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JP7560657B2 - エアバック用合成繊維、及びこれを用いたエアバック用織物の製造方法 - Google Patents

エアバック用合成繊維、及びこれを用いたエアバック用織物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エアバック用合成繊維、及びこれを用いたエアバック用織物の製造方法に関するものである。
エアバッグ装置は、自動車の衝突事故の際、乗員を保護するという目的で搭載が進んでいる。エアバッグは、自動車の衝突を感知してから、インフレ―タ―から高圧ガスを発生させ、エアバッグクッションを膨張させることで乗員を保護する。乗員を的確に保護するには、エアバッグクッションの膨張状態を長時間維持する、つまり内圧保持性が必要となる。また、近年では運転者と助手席の同乗者の衝突を避けるファーサードカーテンエアバッグや歩行者を保護する歩行者用エアバッグが登場しているが、これらはシートやボンネットの狭い場所に収納する必要があり、エアバッグクッションのコンパクト性が一層求められている。
エアバッグクッションの製造工程は主に、紡糸・製織・縫製・組立の4つの工程に分けられる。その中の製織工程においては、ウォータージェットルーム織機(WJL)がよく用いられている。WJLは、ノズル後方から入った糸に対して水が側方から斜めに噴射され、糸は形成された水柱の水流に乗って緯入れが行われる。経糸が開口したところに緯入れされた緯糸は反ノズル側にて把持された後、筬打ちされ織物が形成される。
WJLによる製織工程では、近年、生産性向上のために製織速度の高速化、かかる工程の効率化、省力化が進められている。
以下の特許文献1では、緯入れノズルから噴射される水の拡散を規制し、緯糸を安定かつ確実に飛走させることで製織効率向上を達成している。他方、糸によっては製織速度を向上させると緯入れの際に飛走不足が生じ、製織トラブルが発生することがある。
この問題を解決するため、以下の特許文献2には、製織における緯糸飛走性が向上するような交絡を施したエアバッグ用合成繊維が開示されている。これにより、850rpm~1000rpmにおける高速製織を可能にし、かかる工程における欠点を減少させたとある。しかしながら、言及されているのは製織停台回数のみで、織物製品の品質についての記載はない。
また、以下の特許文献3では、合成繊維の中間荷重弾性率を上げ、中間弾性伸度を下げ、高速の緯糸挿入に対する応答性を向上させ、かつ中間荷重弾性率のバラつきを抑制することで、900rpmの高速で製織した織物においても均一な通気性を達成している。
特開2000-34646号公報 特開2007-126796号公報 特許第5253685号公報
前記のとおり、従来の技術では、緯糸の飛走方向への力に対する応答性を向上させ、かつ応答性の糸長方向のバラつきを抑制することで、高速製織でありながらも均一な通気性となる織物の製織を達成している。織物の通気性は、織物表面からのエアリークに関係するパラメータであり、エアバッグの内圧保持性に影響を与える。しかし、エアバッグ展開時は織物表面からのエアリークよりも、縫製部からのエアリークの方が大きく、織物の通気性が内圧保持性に与える影響は微々たるものである。
織物の縫製部からのエアリークに関係するパラメータが滑脱抵抗力である。滑脱抵抗力が大きいと、エアバッグ展開時に縫製部に応力がかかった際、縫製部の目ズレが起こりにくく、内圧が低下しにくい。
他方、エアバッグの車内への収納性に関係するパラメータとして剛軟度がある。エアバッグクッションは折りたたまれて収納され、エアバッグ装置として車内に搭載されるが、剛軟度が高いと折りたたみ後の嵩が大きくなり、十分に収納できない。
滑脱抵抗力を向上させるには、通常、織密度やクリンプ率の増加という方法がとられるが、これらは織物の柔軟性を損ねてしまうという問題がある。そのため、滑脱抵抗力が高く、かつ、柔軟性も高いエアバッグ織物が切望され、両特性が両立するように寄与しうるエアバッグ原糸が切望されている。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、エアバッグに用いる織物をWJLにて製織する際に、経緯糸共に好適に用いることができるエアバッグ用合成繊維を提供することである。とりわけ、緯糸が高速で飛走し、さらに、反ノズル側に到達した際の張力ムラを減少させ、噴射水への追従性が均一であり、かつ、高速で飛走し、織物幅方向での品質のバラつきを抑制し(ポリアミド糸の瞬間弾性回復は織物幅方向で落ち着いてから組織化されるため)、織物においてトレードオフとなる高滑脱抵抗力と高柔軟性を両立可能なエアバッグ用合成繊維を提供することである。
本発明者は、WJLを用いた前記織物の製織において、糸の均一飛走性においては非交絡部面積の均一性、噴射水への追従性は糸の瞬間的な親水性が重要であることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]交絡部と非交絡部を有するエアバッグ用マルチフィラメント合成繊維であって、単糸表面の水滴接触角が50~75°であり、かつ、20cmごとの非交絡部面積のバラつきがCV値で10%以下であることを特徴とするエアバッグ用合成繊維。
[2]前記非交絡部面積が糸長方向に20cm範囲ごとの評価で12.5~20cmの範囲である、前記[1]に記載のエアバッグ用合成繊維。
[3]単糸数が60~250本である、前記[1]又は[2]に記載のエアバッグ用合成繊維。
[4]単糸繊度が1~7dtexである、前記[1]~[3]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[5]単糸数が200~250本、かつ、単糸繊度が1.0dtex~1.8dtexである、前記[1]~[4]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[6]交絡度が10~35個/mである、前記[1]~[5]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[7]単糸表面の水滴接触角の長さ方向のバラつきがCV値で5%以下である、前記[1]~[6]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[8]仕上剤付着率が0.6~1.2重量%である、前記[1]~[7]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[9]リン原子を含むアニオン性界面活性剤及び/又は硫黄原子を含むアニオン性界面活性剤が繊維重量に対して200~500ppm付着している、前記[1]~[8]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[10]下記要件(1)~(4):
