルカナ
ーゼで酵素分解したところグルコースのみが生成
した。 従つて得られた多糖は前述した式()、()
及び()のくり返し単位からなりその個数の比
がこれらのくり返し単位の合計の個数100個当り、
式()のくり返し単位7個、式()のくり返
し単位と式()のくり返し単位との個数の和は
21個であつた。 こうして調整した中間体多糖2gを蒸留水300
mlに加えよくかくはんした。メタ過ヨウ素酸ナト
リウム1.2gを加え10℃で遮光下に10日間撹拌し
て反応させた。ついでエチレングリコール1mlを
加え3時間撹拌した。この反応後を8000Gで30分
遠心分離し、上清を除去し固形分を得た。この固
形分を蒸留水500ml中に移し、デイスパーザーで
分散させた後水素化ホウ素ナトリウム0.25gを加
え、室温で1日撹拌した。この反応液を遠心分離
し、上清液に少量の酢酸を加えPH6.5に調整した
後2倍量のメタノールを加え撹拌した。次にこれ
を遠心分離にかけ上清を除去した。得られた沈澱
を蒸留水300mlに溶解させ5日間透析した。透析
内液を凍結乾燥し白色の目的多糖1.7gを得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 分析方法は前述した中間体多糖の場合と同じで
ある。 以下の各実施例の分析方法も同様である。 元素分析値 C:43.8% H:6.1% 赤外吸収スペクトル 第2図にKBr錠剤法による、フーリエ交換赤
外吸収スペクトルを示す。 分子量 0.1M、PH8.6のトリス塩酸塩緩衝液を移動相と
して、東洋曹達工業(株)製G5000PWカラムを用い
たゲル過高速液体クロマトグラフイで分子量約
65万のリテンシヨンタイムの位置に溶出した。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位7個、第2のくり返し単位と第3の
くり返し単位との和は21個であり、また、式(A)と
式(C)の数の和は約24個、また式(B)と式(D)の数の和
は約4個であつた。 実施例 2 実施例1で調整した中間体多糖2gを用いメタ
過ヨウ素酸ナトリウムを0.6gとし、酸化反応温
度を4℃とし、水素化ホウ素ナトリムウを0.2g
にした以外は実施例1と同様にして酸化反応以後
の処理をした。目的の多糖1.65gを得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 元素分析値 C:43.6% H:6.0% 分子量 実施例1の多糖と同様であつた。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約7個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は21個であり、また式(A)と
式(C)の数の和は約21個、また式(B)と式(D)の数の和
は約7個であつた。 実施例 3 実施例1で調製した中間体多糖2gを蒸留水
300mlに加えてよくかくはんした。メタ過ヨウ素
酸ナトリウム0.4gを加え4℃で遮光下に8日間
撹拌して反応させた。ついでエチレングリコール
0.5mlを加え3時間撹拌した。ついで蒸留水200ml
を加えた後0.5モル/濃度の炭酸水素ナトリウ
ム水溶液を加え、PH8.0に調整した。これに水素
化ホウ素ナトリウム0.25gを加え1日間撹拌し
た。この反応液に小量の酢酸を加えPH6.0とした。
この溶液を外部液を蒸留水として5日間透析し
た。透析内液を凍結乾燥し、目的の多糖1.70gを
得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 元素分析値 C:43.5% H:6.1% 分子量 実施例1の多糖と同様であつた。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と式()の第2のくり返し単位と式()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約7個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は約21個であり、また式(A)
と式(C)の数の和は約11個、また式(B)と式(D)の数の
和は約17個であつた。 実施例 4 塩化セチルピリジニウムの添加とそれに続く遠
心分離操作を除いた以外は実施例1と同様にして
中間体多糖類を調製した。この多糖2gを蒸留水
400mlに分散させ1.3gのメタ過ヨウ素酸カリウム
を用いて実施例1と同様に酸化反応を行なつた。
実施例1と同様にしてその後の処理を行なつたと
ころ目的の多糖1.6gを得た。 本多糖の性状は以下の通りであつた。 元素分析値 C:43.2% H:5.9% 分子量 実施例1と同等であつた。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
体と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約6個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は20個であり、また式(A)と
式(C)の数の和は約24個、また式(B)と式(D)の数の和
は約2個であつた。 実施例 5 実施例4と同様にして中間体多糖類を調製し
た。この多糖2gを実施例1と同様にして酸化・
還元した。還元反応後少量の酢酸を加えPHを6.0
に調製し、20KHz100Wの条件で外部より氷冷し