(1)総繊度が150~800dtexである;
(2)強度が7.5~9cN/dtexである;
(3)伸度が15~25%である;及び
(4)沸水収縮率が4~11%である;
を満たす、前記[1]~[9]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維。
[11]パッケージの幅Wが8~22cmである、前記[1]~[10]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維の巻き取りパッケージ。
[12]以下の工程:
溶融紡糸により紡糸された合成繊維を、1つ以上の仕上剤付与(給油)装置、多段延伸ローラ、交絡付与装置、及び該交絡付与装置の前後に設けられた1つ以上の糸道規制ガイドを経由して、管軸方向に糸条を搖動するためのトラバーサーを備えた巻き取り機を用いて、管に巻き取る工程;
を含む、エアバッグ用合成繊維の製造方法であって、該工程における、巻き取り前の張力が0.1~0.3cNであり、かつ、トラバーサーによる糸条の搖動における短周期揺動幅比率Bが0.5~5%であることを特徴とする前記方法。
[13]合成繊維を管に巻き取ることで得られるパッケージの幅Wが8~22cmである、前記[12]に記載のエアバッグ用合成繊維の製造方法。
[14]前記仕上剤付与装置によって、リン原子を含むアニオン性界面活性剤及び/又は硫黄原子を含むアニオン性界面活性剤が繊維重量に対して200~500ppm付着するように仕上剤を付与する、前記[12]又は[13]に記載のエアバッグ用合成繊維の製造方法。
[15]前記仕上剤付与装置が糸道方向の異なる位置に2つ以上あり、かつ少なくとも2つの仕上剤付与装置の給油部の方向が正対している、前記[12]~[14]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維の製造方法
[16]以下の工程:
ウォータージェットルーム織機において、緯糸に前記[1]~[10]のいずれかに記載のエアバッグ用合成繊維を用いて、製織速度800rpm以上で、織物を製織する工程;
を含む、エアバッグ用織物の製造方法。
本発明のエアバッグ用合成繊維は、単糸表面の水滴接触角および非交絡部面積のバラツキを特定範囲にすることで、WJLを用いた製織において、緯糸飛走性(噴射水への追従性)を飛躍的に改善し、かつ、均一かつ直線的に飛走する特性(糸の均一飛走性)に優れる。これら2点の特性から、基布幅方向での品質のバラつきなく、高速製織を行うことが可能となる。
エアバッグ用合成繊維の巻き取りパッケージの幅Wを説明する図である。 エアバッグ用合成繊維を製造する装置の一例を説明する図である。 巻き取り機におけるトラバースの速度増減方式を決めるための、短周期揺動幅比率B、及び巻き始めの綾角θの定義を説明する図である。 水滴接触角の計測における説明図である。 非交絡部面積、及びそのCV値を求めるための、非交絡部の長さaと幅bの定義の説明図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の1の実施形態は、交絡部と非交絡部を有するエアバッグ用マルチフィラメント合成繊維であって、単糸表面の水滴接触角が50~75°であり、かつ、20cmごとの非交絡部面積のバラつきがCV値で10%以下であることを特徴とするエアバッグ用合成繊維である。
本実施形態におけるエアバッグ用合成繊維の単糸表面の水滴接触角は、50°以上75°以下である。水滴接触角とは、図4に示すように、エアバッグ用合成繊維の単糸に一定量の水滴を付着し、側面から接触角を経時観察し、100ms内(動画の1フレームは8ms)で最大を示す接触角の値をいう。
水滴接触角が50°以上であれば、緯入れ時に糸条内で噴射水の表面張力が適度に働き、糸がばらけずに飛走できる。糸がばらけないことで、飛走時に糸条が受ける空気抵抗が減り、緯糸飛走性が向上し、緯入れ性が高速で安定化する。緯入れ挙動が安定化することで、緯糸は瞬間弾性回復が落ち着いてから経糸に織り込みされるため、高速製織におけるエアバッグ織物物性の均一化に寄与する。また、糸条内に包含される噴射水が均一になることで、均一な飛走となり、織物物性の均一化に寄与する。また、接触角が75°以下であれば、糸条の親水性が高くなり、噴射水への追従性が向上することで、こぶ状現象(噴射水の爆発現象)を起こして、噴射水が飛散して糸条が反ノズル側まで届かず、飛走不足となり、製織トラブルが発生するという問題が生じない。水滴接触角が低いことにより、糸条の噴射水包含がミリ秒単位で素早く起こるため、非交絡部の拡幅が素早く生じ、噴射水による飛走性が効率的になり、上記同様の理由で、織物物性が均一化に寄与する。水滴接触角αが低いほどエアバッグ基布物性が均一化する。水滴接触角は、より好ましくは50~70°であり、さらに好ましくは50~65°である。
本実施形態におけるエアバッグ用合成繊維の単糸表面の水滴接触角の糸長方向のバラつきがCV値(変動係数)で5%以下である。CV値が5%以下であれば、単糸への仕上剤の付着が糸長方向で均一であり、緯入れ時に糸条が包含する水量が、均一となり、飛走性のバラつきがなくなり、滑脱抵抗力と剛軟度の比(EC/V)のバラつきを低減できる、つまり均一な品質の織物、とりわけ基布幅方向に均一な品質の織物を得ることができる。CV値は好ましくは4.5%以下である。CV値の下限は特に限定されないが、経済的に実現可能な範囲として1%以上であってよい。
本実施形態におけるエアバッグ用合成繊維の20cmごとの非交絡部面積のバラつきがCV値(変動係数)で10%以下である。CV値が10%以下であれば、図5に示すような、非交絡部の長さa、及び仕上剤の表面張力による糸条の広がりの幅bが均一であり、WJLにて製織する際の緯入れ時に、糸条が包含する水量が均一となり、飛走性のバラつきがなくなり、滑脱抵抗力と剛軟度の比(EC/V)のバラつきを低減できる、つまり均一な品質の織物、とりわけ基布幅方向に均一な品質の織物を得ることができる。CV値は好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下である。CV値の下限は特に限定されないが、経済的に実現可能な範囲として3%以上であってよい。20cm糸長の計測でどこをとっても非交絡部の様子が均一であれば、噴射水による飛走性が均一になる。
本実施形態におけるエアバッグ用合成繊維の非交絡部の面積は、糸長方向に20cm範囲ごとの評価で12.5~20cm2であることが好ましい。非交絡部面積が12.5cm2以上であれば、糸条の水の包含が十分となり、緯糸の飛走性が良く、織機の停台を防ぐことができる。他方、非交絡部の面積が20cm2以下であれば、交絡部の長さを適度にとることができ、糸がばらけず、織機の停台を防ぐことができる。非交絡部の面積は、糸長方向に20cm範囲ごとの評価で、より好ましくは14~17.5cm2である。
本実施形態におけるエアバッグ用合成繊維は、リン原子を含むアニオン性界面活性剤及び/又は硫黄原子を含むアニオン性界面活性剤が、繊維重量に対して200~500ppm付着していることが好ましい。イオン性界面活性剤を200ppm以上含有することで、水滴接触角が十分低くなり、糸がより親水化して製織工程における緯入れ時に、噴射水への追従性がアップし、緯糸飛走性が向上する。他方、付着率が500ppm以下であれば、水滴接触角が小さすぎて、製織における緯糸飛走時に糸がばらけるということがない。アニオン性界面活性剤の、繊維重量に対する付着率は、より好ましくは250~500ppmであり、さらに好ましくは300ppm~500ppmである。リン原子を含むアニオン性界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、アルキルリン酸エステル(以下、ホスフェートと略記する。)の金属塩又はアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルホスフェートの金属塩又はアミン塩が挙げられる。より具体的には、例えば、ラウリルホスフェートカリウム塩、ラウリルホスフェートナトリウム塩、オクチルホスフェートカリウム塩、オクチルホスフェートナトリウム塩等が挙げられる。硫黄原子を含むアニオン性界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、アルカンスルホン酸塩が挙げられる。イオン性界面活性剤の付着方法は特に限定しないが、仕上剤中に混合して付着させることが好ましい。
本実施形態におけるエアバッグ用合成繊維の交絡度は、図5に示すような、水浸法における測定において10~35個/mが好ましい。交絡度が10個/m以上であれば、製織の際の経糸に要求される集束性を十分に満足し、製織効率の低下を招いたり、織物品位を損なうことがない。他方、交絡数が35個/m以下であれば、非交絡部面積が適切な大きさになり、緯糸の飛走性が良くなり、また、糸条の長さ方向において単糸長のバラつきが少なく、製織中の糸切れや毛羽の発生を抑制し、織機の停台を防ぐことができる。交絡度はより好ましくは15~30個/mである。
本実施形態のエアバッグ用合成繊維は、マルチフィラメントであり、単糸数が60~250本であることが好ましい。単糸数が60本以上であれば、交絡を構成するのに十分な本数となり、交絡が形成できず、ばらつくということがない。単糸数は、より好ましくは120本以上である。他方、単糸数が250本以下であれば、交絡を付与するためのエアーのエネルギーの利用効率が良く、均一で良好な交絡とすることができる。単糸数は、より好ましくは200本以下である。
本実施形態のエアバッグ用マルチフィラメント合成繊維の単糸繊度は、1~7dtexであることが好ましい。単糸繊度が1dtex以上であれば、単糸タフネスなどの引張り特性が十分で、製糸工程の毛羽発生を抑制できる。他方、単糸繊度が7dtex以下であれば、交絡処理の際の糸条旋回を、より小さなエネルギーで行うことができ、意図した交絡状態を得ることができる。さらに4dtex以下であれば、単糸間の空隙が少なくなるため、緯入れ時に糸条内での噴射水の表面張力の効果が大きくなり、より糸がばらけずに飛走できる。十分な引張り特性を得るという観点からは、単糸繊度はより好ましくは2~7dtexであり、緯入れ時の飛走性という観点からは、単糸繊度は、より好ましくは1~4dtexであり、さらに好ましくは1~3dtexであり、いっそう好ましくは1.0dtex以上1.8dtex以下である。
本実施形態のエアバッグ用マルチフィラメント合成繊維は、単糸数が200~250本、かつ、単糸繊度が1.0dtex以上1.8dtex以下であることが好ましい。単糸繊度が1.0dtex以上1.8dtex以下であれば、織物にした場合、一層の柔軟性を有する。単糸数が200~250本であれば、単糸繊度が1.0dtex以上1.8dtex以下の低繊度であっても、マルチフィラメント繊維として十分な機械物性を有する。
本実施形態のエアバッグ用マルチフィラメント合成繊維の総繊度150~800dtex、強度7.5~9cN/dtex、伸度15~25%、及び沸水収縮率4~11%の物性を有することが望ましい。
総繊度が150dtex以上であれば、エアバッグ用織物にした場合、十分な機械物性を有する。他方、総繊度が800dtex以下であれば、交絡付与工程において、集束性を付与することが容易になる。つまり、繊度が大きくなると適度な交絡を付与するには、糸旋回に必要なエアー圧、又はエアー流量を著しく増加する必要があり、用役増分のコストアップだけでなく、交絡ノズル部において糸条がダメージを受け易く、毛羽が生じ、糸条品位の低下を招き易いが、総繊度が800dtex以下であれば、そのようなことがない。総繊度は、より好ましくは200~550dtexである。
(引張)強度は7.5~9.0cN/dtexであることが好ましい。引張強度が7.5cN/dtex以上と高ければ、織物の機械特性向上に寄与する。引張強度は、より好ましくは8.0cN/dtex以上である。エアバッグ用合成繊維の引張強度は、他の特性、製造コスト等を考慮すると、実質的に9.0cN/dtex以下である。
伸度は15~25%であることが好ましい。伸度が15%以上であれば、展開時に膨張部と非膨張部の境界部分に応力が過剰にかかって、破壊するようなことがない。また、伸度と強度はトレードオフであり、強度とのバランスをとるために伸度は25%以下であることが好ましい。
沸水収縮率は4~11%の範囲であることが好ましい。沸水収縮率が4%以上であれば、製織後の加工工程で織物を収縮させ、織物の仕上がりを高密度にすることに寄与できる。沸水収縮率は6%以上がさらに好ましい。沸水収縮率が6%以上あれば、製織後の加工工程で織物を収縮させ、織物機械物性のばらつきの均一化に寄与できる。沸水収縮率は特に好ましくは7%以上である。沸水収縮率が11%以下であれば、織物にした場合、過度の収縮で経緯のアンバランスが出て目開きを誘発することがない。沸水収縮率はより好ましくは9.5%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。