ながら撹拌下に30分超音波処理をした。 ついでこの処理液に2倍量のアセトンをゆつく
り加えかくはんし遠心分離を行ない上清を除去し
た後この沈澱を蒸留水300mlに溶解させ5日間透
析した。透析内液を凍結乾燥し、白色の目的多糖
類1.60gを得た。 本多糖の性状は以下の通りである。 元素分析値 C:43.2% H:6.0% 分子量 実施例1と同様な条件でのゲル過高速液体ク
ロマトグラフイ分子量約12万のリテンシヨンタイ
ムの位置に溶出した。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり、第3の
くり返し単位約6個、第2のくり返し単位と第3
のくり返し単位との和は19個であり、また、式(A)
と式(C)の数の和は約21個、また式(B)と式(D)の数の
和は約4個であつた。 実施例 6 アルカリ水溶液抽出の前の工程を実施例1と同
様にして行つた後、抽出温度を20℃に変えた以外
は実施例1と同様にしてアルカリ水溶液抽出を行
つた。得られた抽出液を塩酸でPH6.5に調整した
後、実施例1と同様にして塩化セチルピリジニウ
ム水溶液(10%)を加え生ずる沈澱を遠心分離に
より除去した。上清を2日間流水中に透析した
後、透析内液を3にまで40℃で減圧下に濃縮し
た。これに等容のメタノールを加え生じた沈澱を
10000Gで30分間遠心分離した。この沈澱を300ml
のメタノールに加え約1時間かくはん遠心分離し
沈澱を得た。このメタノールによる洗浄をさらに
2度くり返したのち、沈澱を減圧乾燥し中間体多
糖10.5gを得た。 こうして得た多糖について実施例1と同様にし
て分析を行なつた。 元素分析値 C:44.31% H:6.10% N:定量限界以下 分子量 分子量約55万の位置に溶出した。 メモル化糖のモル比 2,3,4,6−テトラ−O−メチルグルコース
1 2,4,6−トリ−O−メチルグルコース 4.26 2,3,4−トリ−O−メチルグルコース 0.32 2,4−ジ−O−メチルグルコース 1.01 エキソ型β−1,3−グルカナーゼ消化で得らた
グルコースとゲンチオビオーズのモル比
1:0.160 くり返し単位の割合 合計個数100個当り式()のくり返し単位6
個で、式()のくり返し単位と式()のくり
返し単位の個数の和は19個であつた。 その他の結果は実施例1の場合と実質的に同一
であつた。 こうして得られた中間体多糖2gを用い、実施
例1と同様に酸化反応以後の処置を施した所1.6
gの目的多糖を得た。 元素分析値 C:43.9% H:6.1% 分子量 約50万の位置に溶出した。 構 造 本多糖は前記した式()の第1のくり返し単
位と同()の第2のくり返し単位と同()の
第3のくり返し単位から成り、第1、第2、およ
び第3のくり返し単位の和100個あたり第3のく
り返し単位約6個第2のくり返し単位と第3のく
り返し単位との和は19個であり、また式(A)と式(C)
の数の和は23個、または式(B)と式(D)の数の和は2
個であつた。 実施例 7 〔水に対する溶解性試験〕 実施例1の中間体多糖および目的の多糖を精秤
し生理食塩水(PH6.3)50mlを加え40℃で3時間
撹拌した所第1表の結果を得た。生理食塩水のか
わりに精製水(PH6.7)を用いた場合もまた同様
の結果を得た。 第1表より本発明の多糖の中性域での溶解性改
良が明確に示される。
【表】
実施例 8
ザルコーマ180肉腫・ICR系マウスを用いた抗
腫瘍性試験 腹腔内移植後7日目のザルコーマ180腫瘍細胞
約600万個を健常な体重23gの6週令ICR系マウ
ス(雌)の右鼠径部より背部皮下に移植し、翌日
より10日間毎日1回生理食塩水中に溶解した本発
明物質および参考例としてのけんだくした原料多
糖を腹腔内に投与した。対照は無処置群である。 腫瘍を移植してから5週間後に腫瘍を摘出し、
その重量を測定するとともに腫瘍の完全消失数を
数えた。 腫瘍抑制率は次式により算出した。 腫瘍抑制率=C/―−T/―/C×100% ただし:対照群の平均腫瘍重量 :投薬群の 〃 結果は第2表に示した。特に低投与量での抗腫
瘍性の増加が明らかである。
腫瘍性試験 腹腔内移植後7日目のザルコーマ180腫瘍細胞
約600万個を健常な体重23gの6週令ICR系マウ
ス(雌)の右鼠径部より背部皮下に移植し、翌日
より10日間毎日1回生理食塩水中に溶解した本発
明物質および参考例としてのけんだくした原料多
糖を腹腔内に投与した。対照は無処置群である。 腫瘍を移植してから5週間後に腫瘍を摘出し、
その重量を測定するとともに腫瘍の完全消失数を
数えた。 腫瘍抑制率は次式により算出した。 腫瘍抑制率=C/―−T/―/C×100% ただし:対照群の平均腫瘍重量 :投薬群の 〃 結果は第2表に示した。特に低投与量での抗腫
瘍性の増加が明らかである。
【表】
実施例 9
ザルコーマ180肉腫・C3H/He系マウスを用い
た抗腫瘍性試験 体重約23gのC3H/He系マウス(♀)を用い
抗腫瘍試験(1)と同様に行なつた結果第3表の結果
を得た。第3表より本発明多糖の有効な抗腫瘍性
が明らかである。
た抗腫瘍性試験 体重約23gのC3H/He系マウス(♀)を用い
抗腫瘍試験(1)と同様に行なつた結果第3表の結果
を得た。第3表より本発明多糖の有効な抗腫瘍性
が明らかである。
第1図は、実施例1においてフクロタけよりア
ルカリ抽出により調製された中間体の多糖の赤外
吸収スペクトルを示す図であり、第2図は実施例
1において調製された本発明物質の赤外吸収スペ
クトルを示す図である。