本発明の他の実施形態は、パッケージの幅Wが8~22cmである、前記エアバッグ用合成繊維の巻き取りパッケージである。
かかる巻き取りパッケージ(繊維を巻取り機にて紙管等に巻きつけたものの繊維包装形態)は、図1に示すように、パッケージの幅Wが8~22cmであるものが好ましい。Wが8cm以上であれば、形状が安定し、かつ輸送効率も良い。他方、幅W22cm以下であれば、巻取り時にパッケージの幅方向における中心と両端での張力差により非交絡部面積の変動が低減される。Wは、より好ましくは8~18cmである。
本実施形態のエアバッグ用合成繊維を構成する合成繊維は、ポリアミドやポリエステルのマルチフィラメントからなる長繊維であることが好ましい。特に好ましくは、ポリアミド繊維であり、融点が高く、熱容量も大きいため、耐熱性に優れる。例えば、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド4・6、それらの共重合体およびそれらの混合物からなる繊維が挙げられる。中でも、主としてポリヘキサメチレンアジパミド繊維からなるポリアミド6・6繊維が好ましい。ポリヘキサメチレンアジパミド、とは100%のヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される融点が250℃以上のポリアミド繊維を指す。本発明のポリアミド6・6繊維は、融点が250℃未満とならない範囲で、ポリヘキサメチレンアジパミドにポリアミド8、ポリアミド6.I、ポリアミド10、ポリアミド6・Tなどを共重合、あるいはブレンドしたポリマーからなる繊維でもよい。
本発明のさらに他の実施形態は、以下の工程:
溶融紡糸により紡糸された合成繊維を、1つ以上の仕上剤付与(給油)装置、多段延伸ローラ、交絡付与装置、及び該交絡付与装置の前後に設けられた1つ以上の糸道規制ガイドを経由して、管軸方向に糸条を搖動するためのトラバーサーを備えた巻き取り機を用いて、管に巻き取る工程;
を含む、エアバッグ用合成繊維の製造方法であって、該工程における、巻き取り前の張力が0.1~0.3cNであり、かつ、トラバーサーによる糸条の搖動における短周期揺動幅比率Bが0.5~5%であることを特徴とする前記方法である。
以下、本実施形態のエアバッグ用合成繊維の巻き取りパッケージを製造する方法について説明する。
図2は、本実施形態のエアバッグ用合成繊維を製造する設備の一例を示す説明図である。まず、溶融状態のポリマーはスピンヘッド3と呼ばれる紡糸機の一部によって均温化され、紡糸口金4より紡出される。紡出されたポリマーは、冷却チャンバー5からの冷風により固化され糸条を形成する。各エンドにまとめられた糸条は、その後、給油装置6で仕上剤を付与された後、引き取りローラ7、第1ローラ8から第4ローラ11からなるローラ群による延伸工程へと進む。すなわち、糸条はローラ7により所定の速度で引き取られた後、若干の緊張力で第1段ローラ8に導き、第1段ローラ8から多段の加熱延伸ローラ9、10、11により延伸される。その後、糸道規制ガイド12を通って交絡付与装置13に供給され、さらに糸道規制ガイド12を通って巻取り機14で巻取られる。
給油装置6は、一般的にはロールタイプもしくはノズルタイプが用いられる。給油装置6の構成は、1つ以上あればよいが、糸道方向の異なる位置に2個以上あり、かつその給油部のうち少なくとも2つの方向が正対していることが好ましい。特に単糸繊度が1,0~1.8dtexの場合、冷却チャンバー5からの冷風により固化する工程での糸の揺れが給油工程に伝搬し、給油装置6への糸の接触が乱れ、仕上剤の付着が不均一となる傾向がある。給油装置を糸道方向の異なる位置に2個以上、かつその給油部のうち少なくとも2つの方向を正対させることで、給油装置への糸の接触乱れを抑制することで、単糸繊度が1.0~1.8dtexであっても仕上剤を均一に付着させることができ、単糸表面の水滴接触角の糸長方向のバラつきを抑制することができる。
給油装置6にて合成繊維に付与される仕上剤の付着率は、0.6~1.2重量%の範囲であることが好ましい。1.2重量%以下の仕上剤付着率を有する糸条は、べたつき(タック性)によって緯糸が飛走し難いということがほとんどない。0.6重量%以上の仕上剤付着率であれば、製糸工程における延伸中での単糸毛羽の発生を抑制できる。
給油装置6にて合成繊維に付与される仕上剤の成分は、上述したイオン性界面活性剤の他に、製糸工程における糸条の延伸がスムーズに行われるように平滑性に優れ、かつ耐熱性を有する成分を用いることが、糸条品位、産業資材用途の観点から好ましい。
平滑剤としての成分は、エステル化合物が好ましい。分子中にエステル結合を3つ以上有するエステル化合物、及び分子中に硫黄元素を有するエステル化合物から選ばれる少なくとも一種のエステル化合物を含むものが好ましい。
分子中に硫黄元素を有するエステル化合物は、例えば、(1)ジアルキルチオジプロピオナート等の二価カルボン酸と一価アルコールとのエステル化合物、(2)アルキルメルカプトプロピオナート等の1価カルボン酸と1価アルコールとのエステル化合物等が挙げられる。
分子中にエステル結合を3つ以上有するエステル化合物としては、例えば、(3)トリメチロールプロパントリアルキレート、グリセリントリ脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル等の多価アルコールと一価カルボン酸とのエステル化合物、(4)トリアルキルトリメリタート、クエン酸トリエチル等の多価カルボン酸と一価アルコールとのエステル化合物、(5)ひまし油、パーム油、ナタネ白絞油等の天然油脂等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非イオン界面活性剤は、乳化作用、摩擦作用の調節剤として用いることができる。
例えば、(1)ポリエチレングリコールジアルキレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート、ポリオキシブチレンソルビタントリアルキレート、ポリオキシプロピレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンプロピレン硬化ひまし油トリアルキレート、ポリオキシエチレン硬化ひまし油トリアルキレート、ひまし油のエチレンオキサイド(以下、EOという。)付加物及び硬化ひまし油のEO付加物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、モノカルボン酸及びジカルボン酸とを縮合させたエーテルエステル化合物等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、(2)有機酸、有機アルコール、有機アミン、及び有機アミドから選ばれる少なくとも一種に炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、より具体的には、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤、(3)ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル等の多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、(4)ジエタノールアミンモノ脂肪酸アミド等のアルキルアミド型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
仕上剤は鉱物油などで希釈してもよく、水系のエマルジョンにしてもよい。特に限定されるものではないが、後工程における水との相溶性を考慮した際には、エマルジョンにして用いることが好ましい。
交絡付与装置13の上流部と下流部には、糸走を安定させるための糸道規制ガイド12が設けられる。これらと交絡付与装置の交絡ノズル部で規定される糸走角度を1~10°の範囲に保つことは、バラつきの少ないエアバッグ用合成繊維を得るうえで好ましい方法である。二つの糸道規制ガイド12間を50~90mmに設定することは、好適な非交絡部面積を得るうえで好ましい。交絡付与装置13は、交絡ノズルにより圧縮流体を糸条に噴射する公知の装置を用いることができるが、糸条への圧縮流体は、0.5~3.5kWのエネルギーにて供給をすることが好ましい。圧縮流体の供給エネルギーは、供給圧(Mpa)と使用流量(Nm3/hr)の積により算出することができ、供給圧、交絡ノズルの流体導入口径を任意に選択することにより、上記供給エネルギーの範囲を満足することができる。さらに第4ローラ11と巻取り機間の速度比と上記範囲内で第4ローラ11の温度を調整して、第4ローラ11と巻取り機14間の巻取り張力(巻き取り前張力)を0.1~0.3cN/dtexの範囲にすることが好ましい。巻取り張力が0.1cN以上であれば、糸落ちがなく、パッケージ形状が安定する。また、パッケージ密度が上がり、輸送効率が高くなる。他方、巻き取り前張力が0.3cN以下であれば、交絡が十分に入り、交絡部が安定したバラツキが少なくなると同時にパッケージを解除する際の張力変動を最小限にすることができパッケージの解舒性にも優れる。
本実施形態のエアバッグ用合成繊維は巻取り機14により、紙管等に巻きつけられる。その際、糸条はトラバーサーによって紙管軸方向に揺動され、巻取りパッケージ幅の間で左右に振られて、円柱状にパッケージされる。トラバースした繊維糸条がドラム上に巻上げられる方向とパッケージドラムの回転軸に直角な面との角度を綾角θ とすると、(トラバース速度)=(捲取速度)×(tanθ)であり、綾角を設定することでトラバース速度を制御する。トラバース速度を制御するにあたり、巻取り幅の間で左右に振られる速度は、綾角の設定に加えて、短周期揺動幅比率Bが0.5~5%を満たすような短周期の揺動手段を適用することが好ましい。
短周期揺動幅比率Bは、図3で定義される。Bはトラバーサー制御のアプリケーション上で設定することができる。綾角θは通常巻時間ごとに変化するが、Bを設定することで、ある巻時間での綾角に対して細かい綾角変化を入れることができる。例えば、巻き始めの綾角が10°の場合にBを1%と設定すると、経時的に変化する綾角に対して短周期的に-0.1~0.1°(10°の±1%)の綾角変化を入れることができる。このとき、短周期とは0.1~2秒の周期をいう。Bはリボン巻を防ぐために設定されるが、本発明者は、このような変動的なトラバースを行うことで、トラバースによる糸条の巻取り張力変動を抑制し、交絡を損なうことなく、非交絡部面積のバラツキの少ない均一なエアバッグ用合成繊維を得ることができることを見出した。短周期揺動幅比率Bを0.5%以上にすれば、リボン巻を回避し、巻取りの張力変動を抑制できる。他方、Bを5%以下にすれば、短周期での綾角の大小により巻径のバラつきが生じて糸落ちすることがない。
本発明のさらに他の実施形態は、以下の工程:
ウォータージェットルーム織機において、緯糸に前記エアバッグ用合成繊維を用いて、製織速度800rpm以上で、織物を製織する工程;
を含む、エアバッグ用織物の製造方法である。
WJLにおいて飛走性が良いエアバッグ用合成繊維を得るためには、特に前記した、トラバース条件の調整による交絡均一性の向上と、仕上剤の選定による糸の親水性の向上がポイントとなる。
本実施形態のエアバッグ用合成繊維は、WJLでの製織、とりわけ800rpm以上の高速製織、及び2m以上の広幅織機での製織において、緯糸として用いることに適している。製織に用いる経糸としても、本実施形態のエアバッグ用合成繊維を好適に用いることができる。また、製織前の経糸に平滑性を向上させるためのサイジング処理を行ってもよい。また、製織後は精練工程で油分を除去してもよいし、精練工程を省略してもよい。織物を温水や熱風処理して収縮させてもよい。この収縮工程で織物の幅方向や反長方向について張力制御したり、寸法変化率を調整させてもよい。
本実施形態のエアバッグ用合成繊維は、これを織糸に用いて製織して高密度織物とするに適しており、カバーファクターが2000~2500の織物とすることが好ましい。カバーファクターが2000以上であれば、エアバッグ用織物として十分な強度、低通気性を確保することができる。他方、カバーファクターが2500以下であれば、十分な柔軟性、薄地性、軽量性を持たせることができる。カバーファクターは、より好ましくは2200~2500である。尚、カバーファクターは{経糸密度(本/2.54cm)×(経糸繊度(dtex))1/2+緯糸密度(本/2.54cm)×(緯糸繊度(dtex))1/2}である。
本実施形態の合成繊維を用いたエアバッグ用織物は、滑脱抵抗力と剛軟度の比(EC/V)が、25N/N以上であることが好ましい。EC/Vが、25N/N以上であれば、エアバッグ用途として、低通気性と柔軟性を十分に備えた織物となる。EC/Vは、より好ましくは35N/N以上、さらに好ましくは45N/N以上である。