ルカリ抽出により調製された中間体の多糖の赤外
吸収スペクトルを示す図であり、第2図は実施例
1において調製された本発明物質の赤外吸収スペ
クトルを示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 で表わされる第1のくり返えし単位(式中D−
GluはD−グリコピラノース残基を表わし、βは
結合様式で表わし、数字は結合位置を表わす)、
式 で表わされる第2のくり返えし単位(式中D−
Glu、β及び数字は前記同様の意味を表わし、X
は式 で表わされる基または で表わされるD−グルコピラノシル基を表わす。)
ならびに式 で表わされる第3のくり返えし単位(式中D−
Glu、β、X及び数字は前記同様の意味を表わ
し、Yは式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノース残基を表わ
す。これらの前式中、(P)を付した炭素にXが
結合し、(Q)を付した酸素でグルコピラノース
残基に結合する意味である)からなり、前記第2
および/または第3のくり返えし単位中のXの少
なくとも一部は前記の式 で表わされる基であり、前記第1、第2および第
3の各くり返えし単位の個数の和100個当り、各
平均で、第3のくり返えし単位の個数が約4ない
し約12個であり、第2のくり返えし単位と第3の
くり返えし単位の個数の和が約16ないし約33個で
あり、かつ濃度0.1モル/、PH8.6のトリス−塩
酸緩衝液を移動相とするゲル濾過高速液体クロマ
トグラフイにおいて分子量約7万ないし約280万
を与える、フクロタケ由来の多糖類。 2 フクロタケをアルカリ水溶液で抽出し、得ら
れた可溶性画分を酸化して、その側鎖の隣接する
水酸基を有する炭素炭素結合の一部を切断して開
環させ、これを更に還元して本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 で表わされる第1のくり返えし単位(式中D−
GluはD−グリコピラノース残基を表わし、βは
結合様式で表わし、数字は結合位置を表わす)、
式 で表わされる第2のくり返えし単位(式中D−
Glu、β及び数字は前記同様の意味を表わし、X
は式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノシル基を表わす。)
ならびに式 で表わされる第3のくり返えし単位(式中D−
Glu、β、X及び数字は前記同様の意味を表わ
し、Yは式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノース残基を表わ
す。これらの前式中、(P)を付した炭素にXが
結合し、(Q)を付した酸素でグルコピラノース
残基に結合する意味である)からなり、前記第2
および/または第3のくり返えし単位のXの少な
くとも一部は前記の式 で表わされる基であり、前記第1、第2および第
3のくり返えし単位の個数の和100個当り、各平
均で、第3のくり返えし単位の個数が約4ないし
約12個であり、第2のくり返えし単位と第3のく
り返えし単位の個数の和が約16ないし、約33個で
ある多糖類を得ることを特徴とするフクロタケ由
来の多糖類の製造法。 3 酸化を過ヨウ素酸またはその塩で行なう特許
請求の範囲第2項記載の製造法。 4 濃度0.1モル/、PH8.6のトリス塩酸緩衝液
を移動相とするゲル濾過高速液体クロマトグラフ
イにおいて分子量約7万ないし約280万を与える
多糖類を得るものである特許請求の範囲第2項ま
たは第3項記載の製造法。 5 有効成分として、本質的に式 〔→3)β−D−Glu(1→〕 で表わされる第1のくり返えし単位(式中D−
GluはD−グルコピラノース残基を表わし、βは
結合様式を表わし、数字は結合位置を表わす)、
式 で表わされる第2のくり返えし単位(式中D−
Glu、β及び数字は前記同様の意味を表わし、X
は式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノシル基を表わす。)
ならびに式 で表わされる第3のくり返えし単位(式中D−
Glu、β、X及び数字は前記同様の意味を表わ
し、Yは式 で表わされる基または式 で表わされるD−グルコピラノース残基を表わ
す。)からなり、前記第2および/または第3の
くり返し単位中のXの少なくとも一部は前記の式 で表わされる基であり、前記第1、第2および第
3の各くり返えし単位の個数の和100個当り、各
平均で、第3のくり返えし単位の個数が約4ない
し約12個であり、第2のくり返えし単位と第3の
くり返えし単位の個数の和が約16ないし約33個で
ある、フクロタケ由来の多糖類を含んでなる抗腫
瘍剤。 6 フクロタケ由来の多糖類が濃度0.1モル/、
PH8.6のトリス−塩酸緩衝液を移動相とするゲル
濾過高速液体クロマトグラフイにおいて分子量約
7万ないし約280万を与える多糖類である特許請
求の範囲第5項記載の抗腫瘍剤。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58037486A JPS6023401A (ja) | 1983-03-09 | 1983-03-09 | 多糖類およびその製造法 |
US06/587,475 US4639516A (en) | 1983-03-09 | 1984-03-08 | Polysaccharide polyol |
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