本実施形態のエアバッグ用合成繊維を用いたエアバッグ用織物は、滑脱抵抗力と剛軟度の比(EC/V)のバラつきがCV値で20%以下であることが好ましい。EC/VのCV値が20%以下であれば、織物幅方向でのバラつきが少なく、基布物性が安定化し、高滑脱抵抗力かつ柔軟性のよいエアバッグ織物となる。そのため、エアバッグパーツを織物の如何なる部分から切断してきても同等な物性をもち、エアバッグの信頼性が向上する。EC/VのCV値は、より好ましくは17.5%以下、さらに好ましくは15%以下である。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、明細書中、以下の実施例等で用いた仕上剤組成、物性の定義、及び測定方法は次の通りのものである。
(1)仕上剤調合
紡糸油剤に用いる仕上剤を以下の方法で調合した。
まず、ベースとなる組成Aを作製した。組成Aの組成内容は下記であった。
・ジアルキル(C12~18)チオジプロピオネート:40重量部
・硬化ひまし油のエチレンオキサイド25モル付加物:30重量部
・プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドアルキル(C12~18)ポリエーテル:30重量部
上記ベースの組成Aに、イオン性界面活性剤であるアルキル(C12~16)リン酸アミン塩を、以下の表1、2に記載の「仕上剤中のイオン界面活性剤含有率(重量%)」となるように加え仕上剤を調整した。仕上剤の含有量が22重量%となるように水を添加してエマルジョン液を作製した。
(2)水滴接触角(°)
水滴接触角の測定は、自動極小接触角計(協和界面科学(株)製“MCA-J”)で行った。図4は水滴接触角の計測における説明図である。測定条件としては、気温25℃湿度50%の室内の大気中で、測定治具間に単糸を固定し、24℃の水を20pL単糸に乗せ、水滴の様子を側方からカメラにて動画撮影して接触角αを測定する。接触角αは経時的に低下する(水が糸になじんでいく)が、糸の瞬間的な水なじみを確認するため100ms内(動画の1フレームは8ms)での接触角の最大値を測定値とした。この操作を別の単糸で繰り返し行い、全5回の平均値をそれぞれの単糸の水に対する水滴接触角とした。
(3)水滴接触角の糸長方向の変動係数CV
水滴接触角について、1本の単糸について5cmおきに10点測定し、以下の計算で単糸のCV値を求めた。
CV(%)=(s/X)×100
ここで、sは標準偏差であり、Xは平均値である。
この操作を別の5本の単糸で繰り返し行い、各単糸のCV値の平均値を水滴接触角の糸長方向の変動係数CVとした。CV値が高いほど、ばらつきが大きいことを示す。
(4)交絡度(個/m)
交絡度測定用の水浴バスは、長さ1.2m、幅20cm、高さ(水深)15cmの大きさで、両端から各10cmの部分、つまり間隔が1mとなるように白線があり、供給口から供給された水はバスから溢流により排水される。すなわち、常に新しい水を約500cc/分の流量で供給することによって測定バス内の水を更新させる。測定方法は、1.2mほどにカットした糸条の両端を持って、測定バス内に約10cNの張力をかけた状態で浸漬させ、水面で弛緩状態になった時の白線間の交絡数(個/m)を目視により読み取る。これらの測定を50回繰り返し、その平均値を評価する。
(5)非交絡部面積(cm2
上記(4)と同様に測定バス内に糸条を浸漬させ、図5に示すように水面に拡がった糸条の非交絡部の長さa、及び非交絡部の幅bをスケールにて測定し、a×bを非交絡部面積とする。糸長さ20cm区域で、水面上に広がった非交絡部面積を合計して1回の測定とし、この測定を毎回異なる20cm区域について25回繰り返して平均値を求めた。
(6)非交絡部面積の変動係数CV
上記(5)で測定した非交絡部面積について以下の計算で求めた。CV値が高いほど、ばらつきが大きいことを示す。
CV(%)=(s/X)×100
ここで、sは標準偏差であり、Xは平均値である。
(7)繊度
JIS L 1017 8.3aにより測定した。尚、試料は巻き取りパッケージから枠周1.25mの検尺機を用いて50m採取した。
(8)強度(cN/dtex)、伸度(%)
試料を標準状態(20℃、65%)で12時間放置した後、JIS L 1017 8.5aにより測定した。尚、試料長は250mm、引張速度は300mm/分で測定した。
(9)沸水収縮率(%)
JIS L 1017 8.14により測定した。尚、沸騰水に浸漬後は標準状態(20℃、65%)の室内にて12時間放置した。
(10)仕上剤付着率(重量%)
JIS L 1017 8.16bにより測定した。抽出溶剤にはシクロヘキサンを用いた。
(11)イオン性界面活性剤付着率(ppm)
上記(10)で測定した値(仕上剤付着率(重量%))と仕上剤中のイオン性界面活性剤濃度(仕上剤中イオン性界面活性剤含有率(%))から算出した。
(12)緯糸滑脱抵抗力EC(N)
サンプルを基布幅方向に5か所採取する工程を基布長さ方向に5回、つまり計25点のサンプルを採取し、それらの緯糸滑脱抵抗力(N)をASTM D6479にしたがって測定し、その平均値を算出した。
(13)基布剛軟度V(N)
上記(12)緯糸滑脱抵抗力EC試験でサンプルの近接部位からサンプルをとり、得られた25点のサンプルの基布剛軟度(N)をASTM D4032にしたがって測定し、その平均値を算出した。
[実施例1]
図2に示す装置により、常法の重合方法にて得られた90%蟻酸相対粘度が80のナイロン66ポリマーを300℃にて溶融後、スピンヘッド3により均温化させ、孔数136の紡糸口金4により吐出して、直接紡糸延伸プロセスによって巻取り、470dtex、136フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した。すなわち、吐出されたナイロン66ポリマーは、冷風チャンバー5にて冷却固化され糸条を形成した後、給油装置6、引取りローラ7、第1ローラ8から第4ローラ11を順次通過させ、糸道規制ガイド12にて糸走を安定させた後、交絡付与装置13にて糸条に交絡を付与し、糸道規制ガイド12を通過させ、巻取り機14にて巻き取った。
給油工程では、一つの仕上剤付与装置で仕上剤を付着率が0.7%、イオン性界面活性剤の付着率が350ppmとなるような組成で付与した。交絡付与装置13への圧縮空気の付与は0.5MPaで、空気供給エネルギーは1.2kWとした。糸道規制ガイド12間の距離は7.3cmとした。巻取張力は0.19cN/dtexとなるように調整した。巻取条件は、短周期揺動幅比率Bを4.0%、巻き始め綾角を7.8°、パッケージ幅Wを16cmとした。得られたポリアミド66繊維の物性等を以下の表1に示す。
得られたポリアミド66繊維をWJLを用いて900rpmの速度で平織りし、織物を得た。得られた織物を80℃の連続精練で精練し、170℃のテンターで織物送りのオーバーフィード4%、織物幅を1%の幅入れで熱セットし、経糸及び緯糸の織密度を2.54cmあたり53本×53本の織物を得た。カバーファクターは2298である。この織物の滑脱抵抗力と基布剛軟度を評価した。評価結果を以下の表1に示す。水滴接触角が適切な程度となり、非交絡部面積の変動係数が小さく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例2]
給油工程にて、イオン性界面活性剤の付着率を490ppmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。水滴接触角が適切な程度となり、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例3]
給油工程にて、イオン性界面活性剤の付着率を210ppmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。水滴接触角が適切な程度なかでも少々大きくなり、EC/Vの変動係数がやや大きく、ややバラつきのある織物となった。
[実施例4]
給油工程にて、イオン性界面活性剤の付着率を490ppmとし、巻取工程にて、パッケージ幅Wを8.5cmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。水滴接触角が適切な程度となり、非交絡部面積の変動係数が小さく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例5]
巻取工程にて、短周期揺動幅比率Bを1.5%、パッケージ幅Wを8.5cmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。非交絡部面積の変動係数が小さく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例6]
巻取工程にて、短周期揺動幅比率Bを0.8%、パッケージ幅Wを8.5cmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。非交絡部面積の変動係数がやや大きくなり、EC/Vの変動係数がやや大きく、ややバラつきのある織物となった。
[実施例7]
巻取工程にて、パッケージ幅Wを19.0cmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。非交絡部面積の変動係数がやや大きくなり、EC/Vの変動係数がやや大きく、ややバラつきのある織物となった。
[実施例8]
交絡付与工程にて、糸道規制ガイド12間の距離を7.8cmとした以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表1に示す。非交絡部面積が大きく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例9]
交絡付与工程にて、空気供給エネルギーを0.7kWとした以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。非交絡部面積が大きく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例10]
ポリマーの吐出工程にて、紡糸口金4の孔数を72とし、470dtex、72フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。水滴接触角がやや大きく、EC/Vの変動係数がやや大きく、ややバラつきのある織物となった。
[実施例11]
ポリマーの吐出工程にて、350dtex、136フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した。製織工程にて、経糸及び緯糸の織密度を2.54cmあたり60本×60本とし、カバーファクターが2245の織物を得た。上記の吐出工程と製織工程以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。水滴接触角が適切な程度となり、非交絡部面積の変動係数が小さく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例12]
ポリマーの吐出工程にて、紡糸口金4の孔数を216とし、350dtex、216フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した。上記の吐出工程以外は実施例11と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。水滴接触角のばらつきが大きくなり、EC/Vの変動係数がやや大きく、ややバラつきのある織物となった。
[実施例13]
ポリマーの吐出工程にて、紡糸口金4の孔数を216とし、給油工程にて給油装置を糸道方向の異なる位置に2個、かつその給油部の方向を正対させて仕上剤を付与し、350dtex、216フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した。上記の吐出工程と給油工程以外は実施例11と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。水滴接触角が適切な程度となり、単糸が細いながらも水滴接触角のばらつきが小さく、非交絡部面積の変動係数が小さく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[実施例14]
ポリマーの吐出工程にて、紡糸口金4の孔数を216とし、235dtex、216フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した。製織工程にて、経糸及び緯糸の織密度を2.54cmあたり72本×72本とし、カバーファクターが2207の織物を得た。上記の吐出工程と製織工程以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。水滴接触角のばらつきが大きくなり、EC/Vの変動係数がやや大きく、ややバラつきのある織物となった。
[実施例15]
ポリマーの吐出工程にて、紡糸口金4の孔数を216とし、給油工程にて給油装置を糸道方向の異なる位置に2個、かつその給油部の方向を正対させて仕上剤を付与し、235dtex、216フィラメントのポリアミド66繊維を製糸した。上記の給油工程以外は実施例14と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表2に示す。水滴接触角が適切な程度となり、単糸が細いながらも水滴接触角のばらつきが小さく、非交絡部面積の変動係数が小さく、EC/Vの変動係数が小さく、バラつきの少ない織物となった。
[比較例1]
給油工程にて、イオン性界面活性剤付着率を70ppmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表3に示す。水滴接触角が大きく、EC/Vの変動係数が大きく、バラつきの大きい織物となった。
[比較例2]
給油工程にて、イオン性界面活性剤付着率を840ppmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表3に示す。水滴接触角が小さく、EC/Vの変動係数が大きく、バラつきのある織物となった。
[比較例3]
巻取工程にて、短周期揺動幅比率Bを0.2とし、パッケージ幅Wを8.5cmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表3に示す。非交絡部面積の変動係数が大きくなり、EC/Vの変動係数が大きく、バラつきのある織物となった。
[比較例4]
巻取工程にて、パッケージ幅Wを32cmとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド66繊維の物性等と織物の評価結果等を以下の表3に示す。非交絡部面積の変動係数が大きくなり、EC/Vの変動係数が大きく、バラつきのある織物となった。
Figure 0007560657000001
Figure 0007560657000002
Figure 0007560657000003
本発明のエアバッグ用合成繊維は、WJLを用いた製織において、水の包含性(糸の瞬間的な親水性)に優れることで、緯糸飛走性(噴射水への追従性)を飛躍的に改善し、かつ、均一な非交絡部面積を有することで、均一かつ直線的に飛走する特性(糸の均一飛走性)に優れる。これら2点の特性から、基布幅方向での品質のバラつきなく、高速製織を行うことが可能となる。よって、本発明のエアバッグ用合成繊維は、エアバッグ用織物の製織のための織糸、特に緯糸として好適に利用可能である。
1 パッケージ
2 紙管
3 スピンヘッド
4 紡口口金
5 冷風チャンバー
6 給油装置(仕上剤付与装置)
7 引き取りローラ
8 第1ローラ
9 第2ローラ
10 第3ローラ
11 第4ローラ
12 糸道規制ガイド
13 交絡付与装置
14 巻取り機
15 単糸
16 水滴
W 巻き取りパッケージの幅
B 短周期搖動幅比率
θ 巻き始めの綾角
α 水滴接触角
a 非交絡部の長さ
b 非交絡部の幅

Claims (16)

  1. 交絡部と非交絡部を有するエアバッグ用マルチフィラメント合成繊維であって、単糸表面の水滴接触角が50~75°であり、かつ、20cmごとの非交絡部面積のバラつきがCV値で10%以下であることを特徴とするエアバッグ用合成繊維。
  2. 前記非交絡部面積が糸長方向に20cm範囲ごとの評価で12.5~20cmの範囲である、請求項1に記載のエアバッグ用合成繊維。
  3. 単糸数が60~250本である、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  4. 単糸繊度が1~7dtexである、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  5. 単糸数が200~250本、かつ、単糸繊度が1.0dtex~1.8dtexである、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  6. 交絡度が10~35個/mである、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  7. 単糸表面の水滴接触角の長さ方向のバラつきがCV値で5%以下である、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  8. 仕上剤付着率が0.6~1.2重量%である、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  9. リン原子を含むアニオン性界面活性剤及び/又は硫黄原子を含むアニオン性界面活性剤が繊維重量に対して200~500ppm付着している、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  10. 下記要件(1)~(4):
    (1)総繊度が150~800dtexである;
    (2)強度が7.5~9cN/dtexである;
    (3)伸度が15~25%である;及び
    (4)沸水収縮率が4~11%である;
    を満たす、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維。
  11. パッケージの幅Wが8~22cmである、請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維の巻き取りパッケージ。
  12. 以下の工程:
    溶融紡糸により紡糸された合成繊維を、1つ以上の仕上剤付与(給油)装置、多段延伸ローラ、交絡付与装置、及び該交絡付与装置の前後に設けられた1つ以上の糸道規制ガイドを経由して、管軸方向に糸条を搖動するためのトラバーサーを備えた巻き取り機を用いて、管に巻き取る工程;
    を含む、エアバッグ用合成繊維の製造方法であって、該工程における、巻き取り前の張力が0.1~0.3cNであり、かつ、トラバーサーによる糸条の搖動における短周期揺動幅比率Bが0.5~5%であることを特徴とする前記方法。
  13. 合成繊維を管に巻き取ることで得られるパッケージの幅Wが8~22cmである、請求項12に記載のエアバッグ用合成繊維の製造方法。
  14. 前記仕上剤付与装置によって、リン原子を含むアニオン性界面活性剤及び/又は硫黄原子を含むアニオン性界面活性剤が繊維重量に対して200~500ppm付着するように仕上剤を付与する、請求項12又は13に記載のエアバッグ用合成繊維の製造方法。
  15. 前記仕上剤付与装置が糸道方向の異なる位置に2つ以上あり、かつ少なくとも2つの仕上剤付与装置の給油部の方向が正対している、請求項12又は13に記載のエアバッグ用合成繊維の製造方法
  16. 以下の工程:
    ウォータージェットルーム織機において、緯糸に請求項1又は2に記載のエアバッグ用合成繊維を用いて、製織速度800rpm以上で、織物を製織する工程;
    を含む、エアバッグ用織物の製造方法。
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